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特開2024-114596積層型キャパシタおよびその製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024114596
(43)【公開日】2024-08-23
(54)【発明の名称】積層型キャパシタおよびその製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01G 4/30 20060101AFI20240816BHJP
【FI】
H01G4/30 201G
H01G4/30 516
H01G4/30 311F
H01G4/30 311Z
H01G4/30 517
【審査請求】未請求
【請求項の数】19
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023199887
(22)【出願日】2023-11-27
(31)【優先権主張番号】10-2023-0018801
(32)【優先日】2023-02-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(71)【出願人】
【識別番号】594023722
【氏名又は名称】サムソン エレクトロ-メカニックス カンパニーリミテッド.
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】弁理士法人RYUKA国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ソン、ソーファン
(72)【発明者】
【氏名】アン、ヨウンヒュ
【テーマコード(参考)】
5E001
5E082
【Fターム(参考)】
5E001AB03
5E001AC04
5E001AC10
5E001AD04
5E001AE01
5E001AE02
5E001AE03
5E001AE04
5E001AF06
5E001AH01
5E001AH05
5E001AH06
5E001AH07
5E001AH09
5E001AJ01
5E082AA01
5E082AB03
5E082BC31
5E082EE04
5E082EE05
5E082EE23
5E082EE26
5E082EE35
5E082FG03
5E082FG26
5E082FG46
5E082GG10
5E082GG11
5E082GG12
5E082PP09
(57)【要約】      (修正有)
【課題】外部電極のモジュラスがより低いため、曲げ強度を改善することができ、積層型キャパシタの振動による基板の震えを減少させることができ、追加的な処理なしにメッキ層の形成が可能な積層型キャパシタおよびその製造方法を提供する。
【解決手段】積層型キャパシタ100は、誘電体層111と内部電極121、122とを含むキャパシタボディー110およびキャパシタボディー110の外側に配置される外部電極131、132を含み、外部電極131、132が、内部電極121、122と連結された第1層1311、1321及び第1層1311、1321の少なくとも一部を覆う第2層1312、1322を含む。第2層1312、1322は、樹脂および伝導性ポリマー粒子を含む。
【選択図】図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
誘電体層および内部電極を含むキャパシタボディー、そして
前記キャパシタボディーの外側に配置される外部電極を含み、
前記外部電極は、前記内部電極と連結された第1層、および
前記第1層の少なくとも一部を覆う第2層を含み、
前記第2層は、樹脂および伝導性ポリマー粒子を含む、
積層型キャパシタ。
【請求項2】
前記伝導性ポリマー粒子は、ポリピロール、ポリアニリン、ポリチオフェン、[ポリ(3,4-エチレンジオキシチオフェン)]:[ポリ(スチレンスルホネート)](PEDOT:PSS)、またはこれらの組み合わせを含む、請求項1に記載の積層型キャパシタ。
【請求項3】
前記伝導性ポリマー粒子の平均粒径は、0.1μmから5μmである、請求項1に記載の積層型キャパシタ。
【請求項4】
前記伝導性ポリマー粒子は、表面に金属コーティング層をさらに含む、請求項1に記載の積層型キャパシタ。
【請求項5】
前記伝導性ポリマー粒子は、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、ポリメチルアクリレート(PMA)、ポリスチレン、またはこれらの組み合わせを含む、請求項4に記載の積層型キャパシタ。
【請求項6】
前記伝導性ポリマー粒子の金属コーティング層は、ニッケル(Ni)、銅(Cu)、アルミニウム(Al)、銀(Ag)、金(Au)、白金(Pt)、鉛(Pb)、スズ(Sn)、これらの合金、またはこれらの組み合わせを含む、請求項4に記載の積層型キャパシタ。
【請求項7】
前記金属コーティング層の平均厚さは、5nmから200nmである、請求項4に記載の積層型キャパシタ。
【請求項8】
前記キャパシタボディーは、前記誘電体層と前記内部電極の積層方向に互いに対向する第1面および第2面、長さ方向に互いに対向する第3面および第4面、および幅方向に互いに対向する第5面および第6面を有し、
前記積層型キャパシタの幅方向の中央で前記幅方向と垂直に長さ方向と積層方向に切断した断面で、
前記第3面または前記第4面で前記第2層の積層方向の平均長さは、前記外部電極の積層方向の平均長さに対して20%から70%であり、
前記第1面で前記第2層の長さ方向の平均長さは、前記外部電極の長さ方向の平均長さに対して80%から100%である、請求項1に記載の積層型キャパシタ。
【請求項9】
前記第2層は、前記第1層の一部を覆い、他の一部を露出させる、請求項1に記載の積層型キャパシタ。
【請求項10】
前記キャパシタボディーは、前記誘電体層と前記内部電極の積層方向に互いに対向する第1面および第2面、長さ方向に互いに対向する第3面および第4面、および幅方向に互いに対向する第5面および第6面を有し、
前記第2層は前記第1面にのみ位置する、請求項9に記載の積層型キャパシタ。
【請求項11】
前記外部電極は、前記第1層および第2層を覆う第3層をさらに含む、請求項10に記載の積層型キャパシタ。
【請求項12】
前記第1層は、前記第1面、前記第2面、および前記第3面または前記第4面に位置し、
前記第2層は、前記第1面、および前記第3面または前記第4面に位置し、
前記第3層は、前記第1面、前記第2面、および前記第3面または前記第4面に位置する、請求項11に記載の積層型キャパシタ。
【請求項13】
前記第1層から前記第3層は、前記第5面および前記第6面に位置する、請求項12に記載の積層型キャパシタ。
【請求項14】
前記第3面または前記第4面で前記第2層の積層方向の平均長さは、前記第1層の積層方向の平均長さより小さいかまたは同一である、請求項10に記載の積層型キャパシタ。
【請求項15】
前記第2層は、導電性金属をさらに含む、請求項1~14のいずれか一項に記載の積層型キャパシタ。
【請求項16】
誘電体層および内部電極を含むキャパシタボディーを製造する段階、そして
前記キャパシタボディーの外側に外部電極を形成する段階を含み、
前記外部電極を形成する段階は、
前記キャパシタボディーの外側に第1層を形成する段階、
