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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024114575
(43)【公開日】2024-08-23
(54)【発明の名称】カラム型電子式変速操作装置
(51)【国際特許分類】
   B60K 20/02 20060101AFI20240816BHJP
   B60K 20/00 20060101ALI20240816BHJP
   B60K 23/00 20060101ALI20240816BHJP
【FI】
B60K20/02 A
B60K20/00 B
B60K23/00 H
【審査請求】未請求
【請求項の数】20
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023111011
(22)【出願日】2023-07-05
(31)【優先権主張番号】10-2023-0018749
(32)【優先日】2023-02-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(71)【出願人】
【識別番号】591251636
【氏名又は名称】現代自動車株式会社
【氏名又は名称原語表記】HYUNDAI MOTOR COMPANY
【住所又は居所原語表記】12, Heolleung-ro, Seocho-gu, Seoul, Republic of Korea
(71)【出願人】
【識別番号】500518050
【氏名又は名称】起亞株式会社
【氏名又は名称原語表記】KIA CORPORATION
【住所又は居所原語表記】12, Heolleung-ro, Seocho-gu, Seoul, Republic of Korea
(74)【代理人】
【識別番号】100120031
【弁理士】
【氏名又は名称】宮嶋 学
(74)【代理人】
【識別番号】100127465
【弁理士】
【氏名又は名称】堀田 幸裕
(74)【代理人】
【識別番号】100107582
【弁理士】
【氏名又は名称】関根 毅
(72)【発明者】
【氏名】キム、ヨンジク
(72)【発明者】
【氏名】キム、ピルユン
(72)【発明者】
【氏名】ユ、ジェヨン
(72)【発明者】
【氏名】チェ、ジヒョク
(72)【発明者】
【氏名】パク、ジェミン
【テーマコード(参考)】
3D036
3D040
【Fターム(参考)】
3D036CA04
3D036CA08
3D036CA15
3D040AA01
3D040AA03
3D040AA10
3D040AA22
3D040AA33
3D040AB01
3D040AC24
3D040AC36
3D040AD15
3D040AF07
3D040AF26
3D040AF29
(57)【要約】
【課題】カラム型電子式変速操作装置を提供する。
【解決手段】本発明のカラム型電子式変速操作装置は、車両のステアリングカラム(20)に回転式で取り付けられ、待機モード時には変速機構(200)がステアリングホイール(10)の前方から運転者の視野を基準に上方向に延びるように位置し、使用モード時には変速機構(200)が待機モードを基準に回転して側方に延びるように位置し、必要に応じて、待機モード状態でも変速機構(200)の操作によって変速が可能となる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ステアリングホイールの前方に位置するハウジングと、
前記ハウジングに一端が回転可能に結合され、他端が半径方向に突出し、車両の変速のために運転者によって操作される変速機構と、
前記ハウジングに設けられ、作動時に変速機構を回転させる動力機構と、を含むことを特徴とする、カラム型電子式変速操作装置。
【請求項2】
前記変速機構の回転軸とステアリングホイールの回転軸は実質的に平行に配置されたことを特徴とする、請求項1に記載のカラム型電子式変速操作装置。
【請求項3】
ステアリングカラムがハウジングと変速機構の一端を一緒に貫通し、
前記ハウジングはステアリングホイールの前方でステアリングカラムに固定され、
前記変速機構はステアリングカラムを中心に回転することを特徴とする、請求項1に記載のカラム型電子式変速操作装置。
【請求項4】
前記変速機構は、動力機構の作動時に回転して待機モードおよび使用モードに位置が変更され、
前記待機モードは、変速機構がステアリングホイールの前方で運転者の視野を基準に上方向に延びた位置であり、
前記使用モードは、変速機構が待機モードを基準に回転して側方に延びた位置であることを特徴とする、請求項1に記載のカラム型電子式変速操作装置。
【請求項5】
前記待機モードと使用モードの位置変更は90度以下に設定されたことを特徴とする、請求項4に記載のカラム型電子式変速操作装置。
【請求項6】
前記変速機構は、待機モードから時計回りまたは反時計回りに回転して使用モードに位置が変更され、使用モードから逆に回転して待機モードに復帰することを特徴とする、請求項4に記載のカラム型電子式変速操作装置。
【請求項7】
