(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024114587
(43)【公開日】2024-08-23
(54)【発明の名称】洗浄用組成物
(51)【国際特許分類】
A61K 8/87 20060101AFI20240816BHJP
A61Q 19/10 20060101ALI20240816BHJP
A61K 8/37 20060101ALI20240816BHJP
A61K 8/31 20060101ALI20240816BHJP
A61Q 1/14 20060101ALI20240816BHJP
A61K 8/39 20060101ALI20240816BHJP
C08L 75/04 20060101ALI20240816BHJP
C08L 91/00 20060101ALI20240816BHJP
C08K 5/10 20060101ALI20240816BHJP
C08L 83/04 20060101ALI20240816BHJP
C11D 1/66 20060101ALI20240816BHJP
C11D 3/20 20060101ALI20240816BHJP
【FI】
A61K8/87
A61Q19/10
A61K8/37
A61K8/31
A61Q1/14
A61K8/39
C08L75/04
C08L91/00
C08K5/10
C08L83/04
C11D1/66
C11D3/20
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023182962
(22)【出願日】2023-10-25
(31)【優先権主張番号】P 2023018841
(32)【優先日】2023-02-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000001959
【氏名又は名称】株式会社 資生堂
(74)【代理人】
【識別番号】100120031
【弁理士】
【氏名又は名称】宮嶋 学
(74)【代理人】
【識別番号】100120617
【弁理士】
【氏名又は名称】浅野 真理
(74)【代理人】
【識別番号】100187159
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 英明
(74)【代理人】
【識別番号】100152423
【弁理士】
【氏名又は名称】小島 一真
(72)【発明者】
【氏名】牧野 佑亮
【テーマコード(参考)】
4C083
4H003
4J002
【Fターム(参考)】
4C083AA162
4C083AB051
4C083AC011
4C083AC012
4C083AC092
4C083AC122
4C083AC232
4C083AC262
4C083AC331
4C083AC352
4C083AC392
4C083AC422
4C083AC442
4C083AD012
4C083AD071
4C083AD072
4C083AD262
4C083BB04
4C083BB13
4C083CC23
4C083DD01
4C083DD41
4C083EE03
4H003BA12
4H003DA02
4H003EB05
4H003EB09
4H003EB29
4H003EB34
4H003EB38
4H003EB42
4H003ED02
4H003FA04
4H003FA10
4H003FA30
4J002AE051
4J002CH052
4J002CK023
4J002CP031
4J002CP041
4J002EA016
4J002EC066
4J002EF056
4J002EH036
4J002EH046
4J002EH056
4J002FD201
4J002FD202
4J002FD203
4J002FD206
4J002FD312
4J002FD316
4J002GC00
4J002HA07
(57)【要約】
【課題】高い洗浄力を有しながら、外観および使用性に優れた洗浄用組成物の提供。
【解決手段】洗浄用組成物であって、前記洗浄用組成物の総質量を基準として、
(A)50~85質量%の油と、
(B)5~45質量%のノニオン界面活性剤と、
