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特開2024-114548回転機構、飛行体、積載物の姿勢制御装置、方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024114548
(43)【公開日】2024-08-23
(54)【発明の名称】回転機構、飛行体、積載物の姿勢制御装置、方法
(51)【国際特許分類】
   B64C 17/02 20060101AFI20240816BHJP
   B64D 9/00 20060101ALI20240816BHJP
   F16H 21/46 20060101ALI20240816BHJP
【FI】
B64C17/02
B64D9/00
F16H21/46
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023020391
(22)【出願日】2023-02-13
(71)【出願人】
【識別番号】716000880
【氏名又は名称】望月 玲於奈
(72)【発明者】
【氏名】望月玲於奈
【テーマコード(参考)】
3J062
【Fターム(参考)】
3J062AA41
3J062AB28
3J062AC10
3J062BA40
3J062CB03
3J062CB28
(57)【要約】
【課題】
姿勢、位置制御に関する。飛行体に対する積載物の位置制御を行う。
【解決手段】
リンクXとリンクAとはジョイントXAで接続され、
リンクAとリンクBとはジョイントABで接続され、
リンクBとリンクYとはジョイントBYで接続され、
リンクCはリンクX上のジョイントXCとリンクB上のジョイントBCで接続され、
ジョイントXAとXCを結ぶ直線とジョイントABとBCを結ぶ直線が平行であり、
ジョイントXAとABを結ぶ直線とジョイントXCとBCを結ぶ直線が平行であるようにジョイントが配置された機構であって、
リンクXに飛行体が接続され、あるいは、リンクXが飛行体であり、
リンクBに積載物が接続され、あるいは、リンクBが積載物である回転機構とする。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
リンクXとリンクAとはジョイントXAで接続され、
リンクAとリンクBとはジョイントABで接続され、
リンクBとリンクYとはジョイントBYで接続され、
リンクCはリンクX上のジョイントXCとリンクB上のジョイントBCで接続され、
ジョイントXAとXCを結ぶ直線とジョイントABとBCを結ぶ直線が平行であり、
ジョイントXAとABを結ぶ直線とジョイントXCとBCを結ぶ直線が平行であるようにジョイントが配置された機構であって、
リンクXに飛行体が接続され、あるいは、リンクXが飛行体であり、
リンクBに積載物が接続され、あるいは、リンクBが積載物である回転機構。
【請求項2】
前記飛行体を前記回転機構に対してもう一軸方向に回転可能に接続した請求項1の回転機構。
【請求項3】
前記積載物の重心が前記飛行体の下部に位置するように制御される請求項1から請求項2いずれかの回転機構。
【請求項4】
前記積載物の重心が前記飛行体に対して所定の位置になるように制御される請求項1から請求項2いずれかの回転機構。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
姿勢、位置制御に関する。
【背景技術】
【0002】
近年ドローンと呼ばれる、飛行体を用いた配送を実現するための開発が進められている。
ドローンの多くは、機体の中心部付近に、制御用のコンピューターやバッテリー、センサーなどを備える構成である。飛行において重量のある構成物を機体の中心付近に置いたほうが、慣性モーメントが少なくなり、機体の運動に有利である。また、加速度センサーなど、飛行体の中心に置いたほうが制御、センシングにおいて有利である。
【0003】
飛行体に積載物を取り付ける際の問題点や懸念事項は次のとおりである。積載物を飛行体に取り付けることで、重心が変化し、飛行体の飛行性能に悪影響を及ぼす。飛行体が姿勢を変化させることで、飛行体に接続した積載物の姿勢も変化してしまう。積載物の重さや形状は、積載物に応じて異なるため、専用の重心設計をした飛行体を用いるのは非効率である。そのため、前記積載物の姿勢変化を打ち消すための機構が必要である。
【0004】
