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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024114454
(43)【公開日】2024-08-23
(54)【発明の名称】蓄電モジュール
(51)【国際特許分類】
   H01M 50/50 20210101AFI20240816BHJP
   H01M 50/51 20210101ALI20240816BHJP
   H01M 50/211 20210101ALI20240816BHJP
   H01M 50/296 20210101ALI20240816BHJP
   H01M 50/271 20210101ALI20240816BHJP
   H01M 50/105 20210101ALI20240816BHJP
   H01M 50/121 20210101ALI20240816BHJP
   H01M 50/55 20210101ALI20240816BHJP
   H01M 50/178 20210101ALI20240816BHJP
   H01G 2/02 20060101ALI20240816BHJP
   H01G 11/10 20130101ALI20240816BHJP
【FI】
H01M50/50 101
H01M50/51
H01M50/211
H01M50/296
H01M50/271 B
H01M50/105
H01M50/121
H01M50/50 201Z
H01M50/55 301
H01M50/178
H01G2/02 101E
H01G11/10
【審査請求】有
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023020243
(22)【出願日】2023-02-13
(71)【出願人】
【識別番号】520184767
【氏名又は名称】プライムプラネットエナジー&ソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100117606
【弁理士】
【氏名又は名称】安部 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100121186
【弁理士】
【氏名又は名称】山根 広昭
(74)【代理人】
【識別番号】100130605
【弁理士】
【氏名又は名称】天野 浩治
(72)【発明者】
【氏名】内田 陽三
【テーマコード(参考)】
5E078
5H011
5H040
5H043
【Fターム(参考)】
5E078AA13
5E078AB01
5E078AB12
5E078JA06
5E078JA12
5E078KA02
5E078KA03
5E078KA04
5H011AA09
5H011BB04
5H011CC02
5H011EE04
5H011FF03
5H040AA01
5H040AA03
5H040AS07
5H040AT04
5H040AT06
5H040AY04
5H040AY05
5H040AY08
5H040DD03
5H040DD07
5H040JJ06
5H040NN03
5H043AA05
5H043AA13
5H043AA19
5H043BA15
5H043BA16
5H043BA19
5H043CA05
5H043CA08
5H043CA12
5H043DA09
5H043EA32
5H043FA04
5H043FA22
5H043HA09E
5H043HA11E
5H043JA15E
5H043LA22E
(57)【要約】
【課題】高電圧化された蓄電モジュールを軽量化する技術の提供。
【解決手段】ここで開示される蓄電モジュール100では、複数の蓄電デバイス1と、複数のバスバー110と、ケース120と、正極端子130および負極端子140と、を備えている。六面体形状のケース120は、第1面121aおよび開口121hを有するケース本体121と、開口121hを封口する封口板122と、を有している。ここで、ケース120内では、第1面121aと封口板122との間に、第1方向Pにおいて並べられた複数の蓄電デバイス1が挟み込まれている。また、正極端子130の正極内側導電部132にて、第1方向Pにおける一端の蓄電デバイス1が備える正極タブ22tと接続されている。負極端子140の負極内側導電部142にて、第1方向Pにおける他端の蓄電デバイス1が備える負極タブ24tと接続されている。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
蓄電モジュールであって、
正極タブおよび負極タブを備えるとともに、一対の幅広面を有する複数の蓄電デバイスであって、該幅広面を対向させて第1方向に並べられた複数の蓄電デバイスと、
前記第1方向において隣接する2つの蓄電デバイスを直列接続する複数のバスバーと、
前記複数の蓄電デバイスと前記複数のバスバーとをともに収容する六面体形状のケースであって、六面のうちの最も幅広な第1面および該第1面に対向する開口を有するケース本体と、該開口を封口する、該開口の形状に応じた形状の封口板と、を有するケースと、
前記ケース本体に取り付けられた正極端子および負極端子と、
を備え、
前記ケース内では、前記第1面と前記封口板との間に、前記第1方向において並べられた前記複数の蓄電デバイスが挟み込まれており、
前記正極端子は、
前記ケース本体の外側に配置される正極外側導電部と、該正極外側導電部から該ケース本体に設けられた第1取付孔を通って該ケース本体の内側に配置される正極内側導電部と、を有し、
該正極内側導電部にて、前記第1方向における一端の蓄電デバイスが備える前記正極タブと接続されており、
前記負極端子は、
前記ケース本体の外側に配置される負極外側導電部と、該負極外側導電部から該ケース本体に設けられた第2取付孔を通って該ケース本体の内側に配置される負極内側導電部と、を有し、
該負極内側導電部にて、前記第1方向における他端の蓄電デバイスが備える前記負極タブと接続されている、蓄電モジュール。
【請求項2】
前記ケースにおける前記第1面と前記封口板とに挟まれた側面のうちの一つの側面に、前記正極端子と前記負極端子との両方が設けられている、請求項1に記載の蓄電モジュール。
【請求項3】
前記複数の蓄電デバイスは、電極体と、該電極体を収容する樹脂フィルム製の外装体とを備えている、請求項1に記載の蓄電モジュール。
