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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024114458
(43)【公開日】2024-08-23
(54)【発明の名称】圧力センサ、及び圧力検出システム
(51)【国際特許分類】
   G01L 5/00 20060101AFI20240816BHJP
【FI】
G01L5/00 101Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023020249
(22)【出願日】2023-02-13
(71)【出願人】
【識別番号】502356528
【氏名又は名称】株式会社ジャパンディスプレイ
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】芳賀 祐太
【テーマコード(参考)】
2F051
【Fターム(参考)】
2F051AB07
2F051BA07
(57)【要約】
【課題】簡易な方法で補正データを取得できる圧力センサを提供する。
【解決手段】圧力センサは、複数の検出電極、センサ層、共通電極、複数の信号線、複数のスイッチ素子、複数のゲート線、個別検出領域毎に配置された複数の補正用回路、及び補正用回路を駆動させる補正用ゲート線を備える。信号線から出力される電流値は入力される圧力の大きさに比例する。補正用回路は、一端が共通電極に接続し、他端が信号線に接続し、検出電極及びスイッチ素子と並列接続される第1配線及び第2配線を有する。第1配線は、第1抵抗値の第1抵抗部品と、第1配線用スイッチ素子と、を有する。第2配線は、第1抵抗値よりも大きい第2抵抗値の第2抵抗部品と、第2配線用スイッチ素子と、を有する。補正用ゲート線は、第1配線用スイッチ素子を制御する第1補正用ゲート線と、第2配線用スイッチ素子を制御する第2補正用ゲート線と、を有する。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
個別検出領域毎に配置された複数の検出電極と、
複数の前記検出電極と対向するセンサ層と、
圧力の入力時、前記センサ層を介して前記検出電極に電流を流す共通電極と、
前記検出電極と接続し、前記検出電極に流れた電流を外部に出力する複数の信号線と、
前記信号線と前記検出電極との接続を開閉する複数のスイッチ素子と、
前記スイッチ素子の開閉を制御する複数のゲート線と、
前記個別検出領域毎に配置された複数の補正用回路と、
前記補正用回路を駆動させる補正用ゲート線と、
を備え、
前記信号線から出力される電流値は、前記個別検出領域に入力される圧力の大きさに比例し、
前記補正用回路は、一端が前記共通電極に接続し、他端が前記信号線に接続し、前記検出電極及び前記スイッチ素子と並列接続される第1配線及び第2配線を有し、
前記第1配線は、
第1抵抗値の第1抵抗部品と、
前記第1配線を開閉する第1配線用スイッチ素子と、
を有し、
前記第2配線は、
前記第1抵抗値よりも大きい第2抵抗値の第2抵抗部品と、
前記第2配線を開閉する第2配線用スイッチ素子と、
を有し、
前記補正用ゲート線は、
前記第1配線用スイッチ素子を制御する第1補正用ゲート線と、
前記第2配線用スイッチ素子を制御する第2補正用ゲート線と、
を有している
圧力センサ。
【請求項2】
個別検出領域毎に配置された複数の検出電極と、
複数の前記検出電極と対向するセンサ層と、
圧力の入力時、前記センサ層を介して前記検出電極に電流を流す共通電極と、
前記検出電極と接続し、前記検出電極に流れた電流を受け取る複数の信号線と、
前記信号線と前記検出電極との接続を開閉する複数のスイッチ素子と、
前記スイッチ素子の開閉を制御する複数のゲート線と、
前記個別検出領域の外部である被検出領域に配置された複数の補正用回路と、
前記補正用回路を駆動させる補正用ゲート線と、
前記補正用回路からの信号を出力する補正用信号線と、
を備え、
前記信号線から出力される電流値は、前記個別検出領域に入力される圧力の大きさに比例し、
複数の前記検出電極は、前記信号線が延在する第1方向と、前記第1方向に交差する第2方向と、に配列し、
前記補正用回路は、前記第2方向に配列する複数の前記検出電極に対し、1つずつ設けられ、
前記補正用回路は、一端が前記第2方向に配列する複数の前記検出電極と共通する前記共通電極に接続し、他端が前記補正用信号線と接続する、第1配線及び第2配線を有し、
前記第1配線は、
第1抵抗値の第1抵抗部品と、
前記第1配線を開閉する第1配線用スイッチ素子と、
を有し、
前記第2配線は、
前記第1抵抗値よりも大きい第2抵抗値の第2抵抗部品と、
前記第2配線を開閉する第2配線用スイッチ素子と、
を有し、
前記補正用ゲート線は、
前記第1配線用スイッチ素子を制御する第1補正用ゲート線と、
前記第2配線用スイッチ素子を制御する第2補正用ゲート線と、
を有している
圧力センサ。
【請求項3】
個別検出領域毎に配置された複数の検出電極と、
複数の前記検出電極と対向するセンサ層と、
圧力の入力時、前記センサ層を介して前記検出電極に電流を流す共通電極と、
前記検出電極と接続し、前記検出電極に流れた電流を受け取る複数の信号線と、
前記信号線と前記検出電極との接続を開閉する複数のスイッチ素子と、
前記スイッチ素子の開閉を制御する複数のゲート線と、
前記個別検出領域の外部である被検出領域に配置された複数の補正用回路と、
前記補正用回路を駆動させる補正用ゲート線と、
を備え、
前記信号線から出力される電流値は、前記個別検出領域に入力される圧力の大きさに比例し、
複数の前記検出電極は、前記信号線が延在する第1方向と、前記第1方向に交差する第2方向と、に配列し、
前記補正用回路は、前記第1方向に配列する複数の前記検出電極に対し、1つずつ設けられ、
前記補正用回路は、一端が前記共通電極に接続し、他端が前記第1方向に配列する複数の前記検出電極と共通する前記信号線と接続する、第1配線及び第2配線を有し、
前記補正用回路は、他端が前記信号線と接続する第1配線及び第2配線を有し、
前記第1配線は、
第1抵抗値の第1抵抗部品と、
前記第1配線を開閉する第1配線用スイッチ素子と、
を有し、
前記第2配線は、
前記第1抵抗値よりも大きい第2抵抗値の第2抵抗部品と、
