(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024114592
(43)【公開日】2024-08-23
(54)【発明の名称】サージ防護素子
(51)【国際特許分類】
H01T 4/12 20060101AFI20240816BHJP
【FI】
H01T4/12 F
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023194190
(22)【出願日】2023-11-15
(31)【優先権主張番号】P 2023019550
(32)【優先日】2023-02-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000006264
【氏名又は名称】三菱マテリアル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100120396
【弁理士】
【氏名又は名称】杉浦 秀幸
(72)【発明者】
【氏名】野本 雅樹
(72)【発明者】
【氏名】田中 芳幸
(72)【発明者】
【氏名】内藤 友紀
(57)【要約】
【課題】 サージによるダメージを軽減でき、応答性も向上させることができるサージ防護素子を提供すること。
【解決手段】 絶縁性管2と、絶縁性管の両端開口部を閉塞して内部に放電制御ガスを封止する一対の封止電極3と、封止電極の内面に基端が接触していると共に先端が絶縁性管内に突出して互いに対向している一対の放電電極4と、一対の放電電極の先端面に挟まれて絶縁性管内に収納された絶縁性部材5とを備え、先端面4aに対する絶縁性部材の対向面5aが、先端面4aとの接触部を基点にして先端面に対して鋭角に傾斜した傾斜面を有している。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
絶縁性管と、
前記絶縁性管の両端開口部を閉塞して内部に放電制御ガスを封止する一対の封止電極と、
前記封止電極の内面に基端が接触していると共に先端が前記絶縁性管内に突出して互いに対向している一対の放電電極と、
前記一対の放電電極の先端面に挟まれて前記絶縁性管内に収納された絶縁性部材とを備え、
前記先端面に対する前記絶縁性部材の対向面が、前記先端面との接触部を基点にして前記先端面に対して鋭角に傾斜した傾斜面を有していることを特徴とするサージ防護素子。
【請求項2】
請求項1に記載のサージ防護素子において、
前記絶縁性部材が、前記絶縁性管の軸線に直交する方向に軸線を有した円柱状又は円筒状であることを特徴とするサージ防護素子。
【請求項3】
請求項1又は2に記載のサージ防護素子において、
前記一対の放電電極の先端部に、外周縁に沿って軸線方向に突出した環状の突条部が形成されていることを特徴とするサージ防護素子。
【請求項4】
請求項2に記載のサージ防護素子において、
前記絶縁性部材の外径が、前記放電電極の外径よりも小さくされ、
前記絶縁性部材の両側に、前記一対の放電電極の先端面が直接対向した領域が形成されていることを特徴とするサージ防護素子。
【請求項5】
請求項1に記載のサージ防護素子において、
前記絶縁性部材が、ソロバン玉状に形成され、
前記対向面が、接頭円錐形状を有していることを特徴とするサージ防護素子。
【請求項6】
請求項1又は2に記載のサージ防護素子において、
前記絶縁性部材が、円柱状又は円筒状の3つ又は4つの分割部材からなり、
前記3つ又は4つの分割部材が、それぞれ前記放電電極の先端面の外周縁に互いに周方向に等間隔に並んで設置されていると共に、互いの内側の端面が、前記放電電極の軸線に向いており互いの間に空間が設けられていることを特徴とするサージ防護素子。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、落雷等で発生するサージから様々な機器を保護し、事故を未然に防ぐのに使用するサージ防護素子に関する。
【背景技術】
【0002】
