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特開2024-114612積層型キャパシタおよびその製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024114612
(43)【公開日】2024-08-23
(54)【発明の名称】積層型キャパシタおよびその製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01G 4/30 20060101AFI20240816BHJP
   H01G 4/224 20060101ALI20240816BHJP
【FI】
H01G4/30 201M
H01G4/30 517
H01G4/30 515
H01G4/30 311Z
H01G4/30 201L
H01G4/30 201A
H01G4/224 100
【審査請求】未請求
【請求項の数】19
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023221185
(22)【出願日】2023-12-27
(31)【優先権主張番号】10-2023-0018695
(32)【優先日】2023-02-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(71)【出願人】
【識別番号】594023722
【氏名又は名称】サムソン エレクトロ-メカニックス カンパニーリミテッド.
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】弁理士法人RYUKA国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ユン、キムヨウン
(72)【発明者】
【氏名】チョ、ジョーン イェオブ
(72)【発明者】
【氏名】シン、アーヨウン
(72)【発明者】
【氏名】チョイ、ミュンフワ
(72)【発明者】
【氏名】ヤン、ヒェオンジュ
【テーマコード(参考)】
5E001
5E082
【Fターム(参考)】
5E001AB03
5E001AC10
5E001AD04
5E001AE01
5E001AE02
5E001AE03
5E001AE04
5E001AF06
5E001AG02
5E001AH01
5E001AH05
5E001AH06
5E001AH07
5E001AH09
5E001AJ02
5E001AJ04
5E082AB03
5E082EE04
5E082EE05
5E082EE23
5E082FG03
5E082FG26
5E082FG46
5E082GG10
5E082GG11
5E082HH21
5E082HH43
5E082KK01
5E082PP03
(57)【要約】      (修正有)
【課題】アクティブ領域の体積分率は高め、容量非寄与領域の体積分率は低めて高容量を確保しながらも、キャパシタボディー表面に緻密度が高い薄膜を配置することにより、水分、水蒸気、および水素の浸透経路の形成を抑制して耐湿信頼性が改善され、機械的強度の低下が防止された積層型キャパシタを提供する。
【解決手段】積層型キャパシタ100は、誘電体層および内部電極を含むキャパシタボディー110、キャパシタボディー110の外側に配置される外部電極131、132、そしてキャパシタボディーの110表面に位置し、バリウムジルコニウムチタネート(Barium Zirconium titanate)を含む薄膜を含み、バリウムジルコニウムチタネートは、チタニウム100モル部に対してジルコニウムを10モル部から50モル部含む。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
誘電体層および内部電極を含むキャパシタボディーと、
前記キャパシタボディーの外側に配置される外部電極と、
前記キャパシタボディーの表面に位置し、バリウムジルコニウムチタネートとを含む薄膜を含み、
前記バリウムジルコニウムチタネートは、チタニウム100モル部に対してジルコニウムを10モル部から50モル部含む、
積層型キャパシタ。
【請求項2】
前記バリウムジルコニウムチタネートは、前記チタニウム100モル部に対して前記ジルコニウムを20モル部から40モル部含む、
請求項1に記載の積層型キャパシタ。
【請求項3】
前記薄膜の平均厚さは、0.1μmから3μmである、
請求項1または2に記載の積層型キャパシタ。
【請求項4】
前記キャパシタボディーは、前記誘電体層と前記内部電極の積層方向の外側に配置されるカバー部を含み、
前記薄膜は、前記カバー部の表面に位置する、
請求項1または2に記載の積層型キャパシタ。
【請求項5】
前記キャパシタボディーは、前記誘電体層と前記内部電極の積層方向と垂直な第1側方と第2側方を有し、
前記外部電極は、前記第1側方の外側に配置され、
前記キャパシタボディーは、前記第2側方に配置されるマージン部をさらに含み、
前記薄膜は、前記マージン部の表面に位置する、
請求項1または2に記載の積層型キャパシタ。
【請求項6】
前記積層型キャパシタは、前記キャパシタボディーと前記薄膜との間に位置し、バリウムジルコニウムチタネートを含む酸化層をさらに含む、
請求項1に記載の積層型キャパシタ。
【請求項7】
前記薄膜のバリウムジルコニウムチタネート全体に対する酸素のモル%をzとし、前記酸化層のバリウムジルコニウムチタネート全体に対する酸素のモル%をzとする時、zはzより大きい、
請求項6に記載の積層型キャパシタ。
【請求項8】
前記薄膜のバリウムジルコニウムチタネート全体に対するバリウムのモル%をx、ジルコニウムのモル%をy、酸素のモル%をzとし、
前記酸化層のバリウムジルコニウムチタネート全体に対するバリウムのモル%をx、ジルコニウムのモル%をy、酸素のモル%をzとする時、
:y=100:70から100:97である、
請求項7に記載の積層型キャパシタ。
【請求項9】
前記薄膜のバリウムジルコニウムチタネート全体に対するバリウムのモル%をx、ジルコニウムのモル%をy、酸素のモル%をzとし、
前記酸化層のバリウムジルコニウムチタネート全体に対するバリウムのモル%をx、ジルコニウムのモル%をy、酸素のモル%をzとする時、
:z=100:103から100:140である、
請求項7に記載の積層型キャパシタ。
【請求項10】
前記酸化層の平均厚さは、0μmから5μmである、
請求項6に記載の積層型キャパシタ。
【請求項11】
誘電体層および内部電極を含むキャパシタボディーと、
前記キャパシタボディーの外側に配置される外部電極と、
前記キャパシタボディーの表面に位置する薄膜と、
前記キャパシタボディーと前記薄膜との間に位置する酸化層とを含み、
前記薄膜および前記酸化層は、バリウムジルコニウムチタネートを含み、
前記薄膜のバリウムジルコニウムチタネート全体に対する酸素のモル%をzとし、前記酸化層のバリウムジルコニウムチタネート全体に対する酸素のモル%をzとする時、zはzより大きい、
積層型キャパシタ。
【請求項12】
前記薄膜のバリウムジルコニウムチタネート全体に対するバリウムのモル%をx、ジルコニウムのモル%をy、酸素のモル%をzとし、
前記酸化層のバリウムジルコニウムチタネート全体に対するバリウムのモル%をx、ジルコニウムのモル%をy、酸素のモル%をzとする時、
:y=100:70から100:97である、
