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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024114566
(43)【公開日】2024-08-23
(54)【発明の名称】表示装置
(51)【国際特許分類】
   G02F 1/1335 20060101AFI20240816BHJP
   G09F 9/30 20060101ALI20240816BHJP
   G02F 1/1343 20060101ALI20240816BHJP
   G02F 1/1368 20060101ALI20240816BHJP
【FI】
G02F1/1335 500
G09F9/30 339Z
G09F9/30 349B
G09F9/30 349C
G02F1/1335 505
G02F1/1343
G02F1/1368
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023088758
(22)【出願日】2023-05-30
(31)【優先権主張番号】P 2023018989
(32)【優先日】2023-02-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】520487808
【氏名又は名称】シャープディスプレイテクノロジー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001036
【氏名又は名称】弁理士法人暁合同特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】松田 登
(72)【発明者】
【氏名】東田 晋平
【テーマコード(参考)】
2H092
2H192
2H291
5C094
【Fターム(参考)】
2H092GA13
2H092GA14
2H092HA04
2H092JA25
2H092JA26
2H092JB13
2H092JB53
2H092JB54
2H092JB58
2H092KA08
2H092NA01
2H092QA06
2H092RA10
2H192AA24
2H192BB12
2H192BB13
2H192BB53
2H192BB66
2H192BB73
2H192BC34
2H192BC42
2H192CB02
2H192CB08
2H192CB37
2H192CC55
2H192EA04
2H192EA15
2H192EA17
2H192EA25
2H192EA42
2H192EA56
2H192EA67
2H192JA33
2H291FA05Y
2H291FA13Y
2H291FA16Y
2H291FA22X
2H291FA22Z
2H291FD20
2H291FD26
2H291GA05
2H291GA19
2H291HA15
2H291LA03
2H291LA21
2H291MA02
5C094AA07
5C094BA03
5C094BA43
5C094CA19
5C094DA13
5C094EA04
5C094ED03
5C094ED15
5C094FA03
5C094HA08
5C094JA09
(57)【要約】
【課題】輝度低下を抑制する。
【解決手段】表示装置11は、第1カラーフィルタ29Gと、第2カラーフィルタ29Bと、第1画素電極28Aと、第2画素電極28Bと、共通電極30と、絶縁膜38と、遮光部43Aと、を備え、絶縁膜38の上層側に位置する上層電極30のうち、絶縁膜38の下層側に位置する下層電極28と重畳する部分には、第1カラーフィルタ29Gと第2カラーフィルタ29Bとの並び方向である第1方向に対して傾く第2方向に沿って延在するスリット30Aが設けられ、遮光部43Aの端部44には、第1方向に対して第2方向と同じ側に傾く第3方向に沿って延在する傾斜部45が含まれ、傾斜部45は、第1方向に対して第3方向がなす角度である第2角度θ2が、第1方向に対して第2方向がなす角度である第1角度θ1よりも大きい。
【選択図】図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1カラーフィルタと、
前記第1カラーフィルタと同層で並んで配されて前記第1カラーフィルタとは異なる色を呈する第2カラーフィルタと、
前記第1カラーフィルタよりも上層側に配されて前記第1カラーフィルタと重畳して配される第1画素電極と、
前記第2カラーフィルタよりも上層側に配されて前記第2カラーフィルタと重畳して配される第2画素電極と、
前記第1画素電極及び前記第2画素電極よりも上層側または下層側に配されて前記第1画素電極及び前記第2画素電極と重畳する共通電極と、
前記第1画素電極及び前記第2画素電極と前記共通電極との間に介在する絶縁膜と、
前記第1カラーフィルタ及び前記第2カラーフィルタよりも上層側にて、前記第1カラーフィルタと前記第2カラーフィルタとの境界に配される遮光部と、を備え、
前記第1画素電極及び前記第2画素電極と前記共通電極とのうちの前記絶縁膜の上層側に位置する電極が上層電極とされ、前記絶縁膜の下層側に位置する電極が下層電極とされ、
前記第1カラーフィルタと前記第2カラーフィルタとの並び方向が第1方向とされ、
前記上層電極のうち、前記下層電極と重畳する部分には、前記第1方向に対して傾く第2方向に沿って延在するスリットが設けられ、
前記遮光部の外周端部のうち、前記第1方向について前記スリットと隣り合う関係となる端部には、前記第1方向に対して前記第2方向と同じ側に傾く第3方向に沿って延在する傾斜部が含まれ、
前記傾斜部は、前記第1方向に対して前記第3方向がなす角度である第2角度が、前記第1方向に対して前記第2方向がなす角度である第1角度よりも大きい表示装置。
【請求項2】
前記傾斜部は、前記上層電極のうちの前記スリットの縁部と平面視において交差して配される請求項1記載の表示装置。
【請求項3】
前記遮光部の前記端部には、前記第1方向に対して前記第2角度よりも大きい第3角度をなす第3角度部が含まれ、
前記傾斜部は、前記第3角度部との境界が、前記上層電極と前記遮光部とが前記第1方向について想定される最大限に位置ずれした場合に前記スリットの縁部と前記端部とが交わる交点と一致するよう設けられる請求項1または請求項2記載の表示装置。
【請求項4】
前記遮光部の前記端部には、前記第1方向に対して前記第2角度よりも大きい第3角度をなす第3角度部が含まれ、
前記傾斜部は、前記第3角度部との境界が、前記上層電極と前記遮光部とが前記第1方向について想定される最大限に位置ずれした場合に前記スリット内に位置するよう設けられる請求項1または請求項2記載の表示装置。
【請求項5】
前記傾斜部は、前記上層電極と前記遮光部とが前記第1方向について想定される最大限に位置ずれした場合に前記スリットの縁部と前記端部とが交わる交点と前記境界との間の距離が、前記端部における長さ方向についての中央位置と前記交点との間の距離よりも大きい請求項4記載の表示装置。
【請求項6】
前記傾斜部は、前記第2角度が、上限値を87°とし、下限値を前記第1角度よりも3°大きい角度とした範囲で設けられる請求項1または請求項2記載の表示装置。
【請求項7】
前記スリットには、前記第1カラーフィルタと重畳する第1スリットと、前記第2カラーフィルタと重畳する第2スリットと、が含まれ、
前記遮光部の前記外周端部には、前記第1方向について前記第1スリットと隣り合う関係となる第1端部と、前記第1方向について前記第2スリットと隣り合う関係となる第2端部と、が含まれ、
前記傾斜部には、前記第1端部に含まれる第1傾斜部と、前記第2端部に含まれる第2傾斜部と、が含まれる請求項1または請求項2記載の表示装置。
【請求項8】
前記遮光部は、前記上層電極の上層側に配される請求項1または請求項2記載の表示装置。
【請求項9】
前記上層電極は、前記共通電極とされており、
前記遮光部は、前記共通電極に対して直接積層される請求項8記載の表示装置。
【請求項10】
前記第1カラーフィルタ及び前記第2カラーフィルタよりも下層側にて、前記第1カラーフィルタと前記第2カラーフィルタとの境界に配される配線を備え、
前記第1カラーフィルタ、前記第2カラーフィルタ及び前記配線は、それぞれ前記第1方向に対して前記第2方向と同じ側に傾く第5方向に沿って延在する請求項1または請求項2記載の表示装置。
【請求項11】
前記スリットは、前記第1角度が、前記第1方向に対して前記第5方向がなす角度である第4角度よりも小さい請求項10記載の表示装置。
【請求項12】
前記遮光部の前記端部には、前記第1方向に対して前記第2角度よりも大きい第3角度をなす第3角度部が含まれ、
前記第1カラーフィルタ、前記第2カラーフィルタ及び前記配線は、前記第1方向に対して前記第5方向がなす角度である第4角度が、前記第3角度と等しい請求項10記載の表示装置。
【請求項13】
前記第1カラーフィルタ、前記第2カラーフィルタ及び前記配線は、前記第1方向に対して前記第5方向がなす角度である第4角度が、前記第2角度と等しい請求項10記載の表示装置。
【請求項14】
前記遮光部は、前記傾斜部を有する部分における前記第1方向についての寸法が、前記配線における前記第1方向についての寸法よりも大きい請求項10記載の表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書が開示する技術は、表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、表示装置の一例として下記特許文献1に記載された液晶表示装置が知られている。特許文献1に記載の液晶表示装置は、第1基板と、上記第1基板に対向する第2基板と、上記第1基板及び上記第2基板の間に封入された液晶層と、を備える。さらに、上記第1基板は、走査線及び信号線と、上記走査線及び上記信号線と電気的に接続されたスイッチング素子と、第1電極と、カラーフィルタ層と、上記信号線に沿って上記第1電極に接触した共通配線と、上記共通配線上に位置する反射抑制層と、上記反射抑制層及び上記第1電極を覆う絶縁層と、少なくとも上記絶縁層及び上記カラーフィルタ層に形成された開口部により形成されるコンタクトホールを通じて上記スイッチング素子と電気的に接続された第2電極と、上記コンタクトホールを囲う凸部を形成する流入防止層と、上記絶縁層、上記第2電極、及び上記流入防止層を覆う配向膜と、を備える。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第6603577号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記した特許文献1に記載の液晶表示装置を製造する際には、第2電極と共通配線及び反射抑制層とが第1方向について左右のいずれかに位置ずれするおそれがある。このような位置ずれが生じると、第2電極を構成する2本の帯状電極の間のスリット内に共通配線及び反射抑制層の一部が入る関係となり得る。ここで、帯状電極は、共通配線及び反射抑制層と平行であるため、上記のような位置ずれが生じると、スリットの全長にわたって共通配線及び反射抑制層の一部が入る関係となる。共通配線及び反射抑制層は、第1電極と同電位であるため、上記のようにスリットの全長にわたって共通配線及び反射抑制層の一部が入ると、液晶層に印加される電界に歪み等が生じるおそれがある。そのため、輝度低下が生じ、結果として暗線が視認されるおそれがある。
【0005】
本明細書に記載の技術は、上記のような事情に基づいて完成されたものであって、輝度低下を抑制することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(1)本明細書に記載の技術に関わる表示装置は、第1カラーフィルタと、前記第1カラーフィルタと同層で並んで配されて前記第1カラーフィルタとは異なる色を呈する第2カラーフィルタと、前記第1カラーフィルタよりも上層側に配されて前記第1カラーフィルタと重畳して配される第1画素電極と、前記第2カラーフィルタよりも上層側に配されて前記第2カラーフィルタと重畳して配される第2画素電極と、前記第1画素電極及び前記第2画素電極よりも上層側または下層側に配されて前記第1画素電極及び前記第2画素電極と重畳する共通電極と、前記第1画素電極及び前記第2画素電極と前記共通電極との間に介在する絶縁膜と、前記第1カラーフィルタ及び前記第2カラーフィルタよりも上層側にて、前記第1カラーフィルタと前記第2カラーフィルタとの境界に配される遮光部と、を備え、前記第1画素電極及び前記第2画素電極と前記共通電極とのうちの前記絶縁膜の上層側に位置する電極が上層電極とされ、前記絶縁膜の下層側に位置する電極が下層電極とされ、前記第1カラーフィルタと前記第2カラーフィルタとの並び方向が第1方向とされ、前記上層電極のうち、前記下層電極と重畳する部分には、前記第1方向に対して傾く第2方向に沿って延在するスリットが設けられ、前記遮光部の外周端部のうち、前記第1方向について前記スリットと隣り合う関係となる端部には、前記第1方向に対して前記第2方向と同じ側に傾く第3方向に沿って延在する傾斜部が含まれ、前記傾斜部は、前記第1方向に対して前記第3方向がなす角度である第2角度が、前記第1方向に対して前記第2方向がなす角度である第1角度よりも大きい。
【0007】
(2)また、上記表示装置は、上記(1)に加え、前記傾斜部は、前記上層電極のうちの前記スリットの縁部と平面視において交差して配されてもよい。
【0008】
(3)また、上記表示装置は、上記(1)または上記(2)に加え、前記遮光部の前記端部には、前記第1方向に対して前記第2角度よりも大きい第3角度をなす第3角度部が含まれ、前記傾斜部は、前記第3角度部との境界が、前記上層電極と前記遮光部とが前記第1方向について想定される最大限に位置ずれした場合に前記スリットの縁部と前記端部とが交わる交点と一致するよう設けられてもよい。
【0009】
(4)また、上記表示装置は、上記(1)または上記(2)に加え、前記遮光部の前記端部には、前記第1方向に対して前記第2角度よりも大きい第3角度をなす第3角度部が含まれ、前記傾斜部は、前記第3角度部との境界が、前記上層電極と前記遮光部とが前記第1方向について想定される最大限に位置ずれした場合に前記スリット内に位置するよう設けられてもよい。
【0010】
(5)また、上記表示装置は、上記(4)に加え、前記傾斜部は、前記上層電極と前記遮光部とが前記第1方向について想定される最大限に位置ずれした場合に前記スリットの縁部と前記端部とが交わる交点と前記境界との間の距離が、前記端部における長さ方向についての中央位置と前記交点との間の距離よりも大きくてもよい。
【0011】
(6)また、上記表示装置は、上記(1)から上記(5)のいずれかに加え、前記傾斜部は、前記第2角度が、上限値を87°とし、下限値を前記第1角度よりも3°大きい角度とした範囲で設けられてもよい。
【0012】
(7)また、上記表示装置は、上記(1)から上記(6)のいずれかに加え、前記スリットには、前記第1カラーフィルタと重畳する第1スリットと、前記第2カラーフィルタと重畳する第2スリットと、が含まれ、前記遮光部の前記外周端部には、前記第1方向について前記第1スリットと隣り合う関係となる第1端部と、前記第1方向について前記第2スリットと隣り合う関係となる第2端部と、が含まれ、前記傾斜部には、前記第1端部に含まれる第1傾斜部と、前記第2端部に含まれる第2傾斜部と、が含まれてもよい。
【0013】
(8)また、上記表示装置は、上記(1)から上記(7)のいずれかに加え、前記遮光部は、前記上層電極の上層側に配されてもよい。
【0014】
(9)また、上記表示装置は、上記(8)に加え、前記上層電極は、前記共通電極とされており、前記遮光部は、前記共通電極に対して直接積層されてもよい。
【0015】
(10)また、上記表示装置は、上記(1)から上記(9)のいずれかに加え、前記第1カラーフィルタ及び前記第2カラーフィルタよりも下層側にて、前記第1カラーフィルタと前記第2カラーフィルタとの境界に配される配線を備え、前記第1カラーフィルタ、前記第2カラーフィルタ及び前記配線は、それぞれ前記第1方向に対して前記第2方向と同じ側に傾く第5方向に沿って延在してもよい。
【0016】
(11)また、上記表示装置は、上記(10)に加え、前記スリットは、前記第1角度が、前記第1方向に対して前記第5方向がなす角度である第4角度よりも小さくてもよい。
【0017】
(12)また、上記表示装置は、上記(10)または上記(11)に加え、前記遮光部の前記端部には、前記第1方向に対して前記第2角度よりも大きい第3角度をなす第3角度部が含まれ、前記第1カラーフィルタ、前記第2カラーフィルタ及び前記配線は、前記第1方向に対して前記第5方向がなす角度である第4角度が、前記第3角度と等しくてもよい。
【0018】
(13)また、上記表示装置は、上記(10)または上記(11)に加え、前記第1カラーフィルタ、前記第2カラーフィルタ及び前記配線は、前記第1方向に対して前記第5方向がなす角度である第4角度が、前記第2角度と等しくてもよい。
【0019】
(14)また、上記表示装置は、上記(10)から上記(13)のいずれかに加え、前記遮光部は、前記傾斜部を有する部分における前記第1方向についての寸法が、前記配線における前記第1方向についての寸法よりも大きくてもよい。
【発明の効果】
【0020】
本明細書に記載の技術によれば、輝度低下を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】実施形態1に係るヘッドマウントディスプレイを使用者が頭部に装着した状態を示す概略斜視図
図2】実施形態1に係るヘッドマウントディスプレイを構成する頭部装着器具に備わる液晶表示装置及びレンズ部と、使用者の眼球と、の光学的関係を示す概略側面図
図3】実施形態1に係る液晶表示装置に備わる液晶パネル及びフレキシブル基板の概略平面図
図4】実施形態1に係る液晶パネルの概略的な断面図