前記変速機構が待機モードから回転して使用モードに位置したとき、変速機構は、ステアリングホイールを中心にターンシグナルスイッチと対称に位置することを特徴とする、請求項4に記載のカラム型電子式変速操作装置。
【請求項8】
前記変速機構は、使用モード時にステアリングホイールを中心にターンシグナルスイッチと左右対称な方向に位置することを特徴とする、請求項4に記載のカラム型電子式変速操作装置。
【請求項9】
前記動力機構は、ハウジングに固定されたモータと、
前記モータの動力を変速機構に伝達するギア部材と、
前記モータの駆動を制御するPCBと、を含むことを特徴とする、請求項4に記載のカラム型電子式変速操作装置。
【請求項10】
前記ギア部材は、モータに連結されたウォームと、ウォームに噛み合うウォームホイールと、ウォームホイールと同軸的に連結され、変速機構のギア部に結合された中間ギアと、を含み、
前記変速機構は、ウォームとウォームホイールとの噛み合いによって待機モードと使用モードでセルフロックされて位置が固定されることを特徴とする、請求項9に記載のカラム型電子式変速操作装置。
【請求項11】
前記ギア部材には永久磁石が固定され、
前記PCBには、永久磁石の磁束変化を介して変速機構の回転を検出するホールセンサが設けられ、
前記PCBは、ホールセンサの信号を用いてモータの駆動を制御することを特徴とする、請求項9に記載のカラム型電子式変速操作装置。
【請求項12】
前記変速機構はインジケータを含み、
前記インジケータは、変速機構が待機モードに位置したときに変速段以外の視覚情報イメージが表示され、変速機構が使用モードに位置したときに車両の変速段が表示されることを特徴とする、請求項9に記載のカラム型電子式変速操作装置。
【請求項13】
前記PCBは、入力部の信号の入力時にモータを駆動させるように制御し、
前記入力部の信号は、始動オン及びオフ信号、ドアオープン及びクローズ信号、ドアロック及びアンロック信号、自律走行モード変更信号及び手動運転モード変更信号のうちのいずれかであることを特徴とする、請求項12に記載のカラム型電子式変速操作装置。
【請求項14】
前記変速機構は、始動オフ状態で待機モードに位置し、始動オン状態で使用モードに位置することを特徴とする、請求項13に記載のカラム型電子式変速操作装置。
【請求項15】
前記変速機構は、自律走行モード時に待機モードに位置し、手動運転モード時に使用モードに位置することを特徴とする、請求項13に記載のカラム型電子式変速操作装置。
【請求項16】
前記変速機構は、ドアオープン信号またはドアアンロック信号時に待機モードに位置し、インジケータにはウェルカムイメージが表示されることを特徴とする、請求項13に記載のカラム型電子式変速操作装置。
【請求項17】
前記変速機構が使用モードに位置したとき、運転者は、変速機構の操作で変速段の変更が可能であり、待機モードの位置で変速機構が操作されるときには、変速段の変更が不可であるか、或いは始動がオフになった直後に一定時間だけN段変速信号の送出が可能であることを特徴とする、請求項4に記載のカラム型電子式変速操作装置。
【請求項18】
前記使用モードにおける変速段の操作は、変速機構に設けられた変速ノブの回転操作によって可能であり、
前記変速ノブを前方に回転させると、D段又はR段が実行され、後方に回転させると、R段又はD段が実行され、前方又は後方に回転させた後に操作力を除去すると、初期位置に復帰することを特徴とする、請求項4に記載のカラム型電子式変速操作装置。
【請求項19】
前記変速機構は、
変速機構操作による変速段の変更を検知するための変速制御器を含み、
前記変速制御器とPCBは、ワイヤリングを介して信号を送受信するように連結され、
前記変速制御器は、PCBから受信した信号に応じて、待機モードでは変速段以外の視覚情報イメージがインジケータに表示されるようにし、使用モードでは車両の変速段がインジゲータに表示されるようにすることを特徴とする、請求項12に記載のカラム型電子式変速操作装置。
【請求項20】
車両のステアリングカラムに取り付けられるカラム型電子式変速操作装置であって、
車両の変速段を選択する変速機構と、
入力部の信号に応じて変速機構が回転するように動力を伝達する動力機構と、を含み、
前記変速機構は、ステアリングホイールの前方で運転者の視野を基準に上方向に延びた位置である待機モード、または側方に延びた位置である使用モードに位置し、
前記変速機構は、入力部の信号の入力時に動力機構の作動によって待機モードから時計回りまたは反時計回りに回転して使用モードに位置が変更され、使用モードから逆に回転して待機モードに復帰することを特徴とする、カラム型電子式変速操作装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カラム型電子式変速操作装置に係り、より詳細には、ステアリングカラムに回転式で取り付けられたカラム型電子式変速操作装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、自動変速機が取り付けられている車両は、車両の走行速度に応じて設定されている変速範囲内で油圧を制御して、自動的に目標変速段レンジの変速ギアが動作できるようにする。
