(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024114528
(43)【公開日】2024-08-23
(54)【発明の名称】認証システム、管理サーバ、プログラムおよび認証方法
(51)【国際特許分類】
G06F 21/32 20130101AFI20240816BHJP
G06V 40/14 20220101ALI20240816BHJP
【FI】
G06F21/32
G06V40/14
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023020347
(22)【出願日】2023-02-13
(71)【出願人】
【識別番号】000002897
【氏名又は名称】大日本印刷株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100122529
【弁理士】
【氏名又は名称】藤枡 裕実
(74)【代理人】
【識別番号】100135954
【弁理士】
【氏名又は名称】深町 圭子
(74)【代理人】
【識別番号】100119057
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 英生
(74)【代理人】
【識別番号】100131369
【弁理士】
【氏名又は名称】後藤 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100171859
【弁理士】
【氏名又は名称】立石 英之
(72)【発明者】
【氏名】藤澤 篤
(72)【発明者】
【氏名】相澤 啓佐
(72)【発明者】
【氏名】増田 慎也
【テーマコード(参考)】
5B043
【Fターム(参考)】
5B043AA09
5B043BA03
5B043FA02
5B043FA07
(57)【要約】
【課題】 温度の変化に対応して認証を行うことが可能な認証システム、管理サーバ、プログラムおよび認証方法を提供する。
【解決手段】 認証端末140と、認証端末から取得した生体情報を用いて認証を行う管理サーバ110と、を備えた認証システム100であって、認証端末140は、ユーザIDを取得するユーザID取得手段と、ユーザの生体情報を取得する生体情報取得手段と、温度を取得する温度取得手段と、を有し、管理サーバ110は、ユーザIDおよび温度情報に対応付けて登録生体情報を記憶した生体情報記憶手段と、認証端末からユーザID、温度情報および生体情報を受信する生体情報受信手段と、受信したユーザIDおよび温度情報により生体情報記憶手段を参照して得られる登録生体情報と、受信した生体情報との照合を行う生体情報照合手段と、を有する、認証システム。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
認証端末と、認証端末から取得した生体情報を用いて認証を行う管理サーバと、を備えた認証システムであって、
前記認証端末は、
ユーザIDを取得するユーザID取得手段と、ユーザの生体情報を取得する生体情報取得手段と、温度を取得する温度取得手段と、を有し、
前記管理サーバは、
ユーザIDおよび温度情報に対応付けて登録生体情報を記憶した生体情報記憶手段と、
前記認証端末からユーザID、温度情報および生体情報を受信する生体情報受信手段と、
前記受信したユーザIDおよび温度情報により前記生体情報記憶手段を参照して得られる登録生体情報と、前記受信した生体情報との照合を行う生体情報照合手段と、を有する、認証システム。
【請求項2】
前記生体情報照合手段は、前記ユーザIDで特定される生体情報を前記生体情報記憶手段から抽出して、前記受信した生体情報との照合を行う請求項1に記載の認証システム。
【請求項3】
生体情報を登録するための登録端末をさらに備え、
前記登録端末は、
ユーザIDを取得するユーザID取得手段と、ユーザの生体情報を取得する生体情報取得手段と、温度を取得する温度取得手段と、を有し、
前記管理サーバは、
前記登録端末から受信したユーザID、温度情報および生体情報を対応付けて前記生体情報記憶手段に登録する、請求項1に記載の認証システム。
【請求項4】
前記認証端末は、
前記ユーザID取得手段としてコードリーダーを備え、前記生体情報取得手段としてカメラを備え、
前記コードリーダーおよび前記カメラは、前記コードリーダーおよび前記カメラの上面側が1つの面上に位置する筐体内に配置されている、請求項1に記載の認証システム。
【請求項5】
認証端末と登録端末に接続された管理サーバであって、
ユーザIDおよび温度情報に対応付けて登録生体情報を記憶する生体情報記憶手段と、
前記登録端末から受信したユーザID、温度情報および生体情報を対応付けて生体情報記憶手段に登録する生体情報受信手段と、
前記認証端末からユーザID、温度情報および生体情報を受信する生体情報受信手段と、
前記受信したユーザIDおよび温度情報により前記生体情報記憶手段を参照して得られる登録生体情報と、前記受信した生体情報との照合を行う生体情報照合手段と、を有する管理サーバ。
【請求項6】
認証端末と登録端末に接続されたコンピュータを、
ユーザIDおよび温度情報に対応付けて登録生体情報を記憶する生体情報記憶手段、
前記登録端末から受信したユーザID、温度情報および生体情報を対応付けて生体情報記憶手段に登録する生体情報受信手段、
前記認証端末からユーザID、温度情報および生体情報を受信する生体情報受信手段、
前記受信したユーザIDおよび温度情報により前記生体情報記憶手段を参照して得られる登録生体情報と、前記受信した生体情報との照合を行う生体情報照合手段、として機能させるためのプログラム。
【請求項7】
認証端末と、認証端末から取得した生体情報を用いて認証を行う管理サーバと、を備えた認証システムが実行する認証方法であって、
前記認証端末が、
ユーザIDを取得するステップと、温度を取得するステップと、ユーザの生体情報を取得するステップと、を有し、
前記管理サーバが、
前記認証端末からユーザID、温度情報および生体情報を受信するステップと、
前記受信したユーザIDおよび温度情報により、ユーザIDおよび温度情報に対応付けて登録生体情報を記憶した生体情報記憶手段を参照し、得られる登録生体情報と、前記受信した生体情報との照合を行う段階と、を有する、認証方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、認証システム、管理サーバ、プログラムおよび認証方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、様々な状況において、ユーザの正当性を確認するための認証が行われている。認証の種類としては、パスワード認証や、生体認証等がある。セキュリティを高めるためには、一つの要素だけでなく、二つ以上の要素で認証することが好ましい。しかし、複数の要素で認証を行うには、要素ごとに認証作業を行う必要があり、利用者にとって利便性が十分でない。
【0003】