(C)0.03~10質量%の、ウレタン結合を有する油性増粘剤と、
(D)0.05~5質量%の水と
を含んでなり、
30℃における粘度が100~100,000mPa・sである、洗浄用組成物。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
洗浄用組成物であって、前記洗浄用組成物の総質量を基準として、
(A)50~85質量%の油と、
(B)5~45質量%のノニオン界面活性剤と、
(C)0.03~10質量%の、ウレタン結合を有する化合物を含む油性増粘剤と、
(D)0.05~5質量%の水と
を含んでなり、
30℃における粘度が100~100,000mPa・sである、洗浄用組成物。
【請求項2】
(C)成分におけるウレタン結合を有する化合物が、炭素数12~30の、飽和炭化水素基または不飽和炭化水素基を有する、請求項1に記載の洗浄用組成物。
【請求項3】
(C)成分におけるウレタン結合を有する化合物が、ポリウレタン-79である、請求項1また2に記載の洗浄用組成物。
【請求項4】
(C)成分が、さらに炭素数6~20のオレフィンの重合体の水素添加物を含む、請求項1に記載の洗浄用組成物。
【請求項5】
(A)成分が、(A)成分の総質量を基準として、30~100質量%の極性油を含んでなる、請求項1または2に記載の洗浄用組成物。
【請求項6】
前記極性油がエステル油である、請求項5に記載の洗浄用組成物。
【請求項7】
(A)成分が、(A)成分の総質量を基準として70質量%以下の非極性油を含んでなる、請求項1または2に記載の洗浄用組成物。
【請求項8】
前記非極性油が炭化水素油である、請求項7に記載の洗浄用組成物。
【請求項9】
(B)成分のHLBが8~14である、請求項1または2に記載の洗浄用組成物。
【請求項10】
透明である、請求項1また2に記載の洗浄用組成物。
【請求項11】
クレンジングオイルである、請求項1または2に記載の洗浄用組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、比較的高粘度であり、透明性の高い洗浄用組成物に関するものである。
【背景技術】
【0002】
化粧に用いられるメイクアップ化粧料には、耐水性や耐久性が求められ、それらが改良された製品が開発されている。一方で、使用後、通常の水などによる洗浄では十分に洗浄ができないことがあるため、クレンジングオイルなどの洗浄用組成物が用いられることが多い。
【0003】
このような洗浄用組成物には、優れた洗浄力と同時に優れた使用性も求められる。例えば、皮膚に適用した際に、たれ落ちがしにくくなることが求められる。このようなニーズに応えるために、比較的粘度の高い洗浄用組成物が開発されている。しかしながら、本発明者らの検討によれば、それらの製品は十分な粘度を有しているものの、組成物が白濁しているものがほとんどであり、透明な外観を保ちながら増粘している製品は数が少ない。このため、洗浄用組成物において、高い粘度と高い透明性とを両立する技術、および高い粘度と高い透明性を兼ね備えた洗浄用組成物が求められていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【0005】
本発明者によれば、クレンジングオイルなどとして用いることができる、高い粘度と高い透明性を兼ね備えた洗浄用組成物が提供される。
【0006】
本発明によれば、以下の発明が提供される。
[1]
洗浄用組成物であって、前記洗浄用組成物の総質量を基準として、
(A)50~85質量%の油と、
(B)5~45質量%のノニオン界面活性剤と、
(C)0.03~10質量%の、ウレタン結合を有する化合物を含む油性増粘剤と、
(D)0.05~5質量%の水と
を含んでなり、
30℃における粘度が100~100,000mPa・sである、洗浄用組成物。
[2]
(C)成分におけるウレタン結合を有する化合物が、炭素数12~30の、飽和炭化水素基または不飽和炭化水素基を有する、[1]に記載の洗浄用組成物。
[3]
(C)成分におけるウレタン結合を有する化合物が、ポリウレタン-79である、[1]また[2]に記載の洗浄用組成物。
[4]
