(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024114488
(43)【公開日】2024-08-23
(54)【発明の名称】照明制御システム
(51)【国際特許分類】
H05B 47/18 20200101AFI20240816BHJP
H05B 47/19 20200101ALI20240816BHJP
H05B 47/105 20200101ALI20240816BHJP
【FI】
H05B47/18
H05B47/19
H05B47/105
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023020287
(22)【出願日】2023-02-13
(71)【出願人】
【識別番号】000006013
【氏名又は名称】三菱電機株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】390014546
【氏名又は名称】三菱電機照明株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003199
【氏名又は名称】弁理士法人高田・高橋国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】大島 悠一
(72)【発明者】
【氏名】船山 信介
(72)【発明者】
【氏名】芝原 信一
【テーマコード(参考)】
3K273
【Fターム(参考)】
3K273PA09
3K273QA07
3K273QA29
3K273RA02
3K273RA16
3K273SA21
3K273SA38
3K273SA46
3K273SA57
3K273TA03
3K273TA15
3K273TA22
3K273TA52
3K273TA54
3K273TA62
3K273TA66
3K273TA73
3K273UA16
3K273UA17
3K273UA19
3K273UA22
3K273UA24
(57)【要約】
【課題】本開示は照明制御システムに関し、制御装置と端末装置との直接の通信ルートの設定を省略することのできる照明制御システムを提供することを目的とする。
【解決手段】本開示の照明制御システムは、照明器具と、照明器具と第一の通信を行う制御装置と、端末装置とを備える。照明器具は、端末装置と第二の通信を行なう。端末装置は、自己の種類と、自己が送信したことを示す情報を付加した第二の信号を第二の通信により照明器具に対して送信する。照明器具は、第二の信号を送信した端末装置の種類の情報を付加した第一の信号を制御装置に対して送信する。制御装置は、第一の信号に基づき、制御装置の位置情報の収集を完了する。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光源を備える照明器具と、
前記照明器具の位置情報と第一のIPアドレスを記憶し、前記照明器具と第一の通信を行う制御装置と、
端末装置と、
を備え、
前記照明器具は、
前記端末装置と有線または無線による第二の通信を行なう処理を実行するように構成され、
前記端末装置は、
自己の種類と、自己が送信したことを示す情報を付加した第二の信号を前記第二の通信により前記照明器具に対して送信する処理を実行し、
前記照明器具は、
前記第二の信号を受信する処理と、
前記第二の信号を送信した前記端末装置の種類の情報を付加した第一の信号を前記第一の通信により前記制御装置に対して送信する処理と、
をさらに実行し、
前記制御装置は、
前記第一の信号に基づき、前記第二の信号を送信した端末装置の種類と、前記第二の信号を送信した端末装置が接続された照明器具を特定する処理と、
を実行するように構成される、照明制御システム。
【請求項2】
前記照明器具は、
自己の第二のIPアドレスを記憶する処理と、
前記端末装置に対して自動的にIPアドレスを割り当てる処理と、
を更に実行し、
前記第二の通信は、前記端末装置に割り当てたIPアドレスと、前記第二のIPアドレスとを用いて行われる、請求項1に記載の照明制御システム。
【請求項3】
前記照明器具との間で前記第二の通信を行なう前記端末装置を複数備え、
前記端末装置は、制御端末情報を前記第二の通信により前記照明器具に送信する処理を実行するように構成され、
前記照明器具は、前記制御端末情報に基づき、前記端末装置のうち前記制御端末情報を送信した端末装置を除く少なくとも一つの端末装置に対して、前記第二の通信により制御指令を送信する処理をさらに実行する、請求項1に記載の照明制御システム。
【請求項4】
前記照明器具を複数備え、
前記制御装置は、
