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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024114583
(43)【公開日】2024-08-23
(54)【発明の名称】内視鏡
(51)【国際特許分類】
   A61B 1/008 20060101AFI20240816BHJP
   A61B 1/00 20060101ALI20240816BHJP
   A61B 1/018 20060101ALI20240816BHJP
【FI】
A61B1/008 512
A61B1/00 711
A61B1/018 514
A61B1/00 632
A61B1/00 735
【審査請求】未請求
【請求項の数】17
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023149309
(22)【出願日】2023-09-14
(31)【優先権主張番号】63/444,640
(32)【優先日】2023-02-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】304050923
【氏名又は名称】オリンパスメディカルシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110004185
【氏名又は名称】インフォート弁理士法人
(74)【代理人】
【識別番号】110002907
【氏名又は名称】弁理士法人イトーシン国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】須見 隆弘
(72)【発明者】
【氏名】加藤 明浩
【テーマコード(参考)】
4C161
【Fターム(参考)】
4C161BB04
4C161CC06
4C161DD03
4C161FF12
4C161FF40
4C161HH24
4C161HH25
4C161HH33
4C161HH34
4C161JJ11
4C161LL02
(57)【要約】
【課題】通常使用時には操作レバーの適切な操作範囲を設定することができ、かつ分解修理作業等を行う場合には、より広い操作レバーの可動範囲を簡単な構成によって容易に確保することができる内視鏡を提供する。
【解決手段】可動部材54を有する挿入部2と、レバー10とストッパ3xd,3xuとを有し挿入部の基端側に設けられる操作部3とを備え、可動部材は第1の方向に移動自在に構成され、レバーは第1の回動軸Ax周りに回動自在に保持されてレバーが回動して可動部材を移動させるように構成され、ストッパはレバーが第1の位置にあるときレバーと当接し、さらに、レバーは第1の位置においてストッパに当接する第1の状態と、第1の位置においてストッパに当接しない第2の状態とで変形する。
【選択図】図10
【特許請求の範囲】
【請求項1】
可動部材を有する挿入部と、
レバーとストッパとを有し、前記挿入部の基端側に設けられる操作部と、
を備え、
前記可動部材は、第1の方向に移動自在に構成され、
前記レバーは、第1の回動軸周りに回動自在に保持され、前記レバーが回動して前記可動部材を移動させるように構成され、
前記ストッパは、前記レバーが第1の位置にあるとき、前記レバーと当接し、
さらに、
前記レバーは、第1の状態と第2の状態とで変形し、
前記第1の状態は、前記第1の位置において前記ストッパに当接する状態であり、
前記第2の状態は、前記第1の位置において前記ストッパに当接しない状態であることを特徴とする内視鏡。
【請求項2】
前記レバーは、前記第1の回動軸の延出方向に平行な第2の方向に沿って形成された突起を含み、
前記第1の状態は、前記突起が前記ストッパに当接する状態であり、
前記第2の状態は、前記突起が前記ストッパに当接しない状態であることを特徴とする請求項1に記載の内視鏡。
【請求項3】
前記突起は、操作者の指を当てるカバーの一部であり、
前記第2の状態は、前記カバーが、取り外された状態であることを特徴とする請求項2に記載の内視鏡。
【請求項4】
前記カバーは、レバーに固定される本体部と、前記第2の方向に突出する突起と、前記本体部と前記突起とを互いに開閉自在に保持するヒンジと、を有し、
前記第2の状態は、前記ヒンジにより前記突起が開状態とされた状態であることを特徴とする請求項2に記載の内視鏡。
【請求項5】
前記レバーは、第1の孔と第2の孔とをつないで形成された軸受を有し、
前記第1の状態は、前記第1の孔で前記第1の回動軸に回動自在に保持された状態であり、
前記第2の状態は、前記第2の孔で前記第1の回動軸に回動自在に保持された状態であることを特徴とする請求項1に記載の内視鏡。
【請求項6】
前記軸受は、前記第1の孔と前記第2の孔とを円弧状につないで形成されることを特徴とする請求項5に記載の内視鏡。
【請求項7】
前記操作部は、着脱自在な第2のストッパを、さらに有することを特徴とする請求項1に記載の内視鏡。
【請求項8】
前記ストッパは、前記操作部の外装であることを特徴とする請求項1に記載の内視鏡。
【請求項9】
前記第1の方向は、第2の回動軸の周方向であることを特徴とする請求項1に記載の内視鏡。
【請求項10】
前記可動部材は、前記挿入部に設けられる起上台であり、前記第2の回動軸は、前記起上台の回動軸であることを特徴とする請求項9に記載の内視鏡。
【請求項11】
前記第1の方向は、前記挿入部の長軸方向であることを特徴とする請求項1に記載の内視鏡。
【請求項12】
前記可動部材は、被検体からの光が入射する少なくとも1つの光学素子であることを特徴とする請求項11に記載の内視鏡。
【請求項13】
前記第1の位置は、前記可動部材が、基端側に移動することを抑える位置であることを特徴とする請求項1に記載の内視鏡。
【請求項14】
前記第1の位置は、前記可動部材が、先端側に移動することを抑える位置であることを特徴とする請求項1に記載の内視鏡。
【請求項15】
前記可動部材と前記レバーとは、少なくとも一部が単回使用部材により接続されることを特徴とする請求項1に記載の内視鏡。
【請求項16】
前記操作部は、リンク本体と棒体と連結部材と連結部材ガイドとを含むリンク機構を備え、
前記棒体の第1端は、前記リンク本体に連結され、第2端は前記連結部材に連結され、
前記連結部材は、前記連結部材ガイドに収容され、
前記リンク本体が前記第1の回動軸周りに回動する際に、前記連動部材は、前記連結部材ガイドの内部を摺動し、前記挿入部の長軸方向に進退することを特徴とする請求項1に記載の内視鏡。
【請求項17】
前記第1の回動軸の一部は、前記第2の方向に垂直な面において、断面がD字形状に形成されていることを特徴とする請求項16に記載の内視鏡。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、先端部に設けられる可動部材を操作する操作部材としての操作レバーを操作部に具備する内視鏡に関する発明である。
【0002】
従来、内視鏡は、例えば医療分野や工業分野等において広く利用されている。医療分野において用いられる医療用内視鏡は、細長管形状に形成され先端部に撮像ユニット等を備えた挿入部と、挿入部の基端側に連設され外面に各種の操作部材等を備えた操作部とを有して構成されている。
【0003】
この種の従来の内視鏡においては、挿入部を生体の体腔内に挿入して、臓器等の内部の画像を取得し表示し記録する機能を有している。使用者(ユーザ)は、内視鏡によって取得され表示された画像に基づいて、臓器等の病変部等の観察や検査を行う。
【0004】
また、この種の従来の内視鏡においては、挿入部に処置具等を挿通させる管路(いわゆる処置具挿通管路)と、当該管路に挿通させ挿入部の先端部の外方へと突出させた状態の処置具の突出方向を変更させる鉗子起上台等を備えて構成されているものがある。ここで、処置具は、先端に鉗子等を備え、体腔内の生体組織の一部を採取する生検や、体腔内の病変部の切除等の各種の処置を行うために用いられる器具である。鉗子起上台は、操作部に設けられる所定の操作部材であり操作レバーである鉗子レバーの操作に応じて駆動される構成を有する。
【0005】
例えば、日本国特許公開2020-89598号公報,日本国特許公開2011-136193号公報等によって開示されている内視鏡は、内視鏡の挿入部の先端部に鉗子起上台を設けた形態のものである。当該内視鏡においては、鉗子起上台を操作するための操作部材である操作レバーが操作部に設けられている。また、操作レバーの操作に応じて鉗子起上台を駆動させるための牽引ワイヤを含む駆動機構が鉗子起上台と操作レバーとの間に設けられている。
【0006】
一方、従来の内視鏡においては、挿入部の一部を挿入軸方向に対して湾曲自在に構成した湾曲部を具備するものがある。この種の従来の内視鏡における湾曲部は、操作部に設けられる所定の操作部材である操作レバーの操作に応じて湾曲駆動される構成を有する。
【0007】
例えば、日本国特許公開2005-13320号公報等によって開示されている内視鏡は、挿入部の先端寄りの一部領域が湾曲自在に構成される湾曲部を具備している。また、湾曲部の湾曲操作を行う操作部材である操作レバーが操作部に設けられている。そして、操作レバーの操作に応じて湾曲部を湾曲駆動させるための牽引ワイヤを含む駆動機構が湾曲部と操作レバーとの間に設けられている。
【0008】
他方、従来の内視鏡においては、挿入部の先端部に設けられる撮像ユニットに含まれる撮像光学系の一部の光学部材を光軸方向に移動させることにより、撮像視野や撮像倍率を所定の範囲内で変更自在とする構成を備えるものがある。この種の従来の内視鏡における撮像光学系は、操作部に設けられる所定の操作部材である操作レバーの操作に応じて一部の光学部材が光軸方向に移動する構成を有する。この場合において、操作レバーの操作に応じて撮像光学系の一部の光学部材を進退移動させるための牽引ワイヤを含む駆動機構が撮像ユニットと操作レバーとの間に設けられている。
【0009】
このように、従来の内視鏡においては、操作部に設けられる所定の操作部材である操作レバーの操作に応じて、挿入部の先端部或いは挿入部の先端寄りの部位に設けられる各種の可動部材(鉗子起上台,湾曲部,撮像光学系の一部等)を駆動操作する構成を備えた内視鏡が種々実用化されている。
【0010】
ところで、この種の従来の内視鏡においては、操作部材である操作レバーの操作範囲を所定の範囲内に規制するための構造が設けられているのが一般である。
【0011】
例えば、前記日本国特許公開2020-89598号公報等によって開示されている内視鏡は、伝達部材と、移動部材と、停止部材とを有して構成されている。伝達部材は、操作レバーの操作入力を移動部材に伝達する。移動部材は、伝達部材を通して伝達される力量に応じて(即ち操作レバーの操作入力に応じて)所定の作用方向に移動する。ここで、移動部材は、一端が牽引ワイヤに連結されており、他端が伝達部材に連結されている。停止部材は、操作部に固定されている。そして、移動部材の一部(突き当て面)が停止部材の一部(突き当て面の対向面)に当接することにより、移動部材の移動が規制される構造を有している。
【0012】
また、前記日本国特許公開2011-136193号公報等によって開示されている内視鏡は、操作レバーと、鉗子起上台の操作範囲を規制するストッパ部材とを有して構成されている。そして、前記日本国特許公開2005-13320号公報等によって開示されている内視鏡は、操作レバーと、湾曲部の湾曲操作範囲を規制するストッパ部材とを有して構成されている。
【0013】
さらに、前記日本国特許公開2011-136193号公報,前記日本国特許公開2005-13320号公報等によって開示されている内視鏡においては、ストッパ部材は、操作レバーの回動範囲を複数段階に調整する回動範囲調整機構を有して構成されている。このような回動範囲調整機構を具備する構成によれば、操作レバーの操作を中間停止させる第1の状態と、操作レバーの操作全範囲の操作を許容した位置で操作レバーの操作を停止させる第2の状態とを選択的に設定することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0014】
【特許文献1】日本国特許公開2020-89598号公報
【特許文献2】日本国特許公開2011-136193号公報
【特許文献3】日本国特許公開2005-13320号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
