(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024114481
(43)【公開日】2024-08-23
(54)【発明の名称】高圧受電設備のパネル構造体
(51)【国際特許分類】
H02B 1/04 20060101AFI20240816BHJP
【FI】
H02B1/04 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023020277
(22)【出願日】2023-02-13
(71)【出願人】
【識別番号】000124591
【氏名又は名称】河村電器産業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【弁理士】
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100175824
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100114937
【弁理士】
【氏名又は名称】松本 裕幸
(74)【代理人】
【識別番号】100140718
【弁理士】
【氏名又は名称】仁内 宏紀
(72)【発明者】
【氏名】寺社下 文也
(72)【発明者】
【氏名】長村 勇希
【テーマコード(参考)】
5G016
【Fターム(参考)】
5G016CD02
5G016CD24
(57)【要約】
【課題】多数の機器を相互に干渉することなく上部側に集約して配置することができる高圧受電設備のパネル構造体を提供する。
【解決手段】高圧受電設備のパネル構造体は、機器設置用パネル10と、機器設置用ブラケット11と、を備えている。機器設置用パネル10は、主要な機器が前面側に設置される。機器設置用ブラケット11は、機器設置用パネル10の上縁部の後面側に脱着可能に取り付けられる。機器設置用ブラケット11には、他の機器が機器設置用パネル10の後面から離間するように設置される。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
主要な機器が前面側に設置される機器設置用パネルと、
前記機器設置用パネルの上縁部の後面側に脱着可能に取り付けられ、他の機器が前記機器設置用パネルの後面から離間した位置に設置される機器設置用ブラケットと、
を備えていることを特徴とする高圧受電設備のパネル構造体。
【請求項2】
前記機器設置用パネルの前記上縁部の複数個所には、前記機器設置用ブラケットを取り付け可能な被取付部が設けられていることを特徴とする請求項1に記載の高圧受電設備のパネル構造体。
【請求項3】
前記機器設置用パネルの上端部には、後方に向かって屈曲した屈曲片が延設され、前記被取付部は、前記屈曲片に設けられていることを特徴とする請求項2に記載の高圧受電設備のパネル構造体。
【請求項4】
前記機器設置用ブラケットは、
前記屈曲片に取り付けられる上部壁と、
前記上部壁の後部から下方に屈曲して延びる機器設置壁と、を備え、
他の前記機器は前記機器設置壁に取り付けられることを特徴とする請求項3に記載の高圧受電設備のパネル構造体。
【請求項5】
他の前記機器は、前記機器設置壁の後面に設置されることを特徴とする請求項4に記載の高圧受電設備のパネル構造体。
【請求項6】
前記上部壁の前端部には、当該上部壁の前端部から下方に屈曲して前面が前記機器設置用パネルの後面に突き当てられる突き当て壁が延設され、
前記上部壁は、上面が前記屈曲片の下面に重ねて取り付けられることを特徴とする請求項4または5に記載の高圧受電設備のパネル構造体。
【請求項7】
前記上部壁と前記機器設置壁の側部は両者に跨る側部補強壁によって補強され、
前記側部補強壁の前端部は、前記突き当て壁の後面よりも後方側にオフセットして配置されていることを特徴とする請求項6に記載の高圧受電設備のパネル構造体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高圧受電設備のパネル構造体に関するものである。
【背景技術】
【0002】
工場や商業施設等においては、キュービクル式の高圧受電設備が広く使用されている。この高圧受電設備は、金属製の筐体内に、変圧器や遮断器等の機器とともに配電盤等の機器設置用パネルが収納されている(例えば、特許文献1,2参照)。