電話機、ファクシミリ、モデム等の通信機器用の電子機器が通信線との接続する部分、電源線、アンテナ或いはCRT駆動回路等、雷サージや静電気等の異常電圧(サージ電圧)による電撃を受けやすい部分には、異常電圧によって電子機器やこの機器を搭載するプリント基板の熱的損傷又は発火等による破壊を防止するために、サージ防護素子が接続されている。
【0003】
従来、サージ防護素子としては、表面上に形成した導電性膜を中央で分割して1又は複数の放電ギャップ(マイクロギャップ)を設けたセラミックスの碍子と、碍子の両端部に設けた一対のキャップ電極とで構成された放電素子を、一対の封止電極でガラス管内に封止したサージアブソーバが知られている(例えば、特許文献1参照)。
このようなサージ防護素子では、導電性膜を形成して電極膜としており、薄い導電性膜が周りの電界を局所的に高めることによってサージに対する応答電圧に有利に働いている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記従来の技術には、以下の課題が残されている。
上記従来のサージ防護素子では、厚膜印刷やスパッタなどの成膜技術により数~数十μmの導電性膜を形成して電極膜としているが、厚みが薄いために高強度のサージやその繰り返しが印加された場合に、導電性膜が溶融・飛散して機能を維持できなくなるおそれがあった。
【0006】
本発明は、前述の課題に鑑みてなされたもので、サージによるダメージを軽減でき、応答性も向上させることができるサージ防護素子を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、前記課題を解決するために以下の構成を採用した。すなわち、第1の発明のサージ防護素子は、絶縁性管と、前記絶縁性管の両端開口部を閉塞して内部に放電制御ガスを封止する一対の封止電極と、前記封止電極の内面に基端が接触していると共に先端が前記絶縁性管内に突出して互いに対向している一対の放電電極と、前記一対の放電電極の先端面に挟まれて前記絶縁性管内に収納された絶縁性部材とを備え、前記先端面に対する前記絶縁性部材の対向面が、前記先端面との接触部を基点にして前記先端面に対して鋭角に傾斜した傾斜面を有していることを特徴とする。
【0008】
このサージ防護素子では、放電電極の先端面に対する絶縁性部材の対向面が、前記先端面との接触部を基点にして前記先端面に対して鋭角に傾斜した傾斜面を有しているので、前記先端面と傾斜面との間が狭くなり、電界が集中することで、応答性を向上させることができる。また、導電性部材である放電電極を採用することで、薄い導電性膜よりも熱容量が増加し熱抵抗が減少してサージに対する耐久性が向上し、放電開始電圧の変動も抑制することができる。
【0009】
第2の発明のサージ防護素子は、第1の発明において、前記絶縁性部材が、前記絶縁性管の軸線に直交する方向に軸線を有した円柱状又は円筒状であることを特徴とする。
すなわち、このサージ防護素子では、絶縁性部材が、絶縁性管の軸線に直交する方向に軸線を有した円柱状又は円筒状であるので、絶縁性部材の外周面が曲面の傾斜面となると共に、放電電極の先端面との接触部が局所的になり、より電界を集中させることができる。
【0010】
第3の発明のサージ防護素子は、第1又は第2の発明において、前記一対の放電電極の先端部に、外周縁に沿って軸線方向に突出した環状の突条部が形成されていることを特徴とする。
すなわち、このサージ防護素子では、一対の放電電極の先端部に、外周縁に沿って軸線方向に突出した環状の突条部が形成されているので、突条部が絶縁性部材に接触することで、より接触部が局所的になり、さらに電界を集中させることができる。
【0011】
第4の発明のサージ防護素子は、第2の発明において、前記絶縁性部材の外径が、前記放電電極の外径よりも小さくされ、前記絶縁性部材の両側に、前記一対の放電電極の先端面が直接対向した領域が形成されていることを特徴とする。
すなわち、このサージ防護素子では、絶縁性部材の外径が、放電電極の外径よりも小さくされ、絶縁性部材の両側に、一対の放電電極の先端面が直接対向した領域が形成されているので、絶縁性部材の両側に放電路が形成され、一対の放電電極間でアーク放電が伝わり易くなる。