【請求項4】
前記封口板と前記第1面とのいずれか少なくとも一方は、前記ケース本体の内部に向かって張り出す張り出し部を有する、請求項1~3のいずれか一項に記載の蓄電モジュール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、蓄電モジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、多数のワークを前後方向に積層してなる積層体を、所定圧力で前後方向に圧縮して、圧力を維持したまま積層体を拘束するとともに、拘束状態にある積層体の圧力を開放して拘束を解除する拘束治具が開示されている。かかる拘束治具は、前方固定板および後方固定板と、前方移動板および後方移動板と、ボルトと、ロックナットと、シャフトと、楔孔と、楔と、スリットと、を備えている。前方固定板および後方固定板は、水平面を有する台座上に前後方向に対面して立設されている。前方移動板および後方移動板は、前後方向に対面しつつ、前方固定板と後方固定板との間にて前後方向に移動可能である。ボルトは、前方移動板の前面から前方に延長して、前方固定板を貫通する。ロックナットは、前方固定板と前方移動板との間にてボルトに螺合する。シャフトは、後方移動板の後面から後方に延長して、後方固定板を貫通する。楔孔は、後方固定板に穿設されているシャフトを貫通させるための孔を上下方向に横断しつつ、後方固定板の上面に開口する。楔は、下方を先端として、後方固定板の上方から楔孔に打ち込まれる。スリットは、記シャフトを上下に貫通しつつ前後に延長する。スリットの前端面は、楔との摩擦面であり、摩擦面と楔は、楔が所定の深さまで打ち込まれると、シャフトを前方に付勢して後方移動板を台座に対して所定の相対位置まで移動させるように形成されている。この文献には、かかる構成の拘束治具によれば、積層体を容易に圧縮して拘束し、容易にその拘束を解除できるようにできると記載されている。また、この文献には、多数の二次電池セルを強大な圧力で圧縮した状態で積層して、組電池(スタック)を製造する工程、スタックの検査工程等に適用可能であると記載されている。
【0003】
特許文献2で開示される充電方法では、正極、負極、セパレータ、およびリチウム塩を含む非水系電解質を電池容器内に収容し、厚さが12mm未満の扁平形状であり、エネルギー容量が30Wh以上であり、かつ、体積エネルギー密度が180Wh/l以上である非水系二次電池を充電する。この充電方法は、非水系二次電池の最大作動電圧範囲をV2~V1(V2>V1)とし、初期状態における最大作動電圧範囲で得られる放電容量をCとするとき、V1を基準として0.8C以下の容量範囲で充放電を行なうことを特徴とする。この文献には、かかる充電方法によって、二次電池のサイクル寿命を大きく延ばすことができると記載されている。
【0004】
特許文献3で開示される扁平角形電池では、金属板を加工して凹部の開口周囲にフランジを設けた半殻体に本体ケースが形成されている。また、極板群が凹部内に収容されている。また、金属製の蓋板が、フランジに周辺部を重ね合わせられて配設されるとともに、フランジと溶接により接合されている。さらに、この電池では、本体ケース及び/又は蓋板に、電池の厚さを減少させる方向に窪みが形成されている。この公報には、ケース内に収容した極板群の膨張や内圧の上昇が生じてケースに膨出方向の力が作用したとき、本体ケースより変形強度が低く形成された蓋板の窪みが外方に膨らむので、ケース全体の厚さに影響が及ばず、扁平角形電池を装填した機器に膨らみによる影響を与えることがないと記載されている。このため、かかる構成は、機器の薄型化の達成に寄与することができると記載されている。
【0005】
特許文献4では、電極体と、外装缶と、リードタブと、絶縁板と、絶縁蓋とを備える、非水電解質二次電池が開示されている。電極体は、正極電極および負極電極を含む。外装缶は、電極体の厚さ方向において電極体を挟んで対向して配置され、互いに接合されて電極体を収容する第1部材および第2部材を含む。リードタブは、正極電極および負極電極の一方と電気的に接続される。絶縁板は、厚さ方向において第1部材とリードタブとの間に位置する。絶縁蓋は、厚さ方向においてリードタブと第2部材との間に位置する。この文献には、かかる構成によると、薄型化しても、リードタブと外装缶との接触を防止できる非水電解質二次電池の構成を得ることができると記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2011-189960号公報
【特許文献2】特開2002-260743号公報
【特許文献3】特開2004-103368号公報
【特許文献4】特開2015-176779号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、本発明者は、高電圧化された蓄電モジュールを軽量化したいと考えている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
ここで開示される蓄電モジュールは、複数の蓄電デバイスと、複数のバスバーと、ケースと、正極端子および負極端子と、を備えている。複数の蓄電デバイスは、正極タブおよび負極タブを備えるとともに、一対の幅広面を有している。また、複数の蓄電デバイスは、幅広面を対向させて第1方向に並べられている。複数のバスバーは、第1方向において隣接する2つの蓄電デバイスを直列接続する。ケースは、複数の蓄電デバイスと複数のバスバーとをともに収容する六面体形状のケースである。また、ケースは、六面のうちの最も幅広な第1面および第1面に対向する開口を有するケース本体と、開口を封口する、開口の形状に応じた形状の封口板と、を有している。正極端子および負極端子は、ケース本体に取り付けられている。ここで、ケース内では、第1面と封口板との間に、第1方向において並べられた複数の蓄電デバイスが挟み込まれている。また、正極端子は、正極外側導電部と、正極内側導電部と、を有している。正極外側導電部は、ケース本体の外側に配置されている。正極内側導電部は、正極外側導電部からケース本体に設けられた第1取付孔を通って、ケース本体の内側に配置されている。正極内側導電部にて、第1方向における一端の蓄電デバイスが備える正極タブと接続されている。また、負極端子は、負極外側導電部と、負極内側導電部と、を有している。負極外側導電部は、ケース本体の外側に配置されている。負極内側導電部は、負極外側導電部からケース本体に設けられた第2取付孔を通って、ケース本体の内側に配置されている。負極内側導電部にて、第1方向における他端の蓄電デバイスが備える負極タブと接続されている。かかる構成の蓄電モジュールは、複数の蓄電デバイスが直列接続されることによって、高電圧化されている。また、上述の集電構造を有することによって、軽量化されている。