制御端末情報を送信した前記端末装置に接続された照明器具から前記制御端末情報を受信する処理と、
前記制御端末情報を送信した前記端末装置に接続された照明器具を除く、少なくとも一つの前記照明器具に対して前記制御端末情報を送信する処理と、
を更に実行し、
前記制御装置から前記制御端末情報を受信した前記照明器具は、
前記制御端末情報に基づき、自身と第二の通信を行なう前記端末装置の少なくとも一つに対して制御指令を送信する、請求項1に記載の照明制御システム。
【請求項5】
前記第二の通信は、電力供給が可能なケーブルを用いた有線による通信であって、
前記照明器具は、前記ケーブルにより前記端末装置に対して電力を供給する、請求項1に記載の照明制御システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、照明制御システムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、所定規格の電力をPoE(Power over Ethernet、登録商標)等の通信ケーブルを介して他の機器に供給する給電HUB、および当該給電HUBに接続される照明器具を備えるシステムが開示されている。そこでは、照明器具、システム全体の制御装置、および各種センサ機器などの端末装置に対して、設定器によりIPアドレス(個別アドレスとも称する)を設定付与する方法が示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来技術においては、制御装置と端末装置とを直接通信させるため、そのための通信ルートを設定する必要があり、端末装置の数が多い場合には、配線、施工性の点で負担となっていた。
【0005】
本開示は上述の問題を解決するため、制御装置と端末装置との直接の通信ルートの設定を省略することのできる照明制御システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の第一の態様は、光源を備える照明器具と、
前記照明器具の位置情報と第一のIPアドレスを記憶し、前記照明器具と第一の通信を行う制御装置と、
端末装置と、
を備え、
前記照明器具は、
前記端末装置と有線または無線による第二の通信を行なう処理を実行するように構成され、
前記端末装置は、
自己の種類と、自己が送信したことを示す情報を付加した第二の信号を前記第二の通信により前記照明器具に対して送信する処理を実行し、
前記照明器具は、
前記第二の信号を受信する処理と、
前記第二の信号を送信した前記端末装置の種類の情報を付加した第一の信号を前記第一の通信により前記制御装置に対して送信する処理と、
をさらに実行し、
前記制御装置は、
前記第一の信号に基づき、前記第二の信号を送信した端末装置の種類と、前記第二の信号を送信した端末装置が接続された照明器具を特定する処理と、
を実行するように構成されることが好ましい。
【発明の効果】
【0007】
本開示の態様によれば、制御装置と端末装置との直接の通信ルートの設定を省略することのできる照明制御システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本開示の実施の形態1に係る照明制御システムの構成例を示す。
【
図2】本開示の実施の形態1に係る照明器具の構成例を示すブロック図である。
【
図3】本開示の実施の形態1に係る端末装置の構成例を示す。
【
図4】本開示の実施の形態1に係る端末装置、照明器具、および端末装置に対するIPアドレスの設定方法を示す。
【
図5】本開示の実施の形態2に係る照明制御システムの構成例を示す。
【
図6】本開示の実施の形態2に係る照明器具の構成例を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
実施の形態1
図1は、本開示の実施の形態1に係る照明制御システム100の構成例を示す。照明制御システム100は、制御装置10、複数の照明器具30、および複数の端末装置40を備える。
【0010】
制御装置10は、複数の照明器具30のそれぞれとHUB20を介して接続されている。制御装置10、HUB20および照明器具30は、LAN(Local Area Network)ケーブルで接続されている。これにより、制御装置10は、照明器具30との間でLAN通信を行うことが可能となる。なお、LAN通信とは、例えばEthernet(登録商標)規格に基づく通信である。
【0011】
制御装置10は、複数の照明器具30それぞれの光源情報、点灯情報を収集する。なお、光源情報とは、照明器具30の光源に関する情報のことであり、点灯・消灯、および調光率等の情報を含む。また、点灯情報とは、照明器具30の点灯に関する情報のことであり、点灯時間、および正常・異常等の情報を含む。