【0012】
第5の発明のサージ防護素子は、第1の発明において、前記絶縁性部材が、ソロバン玉状に形成され、前記対向面が、接頭円錐形状を有していることを特徴とする。
すなわち、このサージ防護素子では、絶縁性部材が、ソロバン玉状に形成され、対向面が、接頭円錐形状を有しているので、一対の放電電極の先端面に安定して挟持されると共に、周方向にわたって鋭角に前記先端面に接触する円環状の傾斜面によって周方向全体で電界を集中させることが可能になる。
【0013】
第6の発明のサージ防護素子は、第1又は第2の発明において、前記絶縁性部材が、円柱状又は円筒状の3つ又は4つの分割部材からなり、前記3つ又は4つの分割部材が、それぞれ前記放電電極の先端面の外周縁に互いに周方向に等間隔に並んで設置されていると共に、互いの内側の端面が、前記放電電極の軸線に向いており互いの間に空間が設けられていることを特徴とする。
すなわち、このサージ防護素子では、絶縁性部材が、円柱状又は円筒状の3つ又は4つの分割部材からなり、3つ又は4つの分割部材が、それぞれ放電電極の先端面の外周縁に互いに周方向に等間隔に並んで設置されているので、放電電極との接触面が複数の分割部材により3又は4つに分割されたことで、電界集中部分(局所電界部分)が分割されて電界が向上し、放電開始電圧が高くなると共に応答性も向上する。また、3つ又は4つの分割部材の互いの内側の端面が、放電電極の軸線に向いており互いの間に空間が設けられているので、放電電極の先端面中央部からの収束電束が有効になり、より電界が向上する。さらに、放電電極の先端面中央部から飛散した金属が分割部材に付着し難くなる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、以下の効果を奏する。
すなわち、本発明に係るサージ防護素子によれば、放電電極の先端面に対する絶縁性部材の対向面が、前記先端面との接触部を基点にして前記先端面に対して鋭角に傾斜した傾斜面を有しているので、電界が集中することで、応答性を向上させることができると共に、サージに対する耐久性が向上し、放電開始電圧の変動も抑制することができる。
したがって、本発明のサージ防護素子では、サージ破壊耐量及びサージ特性耐量の向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本発明に係るサージ防護素子の第1実施形態において、一部を破断したサージ防護素子を示す正面図である。
【
図2】第1実施形態において、一対の放電電極間に配された絶縁性部材を示す断面図である。
【
図3】第1実施形態において、一部を破断したサージ防護素子を示す側面図である。
【
図4】第1実施形態において、一対の放電電極間に配された絶縁性部材を示す斜視図である。
【
図5】本発明に係るサージ防護素子の第2実施形態において、一対の放電電極間に配された絶縁性部材を示す正面図である。
【
図6】第2実施形態において、絶縁性部材を示す斜視図である。
【
図7】本発明に係るサージ防護素子の第3実施形態において、一対の放電電極間に配された絶縁性部材を示す斜視図である。
【
図8】第3実施形態の他の例において、放電電極上に配された絶縁性部材を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明に係るサージ防護素子の第1実施形態を、
図1から
図4を参照しながら説明する。なお、以下の説明に用いる各図面では、各部材を認識可能又は認識容易な大きさとするために縮尺を適宜変更している。
【0017】
本実施形態のサージ防護素子1は、
図1から
図4に示すように、絶縁性管2と、絶縁性管2の両端開口部を閉塞して内部に放電制御ガスを封止する一対の封止電極3と、封止電極3の内面に基端が接触していると共に先端が絶縁性管2内に突出して互いに対向している一対の放電電極4と、一対の放電電極4の先端面4aに挟まれて絶縁性管2内に収納された絶縁性部材5とを備えている。
【0018】
上記放電電極4の先端面4aに対する絶縁性部材5の対向面5aは、先端面4aとの接触部5bを基点にして先端面4aに対して鋭角に傾斜した傾斜面を有している。