図5】実施形態1に係る液晶パネルに備わるアレイ基板の表示領域における画素配列を示す回路図
図6】実施形態1に係る液晶パネルの表示領域における画素配列を示す断面図
図7】実施形態1に係る液晶パネルの表示領域における画素電極とTFTとの接続構造を示す断面図
図8】実施形態1に係る液晶パネルの表示領域において画素電極及びスリットと正規位置とされる遮光部との関係を示す平面図
図9】実施形態1に係る液晶パネルの表示領域においてスリットと左側に最大限に位置ずれした遮光部との関係を示す平面図
図10】実施形態1に係る液晶パネルの表示領域においてスリットと右側に最大限に位置ずれした遮光部との関係を示す平面図
図11】実施形態1に係る比較実験1の比較例1に係る液晶パネルの表示領域においてスリットと正規位置とされる遮光部との関係を示す平面図
図12】実施形態1に係る比較実験1の比較例1に係る液晶パネルの表示領域においてスリットと左側に最大限に位置ずれした遮光部との関係を示す平面図
図13】実施形態1に係る比較実験1の比較例1に係る液晶パネルの表示領域においてスリットと右側に最大限に位置ずれした遮光部との関係を示す平面図
図14】実施形態1に係る比較実験1の比較例1の実験結果であって、遮光部が正規位置とされる場合の透過率分布を示す図
図15】実施形態1に係る比較実験1の比較例1の実験結果であって、遮光部が左側に最大限に位置ずれした場合の透過率分布を示す図
図16】実施形態1に係る比較実験1の比較例1の実験結果であって、遮光部が右側に最大限に位置ずれした場合の透過率分布を示す図
図17】実施形態1に係る比較実験1の実施例1の実験結果であって、遮光部が正規位置とされる場合の透過率分布を示す図
図18】実施形態1に係る比較実験1の実施例1の実験結果であって、遮光部が左側に最大限に位置ずれした場合の透過率分布を示す図
図19】実施形態1に係る比較実験1の実施例1の実験結果であって、遮光部が右側に最大限に位置ずれした場合の透過率分布を示す図
図20】実施形態1に係る比較実験2の比較例2に係る液晶パネルの表示領域においてスリットと正規位置とされる遮光部との関係を示す平面図
図21】実施形態1に係る比較実験2の比較例2に係る液晶パネルの表示領域においてスリットと左側に最大限に位置ずれした遮光部との関係を示す平面図
図22】実施形態1に係る比較実験2の比較例2に係る液晶パネルの表示領域においてスリットと右側に最大限に位置ずれした遮光部との関係を示す平面図
図23】実施形態1に係る比較実験2の比較例2の実験結果であって、遮光部におけるX軸方向についての位置ずれ量と、遮光部の位置ずれに伴って各画素に生じる色度差と、の関係を示すグラフ
図24】実施形態1に係る比較実験2の実施例1の実験結果であって、遮光部におけるX軸方向についての位置ずれ量と、遮光部の位置ずれに伴って各画素に生じる色度差と、の関係を示すグラフ
図25】実施形態2に係る液晶パネルの表示領域においてスリットと正規位置とされる遮光部との関係を示す平面図
図26】実施形態2に係る液晶パネルの表示領域においてスリットと左側に最大限に位置ずれした遮光部との関係を示す平面図
図27】実施形態2に係る液晶パネルの表示領域においてスリットと右側に最大限に位置ずれした遮光部との関係を示す平面図
図28】実施形態2に係る比較実験3の実施例2の実験結果であって、遮光部が正規位置とされる場合の透過率分布を示す図
図29】実施形態2に係る比較実験3の実施例2の実験結果であって、遮光部が左側に最大限に位置ずれした場合の透過率分布を示す図
図30】実施形態2に係る比較実験3の実施例2の実験結果であって、遮光部が右側に最大限に位置ずれした場合の透過率分布を示す図
図31】実施形態2に係る比較実験4の実施例2の実験結果であって、遮光部におけるX軸方向についての位置ずれ量と、遮光部の位置ずれに伴って各画素に生じる色度差と、の関係を示すグラフ
図32】実施形態3に係る液晶パネルの表示領域においてスリットと正規位置とされる遮光部との関係を示す平面図
図33】実施形態3に係る液晶パネルの表示領域においてスリットと左側に最大限に位置ずれした遮光部との関係を示す平面図
図34】実施形態3に係る液晶パネルの表示領域においてスリットと右側に最大限に位置ずれした遮光部との関係を示す平面図
図35】実施形態3に係る比較実験5の実施例3の実験結果であって、遮光部が正規位置とされる場合の透過率分布を示す図
図36】実施形態3に係る比較実験5の実施例3の実験結果であって、遮光部が左側に最大限に位置ずれした場合の透過率分布を示す図
図37】実施形態3に係る比較実験5の実施例3の実験結果であって、遮光部が右側に最大限に位置ずれした場合の透過率分布を示す図
図38】実施形態3に係る比較実験6の実施例3の実験結果であって、遮光部におけるX軸方向についての位置ずれ量と、遮光部の位置ずれに伴って各画素に生じる色度差と、の関係を示すグラフ
図39】実施形態4に係る液晶パネルの表示領域においてスリットと正規位置とされる遮光部との関係を示す平面図
図40】実施形態4に係る液晶パネルの表示領域においてスリットと左側に最大限に位置ずれした遮光部との関係を示す平面図
図41】実施形態4に係る液晶パネルの表示領域においてスリットと右側に最大限に位置ずれした遮光部との関係を示す平面図
図42】実施形態4に係る比較実験7の実施例4の実験結果であって、遮光部が正規位置とされる場合の透過率分布を示す図
図43】実施形態4に係る比較実験7の実施例4の実験結果であって、遮光部が左側に最大限に位置ずれした場合の透過率分布を示す図
図44】実施形態4に係る比較実験7の実施例4の実験結果であって、遮光部が右側に最大限に位置ずれした場合の透過率分布を示す図
図45】実施形態4に係る比較実験8の実施例4の実験結果であって、遮光部におけるX軸方向についての位置ずれ量と、遮光部の位置ずれに伴って各画素に生じる色度差と、の関係を示すグラフ
図46】実施形態5に係る液晶パネルの表示領域においてスリットと正規位置とされる遮光部との関係を示す平面図
図47】実施形態5に係る比較実験9の実施例5の実験結果であって、遮光部におけるX軸方向についての位置ずれ量と、遮光部の位置ずれに伴って各画素に生じる色度差と、の関係を示すグラフ
図48】実施形態6に係る液晶パネルの表示領域においてスリットと正規位置とされる遮光部との関係を示す平面図
図49】実施形態6に係る比較実験10の実施例6の実験結果であって、遮光部におけるX軸方向についての位置ずれ量と、遮光部の位置ずれに伴って各画素に生じる色度差と、の関係を示すグラフ
図50】実施形態7に係る液晶パネルの表示領域においてソース配線及びカラーフィルタを示す平面図
図51】実施形態7に係る液晶パネルの表示領域においてソース配線、画素電極、スリット及び遮光部を示す平面図
図52】実施形態7に係る液晶パネルの表示領域においてスリットと正規位置とされる遮光部との関係を示す平面図
図53】実施形態7に係る液晶パネルの表示領域においてスリットと左側に最大限に位置ずれした遮光部との関係を示す平面図
図54】実施形態7に係る液晶パネルの表示領域においてスリットと右側に最大限に位置ずれした遮光部との関係を示す平面図
図55】実施形態7に係る比較実験11の実施例7の実験結果であって、遮光部が正規位置とされる場合の透過率分布を示す図
図56】実施形態7に係る比較実験11の実施例7の実験結果であって、遮光部が左側に最大限に位置ずれした場合の透過率分布を示す図
図57】実施形態7に係る比較実験11の実施例7の実験結果であって、遮光部が右側に最大限に位置ずれした場合の透過率分布を示す図
図58】実施形態7に係る比較実験12の比較例3に係る液晶パネルの表示領域においてスリットと正規位置とされる遮光部との関係を示す平面図
図59】実施形態7に係る比較実験12の比較例4に係る液晶パネルの表示領域においてスリットと正規位置とされる遮光部との関係を示す平面図
図60】実施形態7に係る比較実験12の比較例3の実験結果であって、遮光部におけるX軸方向についての位置ずれ量と、遮光部の位置ずれに伴って各画素に生じる色度差と、の関係を示すグラフ
図61】実施形態7に係る比較実験12の比較例4の実験結果であって、遮光部におけるX軸方向についての位置ずれ量と、遮光部の位置ずれに伴って各画素に生じる色度差と、の関係を示すグラフ
図62】実施形態7に係る比較実験12の実施例7の実験結果であって、遮光部におけるX軸方向についての位置ずれ量と、遮光部の位置ずれに伴って各画素に生じる色度差と、の関係を示すグラフ
図63】実施形態8に係る液晶パネルの表示領域においてソース配線及びカラーフィルタを示す平面図
図64】実施形態8に係る液晶パネルの表示領域においてソース配線、画素電極、スリット及び遮光部を示す平面図
図65】実施形態8に係る液晶パネルの表示領域においてスリットと正規位置とされる遮光部との関係を示す平面図
図66】実施形態8に係る比較実験13の実施例8の実験結果であって、遮光部が正規位置とされる場合の透過率分布を示す図
図67】実施形態8に係る比較実験13の実施例8の実験結果であって、遮光部が左側に最大限に位置ずれした場合の透過率分布を示す図
図68】実施形態8に係る比較実験13の実施例8の実験結果であって、遮光部が右側に最大限に位置ずれした場合の透過率分布を示す図
図69】実施形態8に係る比較実験14の実施例8の実験結果であって、遮光部におけるX軸方向についての位置ずれ量と、遮光部の位置ずれに伴って各画素に生じる色度差と、の関係を示すグラフ
【発明を実施するための形態】
【0022】
<実施形態1>
実施形態1を図1から図24によって説明する。本実施形態では、ゴーグル型のヘッドマウントディスプレイ(HMD:Head-Mounted Display)10HMD及びそれに用いられる液晶表示装置10を例示する。なお、各図面の一部にはX軸、Y軸及びZ軸を示しており、各軸方向が各図面で示した方向となるように描かれている。
【0023】
図1を用いてゴーグル型のヘッドマウントディスプレイ10HMDの外観を説明する。ヘッドマウントディスプレイ10HMDは、図1に示すように、使用者の頭部10HDに装着される頭部装着器具10HMDaを備える。頭部装着器具10HMDaは、使用者の両方の眼を囲っている。
【0024】
図2を用いて頭部装着器具10HMDaの構成を説明する。頭部装着器具10HMDaには、図2に示すように、画像を表示する液晶表示装置10と、液晶表示装置10に表示された画像を使用者の眼球10EYに結像させるレンズ部10REと、が少なくとも内蔵されている。液晶表示装置10は、液晶パネル(表示装置)11と、液晶パネル11に光を照射するバックライト装置(照明装置)12と、を少なくとも備える。液晶パネル11のうちの、レンズ部10RE側の主面が、画像を表示する表示面11DSとされる。レンズ部10REは、液晶表示装置10と使用者の眼球10EYとの間に介在するよう配される。レンズ部10REにより光に屈折作用が付与される。このレンズ部10REの焦点距離を調整することで、使用者は、眼球10EYの水晶体10EYaを介して網膜10EYbに結像される像が、眼球10EYからの距離L2の位置に見かけ上存在する仮想ディスプレイ10VDに表示されている、と認識することができる。この距離L2は、眼球10EYから液晶表示装置10までの実際の距離L1よりも遙かに大きい。これにより、使用者は、液晶表示装置10の画面サイズ(例えば0.数インチから数インチ程度)よりも遙かに大きな画面サイズ(例えば数十インチから数百インチ程度)の仮想ディスプレイ10VDに表示された虚像である拡大画像を視認することができる。
【0025】
なお、頭部装着器具10HMDaに液晶表示装置10を1つ搭載し、その液晶表示装置10に右目用画像と左目用画像とを表示させることが可能である。それ以外に、頭部装着器具10HMDaに液晶表示装置10を2つ搭載し、一方の液晶表示装置10に右目用画像を、他方の液晶表示装置10に左目用画像を、それぞれ表示させることも可能である。また、頭部装着器具10HMDaには、使用者の耳に宛てがわれて音声を発するイヤフォンなどが備えられてもよい。
【0026】
図3等を用いて液晶表示装置10に備わる液晶パネル11の構成について説明する。なお、バックライト装置12の構成は、既知の通りであり、例えば、LEDなどの光源や光源からの光に光学作用を付与することで面状の光に変換する光学部材などを有する。液晶パネル11は、図3に示すように、平面に視て全体として方形状をなしている。液晶パネル11は、画面の中央側部分が、画像が表示される表示領域AAとされる。液晶パネル11は、画面における表示領域AAを取り囲む額縁状の外周側部分が、画像が表示されない非表示領域NAAとされる。図3において一点鎖線により囲った範囲が表示領域AAである。なお、本実施形態に係る液晶パネル11は、上記したヘッドマウントディスプレイ10HMDに用いられるものであることから、極めて高い精細度となっており、その画素密度は、例えば1000ppi以上程度とされる。
【0027】
液晶パネル11は、図3に示すように、一対の基板20,21を貼り合わせてなる。一対の基板20,21のうち、表側に配されるものが対向基板(第2基板、CF基板)20であり、裏側に配されるものがアレイ基板(第1基板、アクティブマトリクス基板)21である。対向基板20及びアレイ基板21は、いずれもほぼ透明で優れた透光性を有するガラス製の基板20GS,21GSの内面側に各種の膜が積層形成されてなるものとされる。基板20GS,21GSは、主な材料として例えば無アルカリガラスを含む。このうちのアレイ基板21は、対向基板20よりも大型となっていてその一部が対向基板20に対して側方に突き出している。アレイ基板21の突き出し部分21Aには、フレキシブル基板13が実装されている。フレキシブル基板13は、絶縁性及び可撓性を有する基材上に多数本の配線パターンを形成した構成とされる。フレキシブル基板13は、一端側がアレイ基板21に、他端側が外部のコントロール基板(信号供給源)に、それぞれ接続されている。コントロール基板から供給される各種信号は、フレキシブル基板13を介して液晶パネル11に伝送される。
【0028】
液晶パネル11の非表示領域NAAには、図3に示すように、回路部(周辺回路部)14が設けられている。回路部14には、第1回路部14Aと、第2回路部14Bと、が含まれる。第1回路部14Aは、表示領域AAをX軸方向について両側から挟み込む形で一対が配されている。第1回路部14Aは、Y軸方向に沿って延在する帯状の範囲に設けられている。第1回路部14Aは、後述するゲート配線25に走査信号を供給するためのものであり、アレイ基板21にモノリシックに設けられている。第1回路部14Aは、GDM(Gate Driver Monolithic)回路である。第1回路部14Aは、走査信号を所定のタイミングで出力するシフトレジスタ回路や走査信号を増幅するためのバッファ回路等を含む。第2回路部14Bは、Y軸方向について表示領域AAとフレキシブル基板13との間に挟まれた位置に配されている。第2回路部14Bは、X軸方向に沿って延在する帯状の範囲に設けられている。第2回路部14Bは、後述するソース配線26に画像信号(データ信号)を供給するためのものであり、アレイ基板21にモノリシックに設けられている。第2回路部14Bは、SSD(Source Shared Driving)回路等を含む。第2回路部14Bは、フレキシブル基板13により供給される画像信号を、各ソース配線26に振り分けるスイッチ機能等を有している。
【0029】
次に、図4を用いて液晶パネル11の断面構成の概略を説明する。一対の基板20,21は、図4に示すように、基板20,21の主面の法線方向であるZ軸方向に間隔を空けて対向して配される。一対の基板20,21の間には、少なくとも、液晶層22と、液晶層22を封止(シール)するシール部23と、が介在して設けられている。液晶層22は、電界印加に伴って光学特性が変化する物質である液晶分子を含む。シール部23は、全体として平面に視て方形の枠状(無端環状)をなしており、非表示領域NAAにて液晶層22を全周にわたって取り囲んでいる。このシール部23により液晶層22の厚さ分のギャップ(セルギャップ)が保持される。一対の基板20,21の外面側には、それぞれ偏光板24が貼り付けられている。
【0030】
図5を用いてアレイ基板21の表示領域AAにおける画素配列の概要を説明する。アレイ基板21の表示領域AAにおける内面側には、図5に示すように、格子状をなす複数本ずつのゲート配線(走査配線)25及びソース配線(画像配線)26が配されている。ゲート配線25は、表示領域AAを横断する形でX軸方向に沿って延在する。ゲート配線25は、複数がY軸方向に間隔を空けて並んで配される。複数のゲート配線25には、上記した第1回路部14Aから出力される走査信号が、図5の上段側から順に供給されるようになっている。ソース配線26は、表示領域AAを縦断する形でY軸方向に沿って延在し、ゲート配線25と交差する。ソース配線26は、複数がX軸方向に間隔を空けて配される。ソース配線26には、上記した第2回路部14Bから出力される画像信号が分配される。ゲート配線25及びソース配線26の交差部位付近には、TFT(スイッチング素子)27及び画素電極28が設けられている。TFT27及び画素電極28は、X軸方向及びY軸方向に沿って複数ずつ規則的に並んで配されている。TFT27には、ゲート配線25、ソース配線26及び画素電極28が接続されている。TFT27は、ゲート配線25が接続されるゲート電極27Aと、ソース配線26が接続されるソース電極27Bと、画素電極28が接続されるドレイン電極27Cと、ソース電極27Bとドレイン電極27Cとに接続される半導体部27Dと、を有する。半導体部27Dは、半導体材料からなり、ゲート電極27Aと重畳して配される。TFT27は、ゲート配線25からゲート電極27Aに供給される走査信号に基づいて駆動されると、ソース配線26からソース電極27Bに供給される画像信号に基づいた電位に画素電極28を充電する。画素電極28は、Y軸方向を長手方向とした長手状をなしている。