ところが、前記日本国特許公開2011-136193号公報,前記日本国特許公開2005-13320号公報等によって開示されている従来の内視鏡の構成では、段階的な操作範囲をより広い操作範囲で設定したい場合には、操作レバーと他の構成部材との干渉が生じてしまう可能性がある。したがって、このような構成では、設定できる操作レバーの操作範囲には限界があるという問題点がある。
【0016】
また、例えば、内視鏡の修理作業等のように分解作業等を伴う作業を行う場合には、効率的な作業性を確保するために、より広い操作レバーの可動範囲を確保したいという要望がある。
【0017】
本発明は、通常使用時には操作レバーの適切な操作範囲を設定することができ、かつ分解修理作業等を行う場合には、より広い操作レバーの可動範囲を簡単な構成によって容易に確保することができる内視鏡を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0018】
上記目的を達成するために、本発明の一態様の内視鏡は、可動部材を有する挿入部と、レバーとストッパとを有し前記挿入部の基端側に設けられる操作部と、を具備し、前記可動部材は第1の方向に移動自在に構成され、前記レバーは第1の回動軸周りに回動自在に保持され前記レバーが回動して前記可動部材を移動させるように構成され、前記ストッパは前記レバーが第1の位置にあるとき前記レバーと当接し、さらに、前記レバーは、第1の状態と第2の状態とで変形し、前記第1の状態は、前記第1の位置において前記ストッパに当接する状態であり、前記第2の状態は、前記第1の位置において前記ストッパに当接しない状態である。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、通常使用時には操作レバーの適切な操作範囲を設定することができ、かつ分解修理作業等を行う場合には、より広い操作レバーの可動範囲を簡単な構成によって容易に確保することができる内視鏡を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本発明の第1の実施形態の内視鏡の概略構成を示す外観図
図2図1の矢印符号[2]で示す方向から見た内視鏡の操作部の一部位を示す外観斜視図
図3図1の内視鏡における鉗子レバーのみを取り出して示す外観斜視図
図4図3の矢印符号[4]で示す方向から見た平面図
図5図4の[5]-[5]線に沿う断面図
図6図5の[6]-[6]線に沿う断面図
図7図3の鉗子レバーにおける指当て部材のみを取り出して示す外観斜視図
図8図7の符号[8]で示す平面に沿う断面図
図9図8の断面を矢印符号[9]で示す方向から見た図
図10図3の鉗子レバーの通常使用時の回動範囲を示す図
図11】本発明の第1の実施形態の内視鏡における挿入部の先端部に設けられる可動部材である鉗子起上台を含む概略構成を示す斜視図
図12】本発明の第1の実施形態の内視鏡における操作部の内部構成のうち鉗子レバーの駆動機構の概略構成を示す平面図(鉗子起上台が最大倒置状態にあるとき)
図13】本発明の第1の実施形態の内視鏡における操作部の内部構成のうち鉗子レバーの駆動機構の概略構成を示す平面図(鉗子起上台が最大起上状態にあるとき)
図14図12の鉗子レバーの駆動機構における一部構成部材(フレーム軸,リンク本体)を取り出して示す要部分解斜視図
図15図12の鉗子レバーの駆動機構の一部構成部材(連結部材)のみを取り出して示す要部拡大斜視図
図16図12の鉗子レバーの駆動機構の一部領域(連結部材が係止板に当接している状態の近傍領域)を拡大して示す要部拡大図
図17】本発明の第1の実施形態の内視鏡における鉗子レバーと指当て部材取り外し用治具の構成を示す概略斜視図
図18図17の符号[18]で示す面に沿う部分断面図
図19】本発明の第1の実施形態の内視鏡における鉗子レバーから指当て部材を取り外す際の作用を示す概略斜視図(指当て部の治具挿入溝に治具を挿入した状態)
図20図19の符号[20]で示す面に沿う部分断面図(レバー係止部が被係止孔に係止されている状態)
図21図19の符号[20]で示す面に沿う部分断面図、(レバー係止部の被係止孔への係止状態が解除された状態)
図22】本発明の第1の実施形態の内視鏡における鉗子レバーから指当て部材を取り外す際の作用を示す概略斜視図(指当て部を治具によって取り外した後の状態)
図23図22の符号[23]で示す面に沿う部分断面図
図24】本発明の第1の実施形態の内視鏡において指当て部材を取り外した鉗子レバーの作用を示す図
図25】鉗子レバーから指当て部材を取り外したレバー部材に、リムーバル治具を取り付ける際の作用を示す図(取り付け前の状態)
図26】鉗子レバーから指当て部材を取り外したレバー部材に、リムーバル治具を取り付ける際の作用を示す図(取り付け完了状態)
図27】本発明の第1の実施形態の内視鏡における鉗子レバーの第1変形例を示す図
図28図27の鉗子レバーを適用した操作部を示す図
図29】本発明の第1の実施形態の内視鏡における鉗子レバーの第2変形例を示す図
図30】本発明の第1の実施形態の内視鏡の第3変形例を示す図
図31】本発明の第2の実施形態の内視鏡における鉗子レバーのレバー部材のみを取り出して示す斜視図
図32図31の鉗子レバー(レバー部材)と、その駆動機構における一部構成部材(フレーム軸,リンク本体)を取り出して示す要部分解斜視図
図33図31の鉗子レバーの作用を示す図(第1の状態)
図34図31の鉗子レバーの作用を示す図(第2の状態)
図35】本発明の第2の実施形態の変形例の鉗子レバーのレバー部材のみを取り出して示す斜視図
図36図35の鉗子レバーと、その駆動機構における一部構成部材(フレーム軸,リンク本体)を取り出して示す要部分解斜視図
図37】本発明の第2の実施形態の変形例における鉗子レバーの作用を示す図であって、鉗子レバーの第1の状態を示す図
図38】本発明の第2の実施形態の変形例における鉗子レバーの作用を示す図であって、鉗子レバーの第2の状態を示す図
図39】本発明の第2の実施形態の内視鏡における鉗子レバーの第2変形例を示し、レバー部材のみを取り出して示す斜視図
図40】本発明の第2の実施形態の内視鏡における鉗子レバーの第3変形例を示し、レバー部材のみを取り出して示す斜視図
図41】本発明の内視鏡において、先端部に配設される可動部材の変形例を示す図
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、図示の実施の形態によって本発明を説明する。以下の説明に用いる各図面は模式的に示すものであり、各構成要素を図面上で認識できる程度の大きさで示すために、各部材の寸法関係や縮尺等を構成要素毎に異ならせて示している場合がある。したがって、本発明は、各図面に記載された各構成要素の数量や各構成要素の形状や各構成要素の大きさの比率や各構成要素の相対的な位置関係等に関して、図示の形態のみに限定されるものではない。
【0022】
まず、本発明の第1の実施形態の内視鏡の概略的な構成について、図1図2を用いて以下に説明する。図1は、本発明の第1の実施形態の内視鏡の概略構成を示す外観図である。図2は、図1の矢印符号[2]で示す方向から見た内視鏡の操作部の一部位を示す外観斜視図である。
【0023】
内視鏡1は、図1に示すように、挿入部2と、操作部3と、ユニバーサルケーブル4等を有して構成されている。
【0024】
挿入部2は、生体等の被検体の管腔内(臓器等の内部)に挿入し得る細長管形状からなる長尺部材である。挿入部2は、先端部5と、湾曲部6と、可撓管部7とを有して構成されている。
【0025】
先端部5は挿入部2の先端に配設されている。なお、図示を省略しているが、先端部5には、撮像光学系及びイメージセンサ等を含む撮像ユニットや観察光学系等を含む照明ユニット,送気送水ノズル及び送気送水管路等のほか、可動部材である鉗子起上台(図1には不図示;後述する図11の符号54参照)等が配設されている。
【0026】
ここで、鉗子起上台は、挿入部2に挿通配置される処置具挿通管路(不図示)に挿通させて先端部5の外方へと突出させた状態の処置具(不図示)の突出方向を変更させるために設けられる構成ユニットである。鉗子起上台は、挿入部2と操作部3との間に挿通配置される牽引ワイヤ31及び操作部3の内部に設けられる駆動機構30(図1にはいずれも不図示;後述する図12等参照)を通じて鉗子レバー10(後述)に連結されている。この構成により、鉗子起上台は、鉗子レバー10の操作入力に応じて所定の方向に移動する可動部材として機能する(詳細後述)。
【0027】
湾曲部6は、先端が先端部5の基端に連設されている。湾曲部6は、後述する湾曲操作ノブ9の操作入力に応じて能動的に湾曲自在に構成される管状部材である。可撓管部7は、先端が湾曲部6の基端に連設されている。可撓管部7は、基端が操作部3の先端に連設されている。可撓管部7は、可撓性を有する軟性管によって形成されている。
【0028】
操作部3は、挿入部2の基端に連設されている。操作部3は、処置具挿入口8と、湾曲操作ノブ9と、鉗子レバー10と、湾曲固定レバー11と、複数の操作部材12等を有して構成されている。
【0029】
処置具挿入口8は、挿入部2に挿通配置される処置具挿通管路(不図示)に連通する開口部である。処置具挿入口8には、鉗子口金である鉗子栓8aが設けられている。
【0030】
湾曲操作ノブ9は、湾曲部6に対する湾曲操作を行うための操作部材である。湾曲操作ノブ9は、上下湾曲操作用と左右湾曲操作用との2つの操作部材からなる。湾曲操作ノブ9の2つの操作部材は、重畳した形態で操作部3の外表面上に配設されている。この場合において、湾曲操作ノブ9の2つの操作部材は、同一の中心軸である第1の回動軸Ax上に回転自在に配設されている。
【0031】
鉗子レバー10は、先端部5に設けられる可動部材である鉗子起上台(不図示)を起上操作するための操作力を入力するための操作部材である。鉗子レバー10は、湾曲操作ノブ9と同一の第1の回動軸Axを回転中心として所定の範囲内で回動自在に構成されている。鉗子レバー10は、操作部3の内部に配設される駆動機構30(図1には不図示;後述する図12参照)及び挿入部2を挿通する牽引ワイヤ31(図12参照)を通じて鉗子起上台と連結されている(詳細後述)。
【0032】
この構成により、鉗子レバー10の操作入力が鉗子起上台へと伝達される。これにより、鉗子起上台は、処置具挿通管路(不図示)内を挿通し先端部5の外方へ突出させた状態の処置具(不図示)の突出方向を変更させ得る。
【0033】
なお、鉗子レバー10は、上述したように、湾曲操作ノブ9と同一の第1の回動軸Axを回転中心として所定の範囲内を回動自在に構成されている。この場合において、鉗子レバー10は、図2に示すように、矢印R方向において所定の範囲内で回動する。ここで、所定の回動範囲は、鉗子レバー10が矢印R方向に回動して、当該鉗子レバー10の突起22bの一部(側部)が操作部3の外装壁面の一部(図2の符号3xd,3xu参照)に当接することによって規定される。なお、鉗子レバー10の詳細構成については後述する(図3以降参照)。
【0034】
湾曲固定レバー11は、湾曲操作ノブ9に作用して、湾曲部6の湾曲状態を所望の位置で固定するための操作部材である。湾曲固定レバー11は、湾曲操作ノブ9と同一の第1の回動軸Axを回転中心として所定の範囲内を回動自在に構成されている。なお、湾曲固定レバー11による湾曲部6の湾曲固定機構については、本発明に直接関連しない部分である。したがって、湾曲固定レバー11及び湾曲固定機構の構成については、従来の内視鏡において適用されているものと同様構成を有するものとして、その詳細構成及び図示は省略する。
【0035】
複数の操作部材12は、例えば、当該内視鏡1によって取得される画像データに対する所定の操作などを適宜行うための操作スイッチが含まれる。画像データに対する所定の操作とは、例えば、動画像と静止画像の切り換え表示操作や、画像の拡大表示操作,画像記録操作,画像編集等である。
【0036】
また、複数の操作部材12としては、例えば送気送水操作や吸引操作等を行う操作部材が含まれる。ここで、送気送水操作とは、先端部5に設けられる流体送出部(不図示)から流体の送出動作を制御する操作部材である。また、吸引操作とは、処置具挿通管路(不図示)内を陰圧に制御する操作部材である。この吸引操作を行うことにより、例えば先端部5に付着した粘液等を、先端部5に設けられる処置具挿通管路の開口部(不図示)より吸引し除去することができる。
【0037】
