(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024114506
(43)【公開日】2024-08-23
(54)【発明の名称】情報処理方法、プログラム及び情報処理装置
(51)【国際特許分類】
H02J 7/04 20060101AFI20240816BHJP
H02J 7/00 20060101ALI20240816BHJP
H02J 7/02 20160101ALI20240816BHJP
B60L 3/00 20190101ALI20240816BHJP
B60L 58/12 20190101ALI20240816BHJP
B60L 50/60 20190101ALI20240816BHJP
B60L 53/14 20190101ALI20240816BHJP
B60L 53/65 20190101ALI20240816BHJP
B60L 53/67 20190101ALI20240816BHJP
B60L 15/20 20060101ALI20240816BHJP
G01C 21/36 20060101ALI20240816BHJP
G08G 1/133 20060101ALI20240816BHJP
G16Y 20/30 20200101ALI20240816BHJP
G16Y 40/00 20200101ALI20240816BHJP
G16Y 40/10 20200101ALI20240816BHJP
G16Y 40/35 20200101ALI20240816BHJP
G16Y 40/60 20200101ALI20240816BHJP
【FI】
H02J7/04 H
H02J7/00 P
H02J7/02 F
H02J7/00 X
B60L3/00 S
B60L58/12
B60L50/60
B60L53/14
B60L53/65
B60L53/67
B60L15/20 J
G01C21/36
G08G1/133
G16Y20/30
G16Y40/00
G16Y40/10
G16Y40/35
G16Y40/60
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023020313
(22)【出願日】2023-02-13
(71)【出願人】
【識別番号】514105011
【氏名又は名称】株式会社東光高岳
(74)【代理人】
【識別番号】100114557
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 英仁
(74)【代理人】
【識別番号】100078868
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 登夫
(72)【発明者】
【氏名】平 昌展
(72)【発明者】
【氏名】小熊 淳一
【テーマコード(参考)】
2F129
5G503
5H125
5H181
【Fターム(参考)】
2F129AA03
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2F129HH20
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5H181MB03
(57)【要約】
【課題】より適切な充電スケジュールを作成することが可能な情報処理方法等を提供すること。
【解決手段】一つの側面に係る情報処理方法は、出発地から目的地までの走行ルート群に対応する車両の日時情報、必要電力量及び電池残量を取得し、取得した日時情報、必要電力量及び電池残量を、前記車両を特定する車両IDに対応付けて記憶する処理を実行させることを特徴とする。より適切な充電スケジュールを作成することが可能となる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
出発地から目的地までの走行ルート群に対応する車両の日時情報、必要電力量及び電池残量を取得し、
取得した日時情報、必要電力量及び電池残量を、前記車両を特定する車両IDに対応付けて記憶する
情報処理方法。
【請求項2】
各走行ルートに対応する天候、日時情報、運転者及び車種を取得し、
運転者、車種、走行ルート、天候、及び日時情報に対応付けて電費を記憶した記憶部を参照して、取得した運転者、車種、走行ルート群、天候及び日時情報に基づき、各走行ルートの電費を特定し、
特定した電費に基づき各走行ルートでの前記必要電力量を導出する
請求項1に記載の情報処理方法。
【請求項3】
前記天候は、気温及び降水確率に関する情報を含み、
前記日時情報は、季節及び各走行ルートにおける出発日時を含む
請求項2に記載の情報処理方法。
【請求項4】
取得した日時情報、必要電力量及び電池残量から、単位時間当たりの充電量を算出する
請求項1または2に記載の情報処理方法。
【請求項5】
算出した単位時間当たりの充電量に応じて、前記日時情報、前記必要電力量及び前記電池残量をソートし、
ソートした後の前記日時情報、前記必要電力量及び前記電池残量を前記車両IDに対応付けて出力する
請求項4に記載の情報処理方法。
【請求項6】
前記車両とは異なる第2車両の日時情報、必要電力量及び電池残量を取得し、
取得した第2車両の日時情報、必要電力量及び電池残量から、前記第2車両における単位時間当たりの充電量を算出し、
前記車両における単位時間当たりの充電量と、算出した前記第2車両における単位時間当たりの充電量とに応じて、前記日時情報、前記必要電力量及び前記電池残量を再ソートし、
再ソートした後の前記日時情報、前記必要電力量及び前記電池残量を前記車両IDに対応付けて出力する
請求項5に記載の情報処理方法。
【請求項7】
前記車両の充電状態を取得し、
取得した充電状態が未充電である場合に、前記日時情報、前記必要電力量及び前記電池残量を取得する
請求項1または2に記載の情報処理方法。
【請求項8】
全体契約電力量及び充電器の1台当たりの最大充電容量を取得し、
取得した全体契約電力量及び最大充電容量に基づき、同時充電可能な充電器の台数を決定し、
決定した充電器の台数と、算出した単位時間当たりの充電量とに基づき、充電対象となる車両を特定する
請求項4に記載の情報処理方法。
【請求項9】
前記車両の位置情報、及び前記車両に接続された充電器が設置された場所の位置情報を取得し、
取得した車両の位置情報と、前記充電器の位置情報とが一致するか否かを判定し、
位置情報が一致していない場合に、第1アラートを出力する
請求項8に記載の情報処理方法。
【請求項10】
前記車両が前記充電器に接続された場合、前記車両の充電開始日時を取得し、
前記必要電力量及び前記電池残量に基づき、前記車両における充電量を算出し、
取得した充電開始日時と、算出した充電量とに基づき、前記車両における充電完了日時を算出し、
算出した充電完了日時が前記車両の出発日時よりも前でない場合に、第2アラートを出力する
請求項8に記載の情報処理方法。
【請求項11】
算出した充電完了日時が前記車両の出発日時よりも前である場合に、前記充電器に充電指示を出力する
請求項10に記載の情報処理方法。
【請求項12】
出発地から目的地までの走行ルート群に対応する車両の日時情報、必要電力量及び電池残量を取得し、
取得した日時情報、必要電力量及び電池残量を、前記車両を特定する車両IDに対応付けて記憶する
処理をコンピュータに実行させるプログラム。
【請求項13】
出発地から目的地までの走行ルート群に対応する車両の日時情報、必要電力量及び電池残量を取得する取得部と、
取得した日時情報、必要電力量及び電池残量を、前記車両を特定する車両IDに対応付けて記憶する記憶部と
を備える情報処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理方法、プログラム及び情報処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、EV(Electric Vehicle:電気自動車)充電に関する技術の開発が盛んに進められている。特許文献1には、地域内で供給可能な電力量の範囲内で自動車に充電する電力量に関する充電スケジュールに基づいて、前記自動車から前記充電池への充電開始の信号が検知された場合に、前記自動車の現在位置及び現在時刻における充電の可否を判定するEV充電管理方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に係る発明は、電費に基づき算出された必要電力量を用いて、充電スケジュールを作成することができない問題がある。
【0005】
一つの側面では、より適切な充電スケジュールを作成することが可能な情報処理方法等を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
一つの側面に係る情報処理方法は、出発地から目的地までの走行ルート群に対応する車両の日時情報、必要電力量及び電池残量を取得し、取得した日時情報、必要電力量及び電池残量を、前記車両を特定する車両IDに対応付けて記憶する処理を実行させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
一つの側面では、より適切な充電スケジュールを作成することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】充電スケジュールシステムの概要を示す説明図である。
【
図3】車両DB及び季節DBのレコードレイアウトの一例を示す説明図である。
【
図4】天候DB及び消費電力DBのレコードレイアウトの一例を示す説明図である。
【
図5】車状態履歴DB及び走行ルートDBのレコードレイアウトの一例を示す説明図である。
【
図6】走行ルート別電費DBのレコードレイアウトの一例を示す説明図である。
【
図7】運行計画DBのレコードレイアウトの一例を示す説明図である。
【
図8】車載器及び運転者端末の構成例を示すブロック図である。
【
図9】車両における運行計画を作成する処理の概要を説明する説明図である。
【
図10】車両における運行計画の作成画面の一例を示す説明図である。
【
図11】運行計画を作成する際の処理手順を示すフローチャートである。
【
図12】走行実績を判定する処理のサブルーチンの処理手順を示すフローチャートである。
【
図13】電費を取得する処理のサブルーチンの処理手順を示すフローチャートである。
【
図14】必要電力量を算出する処理のサブルーチンの処理手順を示すフローチャートである。
【
図15】走行ルートの電費を更新する際の処理手順を示すフローチャートである。
【
図16】電費を更新する処理のサブルーチンの処理手順を示すフローチャートである。
【
図17】実施形態3における充電スケジュールシステムの概要を示す説明図である。
【
図18】実施形態3におけるサーバの構成例を示すブロック図である。
【
図19】車充電器対応DB及び充電器設置場所DBのレコードレイアウトの一例を示す説明図である。
【
図20】充電スケジュールDBのレコードレイアウトの一例を示す説明図である。
【
図22】充電対象となる車両を特定する際の処理手順を示すフローチャートである。
【
図23】充電対象となる車両を特定する際の処理手順を示すフローチャートである。
【
図24】充電対象となる車両を特定する処理のサブルーチンの処理手順を示すフローチャートである。
【
図25】充電スケジュールを再作成する際の処理手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明をその実施形態を示す図面に基づいて詳述する。
【0010】
(実施形態1)
実施形態1は、車両における運行計画を作成する形態に関する。
図1は、充電スケジュールシステムの概要を示す説明図である。本実施形態のシステムは、情報処理装置1、車両2、車載器3及び情報処理端末4を含む。情報処理装置1及び情報処理端末4は、インターネット等のネットワークNを介して情報の送受信を行う。情報処理装置1及び車載器3は、インターネット等のネットワークN、及び、3G、4G、5GもしくはLTE(Long Term Evolution)等の無線通信規格に準じた通信インタフェースを介して情報の送受信を行う。
【0011】