【0031】
アレイ基板21の表示領域AAにおける内面側には、図6に示すように、画素電極28に加えてカラーフィルタ29が設けられている。つまり、本実施形態に係る液晶パネル11は、COA(Color Filter On Array)構造である、と言える。カラーフィルタ29は、画素電極28と重畳して配され、重畳する画素電極28と共に表示単位である画素を構成する。カラーフィルタ29には、互いに異なる色を呈する複数種類(3種類)が含まれる。互いに異なる色を呈する複数種類のカラーフィルタ29は、ゲート配線25の延在方向(X軸方向)に隣り合うよう並んで配される。つまり、互いに異なる色を呈する複数種類のカラーフィルタ29の並び方向(第1方向)は、X軸方向と一致している。互いに異なる色を呈する複数種類のカラーフィルタ29は、ソース配線26の延在方向(Y軸方向)に沿って延在している。このように、互いに異なる色を呈する複数種類のカラーフィルタ29は、全体としてストライプ状に配列されている。互いに異なる色を呈する複数のカラーフィルタ29は、その境界(色境界)がソース配線26と重畳する配置とされる。
【0032】
具体的には、カラーフィルタ29には、図6に示すように、緑色を呈する第1カラーフィルタ(緑色カラーフィルタ)29Gと、青色を呈する第2カラーフィルタ(青色カラーフィルタ)29Bと、赤色を呈する第3カラーフィルタ(赤色カラーフィルタ)29Rと、の3種類が含まれる。以下では、カラーフィルタ29を区別する場合には、緑色を呈する第1カラーフィルタの符号に添え字Gを、青色を呈する第2カラーフィルタの符号に添え字Bを、赤色を呈する第3カラーフィルタの符号に添え字Rを付し、区別せずに総称する場合には、符号に添え字を付さないものとする。
【0033】
第1カラーフィルタ29Gは、緑色の波長領域(約500nm~約570nm)に含まれる波長の緑色光を選択的に透過する。第2カラーフィルタ29Bは、青色の波長領域(約400nm~約500nm)に含まれる青色光を選択的に透過する。第3カラーフィルタ29Rは、赤色の波長領域(約600nm~約780nm)に含まれる波長の赤色光を選択的に透過する。本実施形態では、カラーフィルタ29は、図6の左側から第3カラーフィルタ29R、第1カラーフィルタ29G、第2カラーフィルタ29Bの順で繰り返し並ぶ配列とされる。
【0034】
第1カラーフィルタ29Gは、図6に示すように、重畳する画素電極28と共に緑色を呈する第1画素(緑色画素)GPXを構成する。第1画素GPXを構成する画素電極28を第1画素電極28Aとする。第2カラーフィルタ29Bは、重畳する画素電極28と共に青色を呈する第2画素(青色画素)BPXを構成する。第2画素BPXを構成する画素電極28を第2画素電極28Bとする。第3カラーフィルタ29Rは、重畳する画素電極28と共に赤色を呈する第3画素(赤色画素)RPXを構成する。第3画素RPXを構成する画素電極28を第3画素電極28Cとする。この液晶パネル11においては、X軸方向に沿って並ぶ3色の画素GPX,BPX,RPXによって所定の階調のカラー表示を可能な表示画素が構成されている。各画素GPX,BPX,RPXにおけるY軸方向の配列ピッチは、X軸方向の配列ピッチの3倍程度とされる。
【0035】
アレイ基板21の表示領域AAにおける内面側には、図6に示すように、共通電極30が設けられている。共通電極30は、画素電極28よりも上層側に位置しており、表示領域AAのほぼ全域にわたって配されている。これにより、共通電極30は、表示領域AAに配される全ての画素電極28に対して重畳する。このように、本実施形態に係るアレイ基板21では、画素電極28と共通電極30とのうちの上層側に位置する電極である「上層電極」が共通電極30であり、下層側に位置する電極である「下層電極」が画素電極28である。共通電極30のうち、複数の画素電極28に対して重畳する部分には、複数のスリット30Aがそれぞれ開口形成されている。スリット30Aの設置数は、画素電極28の設置数と一致している。複数のスリット30Aには、第1画素電極28A及び第1カラーフィルタ29Gと重畳する第1スリット30A1と、第2画素電極28B及び第2カラーフィルタ29Bと重畳する第2スリット30A2と、が含まれる。共通電極30には、共通電位(基準電位)とされる共通電位信号が供給されている。TFT27の駆動に伴って画素電極28がソース配線26に伝送される画像信号に基づく電位に充電されると、画素電極28と共通電極30との間には電位差が生じる。すると、共通電極30におけるスリット30Aの開口縁と画素電極28との間には、アレイ基板21の主面に沿う成分に加えて、アレイ基板21の主面に対する法線方向の成分を含むフリンジ電界(斜め電界)が生じる。従って、このフリンジ電界を利用することで液晶層22に含まれる液晶分子の配向状態を制御することができ、この液晶分子の配向状態に基づいて所定の表示がなされる。つまり、本実施形態に係る液晶パネル11は、動作モードがFFS(Fringe Field Switching)モードとされている。
【0036】
続いて、図6及び図7を用いてアレイ基板21のガラス基板21GSに積層される各種の膜について詳しく説明する。アレイ基板21のガラス基板21GSには、図6及び図7に示すように、下層側(ガラス基板21GS側)から順に、第1金属膜、第1絶縁膜31、第2金属膜、第2絶縁膜32、半導体膜、第3絶縁膜33、第3金属膜、第4絶縁膜34、第4金属膜、第5絶縁膜35、第1透明電極膜、カラーフィルタ29、第6絶縁膜36、第2透明電極膜、第7絶縁膜37、第3透明電極膜、第8絶縁膜38、第4透明電極膜、第5金属膜、配向膜39が少なくとも積層形成されている。
【0037】
第1金属膜、第2金属膜、第3金属膜、第4金属膜及び第5金属膜は、いずれも1種類の金属材料からなる単層膜または異なる種類の金属材料からなる積層膜や合金とされることで導電性及び遮光性を有している。このうち、第1金属膜は、下層側遮光部40を構成する。下層側遮光部40は、TFT27の半導体部27Dと重畳する位置に配されることで、バックライト装置12から半導体部27Dへ向かう光を遮ることができる。これにより、半導体部27Dに光が照射された場合に生じ得るTFT27の特性の変動を抑制することができる。第2金属膜は、ゲート配線25を構成するのに加え、ゲート電極27Aである下層側ゲート電極27A1を構成する。第3金属膜は、ゲート電極27Aである上層側ゲート電極27A2を構成する。下層側ゲート電極27A1及び上層側ゲート電極27A2は、互いに重畳するとともに半導体部27Dとも重畳する配置とされる。このように、ゲート電極27Aは、下層側ゲート電極27A1と上層側ゲート電極27A2とからなる。従って、本実施形態に係るTFT27は、ダブルゲート構造となっている。第4金属膜は、ソース配線26を構成する。第5金属膜は、詳細は後述する遮光部43を構成する。第1透明電極膜、第2透明電極膜、第3透明電極膜及び第4透明電極膜は、例えばITO(Indium Tin Oxide)やIZO(Indium Zinc Oxide)等の透明電極材料からなる。このうち、第1透明電極膜は、下層側配線41を構成する。下層側配線41は、一端側部分がドレイン電極27Cに接続される。第2透明電極膜は、上層側配線42を構成する。上層側配線42は、一端側部分が下層側配線41の他端側部分に接続され、他端側部分が画素電極28に接続される。下層側配線41及び上層側配線42によってドレイン電極27Cと画素電極28とが接続される。第3透明電極膜は、画素電極28を構成する。第4透明電極膜は、共通電極30を構成する。
【0038】
半導体膜は、酸化物半導体材料からなる。詳しくは、半導体膜は、例えば酸化物半導体の一種であるインジウム(In)、ガリウム(Ga)及び亜鉛(Zn)を含む酸化物薄膜からなる。インジウム(In)、ガリウム(Ga)及び亜鉛(Zn)を含む酸化物薄膜は、非晶質または結晶質とされている。半導体膜の酸化物半導体材料は、シリコン半導体材料に比べると、電圧が印加されない状態(オフ状態)での抵抗値が高い特性を有する。また、半導体膜の酸化物半導体材料は、アモルファスシリコン半導体材料に比べると、高い電子移動度を有している。
【0039】
本実施形態に係る半導体膜は、製造過程において低抵抗化処理が行われることで一部が低抵抗化されており、低抵抗化領域と非抵抗化領域とから構成される。なお、図7では、半導体膜における低抵抗化領域を網掛け状にして図示している。半導体膜における非低抵抗化領域は、特定の条件(ゲート電極27Aに走査信号が供給された場合)でのみ電荷の移動が可能とされる。半導体膜のうちの非低抵抗化領域により半導体部27Dが構成される。半導体部27Dは、下層側ゲート電極27A1と上層側ゲート電極27A2とにより上下から挟まれている。半導体膜の低抵抗化領域は、非低抵抗化領域に比べると、抵抗率が例えば1/10000000000~1/100程度と極めて低く、常に電荷の移動が可能とされていて導電体として機能する。半導体膜のうちの低抵抗化領域によりソース電極27B及びドレイン電極27Cが構成される。半導体膜の低抵抗化処理は、アレイ基板21の製造過程において、第3金属膜からなる上層側ゲート電極27A2を設けた後に、上層側ゲート電極27A2をマスクとして利用して行われる。低抵抗化処理においては、半導体膜のうち、上層側ゲート電極27A2により被覆されない部分(非重畳部分、露出部分)に対して選択的に低抵抗化処理がなされ、上層側ゲート電極27A2により被覆された部分(重畳部分、非露出部分)には低抵抗化処理がなされない。低抵抗化処理には、例えばNH、H、N、Heなどのガスを用いたプラズマ処理やアニール処理等が含まれる。
【0040】
第1絶縁膜31、第2絶縁膜32、第3絶縁膜33、第4絶縁膜34、第5絶縁膜35及び第8絶縁膜38は、いずれも無機材料(無機樹脂材料)の一種であるSiO(酸化シリコン、シリコン酸化物)、SiN(窒化シリコン)等からなる。このうち、第1絶縁膜31は、下層側遮光部40とゲート配線25及び下層側ゲート電極27A1との間に介在してこれらを絶縁状態に保つ。第2絶縁膜32は、ゲート配線25及び下層側ゲート電極27A1とソース電極27B、ドレイン電極27C及び半導体部27Dとの間に介在してこれらを絶縁状態に保つ。第3絶縁膜33は、ソース電極27B、ドレイン電極27C及び半導体部27Dと上層側ゲート電極27A2との間に介在してこれらを絶縁状態に保つ。第4絶縁膜34は、上層側ゲート電極27A2とソース配線26との間に介在してこれらを絶縁状態に保つ。第5絶縁膜35は、ソース配線26と下層側配線41との間に介在してこれらを絶縁状態に保つ。第4絶縁膜34及び第5絶縁膜35のうち、ドレイン電極27Cと下層側配線41との双方と重畳する部分には、第1コンタクトホール21CH1が開口して設けられている。第1コンタクトホール21CH1を通してドレイン電極27Cと下層側配線41とが接続される。第8絶縁膜38は、画素電極28と共通電極30との間に介在してこれらを絶縁状態に保つ。
【0041】
第6絶縁膜36及び第7絶縁膜37は、いずれも有機材料(有機樹脂材料)の一種であるPMMA(アクリル樹脂)等からなる。有機材料からなる第6絶縁膜36及び第7絶縁膜37は、無機材料からなる第1絶縁膜31、第2絶縁膜32、第3絶縁膜33、第4絶縁膜34、第5絶縁膜35及び第8絶縁膜38よりも膜厚が大きいのが通常である。第6絶縁膜36は、カラーフィルタ29と共に下層側配線41と上層側配線42との間に介在してこれらを絶縁状態に保つ。第6絶縁膜36及びカラーフィルタ29のうち、下層側配線41と上層側配線42との双方と重畳する部分には、第2コンタクトホール21CH2が開口して設けられている。第2コンタクトホール21CH2を通して下層側配線41と上層側配線42とが接続される。第7絶縁膜37は、第2コンタクトホール21CH2と重畳する位置に設けられている。つまり、第7絶縁膜37によって第2コンタクトホール21CH2が穴埋めされるので、第7絶縁膜37よりも上層側に位置する画素電極28及び共通電極30の平坦化が図られる。上層側配線42と画素電極28との間には、第7絶縁膜37が介在することがないので、上層側配線42と画素電極28とが直接的に接することで相互の接続が図られる。
【0042】
配向膜39は、例えばポリイミド等の有機材料からなる。配向膜39は、液晶層22に臨む上面に光配向処理が施されることで、液晶分子を配向させる機能を有する。対向基板20に備わる配向膜20PIも、アレイ基板21に備わる配向膜39と同様である。本実施形態では、液晶層22に含まれる液晶分子の配向方向は、各配向膜39,20PIに施された光配向処理に基づいて、例えばY軸方向と一致している。ここで、「液晶分子の配向方向」とは、各配向膜39,20PIの主面に対して所定のプレチルト角を有するよう配向する液晶分子を平面視したときの、液晶分子の軸線方向のことである。
【0043】
なお、対向基板20のガラス基板20GSには、対向側遮光部20BM、オーバーコート膜20OC及び対向側配向膜20PIが形成されている。対向側遮光部20BMは、遮光性に優れた合成樹脂材料等からなり、ガラス基板20GSの内面に設けられている。対向側遮光部20BMは、X軸方向に沿って延在していて、アレイ基板21に備わる複数のゲート配線25と重畳するよう、平面に視て横ストライプ状に形成されている。オーバーコート膜20OCは、対向側遮光部20BMの上層側に設けられ、対向基板20のほぼ全域にわたってベタ状に配されることで、対向基板20を平坦化することができる。対向側配向膜20PIは、オーバーコート膜20OCの上層側に設けられ、液晶層22に臨んで配される。
【0044】
画素電極28及び共通電極30の平面形状に関して図8を用いて詳しく説明する。図8では、アレイ基板21に備わる各構成のうち、画素電極28、共通電極30及び遮光部43を選択的に図示しており、特に遮光部43を網掛け状にして図示している。画素電極28は、図8に示すように、平面に視て縦長の略平行四辺形状とされ、長手側の両側縁の大部分が、X軸方向及びY軸方向に対する斜め方向に沿って延在している。詳しくは、画素電極28は、Y軸方向についての両端側部分がそれぞれ平面に視て方形状をなしており、Y軸方向についての中央側部分が一定幅で上記した斜め方向に沿って延在する平行四辺形状とされる。画素電極28のうちのY軸方向についての中央側部分の延在方向である斜め方向は、図8に示す左下から右上へ向かう方向であり、X軸方向に対して例えば80°の角度をなし、Y軸方向に対して例えば10°の角度をなしている。画素電極28は、自身におけるX軸方向及びY軸方向についての中心を対称点とした点対称形状とされる。
【0045】
共通電極30のスリット30Aは、図8に示すように、平面に視て画素電極28よりも幅狭な縦長の略平行四辺形状とされる。詳しくは、スリット30Aは、長手側の両側縁の大部分が、X軸方向(第1方向)及びY軸方向(第1方向と直交する第4方向)に対する斜め方向(第2方向)に沿って延在している。スリット30Aは、Y軸方向についての両端側部分がそれぞれ平面に視て略円弧状をなしており、Y軸方向についての中央側部分が一定幅で上記した斜め方向に沿って延在する平行四辺形状とされる。スリット30AにおけるY軸方向についての上端側部分が図8の右側に突出し、下端側部分が図8の左側に突出する。このように、スリット30AにおけるY軸方向についての両端側部分の平面形状が略円弧状とされることで、液晶分子に生じ得る配向乱れを、スリット30AにおけるY軸方向についての両端側部分に留めることができる。これにより、液晶分子に生じ得る配向乱れが、スリット30AにおけるY軸方向についての中央側部分に影響し難くなり、暗線として視認され難くなる。スリット30AのうちのY軸方向についての中央側部分の延在方向は、画素電極28のうちのY軸方向についての中央側部分の延在方向とほぼ平行をなしており、X軸方向に対して例えば80°の角度をなし、Y軸方向に対して例えば10°の角度をなしている。ここで、X軸方向を「第1方向」とし、スリット30Aの延在方向を「第2方向」とし、第1方向に対して第2方向がなす角度を「第1角度θ1」としたとき、第1角度θ1は、例えば80°となる。第2方向は、画素電極28の延在方向と同様に、図8に示す左下から右上へ向かう方向である。また、第2方向をX軸方向及びY軸方向に沿う2つのベクトル成分にベクトル分解すると、X軸方向に沿うベクトル成分は右向きとなり、Y軸方向に沿うベクトル成分は上向きとなる。スリット30Aは、自身におけるX軸方向及びY軸方向についての中心を対称点とした点対称形状とされる。スリット30Aは、X軸方向及びY軸方向についての各寸法が、画素電極28におけるX軸方向及びY軸方向についての各寸法よりもそれぞれ小さい。
【0046】
遮光部43に関して図6及び図8を用いて詳しく説明する。遮光部43は、図6に示すように、少なくともカラーフィルタ29よりも上層側(液晶層22に近い側)に位置する。本実施形態では、遮光部43は、第5金属膜からなり、共通電極30の上層側に配されていて、共通電極30に直接的に接している。従って、遮光部43は、共通電極30と同電位(共通電位)とされる。遮光部43は、例えばバックライト装置12から液晶パネル11に向けて照射される光を遮ることができる。遮光部43は、図6及び図8に示すように、X軸方向に隣り合う画素電極28の間を仕切るよう配されている。つまり、遮光部43は、X軸方向に隣り合っていて互いに異なる色を呈するカラーフィルタ29の境界に配されている。遮光部43は、Y軸方向に沿って延在する縦長形状とされていて、ソース配線26の一部と平面に視て重畳して配される。つまり、遮光部43の延在方向は、対向基板20に備わる対向側遮光部20BMの延在方向と直交(交差)する関係とされる。
【0047】
