(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024114565
(43)【公開日】2024-08-23
(54)【発明の名称】交通の汎用ヘッドライト
(51)【国際特許分類】
F21S 41/20 20180101AFI20240816BHJP
F21W 102/00 20180101ALN20240816BHJP
【FI】
F21S41/20
F21W102:00
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023076418
(22)【出願日】2023-05-06
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2024-05-30
(31)【優先権主張番号】202310093865.6
(32)【優先日】2023-02-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(71)【出願人】
【識別番号】523167448
【氏名又は名称】上海久科通用配件有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】100216471
【弁理士】
【氏名又は名称】瀬戸 麻希
(72)【発明者】
【氏名】鄭栄修
(72)【発明者】
【氏名】黄大沢
(57)【要約】 (修正有)
【課題】体積が小さく、異なる車両照明の汎用性を実現し、照明距離が大きく、照明強度が高く、エネルギー消費が低い車用ランプを提供する。
【解決手段】LEDと、LEDの前方に位置する自由曲面収束システムと、自由曲面収束システムの前方に位置する仕切り板と、仕切り板の前方に位置する自由曲面外レンズと、を含み、自由曲面収束システムはコリメーターと自由曲面を含み、コリメーターは全ての光線を光学軸線に沿って遠方へ平行に出射し、出光口の自由曲面を利用して法規要求を満たす光の形態を設計する。本設計のヘッドライトの構造は、主にコリメーター+自由曲面+自由曲面外レンズで構成される。コリメーターは全ての光線を光学軸線に沿って遠方へ平行に出射し、出光口の自由曲面を利用して法規要求を満たす光の形態を設計する。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
交通の汎用ヘッドライトであって、LEDと、LEDの前方に位置する自由曲面収束シス
テム(40)と、自由曲面収束システムの前方に位置する仕切り板(30)と、仕切り板
の前方に位置する自由曲面外レンズ(10)と、を含み、自由曲面収束システムはコリメ
ーターと自由曲面を含み、コリメーターは全ての光線を光学軸線に沿って遠方へ平行に出
射し、出光口の自由曲面を利用して法規要求を満たす光の形態を設計する、ことを特徴と
する交通の汎用ヘッドライト。
【請求項2】
LEDはLEDチップ板(50)に取り付けられ、LEDチップ板は放熱器(60)に取
り付けられ、放熱器には装飾枠(20)が取り付けられ、自由曲面外レンズ(10)と、
仕切り板(30)と、自由曲面収束システム(40)は、装飾枠の内部に位置する、こと
を特徴とする請求項1に記載の交通の汎用ヘッドライト。
【請求項3】
仕切り板(30)は仕切り板載置フレーム(31)に取り付けられ、仕切り板載置フレー
ムは放熱器(60)に取り付けられる、ことを特徴とする請求項2に記載の交通の汎用ヘ
ッドライト。
【請求項4】
自由曲面外レンズ(10)の材料はシリコーンゴムである、ことを特徴とする請求項1に
記載の交通の汎用ヘッドライト。
【請求項5】
自由曲面外レンズ(10)は非球面構造であり、面形状の方程式は、
ここで、cは曲率であり、kは円錐係数であり、C1、C2、C3…C20は非球面係数
であり、xは非球面の回転対称軸であり、zは入射光の非球面における入射高さを示す、
ことを特徴とする請求項1に記載の交通の汎用ヘッドライト。
【請求項6】
LEDスポット光源に基づいて1つの車用ランプLEDに用いられるコリメーターを設計
して初期の構造とし、面光源をいくつかのスポット光源と離散させ、各スポット光源は1
つの車用ランプLEDに用いられるコリメーター輪郭を設計し、コリメーター輪郭に重み
係数がそれぞれ乗算され、これらの重み付け後の輪郭を重ね合わせた後、この重ね合わせ
た輪郭に対する最適化を行い、最適化された変数はこれらの重み係数であり、粒子群最適
化アルゴリズムを使用して最適重み比を求める、ことを特徴とする請求項1に記載の交通
の汎用ヘッドライト。
【請求項7】
コリメーター出光口に設計される自由曲面は、検査パッドに必要な強度に基づいて自由曲