【0003】
自動変速機は、変速を行うために油圧回路、遊星ギアおよび摩擦要素を用いてギア比を作り出し、これらの構成部品の制御は、変速制御器(Transmission Control Unit、TRC)で担当する。
【0004】
車両用電子式変速システムであるシフトバイワイヤ(Shift By Wire、SBW)システムは、従来の機械式変速システムとは異なり、変速機と変速レバーとの間にケーブルなどの機械的な連結構造がない電子式変速システムであって、変速機構(変速レバーまたは変速ボタンまたは変速ダイヤル)の操作時に発生したセンサ値が変速制御器(TCU)に伝達されると、TCUから命令された信号によって電子的に変速制御が行われるシステムである。
【0005】
したがって、SBWをベースとする自動変速機は、電子式変速機構の簡単な操作によって運転者の変速意志をTCUに電気信号として伝達することにより、D(走行)段、R(後進)段、N段(Nd段、Nr段)等への変速操作がより容易に行われるという利点があるとともに、変速機構の小型化が可能であって運転席と助手席との間に広い空間を確保することができるという利点がある。
【0006】
電子式変速システムで変速操作を行う方法は、レバーを利用するレバータイプ、ボタンを利用するボタンタイプ、及びダイヤルを利用するダイヤルタイプに大別される。
【0007】
上記の背景技術として説明された事項は、本発明の背景に対する理解を増進させるためのものに過ぎず、当該技術分野における通常の知識を有する者に既に知られている従来技術に該当することを認めるものと受け入れられてはならないであろう。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】韓国特許公開第10-2019-0134927号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、車両のステアリングカラムに回転式で取り付けられたカラム型電子式変速操作装置であって、待機モード時には変速機構がステアリングホイールの前方から運転者の視野を基準に上方向に延びるように位置し、使用モード時には変速機構が待機モードを基準に回転して側方に延びるように位置し、これによりハイテクイメージの提供が可能であって商品性の向上を図ることができるようにすることを目的とする。
【0010】
また、本発明にカラム型電子式変速操作装置は、故障が発生して変速機構が待機モードから使用モードへ回転することができない状態のとき、待機モード状態でも変速機構の操作によって変速が可能な構成で、変速操作に対する安全性をさらに一層強化させることができるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記の目的を達成するための本発明のカラム型電子式変速操作装置は、ステアリングホイールの前方に位置するハウジングと、前記ハウジングに一端が回転可能に結合され、他端が半径方向に突出し、車両の変速のために運転者によって操作される変速機構と、前記ハウジングに設けられ、作動時に変速機構を回転させる動力機構と、を含むことを特徴とする。
【0012】
前記変速機構の回転軸とステアリングホイールの回転軸は実質的に平行に配置されたことを特徴とする。
【0013】
ステアリングカラムがハウジングと変速機構の一端を一緒に貫通し、前記ハウジングはステアリングホイールの前方でステアリングカラムに固定され、前記変速機構はステアリングカラムを中心に回転することを特徴とする。
【0014】
前記変速機構は、動力機構の作動時に回転して待機モードおよび使用モードに位置が変更され、前記待機モードは、変速機構がステアリングホイールの前方で運転者の視野を基準に上方向に延びた位置であり、前記使用モードは、変速機構が待機モードを基準に回転して側方に延びた位置であることを特徴とする。
【0015】
前記待機モードと使用モードの位置変更は90度以下に設定されたことを特徴とする。
【0016】
前記変速機構は、待機モードから時計回りまたは反時計回りに回転して使用モードに位置が変更され、使用モードから逆に回転して待機モードに復帰することを特徴とする。
【0017】
前記変速機構が待機モードから回転して使用モードに位置したとき、変速機構は、ステアリングホイールを中心にターンシグナルスイッチと対称に位置することを特徴とする。
【0018】
前記変速機構は、使用モード時にステアリングホイールを中心にターンシグナルスイッチと左右対称な方向に位置することを特徴とする。
【0019】
前記動力機構は、ハウジングに固定されたモータと、前記モータの動力を変速機構に伝達するギア部材と、前記モータの駆動を制御するPCBと、を含むことを特徴とする。
【0020】
前記ギア部材は、モータに連結されたウォームと、ウォームに噛み合うウォームホイールと、ウォームホイールと同軸的に連結され、変速機構のギア部に結合された中間ギアと、を含み、前記変速機構は、ウォームとウォームホイールとの噛み合いによって待機モードと使用モードでセルフロックされて位置が固定されることを特徴とする。
