(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024011457
(43)【公開日】2024-01-25
(54)【発明の名称】ボール包装箱、ブランク、および、包装箱中間体
(51)【国際特許分類】
B65D 85/00 20060101AFI20240118BHJP
B65D 5/50 20060101ALI20240118BHJP
B65D 5/52 20060101ALI20240118BHJP
【FI】
B65D85/00 G
B65D5/50 D
B65D5/52 L
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022113431
(22)【出願日】2022-07-14
(71)【出願人】
【識別番号】000003193
【氏名又は名称】TOPPANホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】山▲崎▼ 由紀子
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 慶太
(72)【発明者】
【氏名】織田 光郎
【テーマコード(参考)】
3E060
3E068
【Fターム(参考)】
3E060AA03
3E060AB05
3E060BA05
3E060BC02
3E060BC04
3E060CB02
3E060CB06
3E060CB16
3E060CC02
3E060CC18
3E060CC52
3E060DA30
3E060EA14
3E068AA40
3E068AB03
3E068AC08
3E068BB01
3E068CC04
3E068CD01
3E068CE02
3E068CE03
3E068DD04
3E068DD08
3E068DE12
3E068DE13
3E068EE01
3E068EE16
3E068EE17
3E068EE25
3E068EE26
3E068EE32
(57)【要約】
【課題】直径の異なる複数の種類のボールを収容することができるボール包装箱、ブランク、および、包装箱中間体を提供する。
【解決手段】ボール包装箱100は、上壁10、下壁20、右壁30、および、左壁40の4つの主壁を備え、これら主壁で囲まれる空間にボール110を収容するように構成されている。ボール包装箱100は、下壁20の前端から立ち上がる前壁と、前壁の上端からボール包装箱100内に向けて下壁との間に隙間を空けて当該下壁に沿って延びる支持内壁とを備える。支持内壁は、下壁に向かって網状に伸びることが可能に構成された網状部を有する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
上壁、下壁、右壁、および、左壁の4つの主壁を備え、これら主壁で囲まれる空間にボールを収容するように構成されたボール包装箱であって、
前記下壁の前端から立ち上がる前壁と、
前記前壁の上端から前記ボール包装箱内に向けて前記下壁との間に隙間を空けて当該下壁に沿って延びる支持内壁と、を備え、
前記支持内壁は、前記下壁に向かって網状に伸びることが可能に構成された網状部を有する
ボール包装箱。
【請求項2】
前記網状部は、前記ボールの底部を支持するための孔と、前記孔を囲む複数のスリットとを有する
請求項1に記載のボール包装箱。
【請求項3】
前記複数のスリットは、同心円上に位置し、
前記同心円を構成する各円上において複数の前記スリットが隙間を空けて並んでいる
請求項2に記載のボール包装箱。
【請求項4】
前後方向における前記支持内壁の長さは前記下壁の長さよりも短く、
前記支持内壁の後端から前記下壁の後端に向かって傾斜して延びる傾斜内壁を備える
請求項1に記載のボール包装箱。
【請求項5】
前記ボール包装箱の後面を構成する後フラップであって、前記4つの主壁に1つずつ繋がった4つの後フラップを備え、
各後フラップの両端は他の後フラップと係合されており、
前記4つの後フラップには、前記係合を解除して前記ボール包装箱を開くときの使用者による支持位置を示す領域を含む前記後フラップが含まれる
請求項1に記載のボール包装箱。
【請求項6】
ボール包装箱を製造するためのブランクであって、
一列に繋がった上壁、下壁、右壁、および、左壁と、
前記下壁の前端から上方向に立ち上げ可能に前記下壁に繋がった前壁と、
前記前壁に対して前記下壁と反対側に繋がった支持内壁であって、前記前壁の上端から前記ボール包装箱内に向けて前記下壁との間に隙間を空けて当該下壁に沿って延びるように構成された前記支持内壁と、を備え、
前記支持内壁は、前記下壁に向かって網状に伸びることが可能に構成された網状部を有する
ブランク。
【請求項7】
ボール包装箱の製造に用いられる中間体であって、
上壁、下壁、右壁、および、左壁の4つの主壁であって、扁平筒状に繋げられている前記4つの主壁と、
前記下壁の前端から上方向に立ち上げ可能に前記下壁に繋がった前壁と、
前記前壁に対して前記下壁と反対側に繋がった支持内壁であって、前記前壁の上端から前記ボール包装箱内に向けて前記下壁との間に隙間を空けて当該下壁に沿って延びるように構成された前記支持内壁と、を備え、
前記支持内壁は、前記下壁に向かって網状に伸びることが可能に構成された網状部を有する
包装箱中間体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ボール包装箱、ブランク、および、包装箱中間体に関する。
