(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024114475
(43)【公開日】2024-08-23
(54)【発明の名称】気体含有美容組成物の製造方法、気体含有美容組成物製造装置、および気体含有美容組成物
(51)【国際特許分類】
A61K 8/19 20060101AFI20240816BHJP
B01F 21/00 20220101ALI20240816BHJP
B01F 21/10 20220101ALI20240816BHJP
B01F 23/233 20220101ALI20240816BHJP
B01F 27/1121 20220101ALI20240816BHJP
B01F 27/13 20220101ALI20240816BHJP
B01F 27/192 20220101ALI20240816BHJP
B01F 27/808 20220101ALI20240816BHJP
B01F 27/90 20220101ALI20240816BHJP
A61Q 19/00 20060101ALI20240816BHJP
A61K 8/02 20060101ALI20240816BHJP
【FI】
A61K8/19
B01F21/00
B01F21/10
B01F23/233
B01F27/1121
B01F27/13
B01F27/192
B01F27/808
B01F27/90
A61Q19/00
A61K8/02
【審査請求】有
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023020269
(22)【出願日】2023-02-13
(71)【出願人】
【識別番号】523050966
【氏名又は名称】横田 はるか
(74)【代理人】
【識別番号】100135781
【弁理士】
【氏名又は名称】西原 広徳
(74)【代理人】
【識別番号】100217227
【弁理士】
【氏名又は名称】野呂 亮仁
(72)【発明者】
【氏名】横田 はるか
【テーマコード(参考)】
4C083
4G035
4G078
【Fターム(参考)】
4C083AB131
4C083AB132
4C083BB51
4C083CC02
4C083DD08
4C083DD25
4C083EE11
4C083FF04
4G035AA01
4G035AB04
4G035AE13
4G078AA26
4G078AB20
4G078BA05
4G078BA09
4G078DA01
4G078DC01
(57)【要約】
【課題】血行促進効果を十分に発揮できる気体含有美容組成物製造装置、気体含有美容組成物の製造方法、および気体含有美容組成物を提供し、消費者の満足度を向上させることを目的とする。
【解決手段】液体状または半液体状の美容組成物に、気体を含有させる気体含有美容組成物の製造方法であって、耐圧容器2の内部に美容組成物と気体を投入し、耐圧容器2の内部を気体によって圧力をかけて加圧する加圧工程と、加圧工程によって加圧された耐圧容器2の内部の圧力を大気圧まで減圧する減圧工程と、美容組成物を撹拌する撹拌工程とを有し、撹拌工程は、減圧工程よりもあとに行われる気体含有美容組成物の製造方法とした。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
耐圧容器の内部に美容組成物を投入し、前記耐圧容器の内部に気体を投入して加圧する加圧工程と、
前記加圧工程によって加圧された前記耐圧容器の内部の圧力を大気圧まで減圧する減圧工程と、
前記加圧工程によって前記気体が含有された前記美容組成物を撹拌する撹拌工程とを有し、
前記撹拌工程は、前記減圧工程よりもあとに行われる
気体含有美容組成物の製造方法。
【請求項2】
前記気体は、二酸化炭素であって、
前記加圧工程は、前記耐圧容器内の気圧が2~5気圧となる量の二酸化炭素を前記耐圧容器に導入する
請求項1記載の気体含有美容組成物の製造方法。
【請求項3】
