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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024114438
(43)【公開日】2024-08-23
(54)【発明の名称】蓄電装置
(51)【国際特許分類】
   H01M 50/242 20210101AFI20240816BHJP
   H01M 10/613 20140101ALI20240816BHJP
   H01M 10/625 20140101ALI20240816BHJP
   H01M 10/6568 20140101ALI20240816BHJP
   H01M 50/249 20210101ALI20240816BHJP
   H01M 50/204 20210101ALI20240816BHJP
【FI】
H01M50/242
H01M10/613
H01M10/625
H01M10/6568
H01M50/249
H01M50/204 401H
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023020214
(22)【出願日】2023-02-13
(71)【出願人】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000005348
【氏名又は名称】株式会社SUBARU
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】井上 重行
(72)【発明者】
【氏名】犬飼 聡
(72)【発明者】
【氏名】関谷 泰博
【テーマコード(参考)】
5H031
5H040
【Fターム(参考)】
5H031AA09
5H040AA28
5H040AS07
5H040AT06
5H040AY05
5H040LL01
5H040NN01
5H040NN03
(57)【要約】
【課題】冷却器の損傷を低減可能な蓄電装置を提供する。
【解決手段】蓄電装置は、所定方向に並んだ複数の蓄電セルを含む蓄電スタックと、蓄電スタックが底壁部上に設置されることにより蓄電スタックを収容する収容ケースと、底壁部に対して蓄電スタックとは反対側に設けらた、蓄電スタックを冷却する冷却器と、蓄電装置の上面視において冷却器の下方に位置し、路面干渉等から冷却器を保護する保護パネルとを備える。冷却器は、各々が所定方向に延び、かつ、互いに対向する第1および第2のフランジ部を含む。底壁部は、第1の底壁部と、第1の底壁部に連続しかつ第1の底壁部から保護パネル側に突出した第2の底壁部とを含む。第2の底壁部は、蓄電装置の上面視において、第1のフランジ部と第2のフランジ部との間に位置する。第2の底壁部と保護パネルとの離間距離は、第1および第2のフランジ部と保護パネルとの離間距離よりも短い。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
蓄電装置であって、
予め定められた方向に並んだ複数の蓄電セルを含む蓄電スタックと、
底壁部を有し、かつ、前記蓄電スタックが前記底壁部上に設置されることにより、前記蓄電スタックを収容する収容ケースと、
前記底壁部に対して前記蓄電スタックとは反対側に設けられ、かつ前記蓄電スタックを冷却する冷却器と、
前記蓄電装置の上面視において前記冷却器の下方に位置し、かつ路面または前記路面上の障害物との干渉から前記冷却器を保護する保護パネルとを備え、
前記冷却器は、各々が前記予め定められた方向に延び、かつ、互いに対向する第1および第2のフランジ部を含み、
前記底壁部は、第1の底壁部と、前記第1の底壁部に連続し、かつ前記第1の底壁部から前記保護パネル側に突出した第2の底壁部とを含み、
前記第2の底壁部は、前記蓄電装置の上面視において、前記第1のフランジ部と前記第2のフランジ部との間に位置し、