【背景技術】
【0002】
球技用ボールの販売に際して当該ボールの陳列に用いられるボール包装箱が知られている(例えば、特許文献1参照)。球技用ボールは、例えば、バスケットボールやサッカーボール等である。ボール包装箱は、1枚のブランクから組み立てられた箱状を有し、前面と後面とに開口部を有する。これらの開口部から、ボール包装箱に収容されたボールが視認可能である。ボールをボール包装箱に収容した状態で陳列することにより、ボールが転がることを抑えられるため、ボールの安定した陳列が可能である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1のボール包装箱においては、箱内部に、ボールの底部を支持するフラップが配置されている。フラップは、ボールと接する部分で箱の底面から浮き上がっており、弾性力を有するように底面に向けて僅かに変形可能である。それゆえ、収容されるボールの直径に応じて、フラップの高さが変化する。これにより、空気が十分に充填されているボールと空気不足のボールとのように、直径が若干異なるボールであっても、これらのボールのいずれもを箱内部に安定して保持することができる。
【0005】
しかしながら、1枚のブランクから組み立てられたボール包装箱では、上記フラップを複雑な機構により構成することはできないため、フラップの高さが変化する範囲は僅かである。したがって、収容可能なボールの直径の範囲は狭い。それゆえ、号数の異なるボールのように、より大きな直径の差を有する複数の種類のボールを収容可能なボール包装箱が望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するためのボール包装箱、ブランク、および、包装箱中間体の各態様を記載する。
[態様1]上壁、下壁、右壁、および、左壁の4つの主壁を備え、これら主壁で囲まれる空間にボールを収容するように構成されたボール包装箱であって、前記下壁の前端から立ち上がる前壁と、前記前壁の上端から前記ボール包装箱内に向けて前記下壁との間に隙間を空けて当該下壁に沿って延びる支持内壁と、を備え、前記支持内壁は、前記下壁に向かって網状に伸びることが可能に構成された網状部を有するボール包装箱。
【0007】
上記構成によれば、網状部の伸びによって、ボール包装箱内でのボールの底部の支持高さが変わる。そのため、直径の異なる複数の種類のボールを、共通するブランクから組み立てられたボール包装箱に収容することができる。
【0008】
[態様2]前記網状部は、前記ボールの底部を支持するための孔と、前記孔を囲む複数のスリットとを有する[態様1]に記載のボール包装箱。
上記構成によれば、上記孔によってボールの底部が的確に支持され、網状部の伸びによって孔の高さが変わる。それゆえ、ボールの底部の支持高さが変わる構成が好適に実現される。
【0009】
[態様3]前記複数のスリットは、同心円上に位置し、前記同心円を構成する各円上において複数の前記スリットが隙間を空けて並んでいる[態様2]に記載のボール包装箱。
上記構成によれば、網状に伸びる網状部が好適に実現される。
【0010】
[態様4]前後方向における前記支持内壁の長さは前記下壁の長さよりも短く、前記支持内壁の後端から前記下壁の後端に向かって傾斜して延びる傾斜内壁を備える[態様1]~[態様3]のいずれか一項に記載のボール包装箱。
上記構成によれば、ボール包装箱の後方から支持内壁に乗せるようにボールを収容することが容易である。
【0011】
[態様5]前記ボール包装箱の後面を構成する後フラップであって、前記4つの主壁に1つずつ繋がった4つの後フラップを備え、各後フラップの両端は他の後フラップと係合されており、前記4つの後フラップには、前記係合を解除して前記ボール包装箱を開くときの使用者による支持位置を示す領域を含む前記後フラップが含まれる[態様1]~[態様4]のいずれか一項に記載のボール包装箱。
【0012】
上記構成によれば、ボール包装箱を開ける際に支持すべき位置を使用者が把握しやすい。それゆえ、ボール包装箱を容易に開けることが可能であり、使用者の利便性が高められる。
【0013】
[態様6]ボール包装箱を製造するためのブランクであって、一列に繋がった上壁、下壁、右壁、および、左壁と、前記下壁の前端から上方向に立ち上げ可能に前記下壁に繋がった前壁と、前記前壁に対して前記下壁と反対側に繋がった前記支持内壁であって、前記前壁の上端から前記ボール包装箱内に向けて前記下壁との間に隙間を空けて当該下壁に沿って延びるように構成された支持内壁と、を備え、前記支持内壁は、前記下壁に向かって網状に伸びることが可能に構成された網状部を有するブランク。
【0014】
上記構成によれば、製造されたボール包装箱において、網状部の伸びによって、ボール包装箱内でのボールの底部の支持高さが変わる。そのため、直径の異なる複数の種類のボールを、共通するブランクから組み立てられたボール包装箱に収容することができる。
【0015】
[態様7]ボール包装箱の製造に用いられる中間体であって、上壁、下壁、右壁、および、左壁の4つの主壁であって、扁平筒状に繋げられている前記4つの主壁と、前記下壁の前端から上方向に立ち上げ可能に前記下壁に繋がった前壁と、前記前壁に対して前記下壁と反対側に繋がった前記支持内壁であって、前記前壁の上端から前記ボール包装箱内に向けて前記下壁との間に隙間を空けて当該下壁に沿って延びるように構成された支持内壁と、を備え、前記支持内壁は、前記下壁に向かって網状に伸びることが可能に構成された網状部を有する包装箱中間体。
