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特開2024-114567共振状態で動作するケーブルなし超音波ロボット及び制御方法
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  • 特開-共振状態で動作するケーブルなし超音波ロボット及び制御方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024114567
(43)【公開日】2024-08-23
(54)【発明の名称】共振状態で動作するケーブルなし超音波ロボット及び制御方法
(51)【国際特許分類】
   H02N 2/06 20060101AFI20240816BHJP
【FI】
H02N2/06
【審査請求】有
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023092658
(22)【出願日】2023-06-05
(31)【優先権主張番号】202310119649.4
(32)【優先日】2023-02-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(71)【出願人】
【識別番号】521017642
【氏名又は名称】山東大学
【氏名又は名称原語表記】SHANDONG UNIVERSITY
【住所又は居所原語表記】No.17923, Jingshi Road, Lixia District Jinan, Shandong 250061, China
(74)【代理人】
【識別番号】100146374
【弁理士】
【氏名又は名称】有馬 百子
(72)【発明者】
【氏名】呉 疆
(72)【発明者】
【氏名】王 立鵬
(72)【発明者】
【氏名】丁 兆春
(72)【発明者】
【氏名】張 燃煦
(72)【発明者】
【氏名】馬 龍
(72)【発明者】
【氏名】栄 学文
(72)【発明者】
【氏名】宋 鋭
(72)【発明者】
【氏名】李 貽斌
【テーマコード(参考)】
5H681
【Fターム(参考)】
5H681AA10
5H681BB13
5H681BC08
5H681CC02
5H681DD23
5H681DD34
5H681DD63
5H681FF23
5H681FF26
5H681FF31
5H681GG02
(57)【要約】
【課題】共振状態で動作するケーブルなし超音波ロボット及び制御方法を提供する。
【解決手段】本発明は、共振状態で動作するケーブルなし超音波ロボット及び制御方法を開示する。超音波ロボットボディと、超音波ロボットボディ内に設置された電源モジュールと、各駆動ユニットは、駆動素子及び駆動回路を含み、駆動素子には、それぞれ垂直振動圧電板、第1の曲線振動圧電板、および第2の曲線振動圧電板が設置された少なくとも2つの駆動ユニットを含み、駆動回路は、給電電源の出力を設定幅と周波数の交流電圧信号に変換され、交流電圧信号は、垂直振動圧電板及び/又は第1曲線振動圧電板および第2曲線振動圧電板を励起し、超音波ロボットを共振状態で動作させる。本発明は駆動素子の振動モードを制御することにより、共振状態で超音波ロボットをケーブルなしで動作させることにより駆動電源のケーブルによる超音波ロボットのストロークが不十分であり、運動の形が制限されるという問題点を解決する。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
超音波ロボットボディと、
超音波ロボットボディ内に設置され、設定された給電電源を出力するために使用される電源モジュールと、
超音波ロボットボディの底部に対称に設置される少なくとも2つの駆動ユニットと、を含み、
各駆動ユニットは、駆動素子及び駆動回路を含み、駆動素子には、それぞれ垂直振動圧電板、第1の曲線振動圧電板、および第2の曲線振動圧電板が設置され、前記駆動素子の底部には、地面と接触している駆動足が設置され、駆動回路は、給電電源の出力を設定サイズと周波数の交流電圧信号に変換するために使用され、前記交流電圧信号は、垂直振動圧電板及び/又は第1の曲線振動圧電板および第2の曲線振動圧電板を励起し、それにより駆動素子の振動モードを制御し、超音波ロボットを共振状態で動作させることができることを特徴とする共振状態で動作するケーブルなし超音波ロボット。