前記第2の底壁部と前記保護パネルとの離間距離は、前記第1および第2のフランジ部と前記保護パネルとの離間距離よりも短い、蓄電装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、蓄電装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の蓄電装置として、特開2022-108141号公報(特許文献1)には、セルスタックと、セルスタックを冷却する冷却器とを備えた構成が開示されている。詳しくは、セルスタックは、第1の面と、第1の面の反対側に位置する第2の面とを有する。冷却器は、セルスタックの第2の面に対向する冷却面を有し、セルスタックを冷却する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2022-108141号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1では、路面または路面上の障害物との干渉により車両底部に衝撃が加わった場合、冷却器が損傷する虞がある。本開示は、上記の問題点に鑑みなされたものであって、その目的は、路面または路面上の障害物との干渉が生じた場合に、冷却器の損傷を低減することが可能な蓄電装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示に基づく蓄電装置は、予め定められた方向に並んだ複数の蓄電セルを含む蓄電スタックと、底壁部を有し、かつ、蓄電スタックが底壁部上に設置されることにより、蓄電スタックを収容する収容ケースと、底壁部に対して蓄電スタックとは反対側に設けられ、かつ蓄電スタックを冷却する冷却器と、蓄電装置の上面視において冷却器の下方に位置し、かつ路面または路面上の障害物との干渉から冷却器を保護する保護パネルとを備える。冷却器は、各々が予め定められた方向に延び、かつ、互いに対向する第1および第2のフランジ部を含む。底壁部は、第1の底壁部と、第1の底壁部に連続し、かつ第1の底壁部から保護パネル側に突出した第2の底壁部とを含む。第2の底壁部は、蓄電装置の上面視において、第1のフランジ部と第2のフランジ部との間に位置する。第2の底壁部と保護パネルとの離間距離は、第1および第2のフランジ部と保護パネルとの離間距離よりも短い。
【0006】
上記の構成によれば、路面または路面上の障害物との干渉により保護パネルが変形した場合、保護パネルは、第1および第2のフランジ部よりも保護パネルに近い底壁部に衝突する。それゆえ、路面または路面上の障害物との干渉による保護パネルの変形による衝撃力は、収容ケースに直接的に伝わる一方で、冷却器には間接的にしか伝わらない。したがって、蓄電装置によれば、路面または路面上の障害物との干渉が起きた場合に、冷却器が損傷することを抑制可能となる。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、路面または路面上の障害物との干渉が生じた場合に、冷却器の損傷を低減することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】蓄電装置の分解斜視図である。
図2図1のII-II線矢視断面図である。
図3】蓄電装置を搭載した車両が路面または前記路面上の障害物と干渉したことにより、シェアパネルが変形したときの状態を表した断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照しつつ、本開示の実施の形態について説明する。以下の説明では、同一の部材には同一の符号を付してある。それらの名称および機能も同じである。したがって、それらについての詳細な説明は繰り返さない。
【0010】
図1は、本実施の形態に係る蓄電装置の分解斜視図である。図1を参照して、本実施の形態に係る蓄電装置100について説明する。
【0011】
蓄電装置100は、モータとエンジンとの少なくとも一方の動力を用いて走行可能なハイブリッド車両、または、電気エネルギによって得られた駆動力で走行する電動車両に搭載される。
【0012】
蓄電装置100は、複数の蓄電スタック10と、収容ケース20と、冷却器30と、接着層40(図2参照)と、シェアパネル50と、複数の拘束部材70とを備える。シェアパネル50は、「保護パネル」とも称される。収容ケース20は、アッパーケース21とロアケース22とを含む。
【0013】
複数の蓄電スタック10の各々は、配列方向DR1に並んで配置される複数の蓄電セル11を含む。蓄電装置100を車両に搭載した搭載状態において、配列方向DR1は、たとえば、車両の左右方向と略平行となる。互いに隣り合う蓄電セル11の間には、スペーサ(図示せず)配置されている。
【0014】
複数の蓄電スタック10は、上記配列方向DR1と交差する交差方向DR2(より特定的には上記配列方向に直交する方向)に並んで配置されている。上記搭載状態において、上記交差方向DR2は、たとえば、車両の前後方向と略平行となる。
【0015】