請求項11に記載の積層型キャパシタ。
【請求項13】
前記薄膜のバリウムジルコニウムチタネート全体に対するバリウムのモル%をx、ジルコニウムのモル%をy、酸素のモル%をzとし、
前記酸化層のバリウムジルコニウムチタネート全体に対するバリウムのモル%をx、ジルコニウムのモル%をy、酸素のモル%をzとする時、
:z=100:103から100:140である、
請求項11または12に記載の積層型キャパシタ。
【請求項14】
前記薄膜のバリウムジルコニウムチタネートは、チタニウム100モル部に対してジルコニウムを10モル部から50モル部含む、
請求項11または12に記載の積層型キャパシタ。
【請求項15】
前記薄膜の平均厚さは、0.1μmから3μmである、
請求項11または12に記載の積層型キャパシタ。
【請求項16】
前記酸化層の平均厚さは、0μmから5μmである、
請求項11または12に記載の積層型キャパシタ。
【請求項17】
前記キャパシタボディーは、前記誘電体層と前記内部電極の積層方向の外側に配置されるカバー部を含み、
前記酸化層は、前記カバー部の表面に位置する、
請求項6から12のいずれか一項に記載の積層型キャパシタ。
【請求項18】
前記キャパシタボディーは、前記誘電体層と前記内部電極の積層方向と垂直な第1側方と第2側方を有し、
前記外部電極は、前記第1側方の外側に配置され、
前記キャパシタボディーは、前記第2側方に配置されるマージン部をさらに含み、
前記酸化層は、前記マージン部の表面に位置する、
請求項6から12のいずれか一項に記載の積層型キャパシタ。
【請求項19】
誘電体グリーンシートを製造し、前記誘電体グリーンシートの表面に導電性ペースト層を形成する段階と、
前記導電性ペースト層が形成された誘電体グリーンシートを積層して誘電体グリーンシート積層体を製造する段階と、
前記誘電体グリーンシート積層体の表面に薄膜形成用組成物を塗布する段階と、
前記誘電体グリーンシート積層体を焼成してキャパシタボディーを製造する段階と、
前記キャパシタボディーの外側に外部電極を形成する段階とを含み、
前記薄膜形成用組成物は、ジルコニウム酸化物を含む、
積層型キャパシタの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本記載は、積層型キャパシタおよびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
IT機器の高性能化により、積層型キャパシタ(Multilayer Ceramic Capacitor、MLCC)の場合にも高容量化が要求されている。
【0003】
このために、積層型キャパシタを構成するアクティブ領域の体積分率は高め、カバーまたはマージンなどで表現される積層型キャパシタの容量非寄与部分の体積分率は低める必要がある。
【0004】
しかし、マージン比率が小さくなる場合、耐湿信頼性と機械的強度が低下することがある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本開示の一側面は、アクティブ領域の体積分率は高め、容量非寄与領域の体積分率は低めて高容量を確保しながらも、キャパシタボディー表面に緻密度が高い薄膜を配置することにより、水分、水蒸気、および水素の浸透経路の形成を抑制して耐湿信頼性が改善され、機械的強度の低下が防止された積層型キャパシタを提供することができる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
一側面による積層型キャパシタは、誘電体層および内部電極を含むキャパシタボディー、キャパシタボディーの外側に配置される外部電極、そしてキャパシタボディーの表面に位置し、バリウムジルコニウムチタネート(Barium Zirconium titanate)を含む薄膜を含む。
【0007】
バリウムジルコニウムチタネートは、チタニウム100モル部に対してジルコニウムを10モル部から50モル部含む。
【0008】
バリウムジルコニウムチタネートは、チタニウム100モル部に対してジルコニウムを20モル部から40モル部含むことができる。
【0009】
薄膜の平均厚さは、0.1μmから3μmであり得る。
【0010】
キャパシタボディーは、誘電体層と内部電極の積層方向の外側に配置されるカバー部を含むことができる。
【0011】
薄膜は、カバー部の表面に位置することができる。
【0012】
キャパシタボディーは、誘電体層と内部電極の積層方向と垂直な第1側方と第2側方を有することができる。
【0013】
外部電極は、第1側方の外側に配置され得る。
【0014】
キャパシタボディーは、第2側方に配置されるマージン部をさらに含むことができる。
【0015】
薄膜は、マージン部の表面に位置することができる。
【0016】
積層型キャパシタは、キャパシタボディーと薄膜との間に位置する酸化層をさらに含むことができる。
【0017】
酸化層は、バリウムジルコニウムチタネート(Barium Zirconium titanate)を含むことができる。
【0018】
薄膜のバリウムジルコニウムチタネート全体に対する酸素のモル%をzとし、酸化層のバリウムジルコニウムチタネート全体に対する酸素のモル%をzとする時、zはzより大きくてもよい。
【0019】
薄膜のバリウムジルコニウムチタネート全体に対するバリウムのモル%をx、ジルコニウムのモル%をy、酸素のモル%をzとし、酸化層のバリウムジルコニウムチタネート全体に対するバリウムのモル%をx、ジルコニウムのモル%をy、酸素のモル%をzとする時、y:y=100:70から100:97であり得る。
【0020】
また、z:z=100:103から100:140であり得る。
【0021】
酸化層の平均厚さは、0μmから5μmであり得る。
【0022】
他の一側面による積層型キャパシタは、誘電体層および内部電極を含むキャパシタボディー、キャパシタボディーの外側に配置される外部電極、キャパシタボディーの表面に位置する薄膜、そしてキャパシタボディーと薄膜との間に位置する酸化層を含む。
【0023】
薄膜および酸化層は、バリウムジルコニウムチタネート(Barium Zirconium titanate)を含む。
【0024】
薄膜のバリウムジルコニウムチタネート全体に対する酸素のモル%をzとし、酸化層のバリウムジルコニウムチタネート全体に対する酸素のモル%をzとする時、zはzより大きい。
【0025】
薄膜のバリウムジルコニウムチタネート全体に対するバリウムのモル%をx、ジルコニウムのモル%をy、酸素のモル%をzとし、酸化層のバリウムジルコニウムチタネート全体に対するバリウムのモル%をx、ジルコニウムのモル%をy、酸素のモル%をzとする時、y:y=100:70から100:97であり得る。
【0026】
また、z:z=100:103から100:140であり得る。
【0027】
薄膜のバリウムジルコニウムチタネートは、チタニウム100モル部に対してジルコニウムを10モル部から50モル部含むことができる。
【0028】
薄膜の平均厚さは、0.1μmから3μmであり得る。
【0029】
酸化層の平均厚さは、0μmから5μmであり得る。
【0030】
キャパシタボディーは、誘電体層と内部電極の積層方向の外側に配置されるカバー部を含むことができる。
【0031】
酸化層は、カバー部の表面に位置することができる。
【0032】