【0009】
ここで開示される蓄電モジュールの好ましい一態様では、ケースにおける第1面と封口板とに挟まれた側面のうちの一つの側面に、正極端子と負極端子との両方が設けられている。かかる構成によると、蓄電モジュールをより軽量化することができる。
【0010】
ここで開示される蓄電モジュールの好ましい他の一態様では、複数の蓄電デバイスは、電極体と、該電極体を収容する樹脂フィルム製の外装体とを備えている。かかる構成によると、蓄電モジュールの軽量化効果をより高めることができる。
【0011】
ここで開示される蓄電モジュールの好ましい他の一態様では、封口板と第1面とのいずれか少なくとも一方は、ケース本体の内部に向かって張り出す張り出し部を有する。かかる構成によると、蓄電モジュールの軽量化効果をより一層高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1図1は、蓄電モジュール100の斜視図である。
図2図2は、図1のII-II断面図である。
図3図3は、複数の蓄電デバイス1の斜視図である。
図4図4は、蓄電デバイス1の斜視図である。
図5図5は、電極体20の模式図である。
図6図6は、図3の部分拡大図である
図7図7は、図3の部分拡大図である
図8図8は、正極端子130の斜視図である。
図9図9は、負極端子140の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、ここで開示される技術の一実施形態を説明する。ここで説明される実施形態は、特にここで開示される技術を限定することを意図したものではない。ここで開示される技術は、特に言及されない限りにおいて、ここで説明される実施形態に限定されない。図面は模式的に描かれており、必ずしも実物を反映していない。また、同一の作用を奏する部材・部位には、適宜に同一の符号を付し、重複する説明を省略する。また、数値範囲を示す「A~B」の表記は、特に言及されない限りにおいて「A以上B以下」を意味するとともに、「Aを上回り、かつ、Bを下回る」の意味をも包含する。
【0014】
本明細書において、「蓄電デバイス」とは、電解質を介して一対の電極(正極および負極)の間で電荷担体が移動することによって充放電反応が生じるデバイスをいう。かかる蓄電デバイスは、リチウムイオン二次電池、ニッケル水素電池、ニッケルカドミウム電池等の二次電池;リチウムイオンキャパシタ、電気二重層キャパシタ等のキャパシタ;を包含する。以下では、上述した蓄電デバイスとしてリチウムイオン二次電池を備える蓄電モジュールを対象とした場合の実施形態について説明する。
【0015】
図1は、蓄電モジュール100の斜視図である。図2は、図1のII-II断面図である。図2には、ケース120の第3面121dに沿う断面図が示されている。図3は、複数の蓄電デバイス1の斜視図である。図3には、第1方向Pに沿って幅広面1aを対向させつつ並べられた複数の蓄電デバイス1が示されている。なお、後述のとおり、蓄電デバイス1は外装体10を備えているが(図4参照)、説明の便宜上、図3に示された複数の蓄電デバイス1に関しては、外装体10の図示を省略している(図6および図7についても同じ)。図4は、蓄電デバイス1の斜視図である。図4には、1つの蓄電デバイス1が示されている。また、図4に示された蓄電デバイス1には、第1バスバー111と第2バスバー112とが取り付けられている。
【0016】
<蓄電モジュール100>
ここで開示される技術によると、蓄電モジュール100が提供される。蓄電モジュール100は、図1図3に示されているように、複数の蓄電デバイス1と、複数のバスバー110と、ケース120と、正極端子130と、負極端子140と、正極集電部材150と、負極集電部材160と、絶縁部材170と、を備えている。
【0017】
-蓄電デバイス1-
図1図3に示された形態では、蓄電デバイス1は、扁平形状であり、一対の対向する幅広面1aを有している。また、蓄電モジュール100において、複数の蓄電デバイス1は、幅広面1aを対向させて第1方向Pに並べられている。図1および図2に示されているように、第1方向Pにおいて並べられた複数の蓄電デバイス1は、ケース120内において、第1面121aと封口板122との間に挟み込まれている。ここでは、蓄電デバイス1の幅広面1aは、第1面121aと封口板122とに対向している。なお、図2に示された形態では、5個の蓄電デバイス1がケース120内に収容されている。しかし、蓄電デバイス1の数は限定されず、例えば、蓄電モジュール100に所望する電圧、出力、容量等によって適宜変更されうる。
【0018】
図3に示されているように、第1方向Pにおいて並べられた隣接する2つの蓄電デバイス1では、同方向において、一方の蓄電デバイス1の正極タブ群25と他方の蓄電デバイス1の負極タブ群27とが隣接している。後述のとおり、一方の蓄電デバイス1の正極タブ群25と他方の蓄電デバイス1の負極タブ群27とには、バスバー110が架渡され、隣接する2つの蓄電デバイス1は、直列接続される。
【0019】
図2および図4に示されているように、蓄電デバイス1は、外装体10と電極体20と電解液(図示なし)とを有している。外装体10は、例えば、電極体20と電解液とを収容する部材である。この実施形態では、外装体10は、樹脂フィルムからなる。例えば、樹脂フィルムを袋状に成型し、かかる袋状の樹脂フィルムの内部に電極体20と電解液とを収容して開放部分を熱溶着することによって、密閉状態の外装体10とすることができる。図2に示された形態では、少なくとも正極タブ群25と負極タブ群27とは、外装体10の内部に収容されている。熱溶着前の外装体10には、ここでは、正極タブ群25と第1バスバー111とが接合され、負極タブ群27と第2バスバー112とが接合された状態の電極体20が収容される。この際、第1バスバー111と第2バスバー112とがともに外装体10の開放部分に配置されるとよい。蓄電デバイス1の密閉性の観点から、正極タブ群25と第1バスバー111との接合部と、負極タブ群27と第2バスバー112との接合部とは、外装体10の内部に収容されることが好ましい。なお、熱溶着手段としては、特に限定されず、従来公知の熱溶着装置を用いることができる。
