(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024011444
(43)【公開日】2024-01-25
(54)【発明の名称】地盤改良機のツール変換治具
(51)【国際特許分類】
E21B 23/01 20060101AFI20240118BHJP
E21B 3/02 20060101ALI20240118BHJP
E21B 15/00 20060101ALI20240118BHJP
E21B 17/02 20060101ALI20240118BHJP
【FI】
E21B23/01
E21B3/02 Z
E21B15/00
E21B17/02
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022113410
(22)【出願日】2022-07-14
(71)【出願人】
【識別番号】000004617
【氏名又は名称】日本車輌製造株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100128358
【弁理士】
【氏名又は名称】木戸 良彦
(74)【代理人】
【識別番号】100086210
【弁理士】
【氏名又は名称】木戸 一彦
(72)【発明者】
【氏名】田中 克仁
(72)【発明者】
【氏名】白石 静香
【テーマコード(参考)】
2D129
【Fターム(参考)】
2D129AB21
2D129BA05
2D129EC12
2D129EC15
2D129EC31
(57)【要約】
【課題】簡単な構成で地盤改良用ツールから障害物撤去用ツールに変換することが可能な地盤改良機のツール変換治具を提供する。
【解決手段】ツール変換治具24は、上部側ロッドの雌側筒部に連結されるジョイント部24aと、ジョイント部24aの下部に設けられ、障害物撤去用ツールをボルト締結する取付部24bと、これらジョイント部24aと取付部24bとを一体に結合する本体部24cとを備える。また、本体部21cの下部に延長筒部24dを設ける。取付部24bは、回転軸周方向にボルト挿通孔24fが複数設けられ、これらボルト挿通孔24fに挿通した取付ボルトにより、取付部24bの下面に障害物撤去用ツールが取り付けられる。また、取付部24bの上面と本体部24cの外側面とに亘って、三角形状の補強部材24gが回転軸周方向に複数固設される。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
地盤改良機の回転駆動装置に装着されるロッドに着脱可能に設けられ、地盤改良作業を行う地盤改良用ツールから障害物撤去作業を行う障害物撤去用ツールに交換することが可能なツール変換治具であって、
前記ツール変換治具は、前記ロッドの下端連結部に回転軸と同軸に連結されるジョイント部と、前記障害物撤去用ツールがボルト締結される取付部と、前記ジョイント部及び前記取付部を一体に結合する本体部とからなり、
前記取付部は、前記障害物撤去用ツールが取り付けられる板面を有する板体からなり、回転軸周方向に複数設けられるボルト挿通孔を有していることを特徴とするツール変換治具。
【請求項2】
前記障害物撤去用ツールが取り付けられる板面の反対側の板面と前記本体部の外側面とに亘って、回転軸周方向に複数設けられる補強部材を有していることを特徴とする請求項1記載のツール変換治具。
【請求項3】
前記ジョイント部及び前記本体部は、回転軸方向に貫通する中空部が形成されていることを特徴とする請求項1又は2記載のツール変換治具。
【請求項4】
前記本体部の下部には、前記ロッドの下端連結部と共通する連結構造を備えた延長筒部が設けられていることを特徴とする請求項1又は2記載のツール変換治具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、地盤改良機のツール変換治具に関し、詳しくは、地盤改良用ツールを取り外した中空ロッドに、障害物撤去用ツールを取り付けるための地盤改良機のツール変換治具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、地盤改良機は、地盤改良作業中に地盤改良用ツール(掘削ヘッド)が転石や硬質地盤に当接すると、地盤改良機を一旦作業現場から撤退させ、障害物撤去機を作業現場まで移動させて転石や硬質地盤の撤去作業を行っていた。そこで、地盤改良用ツールの下部に削孔ビットを一体に設け、地盤改良機によって転石や硬質地盤の撤去を行うようにしたものが提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上述の特許文献1のものでは、地盤改良用ツールに削孔ビットを一体に設けることから、地盤改良用ツールの構成が大掛りになっていた。
【0005】
そこで本発明は、簡単な構成で地盤改良用ツールから障害物撤去用ツールに変換することが可能な地盤改良機のツール変換治具を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明の地盤改良機のツール変換治具は、地盤改良機の回転駆動装置に装着されるロッドに着脱可能に設けられ、地盤改良作業を行う地盤改良用ツールから障害物撤去作業を行う障害物撤去用ツールに交換することが可能なツール変換治具であって、前記ツール変換治具は、前記ロッドの下端連結部に回転軸と同軸に連結されるジョイント部と、前記障害物撤去用ツールがボルト締結される取付部と、前記ジョイント部及び前記取付部を一体に結合する本体部とからなり、前記取付部は、前記障害物撤去用ツールが取り付けられる板面を有する板体からなり、回転軸周方向に複数設けられるボルト挿通孔を有していることを特徴としている。