【0016】
上記構成によれば、製造されたボール包装箱において、網状部の伸びによって、ボール包装箱内でのボールの底部の支持高さが変わる。そのため、直径の異なる複数の種類のボールを、共通するブランクから組み立てられたボール包装箱に収容することができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、ボール包装箱において、直径の異なる複数の種類のボールを収容することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】第1実施形態のボール包装箱の斜視構造を示す図。
【
図3】第1実施形態の包装箱中間体の平面構造を示す図。
【
図4】第1実施形態のボール包装箱の斜視構造を示す図。
【
図5】第1実施形態のボール包装箱の斜視構造を示す図。
【
図6】第1実施形態のボール包装箱の斜視構造を示す図。
【
図7】第1実施形態のボール包装箱の斜視構造を示す図。
【
図8】第1実施形態のボール包装箱の断面構造を示す図。
【
図9】第1実施形態のボール包装箱の断面構造を示す図。
【
図11】第2実施形態のボール包装箱の斜視構造を示す図。
【
図12】第2実施形態のボール包装箱の斜視構造を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0019】
(第1実施形態)
図1~
図9を参照して、ボール包装箱、ブランク、および、包装箱中間体の第1実施形態を説明する。以下の説明において、上下、前後、左右の各方向は、ボール包装箱を水平面に静置した状態での方向に対応する。
【0020】
[ボール包装箱の全体構成]
図1に示すように、ボール包装箱100は、上壁10、下壁20、右壁30、および、左壁40の4つの主壁からなる筒状体を有し、筒状体で囲まれた空間にボール110を収容する。ボール包装箱100の前面と後面とは開口されており、ボール包装箱100の前方および後方から、収容されているボール110を視認することができる。ボール110は、例えば、バスケットボール、バレーボール、サッカーボール、ドッジボール、ハンドボール等の球技用ボールである。
【0021】
[ブランクの構成]
図2は、ボール包装箱100の製造のためのブランク101を示す。ボール包装箱100は、1枚のブランク101の組み立てによって形成される。
【0022】
図2に示すように、ブランク101において、左壁40、下壁20、右壁30、上壁10の4つの主壁がこの順に一列に並んでおり、隣り合う主壁は折り曲げ線である罫線60a~60cを介して繋がっている。さらに、上壁10に対して右壁30と反対側には、罫線60dを介して糊代片50が繋がっている。糊代片50は、ブランク101の組み立て過程において左壁40の裏面端部に接着される部分であり、帯状に延びる。
【0023】
下壁20は矩形形状を有し、下壁20の前端には、罫線62aを介して前壁21が繋がっている。前壁21は、左右方向に延びる帯状を有する。前壁21に対して下壁20と反対側には、矩形形状の支持内壁22が罫線62bを介して繋がっている。さらに、支持内壁22に対して前壁21と反対側には、帯状の傾斜内壁23が罫線62cを介して繋がっており、支持内壁22における左右の側端の各々には、帯状の側端片24が罫線62dを介して繋がっている。
【0024】
支持内壁22は、網目状に延びることが可能に構成された部分である網状部25を有している。具体的には、網状部25は、ブランク101を貫通する切り込みであるスリット25sが位置する部分である。スリット25sは、10個程度の円からなる同心円上に位置する。同心円の中央には、円形の支持孔25hが位置している。支持孔25hは、ブランク101を貫通する貫通孔である。同心円を構成する各円上においては、複数のスリット25sが所定の長さの隙間を空けて並んでいる。上記隙間の周方向の位置は、径方向において、隣り合う円では一致せず、一つ置きの円にて一致する。すなわち、径方向に沿ってスリット25sと上記隙間とが交互に並んでいる。また、支持内壁22の後端、すなわち傾斜内壁23側の端にて、同心円の端部が途切れている。
【0025】
左右方向の中央部において、支持内壁22と傾斜内壁23との間には、後部孔23hが区画されている。後部孔23hは、ブランク101を貫通する貫通孔である。後部孔23hは、支持内壁22が含む直線状の辺と、傾斜内壁23が含む円弧状の辺とに囲まれており、網状部25のスリット25sが位置する同心円と同一の中心の円の端部に対応する形状を有する。すなわち、傾斜内壁23は、帯状に延びる矩形から、支持内壁22に隣接する部分で後部孔23hである円の端部が切り取られた形状を有する。さらに、傾斜内壁23における左右方向の中央部には、傾斜内壁23を横断する中央折線23pが位置している。中央折線23pにおいては、他の罫線と同様に、ブランク101が折れやすくなる加工が施されている。
【0026】
右壁30の前端には、下壁20に近い位置から、右補助片31、右折曲片32、前右フラップ33が罫線63a~63cを介して繋がっている。右壁30の前端は、右折曲片32と前右フラップ33との基端が位置する部分において内側に窪んでいる。左壁40の前端には、下壁20に近い位置から、左補助片41、左折曲片42、前左フラップ43が罫線64a~64cを介して繋がっている。左壁40の前端は、左折曲片42と前左フラップ43との基端が位置する部分において内側に窪んでいる。