【0020】
樹脂フィルムの材料としては、例えば、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)等のポリオレフィン;ポリエチレンテレフタレート(PET)等のポリエステル;等が挙げられる。特に限定するものではないが、ポリプロピレンとポリエチレンテレフタレートとの二層構造を有する樹脂フィルムが好ましく用いられうる。蓄電デバイス1において、電極体20を収容する外装体10を樹脂フィルム製とすることによって、一つ一つの蓄電デバイス1を軽量化することができ、延いては、蓄電モジュール100全体を軽量化することができる。また、蓄電モジュール100の製造コストを低下させることができる。また、ケース120による蓄電デバイス1への拘束効果を高めることができる。さらに、外装体10に金属成分が含まれないため、絶縁性を高め、蓄電モジュール100の使用における安全性を高めることができる。なお、外装体10の構成材料は、ここで説明したものに限定されない。他の実施形態において、かかる構成材料は、ラミネートフィルムであってもよい。
【0021】
図5は、電極体20の模式図である。電極体20は、例えば、正極と負極とを有する、蓄電デバイス1の発電要素である。図5に示されているように、電極体20は、長尺なシート状の正極22と長尺なシート状の負極24とがセパレータ23を介在させつつ、シート長手方向LDに捲回された、捲回電極体である。電極体20は、例えば、正極22と負極24とセパレータ23とを捲回して筒状体とし、かかる筒状体をプレス成形することによって作製されうる。この実施形態では、電極体20は、扁平形状である。図2図5に示されているように、電極体20は、捲回軸方向WDと蓄電デバイス1の上下方向とが略平行になるように、外装体10に収容されている。また、電極体20の捲回軸WLは、ケース120の第1面121aと第3面121d,121eと封口板122と略平行になり、かつ、第2面121b,121cと略垂直である(図1および図5参照)。
【0022】
この実施形態では、電極体20は、一対の対向する平坦面20aと、一対の対向する第1端面20bおよび第2端面20cと、を有している。この実施形態では、平坦面20aは、電極体20を構成する面のうち、最も面積が大きい矩形状の幅広面である(図2および図5参照)。また、第1端面20bと第2端面20cとは、一方の平坦面20aと他方の平坦面20aとの間にある側面のうちの2つの面であって、平坦面20aの一対の対向する長辺から延びた面である。また、電極体20の平坦面20aは、第1面121aと封口板122とに対向している。また、第1端面20bは第2面121bと対向しており、第2端面20cは第2面121cと対向している。第1端面20bと第2端面20cとは、ここでは、正極22と負極24とセパレータ23との積層面であり、開放面である。
【0023】
図5に示されているように、正極22は、長尺な帯状の正極集電箔22c(例えばアルミニウム箔)と、正極集電箔22cの少なくとも一方の表面上に固着された正極活物質層22aとを有する。特に限定するものではないが、正極22の捲回軸方向WDにおける一方の側縁部には、必要に応じて、保護層22pが設けられていてもよい。なお、正極活物質層22aの構成材料と保護層22pの構成材料としては、この種の蓄電デバイス(この実施形態では、リチウムイオン二次電池)において用いられるものが特に制限なく用いられてよい。
【0024】
正極集電箔22cの捲回軸方向WDの一方の端部(図5の上端部)には、複数の正極タブ22tが設けられている。複数の正極タブ22tは、捲回軸方向WDの一方の端部(図5の上端部)に向かって突出している。複数の正極タブ22tは、正極22の長手方向LDに沿って間隔を置いて(間欠的に)設けられている。正極タブ22tは、正極集電箔22cの一部であり、正極集電箔22cの正極活物質層22aが形成されていない部分(活物質層未形成部)である。図5に示された実施形態では、正極タブ22tの基端側には、保護層22pが設けられている。この実施形態では、複数の正極タブ22tは、セパレータ23よりも捲回軸方向WDに突出している。複数の正極タブ22tは捲回軸方向WDの一方の端部(図5の上端部)で積層され、正極タブ群25を構成する(図2参照)。このため、各々の正極タブ22tの高さ(捲回軸方向WDにおける長さ)と、各々の正極タブ22tの幅(長手方向LDにおける長さ)とは、同じでなくてもよい。図2に示されているように、正極タブ群25には、第1バスバー111が接合される。
【0025】
図5に示されているように、負極24は、長尺な帯状の負極集電箔24c(例えば銅箔)と、負極集電箔24cの少なくとも一方の表面上に固着された負極活物質層24aとを有する。なお、負極活物質層24aの構成材料としては、この種の蓄電デバイス(この実施形態では、リチウムイオン二次電池)において用いられるものが特に制限なく用いられてよい。
【0026】
負極集電箔24cの捲回軸方向WDの一方の端部(図5の上端部)には、複数の負極タブ24tが設けられている。複数の負極タブ24tは、捲回軸方向WDの一方の端部(図5の上端部)に向かって突出している。複数の負極タブ24tは、負極24の長手方向LDに沿って間隔を置いて(間欠的に)設けられている。負極タブ24tは、負極集電箔24cの一部であり、負極集電箔24cの負極活物質層24aが形成されていない部分(活物質層未形成部)である。この実施形態では、複数の負極タブ24tは、セパレータ23よりも捲回軸方向WDに突出している。例えば、複数の負極タブ24tは捲回軸方向WDの一方の端部(図5の上端部)で積層され、負極タブ群27を構成する(図2参照)。このため、各々の負極タブ24tの高さ(捲回軸方向WDにおける長さ)と、各々の負極タブ24tの幅(長手方向LDにおける長さ)とは、同じでなくてもよい。図2に示されているように、負極タブ群27には、第2バスバー112が接合される。
【0027】
セパレータ23は、正極22の正極活物質層22aと、負極24の負極活物質層24aと、を絶縁する部材である。セパレータ23は、この実施形態では、電極体20の外表面を構成している。セパレータ23としては、例えば、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)等のポリオレフィン樹脂からなる樹脂製の多孔性シートが用いられる。
