(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024114588
(43)【公開日】2024-08-23
(54)【発明の名称】バックコンタクト型太陽電池およびその製造方法
(51)【国際特許分類】
H01L 31/068 20120101AFI20240816BHJP
【FI】
H01L31/06 300
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023186538
(22)【出願日】2023-10-31
(31)【優先権主張番号】202310096904.8
(32)【優先日】2023-02-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(71)【出願人】
【識別番号】323007401
【氏名又は名称】▲天▼合光能股▲フン▼有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】▲張▼ 倬涵
(72)【発明者】
【氏名】▲陳▼ ▲達▼明
(72)【発明者】
【氏名】胡 ▲ユン▼▲ユン▼
(72)【発明者】
【氏名】柳 ▲偉▼
(72)【発明者】
【氏名】季 ▲ウェン▼▲嫻▼
(72)【発明者】
【氏名】▲楊▼ 睿
(72)【発明者】
【氏名】徐 冠超
(72)【発明者】
【氏名】▲張▼ 学玲
(72)【発明者】
【氏名】▲楊▼ ▲廣▼涛
(72)【発明者】
【氏名】▲陳▼ 奕峰
【テーマコード(参考)】
5F251
【Fターム(参考)】
5F251AA01
5F251BA11
5F251CB11
5F251CB12
5F251DA03
5F251DA10
5F251FA30
5F251GA04
5F251GA14
5F251GA15
5F251HA07
(57)【要約】
【課題】本出願はバックコンタクト型太陽電池及びその製造方法を提供する。
【解決手段】当該バックコンタクト型太陽電池は、対向する正面と裏面とを有するシリコン基板と、シリコン基板の裏面に配置された第1のエミッタ及び第2のエミッタと、第2のエミッタを取り囲む第2の分離領域および第2の分離領域を取り囲む第1の分離領域と、第1の部分が第2のエミッタに接触し、第2の部分が対応する第1のエミッタのシリコン基板から離れた側に設置された第2の電極とを備え、第2の電極の第1の部分が第1の分離領域により取り囲まれ、あるいは、第2の電極の全体が第2のエミッタに接触し、第2の電極の全体が第1の分離領域により取り囲まれている。本出願のバックコンタクト型太陽電池は、第1のエミッタと第2のエミッタとを第1の分離領域と第2の分離領域によって分離することによって、第1のエミッタと第2のエミッタとの接触による太陽電池の基準値を超える漏電を回避する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
バックコンタクト型太陽電池であって、
対向する正面と裏面とを有する第1のドーピングタイプのシリコン基板と、
前記シリコン基板の裏面に設置された第1のエミッタ及び第2のエミッタと、
前記第2のエミッタを取り囲む第2の分離領域および前記第2の分離領域を取り囲む第1の分離領域と、
第1の部分が前記第2のエミッタに接触し、第2の部分が前記第1のエミッタの前記シリコン基板から離れた側に設置された第2の電極と、を備え、
前記第2の電極の第1の部分が前記第1の分離領域により取り囲まれ、または、第2の電極の全体が前記第2のエミッタに接触し、前記第2の電極の全体が前記第1の分離領域により取り囲まれ、
前記第1のエミッタは第2のドーピングタイプであり、前記第2のエミッタは第1のドーピングタイプであることを特徴とするバックコンタクト型太陽電池。
【請求項2】
前記第2の部分の前記第2の電極と前記第1のエミッタとの間に設置された絶縁層をさらに備えることを特徴とする請求項1に記載のバックコンタクト型太陽電池。
【請求項3】
第2の電極の全体が前記第2のエミッタに接触しており、前記第2の電極の全体が前記第1の分離領域により取り囲まれたことを特徴とする請求項1に記載のバックコンタクト型太陽電池。
【請求項4】
前記第1のエミッタは、前記シリコン基板の裏面に順次に設置された拡散層と、トンネル酸化層と、ポリシリコン層とを含み、
前記拡散層は前記第2のドーピングタイプであり、
前記ポリシリコン層は前記第2のドーピングタイプであることを特徴とする請求項1に記載のバックコンタクト型太陽電池。
【請求項5】
前記シリコン基板の正面に順次に設置された第1のパッシベーション層及び反射防止層をさらに備えることを特徴とする請求項1に記載のバックコンタクト型太陽電池。
【請求項6】
前記第1のパッシベーション層は、前記シリコン基板の正面に設置された化学パッシベーション層と、