【請求項2】
前記駆動素子には中央ローラーが設置され、前記中央ローラーは、駆動素子における垂直振動モードと曲線振動モードでのノードが重なり合う位置に設置され、前記中央ローラーは駆動ユニットのシェルに接続されることを特徴とする請求項1に記載の共振状態で動作するケーブルなし超音波ロボット。
【請求項3】
前記垂直振動圧電板及び/又は第1の曲線振動圧電板及び第2の曲線振動圧電板は、交流信号の励起で、駆動素子を励起して垂直振動及び/又は曲線振動を生成でき、
駆動素子は、垂直振動モード及び/又は曲線振動モードの作用下で移動でき、駆動足の移動軌跡は楕円形であることを特徴とする請求項1に記載の共振状態で動作するケーブルなし超音波ロボット。
【請求項4】
前記駆動ユニットが2つである時、第1駆動ユニットと第2駆動ユニットによって印加される電圧が同じである場合、2つの駆動足の速度が同じ、それにより超音波駆動型ロボットを駆動して直線運動を実行することを特徴とする請求項1に記載の共振状態で動作するケーブルなし超音波ロボット。
【請求項5】
前記駆動ユニットが2つである時、第1駆動ユニットと第2駆動ユニットによって印加される電圧には、電圧差がある場合、2つの駆動足が差動運動を行い、それにより超音波駆動型ロボットを駆動して方向転換運動を実行することを特徴とする請求項1に記載の共振状態で動作するケーブルなし超音波ロボット。
【請求項6】
前記駆動ユニットが2つである時、第1の駆動ユニットと第2の駆動ユニットによって印加される電圧が逆方向である場合、超音波ロボットを駆動して軸心の周りを回転させることを特徴とする請求項1に記載の共振状態で動作するケーブルなし超音波ロボット。
【請求項7】
前記超音波ロボットボディは、ハウジングを含み、ハウジング内にはそれぞれ電源モジュールと制御回路が設置されることを特徴とする請求項1に記載の共振状態で動作するケーブルなし超音波ロボット。
【請求項8】
ロボット内部の給電電源出力を設定された幅と周波数の交流電圧信号に変換し、前記交流電圧信号がそれぞれ励起電圧として駆動ユニットの垂直振動圧電板及び/又は第1の曲線振動圧電板及び第2の曲線振動圧電板に印加し、それにより駆動素子の振動モードを制御し、超音波ロボットを共振状態で動作させることができることを特徴とする共振状態で動作するケーブルなし超音波ロボットの制御方法。
【請求項9】
駆動ユニットが2つである時、
第1駆動ユニットと第2駆動ユニットによって印加される電圧が同じい場合、2つの駆動足の速度が同じ、それにより超音波ロボットを駆動して直線運動を実行し、
第1駆動ユニットと第2駆動ユニットによって印加される電圧には、電圧差がある場合、2つの駆動足が差動運動を行い、それにより超音波ロボットを駆動して方向転換運動を実行し、
第1駆動ユニットと第2駆動ユニットによって印加される電圧が逆方向である場合、超音波ロボットを駆動して軸心の周りを回転させることを特徴とする請求項8に記載の共振状態で動作するケーブルなし超音波ロボットの制御方法。



【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は超音波ロボットの技術分野に関し、特に共振状態で動作するケーブルなし超音波ロボット及び制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
この部分の記述は、本発明に関連する背景技術情報を提供するだけであり、必ずしも先行技術を構成するものではない。
【0003】
超音波/圧電駆動型ロボット(超音波を用いる移動型ロボット又はアクチュエータ)は、一般に超音波駆動ユニット(トランスデューサー)及びボディ(又はアクチュエータ)で構成される。超音波駆動ユニットは、作業電圧の励起下で縦振動、たわみ振動、ねじり振動を生じ、且つアクチュエータを介して運動を回転子/スライダーに転送し、又は自身の移動、回転等の特定の形式の運動を形成する。体積が小さく、質量が軽く、構造が簡単で、柔軟性を持ち、電磁干渉が少ない等の利点があるため、超音波駆動型ロボットは、野外偵察、小型スペースでの捜索救助または原子力発電所、磁気共振画像室等の複雑な分野や特殊な環境での移動/運搬作業に面する応用に利点がある。