遮光部43は、図8に示すように、X軸方向及びY軸方向についてそれぞれ間隔を空けて規則的に並んで配されている。複数の遮光部43におけるX軸方向及びY軸方向についての各配列間隔は、複数の画素電極28におけるX軸方向及びY軸方向についての各配列間隔と概ね等しい。遮光部43は、Y軸方向についての寸法が、画素電極28におけるY軸方向についての寸法よりも僅かに短い程度とされる。遮光部43は、Y軸方向についての中央位置が、画素電極28におけるY軸方向についての中央位置とほぼ同じ配置とされる。遮光部43は、X軸方向についての寸法が、画素電極28におけるX軸方向についての寸法よりも小さく、スリット30AにおけるX軸方向についての寸法よりも大きい。遮光部43は、Y軸方向についての寸法が、画素電極28及びスリット30AにおけるY軸方向についての各寸法のいずれよりも小さい。
【0048】
複数の遮光部43には、図6及び図8に示すように、第1カラーフィルタ29Gと第2カラーフィルタ29Bとの境界に位置して配される第1遮光部43Aと、第2カラーフィルタ29Bと第3カラーフィルタ29Rとの境界に位置して配される第2遮光部43Bと、第1カラーフィルタ29Gと第3カラーフィルタ29Rとの境界に位置して配される第3遮光部43Cと、が含まれる。第1遮光部43Aは、第1画素電極28Aと第2画素電極28Bとの間を仕切る。これにより、第1カラーフィルタ29Gの透過光が第2画素電極28Bに向かおうとしたり、第2カラーフィルタ29Bの透過光が第1画素電極28Aに向かおうとした場合でも、それらの光を第1遮光部43Aによって遮ることができる。第2遮光部43Bは、第2画素電極28Bと第3画素電極28Cとの間を仕切る。これにより、第2カラーフィルタ29Bの透過光が第3画素電極28Cに向かおうとしたり、第3カラーフィルタ29Rの透過光が第2画素電極28Bに向かおうとした場合でも、それらの光を第2遮光部43Bによって遮ることができる。第3遮光部43Cは、第1画素電極28Aと第3画素電極28Cとの間を仕切る。これにより、第1カラーフィルタ29Gの透過光が第3画素電極28Cに向かおうとしたり、第3カラーフィルタ29Rの透過光が第1画素電極28Aに向かおうとした場合でも、それらの光を第3遮光部43Cによって遮ることができる。以上のように各遮光部43A~43Cによって混色が生じ難くなるので、第1画素電極28A(第1画素GPX)による表示と、第2画素電極28B(第2画素BPX)による表示と、第3画素電極28C(第3画素RPX)による表示と、の表示独立性が担保される。しかも、遮光部43は、第5金属膜からなり、共通電極30の上層側に配されているので、混色を生じさせ得る光をより多く遮ることができる。これにより、より高い混色防止機能が得られる。
【0049】
遮光部43の詳しい平面形状に関して図8を用いて説明する。遮光部43は、図8に示すように、全体として平面に視て縦長の長手状をなしており、自身におけるX軸方向及びY軸方向についての中心を対称点とした点対称形状とされる。遮光部43は、Y軸方向についての両端側部分が中央側部分よりも幅狭形状とされる。これにより、遮光部43は、X軸方向について左右に隣り合う各スリット30AにおけるY軸方向についての各端側部分に対して重畳する関係となることが回避されている。そして、遮光部43の外周端部のうち、X軸方向について各スリット30Aと隣り合う関係となる各端部44には、X軸方向(第1方向)及びY軸方向(第1方向と直交する第4方向)に対して傾く斜め方向(第3方向)に沿って延在する傾斜部45が含まれる。また、遮光部43の各端部44には、Y軸方向に沿ってほぼ真っ直ぐに延在する真直部(第3角度部)46が含まれる。
【0050】
傾斜部45は、図8に示すように、X軸方向に対してスリット30Aの延在方向(第2方向)と同じ側に傾く斜め方向に沿って延在している。ここで、「同じ側に傾く」の定義について説明する。スリット30Aの中央側部分(第2方向に沿って延在する部分)の縁部47上のある点を原点とした第1XY座標系と、傾斜部45上のある点を原点とした第2XY座標系と、を想定したとき、第1XY座標系においてスリット30Aの中央側部分の縁部47がなす一次関数の傾きと、第2XY座標系において傾斜部45がなす一次関数の傾きと、の正負の符号が同じであることが、「同じ側に傾く」の定義である。傾斜部45の延在方向は、X軸方向に対して例えば87°の角度をなし、Y軸方向(配向方向)に対して例えば3°の角度をなしている。ここで、X軸方向を「第1方向」とし、傾斜部45の延在方向を「第3方向」とし、第1方向に対して第3方向がなす角度を「第2角度θ2」としたとき、第2角度θ2は、例えば87°となる。以上のように、傾斜部45は、自身の延在方向である第3方向が第1方向に対してなす第2角度θ2が、スリット30Aの延在方向である第2方向が第1方向に対してなす第1角度θ1よりも大きい。また、真直部46は、X軸方向に対して第2角度θ2よりも大きい第3角度θ3をなしている。真直部46がX軸方向に対してなす角度である第3角度θ3は、例えば90°とされる。
【0051】
ここで、液晶パネル11を構成するアレイ基板21の製造過程では、いわゆるフォトリソグラフィ法を用いており、パターニング対象となる膜(金属膜や透明電極膜等)を成膜してからフォトレジスト膜を成膜し、フォトマスクを用いてフォトレジスト膜を露光・現像してから、フォトレジスト膜をマスクとして用いてパターニング対象となる膜をエッチングすることで、配線や電極等を形成している。フォトレジスト膜の露光工程で用いられるフォトマスクに位置ずれが生じると、パターニングされた配線や電極等の形成位置にフォトマスクの位置ずれが反映される。以下で用いられる「位置ずれ」の文言は、「アレイ基板21の主面に沿う方向(X軸方向及びY軸方向を含む)についての位置ずれ」を意味する。特に、本実施形態に係る液晶パネル11は、画素密度が1000ppi以上と極めて精細度が高いため、フォトマスクが僅かに位置ずれした場合でも、表示品位に大きな悪影響が及ぶおそれがある。具体的には、共通電極30のスリット30Aと遮光部43との間にX軸方向について位置ずれが生じ、スリット30A内に遮光部43の一部が入る関係になると、遮光部43が共通電極30と同電位であることから、共通電極30と画素電極28との間に生じる電界に歪み等が生じるおそれがある。上記した電界に歪み等が生じると、液晶分子の配向状態に乱れが生じ、それに起因して輝度低下が生じるおそれがある。
【0052】
その点、本実施形態では、図8に示すように、傾斜部45の延在方向である第3方向が第1方向に対してなす第2角度θ2が、スリット30Aの延在方向である第2方向が第1方向に対してなす第1角度θ1よりも大きいので、共通電極30と遮光部43とがX軸方向について位置ずれした場合でも、従来のように遮光部43の端部44が全長にわたってスリット30A内に入る事態を回避することができる。これにより、共通電極30と画素電極28との間に生じる電界に歪み等が生じ難くなるので、輝度低下が生じ難くなる。また、仮に、第2角度θ2を第1角度θ1よりも小さくした場合に比べると、遮光部43のうちの傾斜部45を有する部分におけるX軸方向についての形成範囲を広く確保することができる。これにより、遮光部43による混色防止機能を担保することができる。なお、対向基板20に備わる対向側遮光部20BMは、X軸方向に沿って延在する横長形状であることから、両基板20,21を貼り合わせる際に対向基板20がアレイ基板21に対してX軸方向について位置ずれした場合でも、対向側遮光部20BMに起因する開口率の低下等の不具合を回避することができる。
【0053】
傾斜部45は、図8に示すように、1つの遮光部43に2つ設けられている。2つの傾斜部45に関して第1遮光部43Aを取り上げて詳しく説明する。まず、スリット30Aには、第1カラーフィルタ29Gと重畳する第1スリット30A1と、第2カラーフィルタ29Bと重畳する第2スリット30A2と、が含まれる。第1スリット30A1の中央側部分の縁部47には、X軸方向について第1遮光部43Aと隣り合う関係となる第1縁部47Aが含まれる。第2スリット30A2の中央側部分の縁部47には、X軸方向について第1遮光部43Aと隣り合う関係となる第2縁部47Bが含まれる。第1遮光部43Aの外周端部には、X軸方向について第1スリット30A1と隣り合う関係となる第1端部44Aと、X軸方向について第2スリット30A2と隣り合う関係となる第2端部44Bと、が含まれる。そして、傾斜部45には、第1端部44Aに含まれる第1傾斜部45Aと、第2端部44Bに含まれる第2傾斜部45Bと、が含まれる。第1傾斜部45A及び第2傾斜部45Bは、互いに平行をなしており、第1遮光部43AにおけるX軸方向及びY軸方向についての中心を対称点とした点対称となる位置に配されている。
【0054】
ここで、共通電極30と第1遮光部43AとがX軸方向について位置ずれする際には、図9に示すように、第1遮光部43Aの第1端部44Aが第1スリット30A1に近づき、第2端部44Bが第2スリット30A2から遠ざかる場合と、図10に示すように、第1遮光部43Aの第2端部44Bが第2スリット30A2に近づき、第1端部44Aが第1スリット30A1から遠ざかる場合と、の2つの場合があり得る。なお、図9及び図10では、アレイ基板21に備わる各構成のうち、共通電極30及び遮光部43を選択的に図示しており、特に遮光部43を網掛け状にして図示している。前者(図9を参照)においては、第1端部44Aに第1傾斜部45Aが含まれることで、第1遮光部43Aの第1端部44Aが全長にわたってスリット30A内に入る事態が回避される。後者(図10を参照)においては、第2端部44Bに第2傾斜部45Bが含まれることで、第1遮光部43Aの第2端部44Bが全長にわたってスリット30A内に入る事態が回避される。このように、いずれの場合においても第1遮光部43AにおけるX軸方向についての左右の各端部44A,44Bが全長にわたってスリット30A内に入る事態が回避されるので、それに起因する輝度低下が生じ難くなる。
【0055】
第1スリット30A1の第1縁部47Aと第1傾斜部45Aとの間の距離は、図8に示すように、Y軸方向について第1スリット30A1における図8の上端に近づくほど小さくなる。同様に、第2スリット30A2の第2縁部47Bと第2傾斜部45Bとの間の距離は、Y軸方向について第2スリット30A2における図8の下端に近づくほど小さくなる。このようになる理由は、第2角度θ2が第1角度θ1よりも大きいためである。そして、傾斜部45のうち、Y軸方向について真直部46側とは反対側の端部が、スリット30A内に入る関係とされる。つまり、各傾斜部45A,45Bは、共通電極30における第1スリット30A1のうち、第2方向に沿って延在する各縁部47A,47Bと平面視において交差して配されている。このようにすれば、仮に傾斜部が共通電極30のうちのスリット30Aの縁部47と平面視において交差しない配置とされる場合に比べると、遮光部43のうちの傾斜部45を有する部分におけるX軸方向についての形成範囲を広く確保することができる。これにより、遮光部43による混色防止機能を担保することができる。
【0056】
次に、遮光部43の端部44のうちの傾斜部45と真直部46との境界BOに関して詳しく説明する。傾斜部45と真直部46との境界BOは、図8から図10に示すように、共通電極30と遮光部43との間に生じ得るX軸方向についての位置ずれ量の想定最大値に基づいて設定されている。この「X軸方向についての位置ずれ量の想定最大値」は、アレイ基板21の製造過程のうちのフォトレジスト膜の露光工程で用いられるフォトマスクに想定されるX軸方向についての最大の位置ずれ量である。本実施形態では、X軸方向についての位置ずれ量の想定最大値は、例えば0.8μm程度とされる。具体的には、図9に示すように、共通電極30に対して遮光部43が正規位置(図8に示す位置)からX軸方向について図9の左側に最大限に位置ずれした場合、第1遮光部43Aの第1端部44Aが、第1スリット30A1の第1縁部47Aと交差する。この交点は、第1遮光部43Aの第1端部44Aのうちの第1傾斜部45Aと真直部46との第1境界BO1と一致している。一方、図10に示すように、共通電極30に対して遮光部43が正規位置からX軸方向について図10の右側に最大限に位置ずれした場合、第1遮光部43Aの第2端部44Bが、第2スリット30A2の第2縁部47Bと交差する。この交点は、第1遮光部43Aの第2端部44Bのうちの第2傾斜部45Bと真直部46との第2境界BO2と一致している。このようにすれば、共通電極30と遮光部43とがX軸方向について想定される最大限に位置ずれしたとき、遮光部43の端部44のうちのスリット30A内に入る部分の全域にわたって傾斜部45が存在することになる。従って、仮に、共通電極30と遮光部43とがX軸方向について想定される最大限に位置ずれした場合に、傾斜部45と真直部46との境界がスリット30A内に位置する場合に比べると、スリット30Aに対する遮光部43の重畳面積が小さくなる。これにより、輝度低下が生じ難くなる。一方、仮に、共通電極30と遮光部43とがX軸方向について想定される最大限に位置ずれした場合に、傾斜部45と真直部46との境界がスリット30A外に位置する場合に比べると、遮光部43の面積が大きくなる。これにより、遮光部43による混色防止機能が高くなる。
【0057】
傾斜部45は、図8に示すように、第2角度θ2が、上限値を87°とし、下限値を第1角度θ1よりも3°大きい角度とした範囲で設けられる。本実施形態では、第1角度θ1が80°であることから、第2角度θ2の角度範囲は、83°~87°とされる。具体的には、本実施形態では、第2角度θ2が上記した角度範囲のうちの上限値である87°とされる。第2角度θ2の数値範囲に含まれる上限値が87°とされているので、仮に上記した上限値が87°よりも大きい場合に比べると、例えば共通電極30と画素電極28との間に生じる電界を利用して制御される液晶分子の配向角度を一定に保ち易くなる。これにより、表示品位を良好に保つことができる。第2角度θ2の数値範囲に含まれる下限値が「第1角度θ1+3°」とされているので、仮に上記した下限値が「第1角度θ1+3°」よりも小さい場合に比べると、遮光部43による混色防止機能が得られ易くなる。
【0058】
続いて、本実施形態に係る液晶パネル11の優位性を検証するため、以下の比較実験1,2を行った。先に、比較実験1に関して説明する。この比較実験1では、比較実験1よりも前の段落にて説明した構成の液晶パネル11を実施例1(図8から図10を参照)とし、遮光部43-1の構成を変更した液晶パネルを比較例1とした。比較例1に係る液晶パネルにおける遮光部43-1は、図11から図13に示される通りである。図11は、共通電極30に対して遮光部43-1が正規位置とされる場合の平面図である。図12は、共通電極30に対して遮光部43-1が左側に最大限に位置ずれした場合の平面図である。図13は、共通電極30に対して遮光部43-1が右側に最大限に位置ずれした場合の平面図である。図11から図13では、遮光部43-1を網掛け状にして図示している。比較例1に備わる遮光部43-1は、図11に示すように、共通電極30のスリット30AとX軸方向について隣り合う端部44-1が、Y軸方向に沿ってほぼ真っ直ぐに延在しており、実施例1のような傾斜部45を含まない。比較例1に備わる遮光部43-1におけるX軸方向についての最大寸法は、実施例1に備わる遮光部43におけるX軸方向についての最大寸法と同一である。従って、比較例1に備わる遮光部43-1は、実施例1に備わる遮光部43における傾斜部45を斜辺とした直角三角形の面積の2倍分、平面に視た面積が大きい。なお、比較例1に備わる遮光部43-1の、X軸方向についての位置ずれ量の想定最大値は、例えば0.8μm程度とされる。
【0059】
比較実験1では、上記のような構成の比較例1及び実施例1に係る各液晶パネルにおいて、共通電極30に対して遮光部43,43-1がX軸方向について位置ずれしない場合と、共通電極30に対して遮光部43,43-1がX軸方向について左側(一方)へ最大限に位置ずれした場合と、共通電極30に対して遮光部43,43-1がX軸方向について右側(他方)へ最大限に位置ずれした場合と、でそれぞれ全画面の白表示(最大階調表示)を行った上で透過光量を測定し、透過率分布を作成した。比較例1に係る透過率分布は、図14から図16に示されている。実施例1に係る透過率分布は、図17から図19に示されている。図14及び図17は、共通電極30に対して遮光部43,43-1が位置ずれしない場合の透過率分布を示す。図15及び図18は、共通電極30に対して遮光部43,43-1が左側へ最大限に位置ずれした場合の透過率分布を示す。図16及び図19は、共通電極30に対して遮光部43,43-1が右側へ最大限に位置ずれした場合の透過率分布を示す。図14から図19に示される透過率分布では、透過率の高低がグレースケールの濃淡により表されており、透過率が高い(明るい)ほど薄くなり、透過率が低い(暗い)ほど濃くなる傾向にある。なお、図14から図19には、X軸方向に沿って続けて並ぶ2つの画素GPX,BPXにおける透過率分布が示されている。
【0060】
比較実験1の実験結果について説明する。共通電極30に対して遮光部43,43-1がX軸方向について位置ずれしない場合は、図14及び図17に示すように、比較例1と実施例1とで透過率分布に殆ど差はない。共通電極30に対して遮光部43,43-1がX軸方向について左側や右側へ最大限に位置ずれした場合は、図15図16図18及び図19に示すように、実施例1の方が比較例1よりも暗部が少ない透過率分布となっている。詳しくは、比較例1において、共通電極30に対して遮光部43-1がX軸方向について左側へ最大限に位置ずれした場合は、図15に示すように、画素GPX,BPX,RPXの右側部分にY軸方向に沿って延在する暗線が生じているのに加え、画素GPX,BPX,RPXの左上角部付近において輝度低下が生じている。比較例1において、共通電極30に対して遮光部43-1がX軸方向について右側へ最大限に位置ずれした場合は、図16に示すように、画素GPX,BPX,RPXの左側部分にY軸方向に沿って延在する暗線が生じているのに加え、画素GPX,BPX,RPXの右下角部付近において輝度低下が生じている。このように、比較例1は、遮光部43-1に位置ずれが生じると、Y軸方向に沿って延在する暗線が視認され易くなる傾向にある。これに対し、実施例1において、共通電極30に対して遮光部43がX軸方向について左側へ最大限に位置ずれした場合は、図18に示すように、画素GPX,BPX,RPXの左上角部付近において輝度低下が生じるものの、暗線として視認されることは殆どない。実施例1において、共通電極30に対して遮光部43がX軸方向について右側へ最大限に位置ずれした場合は、図19に示すように、画素GPX,BPX,RPXの右下角部付近において輝度低下が生じるものの、暗線として視認されることは殆どない。以上のように、実施例1は、比較例1に比べると、遮光部43に位置ずれが生じた場合に生じ得る輝度低下が抑制され、暗線が視認され難くなっている。