特に金融取引などにおいては、より高いセキュリティが要求されており、指静脈と指紋の二つの要素による認証が行われている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、指静脈や指紋などの生体情報は、温度が人間に与える影響により変化する。すなわち、温度変化により得られる生体情報が変わってしまう。このため、登録されている生体情報と適合せず、本来認証に成功すべき対象についても、認証に失敗してしまる場合がある。
【0006】
そこで、本開示は、温度の変化に対応して認証を行うことが可能な認証システム、管理サーバ、プログラムおよび認証方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため、本開示では、
認証端末と、認証端末から取得した生体情報を用いて認証を行う管理サーバと、を備えた認証システムであって、
前記認証端末は、
ユーザIDを取得するユーザID取得手段と、ユーザの生体情報を取得する生体情報取得手段と、温度を取得する温度取得手段と、を有し、
前記管理サーバは、
ユーザIDおよび温度情報に対応付けて登録生体情報を記憶した生体情報記憶手段と、
前記認証端末からユーザID、温度情報および生体情報を受信する生体情報受信手段と、
前記受信したユーザIDおよび温度情報により前記生体情報記憶手段を参照して得られる登録生体情報と、前記受信した生体情報との照合を行う生体情報照合手段と、を有する、認証システムを提供する。
【0008】
また、本開示に係る認証システムは、
前記生体情報照合手段は、前記ユーザIDで特定される生体情報を前記生体情報記憶手段から抽出して、前記受信した生体情報との照合を行ってもよい。
【0009】
また、本開示に係る認証システムは、
生体情報を登録するための登録端末をさらに備え、
前記登録端末は、
ユーザIDを取得するユーザID取得手段と、ユーザの生体情報を取得する生体情報取得手段と、温度を取得する温度取得手段と、を有し、
前記管理サーバは、
前記登録端末から受信したユーザID、温度情報および生体情報を対応付けて前記生体情報記憶手段に登録してもよい。
【0010】
また、本開示に係る認証システムは、
前記認証端末は、
前記ユーザID取得手段としてコードリーダーを備え、前記生体情報取得手段としてカメラを備え、
前記コードリーダーおよび前記カメラは、前記コードリーダーおよび前記カメラの上面側が1つの面上に位置する筐体内に配置されていてもよい。
【0011】
また、本開示では、
認証端末と登録端末に接続された管理サーバであって、
ユーザIDおよび温度情報に対応付けて登録生体情報を記憶する生体情報記憶手段と、
前記登録端末から受信したユーザID、温度情報および生体情報を対応付けて生体情報記憶手段に登録する生体情報受信手段と、
前記認証端末からユーザID、温度情報および生体情報を受信する生体情報受信手段と、
前記受信したユーザIDおよび温度情報により前記生体情報記憶手段を参照して得られる登録生体情報と、前記受信した生体情報との照合を行う生体情報照合手段と、を有する管理サーバを提供する。
【0012】
また、本開示では、
認証端末と登録端末に接続されたコンピュータを、
ユーザIDおよび温度情報に対応付けて登録生体情報を記憶する生体情報記憶手段、
前記登録端末から受信したユーザID、温度情報および生体情報を対応付けて生体情報記憶手段に登録する生体情報受信手段、
前記認証端末からユーザID、温度情報および生体情報を受信する生体情報受信手段、
前記受信したユーザIDおよび温度情報により前記生体情報記憶手段を参照して得られる登録生体情報と、前記受信した生体情報との照合を行う生体情報照合手段、として機能させるためのプログラムを提供する。
【0013】
また、本開示では、
認証端末と、認証端末から取得した生体情報を用いて認証を行う管理サーバと、を備えた認証システムが実行する認証方法であって、
前記認証端末が、
ユーザIDを取得するステップと、温度を取得するステップと、ユーザの生体情報を取得するステップと、を有し、
前記管理サーバが、
前記認証端末からユーザID、温度情報および生体情報を受信するステップと、
前記受信したユーザIDおよび温度情報により、ユーザIDおよび温度情報に対応付けて登録生体情報を記憶した生体情報記憶手段を参照し、得られる登録生体情報と、前記受信した生体情報との照合を行う段階と、を有する、認証方法を提供する。
【発明の効果】
【0014】
本開示によれば、温度の変化に対応して認証を行うことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本開示の一実施形態に係る認証カードの平面図である。
【
図2】
図1におけるA-A線に対応する認証カードの断面図である。
【
図3】プレス前の認証カード10の各層を示す図である。
【
図4】本実施形態に係る情報取得ユニットを示す斜視図である。
【
図5】本実施形態に係る認証システムの構成図(機能ブロック図)である。
【
図6】本実施形態に係る管理サーバ110のハードウェア構成図である。
【
図7】本実施形態に係る管理サーバ110の機能ブロック図である。
【
図8】生体情報記憶手段111に記憶された情報の一例を示す図である。
【
図9】登録端末130のハードウェア構成図である。
【
図11】認証端末140のハードウェア構成図である。
【
図13】登録時における本実施形態に係る認証システムの処理動作を示すフローチャートである。
【
図14】認証時における本実施形態に係る認証システムの処理動作を示すフローチャートである。
【
図15】変形例に係る認証カード10Aの平面図である。
【
図16】不正情報記憶手段112に記憶された不正情報の一例を示す図である。
【
図17】他の変形例に係る認証カード10Bの平面図である。
【
図18】
図17におけるB-B線に対応する認証カード10Bの断面図である。
【
図19】認証カード10Bを読み取るための情報取得ユニットの利用時の様子を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本開示の好適な実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。ただし、本開示は、以下に説明する実施形態や実施例には限定されない。なお、以下に示す各図は、模式的に示したものである。そのため、各部の大きさ、形状は理解を容易にするために、適宜誇張している。また、各図において、部材の断面を示すハッチングを適宜省略する。本明細書中に記載する各部材の寸法等の数値および材料名は、実施形態としての一例であり、これに限定されるものではなく、適宜選択して使用することができる。本明細書において、形状や幾何学的条件を特定する用語、例えば平行や直交、垂直等の用語については、厳密に意味するところに加え、実質的に同じ状態も含むものとする。
【0017】
<1.認証カードの構造>
図1、
図2は、本開示の一実施形態に係る認証カードの構造を示す図である。このうち、
図1は、認証カード10の第1面側から見た平面図である。また、