前記化学パッシベーション層の前記シリコン基板から離れた面に設置されたフィールドパッシベーション層と、を含むことを特徴とする請求項5に記載のバックコンタクト型太陽電池。
【請求項7】
前記シリコン基板の裏面に設置された第2のパッシベーション層をさらに備えることを特徴とする請求項1に記載のバックコンタクト型太陽電池。
【請求項8】
バックコンタクト型太陽電池の製造方法であって、
対向する正面および裏面を有する第1のドーピングタイプのシリコン基板を提供するステップと、
前記シリコン基板の裏面に第1のエミッタ及び第2のエミッタを形成するステップと、
前記シリコン基板の裏面に、前記第2のエミッタを取り囲む第2の分離領域および、前記第2の分離領域を取り囲む第1の分離領域を形成するステップと、
第1の部分が前記第2のエミッタに接触し、第2の部分が対応する前記第1のエミッタの前記シリコン基板から離れた側に設置された第2の電極を形成するステップと、を含み、
前記第2の電極の前記第1の部分が前記第1の分離領域により取り囲まれ、または、前記第2の電極の全体が前記第2のエミッタに接触し、前記第2の電極の全体が前記第1の分離領域により取り囲まれ、
前記第1のエミッタは第2のドーピングタイプであり、
前記第2のエミッタは第1のドーピングタイプであることを特徴とするバックコンタクト型太陽電池の製造方法。
【請求項9】
前記第1のエミッタは、前記シリコン基板の裏面に順次に設置された拡散層と、トンネル酸化層と、ポリシリコン層とを含み、
前記拡散層および前記ポリシリコン層はともに前記第2のドーピングタイプであることを特徴とする請求項8に記載のバックコンタクト型太陽電池の製造方法。
【請求項10】
前記シリコン基板の正面に、第1のパッシベーション層と反射防止層とを順次に形成することを特徴とする請求項8に記載のバックコンタクト型太陽電池の製造方法。
【請求項11】
前記第1のパッシベーション層は、
前記シリコン基板の正面に設置される化学パッシベーション層と、
前記化学パッシベーション層の前記シリコン基板から離れた面に設置されるフィールドパッシベーション層と、を含むことを特徴とする請求項10に記載のバックコンタクト型太陽電池の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は主に太陽光発電の技術に関し、具体的にはバックコンタクト型太陽電池及びバックコンタクト型太陽電池の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
全バックコンタクト型太陽電池は、パッシベーション接触技術と結合することにより、光電変換効率がすでに26%を超えており、大きな応用性を持っている。
【0003】
バックコンタクトバッテリにおいて、逆方向漏電の問題がある。逆方向漏電を解決するために、従来では、エッチングストッパー層としてトンネル酸化層を用いることにより、スエードプロセスのステップにてセルの裏面にピラミッドスエード構造が形成されないようにするとともに、P領域に残留した拡散接合を除去することが多い。しかし、このプロセスには、プロセスウィンドウが狭く、プロセス難度が高いという問題、および、拡散接合のエッチングの不完全による異なるロットのセル間の漏電の差異が大きく、逆方向漏電が基準値を超えるという問題がある。
【0004】
そのため、バックコンタクト電池の基準値を超える逆方向漏電を解消するのは早急に解決すべき問題である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本願は、バックコンタクト型電池の基準値を超える逆方向漏電を解決することができるバックコンタクト型太陽電池及びバックコンタクト型太陽電池の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を解決するために、本願のバックコンタクト型太陽電池は、対向する正面と裏面とを有する第1のドーピングタイプのシリコン基板と、前記シリコン基板の裏面に配置された第1のエミッタ及び第2のエミッタと、前記第2のエミッタを取り囲む第2の分離領域および前記第2の分離領域を取り囲む第1の分離領域と、第1の部分が前記第2のエミッタに接触し、第2の部分が対応する第1のエミッタの前記シリコン基板から離れた側に設置された第2の電極と、を備え、前記第1の分離領域が前記第2の電極の第1の部分を取り囲み、あるいは、第2の電極の全体が前記第2のエミッタに接触し、前記第1の分離領域が前記第2の電極の全体を取り囲み、前記第1のエミッタは第2のドーピングタイプであり、前記第2のエミッタは第1のドーピングタイプであるバックコンタクト型太陽電池。
【0007】
本出願の一実施例において、前記第2の部分の第2の電極と前記対応する第1のエミッタとの間に設置された絶縁層をさらに備える。