情報処理装置1は、種々の情報に対する処理、記憶及び送受信を行う情報処理装置である。情報処理装置1は、例えばサーバ装置、パーソナルコンピュータ等である。本実施形態において、情報処理装置1はサーバ装置であるものとし、以下では簡潔のためサーバ1と読み替える。
【0012】
車両2は、電気自動車(EV)とも称し、自家用車、業務用の車両(小型貨物自動車、軽四輪貨物車またはトラック等)、または、バスもしくはタクシー等の乗用自動車等を含む。EVを保有する各種業者は、電池特性を同じくする同一車種の車両2を複数台所有している。また、上記車種とは電池特性が異なる車種の車両2を複数台所有している。車載器3は、車両2に取り付けられ、車両2の状態情報の取得及び送信等を行う無線装置である。なお、状態情報に関しては後述する。
【0013】
情報処理端末4は、出発地から目的地までの走行ルート群に含まれる各走行ルートの設定の受付及び送信等を行う端末装置である。情報処理端末4は、例えばスマートフォン、携帯電話、アップルウォッチ(Apple Watch:登録商標)等のウェアラブルデバイス、タブレット、またはパーソナルコンピュータ端末等の情報処理機器である。以下では簡潔のため、情報処理端末4を運転者端末4と読み替える。
【0014】
本実施形態に係るサーバ1は、出発地から目的地までの走行ルート群及び車両の識別子(車両ID)を取得する。サーバ1は、各走行ルートに対応する天候及び日時情報を取得する。サーバ1は、車両IDに対応付けられた車種及び運転者を記憶した記憶部を参照し、車種及び運転者を取得する。サーバ1は、車種、運転者、車両ID、走行ルート、天候、及び日時情報に対応付けて電費を記憶した記憶部を参照して、取得した車種、運転者、車両ID、走行ルート群、天候及び日時情報に基づき、各走行ルートの電費を特定する。サーバ1は、特定した電費に基づき各走行ルートでの必要電力量を導出する。
【0015】
図2は、サーバ1の構成例を示すブロック図である。サーバ1は、制御部11、記憶部12、通信部13、読取部14及び大容量記憶部15を含む。各構成は、バスBまたはLAN(Local Area Network)等で接続されている。
【0016】
制御部11は、CPU(Central Processing Unit)、MPU(Micro-Processing Unit)、GPU(Graphics Processing Unit)、FPGA(Field Programmable Gate Array)、DSP(Digital Signal Processor)、または量子プロセッサ等の演算処理装置を含む。制御部11は、記憶部12に記憶された制御プログラム1P(プログラム製品)を読み出して実行することにより、サーバ1に係る種々の情報処理または制御処理等を行う。
【0017】
なお、制御プログラム1Pは、単一のコンピュータ上で、または1つのサイトにおいて配置されるか、もしくは複数のサイトにわたって分散され、通信ネットワークによって相互接続された複数のコンピュータ上で実行されるように展開することができる。なお、
図2では制御部11を単一のプロセッサであるものとして説明するが、マルチプロセッサであっても良い。
【0018】
記憶部12はRAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)等のメモリ素子を含み、制御部11が処理を実行するために必要な制御プログラム1P又はデータ等を記憶している。また、記憶部12は、制御部11が演算処理を実行するために必要なデータ等を一時的に記憶する。通信部13は通信に関する処理を行うための通信モジュールであり、ネットワークNを介して、車載器3及び運転者端末4等との間で情報の送受信を行う。
【0019】
読取部14は、CD(Compact Disc)-ROM又はDVD(Digital Versatile Disc)-ROMを含む可搬型記憶媒体1aを読み取る。制御部11が読取部14を介して、制御プログラム1Pを可搬型記憶媒体1aより読み取り、大容量記憶部15に記憶しても良い。また、ネットワークN等を介して他のコンピュータから制御部11が制御プログラム1Pをダウンロードし、大容量記憶部15に記憶しても良い。さらにまた、半導体メモリ1bから、制御部11が制御プログラム1Pを読み込んでも良い。
【0020】
大容量記憶部15は、例えばHDD(Hard disk drive)、またはSSD(Solid State Drive)等の記録媒体を備える。大容量記憶部15は、車両DB(database)151、季節DB152、天候DB153、消費電力DB154、車状態履歴DB155、走行ルートDB156、走行ルート別電費DB157及び運行計画DB158を含む。
【0021】
車両DB151は、車両に関する情報を記憶している。季節DB152は、季節に応じた電費の初期値等の情報を記憶している。天候DB153は、気温レベル及び降水量レベルを記憶している。消費電力DB154は、車種毎に空調(エアコン)、ライトまたはワイパー等を含む各電装機器の消費電力を記憶している。
【0022】
車状態履歴DB155は、車両の状態情報を記憶している。走行ルートDB156は、出発地から目的地までの走行ルート群、及び、走行ルート群に含まれる各走行ルートに関する情報を記憶している。走行ルート別電費DB157は、走行ルート別の電費を記憶している。運行計画DB158は、各走行ルートの必要電力量を含む運行計画を記憶している。
【0023】
なお、本実施形態において記憶部12及び大容量記憶部15は一体の記憶装置として構成されていても良い。また、大容量記憶部15は複数の記憶装置により構成されていても良い。更にまた、大容量記憶部15はサーバ1に接続された外部記憶装置であっても良い。
【0024】
サーバ1は、種々の情報処理及び制御処理等をコンピュータ単体で実行しても良いし、複数のコンピュータで分散して実行しても良い。また、サーバ1は、1台のサーバ内に設けられた複数の仮想マシンによって実現されても良いし、クラウドサーバを用いて実現されても良い。
【0025】
図3は、車両DB151及び季節DB152のレコードレイアウトの一例を示す説明図である。
車両DB151は、車両ID列、車ナンバー列、車種列、運転者ID列、運転者メールアドレス列及び更新日時列を含む。車両ID列は、各車両2を識別するために、一意に特定される車両2のIDを記憶している。車ナンバー列は、例えばナンバープレートに記載された番号(自動車登録番号等)を記憶している。
【0026】
車種列は、車両2の車種を記憶している。車種は、例えば、車両2の種別(軽四輪乗用車、小型貨物車または軽四輪貨物車等)、ブランド及び型番等を含む。例えば、車両2の種別、ブランド及び型番が同一である(電池特性が同一である)場合、同じ車種と判定しても良い。運転者ID列は、各運転者を識別するために、一意に特定される運転者のIDを記憶している。運転者メールアドレス列は、運転者の電子メールアドレスを記憶している。更新日時列は、車両に関する情報を更新した日時情報を記憶している。
【0027】
季節DB152は、季節名列、開始日列、終了日列、電費初期値列、空調ON列、スモールライト列、ヘッドライト列、ワイパーON降水確率列及びリヤデフォッガーON列を含む。なお、
図3では、空調、スモールライト、ヘッドライト、ワイパー及びリヤデフォッガーの例を説明したが、これらの電装機器に限るものではない。車両2内での電力を消費する全ての電装機器は対象となる。
【0028】
季節名列は、季節(春、夏、秋及び冬)の名称を記憶している。なお、季節名列には、月単位の月名称(例えば、1月)、または、季節の名称と月名称との両方が記憶されても良い。開始日列は、季節の開始日を記憶している。終了日列は、季節の終了日を記憶している。電費初期値列は、季節に応じた電費の初期値を記憶している。空調ON列は、外気温列及び降水確率列を含む。外気温列は、空調が動作している(空調ON)場合の外気温を記憶している。降水確率列は、空調が動作している場合の降水確率を記憶している。
【0029】
スモールライト列は、ON時刻列及びOFF時刻列を含む。ON時刻列は、スモールライトを点灯させる時刻を記憶している。OFF時刻列は、スモールライトを消灯させる時刻を記憶している。ヘッドライト列は、ON時刻列及びOFF時刻列を含む。ON時刻列は、ヘッドライトを点灯させる時刻を記憶している。OFF時刻列は、ヘッドライトを消灯させる時刻を記憶している。
【0030】
ワイパーON降水確率列は、ワイパーを駆動させる場合の降水確率を記憶している。リヤデフォッガーON列は、運転者がリヤデフォッガーを動作させる外気温(例えば、5℃より少ない)を記憶している。なお、空調ON外気温、空調ON降水確率、スモールライトのON/OFF時刻、ヘッドライトのON/OFF時刻、ワイパーON降水確率及びリヤデフォッガーのON外気温は、季節ごとに記憶される。
【0031】
図4は、天候DB153及び消費電力DB154のレコードレイアウトの一例を示す説明図である。
天候DB153は、基準気温に基づく複数の気温レベル、及び、基準降水確率に基づく複数の降水量レベルを記憶している。気温レベルは、各電装機器の動作に影響を与える気温の境界値を示す。降水量レベルは、各電装機器の動作に影響を与える降水確率の境界値を示す。例えば、気温レベルは、高温(28℃以上)、中温(10℃以上、且つ、28℃未満)、低温(3℃以上、且つ、10℃未満)及び極低温(3℃未満)を含む。降水量レベルは、本降り(50%より大きい、且つ、100%以下)、中降り(20%より大きい、且つ、50%以下)、小降り(0%より大きい、且つ、20%以下)及び晴れ(0%)を含む。
【0032】
天候DB153は、種類列、名称列、最小値列及び最大値列を含む。種類列は、温度及び降水確率を含む天候の種類を記憶している。名称列は、気温レベルの名称または降水量レベルの名称を記憶している。最小値列は、気温または降水確率の最小値を記憶している。最大値列は、気温または降水確率の最大値を記憶している。
【0033】
消費電力DB154は、車種列、電装機器名列及び消費電力列を含む。車種列は、車両2の車種を記憶している。電装機器名列は、電装機器の名称を記憶している。電装機器は、ヘッドライト、スモールランプ、空調、リヤデフォッガーまたはワイパー等を含む。消費電力列は、各電装機器に対応する消費電力を記憶している。
【0034】
図5は、車状態履歴DB155及び走行ルートDB156のレコードレイアウトの一例を示す説明図である。
車状態履歴DB155は、車両ID列、送信日時列、経度緯度列、電池残量列、累積走行距離列、空調状態列、空調風量列、リヤデフォッガー列、ワイパー列、スモールランプ列、ヘッドライト列及び作成日時列を含む。
【0035】
車両ID列は、車両2を特定する車両IDを記憶している。送信日時列は、車両2の状態情報を送信した日時情報を記憶している。経度緯度列は、車両2の位置情報を示す経度及び緯度を記憶している。電池残量列は、車両2の電池残量を記憶している。累積走行距離列は、車両2の累積走行距離を記憶している。
【0036】
空調状態列は、空調が動作しているか否かを示す情報を記憶している。例えば、空調が動作している場合、空調状態列に「ON」が記憶される。または、空調の動作が停止した場合、空調状態列に「OFF」が記憶される。空調風量列は、空調の風量を記憶している。
【0037】
リヤデフォッガー列は、リヤデフォッガーが動作しているか否かを示す情報を記憶している。例えば、リヤデフォッガーが動作している場合、リヤデフォッガー列に「ON」が記憶される。または、リヤデフォッガーの動作が停止した場合、リヤデフォッガー列に「OFF」が記憶される。
【0038】
ワイパー列は、ワイパーを駆動させたか否かを示す情報を記憶している。例えば、ワイパーを駆動させた場合、ワイパー列に「ON」が記憶される。または、ワイパーを駆動させていない場合、ワイパー列に「OFF」が記憶される。
【0039】
スモールランプ列は、スモールランプを点灯させたか否かを示す情報を記憶している。例えば、スモールランプを点灯させた場合、スモールランプ列に「ON」が記憶される。または、スモールランプを点灯させていない場合、スモールランプ列に「OFF」が記憶される。
【0040】