【0004】
超音波/圧電駆動型ロボットは、共振状態及び非共振状態で動作を起こり、そのうち、非共振状態で、励起信号の周波数は、駆動素子の固有周波数と等しくなく、多くの場合、それは低周期の交流信号である。超音波/圧電駆動型ロボットが非共振状態で動作する場合、システム動作周波数は共振周波数よりはるかに低くなる。振動アドミタンスの特性によれば、低周波且つ非共振状態では、システムアドミタンス(出力振幅を示し)は小さく、高い制御精度が要られる場合に適している。ただし、非共振状態では、低周波数と低振幅の共同作用で、振速度は制限されており(<500Hz)、ロボットの移動速度が遅くなり、運搬、検索などの動作の需要を満たすことに不十分である。
【0005】
共振状態では、高圧交流信号の周波数は、駆動素子の固有周波数と同じまたは近くなり、超音波/圧電駆動型ロボットが共振条件下で動作する場合、システムの移動速度は高く、負荷容量は強い。ただし、共振状態で動作する超音波/圧電ロボットは、出力速度が高くなるため、共振状態が達成されると、共振状態を満たす高周波数高圧交流信号を出力するには、特殊な機器(超音波電源、またはファンクションジェネレーター及びパワーアンプ)が必要とし、これらの機器は多くの場合、体積が大きくて重いので、直接装備してロボットに統合することはできず。また、これらの機器はケーブルを介して交流電源に接続する必要があり、同時に、機器と超音波ロボットもケーブルを介して接続する必要であり、これらのケーブルは、超音波ロボットの移動範囲を大幅に制限する。さらに、既存の共振状態で動作する超音波/圧電ロボットは、平面内の直線運動と回転の二自由度運動を満たすために、多くの場合、構造設計がより複雑で、システムの故障率が高い問題点がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記問題を解決するために、本発明は、共振状態で動作するケーブルなし超音波ロボット及び励起方法を提供し、内部電源を変換して制御することにより、共振状態でのケーブルなしを実現し、垂直振動/曲線振動で構成する複合モードタイプ駆動ユニットを設計し、同時に、垂直振動/曲線振動モードのオーダーと振動分布を構成することにより、駆動ユニットの構造最適化と強力な電気機械をコンパクトに結合し、駆動力を向上しながら、駆動足と地面の摩擦損失を減らし、超音波ロボットの低エネルギー消費と高負荷を達成する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
いくつかの実施形態では、次の技術的解決手段が採用されている。
【0008】
共振状態で動作するケーブルなし超音波ロボットであって、
超音波ロボットボディと、
超音波ロボットボディ内に設置され、設定された給電電源を出力するために使用される電源モジュールと、
超音波ロボットボディの底部に対称に設置される少なくとも2つの駆動ユニットと、を含み、
各駆動ユニットは、駆動素子及び駆動回路を含む。駆動素子には、それぞれ垂直振動圧電板、第1の曲線振動圧電板、および第2の曲線振動圧電板が設置され、前記駆動素子の底部には、地面と接触している駆動足が設置され、駆動回路は、給電電源の出力を設定サイズと周波数の交流電圧信号に変換するために使用され、前記交流電圧信号は、垂直振動圧電板及び/又は第1の曲線振動圧電板および第2の曲線振動圧電板を励起し、それにより駆動素子の振動モードを制御し、超音波ロボットを共振で動作させることを実現する。
【0009】
さらなる手段として、前記駆動素子には中央ローラーが設置され、前記中央ローラーは、駆動素子における垂直振動モードと曲線振動モードでのノードが重なり合う位置に設置され、前記中央ローラーは駆動ユニットのシェルに接続される。
【0010】
さらなる手段として、前記垂直振動圧電板及び/又は第1の曲線振動圧電板及び第2の曲線振動圧電板は、前記交流信号の励起の下で、駆動素子を励起して垂直振動及び/又は曲線振動を生成できる。
【0011】
駆動素子は、垂直振動モード及び/又は曲線振動モードの作用下で移動でき、駆動足の移動軌跡は楕円形である。