キャパシタボディーは、誘電体層と内部電極の積層方向と垂直な第1側方と第2側方を有することができる。
【0033】
外部電極は、第1側方の外側に配置され得る。
【0034】
キャパシタボディーは、第2側方に配置されるマージン部をさらに含むことができる。
【0035】
酸化層は、マージン部の表面に位置することができる。
【0036】
他の側面による積層型キャパシタの製造方法は、誘電体グリーンシートを製造し、誘電体グリーンシート表面に導電性ペースト層を形成する段階、導電性ペースト層が形成された誘電体グリーンシートを積層して誘電体グリーンシート積層体を製造する段階、誘電体グリーンシート積層体表面に薄膜形成用組成物を塗布する段階、誘電体グリーンシート積層体を焼成してキャパシタボディーを製造する段階、そしてキャパシタボディーの外側に外部電極を形成する段階を含む。
【0037】
薄膜形成用組成物は、ジルコニウム酸化物を含む。
【発明の効果】
【0038】
一側面による積層型キャパシタによれば、アクティブ領域の体積分率は高め、容量非寄与領域の体積分率は低めて高容量を確保しながらも、キャパシタボディー表面に緻密度が高い薄膜を配置することにより、水分、水蒸気、および水素の浸透経路の形成を抑制して耐湿信頼性が改善され、機械的強度の低下が防止される。
【図面の簡単な説明】
【0039】
図1】一側面による積層型キャパシタを示す斜視図である。
図2図1のI-I'線に沿って切断した積層型キャパシタの断面図である。
図3図1のII-II'線に沿って切断した積層型キャパシタの断面図である。
図4図1のキャパシタボディーで内部電極の積層構造を示した分離斜視図である。
図5】一側面の変形例による積層型キャパシタの断面図である。
図6】一側面の変形例による積層型キャパシタの断面図である。
図7】実施例1で製造された積層型キャパシタの断面サンプルの走査電子顕微鏡写真である。
【発明を実施するための形態】
【0040】
以下、添付した図面を参照して本発明が属する技術分野における通常の知識を有する者が容易に実施することができるように本発明の側面を詳しく説明する。図面において、本発明を明確に説明するために、説明上不要な部分は省略し、明細書全体にわたって同一または類似の構成要素については同一の参照符号を付した。また、添付した図面は、本明細書に開示された側面を容易に理解できるようにするためのものに過ぎず、添付した図面により本明細書に開示された技術的な思想が制限されず、本発明の思想および技術範囲に含まれる全ての変更、均等物または代替物を含むものと理解されなければならない。
【0041】
第1、第2などのように序数を含む用語は、多様な構成要素を説明することに使用され得るが、前記構成要素は前記用語により限定されない。前記用語は一つの構成要素を他の構成要素から区別する目的のみで使用される。
【0042】
ある構成要素が他の構成要素に「連結されて」いるか、または「接続されて」いると言及された時には、その他の構成要素に直接的に連結されているか、接続されているか、または対向していることもできるが、中間に他の構成要素が存在することもできると理解されなければならない。反面、ある構成要素が他の構成要素に「直接連結されて」いるか、または「直接接続されて」いると言及された時には、中間に他の構成要素が存在しないと理解されなければならない。
【0043】
明細書全体において、「含む」または「有する」などの用語は、明細書上に記載された特徴、数字、段階、動作、構成要素、部品またはこれらを組み合わせたものが存在することを指定しようとするものであり、一つまたはそれ以上の他の特徴や数字、段階、動作、構成要素、部品またはこれらを組み合わせたものの存在または付加可能性を予め排除しないものと理解されなければならない。したがって、ある部分がある構成要素を「含む」という時、これは特に反対になる記載がない限り、他の構成要素を除くのではなく、他の構成要素をさらに含むことができることを意味する。
【0044】
図1は一側面による積層型キャパシタ100を示す斜視図であり、図2図1のI-I'線に沿って切断した積層型キャパシタ100の断面図であり、図3図1のII-II'線に沿って切断した積層型キャパシタ100の断面図であり、図4図1のキャパシタボディー110で内部電極の積層構造を示した分離斜視図である。
【0045】
本側面を明確に説明するために方向を定義すれば、図面に表示されたL軸、W軸およびT軸は、それぞれキャパシタボディー110の長さ方向、幅方向および積層方向を示す。ここで、積層方向(T軸方向)は、シート形状の構成要素の広い面(周面)と垂直な方向であり得、一例として誘電体層111の厚さ方向と同一の概念で使用することができる。長さ方向(L軸方向)は、シート形状の構成要素の広い面(周面)と平行に延長される方向であって、積層方向(T軸方向)とほぼ垂直な方向になり得、一例として両側に第1外部電極131および第2外部電極132が位置する方向であり得る。幅方向(W軸方向)は、シート形状の構成要素の広い面(周面)と平行に延長される方向であって、積層方向(T軸方向)および長さ方向(L軸方向)とほぼ垂直な方向であり得、シート形状の構成要素の長さ方向(L軸方向)の長さは幅方向(W軸方向)の長さより長くてもよい。
【0046】
図1から図4を参照すれば、本側面による積層型キャパシタ100は、キャパシタボディー110、キャパシタボディー110の長さ方向(L軸方向)に対向する両端に配置される第1外部電極131および第2外部電極132、そしてキャパシタボディー110の表面に位置する薄膜151a、151b、151c、151dを含むことができる。
【0047】
キャパシタボディー110は、一例として、ほぼ六面体形状であり得る。
【0048】
本側面では、説明の便宜のために、キャパシタボディー110で積層方向(T軸方向)に互いに対向する両面を第1面および第2面、第1面および第2面と連結され、長さ方向(L軸方向)に互いに対向する両面を第3面および第4面、第1面および第2面と連結され、第3面および第4面と連結され、幅方向(W軸方向)に互いに対向する両面を第5面および第6面と定義する。一例として、第3面または第4面が積層方向(T軸方向)と垂直な第1側方に位置する面になることができ、第5面または第6面が積層方向(T軸方向)と垂直な第2側方に位置する面と称することもできる。
【0049】
一例として、下面である第1面が実装方向に向かう面になることができる。また、第1面から第6面は平坦であってもよいが、本側面はこれに限定されるのではなく、例えば第1面から第6面は中央部が凸状の曲面であってもよく、各面の境界である角部はラウンド(round)になっていてもよい。
【0050】
キャパシタボディー110の形状、サイズおよび誘電体層111の積層数は、本実施例の図面に示されたものに限定されるのではない。
【0051】
キャパシタボディー110は、複数の誘電体層111を積層方向(T軸方向)に積層した後に焼成したものであり、複数の誘電体層111と、誘電体層111を間に置いて積層方向(T軸方向)に交互に配置される第1内部電極121および第2内部電極122を含む。
【0052】
この時、キャパシタボディー110の互いに隣接するそれぞれの誘電体層111の間の境界は、走査電子顕微鏡(SEM:Scanning Electron Microscope)を利用せずには確認し難い程度に一体化され得る。
【0053】