ヘッドライト列は、ヘッドライトを点灯させたか否かを示す情報を記憶している。例えば、ヘッドライトを点灯させた場合、ヘッドライト列に「ON」が記憶される。または、ヘッドライトを点灯させていない場合、ヘッドライト列に「OFF」が記憶される。作成日時列は、車両2の状態履歴を作成した日時情報を記憶している。
【0041】
走行ルートDB156は、親ルートID列、子ルートID列、出発地列及び目的地列を含む。親ルートID列は、複数の走行ルートを含む走行ルート群を特定するための走行ルート群のIDを記憶している。子ルートID列は、走行ルート群に含まれる各走行ルートを特定するための走行ルートのIDを記憶している。例えば、走行ルート群A_Bが、走行ルートA_1及び走行ルート1_Bを含む。走行ルートA_1は、豊洲から東京/さいたま天気区分境界までの走行ルートであり、走行ルート1_Bは、東京/さいたま天気区分境界から蓮田までの走行ルートである。天気区分を境に天候の状態が変化することにより、電装機器の使用状態が変化するため、天気区分境界は目的地または経由地となる。なお、天気区分境界については後述する。
【0042】
出発地列は、各走行ルートの出発地を記憶している。目的地列は、各走行ルートの目的地または経由地を記憶している。なお、目的地には天気区分境界のような経由地が含まれても良い。
【0043】
図6は、走行ルート別電費DB157のレコードレイアウトの一例を示す説明図である。日々の車両2の走行実績データに基づき、車種、運転者ID、走行ルート、天候及び日時情報から求められた電費を走行ルート別電費DB157に蓄積(記憶)することができる。走行ルート別電費DB157は、子ルートID列、車種列、運転者ID列、車両ID列、天気区分列、季節名列、出発日時列、気温レベル列、降水量レベル列及び電費列を含む。
【0044】
子ルートID列は、各走行ルートを特定する子ルートIDを記憶している。車種列は、車両の車種を記憶している。運転者ID列は、運転者を特定する運転者IDを記憶している。車両ID列は、車両2を特定する車両IDを記憶している。天気区分列は、気象予報区分に基づいて設けられた地域の名称(例えば、東京または大阪)を記憶している。気象予報区分は、例えば気象庁により、各都道府県をいくつかに分けた細分区域単位である。
【0045】
季節名列は、各走行ルートに対応する季節を記憶している。出発日時列は、各走行ルートに対応する出発日時の時間帯を記憶している。時間帯は、所定の時間間隔(例えば、30分または60分)により決められても良い。例えば、出発日時が11:15である場合、11:00から11:30までの時間帯に該当し、出発日時列には11:00が記憶される。気温レベル列は、各走行ルートに対応する気温レベルを記憶している。降水量レベル列は、各走行ルートに対応する降水量レベルを記憶している。電費列は、各走行ルートの電費を記憶している。
【0046】
図7は、運行計画DB158のレコードレイアウトの一例を示す説明図である。運行計画DB158は、計画ID列、子ルートID列、車両ID列、運転者ID列、出発予定日時列、到着予定日時列、距離列、必要電力量列、必要電力量合計列、天気区分列、気温列、降水確率列、ヘッドライト列、スモールランプ列、空調列、リヤデフォッガー列及びワイパー列を含む。
【0047】
計画ID列は、各運行計画のデータを識別するために、一意に特定される運行計画のデータのIDを記憶している。子ルートID列は、各走行ルートを特定する子ルートIDを記憶している。車両ID列は、車両を特定する車両IDを記憶している。運転者ID列は、運転者を特定する運転者IDを記憶している。出発予定日時列は、各走行ルートに対応する出発予定日時を記憶している。到着予定日時列は、各走行ルートに対応する到着予定日時を記憶している。
【0048】
距離列は、出発地から目的地までの距離を記憶している。必要電力量列は、各走行ルートでの必要電力量を記憶している。必要電力量合計列は、各走行ルートでの必要電力量を合計した合計値を記憶している。天気区分列は、気象予報区分に基づいて設けられた地域の名称を記憶している。気温列は、各走行ルートに対応する気温を記憶している。降水確率列は、各走行ルートに対応する降水確率を記憶している。
【0049】
ヘッドライト列は、ヘッドライトによる消費電力量を記憶している。スモールランプ列は、スモールランプによる消費電力量を記憶している。空調列は、空調による消費電力量を記憶している。リヤデフォッガー列は、リヤデフォッガーによる消費電力量を記憶している。ワイパー列は、ワイパーによる消費電力量を記憶している。なお、ヘッドライト列、スモールランプ列、空調列、リヤデフォッガー列及びワイパー列のそれぞれに記憶された消費電力量は、走行実績のない場合における必要電力量の算出処理に使用される。なお、走行実績のない場合における必要電力量の算出処理に関しては後述する。
【0050】
なお、車両2の種類によって、異なる電装機器(ヘッドライト、スモールランプ、空調、リヤデフォッガーまたはワイパー等)が車両2に搭載されている場合がある。
図7では、各種の車両2に共通の電装機器が搭載されている例を説明したが、これに限るものではない。例えば、車両2に、共通の電装機器と、その他の電装機器とが搭載されている場合、共通の電装機器の消費電力と、その他の電装機器の消費電力との合計値を利用しても良い。なお、車両2の車種毎に、車両2に搭載された電装機器及び各電装機器の消費電力は運行計画DB158に記憶されても良い。
【0051】
なお、上述した各DBの記憶形態は一例であり、データ間の関係が維持されていれば、他の記憶形態であっても良い。
【0052】
図8は、車載器3及び運転者端末4の構成例を示すブロック図である。
車載器3は、車載制御部31、記憶部32、通信部33及び時計部34を含む。
【0053】
車載制御部31は、車載器3に係る種々の情報処理及び制御処理等を行う。記憶部32は、RAMまたはROM等のメモリ素子を含み、車載制御部31が処理を実行するために必要な制御プログラム3P又はデータ等を記憶している。また、記憶部32は、車載制御部31が演算処理を実行するために必要なデータ等を一時的に記憶する。通信部33は、通信に関する処理を行うための通信モジュールであり、サーバ1等と情報の送受信を行う。
【0054】
時計部34は、時刻又は経過時間等を計時しており、車載制御部31からの求めに応じて、計時結果を車載制御部31に与える回路である。また、時計部34はタイマ機能を提供する。タイマ機能は開始を指示されてから、予め設定した時間が経過した場合、その旨を車載制御部31に通知する機能である。又は、タイマ機能は開始を指示されてから、予め設定した時間が経過したか否かを、車載制御部31からの問い合わせに対して回答する機能である。
【0055】
運転者端末4は、制御部41、記憶部42、通信部43、入力部44及び表示部45を含む。各構成は、バスBまたはLAN等で接続されている。
【0056】
制御部41はCPUまたはMPU等の演算処理装置を含み、記憶部42に記憶された制御プログラム4P(プログラム製品)を読み出して実行することにより、運転者端末4に係る種々の情報処理、制御処理等を行う。なお、
図8では制御部41を単一のプロセッサであるものとして説明するが、マルチプロセッサであっても良い。
【0057】
記憶部42はRAMまたはROM等のメモリ素子を含み、制御部41が処理を実行するために必要な制御プログラム4P又はデータ等を記憶している。また、記憶部42は、制御部41が演算処理を実行するために必要なデータ等を一時的に記憶する。
【0058】
通信部43は通信に関する処理を行うための通信モジュールであり、ネットワークNを介して、サーバ1等と情報の送受信を行う。入力部44は、キーボード、マウスまたは表示部45と一体化したタッチパネルでも良い。表示部45は、液晶ディスプレイ又は有機EL(electroluminescence)ディスプレイ等であり、制御部41の指示に従い各種情報を表示する。
【0059】
図9は、車両2における運行計画を作成する処理の概要を説明する説明図である。運行計画は、例えば、翌日また翌々日といった比較的現在から近い将来の期間における運行計画であっても良い。
まず、走行ルート群に含まれる各走行ルートでの必要電力量を導出する処理を説明する。
【0060】
サーバ1は、出発地から目的地までの走行ルート群を取得する。具体的には、運転者端末4は、車両2において、出発地から目的地までの走行ルート群に含まれる各走行ルートの出発日時、出発地及び目的地の設定(入力または選択)を受け付ける。運転者端末4は、車両IDに対応付けて、受け付けた各走行ルートの出発日時、出発地及び目的地をサーバ1に送信する。
【0061】
サーバ1は、運転者端末4から送信された車両ID、各走行ルートの出発日時、出発地及び目的地を受信する。サーバ1は、受信した出発地及び目的地に基づき、各走行ルートにおける出発地から目的地までの所要時間を算出する。なお、出発地から目的地までの所要時間は、例えば、地図データが記憶された外部サーバ等を通じて算出されても良い。サーバ1は、受信した出発日時と、算出した所要時間とに基づき、目的地に到着する到着予定日時を算出する。
【0062】
サーバ1は、受信した車両IDに基づき、当該車両2の運転者ID及び車種を車両DB151から取得する。サーバ1は、各走行ルートに対応する天候及び日時情報を取得する。天候は、気温及び降水確率に関する情報を含む。日時情報は、季節及び各走行ルートにおける出発日時を含む。
【0063】
具体的には、サーバ1は、複数の走行ルートのうち、1つの走行ルートを取得する。サーバ1は、取得した走行ルートの出発地に基づき、例えば、外部の天気予報のサーバまたはサイトから、気象庁が発表した気温及び降水確率を取得する。サーバ1は、取得した気温に基づき、該当する気温レベルを天候DB153から特定する。サーバ1は、取得した降水確率に基づき、該当する降水量レベルを天候DB153から特定する。
【0064】
サーバ1は、当該走行ルートの出発日時に基づいて、季節を季節DB152から取得する。サーバ1は、当該走行ルートの出発地の経度緯度に基づき、気象予報区分に基づいて設けられた地域である天気区分(例えば、東京)を外部の天気予報のサーバまたはサイトから取得する。なお、天気区分は予めサーバ1の記憶部12または大容量記憶部15に記憶されても良い。
【0065】
サーバ1は、当該走行ルートの走行実績があるか否かを判定する。具体的には、サーバ1は、取得した子ルートID、車種、運転者ID、車両ID、天気区分、天候(気温レベル及び降水量レベル)及び日時情報(季節及び出発日時)に対応する走行ルートのデータが走行ルート別電費DB157に記憶されたか否かを判定する。
【0066】
例えば、サーバ1は、取得した子ルートID、車種、運転者ID、車両ID、天気区分、天候及び日時情報と、走行ルート別電費DB157に記憶された子ルートID、車種、運転者ID、車両ID、天気区分、天候及び日時情報とが一致するか否かを判定する。日時情報に含まれる出発日時の一致性の判定処理は、出発日時(例えば、11:00)に対応する時間帯(例えば、11:00~11:30)が利用されても良い。例えば、走行ルート別電費DB157に記憶された出発日時が11:00である場合、取得した出発日時(例えば、11:15)が11:00から11:30までの時間帯に該当する場合、出発日時が一致すると判定される。
【0067】
サーバ1は、走行ルートのデータが走行ルート別電費DB157に記憶されている場合、当該走行ルートの走行実績があると判定する。サーバ1は、走行ルートのデータが走行ルート別電費DB157に記憶されていない場合、当該走行ルートの走行実績がないと判定する。
【0068】
サーバ1は、当該走行ルートの走行実績があると判定した場合、取得した子ルートID、車種、運転者ID、車両ID、天気区分、天候及び日時情報に対応する走行ルートの電費を走行ルート別電費DB157から特定(取得)する。
【0069】
サーバ1は、特定した電費に基づき、走行ルートでの必要電力量を導出する。必要電力量は、以下の式(1)で表される。
必要電力量(kWh)=距離(km)/電費(km/kWh) …(1)
