(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024011455
(43)【公開日】2024-01-25
(54)【発明の名称】防火戸
(51)【国際特許分類】
E06B 5/16 20060101AFI20240118BHJP
【FI】
E06B5/16
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022113429
(22)【出願日】2022-07-14
(71)【出願人】
【識別番号】503405689
【氏名又は名称】ナブテスコ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】四國 康則
(72)【発明者】
【氏名】長津 伸二
(72)【発明者】
【氏名】井田 康
【テーマコード(参考)】
2E239
【Fターム(参考)】
2E239CA02
2E239CA12
2E239CA29
2E239CA32
2E239CA44
2E239CA47
2E239CA54
2E239CA66
(57)【要約】
【課題】火災時に、火炎を遮ることに加えて、煙を遮る防火戸を提供する。
【解決手段】防火戸は、開口に設けられる第1引戸21と、第1引戸21の全閉時に第1引戸21の第1戸先21Aと接触する第2引戸22と第1引戸21との間を塞ぐ第1弾性部材52と、を備える。第1引戸21は、ガラス板23の一端を支持する第1支持部材24Aと、第1引戸21の厚さ方向に離れて第1支持部材24Aに設けられた複数の障壁部材51と、を有する戸先側縦框24を第1戸先21Aに備える。第1弾性部材52は、複数の障壁部材51の間に戸先側縦框24の高さ方向の全面に取り付けられる。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
開口に設けられる戸と、
前記戸の全閉時に前記戸の戸先と接触する接触部材と前記戸との間を塞ぐ弾性部材と、を備え、
前記戸は、ガラス板の一端を支持する支持部材と、前記戸の厚さ方向に離れて前記支持部材に設けられた複数の障壁部材と、を有する縦框を戸先に備え、
前記弾性部材は、前記複数の障壁部材の間に前記縦框の高さ方向の全面に取り付けられる
防火戸。
【請求項2】
前記弾性部材は、前記支持部材の前記複数の障壁部材の間、且つ前記支持部材の前記接触部材に対向する面に設けられる
請求項1に記載の防火戸。
【請求項3】
前記弾性部材は、前記支持部材の面に固定される本体部と、
前記本体部の両端から延出する延出部と、を備え、
前記本体部と前記延出部とは、前記弾性部材の延出方向から見たときに中空、且つ前記延出部の先端が離間した半円形を構成する
請求項2に記載の防火戸。
【請求項4】
前記弾性部材を備える第1戸と、
前記全閉時に前記第1戸の戸先と接触する前記接触部材である第2戸と、を備え、
前記第2戸は、ガラス板の一端を支持する支持部材と、前記第1戸の前記障壁部材の間に入り込む凸部と、を有する縦框を戸先に備え、
前記弾性部材は、前記複数の障壁部材の間に前記縦框の高さ方向の全面に取り付けられ、前記全閉時に前記凸部と接触する
請求項1に記載の防火戸。
【請求項5】
前記全閉時に前記戸の戸先は前記開口の縦枠に接触し、
前記縦枠は、前記戸の前記障壁部材の間に入り込む凸部を備え、
前記弾性部材は、前記全閉時に前記凸部と接触する
請求項1に記載の防火戸。
【請求項6】
前記全閉時に前記戸の戸先は前記開口の縦枠に接触し、
前記縦枠は、前記戸の戸先が入り込む凹部を備え、
前記弾性部材は、前記全閉時に前記凹部の底面と接触する
請求項1に記載の防火戸。
【請求項7】
前記開口に備えられる固定壁であって、前記全閉時に前記固定壁の中方立と前記戸の戸尻の縦框とが対向する前記固定壁と、
前記戸の戸尻の縦框の高さ方向の全面に設けられる第1煙止め部材と、
