(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024114459
(43)【公開日】2024-08-23
(54)【発明の名称】インターホン機器
(51)【国際特許分類】
H04M 1/02 20060101AFI20240816BHJP
H04M 9/00 20060101ALI20240816BHJP
【FI】
H04M1/02 G
H04M9/00 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023020250
(22)【出願日】2023-02-13
(71)【出願人】
【識別番号】000100908
【氏名又は名称】アイホン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100135127
【弁理士】
【氏名又は名称】石田 正己
(72)【発明者】
【氏名】牧野 友哉
(72)【発明者】
【氏名】上山 基希
【テーマコード(参考)】
5K023
5K038
【Fターム(参考)】
5K023AA05
5K023BB21
5K023LL06
5K038AA09
(57)【要約】
【課題】化粧カバーを容易に取り付けることができるインターホン機器を提供する。
【解決手段】前ケース2に、ナット53を螺入方向に直交する平面に沿って載置可能な基台16と、基台16から上方へ立設され、ナット53の前方に位置してナット53の前方への移動を規制する前壁18と、基台16から上方へ立設され、ナット53の左右両側に位置してナット53の左右方向への移動を規制する側壁17、17とを備えた収納部15を設けた。後ケース3に、前方へ突出するボス本体31を設けるとともに、ボス本体31の下縁に沿って後方へ一段凹んだ保持段部32を設け、保持段部32内にナット53の後部を位置させて、保持段部32内におけるボス本体31の前面によりナット53の後方への移動を規制し、且つ、基台16の上面と保持段部32の段差面とによりナット53を上下から挟み込むことによりナット53の上下方向への移動を規制するようにした。
【選択図】
図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
前ケースと後ケースとを組み付けた本体ケースに対し、少なくとも前記本体ケースの前面及び下面を覆うように化粧カバーが取り付けられているとともに、前記化粧カバーの下面と前記本体ケースの下面とに取付ネジを挿通可能なネジ孔が穿設されており、
前記取付ネジを、ネジ頭からネジ部が上方へ突出するとともに前記ネジ部が斜め後方へ傾斜する傾斜姿勢で前記本体ケース内へ螺入し、前記本体ケース内に配されたナットに螺合させることによって前記化粧カバーが取り付けられたインターホン機器であって、
前記前ケースと前記後ケースとの何れか一方に、前記ナットを前記取付ネジの螺入方向に直交する平面に沿って載置可能な載置部と、前記ナットの当該一方のケース側に位置し、前記ナットの前方又は後方への移動を規制する第1の規制部と、前記ナットの左右両側に位置し、前記ナットの左右方向への移動を規制する第2の規制部とが設けられている一方、
他方に、前記ナットの当該他方のケース側に位置し、前記ナットの後方又は前方への移動を規制する第3の規制部と、前記一方のケース側へ突出していて前記ナットの上方に位置し、前記ナットの上方への移動を規制する第4の規制部とが設けられていることを特徴とするインターホン機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、本体ケースの前面を覆うように化粧カバーが取り付けられたインターホン機器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来周知のインターホン機器には、本体ケースの前面を覆うように化粧カバーが取り付けられてなるものがある。そして、そのような化粧カバーが取り付けられたインターホン機器としては、化粧カバーに後方へ延びる下板を設け、化粧カバーと本体ケースとを一体化するためのネジ孔を化粧カバーの下板及び本体ケースの下面に穿設することにより、外観の向上を図ったものがある(たとえば特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