【0028】
図5に示されているように、電極体20では、セパレータ23の下端P3が最も下側であり、次いで負極24の下端P2があり、正極22の下端P1が最も上側にある。各シートの幅(図5では、捲回軸方向WDにおける長さ。ただし、正極タブ22tおよび負極タブ24tを除く。)は、セパレータ23、負極24、正極22の順に大きい。
【0029】
電解液は、例えば、電解質塩と、非水溶媒とを含んでいる。電解質塩としては、例えば、LiPF等が挙げられる。電解液における電解質塩の濃度は、例えば、0.7mol/L~1.3mol/Lである。非水溶媒は、例えば、カーボネート類であるとよい。カーボネート類としては、例えば、エチレンカーボネート(EC)、ジエチルカーボネート(DEC)、ジメチルカーボネート(DMC)、エチルメチルカーボネート(EMC)、モノフルオロエチレンカーボネート(MFEC)、ジフルオロエチレンカーボネート(DFEC)、モノフルオロメチルジフルオロメチルカーボネート(F-DMC)、トリフルオロジメチルカーボネート(TFDMC)等が挙げられる。これらは単独で、または、2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0030】
図6および図7は、図3の部分拡大図である。図6には、図3における正極タブ群25と第1バスバー111と正極集電部材150との接続構造が模式的に示されている。図7には、図3における負極タブ群27と第2バスバー112と負極集電部材160との接続構造が模式的に示されている。
【0031】
-バスバー110-
バスバー110は、例えば、第1方向Pにおいて隣接する2つの蓄電デバイス1を直列接続する部材である。図3図6、および図7に示された形態では、バスバー110は、第1バスバー111と、第2バスバー112とを有している。この実施形態では、第1バスバー111と第2バスバー112とが相互に接合されて、バスバー110となっている。第1バスバー111と第2バスバー112とは、例えば、超音波接合されるとよい。また、第1バスバー111は、正極タブ群25または正極集電部材150に接合されている。第1バスバー111は、例えば、アルミニウムまたはアルミニウム合金で構成されているとよい。第2バスバー112は、ここでは、負極タブ群27または負極集電部材160に接合されている。第2バスバー112は、例えば、銅または銅合金で構成されているとよい。第1バスバー111と正極タブ群25とを接合する手段、ならびに、第2バスバー112と負極タブ群27とを接合する手段としては、特に限定されず、例えば、超音波接合、レーザ溶接、抵抗溶接等の従来公知の接合手段を採用することができる。上述した構成を有するバスバー110を用いることによって、例えば、蓄電デバイス1どうしの直列接続構造をよりコンパクトにすることができ、延いては、ケース120内部の省スペース化に寄与しうる。また、従来では、1つの電極体を含む蓄電デバイスどうしを直列接続する場合、内部端子と、外部端子と、バスバーとの少なくとも3つの部品が必要となる。一方、上述の構成では、バスバー110一つでの直列接続ができる。このため、最低限の部品で蓄電デバイス1どうしを直列接続することができ、延いては、抵抗を低減することができる。
【0032】
この実施形態では、第1バスバー111は、L字形状であり、第1接続部111aと第2接続部111bとを有している。第1接続部111aは、ここでは、平板状であり、正極タブ群25と接合されている。また、第2接続部111bは、第2バスバー112または正極集電部材150と接合されている。この実施形態では、第2バスバー112は、L字形状であり、第1接続部112aと第2接続部112bとを有している。第1接続部112aは、ここでは、平板状であり、負極タブ群27と接合されている。また、第2接続部112bは、第1バスバー111または負極集電部材160と接合されている。
【0033】
-ケース120-
ケース120は、例えば、複数の蓄電デバイス1と複数のバスバー110とをともに収容する六面体形状(直方体形状)の部材である。図1に示されているように、ケース120は、ケース本体121と、封口板122とを備えている。ケース本体121は、例えば、複数の蓄電デバイス1と複数のバスバー110とを内部に収容する、ケース120の本体である。ケース120は、図1および図2に示されているように、開口121hと、第1面121aと、一対の対向する第2面121b,121cと、一対の対向する第3面121d,121eと、を有している。この実施形態では、第1面121aは、ケース120における六面のうちの最も幅広な矩形状の面であり、開口121hに対向している。また、一対の第2面121b,121cは、第1面121aの一対の対向する長辺から延びている。図1に示されているように、下側の第2面121cは、ケース120の底面を構成する。また、上側の第2面121bは、この底面に対向する上面であり、電極端子の取付面である。また、一対の第3面121d,121eは第1面121aの一対の対向する短辺から延びている。なお、本明細書において、「矩形状」とは、直線状の長辺と短辺とが曲線を介して互いに接合している形状、長辺および短辺の少なくとも一方が直線状ではなく、湾曲したり、凹凸になっていたり、屈曲して複数の直線あるいは曲線から構成されている形状、等を包含する。
【0034】
開口121hは、例えば、封口板122が装着される部位である。ここでは、開口121hは、一対の第2面121b,121cの上縁と、一対の第3面121d,121eの上縁とで囲まれることによって形成されており、幅広な矩形状である。図2に示されているように、開口121hには、内縁に沿って凹んだ段差121sが設けられている。ここでは、段差121sに、封口板122が嵌め込まれている。また、段差121sに封口板122が接合(例えば、溶接)されることによって、ケース本体121と封口板122とが一体化され、ケース120が気密に封止される。
【0035】
図2に示された形態では、第1面121aは、縁部123と張り出し部124とを有している。縁部123は、例えば、第1面121aの周縁に沿って設けられた部位である。張り出し部124は、例えば、第1面121aの縁部123からケース本体121の内部に向かって張り出した部位である。張り出し部124の形状に関しては、後述する封口板122に設けられた張り出し部127と同様であるため、ここでの説明を省略する。第1面121aが張り出し部124を有することによって、ケース120に蓄電デバイス1を収容することで、蓄電デバイス1の幅広面1aに拘束圧を付与することができる。このため、蓄電デバイス1を拘束するための他の部材を別途用意する必要がなくなる。