ドローンにジンバル機構を備え、ドローンと積載物をジンバル機構で接続することで、ドローンの姿勢変化による積載物の姿勢変化を打つ消す方法がある。しかし、ジンバル機構の回転中心が、ドローンの姿勢変化の回転中心と一致しない場合には、積載物の自重によってドローンを回転させる力が生じてしまい、ドローンはその力を打ち消すための姿勢変化をさせる力を発生させる必要が生じる。この問題を解決するためには、機体中心にジンバルを配置する必要がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2019-059480
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
一般的なジンバルでは、ジンバルによる回転中心は、モーターや車軸、回転の出力軸のような物理的な回転軸、もしくはその延長線に制限される。
【0007】
ジンバルをドローンに適用する場合では、一般的に、ドローンの回転中心は機体の内部に位置していることが多い。その為、上記の問題を解消するためにジンバルによる回転中心をドローンの姿勢変化の回転中心と一致させる必要である。
【0008】
そこで、本願発明では、積載物の回転中心の位置の設定、設計可能な構成を提供する。
【0009】
また、飛行体に適用する場合では、飛行体に積載する積載物の飛行体の位置と姿勢に対する位置を制御する機構を備えることで、重心位置の変化を抑え、飛行効率、安定性を向上する。
【課題を解決するための手段】
【0010】
リンクXとリンクAとはジョイントXAで接続され、
リンクAとリンクBとはジョイントABで接続され、
リンクBとリンクYとはジョイントBYで接続され、
リンクCはリンクX上のジョイントXCとリンクB上のジョイントBCで接続され、
ジョイントXAとXCを結ぶ直線とジョイントABとBCを結ぶ直線が平行であり、
ジョイントXAとABを結ぶ直線とジョイントXCとBCを結ぶ直線が平行であるようにジョイントが配置された機構であって、
リンクXに回転体Xが接続され、あるいは、リンクXが回転体Xであり、
リンクBに回転体Bが接続され、あるいは、リンクBが回転体Bである回転機構とする。
【0011】
回転体Xの回転中心XOと回転体Bの回転中心BOを通る直線がジョイントXAとABを結ぶ直線と並行であるように配置してもよい。このようにすることで、回転体Xが回転中心XOで回転したとき、回転体Bを回転中心BOの位置を変化させずに回転中心BOで回転させることができる。回転体Bを回転させることによって、回転体Bの回転中止の位置変化を抑えると考えてもよい。
【0012】
回転機構を回転可能に回転体Xに接続することで、回転機構による回転軸と合わせて2軸での回転を可能としてもよい。
【0013】
リンクの動きを妨げない余剰なリンクを加えてもよい。例えば、リンクAやリンクCと同じ配置条件を持つリンクをさらに加えてもよい。リンクBを複数リンクAとリンクCに接続するようにしてもよい。リンクBを複数備えるとは、回転体Bを複数備えることと考えてもよい。同様にリンクXについても複数備えるようにしてもよい。
【0014】
ジョイントやリンクの少なくともいずれかをアクチュエーターで駆動する構成としてもよい。
【0015】
リンクAとリンクCの少なくともいずれかは柔軟な素材を含む構成としてもよい。例えば、リンクAとリンクCをひもやワイヤー、鎖などとしてもよい。また、このときリンクA、リンクCに接続されるジョイントを無くしてもよい。柔軟な部分がジョイントと同じ働きをすることができる。
【0016】
回転体Xの回転中心OXと回転体Bの回転中心OBについて、ジョイントXAとジョイントABを通る直線と回転中心OXと回転中心OBを通る直線が平行になるように配置してもよい。
【発明の効果】
【0017】
回転体Xの回転による回転体Bの位置変化を抑えることができる。回転体Bの回転中心を重心とする場合は、回転体Xの傾きによる回転体Xに対する回転体Bの重心位置の変化を抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】回転機構の構成例
図2】飛行体への適用例1
図3】飛行体への適用例2
図4】リンクの構成例
図5】回転機構の構成例2
図6】回転機構の構成例3
図7】回転機構の構成例4
図8】制御システムの例
【発明を実施するための形態】
【0019】
飛行体に適用する場合の例を示す。一例として、マルチコプター型の機体に適用した場合について説明する。飛行体以外などほかの形態にも同様に適用可能である。シングルローター型などほかの飛行体にも適用可能である。
【0020】
図1に構成例を示す。リンクX1にジョイントXA10でリンクA2が接続される。リンクX1にジョイントXC11でリンクC4が接続される。リンクB3にジョイントAB12でリンクAが接続される。リンクB3にジョイントBC13でリンクC4が接続される。図1においてジョイントは接続するリンクをz軸周りに回転可能とすると考えてよい。