【0003】
機器設置用パネルには、電力の各種の状態をデジタル表示する監視装置や、電流計や電圧計等の計器、ヒューズ、配線機器等の多くの機器が取り付けられる。このような機器設置用パネルは、監視装置や計器を点検作業時に容易に視認できるように、これらが点検扉に対向するように筐体内に配置されている。つまり、機器設置用パネルは、監視装置や計器等の主要な機器が前面(点検扉のある開口側)に向くように筐体内に取り付けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第3169313号公報
【特許文献2】特開2019-22388号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
単体の機器設置用パネルを使用する上記のパネル構造体は、一枚の機器設置用パネルに多数の機器が取り付けられている。また、監視装置や計器等の機器は、点検作業時に作業者が視認し易い高さ位置に配置する必要がある。このため、機器設置用パネルの上部領域には多くの機器が密集して配置される傾向がある。
【0006】
このような現状において、監視装置や計器等の他の機器からのノイズの影響を受けたくない機器の近くにノイズフィルター等の機器を追加設置したい要望がある。しかし、機器設置用パネルの上部領域のスペースは限られているため、上記のパネル構造体では、機器同士の干渉を回避しつつ、さらに多数の機器を集約して配置することは難しい。
【0007】
そこで本発明は、多数の機器を相互に干渉することなく上部側に集約して配置することができる高圧受電設備のパネル構造体を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る高圧受電設備のパネル構造体は、上記課題を解決するために、以下の構成を採用した。
即ち、本発明に係る高圧受電設備のパネル構造体は、主要な機器が前面側に設置される機器設置用パネルと、前記機器設置用パネルの上縁部の後面側に脱着可能に取り付けられ、他の機器が前記機器設置用パネルの後面から離間した位置に設置される機器設置用ブラケットと、を備えていることを特徴とする。
【0009】
上記の構成により、主要な機器は機器設置用パネルの前面側に設置され、他の機器は、機器設置用ブラケットに設置される。こうして機器設置用ブラケットに取り付けられた他の機器は、機器設置用パネルの後面から離間して配置される。したがって、本構成を採用した場合には、他の機器を機器設置用パネル上の主要な機器と干渉することがなく、しかも離間し過ぎない位置に配置することができる。
また、本構成の高圧受電設備のパネル構造体は、機器設置用ブラケットが機器設置用パネルの上縁部の後面側に脱着可能に取り付けられるため、機器設置用ブラケットを備える仕様のパネル構造体と、機器設置用ブラケットを備えない仕様のパネル構造体で機器設置用パネルを共用することができる。したがって、本構成を採用した場合には、機器設置用パネルの生産性を高め、製品コストの抑制を図ることができる。
【0010】
前記機器設置用パネルの前記上縁部の複数個所には、前記機器設置用ブラケットを取り付け可能な被取付部が設けられるようにしても良い。
【0011】
この場合、機器設置用ブラケットは、機器設置用パネルの上縁部の複数個所の被取付部に対して取り付け可能とされているため、パネル構造体の仕様に応じて、機器設置用ブラケットの取付位置や取付個数を柔軟に変更することができる。
【0012】
前記機器設置用パネルの上端部には、後方に向かって屈曲した屈曲片が延設され、前記被取付部は、前記屈曲片に設けられるようにしても良い。
【0013】
この場合、機器設置用ブラケットが取り付けられる被取付部が屈曲片に設けられているため、被取付部やねじ等の取付具が機器設置用パネルの主面を大きく占有しなくなる。したがって、本構成を採用した場合には、多数の機器をパネル構造体の上部領域により集約して配置することが可能になる。
【0014】
前記機器設置用ブラケットは、前記屈曲片に取り付けられる上部壁と、前記上部壁の後部から下方に屈曲して延びる機器設置壁と、を備え、他の前記機器は前記機器設置壁に取り付けられるようにしても良い。
【0015】
