(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024114449
(43)【公開日】2024-08-23
(54)【発明の名称】コンセント装置
(51)【国際特許分類】
H01R 13/11 20060101AFI20240816BHJP
H01R 13/66 20060101ALI20240816BHJP
【FI】
H01R13/11 302K
H01R13/66
【審査請求】未請求
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023020234
(22)【出願日】2023-02-13
(71)【出願人】
【識別番号】000124591
【氏名又は名称】河村電器産業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100078721
【弁理士】
【氏名又は名称】石田 喜樹
(74)【代理人】
【識別番号】100121142
【弁理士】
【氏名又は名称】上田 恭一
(74)【代理人】
【識別番号】100124420
【弁理士】
【氏名又は名称】園田 清隆
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 和記
(72)【発明者】
【氏名】下岡 達矢
【テーマコード(参考)】
5E021
【Fターム(参考)】
5E021FA03
5E021FA14
5E021FA16
5E021FB07
5E021FC16
5E021KA11
5E021MA04
5E021MA12
5E021MA19
(57)【要約】
【課題】プラグの栓刃と刃受け部との接触不良によって発生する発熱を検知するコンセント装置を提供する。
【解決手段】コンセント装置1は、ハウジング2内に、刃受け金具3,3と、コンセント装置1の制御を行う制御部10が設けられている制御盤4とを備えてなる。各刃受け金具3の上下には、プラグ5の栓刃5aを挟持する刃受け部6,6が設けられている。各刃受け金具3の後面には、板状の熱変形部材7が取り付けられている。熱変形部材7は、加熱によって湾曲するように変形する部材であって、バイメタルによって構成される。制御盤4の前面には、熱変形部材7の両端部が栓刃5aと刃受け部6との接触不良による異常発熱によって変形した際に押される位置にスイッチ8が設けられている。スイッチ8が押された際、制御部10へと信号が送られて、遮断機構及び警報機構が動作する。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンセント口を有するハウジング内に、前記コンセント口から挿入されたプラグの栓刃と電気的に接続される刃受け部を有する刃受け金具が設置されてなるコンセント装置であって、
前記刃受け金具には、加熱によって変形する熱変形部材が取り付けられているとともに、
前記ハウジング内に、前記熱変形部材の所定量以上の変形を検知する検知部と、前記刃受け金具に至る電路を遮断する遮断機構及び/又は警報動作する警報機構と、制御部とが設けられており、
前記制御部は、前記検知部により前記熱変形部材の変形を検知すると前記遮断機構及び/又は前記警報機構を動作させることを特徴とするコンセント装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は差し込まれたプラグを介して電気機器に電源を供給するコンセント装置に関し、特にプラグの栓刃と刃受け部との接触不良によって発生する発熱を検知する機能を備えたコンセント装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、挿入されたプラグの栓刃と刃受けバネとの接触不良によって発生する発熱で、バイメタルからなる熱変形部材が加熱され変形することで、電路を遮断する機能を備えたコンセント装置がある。例えば、特許文献1に記載のコンセント装置では、栓刃を挟持する一対の刃受けと、栓刃が刃受け構造に挿入された際に刃受けと接触する導電性のバイメタルからなる一対の熱変形部材と、熱変形部材に導通する電源供給部とを備えている。そして、接触不良によって栓刃と刃受けとの接触部において異常発熱が発生し熱変形部材が加熱された際に、熱変形部材が刃受けから離間するように変形して栓刃への回路が遮断されるように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記従来の刃受けと熱変形部材とを接触させる刃受け構造を持つコンセント装置では、外気温の上昇等の接触不良以外の要因で熱変形部材の温度が上がることで、常に刃受けと熱変形部材とが離間した状態になってしまい、接触不良が起きていない状態でも刃受け部に電流が導通しなくなる問題があった。