【0012】
さらなる手段として、前記駆動ユニットが2つである時、第1の駆動ユニットと第2の駆動ユニットによって印加される電圧が同じである場合、2つの駆動足の速度が同じであり、それにより超音波駆動型ロボットを駆動して直線運動を実行し、第1の駆動ユニットと第2の駆動ユニットによって印加される電圧には、電圧差がある場合、2つの駆動足が差動運動を行い、それにより超音波ロボットを駆動して方向転換運動を実行し、第1の駆動ユニットと第2の駆動ユニットによって印加される電圧が逆方向である場合、超音波ロボットを駆動して軸心の周りを回転させる。
【0013】
他の実施形態では、次の技術的解決手段が採用されている。
【0014】
共振状態で動作するケーブルなし超音波ロボットの制御方法は、
ロボット内部の給電電源の直流出力を設定された幅と周波数の交流電圧信号に変換し、前記交流電圧信号がそれぞれ励起電圧として駆動ユニットの垂直振動圧電板及び/又は第1の曲線振動圧電板及び第2の曲線振動圧電板に印加し、それにより駆動素子の振動モードを制御し、超音波ロボットを共振状態で動作させることができることを含む。
【0015】
駆動ユニットが2つである時、
第1の駆動ユニットと第2の駆動ユニットによって印加される電圧が同じである場合、2つの駆動足の速度が同じであり、それにより超音波駆動型ロボットを駆動して直線運動を実行する。
【0016】
第1の駆動ユニットと第2の駆動ユニットによって印加される電圧には、電圧差がある場合、2つの駆動足が差動運動を行い、それにより超音波ロボットを駆動して方向転換の運動を実行する。
【0017】
第1の駆動ユニットと第2の駆動ユニットによって印加される電圧が逆方向である場合、超音波ロボットを駆動して軸心の周りを回転させる。
【発明の効果】
【0018】
従来技術に比べて、本発明の有益な効果は以下のとおりである。
(1)本発明は、電池(低圧、直流)出力を、振動体の駆動素子の共振周波数と近い高圧、高周波数交流信号に変換し、駆動素子の振動モードを制御することにより、超音波ロボットを共振状態で動作させ、且つケーブルがなく、駆動電源のケーブルによる超音波駆動型ロボットの有効ストロークが不十分であり、運動方式が制限されるという問題を解決する。
(2)本発明の中央ローラーは、2つのモードのノードが重なり合う位置に設置され、垂直振動/曲線振動モードオーダー及び振動分布の構成により、駆動ユニットの構造最適化、および強力な電気機械結合を実現し、駆動力を向上しながら、駆動足と地面の摩擦損失を減らし、超音波ロボットの低エネルギー消費と高負荷を達成する。
(3)本発明は、駆動ユニットのモジュール化構成と差動調節により、超音波ロボットの平面内での二自由度移動、方向転換、回転などのフレキシブルな運動を達成する。設計された超音波ロボットは、体積が小さく、質量が軽く、構造がコンパクトで、応答が速く、柔軟性が高く、モジュール化構成が可能で、野外偵察、原子力発電所、狭いスペースでの捜索救助又は原子力発電所、磁気共振画像室などの複雑/特別な環境でのオブジェクトの移動/運搬等の作業に適用できる。
【0019】
本発明の他の特性と追加の利点には、以下の説明の一部が与えられ、一部は以下の説明から明らかになるか、又は本発明の実践を通じて学習される。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本発明の実施例における超音波ロボットの全体的な構造概略図である。
図2】本発明の実施例における超音波ロボットの全体的な構造分解図である。
図3】本発明の実施例における第1の駆動ユニットの構造概略図である。
図4】本発明の実施例における垂直振動及び曲線振動モードの模式図である。
図5】本発明の実施例における駆動回路の構造概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下の詳細な説明はすべて例示的なものであり、本発明のさらなる説明を提供することを意図していることに留意されたい。特に明記しない限り、本発明で使用されるすべての技術用語および科学用語は、当業者によって一般に理解されるのと同じ意味を有する。
【0022】