面の面形状を設計することで、異なる検査パッドに必要な強度値を満たす、ことを特徴と
する請求項6に記載の交通の汎用ヘッドライト。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、照明技術に関し、具体的には、交通機関用のヘッドライトに関する。
【背景技術】
【0002】
交通機関のヘッドライトの発展は、白熱ランプ、ハロゲンランプ、キセノンガスヘッドラ
イト、LED、レーザーの発展過程を経ており、ここで、LEDは現在最も一般的に用い
られる交通車両用ランプの光源であり、LEDは近年現れた新型車用ランプ光源であり、
白熱ランプ、ハロゲンランプ、車用ランプに比べて、LED車用ランプは、照射距離が遠
く、電力要求が低く、輝度が大きいという優位性を有する。LEDを自動車車用ランプ、
オートバイランプ、電気モータ自動車ランプ照明のニーズに適用させ、及び、自動車車用
ランプ、オートバイランプ、電気モータ自動車ランプは対応する法規要求を満たすために
、異なる車輪のLED車用ランプに対する適応設計を行う必要がある。
【発明の概要】
【0003】
本発明が解決しようとする技術的課題は、如何にしてLED車用ランプの適応設計を簡略
化させることによって、複数種の交通照明のニーズを満たし、車用ランプは対応する法規
要求を満たすことである。
上記技術課題を解決するために、本発明は、以下の技術的解決手段を提供する。交通の汎
用ヘッドライトであって、LEDと、LEDの前方に位置する自由曲面収束システムと、
自由曲面収束システムの前方に位置する仕切り板と、仕切り板の前方に位置する自由曲面
外レンズと、を含み、自由曲面収束システムはコリメーターと自由曲面を含み、コリメー
ターは全ての光線を光学軸線に沿って遠方へ平行に出射し、出光口の自由曲面を利用して
法規要求を満たす光の形態を設計する。
本設計のヘッドライトの構造は、主にコリメーター+自由曲面+自由曲面外レンズで構成
される。コリメーターは全ての光線を光学軸線に沿って遠方へ平行に出射し、出光口の自
由曲面を利用して法規要求を満たす光の形態を設計する。用いた光源はLEDである。L
EDから射出された光は、コリメーターにより平行な光が形成され、更に自由曲面外レン
ズにより散乱や偏向されることにより、対応する法規の要求を満たし、路面を照明するの
みならず、また防眩の役割を果たすことができる。
本設計の自由曲面集光システムにおいて、全ては自由曲面で設計と最適化を行い、当該シ
ステムは2つの部分に分けられ、1つは全反射部分であり、もう1つは屈折部分である。
当該システムは光の分布を制御することができる。異なる車両の法規ニーズを分析するこ
とによって、光に対する光調整を行い、全体の体積を更に小さくすることができ、自由曲
面で設計を行うことで、その集光システム全体の集光効率がより高く、体積がより小さく
、一般的な集光システムに比べると、より良くなる。自由曲面集光システムの設計を行う
時、自由曲面集光システムの設計は、直接計算と最適化アルゴリズムと組み合わせる方式
を採用し、まず、光源をスポット光源に近似し、集光システムの表面を平面に近似し、メ
ッシュマッピング法及び反復アルゴリズムを利用して屈折及び全反射表面を求めることに
よって、集光システムの初期の面形状を取得する。その後、車用ランプの構造に基づいて
光学モデルを確立し、光源を面光源として設置し、同時に集光システムの屈折及び全反射
表面を最適化し、最後の集光システムの面形状を取得する。
本発明は、自由曲面設計を用いて光線を整形し、一般的なレンズに比べて、同じ整形効果
を保持するという前提で、使用するレンズの数とレンズの厚さを減少させる。複数のLE
Dダイオードを光源として採用することにより、車用ランプの輝度を大幅に増加させ、異
なるチップを交換することとその電力を調整することによって、異なる車両の照明ニーズ
を満たす。
本発明の技術的解決手段によれば、車用ランプは、汎用性が高く、体積が更に小さくなり
、異なる車両照明の汎用性を実現し、照明距離が大きく、照明強度が高く、エネルギー消
費が低いという特徴を有する。
自由曲面外レンズは多項式非球面であり、面形状の方程式は、
ここで、cは曲率であり、kは円錐係数であり、C1、C2、C3…C20は非球面係数
であり、xは非球面の回転対称軸であり、zは入射光の非球面における入射高さを示す。
本設計の仕切り板は単一な仕切り板ではなく、それは複数種の交通車両の仕切り板の組み
合わせを含み、例えば、自動車の場合は45度又は15度の角度の仕切り板であり、オー
トバイに用いられる場合は角度をつけない平面仕切り板であり、電気モータ自動車の照明
に用いられる場合も平面仕切り板を使用し、自転車の照明の場合は平面仕切り板を使用し