前記美容組成物は、50,000mPa・s~600,000mPa・sの粘度を有する半液体状である
請求項2記載の気体含有美容組成物の製造方法。
【請求項4】
前記撹拌工程は、撹拌羽根を備えた撹拌機を使用し、
前記撹拌羽根の回転数を2,000~8,000rpmとする
請求項3記載の気体含有美容組成物の製造方法。
【請求項5】
液体状または半液体状の美容組成物を収容する耐圧容器と、
前記耐圧容器内に気体を供給する気体供給部と、
前記美容組成物が収容された前記耐圧容器に前記気体供給部から前記気体を投入して前記耐圧容器の内部を加圧して前記美容組成物内に前記気体を含有させる加圧工程を行い、前記加圧工程によって加圧された前記耐圧容器の内部を減圧する減圧工程を行った後に、前記美容組成物を撹拌する撹拌部とを備えた
気体含有美容組成物製造装置。
【請求項6】
請求項1から4いずれか1つに記載の気体含有美容組成物の製造方法によって製造された
気体含有美容組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、例えば、美容組成物中に気体を含有させて製造する気体含有美容組成物の製造方法、気体含有美容組成物製造装置、および気体含有美容組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、化粧料といった美容組成物に対して、血行の促進を目的として炭酸ガスを含有させることがある。
【0003】
例えば、炭酸ガスボンベ内に充填された炭酸ガスを減圧弁で大気圧よりも高圧の所定圧力に減圧して容器内に供給しながら、容器を振り動かすことにより、容器内の複数の撹拌ボールを運動させ、被撹拌液状物と炭酸ガスを撹拌・混合し、被撹拌液状物に炭酸ガスを溶解させる炭酸ガス加圧溶解装置および炭酸ガス加圧溶解方法が開示されている(特許文献1参照)。
【0004】
しかし、このような装置および方法で美容組成物に炭酸ガスを混合した場合、血行促進効果が十分に発揮されない問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
この発明は、血行促進効果を十分に発揮できる気体含有美容組成物の製造方法、気体含有美容組成物製造装置、および気体含有美容組成物を提供し、消費者の満足度を向上させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明は、耐圧容器の内部に美容組成物を投入し、前記耐圧容器の内部に気体を投入して加圧する加圧工程と、前記加圧工程によって加圧された前記耐圧容器の内部の圧力を大気圧まで減圧する減圧工程と、前記加圧工程によって前記気体が含有された前記美容組成物を撹拌する撹拌工程とを有し、前記撹拌工程は、前記減圧工程よりもあとに行われる気体含有美容組成物の製造方法であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
この発明により、血行促進効果を十分に発揮できる気体含有美容組成物の製造方法、気体含有美容組成物製造装置、および気体含有美容組成物を提供し、消費者の満足度を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】気体含有美容組成物製造装置の一例を示す構成図。
【
図3a】撹拌機に備えられた撹拌羽根の一例の拡大図。
【
図3b】撹拌機に備えられた撹拌羽根の他の一例の拡大図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施の形態の一つを示す。
【0011】
<気体含有美容組成物製造装置>
図1は、気体含有美容組成物製造装置1の一例を示す構成図である。