複数の蓄電スタック10の各々は、接着層40(図2参照)によって収容ケース20(詳しくは、後述する底壁部23)に固定されている。なお、各蓄電スタック10は、ブラケットによって収容ケース20に固定されてもよい。
【0016】
蓄電セル11は、たとえば、ニッケル水素電池またはリチウムイオン電池等の二次電池である。単電池は、たとえば、角型形状を有する。二次電池は、液状の電解質を用いるものであってもよいし、固体状の電解質を用いるものであってもよい。また、蓄電セルは、蓄電可能に構成された単位キャパシタであってもよい。
【0017】
複数の拘束部材70の各々は、互いに異なる蓄電スタック10を配列方向DR1に押圧して蓄電スタック10を拘束する。各拘束部材70は、蓄電スタック10とロアケース22(詳しくは、後述する底壁部23の凹部243)との間において、配列方向DR1に延びている。
【0018】
収容ケース20は、複数の蓄電スタック10を内部に収容する。アッパーケース21は、下方に向けて開口する略箱形形状を有する。ロアケース22は、底壁部23を含み、上方に向けて開口する略箱形形状を有する。収容ケース20は、拘束部材70で拘束された蓄電スタック10が底壁部23上に設置されることにより、拘束された蓄電スタック10を収容する。
【0019】
底壁部23は、たとえば、載置部24と、一対の低壁部25と、一対の接続部26とを含む。載置部24は、蓄電スタック10が載置される載置面24aを有する。底壁部23は、載置部24が低壁部25よりも全体的に高い位置に位置するように設けられている。
【0020】
載置面24aは、区画部材27によって上記交差方向に複数に区画されている。当該区画部材27によって区画された複数の区画領域R1の各々に、蓄電スタック10が配置される。詳しくは、各区画領域R1において、載置面24aは、第1部分241と、第2部分242と、凹部243とを有する。
【0021】
第1部分241には、交差方向DR2における蓄電スタック10の一方側が載置される。第2部分242には、交差方向DR2における蓄電スタック10の他方側が載置される。凹部243は、第1部分241と第2部分242との間に設けられている。凹部243は、配列方向DR1において載置面24aの一端から他端にかけて連続するように設けられている。また、各区画領域R1において、上方から見た場合に、載置面24aを取り囲むように、低壁部25が設けられている。
【0022】
一対の低壁部25は、配列方向DR1における底壁部23の両端部に設けられている。低壁部25は、上記複数の蓄電スタック10が並ぶ方向(交差方向DR2)に沿って延在する。低壁部25は、上記載置面24aよりも高さが低い位置にある。なお、高さ方向は、アッパーケース21とロアケース22とが並ぶ方向に平行な方向であり、上下方向に相当する。
【0023】
一対の接続部26は、一対の低壁部25と載置部24とを接続する。一対の接続部26は、配列方向DR1の外側に向かうにつれて高さ位置が低くなるように湾曲している。
【0024】
冷却器30は、複数の蓄電スタック10を冷却するための機器である。冷却器30は、収容ケース20の外側に配置されている。具体的には、冷却器30は、ロアケース22の底壁部23の下方に配置されている。より具体的には、冷却器30は、底壁部23に対して、拘束された蓄電スタック10とは反対側に設けられ、かつ、蓄電スタック10を冷却する。冷却器30は、底壁部23とシェアパネル50との間に位置する。
【0025】
冷却器30は、アルミニウム等の金属材料によって構成されている。冷却器30は、複数の冷却部32と、保持枠部34とを含む。複数の冷却部32は、各区画領域R1において第1部分241と第2部分242とに対応するように設けられている。複数の冷却部32は、第1部分241と第2部分242とは反対側に位置する部分の裏面24bに、熱伝導層60(図2参照)を介して熱的に接触する。
【0026】
複数の冷却部32は、交差方向DR2と平行な方向に並んで配置されている。複数の冷却部32の各々は、底壁部23を挟んで蓄電スタック10と対向する位置に配置されている。冷却部32は、載置面24aが位置する側とは反対側に位置する載置部24の裏面24b(図2参照)に熱的接触するように配置される。これにより、冷却部32によって載置部24を効率良く冷却することができ、載置面24aに載置された蓄電スタック10を効率よく冷却することができる。
【0027】
なお、冷却部32には、蓄電スタック10を冷却するための冷却媒体(水等)が流れる冷却流路32a(図2参照)が形成されている。
【0028】