【0012】
さらに、制御装置10は、複数の照明器具30のそれぞれが保有する端末装置40の情報を収集する。これにより、照明器具30のそれぞれの光源情報、点灯情報に加えて、照明器具30のそれぞれと接続された端末装置40の検知状況、動作状況等を収集、管理することができる。
【0013】
さらに、制御装置10は、複数の照明器具30それぞれの位置情報をマップとして記憶している。制御装置10は、照明器具30のIPアドレスの情報を受け付けた場合は、当該IPアドレスを設置位置情報に紐づけて記憶する。
【0014】
照明器具30は、LED、白熱灯などの光源を備える。複数の照明器具30のそれぞれは1以上の端末装置40と有線または無線接続される。これにより、照明器具30は、自身と接続された端末装置40から受け付けた情報(以下、制御端末情報と称する)に基づき、光源の点灯制御を実施することができる。さらに、照明器具30が2以上の端末装置40と接続される場合には、一方の端末装置40から受け付けた制御端末情報に基づき、他の端末装置40制御を実施することができる。なお、照明器具30と端末装置40の接続方法は、有線接続の場合はLANケーブル、USBケーブルをなどが考えられるが、ここでは限定しないものとする。
【0015】
照明器具30は、自身に接続される端末装置40から、当該端末装置40の種類の情報を含む信号(以下、第二の信号と称する)を受信する。第二の信号を受信した場合、照明器具30は、当該第二の信号を送信した端末装置40の種類の情報と、照明器具30自身が送信したことを示す情報を付加した信号(以下、第一の信号と称する)を制御装置10に対して送信する。第一の信号に基づき、制御装置10は、第二の信号を送信した端末装置40が接続された照明器具30を、自身に接続された複数の照明器具30の中から特定することができ、端末装置40の位置を特定することができる。さらに、端末装置40の種類の情報も、同時に取得することができる。
【0016】
端末装置40とは、照明器具30に接続されるセンサ機器などの総称である。端末装置40は、人の検出、または室内の温度検出等を行うセンサ機器を含む。さらに、端末装置40は、センサ機器が検出した人の情報、温度の情報などに応じて稼働する機器と、当該機器に対して利用者が所望の条件を入力する操作器を含む。なお、操作器は、コントローラ、リモコン、壁スイッチなどである。
【0017】
複数の端末装置40のそれぞれは、近傍にある照明器具30のいずれかと有線または無線接続される。これにより、複数の端末装置40のそれぞれは、照明器具30に対して制御端末情報を送信することができる。さらに、複数の端末装置40のそれぞれは、自己の種類を示す情報と、自己が送信したことを示す情報を付加した第二の信号を、自身に接続された照明器具30に対して送信することができる。
【0018】
ここで、制御端末情報とは、センサ機器が検出した情報、または操作器に入力された情報である。
【0019】
たとえば、
図1においては、照明器具30(1)は、空調機41、空調操作器42およびセンサ機器51に接続されている。ここでのセンサ機器51は、人感センサである。照明器具30(1)は、人の検出情報をセンサ機器51から取得し、空調機41を運転させる。
【0020】
さらに、照明器具30(1)は、利用者が空調操作器42に入力した所望の空調条件の情報を空調操作器42から取得し、当該空調条件が実現するように空調機41を制御する。
【0021】
同様に、照明器具30(2)は、換気扇60およびセンサ機器52に接続されている。ここでのセンサ機器52は、PM2.5センサである。照明器具30(2)は、空気中の微小粒子の検出情報をセンサ機器52から取得し、換気扇60の運転状態の強弱を制御する。
【0022】
同様に、照明器具30(3)は、監視カメラ70およびセンサ機器53に接続されている。ここでのセンサ機器53は、人感センサである。照明器具30(3)は、センサ機器53から人の在、不在の情報を取得し、結果に応じて光源の点灯・消灯制御を行う。この機能により、例えば深夜等の消灯時においても、センサ機器53により人の存在が検知されるに伴い、照明器具30(3)は自身の光源を点灯することができる。さらに、監視カメラ70を制御し、撮影することが可能になる。
【0023】
また、複数の照明器具30のそれぞれはHUB20を介して制御装置10にLAN接続されているため、他の照明器具30に接続された端末装置40の制御端末情報を取得することもできる。例えば、照明器具30(1)は照明器具30(3)に接続されたセンサ機器53から人の在、不在の情報を取得し、空調機41を制御することも可能である。