気体含有美容組成物製造装置1は、液体状または半液体状(ゲル状)の美容組成物に、気体を含有させる装置である。ここでいう美容組成物とは、具体的には、化粧水(ナノエマルジョン)、ローション、クリーム、乳液、美容液、シャンプー、ヘアリンス、ヘアコンディショナー、ヘアムース、ヘアジェル、ヘアワックス、パック、パックマスク、洗顔フォーム、洗顔料、クレンジングフォーム、クレンジングオイル、クレンジングジェル、クレンジングミルク等とすることができる。この実施例では、ゲル状で肌の上に乗せてパックとして利用できるパック用ゲル状美容組成物を用いている。美容組成物は、半液体状であることが好ましい。また、美容組成物の粘度は、50,000mPa・s以上とすることが好ましく、100,000mPa・s以上とすることがより好ましく、200,000mPa・s以上とすることがさらに好ましい。また、美容組成物の粘度は、600,000mPa・s以下とすることが好ましく、500,000mPa・s以下とすることがより好ましく、400,000mPa・s以下とすることがさらに好ましい。
【0012】
気体含有美容組成物製造装置1は、気体供給部11と、耐圧容器12と、撹拌機13とを有している。気体供給部11と耐圧容器12は、気体流入路14によって接続され、耐圧容器12と撹拌機13は、混合溶液流入路15によって接続されている。なお、混合溶液流入路15は、備えられていなくてもよい。すなわち、撹拌機13は、耐圧容器12と接続されていない独立した装置であってもよい。この場合、耐圧容器12内の美容組成物を手作業によって撹拌機13に移し替えると良い。また、気体含有美容組成物製造装置1は、気体供給部11、耐圧容器12、および撹拌機13を制御する制御部、および制御部を備えたコンピュータを備えていてもよい。
【0013】
気体供給部11は、例えば、高圧の気体(ガス)を内部に充填しているガスボンベである。気体供給部11は、気体供給部11の内部から耐圧容器12へガスを供給する。気体供給部11は、内部から気体流入路14へ排出するガスの量(圧力)を調整する気体量調整部111を備えている。気体量調整部111は、例えば気体供給部11から排出される気体量を制限するバルブとすることができる。気体供給部11から耐圧容器12に供給されるガスの量(圧力)は、ガスの種類によって適する範囲が異なるが、例えば、二酸化炭素(炭酸ガス)である場合は、大気圧を1気圧として、2~5気圧とすることが好ましく、3~4.5気圧とすることがより好ましい。
【0014】
気体供給部11に充填されているガスは、気体含有美容組成物製造装置1の使用者が本発明の気体含有美容組成物に含有させたい気体の種類によって適宜選択される。このようなガスとしては、例えば、気体含有美容組成物に含有されている気体を炭酸とするために、二酸化炭素(炭酸ガス)とすることができる。
【0015】
耐圧容器12は、密閉可能な容器であって、美容組成物とガスとを収容する。ここでいう密閉とは、耐圧容器12の内部に収容されたガスおよび美容組成物が自然に耐圧容器12の内部から外部へ漏れ出さない程度に閉塞されていることを言う。耐圧容器12は、図示省略する投入口が設けられ、この投入口から美容組成物が投入される。耐圧容器12は、気体流入バルブ121と、気体排出バルブ122(減圧バルブ)とを備えているる。また、耐圧容器12は、混合溶液流入路15へ気体混合溶液の排出を許可または制限する混合溶液排出バルブを備えていてもよい。また、耐圧容器12として、例えば、炭酸飲料用のペットボトルを使用してもよい。このような場合、ペットボトル用の圧力キャップを使用することで、耐圧容器12として炭酸飲料用のペットボトルを使用する場合であっても耐圧容器12の内部に気体を導入し、密閉することが可能となる。
【0016】
気体流入バルブ121は、気体供給部11から耐圧容器12への気体の流入を許可または制限する機能を有する。例えば、気体流入バルブ121は、「開」と「閉」の2つの状態の切り替えが相互に可能な構成であり、気体流入バルブ121が「開」の状態のとき、気体供給部11から耐圧容器12へと気体が流入し、気体流入バルブ121が「閉」の状態のとき、気体供給部11から耐圧容器12へと気体は流入しない。なお、気体流入バルブ121は、気体供給部11と耐圧容器12とを接続する気体流入路14に備えられていてもよい。また、気体流入バルブ121は、気体量調整部111としての機能を有していてもよい。
【0017】