【0021】
前記ギア部材には永久磁石が固定され、前記PCBには、永久磁石の磁束変化を介して変速機構の回転を検出するホールセンサが設けられ、前記PCBは、ホールセンサの信号を用いてモータの駆動を制御することを特徴とする。
【0022】
前記変速機構はインジケータを含み、前記インジケータは、変速機構が待機モードに位置したときに変速段以外の視覚情報イメージが表示され、使用モードに位置したときに車両の変速段が表示されることを特徴とする。
【0023】
前記PCBは、入力部の信号の入力時にモータを駆動させるように制御し、前記入力部の信号は、始動オン及びオフ信号、ドアオープン及びクローズ信号、ドアロック及びアンロック信号、自律走行モード変更信号及び手動運転モード変更信号のうちのいずれかであることを特徴とする。
【0024】
前記変速機構は、始動オフ状態で待機モードに位置し、始動オン状態で使用モードに位置することを特徴とする。
【0025】
前記変速機構は、自律走行モード時に待機モードに位置し、手動運転モード時に使用モードに位置することを特徴とする。
【0026】
前記変速機構は、ドアオープン信号またはドアアンロック信号時に待機モードに位置し、インジケータにはウェルカムイメージが表示されることを特徴とする。
【0027】
前記変速機構が使用モードに位置したとき、運転者は、変速機構の操作で変速段の変更が可能であり、待機モードの位置で変速機構が操作されるときには、変速段の変更が不可であるか、或いは始動がオフになった直後に一定時間だけN段変速信号の送出が可能であることを特徴とする。
【0028】
前記使用モードにおける変速段の操作は、変速機構に設けられた変速ノブの回転操作によって可能であり、前記変速ノブを前方に回転させると、D段又はR段が実行され、後方に回転させると、R段又はD段が実行され、前方又は後方に回転させた後に操作力を除去すると、初期位置に復帰することを特徴とする。
【0029】
前記変速機構は、変速機構の操作による変速段の変更を検知するための変速制御器を含み、前記変速制御器とPCBは、ワイヤリングを介して信号を送受信するように連結され、前記変速制御器は、PCBから受信した信号に応じて、待機モードでは変速段以外の視覚情報イメージがインジケータに表示されるようにし、使用モードでは車両の変速段がインジゲータに表示されるようにすることを特徴とする。
【0030】
また、本発明は、車両のステアリングカラムに取り付けられるカラム型電子式変速操作装置であって、車両の変速段を選択する変速機構と、入力部の信号に応じて、変速機構が回転するように動力を伝達する動力機構と、を含み、前記変速機構は、ステアリングホイールの前方で運転者の視野を基準に上方向に延びた位置である待機モード、または側方に延びた位置である使用モードに位置し、前記変速機構は、入力部の信号の入力時に動力機構の作動によって待機モードから時計回りまたは反時計回りに回転して使用モードに位置が変更され、使用モードから逆に回転して待機モードに復帰することを特徴とする。
【発明の効果】
【0031】
本発明によるカラム型電子式変速操作装置は、車両のステアリングカラムに回転式で取り付けられ、待機モード時には変速機構がステアリングホイールの前方から運転者の視野を基準に上方向に延びるように位置し、使用モード時には変速機構が待機モードを基準に回転して側方に延びるように位置する構成であって、これによりハイテクイメージの提供が可能であって商品性の向上を図ることができるという効果がある。
【0032】
また、本発明によるカラム型電子式変速操作装置は、故障が発生して変速機構が待機モードから使用モードに回転することができない状態のとき、待機モード状態でも変速機構の操作によって変速が可能な構成であって、変速操作に対する安全性をさらに一層強化させるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0033】
図1】本発明によるカラム型電子式変速操作装置を示す図である。
図2図1において本発明による変速操作装置のみを分離した図である。
図3】本発明によるカラム型電子式変速操作装置の分解図である。
図4】本発明によるカラム型電子式変速操作装置の分解図である。
図5】本発明による動力機構を説明するための図である。
図6】本発明による変速機構が待機モードに位置した状態、及び使用モードに位置した状態を示す図である。
図7】本発明による使用モード位置の変速機構がターンシグナルスイッチと左右対称をなす図である。
図8】本発明によってインジケータに表示される視覚情報イメージを説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0034】
以下、添付図面を参照して、本明細書に開示された実施形態を詳細に説明するが、図面符号に関係なく、同一又は類似の構成要素は、同一の参照番号を付与し、これについての重複説明は省略する。
【0035】
以下の説明において使用される構成要素に対する接尾辞「モジュール」及び「部」は、明細書作成の容易さのみが考慮されて付与又は混用されるものであって、それ自体で互いに区別される意味又は役割を有するものではない。