前記固定壁の中方立の高さ方向の全面に設けられる第2煙止め部材と、
前記弾性部材を第1弾性部材として、前記第1煙止め部材と前記第2煙止め部材との間を塞ぐ第2弾性部材と、を備え、
前記第2弾性部材は、前記第1煙止め部材と前記第2煙止め部材との一方の先端が前記第1煙止め部材と前記第2煙止め部材との他方に対向する面の高さ方向の全面に取り付けられる
請求項1~6のいずれか一項に記載の防火戸。
【請求項8】
前記第2弾性部材は、対向する面に固定される本体部と、
前記本体部の一方の端部から延出する延出部と、を備え、
前記本体部と前記延出部とは、延出方向から見たときにU字形を構成する
請求項7に記載の防火戸。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、防火戸に関する。
【背景技術】
【0002】
建物に設置される防火戸が知られている。例えば、特許文献1に記載の防火戸は、開口を移動する扉、扉を駆動する駆動部、駆動部を制御する制御部、駆動部及び制御部を収容している横枠を備える。開口は、扉と横枠とにより常時閉鎖されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、特許文献1に記載の防火戸では、火災時に、火炎を遮ることに加えて、煙を遮ることが求められている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決する防火戸は、開口に設けられる戸と、前記戸の全閉時に前記戸の戸先と接触する接触部材と前記戸との間を塞ぐ弾性部材と、を備え、前記戸は、ガラス板の一端を支持する支持部材と、前記戸の厚さ方向に離れて前記支持部材に設けられた複数の障壁部材と、を有する縦框を戸先に備え、前記弾性部材は、前記複数の障壁部材の間に前記縦框の高さ方向の全面に取り付けられる。
【0006】
上記構成によれば、弾性部材が戸先の障壁部材の間の全面に取り付けられる。このため、火災が起きている側から反対側に煙が戸の戸先と接触部材との隙間を通って流れることを抑制することができる。また、弾性部材が障壁部材の間に設けられるので、弾性部材が火災の熱に晒されることを抑制することができる。
【0007】
上記防火戸について、前記弾性部材は、前記支持部材の前記複数の障壁部材の間かつ前記支持部材の前記接触部材に対向する面に設けられることが好ましい。
上記防火戸について、前記弾性部材は、前記支持部材の面に固定される本体部と、前記本体部の両端から延出する延出部と、を備え、前記本体部と前記延出部とは、前記弾性部材の延出方向から見たときに中空、且つ前記延出部の先端が離間した半円形を構成することが好ましい。
【0008】
上記防火戸について、前記弾性部材を備える第1戸と、前記全閉時に前記第1戸の戸先と接触する前記接触部材である第2戸と、を備え、前記第2戸は、ガラス板の一端を支持する支持部材と、前記第1戸の前記障壁部材の間に入り込む凸部と、を有する縦框を戸先に備え、前記弾性部材は、前記複数の障壁部材の間に前記縦框の高さ方向の全面に取り付けられ、前記全閉時に前記凸部と接触することが好ましい。
【0009】
上記防火戸について、前記全閉時に前記戸の戸先は前記開口の縦枠に接触し、前記縦枠は、前記戸の前記障壁部材の間に入り込む凸部を備え、前記弾性部材は、前記全閉時に前記凸部と接触することが好ましい。
【0010】
上記防火戸について、前記全閉時に前記戸の戸先は前記開口の縦枠に接触し、前記縦枠は、前記戸の戸先が入り込む凹部を備え、前記弾性部材は、前記全閉時に前記凹部の底面と接触することが好ましい。
【0011】