樹脂および伝導性ポリマー粒子を含む第2層形成用ペーストを前記第1層の少なくとも一部を覆うように塗布して第2層を形成する段階を含む、
積層型キャパシタの製造方法。
【請求項17】
前記第2層形成用ペーストで、樹脂と伝導性ポリマー粒子の合計重量に対して伝導性ポリマー粒子の含有量は、30重量%から85重量%である、請求項16に記載の積層型キャパシタの製造方法。
【請求項18】
前記第2層形成用ペーストを前記第1層の一部を覆、他の一部を露出させるように塗布して第2層を形成する、請求項16に記載の積層型キャパシタの製造方法。
【請求項19】
前記第1層および前記第2層を覆う第3層を形成する段階をさらに含む、請求項16~18のいずれか一項に記載の積層型キャパシタの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本記載は、積層型キャパシタおよびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車用電気装置産業、IT産業の技術発展により向上した性能および強い信頼性を満たす積層型キャパシタ(MLCC)に対する需要が増加している。特に、自動車用電気装置産業は、強い機械的応力環境での信頼性を要求しており、そのために積層型キャパシタも一定水準の曲げ強度特性を有する製品に対する需要が増加している。
【0003】
積層型キャパシタは、金属パウダーとバインダーを混合した後に焼結した外部電極を使用している。焼結型外部電極は、内部電極と電気的連結性に優れた長所があるが、軟性が低くて機械的応力に脆弱である。
【0004】
したがって、積層型キャパシタの機械的信頼性を向上させるために焼結型外部電極の外部に高分子樹脂と金属パウダーを混合した樹脂系外部電極を適用する。樹脂系外部電極は、焼結型外部電極に比べて軟性が高くて積層型キャパシタの機械的特性を向上させるが、焼結型外部電極より電気的連結性が低下するという問題がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本開示の一側面は、外部電極のモジュラス(modulus)がより低いため、曲げ強度を改善することができ、積層型キャパシタの振動による基板の震え(Acoustic noise)を減少させることができ、追加的な処理なしにメッキ層の形成が可能な、積層型キャパシタを提供することができる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
一側面による積層型キャパシタは、誘電体層および内部電極を含むキャパシタボディー、そしてキャパシタボディーの外側に配置される外部電極を含み、外部電極は、内部電極と連結された第1層、および第1層の少なくとも一部を覆う第2層を含み、第2層は、樹脂および伝導性ポリマー粒子を含む。
【0007】
伝導性ポリマー粒子は、ポリピロール、ポリアニリン、ポリチオフェン、[ポリ(3,4-エチレンジオキシチオフェン)]:[ポリ(スチレンスルホネート)](PEDOT:PSS)、またはこれらの組み合わせを含むことができる。
【0008】
伝導性ポリマー粒子の平均粒径は、0.1μmから5μmであり得る。
【0009】
伝導性ポリマー粒子は、表面に金属コーティング層をさらに含むことができる。
【0010】
伝導性ポリマー粒子は、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、ポリメチルアクリレート(PMA)、ポリスチレン、またはこれらの組み合わせを含むことができる。
【0011】
伝導性ポリマー粒子の金属コーティング層は、ニッケル(Ni)、銅(Cu)、アルミニウム(Al)、銀(Ag)、金(Au)、白金(Pt)、鉛(Pb)、スズ(Sn)、これらの合金、またはこれらの組み合わせを含むことができる。
【0012】
金属コーティング層の平均厚さは、5nmから200nmであり得る。
【0013】
キャパシタボディーは、前記誘電体層と前記内部電極の積層方向に互いに対向する第1面および第2面、長さ方向に互いに対向する第3面および第4面、および幅方向に互いに対向する第5面および第6面を有し、積層型キャパシタの幅方向の中央で幅方向と垂直に長さ方向と積層方向に切断した断面で、第3面または第4面で第2層の積層方向の平均長さは、外部電極の積層方向の平均長さに対して20%から70%であり、第1面で第2層の長さ方向の平均長さは、外部電極の長さ方向の平均長さに対して80%から100%であり得る。
【0014】
キャパシタボディーは、誘電体層と内部電極の積層方向に互いに対向する第1面および第2面、長さ方向に互いに対向する第3面および第4面、および幅方向に互いに対向する第5面および第6面を有することができる。
【0015】
第2層は、第1層の一部を覆い、他の一部を露出させることができる。
【0016】
第2層は、第1面にのみ位置することができる。
【0017】
第2層は、第1面に位置し、第2面には位置しないことができる。
【0018】
第1層は、第1面、第2面、および第3面または第4面に位置することができる。
【0019】
第2層は、第1面、および第3面または第4面に位置することができる。
【0020】
外部電極は、第1層および第2層を覆う第3層をさらに含むことができる。
【0021】
第3層は、第1面、第2面、および第3面または第4面に位置することができる。
【0022】
第1層から第3層は、第5面および第6面に位置することができる。
【0023】
第3面または第4面で第2層の積層方向の平均長さは、第1層の積層方向の平均長さより小さいかまたは同一であり得る。
【0024】
第2層は、導電性金属をさらに含むことができる。
【0025】
他の側面による積層型キャパシタの製造方法は、誘電体層および内部電極を含むキャパシタボディーを製造する段階、そしてキャパシタボディーの外側に外部電極を形成する段階を含み、外部電極を形成する段階は、キャパシタボディーの外側に第1層を形成する段階、樹脂および伝導性ポリマー粒子を含む第2層形成用ペーストを第1層の少なくとも一部を覆うように塗布して第2層を形成する段階を含む。
【0026】
第2層形成用ペーストで、樹脂と伝導性ポリマー粒子の合計重量に対して伝導性ポリマー粒子の含有量は、30重量%から85重量%であり得る。
【0027】
第2層形成用ペーストを第1層の一部を覆い、他の一部を露出させるように塗布して第2層を形成することができる。
【0028】
第1層および第2層を覆う第3層を形成する段階をさらに含むことができる。
【発明の効果】
【0029】
一側面による積層型キャパシタによれば、外部電極のモジュラス(modulus)がより低いため、曲げ強度を改善することができ、積層型キャパシタの振動による基板の震え(Acoustic noise)を減少させることができ、追加的な処理なしにメッキ層の形成が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0030】
図1】一側面による積層型キャパシタの平面図である。
図2】一側面による積層型キャパシタの他の平面図である。
図3】一側面による積層型キャパシタの側面図である。
図4】一側面による積層型キャパシタの他の側面図である。
図5】一側面による積層型キャパシタの断面図である。