【0036】
本明細書に開示された実施形態を説明するにあたり、関連する公知の技術についての具体的な説明が、本明細書に開示された実施形態の要旨を乱すおそれがあると判断された場合、その詳細な説明を省略する。
【0037】
また、添付図面は、本明細書に開示された実施形態を容易に理解することができるようにするためのものに過ぎず、添付図面によって、本明細書に開示された技術的思想が限定されず、本発明の思想及び技術範囲に含まれるあらゆる変更、均等物又は代替物を含むものと理解されるべきである。
【0038】
「第1」、「第2」等の序数を含む用語は多様な構成要素の説明に使用できるが、これらの構成要素はこれらの用語によって限定されるものではない。これらの用語は一つの構成要素を他の構成要素から区別する目的のみで使われる。
【0039】
ある構成要素が他の構成要素に「連結されて」いる或いは「接続されて」いるとしたときには、該他の構成要素に直接連結又は接続されている場合もあるが、それらの間に別の構成要素が介在している場合も含むと理解されるべきである。
【0040】
これに対し、ある構成要素が他の構成要素に「直接連結されて」いる或いは「直接接続されて」いるとしたときには、それらの間に別の構成要素が介在しないと理解されるべきである。
【0041】
単数の表現は、文脈上明白に異なる意味ではない限り、複数の表現を含む。
【0042】
本明細書において、「含む」又は「有する」などの用語は、明細書上に記載された特徴、数字、段階、動作、構成要素、部品又はこれらの組み合わせが存在することを指定しようとするもので、一つ又はそれ以上の他の特徴や数字、段階、動作、構成要素、部品又はこれらの組み合わせの存在又は付加の可能性を予め排除しないものと理解されるべきである。
【0043】
また、モータ制御器(MCU:Motor Control Unit)、ハイブリッド制御器(HCU:Hybrid Control Unit)などの名称に含まれているユニット(Unit)または制御ユニット(Control Unit)は、車両の特定機能を制御する制御装置(Controller)の命名に広く用いられる用語に過ぎず、ジェネリック機能ユニット(Generic function unit)を意味するものではない。
【0044】
制御器(Controller)は、担当する機能の制御のために他の制御器又はセンサと通信する通信装置、運営体制やロジック命令、入出力情報などを格納するメモリ、および担当機能の制御に必要な判断、演算、決定などを行う一つ以上のプロセッサを含むことができる。
【0045】
次に、添付図面を参照して、本発明の好適な一実施形態によるカラム型電子式変速操作装置について説明する。
【0046】
本発明の一実施形態によるカラム型電子式変速操作装置は、図1図8に示すように、ステアリングホイール10の前方に位置するハウジング100と、前記ハウジング100に一端が回転可能に結合され、他端が半径方向に突出し、車両の変速のために運転者によって操作される変速機構200と、前記ハウジング100に設けられ、作動時に変速機構200を回転させる動力機構300と、を含む。
【0047】
本発明による実施形態は、運転者が変速のために操作する変速機構200が車両のステアリングホイール10に位置する構成であって、このために変速機構200の設置のための別個の空間を設けなくてもよいという利点がある。
【0048】
本発明では、変速機構200の回転軸S1とステアリングホイール10の回転軸S2とは実質的に平行に配置されたことが特徴である。
【0049】
すなわち、本発明による実施形態は、車両のステアリングカラム20がハウジング100と変速機構200の一端を一緒に貫通し、ハウジング100は、ステアリングホイール10の前方でステアリングカラム20に固定され、変速機構200は、ステアリングカラム20を中心に回転する構造で設置される。
【0050】
このようにステアリングカラム20が変速機構200の一端を貫通して変速機構200がステアリングカラム20に対して回転可能に設けられた構造であれば、変速機構200の回転軸S1とステアリングホイール10の回転軸S2は実質的にステアリングカラム20となり、この場合には外形サイズの縮小が可能となる。
【0051】
他の例として、ステアリングカラム20が変速機構200の一端を貫通せず、変速機構200がステアリングカラム20の外側に位置する構造も可能であり、一例として、変速機構200の回転軸S1とステアリングホイール10の回転軸S2とは互いに離間して実質的に平行に配置でき、この場合は、変速機構200を必要に応じて様々な位置に設置することができるため、設計的デザイン自由度を高めることができるという利点がある。
【0052】
変速機構200は、動力機構300の作動時にステアリングカラム20を中心に回転し、回転時に待機モード及び使用モードに位置が変更できる。
【0053】
図6(A)は変速機構200が待機モードに位置した状態であり、図6(B)は変速機構が使用モードに位置した状態である。
【0054】