上記防火戸について、前記開口に備えられる固定壁であって、前記全閉時に前記固定壁の中方立と前記戸の戸尻の縦框とが対向する前記固定壁と、前記戸の戸尻の縦框の高さ方向の全面に設けられる第1煙止め部材と、前記固定壁の中方立の高さ方向の全面に設けられる第2煙止め部材と、前記弾性部材を第1弾性部材として、前記第1煙止め部材と前記第2煙止め部材との間を塞ぐ第2弾性部材と、を備え、前記第2弾性部材は、前記第1煙止め部材と前記第2煙止め部材との一方の先端が前記第1煙止め部材と前記第2煙止め部材との他方に対向する面の高さ方向の全面に取り付けられることが好ましい。
【0012】
上記防火戸について、前記第2弾性部材は、対向する面に固定される本体部と、前記本体部の一方の端部から延出する延出部と、を備え、前記本体部と前記延出部とは、延出方向から見たときにU字形を構成することが好ましい。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、火災時に、火炎を遮ることに加えて、煙を遮ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】防火戸の第1実施形態の構成を示す正面図である。
【
図2】同実施形態の防火戸の構成を示す横断面図である。
【
図3】同実施形態の防火戸の開状態の戸先を示す横断面図である。
【
図4】同実施形態の防火戸の全閉状態の戸先を示す横断面図である。
【
図5】同実施形態の防火戸の開状態の戸尻を示す横断面図である。
【
図6】同実施形態の防火戸の全閉状態の戸尻を示す横断面図である。
【
図7】防火戸の第2実施形態の開状態の戸先を示す横断面図である。
【
図8】同実施形態の防火戸の全閉状態の戸先を示す横断面図である。
【
図9】防火戸の第3実施形態の開状態の戸先を示す横断面図である。
【
図10】同実施形態の防火戸の全閉状態の戸先を示す横断面図である。
【
図11】防火戸の変更例の開状態の戸尻を示す横断面図である。
【
図12】変更例の防火戸の全閉状態の戸尻を示す横断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
(第1実施形態)
以下、
図1~
図6を参照して、防火戸の第1実施形態について説明する。防火戸は、引分け式の防火戸である。
【0016】
(防火戸1)
図1に示すように、防火戸1は、建物に形成された長方形状の開口5に設けられている。防火戸1は、開口5の長手方向において間隔を空けて配置された一対の縦枠10を備える。防火戸1は、一対の縦枠10の上方に配置され、一対の縦枠10に支持されているケース40を備える。ケース40は、無目に相当する。縦枠10は、中空形状であり、防火戸1の高さ方向に延びている。防火戸1は、ステンレスから形成されている。このため、防火戸1は、錆びにくい。
【0017】
防火戸1は、2つの固定壁30と、2つの引戸20と、を備える。2つの固定壁30は、第1固定壁31及び第2固定壁32を備える。第1固定壁31及び第2固定壁32は、一対の縦枠10の間に互いに離間して配置されて、それぞれの縦枠10に接続する。第1固定壁31及び第2固定壁32は、第1固定壁31及び第2固定壁32の間に出入口を形成している。ケース40には、引戸20を移動させる駆動部41と、駆動部41を制御する制御部42と、が収容されている。2つの引戸20は、第1引戸21及び第2引戸22を備える。駆動部41は、第1引戸21及び第2引戸22を2つの固定壁30が並べられている方向に沿って移動させる。
【0018】
図2に示すように、第1引戸21及び第2引戸22は、防火戸1の前後方向において、固定壁30よりも正面側に配置されている。第1引戸21及び第2引戸22が移動することにより第1固定壁31及び第2固定壁32の間の出入口を開閉する。
【0019】
図1に示すように、固定壁30は、高さ方向に延びる中空形状の中方立33と、巾木34と、ガラス板35とを備える。巾木34は、中方立33と縦枠10との間に配置され、第1引戸21及び第2引戸22の開閉方向に延びる。ガラス板35は、縦枠10、中方立33、及び巾木34に支持されている。ガラス板35は、耐熱ガラスからなる。