請求項1の(C)成分が、さらに炭素数6~20のオレフィンの重合体の水素添加物を含む、[1]に記載の洗浄用組成物。
[5]
(A)成分が、(A)成分の総質量を基準として、30~100質量%の極性油を含んでなる、[1]~[4]のいずれかに記載の洗浄用組成物。
[6]
前記極性油がエステル油である、[5]に記載の洗浄用組成物。
[7]
(A)成分が、(A)成分の総質量を基準として70質量%以下の非極性油を含んでなる、[1]~[6]のいずれかに記載の洗浄用組成物。
[8]
前記非極性油が炭化水素油である、[7]に記載の洗浄用組成物。
[9]
(B)成分のHLBが8~14である、[1]~[8]のいずれかに記載の洗浄用組成物。
[10]
透明である、[1]~[9]のいずれかに記載の洗浄用組成物。
[11]
クレンジングオイルである、[1]~[10]のいずれかに記載の洗浄用組成物。
【0007】
本発明によれば、高い洗浄力を有しながら、透明性が高く外観に優れ、かつ使用時には適切な粘度によってタレ落ちなどがない、使用性に優れた洗浄用組成物が提供できる。
【発明の具体的説明】
【0008】
[洗浄用組成物]
本発明による洗浄用組成物は、
(A)油と、
(B)ノニオン界面活性剤と、
(C)ウレタン結合を有する油性増粘剤と、
(D)水と
必須成分として含むものである。そして比較的高い粘度を有しており、100~100,000mPa・sであることが必要であり、200~80,000mPa・sであることが好ましく、1,000~50,000mPa・sであることがより好ましい。ここで粘度はB型粘度計を用いて測定したものである。本発明による洗浄用組成物は、そのような高い粘度を有することによって、使用時のタレ落ちなどが軽減されて優れた使用性を実現できる。また、本発明による洗浄用組成物は、上記の各成分を適切な含有率で含むことによって、優れた洗浄力を発揮するとともに、濁りの少ない、高い透明性を実現している。以下、各成分について説明する。
[(A)油]
本発明による洗浄用組成物は油(以下、(A)成分ということがある)を含む。本発明において用いられる油は、皮膚に適用した化粧料や皮膚に付着した汚れなどに相溶性を有し、また人体に対して無害なものであれば特に限定されない。
【0009】
(A)成分は、極性油と非極性油とに大別できて、本発明にはいずれを用いることもできる。
【0010】
極性油分としては、例えば、エステル油、高級脂肪酸、高級脂肪族アルコール等が挙げられる。
【0011】
エステル油としては、例えば、オクタン酸オクチル、ノナン酸ノニル、オクタン酸セチル、ミリスチン酸イソプロピル、ミリスチン酸オクチルドデシル、パルミチン酸イソプロピル、パルミチン酸エチルヘキシル、ステアリン酸ブチル、ラウリン酸ヘキシル、ミリスチン酸ミリスチル、オレイン酸デシル、ジメチルオクタン酸ヘキシルデシル、乳酸セチル、乳酸ミリスチル、酢酸ラノリン、ステアリン酸イソセチル、イソステアリン酸イソセチル、12-ヒドロキシステアリン酸コレステリル、ジ-2-エチルヘキサン酸エチレングリコール、ジペンタエリスリトール脂肪酸エステル、モノイソステアリン酸N-アルキルグリコール、ジカプリン酸ネオペンチルグリコール、ピバリン酸トリプロピレングリコール、ジピバリン酸PPG-3、リンゴ酸ジイソステアリル、ジ-2-ヘプチルウンデカン酸グリセリル、ジイソステアリン酸グリセリル、トリ-2-エチルヘキサン酸トリメチロールプロパン、トリイソステアリン酸トリメチロールプロパン、テトラ-2-エチルヘキサン酸ペンタエリスリトール、トリ-2-エチルヘキサン酸グリセリル(トリエチルヘキサノイン)、トリオクタン酸グリセリル、トリイソパルミチン酸グリセリル、トリイソステアリン酸トリメチロールプロパン、セチル2-エチルヘキサノエート-2-エチルヘキシルパルミテート、トリミリスチン酸グリセリン、トリ-2-ヘプチルウンデカン酸グリセライド、ヒマシ油脂肪酸メチルエステル、オレイン酸オレイル、アセトグリセライド、パルミチン酸2-ヘプチルウンデシル、アジピン酸ジイソブチル、ラウロイルグルタミン酸ジ(フィトステリル/オクチルドデシル)、アジピン酸ジ-2-ヘプチルウンデシル、エチルラウレート、セバシン酸ジ-2-エチルヘキシル、ミリスチン酸2-ヘキシルデシル、パルミチン酸2-ヘキシルデシル、アジピン酸2-ヘキシルデシル、セバシン酸ジイソプロピル、コハク酸2-エチルヘキシル、クエン酸トリエチル、エチルヘキサン酸セチル、マカデミアナッツ脂肪酸フィトステリル、酢酸トコフェロール等が挙げられる。