図2は、
図1におけるA-A線に対応する断面図である。
【0018】
図1、
図2において、10は認証カード、11、12はコアシート、13、14はオーバーレイフィルム、31はコード情報、32は非着色領域、33は着色層である。認証カード10のサイズは、適宜設定することができるが、例えば、一般に(ISO/IEC7810)やJIS(JISX6301) によって規定されているサイズとしてもよい。具体的には、例えば、長辺の長さ(
図1、
図2における左右方向)が85.60mm、短辺の長さ(
図1における上下方向)が53.98mm、厚さが0.8mmとしてもよい。本実施形態の認証カード10は、キャッシュカード、ポイントカード、クレジットカード、IDカード等のカード類に用いることができる。コード情報に記録した識別情報により、カードの所持者等を特定することができる。
【0019】
図2の断面図においては、説明の便宜上、認証カード10のサイズ(
図2の左右方向)に比べて各層の厚さ(
図2の上下方向)が大きく描かれているが、認証カード10はカード状またはシート状であるため、現実には、各層は、より薄く形成されている。例えば、認証カード10の幅(
図1、
図2における左右方向)が、数cm~数十cmであるのに対して、認証カード10の厚さ(
図2における図面上下方向)は、数十μm~数百μm程度である。
図2の断面図に示す層構成において、現実には上下の区別はないが、説明の便宜上、図面上側(コード情報31側:第1面側)を上層、図面下側(オーバーレイフィルム14側:第2面側)を下層と表現することにする。したがって、
図2においては、最上層がコード情報31、最下層がオーバーレイフィルム14となっている。また、本明細書においては、
図1に示したようなコード情報31を有する面を第1面、他方の面であるオーバーレイフィルム14側を第2面として説明していくが、実際には、どちらを第1面としてどちらを第2面と定義してもよい。
【0020】
図2の断面図に示すように、認証カード10は、2枚のコアシート11、12をコア層として、その両面側にオーバーレイフィルム13、14を積層した構成になっている。コア層はコアシート1枚の単層でも良いが、コアシート2枚の2層にすることにより表裏両面に印刷する場合には製造が容易になる場合がある。本実施形態では、コアシートを2層としている。コアシート11、12、オーバーレイフィルム13、14は、いずれも透明である。コアシート11、12、オーバーレイフィルム13、14が有する透明性とは、
図2に示したように4枚重ねた際に、
図1に示した非着色領域32を介して反対側が視認可能な程度であれば足りる。例えば波長が380nm以上で780nm以下である可視光の透過率が50%以上あることが好ましい。後述するように、透明であることにより、指静脈取得用のカメラを、非着色領域32を介して確認することができる。そのため、認証カード10の非着色領域32上に指を置くことができ、カメラ等の認証機器に直接触れる可能性を減らして、認証作業を行うことが可能となる。
【0021】
オーバーレイフィルム13と接するコアシート11面には着色層33が形成されている。例えば、着色層33は赤外線透過インキを用いてシルクスクリーン印刷により形成されている。着色層33は、非着色領域32と目視による区別ができればよい。そのため、着色層33における色は特に限定されず、任意の色とすることができる。例えば、赤外線透過インキとして、黄(Y:イエロー)、紅(M:マゼンタ)、藍(C:シアン)の3色のインキを混合することにより生成されたインキを用いてもよい。黄、紅、藍の3色のインキにより、見た目には黒色であって赤外線を透過する着色層33を形成することができる。ただし、コード情報31と着色層33が重ねて形成される場合には、コード情報31が視認可能なように、コード情報31と異なる色で着色層33を形成することが好ましい。
【0022】
オーバーレイフィルム13の外面側(第1面13a側:
図2における上側)には、コード情報31が形成されている。例えば、コード情報31は赤外線吸収インキを用いて溶融型熱転写印刷により形成されている。コード情報31は、カードごとに異なる個別情報であることが好ましい。本実施形態では、ユーザを特定するユーザIDが記録されている。例えば、認証カード10の所有者であるユーザを特定するユーザIDである。コード情報31は、着色層33と重なる位置に形成されていてもよい。
図1、
図2の例では、非着色領域32以外の全域に着色層33が形成されている。そのため、コード情報31は、着色層33と重なる位置に形成されている。コード情報31、着色層33の形成は、オフセット印刷、グラビア印刷、スクリーン印刷、インクジェット印刷、電子写真式印刷等の公知の印刷法により行うことができる。
【0023】
本実施形態では、コード情報31として一次元のバーコードを用いている。この二次元コードの3つの角には、黒い正方形を黒い矩形の枠で囲んだ形状の位置決め用のマークが形成されている。認証カード10の断面構造は、
図2に示すように、コアシート11、12の両面にオーバーレイフィルム13、14がそれぞれ積層された構成からなり、一方のオーバーレイフィルム13の第1面13a(表出面)にコード情報31を備えている。コアシート11のオーバーレイフィルム13と対向する側には着色層33が設けられる。認証カード10のコアシートは単層としてもよく、2層以上の多層にすることもできる。
図2の例では、コアシート11、12の2層になっている。
【0024】
認証カード10を構成するコアシート11、12、オーバーレイフィルム13、14はプラスチックシートが好ましく、プラスチックシートに使用できる樹脂としては、剛性があり強度的に優れた熱可塑性樹脂であれば特に限定されないが、ポリ塩化ビニル、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、PET-G等の共重合ポリエステル樹脂、ABS樹脂等が使用できる。コアシート11、12、オーバーレイフィルム13、14は透明性のプラスチックシートが使用される。また、キャッシュカード、クレジットカード等の用途の場合には所定位置にICチップを含むICモジュール、磁気テープが設けられることもある。
【0025】
<2.認証カードの製造方法>
次に、認証カードの製造方法について説明する。まず、コアシート11、12の外面側、すなわちオーバーレイフィルム13、14と接する予定の側に、着色層33をシルクスクリーン印刷により形成する。着色層33は、コアシート11、12のいずれか一方に形成してもよいし、両方に形成してもよい。
図3の例では、コアシート11の上方とコアシート12の下方の両方に形成している。
【0026】
図3は、プレス前の認証カード10の各層を示す図である。着色層33の形成後、
図2に示すように、コア層(中心層)となるコアシート11、12と透明なオーバーレイフィルム13、14を一体に積層した状態でプレス機に挿入し、鏡面板に挟んで熱と圧を加えてプレスする。コアシートとオーバーレイフィルムが、ポリ塩化ビニルやPET-Gのように熱融着性材料である場合は、シート間に接着材料を使用しないで融着するが、熱融着性でないシート材料の場合は、ホットメルト性の接着剤等を併用して熱プレスする。