【0020】
第1引戸21は、ガラス板23と、第1戸先側縦框24と、戸尻側縦框26と、上框27と、下框28と、を備える。第1戸先側縦框24は、ガラス板23の一方の側部を支持する第1支持部材24Aを備える。第2引戸22は、ガラス板23と、第2戸先側縦框25と、戸尻側縦框26と、上框27と、下框28と、を備える。第2戸先側縦框25は、ガラス板23の一方の側部を支持する第2支持部材25Aを備える。戸尻側縦框26は、ガラス板23の他方の側部を支持している。上框27は、ガラス板23の上部を支持している。下框28は、ガラス板23の下部を支持している。ガラス板23は、耐熱ガラスからなる。
【0021】
第1引戸21は、戸車を有する第1ドアハンガ43を介してケース40の内部に配置された走行レール(図示略)に吊り下げられ、第1ドアハンガ43により駆動方向にスライド自在に支持されている。第2引戸22は、戸車を有する第2ドアハンガ44を介してケース40の内部に配置された走行レールに吊り下げられ、第2ドアハンガ44により駆動方向にスライド自在に支持されている。
【0022】
(引戸20の戸先20Aの隙間構造)
次に、
図3及び
図4を参照して、引戸20の戸先20Aの隙間構造について説明する。
図3及び
図4に示すように、第1引戸21の第1戸先21Aと第2引戸22の第2戸先22Aとの接触部分には、実はぎ構造50が設けられている。具体的には、第1戸先側縦框24には、複数の障壁部材51が第1戸先側縦框24の高さ方向の全部に亘って設けられている。障壁部材51は、第1戸先21Aの厚さ方向に離れて両端に設けられている。第2戸先側縦框25には、凸部53が第2戸先側縦框25の高さ方向の全部に亘って設けられている。凸部53は、第2戸先22Aの厚さ方向の中央に設けられている。引戸20が全閉時に、第2戸先22Aの凸部53が第1戸先21Aの複数の障壁部材51の間に入り込む。なお、第2引戸22は接触部材に相当する。
【0023】
第1引戸21は、第1弾性部材52を備える。第1弾性部材52は、引戸20の全閉時に第1引戸21と第2引戸22との間を塞ぐ。第1弾性部材52は、複数の障壁部材51の間に第1戸先側縦框24の高さ方向の全面に取り付けられる。第1弾性部材52は、第1戸先側縦框24の第1支持部材24Aの複数の障壁部材51の間、且つ第1支持部材24Aの第2引戸22に対向する面24Bに設けられる。第1弾性部材52は、全閉時に凸部53と接触する。第1弾性部材52は、本体部52Aと、第1延出部52Bと、第2延出部52Cと、を備える。本体部52Aは、第1支持部材24Aの面24Bに固定される。第1延出部52Bは、本体部52Aの左端から延出する。第2延出部52Cは、本体部52Aの右端から延出する。本体部52Aと第1延出部52Bと第2延出部52Cとは、第1弾性部材52の延出方向から見たときに中空、且つ第1延出部52Bの先端と第2延出部52Cとの先端が離間した半円形を構成する。
【0024】
(引戸20の戸尻側縦框26と固定壁30の中方立33との隙間構造)
次に、
図5及び
図6を参照して、引戸20の戸尻側縦框26と固定壁30の中方立33との隙間構造について説明する。
【0025】
図5及び
図6に示すように、固定壁30の中方立33と引戸20の戸尻側縦框26との隙間には、煙止め構造60が設けられている。全閉時に固定壁30の中方立33と引戸20の戸尻側縦框26とは、対向する。引戸20の煙止め構造60は、第1煙止め部材61と、第2煙止め部材62と、第2弾性部材63と、を備える。第1煙止め部材61は、引戸20の戸尻側縦框26の高さ方向の全面に設けられる。第2煙止め部材62は、固定壁30の中方立33の高さ方向の全面に設けられる。第1煙止め部材61と第2煙止め部材62とは、平面視においてL字状の部材である。第1煙止め部材61は、全閉時に中方立33と第2煙止め部材62との間に挿し込まれる。また、第2煙止め部材62は、全閉時に戸尻側縦框26と第1煙止め部材61との間に挿し込まれる。