一般的にインターホン機器は壁面等に設置されることを鑑みるに、ネジ孔が化粧カバーの下板及び本体ケースの下面に穿設されていると、設置面へ設置した状態のまま化粧カバーを着脱しようとした際、設置面が邪魔になって工具が操作しづらく、化粧カバーの着脱作業が煩雑となってしまう。そのため、取付ネジのネジ頭からネジ部が後方へ傾斜する方向へ突出するような傾斜姿勢で、取付ネジを螺入するようにネジ孔を設けるという構成の採用も考えられるが、そうなると本体ケース内において取付ネジが螺合するナットについても傾斜姿勢で保持する必要がある。しかしながら、従来のインターホン機器では、ナットをそのような傾斜姿勢で保持することが難しく、取付ネジの螺入時にナットがばたついてしまい、やはり化粧カバーの着脱作業が煩雑となってしまうという問題があった。
【0005】
そこで、本発明は、上記問題に鑑みなされたものであって、化粧カバーを容易に取り付けることができるインターホン機器を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明は、前ケースと後ケースとを組み付けた本体ケースに対し、少なくとも本体ケースの前面及び下面を覆うように化粧カバーが取り付けられているとともに、化粧カバーの下面と本体ケースの下面とに取付ネジを挿通可能なネジ孔が穿設されており、取付ネジを、ネジ頭からネジ部が上方へ突出するとともにネジ部が斜め後方へ傾斜する傾斜姿勢で本体ケース内へ螺入し、本体ケース内に配されたナットに螺合させることによって化粧カバーが取り付けられたインターホン機器であって、前ケースと後ケースとの何れか一方に、ナットを取付ネジの螺入方向に直交する平面に沿って載置可能な載置部と、ナットの当該一方のケース側に位置し、ナットの前方又は後方への移動を規制する第1の規制部と、ナットの左右両側に位置し、ナットの左右方向への移動を規制する第2の規制部とが設けられている一方、他方に、ナットの当該他方のケース側に位置し、ナットの後方又は前方への移動を規制する第3の規制部と、一方のケース側へ突出していてナットの上方に位置し、ナットの上方への移動を規制する第4の規制部とが設けられていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、前ケースと後ケースとの何れか一方に、ナットを取付ネジの螺入方向に直交する平面に沿って載置可能な載置部と、ナットの当該一方のケース側に位置し、ナットの前方又は後方への移動を規制する第1の規制部と、ナットの左右両側に位置し、ナットの左右方向への移動を規制する第2の規制部とを設ける一方、他方に、ナットの当該他方のケース側に位置し、ナットの後方又は前方への移動を規制する第3の規制部と、一方のケース側へ突出していてナットの上方に位置し、ナットの上方への移動を規制する第4の規制部とを設けた。したがって、取付ネジの螺入方向に直交する平面に沿った傾斜姿勢でナットが保持されているにも拘わらず、取付ネジの螺入時にナットがばたつくことがなく、容易に化粧カバーを着脱することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】インターホン子機を正面から示した説明図である。
【
図2】分解状態にあるインターホン子機を前側から示した斜視説明図である。
【
図3】分解状態にあるインターホン子機を後側から示した斜視説明図である。
【
図4】
図2中のC部を拡大して示した説明図である。
【
図5】
図3中のD部を拡大して示した説明図である。
【
図6】前ケースの左右方向での中央部分における鉛直断面のうち、収納部周りを拡大して示した説明図である。
【
図7】
図1中のA-A線断面のうち、ナットの保持構造に係る部分を拡大して示した説明図である。
【
図8】
図1中のB-B線断面のうち、ナットの保持構造に係る部分を拡大して示した説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の一実施形態となるインターホン子機について、図面にもとづき詳細に説明する。
【0010】
図1は、インターホン子機1を正面から示した説明図である。
図2は、分解状態にあるインターホン子機1を前側から示した斜視説明図である。
図3は、分解状態にあるインターホン子機1を後側から示した斜視説明図である。
図4は、
図2中のC部を拡大して示した説明図である。
図5は、
図3中のD部を拡大して示した説明図である。
図6は、前ケース2の左右方向での中央部分における鉛直断面のうち、収納部15周りを拡大して示した説明図である。
図7は、
図1中のA-A線断面のうち、ナット53の保持構造に係る部分を拡大して示した説明図である。
図8は、
図1中のB-B線断面のうち、ナット53の保持構造に係る部分を拡大して示した説明図である。
【0011】