図6】一側面による積層型キャパシタの他の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下、添付した図面を参照して本発明が属する技術分野における通常の知識を有する者が容易に実施することができるように本発明の実施例を詳しく説明する。図面において、本発明を明確に説明するために、説明上不要な部分は省略し、明細書全体にわたって同一または類似の構成要素については同一の参照符号を付した。また、添付した図面は、本明細書に開示された実施例を容易に理解できるようにするためのものに過ぎず、添付した図面により本明細書に開示された技術的な思想が制限されず、本発明の思想および技術範囲に含まれる全ての変更、均等物又は代替物を含むものと理解されなければならない。
【0032】
第1、第2などのように序数を含む用語は、多様な構成要素を説明することに使用され得るが、前記構成要素は前記用語により限定されない。前記用語は一つの構成要素を他の構成要素から区別する目的のみで使用される。
【0033】
ある構成要素が他の構成要素に「連結されて」いるか、または「接続されて」いると言及された時には、その他の構成要素に直接的に連結されているか、接続されているか、または対向していることもできるが、中間に他の構成要素が存在することもできると理解されなければならない。反面、ある構成要素が他の構成要素に「直接連結されて」いるか、または「直接接続されて」いると言及された時には、中間に他の構成要素が存在しないと理解されなければならない。
【0034】
明細書全体において、「含む」または「有する」などの用語は、明細書上に記載された特徴、数字、段層、動作、構成要素、部品またはこれらを組み合わせたものが存在することを指定しようとするものであり、一つまたはそれ以上の他の特徴や数字、段層、動作、構成要素、部品またはこれらを組み合わせたものの存在または付加可能性を予め排除しないものと理解されなければならない。したがって、ある部分がある構成要素を「含む」という時、これは特に反対になる記載がない限り、他の構成要素を除くのではなく、他の構成要素をさらに含むことができることを意味する。
【0035】
図1は一側面による積層型キャパシタの平面図であり、図2は一側面による積層型キャパシタの他の平面図であり、図3は一側面による積層型キャパシタの側面図であり、図4は一側面による積層型キャパシタの他の側面図であり、図5は一側面による積層型キャパシタの断面図であり、図6は一側面による積層型キャパシタの他の断面図である。
【0036】
本実施例を明確に説明するために方向を定義すれば、図面に表示されたL軸、W軸およびT軸は、それぞれキャパシタボディー110の長さ方向、幅方向および厚さ方向を示す。ここで、厚さ方向(T軸方向)は、シート形状の構成要素の広い面(周面)と垂直な方向であり得、一例として誘電体層111が積層される積層方向と同一の概念で使用することができる。長さ方向(L軸方向)は、シート形状の構成要素の広い面(周面)と平行に延長される方向であって、厚さ方向(T軸方向)とほぼ垂直な方向になり得、一例として両側に第1および第2外部電極131、132が位置する方向であり得る 。幅方向(W軸方向)は、シート形状の構成要素の広い面(周面)と平行に延長される方向であって、厚さ方向(T軸方向)および長さ方向(L軸方向)とほぼ垂直な方向であり得、シート形状の構成要素の長さ方向(L軸方向)の長さは幅方向(W軸方向)の長さより長くてもよい。
【0037】
図1から図6を参照すれば、本実施例による積層型キャパシタ100は、キャパシタボディー110、そしてキャパシタボディー110の長さ方向(L軸方向)に対向する両端に配置される第1および第2外部電極131、132を含むことができる。
【0038】
キャパシタボディー110は、一例として、ほぼ六面体形状であり得る。
【0039】
本実施例では、説明の便宜のために、キャパシタボディー110で厚さ方向(T軸方向)に互いに対向する両面を第1および第2面110a、110b、第1および第2面110a、110bと連結され、長さ方向(L軸方向)に互いに対向する両面を第3および第4面110e、110f、第1および第2面110a、110bと連結され、第3および第4面110e、110fと連結され、幅方向(W軸方向)に互いに対向する両面を第5および第6面110c、110dと定義する。
【0040】
一例として、下面である第1面110aが実装方向に向かう面になることができる。また、第1面から第6面110a、110b、110e、110f、110c、110dは平坦であってもよいが、本実施例はこれに限定されるのではなく、例えば第1面から第6面110a、110b、110e、110f、110c、110dは中央部が凸状の曲面であってもよく、各面の境界である角部はラウンド(round)になっていてもよい。
【0041】
キャパシタボディー110の形状、サイズおよび誘電体層111の積層数は、本実施例の図面に示されたものに限定されるのではない。
【0042】
キャパシタボディー110は、複数の誘電体層111を厚さ方向(T軸方向)に積層した後に焼成したものであり、複数の誘電体層111と誘電体層111を間に置いて厚さ方向(T軸方向)に交互に配置される複数の第1および第2内部電極121、122を含む。一例として、第1および第2内部電極121、122は互いに異なる極性を有することができる。
【0043】
この時、キャパシタボディー110の互いに隣接するそれぞれの誘電体層111の間の境界は、走査電子顕微鏡(SEM:Scanning Electron Microscope)を利用せずには確認し難い程度に一体化され得る。
【0044】
また、キャパシタボディー110は、アクティブ領域とカバー領域を含むことができる。
【0045】
アクティブ領域は、積層型キャパシタ100の容量形成に寄与する部分である。一例として、アクティブ領域は、厚さ方向(T軸方向)に沿って積層される第1および第2内部電極121、122が重なった(overlap)領域であり得る。
【0046】
カバー領域は、マージン部として厚さ方向(T軸方向)にアクティブ領域の第1面110aおよび第2面110b側にそれぞれ位置することができる。このようなカバー領域は、単一の誘電体層111または2個以上の誘電体層111がアクティブ領域の上面および下面にそれぞれ積層されたものであり得る。
【0047】
また、キャパシタボディー110は、側面カバー領域をさらに含むことができる。側面カバー領域は、マージン部として幅方向(W軸方向)にアクティブ領域の第5および第6面110c、110d側にそれぞれ位置することができる。このような側面カバー領域は、誘電体グリーンシート表面に内部電極形成用導電性ペースト層を塗布する時、誘電体グリーンシート表面の一部領域にのみ導電性ペースト層を塗布し、誘電体グリーンシート表面の両側面には導電性ペースト層を塗布していない誘電体グリーンシートを積層した後、焼成することにより形成され得る。
【0048】
カバー領域と側面カバー領域は、物理的または化学的ストレスによる第1および第2内部電極121、122の損傷を防止する役割になる。
【0049】
一例として、誘電体層111は、高誘電率のセラミック材料を含むことができる。例えば、セラミック材料は、BaTiO、CaTiO、SrTiO、またはCaZrOなどの成分を含む誘電体セラミックを含むことができる。また、これら成分にMn化合物、Fe化合物、Cr化合物、Co化合物、Ni化合物などの補助成分をさらに含むことができる。例えば、BaTiO系誘電体セラミックにCa、Zrなどが一部固溶された(Ba1-xCa)TiO、Ba(Ti1-yCa)O、(Ba1-xCa)(Ti1-yZr)OまたはBa(Ti1-yZr)Oなどを含むことができる。