待機モードは、変速機構200がステアリングホイール10の前方で運転者の視野を基準に上方向に延びた位置と定義でき、使用モードは、変速機構200が待機モードを基準に回転して側方に延びた位置と定義できる。
【0055】
一例として、待機モードは、変速機構200が12時方向に延びた位置となり、使用モードは、変速機構200が2時方向または10時方向に延びた位置となることができる。
【0056】
変速機構200の待機モードおよび使用モードの位置変更は、動力機構300の作動で可能であり、待機モードから使用モードへの位置変更は、90度以下に設定されることが好ましい。
【0057】
もし変速機構200が待機モードから使用モードに位置変更されるとき、90度以上に設定されて使用モードで変速機構200が3時方向を超えた位置に位置するか、或いは9時方向前の位置に位置すると、運転者の膝が使用モード位置の変速機構200と接触して干渉する可能性があるので、これを予防するために、変速機構200の待機モードおよび使用モードの位置変更は90度以下に設定されることが好ましい。
【0058】
変速機構200は、動力機構300の作動で待機モードから時計回りまたは反時計回りに回転して使用モードに位置が変更され、使用モードから逆に回転して待機モードに復帰する。
【0059】
すなわち、変速機構200は、12時方向に延びた待機モード位置で動力機構300の作動時に時計回りに回転して2時方向の使用モードに位置が変更されるか、或いは12時方向の待機モード位置で動力機構300の作動時に反時計回りに回転して10時方向の使用モードに位置が変更され得る。
【0060】
そして、使用モードの変速機構200は、動力機構300の作動で反対方向に回転して12時方向の待機モードの位置に復帰することができる。
【0061】
変速機構200が待機モードから時計回りに回転して使用モードに位置したとき、図7に示すように、変速機構200は、ステアリングホイール10を中心に左側に配置されたターンシグナルスイッチ30と左右対称に位置することができ、これにより、運転者は変速機構200をより容易に操作することができる。
【0062】
変速機構200を回転させる動力機構300は、ハウジング100に固定されたモータ310と、モータ310の動力を変速機構200へ伝達するギア部材320と、モータ310の駆動を制御するPCB(Printed Circuit Board)330と、を含む。
【0063】
モータ310は、変速機構200を時計回り及び反時計回りに回転させることができる双方向モータであることが好ましい。
【0064】
ギア部材320は、モータ310に連結されたウォーム321と、ウォーム321に噛み合ったウォームホイール322と、ウォームホイール322と同軸的に連結された中間ギア323と、を含み、変速機構200は、ウォーム321とウォームホイール322との噛み合いによって待機モードと使用モードでセルフロック(self locking)されて位置が固定されることを特徴とする。
【0065】
セルフロックは、モータ310に伝達される動力を遮断しても、ウォーム321とウォームホイール322との噛み合いによって変速機構200が待機モードまたは使用モードに位置固定されることを意味し、よって、変速機構200の位置を固定させるための別個のストッパが不要であるという利点がある。
【0066】
変速機構200の一端には外周面にギア部210が形成され、中間ギア323とギア部210とは噛み合うことにより、中間ギア323の回転がギア部210に伝達され、それにより変速機構200の回転が行われる。
【0067】
中間ギア323は、ウォームホイール322と軸を共有し、スパーギア(spur gear)またはスパイラルギアで構成できる。
【0068】
図2及び図3において、図面符号110はハウジングカバーであり、311はモータ受け部、340はギアシャフトである。
【0069】
モータ受け部311は、ハウジング100に固定されて設置され、モータ受け部311にモータ310が固定されて結合される。
【0070】
ギアシャフト340の一端はハウジングカバー110に固定され、ギアシャフト340の他端はウォームホイール322の中心を貫通し、ウォームホイール322はギアシャフト340を中心に回転する。
【0071】
ギア部材320には永久磁石350が固定され、PCB330には、ギア部材320の回転による永久磁石350の磁束変化を介して変速機構200の回転を検出するホールセンサ360が備えられ、PCB330は、ホールセンサ360の信号を用いてモータ310の駆動を制御する。
【0072】
PCB330は、ホールセンサ360の信号を用いて変速機構200の位置を検知し、これにより変速機構200が待機モードまたは使用モードの位置に正しく位置しているか否かが分かる。
【0073】
また、PCB330は、モータ310の駆動制御を介して変速機構200の回転を制御し、これにより、変速機構200は、待機モードから使用モードに回転するか、或いは使用モードから待機モードに回転することができる。
【0074】
そして、ホールセンサ360は、変速機構200が待機モードまたは使用モードの正確な位置に位置しない場合、フェイルセーフ(故障制御)のために使用されてもよい。