【0021】
ジョイントXA10とジョイントXC11を通る直線とジョイントAB12とジョイントBC13を通る直線が平行となるように接続する。
ジョイントXA10とジョイントAB12を通る直線とジョイントXC11とジョイントBC13を通る直線が平行となるように接続する。
【0022】
このように接続することで、図1(a)から図1(b)のように回転体X100となる、または接続されるリンクXを回転中心OX0で回転させたとき、回転体B101となる、または接続されるリンクBを回転中心OB15で回転させることができ、このとき回転中心OB15の位置が変化しないようにできる。回転中心XO0は図1のようにジョイントXA10とジョイントXC11を通る直線上になくてもよい。回転中心OX0とジョイントXA10を通る直線と回転中心OB15とジョイントAB12を通る直線は平行となる。
【0023】
前記リンクとジョイントの配置の条件を満たしていれば、各リンクやジョイントの位置関係は変化させてもよい。例えば、図3のようにリンクA2とリンクC4を両側に配置するような構成としてもよい。左右対称の構成とできるので、バランス面で有用である。
【0024】
前記リンクとジョイントの配置の条件を満たしていれば、各リンクやジョイントの位置関係は回転軸方向への配置についても任意に変更してもよい。
【0025】
前記ジョイントの配置の条件を満たせば、各リンクの形状は問わない。例えば、リンク動きを妨げないように、曲がった形状することもできる。可動域を増やすためにリンクの形状を変化させてもよい。
【0026】
このようにすることで、回転体Xが回転中心XOで回転したとき、図1のように回転体Bを回転中心BOの位置を変化させずに回転中心BOで回転させることができる。回転体Bを回転させることによって、回転体Bの回転中止の位置変化を抑えると考えてもよい。回転中心XO0と回転中心BO15の距離を一定に保つと考えてもよい。距離を一定に保つことができる為、回転中心XO0に対する回転中心BO15の向きを制御することによって、回転中心XO0に対する回転中心BO15の位置を一定に保つことができる。
【0027】
各リンクは、同様の条件を満たしていれば、複数備えていてもよい。例えば、リンクA2やリンクC4をもう一つ備えていてもよい。また、リンクB3即ち回転体B101を複数備えていてもよい。
【0028】
回転機構をもう一軸で回転可能にしてもよい。例えば、リンクX1を回転機構の回転軸とは別の方向の回転軸で回転可能にする。リンクX1を回転体Xにもう一軸方向に回転可能に接続するものとしてもよい。リンクX1に接続されるジョイントがさらにもう一軸方向に回転可能であるものとしてもよい。
【0029】
例えば、図2図3のように回転体X100に接続されるリンクX1を回転機構の回転軸と交わる回転軸で回転可能としてもよい。
【0030】
回転中心OX0がジョイントXA10とジョイントXC11を通る直線上にない場合、図5のように追加する回転軸が回転中心XO0を通るようにしてもよい。追加する回転軸は回転中心XO0を通らなくてもよく、ねじれの位置関係であってもよい。
【0031】
リンクAとリンクCの少なくともいずれかは柔軟な素材を含む構成としてもよい。例えば、リンクAとリンクCをひもやワイヤー、鎖などとしてもよい。また、このときリンクA、リンクCに接続されるジョイントを無くしてもよい。柔軟な部分がジョイントと同じ働きをすることができる。このときジョイントの位置は柔軟な素材の接続位置と考えてよい。
【0032】
図4のようにリンクC4を複数のリンクで構成してもよい。リンクA2についても同様である。図4では、ジョイントBC411とジョイントBC412を通る直線回りの回転を可能とし、直交する軸方向の回転を抑えることができる。リンクにひもなど柔軟な素材を使う場合のように、ジョイントが2軸以上の回転を可能とする場合、回転方向を制限することができる。回転体B101のジョイントBC411,412での回転機構の回転軸以外での回転を抑えることができる。
【0033】