サーバ1は、当該走行ルートにおける出発地から目的地までの距離を算出する。なお、出発地から目的地までの距離は、例えば、地図データが記憶された外部サーバ等を通じて算出されても良い。サーバ1は、算出した距離と、特定した走行ルートの電費とに基づき、上述した式(1)を用いて、運転者による運転の癖、季節、天候、日時及び起伏による電費への影響が考慮された当該走行ルートでの必要電力量を導出(算出)する。
【0070】
サーバ1は、当該走行ルートの走行実績がないと判定した場合、基準電費及び各電装機器の消費電力に基づき当該走行ルートでの必要電力量を導出(算出)する。
【0071】
まず、サーバ1は、基準消費電力量を導出する。具体的には、サーバ1は、当該走行ルートに対応する日時情報に含まれる出発日時に基づいて、季節を季節DB152から特定する。サーバ1は、特定した季節に対応する電費初期値を基準電費として季節DB152から取得する。サーバ1は、当該走行ルートにおける出発地から目的地までの距離を算出する。サーバ1は、取得した基準電費と、算出した距離とに基づき、上述した式(1)を用いて、基準消費電力量を導出(算出)する。
【0072】
次に、サーバ1は、当該走行ルートに対応する天候及び日時情報に基づき、各電装機器の消費電力量を導出する。電装機器は、空調、ライト(スモールライト及びヘッドライト)及びワイパー等を含む。具体的には、サーバ1は、当該走行ルートに対応する気温及び降水確率と、季節及び出発日時とに基づき、消費電力を加算する対象となる電装機器を季節DB152から特定する。
【0073】
例えば、空調が動作している(空調ON)場合の外気温が30℃である場合、または、空調が動作している場合の降水確率が75%である場合、サーバ1は、「空調」である電装機器を消費電力DB154から特定する。または、出発日時がスモールライトの点灯時間帯に該当する場合、サーバ1は、「スモールランプ」である電装機器を消費電力DB154から特定する。サーバ1は、車種に基づき、特定した各電装機器の消費電力を消費電力DB154から取得する。
【0074】
サーバ1は、特定した各電装機器の消費電力(kW)に、当該走行ルートに要する時間(h)を乗じた値を算出する。サーバ1は、算出した各電装機器の値から全電装機器の合計値を算出する。全電装機器の合計値は、当該走行ルートでの必要となる全電装機器の電力量である。
【0075】
そして、サーバ1は、後述する式(2)を用いて、算出した基準消費電力量と、取得した全電装機器の消費電力量との合計消費電力量を、走行実績のない場合の必要電力量として算出する。走行実績のない場合の必要電力量は、以下の式(2)で表される。
走行実績のない場合の必要電力量(kWh)=基準消費電力量(kWh)+各電装機器消費電力量の合計(kWh) …(2)
【0076】
サーバ1は、天気区分、季節名、気温レベル及び降水量レベルを取得する。なお、天気区分、季節名、気温レベル及び降水量レベルの取得処理に関しては、上述した取得処理と同様であるため、説明を省略する。サーバ1は、当該走行ルートに対して子ルートIDを割り振る。サーバ1は、割り振った子ルートIDに対応付けて、天気区分、季節名、出発日時、気温レベル、降水量レベル、及び算出した必要電力量を一つのレコードとして後述する運行計画DB158に記憶できるように一時的に記憶部12に記憶する。
【0077】
これにより、例えば、新たな走行ルートのように過去の走行実績がない場合でも、日時情報、走行ルート、走行時間、及び電装機器(空調、ライトまたはワイパー等)の消費電力に基づき必要電力量を適切に求めることができる。
【0078】
このように、サーバ1は、走行ルート群に含まれる各走行ルートに対し、上述した必要電力量の導出処理を行うことにより、各走行ルートでの必要電力量を導出することができる。
【0079】
次に、導出された各走行ルートでの必要電力量に基づき、運行計画を作成する処理を説明する。サーバ1は、走行実績がある場合、車両ID及び運転者IDと、各走行ルートに対応する気温及び降水確率と、季節及び出発日時、到着日時、距離、必要電力量(電費実績×距離)を記憶部12から取得する。または、サーバ1は、走行実績がない場合、車両ID及び運転者IDと、各走行ルートに対応する気温及び降水確率と、季節及び出発日時、到着日時、距離、必要電力量(基準電力量)及び各電装機器の消費電力量を記憶部12から取得する。
【0080】
サーバ1は、各走行ルートでの必要電力量の合計を、走行ルート群に対応する必要電力量として算出する。サーバ1は、走行ルート群に対し、運行計画を特定する計画IDを割り振る。サーバ1は、割り振った計画IDに対応付けて、運行計画を運行計画DB158に記憶する。
【0081】
具体的には、サーバ1は、走行実績がある場合、各走行ルートを特定する子ルートID、車両ID、運転者ID、出発予定日時、到着予定日時、距離、各走行ルートでの必要電力量、走行ルート群に対応する必要電力量(各走行ルートでの必要電力量の合計値)、天気区分、気温及び降水確率を運行計画DB158に記憶する。
【0082】
または、サーバ1は、走行実績がない場合、各走行ルートを特定する子ルートID、車両ID、運転者ID、出発予定日時、到着予定日時、距離、各走行ルートでの必要電力量、走行ルート群に対応する必要電力量、天気区分、気温、降水確率、ヘッドライトの消費電力量、スモールランプの消費電力量、エアコンの消費電力量、リヤデフォッガーの消費電力量及びワイパーの消費電力量を運行計画DB158に記憶する。
【0083】
なお、
図9で示されている走行ルートの電費の更新処理に関しては、実施形態2で説明する。
【0084】
図10は、車両2における運行計画の作成画面の一例を示す説明図である。作成画面は、走行ルート設定欄11a及び地図表示欄11bを含む。走行ルート設定欄11aは、走行ルート群に含まれる各走行ルートの設定を受け付ける欄である。地図表示欄11bは、走行ルート群に対応する地図データを表示する表示欄である。
【0085】
運転者端末4は、走行ルート設定欄11aの設定操作を受け付けた場合、車両2において、出発地から目的地までの走行ルート群に含まれる各走行ルートの設定を受け付ける。図示のように、運転者端末4は、各走行ルートの出発日時、出発地及び目的地の設定を受け付ける。
【0086】
運転者端末4は、車両IDに対応付けて、受け付けた各走行ルートの出発日時、出発地及び目的地をサーバ1に送信する。サーバ1は、運転者端末4から送信された車両ID、各走行ルートの出発日時、出発地及び目的地を受信する。サーバ1は、受信した出発地及び目的地に基づき、各走行ルートにおける出発地から目的地までの所要時間を算出する。サーバ1は、受信した出発日時と、算出した所要時間とに基づき、目的地に到着する到着予定日時を算出する。
【0087】
サーバ1は、例えば地図データが記憶された外部サーバから、各走行ルートを含む走行ルート群に対応する地図データを取得する。サーバ1は、算出した各走行ルートの到着予定日時と、取得した地図データとを運転者端末4に送信する。運転者端末4は、サーバ1から送信された各走行ルートの到着予定日時及び地図データを受信する。運転者端末4は、受信した各走行ルートの到着予定日時を走行ルート設定欄11aに表示し、受信した地図データを地図表示欄11bに表示する。
【0088】
なお、
図10では、サーバ1側で各走行ルートの到着予定日時が算出されたが、これに限るものではない。例えば、運転者端末4は、運転者による各走行ルートの到着予定日時の入力を受け付けても良い。または、運転者端末4は、地図データが記憶された外部サーバを通じて、各走行ルートの到着予定日時を算出しても良い。
【0089】
図11は、運行計画を作成する際の処理手順を示すフローチャートである。運転者端末4の制御部41は、走行ルート群に含まれる各走行ルートの出発日時、出発地及び目的地の設定を入力部44により受け付ける(ステップS401)。制御部41は、車両IDに対応付けて、受け付けた各走行ルートの出発日時、出発地及び目的地を通信部43によりサーバ1に送信する(ステップS402)。
【0090】
サーバ1の制御部11は、運転者端末4から送信された車両ID、各走行ルートの出発日時、出発地及び目的地を通信部13により受信する(ステップS101)。制御部11は、複数の走行ルートのうち、1つの走行ルートを取得する(ステップS102)。制御部11は、取得した走行ルートの走行実績があるか否かを判定する処理のサブルーチンを実行する(ステップS103)。なお、走行実績の判定処理のサブルーチンに関しては後述する。
【0091】
制御部11は、走行実績の判定処理のサブルーチンにより得られた判定結果に基づき、当該走行ルートの走行実績があるか否かを判定する(ステップS104)。制御部11は、当該走行ルートの走行実績がないと判定した場合(ステップS104でNO)、必要電力量を算出する処理のサブルーチンを実行する(ステップS110)。なお、必要電力量算出処理のサブルーチンに関しては後述する。
【0092】
制御部11は、算出した必要電力量を記憶部12に一時記憶する(ステップS111)。制御部11は、後述するステップS107の処理に遷移する。具体的には、制御部11は、当該走行ルートに対して子ルートIDを割り振る。制御部11は、割り振った子ルートIDに対応付けて、車種、運転者ID、車両ID、天気区分、季節名、出発日時、気温レベル、降水量レベル、基準消費電力量及び各電装機器の消費電力量を一つのレコードとして、運行計画DB158に記憶できるように一時的に記憶部12に記憶する。
【0093】
出発日時について、当該出発日時が所属する時間帯を示す時刻はルート別電費DB157に記憶される。例えば、出発日時が2023/1/20 11:15である場合、当該出発日時が所属する時間帯は11:00~11:30である。制御部11は、当該時間帯を示す時刻(11:00)を出発日時列に記憶する。
【0094】
制御部11は、当該走行ルートの走行実績があると判定した場合(ステップS104でYES)、電費を取得する処理のサブルーチンを実行する(ステップS105)。なお、電費取得処理のサブルーチンに関しては後述する。
【0095】
制御部11は、当該走行ルートでの必要電力量を導出する(ステップS106)。具体的には、制御部11は、当該走行ルートの出発地及び目的地、または天気区分境界に基づき、当該走行ルートの子ルートIDを大容量記憶部15の走行ルートDB156から取得する。制御部11は、当該走行ルートの出発地から目的地までの距離を算出する。制御部11は、当該走行ルートの電費と、算出した当該走行ルートの距離とに基づき、上述した式(1)を用いて、当該走行ルートでの必要電力量(電費×距離)を導出する。
【0096】
制御部11は、当該走行ルートが最後の走行ルートであるか否かを判定する(ステップS107)。制御部11は、当該走行ルートが最後の走行ルートでないと判定した場合(ステップS107でNO)、ステップS102の処理に戻る。
【0097】
制御部11は、当該走行ルートが最後の走行ルートであると判定した場合(ステップS107でYES)、算出した各走行ルートでの必要電力量の合計を、走行ルート群に対応する必要電力量として算出する(ステップS108)。例えば、走行ルート群には、走行ルートA_1、走行ルート1_B、走行ルートB_2、走行ルート2_3及び走行ルート3_3Tが含まれる。例えば、A_1、1_B、B_2及び2_3が走行実績のある走行ルートであり、且つ、3_3Tが走行実績のない走行ルートである。
【0098】
A_1、1_B、B_2及び2_3のそれぞれでの必要電力量は、電費取得処理のサブルーチン(ステップS105)により取得された電費に基づき導出される。また、3_3Tでの必要電力量は、必要電力量算出処理のサブルーチン(ステップS110)により算出された必要電力量(基準消費電力量+各電装機器消費電力量の合計)となる。例えば、A_1、1_B、B_2、2_3及び3_3Tのそれぞれでの必要電力量が、「2kWh、4kWh、1.3kWh、4kWh、4.7kWh」である。走行ルート群に対応する必要電力量(16kWh)は、A_1、1_B、B_2、2_3及び3_3Tのそれぞれでの必要電力量の合計値(2kWh+4kWh+1.3kWh+4kWh+4.7kWh)である。
【0099】