ユニバーサルケーブル4は、操作部3の一側面から延出する複合ケーブルである。ユニバーサルケーブル4の先端にはスコープコネクタ14が配設されている。このスコープコネクタ14は、光源装置を含む外部装置であるビデオプロセッサ(不図示)に接続されるコネクタ部材である。スコープコネクタ14は、電気接点などのほかにライトガイドコネクタ13等を有して構成されている。
【0038】
スコープコネクタ14からユニバーサルケーブル4,操作部3,挿入部2の先端部5までの間には、ライトガイドバンドル15や各種の信号線16等が挿通、配置されている。ライトガイドバンドル15は、不図示のビデオプロセッサに含まれる光源装置から出射された光束を、挿入部2の先端部5へと伝送する構成部材である。ライトガイドバンドル15によって先端部5へと伝送された光束は、先端部5に設けられた照明ユニット(不図示)から観察対象物を照射する照明光として出射される。
【0039】
また、各種の信号線16は、例えば、先端部5内に設けられる撮像ユニット(不図示)によって取得された画像信号(画像データ)をビデオプロセッサ(不図示)まで伝送する撮像ケーブルや、ビデオプロセッサから発出される制御信号を撮像ユニット等の構成ユニットへと伝送する制御信号ケーブル等を含む。内視鏡1の概略構成は以上である。
【0040】
次に、本発明の第1の実施形態の内視鏡1における鉗子レバー10の詳細構成を、図3図10を用いて以下に説明する。図3は、図1の内視鏡における鉗子レバーのみを取り出して示す外観斜視図である。図4は、図3の矢印符号[4]で示す方向から見た平面図である。図5は、図4の[5]-[5]線に沿う断面図である。図6は、図5の[6]-[6]線に沿う断面図である。図7は、図3の鉗子レバーにおける指当て部材のみを取り出して示す外観斜視図である。図8は、図7の符号[8]で示す平面に沿う断面図である。図9は、図8の断面を矢印符号[9]で示す方向から見た図である。図10は、図3の鉗子レバーの通常使用時の回動範囲を示す図である。
【0041】
本発明の第1の実施形態の内視鏡1における鉗子レバー10は、使用者(ユーザ)によって入力(操作)される操作力を受けて、当該入力を操作部3の内部に設けられる駆動機構30(詳細後述;図12等参照)へと伝達する操作部材である。鉗子レバー10は、操作部3の内部固定部材(後述するフレーム軸36;図12図14等参照)の中心軸であって、第1の回動軸Ax周りに回動自在に設けられている。鉗子レバー10は、レバー部材21と、指当て部材22とによって構成されている。
【0042】
レバー部材21は、例えば金属製の薄板部材を折り曲げ加工等を施して形成されている。レバー部材21は、本体部21aと、操作腕部21bと、軸挿通孔21cと、複数のビス孔21dと、被係止孔21eを有して形成されている。
【0043】
本体部21aは、略円環状に形成され、後述するリンク本体35(図12等参照)に固定される部位である。
【0044】
操作腕部21bは、本体部21aの外周縁部の一部位から径方向外方に向けて突出して腕状に形成された部位である。操作腕部21bの先端近傍には、折り曲げ加工によって段差部21fが設けられている。この段差部21fの先端側には、本体部21a及び操作腕部21bの平面と平行な面を有するカバー取付部21gが形成されている。なお、ここで、段差部21fは、必ずしも必須の構成ではない。
【0045】
軸挿通孔21cは、本体部21aの略中央領域に形成される孔である。軸挿通孔21cは、後述するフレーム軸36(図14等参照)を挿通して配置させる孔である。
【0046】
複数のビス孔21dは、本体部21aのうち、軸挿通孔21cの外周縁領域に形成される小径な貫通孔である。複数のビス孔21dは、当該レバー部材21を、後述するリンク本体35に固定するための締結ビス(不図示)を挿通させる孔である。
【0047】
被係止孔21eは、レバー部材21に指当て部材22が装着されたときに、レバー係止部22e(後述する;図5等参照)を係止するための孔である。レバー係止部22eが被係止孔21eに係止されることにより、指当て部材22は、レバー部材21に対する装着状態が維持される。なお、この被係止孔21eには、カバー取付部21gに沿う方向に、同カバー取付部21gの先端縁まで延出する貫通溝21eeが形成されている。
【0048】
指当て部材22は、使用者(ユーザ)が当該鉗子レバー10を操作する際に手指等を宛がうカバー部材である。指当て部材22は、例えば樹脂部材等によって形成されている。指当て部材22は、本体部22aと、突起22bと、治具挿入溝22cと、レバー挿入口22dと、レバー係止部22e(図3には不図示;図5等参照)等を有して構成されている。
【0049】
本体部22aは、略半円形状の平面を有し、内部空間を有する筐体からなる。本体部22aは、レバー部材21に取り付けられたとき、カバー取付部21gを覆うように形成されている。ここで、指当て部材22がレバー部材21に装着された装着状態のとき、本体部22aの略半円形状平面は、第1の回動軸Axに対して直交する平面に配設される。
【0050】
突起22bは、本体部22aの先端側の外周縁部近傍から第1の回動軸Axに沿う方向に平行な第2の方向に沿って突出する薄板形状に形成される部位である。ここで、突起22bは、本体部22aと一体に形成されている。
【0051】
治具挿入溝22cは、レバー部材21に装着された指当て部材22を取り外す際に用いる所定の治具(後述する図17等のリムーバル治具40)の一部を挿入するために形成されている部位である。治具挿入溝22cは、本体部22aの外側面に形成された開口から、当該本体部22aの略半円形状平面に平行な方向において同本体部22aの内部空間に向けて挿通する溝である。治具挿入溝22cによって、本体部22aの内部空間は、外部と連通している。
【0052】
レバー挿入口22dは、レバー部材21に指当て部材22を装着する際に、カバー取付部21gを挿入する開口である。このレバー挿入口22dは、本体部22aの外側面に開口し、本体部22aの内部空間に連通している。
【0053】
レバー係止部22eは、レバー部材21に指当て部材22が装着された状態において、カバー取付部21gの被係止孔21eに嵌合して、指当て部材22の装着状態を維持するために形成される孔である。そのために、レバー係止部22eは、通常状態においては、本体部22aの内部空間の床面から内部に向けて突出して配設されている。
【0054】
詳述すると、レバー係止部22eは、図5図8図9等に示すように、片持ち梁状に形成されている。ここで、レバー係止部22eは、図5に示す矢印C1方向に揺動し得るように形成されている。レバー係止部22eは、通常状態においては、図8等に示すように、自由端部近傍領域22eaが本体部22aの内部空間に向けて突出して配置されている。
【0055】
一方、レバー挿入口22dからカバー取付部21gが挿入された際には、レバー係止部22eは矢印C1方向に撓んでカバー取付部21gを通過させ得る。そして、カバー取付部21gが進み、被係止孔21eに自由端部近傍領域22eaが一致する位置まで進むと、レバー係止部22eは通常状態に復帰して撓みが解消される。すると、自由端部近傍領域22eaは、被係止孔21eに係止される。これにより、指当て部材22は、レバー部材21に装着された状態が維持され、容易に取り外せない状態になる。
【0056】
他方、詳細は後述するが、治具挿入溝22cからリムーバル治具40(図17等参照)を挿入した際には、同様に、レバー係止部22eが矢印C1方向に撓んで自由端部近傍領域22eaと被係止孔21eとの係止状態が解除されるようになっている(詳細後述;図19図21等参照)。
【0057】
このように構成される鉗子レバー10は、図2図10等に示すように、操作部3の外装面上に配置されている。この場合において、鉗子レバー10は、第1の回動軸Axを回動中心とする矢印R方向において所定の範囲内で回動自在に配設されている。
【0058】
換言すると、鉗子レバー10は、第1の回動軸Ax周りに回動自在に保持されている。そして、鉗子レバー10が使用者(ユーザ)による操作入力を受けると、当該鉗子レバー10は、図10の矢印Rに沿う方向に回動する。このように、鉗子レバー10が回動すると、後述する駆動機構30,牽引ワイヤ31の作用によって、先端部5に設けられる可動部材である鉗子起上台(不図示)を所定の方向に移動させる(詳細後述)。
【0059】
なお、鉗子レバー10の矢印R方向における回動範囲は、鉗子レバー10の指当て部材22の突起22bが、操作部3の所定の壁面(3xd,3xu)に当接することによって規定されている。この場合において、操作部3の壁面(3xd,3xu)は、鉗子レバー10の回動範囲を規定するストッパの役目をしている。
【0060】
具体的には、鉗子レバー10が図10の実線で示す位置にあるときに、所定の操作入力を受けて図10の矢印Ru方向に回動すると、鉗子レバー10の指当て部材22の突起22bの一側部は、やがて第1壁面3xuに当接する。こうして鉗子レバー10が、図10の点線で示す位置に到達すると、当該鉗子レバー10の回動は規制される。つまり、このとき、第1壁面3xuは鉗子レバー10の回動を規制するストッパとして機能する。
【0061】
同様に、鉗子レバー10が、図10の点線で示す位置にあるときに、所定の操作入力を受けて図10の矢印Rd方向に回動すると、鉗子レバー10の指当て部材22の突起22bの他側部は、やがて第1壁面3xdに当接する。こうして鉗子レバー10が、図10の実線で示す位置に到達すると、当該鉗子レバー10の回動は規制される。つまり、このとき、第1壁面3xdは鉗子レバー10の回動を規制するストッパとして機能する。
【0062】
このように、本実施形態の内視鏡1において、挿入部2の基端側に設けられる操作部3は、鉗子レバー10と、ストッパ(外装壁面の一部である第1壁面3xd,3xu)を有して構成されている。
【0063】
なお、鉗子レバー10の指当て部材22の突起22bが、第1壁面(3xd,3xu)に当接しているときの鉗子レバー10の位置を第1の位置というものとする。ここで、鉗子レバー10が第1の位置にあって、突起22bが第1壁面3xdに当接している状態にあるとき、可動部材である鉗子起上台は倒置する方向の移動が規制されている。また、鉗子レバー10が第1の位置にあって、突起22bが第1壁面3xuに当接している状態にあるとき、可動部材である鉗子起上台が起上する方向の移動が規制されている。
【0064】
そして、鉗子レバー10が、図10にて実線で示す位置に配置されているとき、本実施形態の内視鏡1は無負荷状態にある。したがって、以下の説明においては、このときの状態を通常状態と呼称する。
【0065】
このように鉗子レバー10が第1の位置にあって、当該内視鏡1が通常状態にあるとき、ストッパである第1壁面3xdは、鉗子レバー10の指当て部材22の突起22bに当接している。
【0066】
そして、鉗子レバー10が第1の位置にあるとき、即ち、鉗子レバー10の指当て部材22の突起22bがストッパである第1壁面3xd,3xuのいずれかに当接しているとき、鉗子起上台(不図示;詳細後述)は、通常の倒置位置または所定の最大起上位置に配置される。
【0067】
ここで、可動部材である鉗子起上台の概略構成について、図11を用いて以下に説明する。図11は、本発明の第1の実施形態の内視鏡における挿入部の先端部に設けられる可動部材である鉗子起上台を含む概略構成を示す斜視図である。
【0068】
本実施形態の内視鏡1において、鉗子起上台54は、図11に示すように、挿入部2の先端部5の内部に配設されている。この場合において、鉗子起上台54は、所定の第1の方向に移動自在に構成される可動部材である。ここで、第1の方向とは、図11に示す第2の回動軸Ax2を中心軸とする周方向である。鉗子起上台54は、第2の回動軸Ax2周りに所定の回動範囲内にて回動自在に構成されている(図11の矢印符号T参照)。
【0069】
先端部5は、本体50と、不図示の先端カバーとによって構成されている。本体50には、照明ユニット51と、撮像ユニット52と、送気送水ノズル53と、鉗子起上台54と、牽引ワイヤ31の一部等が配設されている。
【0070】
照明ユニット51は、光源装置(不図示)からライトガイドバンドル15を通して伝達される照明光を受けて、当該先端部5の外部における所定の方向に向けて所定の範囲に照明光を照射するために設けられ光学素子等からなる照明光学部材等を備えて構成されている。ここで、照明光学部材のうち最も先端側であって、先端部5の外表面に露呈して配設される光学素子を、特に照明窓というものとする。なお、照明ユニット51自体の構成は、従来の内視鏡に搭載されているものと同様である。そのため、照明ユニット51の詳細説明は省略する。