なお、絶縁性部材5の対向面5aは、放電電極4の先端面4aに対して90°未満の鋭角θで接触することが好ましく、45°以下の鋭角θで接触することがより好ましい。
【0019】
また、絶縁性部材5は、絶縁性管2の軸線AX1に直交する方向に軸線AX2を有した円柱状又は円筒状である。
なお、本実施形態では、円柱状の絶縁性部材5を採用している。すなわち、円柱状の絶縁性部材5の外周面が、放電電極4の先端面4aに対して鋭角に傾斜した曲面の対向面5aとなる。
さらに、絶縁性部材5の外径は、放電電極4の外径よりも小さくされ、絶縁性部材5の両側に、一対の放電電極4の先端面が直接対向した領域A1が形成されている。
【0020】
一対の放電電極4の先端部には、外周縁に沿って軸線方向に突出した環状の突条部4bが形成されている。
また、放電電極4は、軸線AX1を中心にした円形状の穴部4cが先端部に形成された円柱状に形成されている。
すなわち、放電電極4の先端部には、穴部4cの外周に円環状の突条部4bが形成されている。
本実施形態の放電電極4は、例えば銅で形成されている。
【0021】
なお、本実施形態では、封止電極3の外側にリード線7の一端が溶接、半田付け、埋め込み等により接続されている。
上記封止電極3は、例えばFe(鉄)-Ni(ニッケル)合金の表面を酸化銅で被覆した金属で形成され、円板状又は円柱状となっている。
例えば、封止電極3はジュメット線から作られている。
【0022】
上記絶縁性管2は、例えば鉛ガラス等で略円筒状に形成されたガラス管である。
また、一対の封止電極3は、ガラス管の絶縁性管2に両端開口部に嵌め込まれて加熱処理によって融着され、絶縁性管2が密着状態となって固定されている。
【0023】
上記絶縁性管2内に封入される放電制御ガスは、不活性ガス等であって、例えばHe,Ar,Ne,Xe,Kr,SF6,CO2,C3F8,C2F6,CF4,H2,大気等及びこれらの混合ガスが採用される。
上記絶縁性部材5は、アルミナ、ムライト、コランダムムライト等のセラミックス材料で形成されている。なお、本実施形態の絶縁性部材5は、アルミナで形成されている。
【0024】
このように本実施形態のサージ防護素子1では、放電電極4の先端面4aに対する絶縁性部材5の対向面5aが、先端面4aとの接触部5bを基点にして先端面4aに対して鋭角に傾斜した傾斜面を有しているので、先端面4aと傾斜面(先端面4a)との間が狭くなり、電界が集中することで、応答性を向上させることができる。また、導電性部材である放電電極4を採用することで、薄い導電性膜よりも熱容量が増加し熱抵抗が減少してサージに対する耐久性が向上し、放電開始電圧の変動も抑制することができる。
【0025】
また、絶縁性部材5が、絶縁性管2の軸線AX1に直交する方向に軸線AX2を有した円柱状又は円筒状であるので、絶縁性部材5の外周面(対向面5b)が曲面の傾斜面となると共に、放電電極4の先端面4aとの接触部5bが局所的になり、より電界を集中させることができる。
特に、一対の放電電極4の先端部に、外周縁に沿って軸線方向に突出した環状の突条部4bが形成されているので、突条部4bが絶縁性部材5に接触することで、より接触部5bが局所的になり、さらに電界を集中させることができる。
【0026】
さらに、絶縁性部材5の外径が、放電電極4の外径よりも小さくされ、絶縁性部材5の両側に、一対の放電電極4の先端面4aが直接対向した領域A1が形成されているので、絶縁性部材5の両側に放電路が形成され、一対の放電電極4間でアーク放電が伝わり易くなる。
【0027】
次に、本発明に係るサージ防護素子の第2及び第3実施形態について、
図5から
図8を参照して以下に説明する。なお、以下の各実施形態の説明において、上記実施形態において説明した同一の構成要素には同一の符号を付し、その説明は省略する。
【0028】
第2実施形態と第1実施形態との異なる点は、第1実施形態では、円柱状の絶縁性部材5を採用しているのに対し、第2実施形態のサージ防護素子では、
図5及び