【0050】
また、誘電体層111にはセラミック粉末と共に、セラミック添加剤、有機溶剤、可塑剤、結合剤および分散剤などがさらに添加され得る。セラミック添加剤は、例えば遷移金属酸化物または遷移金属炭化物、希土類元素、マグネシウム(Mg)またはアルミニウム(Al)などを使用することができる。
【0051】
一例として、誘電体層111の平均厚さは、0.5μmから10μmであり得る。
【0052】
第1および第2内部電極121、122は、互いに異なる極性を有する電極であり、誘電体層111を間に置いて厚さ方向(T軸方向)に沿って互いに対向するように交互に配置され、一端がキャパシタボディー110の第3および第4面110e、110fを通じてそれぞれ露出することができる。
【0053】
第1および第2内部電極121、122は、中間に配置された誘電体層111により互いに電気的に絶縁され得る。
【0054】
キャパシタボディー110の第3および第4面110e、110fを通じて交互に露出する第1および第2内部電極121、122の端部は、第1および第2外部電極131、132とそれぞれ接続されて電気的に連結され得る。
【0055】
第1および第2内部電極121、122は、導電性金属を含み、例えばNi、Cu、Ag、Pd、またはAuなどの金属やこれらの合金、例えばAg-Pd合金を含むことができる。
【0056】
また、第1および第2内部電極121、122は、誘電体層111に含まれるセラミック材料と同一の組成系の誘電体粒子を含むこともできる。
【0057】
第1および第2内部電極121、122は、導電性金属を含む導電性ペーストを使用して形成され得る。導電性ペーストの印刷方法は、スクリーン印刷法またはグラビア印刷法などを利用することができる。
【0058】
一例として、第1および第2内部電極121、122の平均厚さは、0.1μmから2μmであり得る。
【0059】
第1および第2外部電極131、132は、互いに異なる極性の電圧が提供され、第1および第2内部電極121、122の露出する部分とそれぞれ接続されて電気的に連結され得る。
【0060】
前述のような構成により、第1および第2外部電極131、132に所定の電圧を印加すると互いに対向する第1および第2内部電極121、122の間に電荷が蓄積される。この時、積層型キャパシタ100の静電容量は、アクティブ領域でT軸方向に沿って互いに重なる第1および第2内部電極121、122のオーバーラップされた面積と比例するようになる。
【0061】
第1および第2外部電極131、132は、それぞれ第1から第4電極部131a、132a、131b、132b、131c、132c、131e、132eを有することができる。第1電極部131a、132aは第1面110aの上に配置されている。第2電極部131b、132bは第2面110bの上に配置されている。第3電極部131c、132cは一対の第5および第6面110c、110dに配置されている。第4電極部131e、132eは対応する第3および第4面110e、110fに配置されている。つまり、第1および第2外部電極131、132は、それぞれ第1および第2面110a、110b、第5および第6面110c、110d、および第3または第4面110e、110fの5個の面に配置されている。互いに隣り合う第1から第4電極部131a、132a、131b、132b、131c、132c、131e、132e同士はキャパシタボディー110の角部で連結されており、電気的に連結されている。
【0062】
第4電極部131e、132eは、第1および第2内部電極121、122の第3および第4面110e、110fに露出された一端を覆っている。第1および第2内部電極121、122は第4電極部131e、132eと直接的に連結され、第1および第2内部電極121、122はそれぞれ第1および第2外部電極131、132に電気的に接続されている。
【0063】
第1および第2外部電極131、132は、それぞれ第1層1311、1321、第2層1312、1322、および選択的に第3層1313、1323を有する。第3層1313、1323は第1および第2外部電極131、132の最外層を構成することができる。
【0064】
第1電極部131a、132aは、第1層1311、1321、第2層1312、1322、および第3層1313、1323を有する。つまり、第1電極部131a、132aは3層構造である。第1電極部131a、132aでは第1層1311、1321全体が第2層1312、1322で覆われ得る。
【0065】
第2電極部131b、132bは、第1層1311、1321および第3層1313、1323を有し、第2層1312、1322を有さない。つまり、第2電極部131b、132bは2層構造である。
【0066】
第3電極部131c、132cは、第1領域131c1、132c1と第2領域131c2、132c2を有する。第2領域131c2、132c2は第1領域131c1、132c1よりも第1面110a側に近くに位置している。第1領域131c1、132c1は、第1層1311、1321および第3層1313、1323を有し、第2層1312、1322を有さない。つまり、第1領域131c1、132c1は2層構造である。第2領域131c2、132c2は、第1層1311、1321、第2層1312、1322、および第3層1313、1323を有する。つまり、第2領域131c2、132c2は3層構造である。
【0067】
第4電極部131e、132eは、第1領域131e1、132e1と第2領域131e2、132e2を有する。第2領域131e2、132e2は第1領域131e1、132e1よりも第1面110a側に近くに位置している。第1領域131e1、132e1は、第1層1311、1321および第3層1313、1323を有し、第2層1312、1322を有さない。つまり、第1領域131e1、132e1は2層構造である。第2領域131e2、132e2は、第1層1311、1321、第2層1312、1322、および第3層1313、1323を有する。つまり、第2領域131e2、132e2は3層構造である。
【0068】
第1層1311、1321は、キャパシタボディー110と直接接触し、キャパシタボディー110の第3および第4面110e、110fにそれぞれ配置されて第1および第2内部電極121、122と連結される。第1層1311、1321は、第1電極部131a、132a、第2電極部131b、132b、第3電極部131c、132cの第1領域131c1、132c1および第2領域131c2、132c2、および第4電極部131e、132eの第1領域131e1、132e1および第2領域131e2、132e2に位置する。つまり、第1層1311、1321は、第1面110a、第2面110b、第3面110e、第4面110f、第5面110c、および第6面110dに位置することができる。一例として、第1層1311、1321は焼結金属層であり得る。
【0069】