前記第2配線を開閉する第2配線用スイッチ素子と、
を有し、
前記補正用ゲート線は、
前記第1配線用スイッチ素子を制御する第1補正用ゲート線と、
前記第2配線用スイッチ素子を制御する第2補正用ゲート線と、
を有している
圧力センサ。
【請求項4】
請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の圧力センサと、
前記圧力センサの信号線の出力結果から圧力値を算出する制御装置と、
を有し、
前記制御装置は、
前記第1配線用スイッチ素子が閉じた場合の第1出力値と、前記第2配線用スイッチ素子が閉じた場合の第2出力値とから、個別検出領域における出力値特性直線を算出し、
前記出力値特性直線が所望の出力値を示す補正ターゲット直線と一致するための補正係数を算出し、
前記補正係数を用いて出力値を補正する
圧力検出システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、圧力センサ、及び圧力検出システムに関する。
【背景技術】
【0002】
圧力検出システムは、圧力が入力される圧力センサと、圧力センサから出力された出力値から圧力値を算出する制御装置と、を備えている。また、下記特許文献の圧力センサは、複数の検出電極が設けられたアレイ基板と、検出電極に対向する共通電極と、検出電極と共通電極との間に挟まれたセンサ層と、を備えている。圧力センサに圧力が入力されると、共通電極及びセンサ層がアレイ基板に向かって変形する。そして、センサ層が検出電極と接触すると、センサ層を介して、共通電極から検出電極に電流が流れる。また、センサ層は、絶縁性の樹脂の内部に導電性粒子が分散している。樹脂が変形すると、導電性粒子同士が接触し、センサ層の抵抗値が低くなる。樹脂の変形量が大きくなると、互いに接触する導電性粒子の数が増加し、センサ層の抵抗値の低減量も大きくなる。よって、圧力センサに入力された圧力が大きくなると、検出電極に流れる電流値も大きくなる。以上から、圧力センサは、検出電極毎に圧力を検出することができる。言い換えると、圧力センサの検出領域は、複数の個別検出領域に区分けされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2018-146489号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、例えばTFT(Thin Film Transistor)などのスイッチ素子毎の特性は、個別検出領域毎に異なる場合がある。また、検出電極で検出された検出信号(電流)が制御装置に送られるまでの経路、つまり、アナログ・フロント・エンド(以下、AFEと称する)の経路毎に、特性のバラつきがある場合がある。このような理由から、複数の個別検出領域に入力された圧力が同じ大きさであっても、制御装置が受け取る出力値が異なる場合がある。このため、制御装置では、個別検出領域毎の出力値が補正される。
【0005】
一方で、個別検出領域の補正データを取得するため、個別検出領域に一様な圧力を加え、個別検出領域の出力値を取得する必要がある。ここで、各個別検出領域に一様な圧力を加える方法として、検出領域の全域と当接可能な治具を準備し、この治具を検出領域に押し付ける方法が挙げられる。しかしながら、検出領域を構成する検出面に微小な凹凸や歪みがある場合、治具を押し付けても各個別検出領域に一様な圧力が作用しない。以上から、検出面に一様な圧力を加える以外の方法であって、かつ簡易な方法で補正データを取得できることが望まれている。
【0006】
本発明は、簡易な方法で補正データを取得できる圧力センサ及び圧力検出システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の第1態様に係る圧力センサは、個別検出領域毎に配置された複数の検出電極と、複数の前記検出電極と対向するセンサ層と、圧力の入力時、前記センサ層を介して前記検出電極に電流を流す共通電極と、前記検出電極と接続し、前記検出電極に流れた電流を外部に出力する複数の信号線と、前記信号線と前記検出電極との接続を開閉する複数のスイッチ素子と、前記スイッチ素子の開閉を制御する複数のゲート線と、前記個別検出領域毎に配置された複数の補正用回路と、前記補正用回路を駆動させる補正用ゲート線と、を備える。前記信号線から出力される電流値は、前記個別検出領域に入力される圧力の大きさに比例している。前記補正用回路は、一端が前記共通電極に接続し、他端が前記信号線に接続し、前記検出電極及び前記スイッチ素子と並列接続される第1配線及び第2配線を有している。前記第1配線は、第1抵抗値の第1抵抗部品と、前記第1配線を開閉する第1配線用スイッチ素子と、を有している。前記第2配線は、前記第1抵抗値よりも大きい第2抵抗値の第2抵抗部品と、前記第2配線を開閉する第2配線用スイッチ素子と、を有している。前記補正用ゲート線は、前記第1配線用スイッチ素子を制御する第1補正用ゲート線と、前記第2配線用スイッチ素子を制御する第2補正用ゲート線と、を有している。
【0008】
本開示の第2態様に係る圧力センサは、個別検出領域毎に配置された複数の検出電極と、複数の前記検出電極と対向するセンサ層と、圧力の入力時、前記センサ層を介して前記検出電極に電流を流す共通電極と、前記検出電極と接続し、前記検出電極に流れた電流を受け取る複数の信号線と、前記信号線と前記検出電極との接続を開閉する複数のスイッチ素子と、前記スイッチ素子の開閉を制御する複数のゲート線と、前記個別検出領域の外部である被検出領域に配置された複数の補正用回路と、前記補正用回路を駆動させる補正用ゲート線と、前記補正用回路からの信号を出力する補正用信号線と、を備える。前記信号線から出力される電流値は、前記個別検出領域に入力される圧力の大きさに比例している。複数の前記検出電極は、前記信号線が延在する第1方向と、前記第1方向に交差する第2方向と、に配列している。前記補正用回路は、前記第2方向に配列する複数の前記検出電極に対し、1つずつ設けられている。前記補正用回路は、一端が前記第2方向に配列する複数の前記検出電極と共通する前記共通電極に接続し、他端が前記補正用信号線と接続する、第1配線及び第2配線を有している。前記第1配線は、第1抵抗値の第1抵抗部品と、前記第1配線を開閉する第1配線用スイッチ素子と、を有している。前記第2配線は、前記第1抵抗値よりも大きい第2抵抗値の第2抵抗部品と、前記第2配線を開閉する第2配線用スイッチ素子と、を有している。前記補正用ゲート線は、前記第1配線用スイッチ素子を制御する第1補正用ゲート線と、前記第2配線用スイッチ素子を制御する第2補正用ゲート線と、を有している。