【0027】
右壁30と左壁40、右補助片31と左補助片41、右折曲片32と左折曲片42、前右フラップ33と前左フラップ43のそれぞれは、互いに左右対称な形状を有する。右補助片31および左補助片41は略矩形形状を有する。右折曲片32および左折曲片42は略三角形状を有する。前右フラップ33および前左フラップ43は略三角形状を有し、前右フラップ33の先端には円弧状の先端辺33aが位置し、前左フラップ43の先端には円弧状の先端辺43aが位置する。
【0028】
上壁10は矩形形状を有し、上壁10の前端には、前上フラップ11が罫線61aを介して繋がっている。前上フラップ11の先端には、円弧状の先端辺11aが位置する。前上フラップ11と前右フラップ33との隣り合う端部は、互いに係合可能な構造を有しており、前上フラップ11と前左フラップ43との組み立て後に隣り合う端部は、互いに係合可能な構造を有している。すなわち、一方の端部が有する窪みに他方の端部が有する突起が引っ掛けられることによって、端部同士の係合が可能とされる。
【0029】
下壁20の後端には、後下フラップ26の基端が罫線62fを介して繋がっている。後下フラップ26の先端には、罫線62fに向けて突き出す円弧状の先端辺26aが位置している。同様に、上壁10の後端には、円弧状の先端辺16aを有する後上フラップ16が罫線61fを介して繋がっており、右壁30の後端には、円弧状の先端辺36aを有する後右フラップ36が罫線63fを介して繋がっており、左壁40の後端には、円弧状の先端辺46aを有する後左フラップ46が罫線64fを介して繋がっている。
【0030】
後下フラップ26と後左フラップ46との隣り合う端部は、互いに係合可能な構造を有している。同様に、後下フラップ26と後右フラップ36との隣り合う端部、後右フラップ36と後上フラップ16との隣り合う端部、後上フラップ16と後左フラップ46との組み立て後に隣り合う端部のそれぞれは、互いに係合可能な構造を有している。すなわち、一方の端部が有する窪みに他方の端部が有する突起が引っ掛けられることによって、端部同士の係合が可能とされる。なお、後上フラップ16、後下フラップ26、後右フラップ36、後左フラップ46の各々は、後フラップの一例である。
【0031】
上記ブランク101に対し、4つの主壁および糊代片50間の罫線60a~60dのうちの少なくとも2つが折り曲げられ、糊代片50が左壁40の裏面端部に接着されることにより、
図3に示す包装箱中間体104が形成される。包装箱中間体104において、右壁30、上壁10、左壁40、および、下壁20は、扁平筒状に繋げられている。
【0032】
例えば、工場等でブランク101から包装箱中間体104を形成した後、ボールの収容を行う拠点へは包装箱中間体104の状態で運搬し、拠点にて包装箱中間体104からボール包装箱100を組み立ててボール包装箱100にボール110を収容する。これにより、組み立て後のボール包装箱100を運搬する場合と比較して、運搬に要するスペースの削減が可能である。それとともに、拠点にてブランク101からボール包装箱100を組み立てる場合と比較して、糊代片50の接着工程が不要であるため、ボール包装箱100の組み立てに要する作業の簡略化が可能である。
なお、ブランク101は、例えば、段ボールやボール紙等の紙やプラスチックシートから構成される。
【0033】
[ボール包装箱の詳細構成]
ボール包装箱100の構成を、ブランク101からの組立方法も含めて詳細に説明する。ボール包装箱100の組み立てに際しては、ブランク101から包装箱中間体104が形成された後、4つの主壁からなる筒状体が引き起こされ、下部、前面上部、後面の各々が組み立てられる。
【0034】
図4~
図7は、ボール包装箱100の斜視構造を示す。このうち、
図5においては、後上フラップ16、後下フラップ26、後右フラップ36、および、後左フラップ46の図示を省略している。
【0035】
ボール包装箱100の下部は、前壁21、支持内壁22、傾斜内壁23、側端片24、右補助片31、左補助片41、右折曲片32、および、左折曲片42の組み立てによって形成される。
【0036】
図4および
図5に示すように、前壁21は、下壁20の前端から上方向に向けて立ち上がる。前壁21の高さは、ボール包装箱100の高さの3分の1以下である。支持内壁22は、前壁21の上端から、ボール包装箱100の内部に向けて延びる。支持内壁22は下壁20に沿って延び、支持内壁22と下壁20との間には隙間が空いている。すなわち、下壁20と支持内壁22とは平行に位置する。支持孔25hは、ボール包装箱100内における下部中央に配置される。
【0037】
支持内壁22の右端から罫線62dを介して延びる側端片24は、罫線62dにて山折りされて、ボール包装箱100の内部で右壁30に沿う。また、支持内壁22の左端から罫線62dを介して延びる側端片24は、罫線62dにて山折りされて、ボール包装箱100の内部で左壁40に沿う。
【0038】