【0007】
また、前記障害物撤去用ツールが取り付けられる板面の反対側の板面と前記本体部の外側面とに亘って、回転軸周方向に複数設けられる補強部材を有していると好ましい。
【0008】
さらに、前記ジョイント部及び前記本体部は、回転軸方向に貫通する中空部が形成されていると好適である。加えて、前記本体部の下部には、前記ロッドの下端連結部と共通する連結構造を備えた延長筒部が設けられているとより好適である。
【発明の効果】
【0009】
本発明の地盤改良機のツール変換治具によれば、地盤改良用ツールから障害物撤去用ツールに変換することが可能となり、地盤改良機で障害物撤去作業も良好に行うことができ、作業効率の向上を図ることができる。また、回転軸と同軸に連結されるジョイント部によって中空ロッドとの連結も周知の連結構造が採用でき、簡便かつ力(トルク・推力)の伝達も良好なものである。さらに、ジョイント部及び取付部を一体に結合する本体部によって強度を高めることができる。
【0010】
また、障害物撤去用ツールが取り付けられる板面の反対側の板面と本体部の外側面とに亘って、回転軸周方向に複数設けられる補強部材を有しているので、本体部と板体とが強固に結合され、障害物撤去用ツールに付与する押し付け力を高めることができ、しかも、大径のツールに対応できるといった利点もある。さらに、ジョイント部及び本体部において回転軸方向に貫通する中空部が形成されているので、ツール変換治具を取り付けた状態のままで中空ロッドを継ぎ足すことが可能となり、加えて、延長筒部の構成と相俟って部品共通化も促進されることから、地盤改良機の種々の使用態様に適したツール変換治具が達成される。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明の一形態例を示すツール変換治具の斜視図である。
【
図2】中空ロッドに障害物撤去用ツールを接続した地盤改良機の要部側面図である。
【
図3】中空ロッドに地盤改良用ツールを接続した地盤改良機の側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
図3は、本発明のツール変換治具が用いられる地盤改良機11を示すもので、地盤改良機11は、クローラを備えた下部走行体12と、該下部走行体12上に旋回可能に設けられた上部旋回体13とで構成されたベースマシン14と、上部旋回体13の前部に立設したリーダ15と、該リーダ15を後方から支持するリーダ起伏シリンダ16と、前記リーダ15に昇降可能に設けられた回転駆動装置であるオーガ17と、該オーガ17に装着され回転トルクや推力が付与されるロッド(出力軸)として、例えば中空ロッド18とを備えている。また、中空ロッド18の上端には、図示は省略するが、注入ホースから地盤改良剤を導入するスイベルジョイントが設けられ、下端には、掘削刃19a及び撹拌翼19bを有する地盤改良用ツール(掘削ヘッド)20が装着されている。
【0013】
中空ロッド18は、内部に地盤改良剤の流路(中空部)を備え、上部側ロッド21と下部側ロッド22とを同軸に連結して、リーダ15よりも長尺に形成することが可能である。上部側ロッド21と下部側ロッド22とは、上部側ロッド21の下端部に設けた雌側筒部(下端連結部)と、下部側ロッド22の上端部に設けた雄側軸部(上端連結部)とを嵌合させ、雌側筒部と雄側軸部とに亘って、ロッド軸(回転軸)と直交する方向に2本の連結ピンを挿通して固定することにより連結される。また、リーダ15の下部には、下部側ロッド22を把持して、中空ロッド18の鉛直性を確保する振れ止め部材23が設けられている。
【0014】
このように形成された地盤改良機11では、地盤改良作業を行っている最中に、地盤改良用ツール20が転石や硬質地盤に当接すると、
図1及び
図2に示されるように、地盤改良用ツール20を地上に引き上げた後、中空ロッド18から地盤改良用ツール20を取外す。そして、ツール変換治具24を介して障害物撤去用ツール25に変換して、転石や硬質地盤を撤去するための障害物撤去作業が行われる。
【0015】
ツール変換治具24は、上部側ロッド21の雌側筒部21aに連結されるジョイント部24aと、ジョイント部24aの下部に設けられ、障害物撤去用ツール25をボルト締結する取付部24bと、これらジョイント部24aと取付部24bとを一体に結合する本体部24cとを備えている。また、本体部24cの下部には、延長筒部24dが設けられている。
【0016】
ジョイント部24aは、上部側ロッド21の雌側筒部21aに同軸に嵌合させる断面正六角形状の雄型に形成されている。また、ジョイント部24aには、前記上部側ロッド21の雌側筒部21aに亘って2本の連結ピン26,26を挿通させるためのピン挿通溝24e,24eが形成されている。
【0017】