【0036】
図1に示されているように、第2面121bには、排出弁125と、第1取付孔128と、第2取付孔129と(図2参照)、が設けられている。排出弁125は、例えば、薄肉部である。ここでは、排出弁125は、ケース120内の圧力が所定値以上になったときに破断して、ケース120内のガスを外部に排出するように構成されている。第1取付孔128は、例えば、正極端子130が挿通される貫通孔である。第2取付孔129は、例えば、負極端子140が挿通される貫通孔である。
【0037】
封口板122は、例えば、開口121hを封口する平板状の部材である。このため、封口板122の形状は、開口121hの形状に応じた形状であるとよい。この実施形態では、封口板122は、幅広な矩形状である。ここでは、封口板122が開口121hに取り付けられると、封口板122は、第1面121aに対向する。この実施形態では、封口板122は、段差121sの底に対置される(図2参照)。
【0038】
図1および図2に示された形態では、封口板122は、縁部126と張り出し部127とを有している。縁部126は、例えば、封口板122の周縁に沿って設けられた部位である。張り出し部127は、ここでは、封口板122の縁部126からケース本体121の内部に向かって張り出した部位である。例えば、張り出し部127は、一対の対向する短側壁127aと、一対の対向する長側壁127bと、平坦面127cとを有している。図1に示されているように、短側壁127aは、封口板122の一対の対向する短辺に沿って、縁部126からケース本体121の内側に向かって張り出している。また、長側壁127bは、封口板122の一対の対向する長辺に沿って、縁部126からケース本体121の内側に向かって張り出している。平坦面127cは、ここでは、一対の対向する短側壁127aの先端と、一対の対向する長側壁127bの先端とで囲まれている。図1および図2に示された形態では、平坦面127cは、例えば、蓄電デバイス1の幅広面1aと対向する。封口板122が張り出し部127を有することによって、ケース120に蓄電デバイス1を収容することで、蓄電デバイス1の幅広面1aに拘束圧を付与することができる。このため、蓄電デバイス1を拘束するための他の部材を別途用意する必要がなくなる。蓄電デバイス1に効率よく押圧力を付与する観点から、幅広面1aの面積を1としたときに、平坦面127cの面積は、例えば0.7以上、好ましくは0.8以上、より好ましくは0.9以上であり、特に限定するものではないが、1.3以下であってもよく、1.2以下であってもよく、1.1以下であってもよい。なお、この実施形態では、第1面121aと封口板122との両方に張り出し部(張り出し部124または張り出し部127)が設けられているが、他の実施形態では、第1面121aにのみ、あるいは、封口板122にのみ、かかる部位が設けられてもよい。
【0039】
図1に示された形態では、ケース120における第1面121aと封口板122とに挟まれた側面(ここでは、第2面121b,121cおよび第3面121d,121e)のうちの1つの側面(ここでは、第2面121b)に正極端子130と負極端子140との両方が設けられている。これによって、蓄電モジュール100によりシンプルな集電構造を実現することができる。このため、蓄電モジュール100の軽量化をより実現しやすくすることができる。
【0040】
-正極端子130-
図8は、正極端子130の斜視図である。正極端子130は、例えば、他の蓄電モジュール、装置等と電気的に接続されるとともに、直列接続されたケース120内の複数の蓄電デバイス1の正極と電気的に接続される部材である。正極端子130は、例えば、アルミニウムまたはアルミニウム合金で構成されるとよい。
【0041】
図8に示されているように、正極端子130は、第1導電部131と、第2導電部132とを有している。なお、第1導電部131は、「正極外側導電部」の一例であり、本明細書における「第1導電部131」の記載を、必要に応じて「正極外側導電部131」と読み替えてもよい。また、第2導電部132は、「正極内側導電部」の一例であり、本明細書における「第2導電部132」の記載を、必要に応じて「正極内側導電部132」と読み替えてもよい。
【0042】
第1導電部131は、例えば、ケース本体121の外側に配置される部位である。図1に示された形態では、第1導電部131は、矩形平板状であり、第2面121bに沿って配置されている。また、第1導電部131は、第2面121bの長辺方向における右側に寄せて配置されている。第1導電部131は、例えば、蓄電モジュール100と他の蓄電モジュール100、装置等との接続に用いられる。
【0043】
第2導電部132は、第1導電部131から第1取付孔128を通って、ケース本体121の内側に配置される部位である。また、第2導電部132は、第1方向Pにおける一端の蓄電デバイス1(ここでは、図2において最も手前の蓄電デバイス1)が備える正極タブ22t(ここでは、正極タブ群25)と接続される。
【0044】
この実施形態では、第2導電部132は、L字形状の部位である。図8に示されているように、第2導電部132は、挿通部位132aと延伸部位132bとを有している。挿通部位132aは、ここでは、第1取付孔128に挿通される部位である。図8に示されているように、挿通部位132aは、平板状であり、第1導電部131の外縁から略垂直(90度±10度)に延びている。延伸部位132bは、例えば、第1方向Pにおける一端の蓄電デバイス1(ここでは、図2において最も手前の蓄電デバイス1)が備える正極タブ22t(ここでは、正極タブ群25)と接続される部位である。延伸部位132bと正極タブ群25とは、この実施形態では、正極集電部材150との接合を介して接続されている(図6参照)。延伸部位132bと正極集電部材150とは、例えば、超音波接合、レーザ溶接、抵抗溶接等の従来公知の手段によって接合されている。延伸部位132bは、ここでは、ケース本体121の内側で、第2面121bに沿って延びている。図8に示されているように、延伸部位132bは、平板状であり、挿通部位132aから略垂直であり、かつ、第1導電部131と重ならない方向(図8では、第1導電部131と反対方向)に延びている。