また、キャパシタボディー110は、アクティブ領域とカバー部112、113を含むことができる。
【0054】
アクティブ領域は、積層型キャパシタ100の容量形成に寄与する部分である。一例として、アクティブ領域は、積層方向(T軸方向)に沿って積層される第1内部電極121または第2内部電極122が重なった(overlap)領域であり得る。
【0055】
カバー部112、113は、積層方向マージン部であり、積層方向(T軸方向)にアクティブ領域の第1面および第2面側にそれぞれ位置することができる。このようなカバー部112、113は、単一の誘電体層111または2個以上の誘電体層111がアクティブ領域の上面および下面にそれぞれ積層されたものであり得る。
【0056】
また、キャパシタボディー110は、幅方向マージン部114、115をさらに含むことができる。マージン部114、115は、アクティブ領域の第5面および第6面側にそれぞれ位置することができる。このようなマージン部114、115は、誘電体グリーンシート表面に内部電極用導電性ペースト層を塗布する時、誘電体グリーンシート表面の一部領域にのみ導電性ペースト層を塗布し、誘電体グリーンシート表面の両側面には導電性ペースト層を塗布していない誘電体グリーンシートを積層した後、焼成することにより形成され得る。
【0057】
カバー部112、113とマージン部114、115は、物理的または化学的ストレスによる第1内部電極121および第2内部電極122の損傷を防止する役割になる。
【0058】
一例として、誘電体層111は、高誘電率のセラミック材料を含むことができる。例えば、セラミック材料は、BaTiO、CaTiO、SrTiO、またはCaZrOなどの成分を含む誘電体セラミックを含むことができる。また、これら成分にMn化合物、Fe化合物、Cr化合物、Co化合物、Ni化合物などの補助成分をさらに含むことができる。例えば、BaTiO系誘電体セラミックにCa、Zrなどが一部固溶された(Ba1-xCa)TiO、Ba(Ti1-yCa)O、(Ba1-xCa)(Ti1-yZr)OまたはBa(Ti1-yZr)Oなどを含むことができる。
【0059】
また、誘電体層111にはセラミック粉末と共に、セラミック添加剤、有機溶剤、可塑剤、結合剤および分散剤などがさらに添加され得る。セラミック添加剤は、例えば遷移金属酸化物または遷移金属炭化物、希土類元素、マグネシウム(Mg)またはアルミニウム(Al)などを使用することができる。
【0060】
一例として、誘電体層111の平均厚さは、0.5μmから10μmであり得る。
【0061】
第1内部電極121と第2内部電極122は、互いに異なる極性を有する電極であり、誘電体層111を間に置いて積層方向(T軸方向)に沿って互いに対向するように交互に配置され、一端がキャパシタボディー110の第3面および第4面を通じてそれぞれ露出することができる。
【0062】
第1内部電極121と第2内部電極122は、中間に配置された誘電体層111により互いに電気的に絶縁され得る。
【0063】
キャパシタボディー110の第3面および第4面を通じて交互に露出する第1内部電極121および第2内部電極122の端部は、第1外部電極131および第2外部電極132とそれぞれ接続されて電気的に連結され得る。
【0064】
第1内部電極121および第2内部電極122は、導電性金属を含み、例えばNi、Cu、Ag、Pd、またはAuなどの金属やこれらの合金、例えばAg-Pd合金を含むことができる。
【0065】
また、第1内部電極121および第2内部電極122は、誘電体層111に含まれるセラミック材料と同一の組成系の誘電体粒子を含むこともできる。
【0066】
第1内部電極121および第2内部電極122は、導電性金属を含む導電性ペーストを使用して形成され得る。導電性ペーストの印刷方法は、スクリーン印刷法またはグラビア印刷法などを利用することができる。
【0067】
一例として、第1内部電極121および第2内部電極122の平均厚さは、0.1μmから2μmであり得る。
【0068】
薄膜151a、151b、151c、151dは、キャパシタボディー110の表面に位置する。
【0069】
一例として、薄膜151a、151bは、キャパシタボディー110のカバー部112、113の積層方向(T軸方向)の外側に位置することができ、例えば第1面および第2面に位置することができる。
【0070】
後述するように、第1外部電極131および第2外部電極132が第1面および第2面の一部まで延長される場合、薄膜151a、151bは、第1面および第2面上に位置する第1外部電極131および第2外部電極132の内側、つまり、キャパシタボディー110と第1外部電極131および第2外部電極132との間に位置することができる。
【0071】
また、薄膜151c、151dは、キャパシタボディー110のマージン部114、115の表面に位置することができ、例えば第5面および第6面上に位置することができる。そのために、薄膜151a、151b、151c、151dは、第1外部電極131および第2外部電極132が位置する第3面および第4面を除いたキャパシタボディー110の全ての表面を囲むことができる。薄膜151a、151b、151c、151dは、キャパシタボディー110外郭部の気密性を改善して水分、水蒸気、および水素の浸透経路の形成を抑制して耐湿信頼性を改善させることができる。
【0072】
薄膜151a、151b、151c、151dの平均厚さは、0.1μmから3μmであり得る。
【0073】
一例として、薄膜151a、151b、151c、151dの平均厚さは、キャパシタボディー110の幅方向(W軸方向)の中央(1/2地点)で長さ方向(L軸方向)および積層方向(T軸方向)に切断した断面サンプルまたは長さ方向(L軸方向)の中央(1/2地点)で幅方向(W軸方向)および積層方向(T軸方向)に切断した断面サンプルを走査電子顕微鏡(SEM)または走査透過電子顕微鏡(STEM)などにより観察することにより分析することができる。また、その測定は、少なくとも3個、5個、または10個の互いに異なる地点または断面で実施してその算術平均値を算出することができる。
【0074】
キャパシタボディー110の断面サンプルは、例えば、積層型キャパシタ100をエポキシ混合液に入れて硬化した後、キャパシタボディー110を研磨(Polishing)し、固定後真空雰囲気チャンバー内に維持して準備することができる。
【0075】
走査電子顕微鏡は、例えばthermofisher scientific社のVerios G4製品を利用し、測定条件は10kV、0.2nAであり得る。
【0076】
薄膜151a、151b、151c、151dの平均厚さが0.1μm未満である場合、耐湿改善効果が微々になることがあり、3μmを超える場合、薄膜151a、151b、151c、151dと、カバー部112、113、マージン部114、115、または酸化層152a、152b、152c、152dとの間に多孔性の小体が形成されながらむしろ耐湿特性が劣化する可能性がある。
【0077】
薄膜151a、151b、151c、151dは、バリウムジルコニウムチタネート(Barium Zirconium titanate)を含むことができる。
【0078】
ジルコニウム(Zr)は、バリウムチタネート(BaTiO)強誘電体である主原料に微量添加される元素、またはバリウムチタネート粒子と粉末形態に混合される分散媒介であり、バリウムチタネートと共に同時焼成される。