【0071】
撮像ユニット52は、撮像光学系と、撮像素子と、撮像素子駆動回路等によって構成される構成部材である。撮像光学系は、観察対象物の光学像を形成する光学レンズ等からなる。なお、撮像光学系のうち最も先端側であって、先端部5の外表面に露呈して配設される光学素子を、特に観察窓というものとする。
【0072】
撮像素子は、撮像光学系によって形成された光学像を受けて光電変換する電子部品である。撮像素子は、撮像素子駆動回路によって駆動される。撮像素子駆動回路は、ビデオプロセッサ(不図示)からの指示信号を受けて撮像素子を駆動する。撮像素子によって光電変換された画像データは、撮像素子駆動回路を通してビデオプロセッサへと送信される。ビデオプロセッサは、受信した画像データを受けて、所定の画像データ処理を行う。なお、撮像ユニット52自体の構成は、従来の内視鏡に搭載されているものと同様である。そのため、撮像ユニット52の詳細説明は省略する。
【0073】
送気送水ノズル53は、先端部5から外方に向けて送水又は送気を行う際の液体又は気体を吐出する構成部材である。例えば、操作部3に設けられる複数の操作部材12のうちの所定の操作部材が操作されることによって所定の送水操作が行われると、送気送水ノズル53からは、撮像ユニット52の観察窓や照明ユニット51の照明窓等の外表面を洗浄する液体が吐出される。なお、送気送水ノズル53を含む送気送水機構の構成は、従来の内視鏡に搭載されているものと同様である。そのため、送気送水機構の詳細説明は省略する。
【0074】
本体50には、先端開口50aが形成されている。この先端開口50aには、挿入部2の内部に挿通配置されている処置具挿通管路(不図示)が接続されている。これにより、処置具挿入口8から挿入された処置具(不図示)は、処置具挿通管路を挿通して、当該処置具の先端部分が先端開口50aから外部に向けて突出する。このときに、鉗子起上台54に対する所定の起上動作を行うと、当該処置具の先端部分の突出方向を変更することができる。
【0075】
鉗子起上台54は、先端部5に対して、図11に示す第2の回動軸Ax2周りに回転自在に配設されている。第2の回動軸Ax2は、先端部5の挿入軸F(図11参照)に対して略直交する回転軸である。ここで、図11の矢印Tは、鉗子起上台54の第2の回動軸Ax2周りの回動方向を示している。このうち、図11の矢印符号T1は鉗子起上台54を起上させる方向を示している(以下、起上方向という)。また、図11の矢印符号T2は鉗子起上台54が倒置する方向を示している(以下、倒置方向という)。この場合において、鉗子起上台54の回転は、上述したように、鉗子レバー10の回動を規制することによって、所定の範囲内となるように規制されている。
【0076】
鉗子起上台54には、先端部5の本体50に設けられる先端開口50bから延出する牽引ワイヤ31の先端が連結されている。この牽引ワイヤ31は、挿入部2,操作部3の内部に挿通配置されており、基端が操作部3内の駆動機構30に連結されている。
【0077】
続いて、鉗子起上台54の駆動機構30の構成について、図12図16を用いて以下に説明する。図12図13は、本発明の第1の実施形態の内視鏡における操作部の内部構成のうち鉗子レバーの駆動機構の概略構成を示す平面図である。このうち、図12は鉗子起上台が最大倒置状態にあるときの鉗子レバー及びその駆動機構のようすを示す図である。図13は鉗子起上台が最大起上状態にあるときの鉗子レバー及びその駆動機構のようすを示す図である。なお、図12図13においては、図面の繁雑化をさけるために鉗子レバー10は、その外形状を点線で示すに留めている。
【0078】
図14は、図12の鉗子レバーの駆動機構における一部構成部材(フレーム軸,リンク本体)を取り出して示す要部分解斜視図である。なお、図14においては、鉗子レバー10は点線で示している。同時に、同図において、鉗子レバー10は、レバー部材21のみを図示し、指当て部材22の図示を省略している。
【0079】
図15は、図12の鉗子レバーの駆動機構の一部構成部材(連結部材)のみを取り出して示す要部拡大斜視図である。図16は、図12の鉗子レバーの駆動機構の一部領域(連結部材が係止板に当接している状態の近傍領域)を拡大して示す要部拡大図である。
【0080】
本実施形態の内視鏡1における駆動機構30は、鉗子レバー10の操作入力を受けて牽引ワイヤ31を挿入部2の長軸方向の進退させる力量に変換するリンク機構である。この駆動機構30を通じて進退移動される牽引ワイヤ31は、鉗子起上台54を第2の回動軸Ax2周りに回動させる。
【0081】
駆動機構30は、図12等に示すように、操作部3の内部固定部材であるフレーム3fに取り付け固定されている構成ユニットである。駆動機構30は、フレーム軸36と、リンク本体35と、棒体34と、係止板33と、連結部材32と、連結部材ガイド37等によって構成されている。
【0082】
フレーム軸36は、操作部3のフレーム3fの平面に対して略直立する形態の軸状部材である。フレーム軸36は、例えばビス止め等によってフレーム3fの平面上に固定されている。ここで、フレーム軸36は、中心軸が、鉗子レバー10の回転中心となる第1の回動軸Axと一致させて配設されている。
【0083】
また、図14に示すように、フレーム軸36は、外周面上の一部に切欠36aが形成されている。ここで、フレーム軸36は、切欠36aの配置されている部位を含む面であって、第1の回動軸Axに沿う方向に平行な第2の方向に略直交する平面の断面が、略D字形状に形成されている。
【0084】
リンク本体35は、図14に示すように、全体として略円環形状からなり、フレーム軸36周り(図14の矢印R方向)に回動自在に配設される部材である。そのために、リンク本体35は、略中央領域にフレーム軸36に嵌合する貫通孔35aを有して形成されている。
【0085】
また、リンク本体35は、外周縁部の一部にリンク部35bが外方に向けて突出して形成されている。このリンク部35bには、図12等に示すように、後述する棒体34の基端側の第1端34aが連結している。
【0086】
さらに、リンク本体35は、円環領域上に複数のビス孔35cが形成されている。これらビス孔35cは、鉗子レバー10のレバー部材21を固定するための複数の締結ビス(不図示)のそれぞれが締結される部位である。
【0087】
棒体34は、リンク本体35の回転運動を直線運動に変換するリンク部材である。上述したように、棒体34は、基端側の第1端34aにリンク部35bが連結している。また、図12等に示すように、棒体34の先端側の第2端34bは、後述する連結部材32が連結している。
【0088】
連結部材32は、当該駆動機構30と牽引ワイヤ31とを連結する構成部材である。連結部材32には、上述したように、棒体34の先端側の第2端34bが連結していると共に、牽引ワイヤ31の基端が連結されている。この連結部材32は、後述する連結部材ガイド37内において所定の方向(挿入部2の長軸に沿う方向であって図12図13の矢印P方向)に移動自在に配設されている。
【0089】
この連結部材32には、図15図16に示すように、底面部に突出部32aが形成されている。この突出部32aは、連結部材32の矢印P方向における一方の矢印P2方向への移動を所定の位置で阻止する機能を有する。即ち、連結部材32が矢印P2方向へ移動するとき、突出部32aの先端寄りの端面が、後述の係止板33の基端側端面33aに当接することにより、当該移動が阻止される(図16参照)。
【0090】
連結部材ガイド37は、連結部材32の所定の方向(矢印P方向)への移動を案内する構成部材である。連結部材ガイド37は、操作部3のフレーム3fの平面上に固定されている。この場合において、連結部材ガイド37は、フレーム3fの平面に平行に、かつ操作部3の長軸方向に沿う方向に延出して形成されている。この連結部材ガイド37には、上述したように連結部材32が移動自在に収容されている。これと共に、連結部材ガイド37内には、係止板33が固定されている。
【0091】
係止板33は、連結部材ガイド37内を移動する連結部材32の所定の方向への移動を所定の位置で阻止するための構成部材である。係止板33は、連結部材ガイド37内の所定の部位に固定されている。
【0092】
このような構成により、鉗子レバー10の操作入力を受けてリンク本体35が第1の回動軸Ax周り(図12等の矢印R方向)に回動する際に、棒体34は、図12等の矢印S方向に移動する。すると、このとき、連結部材32は、連結部材ガイド37の内部を摺動して、挿入部2の長軸方向(図12等の矢印P方向)に進退する。
【0093】
ここで、例えば、鉗子レバー10を取り外した状態の駆動機構30は、次のように作用する。例えば、
図13に示す状態にあるとき、リンク本体35が矢印Rd方向に回動したとする。すると、棒体34は図13の矢印S2方向に移動し、連結部材32は図13の矢印P2方向に移動する。そうして、駆動機構30は、やがて図12に示す状態になる。
【0094】
このとき、連結部材32の突出部32a(図15図16参照)の先端面が、図16に示すように、係止板33の基端側端面33aに当接する。これにより、連結部材32は、同方向(矢印P2方向)への移動が阻止される。このとき、連結部材32は、連結部材ガイド37内において移動し得る最も先端寄りの位置に配置される。
【0095】
この場合において、係止板33は、連結部材32(及び牽引ワイヤ31)の挿入部2の長軸方向(矢印P方向)における先端寄りへの移動(矢印P2方向への移動)を阻止している。つまり、係止板33は、駆動機構30による連結部材32(及び牽引ワイヤ31)の長軸方向への全移動範囲における一方の端部を規定する役目をしている。
【0096】
また、例えば、図12に示す状態にあるとき、リンク本体35が矢印Ru方向に回動したとする。すると、棒体34は図12の矢印S1方向に移動し、連結部材32は図12の矢印P1方向に移動する。そうして、駆動機構30はやがて図13に示す状態になる。
【0097】
このとき、駆動機構30は、棒体34の中途部分がフレーム軸36の切欠36aの端面に当接する。これにより、棒体34は、矢印S1方向への移動が阻止される。同時に、連結部材32は、矢印P1方向への移動が阻止される。これにより、リンク本体35の矢印Ru方向の回動が阻止される。このとき、連結部材32は、連結部材ガイド37内において移動し得る最も基端寄りの位置に配置される。この場合において、切欠36aは、駆動機構30による連結部材32(牽引ワイヤ31)の長軸方向への全移動範囲における他方の端部を規定する役目をしている。
【0098】
一方、駆動機構30のリンク本体35に鉗子レバー10が装着されている場合の駆動機構30は、次のように作用する。即ち、図13に示す状態にあるとき、鉗子レバー10が矢印Rd方向に回動して、リンク本体35が同方向に回動したとする。すると、棒体34は図13の矢印S2方向に移動し、連結部材32は図13の矢印P2方向に移動する。やがて、鉗子レバー10の指当て部材22の突起22bが第1壁面3xd(ストッパ)に当接する。これにより、鉗子レバー10は、矢印Rd方向への回動が規制される。したがって、連結部材32は、矢印P2方向への移動が阻止される。
【0099】
この状態においては、連結部材32の突出部32aは係止板33の基端側端面33aに当接する以前の状態にある。つまり、突出部32aの先端面と基端側端面33aとの間には所定の隙間が存在している。このことは、連結部材32は、駆動機構30による長軸方向への全移動範囲における一方の端部に到達していない状態にあることを意味する。
【0100】
また、図12に示す状態にあるとき、鉗子レバー10が矢印Ru方向に回動して、リンク本体35が同方向に回動したとする。すると、棒体34は図12の矢印S1方向に移動し、連結部材32は図12の矢印P1方向に移動する。やがて、鉗子レバー10の指当て部材22の突起22bが第1壁面3xu(ストッパ)に当接する。これにより、鉗子レバー10は、矢印Ru方向への回動が規制される。したがって、連結部材32は、矢印P1方向への移動が阻止される。
【0101】
この状態においては、棒体34はフレーム軸36の切欠36aの端面に当接する以前の状態にある。つまり、棒体34とフレーム軸36の切欠36aの端面との間には所定の隙間が存在している。このことは、リンク本体35は、駆動機構30による第1の回転軸Ax周りの回動範囲における他方の端部に到達していない状態にあることを意味する。つまり、このとき、連結部材32は、駆動機構30による長軸方向への全移動範囲における他方の端部に到達していない状態にある。