【0009】
本開示の第3態様に係る圧力センサは、個別検出領域毎に配置された複数の検出電極と、複数の前記検出電極と対向するセンサ層と、圧力の入力時、前記センサ層を介して前記検出電極に電流を流す共通電極と、前記検出電極と接続し、前記検出電極に流れた電流を受け取る複数の信号線と、前記信号線と前記検出電極との接続を開閉する複数のスイッチ素子と、前記スイッチ素子の開閉を制御する複数のゲート線と、前記個別検出領域の外部である被検出領域に配置された複数の補正用回路と、前記補正用回路を駆動させる補正用ゲート線と、を備える。前記信号線から出力される電流値は、前記個別検出領域に入力される圧力の大きさに比例している。複数の前記検出電極は、前記信号線が延在する第1方向と、前記第1方向に交差する第2方向と、に配列している。前記補正用回路は、前記第1方向に配列する複数の前記検出電極に対し、1つずつ設けられている。前記補正用回路は、一端が前記共通電極に接続し、他端が前記第1方向に配列する複数の前記検出電極と共通する前記信号線と接続する、第1配線及び第2配線を有している。前記補正用回路は、他端が前記信号線と接続する第1配線及び第2配線を有している。前記第1配線は、第1抵抗値の第1抵抗部品と、前記第1配線を開閉する第1配線用スイッチ素子と、を有している。前記第2配線は、前記第1抵抗値よりも大きい第2抵抗値の第2抵抗部品と、前記第2配線を開閉する第2配線用スイッチ素子と、を有している。前記補正用ゲート線は、前記第1配線用スイッチ素子を制御する第1補正用ゲート線と、前記第2配線用スイッチ素子を制御する第2補正用ゲート線と、を有している。
【0010】
本開示の一態様に係る圧力検出システムは、前記した圧力センサと、前記圧力センサの信号線の出力結果から圧力値を算出する制御装置と、を有している。前記制御装置は、前記第1配線用スイッチ素子が閉じた場合の第1出力値と、前記第2配線用スイッチ素子が閉じた場合の第2出力値とから、個別検出領域における出力値特性直線を算出している。前記出力値特性直線が所望の出力値を示す補正ターゲット直線と一致するための補正係数を算出している。前記補正係数を用いて出力値を補正する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1図1は、実施形態1に係る圧力検出システムを模式的に示す斜視図である。
図2図2は、図1に示すII-II線で切った断面を矢印方向から視た断面図である。
図3図3は、実施形態1の圧力センサの回路構成を示す回路図である。
図4図4は、実施形態1の圧力センサの検出面に圧力が入力された状態を示す図である。
図5図5は、圧力センサ(個別検出領域)に作用した圧力値と信号線から出力された出力値(電流値)との関係を示す図(グラフ)である。
図6図6は、センサ層の抵抗値の低減量と信号線から出力された出力値(電流値)との関係を示す図(グラフ)である。
図7図7は、実施形態1における補正データの算出処理のフローを示す図である。
図8図8は、補正データの算出方法の第1工程で得られた出力値と抵抗値の低減量との関係を示す図(グラフ)である。
図9図9は、センサ層の抵抗値の低減量と信号線から出力された出力値(電流値)との関係を示す図(グラフ)であり、出力値特性直線を補正ターゲット直線に重ねることを説明するためのイメージ図である。
図10図10は、制御装置の記憶部に記憶される補正係数A、Bを示す図である。
図11図11は、実施形態1の圧力値の算出処理のフローを示す図である。
図12図12は、実施形態2に係る圧力値の算出処理のフローを示す図である。
図13図13は、実施形態3の圧力センサの回路構成を示す回路図である。
図14図14は、実施形態4の圧力センサの回路構成を示す回路図である。
図15図15は、変形例1の圧力センサの断面を示す断面図である。
図16図16は、変形例2の圧力センサの断面を示す断面図である。
図17図17は、変形例2の圧力センサにおいて圧力が入力された場合の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本開示の圧力センサを実施するための形態(実施形態)につき、図面を参照しつつ詳細に説明する。以下の実施形態に記載した内容により本開示の発明が限定されるものではない。また、以下に記載した構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のものが含まれる。さらに、以下に記載した構成要素は適宜組み合わせることが可能である。なお、開示はあくまで一例にすぎず、当業者において、発明の主旨を保っての適宜変更について容易に想到し得るものについては、当然に本発明の範囲に含有されるものである。図面は説明をより明確にするため、実際の態様に比べ、各部の幅、厚さ、形状等について模式的に表される場合があるが、あくまで一例であって、本発明の解釈を限定するものではない。また、本明細書と各図において、既出の図に関して前述したものと同様の構成要素には、同一の符号を付し、詳細な説明を適宜省略することがある。
【0013】
また、本明細書及び特許請求の範囲において、ある構造体の上に他の構造体を配置する態様を表現するにあたり、単に「上に」と表記する場合、特に断りの無い限りは、ある構造体に接するように、直上に他の構造体を配置する場合と、ある構造体の上方に、さらに別の構造体を介して他の構造体を配置する場合との両方を含むものとする。
【0014】
(実施形態1)
図1は、実施形態1に係る圧力検出システムを模式的に示す斜視図である。図1に示すように、圧力検出システム100は、圧力センサ1と、制御装置101と、を備えている。圧力センサ1は、平板状に形成されており、圧力を検出する検出面1aを有している。検出面1aの法線方向から視て、圧力センサ1は、長方形状(矩形状)に形成されている。圧力センサ1の検出面1aは、圧力を検出可能な検出領域2と、検出領域2の外側を囲む周辺領域3と、に区分けされる。また、検出領域2は、複数の個別検出領域4に区分けされている。なお、図1においては、検出領域2と周辺領域3との境界線を見やすくするため、仮想線Lを引いている。