【0045】
-負極端子140-
図9は、負極端子140の斜視図である。負極端子140は、例えば、他の蓄電モジュール、装置等と電気的に接続されるとともに、直列接続されたケース120内の複数の蓄電デバイス1の負極と電気的に接続される部材である。負極端子140は、例えば、銅または銅合金で構成されるとよい。
【0046】
図9に示されているように、負極端子140は、第1導電部141と、第2導電部142とを有している。なお、第1導電部141は、「負極外側導電部」の一例であり、本明細書における「第1導電部141」の記載を、必要に応じて「負極外側導電部141」と読み替えてもよい。また、第2導電部142は、「負極内側導電部」の一例であり、本明細書における「第2導電部142」の記載を、必要に応じて「負極内側導電部142」と読み替えてもよい。
【0047】
第1導電部141は、例えば、ケース本体121の外側に配置される部位である。図1に示された形態では、第1導電部141は、矩形平板状であり、第2面121bに沿って配置されている。また、第1導電部141は、第2面121bの長辺方向における左側に寄せて配置されている。第1導電部141は、例えば、蓄電モジュール100と他の蓄電モジュール100、装置等との接続に用いられる。
【0048】
第2導電部142は、第1導電部141から第2取付孔129を通って、ケース本体121の内側に配置される部位である。また、第2導電部142は、第1方向Pにおける他端の蓄電デバイス1(ここでは、図2において最も後ろの蓄電デバイス1)が備える負極タブ24t(ここでは、負極タブ群27)と接続される。
【0049】
この実施形態では、第2導電部142は、L字形状の部位である。図9に示されているように、第2導電部142は、挿通部位142aと延伸部位142bとを有している。挿通部位142aは、ここでは、第2取付孔129に挿通される部位である。図9に示されているように、挿通部位142aは、平板状であり、第1導電部141の外縁から略垂直に延びている。延伸部位142bは、例えば、第1方向Pにおける一端の蓄電デバイス1(ここでは、図2において最も後ろの蓄電デバイス1)が備える負極タブ24t(ここでは、負極タブ群27)と接続される部位である。延伸部位142bと負極タブ群27とは、この実施形態では、負極集電部材160との接合を介して接続されている(図2および図7参照)。延伸部位142bと負極集電部材160とは、例えば、超音波接合、レーザ溶接、抵抗溶接等の従来公知の手段によって接合されている。延伸部位142bは、ここでは、ケース本体121の内側で、第2面121bに沿って延びている。図9に示されているように、延伸部位142bは、平板状であり、挿通部位142aから略垂直であり、かつ、第1導電部141と重ならない方向(図9では、第1導電部141と反対方向)に延びている。
【0050】
上記のとおり、正極端子130と負極端子140とは、ほぼ同じ形状を有している。ただし、図8および図9に示されているように、加えて図1を参照すると、正極端子130における第1導電部131に対する挿通部位132aの取り付け方と、負極端子140における第1導電部141に対する挿通部位142aの取り付け方とは、異なっている。この実施形態では、正極端子130では、第1導電部131の手前の長辺における左側から挿通部位132aが延びている。また、負極端子140では、第1導電部141の手前の長辺における右側から挿通部位142aが延びている。
【0051】
-正極集電部材150-
正極集電部材150は、例えば、正極タブ群25と正極端子130とを電気的に接続する部材である。図6に示されているように、正極集電部材150は、ベース部151と立設部152とを有している。ベース部151は、例えば、第1バスバー111と接合される部位である。この実施形態では、ベース部151は、平板状であり、第1バスバー111の第2接続部111bの正極タブ群25側の面に沿って配置されている。また、立設部152は、例えば、正極端子130の延伸部位132bと接合される部位である。この実施形態では、立設部152は、平板状であり、ベース部151の外縁から略垂直に立設している。この実施形態では、立設部152の上端に延伸部位132bの先端が接続される。正極集電部材150は、例えば、アルミニウムまたはアルミニウム合金で構成される。
【0052】
-負極集電部材160-
負極集電部材160は、例えば、負極タブ群27と負極端子140とを電気的に接続する部材である。図7に示されているように、負極集電部材160は、第1ベース部161と、第2ベース部162と、立設部163と、を有している。第1ベース部161は、例えば、第2バスバー112と接合される部位である。この実施形態では、第1ベース部161は、平板状であり、第2バスバー112の第2接続部112bの負極タブ群27側の面に沿って配置されている。第2ベース部162は、例えば、第1ベース部161から延びた部位である。この実施形態では、第2ベース部162は、平板状であり、第1ベース部161から、最も後ろの蓄電デバイス1から最も手前の蓄電デバイス1まで、第1方向Pに並べられた複数の蓄電デバイス1の上面に沿って延びている。立設部163は、例えば、負極端子の延伸部位142bと接合される部位である。この実施形態では、立設部163は、平板状であり、第2ベース部162の先端の外縁から略垂直に立設している。図2に示されているように、立設部163の上端に延伸部位142bの先端が接続される。負極集電部材160は、例えば、銅または銅合金で構成される。
【0053】
-絶縁部材170-
絶縁部材170は、例えば、ケース本体121と電極端子とを絶縁する部材である。ここでは、絶縁部材170は、ケース本体121の外側において、正極端子130の第1導電部141と第2面121bとの間、ならびに、負極端子140の第1導電部141と第2面121bとの間に、配置されている。また、絶縁部材170は、正極端子130の挿通部位132aと第1取付孔128との間、ならびに、負極端子140の挿通部位142aと第2取付孔129との間に、配置されている。また、絶縁部材170は、ケース本体121の内側において、正極端子130の延伸部位132bの一部と第2面121bとの間、ならびに、負極端子140の延伸部位142bの一部と第2面121bとの間に、配置されている。絶縁部材170は、1つの部材で構成されていてもよく、複数の部材が組み合わされて構成されてもよい。絶縁部材170は、この種の用途で用いられる樹脂材料で構成された絶縁部材が用いられうる。