【0079】
ジルコニウム(Zr)は、一定の含有量以上添加される場合、抑制剤(depressor)として温度による容量変化(TCC)を平坦化する役割になるか、材料の組成により温度に応じた容量変化(TCC)の常温移動を誘導して温度特性を制御する役割になり、微量添加される場合には、主に粒成長を抑制する役割になる。また、バリウムチタネートに過量のジルコニウム(Zr)が添加される場合、急激な粒成長および緻密化を伴ってバリウムジルコニウムチタネートが形成されながら、緻密度が高い誘電体を形成することができる。薄膜151a、151b、151c、151dは、このような緻密度が高いバリウムジルコニウムチタネートを含むことにより、水分、水蒸気、および水素の浸透経路の形成を抑制して耐湿信頼性を改善させ、機械的強度も向上させることができる。
【0080】
薄膜151a、151b、151c、151dのバリウムジルコニウムチタネートは、チタニウム100モル部に対してジルコニウムを10モル部から50モル部、例えば20モル部から40モル部含むことができる。
【0081】
一例として、薄膜151a、151b、151c、151dで特定元素(例、Ba、Ti、およびZr)の成分は、nano-XRF、例えばNano-Synchrotron X-Ray Fluorescence(Nano-SXRF)を利用して測定することができる。この時、測定装備は、ESRF社(European Synchrotron Radiation Facility)のID16A-NI(UPBL04)製品を利用することができる。一例として、準備されたキャパシタボディー110の断面サンプルにSynchrotron X-ray(10keV以上)を照射して薄膜151a、151b、151c、151dで特定元素(例、Ba、Ti、およびZr)の含有量を少なくとも3回、5回、または10回反復測定して平均値を得て、同じ薄膜151a、151b、151c、151d内に位置する少なくとも3個、5個、または10個の異なる地点で測定した最小値と最大値の平均値を最終の特定元素の含有量とすることができる。
【0082】
薄膜151a、151b、151c、151dでジルコニウムの含有量が10モル部未満である場合、均一な薄膜151a、151b、151c、151dが形成されないことがあり、50モル部を超える場合、Ba-Zr系二次相が形成されてしまい、これも均一な薄膜151a、151b、151c、151dが形成されないことがある。
【0083】
図5および図6は一側面の変形例による積層型キャパシタ100の断面図である。
【0084】
図5および図6を参照すれば、積層型キャパシタ100は、キャパシタボディー110と薄膜151a、151b、151c、151dとの間に位置する酸化層152a、152b、152c、152dをさらに含む。
【0085】
酸化層152a、152b、152c、152dは、キャパシタボディー110の表面に位置する。
【0086】
一例として、酸化層152a、152bは、キャパシタボディー110のカバー部112、113の積層方向(T軸方向)の外側に位置することができ、例えば第1面および第2面に位置することができる。この時、薄膜151a、151bは、キャパシタボディー110の積層方向(T軸方向)の外側に酸化層152a、152bの上に位置することができる。
【0087】
また、酸化層152c、152dは、キャパシタボディー110のマージン部114、115の表面に位置することができ、例えば第5面および第6面の上に位置することができる。そのために、酸化層152a、152b、152c、152dは、第1外部電極131および第2外部電極132が位置する第3面および第4面を除いたキャパシタボディー110の全ての表面を囲むことができる。この時、薄膜151c、151dは、キャパシタボディー110の幅方向(W軸方向)の外側に酸化層152c、152dの上に位置することができる。
【0088】
酸化層152a、152b、152c、152dは、キャパシタボディー110外郭部の耐湿信頼性をより改善させることができる。
【0089】
酸化層152a、152b、152c、152dの平均厚さは、0μmから5μm、例えば0.1μmから3μmであり得る。酸化層152a、152b、152c、152dの平均厚さは、薄膜151a、151b、151c、151dの平均厚さを測定する方法と同様な方法で測定することができるため、反復的な説明は省略する。酸化層152a、152b、152c、152dの平均厚さが5μmを超える場合、薄膜151a、151b、151c、151dと、カバー部112、113、マージン部114、115、または酸化層152a、152b、152c、152dとの間に多孔性の小体が形成されながらむしろ耐湿特性が劣化する可能性がある。
【0090】
酸化層152a、152b、152c、152dは、薄膜151a、151b、151c、151dと同様にバリウムジルコニウムチタネート(Barium Zirconium titanate)を含むことができる。ただし、酸化層152a、152b、152c、152dのバリウムジルコニウムチタネートは、薄膜151a、151b、151c、151dのバリウムジルコニウムチタネートに比べて酸化度が高い。
【0091】
一例として、薄膜151a、151b、151c、151dのバリウムジルコニウムチタネート全体に対するバリウムのモル%をx、ジルコニウムのモル%をy、酸素のモル%をzとし、酸化層152a、152b、152c、152dのバリウムジルコニウムチタネート全体に対するバリウムのモル%をx、ジルコニウムのモル%をy、酸素のモル%をzとする時、zはzより大きくてもよい。
【0092】
ここで、薄膜151a、151b、151c、151dおよび酸化層152a、152b、152c、152dで特定元素(例、Ba、Ti、およびZr)の含有量であるx、y、z、x、y、およびzは、薄膜151a、151b、151c、151dで特定元素の成分を測定する方法と同様であるため、反復的な説明は省略する。
【0093】
例えば、z:z=100:103から100:140であり得る。また、y:y=100:70から100:97であり得る。酸化層152a、152b、152c、152dのバリウムジルコニウムチタネートでの酸素の含有量が薄膜151a、151b、151c、151dのバリウムジルコニウムチタネートでの酸素の含有量に対して103未満であるか、または酸化層152a、152b、152c、152dのバリウムジルコニウムチタネートでのジルコニウムの含有量が薄膜151a、151b、151c、151dのバリウムジルコニウムチタネートでのジルコニウムの含有量に対して3未満である場合、走査電子顕微鏡(SEM)上で酸化層152a、152b、152c、152dが観察されないことがあり、酸化層152a、152b、152c、152dのバリウムジルコニウムチタネートでの酸素の含有量が薄膜151a、151b、151c、151dのバリウムジルコニウムチタネートでの酸素の含有量に対して140を超えるか、または酸化層152a、152b、152c、152dのバリウムジルコニウムチタネートでのジルコニウムの含有量が薄膜151a、151b、151c、151dのバリウムジルコニウムチタネートでのジルコニウムの含有量に対して30を超える場合、不均一な粒成長が発生して多孔性の小体が形成されることがある。
【0094】