ここで使用される用語は、本発明による例示的な実施形態を制限する意図ではなく、具体的な実施形態を説明するためだけであることに注意する必要がある。本明細書で使用されるように、本発明が他に明確に示さない限り、単数形は複数形を含むことも意図され、さらに、本明細書に「含む」及び/又は「含み」という用語を使用する時、特性、ステップ、操作、デバイス、コンポーネント、及び/又はそれらの組み合わせを示すことを理解する必要がある。
【0023】
実施例1
1つ以上の実施形態では、共振状態で動作するケーブルなし超音波ロボットを開示し、図1及び図2を参照し、具体的には、
超音波ロボットボディと、
超音波ロボットボディ内に設置され、設定された給電電源を出力するために使用される電源モジュールと、
超音波ロボットボディの底部に対称に設置される少なくとも2つの駆動ユニットと、を含み、
各駆動ユニットは、駆動素子及び駆動回路20を含み、駆動素子は、垂直振動圧電板234、垂直振動圧電板234の両側に対称的に設置される第1の曲線振動圧電板232及び第2の曲線振動圧電板233を含み、本実施例において、圧電板は一般に振動ノードの位置に配置され、駆動素子構造が決定されると、ノードの位置が同時に決定され、圧電板の貼り付け位置も決定された。
【0024】
駆動素子の底部には、地面と接触している駆動足230が設置され、駆動回路20は、給電電源の出力を設定された幅と周波数の交流電圧信号に変換し、該交流電圧信号は、垂直振動圧電板234及び/又は第1の曲線振動圧電板232および第2の曲線振動圧電板233を励起し、それにより駆動素子の振動モードを制御し、超音波ロボットを共振状態で動作させることができる。
【0025】
垂直振動圧電板234及び2つの曲線振動圧電板を励起するための交流信号周波数が同じで、位相差は90度であり、2つの交流信号の電圧は異なる場合があり、異なる電圧は、駆動足230端の振幅に影響を与え、これは最終的な運動軌跡(楕円形の軌跡形状)として現れた。
【0026】
もちろん、交流信号は、垂直振動圧電板234と2つの曲線振動圧電板に同時に印加でき、このとき、駆動素子は垂直振動モードと曲線振動モードによる混合モードで移動し、且つ駆動足230の移動軌跡は楕円形である。
【0027】
交流信号は、垂直振動圧電板234または2つの曲線振動圧電板に独立に印加することも一つの駆動方式であり、垂直振動圧電板234に独立で電圧を印加する場合、駆動素子は垂直方面に沿う縦振動モードであり、第1の曲線振動圧電板232及び第2の曲線振動圧電板233のみに電圧を印加する場合、駆動素子は曲線形のたわみ振動モードであり、垂直振動圧電板234及び曲線振動圧電板へ印加電圧の作用時間を調整することにより、駆動足230で移動運動を実現できる。
【0028】
具体的には、図2及び図3を参照して、本実施例において、電源モジュールは電池12を使用し、超音波ロボットボディ1は、ボディ上部カバー10、ボディシェル13及びボディシェル差込口14を含む。ボディ上部カバー10とボディシェル13は、超音波ロボットボディ1のハウジングを構成し、電池12及び制御回路11は、該ハウジング内に設置され、ボディシェル差込口14は、駆動ユニット差込口とともに、駆動ユニットを取り付けて固定する。
【0029】
本実施例において、制御回路11は、マイクロコントロールユニット(MCU)を含み、駆動ユニットの速度差を制御し、差動運動制御を達成され、同時に、駆動ユニット内の垂直振動圧電板234と第1の曲線振動圧電板232及び第2の曲線振動圧電板233の励起順序を制御する。
【0030】
駆動ユニットの数は、通常、2つまたは偶数個であり、2つずつ対称的に設置される。本実施例は、2つの駆動ユニット(つまり、第1の駆動ユニット2と第2の駆動ユニット3)が対称的に設置されることを例として説明する。
【0031】
第1の駆動ユニット2と第2の駆動ユニット3は同じ構造を持ち、以下は図3を参照して、第1の駆動ユニット2の構造を説明する。
【0032】
第1の駆動ユニット2は、第1の駆動ユニットシェル差込口22が設置された第1の駆動ユニットシェルと、ボディシェル差込口14と協働し、駆動ユニットを取り付けて固定する第1の駆動ユニットシェル差込口22と、第1の駆動ユニットシェル内に設置され、ボディシェル13内の電源と接続される駆動電路20を含む。