気体排出バルブ122は、耐圧容器12の内部から外部への気体の排出を許可または制限する機能を有する。例えば、気体排出バルブ122は、「開」と「閉」の2つの状態の切り替えが相互に可能な構成であり、気体排出バルブ122が「開」の状態のとき、耐圧容器12の内部から外部へと気体が排出され、気体排出バルブ122が「閉」の状態のとき、耐圧容器12の内部から外部へと気体が排出されない。
【0018】
また、この気体排出バルブ122は、通常状態(耐圧容器12内部が大気圧状態)では密閉されており、耐圧容器12内部の気圧(圧力)が所定圧を超えると開放される弁であってもよい。この場合、所定圧は、2~5気圧とすることが好ましく、3~4.5気圧とすることがより好ましい。これにより、気体供給部11からガスを供給して耐圧容器12内の美容組成物内にガスを含有させていき、所定圧を超えると弁からガスが排出されて、さらに気体供給部11からガスを供給して美容組成物内にガスを含有させていくことができる。したがって、美容組成物内へのガス供給を繰り返して美容組成物内に含有させるガスを増加させることができる。
【0019】
図2は、撹拌機13の一例を示す説明図である。
撹拌機13は、収容部131と、撹拌羽根132と、蓋部133と、回転部134と、駆動部135とを備えている。
【0020】
収容部131は、内部に空間を有する容器であって、気体が混合された美容組成物(気体混合溶液)を収容する。本実施例における収容部131は、長手方向の両端が開放された略円筒形状である。また、収容部131は、内部に投入されている気体混合溶液の量が外部から視認可能なように、側面が透明または半透明であることが好ましい。
【0021】
蓋部133は、収容部131の開放された一端(この例では上端)に着脱可能に構成されている。蓋部133の収容部131側には、図示省略するパッキンが設けられており、蓋部133が収容部131に装着されると気体(特に炭酸ガス)および液体が漏れ出ないように密着される。したがって、蓋部133が収容部131に装着されると収容部131の開放された一端が閉じられ、蓋部133が収容部131から取り外されると蓋部133によって閉じられていた収容部131の一端が開放される。
【0022】
駆動部135は、ハウジングの内部にモータが格納されている構成であり、ハウジングの一面によって収容部131の開放された一端を閉じている。本実施例では、駆動部135は、円柱形状のハウジングの内部に図示省略するモータが格納され、円柱の底面の一方で収容部131の開放された一端を閉じている構成である。駆動部135のハウジングの一面と収容部131の接続部は、両者を樹脂材料で形成して溶着して一体化させる、あるいは、一方に接続面にパッキンを設けて気体(特に炭酸ガス)および液体が漏れ出ないように密着して固定させるなど、適宜の構成とすることができる。
【0023】
回転部134は、一端が駆動部135のモータと接続され、反対側のもう一端が撹拌羽根132と接続されている。回転部134は、回転軸が収容部131の長手方向の中心軸と重なるように、この実施例では上下方向となるように配置されている。
【0024】
撹拌羽根132は、樹脂製であって、収容部131の空間内に配置されている。また、撹拌羽根132は、少なくとも1方向から見た場合に線対称となる形状を有し、回転軸が線対称の対象軸となるように回転部134と接続されている。撹拌羽根132は、回転軸の軸方向と半径方向に長さを有し、かつ回転軸を中心として対称な適宜の形状とすることができる。
【0025】
駆動部135のモータが回転すると、回転部134が収容部131の長手方向を回転軸として回転し、回転部134と接続されている撹拌羽根132も回転する。撹拌羽根132(回転部134)の回転数は、下限を2,000rpm以上とすることができ、3,000rpm以上とすることが好ましく、4,000rpm以上とすることがより好ましく、5,000pm程度とすることがより好ましい。また、撹拌羽根132(回転部134)の回転数は、上限を8,000rpm以下とすることができ、7,000rpm以下とすることが好ましく、6,000rpm以下とすることがより好ましく、5,000rpm程度とすることがより好ましい。