取付部24bは、上部側ロッド21よりも大径で、上部側ロッド21と同軸に配される円板状、或いは円環板状(フランジ状)に形成され、ロッド軸周方向(回転軸周方向)にボルト挿通孔24fが、複数連続して設けられ、これらボルト挿通孔24fに挿通した取付ボルト27により、取付部24bの下面に障害物撤去用ツール25が取り付けられる。また、取付部24bの上面と本体部24cの外側面とに亘って、三角形状の補強部材24gがロッド軸周方向に複数固設されている。ボルト挿通孔24fと補強部材24gとは、ロッド軸周方向に等間隔にそれぞれ複数設けられるとともに、補強部材24gは、ボルト挿通孔24fよりも内周側に位置し、且つ、隣り合う2つのボルト挿通孔24f,24fの周方向中間位置にそれぞれ配置されている。
【0018】
本体部24cは、上部側ロッド21と同径に形成され、上部にジョイント部24aが、下部に取付部24bがそれぞれ設けられている。また、延長筒部24dは、上部側ロッド21の雌側筒部(下端連結部)21aと共通する連結構造として雌側筒部を備え、換言すると、上部側ロッド21と同径であって内部に雌型のジョイント部(図示せず)を備え、該ジョイント部に形成したピン挿通溝24iに挿通される連結ピン(図示せず)を介して継ぎ足し用の中空ロッドや、他の掘削ツールを接続可能にしている。
【0019】
さらに、ジョイント部24aと、取付部24bと、本体部24cと、延長筒部24dとには、回転軸方向に貫通する中空部24hが形成されている。中空部24hは、ツール変換治具24を上部側ロッド21に連結した際に、上部側ロッド21に設けられた地盤改良剤の流路(中空部)と連通する。
【0020】
障害物撤去用ツール25は、円筒状のケーシング25aの上部にフレックスカップリング25bが設けられ、下端部に削孔ビット25cが周方向に連続して設けられている。フレックスカップリング25bは、各ボルト挿通孔24fに挿通した取付ボルト27により取付部24bの下面にボルト締結され、これにより、障害物撤去用ツール25がツール変換治具24に取り付けられる。
【0021】
上述のように構成されたツール変換治具24で、地盤改良用ツール20から障害物撤去用ツール25に変換する際には、例えば、地盤改良用ツール20を下部側ロッド22と共に上部側ロッド21から取り外す。ツール変換治具24のジョイント部24aを、上部ロッド21の雌側筒部21aに嵌合させ、連結ピン26を挿入するなどの所定の手順で上部側ロッド21に連結させる。次いで、ツール変換治具24の取付部24bにフレックスカップリング25bを取付ボルト27でボルト締結することにより、ツール変換治具24を介して障害物撤去用ツール25が上部側ロッド21に連結される。このとき、上部側ロッド21は、振れ止め部材23で把持される。これにより、オーガ17を駆動することによって、障害物撤去用ツール25に回転トルクや推力が付与され、転石や硬質地盤を撤去することができる。
【0022】
このように本形態例では、ツール変換治具24を用いることにより、簡単な構成で地盤改良用ツール20から障害物撤去用ツール25に変換することが可能になり、作業効率の向上を図ることができる。
【0023】
また、ツール変換治具24は、回転軸と同軸に連結されるジョイント部24aによって上部側ロッド21との連結も周知の連結構造(嵌合構造)が採用でき、簡便かつ力(トルク・推力)の伝達も良好なものである。さらに、ジョイント部24a及び取付部24bを一体に結合する本体部24cによって強度を高めることができる。
【0024】
また、取付部24bの上面と本体部24cの外側面とに亘って、ロッド軸周方向に複数設けられる補強部材24gを有しているので、本体部24cと取付部24bとが強固に結合され、障害物撤去用ツール25に付与する押し付け力を高めることができ、しかも、大径のツールに対応できるといった利点もある。さらに、ジョイント部24aと、取付部24bと、本体部24cとに、回転軸方向に貫通する中空部24hが形成されているので、ツール変換治具24を取り付けた状態のままで中空ロッドを継ぎ足すことが可能となり、加えて、延長筒部24dの構成と相俟って部品共通化も促進されることから、地盤改良機11の種々の使用態様に適したツール変換治具24が達成される。
【0025】
なお、本発明は上述の形態例に限るものではなく、ツール変換治具は、延長筒部を備えていなくてもよく、一方、延長筒部を備える場合には本体部と素材から一体的に形成しても差し支えない。また、ジョイント部の形状は、連結される中空ロッドの連結部の形状に応じて適宜形成されればよく、本形態例のように断面正六角形状の雄型に形成されるものに限らない。さらに、地盤改良用ツールや障害物撤去用ツール、ロッドの仕様も任意である。
【符号の説明】
【0026】
11…地盤改良機、12…下部走行体、13…上部旋回体、14…ベースマシン、15…リーダ、16…リーダ起伏シリンダ、17…オーガ、18…中空ロッド、19a…掘削刃、19b…撹拌翼、20…地盤改良用ツール、21…上部側ロッド、21a…雌側筒部、22…下部側ロッド、23…振れ止め部材、24…ツール変換治具、24a…ジョイント部、24b…取付部、24c…本体部、24d…延長筒部、24e…ピン挿通溝、24f…ボルト挿通孔、24g…補強部材、24h…中空部、24i…ピン挿通溝、25…障害物撤去用ツール、25a…ケーシング、25b…フレックスカップリング、25c…掘削ビット、26…連結ピン、27…取付ボルト