この場合、機器設置用ブラケットの上部壁の後部から下方に延びる機器設置壁に他の機器が取り付けられるため、機器設置用パネルの後面に対して他の機器を容易に離間させることができる。したがって、本構成を採用した場合には、他の機器と機器設置用パネル上の主要な機器との干渉を容易に回避することができる。
【0016】
他の前記機器は、前記機器設置壁の後面に設置されるようにしても良い。
【0017】
この場合、他の機器が機器設置壁の後面側に設置されるため、他の機器と機器設置用パネル上の主要な機器との干渉をより確実に回避することができる。
【0018】
前記上部壁の前端部には、当該上部壁の前端部から下方に屈曲して前面が前記機器設置用パネルの後面に突き当てられる突き当て壁が延設され、前記上部壁は、上面が前記屈曲片の下面に重ねて取り付けられるようにしても良い。
【0019】
この場合、機器設置用ブラケットは、突き当て壁が機器設置用パネルの後面に突き当たられた状態で上部壁の上面が機器設置用パネルの屈曲片の下面に取り付けられる。このため、屈曲片上の上部壁の取付部にモーメントとして作用する機器設置用ブラケットや他の機器の荷重を、突き当て壁と機器設置用パネルの当接部(突き当て部)によって分散支持することができる。したがって、本構成を採用した場合には、機器設置用ブラケットの支持剛性を高めることができるとともに、屈曲片と上部壁の間の取付部に過負荷が作用するのを避けることができる。
【0020】
前記上部壁と前記機器設置壁の側部は両者に跨る側部補強壁によって補強され、前記側部補強壁の前端部は、前記突き当て壁の後面よりも後方側にオフセットして配置されるようにしても良い。
【0021】
この場合、側部補強壁によって機器設置用ブラケットの剛性を高めることができる。また、側部補強壁の前端部は突き当て壁の後面よりも後方側にオフセットしているため、機器設置用ブラケットの突き当て壁を機器設置用パネルの後面に突き当てたときには、側方視で機器設置用パネルの後面と側部補強壁の前端部の間に隙間ができる。このため、機器設置用ブラケットの上部壁を機器設置用パネルの屈曲片にねじ止め等によって固定する際には、この隙間を利用して側方から固定作業の状態を容易に目視確認することができる。したがって、本構成を採用した場合には、機器設置用ブラケットの取付作業性を高めることができる。
【発明の効果】
【0022】
本発明に係る高圧受電設備のパネル構造体は、一部の機器(他の機器)を機器設置用パネルの後面から離間した位置に設置する機器設置用ブラケットを備え、その機器設置用ブラケットが機器設置用パネルの上縁部の後面側に脱着可能に取り付けられている。このため、一部の機器(他の機器)を、機器設置用パネル上の主要な機器と干渉することがなく、しかも離間し過ぎない位置に配置することができる。したがって、本発明に係る高圧受電設備のパネル構造体を採用した場合には、多数の機器を相互に干渉することなく上部側に集約して配置することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】実施形態のパネル構造体を前面側から見た斜視図。
【
図2】実施形態のパネル構造体の一部を後面側から見た斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
なお、図面の適所には、高圧受電設備の鉛直上方を指す矢印UPと、高圧受電設備の点検扉(図示せず)のある前方を指す矢印FRが記されている。各図の矢印の向きは、高圧受電設備に取り付けられたときにおける向きを意味している。
【0025】
図1は、本実施形態のパネル構造体1を前面側から見た斜視図であり、
図2は、パネル構造体1の一部を後面側から見た斜視図である。また、
図3は、パネル構造体1の一部を右側方から見た側面図である。
パネル構造体1は、キュービクル式の高圧受電設備の筐体内に、変圧器や遮断器等の機器とともに収納されるパネル構造体である。パネル構造体1は、正面視が略矩形状の金属製の機器設置用パネル10と、機器設置用パネル10の上縁部の後面側に脱着可能に取り付けられる金属製の機器設置用ブラケット11と、を備えている。
【0026】
機器設置用パネル10は、