【0027】
次に、オーバーレイフィルム13の外面側(上層側)に、赤外線吸収インキによりコード情報31を形成する。本実施形態では、コード情報31は、コアシートの外面側には、カードの面方向において、着色層33と完全に重なる位置に形成する。コード情報31は、非着色領域32に重なっていなければ、必ずしも着色層33と重なっていなくてもよい。
【0028】
しかしながら、着色層33と重なっていない場合、背景が透明となるため、コード情報の存在が視認し難くなる。このため、コード情報31は、着色層33と重なっていることが好ましい。この場合、コード情報31の視認が可能であれば、完全に重なっていなくても、コード情報31の一部が着色層33に重なっていればよい。
【0029】
本実施形態では、後述するように、カメラが、赤外線により指静脈画像を撮影する。そのため、非着色領域32は、赤外線透過性を有している必要がある。非着色領域32において赤外線透過性を有していれば、着色層33は、赤外線透過性を有していても有していなくてもよい。非着色領域32が透明(すなわち可視光透過性を有する)であるため、ユーザは、カメラが非着色領域32を通して見える位置にカードを配置し、非着色領域32に指を置くためである。そのため、着色層33が赤外線透過性を有していなくても、非着色領域32を通して指静脈画像を撮影することができる。
【0030】
例えば、カーボンブラックを含む墨インキを用いないで、赤外線透過インキである黄(Y:イエロー)、紅(M:マゼンタ)、藍(C:シアン)の3色のインキを適宜の割合で混合して生成されたインキを用いて着色層33を形成した場合、着色層33は赤外線透過性を有する。この場合、着色層33を通して、指静脈画像を撮影することも可能となる。ただし、コード情報31と重なる部分においては、着色層33は赤外線透過性を有している必要がある。赤外線吸収性を有するコード情報31と区別し、コードリーダーがコード情報31を認識可能にするためである。例えば、コードリーダーなどの機械読み取りに使用する光の所定波長における赤外光の透過率が50%以上あることが好ましい。後述するように、赤外光の透過率が50%以上であることにより、指静脈取得用のカメラは、認証カード10を介した位置にある指を撮影して指静脈画像を得ることができる。これにより、カメラ等の認証機器に直接触れる可能性を減らして、認証作業を行うことが可能となる。
【0031】
<3.各層の構成>
上記実施形態に示した認証カードを構成する各層について説明する。コアシート11、12は、認証カード10の中心層となるシートである。コアシート11、12としては、透明なプラスチックシート各種のものを使用でき、以下に挙げる単独フィルムあるいはそれらの複合フィルムを使用できる。ポリエチレンテレフタラート(PET)、PET-G(グリコール変性ポリエチレンテレフタラート)、ポリ塩化ビニル、塩化ビニル-酢酸ビニル共重合体、ポリカーボネート、ポリアミド、ポリイミド、セルロースジアセテート、セルローストリアセテート、ポリスチレン系、ABS、ポリアクリル酸エステル、ポリプロピレン、ポリウレタン等である。これらに顔料を入れずに透明な状態を保つ。コアシート11、12の膜厚は、認証カード10の全体厚みを勘案して適宜に選択する。
【0032】
オーバーレイフィルム13、14は、コア層である2枚のコアシート11、12の両側に積層するシートである。オーバーレイフィルム13、14としては、コアシート11、12と同様の単独フィルムあるいはそれらの複合フィルムを用いることができる。できれば、コアシート11、12と同質の材料を使用することが好ましい。例えば、0.05~0.1mm厚程度の透明材料を用いてもよい。
【0033】
コード情報31の形成に用いる赤外線吸収インキは、赤外線吸収性材料とビヒクルとからなり、必要に応じて、充填剤、可塑剤、分散剤、潤滑剤、帯電防止剤、酸化防止剤、防黴剤、などの添加剤を加えても良く、無色でも有色でもよい。これらの組成物を、分散、混練して、また、必要に応じて、溶剤で固形分量や粘度を調整して、インキ組成物とすればよい。有色はシアン、マゼンタ、イエロー、赤、緑、青、黒など、何色でもよく、可視光下での色調の限定はない。
【0034】
赤外線吸収性材料としては、赤外線を吸収する物質であって、赤外線吸収性顔料と赤外線吸収性染料に大別することができる。可視光をほとんどあるいは全く吸収しない無色の赤外線吸収性顔料と、可視領域にある程度の吸収帯を持つ有色の赤外線吸収性顔料とに大別できるが、無色のものは高価であり、本実施形態においては有色のものでも適用可能であるので、製造コストを低減する目的で有色の赤外線吸収性顔料を用いることもできる。代表的には、カーボンブラックを用いることができる。
【0035】
赤外線吸収性顔料としては、鉄、銅、クロム、コバルト、ニッケルなどの遷移金属化合物及び錯体を用いることができる。例えば、鉄錯体(鉄フェリシアン化錯体)であるミロリーブルー顔料が好ましく用いられる。また、上記の化合物を単独で使用するほか、2種以上を混合して使用することもできる。また、赤外線吸収性染料としては、ポリメチン系(シアニン色素)、フタロシアニン系、ナフトキノン系、アントラキノン系、ジチオール系、トリフェニルメタン系などの色素を用いることができる。
【0036】
耐光性(赤外線に対する褪色性)などの点においては、赤外線吸収性染料よりも赤外線吸収性顔料の方が優れており、上記の金属顔料などの無機物を使用することが好ましい。また、一般的にも染料系は移行しやすいので、赤外線吸収性染料を用いると、赤外線吸収性材料の移行が早く、量的にも多いので、機能の低下が早い。
【0037】
着色層33の形成に赤外線透過インキを用いる場合、近赤外域に吸収をもたない通常の黄(Y:イエロー)、紅(M:マゼンタ)、藍(C:シアン)インキ、またはこれらの混合インキ、半導体的性質をもつバンドギャップが0.5~1.26eVの酸化銅(2価)、酸化マンガン(4価)、酸化コバルト(3価)、酸化クロム(3価及び6価)、酸化鉄(2価)、硫化鉛、硫化ニッケル、硫化ビスマスなどの微粒子をアクリル系、シリコン系、ウレタン系などの樹脂と混合したインキまたはこれらに通常のプロセスY、M、Cインキを混ぜたインキなどが挙げられる。
【0038】
赤外線透過インキは、可視光領域においては有色である必要がある。有色であれば色はシアン、マゼンタ、イエロー、赤、緑、青など、何色でもよい。赤外線吸収インキの色は、何色であってもよい。
【0039】
赤外線透過インキとしては、カーボンブラック顔料を用いずに、イエロー、マゼンダ、シアンの3原色インキを混合して製作した黒インキを用いることもできる。さらに、赤外線透過インキとして、オラゾールブラックやオラゾール2RG等の赤外線透過性の染料を含む塗料通常の紫外線硬化型プロセスインキ等を採用することができる。このインキも見た目は黒色のインキである。また赤外線を透過する耐性の良い黒色インキとして、金属化合物である黒色顔料を主成分とするインキを用いることができる。