【0033】
第1の駆動ユニットシェルの底部に第1の駆動素子23が設置され、第1の駆動素子23は、駆動素子本体、駆動足230、中央ローラー231、第1の曲線振動圧電板232、第2の曲線振動圧電板233及び垂直振動圧電板234を含み、そのうち、駆動足230は、駆動素子本体の底部に設置され且つ地面と接触し、第1の曲線振動圧電板232、第2の曲線振動圧電板233及び垂直振動圧電板234は、それぞれ駆動素子本体の表面に設置され、第1の曲線振動圧電板232と第2の曲線振動圧電板233は、垂直振動圧電板234の両側に対称的に設置される。
【0034】
駆動回路20によって出力された交流電圧信号は、第1の曲線振動圧電板232、第2の曲線振動圧電板233及び垂直振動圧電板234の励起源信号として、第1の曲線振動圧電板232および第2の曲線振動圧電板233は、励起源信号を受けると、第1の駆動素子23を励起して曲線振動を起こる、垂直振動圧電板234は、励起源信号を受けると、第1の駆動素子23を励起して垂直振動を起こる。第1の駆動素子23は垂直振動モードと曲線振動モードによる混合モードで移動し、且つ駆動足230の移動軌跡は楕円形である。同時に、駆動回路20によって出力された高圧交流電圧信号は、駆動素子の固有周波数と同じまたは近い周波数をもつため、超音波ロボットは共振状態で動作する。
【0035】
本実施例において、駆動回路20は、電池12の出力を設定した幅と周波数の交流電圧信号(つまり、駆動素子の固有周波数と同じ又は近い高圧交流周波数信号)に変換できる。図5を参照して、制御回路11のハードウェアシステムは主に電池12、無線モジュール及びマイクロコントロールユニット(MCU)を含み、駆動回路20は主にマルチレベル増幅回路で構成される。システムが無線モジュールから入力信号(制御信号)を受けると、電池12の電源で、制御回路11におけるマイクロコントロールユニット(MCU)によって制御信号を分析し、曲線振動励起信号と垂直振動励起信号の駆動電圧と時間間隔を計算し、駆動回路20に送信する。駆動回路20は制御信号を受信し、且つ信号を第1の駆動ユニット2と第2の駆動ユニット3に送信し、駆動ユニットに対応する制御信号を与え、振動体の運動を駆動し、最終的にロボットの運動制御を達成する。
【0036】
ここで、駆動ユニットは、制御信号を受信した後、3段階の増幅機能を有するマルチレベル共振回路により、電源直流信号を高圧交流信号に変換し、最終的に振動体と機械的共振し、駆動素子への駆動効果を達成する。
【0037】
本実施例の電源モジュールは、超音波ロボットボディに統合され、同時に、内部駆動回路20の作用下で駆動素子の固有周波数と同じまたは近い周波数の高圧交流信号を出力し、超音波ロボットが共振状態で動作する場合に外部にケーブルがないことを実現し、電池12の容量を考慮しない場合、超音波ロボットの有効な運動範囲は、ケーブルに制限なしのことにより平面内の任意の位置である。
【0038】
本実施例において、垂直振動圧電板234と垂直振動圧電板234は、すべて2種類のシート型の圧電セラミック(PZT)に属する。垂直振動圧電板234は水平変位タイプ(d31モード)であり、厚さが少なくて面積が大きく、垂直振動圧電板234は垂直変位タイプ(d33モード)であり、厚さが大くて面積が小さい。
【0039】
図4に、第1駆動素子23の垂直振動モードと曲線振動モード概略図を示し、この図では、振動ノードの位置を示し、振動ノードは、機械的振動振動形式ノードとも呼ばれ、それは、構造がある振動体が固有周波数で動作すると、振動モードと元の形状の合流点を指し、特に振動ノードで振幅はゼロである。第1駆動素子23の振動モードは、第1オーダーの縦振動(または垂直振動)モードと第4オーダーのたわみ振動(または曲線振動)モードを合成するように設計され、2種の振動モードは、振動足の中央の位置に振動ノードが現れる。
【0040】