【0005】
そこで、本発明はこのような問題に鑑み、プラグの接触不良以外の要因で電路が遮断されず、安定した動作を行うコンセント装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、請求項1に記載の発明は、コンセント口を有するハウジング内に、コンセント口から挿入されたプラグの栓刃と電気的に接続される刃受け部を有する刃受け金具が設置されてなるコンセント装置であって、刃受け金具には、加熱によって変形する熱変形部材が取り付けられているとともに、ハウジング内に、熱変形部材の所定量以上の変形を検知する検知部と、刃受け金具に至る電路を遮断する遮断機構及び/又は警報動作する警報機構と、制御部とが設けられており、制御部は、検知部により熱変形部材の変形を検知すると遮断機構及び/又は警報機構を動作させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、コンセント装置は、栓刃と刃受け部との接触不良が起きた際に発生する異常発熱によって熱変形部材が所定量以上変形したことを検知部により検知することで、遮断機構及び警報機構が作動する構成である。よって、接触不良が発生したら刃受け金具への電源供給が遮断されるため、接触不良に伴う発熱によるコンセントの劣化、更には発火を防止できる。また、接触不良が発生したら、警報機構が報知動作するため、状況を認識し易い。更に、コンセント装置は、熱変形部材の所定量以上の変形を検知部によって検知する構成であるため、外気温上昇等の少ない温度上昇による熱変形部材の変形を検知することがない。よって、遮断機構及び警報機構が誤作動するおそれがない。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本発明に係るコンセント装置の外観を示す正面図である。
【
図2】コンセント装置の内部構造を示す正面図である。
【
図3】刃受け金具と制御盤との位置関係を示す斜視図である。
【
図4】刃受け金具と制御盤との位置関係を示す側面図である。
【
図5】
図4においてプラグが接続され接触不良が発生している状態を示す図である。
【
図6】コンセント装置の実施形態を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明を具体化した実施の形態を、図面を参照して詳細に説明する。
図1は、本発明に係るコンセント装置1の外観を示す正面図である。また、
図2は、コンセント装置1の内部構造を示す正面図である。また、
図3及び
図4は、刃受け金具3,3と制御盤4との位置関係を示す参考図であって、
図3は斜視図、
図4は側面図である。また、
図5は、
図4においてプラグ5が接続され接触不良が発生している状態を示す図である。
図6は、コンセント装置1の実施形態を示すブロック図である。
【0010】
コンセント装置1は、ハウジング2内に、上下方向へ長い金属片からなる二つの刃受け金具3,3と、コンセント装置1の制御を行う制御部10が設けられている制御盤4とを備えてなる。
各刃受け金具3の上下には、コンセント装置1へコンセント口9から挿入されるプラグ5の栓刃5aを挟持する刃受け部6,6が設けられている。また、刃受け金具3,3は、制御盤4よりも手前に配置されていると共に、左右に並べて設置されている。そして、各刃受け金具3の後面には、板状の熱変形部材7が取り付けられている。熱変形部材7は、刃受け部6からの熱が伝わるように刃受け金具3に沿って上下方向へ長い寸法を取り、中心部分が刃受け金具3に固定され取り付けられている。また、熱変形部材7は、加熱によって湾曲するように変形する部材であって、バイメタルによって構成される。
【0011】
制御盤4は、刃受け金具3,3よりも奥側に配置されている。また、制御盤4の前面には、熱変形部材7,7の両端部が加熱によって変形した際に押される位置に前方へ突出するスイッチ8が設けられている。また、制御盤4には、コンセント装置1の制御を行う制御部10が設けられている。更にハウジング2内には、制御部10によって制御される遮断機構11及び警報機構12が設けられている。
【0012】