【0024】
このように、本開示の照明制御システム100は、複数の照明器具30を備え、照明器具30に対して、1以上の端末装置40を接続する。照明器具30が、端末装置40から受け付けた制御端末情報、および上述の第二の信号の内容を制御装置10に通知することで、制御装置10と端末装置40とを直接通信させるルートを設定する必要がなくなり、配線、施工性が簡易化される。
【0025】
図2は、本開示の実施の形態1に係る照明器具30の構成例を示すブロック図である。照明器具30は、アドレス設定回路38を備える。アドレス設定回路38は、後述する設定器80から無線信号を受信する。無線信号には、照明器具30自身の第一のIPアドレスと、照明器具30の通信相手である制御装置10の第一のIPアドレスの情報が含まれている。アドレス設定回路38は、当該無線信号に基づき、自己の第一のIPアドレスを送信元アドレスに設定し、制御装置10のIPアドレスを相手先アドレスに設定する。
【0026】
第一の制御回路35は、アドレス設定回路38が設定した送信元アドレスと、相手先アドレスを記憶する。
【0027】
さらに、第一の制御回路35は、第二のIPアドレスを送信元アドレスとしてあらかじめ記憶している。第二のIPアドレスは、端末装置40との通信に用いられる。後述するように、第一の制御回路35は、端末装置40に対して自動的にIPアドレスを割り当てる機能を有する。
【0028】
さらに、第一の制御回路35は、端末装置40から、上述の第二の信号を受信した場合には、当該第二の信号を送信した端末装置40の種類の情報と、照明器具30自身の情報を付加した第一の信号を生成する。第一の信号は、第一の信号処理回路31および第一の接続端子32を介して制御装置10に送信される。
【0029】
さらに、第一の制御回路35は、照明器具30の光源情報および点灯情報を記憶する。光源情報および点灯情報は、第一の信号処理回路31において、制御装置10にて受信可能な信号方式になるように信号処理される。第一の信号処理回路31において処理された信号は、第一の接続端子32から、LANケーブルを介して制御装置10へと送信される。なお、制御装置10が受信可能な信号の方式とは、たとえばEthernet(登録商標)通信規格に基づく信号方式である。
【0030】
また、第一の制御回路35は、制御端末情報に基づき、点灯回路36を制御する。点灯回路36は、第一の制御回路35からの制御に基づき、光源37の明るさを制御する。また、第一の制御回路35は、端末装置40を制御するための制御指令を送信する。
【0031】
第二の信号処理回路33は、第一の制御回路35が送信した制御指令を信号処理し、制御装置10にて受信可能な信号方式に変換する。第二の信号処理回路33において処理された信号は、第二の接続端子34から、端末装置40へと送信される。なお、照明器具30と端末装置40における通信が無線通信である場合、第二の接続端子34はなくともよい。第二の接続端子34の代わりに、照明器具30は無線信号を送受信するアンテナを備えていればよい。
【0032】
このように、本開示の照明器具30はアドレス設定回路38を備え、設定器80から受信した無線信号に基づき送信元アドレスである自己のIPアドレスと、相手先アドレスである制御装置10のIPアドレスを設定する。これにより、照明器具30は、制御装置10を相手先としてLAN通信を実施することが可能となる。
【0033】
〈変形例〉
なお、
図2においては主に照明器具30が制御装置10および端末装置40に対して信号を送信する場合を説明した。しかしながら、信号の送受信は双方向に行われるものであり、照明器具30は制御装置10および端末装置40から信号を受信することも可能である。
【0034】
図3は、本開示の実施の形態1に係る端末装置40の構成例を示す。ここでは、端末装置40がセンサ機器である場合を説明する。端末装置40は、第三の接続端子54を備える。第三の接続端子54は、照明器具30から送信された制御指令を受信する。第三の信号処理回路55は、第三の接続端子54が受信した制御指令を信号処理する。
【0035】
第二の制御回路56は、第三の信号処理回路55から制御指令を取得し、当該制御指令に基づく制御を行う。また、第二の制御回路56は、センサ部57が検出した検出情報を記憶し、制御端末情報として照明器具30に送信する。制御端末情報の送信においては、上述とは逆の処理が実行される。すなわち、第三の信号処理回路55において、照明器具30が受信可能な信号方式になるように制御端末情報が信号処理される。さらに、処理された信号が、第三の接続端子54から照明器具30へと送信される。