【0008】
本出願の一実施例において、第2の電極の全体が前記第2のエミッタに接触しており、前記第1の分離領域が前記第2の電極の全体を取り囲む。
【0009】
本出願の一実施例において、前記第1のエミッタは、前記シリコン基板の裏面に順次に設置された拡散層、トンネル酸化層、ポリシリコン層を含み、前記拡散層は前記第2のドーピングタイプであり、前記ポリシリコン層は前記第2のドーピングタイプである。
【0010】
本出願の一実施例において、前記シリコン基板の正面に順次に設置された第1のパッシベーション層及び反射防止層をさらに備える。
【0011】
本出願の一実施例において、前記第1のパッシベーション層は、前記シリコン基板の正面に設置された化学パッシベーション層と、前記化学パッシベーション層の前記シリコン基板から離れた面に設置されたフィールドパッシベーション層とを含む。
【0012】
本出願の一実施例において、前記シリコン基板の裏面に設置された第2のパッシベーション層をさらに備える。
【0013】
本願は上記技術課題を解決するために、対向する正面および裏面を有する第1のドーピングタイプのシリコン基板を提供するステップと、前記シリコン基板の裏面に第1のエミッタ及び第2のエミッタを形成するステップと、前記シリコン基板の裏面に前記第2のエミッタを取り囲む第2の分離領域、および、前記第2の分離領域を取り囲む第1の分離領域とを形成するステップと、第1の部分が前記第2のエミッタに接触し、第2の部分が対応する第1のエミッタの前記シリコン基板から離れた側に設置された第2の電極を形成するステップと、を含み、前記第1の分離領域が前記第2の電極の第1の部分を取り囲み、あるいは、第2の電極の全体が前記第2のエミッタに接触し、前記第1の分離領域が前記第2の電極の全体を取り囲み、前記第1のエミッタは第2のドーピングタイプであり、前記第2のエミッタは第1のドーピングタイプであるバックコンタクト型太陽電池の製造方法をさらに提供する。
【0014】
本出願の一実施例において、前記第1のエミッタは、前記シリコン基板の裏面に順次に設置された拡散層、トンネル酸化層、ポリシリコン層を含み、前記拡散層と前記ポリシリコン層とは前記第2のドーピングタイプである。
【0015】
本出願の一実施例において、前記シリコン基板の正面に、第1のパッシベーション層と反射防止層とが順次に形成される。
【0016】
本出願の一実施例において、前記第1のパッシベーション層は、前記シリコン基板の正面に設置された化学パッシベーション層と、前記化学パッシベーション層の前記シリコン基板から離れた面に設置されたフィールドパッシベーション層とを含む。
【発明の効果】
【0017】
本出願のバックコンタクト型太陽電池は、第1のエミッタと第2のエミッタとを第1の分離領域と第2の分離領域によって分離することによって、第1のエミッタと第2のエミッタとの接触による太陽電池の基準値を超える漏電を回避する。
【0018】
本願の上記の目的、特徴、および利点をより明確にわかりやすくするために、本願の具体的な実施形態は、以下の添付図面により詳細に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】本願の一実施例に係るバックコンタクト型太陽電池の概略底面図である。
【
図2】
図1のA-A線の断面を示す概略断面図である。
【
図3】
図1のB-B線の断面を示す概略断面図である。
【
図4】本願の他の実施例に係るバックコンタクト型太陽電池の概略底面図である。
【
図5】本願の一実施例に係るバックコンタクト型太陽電池の製造方法の例示的なフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本出願の上記目的、特徴、および利点をより明確して分かりやすくするために、以下では、本出願の具体的な各実施形態について、添付の図面を結合して詳細に説明する。
【0021】
以下の説明では、本出願の十分な理解を容易にするために多くの具体的な詳細が説明されるが、本願で説明されているものとは異なる他の方法で実施することもでき、したがって、本出願は、以下に開示される具体的な実施例に限定されない。
【0022】
本願および特許請求の範囲に示されるように、文脈では例外を明示的に示唆しない限り、「一」、「一つ」、「一種」、および/または「その」などの用語は、特に単数を指すものではなく、複数を含むこともある。一般的に、「備える」および「含む」という用語は、明確に識別されたステップおよび要素を含むことを示すだけであり、これらのステップおよび要素は排他的な羅列を構成せず、方法または装置は、他のステップまたは要素を含む場合がある。
【0023】