【0026】
第2弾性部材63は、第1煙止め部材61と第2煙止め部材62との間を塞ぐ。第2弾性部材63は、第1煙止め部材61の先端が第2煙止め部材62に対向する面62Aの高さ方向の全面に取り付けられる。第2弾性部材63は、本体部63Aと、本体部63Aの一方の端部から延出する延出部63Bと、を備える。本体部63Aは、対向する面62Aに固定される。延出部63Bは、本体部63Aの一方の端部から延出する。本体部63Aと延出部63Bとは、延出方向から見たときにU字形を構成する。本体部63Aの側面には、抜け止めの襞が設けられている。
【0027】
(作用)
次に
図4及び
図6を参照して、防火戸1の作用について説明する。
防火戸1は、火災が発生すると、全閉状態を維持して、火炎及び煙が通過することを防ぐ。
【0028】
図4に示すように、引戸20が全閉状態となると、第2引戸22の凸部53は、第1引戸21の複数の障壁部材51の間に挿し込まれる。つまり、第1戸先側縦框24と第2戸先側縦框25とは、実はぎ構造50によって沿面距離が長くなっている。そして、第2引戸22の凸部53は、複数の障壁部材51の間に位置する第1弾性部材52に接触する。第1弾性部材52の第1延出部52B及び第2延出部52Cは、第2引戸22の凸部53に接触して撓む。これにより、第1引戸21と第2引戸22との隙間は、第1弾性部材52によって塞がれる。煙は、第1弾性部材52に到達するまでの時間が長くなり、第1弾性部材52によって通過することができない。
【0029】
図6に示すように、引戸20が全閉状態となると、引戸20の戸尻側縦框26は、固定壁30の中方立33と対向する。第1煙止め部材61は、中方立33との第2煙止め部材62との間に挿し込まれる。第2煙止め部材62は、戸尻側縦框26と第1煙止め部材61との間に挿し込まれる。つまり、戸尻側縦框26と中方立33との隙間は、第1煙止め部材61と第2煙止め部材62とによって沿面距離が長くなっている。そして、第1煙止め部材61は、第2煙止め部材62の対向する面62Aに位置する第2弾性部材63に接触する。第2弾性部材63の延出部63Bは、第1煙止め部材61に接触して撓む。これにより、戸尻側縦框26と中方立33との隙間は、第2弾性部材63によって塞がれる。煙は、第2弾性部材63に到達するまでの時間が長くなり、第1弾性部材52によって通過することができなくなる。
【0030】
次に、第1実施形態の効果について説明する。
(1-1)第1弾性部材52が第1戸先21Aの障壁部材51の間の全面に取り付けられる。このため、火災が起きている側から反対側に煙が第1引戸21の第1戸先21Aと第2引戸22の第2戸先22Aとの隙間を通って流れることを抑制することができる。また、第1弾性部材52が障壁部材51の間に設けられるので、第1弾性部材52が火災の熱に晒されることを抑制することができる。
【0031】
(1-2)第1弾性部材52が第1支持部材24Aの複数の障壁部材51の間、且つ第1支持部材24Aの第2引戸22に対向する面24Bに設けられる。このため、第1弾性部材52までの沿面距離を長くすることで、第1弾性部材52が火災の熱に晒されることを更に抑制することができる。
【0032】
(1-3)第1弾性部材52の本体部52Aと第1延出部52Bと第2延出部52Cとが延出方向から見たときに中空、且つ第1延出部52Bの先端と第2延出部52Cの先端とが離間した半円形を構成する。このため、第1引戸21の第1戸先21Aと接触する第2引戸22が第1弾性部材52に接触すると第1延出部52Bと第2延出部52Cとが変形することにより第1引戸21の第1戸先21Aと第2引戸22の第2戸先22Aとの間に隙間が空くのを防ぐことができる。