【0036】
さらに、第二の制御回路56は、端末装置40に接続される照明器具30の第二のIPアドレスを相手先アドレスとしてあらかじめ記憶している。
【0037】
センサ部57は、人の在不在を検出する人感センサ、空気中の微小粒子を検出するPM2.5センサ、近傍の明るさを検知する照度センサ等である。
【0038】
操作部58は、ユーザが切り替え可能なスイッチ等である。操作部58は、端末装置40の種類を示す情報を付加した第二の信号を生成する。第二の信号は、第三の信号処理回路55および第三の接続端子54を介して照明器具30に送信される。なお、端末装置40の種類を示す情報とは、人感センサ、PM2.5センサ等、端末装置40の種類を示す情報である。
【0039】
なお、
図2の場合と同様に、照明器具30と端末装置40における通信が無線通信である場合、第三の接続端子54はなくともよい。第三の接続端子54の代わりに、端末装置40は無線信号を送受信するアンテナを備えていればよい。
【0040】
図4は、本開示の実施の形態1に係る制御装置10、照明器具30、および端末装置40に対するIPアドレスの設定方法を示す。ここでは、制御装置10と照明器具30間、および照明器具30と端末装置40間における通信がともにEthernet規格に基づく通信である場合を例に説明する。Ethernet通信規格等においては、信号送信時に、送信元アドレスと通信の相手先アドレスの両方が必要である。したがって、以下では、制御装置10、照明器具30、および端末装置40のそれぞれに対して、送信元アドレスと通信の相手先アドレスの両方を設定する方法について説明する。
【0041】
まず、制御装置10と照明器具30間の通信におけるアドレスの設定について説明する。上述したように、設定には設定器80が用いられる。設定器80は、複数の照明器具30のそれぞれに対して、無線信号を送信する。無線信号には、各照明器具30の第一のIPアドレスと、各照明器具30の通信相手である制御装置10のIPアドレスの情報が含まれている。
【0042】
ここで、設定器80により制御装置10に割り当てられたIPアドレスをIP1とする。また、照明器具30(1)、照明器具30(2)、照明器具30(3)に割り当てられた第一のIPアドレスをそれぞれIP2、IP3、IP4とする。
【0043】
複数の照明器具30のそれぞれは、受信した無線信号に基づき、自身の第一のIPアドレスを送信元アドレスに設定し、制御装置10のIPアドレスを相手先アドレスに設定する。これにより、照明器具30は、制御装置10を相手先としてLAN通信を実施することが可能となる。
【0044】
さらに、複数の照明器具30のそれぞれは、制御装置10とLAN通信を行う。LAN通信の通信コマンドには照明器具30自身の第一のIPアドレスと制御装置10のIPアドレスの情報が含まれる。この通信コマンドにより、制御装置10は、複数の照明器具30それぞれの第一のIPアドレスと制御装置10自身のIPアドレスの情報を取得することができる。このことにより、制御装置10においても、照明器具30を相手先とするLAN通信が可能となり、結果として双方向通信が可能となる。
【0045】
制御装置10は、複数の照明器具30それぞれの位置情報をマップとして記憶している。制御装置10は、取得した各照明器具30の第一のIPアドレスを、当該照明器具30の設置位置情報に紐づけて記憶する。
【0046】
次に、照明器具30と端末装置40間の通信におけるアドレスの設定方法について説明する。上述したように、複数の照明器具30のそれぞれは、照明器具30の自身の第二のIPアドレスを送信元アドレスとしてあらかじめ記憶している。ここで、複数の照明器具30のそれぞれが記憶する第二のIPアドレスをIP10とする。照明制御システム100において、各端末装置40は1つの照明器具30としか接続されていないため、照明器具30を識別する必要がない。したがって、第二のIPアドレスは複数の照明器具30において共通で良い。
【0047】
さらに、複数の照明器具30のそれぞれは、自身に接続される端末装置40のIPアドレスを自動で割り当てる機能を有する。例えば、DHCP(Dynamic Host Configuration Protocol)を用いることで複数の端末装置40に自動的にIPアドレスを割り当てることが可能である。ここでは、照明器具30(1)の自動割り当て機能により、空調機41、空調操作器42、センサ機器51に自動的に割り当てられたIPアドレスをそれぞれIP11、IP12、IP13とする。