スイッチ8は、物理的に押されて圧力がかかることでオンになる押しボタン式のスイッチであって、少なくとも一つのスイッチ8がオンになった際に制御部10へと信号を送る。そして、制御部10は、スイッチ8からの信号を受け取った際、遮断機構11を作動させてコンセント装置1に流れる電流を遮断する。同様にして、制御部10は、警報機構12を作動させて警報動作を行う。また、外気温の上昇等の接触不良による異常発熱よりも低い温度による加熱を要因とした熱変形部材7の変形によって、遮断機構11及び警報機構12が誤作動しないように、スイッチ8は、所定量以上の熱変形部材7の変形時のみにおいて、熱変形部材7の両端部に押される位置に配置される。所定量以上の変形とは、例えば60℃以上の加熱による熱変形部材7の変形時の変化量である。また、スイッチ8は、熱変形部材7からの圧力がなくなった際において、図示されないバネ機構によって初期位置に戻る。
【0013】
なお、遮断機構11は、ハウジング2内に設けられた電路を強制的にオフするための従来周知の機構部である。また、警報機構12は、例えばLEDとブザーとを備えて、制御部10による制御を受けてLEDを発光/点滅させると共にブザーを鳴動させて接触不良を報知する。
【0014】
以下、栓刃5aと刃受け部6との接触不良が発生した際におけるコンセント装置1の動作手順について説明する。
コンセント装置1にプラグ5が挿入され、栓刃5aと刃受け部6との接触不良が起きた際、栓刃5a及び刃受け部6が異常発熱を起こす。そして、刃受け部6から異常発熱による熱が伝わることによって熱変形部材7が加熱され変形し、熱変形部材7の両端部が刃受け部6から制御盤4の方向へ曲がる。そして、熱変形部材7の両端部によってスイッチ8が押されてオンされる。続いて、スイッチ8がオンされることで制御部10へ信号が送られて、制御部10は、遮断機構11が作動することで刃受け金具3,3に流れる電流が遮断される。同様にして、警報機構12が作動することで、接触不良が報知される。
【0015】
また、接触不良が解消される等して、熱変形部材7が変形した状態から通常時の状態へと戻ることで、熱変形部材7からスイッチ8への圧力がなくなり、スイッチ8が初期状態へと戻る。そして、再度コンセント装置1を通常使用可能となる。
【0016】
上述したようなコンセント装置1によれば、栓刃5aと刃受け部6との接触不良が起きた際に発生する異常発熱によってバイメタル製の熱変形部材7が変形し、スイッチ8が押されることで、遮断機構11及び警報機構12が作動する構成である。よって、接触不良が発生したら刃受け金具3,3への電源供給が遮断されるため、接触不良に伴う発熱によるコンセントの劣化、更には発火を防止できる。また、接触不良が発生したら、警報機構12が報知動作するため、状況を認識し易い。更に、コンセント装置1は、熱変形部材7の所定量以上の変形時に押される位置にスイッチ8が配置される構成である。したがって、外気温上昇等の少ない温度上昇による熱変形部材7の変形時には、スイッチ8が押される心配がなく、遮断機構11及び警報機構12が誤作動するおそれがない。また、熱変形部材7はバイメタル製であるため、冷やすことで再度使用が可能となっている。
【0017】
なお、本発明に係るコンセント装置は、上記実施形態の態様に何ら限定されるものではなく、コンセント装置の全体的な構成は勿論、プラグの接触不良の判定に係る構成等についても必要に応じて適宜変更することができる。
【0018】
例えば、上記実施形態では、接触不良を検知したら電路を遮断し、更にそれを報知する機能を備えているが、警報機構12のみで遮断機構11は無くても良いし、遮断機構11のみで警報機構12は無くても良い。警報機構12のみでも、接触不良が発生したらそれが報知されるため、発熱による劣化或いは発火する前にそれを認識でき、対策をとることができる。また、遮断機構11のみでも遮断すれば接続された負荷が停止するため、異常発生を認識でき必要な対策を講ずることができる。
また、熱変形部材7の変形を検知可能であれば、スイッチ8の個数、位置、及び構成は任意に変更可能である。例えば、実施例においてスイッチ8は、物理的に押されることで制御部10へ信号を送るスイッチであるが、押されることによるスイッチ8の移動によって、電路を直接的に遮断する構成を採用しても良い。また、スイッチ8に代えて赤外線センサ等によって熱変形部材7の変形及び変化量を遠隔で検知する構成を採用しても良い。
また、刃受け部6からの熱が伝わる構成であれば、熱変形部材7の形状及び位置は任意に変更可能である。例えば、刃受け金具3の側面に熱変形部材7を取り付けて、スイッチ8を側面側に配置する構成を採用しても良い。
また、実施例において熱変形部材7は、バイメタル製であるが加熱によって変形する部材であれば良い。例えば、バイメタル製ではなく、トリメタル製の熱変形部材を採用しても良い。
【符号の説明】
【0019】
1・・コンセント装置、2・・ハウジング、3・・刃受け金具、4・・制御盤、5・・プラグ、5a・・栓刃、6・・刃受け部、7・・熱変形部材、8・・スイッチ(検知部)、9・・コンセント口、10・・制御部、11・・遮断機構、12・・警報機構。