【0102】
ここで、本実施形態の内視鏡1において、鉗子レバー10が駆動機構30に取り付けられたときの鉗子レバー10の状態を第1の状態というものとする。また、鉗子レバー10が駆動機構30から取り外されたときの状態を第2の状態というものとする。
【0103】
そして、第1の状態では、鉗子レバー10の指当て部材22の突起22bがストッパである第1壁面(3xu,3xd)に当接することによって、鉗子レバー10(及びリンク本体35)の回動が規制されて、牽引ワイヤ31の移動範囲が規制される。また、第2の状態では、駆動機構30に本来備わる構造のみに基づいて牽引ワイヤ31の移動範囲が規制される。つまり、第2の状態では、リンク本体35の回動は、連結部材32の突出部32aと係止板33の基端側端面33aとの当接、及び、棒体34とフレーム軸36の切欠36aとの当接によって規制されて、牽引ワイヤ31の移動範囲が規制される。
【0104】
しかしながら、内視鏡1が組み立てられた状態においては、鉗子レバー10を第2の状態(即ち、鉗子レバー10の非装着状態)を容易に現出させることは、操作部3を分解する作業等が伴うことになることから困難であると考えられる。
【0105】
そこで、本実施形態の内視鏡1においては、鉗子レバー10について、指当て部材22をレバー部材21に対し着脱自在に構成することによって、第2の状態を容易に現出することができるようにしている。つまり、鉗子レバー10の第2の状態は、鉗子レバー10において、レバー部材21から指当て部材22を取り外すことによって実現できる。
【0106】
ここで、本実施形態の内視鏡1において、鉗子レバー10の指当て部材22をレバー部材21に対して着脱自在とする構成及び作用について、図17図26を用いて、以下に詳述する。
【0107】
図17は、本実施形態の内視鏡における鉗子レバーと指当て部材取り外し用治具の構成を示す概略斜視図である。図18は、図17の符号[18]で示す面に沿う部分断面図である。図19図23は、本実施形態の内視鏡における鉗子レバーから指当て部材を取り外す際の作用を示す図である。このうち、図19は、鉗子レバーから指当て部材を取り外す際の経過を示す概略斜視図であって、指当て部の治具挿入溝に治具を挿入した状態を示している。
【0108】
図20図21図19の符号[20]で示す面に沿う部分断面図である。このうち、図20はレバー係止部が被係止孔に係止されている状態を示している。図21はレバー係止部の被係止孔への係止状態が解除された状態を示している。
【0109】
図22は、鉗子レバーから指当て部材を取り外す際の経過を示す概略斜視図であって、図19の状態の後、指当て部を治具によって取り外した状態を示している。図23は、図22の符号[23]で示す面に沿う部分断面図である。
【0110】
本実施形態の内視鏡1における鉗子レバー10の詳細構成については、図2図9を用いて上述した通りである。
【0111】
指当て部材取り外し用治具であるリムーバル治具40の構成を、以下に簡単に説明する。リムーバル治具40は、鉗子レバー10の指当て部材22を着脱する際に用いられる専用の治具である。リムーバル治具40は、図17等に示すように、治具本体部41と、ニードル部42と、マウント部43とからなる。
【0112】
治具本体部41は、略矩形状の平板によって形成されている。治具本体部41の一方の端部には、複数のニードル部42が配設されている。治具本体部41の他方の端部には、マウント部43が形成されている。
【0113】
ニードル部42は、治具本体部41の一方の端部から、当該治具本体部41の長軸方向において外方に突設して形成される細長い棒形状からなる。なお、本実施形態においては、ニードル部42は、複数(二本)設けた例を示している。
【0114】
ニードル部42は、指当て部材22の治具挿入溝22cの内部に挿入されることで、レバー係止部22eに作用する。そのために、ニードル部42は、指当て部材22の治具挿入溝22cの内部に挿入し得る形状及び太さに形成されている。また、ニードル部42は、治具挿入溝22cの開口から同溝22cの内部に挿入されたとき、先端がレバー係止部22eに到達し得る長さを有して形成されている。
【0115】
また、ニードル部42は、先端領域に先端傾斜面42a(図18参照)を有して形成されている。この場合において、先端傾斜面42aは、当該リムーバル治具40を使用時の姿勢とした状態(図17に示す状態)で、下向きに形成されている。これにより、先端傾斜面42aは、ニードル部42が治具挿入溝22cの内部に挿入されたとき、レバー係止部22eに作用して、当該レバー係止部22eを被係止孔21eから離脱する方向に撓ませる。
【0116】
マウント部43は、鉗子レバー10から指当て部材22を取り外した後のレバー部材21のカバー取付部21gに対して、リムーバル治具40を取り付けるための構成を有する。
【0117】
そのために、マウント部43は、レバー部材21のカバー取付部21gの外周を覆い得るように形成されている。具体的には、例えば、治具本体部41の長軸方向の両側面に沿って、断面がチャンネル形状の溝部を備えて形成されている。マウント部43は、治具本体部41において、ニードル部42が設けられている一端部とは反対側の他方の端部に形成されている。
【0118】
このように構成されるリムーバル治具40は、鉗子レバー10から指当て部材22を取り外す機能を有する。同時に、リムーバル治具40は、指当て部材22を取り外した後のカバー取付部21gに対してマウント部43を通して装着して、レバー部材21の操作腕部21bを延長する機能を有する。
【0119】
このリムーバル治具40を用いて、鉗子レバー10のレバー部材21からカバー部材である指当て部材22を取り外す際の作用を、以下に簡単に説明する。
【0120】
鉗子レバー10のレバー部材21から指当て部材22を取り外す状況では、通常、鉗子レバー10は、内視鏡1の操作部3の所定の部位に組み付けられている状況を想定している。しかしながら、図17図23においては、図面の繁雑化を避けるために、鉗子レバー10の周辺構成物の図示を省略し、対象とする鉗子レバー10のみを単体として図示している。
【0121】
まず、図17図18に示すように、鉗子レバー10に対してリムーバル治具40を所定の位置に配置する。ここで、リムーバル治具40の所定の位置とは、リムーバル治具40のニードル部42の先端を、指当て部材22の治具挿入溝22cの開口に対向させた位置である。なお、このとき、リムーバル治具40は、ニードル部42の先端傾斜面42aが下向きに配置される姿勢である。
【0122】
この状態から、リムーバル治具40を図17図18の矢印J1方向に進める。そして、二本のニードル部42を二つの治具挿入溝22cに挿入する。これにより、図19図20に示す状態になる。
【0123】
この状態から、そのままリムーバル治具40を矢印J1方向に進める。すると、やがてニードル部42の先端傾斜面42aがレバー係止部22eの外縁端部に当接する。この状態に至るまでの間は、指当て部材22のレバー係止部22eは、レバー部材21の被係止孔21eに嵌合している状態にある。
【0124】
この状態から、さらにリムーバル治具40を矢印J1方向に進める。すると、やがて先端傾斜面42aがレバー係止部22eの外縁端部に作用して、レバー係止部22eを図20の矢印C1方向へ撓ませる。このとき、ニードル部42の先端傾斜面42aがレバー係止部22eを矢印J1方向に押圧すると、レバー係止部22eは、先端傾斜面42aに沿って移動し、矢印C1方向に向けてスムースに撓む。そうして、レバー係止部22eは、図21に示す状態になる。
【0125】
図21に示す状態においては、レバー係止部22eは、被係止孔21eとの嵌合が解除される。このまま、ニードル部42を矢印J1方向に進めると、ニードル部42は、レバー係止部22eを撓ませた状態のまま、被係止孔21eを塞ぐ位置に移動する。このとき、レバー係止部22eは、自身の弾性復元力によって、矢印C2方向への力量が働く。このレバー係止部22eの矢印C2方向への力量は、当該レバー係止部22eをニードル部42に向けて押圧する力量となっている。
【0126】
したがって、図21に示す状態において、リムーバル治具40を図21の矢印J2方向へ移動させると、リムーバル治具40と共に、指当て部材22がカバー取付部21gから離脱して引き抜かれる。これにより、指当て部材22は、図22図23に示すように、レバー部材21から取り外される。このとき、指当て部材22は、リムーバル治具40に取り付けられた状態となっている。しかし、このとき、指当て部材22は、使用者が引き抜くことでリムーバル治具40から容易に取り外し可能な状態である。
【0127】
このようにして鉗子レバー10から指当て部材22を取り外したとき、鉗子レバー10のレバー部材21は、図24に示すように、操作部3の所定の位置に残されている状態にある。図24は、上述の取り外し作用により、リムーバル治具を用いて鉗子レバーから指当て部材を取り外した後の操作部の概略構成を示している。
【0128】
次に、指当て部材を取り外した状態の鉗子レバー(レバー部材)の作用を、図24を用いて説明する。図24において、一点鎖線で示す矢印Gにより示される範囲は、鉗子レバー10の第1の状態(指当て部材22が装着されている状態)にあるときのレバー部材21の可動範囲を示している。また、同図24において、一点鎖線で示す矢印Ga,Gbにより示される範囲は、鉗子レバー10が第2の状態(指当て部材22が取り外された状態)とされることによって付加されるレバー部材21の可動範囲を示している。
【0129】
本実施形態の内視鏡1においては、鉗子レバー10から指当て部材22を取り外して第2の状態とすることによって、鉗子レバー10(レバー部材21)の可動範囲を拡大することが容易にできる。
【0130】
このことを、具体的な例示を用いて以下に説明する。例えば、鉗子レバー10に指当て部材22が装着されている第1の状態(図10参照)では、鉗子レバー10は、図24の矢印Gで示される範囲内で回動する。
【0131】
つまり、上述したように、第1の状態では、鉗子レバー10が第1の位置にあるとき、突起22bがストッパである第1壁面(3xu,3xd)に当接することで、鉗子レバー10の回動範囲が規制される。
【0132】
一方、例えば、鉗子レバー10から指当て部材22を取り外した第2の状態(図24参照)では、鉗子レバー10は、図24の矢印Gで示される範囲に加えて、矢印Ga,Gbの範囲を付加した範囲内で回動する。
【0133】
この場合において、矢印Gaで示される範囲は、図12で説明したように、駆動機構30において、連結部材32の突出部32aと係止板33の基端側端面33aとが当接することによって規制される範囲である。また、矢印Gbで示される範囲は、棒体34とフレーム軸36の切欠36aとの当接によって規制される範囲である。
【0134】
つまり、上述したように、第2の状態では、指当て部材22が取り外されているので、鉗子レバー10のレバー部材21が第1の位置に相当する位置にあるとき、突起22bがストッパである第1壁面(3xu,3xd)に当接しない状態である。したがって、鉗子レバー10のレバー部材21は、さらに回動させることができる。
【0135】
なお、ここで、図25図26は、鉗子レバー10から指当て部材22を取り外したレバー部材21のカバー取付部21gに対してリムーバル治具40のマウント部43を取り付ける際の作用を示している。
【0136】
図24に示すように、鉗子レバー10が第2の状態(指当て部材22が取り外された状態)とされたとき、図25図26に示すように、レバー部材21のカバー取付部21gに対してリムーバル治具40のマウント部43を、図25に示すように、矢印J1方向に移動させて取り付ける。そして、図26の状態にすると、レバー部材21の操作腕部21bは、リムーバル治具40の長さ分だけ延長することができる。これにより、指当て部材22を取り外した後の鉗子レバー10(レバー部材21)は、操作部3上の他の構成部材に干渉することなく回動させることができる。これにより、指当て部材22を取り外しても、レバー部材21の操作性を向上させることができる。
【0137】
以上説明したように、上記第1の実施形態によれば、内視鏡1の操作部3に設けられる操作部材のうち、先端部5に設けられる可動部材である鉗子起上台を操作するための鉗子レバー10について、リムーバル治具40を用いることによって、指当て部材22を容易に取り外すことができる構成としている。