【0048】
複数の照明器具30のそれぞれは、自動割り当ての結果に基づき、自身に接続される端末装置40の各々のIPアドレスを相手先アドレスとしてそれぞれ設定する。これにより、照明器具30は、自身に接続される端末装置40のそれぞれを相手先とする通信を実施することが可能となる。
【0049】
一方、複数の端末装置40のそれぞれは、照明器具30の自動割り当て機能により割り当てられた自身のIPアドレスを送信元アドレスとして設定する。また、上述したように、複数の端末装置40のそれぞれは、自身に接続された照明器具30の第二のIPアドレスを相手先アドレスとしてあらかじめ記憶している。したがって、複数の端末装置40のそれぞれにおいても、自身に接続される照明器具30を相手先とする通信が可能となり、結果として双方向通信が可能となる。
【0050】
双方向通信が可能となるに伴い、端末装置40は、自身に接続された照明器具30に対して上述の第二の信号を送信する。さらに、第二の信号を受信した照明器具30が、制御装置10に対して上述の第一の信号を送信する。ここで、複数の照明器具30それぞれの位置情報とIPアドレスは、設定器80による設定により、制御装置10において既知である。したがって、制御装置10は、第一の信号に基づき、第二の信号を送信した端末装置40が接続される照明器具30を特定することができ、第二の信号を送信した端末装置40の位置を特定することができる。
【0051】
本開示の照明制御システムにおいては、位置情報と紐づけたIPアドレスを各端末装置40に対して手動で設定する必要がなくなり、IPアドレスの設定作業の負荷を軽減することが可能となる。
【0052】
〈変形例〉
図4においては、制御装置10が、複数の照明器具30それぞれの位置情報をマップとして記憶し、取得した各照明器具30の第一のIPアドレスを、当該照明器具30の設置位置情報に紐づけて記憶することを説明した。しかしながら、制御装置10に代えて、設定器80が記憶してもよい。これにより、管理者は、照明器具30の位置をマップで確認しながら、照明器具30の第一のIPアドレスを設定、管理することができる。なお、この点は以下のすべての実施の形態においても共通である。
【0053】
また、
図4においては、制御装置10が、複数の照明器具30のそれぞれから送信されたLAN通信の通信コマンドに基づき、制御装置10自身のIPアドレスの情報を取得することを説明した。しかしながら、制御装置10のIPアドレスは、設定器80から制御装置10に対して通知してもよい。また、制御装置10があらかじめ自身のIPアドレスを記憶していてもよい。なお、この点は以下のすべての実施の形態においても共通である。
【0054】
また、
図4においては、制御装置10と照明器具30間、および照明器具30と端末装置40間における通信がEthernet規格に基づく通信である場合を説明した。しかしながら、双方向通信が可能な通信方式であれば上述と同様の効果が得られる。同様に、照明器具30の自動割り当て機能としてDHCPを用いる場合を説明したが、自動でアドレスの割り当てが可能な割り当て方法であれば上述と同様の効果が得られる。なお、この点は以下のすべての実施の形態においても共通である。
【0055】
また、
図4においては、複数の端末装置40のそれぞれが、自身に接続された照明器具30の第二のIPアドレスを相手先アドレスとしてあらかじめ記憶していることを説明した。しかしながら、照明器具30が端末装置40へ送信する通信コマンドに照明器具30の第二IPアドレスを付与することで、端末装置40に対して第二のIPアドレスを通知してもよい。なお、この点は以下のすべての実施の形態においても共通である。
【0056】
なお、本開示において制御装置10、照明器具30、および設定器80が行う処理は、CPUとメモリを備え、メモリにプログラムを格納したコンピュータを用いて、プログラムで実行するようにしてもよい。もしくはFPGA(Field Programmable Gate Array)などの集積回路を用いて、プログラムで実行するようにしてもよい。尚、プログラムは、記憶媒体に記録して提供されてもよいし、ネットワークを通して提供されてもよい。なお、この点は以下のすべての実施の形態においても共通である。
【0057】
なお、
図4においては照明器具30が複数存在する場合を説明したが、照明器具30は1個でもよい。照明器具30が1個の場合でも、上述の方法により制御装置10、照明器具30、および端末装置40に対してIPアドレスを設定することができる。
【0058】
実施の形態2