【0033】
(1-4)第1引戸21の障壁部材51の間に第2引戸22の第2戸先22Aの凸部53が入り込み、全閉時に第1弾性部材52が第2引戸22の凸部53と接触する。このため、火災が起きている側から反対側に煙が流れる経路を長くすることで、煙が経路を通るのに掛かる時間を長くし、第1弾性部材52によって煙の通過を抑制することができる。
【0034】
(1-5)第1煙止め部材61の先端が第2煙止め部材62に対向する面62Aの高さ方向の全面に第2弾性部材63が取り付けられる。このため、火災が起きている側から反対側に煙が第1煙止め部材61と第2煙止め部材62とを通過することを第2弾性部材63によって抑制することができる。
【0035】
(1-6)第2弾性部材63が接触面から離間する側へ延出した中空部を備える。このため、第1煙止め部材61が第2弾性部材63に接触しても中空部が変形することにより第1煙止め部材61と第2煙止め部材62との間に隙間が空くのを防ぐことができる。
【0036】
(第2実施形態)
以下、
図7及び
図8を参照して、防火戸の第2実施形態について説明する。この実施形態の防火戸は、片引きである点、及び縦枠に凸部が設けられている点が上記第1実施形態と異なっている。以下、第1実施形態との相違点を中心に説明する。
【0037】
図7及び
図8に示すように、縦枠10には、凸部54が縦枠10の高さ方向の全部に亘って設けられている。引戸20が全閉時に、縦枠10の凸部54が第1戸先21Aの複数の障壁部材51の間に入り込む。なお、縦枠10は接触部材に相当する。
【0038】
(第1引戸21の第1戸先21Aと縦枠10との隙間構造)
次に、
図7及び
図8を参照して、第1引戸21の第1戸先21Aと縦枠10の凸部54との隙間構造について説明する。
【0039】
図7及び
図8に示すように、第1引戸21の第1戸先21Aと縦枠10との接触部分には、実はぎ構造50が設けられている。具体的には、第1戸先側縦框24には、複数の障壁部材51が第1戸先側縦框24の高さ方向の全部に亘って設けられている。障壁部材51は、第1戸先21Aの厚さ方向に離れて両端に設けられている。
【0040】
第1引戸21は、第1弾性部材52を備える。第1弾性部材52は、引戸20の全閉時に第1引戸21と縦枠10との間を塞ぐ。第1弾性部材52は、複数の障壁部材51の間に第1戸先側縦框24の高さ方向の全面に取り付けられる。第1弾性部材52は、第1戸先側縦框24の第1支持部材24Aの複数の障壁部材51の間、且つ第1支持部材24Aの縦枠10に対向する面24Bに設けられる。第1弾性部材52は、全閉時に凸部54と接触する。
【0041】
(作用)
次に
図8を参照して、防火戸1の作用について説明する。
防火戸1は、火災が発生すると、全閉状態を維持して、火炎及び煙が通過することを防ぐ。
【0042】
図8に示すように、引戸20が全閉状態となると、縦枠10の凸部54は、第1引戸21の複数の障壁部材51の間に挿し込まれる。つまり、第1戸先側縦框24と縦枠10とは、実はぎ構造50によって沿面距離が長くなっている。そして、縦枠10の凸部54は、複数の障壁部材51の間に位置する第1弾性部材52に接触する。第1弾性部材52の第1延出部52B及び第2延出部52Cは、縦枠10の凸部54に接触して撓む。これにより、第1引戸21と縦枠10との隙間は、第1弾性部材52によって塞がれる。煙は、第1弾性部材52に到達するまでの時間が長くなり、第1弾性部材52によって通過することができなくなる。
【0043】
次に、第2実施形態の効果について説明する。なお、第1実施形態の(1-1)~(1-3)、(1-5)、(1-6)の効果に加え、以下の効果を奏する。