図2に仮想線で示すように、左右の側縁部が上下方向に延びる筐体内の一対の側部フレーム2に夫々取り付け可能とされている。機器設置用パネル10は、筐体内の一対の側部フレーム2に取り付けられた状態において、板面が筐体の点検扉のある前面側を向く。
【0027】
機器設置用パネル10は、電力の各種の状態をデジタル表示する監視装置3(機器)やその他の主要な機器4,5が前面側に設置されている。なお、機器が機器設置用パネル10の前面側に設置されるとは、機器の主要な部分が前面側を向いて設置されることを意味し、機器の一部は機器設置用パネル10の後面側に貫通していても良い。これらの主要な機器のうちの監視装置3は、機器設置用パネル10の前面側の上部領域に設置されている。監視装置3の情報表示面3a(情報表示窓)は、機器設置用パネル10の前方側を向くように設置されている。
【0028】
機器設置用パネル10の上端部には、後方側に向かって略直角に屈曲した屈曲片12が設けられている。屈曲片12は、機器設置用パネル10の上端部の幅のほぼ全域が後方側に略直角に折り曲げられている。屈曲片12には、幅方向に離間して複数組のねじ孔13の対が形成されている。
なお、本実施形態では、屈曲片12は、機器設置用パネル10の上端部の幅のほぼ全域が後方側に略直角に折り曲げられているが、屈曲片12は、機器設置用パネル10の上端部の全幅の一部にのみ設けることも可能である。また、屈曲片12は、一つではなく機器設置用パネル10の上端部に複数に分離させて配置することも可能である。
【0029】
各対の二つのねじ孔13の離間幅は同幅に設定されている。対を成すねじ孔13は、後に詳述する機器設置用ブラケット11を屈曲片12に取り付けるための被取付部である。対を成すねじ孔13(被取付部)は、機器設置用パネル10の屈曲片12の複数個所に離間して配置されている。機器設置用ブラケット11を取り付ける箇所のねじ孔13には、固定用のねじ14の軸部が上方側から挿入される。機器設置用ブラケット11は、ねじ孔13を貫通したねじ14によって屈曲片12に固定される。
【0030】
図4は、機器設置用ブラケット11の斜視図であり、
図5は、機器設置用ブラケット11の右側面図である。また、
図6は、機器設置用ブラケット11の正面図(前面図)である。
機器設置用ブラケット11は、機器設置用パネル10の屈曲片12に取り付けられる上部壁11aと、上部壁11aの後端部から下方に直角に屈曲して延びる機器設置壁11bと、上部壁11aと機器設置壁11bの左右の同側の側部を連結する一対の側部補強壁11cと、を備えている。機器設置用ブラケット11は、所定形状に打ち抜かれた金属板が折り曲げられて形成されている。
【0031】
上部壁11aと機器設置壁11bは、幅方向が長尺な略長方形状の正面視形状に形成されている。左右の各側部補強壁11cは、略L字状の正面視形状に形成されている。側部補強壁11cの一辺は、機器設置壁11bの側端部に連設され、側部補強壁11cの他辺は、上部壁11aの側端部に連設されている。本実施形態の場合、機器設置壁11bの側端部と側部補強壁11cとは、金属板の折り曲げによって連設され、側部補強壁11cと上部壁11aの側端部とは、各部の折り曲げ後の溶接によって連設されている。
【0032】
図2,
図3に示すように、機器設置壁11bの後面には、電気絶縁性の樹脂板15を介して、他の機器の一形態である複数のノイズフィルター6A,6Bが取り付けられている。こうして機器設置壁11bの後面に取り付けられたノイズフィルター6A,6B(他の機器)は、機器設置用ブラケット11が機器設置用パネル10の上縁部に取り付けられると、機器設置用パネル10の後面に対して後方側に所定距離離間した位置に設置されることになる。機器設置用ブラケット11を介して機器設置用パネル10の上縁部の後方側に設置されたノイズフィルター6A,6Bは、機器設置用パネル10の上部領域に配置されている監視装置3等の機器に他の機器からノイズが作用するのを抑制する。
【0033】
機器設置用ブラケット11は、上部壁11aの前端部から下方に屈曲して前面が機器設置用パネル10の後面に突き当てられる突き当て壁11dをさらに備えている。また、
図4に示すように、機器設置用ブラケット11は、上部壁11aの前縁部に、取付用のねじ14(
図1~