第1外部電極131および第2外部電極132は互いに異なる極性の電圧が提供され、第1内部電極121および第2内部電極122の露出する部分とそれぞれ接続されて電気的に連結され得る。
【0095】
前述のような構成により、第1外部電極131および第2外部電極132に所定の電圧を印加すると互いに対向する第1内部電極121および第2内部電極122の間に電荷が蓄積される。この時、積層型キャパシタ100の静電容量は、アクティブ領域で積層方向(T軸方向)に沿って互いに重なる第1内部電極121および第2内部電極122のオーバーラップされた面積と比例するようになる。
【0096】
第1外部電極131および第2外部電極132は、キャパシタボディー110の第3および第4面にそれぞれ配置されて第1内部電極121および第2内部電極122と接続する第1接続部および第2接続部と、キャパシタボディー110の第3面および第4面と、第1面および第2面または第5面および第6面とが会う角部に配置される第1バンド部および第2バンド部をそれぞれ含むことができる。
【0097】
第1バンド部および第2バンド部は、第1接続部および第2接続部でキャパシタボディー110の第1面および第2面または第5面および第6面の一部までそれぞれ延長され得る。第1バンド部および第2バンド部は、第1外部電極131および第2外部電極132の固着強度を向上させる役割になることができる。
【0098】
一例として、第1外部電極131および第2外部電極132は、それぞれキャパシタボディー110と接触する焼結金属層、焼結金属層を覆うように配置される伝導性樹脂層、および伝導性樹脂層を覆うように配置されるメッキ層を含むことができる。
【0099】
焼結金属層は、導電性金属およびガラスを含むことができる。
【0100】
一例として、焼結金属層は、導電性金属として銅(Cu)、ニッケル(Ni)、銀(Ag)、パラジウム(Pd)、金(Au)、白金(Pt)、スズ(Sn)、タングステン(W)、チタニウム(Ti)、鉛(Pb)、これらの合金、またはこれらの組み合わせを含むことができ、例えば銅(Cu)は銅(Cu)合金を含むことができる。導電性金属が銅を含む場合、銅以外の金属は銅100モル部に対して5モル部以下で含まれ得る。
【0101】
一例として、焼結金属層は、ガラスとして酸化物が混合された組成を含むことができ、例えばケイ素酸化物、ホウ素酸化物、アルミニウム酸化物、遷移金属酸化物、アルカリ金属酸化物およびアルカリ土類金属酸化物からなる群より選択された一つ以上であり得る。遷移金属は、亜鉛(Zn)、チタニウム(Ti)、銅(Cu)、バナジウム(V)、マンガン(Mn)、鉄(Fe)およびニッケル(Ni)からなる群より選択され、アルカリ金属は、リチウム(Li)、ナトリウム(Na)およびカリウム(K)からなる群より選択され、アルカリ土類金属は、マグネシウム(Mg)、カルシウム(Ca)、ストロンチウム(Sr)およびバリウム(Ba)からなる群より選択された一つ以上であり得る。
【0102】
焼結金属層での導電性金属とガラスの含有量は特に限定されないが、例えば積層型キャパシタ100の積層方向(W軸方向)と垂直な断面(L軸方向およびT軸方向断面)で導電性金属の平均面積は、焼結金属層の全体面積に対して30%から90%、または70%から90%であり得る。
【0103】
選択的に、伝導性樹脂層は、焼結金属層上に形成され、例えば焼結金属層を完全に覆う形態に形成され得る。一方、第1外部電極131および第2外部電極132は、焼結金属層を含まなくてもよく、この場合、伝導性樹脂層がキャパシタボディー110と直接接触することができる。
【0104】
伝導性樹脂層は、キャパシタボディー110の第1面および第2面または第5面および第6面に延長され、伝導性樹脂層がキャパシタボディー110の第1面および第2面または第5面および第6面に延長して配置された領域(つまり、バンド部)の長さは、焼結金属層がキャパシタボディー110の第1面および第2面または第5面および第6面に延長して配置された領域(つまり、バンド部)の長さより長くてもよい。つまり、伝導性樹脂層は、焼結金属層上に形成され、焼結金属層を完全に覆う形態に形成され得る。
【0105】
伝導性樹脂層は、樹脂および導電性金属を含む。
【0106】
伝導性樹脂層に含まれる樹脂は、接合性および衝撃吸収性を有し、導電性金属粉末と混合してペーストを作ることができるものであれば特に制限されず、例えばフェノール樹脂、アクリル樹脂、シリコン樹脂、エポキシ樹脂、またはポリイミド樹脂を含むことができる。
【0107】
伝導性樹脂層に含まれる導電性金属は、第1内部電極121および第2内部電極122または焼結金属層と電気的に連結されるようにする役割になる。
【0108】
伝導性樹脂層に含まれる導電性金属は、球状、フレーク状、またはこれらの組み合わせの形態を有することができる。つまり、導電性金属は、フレーク状のみからなるか、球状のみからなることができ、フレーク状と球状が混合された形態であってもよい。
【0109】
ここで、球状は、完全な球状でない形態も含むことができ、例えば長軸と短軸の長さ比率(長軸/短軸)が1.45以下である形態を含むことができる。フレーク状粉末は、平坦で細長い形態を有する粉末を意味し、特に制限されるのではないが、例えば長軸と短軸の長さ比率(長軸/短軸)が1.95以上であり得る。
【0110】
第1外部電極131および第2外部電極132は、伝導性樹脂層の外側に配置されるメッキ層をさらに含むことができる。
【0111】
メッキ層は、ニッケル(Ni)、銅(Cu)、スズ(Sn)、パラジウム(Pd)、白金(Pt)、金(Au)、銀(Ag)、タングステン(W)、チタニウム(Ti)または鉛(Pb)などの単独またはこれらの合金を含むことができる。一例として、メッキ層は、ニッケル(Ni)メッキ層またはスズ(Sn)メッキ層であってもよく、ニッケル(Ni)メッキ層およびスズ(Sn)メッキ層が順次に積層された形態であってもよく、スズ(Sn)メッキ層、ニッケル(Ni)メッキ層およびスズ(Sn)メッキ層が順次に積層された形態であってもよい。また、メッキ層は、複数のニッケル(Ni)メッキ層および/または複数のスズ(Sn)メッキ層を含むこともできる。
【0112】
メッキ層は、積層型キャパシタ100の基板との実装性、構造的信頼性、外部に対する耐久度、耐熱性および等価直列抵抗値(Equivalent Series Resistance、ESR)を改善することができる。
【0113】
他の側面による積層型キャパシタの製造方法は、誘電体層および内部電極を含むキャパシタボディーを製造する段階、そしてキャパシタボディーの外側に外部電極を形成する段階を含む。
【0114】
まず、キャパシタボディーの製造について説明する。
【0115】
キャパシタボディーの製造工程では、焼成後に誘電体層になる誘電体用スラリーと、焼成後に内部電極になる導電性ペーストとを準備する。
【0116】
誘電体用スラリーは、例えばバリウムチタネート(BaTiO)である主成分粉末と副成分粉末を混合して主成分と副成分の混合粉末を製造する。一例として、副成分粉末は、BaCO、MgCO、SiO、Al、Dy、Mn、V、またはこれらの組み合わせを任意の含有量で含むことができる。
【0117】
誘電体用スラリーは、主成分と副成分の混合粉末と共に、選択的に溶媒および添加剤をさらに含むことができる。
【0118】