ジョイントXA10,XC11,BC13,AB12は台形または四角形をなすように配置してもよい。図6に一例を示す。台形とした場合、回転体X100の回転によって回転中心BO15の位置が変化する。リンクX1を短くした場合、リンクX1の回転に対するリンクB3の回転を抑えることができる。積載物101の回転を抑えたい場合などに有用である。ジョイントが前記平行の条件を満たさない場合は、回転体X100の回転による回転体B101の回転中心BO15の位置変化が生じることとなる。回転体のジョイントは厳密に平行の条件を満たす必要はなく、回転体X100の回転による回転体B101の回転中心BO15の位置変化が許容できれば平行を満たさないジョイントの組のある四角形であってもよい。条件を満たした場合と比べて少ないものの位置変化の抑制を期待できる。
【0034】
図1または図2または図3の回転機構において、各ジョイントについてそれぞれ少なくとももう一軸方向に回転可能として、リンクX1とリンクB3とそれぞれジョイントXE14とジョイントBE15で接続されるリンクE5を加えてもよい。このとき、図2図3を使って例示したリンクX1を回転させる回転軸はないと考えてよい。ジョイントXE14とジョイントBE15はそれぞれ接続するリンクを少なくとも2軸方向に回転可能にする。各ジョイントの回転軸は、交わっていなくてもよい。また、リンクE5についても柔軟な素材で構成してもよく、その場合ジョイントXE14とジョイントXB15の少なくともいずれかは省略してもよい。ジョイントXE14とジョイントXB15を通る直線は、ジョイントXA10とジョイントAB12を通る直線と平行になるものとしてよい。ジョイントXE14とジョイントXB15間の距離は、ジョイントXA10とジョイントAB12間の距離と同じになるものとしてもよい。図7に一例を示す。追加された回転機構の回転軸から見たとき、リンクE5がリンクA2もしくはリンクC4のようにふるまうことで、追加された回転軸に対しても同様に回転体X100と回転体B101を回転させることができる。
【0035】
リンクE5についても複数備えてもよい。また、2つ目以降のリンクE5のジョイントXE14は元のリンクXに接続されるジョイントの位置を通る平面上になくてもよい。
【0036】
図6の例についてもリンクE5を同様に追加してもよいが、積載物101の位置が変化することとなる。この場合、ジョイントXE14とジョイントXB15を通る直線に関する条件は満たさなくてもよい。
【0037】
回転中心BO15を回転体B101の重心とした場合では、回転体X100が回転したとき、回転体B101の重力による引っ張り力が、回転体X100の回転中心OX0を通るように回転機構が回転することができるため、回転体B101の引っ張り力による回転体X100を回転させる力を抑えることができる。
【0038】
回転機構を飛行体に適用した場合では、回転体X100を飛行体、回転体B101を積載物として、回転中心BO15を積載物101の重心位置とすることによって飛行体100の回転に対する積載物101の重心位置の変化を抑えることができる為、飛行体の飛行効率の向上が期待できる。これにより、飛行体の航続距離の向上が期待できる。例えば、回転体Bの重心位置が飛行体100の回転中心や重心の下部に位置するように制御することで、積載物101の重さによる飛行体100を回転させる力を抑えることができる。当然、下部以外の所定の位置になるように制御してもよい。
【0039】
比較的簡単な構造であり、一例として、飛行体の側面に接続することで適用可能である。これによって、既存の飛行体に容易にあとから適用可能となる。また、マルチコプター型の飛行体の場合では、リンクA2,C4の接続位置をプロペラなど推力発生部の近くに配置することで、積載物101の重さによる機体フレームのゆがみなどを抑えることが期待できる。
【0040】
リンクの少なくともいずれかをアクチュエーターによって駆動可能としてもよい。図1のアクチュエーター31と駆動用リンク32のように少なくともいずれかのリンクをアクチュエーターで動かすようにしてもよい。ジョイントの少なくともいずれかをモーターなどで回転可能にしてもよい。回転機構による回転体X100に対する回転体B101の回転を制御可能となる。駆動用リンク32のジョイント間の長さを変化させる構成としてもよい。駆動用リンク32を伸縮可能にしたり、ジョイントの位置をスライダーで移動できるようにしてもよい。この場合、アーム30は固定するか、アーム30を無くして駆動用リンク32をリンクX1に接続するようにしてもよい。駆動部を設けずに受動的に回転可能な構成としてもよい。
【0041】
回転機構の回転がアクチュエーターなどにより制御可能な場合は、回転中心BO15の位置が回転中心XO0の真下に来るように制御してもよい。回転体X100の回転による回転中心XO0の位置に対する回転中心BO15の位置が変化しないように制御してもよい。
【0042】