【0138】
この構成によって、本実施形態においては、鉗子レバー10について、指当て部材22を装着している第1の状態と、指当て部材22を取り外した第2の状態との間で容易に変形させることができる。
【0139】
そして、内視鏡1の通常使用時には、鉗子レバー10を第1の状態とすることで、鉗子レバー10を通常使用時に対応した適切な可動範囲を設定することができる。その一方で、内視鏡1の修理作業等を行う場合には、鉗子レバー10を第2の状態とすることによって、操作部3の分解等、複雑な作業をすることなく、鉗子レバー10(レバー部材21)のより広い可動範囲を確保することが容易にできる。
【0140】
また、鉗子レバー10を第2の状態としたときには、レバー部材21にリムーバル治具40を取り付けることによって、指当て部材22を取り外した状態の鉗子レバー10(レバー部材21)の操作性を容易に向上させることができる。したがって、より効率的な作業性を確保することができる。
【0141】
次に、本発明の第1の実施形態についての変形例を例示する。まず、第1変形例について、以下に説明する。図27図28は、本実施形態の内視鏡の第1変形例を示す図である。なお、第1変形例においては、上述の第1の実施形態の構成に対して鉗子レバーの構成が異なるのみである。
【0142】
第1変形例にて示される鉗子レバー10Aは、操作部3において、第1の回動軸Ax周りに回動自在に設けられている点において、上述の第1の実施形態と同様である。
【0143】
鉗子レバー10Aは、図27に示すように、レバー部材21と、指当て部材22Aとによって構成されている。このうち、レバー部材21は、上述の第1の実施形態と略同様の構成からなる。したがって、その詳細説明は省略する。
【0144】
指当て部材22Aは、本体部22aと、突起22Ab等を有して構成されている。本体部22aは、レバー部材21のカバー取付部21gに固定される部位である。本体部22aの構成は、上述の第1の実施形態と同様である。
【0145】
突起22Abは、本体部22aの先端側の外周縁部近傍から第1の回動軸Axに沿う方向に平行な第2の方向に沿って突出する薄板形状に形成されている。ここで、突起22Abは、本体部22aとの間で互いに開閉自在に保持するヒンジ22Afを通して連結されている。これにより、突起22Abは、ヒンジ22Afの作用により、図27図28に示す矢印H方向に回動し移動し得る構成とされている。
【0146】
この場合において、ヒンジ22Afは、突起22Abを通常位置と開位置との間で移動させる機能を有する。ここで、突起22Abの通常位置とは、第1の回動軸Axに沿う方向に平行な第2の方向に沿って突出する形態にある位置である。また、突起22Abの開位置とは、第1の回動軸Axに沿う方向に対して略直交する方向に突出する形態にある位置である。なお、ヒンジ22Afは、突起22Abの開位置(開状態)を維持するためのクリックストップ機構を備える。この場合におけるクリックストップ機構は、図示を省略しているが、従来周知の機構が適用されている。
【0147】
このような構成により、第1変形例における鉗子レバー10Aの指当て部材22Aにおける突起22Abは、本体部22aに対してヒンジ22Afを通して開閉自在に配設されている。ここで、突起22Abについて、図27図28において実線で示す状態が第1の状態に相当する。このとき、突起22Abは通常位置にある。この第1の状態において、突起22Abは、操作部3のストッパである第1壁面(3xu,3xd)に当接する。これにより、鉗子レバー10Aは回動規制される。
【0148】
また、突起22Abについて、図27図28において点線で示す状態が第2の状態に相当する。このとき、突起22Abは、ヒンジ22Afの作用により、本体部22aに対して開位置に移動した状態にある。このとき、突起22Abは、操作部3のストッパである第1壁面(3xu,3xd)に当接しない。したがって、鉗子レバー10Aの回動範囲は拡大される。その他の構成については、上述の第1の実施形態と略同様である。
【0149】
以上述べたように、第1変形例による鉗子レバー10Aによれば、指当て部材22における突起22Abの構成について、ヒンジ22Afを通して開閉自在に構成したので、第1状態と第2状態との間で容易に変形できる。
【0150】
次に、第2変形例について、以下に説明する。図29は、本実施形態の内視鏡の第2変形例を示す図である。なお、第2変形例においても、上述の第1の実施形態の構成に対して鉗子レバーの構成が異なるのみである。
【0151】
第2変形例にて示される鉗子レバー10Bは、操作部3において、第1の回動軸Ax周りに回動自在に設けられている点において、上述の第1の実施形態と同様である。
【0152】
鉗子レバー10Bは、図29に示すように、レバー部材21と、指当て部材22Bとによって構成されている。このうち、レバー部材21は、上述の第1の実施形態と略同様の構成からなる。したがって、その詳細説明は省略する。
【0153】
指当て部材22Bは、本体部22aと、突起22Bb等を有して構成されている。本体部22aは、レバー部材21のカバー取付部21gに固定される部位である。本体部22aの構成は、上述の第1の実施形態と同様である。
【0154】
突起22Bbは、本体部22aの先端側の外周縁部近傍から第1の回動軸Axに沿う方向に平行な第2の方向に沿って突出する薄板形状に形成されている。ここで、突起22Bbは、本体部22aの外周縁部に沿って並べて形成される2つの突起部材(22Bx,22By)によって形成されている。この2つの突起部材(22Bx,22By)のうちの一方は、本体部22aに対して着脱自在に構成されている。
【0155】
図29に示す例では、符号22Byで示す部材を着脱自在としている。この場合において、突起22Bbは、2つの突起部材(22Bx,22By)が本体部22aに装着された状態が第1の状態に相当する。このときの突起22Bbの状態が通常状態である。このとき、突起22Bbは、部材22Byが、操作部3のストッパである第1壁面(3xu,3xd)に当接することによって鉗子レバー10Bの回動が規制される。
【0156】
一方、突起22Bbは、2つの突起部材(22Bx,22By)のうちの一方の部材22Byが取り外された状態(図29に示す状態)が第2の状態に相当する。このとき、鉗子レバー10Bは、第1壁面3xdに向けて回動する時、突起22Bbの一方の突起部材22Bxが第1壁面3xdに当接するまで回動する。したがって、鉗子レバー10Bは、取り外された部材22Byに対応する範囲分だけ回動範囲が拡大する。その他の構成については、上述の第1の実施形態と略同様である。
【0157】
以上述べたように、第2変形例によっても鉗子レバー10Bを第1状態と第2状態との間で容易に変形できる。
【0158】
なお、第2変形例においては、突起22Bbのうち部材22Byのみを着脱自在として構成したが、この構成に限らず、他の形態も考え得る。例えば、突起22Bbの2つの突起部材(22Bx,22By)のうち一方の突起部材22Bxを着脱自在に構成してもよい。また、2つの突起部材(22Bx,22By)をそれぞれ着脱自在とする構成としてもよい。着脱自在とする構成としては、部材Byを本体部22aまたは部材Bxに差し込めるような凹凸を形成してもよいし、互いに係合する形状に形成してもよい。また磁石など電磁力を用いてもよい。
【0159】
また、上述の第2変形例の構成(即ち、突起22Bbの2つの突起部材(22Bx,22By)のうちの一方を本体部22aに対して着脱自在とする構成)に代えて、当該2つの突起部材(22Bx,22By)のうちの少なくとも一方(両方でもよい)を、上述の第1変形例と同様のヒンジ等を用いて開閉構造とする構成としてもよい。このような構成とした場合にも、第2変形例と同様の効果を得ることができる。
【0160】
次に、第3変形例について、以下に説明する。図30は、本実施形態の内視鏡の第3変形例を示す図である。この第3変形例においては、上述の第1の実施形態の構成に対して操作部に設けられるストッパの構成が若干異なる。
【0161】
第3変形例にて示される鉗子レバー10は、操作部3において、第1の回動軸Ax周りに回動自在に設けられている点において、上述の第1の実施形態と同様である。
【0162】
操作部3についても、基本的な構成は、上述の第1の実施形態と同様である。第3変形例にて示される操作部3においては、第1壁面(3xd,3xu)に対し、図30に示すように、所定の位置に着脱自在に構成される第2のストッパとなるストッパブロック(3Bxd,3Bxu)を備えている点が異なる。
【0163】
ここで、第1壁面(3xd,3xu)における所定の位置とは、鉗子レバー10が第1の回動軸Ax周りに回動したとき、指当て部材22の突起22bが当接する位置が相当する。この場合において、所定の位置は、第1壁面3xd上の位置と、第1壁面3xu上の位置と二箇所ある。当該所定の各位置に対し、ストッパブロック(3Bxd,3Bxu)がそれぞれ着脱自在に設けられる。その他の構成は、上述の第1の実施形態と略同様である。
【0164】
このような構成とすることで、例えば、第1壁面3xd上にストッパブロック3Bxdが装着されているときには、鉗子レバー10の指当て部材22の突起22bは、ストッパブロック3Bxdに当接して、鉗子レバー10の回動を規制する。このときの状態が第1の状態に相当する。
【0165】
一方、第1壁面3xd上のストッパブロック3Bxdを取り外したときには、鉗子レバー10の指当て部材22の突起22bは、第1壁面3xdに当接して、鉗子レバー10の回動を規制する。このときの状態が第2の状態に相当する。
【0166】
したがって、ストッパブロック3Bxdが装着されている状態に対し、ストッパブロック3Bxdを取り外した状態では、鉗子レバー10の回動範囲は拡大される。着脱自在とする構成としては、ストッパブロック3Bxdを第1壁面3xdに差し込めるような凹凸を形成してもよいし、互いに係合する形状に形成してもよい。また磁石など電磁力を用いてもよい。
【0167】
同様に、例えば第1壁面3xu上にストッパブロック3Bxuが装着されているときには、鉗子レバー10の指当て部材22の突起22bは、ストッパブロック3Bxuに当接して、鉗子レバー10の回動を規制する。このときの状態が第1の状態に相当する。
【0168】
一方、第1壁面3xu上のストッパブロック3Bxuを取り外したときには、鉗子レバー10の指当て部材22の突起22bは、第1壁面3xuに当接して、鉗子レバー10の回動を規制する。このときの状態が第2の状態に相当する。したがって、ストッパブロック3Bxuが装着されている状態に対し、ストッパブロック3Bxuを取り外した状態では、鉗子レバー10の回動範囲は拡大される。
【0169】
以上述べたように、第3変形例によっても鉗子レバー10の回動範囲を容易に切り替えることができる。
【0170】
なお、第3変形例においては、第2ストッパとしてのストッパブロック(3Bxd,3Bxu)を2つ設けた構成例を例示しているが、この形態のみに限られることはない。他の形態として、例えば、2つのストッパブロック(3Bxd,3Bxu)のいずれか一方を設けた構成としてもよい。
【0171】
また、上述の第3変形例の構成(即ち、ストッパブロック(3Bxd,3Bxu)を操作部3の第1壁面(3xd,3xu)に対し着脱自在とする構成)において、さらに、操作部3の第1壁面(3xd,3xu)における当該所定の各位置に対して、突起22bが当接を回避し得る凹部を形成する構成としてもよい。この場合には、当該各凹部を覆う形態のストッパブロック(3Bxd,3Bxu)を当該凹部に対して着脱自在に構成すればよい。このような構成とした場合にも、第3変形例と同様の効果を得ることができる。
【0172】
次に、本発明の第2の実施形態の内視鏡について、図31図34を用いて以下に説明する。なお、本実施形態の内視鏡の基本的な構成は、上述の第1の実施形態と略同様である。本実施形態においては、鉗子レバーの構成が異なるのみである。したがって、以下の説明においては、上述の第1の実施形態と同じ構成部材は、同じ符号を付して、その説明を省略し、異なる部分のみ詳述する。
【0173】
図31は、本発明の第2の実施形態の内視鏡における鉗子レバーのレバー部材のみを取り出して示す斜視図である。図32は、図31の鉗子レバーと、その駆動機構における一部構成部材(フレーム軸,リンク本体)を取り出して示す要部分解斜視図である。なお、図32は、上述の第1の実施形態において図14に相当する。図33図34は、本実施形態の内視鏡における鉗子レバーの作用を示す図である。このうち、図33は鉗子レバーの第1の状態を示している。図34は鉗子レバーの第2の状態を示している。