【0015】
複数の個別検出領域4は、第1方向Dxと第2方向Dyに配列している。第1方向Dxは、検出面1aと平行な方向である。第2方向Dyは、検出面1aと平行であり、かつ第1方向Dxと交差する方向である。なお、本実施形態において、第1方向Dxは、圧力センサ1の長辺と平行な方向である。また、第2方向Dyは、圧力センサ1の短辺と平行な方向である。つまり、第1方向Dxと第2方向Dyとは、互いに直交している。また、検出面1aの法線方向は、第1方向Dxと第2方向Dyとのそれぞれに直交する方向であり、第3方向Dzを称する場合がある。
【0016】
図2は、図1に示すII-II線で切った断面を矢印方向から視た断面図である。図2に示すように、圧力センサ1は、基板5と、回路形成層10と、検出電極20と、共通電極30と、センサ層60と、保護層70と、を備えている。
【0017】
基板5は、絶縁性を有する板材である。基板5には、例えば、ガラス基板、樹脂基板、又は樹脂フィルム等が用いられる。基板5は、回路形成層10と一体化してアレイ基板6を成す。以下の説明において、上側とは、第3方向Dzの一方向であり、基板5から視て、回路形成層10が配置されている方を指す。
【0018】
回路形成層10のうち検出領域2と重なる領域には、複数の駆動用トランジスタ(スイッチ素子)13が設けられている。また、複数の駆動用トランジスタ13は、個別検出領域4の配列に対応しており、第1方向Dxと第2方向Dyに配列している。つまり、駆動用トランジスタ13は、個別検出領域4に対し1つずつが設けられている。また、回路形成層10には、複数の補正用回路40と、補正用ゲート線50(図3参照)と、が設けられている。複数の補正用回路40と補正用ゲート線50については後述する。
【0019】
回路形成層10は、駆動用トランジスタ13を駆動するための各種構成を含んでいる。具体的に、図1に示すように、回路形成層10は、接続部7、ゲート線駆動回路8、信号線選択回路9、ゲート線11(図3参照)、及び信号線12(図3参照)を有している。
【0020】
接続部7、ゲート線駆動回路8、及び信号線選択回路9は、周辺領域3に配置されている。接続部7は、圧力センサ1の外部に配置された駆動IC(Integrated Circuit)と接続するためのものである。本実施形態では、制御装置101が駆動ICの機能を有し、接続部7は制御装置101と接続している。なお、本開示においての駆動ICは、接続部7に接続されたフレキシブルプリント基板や、リジット基板の上にCOF(Chip On Film)として実装されてもよい。または、駆動ICは、周辺領域3にCOG(Chip On Glass)として実装されてもよい。
【0021】
ゲート線駆動回路8は、制御装置101からの各種制御信号に基づいて複数のゲート線11(図3参照)を駆動する回路である。ゲート線駆動回路8は、複数のゲート線11を順次又は同時に選択し、選択されたゲート線11にゲート駆動信号を供給する。信号線選択回路9は、複数の信号線12(図3参照)を順次又は同時に選択するスイッチ回路である。信号線選択回路9は、例えばマルチプレクサである。信号線選択回路9は、制御装置101から供給される選択信号に基づき、選択された信号線12と制御装置101とを接続する。
【0022】
図3は、実施形態1の圧力センサの回路構成を示す回路図である。図3に示すように、ゲート線11は、第2方向Dyに延在している。また、第1方向Dxに、複数のゲート線11が配列している。信号線12は、第1方向Dxに延在している。また、第2方向Dyに、複数の信号線12が配列している。そのほか、特に図示しないが、回路形成層10は、周辺領域3に沿って延在する共通配線を有している。共通配線は、共通電極30に電流を供給するための配線である。共通配線は、接続部7を介して制御装置101に接続し、制御装置101から一定量の電流が供給されている。
【0023】
図2に示すように、駆動用トランジスタ13は、半導体層13aと、ゲート絶縁膜13bと、ゲート電極13cと、ドレイン電極13dと、ソース電極13eと、を備えている。ソース電極13eは、検出電極20と接続している。ゲート電極13cは、ゲート線11と接続している。ドレイン電極13dは、信号線12と接続している。これにより、ゲート線11を走査すると、検出電極20が閉じる。これにより、検出電極20に入力された電気信号(電流値)は、信号線12に出力される。
【0024】
アレイ基板6においてセンサ層60の方を向く第1面6aは、駆動用トランジスタ13等を被覆する絶縁層14により平坦化している。
【0025】
検出電極20と共通電極30は、アレイ基板6の第1面6aに設けられている。検出電極20と共通電極30は、例えばITO(Indium Tin Oxide)などの金属材料で製造されている。なお、本開示においては、検出電極20と共通電極30は、互いに異なる金属材料で製造されていてもよく、特に限定されない。
【0026】
共通電極30は、回路形成層10の絶縁層14に埋設された図示しない配線により、共通配線(不図示)と接続している。よって、共通電極30には、制御装置101から一定量の電流が供給されている。また、共通電極30は、検出電極20に対し、離隔している。
【0027】
センサ層60は、絶縁性が高い樹脂層の内部に導電性の微粒子が含まれている。微粒子は、樹脂層の内部で互いに離隔している。よって、樹脂層が変形していない状態でセンサ層60の抵抗値が大きい。一方、樹脂層が変形すると微粒子が接触又は近接し、センサ層60の抵抗値が小さくなる。また、樹脂層の変形量が大きくなると、微粒子の接触する量が増加し、センサ層60の抵抗値が大きく低減する。なお、センサ層60は、感圧層と呼ばれることがある。
【0028】
図2に示すように、センサ層60は、アレイ基板6の上側に配置されている。よって、センサ層60は、検出電極20と共通電極30に対向している。また、センサ層60は、アレイ基板6に設けられたスペーサ(不図示)により支持されている。よって、センサ層60の下側には、空間Sが設けられ、センサ層60は、検出電極20と共通電極30のそれぞれと離隔している。なお、スペーサ(不図示)は、アレイ基板6の第1面6aのうち周辺領域3に設けられていたり、若しくは、個別検出領域4同士の間に設けられていたりしてもよく、本開示において特に限定されない。