【0026】
図3aは、撹拌機13に備えられた撹拌羽根132aの一例の拡大図であり、
図3bは、撹拌機13に備えられた撹拌羽根132bの一例の拡大図である。
撹拌羽根(132a、132b)は、回転軸部(1324a、1324b)と、回転羽根(1321a、1321b)とで構成されている。
【0027】
回転軸部(1324a、1324b)は、収容部131の長手方向に細長い棒状であって、長手方向の一端が回転部134と接続されている。回転軸部(1324a、1324b)は、撹拌羽根132の回転軸と重なっている。
【0028】
回転羽根(1321a、1321b)は、回転軸部(1324a、1324b)と接続され、回転軸部(1324a、1324b)と共に回転する。本実施例の回転羽根(1321a、1321b)は、駆動部135側に配置された第1回転羽根(1322a、1322b)と、蓋部133側に配置された第2回転羽根(1323a、1323b)とで構成されている。
【0029】
第1回転羽根(1322a、1322b)は、回転軸部(1324a、1324b)の側面から収容部131の短手方向に向かって伸びるように形成され、その端部または途中部で収容部131の長手方向へ一部突出するか、端部が収容部131の長手方向へ折れ曲がった形状を有している。また、第1回転羽根(1322a、1322b)は、収容部131の短手方向に向かって伸びている途中(途中部)で第2回転羽根(1323a、1323b)と接続されている。
【0030】
第2回転羽根(1323a、1323b)は、回転軸部(1324a、1324b)の回転部134が接続していない一端に接続されており、さらに、第1回転羽根(1322a、1322b)の途中部にも接続されている。本実施例の第2回転羽根(1323a、1323b)は、軸方向の第1回転羽根(1322a、1322b)側の端部から蓋部133側の端部に向かって、複数の棒形状と、棒形状の先に配置された円形または円形の一部を切り取った形状に形成されている。
【0031】
また、第1回転羽根(1322a、1322b)の幅(収容部131の短手方向への長さ)は、第2回転羽根(1323a、1323b)の幅よりも長く形成されている。すなわち、本実施例の撹拌羽根132は、回転した際に、より駆動部135に近い第1回転羽根(1322a、1322b)の回転によって形成する仮想の周が、蓋部133に近い第2回転羽根(1323a、1323b)の回転によって形成する仮想の周よりも大きくなる。
【0032】
撹拌羽根132の形状は、本実施例に限定されず、例えば複数の羽根を1段だけ備えるプロペラのような形状であってもよい。しかし、本実施例のように第1回転羽根(1322a、1322b)と第2回転羽根(1323a、1323b)とを備え、撹拌羽根132の回転時に、第1回転羽根(1322a、1322b)の方が第2回転羽根(1323a、1323b)よりも半径の大きい円を描く形状であることが好ましい。また、撹拌羽根132は、回転軸方向の長さよりも、半径方向の長さの方が長いことが好ましい。また、撹拌羽根132は、1つの平面内で複数の棒状部材が湾曲あるいは屈曲しつつ枝分かれあるいは合流している適宜の形状で、かつ回転軸の軸芯方向がこの平面内にあるよう形成されることが好ましい。また、撹拌羽根132は、複数の棒状部分の間の間隔が棒状部分の幅よりも広いことが好ましい。このような構成であれば、撹拌羽根132の回転によって、より美容組成物に混合した気体を程よく分散させることができる。
【0033】