【0040】
コード情報31の形成に用いる赤外線吸収インキ及び着色層33の形成に用いる赤外線透過インキのビヒクルは、同様なものでよい。通常、オフセット印刷インキ又はシルクスクリーン印刷インキには、酸化重合型インキと紫外線硬化型インキが適用できるが、紫外線硬化型インキが好ましい。
【0041】
酸化重合型インキは、油性インキと呼ばれ、ビヒクルの酸化重合による固化、不溶化によって皮膜をつくるもので、乾性油ワニス、乾性アルキドなどがこの部類に入る。酸化促進剤としてコバルトやマンガンが添加されている。さらに、必要に応じて乾燥、粘度、分散性の向上や、印刷後のインキ表面の耐摩擦性などの耐久性の向上のための各種反応剤などの補助剤を適宜添加することができる。
【0042】
紫外線硬化型インキの樹脂形成材料としては、プレポリマーまたはオリゴマーとして、ポリオールアクリレート系、エポキシアクリレート系、ウレタンアクリレート系、ポリエステルアクリレート系、アルキッドアクリレート系、ポリエーテルアクリレート系等、モノマーとしては、モノアクリレート系、ジアクリレート系、トリアクリレート系等を使用したインキが挙げられる。
【0043】
<4.認証カードの実施例>
最初に、コアシート11面のオーバーレイフィルム13と接する予定の側と、コアシート12面のオーバーレイフィルム14と接する予定の側に、着色層33をシルクスクリーン印刷により形成した。着色層33の形成は、カーボンブラック顔料を用いずに、イエロー、マゼンダ、シアンの3原色インキを混合して製作したインキを用いてシルクスクリーン印刷することにより形成した。次に、ポリ塩化ビニルからなる透明のコアシート(厚み360μm)11、12を中心層として、その両側に同質材料であるポリ塩化ビニルからなる透明なオーバーレイフィルム(厚み50μm)13、14を積層し、プレス機の鏡面板に導入し、150°C、25kg/cm2、15分の条件で熱圧プレスした。
【0044】
次に、オーバーレイフィルム13の外面側(上層側)に、赤外線吸収インキによりコード情報31を形成した。コード情報31の形成は、カーボンブラック顔料を含有した黒インキをオフセット印刷することにより形成した。これにより、
図1に示したような外観を有する認証カード10が得られた。
【0045】
図4は、本実施形態に係る情報取得ユニットを示す斜視図である。
図4において、51は筐体、52は収納部、53はカメラ、54はコードリーダーである。筐体51は外形が略円錐台型の第1部分51aと、外形が略直方体状の第2部分51bが連続する形態である。第1部分51aは、上面から形成された凹部である収納部52を有する。この収納部には、上面から突出しないように、上面側を向けてカメラ53が設置されている。第2部分51bは、上面を読取面とするコードリーダー54が設置されている。本実施形態では、コードリーダー54は1次元のバーコードを読取可能になっている。
【0046】
上面から見た場合におけるカメラ53とコードリーダー54の位置関係は、認証カード10の非着色領域32とコード情報31の位置関係に合わせて設計されている。このように設計しておくことにより、第1面13aを下に向けて、透明な非着色領域32から下方のカメラ53が見える位置に置いた際に、コード情報31がコードリーダー54の上方に位置することになる。指静脈画像は、非着色領域32を介して、カメラ53で取得することができる。
【0047】
情報取得ユニット50において、カメラ53とコードリーダー54の位置関係が、認証カード10の非着色領域32とコード情報31の位置関係に合わせて設計されていることにより、情報取得ユニット50は、指静脈の画像とコード記録情報を並行して取得することができる。したがって、ユーザは、認証カードを1箇所に置くだけで、余計な作業を行うことなく、2要素による認証が可能となる。
【0048】
<5.認証システムの構成>
図5は、本実施形態に係る認証システムの構成図(機能ブロック図)である。
図5において、110は管理サーバ、130は登録端末、140は認証端末、150はネットワークである。管理サーバ110、登録端末130、認証端末140はインターネット等の公衆のネットワーク150に接続されており、互いにデータの送受信が可能となっている。
図5の例では、説明の便宜上、登録端末130、認証端末140をそれぞれ1台のみ示しているが、複数の登録端末130、認証端末140が接続されていてもよい。例えば、入場時に認証を行う目的の場合、認証端末140は、各入場口に設置されており、それらが、ネットワーク150を介して管理サーバ110に接続されている。
【0049】
図6、
図7は、本実施形態に係る管理サーバ110の詳細を示す図である。このうち、
図6は、管理サーバ110のハードウェア構成図である。管理サーバ110は、汎用のサーバコンピュータで実現することができ、
図6に示すように、CPU(Central Processing Unit)110aと、コンピュータのメインメモリであるRAM(Random Access Memory)110bと、CPUが実行するプログラムやデータを記憶するための大容量の記憶装置110c(例えば、ハードディスク、フラッシュメモリ等)と、キーボード、マウス等の入力機器からの入力を受け付ける入力I/F(インタフェース)110dと、外部装置(データ記憶媒体等)とデータ通信するためのデータ入出力I/F(インタフェース)110eと、表示装置(液晶ディスプレイ等)に情報を送出するための表示出力I/F(インタフェース)110fと、ネットワーク150を介して登録端末130、認証端末140等の他のコンピュータ、端末とネットワーク通信を行うための通信部110gと、を備え、互いにバスを介して接続されている。
【0050】
図7は、管理サーバ110の機能ブロック図である。
図6に示したハードウェア構成において、CPU110aが記憶装置110cに記憶されたプログラムをRAM110bに読み込んで実行することにより、管理サーバ110は、
図7に示した各手段を機能させることが可能となる。
図7に示すように、管理サーバ110は、生体情報記憶手段111、生体情報受信手段113、生体情報登録手段114、生体情報照合手段115,開錠信号送信手段116を有する。
【0051】
管理サーバ110は、記憶装置110cに記憶されたプログラムをRAM110bに読み込んで、CPU110aが実行し、他の構成要素に指令を出すことにより、生体情報記憶手段111、生体情報受信手段113、生体情報登録手段114、生体情報照合手段115、開錠信号送信手段116の各機能を実現する。また、記憶装置110cは、生体情報記憶手段111のデータ記憶領域としての役割も果たしている。
【0052】
生体情報記憶手段111は、ユーザ認証に用いる生体情報を記憶した記憶手段である。
図8は、生体情報記憶手段111に記憶された情報の一例を示す図である。