第2層1312、1322は、第1層1311、1321の一部の領域を覆い、他の一部を露出させるように配置されている。第2層1312、1322は、第1電極部131a、132a、第3電極部131c、132cの第2領域131c2、132c2、および第4電極部131e、132eの第2領域131e2、132e2に位置する。つまり、第2層1312、1322は、第1面110aにのみ位置することができる。または第2層1312、1322は、第2面110bには位置しないことができる。第2層1312、1322は、第1面110a、第3面110eまたは第4面110f、第5面110c、および第6面110dに位置することができる。第2層1312、1322が第1面110aに位置し、第2面110bには位置しない場合、曲げストレスが両方向に分離されるため、ベンディングクラック(crack)に耐える力がより増加することができる。反面、第2層1312、1322が第1面110a、第2面110b、第3面110eまたは第4面110f、第5面110c、および第6面110dに全て位置する場合、接触抵抗が増加してESR(Equivalent Series Resistance)が増加することができる。
【0070】
一例として、第2層1312、1322は、樹脂および伝導性ポリマー粒子を含む伝導性樹脂層であり得る。
【0071】
第3層1313、1323は、第2層1312、1322、および露出した第1層1311、1321の全体領域を覆うように配置されている。第3層1313、1323は、第1電極部131a、132a、第2電極部131b、132b、第3電極部131c、132cの第1領域131c1、132c1および第2領域131c2、132c2、および第4電極部131e、132eの第1領域131e1、132e1および第2領域131e2、132e2に位置する。つまり、第3層1313、1323は、第1面110a、第2面110b、第3面110e、第4面110f、第5面110c、および第6面110dに位置することができる。一例として、第3層1313、1323はメッキ層であり得る。
【0072】
第1から第4電極部131a、132a、131b、132b、131c、132c、131e、132eがそれぞれ有している第1層1311、1321は一体に連結され得る。第1、第3、および第4電極部131a、132a、131c、132c、131e、132eがそれぞれ有している第2層1312、1322は一体に連結され得る。第1から第4電極部131a、132a、131b、132b、131c、132c、131e、132eがそれぞれ有している第3層1313、1323は一体に連結され得る。
【0073】
以下、第1層から第3層1311、1321、1312、1322、1313、1323の平均長さは、積層型キャパシタ100の幅方向(W軸方向)の中央(1/2地点)で幅方向(W軸方向)と垂直に長さ方向と積層方向に切断した断面(L軸方向およびT軸方向断面)、例えば幅方向の中央で幅方向と垂直に切断した断面を走査電子顕微鏡(SEM)または走査透過電子顕微鏡(STEM)などにより観察することにより分析することができる。また、その測定は、少なくとも3個の互いに異なる断面で実施してその算術平均値を算出することができる。
【0074】
また、第2層1312、1322の樹脂または伝導性ポリマー粒子の平均粒径、平均面積、および成分などは、SEMまたはSTEMなどの断面観察により得られた断面写真を電子線マイクロアナライザー(EPMA)で分析することにより測定することができる。電子線マイクロアナライザー(EPMA)で成分分析などを行う場合、X線分光器として、EDS(エネルギー分散型分光器)、またはWDS(波長分散型分光器)などを使用することができる。例えば、SEMの反射電子像やSTEMのHAADF像などで第1および第2外部電極131、132の断面を観察した場合、金属結合を有する導電性金属はコントラストの明るい部分と認識することができ、樹脂または伝導性ポリマー粒子などの非金属成分(その他、空隙や酸化物も含む)はコントラストの暗い部分と認識することができる。したがって、第2層1312、1322の樹脂および伝導性ポリマー粒子の平均面積は、断面写真を二進化するなど、測定視野全体の面積に対するコントラストが明るい部分の面積比率で算出することができる。また、その測定は、少なくとも3個の異なる断面で実施してその算術平均値を算出することができる。
【0075】
また、伝導性ポリマー粒子の粒径は、伝導性ポリマー粒子の最大長軸とこれに直交する短縮のうちの最大短縮の平均値で測定することができ、伝導性ポリマー粒子の平均粒子サイズは3個、5個、または10個の伝導性ポリマー粒子の粒子サイズの算術平均値で計算することができる。
【0076】
第3面110eで第2層1312の積層方向(T軸方向)の平均長さは、第1層1311の積層方向(T軸方向)の平均長さより小さいかまたは同一である。一例として、第3面110eで第2層1312の積層方向(T軸方向)の平均長さは、第1外部電極131の積層方向(T軸方向)の平均長さに対して20%から70%であり得る。第3面110eで第2層1312の積層方向(T軸方向)の平均長さが第1外部電極131の積層方向(T軸方向)の平均長さに対して70%超過である場合、接触抵抗が低下してESR(Equivalent Series Resistance)が低下することがある。同様に、第4面110fで第2層1322の積層方向(T軸方向)の平均長さは、第1層1321の積層方向(T軸方向)の平均長さより小さかいかまたは同一であり得る。
【0077】
曲げ強度特性は、第2層1312、1322により向上するため、第2層1312、1322の厚さ、つまり、第3面110eで長さ方向(L軸方向)の平均長さは、例えば、2μm以上、または5μmから10μmであり得る。第2層1312、1322の第3面110eまたは第4面110fで長さ方向(L軸方向)の平均長さが2μm未満である場合、曲げ強度向上の程度が微々になることがある。
【0078】
第1面110aで、第2層1312、1322の長さ方向の平均長さは、第1層1311、1321の長さ方向の平均長さより大きいかまたは同一である。一例として、第1面110aで第2層1312の長さ方向の平均長さは、第1外部電極131の長さ方向の平均長さに対して80%から100%であり得る。同様に、第1面110aで第2層1322の長さ方向の平均長さは、第2外部電極132の長さ方向の平均長さに対して80%から100%であり得る。そのために、第1面110aで、第2層1312、1322は第1層1311、1321を全て覆うように配置され得る。
【0079】
第1層1311、1321は、例えば、焼結金属層であり得る。焼結金属層は、導電性金属およびガラスを含むことができる。
【0080】
一例として、焼結金属層は、導電性金属として銅(Cu)、ニッケル(Ni)、銀(Ag)、パラジウム(Pd)、金(Au)、白金(Pt)、スズ(Sn)、タングステン(W)、チタニウム(Ti)、鉛(Pb)、これらの合金、またはこれらの組み合わせを含むことができ、例えば銅(Cu)は銅(Cu)合金を含むことができる。導電性金属が銅を含む場合、銅以外の金属は銅100モル部に対して5モル部以下で含まれ得る。
【0081】
一例として、焼結金属層は、ガラスとして酸化物が混合された組成を含むことができ、例えばケイ素酸化物、ホウ素酸化物、アルミニウム酸化物、遷移金属酸化物、アルカリ金属酸化物およびアルカリ土類金属酸化物からなる群より選択された一つ以上であり得る。遷移金属は、亜鉛(Zn)、チタニウム(Ti)、銅(Cu)、バナジウム(V)、マンガン(Mn)、鉄(Fe)およびニッケル(Ni)からなる群より選択され、アルカリ金属は、リチウム(Li)、ナトリウム(Na)およびカリウム(K)からなる群より選択され、アルカリ土類金属は、マグネシウム(Mg)、カルシウム(Ca)、ストロンチウム(Sr)およびバリウム(Ba)からなる群より選択された一つ以上であり得る。