【0012】
高級脂肪酸としては、例えば、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘン酸、オレイン酸、ウンデシレン酸、トール酸、イソステアリン酸、リノール酸、リノレイン酸、エイコサペンタエン酸(EPA)、ドコサヘキサエン酸(DHA)等が挙げられる。
【0013】
高級アルコールとしては、例えば、直鎖アルコール(例えば、ラウリルアルコール、セチルアルコール、ステアリルアルコール、ベヘニルアルコール、ミリスチルアルコール、オレイルアルコール、セトステアリルアルコール等)、分枝鎖アルコール(例えば、ラノリンアルコール、コレステロール、フィトステロール、ヘキシルドデカノール、イソステアリルアルコール、オクチルドデカノール等)等が挙げられる。
【0014】
非極性油分としては、例えば、炭化水素油、シリコーン油等が挙げられる。
【0015】
炭化水素油としては、パラフィン、スクワラン、スクワレン、イソヘキサデカン、イソドデカン、水添ポリデセン、水添イソポリブテン、ワセリン等が挙げられる。
【0016】
シリコーン油としては、ジメチコン、メチルフェニルポリシロキサン、カプリリルメチコン、ジフェニルシロキシフェニルトリメチコン、メチルハイドロジェンポリシロキサン、トリメチルシロキシケイ酸等の鎖状シリコーン油、オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、ドデカメチルシクロヘキサシロキサン等の環状シリコーン油等が挙げられる。
【0017】
(A)成分の含有率は、洗浄用組成物の総質量を基準として、50~85質量%であることが必要であり、60~70質量%であることが好ましい。本発明による洗浄用組成物はこのような含有率で(A)成分を含むことで高い洗浄力を発揮できる。
【0018】
また、本発明に用いられる(A)成分は、極性油または非極性油のいずれであってもよく、またそれらの混合物を用いることもできる。また、極性油としてはエステル油が好ましく、非極性油としては炭化水素油が好ましく用いられる。
【0019】
(A)成分は極性油を含んでいることが好ましい。具体的には(A)成分の総質量を基準として、好ましくは30~100質量%、より好ましくは50~90質量%の極性油を含む。一方で、(A)成分に含まれる非極性油の含有率は、(A)成分の総質量を基準として、好ましくは70質量%以下、より好ましくは50質量%以下、特に好ましくは20質量%以下である。
【0020】
[(B)ノニオン界面活性剤]
本発明による洗浄用組成物は、ノニオン界面活性剤(以下、(B)成分ということがある)を含む。本発明において、ノニオン界面活性剤は従来知られているものの中から任意に選択して用いることができるが、例えばポリオキシエチレンモノ脂肪酸グリセリル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、およびポリオキシエチレンアルキルエーテルなどを用いることができる。
【0021】
高い透明性を実現するために、ノニオン界面活性剤のHLB(Hydrophile-Lipophile Balance)は8~14であることが好ましく、10~13であることがより好ましい。ここでHLBはグリフィン法によって求められるものである。
【0022】
好ましいノニオン界面活性剤の具体的な例は以下のものである。
イソステアリン酸PEG-5グリセリル(HLB=8)、
イソステアリン酸PEG-6グリセリル(HLB=8)、
ステアリン酸PEG-5グリセリル(HLB=9)、
イソステアリン酸PEG-8グリセリル(HLB=10)、
イソステアリン酸PEG-10グリセリル(HLB=10)、
ステアリン酸PEG-10グリセリル(HLB=11)、
イソステアリン酸PEG-15グリセリル(HLB=12)、
ステアリン酸PEG-15グリセリル(HLB=13)、
イソステアリン酸PEG-20グリセリル(HLB=13)、