【0029】
保護層70は、センサ層60の上側に配置され、センサ層60に沿って延在する絶縁層である。保護層70は、図示しない接着層によりセンサ層60と一体化されている。保護層70の上側の面は、検出面1aとなっている。
【0030】
図4は、実施形態1の圧力センサの検出面に圧力が入力された状態を示す図である。図5は、圧力センサ(個別検出領域)に作用した圧力値と信号線から出力された出力値(電流値)との関係を示す図(グラフ)である。図6は、センサ層の抵抗値の低減量と信号線から出力された出力値(電流値)との関係を示す図(グラフ)である。図4に示すように、検出面1aに圧力Fが入力されると、保護層70とセンサ層60の一部がアレイ基板6の方に窪む。これにより、センサ層60は、検出電極20及び共通電極30に接触する。また、センサ層60は、押圧による変形により抵抗値が小さくなる。これにより、検出電極20と共通電極30は、センサ層60を介して電気的に接続する。つまり、共通電極30から検出電極20に電流(矢印I参照)が流れる。そして、検出電極20に流れた電流は、信号線12から圧力センサ1の外部(制御装置101)に出力される。以上から、信号線12から出力される信号の有無により、検出面1aに圧力が加えられたか否かを検出できる。
【0031】
また、圧力Fが大きくなると、センサ層60の変形量が大きくなり、センサ層60の抵抗値が小さくなる。そのほかに、圧力が大きくなると、検出電極20と共通電極30に接触するセンサ層60の接触面積が大きくなり、検出電極20に流れる電流も大きくなる。つまり、検出面1aに加えられた圧力が大きくなるほど、信号線12から出力される出力値(電流値)が大きくなる。よって、検出電極20に入力された電流値の大きさを測定することにより、検出面1aに加えられた圧力の大きさを検出することができる。
【0032】
また、図5に示すように、本実施形態では、圧力センサ1に入力された圧力値の大きさと、信号線12とから出力される出力値の大きさは、比例関係となっている。
【0033】
本実施形態において、センサ層60の抵抗値は、不負荷状態で1000Ωである。一方で、可能な限り大きな圧力が入力されると、センサ層60の抵抗値は0Ωとなる。つまり、入力された圧力が大きくなるほど、センサ層60の抵抗値の低減量が大きくなる、という比例関係となっている。よって、本実施形態では、図5に示す圧力値と出力値との比例関係は、図6に示すように、センサ層60の抵抗値の低減量と信号線12からの出力値との関係(比例関係)に置き換えることができる。
【0034】
以上、上記した圧力センサ1によれば、第1方向Dxに配列する複数の検出電極20は、信号線12に対して接続する第1方向Dxの位置がそれぞれ異なる。よって、制御装置101までの経路長は、それぞれ異なる。または、信号線12は、第2方向Dyに複数配置され、信号線12毎の特性が異なる。このため、複数の個別検出領域4に入力された圧力が同じ大きさであっても、制御装置101が受け取った出力値が異なることがある。次に、このような個別検出領域4毎の出力値の特性(いわゆるムラ)を調べるための補正用回路40と補正用ゲート線50を説明する。
【0035】
図3に示すように、補正用回路40は、個別検出領域4毎に1つずつ設けられている。
また、補正用回路40は、第1配線41と第2配線42を有している。第1配線41及び第2配線42は、それぞれ、一端が共通電極30に接続し、他端が信号線12に接続している。よって、第1配線41及び第2配線42は、検出電極20及び駆動用トランジスタ13と並列接続している。
【0036】
第1配線41には、第1抵抗値を有する第1抵抗部品43と、第1配線41を開閉する第1配線用スイッチ素子44が設けられている。また、第2配線42には、第1抵抗値よりも大きい第2抵抗値を有する第2抵抗部品45と、第2配線42を開閉する第2配線用スイッチ素子46と、を有している。
【0037】
第1抵抗部品43の第1抵抗値は、200Ωである。第1抵抗値は、センサ層60において想定される抵抗値の変化範囲(0Ωから1000Ω)のうち、比較的低い抵抗値となっている。第2抵抗部品45は、第1抵抗値よりも大きい値であり、800Ωである。第2抵抗値は、センサ層60において想定される抵抗値の変化範囲(0Ωから1000Ω)のうち、比較的高い抵抗値となっている。
【0038】
図2に示すように、第1配線用スイッチ素子44及び第2配線用スイッチ素子46は、トランジスタである。第1配線用スイッチ素子44及び第2配線用スイッチ素子46は、それぞれ、半導体層44a、46aと、ゲート絶縁膜44b、46bと、ゲート電極44c、46cと、ドレイン電極44d、46dと、ソース電極44e、46eと、を備えている。ドレイン電極44d、46d側は、信号線12(図3参照)と接続している。また、ソース電極44e、46e側は、第1抵抗部品43又は第2抵抗部品45と接続している。
【0039】
図3に示すように、補正用ゲート線50は、第1配線用スイッチ素子44を制御する第1補正用ゲート線51と、第2配線用スイッチ素子46を制御する第2補正用ゲート線52と、を備えている。第1補正用ゲート線51と、第2補正用ゲート線52とは、それぞれ第2方向Dyに延在している。そして、第1補正用ゲート線51は、第1配線用スイッチ素子44のゲート電極44cと接続している。第2補正用ゲート線52は、第2配線用スイッチ素子46のゲート電極46cと接続している。また、第1補正用ゲート線51と、第2補正用ゲート線52は、第1方向Dxに複数配置されている。第1補正用ゲート線51と、第2補正用ゲート線52は、ゲート線駆動回路8に接続している。
【0040】
次に制御装置101について説明する。制御装置101は、いわゆるコンピュータであり、CPU(Central Processing Unit)と、RAM(Random Access Memory)と、ROM(Read Only Memory)、ハードディスクドライブ(HDD:Hard Disc Drive)などの記憶部102と、を備えている。CPUは、RAMに格納されたプログラムを読み出して実行し(演算を行い)、その演算結果を記憶装置に出力する。RAMは、プログラム及びデータの記録及び読み出しができるメインメモリである。ROMには、BIOS(Basic Input Output System)などのプログラムが記憶されている。