【0082】
焼結金属層で導電性金属とガラスの含有量は特に限定されないが、例えば積層型キャパシタ100の幅方向(W軸方向)の中央(1/2地点)で幅方向(W軸方向)と垂直に長さ方向と積層方向に切断した断面(L軸方向およびT軸方向断面)で導電性金属の平均面積比率は、焼結金属層1311、1321の単位面積に対して30%から90%、または70%から90%であり得る。
【0083】
第2層1312、1322は、伝導性樹脂層であり得る。
【0084】
伝導性樹脂層は、樹脂および伝導性ポリマー粒子を含む。
【0085】
第1面110a、例えば実装面に主に位置する第2層1312、1322が伝導性樹脂層を含む場合、曲げストレス(stress)を減少させて曲げ強度を改善することができ、伝導性樹脂層が伝導性ポリマー粒子を含むことにより、別途の処理なしにメッキ層を形成することができ、従来の伝導性樹脂層が銅(Cu)などの金属粒子を含むものと比較して、金属粒子を含まなくてもよいため、モジュラス(modulus)がより低くて曲げ強度を改善することができ、積層型キャパシタ100の振動による基板の震え(Acoustic noise)を減少させることができる。
【0086】
伝導性樹脂層に含まれる樹脂は、接合性および衝撃吸収性を有し、導電性金属粉末と混合してペーストを作ることができるものであれば特に制限されず、例えばフェノール樹脂、アクリル樹脂、シリコン樹脂、エポキシ樹脂、またはポリイミド樹脂を含むことができる。
【0087】
伝導性樹脂層に含まれる伝導性ポリマー粒子は、第1および第2内部電極121、122、焼結金属層、またはメッキ層と電気的に連結されるようにする役割になる。
【0088】
伝導性ポリマー粒子は、伝導性ポリマーの粒子形態であり得、ここで伝導性ポリマーは、ポリピロール、ポリアニリン、ポリチオフェン、[ポリ(3,4-エチレンジオキシチオフェン)]:[ポリ(スチレンスルホネート)](PEDOT:PSS)、またはこれらの組み合わせを含むことができる。
【0089】
伝導性ポリマー粒子の平均粒径は、0.1μmから5μm、例えば1μmから3μmであり得る。伝導性ポリマー粒子の平均粒径が0.1μm未満である場合、分散および塗布作業性が低下することがあり、5μmを超える場合、伝導性ポリマー粒子間の接触性が悪くなって抵抗が増加することがある。
【0090】
伝導性ポリマー粒子は、表面に金属コーティング層をさらに含むことができる。
【0091】
伝導性ポリマー粒子が表面に金属コーティング層をさらに含む場合、金属コーティング層が伝導性を付与した役割になることができるため、伝導性ポリマー粒子は、伝導性を有さないポリマーからなることができる。例えば、伝導性ポリマー粒子は、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、ポリメチルアクリレート(PMA)、ポリスチレンなどの粒子形態(球形または半球形)を有する大部分のポリマーに金属コーティング層を形成することにより伝導性ポリマーとして製造され得る。
【0092】
伝導性樹脂層が金属コーティング層を含む伝導性ポリマー粒子を含む場合、表面コーティングされた金属成分により電気伝導性は良好に維持されながらポリマー粒子により低いモジュラスを有することができるため、曲げ強度をより改善することができる。また、アコースティックノイズ(Acoustic noise)は、積層型キャパシタ100の振動が基板に伝達されて基板が振動するため騒音が発生するが、伝導性ポリマー粒子を含む場合、基板振動が伝導性ポリマー粒子振動に伝達されながらアコースティックノイズ(Acoustic noise)がより減少する効果を得ることができる。
【0093】
伝導性ポリマー粒子の金属コーティング層は、ニッケル(Ni)、銅(Cu)、アルミニウム(Al)、銀(Ag)、金(Au)、白金(Pt)、鉛(Pb)、スズ(Sn)、これらの合金、またはこれらの組み合わせを含むことができ、例えば金属コーティング層は銅(Cu)を含むことができる。
【0094】
金属コーティング層の平均厚さは、5nmから200nm、または20nmから100nmであり得る。金属コーティング層の平均厚さが5nm未満である場合、伝導性が悪くなることがあり、200nmを超える場合、金属コーティングの均一性が悪くなることがある。
【0095】
選択的に、第2層1312、1322は、導電性金属をさらに含むことができる。第2層1312、1322に含まれる導電性金属は、第2層1312、1322が第1および第2内部電極121、122、焼結金属層、またはメッキ層と電気的により良好に連結されるようにすることができる。
【0096】
伝導性樹脂層に含まれる導電性金属は、球状、フレーク状、またはこれらの組み合わせの形態を有することができる。つまり、導電性金属は、フレーク状のみからなるか、球状のみからなることができ、フレーク状と球状が混合された形態であってもよい。
【0097】
ここで、球状は完全な球状でない形態も含むことができ、例えば長軸と短軸の長さ比率(長軸/短縮)が1.45以下である形態を含むことができる。フレーク状粉末は、平坦で細長い形態を有する粉末を意味し、特に制限されるのではないが、例えば長軸と短軸の長さ比率(長軸/短縮)が1.95以上であり得る。
【0098】
伝導性樹脂層は、導電性金属として銅(Cu)、銀(Ag)、ニッケル(Ni)、またはこれらの混合物を含むことができる。
【0099】
第3層1314、1324は、メッキ層であり得る。
【0100】
メッキ層は、ニッケル(Ni)、銅(Cu)、スズ(Sn)、パラジウム(Pd)、白金(Pt)、金(Au)、銀(Ag)、タングステン(W)、チタニウム(Ti)または鉛(Pb)などの単独またはこれらの合金を含むことができる。一例として、メッキ層は、ニッケル(Ni)メッキ層またはスズ(Sn)メッキ層であってもよく、ニッケル(Ni)メッキ層およびスズ(Sn)メッキ層が順次に積層された形態であってもよく、スズ(Sn)メッキ層、ニッケル(Ni)メッキ層およびスズ(Sn)メッキ層が順次に積層された形態であってもよい。また、メッキ層は、複数のニッケル(Ni)メッキ層および/または複数のスズ(Sn)メッキ層を含むこともできる。
【0101】
メッキ層は、積層型キャパシタ100の基板との実装性、構造的信頼性、外部に対する耐久度、耐熱性および等価直列抵抗値(Equivalent Series Resistance、ESR)を改善することができる。
【0102】
他の実施例による積層型キャパシタの製造方法は、誘電体層および内部電極を含むキャパシタボディーを製造する段階、そしてキャパシタボディーの外側に外部電極を形成する段階を含む。
【0103】
まず、キャパシタボディーの製造について説明する。キャパシタボディーの製造工程では、焼成後に誘電体層になる誘電体用ペーストと、焼成後に内部電極になる導電性ペーストとを準備する。
【0104】
誘電体用ペーストは、例えば次のような方法で製造する。セラミック材料を湿式混合などの手段により均一に混合し、乾燥させた後、所定の条件で熱処理することにより、可塑粉末を得る。得られた可塑粉末に、有機ビヒクルまたは水系ビヒクルを追加して混練して誘電体用ペーストを調製する。