【0075】
本発明によって、変速機構200はインジケータ400を含む。
【0076】
変速機構200が図6(A)のような待機モードに位置したとき、インジケータ400には変速段以外の視覚情報イメージ410が表示され、変速機構200が図6(B)のような使用モードに位置したとき、インジケータ400には車両の変速段420が表示され得る。
【0077】
インジケータ400に表示される車両の変速段420は、D段、N段、R段、P段になることができ、変速段以外の視覚情報イメージ410は、図8に示すように、ウェルカムイメージ411、グッドバイイメージ412、自律走行活性化イメージ413、及び走行補助装置活性化イメージ414のうちの少なくとも一つを含むことができる。
【0078】
ウェルカムイメージ411は、運転者の車両搭乗時に視覚的に表示されるイメージであり、グッドバイイメージ412は、運転者の下車時に表示されるイメージであり、自律走行活性化イメージ413は、自律走行活性化状態が視覚的に表示されるイメージであり、走行補助装置活性化イメージは、ADAS(Advanced Driver Assistance System)などの走行補助装置活性化状態を視覚的に表示するイメージである。
【0079】
このように様々な条件で車両の現在条件をインジケータ400に視覚的イメージとして表出して運転者に知らせることにより、商品性を向上させることができる。
【0080】
待機モードは、変速機構200が上方向に延びた位置であり、これにより運転者が車両に搭乗したときに運転者の視線が向かう正面に変速機構200が位置して変速段以外の視覚情報イメージ410を運転者に容易に伝えることができ、審美感を呼び起こすことができる。
【0081】
使用モードは、変速機構200が側方に延びた位置であり、変速機構200が使用モードに位置したとき、運転者が手で変速機構200を容易に把持して変速段の変更をより容易に行うことができる。
【0082】
本発明によるPCB330は、入力部500の信号の入力時にモータ310を駆動させるように制御し、入力部500の信号は、始動オン及びオフ信号、ドアオープンおよびクローズ信号、ドアロックおよびアンロック信号、自律走行モード変更信号および手動運転モード変更信号のうちのいずれかであることを特徴とする。
【0083】
入力部500の信号のうち、始動オン信号は、電気車両の場合には走行可能状態(EV ready)を含み、これにより、運転者は電気車両の始動オン/オフを明確に認知することができる。
【0084】
変速機構200は、基本的に、始動オフ状態では待機モードに位置し、始動オン状態では使用モードに位置し、このような変速機構200の位置変化から電気車両における車両の始動オン/オフを明確に認知することができる。
【0085】
また、変速機構200は、車両の自律走行モード時には待機モードに位置し、手動運転モード時には使用モードに位置する。
【0086】
車両の自律走行モードまたは手動運転モード状況の場合は、車両が始動オン状態であることを前提とする。
【0087】
自律走行モードの際に、車両は走行状態であるが、変速機構200は12時方向の待機モードに位置し、このとき、インジケータ400には自律走行活性化イメージ413が表示されることにより、自律走行モードに対する認知性を向上させる。
【0088】
変速機構200は、ドアオープン信号またはドアアンロック信号時に待機モードに位置し、このとき、インジケータ400にはウェルカムイメージ411が表示される。
【0089】
ドアオープン条件でインジケータ400にウェルカムイメージ411が表示されることにより、運転者に審美的満足感を提供することができるようにする。
【0090】
変速機構200は、入力部500の信号に応じて使用モードと待機モードとの間で位置が変わらなければならず、一例として、変速機構200は、ドアオープン信号時に待機モードに位置し、ドアクローズ信号時に使用モードに位置することができる。
【0091】
また、変速機構200は、ドアアンロック信号時に待機モードに位置し、ドアロック信号時に使用モードに位置することができる。
【0092】
変速機構200が使用モードに位置したときに、運転者は、変速機構200の操作で変速段の変更が可能であり、待機モードの位置で変速機構200が操作されるときには、変速段の変更が不可能であるか、或いは始動がオフになった直後に一定時間だけN段変速信号の送出が可能である。
【0093】
手動運転モード状況の場合、変速機構200は使用モードに位置し、このとき、運転者は変速機構200を操作して変速段を変更することができる。
【0094】
変速機構200が待機モードに位置した状態のとき、車両は、始動オフ状態であるか或いは自律走行モード状況であり、このときは、基本的に、運転者が変速機構200を操作しても安全のため変速段の変更が不可である。
【0095】
例外的に、N段駐車のために始動がオフになった直後に一定時間だけ変速機構200の操作時にN段変速信号の送出を可能にすることもできる。
【0096】
変速機構200が図6(B)のように使用モードに位置した状態のとき、運転者の変速段操作は、変速機構200に備えられた変速ノブ220の回転操作で可能である。