また、「第一」、「第二」等の用語を用いて部品を限定するのは、単に対応する部品を区別しやすくするためであり、別途の声明がなければ、上記の用語には特別な意味がないので、本願の保護範囲に対する制限と理解することはできないことを説明しておく必要がある。さらに、本願で使用されている用語は公知の用語から選択されるが、本願の明細書に記載されている用語の中には、出願人が自分の判断で選択したものもあり、その詳細な意味は、本明細書の説明の関連する部分で説明される。また、使用されている実際の用語だけでなく、個々の用語に含まれる意味でも本願を理解することが求められる。
【0024】
本願において、本願の実施例に係るシステムによって実行される操作をフローチャートで説明する。上記または以下の操作は、必ずしも順序に従って正確に実行されるとは限らないことを理解すべきである。逆に、様々なステップを逆の順序で処理することも、同時に処理してもよい。一方、これらの過程に別の操作を追加したり、これらの過程から1つまたは複数のステップの操作を除去したりしてもよい。
【0025】
次に、本出願のバックコンタクト型太陽電池について、具体的な実施例を用いて説明する。
【0026】
図1は、本出願の一実施例に係るバックコンタクト型太陽電池の概略底面図であり、
図2は、
図1のA-A線を示す概略断面図である。
図1および
図2に示すように、バックコンタクト型太陽電池100は、シリコン基板110と、第1のエミッタ120と、第1の分離領域130と、第2の分離領域140と、第2のエミッタ150とを備える。なお、図面範囲の制限のため、
図2は、A-Aにおける断面図の一部のみを示している。
図2から分かるように、第1の分離領域130および第2の分離領域140は、厚さ方向D2においてシリコン基板110から離れた面が他の材料層で覆われているため、
図1の底面図において実際には第1の分離領域130および第2の分離領域140を見えないが、本明細書では、説明の便宜上、第1の分離領域130および第2の分離領域140の位置を
図1に概略的に示している。
【0027】
具体的には、
図2に示すように、シリコン基板110は、厚さ方向D2に対向する正面111と裏面112とを有し、シリコン基板110は第1のドーピングタイプである。ここで、第1のドーピングタイプはP型であってもよく、すなわち、シリコン基板110はP型シリコン基板でもよく、N型であってもよく、すなわちシリコン基板110はN型シリコン基板であってもよい。本出願は、P型シリコン基板及びN型シリコン基板を形成する具体的なドーピング元素については制限しない。
【0028】
図2において、第1のエミッタ120、第1の分離領域130、第2の分離領域140および第2のエミッタ150は、シリコン基板110の裏面112に第1の方向D1に沿って設けられており、第1のエミッタ120は第2のドーピングタイプであり、第2のエミッタ150は第1のドーピングタイプである。
図2において、第1の分離領域130の右側は第1のエミッタ120に接し、第1の分離領域130の左側は第2の分離領域140の右側に接し、第2の分離領域140の左側は第2のエミッタ150に接している。第1のエミッタ120、第1の分離領域130、第2の分離領域140および第2のエミッタ150の位置関係に対する上記説明は、第2のエミッタ150およびその右側に位置する第1のエミッタ120、第1の分離領域130、第2の分離領域140に対するものであることが理解されるべきである。第2のエミッタ150と、その左側に位置する第1のエミッタ120、第1の分離領域130、第2の分離領域140との位置関係については、上述説明を参照してもよいので、ここでは省略する。
【0029】
なお、第1のエミッタ120、第1の分離領域130、第2の分離領域140及び第2のエミッタ150の位置関係は、
図1の実施例に限定されない。例えば、他のいくつかの実施例では、第1の分離領域130と第2の分離領域140は、第1のエミッタ120と第2のエミッタ150との間に第1の方向D1に沿って互いに接しないように配置され、或いは、第1の分離領域130と第2の分離領域140とが、互いに接しており、且つ第1の分離領域130は第1のエミッタ120に接しておらず、第2の分離領域140は第2のエミッタ150に接していない。
【0030】
図1および
図2に示すように、ある実施例において、バックコンタクト型太陽電池100は、第1の電極161および第2の電極162をさらに備える。第1の電極161は、第1のエミッタ120と接触することにより、第1のエミッタ120と電気的に接続されている。同様に、第2の電極162は、第2のエミッタ150と接触することにより、第2のエミッタ150と電気的に接続されている。ここで、第2の電極162と第2のエミッタ150とが電気的に接続されるのは、第2の電極162の一部が第2のエミッタ150と接触している場合1と、第2の電極162の全体が第2のエミッタ150に接触している場合2とがある。以降、上記2つの場合について説明する。