【0061】
次に、比較実験2に関して説明する。比較実験2では、上記した比較実験1にて説明した実施例1に係る液晶パネル11と、遮光部43-2の構成を変更した液晶パネルを比較例2と、を用いた。比較例2に係る液晶パネルにおける遮光部43-2は、図20から図22に示される通りである。図20は、共通電極30に対して遮光部43-2が正規位置とされる場合の平面図である。図21は、共通電極30に対して遮光部43-2が左側に最大限に位置ずれした場合の平面図である。図22は、共通電極30に対して遮光部43-2が右側に最大限に位置ずれした場合の平面図である。図20から図22では、遮光部43-2を網掛け状にして図示している。比較例2に備わる遮光部43-2は、図20に示すように、共通電極30のスリット30AとX軸方向について隣り合う端部44-2が、スリット30Aと平行をなして延在している。比較例2に備わる遮光部43-2は、図21及び図22に示すように、共通電極30に対して左右にそれぞれ最大限に位置ずれした場合に、左右の各端部44-2が、各スリット30Aの縁部47と平面に視て一致するよう形成されている。つまり、比較例2に備わる遮光部43-2は、共通電極30に対して左右にそれぞれ最大限に位置ずれした場合でも、スリット30Aと重畳することがない設計とされる。従って、比較例2に備わる遮光部43-2は、実施例1に備わる遮光部43よりも平面に視た面積が小さい。また、比較例2に備わる遮光部43-2におけるX軸方向についての最大寸法は、実施例1に備わる遮光部43におけるX軸方向についての最大寸法よりも小さい。なお、比較例2に備わる遮光部43-2の、X軸方向についての位置ずれ量の想定最大値は、例えば0.8μm程度とされる。
【0062】
比較実験2では、比較例2及び実施例1に係る液晶パネルを用いて、遮光部43,43-2におけるX軸方向についての位置ずれ量と、遮光部43,43-2の位置ずれに伴って各画素GPX,BPX,RPXに生じる色度差と、の関係を調べた。詳しくは、比較実験2では、比較例2及び実施例1に係る各液晶パネルにおいて、緑色、青色及び赤色をそれぞれ全画面で単色表示した上で透過光に係る色度を測定した。透過光に係る色度の測定は、各液晶パネルの正面方向に対して右斜め30°の角度となる位置と、左斜め30°の角度となる位置と、でそれぞれ行った。つまり、各液晶パネルを正面方向に対して±30°の各角度から斜視した場合の透過光に係る色度を測定した。測定結果は、図23及び図24に示す通りである。図23は、比較例2の実験結果である。図24は、実施例1の実験結果である。図23及び図24の縦軸は、透過光に係る色度差を表す。この色度差は、遮光部43,43-2がX軸方向についての位置ずれしない場合において、正面方向となる位置にて測定した色度を基準とした色度の変化量である。具体的には、色度差は、CIE(Commission Internationale de l'Eclairage:国際照明委員会)1976L色空間におけるu直交座標にて各座標u,vの変化量であるΔu,Δvのユークリッド距離であり、下記の式(1)のように定義される「Δu」である。
【0063】
Δu=((Δu+(Δv1/2 (1)
【0064】
図23及び図24の横軸は、遮光部43,43-2におけるX軸方向についての位置ずれ量(単位は「μm」)である。図23及び図24の横軸に示された正の符号は、図8から図10図20から図22に示す右側への位置ずれを意味し、図23及び図24の横軸に示された負の符号は、図8から図10図20から図22に示す左側への位置ずれを意味する。なお、図23及び図24における縦軸に対する右側のデータは、比較例2及び実施例1に係る各液晶パネルの正面方向に対して右斜め30°(+30°)の角度となる位置にて測定されたデータとされる。図23及び図24における縦軸に対する左側のデータは、各液晶パネルの正面方向に対して左斜め30°(-30°)の角度となる位置にて測定されたデータとされる。図23及び図24の凡例に示される「G」は、緑色の単色表示(第1画素GPXのみ最大階調表示)した場合を意味する。図23及び図24の凡例に示される「B」は、青色の単色表示(第2画素BPXのみ最大階調表示)した場合を意味する。図23及び図24の凡例に示される「R」は、赤色の単色表示(第3画素RPXのみ最大階調表示)した場合を意味する。
【0065】
比較実験2の実験結果について説明する。図23によれば、比較例2は、±0.1μm程度と僅かに位置ずれが生じただけで、色度が大きく変化していることが分かる。また、比較例2は、位置ずれしない状態(位置ずれ量が0μmの状態)でも、色度差が生じている。このように、比較例2に備わる遮光部43-2は、混色防止機能を十分に発揮することができない、と言える。これに対し、図24によれば、実施例1は、±0.2μm程度の位置ずれでは色度が殆ど変化しておらず、±0.2μm程度から±0.5μm程度までは色度の変化率が十分に低く保たれている。従って、実施例1に備わる遮光部43は、混色防止機能を十分に発揮することができている、と言える。
【0066】
以上説明したように本実施形態の液晶パネル(表示装置)11は、第1カラーフィルタ29Gと、第1カラーフィルタ29Gと同層で並んで配されて第1カラーフィルタ29Gとは異なる色を呈する第2カラーフィルタ29Bと、第1カラーフィルタ29Gよりも上層側に配されて第1カラーフィルタ29Gと重畳して配される第1画素電極28Aと、第2カラーフィルタ29Bよりも上層側に配されて第2カラーフィルタ29Bと重畳して配される第2画素電極28Bと、第1画素電極28A及び第2画素電極28Bよりも上層側または下層側に配されて第1画素電極28A及び第2画素電極28Bと重畳する共通電極30と、第1画素電極28A及び第2画素電極28Bと共通電極30との間に介在する第8絶縁膜(絶縁膜)38と、第1カラーフィルタ29G及び第2カラーフィルタ29Bよりも上層側にて、第1カラーフィルタ29Gと第2カラーフィルタ29Bとの境界に配される第1遮光部(遮光部)43Aと、を備え、第1画素電極28A及び第2画素電極28Bと共通電極30とのうちの第8絶縁膜38の上層側に位置する共通電極(電極)30が上層電極とされ、第8絶縁膜38の下層側に位置する画素電極(電極)28が下層電極とされ、第1カラーフィルタ29Gと第2カラーフィルタ29Bとの並び方向が第1方向とされ、上層電極である共通電極30のうち、下層電極である画素電極28と重畳する部分には、第1方向に対して傾く第2方向に沿って延在するスリット30Aが設けられ、第1遮光部43Aの外周端部のうち、第1方向についてスリット30Aと隣り合う関係となる端部44には、第1方向に対して第2方向と同じ側に傾く第3方向に沿って延在する傾斜部45が含まれ、傾斜部45は、第1方向に対して第3方向がなす角度である第2角度θ2が、第1方向に対して第2方向がなす角度である第1角度θ1よりも大きい。
【0067】
上層電極である共通電極30におけるスリット30Aの開口縁と下層電極である画素電極28との間に生じる電界を利用して画像の表示を行うことができる。第1カラーフィルタ29Gの透過光が第2画素電極28Bに向かおうとしたり、第2カラーフィルタ29Bの透過光が第1画素電極28Aに向かおうとした場合でも、それらの光を第1遮光部43Aによって遮ることができる。これにより、混色が生じ難くなるので、第1画素電極28Aによる表示と、第2画素電極28Bによる表示と、が適切に行われる。
【0068】
ところで、当該表示装置の製造に際し、スリット30Aを有する上層電極である共通電極30と第1遮光部43Aとが第1方向について位置ずれするおそれがある。位置ずれに伴って、スリット30A内に第1遮光部43Aの一部が入る関係になると、上層電極である共通電極30と下層電極である画素電極28との間に生じる電界に歪み等が生じ、輝度低下が生じるおそれがある。
【0069】
その点、第1遮光部43Aの端部44に含まれる傾斜部45の延在方向である第3方向が第1方向に対してなす角度である第2角度θ2が、スリット30Aの延在方向である第2方向が第1方向に対してなす角度である第1角度θ1よりも大きいので、上層電極である共通電極30と第1遮光部43Aとが第1方向について位置ずれした場合でも、従来のように第1遮光部43Aの端部44が全長にわたってスリット30A内に入る事態を回避することができる。これにより、上層電極である共通電極30と下層電極である画素電極28との間に生じる電界に歪み等が生じ難くなるので、輝度低下が生じ難くなる。また、仮に、第2角度を第1角度θ1よりも小さくした場合に比べると、第1遮光部43Aのうちの傾斜部45を有する部分における第1方向についての形成範囲を広く確保することができる。これにより、第1遮光部43Aによる混色防止機能を担保することができる。
【0070】
また、傾斜部45は、上層電極である共通電極30のうちのスリット30Aの縁部47と平面視において交差して配される。仮に、傾斜部が上層電極である共通電極30のうちのスリット30Aの縁部47と平面視において交差しない配置とされる場合に比べると、第1遮光部43Aのうちの傾斜部45を有する部分における第1方向についての形成範囲を広く確保することができる。これにより、第1遮光部43Aによる混色防止機能を担保することができる。
【0071】
また、第1遮光部43Aの端部44には、第1方向に対して第2角度θ2よりも大きい第3角度θ3をなす真直部(第3角度部)46が含まれ、傾斜部45は、真直部46との境界BOが、上層電極である共通電極30と第1遮光部43Aとが第1方向について想定される最大限に位置ずれした場合にスリット30Aの縁部47と端部44とが交わる交点と一致するよう設けられる。仮に、上層電極である共通電極30と第1遮光部43Aとが第1方向について想定される最大限に位置ずれした場合に、傾斜部45と真直部46との境界がスリット30A内に位置する場合に比べると、スリット30Aに対する第1遮光部43Aの重畳面積が小さくなるので、輝度低下が生じ難くなる。仮に、上層電極である共通電極30と第1遮光部43Aとが第1方向について想定される最大限に位置ずれした場合に、傾斜部45と真直部46との境界がスリット30A外に位置する場合に比べると、第1遮光部43Aの面積が大きいので、第1遮光部43Aによる混色防止機能が高くなる。
【0072】
また、傾斜部45は、第2角度θ2が、上限値を87°とし、下限値を第1角度θ1よりも3°大きい角度とした範囲で設けられる。具体的には、例えば第1角度θ1が80°の場合、傾斜部45は、第2角度θ2が、83°~87°の範囲で設けられる。第2角度θ2の数値範囲に含まれる上限値が87°とされているので、仮に上記した上限値が87°よりも大きい場合に比べると、例えば上層電極である共通電極30と下層電極である画素電極28との間に生じる電界を利用して液晶分子の配向状態を制御するような場合において、液晶分子の配向角度を一定に保ち易くなる。これにより、表示品位を良好に保つことができる。第2角度θ2の数値範囲に含まれる下限値が「第1角度θ1+3°」とされているので、仮に上記した下限値が「第1角度θ1+3°」よりも小さい場合に比べると、第1遮光部43Aによる混色防止機能が得られ易くなる。
【0073】
また、スリット30Aには、第1カラーフィルタ29Gと重畳する第1スリット30A1と、第2カラーフィルタ29Bと重畳する第2スリット30A2と、が含まれ、第1遮光部43Aの外周端部には、第1方向について第1スリット30A1と隣り合う関係となる第1端部44Aと、第1方向について第2スリット30A2と隣り合う関係となる第2端部44Bと、が含まれ、傾斜部45には、第1端部44Aに含まれる第1傾斜部45Aと、第2端部44Bに含まれる第2傾斜部45Bと、が含まれる。上層電極である共通電極30と第1遮光部43Aとが第1方向について位置ずれする際には、第1遮光部43Aの第1端部44Aが第1スリット30A1に近づき、第2端部44Bが第2スリット30A2から遠ざかる場合と、第1遮光部43Aの第2端部44Bが第2スリット30A2に近づき、第1端部44Aが第1スリット30A1から遠ざかる場合と、の2つの場合があり得る。前者においては、第1端部44Aに第1傾斜部45Aが含まれることで、第1遮光部43Aの第1端部44Aが全長にわたってスリット30A内に入る事態が回避される。後者においては、第2端部44Bに第2傾斜部45Bが含まれることで、第1遮光部43Aの第2端部44Bが全長にわたってスリット30A内に入る事態が回避される。このように、いずれの場合においても第1遮光部43Aの端部44が全長にわたってスリット30A内に入る事態が回避されるので、それに起因する輝度低下が生じ難くなる。
【0074】
また、第1遮光部43Aは、上層電極である共通電極30の上層側に配される。このようにすれば、仮に第1遮光部43Aが上層電極である共通電極30の下層側に配される場合に比べると、第1カラーフィルタ29Gと第2カラーフィルタ29Bとの間を行き交おうとする光を、第1遮光部43Aに含まれる遮光膜によってより多く遮ることができる。これにより、混色がより生じ難くなるので、第1画素電極28Aによる表示と、第2画素電極28Bによる表示と、がより適切に行われる。
【0075】
また、上層電極は、共通電極30とされており、第1遮光部43Aは、共通電極30に対して直接積層される。第1遮光部43Aが導電性を有する場合、第1遮光部43Aが共通電極30と同電位となる。このため、共通電極30と第1遮光部43Aとが第1方向について位置ずれした場合、第1遮光部43Aがスリット30A内に入ると、共通電極30と各画素電極28との間に生じる電界により大きな影響が及ぶことが懸念される。その点、共通電極30と第1遮光部43Aとが第1方向について位置ずれした場合でも、第1遮光部43Aが全長にわたって共通電極30のスリット30A内に入る事態が回避されるので、電界への影響を十分に抑制することができる。これにより、輝度低下を効果的に生じ難くすることができる。
【0076】
<実施形態2>
実施形態2を図25から図31によって説明する。この実施形態2では、遮光部143の構成を変更した場合を示す。なお、上記した実施形態1と同様の構造、作用及び効果について重複する説明は省略する。
【0077】
本実施形態に係る遮光部143は、図25に示すように、端部144に占める傾斜部145の長さの比率が、上記した実施形態1に係る傾斜部45の長さの比率よりも低い。従って、本実施形態では、端部144に占める真直部146の長さの比率が、上記した実施形態1に係る真直部46の長さの比率よりも高い。そして、遮光部143は、図26及び図27に示すように、共通電極130に対して正規位置(図25に示す位置)からX軸方向について左右にそれぞれ最大限に位置ずれした場合のいずれにおいても、端部144に含まれる傾斜部145と真直部146との境界BOが、スリット130A内に位置するよう設けられている。遮光部143がX軸方向について左右にそれぞれ最大限に位置ずれした場合、真直部146がスリット130Aの縁部147と交差する。各真直部146と各スリット130A1,130A2の各縁部147A,147Bとの各交点CP1,CP2は、各スリット130A1,130A2内に位置する。このようにすれば、仮に、共通電極130と遮光部143とがX軸方向について想定される最大限に位置ずれした場合に、傾斜部145と真直部146との境界が、スリット130A外に位置する場合やスリット130Aの縁部147と端部144とが交わる交点CP1,CP2と一致する場合に比べると、第1遮光部143Aの面積が大きいので、遮光部143による混色防止機能が高くなる。
【0078】
傾斜部145の端部144における境界BOの設計に関して詳しく説明する。当該設計を説明するため、図25から図27には、上記した比較実験1に記載した比較例1に係る構成を二点鎖線にて追加し、端部の符号「44-1」を追加している。まず、図25に示すように、遮光部143が共通電極130に対して正規位置とされた状態で、各端部44-1が、各スリット130A1,130A2の各縁部147A,147Bと交差する交点をそれぞれ「第3交点CP3」,「第4交点CP4」とする。次に、図26に示すように、遮光部143が共通電極130に対してX軸方向について左側に最大限に位置ずれした状態での真直部146と第1スリット130A1の第1縁部147Aとの第1交点CP1から上記した第3交点CP3までのY軸方向についての距離をL1とする。傾斜部145の第1端部144Aにおける第1境界BO1から第1交点CP1までのY軸方向についての距離d1は、「L1/2」と一致する。同様に、図27に示すように、遮光部143が共通電極130に対してX軸方向について右側に最大限に位置ずれした状態での真直部146と第2スリット130A2の第2縁部147Bとの第2交点CP2から上記した第4交点CP4までのY軸方向についての距離をL2とする。傾斜部145の第2端部144Bにおける第2境界BO2から第2交点CP2までのY軸方向についての距離d2は、「L2/2」と一致する。
【0079】