【0174】
本実施形態における鉗子レバー10Cは、レバー部材21Cと、指当て部材とによって構成されている。なお、図31図34においては、図面の繁雑化を避けるために指当て部材の図示は省略している。本実施形態における鉗子レバー10Cの指当て部材の構成は、上述の第1の実施形態と同様である。
【0175】
本実施形態における鉗子レバー10Cのレバー部材21Cは、図31に示すように、(仮想的な孔である)第1の孔O1と(仮想的な孔である)第2の孔O2とを、略円弧状に繋いで形成された形態の軸貫通孔21Ccを有する。この軸貫通孔21Ccは、上述の第1の実施形態における鉗子レバー10の軸挿通孔21cに相当する。つまり、軸貫通孔21Ccは、フレーム軸36を挿通し、鉗子レバー10Cを第1の回動軸Ax周りに回動自在に保持する軸受として機能する部位である。
【0176】
なお、図31の符号Z1は、第1の孔O1の中心軸を示している。図31の符号Z2は、第2の孔O2の中心軸を示している。また、図31の符号21Cxは、第1の孔O1と第2の孔O2とを繋ぐ連結円弧部を示している。
【0177】
さらに、レバー部材21Cは、軸貫通孔21Ccの2つの連結円弧部21Cxの各外側縁部に貫通ビス溝21Cdを有している。貫通ビス溝21Cdは、各連結円弧部21Cxに沿う円弧形状に形成されている。この貫通ビス溝21Cdは、上述の第1の実施形態における鉗子レバー10の複数のビス孔21dに相当する。同時に、当該貫通ビス溝21Cdは、後述するように、レバー部材21Cが移動する際のガイド溝として機能する。レバー部材21Cについて、その他の構成は、上述の第1の実施形態と同様である。また、図32において、リンク本体35とフレーム軸36の構成は、上述の第1の実施形態と同様である。
【0178】
このように構成される本実施形態における鉗子レバー10Cの作用は、次の通りである。まず、鉗子レバー10Cは、通常使用状態においては、操作部3に対して、図32図33に示すように組み込まれる。
【0179】
即ち、通常使用状態(第1の状態)において、鉗子レバー10C(レバー部材21C)は、図32図33に示すように、第1の孔O1の中心軸Z1を第1の回動軸Axに一致させた状態として、リンク本体35及びフレーム軸36に組み付ける。これにより、鉗子レバー10C(レバー部材21C)は、中心軸Z1において第1の回動軸Ax周り(図32の矢印R方向)に回動自在に保持される。このとき、レバー部材21Cは、2本の貫通ビス溝21Cdの一方の各端部において、リンク本体35のビス孔35cに対してガイド用段付きビス38a1,38a2によりビス止めされている。
【0180】
つまり、レバー部材21Cとリンク本体35とは、2本の貫通ビス溝21Cdにて、それぞれガイド用段付きビス38を用いてクリアランスを設けて締結されている。これにより、レバー部材21Cはリンク本体35に対して、図32に示す矢印R方向及び図33図34に示す矢印M方向(M1,M2方向)に常に動かせるように構成されている。
【0181】
ここで、符号38a1で示すビスは、レバー部材21Cの内側に配設される貫通ビス溝21Cdを貫通している。また、符号38a2で示すビスは、レバー部材21Cの外側に配設される貫通ビス溝21Cdを貫通している。
【0182】
このとき、レバー部材21Cが、操作入力を受けて図33に示す矢印R1方向に回転すると、レバー部材21Cは、ガイド用段付きビス38a1が内側の貫通ビス溝21Cdの一方の端部に作用して、リンク本体35を回転させる。
【0183】
一方、上述の状態(図32の状態)において、鉗子レバー10C(レバー部材21C)を、図33の矢印M1方向に引っ張る。すると、鉗子レバー10C(レバー部材21C)は、図34に示すように、第2の孔O2の中心軸Z2が第1の回動軸Axに一致する状態になる(第2の状態)。
【0184】
このとき、レバー部材21Cが、操作入力を受けて図34に示す矢印R1方向に回転すると、レバー部材21Cは、ガイド用段付きビス38a2が外側の貫通ビス溝21Cdの他方の端部に作用して、リンク本体35を回転させる。
【0185】
なお、ガイド用段付きビスを用いる構成とは別に、レバー部材21Cとリンク本体35とを若干緩めたビスで締結してもよい。さらに異なる構成としては、例えば、ガイド用段付きビスに代えて通常形態の締結ビスを用いてレバー部材21Cとリンク本体35とを締結する。そして、レバー部材21Cを図33図34に示す矢印M方向に動かすときには、その都度締結ビスを緩めるような構成でもよい。
【0186】
これにより、鉗子レバー10C(レバー部材21C)は、中心軸Z2において第1の回動軸Ax周りに回動自在に保持される。このとき、レバー部材21Cは、2本の貫通ビス溝21Cdの他方の端部において、リンク本体35に対しビス止めされる。
【0187】
以上説明したように、上記第2の実施形態によれば、第1の孔O1の中心軸Z1が第1の回動軸Axに一致する状態(第1の状態)と、第2の孔O2の中心軸Z2が第1の回動軸Axに一致する状態(第2の状態)との間で、鉗子レバー10Cを変位させる構成を有する。
【0188】
このことから、鉗子レバー10Cは、指当て部材(不図示)が操作部3のストッパに当接する第1の状態と、指当て部材(不図示)が操作部3のストッパに当接すること無く、さらに回動させることができる第2の状態との二つの態様に容易に切り換えることができる。
【0189】
また、第2の状態(図34の状態)にあるときには、レバー部材21Cの先端位置(指当て部材の位置)は、第1の状態(図33の状態)にあるときのレバー部材21Cの先端位置(指当て部材の位置)よりも、第1の回動軸Axからの距離が長く設定される。したがって、第2の状態としたとき、鉗子レバー10C(レバー部材21C)を回動させる際の操作性の向上に寄与することができる。
【0190】
次に、本発明の第2の実施形態についての変形例について、図35図38を用いて以下に説明する。なお、本変形例の基本的な構成は、上述の第2の実施形態と略同様である。本変形例においては、鉗子レバーのレバー部材とリンク本体との取付構造が若干異なる。したがって、以下の説明においては、上述の第2の実施形態と同じ構成部材は、同じ符号を付して、その説明を省略し、異なる部分のみ以下に詳述する。
【0191】
図35は、本発明の第2の実施形態の変形例の鉗子レバーのレバー部材のみを取り出して示す斜視図である。図36は、図35の鉗子レバーと、その駆動機構における一部構成部材(フレーム軸,リンク本体)を取り出して示す要部分解斜視図である。図37図38は、本変形例における鉗子レバーの作用を示す図である。このうち、図37は鉗子レバーの第1の状態を示している。図38は鉗子レバーの第2の状態を示している。
【0192】
本変形例における鉗子レバー10Dは、レバー部材21Dと、指当て部材とによって構成されている。図35図38においては、図面の繁雑化を避けるために指当て部材の図示は省略している。本変形例における鉗子レバー10Dの指当て部材の構成は、上述の第1の実施形態と同様である。
【0193】
本変形例における鉗子レバー10Dのレバー部材21Dは、図35に示すように、第1の孔O1と第2の孔O2とを、略円弧状に繋いで形成された形態の軸貫通孔21Ccを有する点において、上述の第2の実施形態と同様である。この軸貫通孔21Ccは、フレーム軸36を挿通し、鉗子レバー10Dを第1の回動軸Ax周りに回動自在に保持する軸受として機能する。
【0194】
そして、レバー部材21Dは、リンク本体35に対して複数の段付きビス(ガイド用段付きビス38a1,38a2及び第2段付きビス38b1,38b2)を用いて、図37図38の矢印Mに沿う方向において移動自在に固定されている。同時に、レバー部材21D及びリンク本体35は、フレーム軸36に対して、図36の矢印R方向に回動自在に構成されている。
【0195】
詳述すると、レバー部材21Dは、上述の第2の実施形態と同形態の貫通ビス溝21Cdを2本有している。これら2本の貫通ビス溝21Cdのそれぞれには、図36に示すように、ガイド用段付きビス38a1,38a2が挿通されている。そして、これらガイド用段付きビス38a1,38a2は、リンク本体35の各対応するビス孔35cに螺合している。これにより、レバー部材21Dはリンク本体35の所定の位置に固定されている。この場合において、ガイド用段付きビス38a1,38a2は、レバー部材21Dが第1の状態と第2の状態との間で移動する際のガイド軸として機能する。
【0196】
レバー部材21Dは、さらに、2つの第2貫通ビス溝21Daを有している。これら2つの第2貫通ビス溝21Daは、軸貫通孔21Ccの内周縁部の所定の位置の一部(2箇所)を切り欠いた形態に形成されている。ここで、軸貫通孔21Ccの内周縁部の所定の位置としては、上記2本の貫通ビス溝21Cdが設けられている領域とは異なる領域である。
【0197】
具体的には、2つの第2貫通ビス溝21Daのうちの1つは、レバー部材21Dが第1の状態(図37参照)にあるときに、第2段付きビス38b1が配置される位置に形成されている。また、2つの第2貫通ビス溝21Daのうちの別の1つは、レバー部材21Dが第2の状態(図38参照)にあるときに、第2段付きビス38b2が配置される位置に形成されている。レバー部材21Dについて、その他の構成は、上述の第2の実施形態と同様である。また、図36において、リンク本体35とフレーム軸36の構成は、上述の第2の実施形態と同様である。
【0198】
このように構成される本変形例の鉗子レバー10Dの作用は、次の通りである。まず、鉗子レバー10Dは、通常使用状態においては、操作部3に対して、図36図37に示すように組み込まれる。
【0199】
即ち、通常使用状態(第1の状態)において、鉗子レバー10D(レバー部材21D)は、図36図37に示すように、第1の孔O1の中心軸Z1を第1の回動軸Axに一致させた状態として、リンク本体35及びフレーム軸36に組み付ける。これにより、鉗子レバー10D(レバー部材21D)は、中心軸Z1において第1の回動軸Ax周り(図36の矢印R方向)に回動自在に保持される。
【0200】
このとき、レバー部材21Dは、2本の貫通ビス溝21Cdの一方の各端部において、リンク本体35に対してガイド用段付きビス38a1,38a2にてビス止めされる。同時に、2つの第2貫通ビス溝21Daのうちの1つが、第2段付きビス38b1にて、リンク本体35に対してビス止めされる。
【0201】
つまり、このとき、レバー部材21Dとリンク本体35とは、2本の貫通ビス溝21Cd及び1つの第2貫通ビス溝21Daの3点にて、ガイド用段付きビス38a1,38a2及び第2段付きビス38b1を用いてクリアランスを設けて締結されている。これにより、レバー部材21Dはリンク本体35に対して、図36に示す矢印R方向及び図37、38に示す矢印M方向(M1,M2方向)に常に動かせるように構成されている。
【0202】
図37に示す第1の状態にあるとき、レバー部材21Dが、操作入力を受けて図37に示す矢印R1方向に回転すると、レバー部材21Dは、ガイド用段付きビス38a1が内側の貫通ビス溝21Cdの一方の端部に作用すると同時に、第2段付きビス38b1が1つの第2貫通ビス溝21Daに作用してリンク本体35を回転させる。
【0203】
一方、上述の状態(図37の第1の状態)において、鉗子レバー10D(レバー部材21D)を、図37の矢印M1方向に引っ張る。すると、鉗子レバー10D(レバー部材21D)は、図38に示すように、第2の孔O2の中心軸Z2が第1の回動軸Axに一致する状態になる(第2の状態)。
【0204】
このとき、レバー部材21Dが、操作入力を受けて図38に示す矢印R1方向に回転すると、レバー部材21Dは、ガイド用段付きビス38a2が外側の貫通ビス溝21Cdの他方の端部に作用すると同時に、第2段付きビス38b2が別の1つの第2貫通ビス溝21Daに作用してリンク本体35を回転させる。
【0205】
以上説明したように、上記第2の実施形態の変形例によれば、レバー部材21Dをリンク本体35に対して固定するのに際し、2本の貫通ビス溝21Cdに加えて、第2貫通ビス溝21Daを設け、ガイド用段付きビス38a1,38a2と第2段付きビス38b1,38b2によって所定の方向に移動自在に固定する構成とした。
【0206】