【0031】
場合1:第2の電極の一部は、第2のエミッタと接触している。
【0032】
図1を参照して説明したように、
図1は、バックコンタクト型太陽電池100の裏面の様子を示している。
図2に示す第1の電極161および第2の電極162の様子とは異なり、
図1では、第1の電極161および第2の電極162は線分として示されている。これは、図面の角度によるものであることが理解できる。
【0033】
図1において、第1の分離領域130は第2の分離領域140を取り囲み、
図2と組み合わせて、第2の分離領域140は第2のエミッタ150を取り囲み、第2の電極162の第1の部分162aは、第1の分離領域130によって取り囲まれている。
図3に示す
図1のB-B線の概略断面図を参照すると、第2の電極162の第2の部分162bは、対応する第1のエミッタ120のシリコン基板110から離れた側に設けられている。換言すれば、
図1では、第1の分離領域130は矩形枠として表され、矩形枠内に位置する第2の電極は第2の電極の第1の部分162aであり、矩形枠外に位置する第2の電極は第2の電極の第2の部分162bである。
【0034】
図1及び
図2に示すように、第1のエミッタ120及び第2のエミッタ150は、シリコン基板110から離れた面が他の材料層で覆われているので、
図1において第1のエミッタ120及び第2のエミッタ150を見えない。場合1における第2の電極のレイアウトをより明確に理解するために、第1のエミッタおよび第2のエミッタは、
図1に基づいてここで説明される。
図1において、第2のエミッタは、第2の電極の第1の部分162aの下方に位置し、第2の電極の第2の部分162bの下方には第1のエミッタ(
図3に示すように)が分布されており、且つ第2の電極の第2の部分162bとその下方に位置する第1のエミッタとの間には絶縁層(図示せず)が設けられているので、第2の電極は、第1のエミッタに電気的接続されない。上記の「下方」とは紙面内を向いたことを意味する。
【0035】
図2および
図3に示すように、バックコンタクト型太陽電池100は、シリコン基板110の裏面に厚さ方向D2に沿って順に設けられた第2のパッシベーション層170および第3のパッシベーション層180をさらに備える。第2の電極の第2の部分162bは、第3のパッシベーション層180における厚み方向D2に第3のパッシベーション層180から離れた面に設けられている。いくつかの実施例では、バックコンタクト型太陽電池100は、
図3に示すように、第2の電極の第2の部分162bと第3のパッシベーション層180との間に設置された絶縁層(図示せず)をさらに含み、または、
図3における第2の電極の第2の部分162bが位置する第2のパッシベーション層170および第3のパッシベーション層180をエッチングなどの方法を用いて除去し、第1のエミッタ120を露出させ、そして、絶縁層を第2の電極の第2の部分162bと対応する第1のエミッタ120との間に設置する。いくつかの実施例では、バックコンタクト型太陽電池100が第2のパッシベーション層170及び第3のパッシベーション層180を含まない場合、絶縁層は、第2の電極の第2の部分162bと対応する第1のエミッタ120との間に設置される。
図1に戻ると、第1の分離領域130は、第2の電極の第1の部分162aを取り囲み、且つ第2の電極の第2の部分162bと対応する第1のエミッタ120との間に絶縁層が設けられているため、第2の電極162は第1のエミッタ120と電気的に接続されていない。
【0036】
一実施例では、第2のパッシベーション層および第3のパッシベーション層は、窒化ケイ素、酸化アルミニウム、酸化チタン、酸化ケイ素、オキシ窒化ケイ素の1つまたは複数の複合体である。
【0037】
さらに、
図1および
図2に示すように、第2のエミッタ150は第2の分離領域140に取り囲まれており、第2の分離領域140は第1の分離領域130に取り囲まれている。このように、第1のエミッタ120及び第2のエミッタ150は、第1の分離領域130及び第2の分離領域140によって分離されているので、第1のエミッタ120及び第2のエミッタ150の接触によるセルの漏電を回避することができる。
【0038】
場合2:第2の電極の全体が第2のエミッタと接触している。
【0039】
図4に示す本出願の他の実施例のバックコンタクト型太陽電池の概略底面図および
図2を参照し、
図2に示す概略断面図は、
図4のC-C線における概略断面図を示してもよい。
図1と異なるのは、
図4では、第2の電極162の全体が第2のエミッタ150に接触し、且つ第2の分離領域140が第2の電極162の全体を取り囲み、第1の分離領域130が第2の分離領域140を取り囲んでいる。