制御部11は、子ルートID、車両ID及び運転者IDに対応付けて運行計画を大容量記憶部15の運行計画DB158に記憶し(ステップS109)、処理を終了する。具体的には、制御部11は、運行計画を特定する計画IDを割り振る。制御部11は、走行実績がある場合、割り振った計画IDに対応付けて、各走行ルートを特定する子ルートID、車両ID、運転者ID、出発予定日時、到着予定日時、距離、各走行ルートでの必要電力量、走行ルート群に対応する必要電力量(各走行ルートでの必要電力量の合計値)、天気区分、気温及び降水確率を運行計画DB158に記憶する。
【0100】
または、制御部11は、走行実績がない場合、割り振った計画IDに対応付けて、各走行ルートを特定する子ルートID、車両ID、運転者ID、出発予定日時、到着予定日時、距離、各走行ルートでの必要電力量、走行ルート群に対応する必要電力量、天気区分、気温、降水確率、ヘッドライトの消費電力量、スモールランプの消費電力量、エアコンの消費電力量、リヤデフォッガーの消費電力量及びワイパーの消費電力量を運行計画DB158に記憶する。
【0101】
図12は、走行実績を判定する処理のサブルーチンの処理手順を示すフローチャートである。サーバ1の制御部11は、車両IDに基づき、当該車両2の運転者ID及び車種を大容量記憶部15の車両DB151から取得する(ステップS01)。制御部11は通信部13を介して、走行ルートの出発地の経度緯度に基づき、天気区分を外部の天気予報のサーバまたはサイトから取得する(ステップS02)。
【0102】
制御部11は通信部13を介して、走行ルートの出発地に基づき、外部の天気予報のサーバまたはサイトから、気象庁等が発表した気温及び降水確率を取得する(ステップS03)。制御部11は、取得した気温に基づき、該当する気温レベルを大容量記憶部15の天候DB153から特定する(ステップS04)。制御部11は、取得した降水確率に基づき、該当する降水量レベルを大容量記憶部15の天候DB153から特定する(ステップS05)。制御部11は、走行ルートに対応する日時情報に含まれる出発日に基づいて、季節を大容量記憶部15の季節DB152から特定する(ステップS06)。
【0103】
制御部11は、走行ルートのデータが大容量記憶部15の走行ルート別電費DB157に記憶されたか否かを判定する(ステップS07)。具体的には、制御部11は、当該走行ルートの出発地及び目的地、または天気区分境界に基づき、当該走行ルートの子ルートIDを大容量記憶部15の走行ルートDB156から取得する。制御部11は、取得した子ルートID、車種、運転者ID、車両ID、天気区分、天候(気温レベル及び降水量レベル)及び日時情報(季節及び出発日時)と、大容量記憶部15の走行ルート別電費DB157に記憶された子ルートID、車種、運転者ID、車両ID、天気区分、天候及び日時情報との一致性を判定することにより、走行ルートのデータが走行ルート別電費DB157に記憶されたか否かを判定する。
【0104】
制御部11は、走行ルートのデータが走行ルート別電費DB157に記憶されている場合(ステップS07でYES)、当該走行ルートの走行実績があると判定する(ステップS08)。制御部11は、走行実績の判定処理のサブルーチンを終了してリターンする。制御部11は、走行ルートのデータが走行ルート別電費DB157に記憶されていない場合(ステップS07でNO)、当該走行ルートの走行実績がないと判定する(ステップS09)。制御部11は、走行実績の判定処理のサブルーチンを終了してリターンする。
【0105】
図13は、電費を取得する処理のサブルーチンの処理手順を示すフローチャートである。サーバ1の制御部11は、ステップS11~S16の処理を実行する。なお、ステップS11~S16の処理に関しては、ステップS01~S06の処理と同様であるため、説明を省略する。
【0106】
制御部11は、大容量記憶部15の走行ルート別電費DB157に記憶された子ルートID及び電費を取得する(ステップS17)。具体的には、制御部11は、当該走行ルートの出発地及び目的地、または天気区分境界に基づき、当該走行ルートの子ルートIDを大容量記憶部15の走行ルートDB156から取得する。制御部11は、取得した子ルートID、車種、運転者ID、車両ID、天気区分、天候及び日時情報に基づき、大容量記憶部15の走行ルート別電費DB157に記憶された子ルートID、車種、運転者ID、車両ID、天気区分、天候及び日時情報と一致する走行ルートの電費を、走行ルート別電費DB157から取得する。制御部11は、電費取得処理のサブルーチンを終了してリターンする。
【0107】
図14は、必要電力量を算出する処理のサブルーチンの処理手順を示すフローチャートである。サーバ1の制御部11は、当該走行ルートに対応する日時情報に含まれる出発日に基づいて、季節を大容量記憶部15の季節DB152から特定する(ステップS21)。制御部11は、特定した季節に対応する電費初期値を基準電費として、大容量記憶部15の季節DB152から取得する(ステップS22)。
【0108】
制御部11は、当該走行ルートにおける出発地から目的地までの距離を算出する(ステップS23)。制御部11は、取得した基準電費と、算出した距離とに基づき、上述した式(1)を用いて、基準必要電力量を導出する(ステップS24)。制御部11は、外部の天気予報のサーバまたはサイトから、当該走行ルートに対応する気温及び降水確率を通信部13により取得する(ステップS25)。
【0109】
制御部11は、当該走行ルートに対応する気温及び降水確率と、季節及び出発日時とに基づき、必要電力量を加算する対象となる電装機器を大容量記憶部15の季節DB152から特定する(ステップS26)。制御部11は、車種に基づき、特定した各電装機器の消費電力を大容量記憶部15の消費電力DB154から取得する(ステップS27)。
【0110】
制御部11は、各電装機器の必要電力量を算出する(ステップS28)。具体的には、制御部11は、当該走行ルートの到着日時と出発日時との差を算出することにより、走行に要する時間を取得する。制御部11は、各電装機器の消費電力と走行に要する時間とに基づき、後述する式(3)を用いて各電装機器の必要電力量を算出する。電装機器の必要電力量は、以下の式(3)で表される。
電装機器の必要電力量(kWh)=電装機器の消費電力(kW)×走行に要する時間(h) …(3)
制御部11は、必要電力量算出処理のサブルーチンを終了してリターンする。
【0111】
本実施形態によると、走行実績のある場合、運転者、車種、走行ルート群、天候及び日時情報に基づき、各走行ルートの必要電力量を算出することにより、電費の精度を向上することが可能となる。
【0112】
本実施形態によると、走行実績のある場合、走行実績から得られた電費に基づき各走行ルートでの必要電力量を導出することが可能となる。
【0113】
本実施形態によると、各走行ルートでの必要電力量を含む運行計画を作成することが可能となる。
【0114】
本実施形態によると、新たな走行ルートのように過去の走行実績がない場合でも、日時情報、天候、走行ルート及び電装機器の消費電力に基づき、必要電力量を適切に算出することが可能となる。
【0115】
(実施形態2)
実施形態2は、走行ルートの走行開始後に、車両2の位置情報、電池残量及び走行距離に基づき、当該走行ルートの電費を更新する形態に関する。なお、実施形態1と重複する内容については説明を省略する。
【0116】
図9に戻り、走行ルートの電費の更新処理を説明する。車両2に搭載されている車載器3は、当該車両2に対応する走行ルートの走行開始後に、車両2のモーターの電源供給の状態(供給中/供給停止)を取得する。車載器3は、前回サーバ1に車両2の状態情報を送信してから所定の時間間隔(例えば、1分)を経過したか否かを判定する。
【0117】
車載器3は、所定の時間間隔を経過し、または、電源供給の状態が供給停止である(目的地到着)場合、車両2の状態情報を取得する。車両2の状態情報は、経度緯度、電池残量、累積走行距離、空調の状態(ON/OFF)、空調の風量、リヤデフォッガーの状態(ON/OFF)、ワイパーの状態(ON/OFF)、スモールランプの状態(点灯/消灯)またはヘッドライトの状態(点灯/消灯)等を含む。
【0118】
車載器3は、車両2の車両IDに対応付けて、取得した車両2の状態情報をサーバ1に送信する。サーバ1は、車載器3から送信された車両ID及び状態情報を受信する。サーバ1は、受信した車両IDに対応付けて、車両2の状態情報を車状態履歴DB155に記憶する。
【0119】
サーバ1は、車両2の経度緯度に基づき、所定の更新条件を満たしたか否かを判定する。更新条件は、種々の設定とすることができるが、以下が例示される。サーバ1は、車両2の現在位置が目的地または天気区分の境界である場合、更新条件を満たしたと判定する。サーバ1は、車両2の現在位置が目的地及び天気区分の境界のいずれかでない場合、更新条件を満たしていないと判定する。
【0120】
具体的には、サーバ1は、車両2の現在位置を示す経度緯度と、目的地の経度緯度とに基づき、車両2の現在位置が目的地であるか否かを判定する。また、サーバ1は、車両2の経度緯度に基づき、天気区分(例えば、東京)を外部の天気予報のサーバまたはサイトから取得する。サーバ1は、取得した車両2の現在位置を示す経度緯度と、取得した天気区分に示されている地域の経度緯度とに基づき、車両2が天気区分の境界であるか否かを判定する。
【0121】
サーバ1は、所定の更新条件を満たしたと判定した場合、電池残量及び走行距離に基づき、当該走行ルートの電費を導出する。サーバ1は、走行ルートの出発地と現在位置とに基づき、該当する子ルートIDを走行ルートDB156から取得する。サーバ1は、車両IDに基づき車種及び運転者IDを車両DB151から取得する。サーバ1は、取得した子ルートID、車種、運転者ID、車両ID、天気区分、季節、出発日時、天候と、導出した電費とで、走行ルート別電費DB157に記憶された電費を更新する。
【0122】
具体的には、サーバ1は、車両IDに基づき、当該車両2の前回電費計算に使用した前回累積走行距離、及び前回電費計算に使用した前回電池残量を車状態履歴DB155から取得する。なお、前回電費計算に使用したデータ(レコード)は、電費計算フラグ等を用いて識別されても良い。サーバ1は、車載器3から送信された今回累積走行距離と、取得した前回累積走行距離とに基づき、今回走行距離(今回累積走行距離-前回累積走行距離)を算出する。
【0123】
サーバ1は、車載器3から送信された今回電池残量と、取得した前回電池残量とに基づき、今回消費電力量(前回電池残量-今回電池残量)を算出する。サーバ1は、算出した今回走行距離及び今回消費電力量に基づき、後述する式(4)を用いて、当該走行ルートの電費を導出する。走行ルートの電費は、以下の式(4)で表される。
電費(km/kWh)=距離(km)/消費電力量(kWh)…(4)
【0124】
サーバ1は、車両IDに基づき、当該車両2の運転者ID及び車種を車両DB151から取得する。サーバ1は、走行ルートの出発地に基づき、外部の天気予報のサーバまたはサイトから、気象庁が発表した気温及び降水確率を取得する。サーバ1は、取得した気温に基づき、該当する気温レベルを天候DB153から特定する。
【0125】
サーバ1は、取得した降水確率に基づき、該当する降水量レベルを天候DB153から特定する。サーバ1は、当該走行ルートの出発日に基づいて、季節を季節DB152から取得する。サーバ1は、車両2の出発地を示す経度緯度に基づき、天気区分を外部の天気予報のサーバまたはサイトから取得する。サーバ1は、走行ルートの出発地と現在位置とに基づき、該当する子ルートIDを走行ルートDB156から取得する。
【0126】
サーバ1は、取得した子ルートID、車種、運転者ID、車両ID、天気区分、天候及び日時情報と、大容量記憶部15の走行ルート別電費DB157に記憶された子ルートID、車種、運転者ID、車両ID、天気区分、天候及び日時情報との一致性を判定することにより、走行ルート別電費DB157から、子ルートID、車種、運転者ID、車両ID、天気区分、天候(気温レベル及び降水量レベル)及び日時情報(季節及び出発日時)に対応する電費を特定する。
【0127】
サーバ1は、導出した電費で、走行ルート別電費DB157から特定された電費を更新する。例えば、サーバ1は、導出した電費と、特定された電費とに基づき、加重平均値等を算出する。サーバ1は、算出した電費の加重平均値で、走行ルート別電費DB157から特定された電費を更新する。なお、サーバ1は、導出した電費で、走行ルート別電費DB157から特定された電費を直接更新しても良い。