(2-1)第1引戸21の第1戸先21Aの障壁部材51の間に縦枠10の凸部54が入り込み、全閉時に第1弾性部材52が縦枠10の凸部54と接触する。このため、火災が起きている側から反対側に煙が流れる経路を長くすることで、煙が経路を通るのに掛かる時間を長くし、第1弾性部材52によって煙の通過を抑制することができる。
【0044】
(第3実施形態)
以下、
図9及び
図10を参照して、防火戸の第3実施形態について説明する。この実施形態の防火戸は、片引きである点、及び縦枠に凹部が設けられている点が上記第1実施形態と異なっている。以下、第1実施形態との相違点を中心に説明する。
【0045】
図9及び
図10に示すように、第1引戸21は、第3弾性部材55を備える。縦枠10には、凹部56が縦枠10の高さ方向の全部に亘って設けられている。引戸20が全閉時に、第1戸先21Aが縦枠10の凹部56に入り込む。第3弾性部材55は、第1戸先21Aの複数の障壁部材51の間に取り付けられる。第3弾性部材55は、第1戸先21Aの高さ方向の全面に取り付けられる。第3弾性部材55は、本体部55Aと、第1延出部55Bと、第2延出部55Cと、を備える。本体部55Aは、第1戸先側縦框24の面24Bに固定され、中空形状である。第1延出部55Bは、本体部55Aの左端から延出する。第2延出部55Cは、本体部55Aの右端から延出する。本体部55Aと第1延出部55Bと第2延出部55Cとは、第3弾性部材55の延出方向から見たときに中空、且つ第1延出部55Bの先端と第2延出部55Cとの先端が離間した半円形を構成する。なお、縦枠10は接触部材に相当する。
【0046】
(第1引戸21の第1戸先21Aと縦枠10との隙間構造)
図9及び
図10に示すように、第3弾性部材55は、引戸20の全閉時に第1引戸21と縦枠10との間を塞ぐ。第3弾性部材55は、全閉時に縦枠10の凹部56の底面と接触する。
【0047】
(作用)
次に
図10を参照して、防火戸1の作用について説明する。
防火戸1は、火災が発生すると、全閉状態を維持して、火炎及び煙が通過することを防ぐ。
【0048】
図10に示すように、引戸20が全閉状態となると、第1引戸21は、縦枠10の凹部56に挿し込まれる。そして、第1戸先側縦框24の複数の障壁部材51の間に設けられる。第3弾性部材55は、縦枠10の凹部56の底面に接触する。第3弾性部材55の第1延出部55B及び第2延出部55Cは、縦枠10の凹部56の底面に接触して撓む。これにより、第1引戸21と縦枠10との隙間は、第3弾性部材55によって塞がれる。煙は、第3弾性部材55に到達するまでの時間が長くなり、第3弾性部材55によって通過することができなくなる。
【0049】
次に、第3実施形態の効果について説明する。なお、第1実施形態の(1-1)~(1-3)、(1-5)、(1-6)の効果に加え、以下の効果を奏する。
(3-1)第1引戸21の第1戸先21Aが縦枠10の凹部56に入り込み、全閉時に第3弾性部材55が縦枠10の凹部56の底面と接触する。このため、火災が起きている側から反対側に煙が流れる経路を長くすることで、煙が経路を通るのに掛かる時間を長くし、第3弾性部材55によって煙の通過を抑制することができる。
【0050】
(他の実施形態)
上記各実施形態は、以下のように変更して実施することができる。上記各実施形態及び以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
【0051】
・上記各実施形態では、第2弾性部材63の形状をU字形としたが、他の形状としてもよい。例えば、
図11及び
図12に示すように、中空状の弾性部材64を備えてもよい。このようにすれば、第1煙止め部材61が弾性部材64に接触すると、第1煙止め部材61が弾性部材64に食い込み、第1煙止め部材61と弾性部材64との隙間を塞ぐことができる。
【0052】