図4において、第1の分離領域130は、第2の電極162の全体を取り囲んでいることが分かる。
【0040】
さらに、場合1と同様に、第1のエミッタ120及び第2のエミッタ150は、第1の分離領域130及び第2の分離領域140によって分離され、第1のエミッタ120及び第2のエミッタの接触によるセルの漏電を回避する。
【0041】
上述した実施例では、第2のエミッタについて説明したが、次に、本出願の第1のエミッタについて説明する。
【0042】
図2に示すように、第1のエミッタ120は、拡散層121と、トンネル酸化層122と、ポリシリコン層123とを備えている。シリコン基板110の裏面には、拡散層121、トンネル酸化層122、ポリシリコン層123が厚さ方向D2に順次設けられており、拡散層121及びポリシリコン層123は、いずれも第2のドーピングタイプである。ある実施例では、トンネル酸化層122の厚さは1から20nmであり、ポリシリコン層123の厚さは20から1000nmである。トンネル酸化層122は、二酸化ケイ素として実施されてもよい。トンネル酸化層122とポリシリコン層123は、キャリアの選択的な収集を実現することができ、即ち多数キャリアはトンネル酸化層122を通過しやすく、少数キャリアはトンネル酸化層122を通過しにくい。
【0043】
上述した実施例において第1のエミッタ及び第2のエミッタを第1の分離領域及び第2の分離領域によって分離する技術的効果をより明確に理解するために、次に、本出願の第1の分離領域と第2の分離領域についてさらに説明する。
【0044】
図2に示すように、第1のエミッタ120と第2の分離領域140との間には、第1の方向D1に沿って第1の分離領域130が設けられている。本出願の第1の分離領域130は、第1のエミッタ120と第2の分離領域140との間に位置するシリコン基板として、または第1のエミッタ120と第2の分離領域140との間に位置する他の材料、例えば第2のパッシベーション層として実施されてもよい。換言すれば、第1の方向D1に沿って第1のエミッタ120と第2の分離領域140との間に位置する第1の分離領域130は、第1のエミッタ120と第2のエミッタ150とを分離する技術的効果を有する。いくつかの実施例では、第1の分離領域130は第1のドープタイプであり、
図2に示すように、第1の分離領域130は、厚み方向D2に沿ってシリコン基板110に近接した面がピラミッドスエードの様子を有してもよい。
【0045】
図2において、第2の分離領域140の全体は、第2のドープタイプである。この場合に、第2の分離領域140は、P領域に残留した拡散層121であってもよい。他のいくつかの実施例では、第2の分離領域140のドーピングタイプについて、第2の分離領域の一部が第1のドーピングタイプであり、且つ第2の分離領域の他の部分が第2のドーピングタイプであることもよく、上記「一部」および「他の部分」は、第2の分離領域の全体を構成してもよく、第2の分離領域の全体を構成しなくてもよく、または、第2の分離領域の全体が第1のドーピングタイプであってもよい。
【0046】
本願のバックコンタクト型太陽電池における第1の分離領域及び第2の分離領域をより明確に理解するために、第1の分離領域及び第2の分離領域の形成過程を説明する例をここに示す。
【0047】
図2に示すように、トンネル酸化層122およびポリシリコン層123は、シリコン基板110の一部の裏面を覆っている。シリコン基板110の裏面を部分的に覆うトンネル酸化層122及びポリシリコン層123は、以下のように形成される。シリコン基板110の裏面に裏面全面を覆うトンネル酸化層122を形成した後、トンネル酸化層122の表面にトンネル酸化層122を覆うポリシリコン層123を形成し、そして、第1のエミッタ120部分のトンネル酸化層122及びポリシリコン層123を残すように、不要なトンネル酸化層122及びポリシリコン層123をエッチング等の方法で除去する。P領域内に位置するポリシリコン層が保留される場合、第2の分離領域140の全体が第2のドーピングタイプであり、P領域内のポリシリコン層の一部が保留される場合、第2の分離領域140の一部は第1のドーピングタイプであり、他の部分は第2のドーピングタイプであり、P領域内の全てのポリシリコン層が除去される場合、第2の分離領域140の全体は第1のドーピングタイプである。なお、上述した実施例は、第1の分離領域および第2の分離領域を形成する場合の一例にすぎず、本願の第1の分離領域および第2の分離領域を形成する方法は上記例に限定されるものではない。
【0048】