【0105】
得られた誘電体用ペーストをドクターブレード法などの技法によりシート化することにより、誘電体グリーンシートを得る。また、誘電体用ペーストには、必要に応じて各種分散剤、可塑剤、誘電体、副成分化合物、またはガラスなどから選択される添加物が含まれ得る。
【0106】
内部電極用導電性ペーストは、導電性金属またはその合金からなる導電性粉末とバインダーや溶剤を、混練して調製する。内部電極用導電性ペーストには、必要に応じて共材としてセラミック粉末(例えばチタン酸バリウム粉末)が含まれ得る。共材は、焼成過程で導電性粉末の焼結を抑制する作用をすることができる。
【0107】
誘電体グリーンシート表面に、スクリーン印刷などの各種印刷法や転写法により、内部電極用導電性ペーストを所定のパターンで塗布する。そして内部電極パターンを形成した誘電体グリーンシートを複数層にかけて積層した後、積層方向にプレスすることにより誘電体グリーンシート積層体を得る。この時、誘電体グリーンシート積層体の積層方向の上面および下面には、誘電体グリーンシートが位置するように、誘電体グリーンシートと内部電極パターンを積層することができる。
【0108】
選択的に、得られた誘電体グリーンシート積層体をダイシングなどにより所定のサイズに切断することができる。
【0109】
また、誘電体グリーンシート積層体は、必要に応じて可塑剤などを除去するために固化乾燥することができ、固化乾燥後に水平遠心バレル機などを利用してバレル研磨することができる。バレル研磨では、誘電体グリーンシート積層体をメディアおよび研磨液と共に、バレル容器内に投入してそのバレル容器に対して回転運動や振動などを付与することにより、切断時に発生したバリなどの不必要な部分を研磨することができる。またバレル研磨後、誘電体グリーンシート積層体は、水などの洗浄液で洗浄して乾燥され得る。
【0110】
誘電体グリーンシート積層体を脱バインダー処理および焼成処理してキャパシタボディーを得る。
【0111】
脱バインダー処理の条件は、誘電体層の主成分組成や内部電極の主成分組成により適切に調節することができる。例えば、脱バインダー処理時の昇温速度は5℃/時間から300℃/時間、保持温度は180℃から400℃、温度維持時間は0.5時間から24時間であり得る 。脱バインダー雰囲気は空気または還元性雰囲気であり得る 。
【0112】
焼成処理の条件は、誘電体層の主成分組成や内部電極の主成分組成により適切に調節することができる。例えば、焼成時の温度は1200℃から1350℃、または1220℃から1300℃であり得、時間は0.5時間から8時間、または1時間から3時間であり得る 。焼成雰囲気は還元性雰囲気であり得、例えば窒素ガス(N)と水素ガス(H)の混合ガスを加湿した雰囲気であり得る 。内部電極がニッケル(Ni)またはニッケル(Ni)合金を含む場合、焼成雰囲気中の酸素分圧は1.0×10-14MPaから1.0×10-10MPaであり得る 。
【0113】
焼成処理後には、必要に応じてアニーリングを実施することができる。アニーリングは、誘電体層を再酸化させるための処理であり、焼成処理を還元性雰囲気で実施した場合には、アニーリングを実施することができる。アニーリング処理の条件も誘電体層の主成分組成などにより適切に調節することができる。例えば、アニーリング時の温度は950℃から1150℃であり得、時間は0時間から20時間であり得、昇温速度は50℃/時間から500℃/時間であり得る 。アニーリング雰囲気は加湿した窒素ガス(N)雰囲気であり得、酸素分圧は1.0×10-9MPaから1.0×10-5MPaであり得る 。
【0114】
脱バインダー処理、焼成処理、またはアニーリング処理において、窒素ガスや混合ガスなどを加湿するためには、例えばウェッター(wetter)などを使用することができ、この場合、水温は5℃から75℃であり得る 。脱バインダー処理、焼成処理、およびアニーリング処理は、連続して行うこともでき、独立して行うこともできる。
【0115】
選択的に、得られたキャパシタボディーの第3および第4面に対して、サンドブラスト処理、レーザ照射、またはバレル研磨などの表面処理を実施することができる。このような表面処理を実施することにより、第3および第4面の最表面に第1および第2内部電極の端部が露出することができ、そのために第1および第2外部電極と第1および第2内部電極との電気的接合が良好に行われ、合金部が形成されやすくなり得る。
【0116】
選択的に、得られたキャパシタボディーの外面に、第1層形成用ペーストを塗布した後に焼結させて、第1層を形成することができる。
【0117】
第1層形成用ペーストは、導電性金属とガラスを含むことができる。導電性金属とガラスに関する説明は、前述と同様であるため、反復的な説明は省略する。また、第1層形成用ペーストは、選択的にバインダー、溶剤、分散剤、可塑剤、または酸化物粉末などの副成分を含むことができる。例えば、バインダーは、エチルセルロース、アクリル、またはブチラール(butyral)などを使用することができ、溶剤は、テルピネオール、ブチルカルビトール、アルコール、メチルエチルケトン、アセトン、またはトルエンなどの有機溶剤や、水系溶剤を使用することができる。
【0118】
第1層形成用ペーストをキャパシタボディー外面に塗布する方法としては、ディップ法、またはスクリーン印刷などの各種印刷法、ディスペンサーなどを利用した塗布法、またはスプレーを利用した噴霧法などを使用することができる。焼結金属層用ペーストは、少なくともキャパシタボディーの第3および第4面に塗布され、選択的に第1および第2外部電極のバンド部が形成される第1面、第2面、第5面、または第6面の一部にも塗布され得る。
【0119】
以降、第1層形成用ペーストが塗布されたキャパシタボディーを乾燥させ、700℃から1000℃の温度で0.1時間から3時間焼結させて、第1層を形成する。
【0120】
得られたキャパシタボディーの外面に、第2層形成用ペーストを塗布した後に硬化して、第2層を形成することができる。
【0121】
第2層形成用ペーストは、樹脂および伝導性ポリマー粒子を含むことができる。樹脂と伝導性ポリマー粒子に関する説明は、前述と同様であるため、反復的な説明は省略する。また、第2層形成用ペーストは、選択的にバインダー、溶剤、分散剤、可塑剤、または酸化物粉末などの副成分を含むことができる。例えば、バインダーは、エチルセルロース、アクリル、またはブチラール(butyral)などを使用することができ、溶剤は、テルピネオール、ブチルカルビトール、アルコール、メチルエチルケトン、アセトン、またはトルエンなどの有機溶剤や、水系溶剤を使用することができる。
【0122】
一例として、第2層形成用ペーストで、樹脂と伝導性ポリマー粒子の合計重量に対して伝導性ポリマー粒子の含有量は、30重量%から85重量%、例えば50重量%から80重量%であり得る。第2層形成用ペーストで伝導性ポリマー粒子の含有量が30重量%未満である場合、伝導性が低下することがあり、85重量%を超える場合、ペースト作業性が低下することがある。
【0123】
一例として、第2層の形成方法は、第2層形成用ペーストにキャパシタボディー110をディッピングして形成した後に硬化したり、第2層形成用ペーストをキャパシタボディー110の表面にスクリーン印刷法またはグラビア印刷法などで印刷したり、第2層形成用ペーストをキャパシタボディー110の表面に塗布した後に硬化して形成することができる。