図6に示すように、絶縁性部材25が、ソロバン玉状に形成され、対向面25aが、接頭円錐形状を有している点である。
すなわち、第2実施形態の対向面25aは、一対の放電電極4の先端面4aと接触する一対の円形状の天面25bと、一対の天面25bの周囲に傾斜した円環状の一対の傾斜面25cとを有している。
【0029】
上記傾斜面25cは、放電電極4の先端面4aに対して例えば45°の鋭角θに傾いている。
このように第2実施形態のサージ防護素子では、絶縁性部材25が、ソロバン玉状に形成され、対向面25aが、接頭円錐形状を有しているので、一対の放電電極4の先端面4aに安定して挟持されると共に、周方向にわたって鋭角に前記先端面4aに接触する円環状の傾斜面25cによって周方向全体で電界を集中させることが可能になる。
【0030】
次に、第3実施形態と第1実施形態との異なる点は、第1実施形態では、1つの円柱状の絶縁性部材5を採用しているのに対し、第3実施形態のサージ防護素子では、
図7に示すように、絶縁性部材35が、円柱状の4つの分割部材35aからなる点である。
また、第3実施形態では、4つの分割部材35aが、それぞれ放電電極4の先端面4aの外周縁に互いに周方向に等間隔に並んで設置されていると共に、互いの内側の端面が、放電電極4の軸線に向いており互いの間に空間が設けられている点でも第1実施形態と異なっている。なお、分割部材35aは、円筒状でも構わない。
【0031】
上記4つの分割部材35aは、第1実施形態の絶縁性部材5よりも短い円柱状であり、放電電極4の先端面4aの外周縁において互いに周方向に90度毎に離間して配置されている。
4つの分割部材35aの内側の端面は、互いの間に空間を設けて離間しているので、一対の放電電極4の互いに対向する先端面4a中央部の間が、空洞(空間)になっている。
なお、第3実施形態の他の例として、
図8に示すように、絶縁性部材35が、円柱状又は円筒状の3つの分割部材35aからなるものでも構わない。すなわち、3つの分割部材35aが、放電電極4の先端面4aの外周縁において互いに周方向に120度毎に離間して配置されている。
【0032】
このように第3実施形態のサージ防護素子では、絶縁性部材35が、円柱状又は円筒状の3つ又は4つの分割部材35aからなり、3つ又は4つの分割部材35aが、それぞれ放電電極の先端面4aの外周縁に互いに周方向に等間隔に並んで設置されているので、放電電極4との接触面が複数の分割部材35aにより3又は4つに分割されたことで、電界集中部分(局所電界部分)が分割されて電界が向上し、放電開始電圧が高くなると共に応答性も向上する。
また、3つ又は4つの分割部材35aの互いの内側の端面が、放電電極4の軸線に向いており互いの間に空間が設けられているので、放電電極4の先端面4a中央部からの収束電束が有効になり、より電界が向上する。さらに、放電電極4の先端面4a中央部から飛散した金属が分割部材35aに付着し難くなる。
【実施例0033】
上記第1実施形態及び第3実施形態のサージ防護素子について、最大電界強度のシミュレーションを行った。
その結果、絶縁性部材が無く単に一対の放電電極が間隔を空けて対向している状態のサージ防護素子では、最大電界強度が18.8MV/mであるのに対し、第1実施形態のサージ防護素子では、最大電界強度が58.5MV/mと大幅に大きくなった。
また、4つの分割部材からなる絶縁性部材を有する第3実施形態のサージ防護素子では、最大電界強度が263MV/mとなり、3つの分割部材からなる絶縁性部材を有する第3実施形態の他の例では、最大電界強度が108MV/mとなって、いずれもさらに大幅に向上した。
【0034】
なお、本発明の技術範囲は上記各実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
1…サージ防護素子、2…絶縁性管、3…封止電極、4…放電電極、4a…放電電極の先端面、4b…突条部、5,25,35…絶縁性部材、35a…分割部材、5a,25a…絶縁性部材の対向面、5b…接触部、AX1…絶縁性管の軸線、AX2…絶縁性部材の軸線、A1…放電電極の先端面が直接対向した領域