なお、本実施例では、気体含有美容組成物製造装置1は、撹拌機13と耐圧容器12は別に設けられているが、撹拌機13と耐圧容器12とが一体となっている形態であってもよい。この場合、撹拌機13の収容部131と蓋部133と駆動部135上面を耐圧容器12とし、注入する圧力に耐えられる構成とすればよい。そして、気体流入バルブ121と、気体排出バルブ122(減圧バルブ)とを備えると良い。これにより、収容部131内に美容組成物を収容し、収容部131が蓋部133によって密閉された状態で気体流入バルブ121からガスを流入させてガスを美容組成物内に含有させ、気体排出バルブ122からガスを排出して再度気体流入バルブ121からガスを流入させてガスを美容組成物内に含有させる工程を繰り返し、ガス流入を停止し気体排出バルブ122からガスを排出してから撹拌機13で気体含有美容組成物を撹拌する一連の動作を効率よく実施できる。
【0034】
<気体含有美容組成物の製造方法>
図4は、気体含有美容組成物の製造フロー図である。
まず、美容組成物が耐圧容器12内に投入口(図示省略)から投入される(ステップS1)。投入される美容組成物は、耐圧容器の容量(収納可能容量)に対して3~6割の量とすることができる。ここでいう美容組成物は、適宜のものを使用できるが、この実施例ではゲル状で肌の上に乗せてパックとして利用できるパック用ゲル状美容組成物である。
【0035】
次に、投入口を閉じることで耐圧容器12の内部を密閉し、気体(ガス)を導入する(ステップS2)。ガスの量(圧力)は、例えば、ガスを二酸化炭素とする場合は、大気圧を1気圧として、2~5気圧とすることが好ましく、3~4.5気圧とすることがより好ましい。すなわち、耐圧容器12の内部が、ガスによって加圧されている状態とし、美容組成物中に気体を含有(溶解)させて気体混合溶液を作成する。
【0036】
次に、加圧された耐圧容器12の内部を1気圧(大気圧)まで減圧する(ステップS3)。減圧の方法としては、耐圧容器12に備えられた気体排出バルブ122を「開」の状態とする方法や、耐圧容器12としてペットボトルを使用している場合は、圧力キャップを緩める方法とすることができる。このステップS2~S3を繰り返し、美容組成物中に含有される気体を多くしてもよい。このようにして気体混合溶液を作成した後、一旦気体混合溶液を冷蔵してもよい。冷蔵温度としては、2~5℃とすることができる。
【0037】
次に、耐圧容器12内の気体混合溶液(美容組成物にガスを含有させたもの)を混合溶液流入路15から撹拌機13へ移動させた上で、撹拌機13が気体混合溶液を撹拌し、溶液中に気体を分散させて気体含有美容組成物を作成する(ステップS4)。すなわち、気体混合溶液の撹拌は、加圧後、減圧された状態で行われる。撹拌方法としては、撹拌機13のような撹拌機、ミキサー、またはシェイカーを使用する方法であってもよく、耐圧容器12を手で振ることによる方法であってもよい。撹拌機13、ミキサー、またはシェイカーを使用する場合、撹拌羽根および撹拌羽根に該当する部材の回転数は、下限を2,000rpm以上とすることができ、3,000rpm以上とすることが好ましく、4,000rpm以上とすることがより好ましく、5,000pm程度とすることがより好ましい。また、撹拌羽根および撹拌羽根に該当する部材の回転数は、上限を8,000rpm以下とすることができ、7,000rpm以下とすることが好ましく、6,000rpm以下とすることがより好ましく、5,000rpm程度とすることがより好ましい。
【0038】
このようにして製造された気体含有美容組成物は、液体状または半液体状の美容組成物中に気体(ガス)が含有され、加圧状態で溶解した気体が大気圧に戻ることで分離し、発泡した状態となるそして、撹拌機13で撹拌されることによって、美容組成物中に溶解している気体(ガス)も気体状となり、気体含有美容組成物内に気泡状態で含有れている気体(ガス)の気泡数および気泡総体積が多くなる。また、気体含有美容組成物は、原料とした美容組成物と同じ用途で使用することができる。消費者(気体含有美容組成物を使用する者)は、製造された気体含有美容組成物を冷蔵して保存することができる。冷蔵温度としては、2~5℃とすることができる。一方で、時間経過で含有されている気体の分離が進むことや、空気中で美容組成物が変質する可能性があることから、作成後48時間以内に使用されることが好ましい。
【0039】