図2に示されるように、第1の分離領域130のシリコン基板110に近接した面は、ピラミッドスエードの様子を有する。第1の分離領域130のピラミッドスエードの様子とシリコン基板110の正面におけるピラミッドスエードの様子とは同一のスエードプロセスステップで形成され、プロセスを簡略化するように、第1の分離領域130及び第2の分離領域140を形成する分離プロセスステップをスエードプロセスステップと合併してもよい。他のいくつかの実施例では、第2の分離領域140の厚さ方向D2におけるシリコン基板110から離れた表面は平坦にされている。ここで、化学機械研磨(CMP)により平坦にされてもよい。
【0049】
一実施例では、
図2に示すように、シリコン基板110の正面111に、第1のパッシベーション層190と反射防止層210とが厚さ方向D2に順次形成されている。第1のパッシベーション層190および反射防止層210を形成するには、化学気相堆積(CVD)および/または物理気相堆積(PVD)がある。いくつかの実施例では、第1のパッシベーション層190は、化学パッシベーション層とフィールドパッシベーション層とを含み、この第1のパッシベーション層190を形成するには、最初に、シリコン基板110の正面111に化学パッシベーション層を形成した後、化学パッシベーション層のシリコン基板110から離れた面にフィールドパッシベーション層を形成する。いくつかの実施例では、シリコン基板110の正面111、および正面111に配置される第1のパッシベーション層190および反射防止層210は、ピラミッドスエードの様子を有する。太陽電池の動作時には、シリコン基板110の正面側から太陽光がシリコン基板110に入射し、ピラミッドスエードは、光をトラッピングして表面反射を低減する役割を果たすことができ、太陽電池による光の利用率を向上させることができる。
【0050】
本出願の上述した実施例では、第1のエミッタ及び第2のエミッタは、第1の分離領域及び第2の分離領域によって分離されることで、第1のエミッタと第2のエミッタとの接触による太陽電池の基準値を超える漏電を回避している。
【0051】
本出願の他の形態は、さらに、バックコンタクト型太陽電池の製造方法を提出しており、以降はこの製造方法について実施例で説明する。
【0052】
図5は本出願の一実施例に係るバックコンタクト型太陽電池の製造方法の例示的なフローチャートである。
図5に示すように、本実施例の製造方法は、
対向する正面と裏面とを有する第1のドーピングタイプのシリコン基板を提供するステップS310と、
シリコン基板の裏面に、第2のドーピングタイプの第1のエミッタと、第1の分離領域と、第2の分離領域と、第1のドーピングタイプの第2のエミッタとを形成するステップS320と、
を含み、
第2の分離領域が第1の分離領域により取り囲まれ、第2のエミッタが第2の分離領域により取り囲まれている。
【0053】
以下、上述したステップS310およびS320について具体的に説明する。
【0054】
図2に示すように、ステップS310では、厚み方向D2に対向する正面111と裏面112とを有するシリコン基板110が提供される。ここで、シリコン基板110は、第1のドーピングタイプである。
【0055】
ステップS320では、シリコン基板110の裏面112に、第2のドーピングタイプの第1のエミッタ120と、第1の分離領域130と、第2の分離領域140と、第1のドーピングタイプの第2のエミッタ150とを形成する。
図1に示すように、第1の分離領域130は第2の分離領域140を取り囲み、第2の分離領域140は第1のエミッタ120を取り囲み、これにより、第1のエミッタ120と第2のエミッタ150とは第1の分離領域130と第2の分離領域140とによって分離され、第1のエミッタ120と第2のエミッタ150との接触が回避される。
【0056】
図1および
図2に示すように、一実施例では、第1のエミッタ120に接する第1の電極161、および、第2のエミッタ150に接する第2の電極162が形成されている。これにより、第1の電極161と第1のエミッタ120との電気的接続、および、第2の電極162と第2のエミッタ150との電気的接続が実現される。
【0057】
一実施例では、第2の電極の第1の部分162aは第2のエミッタ150に接触し、第2の電極の第2の部分162bは、対応する第1のエミッタのシリコン基板110から離れた側に設置され、第2の電極の第2の部分162bと対応する第1のエミッタとの間には、絶縁層(図示せず)が設置され、
図1に示すように、第1の分離領域130は、第2の電極の第1の部分162aを取り囲んでいる。
【0058】
他の実施例では、
図4を参照すると、
図2とは異なり、第2の電極162の全体が第2のエミッタ150に接触し、且つ第1の分離領域130が第2の電極162の全体を取り囲んでいる。
【0059】
図2に示すように、一実施例において、第1のエミッタ120は、拡散層121と、トンネル酸化層122と、ポリシリコン層123とを含む。