例えば、回転体X100又は回転体B101に姿勢を検出可能なセンサーを備え、回転中心BO15の位置が回転中心XO0の真下に来るように回転機構を制御するアクチュエーターを制御してもよい。例えば、図1または図2または図3の場合ではリンクA2又はリンクC4の姿勢が変化しないように、または地面と垂直を保つようにするなど所定の姿勢を維持するように制御する。
【0043】
飛行体に適用する場合では、飛行体のコントローラーに備える姿勢検出手段を用いて回転体X100の姿勢を取得してもよい。
【0044】
回転体の姿勢制御の例について説明する。
【0045】
姿勢制御システム50は、回転体X100の姿勢変化に対して、リンクA2が一定の姿勢を保つように制御する。例えば、飛行体100の傾き変化に対してリンクA2が垂直状態を維持するように、リンクA2を飛行体100に対して回転させる。垂直に制御する以外にも、回転中心BO15の位置がその時々の目標位置になるように制御してもよい。
【0046】
姿勢制御システム50は、各種センサーを用いて、回転体X100あるいは回転体B101の姿勢を算出することができる。回転体X100と回転体B101のいずれかの姿勢が算出できれば、回転機構による回転量から、さらにもう一方の姿勢を算出することができる為、両方に姿勢算出手段を備える必要は必ずしもない。基本的に回転体X100と回転体B101の姿勢は回転機構によって同じとなる。また、回転中心XO0に対する回転中心BO15の位置も算出可能である。一般的に、加速度センサーや角速度センサーを用いることで姿勢を算出することができるが、姿勢制御システム50が姿勢を取得できればその手段は問わない。飛行体100に備える姿勢算出手段54によって算出した飛行体100の姿勢を姿勢制御システム50が受け取る構成としてもよい。
【0047】
飛行体100が無線操縦される場合のように、回転体X100の姿勢が、受信機52で受信した目標姿勢や目標回転速度に基づき制御される場合、姿勢制御システム50が受信機52の目標姿勢や目標回転速度を取得可能な構成とすることで、回転体X100の姿勢を算出可能となる。
【0048】
また、受信機52をフライトコントローラー51に接続するような飛行体の場合、信号線を姿勢制御システム50につなぐのが容易であるため、エンドユーザーによる姿勢制御システム50の組み込みが容易となる。
【0049】
飛行体100に適用した場合のシステム構成の例を図8に示す。飛行体100は、飛行制御を行うフライトコントローラー51と受信機52を備える。フライトコントローラー51は、プログラマブルプロセッサ(例えば、中央演算処理装置(CPU))などの1つ以上のプロセッサを有することができる。一般的なコンピューターと考えてもよい。また、フライトコントローラー51は、飛行体100の姿勢を算出する手段54を備える。一例は、加速度センサーや角速度センサーを含む一般的な構成としてよい。姿勢算出手段54は、少なくとも飛行体100の傾きを算出することができるものとする。受信機52は、操作者から飛行体100の傾きを指示するための信号をフライトコントローラー51に伝える。フライトコントローラー51は信号に基づき飛行体の姿勢を目標姿勢となるように各プロペラ53の回転速度を制御して、機体を傾けることで飛行体100を移動させる。自律制御する場合は、受信機52の代わりに自律制御用の制御装置を接続し指示信号をフライトコントローラー51に伝える構成としてもよいし、フライトコントローラー51に自律制御機能を備えるようにしてもよい。
【0050】
姿勢制御システム50は、制御用コンピューター55と姿勢算出手段57と回転機構による回転をさせるためのアクチュエーター56を備える。制御用コンピューター55はプログラマブルプロセッサ(例えば、中央演算処理装置(CPU))などの1つ以上のプロセッサを有することができる。一般的なコンピューターと考えてもよい。また、制御用コンピューター55は、フライトコントローラー51の一部として考えてもよく、積載物101の姿勢を制御する機能をフライトコントローラー51に組み込んでもよい。姿勢制御システム50の姿勢算出手段57は少なくとも積載物101の傾きを算出することができる。一例は、加速度センサーや角速度センサーを含む一般的な構成としてよい。また、飛行体100の姿勢算出手段54を用いてもよく、飛行体100の姿勢算出手段54が出力するセンサーの情報や傾き情報を姿勢制御システム50が受け取る構成としもよい。もしくはフライトコントローラー51が姿勢算出手段54から受け取った信号もしくは傾き情報、もしくはフライトコントローラー51が算出した傾き情報を姿勢制御システム50に伝えてもよい。姿勢制御システム50は、飛行体100の姿勢情報と回転機構で回転させている積載物101の回転量から積載物101の姿勢を算出できる。