以上の構成により、血行促進効果を十分に発揮できる気体含有美容組成物製造装置、気体含有美容組成物の製造方法、および気体含有美容組成物を提供できる。作成された気体含有美容組成物は、ガス含有量(二酸化炭素含有量)が5,000ppm以上とすることができ、この実施例では5,600ppmとすることができる。
本発明の気体含有美容組成物は、美容組成物を含有させる気体によって加圧して気体を混合したあと減圧し、その後撹拌されて作成される。この構成により、加圧しながら撹拌する場合と比較して、より自然な量の気体が美容組成物中に含有され、より高い血行促進効果を発揮することができる。また、加圧しながら撹拌する場合と比較して、撹拌の作業における安全性を高くすることができる。
【0040】
また、美容組成物に混合される気体は、二酸化炭素であって、大気圧を1気圧として、圧力が2~5気圧の量となるように容器の内部に二酸化炭素が導入される。この構成により、美容組成物に含有される二酸化炭素を、大気圧中で導入するよりも増加させることができ、例えば3.5気圧で5600ppm程度導入させることができる。
【0041】
また、美容組成物は、50,000mPa・s~600,000mPa・sの粘度を有する半液体状である。この構成により、十分な量の気体を含有しながら、塗布時の扱いやすさを好適な粘度とすることができ、さらには肌への塗布時に垂れることを防止することができる。すなわち、消費者が肌に対して好適に使用できる気体含有美容組成物とすることができる。
【0042】
また、撹拌羽根は、気体混合溶液の撹拌を行う際の回転数が2,000~8,000rpmである。この構成により、気体混合溶液に混合(溶解)している気体を、溶液中に気泡として十分に分散させることができる。また、分散時の衝撃によって分離する気体の量を最低限とすることができる。また、減圧後に撹拌することにより、気体含有美容組成物中に気泡として存在する二酸化炭素を増加させることができ、パックとして皮膚に塗布した際に二酸化炭素が皮膚に触れる量を増加させることができる。
【0043】
また、撹拌羽根132は、1つの平面内で複数の棒状部材が湾曲あるいは屈曲しつつ枝分かれあるいは合流している適宜の形状で、かつ回転軸の軸芯方向がこの平面内にあるよう形成されているため、気体混合溶液内に複雑な液流を発生させることができる。これにより、気体混合溶液中に多くの気体を分散させることができ、気体含有美容組成物中の二酸化炭素を増加させることができる。また、撹拌羽根132は、複数の棒状部分の間の間隔が棒状部分の幅よりも広いため、撹拌により発生させた二酸化炭素をできるだけ気体含有美容組成物中に留めることができ、気体含有美容組成物中の二酸化炭素の含有量をできるだけ増大させることができる。また、撹拌羽根132は、複数の棒状部材が湾曲あるいは屈曲しつつ枝分かれあるいは合流している適宜の形状の中に棒状部材で囲まれた輪状部分を有している。このため、撹拌羽根132を回転させると、気体混合溶液を撹拌しながらこの輪状部分の中を通過させることができる。これにより、輪状部分で撹拌して気体を発生させながら輪状部分の内側はさほど撹拌せずに気体を分散させて残していくことができ、気体含有美容組成物中の二酸化炭素の含有量をできるだけ増大させることができる。特に、美容組成物の粘度を上述した範囲の高い粘度としていることにより、上述した形状の撹拌羽根132での撹拌により気泡化させた大量の二酸化炭素をできるだけ多く気体含有美容組成物中に残存させることができる。
【0044】