中央ローラー231は第1駆動素子23と第1駆動ユニットシェルのコネクタとして、中央ローラー231は、駆動素子における垂直振動モードと曲線振動モードでの振動ノードが重なり合う位置に設置される。一方、共同のノードは振動体の設置をやすくして、電気機械結合を強める構造的特性を持つ。他方、垂直振動モードのオーダーと曲線振動モードのオーダー(つまり、振動ノードの数量)及び振動分布(本実施例の曲線振動モードでの振動ノードは、垂直振動モードと重なり合う振動ノードに対して対称的に分布する)を構成し、垂直振動圧電板234および垂直振動圧電板234の励起順序を調整することにより、駆動足230の最適な軌跡を実現し、駆動ユニットにおける2つの駆動足230は、時間領域内において、地面に連続的に接触し、それにより超音波ロボットと地面の間の摩擦力を増加し、同時に超音波ロボットと地面の間の滑りおよび駆動足230と地面の摩擦損失を減らし、超音波ロボットの低エネルギー消費量と高い負荷を達成する。
【0041】
本実施例は、垂直振動モードと曲線振動モードの組み合わせを通じて、簡単な構造に基づいた超音波ロボットの二自由度運動を実現する。ここで、二自由度運動は、平面内の移動と平面内の回転を含む。そのうち、平面内の移動は、往復運動を実現でき、平面内の回転は、左回転(左側の駆動足230の速度は右側より大きい)、右回転(右側の駆動足230の速度は左側より大きい)、中央の周り回転(左側の駆動足230と右側の駆動足230の速度は等しく、方向は反対である)。
【0042】
具体的には、第1の駆動ユニット2と第2の駆動ユニット3がそれぞれ垂直振動/曲線振動混合モードで励起を通して運動すると、制御回路11を介して第1駆動ユニット2及び第2駆動ユニット3の電圧を調整することにより、第1の駆動ユニット2と第2の駆動ユニット3の駆動足230の差動運動を達成できる。
【0043】
第1駆動ユニット2と第2駆動ユニット3の電圧が同じ場合、2つの駆動足230は速度が同じくて、超音波駆動型ロボットは直線運動を行い、第1駆動ユニット2と第2駆動ユニット3の間に電圧の差がある場合、2つの駆動足230が差動運動を行い、超音波駆動型ロボットの方向転換運動を実現でき、第1駆動ユニット2と第2駆動ユニット3に印加する電圧サイズが同じで、方向が反対である場合、超音波駆動型ロボットが軸心の周りを回転させることを実現できる。
【0044】
実施例2
1つ以上の実施形態では、共振状態で動作するケーブルなし超音波ロボットの制御方法を開示し、
ロボット内部の給電電源出力を設定された幅と周波数の交流電圧信号に変換し、前記交流電圧信号がそれぞれ励起電圧として駆動ユニットの垂直振動圧電板234及び/又は第1の曲線振動圧電板232及び第2の曲線振動圧電板233に印加し、それにより駆動素子の振動モードを制御し、超音波ロボットを共振状態で動作させることができることを含む。
【0045】
駆動ユニットが2つである時、
第1駆動ユニット2と第2駆動ユニット3によって印加される電圧が同じである場合、2つの駆動足230の速度が同じ、それにより超音波駆動型ロボットを駆動して直線運動を実行し、
第1駆動ユニット2と第2駆動ユニット3によって印加される電圧には、電圧差がある場合、2つの駆動足230が差動運動を行い、それにより超音波ロボットを駆動して方向転換運動を実行し、
第1の駆動ユニット2と第2の駆動ユニット3によって印加される電圧が逆方向である場合、超音波ロボットを駆動して軸心の周りを回転させる。
【0046】
上記のプロセスの具体的な実現方式は、実施例1で説明されており、ここでは詳しく説明しない。
【0047】
上記は図面を参照しながら本発明の発明を実施するための形態を説明したが、本発明の保護の範囲を限定するものではないが、当業者は、本発明の技術的解決手段に基づいて、創造的な作業なしに当業者によって行うことができる様々な修正または変形が依然として本発明の保護範囲内にあることを理解すべきである。
【符号の説明】
【0048】
1.超音波駆動型ロボットボディ
2.第1の駆動ユニット
3.第2の駆動ユニット
10.ボディの上部カバー
11.制御回路
12.電池
13.ボディシェル
14.ボディシェル差込口
20.駆動回路
21.第1の駆動ユニットシェル
22.第1の駆動ユニットシェル差込口
23.第1の駆動素子
230.駆動足
231.中央ローラー
232.第1の曲線振動圧電板
233.第2の曲線振動圧電板
234.垂直振動圧電板


図1
図2
図3
図4
図5