保持枠部34は、各冷却部32を保持している。保持枠部34は、複数の冷却部32を囲む環状に形成されている。本実施形態では、保持枠部34は、略矩形状に形成されている。各冷却部32は、配列方向DR1における両端部で保持枠部34に接続されている。
【0029】
シェアパネル50は、冷却器30を下方側から覆うように配置される。シェアパネル50は、冷却器30を保護する。詳しくは、シェアパネル50は、蓄電装置100の上面視において冷却器30の下方に位置し、かつ路面または路面上の障害物との干渉から冷却器30を保護する。シェアパネル50は、金属材料によって構成されている。
【0030】
図2は、図1のII-II線矢視断面図である。図2に示されるように、底壁部23(詳しくは、載置部24)は、第1部分241を有する底壁部(第1の底壁部)2410と、第2部分242を有する底壁部(第1の底壁部)2420と、2つの底壁部2410,2420に連続し、かつ底壁部2410,2420からシェアパネル50側に突出した底壁部(第2の底壁部)2430とを含む。底壁部2430は、凹部243を有する。
【0031】
拘束部材70は、蓄電スタック10と底壁部23との間において配列方向DR1(図1参照)に延びている。拘束部材70は、蓄電スタック10と底壁部2430との間に位置している。本例では、拘束部材70は、載置部24の凹部243の上方に位置している。拘束部材70は、底壁部2430から離間している。
【0032】
冷却器30には、配列方向DR1に延びた開口39が形成されている。開口39は、蓄電装置100の上面視において、拘束部材70の下方に位置する。冷却器30は、各々が配列方向DR1に延び、かつ、互いに対向するフランジ部321,322を有する。フランジ部321,322は、底壁部23に平行に延びている。底壁部2430は、フランジ部321とフランジ部322との間に位置する。
【0033】
底壁部2430は、蓄電装置100の上面視において、フランジ部321とフランジ部322との間に位置している。底壁部2430とシェアパネル50との離間距離h1は、フランジ部321,322とシェアパネル50との離間距離h2よりも短い。本例では、底壁部2430とシェアパネル50との離間距離は、冷却器30とシェアパネル50との離間距離よりも短い。
【0034】
図3は、蓄電装置100を搭載した車両が路面または路面上の障害物と干渉したことにより、シェアパネル50が変形したときの状態を表した断面図である。なお、図3は、図2と同様の位置での断面図である。
【0035】
図3に示されるように、本例では、路面干渉等によりシェアパネル50が矢印Aの方向(上方)に変形して、シェアパネル50が底壁部23の底壁部2430に衝突している。詳しくは、シェアパネル50が、底壁部2430の凹部243とは反対側の面(裏面24bの一部領域)に接触している。
【0036】
上述したように、本例では、底壁部2430は、蓄電装置100の上面視において、冷却器30のフランジ部321とフランジ部322との間に位置している。図2に示したように、底壁部2430とシェアパネル50との離間距離は、フランジ部321,322とシェアパネル50との離間距離よりも短い。
【0037】
このため、路面干渉等によりシェアパネル50が図3のように上方に変形した場合、シェアパネル50は、フランジ部321,322よりもシェアパネル50に近い底壁部2430に衝突する。それゆえ、路面干渉等によるシェアパネル50の変形による衝撃力は、収容ケース20に直接的に伝わる一方で、冷却器30には間接的にしか伝わらない。したがって、蓄電装置100によれば、路面干渉等が起きた場合に、冷却器30が損傷することを抑制可能となる。
【0038】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本開示の範囲は請求の範囲によって示され、請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0039】
10 蓄電スタック、11 蓄電セル、20 収容ケース、21 アッパーケース、22 ロアケース、23,2410,2420,2430 底壁部、24 載置部、24a 載置面、24b 裏面、25 低壁部、26 接続部、27 区画部材、30 冷却器、32 冷却部、32a 冷却流路、34 保持枠部、40 接着層、50 シェアパネル、60 熱伝導層、70 拘束部材、100 蓄電装置、241 第1部分、242 第2部分、243 凹部、321,322 フランジ部、DR1 配列方向、DR2 交差方向、R1 区画領域。
図1
図2
図3