添加剤は、例えば分散剤、バインダー、または可塑剤などであり得、潤滑剤、帯電防止剤などの他の添加剤をさらに含むことができる。
【0119】
分散剤は、例えばリン酸エステル系分散剤、またはポリカルボン酸系分散剤などであり得る。分散剤の含有量は、主成分と副成分の混合粉末100重量部に対して0.1重量部から5重量部、または0.3重量部から3重量部であり得る。分散剤の含有量が0.1重量部から5重量部である場合、分散剤として十分な効果を発揮することができ、製造された誘電体層内に含まれる不純物を減らすことができる。
【0120】
バインダーは、例えばアクリル樹脂、ポリビニルブチル樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、またはエチルセルロース樹脂などであり得る。バインダーの含有量は、主成分と副成分の混合粉末100重量部に対して0.1重量部から50重量部、または3重量部から30重量部であり得る。バインダーの含有量が0.1重量部から50重量部である場合、バインダーとして十分な効果を発揮することができ、製造された誘電体層内に含まれる不純物を減らすことができる。
【0121】
可塑剤は、例えばフタル酸ジオクチル、フタル酸ベンジルブチル、フタル酸ジブチル、フタル酸ジヘキシル、フタル酸ジ(2-エチルヘキシル)(DOP)、またはフタル酸ジ(2-エチルブチル)などのフタル酸系可塑剤、アジピン酸ジヘキシル、またはアジピン酸ジ(2-エチルヘキシル)(DOA)などのアジピン酸系可塑剤、エチレングリコール、ジエチレングリコール、またはトリエチレングリコールなどのグリコール系可塑剤、トリエチレングリコールジブチレート、トリエチレングリコールジ(2-エチルブチレート)、またはトリエチレングリコールジ(2-エチルヘキサノエート)などのグリコールエステル系可塑剤などであり得る。可塑剤の含有量は、主成分と副成分の混合粉末100重量部に対して0.1重量部から20重量部、または1重量部から10重量部であり得る。可塑剤の含有量が0.1重量部から20重量部である場合、可塑剤として十分な効果を発揮することができ、製造された誘電体層内に含まれる不純物を減らすことができる。
【0122】
溶媒は、例えば水などの水系溶媒、エタノール、メタノール、またはベンジルアルコール、メトキシエタノールなどのアルコール系溶媒、エチレングリコール、またはジエチレングリコールなどのグリコール系溶媒、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、またはシクロヘキサノンなどのケトン系溶媒、酢酸ブチル、酢酸エチル、カルビトールアセテート、またはブチルカルビトールアセテートなどのエステル系溶媒、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、ブチルエーテル、またはテトラヒドロフランなどのエーテル系溶媒、ベンゼン、トルエン、またはキシレンなどの芳香族系溶媒などであり得る。誘電体用スラリーに含まれる各種添加剤の溶解性や分散性を考慮して、溶媒としては、アルコール溶媒、または芳香族溶媒を使用することができる。溶媒の含有量は、主成分と副成分の混合粉末100重量部に対して50重量部から1000重量部、または100重量部から500重量部であり得る。溶媒の含有量が50重量部から1000重量部である場合、主成分、副成分、および添加剤などが十分に混合され得、以降の過程で溶媒の除去も容易である。
【0123】
主成分と副成分の混合は、湿式ボールミルまたは攪拌ミルを利用することができる。湿式ボールミルとしてジルコニアボールを利用する場合、直径0.1mmから10mmの多数のジルコニアボールを利用して8時間から48時間、または10時間または24時間湿式混合することができる。
【0124】
次に、誘電体用スラリーをシート形状に成形する。
【0125】
誘電体用スラリーをシート形状に成形する方法としては、ドクターブレード法、またはカレンダーロール法などのテープ成形法など、例えばヘッド吐出方式のオンロール(on roll)成形コーター(coater)を利用することができ、以降、成形体を乾燥することにより誘電体グリーンシートを得ることができる。
【0126】
内部電極用導電性ペーストは、導電性金属またはその合金からなる導電性粉末とバインダーや溶剤を、混練して調製する。内部電極用導電性ペーストには、必要に応じて共材としてセラミック粉末(例えばチタン酸バリウム粉末)が含まれ得る。共材は、焼成過程で導電性粉末の焼結を抑制する作用をすることができる。
【0127】
誘電体グリーンシート表面に、スクリーン印刷などの各種印刷法や転写法により、内部電極用導電性ペーストを所定のパターンで塗布する。そして内部電極パターンを形成した誘電体グリーンシートを複数層にわたって積層した後、積層方向にプレスすることにより誘電体グリーンシート積層体を得る。この時、誘電体グリーンシート積層体の積層方向の上面および下面には、誘電体グリーンシートが位置するように、誘電体グリーンシートと内部電極パターンを積層することができる。
【0128】
選択的に、得られた誘電体グリーンシート積層体をダイシングなどにより所定のサイズに切断することができる。
【0129】
次に、誘電体グリーンシート積層体表面に薄膜形成用組成物を塗布する。
【0130】
薄膜形成用組成物は、ジルコニウム酸化物を含む。また、薄膜形成用組成物は、溶媒および添加剤をさらに含むことができ、添加剤は、例えば分散剤、バインダー、または可塑剤などであり得、潤滑剤、帯電防止剤などの他の添加剤をさらに含むことができる。溶媒および添加剤に関する説明は、誘電体用スラリーでの説明と同一であるため、反復的な説明は省略する。
【0131】
薄膜形成用組成物は、誘電体グリーンシート積層体の全体表面に塗布され得、例えば第1面、第2面、第3面、第4面、第5面、および第6面に塗布され得る。または薄膜形成用組成物は、第1外部電極および第2外部電極が形成される第3面および第4面を除いた第1面、第2面、第5面、および第6面に塗布され得る。薄膜形成用組成物が第3面および第4面にも塗布される場合、後述するように、第1外部電極および第2外部電極を形成するための前処理工程として、第3面および第4面に対する表面処理により第3面および第4面に位置した薄膜は除去され得る。
【0132】
誘電体グリーンシート積層体は、必要に応じて可塑剤などを除去するために固化乾燥することができ、固化乾燥後に水平遠心バレル機などを利用してバレル研磨することができる。バレル研磨では、誘電体グリーンシート積層体をメディアおよび研磨液と共に、バレル容器内に投入してそのバレル容器に対して回転運動や振動などを付与することにより、切断時に発生したバリなどの不必要な部分を研磨することができる。またバレル研磨後、誘電体グリーンシート積層体は、水などの洗浄液で洗浄して乾燥され得る。
【0133】
誘電体グリーンシート積層体を脱バインダー処理および焼成処理してキャパシタボディーを得る。
【0134】
脱バインダー処理の条件は、誘電体層の主成分組成や内部電極の主成分組成により適切に調節することができる。例えば、脱バインダー処理時の昇温速度は5℃/時間から300℃/時間、保持温度は180℃から400℃、温度維持時間は0.5時間から24時間であり得る。脱バインダー雰囲気は空気または還元性雰囲気であり得る。
【0135】