図8に示すように、生体情報記憶手段111には、ユーザID、温度と対応付けて生体情報が記憶されている。生体情報としては、人間の生体に関する情報であれば、どのようなものを用いてもよい。本実施形態では、特に温度によって変化し易い指の静脈を用いる。具体的には、指の静脈を撮影して静脈画像を取得し、その静脈画像の特徴を表現した特徴データを生成する。本実施形態では、静脈画像そのものではなく特徴を表現した特徴データを生体情報として用いている。静脈画像そのものを生体情報として記憶し、ユーザ認証に用いることも可能である。認証端末140から受信した生体情報と区別するため、生体情報記憶手段111に記憶されている生体情報を登録生体情報と呼ぶ。
【0053】
本実施形態では、1人に対して複数の生体情報が記憶されている。
図8の例では、各ユーザについて、15度、20度、25度の3つの温度に対応付けて生体情報を記憶している。これは、同一人物であっても、温度により生体情報が変化するため、1つの生体情報だけでは、同一人物であるか否かの特定が難しくなるためである。
【0054】
生体情報受信手段113は、登録端末130、認証端末140から生体情報を受信する手段である。生体情報登録手段114は、登録端末130から受信した生体情報をユーザID、温度と対応付けて生体情報記憶手段111に登録する手段である。生体情報照合手段115は、認証端末140から受信した生体情報と生体情報記憶手段111に記憶された登録生体情報との照合を行う手段である。開錠信号送信手段116は、生体情報照合手段115による照合の結果に基づいて、入出場口に対して開錠信号を送信する手段である。
【0055】
生体情報受信手段113、開錠信号送信手段116は、CPU110aが記憶装置110cに記憶されたプログラムを実行し、通信部110gを制御することにより実現される。生体情報登録手段114、生体情報照合手段115は、CPU110aが記憶装置110cに記憶されたプログラムを実行することにより実現される。
【0056】
図9、
図10は、登録端末130の詳細を示す図である。このうち、
図9は、登録端末130のハードウェア構成図である。登録端末130は、汎用のコンピュータに情報取得ユニット50を接続することにより実現することができる。
図9に示すように、登録端末130は、CPU(Central Processing Unit)130aと、コンピュータのメインメモリであるRAM(Random Access Memory)130bと、CPUが実行するプログラムやデータを記憶するための大容量の記憶装置130c(例えば、ハードディスク、フラッシュメモリ等)と、生体画像を撮影して取得するカメラ53と、コード情報を読み取るコードリーダー54と、温度を測定する温度計130fと、ネットワーク150を介して管理サーバ110とネットワーク通信を行うための通信部130gと、表示部130hと、を備え、互いにバスを介して接続されている。
図4に示した筐体内に
図9に示した要素を全て収納した構造としてもよい。
【0057】
図10は、登録端末130の機能ブロック図である。
図9に示したハードウェア構成において、CPU130aが記憶装置130cに記憶されたプログラムをRAM130bに読み込んで実行することにより、登録端末130は、
図10に示した各手段を機能させることが可能となる。
図10に示すように、登録端末130は、ユーザID取得手段133、生体情報取得手段134、温度取得手段135、登録要求送信手段136を有する。
【0058】
登録端末130は、記憶装置130cに記憶されたプログラムをRAM130bに読み込んで、CPU130aが実行し、他の構成要素に指令を出すことにより、ユーザID取得手段133、生体情報取得手段134、温度取得手段135、登録要求送信手段136の各機能を実現する。
【0059】
ユーザID取得手段133は、ユーザを識別する識別情報であるユーザIDを取得する手段である。ユーザID取得手段133は、CPU130aが記憶装置130cに記憶されたプログラムを実行し、コードリーダー54を制御することにより実現される。生体情報取得手段134は、ユーザの生体情報を取得する手段である。生体情報取得手段134は、CPU130aが記憶装置130cに記憶されたプログラムを実行し、カメラ53を制御することにより実現される。
【0060】
温度取得手段135は、温度(温度情報)を取得する手段である。温度取得手段135は、CPU130aが記憶装置130cに記憶されたプログラムを実行し、温度計130fを制御することにより実現される。登録要求送信手段136は、生体情報取得手段134が取得した生体情報の登録要求を管理サーバ110に送信する手段である。登録要求送信手段136は、CPU130aが記憶装置130cに記憶されたプログラムを実行し、通信部130gを制御することにより実現される。
【0061】
図11、
図12は、認証端末140の詳細を示す図である。このうち、
図11は、認証端末140のハードウェア構成図である。認証端末140は、汎用のコンピュータに情報取得ユニット50を接続することにより実現することができる。
図11に示すように、認証端末140は、CPU(Central Processing Unit)140aと、コンピュータのメインメモリであるRAM(Random Access Memory)140bと、CPUが実行するプログラムやデータを記憶するための大容量の記憶装置140c(例えば、ハードディスク、フラッシュメモリ等)と、生体画像を撮影して取得するカメラ53と、コード情報を読み取るコードリーダー54と、温度を測定する温度計140fと、ネットワーク150を介して管理サーバ110とネットワーク通信を行うための通信部140gと、表示部140hと、を備え、互いにバスを介して接続されている。
図3に示した筐体内に
図11に示した要素を全て収納した構造としてもよい。
【0062】
図12は、認証端末140の機能ブロック図である。
図11に示したハードウェア構成において、CPU140aが記憶装置140cに記憶されたプログラムをRAM140bに読み込んで実行することにより、認証端末140は、
図12に示した各手段を機能させることが可能となる。
図12に示すように、認証端末140は、ユーザID取得手段143、生体情報取得手段144、温度取得手段145、認証要求送信手段146を有する。
【0063】
認証端末140は、記憶装置140cに記憶されたプログラムをRAM140bに読み込んで、CPU140aが実行し、他の構成要素に指令を出すことにより、ユーザID取得手段143、生体情報取得手段144、温度取得手段145、認証要求送信手段146の各機能を実現する。
【0064】
ユーザID取得手段143は、ユーザを識別する識別情報であるユーザIDを取得する手段である。ユーザID取得手段143は、CPU140aが記憶装置140cに記憶されたプログラムを実行し、コードリーダー54を制御することにより実現される。生体情報取得手段144は、ユーザの生体情報を取得する手段である。生体情報取得手段144は、CPU140aが記憶装置140cに記憶されたプログラムを実行し、カメラ53を制御することにより実現される。
【0065】