てもよい。仕切り板を交換する時、チップの電力及び対応するチップの数をそれと共に調
整する必要があるが、内レンズに対しては再び設計を行う必要はない。仕切り板及びチッ
プを交換することにより、異なる車両の照明ニーズ、例えば、電気モータ自動車、オート
バイ及び自動車の照明ニーズを満たすことができる。自由曲面収束システムを設計する時
、既に異なるチップの数及び電力による照明の変化を考慮しており、このような変化を利
用して異なる車両の照明ニーズを満たすことができる。
【図面の簡単な説明】
【0004】
以下、図面に合わせて本発明を詳細に説明する。
【
図1】新たに配光するLED自動車とオートバイなどの交通の汎用ヘッドライトを示す図である。
【
図4】新たに配光するLED自動車とオートバイなどの交通の汎用ヘッドライトの2次元構成図である。
【
図5】
図4における自由曲面収束システムを示す図である。
【
図6】自由曲面収束システム計算過程の概略図である。
【0005】
[符号の説明]
10、自由曲面外レンズ;
20、装飾枠;
30、仕切り板;31、仕切り板載置フレーム;
40、自由曲面収束システム;
50、LEDチップ板;
60、放熱器。
【発明を実施するための形態】
【0006】
図1から
図4に示すように、新たに配光するLED自動車とオートバイなどの交通の汎用
ヘッドライトを設計し、LEDと、自由曲面収束システム40と、異った種類の仕切り板
30と、自由曲面外レンズ10を含む。LEDはLEDチップ板50に取り付けられ、L
EDチップ板は放熱器60に取り付けられ、放熱器には装飾枠20が取り付けられ、自由
曲面外レンズ10と、仕切り板30と、自由曲面収束システム40は、装飾枠20の内部
に位置する。ここで、仕切り板30は仕切り板載置フレーム31に取り付けられ、仕切り
板載置フレームは放熱器60に取り付けられる。
自由曲面収束システム40のコアは、集光器の入光端を周方向において異なる領域に分割
し、分割領域によって単独に設計することにより、異なる交通車両の照明ニーズを同時に
満たすことができ、又は、特殊な車両の集光器周方向の異なる位置に対する特殊な照明効
果のニーズを満たすこともできる。
【0007】
図5に示すように、自由曲面収束システム40は小角度入射受光面を複数の屈折面に分割
することによって、これらの屈折面は少なくとも2種類の焦点距離の規格を有し、これら
の屈折面の設計光軸方向に沿う正射影は、1つ1つの円心が同じである扇形であり、全て
の扇形の円心角の和は360度であり、隣接する2つの前記屈折面は境界部において階段
構造を形成し、前記設計光軸を通る平面を境界面とする。当該方法は、入光端の小角度入
射受光面を、設計光軸を中心として、周方向において扇形領域に分割することにより、集
光器は周方向において異なる領域で異なる光線収集効率、光線利用率及び照明効果を有す
ることができ、また、構造上は比較的簡単で、光分布を迅速に調整することができ、よっ
て異なる車両の照明ニーズを満たす。
その後、更に入光端の全反射面を複数の全反射領域に分割し、これらの全反射領域はいず
れも回転軸線が設計光軸と重なる回転曲面セグメントであるが、これらの全反射領域を形
成する平面曲線は少なくとも異なる2本を有し、全ての全反射領域の設計光軸方向に沿う
正射影は、1つ1つの円心が同じである環状扇形であり、全ての環状扇形に対応する円心
角の和は360度であり、隣接する2つの前記全反射領域は境界部において階段構造を形
成し、境界面は前記設計光軸を通る平面である。
前記全反射領域を直径方向において屈折面にに一対一に対応させることが好ましく、対応
する前記全反射領域と屈折面は、これらのそれぞれ対応する円心角が重ねている。
自由曲面収束システム40の設計に対して光分布を調整した後、自由曲面外レンズ10を
通って光分布の射影を行う。対応する計算によって、異なる法規ニーズ及び照度ニーズを
満たすことができる。
異なる交通機関では、その車用ランプの交通照明ニーズ及び法規は異なっている。汎用型
の車用ランプの設計を実現するためには、主に、自由曲面収束システム40と、仕切り板
30の変化と、LEDのチップの数を制御して実現する。
構造設計において、自由曲面収束システム40はコリメーターと自由曲面を含む。
従来の車用ランプLEDコリメーターは効率的に動作することが実現しにくいという欠陥
を解決するために、まずコリメーターレンズの最適化方法を設計する。拡張LED光源の
車用ランプLEDコリメーターの光学設計に基づく。LEDスポット光源に基づいて1つ
の車用ランプLEDに用いられるコリメーターを設計して初期の構造とする。面光源をい
くつかのスポット光源と離散させ、各スポット光源は1つの車用ランプLEDに用いられ