この構成により、レバー部材21Dを第1の状態(図37)と第2の状態(図38)との間で移動自在に構成すると共に、レバー部材21の第1,第2の各状態における矢印R方向への回転をより安定させて行うことができる。つまり、レバー部材21Dを第1の状態で回転させる際には、ガイド用段付きビス38a1または38a2と第2段付きビス38b1の二点にて支持とすることができる。また、レバー部材21Dを第2の状態で回転させる際には、ガイド用段付きビス38a1または38a2と第2段付きビス38b2の二点にて支持とすることができる。したがって、第2の実施形態の構成に比べて、より安定したレバー部材21Dの回転を確保することができる。
【0207】
なお、第2の実施形態において鉗子レバー10Cの指当て部材の構成は、上述の第1の実施形態と同様であるとした。しかしながら、指当て部材の構成は、上述の第1の実施形態とは異なる構成であってもよい。例えば、指当て部材は、鉗子レバー10Cに着脱自在な構成とは異なり、鉗子レバー10Cに固定される構成としてもよい。
【0208】
なお、上述の第2の実施形態及びその変形例においては、鉗子レバー10Cのレバー部材21Cにおける軸貫通孔21Ccは、仮想的な孔である2つの孔(第1の孔O1と第2の孔O2)を円弧状に繋いで形成される好ましい構成を例示している。
【0209】
しかしながら、レバー部材の軸貫通孔の形態は、上述の例示に限られることはない。軸貫通孔の形態としては、仮想的な孔である2つの孔(第1の孔O1と第2の孔O2)について、例えば、直線で繋いで形成される形態(図39の第2変形例を参照)としてもよいし、又は2つの孔(O1,O2)を繋ぐ直線の中途に段差を設けた形態の段付き構造として、2つの孔(O1,O2)を繋ぐ形態(図40の第3変形例を参照)としてもよい。
【0210】
ここで、本発明の第2の実施形態の第2変形例について、図39を用いて以下に説明する。図39は、本発明の第2の実施形態の内視鏡における鉗子レバーの第2変形例を示し、レバー部材のみを取り出して示す斜視図である。
【0211】
当該第2変形例の基本的な構成は、上述の第2の実施形態と略同様である。当該第2変形例においては、鉗子レバーのレバー部材における軸貫通孔の形状が若干異なる。したがって、以下の説明においては、上述の第2の実施形態と同じ構成部材は、同じ符号を付して、その説明を省略し、異なる部分のみ以下に詳述する。
【0212】
当該第2変形例における鉗子レバー10Eは、レバー部材21Eと、不図示の指当て部材とによって構成されている。
【0213】
レバー部材21Eは、図39に示すように、第1の孔O1と第2の孔O2(仮想的な孔)とを、略直線状に繋いで形成された形態の軸貫通孔21Ecを有する。この軸貫通孔21Ecは、フレーム軸36を挿通し、鉗子レバー10Eを第1の回動軸Ax周りに回動自在に保持する軸受として機能する。
【0214】
レバー部材21Eは、軸貫通孔21Ecの直線部に沿う貫通ビス溝21Edを2本有している。これら2本の貫通ビス溝21Edには、不図示のガイド用段付きビスが挿通される。これにより、レバー部材21Eはリンク本体35の所定の位置に固定されると共に、レバー部材21Eは第1の状態と第2の状態との間で、貫通ビス溝21Edに沿って移動する。
【0215】
このように構成される本変形例の鉗子レバー10Eの作用は、上述の第2の実施形態と略同様である。
【0216】
このように構成される当該第2変形例によれば、上述の第2の実施形態及びその各変形例と略同様の効果を得ることができる。また、当該第2変形例によれば、軸貫通孔21Ecの形状をより単純化することができるので、部品加工の簡略化に寄与することができる。
【0217】
次に、本発明の第2の実施形態の第3変形例について、図40を用いて以下に説明する。図40は、本発明の第2の実施形態の内視鏡における鉗子レバーの第3変形例を示し、レバー部材のみを取り出して示す斜視図である。
【0218】
当該第3変形例の基本的な構成は、上述の第2の実施形態及び第2変形例と略同様である。当該第3変形例においては、鉗子レバーのレバー部材における軸貫通孔の形状が若干異なる。したがって、以下の説明においては、上述の第2の実施形態と同じ構成部材は、同じ符号を付して、その説明を省略し、異なる部分のみ以下に詳述する。
【0219】
当該第3変形例における鉗子レバー10Fは、レバー部材21Fと、不図示の指当て部材とによって構成されている。
【0220】
レバー部材21Fは、図40に示すように、第1の孔O1と第2の孔O2(仮想的な孔)とを、略直線状に繋いで形成し、さらに当該直線上の中途位置に段差を設けた形態のいわゆる段付き構造に形成した軸貫通孔21Fcを有する。この軸貫通孔21Fcは、フレーム軸36を挿通し、鉗子レバー10Fを第1の回動軸Ax周りに回動自在に保持する軸受として機能する。
【0221】
レバー部材21Fは、軸貫通孔21Fcの中途に段差を有する直線に沿って形成される貫通ビス溝21Fdを2本有している。これら2本の貫通ビス溝21Fdには、不図示のガイド用段付きビスが挿通される。これにより、レバー部材21Fはリンク本体35の所定の位置に固定されると共に、レバー部材21Fは第1の状態と第2の状態との間で、貫通ビス溝21Fdに沿って移動する。
【0222】
このように構成される本変形例の鉗子レバー10Fの作用は、上述の第2の実施形態と略同様である。
【0223】
このように構成される当該第3変形例によれば、上述の第2の実施形態及びその各変形例と略同様の効果を得ることができる。また、当該第3変形例によれば、軸貫通孔21Fcの中途に段差を設けたことにより、例えば誤操作などが発生しても、容易に反対側の孔部へ移動することが抑止される。したがって、操作者の意図に反して、第1の状態と第2の状態との間で移動することがなく、確実な操作を行うことができる。このことから、切り換え操作性の向上に寄与することができる。
【0224】
ところで、上述の第1,第2の各実施形態においては、内視鏡1の挿入部2の先端部5に配設される可動部材として、鉗子起上台54を含む構成例を例示している。しかしながら、可動部材としては、この例示に限られることはない。先端部5に配設される可動部材は、操作部3に設けられる操作レバーの操作力を受けて可動する構成ユニットであればよい。可動部材の異なる構成例としては、例えば、撮像光学系の一部を光軸に沿う方向であって、挿入軸に沿う方向に移動させる機構を備えた撮像装置を適用することができる。
【0225】
図41は、本発明の内視鏡の先端部に配設される可動部材の変形例を示す図である。この変形例においては、可動部材としての撮像装置を示している。図41は、当該撮像装置の構成を断面によって示す図である。
【0226】
図41に示すように、撮像装置60は、撮像光学系61と、撮像ユニット62等によって構成されている。ここで、撮像装置60自体の構成については、従来一般的な構成の撮像装置と略同様である。
【0227】
即ち、撮像光学系61は、被検体からの光が入射する少なくとも1つの光学素子を含む構成ユニットである。例えば、撮像光学系61は、図41に示すように、複数の光学素子と、これらの光学素子をそれぞれ保持する複数の保持部材等によって構成されている。
【0228】
撮像ユニット62は、撮像素子と、当該撮像素子を駆動する駆動回路及び当該撮像素子からの出力信号を受けて所定の信号処理などを行う電子回路からなる。
【0229】
このような構成の撮像装置60において、撮像光学系61を構成する複数の光学素子のうちの一部の光学素子を保持する保持部材61aは、撮像光学系61の光軸Oに沿う方向に平行な方向(図41の矢印X参照)に沿って進退自在に構成されている。そのために、当該保持部材61aは、牽引ワイヤ31の先端が連結されている連結部材31aと一体に接続されている。
【0230】
ここで、牽引ワイヤ31は、挿入部,操作部の内部に挿通配置されており、基端が操作部内の駆動機構に連結されている。この場合において、挿入部,操作部,駆動機構等の構成は、上述の第1,第2の実施形態と同様である(図1図2図12等参照)。
【0231】
この構成により、牽引ワイヤ31は、操作部に設けられる操作レバーの操作入力を受けて挿入部の長軸方向に進退する。この場合において、操作レバーは、上述の第1,第2の実施形態における鉗子レバーに相当する。そして、操作レバーの構成は、上述の第1,第2の実施形態における鉗子レバーと同様である。
【0232】
したがって、可動部材として撮像装置60を適用する構成例においては、挿入部の長軸方向が第1の方向に相当する。また、可動部材を撮像装置60とする構成例の場合には、操作レバーの指当て部材が、操作部のストッパ(第1壁面3xd,3xu)に当接することによって、保持部材61aが基端側又は先端側のいずれかに移動することを抑止する。このときの操作レバーの位置が第1の位置に相当する。
【0233】
このように、可動部材として撮像装置60を適用する構成例であっても、上述の第1,第2の実施形態及び上述の各変形例と同様の作用及び効果を得ることができる。
【0234】
なお、本発明の構成は、内視鏡の構成部材のうち、少なくとも一部の構成部材(例えば牽引ワイヤ31等)を単回使用部材として単回使用する毎に交換して利用する形態のいわゆるシングルユース内視鏡に対して適用することができる。また、シングルユース内視鏡に限らず、例えば、内視鏡を使用する都度、例えば滅菌消毒処理等を施した上で再利用する形態のいわゆるリユース内視鏡に対しても適用することができる。
【0235】
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、発明の主旨を逸脱しない範囲内において種々の変形や応用を実施することができることは勿論である。さらに、上記各実施形態には、種々の段階の発明が含まれており、開示される複数の構成要件における適宜な組み合わせによって、種々の発明が抽出され得る。例えば、上記各実施形態の一つに示される全構成要件から幾つかの構成要件が削除されても、発明が解決しようとする課題が解決でき、発明の効果が得られる場合には、この構成要件が削除された構成が発明として抽出され得る。さらに、異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。この発明は、添付のクレームによって限定される以外にはそれの特定の実施態様によって制約されない。
【符号の説明】
【0236】
1…内視鏡
2…挿入部
3…操作部
3Bxd,3Bxu…ストッパブロック
3f…フレーム
3xd,3xu…ストッパ(第1壁面)
4…ユニバーサルケーブル
5…先端部
6…湾曲部
7…可撓管部
8…処置具挿入口
8a…鉗子栓
9…湾曲操作ノブ
10,10A,10B,10C,10D,10E,10F…鉗子レバー
11…湾曲固定レバー
12…操作部材
13…ライトガイドコネクタ
14…スコープコネクタ
15…ライトガイドバンドル
16…信号線
21,21C,21D,21E,21F…レバー部材
21a…本体部
21b…操作腕部
21c…軸挿通孔
21d…ビス孔
21e…被係止孔
21ee…貫通溝
21f…段差部
21g…カバー取付部
21Cc,21Ec,21Fc…軸貫通孔
21Cd,21Ed,21Fd…貫通ビス溝
21Cx…連結円弧部
22,22A,22B…指当て部材
22a…本体部
22b,22Ab,22Bb…突起
22c…治具挿入溝
22d…レバー挿入口
22e…レバー係止部
22ea…自由端部近傍領域
22Af…ヒンジ
22Bx,22By…突起部材
30…駆動機構
31…牽引ワイヤ
31a…連結部材
32…連結部材
32a…突出部
33…係止板
33a…基端側端面
34…棒体
35…リンク本体
35a…貫通孔
35b…リンク部
35c…ビス孔
36…フレーム軸
36a…切欠
37…連結部材ガイド
38…段付きビス
38a1,38a2…段付きビス
40…リムーバル治具
41…治具本体部
42…ニードル部
42a…先端傾斜面
43…マウント部
50…本体
50a,50b…先端開口
51…照明ユニット
52…撮像ユニット
53…送気送水ノズル
54…鉗子起上台
60…撮像装置
61…撮像光学系
61a…保持部材
62…撮像ユニット
Ax…第1の回動軸
Ax2…第2の回動軸
F…挿入軸
O…光軸
O1…第1の孔
O2…第2の孔
Z1,Z2…中心軸
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24
図25
図26
図27
図28
図29
図30
図31
図32
図33
図34
図35
図36
図37
図38
図39
図40
図41