ステアリン酸PEG-20グリセリル(HLB=14)、
ヤシ油脂肪酸PEG-7グリセリル(HLB=13)
【0023】
本発明において(B)成分の含有率は、洗浄用組成物の総質量を基準として、5~45質量%であることが必要であり、10~30質量%であることが好ましい。このような含有率で(B)成分を含むことで、本発明による洗浄用組成物は高い洗浄力と高い透明性とを実現できる。
【0024】
[(C)増粘剤]
本発明による洗浄用組成物は、その構造中にウレタン結合を有する油性増粘剤(以下(C)成分ということがある)を含む。この油性増粘剤は、油溶性、具体的には(A)成分に溶解可能であり、水または水性溶媒には不溶性または難溶性のものである。そして、その構造中にウレタン結合を有することを特徴としている。ウレタン結合は、-NR-C(=O)-O-(ここで、Rは水素または炭化水素基などである)で表される構造であり、カルボン酸とアミノ化合物との反応や、イソシアネートとアルコールとの反応などによって形成されるものである。
【0025】
(C)成分は油溶性であるが、これは(C)成分が構造中に親油性基を含んでいたり、(C)成分を親油性にする油溶性分を含んでいたりすることによってもたらされる特徴である。
【0026】
(C)成分が構造中に親油性基を含む場合、親油性基は例えば炭化水素基であることができ、高級脂肪酸や高級アルコールを含む炭化水素基であることができ、炭素数が12~30の飽和または不飽和炭化水素基であることがより好ましい。このような(C)成分は、油溶性であり、かつウレタン結合を有するものであれば特に限定されないが、例えばポリウレタン-79や(HDI/トリメチロールヘキシルラクトン)クロスポリマーなどが挙げられる。ここで、ポリウレタン-79は、水素添加したポリブタンジオール、1,6-ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、水添ジリノレイルアルコール及び1,4-ブタンジオールの反応によって得られる共重合体の両末端をステアリルアルコールでブロックしたものである。
【0027】
(C)成分は、例えばウレタン結合を有する化合物と油分との混合物として配合することもできる。このとき、例えば、ウレタン結合を有する化合物としてポリウレタン-79などの炭素数が比較的多い親油性基を含むものを用いることができる。一方で、ポリウレタン-79のような、炭素数が比較的多い親油性基を含まないウレタン結合を有する化合物に対して、油分を組み合わせて親油性を高めた(C)成分を用いることもできる。このような場合には、として含むものに、油分を組み合わせて、(C)成分の親油性を向上させることもできる。このような場合には、炭化水素などの油分を(C)成分に配合することができる。具体的には、ウレタン結合を有する化合物として、6~7モルのヘキシルラクトンでエステル化したトリメチロールプロパンとヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)の反応で得られる架橋縮合重合体である、(HDI/トリメチロールへキシルラクトン)クロスポリマーを用い、それにポリオレフィンの水素添加物、例えば炭素数6~20のオレフィンの重合体に水素添加したものを配合することができる。このようなウレタン結合を有する化合物と油分との混合物は、その混合物の総質量を基準として(C)成分の含有率が、例えば1%~90%であるものが好ましく用いられる。
【0028】
本発明において(C)成分の含有率は、洗浄用組成物の総質量を基準として、0.03~10質量%であることが必要であり、0.3~3質量%であることが好ましい。(C)成分の含有率を高くすると、粘度が高くなって使用性が改善される傾向にあるが、過度に含有率を高くすると、粘度が高くなりすぎるほか、組成物の保存安定性が損なわれることがあるので注意が必要である。
【0029】
[(D)水]
本発明による洗浄用組成物は、水(以下(D)成分ということがある)を含む。水としては、化粧品、医薬部外品等に使用される水を使用することができ、例えば、精製水、イオン交換水、水道水等を使用することができる。本発明による洗浄用組成物は、油を高い含有率で含む油性の組成物であるが、少量の水を含むことが必要である。水を含まない場合、また水の含有率が高い場合には透明性が損なわれて白濁する傾向にある。