【0124】
ただし、この時、第2層形成用ペーストは、第1層の一部を覆い、他の一部を露出させるように塗布され得る。例えば、第2層が第2面には位置せず、第1面、第3面の一部、第5面の一部、および第6面の一部に位置するように、第2層形成用ペーストを塗布することができる。
【0125】
次に、第2層の外側に第3層を形成する。
【0126】
一例として、第3層は、メッキ法により形成されることができ、スパッタまたは電解メッキ(Electric Deposition)により形成されることもある。
【0127】
以下、発明の具体的な実施例を提示する。ただし、下記に記載された実施例は発明を具体的に例示したり説明するためのものに過ぎず、これにより発明の範囲が制限されてはならない。
【0128】
[製造例:積層型キャパシタの製造]
【0129】
(実施例1)
【0130】
チタン酸バリウム(BaTiO)粉末を含むペーストをキャリアフィルム(carrier film)の上に塗布した後、乾燥して誘電体グリーンシートを複数個製造する。
【0131】
ニッケル(Ni)を含む導電性ペーストをスクリーン印刷を利用して誘電体グリーンシートの上に塗布して導電性ペースト層を形成する。
【0132】
導電性ペースト層の少なくとも一部が重なるようにしながら誘電体グリーンシートを複数層積層して誘電体グリーンシート積層体を製造する。
【0133】
誘電体グリーンシート積層体を個別チップの形態に切断した後、大気雰囲気で230℃、60時間維持して脱バインダーを行い、1200℃で焼成してキャパシタボディーを製造する。
【0134】
次に、ガラスと導電性金属として銅(Cu)を含む焼結金属層用ペーストをキャパシタボディーの外面にディップ法で塗布して乾燥させた後、焼結して焼結金属層を形成する。
【0135】
次に、エポキシ樹脂と伝導性ポリマー粒子を含む伝導性樹脂層用ペーストをキャパシタボディーの第1面の一部にディップ法で塗布して乾燥させた後、硬化して伝導性樹脂層を形成する。この時、伝導性樹脂層用ペーストは、エポキシ樹脂と伝導性ポリマー粒子の合計重量に対して伝導性ポリマー粒子を65重量%で含み、伝導性ポリマー粒子は、平均粒径が2μmであるPMMAポリマー粒子表面にAg金属コーティング層が50nmの平均厚さに形成されたものである。
【0136】
以降、ニッケル(Ni)およびスズ(Sn)メッキを行い、積層型キャパシタを製造する。
【0137】
(比較例1)
【0138】
チタン酸バリウム(BaTiO)粉末を含むペーストをキャリアフィルム(carrier film)の上に塗布した後、乾燥して誘電体グリーンシートを複数個製造する。この時、セラミック原料は、副成分としてTbを含む。
【0139】
ニッケル(Ni)を含む導電性ペーストをスクリーン印刷を利用して誘電体グリーンシートの上に塗布して導電性ペースト層を形成する。
【0140】
導電性ペースト層の少なくとも一部が重なるようにしながら誘電体グリーンシートを複数層積層して誘電体グリーンシート積層体を製造する。
【0141】
誘電体グリーンシート積層体を個別チップの形態に切断した後、大気雰囲気で230℃、60時間維持して脱バインダーを行い、1200℃で焼成してキャパシタボディーを製造する。
【0142】
次に、ガラスと導電性金属として銅(Cu)を含む焼結金属層用ペーストをキャパシタボディーの外面にディップ法で塗布して乾燥させた後、焼結して焼結金属層を形成する。
【0143】
次に、エポキシ樹脂と導電性金属として銅(Cu)粉末を含む伝導性樹脂層用ペーストをキャパシタボディーの第1面の一部にディップ法で塗布して乾燥させた後、硬化して伝導性樹脂層を形成する。
【0144】
伝導性樹脂層が形成されたキャパシタボディーにニッケル(Ni)およびスズ(Sn)メッキを行い、積層型キャパシタを製造する。
【0145】
(比較例2)
【0146】
チタン酸バリウム(BaTiO)粉末を含むペーストをキャリアフィルム(carrier film)の上に塗布した後、乾燥して誘電体グリーンシートを複数個製造する。この時、セラミック原料は、副成分としてTbを含む。
【0147】
ニッケル(Ni)を含む導電性ペーストをスクリーン印刷を利用して誘電体グリーンシートの上に塗布して導電性ペースト層を形成する。
【0148】
導電性ペースト層の少なくとも一部が重なるようにしながら誘電体グリーンシートを複数層積層して誘電体グリーンシート積層体を製造する。
【0149】
誘電体グリーンシート積層体を個別チップの形態に切断した後、大気雰囲気で230℃、60時間維持して脱バインダーを行い、1200℃で焼成してキャパシタボディーを製造する。
【0150】
次に、ガラスと導電性金属として銅(Cu)を含む焼結金属層用ペーストをキャパシタボディーの外面にディップ法で塗布して乾燥させた後、焼結して焼結金属層を形成する。
【0151】
次に、ポリピロールと導電性金属として銅(Cu)粉末を含む伝導性樹脂層用ペーストをキャパシタボディーの第1面の一部にディップ法で塗布して乾燥させた後、硬化して伝導性樹脂層を形成する。
【0152】
伝導性樹脂層が形成されたキャパシタボディーにニッケル(Ni)およびスズ(Sn)メッキを行い、積層型キャパシタを製造する。
【0153】
[実験例1:積層型キャパシタの性能分析]
【0154】
実施例1、比較例1、および比較例2で製造された積層型キャパシタの曲げ強度およびアコースティックノイズ(Acoustic noise)性能を測定し、その結果を表1に整理する。
【0155】
曲げ強度は、100mm×40mm、厚さ1.6mm基板で実装後、基板を1mm/s加圧して曲げの発生を測定する。
【0156】
アコースティックノイズ(Acoustic noise)は、1.6mm×0.8mm製品の12.5V(DC)+2Vpp(AC)、周波数300kHzから20kHz、正弦波(Sine Wave)条件で測定する。
【0157】
【表1】
表1を参照すれば、実施例1で製造された積層型キャパシタは、モジュラス(modulus)がより低いため曲げ強度を改善することができ、積層型キャパシタの振動による基板の震え(Acoustic noise)を減少させることができることを確認することができる。
【0158】
以上を通じて本発明の好ましい実施例について説明したが、本発明はこれに限定されるのではなく、特許請求の範囲と発明の説明および添付した図面の範囲内で多様に変形して実施することが可能であり、これも本発明の範囲に属することは当然である。
【符号の説明】
【0159】
100:積層型キャパシタ
110:キャパシタボディー
111:誘電体層
121:第1内部電極
122:第2内部電極
131:第1外部電極
132:第2外部電極
1311、1321:第1層
1312、1322:第2層
1313、1323:第3層
110a、110b:第1および第2面
110e、110f:第3および第4面
110c、110d:第5および第6面
131a、132a:第1電極部
131b、132b:第2電極部
131c、132c:第3電極部
131e、132e:第4電極部
131c1、132c1:第1領域
131c2、132c2:第2領域
131e1、132e1:第1領域
131e2、132e2:第2領域
図1
図2
図3
図4
図5
図6