図2に示すように、拡散層121はシリコン基板110の裏面に設置され、トンネル酸化層122は拡散層121の厚さ方向D2におけるシリコン基板110から離れた面に設置され、ポリシリコン層123は厚さ方向D2におけるトンネル酸化層122のシリコン基板110から離れた面に設置されている。トンネル酸化層122とポリシリコン層123は、キャリアの選択的な収集を実現することができ、すなわち、多数キャリアはトンネル酸化層122を通過しやすく、少数キャリアはトンネル酸化層122を通過しにくい。ここで、拡散層121及びポリシリコン層123は、いずれも第2のドーピングタイプである。
【0060】
一実施例では、
図2に示すように、シリコン基板110の正面に、厚さ方向D2に第1のパッシベーション層190と反射防止層210とが順次に形成されている。第1のパッシベーション層190および反射防止層210を形成するには、化学気相堆積(CVD)および/または物理気相堆積(PVD)がある。いくつかの実施例では、第1のパッシベーション層190は、化学パッシベーション層とフィールドパッシベーション層とを含み、この第1のパッシベーション層190を形成するには、最初に、シリコン基板110の正面に化学パッシベーション層を形成した後、化学パッシベーション層のシリコン基板110から離れた面にフィールドパッシベーション層を形成する。
【0061】
図2を参照して説明を続けると、一実施例では、第1の分離領域130はピラミッドスエードの様子を有する。ピラミッドスエードの様子を形成するには、アルカリ溶液を用いて第1の分離領域130のシリコン基板110から離れた面をエッチングすることがある。一実施例では、第1の分離領域130のピラミッドスエードは、シリコン基板110の正面におけるピラミッドスエードと同一のスエードプロセスのステップで形成され、これにより、プロセスが簡略化される。他のいくつかの実施例では、第2の分離領域140の厚さ方向D2におけるシリコン基板110から離れた表面は平坦である。ここで、化学機械研磨(CMP)によって平坦にされてもよい。
【0062】
本出願の上述した実施例では、第1のエミッタ及び第2のエミッタは、第1の分離領域及び第2の分離領域によって分離されることで、第1のエミッタと第2のエミッタとの接触による太陽電池の基準値を超える漏電を回避している。
【0063】
上記では、基本的な概念について説明したが、本分野の当業者にとって、上記の開示が一例に過ぎないことは、自明であり、本願を限定するものではない。ここでは明記されていないが、本分野の当業者は、本願に対して様々な修正、改良、及び補正を行う可能性がある。このような修正、改良、および補正は、本願において提案されているので、本願の例示的な実施形態の精神および範囲に属する。
【0064】
同時に、本願は、特定の用語を使用して本願の実施例を説明している。例えば、「一つの実施例」、「一実施例」、および/または「いくつかの実施例」は、本願の少なくとも1つの実施例に関連する特徴、構成、または特徴を意味する。従って、本明細書において異なる場所で2回以上言及されている「一実施例」または「一つの実施例」または「一つの代替的な実施形態」は、必ずしも同じ実施例を意味するものではないことが強調され、留意されるべきである。さらに、本願の一つまたは複数の実施例におけるいくつかの特徴、構成、または特徴を適切に組み合わせることができる。
【0065】
いくつかの実施例では、構成要素、属性の数を記述する数字が使用されるが、そのような実施例を記述するための数字は、いくつかの例では、修飾語である「約」、「概略的に」、または「大体」を使用して修飾されることが理解されるべきである。別段の記載がない限り、「約」、「概略的に」、または「大体」は、数値が±20%の変化を許容することを意味する。従って、いくつかの実施例では、明細書および請求項で使用される数値パラメータは近似値であり、この近似値は、個々の実施例に必要とされる特徴に応じて変更され得る。いくつかの実施例では、数値パラメータは、所定の有効桁数を考慮し、一般的な桁数保持の方法を採用すべきである。本願のいくつかの実施例では、その範囲の広さを確認するために使用される数値フィールドおよびパラメータは近似値であるが、特定の実施例では、そのような数値の設定は、可能な範囲内で可能な限り正確である。
【符号の説明】
【0066】
110 シリコン基板
111 正面
112 裏面
120 第1のエミッタ
121 拡散層
122 トンネル酸化層
123 ポリシリコン層
130 第1の分離領域
140 第2の分離領域
150 第2のエミッタ
161 第1の電極
162 第2の電極
162a 第1の部分
162b 第2の部分
170 第2のパッシベーション層
180 第3のパッシベーション層
190 第1のパッシベーション層
210 反射防止層
【外国語明細書】