・上記各実施形態において、第1弾性部材52、第2弾性部材63、及び第3弾性部材55の延出部の先端を結合する結合部を設けてもよい。
図13に示すように、第1弾性部材52の第1延出部52Bの先端と第2延出部52Cの先端との間に結合部52Dを設ける。第1延出部52Bと結合部52Dとの結合部分は薄く、結合部52Dを引っ張ることで結合部分が割ける。同じく、第2延出部52Cと結合部52Dとの結合部分は薄く、結合部52Dを引っ張ることで結合部分が割ける。このため、第1弾性部材52を使用するまで第1延出部52B及び第2延出部52Cが変形することを防ぐことができる。
図14に示すように、第3弾性部材55の第1延出部55Bの先端と第2延出部55Cの先端との間に結合部55Dを設ける。第1延出部55Bと結合部55Dとの結合部分は薄く、結合部55Dを引っ張ることで結合部分が割ける。同じく、第2延出部55Cと結合部55Dとの結合部分は薄く、結合部55Dを引っ張ることで結合部分が割ける。このため、第3弾性部材55を使用するまで第1延出部52B及び第2延出部52Cが変形することを防ぐことができる。
図15に示すように、第2弾性部材63の延出部63Bの先端と本体部63Aとの間に結合部63Cを設ける。延出部63Bと結合部63Cとの結合部分は薄く、結合部63Cを引っ張ることで結合部分が割ける。同じく、本体部63Aと結合部63Cとの結合部分は薄く、結合部63Cを引っ張ることで結合部分が割ける。このため、第2弾性部材63を使用するまで延出部63Bが変形することを防ぐことができる。
【0053】
・上記各実施形態では、第2弾性部材63を第1煙止め部材61の先端が第2煙止め部材62の対向する面62Aの高さ方向の全面に取り付けた。しかしながら、第2弾性部材63を第2煙止め部材62の先端が第1煙止め部材61の対向する面の高さ方向の全面に取り付けてもよい。
【0054】
・上記各実施形態では、第2弾性部材63を固定壁30の中方立33と引戸20の戸尻側縦框26との間の煙止め構造60に設けた。しかしながら、第2弾性部材63を省略してもよい。
【0055】
・上記各実施形態では、第1弾性部材52を本体部52Aと、第1延出部52Bと、第2延出部52Cと、を備え、中空且つ半円形とした。しかしながら、本体部と一方の延出部のみとを備える弾性部材や他の形状の弾性部材としてもよい。
【0056】
・上記各実施形態では、第1弾性部材52を複数の障壁部材51の間、且つ第1支持部材24Aの第2戸先22Aに対向する面24Bに設けた。しかしながら、第1支持部材24Aの面24B以外に設けてもよい。
【0057】
・上記各実施形態において、複数の物体で構成されているものは、当該複数の物体を一体化してもよく、逆に一つの物体で構成されているものを複数の物体に分けることができる。一体化されているか否かにかかわらず、発明の目的を達成することができるように構成されていればよい。
【符号の説明】
【0058】
1…防火戸
5…開口
10…接触部材としての縦枠
20…引戸
20A…戸先
21…第1引戸右側
21A…第1戸先
22…第2引戸左側
22A…第2戸先
23…ガラス板
24…第1戸先側縦框
24A…第1支持部材
24B…面
25…第2戸先側縦框
25A…第2支持部材
26…戸尻側縦框
27…上框
28…下框
30…固定壁
31…第1固定壁
32…第2固定壁
33…中方立
34…巾木
35…ガラス板
40…ケース
41…駆動部
42…制御部
43…第1ドアハンガ
44…第2ドアハンガ
50…実はぎ構造
51…障壁部材
52…第1弾性部材
52A…本体部
52B…第1延出部
52C…第2延出部
53…凸部
54…凸部
55…第3弾性部材
55A…本体部
55B…第1延出部
55C…第2延出部
56…凹部
60…煙止め構造
61…第1煙止め部材
62…第2煙止め部材
62A…面
63…第2弾性部材
63A…本体部
63B…延出部
64…弾性部材