右壁30の前端から罫線63bを介して延びる右折曲片32は、罫線63bで山折りされて右壁30に向かって内側に折り込まれ、右壁30と支持内壁22および側端片24との間に差し込まれている。同様に、左壁40の前端から罫線64bを介して延びる左折曲片42は、罫線64bで山折りされて左壁40に向かって内側に折り込まれ、左壁40と支持内壁22および側端片24との間に差し込まれている。右補助片31および左補助片41は、前壁21の裏面に沿って、前壁21と支持内壁22と下壁20とで区画される空間に差し込まれている。
【0039】
前後方向における支持内壁22の長さは、下壁20よりも短い。傾斜内壁23は、支持内壁22の後端から下壁20の後端に向けて延びる。傾斜内壁23は、支持内壁22および下壁20に対して傾斜している。
【0040】
図6に示すように、ボール包装箱100の前面上部は、前上フラップ11、前右フラップ33、および、前左フラップ43の組み立てによって形成される。すなわち、各フラップ11,33,43は、ボール包装箱100の内部に向かって折り込まれ、前上フラップ11の右端部と前右フラップ33の上端部とが係合され、前上フラップ11の左端部と前左フラップ43の上端部とが係合される。これにより、各フラップ11,33,43は、上壁10、右壁30、および、左壁40の前端からボール包装箱100内に向かうように傾斜した状態に保持され、その先端に、各フラップ11,33,43の先端辺11a,33a,43aが連なった曲線状の辺が配置される。
【0041】
ボール包装箱100の前面下部は、前面上部よりも前方向に突出している。言い換えれば、右壁30および左壁40の前部には、上壁10の前端から延びる斜辺と前壁21の上端から延びる斜辺とから構成される窪みが形成されている。これらの斜辺の交点にて、窪みの深さは最も深くなっている。
【0042】
図7に示すように、ボール包装箱100の後面は、後上フラップ16、後下フラップ26、後右フラップ36、および、後左フラップ46の組み立てによって形成される。すなわち、各フラップ16,26,36,46は、ボール包装箱100の内部に向かって折り込まれ、後上フラップ16の右端部と後右フラップ36の上端部とが係合され、後上フラップ16の左端部と後左フラップ46の上端部とが係合され、後下フラップ26の右端部と後右フラップ36の下端部とが係合され、後下フラップ26の左端部と後左フラップ46の下端部とが係合される。
【0043】
これにより、各フラップ16,26,36.46は、上壁10、下壁20、右壁30、および、左壁40の後端からボール包装箱100内に向かうように傾斜した状態に保持され、その先端に、各フラップ16,26,36,46の先端辺16a,26a,36a,46aが連なった曲線状の辺が配置される。そして、この曲線状の辺によって区画された開口がボール包装箱100の後面に形成される。
【0044】
各フラップ16,26,36,46の係合によって、各フラップ16,26,36,46がボール包装箱100の外側に向けて開くことが規制される一方で、各フラップ16,26,36,46がボール包装箱100の内側に向けて折り込まれることは許容される。
【0045】
ボール包装箱100における下部、前面上部、および、後面の組み立て順は特に限定されないが、下部、前面上部、後面の順に組み立てると、ボール包装箱100の組み立てを円滑に進めることができる。
【0046】
また、ボール110は、ボール包装箱100の後方から収容される。傾斜内壁23は、下壁20の後端からボール包装箱100の内部に向けて傾斜しており、さらに、後部孔23hと中央折線23pが設けられていることにより、傾斜内壁23は、その中央部でボール包装箱100の前方に向けて窪むように曲がりやすい。それゆえ、後方から支持内壁22に乗るように、ボール110の収容を円滑に進めることができる。
【0047】
ボール110は、後面の組み立て前に収容されてもよいし、後面の一部が組み立てられた後に収容されてもよいし、後面の組み立て後に収容されてもよい。後面の組み立て後であっても、各フラップ16,26,36,46をボール包装箱100の内側に向けて折り込むことは許容されることから、ボール110の収容が可能である。後面の組み立ては、ボール110が収容されていない状態で実施される方が容易であるため、後面の組み立て後にボール110を収容することで、ボール包装箱100の組み立ておよびボール110の収容を円滑に進めることができる。
【0048】
図8および
図9は、ボール110が収容された状態のボール包装箱100における前後方向に沿った断面構造を示す。
図8は、小径のボール110が収容された状態を示し、
図9は、大径のボール110が収容された状態を示す。
【0049】
ボール110は、支持内壁22における網状部25に乗っており、ボール110の底部は支持孔25hの縁に支持される。ボール110の底部付近は、スリット25sが形成されている領域に接する。網状部25のなかでボール110と接している部分とその近傍では、ボール110に押されることに起因して、スリット25sが開き、網状部25がボール包装箱100の底面に向けて網状に伸びる。言い換えれば、網状部25がボール包装箱100の底面に向けて沈む。ボール包装箱100の底面は下壁20が有する面である。
【0050】
ボール110が大きいほど、網状部25のなかでボール110の底部付近と接する領域が広がることから、スリット25sが位置する同心円のなかでより外側の円までスリット25sが開き、網状部25はより深く沈む。例えば、
図8と
図9とを比較すると、大径のボール110が収容されている