以上のように、本実施形態に係る傾斜部145は、図26に示すように、共通電極130と遮光部143とがX軸方向について左側に想定される最大限に位置ずれした場合に、第1スリット130A1の第1縁部147Aと第1端部144Aとが交わる第1交点CP1と第1境界BO1との間の距離d1が、第1端部144Aにおける長さ方向についての中央位置C1と第1交点CP1との間の距離d3よりも大きい。このようにすれば、仮に、上記した第1交点CP1と第1境界BO1との間の距離が、上記した中央位置C1と第1交点CP1との間の距離d3と同じか小さい場合に比べると、傾斜部145の形成範囲が広くなる。これにより、スリット130Aに対する遮光部143の重畳面積が小さく保たれるので、輝度低下が生じ難くなる。同様に、傾斜部145は、図27に示すように、共通電極130と遮光部143とがX軸方向について右側に想定される最大限に位置ずれした場合に、第2スリット130A2の第2縁部147Bと第2端部144Bとが交わる第2交点CP2と第2境界BO2との間の距離d2が、第2端部144Bにおける長さ方向についての中央位置C2と第2交点CP2との間の距離d4よりも大きい。このようにすれば、仮に、上記した第2交点CP2と第2境界BO2との間の距離が、上記した中央位置C2と第2交点CP2との間の距離d4と同じか小さい場合に比べると、傾斜部145の形成範囲が広くなる。これにより、スリット130Aに対する遮光部143の重畳面積が小さく保たれるので、輝度低下が生じ難くなる。
【0080】
続いて、本実施形態に係る液晶パネルの優位性を検証するため、以下の比較実験3,4を行った。先に、比較実験3に関して説明する。この比較実験3は、上記した実施形態1に記載した比較実験1と同様であり、比較実験3よりも前の段落にて説明した構成の液晶パネルを実施例2(図25から図27を参照)とする。比較実験3での実験方法は、比較実験1に記載した通りである。実験結果は、図28から図30に示される通りである。図28は、共通電極130に対して遮光部143が位置ずれしない場合の透過率分布を示す。図29は、共通電極130に対して遮光部143が左側へ最大限に位置ずれした場合の透過率分布を示す。図30は、共通電極130に対して遮光部143が右側へ最大限に位置ずれした場合の透過率分布を示す。図28から図30に示される透過率分布は、図14から図19に示される透過率分布と同様のものである。
【0081】
比較実験3の実験結果について説明する。実施例2において、共通電極130に対して遮光部143がX軸方向について左側へ最大限に位置ずれした場合は、図29に示すように、画素GPX,BPX,RPXの左上角部付近において輝度低下が生じるものの、暗線として視認されることは殆どない。実施例2において、共通電極130に対して遮光部143がX軸方向について右側へ最大限に位置ずれした場合は、図30に示すように、画素GPX,BPX,RPXの右下角部付近において輝度低下が生じるものの、暗線として視認されることは殆どない。このように、図28から図30によれば、実施例2は、上記した実施形態1に記載の比較実験1の実施例1(図17から図19)と比べても、同等程度に輝度低下が抑制されており、暗線が十分に視認され難くなっている。
【0082】
次に、比較実験4に関して説明する。比較実験4では、上記した比較実験3にて説明した実施例2に係る液晶パネルを用いて、上記した実施形態1に記載した比較実験2と同様に、遮光部143におけるX軸方向についての位置ずれ量と、遮光部143の位置ずれに伴って各画素GPX,BPX,RPXに生じる色度差と、の関係を調べた。比較実験4での実験方法は、比較実験2に記載した通りである。実験結果は、図31に示される通りである。図31に示されるグラフは、図23及び図24に示されるグラフと同様のものである。
【0083】
比較実験4の実験結果について説明する。図31によれば、実施例2は、±0.3μm程度の位置ずれでは色度が殆ど変化しておらず、±0.3μm程度から±0.6μm程度までは色度の変化率が十分に低く保たれている。従って、実施例2に備わる遮光部143は、混色防止機能を十分に発揮することができている、と言える。実施例2を、上記した実施形態1に記載の比較実験2の実施例1(図24)と比べると、色度差がより小さく抑えられていることが分かる。従って、実施例2は、実施例1よりも高い混色防止機能を発揮することができる、と言える。
【0084】
以上説明したように本実施形態によれば、第1遮光部143Aの端部144には、第1方向に対して第2角度θ2よりも大きい第3角度θ3をなす真直部146が含まれ、傾斜部145は、真直部146との境界BOが、上層電極である共通電極130と第1遮光部143Aとが第1方向について想定される最大限に位置ずれした場合にスリット130A内に位置するよう設けられる。仮に、上層電極である共通電極130と第1遮光部143Aとが第1方向について想定される最大限に位置ずれした場合に、傾斜部145と真直部146との境界が、スリット130A外に位置する場合やスリット130Aの縁部147と端部144とが交わる交点と一致する場合に比べると、第1遮光部143Aの面積が大きいので、第1遮光部143Aによる混色防止機能が高くなる。
【0085】
また、傾斜部145は、上層電極である共通電極130と第1遮光部143Aとが第1方向について想定される最大限に位置ずれした場合にスリット130Aの縁部147と端部144とが交わる交点CP1,CP2と境界BO1,BO2との間の距離d1,d2が、端部144における長さ方向についての中央位置C1,C2と交点CP1,CP2との間の距離d3,d4よりも大きい。仮に、上記した交点CP1,CP2と境界BO1,BO2との間の距離が、上記した中央位置C1,C2と交点CP1,CP2との間の距離d3,d4と同じか小さい場合に比べると、傾斜部145の形成範囲が広くなる。これにより、スリット130Aに対する第1遮光部143Aの重畳面積が小さく保たれるので、輝度低下が生じ難くなる。
【0086】
<実施形態3>
実施形態3を図32から図38によって説明する。この実施形態3では、上記した実施形態2から遮光部243の構成を変更した場合を示す。なお、上記した実施形態2と同様の構造、作用及び効果について重複する説明は省略する。
【0087】
本実施形態に係る遮光部243の端部244に含まれる傾斜部245は、図32に示すように、X軸方向に対して例えば85°の角度をなし、Y軸方向に対して例えば5°の角度をなす勾配とされる。つまり、本実施形態に係る傾斜部245は、第2角度θ2が例えば85°となっており、第1角度θ1である80°よりは大きいものの、実施形態1,2に係る傾斜部45,145の第2角度θ2である87°よりも小さい。本実施形態に係る遮光部243は、X軸方向についての最大寸法が、実施形態2に記載した遮光部143におけるX軸方向についての最大寸法と同じである。このことから、本実施形態に係る遮光部243の面積は、実施形態2に記載した遮光部143の面積よりも小さい。図33及び図34に示すように、共通電極230に対して遮光部243がX軸方向について左右に最大限に位置ずれした場合にスリット230Aに対する遮光部243の重畳面積は、実施形態2に記載した遮光部143における同様の重畳面積(図26及び図27を参照)よりも小さい。従って、本実施形態によれば、遮光部243がX軸方向について位置ずれすることに起因して生じ得る輝度低下を、実施形態2よりも抑制することができる。
【0088】
続いて、本実施形態に係る液晶パネルの優位性を検証するため、以下の比較実験5,6を行った。先に、比較実験5に関して説明する。この比較実験5は、上記した実施形態1に記載した比較実験1と同様であり、比較実験5よりも前の段落にて説明した構成の液晶パネルを実施例3(図32から図34を参照)とする。比較実験5での実験方法は、比較実験1に記載した通りである。実験結果は、図35から図37に示される通りである。図35は、共通電極230に対して遮光部243が位置ずれしない場合の透過率分布を示す。図36は、共通電極230に対して遮光部243が左側へ最大限に位置ずれした場合の透過率分布を示す。図37は、共通電極230に対して遮光部243が右側へ最大限に位置ずれした場合の透過率分布を示す。図35から図37に示される透過率分布は、図14から図19に示される透過率分布と同様のものである。
【0089】
比較実験5の実験結果について説明する。実施例3において、共通電極230に対して遮光部243がX軸方向について左側へ最大限に位置ずれした場合は、図36に示すように、画素GPX,BPX,RPXの左上角部付近において輝度低下が生じるものの、暗線として視認されることは殆どない。実施例3において、共通電極230に対して遮光部243がX軸方向について右側へ最大限に位置ずれした場合は、図37に示すように、画素GPX,BPX,RPXの右下角部付近において輝度低下が生じるものの、暗線として視認されることは殆どない。このように、図35から図37によれば、実施例3は、上記した実施形態2に記載の比較実験3の実施例2(図28から図30)との比較において、遮光部243の位置ずれに起因して輝度低下した部分(図36では画素GPX,BPX,RPXの左上角部付近、図37では画素GPX,BPX,RPXの右下角部付近)が明るくなっている。つまり、実施例3は、実施例2よりも遮光部243の位置ずれに起因する輝度低下がより効果的に抑制されている、と言える。
【0090】
次に、比較実験6に関して説明する。比較実験6では、上記した比較実験5にて説明した実施例3に係る液晶パネルを用いて、上記した実施形態1に記載した比較実験2と同様に、遮光部243におけるX軸方向についての位置ずれ量と、遮光部243の位置ずれに伴って各画素GPX,BPX,RPXに生じる色度差と、の関係を調べた。比較実験6での実験方法は、比較実験2に記載した通りである。実験結果は、図38に示される通りである。図38に示されるグラフは、図23及び図24に示されるグラフと同様のものである。
【0091】
比較実験6の実験結果について説明する。図38によれば、実施例3は、±0.2μm程度の位置ずれでは色度が殆ど変化しておらず、±0.2μm程度から±0.5μm程度までは色度の変化率が十分に低く保たれている。従って、実施例3に備わる遮光部243は、混色防止機能を十分に発揮することができている、と言える。実施例3を、上記した実施形態2に記載の比較実験4の実施例2(図31)と比べると、混色防止機能が多少劣る。しかしながら、実施例3は、上記した実施形態1に記載の比較実験2の実施例1(図24)と同等の混色防止機能が得られている。従って、実施例3は、実施例2よりは混色防止機能が低いものの、実施例1と同等の混色防止機能を発揮することができる、と言える。
【0092】
<実施形態4>
実施形態4を図39から図45によって説明する。この実施形態4では、上記した実施形態2から遮光部343の構成を変更した場合を示す。なお、上記した実施形態2と同様の構造、作用及び効果について重複する説明は省略する。
【0093】
本実施形態に係る遮光部343の端部344に含まれる傾斜部345は、図39に示すように、X軸方向に対して例えば83°の角度をなし、Y軸方向に対して例えば7°の角度をなす勾配とされる。つまり、本実施形態に係る傾斜部345は、第2角度θ2が例えば83°となっており、第1角度θ1である80°よりは大きいものの、実施形態3に係る傾斜部245の第2角度θ2である85°よりも小さい。本実施形態に係る遮光部343は、X軸方向についての最大寸法が、実施形態2,3に記載した遮光部143,243におけるX軸方向についての各最大寸法と同じである。このことから、本実施形態に係る遮光部343の面積は、実施形態3に記載した遮光部243の面積よりも小さい。図40及び図41に示すように、共通電極330に対して遮光部343がX軸方向について左右に最大限に位置ずれした場合にスリット330Aに対する遮光部343の重畳面積は、実施形態3に記載した遮光部243における同様の重畳面積(図33及び図34を参照)よりも小さい。従って、本実施形態によれば、遮光部343がX軸方向について位置ずれすることに起因して生じ得る輝度低下を、実施形態3よりも抑制することができる。
【0094】
続いて、本実施形態に係る液晶パネルの優位性を検証するため、以下の比較実験7,8を行った。先に、比較実験7に関して説明する。この比較実験7は、上記した実施形態1に記載した比較実験1と同様であり、比較実験7よりも前の段落にて説明した構成の液晶パネルを実施例4(図39から図41を参照)とする。比較実験7での実験方法は、比較実験1に記載した通りである。実験結果は、図42から図44に示される通りである。図42は、共通電極330に対して遮光部343が位置ずれしない場合の透過率分布を示す。図43は、共通電極330に対して遮光部343が左側へ最大限に位置ずれした場合の透過率分布を示す。図44は、共通電極330に対して遮光部343が右側へ最大限に位置ずれした場合の透過率分布を示す。図42から図44に示される透過率分布は、図14から図19に示される透過率分布と同様のものである。
【0095】
比較実験7の実験結果について説明する。実施例4において、共通電極330に対して遮光部343がX軸方向について左側へ最大限に位置ずれした場合は、図43に示すように、画素GPX,BPX,RPXの左上角部付近において輝度低下が生じるものの、暗線として視認されることは殆どない。実施例4において、共通電極330に対して遮光部343がX軸方向について右側へ最大限に位置ずれした場合は、図44に示すように、画素GPX,BPX,RPXの右下角部付近において輝度低下が生じるものの、暗線として視認されることは殆どない。このように、図42から図44によれば、実施例4は、上記した実施形態3に記載の比較実験5の実施例3(図35から図37)との比較において、遮光部343の位置ずれに起因して輝度低下した部分(図43では画素GPX,BPX,RPXの左上角部付近、図44では画素GPX,BPX,RPXの右下角部付近)が明るくなっている。つまり、実施例4は、実施例3よりも遮光部343の位置ずれに起因する輝度低下がさらに効果的に抑制されている、と言える。
【0096】
次に、比較実験8に関して説明する。比較実験8では、上記した比較実験7にて説明した実施例4に係る液晶パネルを用いて、上記した実施形態1に記載した比較実験2と同様に、遮光部343におけるX軸方向についての位置ずれ量と、遮光部343の位置ずれに伴って各画素GPX,BPX,RPXに生じる色度差と、の関係を調べた。比較実験8での実験方法は、比較実験2に記載した通りである。実験結果は、図45に示される通りである。図45に示されるグラフは、図23及び図24に示されるグラフと同様のものである。
【0097】
比較実験8の実験結果について説明する。図45によれば、実施例4は、±0.2μm程度の位置ずれでは色度が殆ど変化しておらず、±0.2μm程度から±0.4μm程度までは色度の変化率が十分に低く保たれている。従って、実施例4に備わる遮光部343は、混色防止機能を十分に発揮することができている、と言える。実施例4を、上記した実施形態3に記載の比較実験6の実施例3(図38)と比べると、混色防止機能が多少劣る。しかしながら、実施例4は、上記した実施形態1に記載の比較実験2の比較例2(図23)と比べると、優れた混色防止機能が得られている。従って、実施例4は、実施例3よりは混色防止機能が低いものの、比較例2よりは高い混色防止機能を発揮することができる、と言える。
【0098】
<実施形態5>
実施形態5を図46または図47によって説明する。この実施形態5では、上記した実施形態3から遮光部443の構成を変更した場合を示す。なお、上記した実施形態3と同様の構造、作用及び効果について重複する説明は省略する。
【0099】
本実施形態に係る遮光部443は、図46に示すように、共通電極430に対して正規位置(図46に示す位置)からX軸方向について左右にそれぞれ最大限に位置ずれした場合のいずれにおいても、端部444に含まれる傾斜部445と真直部446との境界BOが、遮光部443の端部444とスリット430Aの縁部447との交点と一致するよう構成される。なお、図46には、遮光部443がX軸方向について左右にそれぞれ最大限に位置ずれした場合の遮光部443の外形を二点鎖線にて図示している。本実施形態に係る遮光部443の面積は、実施形態3に記載した遮光部243の面積よりも小さい。共通電極430に対して遮光部443がX軸方向について左右に最大限に位置ずれした場合にスリット430Aに対する遮光部443の重畳面積は、実施形態3に記載した遮光部243における同様の重畳面積(図33及び図34を参照)よりも小さい。従って、本実施形態によれば、遮光部443がX軸方向について位置ずれすることに起因して生じ得る輝度低下を、実施形態3よりも抑制することができる。
【0100】
続いて、本実施形態に係る液晶パネルの優位性を検証するため、以下の比較実験9を行った。比較実験9は、上記した実施形態1に記載した比較実験2と同様であり、比較実験9よりも前の段落にて説明した構成の液晶パネルを実施例5(図46を参照)とする。比較実験9では、実施例5に係る液晶パネルを用いて、上記した実施形態1に記載した比較実験2と同様に、遮光部443におけるX軸方向についての位置ずれ量と、遮光部443の位置ずれに伴って各画素GPX,BPX,RPXに生じる色度差と、の関係を調べた。比較実験9での実験方法は、比較実験2に記載した通りである。実験結果は、図47に示される通りである。図47に示されるグラフは、図23及び図24に示されるグラフと同様のものである。
【0101】
比較実験9の実験結果について説明する。図47によれば、実施例5は、±0.1μm程度の位置ずれでは色度が殆ど変化しておらず、±0.1μm程度から±0.2μm程度までは色度の変化率が十分に低く保たれている。従って、実施例5に備わる遮光部443は、混色防止機能をある程度発揮することができている、と言える。実施例5を、上記した実施形態3に記載の比較実験6の実施例3(図38)と比べると、混色防止機能が劣る。しかしながら、実施例5は、上記した実施形態1に記載の比較実験2の比較例2(図23)と比べると、優れた混色防止機能が得られている。従って、実施例5は、実施例3よりは混色防止機能が低いものの、比較例2よりは高い混色防止機能を発揮することができる、と言える。