【0051】
駆動用アクチュエーター56は、目標の角度や位置まで駆動させる機能を備える。飛行体100の姿勢算出手段54を用いる場合は、各アクチュエーターの駆動量から飛行体100に対する積載物101の位置を算出することができるため、これらの情報をもとに積載物101の位置が算出可能である。姿勢制御システム50の制御用コンピューター55は、姿勢算出手段57から受け取った積載物101の位置に基づき、その位置が回転体X100の回転中心の下部に保たれるように、駆動用アクチュエーターの駆動量を制御する。
【0052】
姿勢制御システム50は、飛行体100の傾きの変化速度、すなわち角速度の情報を姿勢算出手段54から取得し、駆動用アクチュエーターの駆動速度を変化させてもよい。
【0053】
また、飛行体100のフライトコントローラー51や受信機52、自律制御を制御するコンピューターから、飛行体100の目標姿勢情報や、未来の飛行体の姿勢情報を受け取ることで、飛行体の姿勢変化に対する、回転体B101の位置制御の遅れを軽減させるようにしてもよい。前記情報を用いた回転体B101の位置制御に対してフィードフォワード制御を加えるようにしてもよい。
【0054】
飛行体100に対する積載物101の位置の制御は、一般的なジンバルに用いられている制御方法を用いることもできる。回転軸をモーターとして、モーターを駆動してジンバルに取り付けられたカメラを水平に保つ制御の場合は、モーターの代わりに本願回転機構を駆動させるアクチュエーターを駆動させるようにすればよい。また、一般的なジンバルに用いられている制御の制御対象をリンクA2とすればよい。
【0055】
上記制御について、リンクA2の姿勢を一定に保つようにしてもよい。回転中心BO15が回転中心XO0の真下など、維持したい状態にあるときのリンクA2の姿勢を維持するように制御すればよい。
【0056】
上述した実施の形態は、本発明の理解を容易にするための例示であり、本発明を限定して解釈するためのものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更、改良することができると共に、本発明にはその均等物が含まれることは言うまでもない。また、本願回転機構を有する装置として実施すると考えてもよい。
【0057】
各構成要素は、同様の効果や特徴を含む別の構成要素に置き換えてもよい。
【0058】
本願実施形態における1つの構成要素が有する機能を複数の構成要素として分散させたり、複数の構成要素が有する機能を1つの構成要素に統合させたりしてもよい。また、本願実施形態の構成の少なくとも一部を、同様の機能を有するほかの構成に置き換えてもよい。本願実施形態の構成の一部を省略してもよい。本願実施形態の構成の少なくとも一部を、他の本願実施形態の構成に対して付加又は置換してもよい。なお、特許請求の範囲に記載した文言のみによって特定される技術思想に含まれるあらゆる態様が本発明の実施形態である。
【0059】
本発明は上記の実施形態に限定されることはなく、種々の変形を行うことができる。例えば、上述した装置の他、当該装置を構成要素とするシステム、当該装置としてコンピュータを機能させるためのプログラム、このプログラムを記録した媒体、制御方法、方法等、種々の形態で本発明を実現することもできる。
【産業上の利用可能性】
【0060】
飛行体に適用することで、飛行体に対する積載物の位置を制御可能となる。飛行体に対する積載物の重心位置を飛行体の回転中心や重心の真下に維持することができる。これにより、積載物の重さによる飛行体を回転させる力を抑えることができる為、飛行効率の向上や航続距離の向上が期待できる。
【符号の説明】
【0061】
0 回転中心XO, 15 回転中心BO, 1 リンクX, 2 リンクA, 3 リンクB, 4 リンクC, 5 リンクE, 10 ジョイントXA, 11 ジョイントXC, 12 ジョイントAB, 13 ジョイントBC, 14 ジョイントXE, 15 ジョイントBE, 31 アクチュエーター, 32 駆動用リンク, 50 姿勢制御システム, 51 フライトコントローラー, 52 受信機, 53 モーター・プロペラ, 54 姿勢算出手段, 55 制御用コンピューター, 56 駆動用アクチュエーター, 57 姿勢算出手段, 100 回転体X, 101 回転体B, 411 ジョイントBC, 412 ジョイントBC,
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8