図9の方が、小径のボール110が収容されている
図8よりも、より外側の円までスリット25sが開き、支持孔25hの付近がより深い位置、すなわち下壁20に近い位置まで沈んでいる。
【0051】
このように、ボール110の直径に応じた網状部25の伸びによって、ボール110の底部を支持する支持孔25hの高さが変わることから、直径の異なる複数の種類のボール110を、共通するブランク101から組み立てられたボール包装箱100に収容することができる。なお、ボール110の収容前において網状部25が伸びず、かつ、ボール110からの荷重によって網状部25が伸びる程度の剛性を有するように、ブランク101を構成する紙やプラスチックシートの種類が選択されればよい。
【0052】
また、ボール110の前方上部が、前上フラップ11、前右フラップ33、および、前左フラップ43の先端辺11a,33a,43aに当接し、ボール110の前方下部が、網状に伸びることにより前方にせり上がるように位置した網状部25の前部に当接することで、ボール110が前方に転がり出ることが抑えられる。
【0053】
また、ボール110の後部が、後上フラップ16、後下フラップ26、後右フラップ36、および、後左フラップ46の先端辺16a,26a,36a,46aあるいは傾斜内壁23の上端の円弧状の辺に当接することで、ボール110が後方に転がり出ることが抑えられる。後面の各フラップ16,26,36,46の傾きは、ボール110の直径に応じて変わってもよく、後面の組み立て後にボール110を収容する形態であれば、ボール110の直径に合わせた各フラップ16,26,36,46の傾きの調整が容易である。
【0054】
このように、前面上部での各フラップ11,33,43の先端による支持と、下部での網状部25による支持と、後面での各フラップ16,26,36,46の先端による支持とによって、ボール包装箱100の内部でのボール110の位置が安定する。これにより、ボール110がボール包装箱100の内部に的確に保持される。
【0055】
なお、収容されたボール110は、前面上部の各フラップ11,33,43と、後面の各フラップ16,26,36,46とに同時に接している必要はない。ボール110が前方へ移動しようとしたときに、前面上部の各フラップ11,33,43への当接によって前方への転がりが抑えられ、ボール110が後方へ移動しようとしたときに、後面の各フラップ16,26,36,46への当接によって後方への転がりが抑えられればよい。こうした前面および後面での転がりの規制が可能であって、かつ、網状部25の伸びによる調整に基づき上壁10と支持内壁22との間に収容可能な範囲の直径を有するボール110であれば、ボール包装箱100に収容することができる。
【0056】
例えば、本実施形態のボール包装箱100には、5号~7号のバスケットボールのように、号数の異なる球技用ボールを収容することができる。さらに、ブランク自体の大きさを変更することで、より多くの種類のボールに対応可能である。
【0057】
以上、第1実施形態によれば、以下に列挙する効果を得ることができる。
(1)網状部25の伸びによって、ボール包装箱100内でのボール110の底部の支持高さが変わる。そのため、直径の異なる複数の種類のボール110を、共通するブランク101から組み立てられたボール包装箱100に収容することができる。したがって、直径の異なるボール110ごとに別々のブランクおよびボール包装箱を用意する必要がないため、ブランク101の製造およびボール包装箱100の管理の効率が高められる。
【0058】
(2)網状部25が、ボール110の底部を支持するための支持孔25hと、支持孔25hを囲む複数のスリット25sとを有する。上記構成によれば、支持孔25hによってボール110の底部が的確に支持され、網状部25の伸びによって支持孔25hの高さが変わる。それゆえ、ボール110の底部の支持高さが変わる構成が好適に実現される。
【0059】
(3)複数のスリット25sが同心円上に位置し、同心円の構成する各円上において複数のスリット25sが隙間を空けて並んでいる。上記構成によれば、網状に伸びる網状部25が好適に実現される。
【0060】
(4)傾斜内壁23が、支持内壁22の後端から下壁20の後端に向かって傾斜して延びる。これにより、ボール包装箱100の後方から支持内壁22に乗せるようにボール110を収容することが容易である。また、前後方向において支持内壁22の後端が下壁20の後端と同じ位置まで延びている場合と比べて、後フラップの傾斜が妨げられることも抑えられる。
【0061】
また、後部孔23hと中央折線23pとが設けられていることのそれぞれによって、傾斜内壁23は、その中央部でボール包装箱100の前方に向けて窪むように曲がりやすい。これによっても、後方から支持内壁22に乗せるように、ボール110の収容を円滑に進めることができる。そして、後部孔23hに面する位置で傾斜内壁23の先端辺は円弧状を有するため、この傾斜内壁23の先端辺によってボール110を支持することもできる。
【0062】
また、網状部25にてスリット25sが位置する同心円が、支持内壁22の後端で途切れている。それゆえ、支持内壁22の後端に同心円の最外部が位置する場合よりも、支持内壁22の後端にて網状部25が伸びやすい。これによっても、後方から支持内壁22に乗せるように、ボール110の収容を円滑に進めることができる。