【0102】
<実施形態6>
実施形態6を図48または図49によって説明する。この実施形態6では、上記した実施形態4から遮光部543の構成を変更した場合を示す。なお、上記した実施形態4と同様の構造、作用及び効果について重複する説明は省略する。
【0103】
本実施形態に係る遮光部543は、図48に示すように、共通電極530に対して正規位置(図48に示す位置)からX軸方向について左右にそれぞれ最大限に位置ずれした場合のいずれにおいても、端部544に含まれる傾斜部545と真直部546との境界BOが、遮光部543の端部544とスリット530Aの縁部547との交点と一致するよう構成される。なお、図48には、遮光部543がX軸方向について左右にそれぞれ最大限に位置ずれした場合の遮光部543の外形を二点鎖線にて図示している。本実施形態に係る遮光部543の面積は、実施形態4に記載した遮光部343の面積よりも小さい。共通電極530に対して遮光部543がX軸方向について左右に最大限に位置ずれした場合にスリット530Aに対する遮光部543の重畳面積は、実施形態4に記載した遮光部343における同様の重畳面積(図40及び図41を参照)よりも小さい。従って、本実施形態によれば、遮光部543がX軸方向について位置ずれすることに起因して生じ得る輝度低下を、実施形態4よりも抑制することができる。
【0104】
続いて、本実施形態に係る液晶パネルの優位性を検証するため、以下の比較実験10を行った。比較実験10は、上記した実施形態1に記載した比較実験2と同様であり、比較実験10よりも前の段落にて説明した構成の液晶パネルを実施例6(図48を参照)とする。比較実験10では、実施例6に係る液晶パネルを用いて、上記した実施形態1に記載した比較実験2と同様に、遮光部543におけるX軸方向についての位置ずれ量と、遮光部543の位置ずれに伴って各画素GPX,BPX,RPXに生じる色度差と、の関係を調べた。比較実験10での実験方法は、比較実験2に記載した通りである。実験結果は、図49に示される通りである。図49に示されるグラフは、図23及び図24に示されるグラフと同様のものである。
【0105】
比較実験10の実験結果について説明する。図49によれば、実施例6は、±0.1μm程度の位置ずれでは色度が殆ど変化しておらず、±0.1μm程度から±0.15μm程度までは色度の変化率が十分に低く保たれている。従って、実施例6に備わる遮光部543は、混色防止機能をある程度発揮することができている、と言える。実施例6を、上記した実施形態4に記載の比較実験8の実施例4(図45)と比べると、混色防止機能が劣る。しかしながら、実施例6は、上記した実施形態1に記載の比較実験2の比較例2(図23)と比べると、優れた混色防止機能が得られている。従って、実施例6は、実施例4よりは混色防止機能が低いものの、比較例2よりは高い混色防止機能を発揮することができる、と言える。
【0106】
<実施形態7>
実施形態7を図50から図62によって説明する。この実施形態7では、上記した実施形態2からソース配線626、カラーフィルタ629及び遮光部643等の構成を変更した場合を示す。なお、上記した実施形態2と同様の構造、作用及び効果について重複する説明は省略する。
【0107】
本実施形態に係るソース配線626は、図50に示すように、ジグザグ状に繰り返し屈曲されつつも概ねY軸方向に沿って延在する。ソース配線626は、X軸方向(第1方向)及びY軸方向(第4方向)に対して傾いた方向である第5方向に沿って延在する部分である斜め配線部48を有する。斜め配線部48は、X軸方向に対して例えば85°の角度をなし、Y軸方向に対して例えば5°の角度をなしている。ここで、斜め配線部48の延在方向である第5方向がX軸方向(第1方向)に対してなす角度を「第4角度θ4」としたとき、第4角度θ4は、例えば85°となる。斜め配線部48は、X軸方向(Y軸方向)に対する傾き方が逆となる第1斜め配線部48αと第2斜め配線部48βとの2種類が存在している。第1斜め配線部48αは、図50において左下から右上へ向かう方向に沿って延在している。第2斜め配線部48βは、図50において右下から左上へ向かう方向に沿って延在している。カラーフィルタ629(第1カラーフィルタ629G、第2カラーフィルタ629B及び第3カラーフィルタ629R)は、ソース配線626に並行して延在しており、ジグザグ状に繰り返し屈曲されている。カラーフィルタ629は、ソース配線626と同様に、X軸方向及びY軸方向に対して傾いた方向である第5方向に沿って延在する部分(斜めカラーフィルタ部)を含む。カラーフィルタ629のうちの第5方向に沿って延在する部分は、ソース配線626の斜め配線部48とほぼ平行であり、X軸方向に対して例えば85°の角度をなし、Y軸方向に対して例えば5°の角度をなしている。
【0108】
本実施形態に係る共通電極630のスリット630AのうちのY軸方向についての中央側部分の延在方向は、図51に示すように、X軸方向に対して例えば75°の角度をなし、Y軸方向に対して例えば15°の角度をなしている。ここで、スリット630AのうちのY軸方向についての中央側部分の延在方向である第2方向がX軸方向(第1方向)に対してなす角度を「第1角度θ1」としたとき、第1角度θ1は、例えば75°となる。画素電極628のうちのY軸方向についての中央側部分は、スリット630AのうちのY軸方向についての中央側部分とほぼ平行であり、X軸方向に対して例えば75°の角度をなし、Y軸方向に対して例えば15°の角度をなしている。ここで、Y軸方向についてゲート配線25(図5を参照)を挟んで隣り合う2つの画素電極628α,628βは、X軸方向(Y軸方向)に対する傾き方が逆となっている。上記した2つの画素電極628α,628βのうちの一方の画素電極628αは、図51において左下から右上へ向かう方向に沿って延在していて、X軸方向についてソース配線626の第1斜め配線部48αと隣り合って配される。上記したう2つの画素電極628α,628βのうちの他方の画素電極628βは、図51において右下から左上へ向かう方向に沿って延在していて、X軸方向についてソース配線626の第2斜め配線部48βと隣り合って配される。
【0109】
上記した2つの画素電極628α,628βと重畳する2つのスリット630Aα,630Aβは、図51に示すように、X軸方向(Y軸方向)に対する傾き方が逆となっている。上記した2つのスリット630Aα,630Aβのうち、一方のスリット630Aαは、図51において左下から右上へ向かう方向に沿って延在していて、X軸方向についてソース配線626の第1斜め配線部48αと隣り合って配される。一方のスリット630Aαの延在方向は、X軸方向(第1方向)に対して第1斜め配線部48αの延在方向と同じ側に傾いている。上記したう2つのスリット630Aα,630Aβのうちの他方のスリット630Aβは、図51において右下から左上へ向かう方向に沿って延在していて、X軸方向についてソース配線626の第2斜め配線部48βと隣り合って配される。他方のスリット630Aβの延在方向は、X軸方向に対して第2斜め配線部48βの延在方向と同じ側に傾いている。
【0110】
上記した2つのスリット630Aα,630Aβに対してX軸方向についてそれぞれ隣り合う2つの遮光部643は、図51に示すように、X軸方向(Y軸方向)に対する傾斜部645の傾き方が逆となっている。上記した2つの遮光部643のうち、一方の遮光部643αは、傾斜部645に含まれる第1傾斜部645A及び第2傾斜部645Bが、いずれも図51において左下から右上へ向かう方向に沿って延在する。上記した2つの遮光部643のうち、他方の遮光部643βは、傾斜部645に含まれる第1傾斜部645A及び第2傾斜部645Bが、いずれも図51において右下から左上へ向かう方向に沿って延在する。
【0111】
ところで、斜め配線部48を有するソース配線626は、図51に示すように、遮光部643と同様に、X軸方向について隣り合う2つのカラーフィルタ629(第1カラーフィルタ629G及び第2カラーフィルタ629B)の境界に配されている。従って、ソース配線626及び遮光部643は、互いに少なくとも一部同士が重畳する関係とされる。そして、上記したように、斜め配線部48の延在方向(第5方向)は、X軸方向(第1方向)に対してスリット630Aの延在方向(第2方向)と同じ側に傾いていることから、仮に斜め配線部48の延在方向がX軸方向に対して直交する場合(Y軸方向と平行な場合)に比べると、遮光部643とソース配線626とのX軸方向についての重畳範囲が、斜め配線部48の延在方向についての位置によって変化し難くなっている。これにより、遮光部643による混色防止機能が良好に保たれる。
【0112】
さらには、上記した通り、スリット630Aの延在方向がX軸方向に対してなす第1角度θ1は、「75°」であり、ソース配線626の斜め配線部48の延在方向がX軸方向に対してなす第4角度θ4(85°)よりも小さい。このようにすれば、仮に第1角度θ1を第4角度θ4と同じか第4角度θ4よりも大きくした場合に比べると、例えば上層電極である共通電極630と下層電極である画素電極628との間に生じる電界を利用して液晶分子の配向状態を制御するような場合において、液晶分子の応答時間を低減することができる。これにより、表示品位の向上を図ることができる。
【0113】
本実施形態に係る遮光部643の端部644に含まれる傾斜部645は、図52に示すように、X軸方向に対して例えば80°の角度をなし、Y軸方向に対して例えば10°の角度をなしている。ここで、傾斜部645の延在方向である第3方向がX軸方向(第1方向)に対してなす角度を「第2角度θ2」としたとき、第2角度θ2は、例えば80°となる。従って、第2角度θ2は、上記した第4角度θ4(85°)よりも小さく、第1角度θ1(75°)よりも大きい。遮光部643は、ソース配線626に対してX軸方向について中央位置が一致するよう平面配置されている。そして、遮光部643は、傾斜部645を有する部分におけるX軸方向についての寸法が、ソース配線626におけるX軸方向についての寸法よりも大きい。従って、遮光部643がX軸方向について位置ずれしない場合は、遮光部643のうちのX軸方向についての中央側部分がソース配線626と重畳し、遮光部643のうちのX軸方向についての両端側部分がソース配線626に対して両側方にはみ出した配置、つまりソース配線626とは非重畳の配置となる。上記した遮光部643の両端側部分は、X軸方向についてソース配線626を挟み込む2つのカラーフィルタ629(第1カラーフィルタ629G及び第2カラーフィルタ629B)と重畳する関係となる。これにより、遮光部643による混色防止機能が担保される。
【0114】
本実施形態に係る遮光部643の端部644に含まれる第3角度部646は、図52に示すように、X軸方向及びY軸方向に対して傾いた方向である第6方向に沿って延在する。
第3角度部646は、X軸方向に対して例えば85°の角度をなし、Y軸方向に対して例えば5°の角度をなしている。ここで、第3角度部646の延在方向である第6方向がX軸方向(第1方向)に対してなす角度を「第3角度θ3」としたとき、第3角度θ3は、例えば85°となり、上記した第2角度θ2(80°)よりも大きく、上記した第4角度θ4(85°)と等しい。このようにすれば、遮光部643のうちの第3角度部646を有する部分とソース配線626の斜め配線部48とのX軸方向についての重畳範囲が、斜め配線部48の延在方向(第5方向)についての位置によってより変化し難くなる。これにより、遮光部643による混色防止機能がより良好に保たれる。
【0115】
続いて、本実施形態に係る液晶パネル11の優位性を検証するため、以下の比較実験11,12を行った。先に、比較実験11に関して説明する。この比較実験11は、上記した実施形態1に記載した比較実験1と同様であり、比較実験11よりも前の段落にて説明した構成の液晶パネルを実施例7(図52から図54を参照)とする。比較実験11での実験方法は、比較実験1に記載した通りである。実験結果は、図55から図57に示される通りである。図55は、共通電極630に対して遮光部643が位置ずれしない場合(図52を参照)の透過率分布を示す。図56は、共通電極630に対して遮光部643が左側へ最大限に位置ずれした場合(図53を参照)の透過率分布を示す。図57は、共通電極630に対して遮光部643が右側へ最大限に位置ずれした場合(図54を参照)の透過率分布を示す。図55から図57に示される透過率分布は、図17から図19に示される透過率分布と同様のものである。
【0116】
比較実験11の実験結果について説明する。実施例7において、共通電極630に対して遮光部643がX軸方向について左側へ最大限に位置ずれした場合は、図56に示すように、画素GPX,BPX,RPXの左上角部付近において輝度低下が生じるものの、暗線として視認されることは殆どない。実施例7において、共通電極630に対して遮光部643がX軸方向について右側へ最大限に位置ずれした場合は、図57に示すように、画素GPX,BPX,RPXの右下角部付近において輝度低下が生じるものの、暗線として視認されることは殆どない。このように、図55から図57によれば、実施例7は、上記した実施形態3に記載の比較実験5の実施例3(図35から図37)と比べると、2%程度輝度が低いものの、上記した実施形態1に記載の比較実験1の実施例1(図17から図19)と比べても、同等程度に輝度低下が抑制されており、暗線が十分に視認され難くなっている。
【0117】
次に、比較実験12に関して説明する。比較実験12では、上記した比較実験11にて説明した実施例7に係る液晶パネルと、各種構成を変更した液晶パネルを比較例3,4と、を用いた。比較例3に係る液晶パネルに備わる構成は、図58に示される通りであり、比較例4に係る液晶パネルに備わる構成は、図59に示される通りである。図58及び図59は、共通電極630に対して遮光部643-3,643-4が正規位置とされる場合の平面図である。なお、図58及び図59では、遮光部643-3,643-4を網掛け状にして図示するとともに、遮光部643-3,643-4がX軸方向について左右にそれぞれ最大限に位置ずれした場合の遮光部643-3,643-4の外形を二点鎖線にて図示している。比較例3,4に係る液晶パネルは、以下に説明する構成を除いては、実施例7に係る液晶パネルと同じ構成とされる。比較例3に係る液晶パネルに備わるソース配線626-3は、図58に示すように、Y軸方向に沿ってほぼ真っ直ぐに延在しており、斜め配線部48(図52を参照)を有さない。比較例4に係る液晶パネルに備わるソース配線626-4の斜め配線部48-4は、図59に示すように、第4角度θ4-4が75°とされる。また、比較例4に係る液晶パネルに備わる遮光部643-4の端部644-4は、全長にわたって傾斜部645-4とされていて、第2角度θ2-4が75°とされる。つまり、比較例4に係る液晶パネルにおいて、第2角度θ2-4及び第4角度θ4-4は、第1角度θ1と等しい。比較実験12では、上記した実施形態1に記載した比較実験2と同様に、実施例7及び比較例3,4に係る各液晶パネルについて、遮光部643,643-3,643-4におけるX軸方向についての位置ずれ量と、遮光部643,643-3,643-4の位置ずれに伴って各画素GPX,BPX,RPXに生じる色度差と、の関係を調べた。比較実験12での実験方法は、比較実験2に記載した通りである。実験結果は、図60から図62に示される通りである。図60は、比較例3の実験結果である。図61は、比較例4の実験結果である。図62は、実施例7の実験結果である。図60から図62に示されるグラフは、図23及び図24に示されるグラフと同様のものである。
【0118】
比較実験12の実験結果について説明する。図60によれば、比較例3は、±0.1μm程度と僅かに位置ずれが生じただけで、色度が大きく変化していることが分かる。また、比較例3は、位置ずれしない状態(位置ずれ量が0μmの状態)でも、色度差が生じている。このように、比較例3に備わる遮光部643-3は、混色防止機能を十分に発揮することができない、と言える。図61によれば、比較例4は、±0.5μm程度の位置ずれでは色度が殆ど変化しておらず、±0.5μmを超える位置ずれが生じると、色度が急激に変化する傾向にあることが分かる。従って、比較例4に備わる遮光部643-4は、混色防止機能を十分に発揮することができている、と言える。しかしながら、比較例4では、遮光部643-4がX軸方向について位置ずれした場合、画素電極628-4に対して遮光部643-4がY軸方向について全長にわたって重畳する関係となるため、透過率が著しく低下することが懸念される。また、ソース配線626-4の配線長が大きくなるため、その配線抵抗が増大したり、共通電極630-4との間に生じる静電容量が増大したりするおそれがある。これに対し、図62によれば、実施例7は、±0.2μm程度の位置ずれでは色度が殆ど変化しておらず、±0.2μm程度から±0.5μm程度までは色度の変化率が十分に低く(色度差0.02以下程度に)保たれている。従って、実施例7に備わる遮光部643は、混色防止機能を十分に発揮することができている、と言える。実施例7を、比較例4(図61を参照)と比べると、混色防止機能が多少劣る。しかしながら、実施例7は、比較例4と比べると、透過率が高く保たれるとともに、ソース配線626の配線抵抗やソース配線626と共通電極630との間に生じ得る静電容量が抑制されている点で優れる。また、実施例7は、上記した実施形態3に記載の比較実験6の実施例3(図38を参照)と同等の混色防止機能が得られている。従って、実施例7は、比較例4よりは混色防止機能が低いものの、比較実験6の実施例3と同等の混色防止機能を発揮することができる、と言える。