【0128】
これにより、車両2の走行の実績データを利用し、走行ルート別電費DB157に蓄積された各走行ルートの電費を更新することにより、各走行ルートの電費の精度を向上することが可能となる。
【0129】
図15は、走行ルートの電費を更新する際の処理手順を示すフローチャートである。車両2に搭載されている車載器3の車載制御部31は、当該車両2のモーターの電源供給の状態(供給中/供給停止)を取得する(ステップS321)。車載制御部31は、時計部34を介して、前回サーバ1に車両2の状態情報を送信してから所定の時間間隔(例えば、1分)が経過し、または、電源供給の状態が供給停止であるか否かを判定する(ステップS322)。
【0130】
車載制御部31は、所定の時間間隔が経過し、及び、電源供給の状態が供給停止であること、のいずれかでない場合(ステップS322でNO)、待機する。車載制御部31は、所定の時間間隔が経過し、または、電源供給の状態が供給停止である場合(ステップS322でYES)、車両2の状態情報を取得する(ステップS323)。
【0131】
状態情報は、経度緯度、電池残量、累積走行距離、空調の状態、空調の風量、リヤデフォッガーの状態、ワイパーの状態、スモールランプの状態またはヘッドライトの状態等を含む。車載制御部31は、車両2の車両IDに対応付けて、取得した状態情報を通信部33によりサーバ1に送信する(ステップS324)。サーバ1の制御部11は、車載器3から送信された車両ID及び状態情報を通信部13により受信する(ステップS121)。
【0132】
制御部11は、受信した車両IDに対応付けて、車両2の状態情報を大容量記憶部15の車状態履歴DB155に記憶する(ステップS122)。具体的には、制御部11は、車両IDに対応付けて、送信日時、経度緯度、電池残量、累積走行距離、空調状態(ON/OFF)、空調の風量(風量MAX、風量3、風量2または風量1等)、リヤデフォッガーの状態(ON/OFF)、ワイパーの状態(ON/OFF)、スモールランプの状態(点灯/消灯)、ヘッドライトの状態(点灯/消灯)及び作成日時を一つのレコードとして車状態履歴DB155に記憶する。
【0133】
制御部11は、車両2の経度緯度に基づき、車両2の現在位置が目的地または天気区分の境界であるか否かを判定する(ステップS123)。具体的には、制御部11は、車両2の現在位置を示す経度緯度と、目的地の経度緯度とに基づき、車両2の現在位置が目的地であるか否かを判定する。また、制御部11は通信部13を介して、車両2の出発地を示す経度緯度に基づき、天気区分を外部の天気予報のサーバまたはサイトから取得する。なお、制御部11は、出発地が天気区分の境界である場合、旧区分と新区分との2つの選択肢のうち、新たな天気区分を取得する。制御部11は、車両2の現在位置を示す経度緯度と、取得した天気区分に示されている地域の経度緯度とに基づき、車両2が天気区分の境界であるか否かを判定する。
【0134】
制御部11は、車両2の現在位置が目的地及び天気区分の境界のいずれかでない場合(ステップS123でNO)、ステップS121の処理に戻る。制御部11は、車両2の現在位置が目的地または天気区分の境界である場合(ステップS123でYES)、電費を更新する処理のサブルーチンを実行する(ステップS124)。なお、電費更新処理のサブルーチンに関しては後述する。制御部11は、処理を終了する。
【0135】
図16は、電費を更新する処理のサブルーチンの処理手順を示すフローチャートである。サーバ1の制御部11は、車両IDに基づき、当該車両の前回電費計算に使用した前回累積走行距離、及び前回電費計算に使用した前回電池残量を大容量記憶部15の車状態履歴DB155から取得する(ステップS31)。制御部11は、車載器3から送信された今回累積走行距離と、取得した前回累積走行距離とに基づき、今回走行距離(今回累積走行距離-前回累積走行距離)を算出する(ステップS32)。
【0136】
制御部11は、車載器3から送信された今回電池残量と、取得した前回電池残量とに基づき、今回消費電力量(前回電池残量-今回電池残量)を算出する(ステップS33)。制御部11は、算出した今回走行距離及び今回消費電力量に基づき、上述した式(4)を用いて、当該走行ルートの電費を導出する(ステップS34)。
【0137】
制御部11は、ステップS35~S40の処理を実行する。なお、ステップS35~S40の処理に関しては、ステップS01~S06の処理と同様であるため、説明を省略する。
【0138】
制御部11は、大容量記憶部15の走行ルート別電費DB157に記憶された電費を特定する(ステップS41)。具体的には、制御部11は、当該走行ルートの出発地及び目的地、または天気区分境界に基づき、当該走行ルートの子ルートIDを大容量記憶部15の走行ルートDB156から取得する。制御部11は、取得した子ルートID、車種、運転者ID、車両ID、天気区分、天候及び日時情報と、大容量記憶部15の走行ルート別電費DB157に記憶された子ルートID、車種、運転者ID、車両ID、天気区分、天候及び日時情報との一致性を判定することにより、走行ルート別電費DB157から電費を特定する。
【0139】
制御部11は、導出した電費と、特定した電費とに基づき、電費の加重平均値を算出する(ステップS42)。具体的には、制御部11は、過去実績により算出された電費の記憶(更新)回数に対して重み付けを行い、且つ、今回導出した電費の回数に対し重み付けを行って加重平均を算出する。重みは、回数/総回数(過去の記憶回数+今回の記憶回数)により算出される。
【0140】
例えば、過去の加重平均値の記憶回数が9回である場合、過去の電費(特定した電費)の重みは、9/10(0.9)である。今回導出した電費の回数が1回であるため、導出した電費の重みは、1/10(0.1)である。そして、制御部11は、特定した電費(例えば、5.9km/kWh)及び重み(0.9)と、導出した電費(例えば、6.7km/kWh)及び重み(0.1)とに基づき、電費の加重平均値を算出する。例えば、算出された電費の加重平均値は、5.98kWh(6.7×0.1 + 5.9×0.9)である。
【0141】
なお、電費は、上述した加重平均値に限らず、単なる平均値(または、中間値)、相加平均値、相乗平均値、調和平均値、今回導出した値またはその他の統計量であっても良い。
【0142】
制御部11は、算出した電費の加重平均値で、走行ルート別電費DB157から特定された電費を更新する(ステップS43)。制御部11は、電費更新処理のサブルーチンを終了してリターンする。
【0143】
本実施形態によると、走行ルートの走行開始後に、走行ルートに対応する車両2の位置情報、電池残量及び走行距離に基づき、当該走行ルートの電費を更新することが可能となる。
【0144】
(実施形態3)
実施形態3は、車両2における充電スケジュールを作成する形態に関する。なお、実施形態1~2と重複する内容については説明を省略する。
【0145】
本実施形態に係るサーバ1は、出発地から目的地までの走行ルート群に対応する車両2の日時情報、必要電力量及び電池残量を取得する。サーバ1は、取得した日時情報、必要電力量及び電池残量を、当該車両2を特定する車両IDに対応付けて記憶する。サーバ1は、取得した日時情報、必要電力量及び電池残量から、単位時間当たりの充電量を算出する。
【0146】
サーバ1は、全体契約電力量及び充電器の1台当たりの最大充電容量を取得する。サーバ1は、取得した全体契約電力量及び最大充電容量に基づき、同時充電可能な充電器の台数を決定する。サーバ1は、決定した充電器の台数と、算出した単位時間当たりの充電量とに基づき、充電対象となる車両を特定する。
【0147】
図17は、実施形態3における充電スケジュールシステムの概要を示す説明図である。なお、
図1~2と重複する内容については同一の符号を付して説明を省略する。本実施形態の充電スケジュールシステムは、充電器5を含む。充電器5は、充電プラグ及び充電ケーブル等を介して車両2の充電装置に接続される。
【0148】
図18は、実施形態3におけるサーバ1の構成例を示すブロック図である。なお、
図2と重複する内容については同一の符号を付して説明を省略する。大容量記憶部15には、車充電器対応DB159、充電器設置場所DB160及び充電スケジュールDB161が含まれる。車充電器対応DB159は、車両2と、当該車両2に接続された充電器5との対応関係情報を記憶している。充電器設置場所DB160は、充電器5が設置された場所を記憶している。充電スケジュールDB161は、車両2の充電スケジュールを記憶している。
【0149】
図19は、車充電器対応DB159及び充電器設置場所DB160のレコードレイアウトの一例を示す説明図である。
車充電器対応DB159は、車両ID列、充電器番号列、充電状態(ステータス)列、充電開始日時列及び充電完了日時列を含む。車両ID列は、車両2を特定する車両IDを記憶している。充電器番号列は、各充電器5を識別するために、一意に特定される充電器5のIDを記憶している。
【0150】
充電状態列は、充電器5の充電状態を記憶している。充電状態は、未充電、充電中または充電完了等を含む。充電開始日時列は、車両2に対する充電開始日時を記憶している。充電完了日時列は、車両2に対する充電完了日時を記憶している。
【0151】
充電器設置場所DB160は、充電器番号列及び設置場所列を含む。充電器番号列は、充電器5を特定する充電器番号を記憶している。設置場所列は、充電器5が設置された場所(例えば、経度緯度)を記憶している。
【0152】
図20は、充電スケジュールDB161のレコードレイアウトの一例を示す説明図である。充電スケジュールDB161は、管理ID列、車両ID列、必要電力量列、季節名列、出発日時列、電池残量列、充電量列、充電可能時間列及び単位時間当充電量列を含む。
【0153】
管理ID列は、各充電スケジュールのデータを識別するために、一意に特定される充電スケジュールのデータの管理IDを記憶している。車両ID列は、車両2を特定する車両IDを記憶している。必要電力量列は、ステップS108の処理で求めた各走行ルートでの必要電力量の合計値を記憶している。季節名列は、季節の名称を記憶している。
【0154】
出発日時列は、走行ルート群に対応する出発日時を記憶している。電池残量列は、車両2の電池残量を記憶している。充電量列は、必要電力量から電池残量を引いた後の電力量を記憶している。充電可能時間列は、出発日時と現在日時とに基づき算出された時間(出発日時-現在日時)を記憶している。単位時間当充電量列は、車両2における単位時間当たりの充電量を記憶している。電池残量、充電量、充電可能時間及び単位時間当たりの充電量は、定期的(例えば、10分毎)に更新される。
【0155】
図21は、充電器5の構成例を示すブロック図である。充電器5は、充電制御部51、接続検知部52及び通信部53を含む。充電制御部51は、サーバ1から与えられる電力指令値(充電器5の出力電力を指定する)に従って、充電器5の充電ONまたは充電OFFを制御する。接続検知部52は、充電器5と車両2との接続を検知する。通信部53は、通信に関する処理を行うための通信モジュールであり、サーバ1等と情報の送受信を行う。
【0156】
続いて、車両2における充電スケジュールを作成する処理を説明する。サーバ1は、各車両2における翌日の運行計画が運行計画DB158に存在するか否かを判定する。なお、本実施形態では、翌日の運行計画の例を説明するが、これに限るものではない。例えば、翌々日といった比較的現在から近い将来の期間における運行計画にも同様に適用することができる。
【0157】
サーバ1は、翌日の運行計画が運行計画DB158に存在する車両2を抽出する。サーバ1は、抽出した車両2の車両IDに基づき、各車両2の充電状態を取得する。サーバ1は、取得した車両2の充電状態に基づき、充電状態が未充電である車両2を特定する。サーバ1は、特定した車両2の日時情報(季節及び出発日時)、必要電力量及び電池残量を取得する。
【0158】