【0054】
蓄電モジュール100は、種々の用途に用いられるものであるが、なかでも、乗用車、トラック等の車両に搭載されるモータ用の動力源(駆動用電源)として好ましく用いられうる。車両の種類は特に限定されないが、好適例として、例えば、プラグインハイブリッド自動車(PHEV)、ハイブリッド自動車(HEV)、電気自動車(BEV)等が挙げられる。
【0055】
上述したとおり、蓄電モジュール100は、複数の蓄電デバイス1と、複数のバスバー110と、ケース120と、正極端子130および負極端子140と、を備えている。複数の蓄電デバイス1は、正極タブ22tおよび負極タブ24tを備えるとともに、一対の幅広面1aを有している。また、複数の蓄電デバイス1は、幅広面1aを対向させて第1方向Pに並べられている。複数のバスバー110は、第1方向Pにおいて隣接する2つの蓄電デバイス1を直列接続する。ケース120は、複数の蓄電デバイス1と複数のバスバー110とをともに収容する六面体形状のケースである。また、ケース120は、六面のうちの最も幅広な第1面121aおよび第1面121aに対向する開口121hを有するケース本体121と、開口121hを封口する、開口121hの形状に応じた形状の封口板122と、を有している。正極端子130および負極端子140は、ケース本体121に取り付けられている。ここで、ケース120内では、第1面121aと封口板122との間に、第1方向Pにおいて並べられた複数の蓄電デバイス1が挟み込まれている。また、正極端子130は、正極外側導電部131(第1導電部131)と、正極内側導電部132(第2導電部)と、を有している。正極外側導電部131は、ケース本体121の外側に配置されている。正極内側導電部132は、正極外側導電部131からケース本体121に設けられた第1取付孔128を通って、ケース本体121の内側に配置されている。正極内側導電部132にて、第1方向Pにおける一端の蓄電デバイス1(図2では、最も手前の蓄電デバイス1)が備える正極タブ22tと接続されている。また、負極端子140は、負極外側導電部141(第1導電部141)と、負極内側導電部142(第2導電部142)と、を有している。負極外側導電部141は、ケース本体121の外側に配置されている。負極内側導電部142は、負極外側導電部141からケース本体121に設けられた第2取付孔129を通って、ケース本体121の内側に配置されている。負極内側導電部142にて、第1方向Pにおける他端の蓄電デバイス1(図2では、最も後ろの蓄電デバイス1)が備える負極タブ24tと接続されている。
【0056】
蓄電モジュール100では、複数の蓄電デバイス1が直列接続されているため、高電圧化されている。また、複数の蓄電デバイス1を直列接続した状態でケース120に収容しているため、蓄電デバイス1の外装構造を簡素なものとすることができる。このため、高電圧化された蓄電モジュール100を軽量化することができる。さらに、ケース120の内部で最小の部品点数で蓄電デバイス1どうしを直列接続することができるため、抵抗を低減することができる。
【0057】
以上のとおり、ここで開示される技術の具体的な態様として、以下の各項に記載のものが挙げられる。
項1:
蓄電モジュールであって、
正極タブおよび負極タブを備えるとともに、一対の幅広面を有する複数の蓄電デバイスであって、該幅広面を対向させて第1方向に並べられた複数の蓄電デバイスと、
前記第1方向において隣接する2つの蓄電デバイスを直列接続する複数のバスバーと、
前記複数の蓄電デバイスと前記複数のバスバーとをともに収容する六面体形状のケースであって、六面のうちの最も幅広な第1面および該第1面に対向する開口を有するケース本体と、該開口を封口する、該開口の形状に応じた形状の封口板と、を有するケースと、
前記ケース本体に取り付けられた正極端子および負極端子と、
を備え、
前記ケース内では、前記第1面と前記封口板との間に、前記第1方向において並べられた前記複数の蓄電デバイスが挟み込まれており、
前記正極端子は、
前記ケース本体の外側に配置される正極外側導電部と、該正極外側導電部から該ケース本体に設けられた第1取付孔を通って該ケース本体の内側に配置される正極内側導電部と、を有し、
該正極内側導電部にて、前記第1方向における一端の蓄電デバイスが備える前記正極タブと接続されており、
前記負極端子は、
前記ケース本体の外側に配置される負極外側導電部と、該負極外側導電部から該ケース本体に設けられた第2取付孔を通って該ケース本体の内側に配置される負極内側導電部と、を有し、
該負極内側導電部にて、前記第1方向における他端の蓄電デバイスが備える前記負極タブと接続されている、蓄電モジュール。
項2:
前記ケースにおける前記第1面と前記封口板とに挟まれた側面のうちの一つの側面に、前記正極端子と前記負極端子との両方が設けられている、項1に記載の蓄電モジュール。
項3:
前記複数の蓄電デバイスは、電極体と、該電極体を収容する樹脂フィルム製の外装体とを備えている、項1または2に記載の蓄電モジュール。
項4:
前記封口板と前記第1面とのいずれか少なくとも一方は、前記ケース本体の内部に向かって張り出す張り出し部を有する、項1~3のいずれか一項に記載の蓄電モジュール。
【0058】
以上、ここで開示される技術の実施形態について説明したが、ここで開示される技術を上記実施形態に限定することを意図したものではない。ここで開示される技術は、他の実施形態においても実施されうる。特許請求の範囲に記載の技術には、上記に例示した実施形態を様々に変形、変更したものが含まれる。例えば、上記した実施形態の一部を他の変形態様に置き換えることも可能であり、上記した実施形態に他の変形態様を追加することも可能である。また、その技術的特徴が必須なものとして説明されていなければ、適宜削除することも可能である。
【符号の説明】
【0059】
1 蓄電デバイス
1a 幅広面
25 正極タブ群
27 負極タブ群
100 蓄電モジュール
110 バスバー
120 ケース
130 正極端子
140 負極端子
150 正極集電部材
160 負極集電部材
170 絶縁部材
P 第1方向

図1
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図9