【0030】
(D)成分の含有率は、本発明による洗浄用組成物の総質量に対して、0.05~5質量%であることが必要であり、0.1~3質量%であることが好ましい。
【0031】
[その他の成分]
本発明の洗浄用組成物は、上記成分に加えて、目的に応じて本発明の効果を損なわない範囲でその他の任意成分を含むことができる。そのような任意成分としては、安定化剤、例えば防腐剤、酸化防止剤、キレート剤、pH調整剤など、(B)成分以外の界面活性剤、薬剤(例えばビタミンC類、ビタミンE類、アミノ酸類、生薬、抗炎症剤、殺菌剤等)、ラスター剤、紫外線吸収剤、色素、香料、またはタンパク質誘導体など、洗浄用組成物に一般に配合される成分が挙げられる。
【0032】
本発明による洗浄用組成物は、洗浄に用いられるものであるが、特に皮膚に適用した化粧料等を除去するためのクレンジングオイルとして用いることが好適である。
【実施例0033】
以下の例に基づいて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの例に限定されるものではない。含有率は特記しない限り、総質量に対する質量%で示す。
【0034】
[実施例101および比較例101~104]
表1に示される配合で、実施例101および比較例101~104の組成物を調製した。これらの組成物について、以下の基準で増粘性および透明性を評価した。得られた結果も表1に併せて示す。
【0035】
増粘性
A: 効率よく増粘することが認められた
B: わずかに増粘することが認められた
C: 増粘が認められなかった
【0036】
透明性
A: 組成物が透明であった
C: 組成物が不透明であった
N/A: 分離して評価不能であった
【0037】
【表1】
*: Oilkemia 5S polymer(Lubrizol社製)
【0038】
油性増粘剤としてポリウレタン-79を含む実施例101だけが増粘性と透明性とを両立できることがわかった。
【0039】
[実施例201~203および比較例201]
表2に示される配合で、実施例201~203および比較例201の組成物を調製した。これらの組成物について、以下の基準で粘度および外観を評価した。得られた結果も表2に併せて示す。
【0040】
粘度
各組成物の調製後、0℃、RT(室温)、37℃、50で4週間保存した後の30℃における粘度を測定した。単位はmPa・sである。測定にはB型粘度計を用いた。なお、表中、括弧内の数値はそれぞれの保存温度における粘度を示す。
【0041】
外観
外観を目視観察して、油分の離しょうを観察し、A(透明性が高く問題なし)~D(少し離しょうされた)のランクで評価した。
【0042】
【表2】
*: Oilkemia 5S polymer(Lubrizol社製)
【0043】
[実施例301~303]
表3に示される配合で、実施例301~303の組成物を調製した。これらの組成物について、実施例201と同様の方法で粘度を評価した。得られた結果も表3に併せて示す。
【0044】
【表3】
*: Oilkemia 5S polymer(Lubrizol社製)、
【0045】
[実施例401~403および比較例401~402]
表4に示される配合で、実施例401~403および比較例401~402の組成物を調製した。これらの組成物について、外観および洗い流しやすさを以下の基準で評価した。得られた結果も表4に併せて示す。
【0046】
外観
A: 透明であった
B: 白濁が認められた
【0047】
洗い流しやすさ
A: 容易に洗い流せた
B: 洗い流すのがやや容易でなかった
【0048】
【表4】
*: Oilkemia 5S polymer(Lubrizol社製)
【0049】
この結果から、水を全く含まないと、外観が劣り、水の含有率が高すぎると、外観が劣り、かつ洗い流しやすさも損なわれることがわかった。
【0050】
[処方例]
以下に本発明の洗浄用組成物として好適な処方例を示す。配合量はすべて質量%である。
【表5】
**:Oilkemia 5S CC polymer