図3参照)の軸部が螺合される一対のねじ孔16が形成されている。この一対のねじ孔16は、機器設置用パネル10の屈曲片12に設けられた各対のねじ孔13の離間幅と同じ離間幅になるように形成されている。上部壁11aは、その上面が機器設置用パネル10の屈曲片12の所定位置の下面に重ねられ、その状態でねじ14によって屈曲片12に固定される。
図1~
図3では、屈曲片12の最も右寄りに配置されているねじ孔13の対を用いて機器設置用ブラケット11が機器設置用パネル10の上縁部に取り付けられた状態が示されている。
なお、本実施形態では、上部壁11aの前縁部に、雌ねじの切られたねじ孔16が設けられているが、ねじ孔16に雌ねじを切らずに上部壁11aの下面側にウェルドナットを設けるようにしても良い。
【0034】
また、
図3に示すように、機器設置用ブラケット11の左右の各側部補強壁11cの前端部11cfは、突き当て壁11dの後面11drよりも所定距離後方側にオフセットして配置されている。このため、
図3に示すように機器設置用ブラケット11の突き当て壁11dが機器設置用パネル10の後面に突き当てられると、これらの側方視において、機器設置用パネル10の後面と各側部補強壁11cの前端部11cfの間に隙間dができる。この隙間dは、機器設置用ブラケット11を機器設置用パネル10に取り付けるときに、機器設置用ブラケット11の上部壁11aに対するねじ14の螺合状態を目視確認できる幅に設定されている。
【0035】
以上のように、本実施形態の高圧受電設備のパネル構造体1は、ノイズフィルター6A,6B(他の機器)を機器設置用パネル10の後面から離間した位置に設置する機器設置用ブラケット11を備え、その機器設置用ブラケット11が機器設置用パネル10の上縁部の後面側に脱着可能に取り付けられている。このため、ノイズフィルター6A,6Bを、機器設置用パネル10上の主要な機器と干渉することがなく、しかも離間し過ぎない位置に配置することができる。したがって、本実施形態の高圧受電設備のパネル構造体1を採用した場合には、多数の機器を相互に干渉することなく上部側に集約して配置することができる。
【0036】
また、本実施形態の高圧受電設備のパネル構造体1は、機器設置用ブラケット11が機器設置用パネル10の上縁部の後面側に脱着可能に取り付けられるため、機器設置用ブラケット11を備える仕様のパネル構造体1と、機器設置用ブラケット11を備えない仕様のパネル構造体で機器設置用パネル10を共用することができる。したがって、本実施形態の構成を採用した場合には、機器設置用パネル10の生産性を高め、製品コストの抑制を図ることができる。
【0037】
また、本実施形態の高圧受電設備のパネル構造体1は、機器設置用パネル10の上縁部の複数個所に、機器設置用ブラケット11を取り付け可能なねじ孔13の対(被取付部)が設けられている。このため、パネル構造体1の仕様に応じて、機器設置用ブラケット11の取付位置や取付個数等を柔軟に変更することができる。
図1~
図3では、機器設置用パネル10の上縁部の最も右側のねじ孔13の対を用いて機器設置用ブラケット11を機器設置用パネル10の右側寄り部分に取り付けている。しかし、機器設置用ブラケット11は、機器設置用パネル10の上縁部の中央のねじ孔13の対を用いて機器設置用ブラケット11を機器設置用パネル10の右側寄り部分に取り付けたり、機器設置用パネル10の上縁部の最も左側のねじ孔13の対を用いて機器設置用ブラケット11を機器設置用パネル10の左側寄り部分に取り付けることもできる。
また、
図1~
図3では、機器設置用パネル10の上縁部に一つの機器設置用ブラケット11を取り付けているが、機器設置用パネル10の上縁部には同様の機器設置用ブラケット11を二つ設置することも、三つ設置することもできる。さらに、大型の機器設置用ブラケット11を複数対のねじ孔13を用いて機器設置用パネル10に取り付けることもできる。
【0038】
さらに、本実施形態の高圧受電設備のパネル構造体1は、機器設置用パネル10の上端部に後方に向かって屈曲した屈曲片12が延設され、被取付部である複数のねじ孔13の対が屈曲片12に形成されている。この場合、被取付部である複数のねじ孔13の対が屈曲片12に設けられているため、ねじ孔13やねじ14等の取付器具が機器設置用パネル10の上部領域の主要な面を大きく占有しなくなる。したがって、本構成を採用した場合には、多数の機器をパネル構造体1の上部領域により集約して配置することが可能になる。