【0041】
図7は、実施形態1における補正データの算出処理のフローを示す図である。制御装置101は、圧力センサ1から受け取った出力値を補正するための補正データの算出処理を実行する。図7に示すように、補正データの算出処理S1は、個別検出領域4の出力値を取得する第1工程S11と、個別検出領域4の出力値の特性を示す出力値特性直線を算出する第2工程S12と、全ての個別検出領域4で出力値特性直線を算出したか否かを判断する第3工程S13と、出力値特性直線から補正係数(補正データ)を算出する第4工程S14と、を含む。
【0042】
以下の説明において、本実施形態の個別検出領域4の総数をN個とする。また、各個別検出領域4を識別するため、個別検出領域4毎に識別番号i(i=1,2,3、・・・・N)が振り分けられている。また、第1工程S11及び第2工程S12は、複数の個別検出領域4のうち1つの個別検出領域4を特定し、その特定した個別検出領域4に対し、第1工程S11及び第2工程S12を連続して行うようになっている。また、複数の個別検出領域4のうち1つの個別検出領域4を特定する方法は、識別番号iの数値が小さい順となっている。
【0043】
図8は、補正データの算出処理の第1工程で得られた出力値と抵抗値の低減量との関係を示す図(グラフ)である。第1工程S11は、第1配線用スイッチ素子44が閉じた場合の第1出力値と、第2配線用スイッチ素子46が閉じた場合の第2出力値と、を取得する工程である。
【0044】
具体的に、第1工程S11において、例えば識別番号iに対応する個別検出領域4の第1補正用ゲート線51を走査し、第1配線用スイッチ素子44を閉じる。これにより、共通電極30から第1配線41に電流が流れる。また、電流は、第1抵抗部品43及び第1配線用スイッチ素子44を経由し、信号線12から制御装置101に送られる。このとき制御装置101が受け取った出力値が第1出力値である。これによれば、センサ層60の抵抗値が200Ωの場合、言い換えると、図8に示すように、センサ層60の抵抗値の低減量が800Ωの場合の出力値の特性(点L1、L2、L3・・・を参照)が得られる。
【0045】
続いて識別番号iに対応する個別検出領域4の第2補正用ゲート線52を走査し、第2配線用スイッチ素子46を閉じる。これにより、共通電極30から第2配線42に電流が流れる。電流は、第2抵抗部品45及び第2配線用スイッチ素子46を経由し、信号線12から制御装置101に送られる。このとき制御装置101が受け取った出力値が第2出力値である。これによれば、センサ層60の抵抗値が800Ωの場合、言い換えると、図8に示すように、センサ層60の抵抗値の低減量が200Ωの場合の出力値の特性(点M1、M2、M3・・・を参照)が得られる。
【0046】
以上、第1工程によれば、図8に示すように、識別番号iが個別検出領域4において、第1抵抗部品43(抵抗値の低減量が800Ωの場合)を経由した第1出力値と、第2抵抗部品45(抵抗値の低減量が200Ωの場合)を経由した第2出力値と、の2点が得られる。
【0047】
第2工程S12は、識別番号iに対応する個別検出領域4の出力値特性直線を算出する。この出力値特性直線は、図8に示すように、第1出力値(点L1、L2、L3・・・参照)と、第2出力値(点M1、M2、M3・・・参照)と、を結ぶ直線である。また、出力値特性直線を式に表すと、下記に示す式(1)となる。
【0048】
【数1】
【0049】
式(1)のうち、Oraw_Nは、識別番号がN番目における個別検出領域4の出力値を示す。rは、センサ層60の抵抗値の低減量(Ω)である。aとbは係数であり、詳細には、aは、図8における直線の傾きであり、bは、直線の切片である。また、図5図6に示すように、出力値と圧力センサ1に入力された圧力値(センサ層60の抵抗値の低減量)は、比例関係となっている。よって、式(1)に示すように、抵抗値rを関数とした1次式を立てることができる。
【0050】
そして、第2工程S12において、出力値特性直線の係数aとbを算出するため、第1配線用スイッチ素子44を閉じた場合に得られた第1出力値をOraw_Nに代入し、センサ層60の抵抗値の低減量である800Ωをrに代入し、第1式を立てる。同様に、第2配線用スイッチ素子46を閉じた場合に得られた第2出力値をOraw_Nに代入するとともに、センサ層60の抵抗値の低減量である200Ωをrに代入し、第2式を立てる。そして、第1式と第2式とから、係数aとbを算出する。これにより、個別検出領域4の出力値特性直線を表す式(1)が算出される。
【0051】
次に、第3工程S13で、個別検出領域4の全ての出力値特性直線を算出したかを判定する。なお、本実施形態では、個別検出領域4の識別番号iの数字が小さい順から第1工程S11と第2工程S12を行うようになっている。よって、第3工程S13では、第2工程S12が終了した個別検出領域4の識別番号iが「N」であるか否かを判定する。識別番号iが「N」の場合、最後の個別検出領域4であり、個別検出領域4の全ての出力値特性直線が算出されたと判断され、第4工程S14に進む。一方で、識別番号iが「N」でないと判定された場合には、第1工程S11に戻り、識別番号「i+1」が当てられた個別検出領域4の第1出力値と第2出力値を得る。なお、本開示は、第1工程S11と第2工程S12は、識別番号iが大きいものから順に行ってもよく、特に順番は関係ない。
【0052】
第4工程S14は、個別検出領域4毎の補正式を算出する工程である。ここで、補正式とは、信号線12から受け取った出力値を補正して適正な出力値にするための式である。具体的には、制御装置101は、補正式として下記の式(2)を記憶している。
【0053】
【数2】
【0054】
は、適正な(補正後の)出力値であり、AとBは補正係数(補正データ)である。Oraw_Nは、実際に信号線12から受け取った出力値であり、式(1)にも示されている。また、制御装置101は、個別検出領域4毎の補正式(2)を記憶している。次に、出力値特性直線から補正係数A、Bを算出する工程を説明する。
【0055】
制御装置101は、下記式(3)の補正ターゲット直線を記憶している。
【0056】
【数3】
【0057】