【0063】
(第2実施形態)
図10~
図12を参照して、ボール包装箱、ブランク、および、包装箱中間体の第2実施形態を説明する。以下では、第2実施形態と第1実施形態との相違点を中心に説明し、第1実施形態と同様の構成については同じ符号を付してその説明を省略する。
【0064】
第2実施形態は、ボール包装箱の使用者の利便性を高めることを課題とする。第2実施形態における第1の課題は、ボールの陳列等のために使用者がボール包装箱を移動させるときに、ボール包装箱の運搬を容易とすることである。第2実施形態における第2の課題は、ボール包装箱から使用者がボールを取り出すときに、ボール包装箱の開封を容易とすることである。
【0065】
図10は、第2実施形態のブランク102を示す。ブランク102は、指掛部70と、指当部71,72と、補助折線73~76とを備える点が第1実施形態と異なっており、これら以外の構成は第1実施形態と同様である。
【0066】
指掛部70は、左壁40に位置する。指掛部70においては、略矩形形状や略楕円形状に延びる孔を形成可能に、左壁40の一部に切り込みが入れられている。例えば、孔となる部分の外周縁のうちの上縁部等の一部のみが左壁40の他の部分に繋がり、外周縁のうちの他の部分が周囲から切り離されている。
【0067】
右指当部71は、後右フラップ36における右壁30の付近に位置し、左指当部72は、後左フラップ46における左壁40の付近に位置する。指当部71,72においては、親指よりやや大きい程度の孔を形成可能に、フラップ36,46の一部に切り込みが入れられている。例えば、孔の外周縁のうちの側縁部等の一部のみがフラップ36,46の他の部分に繋がり、外周縁のうちの他の部分が周囲から切り離されている。
【0068】
補助折線73は、二本の斜線からなる山形を構成しており、右壁30と後右フラップ36との間の罫線63fの中央部を山の頂点として右壁30内に延びる。すなわち、二本の斜線間の距離は、罫線63fから離れるほど広がる。
【0069】
同様に、補助折線74は、二本の斜線からなる山形を構成しており、左壁40と後左フラップ46との間の罫線64fの中央部を山の頂点として左壁40内に延びる。すなわち、二本の斜線間の距離は、罫線64fから離れるほど広がる。
【0070】
補助折線75は、二本の斜線とその間の直線からなり、後右フラップ36内において、右指当部71の周囲から、先端辺36aに向かって二本の斜線間の距離が広がるように延びる。同様に、補助折線76は、二本の斜線とその間の直線からなり、後左フラップ46内において、左指当部72の周囲から、先端辺46aに向かって二本の斜線間の距離が広がるように延びる。なお、補助折線75,76において、斜線間の直線は割愛されてもよい。
【0071】
補助折線73~75においては、他の罫線と同様に、ブランク102が折れやすくなる加工が施されている。こうした加工は、ブランク102のなかで、ボール包装箱の内側となる面にのみ施されていてもよい。補助折線73~75の加工が、ボール包装箱の内側面にのみ施されていれば、ボール包装箱の外側から補助折線73~75が視認されないため、ボール包装箱の意匠性が高められる。
なお、第2実施形態のブランク102の組立方法は第1実施形態と同様である。
【0072】
図11および
図12は、第2実施形態のボール包装箱105の斜視構造を示す。
図11に示すように、指掛部70は、左壁40内の上部に位置する。指掛部70に形成した孔に指をかけることで、使用者はボール包装箱105を容易に保持することができる。したがって、使用者はボール包装箱105を容易に移動させることが可能であり、片手で1つのボール包装箱105を運搬することも可能である。指掛部70の孔は、周囲から切り離されている部分をボール包装箱105の内部に折り曲げることによって形成される。指掛部70は、ブランク102において予め形成された貫通孔であってもよいが、ブランク102の一部の折り曲げによって孔が形成される形態であれば、孔の切断面に使用者の手が触れることが抑えられる。
【0073】
これにより、第1の課題の解決が可能であり、使用者の利便性の向上が可能である。なお、指掛部70は、左壁40に代えて右壁30に設けられていてもよいし、右壁30と左壁40との双方に設けられていてもよい。
【0074】
図12に示すように、右指当部71は、後右フラップ36のなかの右壁30付近において上下方向の中央部に位置し、左指当部72は、後左フラップ46のなかの左壁40付近において上下方向の中央部に位置する。使用者は、右指当部71に形成した孔に右親指をかけて、右手で後右フラップ36と右壁30との角部を掴み、左指当部72に形成した孔に左親指を掛けて、左手で後左フラップ46と左壁40との角部を掴む。そして、右壁30と左壁40とを左右方向に押し広げ、後右フラップ36と後左フラップ46とをボール包装箱105に押し込むように力を加える。これにより、後面の各フラップ16,26,36,46の係合が緩み、後面が開くため、ボール包装箱105に収容されているボール110を取り出すことができる。
【0075】
指当部71,72が設けられていることで、ボール包装箱105を開ける際にどの部分を支持すればよいかが使用者にとって把握しやすくなる。それゆえ、ボール包装箱105の取り扱いに不慣れな使用者であっても、ボール包装箱105を容易に開けることができる。
【0076】