図5は、本開示の実施の形態2に係る照明制御システム200の構成例を示す。照明制御システム200においては、制御装置10と複数の照明器具30を接続するHUBが、PoEHUB21である。
【0059】
実施の形態1と同様に、制御装置10、PoEHUB21および照明器具30は、LANケーブルで接続されている。また、制御装置10が、照明器具30との間でLAN通信を行うことも実施の形態1と同様である。なお、LAN通信とは、例えばEthernet(登録商標)規格に基づく通信である。
【0060】
一方、実施の形態1とは異なり、複数の照明器具30のそれぞれは1以上の端末装置40と、電力供給が可能な方式で接続される。接続方法としては、LANケーブルまたはUSBケーブル等を利用した有線接続が考えられる。
【0061】
PoEHUB21は、制御装置10と照明器具30間のLAN通信を中継する。さらに、PoEHUB21は、商用電源から供給される交流電源を直流電源に変換し、LANケーブルを介し当該直流電源を照明器具30に供給する。照明器具30は、自身に供給された直流電源で光源を制御するとともに、端末装置40に対して電力を供給する。
【0062】
たとえば、
図5においては、照明器具30(1)は、自身に接続された空調操作器42およびセンサ機器51と通信するとともに、電力を供給する。一方、照明器具30(1)は、自身に接続された空調機41とも通信を行うが、空調機41に対しては電力を供給しない。大きな電力を必要とする空調機41は照明器具30からの供給電力では駆動できないため、外部の電源により駆動する。
【0063】
同様に、照明器具30(2)は、自身に接続されたセンサ機器52と通信するとともに、電力を供給する。一方、照明器具30(2)は、自身に接続された換気扇60とも通信を行うが、換気扇60に対しては電力を供給しない。大きな電力を必要とする換気扇60は、照明器具30からの供給電力では駆動できないため、外部の電源により駆動する。
【0064】
同様に、照明器具30(3)は、自身に接続された監視カメラ70およびセンサ機器53と通信するとともに、電力を供給する。
【0065】
なお、制御装置10、照明器具30、および端末装置40に対するIPアドレスの設定方法については、実施の形態1と同様である。
【0066】
図6は、本開示の実施の形態2に係る照明器具30の構成例を示すブロック図である。本実施形態の照明器具30は、実施の形態1の照明器具30の構成に加え、PoE回路91、第一の制御電源回路92、および第二の制御電源回路93をさらに備える。
【0067】
PoE回路91は、第一の接続端子32がPoEHUB21から受け付けた直流電源を点灯回路に供給する。
【0068】
第一の制御電源回路92は、PoE回路91の出力電圧から、第一の制御回路35を駆動させるための電圧を生成する。
【0069】
第二の制御電源回路93は、PoE回路91の出力電圧から、端末装置40を駆動させるための電圧を生成する。生成された電圧は、第二の接続端子34から端末装置40へと供給される。
【0070】
第一の制御回路35が、端末装置40との通信のために、端末装置40に対して自動的にIPアドレスを割り当てる機能を有する点は、実施の形態1と同様である。
【0071】
以上
図5と
図6を用いて説明した通り、本実施の形態における照明制御システム200は、電源に接続されたPoEHUB21を備え、PoEHUB21を介して照明器具30に対して直流電源の供給を行う。これにより、照明器具30への電源の配線、施工性を簡易化することができる。さらに、照明器具30は、自身に接続された端末装置40のうち、自身からの電力供給により駆動可能な端末装置40に対して電力を供給する。これにより、端末装置40への電源の配線、施工性についても簡易化することができる。
【0072】
〈請求項で使用する用語との対応〉
制御装置10と照明器具30間の通信を第一の通信と称する。また、照明器具30と端末装置40間における通信を第二の通信と称する。
【符号の説明】
【0073】
10 制御装置、20 HUB、21 PoEHUB、30 照明器具、31 第一の信号処理回路31、32 第一の接続端子、33 第二の信号処理回路、34 第二の接続端子、35 第一の制御回路、36 点灯回路、37 光源、38 アドレス設定回路、40 端末装置、41 空調機、42 空調操作器、51 センサ機器、52 センサ機器、53 センサ機器、54 第三の接続端子、55 第三の信号処理回路、56 第二の制御回路、57 センサ部、58 操作部、60 換気扇、70 監視カメラ、80 設定器、91 PoE回路、92 第一の制御電源回路、93 第二の制御電源回路、100 照明制御システム、200 照明制御システム