図9は、センサ層の抵抗値の低減量と信号線から出力された出力値(電流値)との関係を示す図(グラフ)であり、出力値特性直線を補正ターゲット直線に重ねることを説明するためのイメージ図である。図9に示すように、補正ターゲット直線T(図9の符号Tが指す直線を参照)は、所定量の圧力が入力された場合の出力値を予め定めた直線式である。第2工程S12で得られた出力値特性直線(図9の破線P1、P2を参照)は、本来ならば、全ての個別検出領域4で特性が一致するべきものであるが、信号線12の経路長等の違いから、各個別検出領域4ごとに異なる特性となっている。よって、全ての個別検出領域4において出力値特性直線(図9の破線P1、P2を参照)が一致するようにするため、出力値特性直線を補正ターゲット直線Tに重なるように演算する(図9の矢印参照)。なお、演算は、出力値特性直線の式(1)に対し、傾きを変える係数をかけたり、切片を変える係数を足したりする。具体的に下記の式(4)となる。
【0058】
【数4】
【0059】
式(4)のうち、「atarget/a」は、式(1)の傾きを補正する係数であり、式(2)の補正係数Aに相当する。また、「btarget-((atarget×b)/a)」は、式(1)の切片を補正する係数であり、式(2)の補正係数Bに相当する。以上から、出力値特性直線から式(2)の補正係数A、Bが算出される。
【0060】
図10は、制御装置の記憶部に記憶される補正係数A、Bを示す図である。個別検出領域4の補正係数A、Bを算出した場合、制御装置101は、図10に示すように、記憶部102に個別検出領域4の補正係数A(A、A、・・・A)、B(B、B、・・・B)を記憶し、補正データ(補正係数A、B)の算出処理S1を終了する(エンド)。
【0061】
以上の処理によれば、補正データ(補正係数A、B)が取得できる。また、検出領域2の全域と当接可能な治具を準備したり、治具を検出領域2に押し付けたりする手間を省ける。よって、本実施形態によれば、簡易に補正データ(補正係数A、B)が取得できる。次に、制御装置101の圧力値の算出処理S2を説明する。
【0062】
図11は、実施形態1の圧力値の算出処理のフローを示す図である。図11に示すように、圧力値の算出処理S2は、各個別検出領域4の出力値を取得する工程S21と、出力値から補正後の出力値を算出する工程S22と、補正後の出力値から圧力値を算出する工程S23と、を含む。
【0063】
各個別検出領域4の出力値を取得する工程S21において、制御装置101は、ゲート線駆動回路8、及び信号線選択回路9に駆動信号を送る。そして、制御装置101は、個別検出領域4のそれぞれから出力値を信号線12経由で取得する。
【0064】
出力値を補正する工程S22では、受け取った出力値を式(2)に代入する。また、出力値に対応する個別検出領域4毎の補正係数A、Bを記憶部102から読み出し、上記した式(2)に代入する。これにより、補正後の出力値Oが得られる。当該工程により、個別検出領域4毎の出力値の特性(いわゆるムラ)が解消される。つまり、同じ圧力が作用している場合、補正後の出力値は同じ値を示す。
【0065】
圧力値を算出する工程S23は、補正後の出力値Oに対応する圧力値を算出する工程である。制御装置101は、補正ターゲット直線Tから補正後の出力値Oに対応する圧力値を算出し、算出処理S2が終了する(エンド)。
【0066】
以上、実施形態1について説明したが、本開示は上記した例に限定されない。例えば、実施形態1の制御装置101は、算出した補正係数A、Bを記憶部102に記憶しているが、本開示は、RAMに一時的に保持してもよい。若しくは、下記の実施形態2で示すように、補正係数A、Bを一時的に保持しなくてもよい。以下、実施形態2を説明する。
【0067】
(実施形態2)
図12は、実施形態2に係る算出処理のフローを示す図である。図12に示すように、制御装置101の算出処理S3は、補正データ(補正係数A、B)を算出する工程S1Aと、圧力値を算出する工程S2と、個別検出領域4の全ての圧力値を算出したかを判定する工程S31と、を含む。なお、圧力値を算出する工程S2は、実施形態1で示した圧力値の算出処理S2と同一処理を行う(図11参照)。また、個別検出領域4の全ての圧力値を算出したかを判定する工程S31は、実施形態1の補正データの算出処理S1に含まれる第3工程S13と同一処理を行う。よって、工程S2と工程S31の説明を省略する。
【0068】
補正データを算出する工程S1Aは、第1工程S11、第2工程S12、第4工程S14(図7参照)を含んでいる点で、実施形態1の補正データの算出処理S1と共通している。ただし、補正データを算出する工程S1Aは、第3工程S13を含んでいない点で、実施形態1と相違する。また、補正データを算出する工程S1Aは、第4工程S14で補正係数A、Bを算出した後、補正係数A、Bを記憶することなく、圧力値を算出する工程S2に移行している点で、実施形態1と相違する。つまり、実施形態2においては、補正データを算出する工程S1Aの終了後、中断することなく、引き続き圧力値を算出している。すなわち、本実施形態においては、全ての個別検出領域4における圧力検出を完了する期間を1フレームとする場合、当該フレーム単位(各フレーム単位)で補正係数を演算している。これにより、検出精度がより向上する。
【0069】
また、実施形態1では、個別検出領域4毎に補正用回路40が設けられているが、本開示はこれに限定されない。個別検出領域4毎に補正用回路40が配置されていない実施形態3と実施形態4について説明する。
【0070】
(実施形態3)
図13は、実施形態3の圧力センサの回路構成を示す回路図である。実施形態3の圧力センサ1Bの補正用回路40Bは、第2方向Dyに配列する複数の検出電極20に対し、1つずつ設けられている点(検出電極20行ごとに1つずつ設けられている点)で実施形態1と相違する。また、実施形態3の圧力センサ1Bは、第1方向Dxに延在する補正用信号線47、48を2つ備えている点で、実施形態1と相違する。
【0071】
補正用回路40Bの第1配線41B及び第2配線42Bは、周辺領域3に配置されている。同様に、補正用信号線47、48は、周辺領域3に配置されている。補正用信号線47,48は、信号線選択回路9に接続している。第1配線41B及び第2配線42Bの一端は、第2方向Dyに配列する複数の検出電極20と共通する共通電極30に接続している。第1配線41B及び第2配線42Bの他端は、補正用信号線47、48と接続している。