具体的には、サーバ1は、特定した車両2の車両IDに基づき、当該車両2の出発日時及び必要電力量を運行計画DB158から取得する。サーバ1は、取得した出発日時に基づき、季節を季節DB152から特定する。サーバ1は、特定した車両2の車両IDに基づき、当該車両2の最新の電池残量を車状態履歴DB155から取得する。
【0159】
サーバ1は、単位時間当たりの充電量を算出する。単位時間当たりの充電量は、以下の式(5)で表される。
単位時間当たりの充電量=(必要電力量-電池残量)/(出発日時-現在日時) …(5)
サーバ1は、取得した日時情報、必要電力量及び電池残量に基づき、上述した式(5)を用いて、各車両2における単位時間当たりの充電量を算出する。
【0160】
サーバ1は、取得した日時情報、必要電力量及び電池残量を、特定した車両2の車両IDに対応付けてスケジュールDB161に記憶する。具体的には、サーバ1は、スケジュールデータを管理するための管理IDを割り振る。サーバ1は、割り振った管理ID及び車両IDに対応付けて、車両2における必要電力量、季節名、出発日時、電池残量、充電量(必要電力量-電池残量)、充電可能時間(出発日時-現在日時)及び単位時間当たりの充電量を一つのレコードとして充電スケジュールDB161に記憶する。
【0161】
なお、日時情報に含まれる季節は、必須ではなく、充電スケジュールDB161に記憶されなくても良い。
【0162】
続いて、充電対象となる車両2を特定する処理を説明する。サーバ1は、算出した単位時間当たりの充電量の大きい順(降順)に、例えば、車両2の日時情報、必要電力量及び電池残量をソートする。サーバ1は、ソートした後の日時情報、必要電力量及び電池残量を各車両の車両IDに対応付けて出力する。なお、サーバ1は、ソートした後の日時情報、必要電力量及び電池残量を各車両の車両IDに対応付けて、充電スケジュールDB161を更新しても良い。
【0163】
サーバ1は、例えば、外部の電力管理システムから全体契約電力量を取得する。例えば、全体契約電力量が20kWであっても良い。サーバ1は、例えば、予め記憶部12または大容量記憶部15に記憶された充電器5の1台当たりの最大充電容量を取得する。例えば、充電器5の1台当たりの最大充電容量が6kWであっても良い。
【0164】
サーバ1は、同時充電可能な充電器5の台数を決定する。同時充電可能な充電器5の台数は、以下の式(6)で表される。
充電器5の台数=全体契約電力量/充電器5の1台当たりの最大充電容量 …(6)
【0165】
サーバ1は、取得した全体契約電力量と充電器5の1台当たりの最大充電容量とに基づき、上述した式(6)を用いて、同時充電可能な充電器5の台数を決定する。例えば、決定された同時充電可能な充電器5の台数が3台である。
【0166】
サーバ1は、決定した充電器5の台数と、ソートした後の単位時間当たりの充電量とに基づき、充電対象となる車両2を特定する。具体的には、サーバ1は、決定した充電器5の台数に基づき、単位時間当たりの充電量の大きい順から、充電対象となる車両2を特定する。
【0167】
以下では、一例として、充電対象となる車両2を特定する処理を説明する。サーバ1は、事業所に帰ってきた複数の車両2において、車両ID別に翌日の必要電力量、出発日時及び電池残量を取得する。例えば、取得された必要電力量、出発日時及び電池残量が、
「車両ID:LF001,必要電力量:40kWh,出発時刻:14:00,電池残量:8kWh
車両ID:LF002,必要電力量:30kWh,出発時刻:09:00,電池残量:12kWh
車両ID:LF003,必要電力量:40kWh,出発時刻:09:00,電池残量:5kWh
車両ID:LF004,必要電力量:40kWh,出発時刻:10:00,電池残量:4kWh
車両ID:LF005,必要電力量:20kWh,出発時刻:12:00,電池残量:6kWh」である。
【0168】
サーバ1は、取得した日時情報、必要電力量及び電池残量に基づき、充電量(必要電力量-電池残量)及び充電可能時間(出発日時-現在日時)を算出する。サーバ1は、取得した日時情報と、算出した必要電力量及び電池残量とに基づき、上述した式(5)を用いて、各車両2における単位時間当たりの充電量を算出する。
【0169】
算出された単位時間当たりの充電量が
「車両ID:LF001,必要電力量:40kWh,出発時刻:14:00,電池残量:8kWh,充電量:32kWh,充電可能時間:20h,単位時間当充電量:1.6kWh/h
車両ID:LF002,必要電力量:30kWh,出発時刻:09:00,電池残量:12kWh,充電量:18kWh,充電可能時間:15h,単位時間当充電量:1.2kWh/h
車両ID:LF003,必要電力量:40kWh,出発時刻:09:00,電池残量:5kWh,充電量:35kWh,充電可能時間:15h,単位時間当充電量:2.3kWh/h
車両ID:LF004,必要電力量:40kWh,出発時刻:10:00,電池残量:4kWh,充電量:36kWh,充電可能時間:16h,単位時間当充電量:2.25kWh/h
車両ID:LF005,必要電力量:20kWh,出発時刻:12:00,電池残量:6kWh,充電量:14kWh,充電可能時間:18h,単位時間当充電量:0.78kWh/h」である。
【0170】
サーバ1は、算出した単位時間当たりの充電量の大きい順にソートする。ソートされた車両ID、日時情報、必要電力量及び電池残量は
「車両ID:LF003,必要電力量:40kWh,出発時刻:09:00,電池残量:5kWh,充電量:35kWh,充電可能時間:15h,単位時間当充電量:2.3kWh/h
車両ID:LF004,必要電力量:40kWh,出発時刻:10:00,電池残量:4kWh,充電量:36kWh,充電可能時間:16h,単位時間当充電量:2.25kWh/h
車両ID:LF001,必要電力量:40kWh,出発時刻:14:00,電池残量:8kWh,充電量:32kWh,充電可能時間:20h,単位時間当充電量:1.6kWh/h
車両ID:LF002,必要電力量:30kWh,出発時刻:09:00,電池残量:12kWh,充電量:18kWh,充電可能時間:15h,単位時間当充電量:1.2kWh/h
車両ID:LF005,必要電力量:20kWh,出発時刻:12:00,電池残量:6kWh,充電量:14kWh,充電可能時間:18h,単位時間当充電量:0.78kWh/h」である。
【0171】
サーバ1は、全体契約電力量(例えば、20kW)と、充電器5の1台当たりの最大充電容量(例えば、6kW)とに基づき、上述した式(6)を用いて、同時充電可能な充電器5の台数(3台)を決定する。
【0172】
サーバ1は、決定した同時充電可能な充電器5の台数に基づき、ソート後の複数の車両2において、単位時間当たりの充電量の大きい順から、車両IDが「LF003」、「LF004」及び「LF001」である車両2を充電対象となる車両2として特定する。
【0173】
そして、サーバ1は、特定した各車両2を運転する運転者の運転者端末4に、車両2と充電器5との接続指示を送信する。なお、サーバ1は、接続指示を該当する運転者の電子メールアドレス宛に送信しても良い。運転者端末4は、サーバ1から送信された接続指示を受信して画面に表示する。これにより、充電器の設置台数が車両数より少ない場合でも、運行計画に応じた充電を実現することができる。
【0174】
運転者端末4は、運転者が車両2と充電器5とを接続した後に、運転者による車両2の車両ID及び充電器5の充電器番号の入力を受け付ける。運転者端末4は、受け付けた車両ID及び充電器番号をサーバ1に送信する。サーバ1は、運転者端末4から送信された車両ID及び充電器番号を受信する。
【0175】
サーバ1は、受信した車両ID及び充電器番号に基づき、車両2の位置情報と、充電器5の位置情報との一致性を判定する。具体的には、サーバ1は、車両IDに基づき、当該車両2の最新の経度緯度を車状態履歴DB155から取得する。サーバ1は、充電器番号に基づき、当該充電器5が設置された場所の位置情報を充電器設置場所DB160から取得する。
【0176】
サーバ1は、取得した車両2の位置情報と、充電器の位置情報とが一致するか否かを判定する。サーバ1は、両者が一致していない場合、位置情報が不一致である旨を含むアラート(第1アラート)を運転者端末4に送信する。運転者端末4は、サーバ1から送信された第1アラートを受信し、受信した第1アラートを画面に表示する。
【0177】
サーバ1は、両者が一致する場合、充電完了日時と出発日時との関係の正確性を判定する。具体的には、サーバ1は、現在日時を車両2の充電開始日時として取得する。サーバ1は、車両2の必要電力量及び電池残量に基づき、当該車両2における充電量(必要電力量-電池残量)を算出する。
【0178】
サーバ1は、取得した充電開始日時と、算出した充電量とに基づき、当該車両2における充電完了日時を算出する。充電完了日時は、以下の式(7)で表される。
充電完了日時=充電開始日時+充電量/充電器5の1台当たりの最大充電容量 …(7)
サーバ1は、例えば、予め記憶部12または大容量記憶部15に記憶された充電器5の1台当たりの最大充電容量を取得する。サーバ1は、充電開始日時及び充電量と、取得した充電器5の1台当たりの最大充電容量とに基づき、上述した式(7)を用いて、当該車両2における充電完了日時を算出する。
【0179】
サーバ1は、算出した充電完了日時が当該車両2の出発日時よりも前でない場合、運転者に充電が間に合わない旨を含むアラート(第2アラート)を運転者端末4に送信する。運転者端末4は、サーバ1から送信された第2アラートを受信し、受信した第2アラートを画面に表示する。なお、第2アラートには、例えば直流電流で車両2の電池(バッテリー)を比較的短い時間で急速充電可能な充電器を利用することを勧める旨が含まれても良い。
【0180】
サーバ1は、算出した充電完了日時が当該車両2の出発日時よりも前である場合、当該車両2に接続された充電器5に充電指示を出力する。充電器5は、サーバ1から送信された充電指示を受信する。充電器5は、受信した充電指示に応じて、当該充電器5に接続された車両2に充電する。
【0181】
サーバ1は、車両2の車両ID及び充電器5の充電器番号に対応付けて、「充電中」である充電状態、充電開始日時及び充電完了日時を一つのレコードとして車充電器対応DB159に記憶する。
【0182】
なお、上述した位置情報の一致性、及び、充電完了日時と出発日時との関係の正確性の判定処理の順は限定されず、どちらを先に判定しても良い。
【0183】
なお、本実施形態では、経度緯度である位置情報の一致性の判定処理を行ったが、これに限るものではない。例えば、車両2及び充電器5に設けられたWiFi、Bluetooth(登録商標)、Zigbee(登録商標)、またはRFID等の無線接続手段を利用して、車両2と充電器5との接続状況により位置情報の一致性を判定しても良い。例えば、サーバ1は、車両2と充電器5との接続が成立した場合、位置情報が一致すると判定する。サーバ1は、車両2と充電器5との接続が成立していない場合、位置情報が一致していないと判定する。
【0184】
なお、上述した位置情報の一致性の判定処理に限るものではない。例えば、ナンバープレートの一致性の判定処理を行っても良い。具体的には、サーバ1は、充電器5の近傍に設置された撮像装置により撮影された車両2のナンバープレートの画像を取得する。サーバ1は、公知の画像認識技術を用いて、取得したナンバープレートの画像を画像解析することにより、当該ナンバープレートに記載された番号を認識する。サーバ1は、認識した番号と、車両DB151に記憶された車両2のナンバープレートの番号とに基づいて、ナンバープレートの一致性を判定する。
【0185】
図22及び
図23は、充電対象となる車両2を特定する際の処理手順を示すフローチャートである。サーバ1の制御部11は、翌日の運行計画に対応する車両2の車両IDを大容量記憶部15の運行計画DB158から抽出する(ステップS131)。制御部11は、抽出した各車両2の車両IDに基づき、各車両2の充電状態を大容量記憶部15の車充電器対応DB159から取得する(ステップS132)。制御部11は、取得した各車両2の充電状態に基づいて、充電状態が未充電である車両2を抽出する(ステップS133)。
【0186】