ただし、機器設置用ブラケット11を機器設置用パネル10の上縁部に取り付けるための被取付部は、機器設置用パネル10の上端部に屈曲片12を設けることなく、機器設置用パネル10の上部領域の主面に直接設けることも可能である。
【0039】
また、本実施形態の高圧受電設備のパネル構造体1は、機器設置用ブラケット11が、機器設置用パネル10の屈曲片12に取り付けられる上部壁11aと、その上部壁11aの後部から下方に屈曲して延びる機器設置壁11bと、を備えている。そして、機器設置用ブラケット11の機器設置壁11bにノイズフィルター6A,6B(他の機器)が取り付けられている。このため、機器設置用ブラケット11に設置するノイズフィルター6A,6B(他の機器)を機器設置用パネル10の後面から容易に離間させることができる。したがって、本構成を採用した場合には、ノイズフィルター6A,6B(他の機器)と機器設置用パネル10上の主要な機器との干渉を容易に回避することができる。
【0040】
また、本実施形態の高圧受電設備のパネル構造体1では、他の機器であるノイズフィルター6A,6Bが機器設置用ブラケット11の機器設置壁11bの後面に設置されている。このため、ノイズフィルター6A,6B(他の機器)と機器設置用パネル10上の主要な機器との干渉をより確実に回避することができる。
【0041】
また、本実施形態の高圧受電設備のパネル構造体1は、機器設置用ブラケット11の上部壁11aの前端部に突き当て壁11dが延設され、その突き当て壁11dが機器設置用パネル10の後面に突き当てられた状態で、上部壁11aの上面が屈曲片12の下面に重ねて取り付けられる。このため、屈曲片12上の締結部にモーメントとして作用する機器設置用ブラケット11やノイズフィルター6A,6Bの荷重を、突き当て壁11dと機器設置用パネル10の当接部によって分散支持することができる。したがって、本構成を採用した場合には、機器設置用ブラケット11の支持剛性を高めることができるとともに、屈曲片12と上部壁11aの間の取付部に過負荷が作用するのを避けることができる。
【0042】
さらに、本実施形態の高圧受電設備のパネル構造体1は、機器設置用ブラケット11の上部壁11aと機器設置壁11bの側部が側部補強壁11cによって補強され、側部補強壁11cの前端部11cfが突き当て壁11dの後面11drよりも後方側にオフセットして配置されている。このため、側部補強壁11cによって機器設置用ブラケット11の剛性を高めることができる。
また、本構成を採用した場合には、機器設置用ブラケット11の突き当て壁11dを機器設置用パネル10の後面に突き当てたときに、側方視で機器設置用パネル10の後面と側部補強壁11cの前端部11cfの間に隙間dができる。このため、機器設置用ブラケット11の上部壁11aを機器設置用パネル10の屈曲片12にねじ14によって締結する際には、上記の隙間dを利用して側方から締結作業の状態を容易に目視確認することができる。したがって、本構成を採用した場合には、機器設置用ブラケット11の取付作業性を高めることができる。
【0043】
なお、本発明は上記の実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々の設計変更が可能である。例えば、上記の実施形態では、機器設置用ブラケット11にノイズフィルター6A,6Bが設置されているが、機器設置用ブラケット11に設置する機器はこれに限定されない。機器設置用ブラケット11に設置する機器は、監視装置3等の機器設置用パネル10の前面に設置する必然性のある機器以外であれば種々の機器を設置することができる。機器設置用ブラケット11には、例えば、ヒューズ等を設置することも可能である。
【符号の説明】
【0044】
1…パネル構造体
3…監視装置(主要な機器)
4,5…機器(主要な機器)
6A,6B…ノイズフィルター(他の機器)
10…機器設置用パネル
11…機器設置用ブラケット
11a…上部壁
11b…機器設置壁
11c…側部補強壁
11cf…側部補強壁の前端部
11d…突き当て壁
11dr…突き当て壁の後面
12…屈曲片
13…ねじ孔(被取付部)