【0072】
この実施形態3によれば、補正用回路40Bで得られた補正係数A、Bは、その補正用回路40Bに対し第2方向Dyに配列する個別検出領域4で検出された出力値を補正するために使用される。つまり、第2方向Dyに配列した個別検出領域4で検出された各出力値は、共通する補正係数A、Bにより補正される。以上、実施形態3によれば、算出する補正係数A、Bの数が低減する。また、第2方向Dyに配列した個別検出領域4同士の出力値の特性(いわゆるムラ)が解消される。
【0073】
(実施形態4)
図14は、実施形態4の圧力センサの回路構成を示す回路図である。実施形態4の圧力センサ1Cの補正用回路40Cは、第1方向Dxに配列する複数の検出電極20に対し、1つずつ設けられている点で、実施形態1と相違する。補正用回路40Cの第1配線41C及び第2配線42Cは、周辺領域3に配置されている。また、補正用ゲート線50C(第1補正用ゲート線51C及び第2補正用ゲート線52C)と、共通電極30とが周辺領域3に配置されている。そして、第1配線41C及び第2配線42Cの一端は、共通電極30に接続している。第1配線41C及び第2配線42Cの他端は、第1方向Dxに配列する複数の検出電極20と共通する信号線12と接続している。
【0074】
この実施形態4によれば、補正用回路40Cで得られた補正係数A、Bは、その補正用回路40Cに対し第1方向Dxに配列する個別検出領域4で検出された出力値を補正するために使用される。つまり、第1方向Dxに配列した個別検出領域4で検出された各出力値は、共通する補正係数A、Bにより補正される。以上、実施形態3によれば、算出する補正係数A、Bの数が低減する。また、第1方向Dxに配列した個別検出領域4同士の出力値の特性(いわゆるムラ)が解消される。
【0075】
以上、各実施形態について説明したが、本開示は、個別検出領域4に入力された圧力と信号線12からの出力値とが比例関係となっていればよく、センサ層60は上記したものに限定されない。例えば、上記第1実施形態の構成に第3実施形態と第4実施形態のいずれか一方又は両方をさらに加えた構成も採用可能である。次に、センサ層60の変形例について説明する。
【0076】
(変形例1)
図15は、変形例1の圧力センサの断面を示す断面図である。変形例1の圧力センサ1Dのセンサ層60Dは、アレイ基板6の第1面6aと保護層70との間に設けられており、空間S(図2参照)がなくなっている。センサ層60Dは、変形前から検出電極20と共通電極30と当接している。このセンサ層60Dは、実施形態1で説明したように絶縁性の樹脂の内部に導電性の微粒子が含まれている。このセンサ層60によれば、圧力が作用していない状態、つまり変形していない状態では絶縁状態となっている。そして、圧力が作用して変形すると、抵抗値が小さくなり、共通電極30と検出電極20が電気的に接続する。また、圧力が大きくなるとセンサ層60Dの変形量が増加し、検出電極20に流れる電流量が大きくなる。一方で、圧力が大きくなってもセンサ層60Dと共通電極30及び検出電極20の接触面積が変化しない。つまり、接触面積の増減により検出電極20に流れる電流量が変わる、という機能を有していない点で実施形態1のセンサ層60と異なっている。
【0077】
(変形例2)
図16は、変形例2の圧力センサの断面を示す断面図である。図17は、変形例2の圧力センサにおいて圧力が入力された場合の断面図である。変形例4の圧力センサ1Eのセンサ層60Eは、検出電極20と共通電極30とに向かって突出する2つの凸部61を有している。凸部61の先端部は検出電極20又は共通電極30に当接している。センサ層60Eは、ITOや半導体材料で製造され、絶縁性が高い材料で製造されている。このような状態においては、凸部61の先端部は、検出電極20と共通電極30との接触面積が小さい。よって、検出電極20と共通電極30は電気的に接続していない。
【0078】
一方で、図17に示すように、検出面1aが押圧されると、センサ層60Eが第3方向Dzに潰れ、凸部61は検出電極20及び共通電極30との接触面積が増加する。これにより、センサ層60Eは、検出電極20と共通電極30を電気的に接続するようになり、検出電極20に電流が流れる。また、センサ層60Eに作用する圧力が大きくなるにつれて、凸部61と検出電極20及び共通電極30の接触面積が増加すると、センサ層60Eを流れる電流量も大きくなる。よって、センサ層60Eは、接触面積の増加に比例して検出電極20に入力する電流量が大きくなる。これにより、検出面1aに入力された圧力の大きさを検出することができる。
【0079】
なお、接触面積の増減によりセンサ層の抵抗値が変化する例として、変形例2のセンサ層60Eを挙げているが、本開示の圧力センサは、センサ層60E以外の形状や配置のセンサ層を適用してもよく、特に限定されない。
【0080】
また、共通電極30に関し、実施形態では、アレイ基板6の第1面6aに配置した例を挙げているが、センサ層60と保護層70との間に設けられたベタ膜であってもよく、特に限定されない。
【符号の説明】
【0081】
1、1B、1C、1D、1E 圧力センサ
2 検出領域
3 周辺領域
4 個別検出領域
10 回路形成層
20 検出電極
30 共通電極
11 ゲート線
12 信号線
13 駆動用トランジスタ
40、40B、40C 補正用回路
41、41B、41C 第1配線
42、42B、42C 第2配線
43 第1抵抗部品
44 第1配線用スイッチ素子
45 第2抵抗部品
46 第2配線用スイッチ素子
47、48 補正用信号線
50、50C 補正用ゲート線
51、51C 第1補正用ゲート線
52、52C 第2補正用ゲート線
60、60D、60E センサ層
61 凸部
70 保護層
100 圧力検出システム
101 制御装置
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
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図12
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図17