温度取得手段145は、温度を取得する手段である。温度取得手段145は、CPU140aが記憶装置140cに記憶されたプログラムを実行し、温度計140fを制御することにより実現される。認証端末140のユーザID取得手段143、生体情報取得手段144、温度取得手段145は、登録端末130のユーザID取得手段133、生体情報取得手段134、温度取得手段135と同様の処理を行う手段である。認証要求送信手段146は、生体情報取得手段144が取得した生体情報による認証要求を管理サーバ110に送信する手段である。認証要求送信手段146は、CPU140aが記憶装置140cに記憶されたプログラムを実行し、通信部140gを制御することにより実現される。
【0066】
<6.認証システムの処理動作>
<6.1.登録時>
次に、本実施形態に係る認証方法について、
図5に示した認証システムの処理動作とともに説明する。認証方法および認証システムの処理動作については、登録時と認証時に分けて説明する。まず、生体情報の登録時について説明する。
図13は、登録時における本実施形態に係る認証システムの処理動作を示すフローチャートである。ユーザは、情報取得ユニット50を備えた登録端末130を起動する。そして、情報取得ユニット50の上面に、位置合わせをして認証カード10を置く。ここでの位置合わせとは、非着色領域32からカメラ53が視認でき、コード情報31がコードリーダー54に重なるような位置に合わせることを意味する。
【0067】
位置合わせした状態で認証カード10が情報取得ユニット50の上面に置かれると、登録端末130のユーザID取得手段133が、ユーザIDを取得する(ステップS1)。具体的には、情報取得ユニット50のコードリーダー54が、認証カード10のコード情報31から、記録されているコード記録情報を読み取る。本実施形態では、コード記録情報として、ユーザIDが記録されている。このため、登録端末130は、ユーザIDを取得することができる。
【0068】
続いて、登録端末130の温度取得手段135が、温度の取得を行う(ステップS2)。具体的には、情報取得ユニット50に内蔵されている温度計130fを用いて温度を取得する。実際には、ユーザID取得手段133がユーザIDを取得すると、それを検知した温度取得手段135が、温度計130fの測定値である温度を取得する。
【0069】
次に、登録端末130の生体情報取得手段134が、ユーザの生体情報の取得を行う(ステップS3)。具体的には、まず、認証カード10が情報取得ユニット50の上面に位置合わせして置かれた状態で、ユーザは、非着色領域32の上に指を横にした状態で置き、撮影指示を行う。撮影指示は、登録端末130に撮影開始の指示を与えることができれば、どのような態様で行ってもよいが、例えば、登録端末130の表示部130hに表示されたボタンにタッチして指示するようにしてもよい。
【0070】
すると、情報取得ユニット50のカメラ53が、赤外線透過性を有する認証カード10を介して指の静脈画像を生体画像として取得する。続いて、生体情報取得手段134は、取得した生体画像の特徴を表現した特徴データである生体情報を生成する。このようにして、生体情報取得手段134は、ユーザの生体情報を取得することができる。この際、ユーザの指が触れているのは、自身が保有している認証カード10であり、情報取得ユニット50には直接触れる必要がない。このため、情報取得ユニット50、カメラ53等の認証機器に直接触れる可能性を減らして、認証作業を行うことが可能となる。
【0071】
生体情報が取得されたら、管理サーバ110が、取得された生体情報を登録する(ステップS4)。具体的には、まず、登録端末130の登録要求送信手段136が、取得したユーザID、温度、生体情報を対応付けて管理サーバ110に送信する。管理サーバ110では、登録端末130から受信したユーザID、温度、生体情報を対応付けて生体情報記憶手段111に登録する。
【0072】
ステップS1~ステップS3における処理は、登録端末130が全て行ってもよいし、登録端末130と管理サーバ110が連携して行ってもよい。登録端末130が全て行う場合は、登録端末130が、ユーザID、温度、生体情報を取得した後、まとめて管理サーバ110に送信する。登録端末130と管理サーバ110が連携して行う場合は、登録端末130が、ユーザID、温度、生体情報を取得する度、管理サーバ110に送信し、管理サーバ110はユーザID、温度、生体情報をそれぞれのタイミングで取得する。いずれの場合も、管理サーバ110は、ユーザID、温度、生体情報が揃った段階で、生体情報記憶手段111に登録する。
【0073】
図13に示した処理を、認証時に想定される温度環境において行う。例えば、認証時に想定される温度が10度であれば、それに近い温度環境において、生体情報の登録を行う。本実施形態では、登録時の温度環境を変化させて、
図13に示した処理を温度別に行い、生体情報を登録している。温度別に生体情報を登録しておくことにより、認証時の温度に対応する登録生体情報を用いて認証することができる。
【0074】
<6.2.認証時>
次に、生体情報を用いたユーザの認証時について説明する。
図14は、認証時における本実施形態に係る認証システムの処理動作を示すフローチャートである。ユーザは、情報取得ユニット50を備えた認証端末140を起動する。そして、情報取得ユニット50の上面に、位置合わせをして認証カード10を置く。ここでの位置合わせも、生体情報の登録時と同様に、非着色領域32からカメラ53が視認でき、コード情報31がコードリーダー54に重なるような位置に合わせることを意味する。
【0075】
位置合わせした状態で認証カード10が情報取得ユニット50の上面に置かれると、認証端末140のユーザID取得手段143は、ユーザIDを取得する(ステップS11)。具体的には、情報取得ユニット50のコードリーダー54が、認証カード10のコード情報31から、記録されているコード記録情報を取得する。本実施形態では、コード記録情報として、ユーザIDが記録されている。このため、認証端末140は、ユーザIDを取得することができる。
【0076】
続いて、認証端末140の温度取得手段145が、温度の取得を行う(ステップS12)。具体的には、情報取得ユニット50に内蔵されている温度計140fを用いて温度を取得する。実際には、ユーザID取得手段143がユーザIDを取得すると、それを検知した温度取得手段145が、温度計140fの測定値である温度を取得する。
【0077】
次に、認証端末140の生体情報取得手段144が、ユーザの生体情報の取得を行う(ステップS13)。具体的には、まず、認証カード10が情報取得ユニット50の上面に位置合わせして置かれた状態で、ユーザは、非着色領域32の上に指を横にした状態で置き、撮影指示を行う。撮影指示は、認証端末140に撮影開始の指示を与えることができれば、どのような態様で行ってもよいが、例えば、認証端末140の表示部140hに表示されたボタンにタッチするようにしてもよい。
【0078】