制御部11は、抽出した車両2の日時情報(季節及び出発日時)及び必要電力量を取得する(ステップS134)。具体的には、制御部11は、抽出した車両2の車両IDに基づき、走行ルート群に対応する出発日時、及び各走行ルートでの必要電力量を大容量記憶部15の運行計画DB158から取得する。制御部11は、取得した各走行ルートでの必要電力量の合計電力量を算出する。制御部11は、取得した出発日時に基づき、季節を季節DB152から取得する。
【0187】
制御部11は、抽出した車両2の車両IDに基づき、当該車両2の最新の電池残量を大容量記憶部15の車状態履歴DB155から取得する(ステップS135)。制御部11は、取得した日時情報、必要電力量及び電池残量に基づき、上述した式(5)を用いて、単位時間当たりの充電量を算出する(ステップS136)。
【0188】
制御部11は、取得した日時情報、必要電力量(合計電力量)及び電池残量を、特定した車両2の車両IDに対応付けて、大容量記憶部15の充電スケジュールDB161に記憶する(ステップS137)。具体的には、制御部11は、スケジュールデータを管理するための管理IDを割り振る。制御部11は、割り振った管理ID及び車両IDに対応付けて、必要電力量、季節名、出発日時、電池残量、充電量(必要電力量-電池残量)、充電可能時間(出発日時-現在日時)及び単位時間当たりの充電量等を一つのレコードとして充電スケジュールDB161に記憶する。
【0189】
制御部11は、充電対象となる車両2を特定する処理のサブルーチンを実行する(ステップS138)。なお、充電対象となる車両の特定処理のサブルーチンに関しては後述する。制御部11は、通信部13を介して、特定した各車両2を運転する運転者の運転者端末4に、車両2と充電器5との接続指示を送信する(ステップS139)。
【0190】
運転者端末4の制御部41は、サーバ1から送信された接続指示を通信部43により受信する(ステップS431)。制御部41は、受信した接続指示を表示部45により表示する(ステップS432)。制御部41は、運転者による車両2の車両ID及び充電器5の充電器番号の入力を入力部44により受け付ける(ステップS433)。制御部41は、受け付けた車両ID及び充電器番号を通信部43によりサーバ1に送信する(ステップS434)。
【0191】
サーバ1の制御部11は、運転者端末4から送信された車両ID及び充電器番号を通信部13により受信する(ステップS140)。制御部11は、受信した車両IDに基づき、当該車両2の最新の経度緯度を大容量記憶部15の車状態履歴DB155から取得する(ステップS141)。
【0192】
制御部11は、充電器番号に基づき、当該充電器5が設置された場所の位置情報を大容量記憶部15の充電器設置場所DB160から取得する(ステップS142)。制御部11は、取得した車両2の位置情報と、充電器の位置情報とが一致するか否かを判定する(ステップS143)。
【0193】
制御部11は、両者が一致していない場合(ステップS143でNO)、位置情報が不一致である旨を含む第1アラートを通信部13により運転者端末4に送信する(ステップS150)。運転者端末4の制御部41は、サーバ1から送信された第1アラートを通信部43により受信する(ステップS435)。制御部41は、受信した第1アラートを表示部45により表示する(ステップS436)。
【0194】
制御部11は、両者が一致する場合(ステップS143でYES)、現在日時を車両2の充電開始日時として取得する(ステップS144)。制御部11は、車両2の必要電力量及び電池残量に基づき、当該車両2における充電量(必要電力量-電池残量)を算出する(ステップS145)。
【0195】
制御部11は、当該車両2における充電完了日時を算出する(ステップS146)。具体的には、制御部11は、予め記憶部12または大容量記憶部15に記憶された充電器5の1台当たりの最大充電容量を取得する。制御部11は、充電開始日時及び充電量と、取得した充電器5の1台当たりの最大充電容量とに基づき、上述した式(7)を用いて、当該車両2における充電完了日時を算出する。
【0196】
制御部11は、算出した充電完了日時が当該車両2の出発日時よりも前であるか否かを判定する(ステップS147)。制御部11は、算出した充電完了日時が当該車両2の出発日時よりも前である場合(ステップS147でYES)、当該車両2に接続された充電器5に充電指示を通信部13により送信する(ステップS148)。
【0197】
制御部11は、車両2の車両ID及び充電器5の充電器番号に対応付けて、「充電中」である充電状態、充電開始日時及び充電完了日時を一つのレコードとして大容量記憶部15の車充電器対応DB159に記憶する(ステップS149)。制御部11は、処理を終了する。
【0198】
制御部11は、算出した充電完了日時が当該車両2の出発日時よりも前でない場合(ステップS147でNO)、第2アラートを通信部13により運転者端末4に送信する(ステップS151)。第2アラートは、例えば、運転者に充電が間に合わない、及び、急速充電可能な充電器を利用することを勧める旨を含んでも良い。
【0199】
運転者端末4の制御部41は、サーバ1から送信された第2アラートを通信部43により受信する(ステップS437)。制御部41は、受信した第2アラートを表示部45により表示する(ステップS438)。
【0200】
図24は、充電対象となる車両を特定する処理のサブルーチンの処理手順を示すフローチャートである。サーバ1の制御部11は、算出した単位時間当たりの充電量の大きい順に、例えば、車両2の日時情報、必要電力量及び電池残量をソートする(ステップS51)。制御部11は、ソートした後の日時情報、必要電力量及び電池残量を車両IDに対応付けて出力する(ステップS52)。
【0201】
制御部11は、例えば、外部の電力管理システムから全体契約電力量を通信部13により取得する(ステップS53)。制御部11は、例えば、予め記憶部12または大容量記憶部15に記憶された充電器5の1台当たりの最大充電容量を取得する(ステップS54)。制御部11は、取得した全体契約電力量と充電器5の1台当たりの最大充電容量とに基づき、上述した式(6)を用いて、同時充電可能な充電器5の台数を決定する(ステップS55)。
【0202】
制御部11は、決定した充電器5の台数を特定対象となる車両2の台数とし、複数の単位時間当たりの充電量のうち、単位時間当たりの充電量の大きい順から、充電対象となる車両2を特定する(ステップS56)。制御部11は、充電対象となる車両の特定処理のサブルーチンを終了してリターンする。
【0203】
本実施形態によると、運転者、走行ルート群、天候及び日時情報により特定された電費に基づき算出された必要電力量を利用することにより、車両2における適切な充電スケジュールを作成することが可能となる。
【0204】
本実施形態によると、車両2の位置情報と、及び当該車両2に接続された充電器5が設置された場所の位置情報とが一致していない場合、第1アラートを出力することが可能となる。
【0205】
本実施形態によると、車両2における充電完了日時が出発日時よりも前でない場合に、第2アラートを出力することが可能となる。
【0206】
<実施形態3における変形例1>
充電スケジュールを再作成する処理を説明する。例えば、車両2(第1車両2)とは異なる第2車両2が事業所等に戻った場合、当該第2車両2、及び、充電状態が未充電または充電中である複数の第1車両2に対し、必要電力量、出発日時及び電池残量に基づき、充電スケジュールの再調整が必要になる。
【0207】
具体的には、サーバ1は、充電状態が未充電または充電中である複数の第1車両2の日時情報、必要電力量及び電池残量を取得する。サーバ1は、取得した各第1車両2の日時情報、必要電力量及び電池残量から、各第1車両2における単位時間当たりの充電量を算出する。サーバ1は、第2車両2の日時情報、必要電力量及び電池残量を取得する。サーバ1は、取得した第2車両2の日時情報、必要電力量及び電池残量から、当該第2車両2における単位時間当たりの充電量を算出する。
【0208】
サーバ1は、算出した第1車両2における単位時間当たりの充電量と、第2車両2における単位時間当たりの充電量と合わせて、単位時間当たりの充電量で再ソートする。サーバ1は、再ソートした後の日時情報、必要電力量及び電池残量を各車両2の車両IDに対応付けて出力する。
【0209】
そして、サーバ1は、実施形態3での処理と同様に、全体契約電力量及び充電器5の1台当たりの最大充電容量を取得する。サーバ1は、取得した全体契約電力量及び最大充電容量に基づき、同時充電可能な充電器の台数を決定する。サーバ1は、決定した充電器の台数と、算出した単位時間当たりの充電量とに基づき、充電対象となる車両2を特定する。
【0210】
図25は、充電スケジュールを再作成する際の処理手順を示すフローチャートである。サーバ1の制御部11は、充電状態が未充電または充電中である第1車両2の車両IDを大容量記憶部15の車充電器対応DB159から抽出する(ステップS161)。制御部11は、抽出した各第1車両2の車両IDに基づき、各第1車両2の出発日時、必要電力量及び電池残量を取得する(ステップS162)。なお、日時情報、必要電力量及び電池残量の取得処理に関しては、ステップS134~135と同様であるため、詳細説明を省略する。
【0211】
制御部11は、取得した日時情報、必要電力量及び電池残量に基づき、上述した式(5)を用いて、第1車両2における単位時間当たりの充電量を算出する(ステップS163)。制御部11は、第2車両2の車両IDを取得する(ステップS164)。例えば、運転者端末4の制御部41は、運転者による第2車両2の車両IDの入力を入力部44により受け付ける。制御部41は、受け付けた車両IDを通信部43によりサーバ1に送信しても良い。
【0212】
制御部11は、取得した車両IDに基づき、当該第2車両2の日時情報、必要電力量及び電池残量を取得する(ステップS165)。なお、ステップS165の処理は、ステップS162の処理と同様であるため、詳細説明を省略する。制御部11は、取得した日時情報、必要電力量及び電池残量に基づき、上述した式(5)を用いて、第2車両2における単位時間当たりの充電量を算出する(ステップS166)。制御部11は、ステップS137の処理を実行する。その後の処理は、実施形態3での
図22及び
図23の処理と同様であるため、重複する内容については同一の符号を付して説明を省略する。
【0213】
本変形例によると、事業所等に戻った第2車両2を含む複数の車両2に対し、充電スケジュールを随時調整することにより、充電を確保することが可能となる。
【0214】
今回開示された実施形態はすべての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した意味ではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【0215】
各実施形態に記載した事項は相互に組み合わせることが可能である。また、特許請求の範囲に記載した独立請求項及び従属請求項は、引用形式に関わらず全てのあらゆる組み合わせにおいて、相互に組み合わせることが可能である。さらに、特許請求の範囲には他の2以上のクレームを引用するクレームを記載する形式(マルチクレーム形式)を用いているが、これに限るものではない。マルチクレームを少なくとも一つ引用するマルチクレーム(マルチマルチクレーム)を記載する形式を用いて記載しても良い。
【符号の説明】
【0216】
1 情報処理装置(サーバ)
11 制御部
12 記憶部
13 通信部
14 読取部
15 大容量記憶部
151 車両DB
152 季節DB
153 天候DB
154 消費電力DB
155 車状態履歴DB
156 走行ルートDB
157 走行ルート別電費
158 運行計画DB
159 車充電器対応DB
160 充電器設置場所DB
161 充電スケジュールDB
1a 可搬型記憶媒体
1b 半導体メモリ
1P 制御プログラム
2 車両
3 車載器
31 車載制御部
32 記憶部
33 通信部
34 時計部
3P 制御プログラム
4 情報処理端末(運転者端末)
41 制御部
42 記憶部
43 通信部
44 入力部
45 表示部
4P 制御プログラム
5 充電器
51 充電制御部
52 接続検知部
53 通信部