このようにして作成された気体含有美容組成物は、皮膚に塗布して使用することで血行を促進でき、使用時の刺激も少なく良好であり、使用時の質感もよく、使用時の塗りやすさもよく、使用時に垂れにくく、使用後にトーンアップ(肌が明るくなる効果)が得られ、使用後の肌の赤みも少なく、使用後の肌のハリが良くなり、使用後のむくみも生じないという種々の効果を得ることができる。また他にも、気体含有美容組成物は、様々な効果を得ることができる。例えば、床ずれ部分に塗布することで床ずれの治療効果を得ることができる。また、肌のくすんでいる部分に塗布することでくすみの改善効果を得ることができる。また、毛穴の気になる部分へ塗布することで毛穴の縮小効果を得ることができる。また、シミやそばかすなどの色素沈着部分に塗布することで色素沈着の改善効果を得ることができる。また、シワの気になる部分に塗布することでシワの改善効果を得ることができる。また、肌のたるんでいる部分に塗布することでたるみの軽減効果を得ることができる。また、顔に塗布することで顔ヤセ効果を得ることができる。また、気体含有美容組成物を冷蔵することで、気体含有美容組成物中に保存する二酸化炭素量を増大でき、かつ、使用時に皮膚が熱を持ちすぎることを防止でき、上述した効果を高めることができる。
【0045】
<実施例>
冷却した顔塗布用のジェルを炭酸飲料用ペットボトル(容量500ml)に100g投入し、圧力キャップを装着した。その後、炭酸ガスボンベから二酸化炭素を4.5気圧でペットボトル内に導入した。その後、圧力キャップを緩めてペットボトル内部の圧力を解除(減圧)し、気体混合溶液を
図3aに示した形状の撹拌羽根を備える撹拌機に投入した。撹拌羽根を5,000rpmの回転数で回転させ、気体混合溶液を攪拌して、取り出した気体含有美容組成物を実施例とした。
【0046】
<比較例>
冷却した顔用のジェルを炭酸飲料用ペットボトル(容量500ml)に100g投入し、圧力キャップを装着した。その後、炭酸ガスボンベから二酸化炭素を4.5気圧でペットボトル内に導入し、この状態(加圧状態)のまま手で振って撹拌させた。その後、圧力キャップを緩めてペットボトル内部の圧力を解除(減圧)し、ペットボトルから取り出した気体含有美容組成物を比較例とした。
【0047】
実施例の気体含有美容組成物および比較例の気体含有美容組成物を10人に使用してもらい、「使用後の血行」「使用時の刺激」「使用時の質感」「使用時の塗りやすさ」「使用時の垂れにくさ」「使用後のトーンアップ」「使用後の肌の赤み」「使用後の肌のハリ」「使用後のむくみ」の9つの項目について、それぞれ5段階で評価してもらった。5段階の評価の内、最も良い評価を5点として、良い評価から順番に4点、3点、2点、1点として実施例および比較例のそれぞれの項目の平均点を算出した。
各平均点について、4点以上を◎、3.5点以上を○、3点以上を△、3点未満を×としてまとめたものを表1に示す。
【0048】
【0049】
加圧後、減圧してから撹拌した実施例は、加圧しながら撹拌した比較例と比較して、「使用後の血行」「使用時の刺激」「使用時の質感」「使用時の塗りやすさ」「使用時の垂れにくさ」「使用後のトーンアップ」「使用後の肌の赤み」「使用後の肌のハリ」「使用後のむくみ」のすべての項目で良好な結果であった。したがって、加圧後、減圧してから撹拌することで、加圧しながら撹拌した場合よりも、血行促進効果が高くなるだけでなく、使用時の刺激が強すぎることがなく、使用時の質感が良好であり、使用時の塗りやすさが良好であり、使用時に垂れづらく、使用後の肌のトーンアップが可能であり、使用後に肌が赤くならず、使用後に肌のハリが向上し、使用後にむくまないといった多くの効果を得ることができる。
【0050】
本発明の加圧工程は、実施形態のステップS2に対応し、以下同様に、
減圧工程は、ステップS3に対応し、
撹拌工程は、ステップS4に対応し、
撹拌部は、撹拌羽根132に対応するが、
この発明は、上述の実施例の構成のみに限定されるものではなく、多くの実施の形態を得ることができる。
【産業上の利用可能性】
【0051】
この発明は、化粧品などの美容組成物に気体を含有させる製造および製造した気体含有美容組成物の販売に利用することができる。
【符号の説明】
【0052】
1…気体含有美容組成物製造装置
11…気体供給部
111…気体量調整部
12…耐圧容器
121…気体流入バルブ
122…気体排出バルブ
13…撹拌機
131…収容部
132…撹拌羽根
133…蓋部
134…回転部
135…駆動部
14…気体流入路
15…混合容器流入路