【0097】
すなわち、運転者が変速ノブ220を前方(矢印R1)に回転させると、D段またはR段が実行され、後方(矢印R2)に回転させると、R段またはD段が実行され、前方または後方に回転させた後に操作力を除去すると、ばねなどの弾性部材の復元力によって初期位置に復帰する。初期位置は、一例として、特定の変速信号を発生させないNull段になることもある。
【0098】
他の例として、使用モードにおける変速段の操作は、変速機構200自体の回転操作によって可能である。
【0099】
すなわち、運転者が変速機構200自体を上側(矢印R3)で回転操作すると、D段またはR段が実行され、変速機構200自体を下側(矢印R4)に回転操作すると、R段またはD段が実行され、上側または下側に回転させた後に操作力を除去すると、ばねなどの弾性部材の復元力によって初期位置に復帰する。
【0100】
また、本発明によって、変速機構200の端にはP段ボタン600が別途設けられ、P段ボタン600の操作によって車両を駐車させることができる。
【0101】
本発明による変速機構200は、変速機構の操作による変速段の変更を検知するための変速制御器700を含むことができる。
【0102】
変速制御器700は、変速機構200内に固定されて位置し、変速制御器700とPCB330は、ワイヤリング710を介して信号を送受信するように連結され、変速制御器700は、PCB330から受信した信号に応じて、待機モードでは変速段以外の視覚情報イメージ410がインジケータ400に表示されるようにし、使用モードでは車両の変速段420がインジケータ400に表示されるようにすることができる。
【0103】
すなわち、運転者が変速ノブ220を操作すると、変速制御器700が変速段の変更を検知してPCB330に変速段変更情報を伝達し、PCB330は、その情報を車両制御器に伝達して変速を完了する。また、車両制御器は、変速条件を考慮して変速完了信号をPCB330に伝達し、PCB330は、再び変速制御器700に変速完了情報を伝達し、最終的に、変速制御器700によってインジケータ400に変更された変速段420の情報が表示される。
【0104】
ハウジング100に備えられたPCB330をメインPCBとし、変速機構200に備えられた変速制御器700を補助PCBにして、メインPCBと補助PCBとがワイヤリング710を介して電気的に連結された構成であると定義することもできる。
【0105】
本発明は、車両のステアリングカラム20に取り付けられるカラム型電子式変速操作装置であって、車両の変速段を選択する変速機構200と、入力部500の信号に応じて変速機構200が回転するように動力を伝達する動力機構300と、を含み、変速機構200は、ステアリングホイール10の前方で運転者の視野を基準に上方向に延びた位置である待機モード、または側方に延びた位置である使用モードに位置し、変速機構200は、入力部500の信号の入力時に動力機構300の作動によって待機モードから時計回りまたは反時計回りに回転して使用モードに位置が変更され、使用モードから逆に回転して待機モードに復帰することを特徴とする。
【0106】
以上説明したように、本発明によるカラム型電子式変速操作装置は、車両のステアリングカラム20に回転式で取り付けられ、待機モード時には変速機構200がステアリングホイール10の前方で運転者の視野を基準に上方向に延びるように位置し、使用モード時には変速機構200が待機モードを基準に回転して側方に延びるように位置する構成であり、これによりハイテクイメージの提供が可能であるので商品性の向上を図ることができるという利点がある。
【0107】
また、本発明によるカラム型電子式変速操作装置は、故障が発生して変速機構200が待機モードから使用モードへ回転することができない状態であるとき、待機モード状態でも変速機構200の操作によって変速が可能な構成であって、変速操作に対する安全性をさらに強化させることができるという利点がある。
【0108】
本発明は、特定の実施形態に関連して図示及び説明したが、以下の特許請求の範囲によって提供される本発明の技術的思想から逸脱することなく、本発明に様々な改良および変更を加え得るのは当技術分野における通常の知識を有する者にとって自明であろう。
【符号の説明】
【0109】
10 ステアリングホイール
20 ステアリングカラム
30 ターンシグナルスイッチ
100 ハウジング
110 ハウジングカバー
200 変速機構
210 ギア部
220 変速ノブ
300 動力機構
310 モータ
311 モータ受け部
320 ギア部材
321 ウォーム
322 ウォームホイール
330 PCB
340 ギアシャフト
350 永久磁石
360 ホールセンサ
400 インジケータ
410 視覚情報イメージ
420 変速段
500 入力部
600 P段ボタン
700 変速制御器
710 ワイヤリング
S1 変速機構の回転軸
S2 ステアリングホイールの回転軸
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8