また、補助折線73~76の位置でボール包装箱105が折れやすくなっていることから、上述のように力を加えた場合に、右壁30と左壁40とが左右方向に広がるように、ボール包装箱105が変形しやすい。それゆえ、後面が開きやすくなる。これにより、ボール包装箱105の開封がより容易になる。また、補助折線73~76が設けられていることにより、補助折線73~76以外の部分に折れや皺が生じることを抑えることもできる。
【0077】
なお、指当部71,72は、後面の各フラップ16,26,36,46の係合を解除してボール包装箱105を開くときの使用者による支持位置を示す領域であればよく、孔を形成可能に構成された領域に限らず、印刷やエンボス加工等の加工により支持位置を示す領域であってもよい。また、ボール包装箱105は、上下方向に押し広げられることで開かれてもよく、この場合、後上フラップ16および後下フラップ26に指当部が設けられていればよい。ただし、後下フラップ26の裏側には傾斜内壁23が位置するため、左右方向に押し広げる方がボール包装箱105の開封は容易である。
【0078】
以上により、第2の課題の解決が可能であり、使用者の利便性の向上が可能である。
第2実施形態によれば、第1実施形態の(1)~(4)の効果に加えて、以下に列挙する効果を得ることができる。
【0079】
(5)主壁に指掛部70が設けられているため、使用者はボール包装箱105を容易に保持することができる。したがって、ボール包装箱105の運搬が容易であり、使用者の利便性が高められる。
【0080】
(6)後面に位置する後フラップに指当部71,72が設けられていることにより、ボール包装箱105を開ける際に使用者が支持すべき位置を把握しやすい。それゆえ、ボール包装箱105を容易に開けることが可能であり、使用者の利便性が高められる。
【0081】
なお、ボール包装箱には、直径の異なるボールを収容するための構成である網状部25とは独立して、指掛部70および指当部71,72の少なくとも一方を採用することができる。指掛部70を採用した場合、網状部25および指当部71,72の採用とは関わりなく第1の課題を解決することが可能であり、指当部71,72を採用した場合、網状部25および指掛部70の採用とは関わりなく第2の課題を解決することが可能である。すなわち、ボール包装箱は、直径の異なる複数の種類のボールを収容するという第1実施形態の課題とは独立して、第2実施形態における第1の課題および第2の課題の一方を単独で解決するものであってもよい。この場合、網状部25を有する支持内壁22に代えて、特許文献1に記載のようにボールの底部を支持するフラップをボール包装箱に採用することは可能である。
【0082】
(変形例)
上記各実施形態は、以下のように変更して実施してもよい。また、以下の変形例は互いに組み合わせて実施してもよい。
【0083】
・前上フラップ11、前右フラップ33、および、前左フラップ43の先端辺の少なくとも1つは、ボール110を支持可能であれば円弧状でなくてもよく、例えば直線状であってもよい。同様に、後上フラップ16、後下フラップ26、後右フラップ36、および、後左フラップ46の先端辺の少なくとも1つは、ボール110を支持可能であれば円弧状でなくてもよく、例えば直線状であってもよい。また、傾斜内壁23の先端辺は、円弧状でなくてもよく、例えば直線状であってもよい。
【0084】
ただし、各先端辺が円弧状の部分を有していれば、ボール110と先端辺とが線状の領域で接することから、ボール110と先端辺とが点で接する場合と比較して、ボール110の位置が安定しやすい。
【0085】
・下壁20に向かって網状に伸びることが可能であれば、網状部25の構成は上記各実施形態と異なっていてもよい。例えば、スリット25sは、同心円とは異なるように配置されていてもよいし、支持孔25hは設けられていなくてもよい。また、ボール包装箱の下部中央から前方にのみ、網状部25が配置されていてもよい。すなわち、網状部25は、ボール110の底部前方のみでボール110を支持するように配置されていてもよい。こうした構成によっても、網状部25の伸びによって、ボール110の底部の支持高さが変わるため、直径の異なる複数の種類のボール110をボール包装箱100に収容することは可能である。
【0086】
・ボール包装箱の前面上部や後面の構成は上記各実施形態とは異なっていてもよい。例えば、各後フラップの先端に、後フラップの裏側に向けて折り曲げ可能な折曲片が延設され、折曲片の折り曲げの有無によって、後面に形成される開口の大きさが変更可能であってもよい。開口の大きさの切り換えにより、後面にて支持可能なボール110の直径が変わるため、これによっても、収容可能なボール110の直径の調節が可能である。あるいは、後面は1つの平面であって開口を有していなくてもよい。
【符号の説明】
【0087】
10…上壁
11…前上フラップ
16…後上フラップ
20…下壁
21…前壁
22…支持内壁
23…傾斜内壁
23h…後部孔
23p…中央折線
24…側端片
25…網状部
25h…支持孔
25s…スリット
26…後上フラップ
30…右壁
31…右補助片
32…右折曲片
33…前右フラップ
36…後右フラップ
40…左壁
41…左補助片
42…左折曲片
43…前左フラップ
46…後左フラップ
70…指掛部
71…右指当部
72…左指当部
100,105…ボール包装箱
101,102…ブランク
104…包装箱中間体