インターホン子機1は、前側に配置される前ケース2及び後側に配置される後ケース3を組み付けた本体ケースと、その本体ケースを前方から覆うように組み付けられた化粧カバー4とを有してなる。また、インターホン子機1の前面上部には、インターホン子機1の前方を撮像するためのカメラ部5が設けられている。さらに、インターホン子機1の前面におけるカメラ部5の右側には、通話のためのマイク部6が設けられている。加えて、インターホン子機1の前面におけるカメラ部5の下側には、居住者の氏名等を表示可能であるとともに通話のためのスピーカ部としての機能や夜間照明としての機能をも兼ね備えたネーム表示部7と、来訪者が居住者を呼び出す際に操作する呼出ボタン8とが設けられている。そして、このようなインターホン子機1は、住戸の玄関の壁面等に設置されており、来訪者によって呼出ボタン8が操作されると、住戸内に設置されているインターホン親機(図示せず)を呼び出すとともに、カメラ部5を作動させて来訪者等を含んだインターホン子機1前方の映像を撮像する。また、インターホン親機において応答ボタンが操作される等の応答操作がなされると、マイク部6及びスピーカ部を作動させ、インターホン親機との間で通話可能な状態とする。
【0012】
ここで、本発明の要部となる化粧カバー4の取付構造について説明する。
化粧カバー4は、後方に開口する方体箱状に成形されており、本体ケースの前方を覆うカバー前板と、カバー前板の左右両側縁から後方へ延びて本体ケースの左右側方を覆うカバー側板と、カバー前板の上縁から後方へ延びて本体ケースの上方を覆うカバー上板と、カバー前板の下縁から後方へ延びて本体ケースの下方を覆うカバー下板4aとを有する。そして、カバー下板4aを上下に貫通するように、取付ネジ50を後述するような傾斜姿勢で挿通可能なカバー取付孔11が穿設されている。このカバー取付孔11は、カバー下板4aの表面(下面)側に形成され、取付ネジ50のネジ頭51を収納可能な大径部12と、カバー下板4aの内面(上面)側に形成され、取付ネジ50のネジ部52と略同径な小径部13とからなる。
【0013】
前ケース2は、化粧カバー4同様後方に開口する方体箱状に成形され、化粧カバー4内に収納可能となっている。そして、本体ケースの下面を構成する前ケース2のケース下板2aを上下に貫通するように、取付ネジ50を傾斜姿勢で挿通可能なケース取付孔14が穿設されている。また、ケース下板2aの内面(上面)側には、取付ネジ50のネジ部52が螺合可能なナット53を収納する収納部15が設けられている。
【0014】
収納部15は、ケース下板2a上に上方へ突設された段部として形成される基台16と、基台16から上方へ立設される左右一対の側壁17、17と、基台16から上方へ立設され、側壁17、17の前端間を閉塞する前壁18と、側壁17、17の上端同士を連結する上壁19とを備えている。そして、基台16、側壁17、17、前壁18、及び上壁19で囲まれた後方へ開口する空間により、矩形板状のナット53を、基台16上に載置し、左右方向への移動は側壁17、17により規制し、且つ、前方への移動は前壁18により規制した状態で収納可能となっている。なお、ナット53を収納する空間の前後方向への深さは、ナット53の前後長さよりも浅くなっており、収納部15に収納されたナット53の後部は、収納部15よりも後方へ突出する。また、左右の側壁17、17同士の間隔は、ナット53の左右幅と略同じである。
【0015】
また、基台16におけるナット53の収納空間内となる箇所には、ケース取付孔14に連通する連通口20が開設されている。さらに、基台16の上面は、後方へ向かって下降傾斜する傾斜面とされていて、当該傾斜面は、カバー取付孔11からケース取付孔14及び連通口20を介して収納部15内へ螺入されるネジ部52の軸方向に直交する平面となっている。加えて、上壁19には、ネジ部52の先端との干渉を避けるための切り欠き21が設けられている。
【0016】
一方、後ケース3は、前ケース2の後面開口を閉塞する略板体として成形され、該後ケース3の下端前面に、収納部15内でナット53を保持するための保持部30が設けられている。保持部30は、後ケース3の前面から前方へ突出するボス本体31を有し、ボス本体31の下縁に沿っては、ボス本体31の前面よりも一段後側へ凹んだ保持段部32が設けられている。該保持段部32内におけるボス本体31の前面は、下方へ向かって前方へ傾斜する傾斜面とされ、基台16の上面と保持段部32内におけるボス本体31の前面とは直交するようになっている。また、ボス本体31の下端から保持段部32の段差面までの距離(より正確には保持段部32内におけるボス本体31の前面の傾斜方向での長さ)は、ナット53の厚みと略同じとされている。さらに、ボス本体31の前面で保持段部32よりも上方となる箇所には、ボス本体31の左右両側縁から前方へ突出する一対の突片33、33が設けられている。