【0119】
以上説明したように本実施形態の液晶パネル(表示装置)11は、第1カラーフィルタ629G及び第2カラーフィルタ629Bよりも下層側にて、第1カラーフィルタ629Gと第2カラーフィルタ629Bとの境界に配されるソース配線(配線)626を備え、第1カラーフィルタ629G、第2カラーフィルタ629B及びソース配線626は、それぞれ第1方向に対して第2方向と同じ側に傾く第5方向に沿って延在する。
【0120】
第1カラーフィルタ629G及び第2カラーフィルタ629Bは、第1方向に対して傾く第5方向に沿って延在し、第1カラーフィルタ629Gと第2カラーフィルタ629Bとの境界に配されるソース配線626も、第5方向に沿って延在する。遮光部643及びソース配線626は、いずれも第1カラーフィルタ629Gと第2カラーフィルタ629Bとの境界に配されているので、互いに少なくとも一部同士が重畳する関係とされる。そして、ソース配線626の延在方向である第5方向が、第1方向に対して第2方向と同じ側に傾いていることから、仮に第5方向が第1方向に対して直交する場合に比べると、遮光部643とソース配線626との第1方向についての重畳範囲が、第5方向についての位置によって変化し難くなる。これにより、遮光部643による混色防止機能が良好に保たれる。
【0121】
また、スリット630Aは、第1角度θ1が、第1方向に対して第5方向がなす角度である第4角度θ4よりも小さい。このようにすれば、仮に第1角度θ1を第4角度θ4と同じか第4角度θ4よりも大きくした場合に比べると、例えば上層電極である共通電極630と下層電極である画素電極628との間に生じる電界を利用して液晶分子の配向状態を制御するような場合において、液晶分子の応答時間を低減することができる。これにより、表示品位の向上を図ることができる。
【0122】
また、遮光部643の端部644には、第1方向に対して第2角度θ2よりも大きい第3角度θ3をなす第3角度部646が含まれ、第1カラーフィルタ629G、第2カラーフィルタ629B及びソース配線626は、第1方向に対して第5方向がなす角度である第4角度θ4が、第3角度θ3と等しい。遮光部643のうちの第3角度部646を有する部分とソース配線626との第1方向についての重畳範囲が、第5方向についての位置によってより変化し難くなる。これにより、遮光部643による混色防止機能がより良好に保たれる。
【0123】
また、遮光部643は、傾斜部645を有する部分における第1方向についての寸法が、ソース配線626における第1方向についての寸法よりも大きい。遮光部643が第1方向について位置ずれしない場合は、遮光部643の一部ずつがソース配線626とは非重畳となって第1カラーフィルタ629G及び第2カラーフィルタ629Bと重畳する関係となる。これにより、遮光部643による混色防止機能が担保される。
【0124】
<実施形態8>
実施形態8を図63から図69によって説明する。この実施形態8では、上記した実施形態7からソース配線726及びカラーフィルタ729の構成を変更した場合を示す。なお、上記した実施形態7と同様の構造、作用及び効果について重複する説明は省略する。
【0125】
本実施形態に係るソース配線726は、図63に示すように、X軸方向及びY軸方向に対して傾いた第5方向に沿って延在する斜め配線部748が、X軸方向に対して例えば80°の角度をなし、Y軸方向に対して例えば10°の角度をなしている。つまり、本実施形態では、第4角度θ4が80°とされる。カラーフィルタ729(第1カラーフィルタ729G、第2カラーフィルタ729B及び第3カラーフィルタ729R)は、ソース配線726と同様に、X軸方向及びY軸方向に対して傾いた方向である第5方向に沿って延在しており、第5方向に沿って延在する部分が、ソース配線726の斜め配線部748とほぼ平行とされる。カラーフィルタ729のうちの第5方向に沿って延在する部は、X軸方向に対して例えば80°の角度をなし、Y軸方向に対して例えば10°の角度をなしている。これに対し、遮光部743の端部744に含まれる傾斜部745は、図64及び図65に示すように、X軸方向に対して例えば80°の角度をなし、Y軸方向に対して例えば10°の角度をなしている。つまり、本実施形態では、第2角度θ2が80°とされる。このように、カラーフィルタ729及びソース配線726は、X軸方向に対して第5方向がなす角度である第4角度θ4が、傾斜部745の延在方向がX軸方向に対してなす角度である第2角度θ2と等しくされている。このような構成によれば、遮光部743のうちの傾斜部745を有する部分とソース配線726とのX軸方向についての重畳範囲が、斜め配線部748の延在方向についての位置によってより変化し難くなっている。これにより、遮光部743による混色防止機能がより良好に保たれる。
【0126】
続いて、本実施形態に係る液晶パネル11の優位性を検証するため、以下の比較実験13,14を行った。先に、比較実験13に関して説明する。この比較実験13は、上記した実施形態1に記載した比較実験1と同様であり、比較実験13よりも前の段落にて説明した構成の液晶パネルを実施例8(図65を参照)とする。比較実験13での実験方法は、比較実験1に記載した通りである。実験結果は、図66から図68に示される通りである。図66は、共通電極730に対して遮光部743が位置ずれしない場合の透過率分布を示す。図67は、共通電極730に対して遮光部743が左側へ最大限に位置ずれした場合の透過率分布を示す。図68は、共通電極730に対して遮光部743が右側へ最大限に位置ずれした場合の透過率分布を示す。図66から図68に示される透過率分布は、図17から図19に示される透過率分布と同様のものである。
【0127】
比較実験13の実験結果について説明する。実施例8において、共通電極730に対して遮光部743がX軸方向について左側へ最大限に位置ずれした場合は、図67に示すように、画素GPX,BPX,RPXの左上角部付近において輝度低下が生じるものの、暗線として視認されることは殆どない。実施例7において、共通電極730に対して遮光部743がX軸方向について右側へ最大限に位置ずれした場合は、図68に示すように、画素GPX,BPX,RPXの右下角部付近において輝度低下が生じるものの、暗線として視認されることは殆どない。このように、図66から図68によれば、実施例8は、上記した実施形態3に記載の比較実験5の実施例3(図35から図37)と比べると、1%程度輝度が低いものの、上記した比較実験11の実施例7(図55から図57を参照)よりもやや輝度が高く、上記した実施形態1に記載の比較実験1の実施例1(図17から図19)と同等程度に輝度低下が抑制されており、暗線が十分に視認され難くなっている。
【0128】
次に、比較実験14に関して説明する。比較実験14では、上記した比較実験13にて説明した実施例8に係る液晶パネルを用いて、上記した実施形態1に記載した比較実験2と同様に、遮光部743におけるX軸方向についての位置ずれ量と、遮光部743の位置ずれに伴って各画素GPX,BPX,RPXに生じる色度差と、の関係を調べた。比較実験14での実験方法は、比較実験2に記載した通りである。実験結果は、図69に示される通りである。図69に示されるグラフは、図23及び図24に示されるグラフと同様のものである。
【0129】
比較実験14の実験結果について説明する。図69によれば、実施例8は、±0.3μm程度の位置ずれでは色度が殆ど変化しておらず、±0.3μm程度から±0.6μm程度までは色度の変化率が十分に低く(色度差0.02以下程度に)保たれている。従って、実施例8に備わる遮光部743は、混色防止機能を十分に発揮することができており、上記した比較実験12の実施例7(図62を参照)よりも優れた混色防止機能が得られる。また、実施例8に備わる遮光部743は、上記した比較実験4の実施例2(図31を参照)と同等程度の混色防止機能が得られる。
【0130】
以上説明したように本実施形態の液晶パネル(表示装置)11は、第1カラーフィルタ729G、第2カラーフィルタ729B及びソース配線726は、第1方向に対して第5方向がなす角度である第4角度θ4が、第2角度θ2と等しい。遮光部743のうちの傾斜部745を有する部分とソース配線726との第1方向についての重畳範囲が、第5方向についての位置によってより変化し難くなる。これにより、遮光部743による混色防止機能がより良好に保たれる。
【0131】
<他の実施形態>
本明細書が開示する技術は、上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されず、例えば次のような実施形態も技術的範囲に含まれる。
【0132】
(1)傾斜部45,145,245,345,445,545,645,745がX軸方向に対してなす角度である第2角度θ2の具体的な数値は、87°,85°,83°以外の数値であってもよい。その場合でも、第2角度θ2は、上限値を87°とし、下限値を第1角度θ1よりも3°大きい角度とした範囲であることが好ましい。
【0133】
(2)スリット30A,130A,230A,330A,430A,530A,630AがX軸方向に対してなす角度である第1角度θ1の具体的な数値は、80°以外の数値であってもよい。第1角度θ1の数値が変更されるのに伴って、第2角度θ2の数値範囲に係る下限値を適宜に変更することが可能である。
【0134】
(3)上記した実施形態1から実施形態6では「真直部46,146,446,546」とされる第3角度部がX軸方向に対してなす角度である第3角度θ3は、90°よりも大きくても小さくてもよい。
【0135】
(4)遮光部43,143,243,343,443,543,643,743は、共通電極30,130,230,330,430,530,630,730に対して正規位置からX軸方向について左右にそれぞれ最大限に位置ずれした場合のいずれにおいても、端部44,144,244,344,444,544,644,744に含まれる傾斜部45,145,245,345,445,545,645,745と真直部46,146,446,546(第3角度部646)との境界BOが、スリット30A,130A,230A,330A,430A,530A,630A外に位置するよう構成されてもよい。
【0136】
(5)実施形態2から実施形態4に記載した構成において、距離d1が「L1/2」よりも大きくても小さくてもよい。同様に、距離d2が「L2/2」よりも大きくても小さくてもよい。
【0137】
(6)遮光部43,143,243,343,443,543,643,743は、左右一対の端部44,144,244,344,444,544,644,744のうちの一方の端部44,144,244,344,444,544,644,744にのみ傾斜部45,145,245,345,445,545,645,745が含まれるような構成であってもよい。
【0138】
(7)遮光部43,143,243,343,443,543,643,743の具体的な平面形状は、各実施形態での図示以外にも適宜に変更可能である。例えば、遮光部43,143,243,343,443,543,643,743におけるY軸方向についての長さが、画素電極28におけるY軸方向についての長さと同等でもよい。また、遮光部43,143,243,343,443,543,643,743におけるY軸方向についての長さが、画素電極28におけるY軸方向についての長さよりも大きくてもよい。また、遮光部43,143,243,343,443,543,643,743が複数の画素GPX,BPX,RPXに跨がってY軸方向に沿って延在してもよく、場合によっては表示領域AAをY軸方向について横切るよう設けられてもよい。
【0139】
(8)スリット30A,130A,230A,330A,430A,530A,630Aの平面形状は、各実施形態での図示以外にも適宜に変更可能である。例えば、スリット30A,130A,230A,330A,430A,530Aの,630A平面形状がV字型等でもよい。その場合、画素電極28の平面形状もスリット30A,130A,230A,330A,430A,530A,630Aに倣ってV字型等とされてもよい。その他にも、スリット30A,130A,230A,330A,430A,530A,630Aの傾き方が各図面とは逆であってもよく、具体的には、スリット30A,130A,230A,330A,430A,530A,630Aの延在方向である第2方向が、図8等に示す右下から左上へ向かう方向であってもよい。その場合、画素電極28,628の延在方向を図8等に示す右下から左上へ向かう方向としてもよい。
【0140】
(9)画素電極28,628の平面形状は、各実施形態での図示以外にも適宜に変更可能である。例えば、画素電極28,628の平面形状が縦長または横長の方形状等でもよい。
【0141】
(10)スリット30A,130A,230A,330A,430A,530A,630Aの延在方向が複数混在していてもよい。具体的には、延在方向が図8等に示す左下から右上へ向かう方向とされるスリット30A,130A,230A,330A,430A,530A,630Aと、延在方向が図8等に示す右下から左上へ向かう方向とされるスリット30A,130A,230A,330A,430A,530A,630Aと、がY軸方向について交互に繰り返し並ぶよう配列されていてもよい。このようにすれば、各スリット30A,130A,230A,330A,430A,530A,630Aの傾き方に応じて液晶分子の配向方向が、Y軸方向について隣り合う画素GPX,BPX,RPXの間で異なることになるので、広視野角化を図る上で好適となる。この例示以外にも、延在方向が異なる複数種類のスリット30A,130A,230A,330A,430A,530A,630Aの具体的な配置は、適宜に設定することが可能である。
【0142】
(11)画素電極28,628と共通電極30,130,230,330,430,530,630,730とのうちの上層側に位置する電極である「上層電極」が画素電極28,628となり、下層側に位置する電極である「下層電極」が共通電極30,130,230,330,430,530,630,730となっていてもよい。この場合、「上層電極」である画素電極28,628にスリット30A,130A,230A,330A,430A,530A,630Aが設けられる。この場合は、画素電極28,628の上層側に遮光部43,143,243,343,443,543,643,743が配されるため、画素電極28,628と遮光部43,143,243,343,443,543,643,743との間に絶縁膜を設けるようにしてもよい。
【0143】
(12)半導体膜は、シリコン薄膜(多結晶シリコン薄膜)やアモルファスシリコン薄膜でもよい。
【0144】
(13)配向膜20PI,39は、ラビングにより配向処理がなされてもよい。
【0145】
(14)第2回路部14Bに代えてソースドライバをアレイ基板21,121,221にCOG(Chip On Glass)実装してもよい。
【0146】
(15)第1回路部14A及び第2回路部14Bの少なくとも一方は、一部または全てが表示領域AAに配されてもよい。
【0147】
(16)回路部14を省略することも可能である。
【0148】
(17)基板20GS,21GSの材料は、ガラス以外にも合成樹脂等であってもよい。
【0149】
(18)液晶パネル11の画素密度の具体的な数値は、適宜に変更可能である。
【0150】
(19)液晶パネル11の表示モードは、IPSモード等でもよい。
【0151】
(20)液晶パネル11の平面形状は、横長の長方形、縦長の長方形、正方形、円形、半円形、長円形、楕円形、台形などでもよい。
【0152】
(21)対向側遮光部20BMは、アレイ基板21に備わる複数ずつのゲート配線25及びソース配線26と重畳するよう、平面に視て格子状に形成されてもよい。
【0153】
(22)ヘッドマウントディスプレイ10HMD以外にも、液晶パネル11に表示された画像を、レンズなどを用いて拡大表示する機器として、例えばヘッドアップディスプレイやプロジェクターなどにも適用可能である。また、拡大表示機能を持たない表示装置(テレビ受信装置、タブレット型端末、スマートフォンなど)にも適用可能である。
【0154】
(23)上記した実施形態7,8に記載の構成において、ソース配線626,726及びカラーフィルタ629,729の延在方向がX軸方向に対してなす第4角度θ4は、スリット630Aの延在方向がX軸方向に対してなす第1角度θ1と等しくてもよい。
【0155】
(24)上記した実施形態7,8に記載の構成において、遮光部643,743の第3角度部646は、Y軸方向と平行となるよう構成されてもよい。
【符号の説明】
【0156】
11…液晶パネル(表示装置)、26,626,726…ソース配線(配線)、28,628…画素電極(下層電極)、28A…第1画素電極、28B…第2画素電極、29B,629B,729B…第2カラーフィルタ、29G,629G,729G…第1カラーフィルタ、30,130,230,330,430,530,630,730…共通電極(上層電極)、30A,130A,230A,330A,430A,530A,630A…スリット、30A1,130A1…第1スリット、30A2,130A2…第2スリット、38…第8絶縁膜(絶縁膜)、43A,143A…第1遮光部(遮光部)、44,144,244,344,444,544,644,744…端部、44A,144A…第1端部、44B,144B…第2端部、45,145,245,345,445,545,645,745…傾斜部、45A,645A…第1傾斜部、45B,645B…第2傾斜部、46,146,446,546…真直部(第3角度部)、47,147,447,547…縁部、646…第3角度部、BO…境界、θ1…第1角度、θ2…第2角度、θ3…第3角度、θ4…第4角度
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