るコリメーター輪郭を設計し、コリメーター輪郭に重み係数がそれぞれ乗算され、これら
の重み付け後の輪郭を重ね合わせた後、この重ね合わせた輪郭に対する最適化を行い、最
適化された変数はこれらの重み係数であり、粒子群最適化アルゴリズムを使用して最適重
み比を求め、システムの効率の向上を実現し、シミュレーション検証によれば、効率は2
0%~30%向上することができる。最適化されたコリメーターの動作原理は全反射であ
る。光を透過させる過程に、一部の光は全反射原理により光伝送されている。コリメータ
ーは回転軸を回って対称であるため、私たちはコリメーターの上半分のみを分析し、
図5
に示すように、分割線MNは点Oから射出された光を2つの部分に分ける。光は内孔内壁
のac部分によって内部まで屈折される時、コリメーターの外部輪郭曲線abに到着する
光はその内部構造によって全反射されて平行に射出され、内孔中心cdから内部までの屈
折は、非球面レンズのダブル自由曲面レンズに基づく自動車ヘッドライトの光学系を利用
して撮像原理を設計することによって光線を平行に射出させる。最後、この2つの部分的
光線はコリメーターの光射出面において平行に射出され、いずれもコリメートされた光線
である。
前のステップで最適化されたコリメーターを利用して設計を行う。コリメーター出光口は
自由曲面である。コリメーターの外の自由曲面は光の形態の割り当てに用いられる。バス
に必要な路面照度及び25mの検査パッド強度値に基づいて自由曲面のデータ設計を行い
、コリメーター出光口に設計される自由曲面は、検査パッドに必要な1つの強度に基づき
、自由曲面の面形状が設計され、面形状の1つの変化を制御することによって、異なるニ
ーズの強度値を満たすことに達する。自由曲面のあらゆる変化に基づき、異なる強度ニー
ズを満たすことができ、強度値の上昇や低下及び幅ニーズの設計を実現することができ、
よって、実際照明過程に、小型化、高効率化を満たすと共に、法規の検証を満たす。
設計時に、異なる法規の間の共通点及び類似点を考慮する上で、光分布を調整することで
異なるニーズを満たす必要があり、例えば、自動車の道路照明ニーズを満たす時、各法規
ポイントの強度値を考慮する必要がある。例えば、75R、50Rなどの法規ポイントに
ついて、当該モジュールでオートバイの照明ニーズを満たす場合、対応する仕切り板30
とチップの数を変化することで、オートバイの照明ニーズを満たすことができる。自由曲
面収束システム40を設計する時、既に異なるチップの数及び電力による照明の変化を考
慮しており、このような変化を利用して異なる照明ニーズを満たすことができる。
上記内容は、本発明の好ましい実施形態に過ぎず、当業者にとって、本発明の思想に従い
、実施形態及び応用範囲において、いずれも変化があり、本明細書の内容は、本発明を限
定するもと解されるべきではない。
【手続補正書】
【提出日】2024-01-18
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
交通の汎用ヘッドライトであって、
LEDと、LEDの前方に位置する自由曲面収束システム(40)と、自由曲面収束シス
テムの前方に位置する仕切り板(30)と、仕切り板の前方に位置する自由曲面外レンズ
(10)と、を含み、
自由曲面収束システムはコリメーターと自由曲面を含み、
コリメーターは全ての光線を光学軸線に沿って遠方へ平行に出射し、出光口の自由曲面を
利用して法規要求を満たす光の形態
に設計され
、
LEDはLEDチップ板(50)に取り付けられ、LEDチップ板は放熱器(60)に取
り付けられ、放熱器には装飾枠(20)が取り付けられ、
自由曲面外レンズ(10)と、仕切り板(30)と、自由曲面収束システム(40)は、
装飾枠の内部に位置し、
仕切り板(30)は仕切り板載置フレーム(31)に取り付けられ、仕切り板載置フレー
ムは放熱器(60)に取り付けられ、
自由曲面外レンズ(10)の材料はシリコーンゴムであり、
自由曲面外レンズ(10)は非球面構造であり、面形状の方程式は、
ここで、cは曲率であり、kは円錐係数であり、C1、C2、C3…C20は非球面係数
であり、xは非球面の回転対称軸であり、zは入射光の非球面における入射高さを示し、
自由曲面収束システム(40)は小角度入射受光面を複数の屈折面に分割され、複数の屈
折面は少なくとも2種類の焦点距離の規格を有し、複数の屈折面の設計光軸方向に沿う正
射影は、1つ1つの円心が同じである扇形であり、全ての扇形の円心角の和は360度で
あり、前記設計光軸を通る平面を境界面として、隣接する2つの前記屈折面は境界部にお
いて階段構造を形成する、
ことを特徴とする交通の汎用ヘッドライト。