【0017】
そして、収納部15にナット53が収納された状態にある前ケース2に後ケース3を組み付けて本体ケースを組み立てると、
図7及び
図8に示すように、収納部15から後方へ突出しているナット53が保持段部32内に入り込む。また、突片33、33の先端が、収納部15の空間におけるナット53と上壁19との隙間に入り込む。したがって、ボス本体31によりナット53の後方への移動が規制され、且つ、基台16の上面と保持段部32の段差面とによりナット53を上下から挟み込むことによりナット53の上下方向への移動が規制される。また、このようにして組み立てられた本体ケースに対して化粧カバー4を取り付ける際には、本体ケースの前方から本体ケースを収納するように化粧カバー4を組み付けた後、取付ネジ50を、ネジ頭51から上方へネジ部52が突出するとともにネジ部52が斜め後方へ傾斜する傾斜姿勢として、ネジ部52をカバー取付孔11からケース取付孔14及び連通口20を介して収納部15内へ螺入すればよい。すると、取付ネジ50とナット53とが螺合して、本体ケースを覆った状態で化粧カバー4が取り付けられる。
【0018】
以上のような構成を有するインターホン子機1によれば、前ケース2に、ナット53を螺入方向に直交する平面に沿って載置可能な基台16と、基台16から上方へ立設され、ナット53の前方に位置してナット53の前方への移動を規制する前壁18と、基台16から上方へ立設され、ナット53の左右両側に位置してナット53の左右方向への移動を規制する側壁17、17とを備えた収納部15を設ける一方、後ケース3に、前方へ突出するボス本体31を設けるとともに、ボス本体31の下縁に沿って後方へ一段凹んだ保持段部32を設け、保持段部32内にナット53の後部を位置させることで、保持段部32内におけるボス本体31の前面によりナット53の後方への移動を規制し、且つ、基台16の上面と保持段部32の段差面とによりナット53を上下から挟み込むことによりナット53の上下方向への移動を規制するようにした。したがって、取付ネジ50の螺入方向に直交する平面に沿った傾斜姿勢でナット53が保持されているにも拘わらず、取付ネジ50の螺入時にナット53がばたつくことがなく、容易に化粧カバー4を着脱することができる。
【0019】
また、ボス本体31の前面で保持段部32よりも上方となる箇所に、前方へ突出する突片33、33を設けており、突片33、33の先端が、収納部15の空間におけるナット53と上壁19との隙間に入り込むようにした。したがって、取付ネジ50の螺入時にナット53が一層ばたつきにくい構造とすることができ、極めて容易に化粧カバー4を着脱することができる。
【0020】
なお、本発明に係るインターホン機器は、上記実施形態の態様に何ら限定されるものではなく、インターホン機器の全体的な構成は勿論、ナットの保持に係る構成等についても、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、必要に応じて適宜変更することができる。
【0021】
たとえば、上記実施形態とは反対に、前ケースに後方へ突出するボス本体等を備えた保持部を、後ケースにナットを収納可能な収納部を夫々設けても何ら問題はない。
また、保持部や収納部に係る具体的構成についても適宜設計変更可能であり、たとえば前壁を設けることなく前ケースの前板の後面を第1の規制部としたり、後ケースの表面を第3の規制部としたりしてもよいし、基台を設けるのではなく、前ケースの下板を載置部として下板上に直接ナットが載置されるように構成することも可能である。
加えて、上記実施形態では、インターホン機器の一例であるインターホン子機について説明しているが、本発明は、少なくとも本体ケースの前面及び下面を覆うように化粧カバーが取り付けられているとともに、化粧カバーの下面と本体ケースの下面とに所定の傾斜姿勢で取付ネジを挿通可能なネジ孔が穿設されていれば、インターホン親機や集合玄関機等の他のインターホン機器についても好適に適用することができる。
【符号の説明】
【0022】
1・・インターホン子機(インターホン機器)、2・・前ケース(本体ケース)、2a・・ケース下板、3・・後ケース(本体ケース)、4・・化粧カバー、4a・・カバー下板、11・・カバー取付孔、14・・ケース取付孔、15・・収納部、16・・基台(載置部)、17・・側壁(第2の規制部)、18・・前壁(第1の規制部)、19・・上壁、20・・連通口、21・・切り欠き、30・・保持部、31・・ボス本体、32・・保持段部(第3の規制部、第4の規制部)、33・・突片、50・・取付ネジ、51・・ネジ頭、52・・ネジ部、53・・ナット。