ステップS11~S13の処理は、登録時のステップS1~S3と同様にして行われる。ただし、登録端末130における登録時と異なり、認証端末140での認証時は、急いでいることが多い。そのため、カメラ53は、指を検出した際に、撮影を開始する処理を行ってもよい。もちろんユーザが認証端末140に何らかの指示を与えて、撮影を開始するようにしてもよい。撮影により情報取得ユニット50のカメラ53が、赤外線透過性を有する認証カード10を介して指の静脈画像を生体画像として取得する。この際、ユーザの指が触れているのは、自身が保有している認証カード10であり、情報取得ユニット50には直接触れる必要がない。このため、情報取得ユニット50、カメラ53等の認証機器に直接触れる可能性を減らして、認証作業を行うことが可能となる。続いて、生体情報取得手段144は、取得した生体画像の特徴を表現した特徴データである生体情報を生成する。このようにして、生体情報取得手段144は、ユーザの生体情報を取得することができる。
【0079】
生体情報が取得されたら、管理サーバ110が、取得された生体情報を認証する(ステップS14)。本実施形態では、2要素認証を行う。具体的には、ユーザIDと生体情報の2要素で認証を行う。認証の際、まず、管理サーバ110は、取得したユーザIDで生体情報記憶手段111を検索して、ユーザを特定する。そして、特定したユーザに対応する登録生体情報を生体情報記憶手段111から抽出する。さらに、抽出した登録生体情報と認証端末140から取得した生体情報の照合を行う。
図8に示したように、生体情報記憶手段111には、1つのユーザIDに対して、複数の登録生体情報が記憶されている。そのため、認証端末140から取得した温度に最も近い温度に対応する登録生体情報を抽出して照合する。照合の結果、一致すれば認証成功と判定し、不一致であれば認証失敗と判定する。一致か不一致かの判定は、その適合度が事前に定めたしきい値以上であるか否かにより行う。適合度のしきい値は、事前のテスト等により、本人を高い確率で認識できる程度の値に設定しておけばよい。
【0080】
認証に成功した場合には(ステップS15:YES)、管理サーバ110の開錠信号送信手段116は、入出場口に対して開錠信号を送信する。例えば、認証端末140の付近にある入出場口を開錠するための信号を、入出場口のシステムに送信する。これにより、入出場口が開錠され、認証に成功したユーザは、入出場することができる。認証に失敗した場合には(ステップS15:NO)、管理サーバ110は、特に、入出場口のシステムに信号を送信しない。そのため、入出場口は開錠されないままとなる。したがって、認証に失敗したユーザは、入出場することができない。さらに、この場合、認証に用いられたユーザIDと温度と生体情報を、不正情報として不正リストに登録する(ステップS16)。具体的には、不正情報記憶手段112に、その際のユーザIDと温度と生体情報を対応付けて記憶する。
図16は、不正情報記憶手段112に記憶された不正情報の一例を示す図である。例えば、不正情報記憶手段112に複数回記憶されているユーザIDについては、本人に確認をとるなどの対応をとることが可能となる。
【0081】
<7.認証カードおよび情報取得ユニットの変形例>
次に変形例について説明する。
図15は、変形例1に係る認証カード10Aの平面図である。
図1の認証カード10と
図15の認証カード10Aを比較すると、異なるのは、コード情報31とコード情報31aである。
図1の認証カード10には、コード情報31として一次元のバーコードが形成されているが、
図15の認証カード10Aには、コード情報31aとして二次元コードが形成されている。二次元コードとしては、例えばQRコード(登録商標)を用いることができる。
図15に示した認証カード10Aの断面図は省略するが、
図2と同様の断面となっている。コード情報31aは、コード情報31と同様、オーバーレイフィルム13の第1面13aに形成されている。二次元コードの3つの角には、黒い正方形を黒い矩形の枠で囲んだ形状の位置決め用のマークが形成されている。
【0082】
認証カード10Aを読み取るための情報取得ユニットについても図示は省略するが、
図3に示したものと同様の構造となっている。この場合、情報取得ユニット50のコードリーダー54は、二次元コードを読取可能な構造となっている。情報取得ユニット50は、登録端末130、認証端末140の一部として機能し、認証カード10Aから二次元コードに記録されたユーザIDと、生体情報を取得する。
【0083】
図1、
図2、
図15に示した認証カード10、10Aは、コード情報31、31aが、情報保持領域として機能する。コード情報31、31aであるバーコード、2次元コードには、所定の情報がコード化されて保持されている。次に示す変形例2では、コード情報ではなく、ICチップが情報を保持する。
図17は、他の変形例である変形例2に係る認証カード10Bの平面図である。
図18は、
図17におけるB-B線に対応する断面図である。
図17、
図18に示す変形例では、ICチップを含むICモジュール31bが情報保持領域として機能する。変形例3の認証カード10Bには、オーバーレイフィルム13側からオーバーレイフィルム13、コアシート11を貫通し、コアシート12まで達する凹部が形成されている。この凹部に、凸形状を有するICモジュール31bが挿入されて固着されている。すなわち、情報保持領域において、情報を保持したICモジュールが埋め込まれている。
【0084】
図19は、認証カード10Bを読み取るための情報取得ユニットの利用時の様子を示す図である。認証カード10Bを読み取るための情報取得ユニット50Bは、認証カード10BのICモジュール31bに記録された情報を読み取る読取部(図示省略)と、指静脈情報を生体情報として取得するカメラ53b(図示省略)を有している。
図19に示したように、認証カード10Bを所定の位置に差し込んだ状態で、ICモジュール31bの端子と情報取得ユニット50Bの端子を接触させる。この状態、情報取得ユニット50Bは、ユーザIDを読みる。さらに、非着色領域32bの上に指を置くと、情報取得ユニット50Bは、カメラ53bで撮影した指静脈画像を用いて生体情報の一種である指静脈を取得する。
【0085】
以上、本開示の好適な実施形態について説明したが、本開示は、上記実施形態、変形例に限定されず、種々の変形が可能である。また、上記実施形態、変形例は、技術的に著しく困難な場合を除いて、適宜組み合わせて適用することが可能である。
【0086】
例えば、上記実施形態では、認証システムが登録端末を備える態様としたが、認証システムが登録端末を備えず、生体情報の登録は別の手段で行うようにしてもよい。
【符号の説明】
【0087】
10、10A、10B・・・認証カード
11、12・・・コアシート(コア層)
13、14・・・オーバーレイフィルム
31・・・コード情報
32・・・非着色領域
33・・・着色層
50・・・情報取得ユニット
53・・・カメラ
54・・・コードリーダー
110・・・管理サーバ
130・・・登録端末
140・・・認証端末