焼成処理の条件は、誘電体層の主成分組成や内部電極の主成分組成により適切に調節することができる。例えば、焼成時の温度は1200℃から1350℃、または1220℃から1300℃であり得、時間は0.5時間から8時間、または1時間から3時間であり得る。焼成雰囲気は還元性雰囲気であり得、例えば窒素ガス(N)と水素ガス(H)の混合ガスを加湿した雰囲気であり得る。内部電極がニッケル(Ni)またはニッケル(Ni)合金を含む場合、焼成雰囲気中の酸素分圧は1.0×10-14MPaから1.0×10-10MPaであり得る。
【0136】
このように、ジルコニウム酸化物を含む薄膜形成用組成物を誘電体グリーンシート積層体の全体表面に塗布した後、誘電体グリーンシート積層体と共に同時焼成することにより、誘電体グリーンシート積層体の表面に強還元反応が起こるように誘導して、キャパシタボディー表面にバリウムジルコニウムチタネートを含む緻密度が高い薄膜を形成することができる。また、この時、キャパシタボディーと薄膜との間に位置し、薄膜のバリウムジルコニウムチタネートに比べてより酸化されたバリウムジルコニウムチタネートを含む酸化層を共に形成することができる。
【0137】
焼成処理後には、必要に応じてアニーリングを実施することができる。アニーリングは、誘電体層を再酸化させるための処理であり、焼成処理を還元性雰囲気で実施した場合には、アニーリングを実施することができる。アニーリング処理の条件も誘電体層の主成分組成などにより適切に調節することができる。例えば、アニーリング時の温度は950℃から1150℃であり得、時間は0時間を超えるか、20時間以下であり得、昇温速度は50℃/時間から500℃/時間であり得る。アニーリング雰囲気は加湿した窒素ガス(N)雰囲気であり得、酸素分圧は1.0×10-9MPaから1.0×10-5MPaであり得る。
【0138】
脱バインダー処理、焼成処理、またはアニーリング処理において、窒素ガスや混合ガスなどを加湿するためには、例えばウェッター(wetter)などを使用することができ、この場合、水温は5℃から75℃であり得る。脱バインダー処理、焼成処理、およびアニーリング処理は、連続して行うこともでき、独立して行うこともできる。
【0139】
選択的に、得られたキャパシタボディーの第3面および第4面に対して、サンドブラスト処理、レーザ照射、またはバレル研磨などの表面処理を実施することができる。このような表面処理を実施することにより、第3面および第4面の最表面に第1内部電極および第2内部電極の端部が露出することができ、そのために第1外部電極および第2外部電極と第1内部電極および第2内部電極の電気的接合が良好に行われ、合金部が形成されやすくなり得る。
【0140】
得られたキャパシタボディーの外面に外部電極を形成する。
【0141】
一例として、外部電極として焼結金属層形成用ペーストを塗布した後に焼結させて、焼結金属層を形成することができる。
【0142】
焼結金属層形成用ペーストは、導電性金属とガラスを含むことができる。導電性金属とガラスに関する説明は、前述と同様であるため、反復的な説明は省略する。また、焼結金属層形成用ペーストは、選択的にバインダー、溶剤、分散剤、可塑剤、または酸化物粉末などの副成分を含むことができる。例えば、バインダーは、エチルセルロース、アクリル、またはブチラール(butyral)などを使用することができ、溶剤は、テルピネオール、ブチルカルビトール、アルコール、メチルエチルケトン、アセトン、またはトルエンなどの有機溶剤や、水系溶剤を使用することができる。
【0143】
焼結金属層形成用ペーストをキャパシタボディー外面に塗布する方法としては、ディップ法、またはスクリーン印刷などの各種印刷法、ディスペンサーなどを利用した塗布法、またはスプレーを利用した噴霧法などを使用することができる。焼結金属層用ペーストは、少なくともキャパシタボディーの第3および第4面に塗布され、選択的に第1外部電極および第2外部電極のバンド部が形成される第1面、第2面、第5面、または第6面の一部にも塗布され得る。
【0144】
以降、焼結金属層形成用ペーストが塗布されたキャパシタボディーを乾燥させ、700℃から1000℃の温度で0.1時間から3時間焼結させて、焼結金属層を形成する。
【0145】
選択的に、得られたキャパシタボディーの外面に、伝導性樹脂層形成用ペーストを塗布した後に硬化させることで、伝導性樹脂層を形成することができる。
【0146】
伝導性樹脂層形成用ペーストは、樹脂、および選択的に導電性金属または非伝導性フィラーを含むことができる。導電性金属と樹脂に関する説明は、前述と同様であるため、反復的な説明は省略する。また、伝導性樹脂層形成用ペーストは、選択的にバインダー、溶剤、分散剤、可塑剤、または酸化物粉末などの副成分を含むことができる。例えば、バインダーは、エチルセルロース、アクリル、またはブチラール(butyral)などを使用することができ、溶剤は、テルピネオール、ブチルカルビトール、アルコール、メチルエチルケトン、アセトン、またはトルエンなどの有機溶剤や、水系溶剤を使用することができる。
【0147】
一例として、伝導性樹脂層の形成方法は、伝導性樹脂層形成用ペーストにキャパシタボディー110をディッピングして形成した後に硬化したり、伝導性樹脂層形成用ペーストをキャパシタボディー110の表面にスクリーン印刷法またはグラビア印刷法などで印刷したり、伝導性樹脂層形成用ペーストをキャパシタボディー110の表面に塗布した後に硬化して形成することができる。
【0148】
次に、伝導性樹脂層の外側にメッキ層を形成する。
【0149】
一例として、メッキ層は、メッキ法により形成されることができ、スパッタまたは電解メッキ(Electric Deposition)により形成されることもできる。
【0150】
以下、発明の具体的な実施例を提示する。ただし、下記に記載された実施例は発明を具体的に例示したり説明したりするためのものに過ぎず、これにより発明の範囲が制限されてはならない。
【0151】
[製造例:積層型キャパシタの製造]
主成分母材として平均粒子が200nm以下であるBaTiO粉末とBaCO、MgCO、SiO、Al、Dy、Mn、およびVを含む添加剤をジルコニアボールを混合および分散メディアとして使用し、エタノールおよびトルエンを溶媒にして分散剤およびバインダーと混合した後、ビードミリング(Beads milling)して誘電体用スラリーを製造する。
【0152】
製造された誘電体用スラリーをコーターを利用して1.0μm以下の厚さにシート成形して誘電体グリーンシートを製造する。成形された誘電体グリーンシートにニッケル(Ni)電極を印刷する。カバー用シート(3μmの厚さ)を30層積層して上下カバー部を製造する。誘電体グリーンシートと上下カバー部を積層し、圧着、および切断して誘電体グリーンシート積層体を製造する。切断は、切断機を利用してそれぞれ1.0mmX0.5mmおよび0.6mmX0.3mmのサイズで切断する。
【0153】
誘電体グリーンシート積層体表面にジルコニウム酸化物を含む薄膜形成用組成物を塗布する。薄膜形成用組成物でのジルコニウム酸化物の含有量を調節することにより、製造された薄膜でのバリウムジルコニウムチタネートのチタニウム100モル部に対するジルコニウムのモル比率を調節することができる。
【0154】
誘電体グリーンシート積層体を脱バインダーのために可塑した後、還元雰囲気0.1% H/99.9% N(HO/H/N雰囲気)1050℃から1250℃で1時間焼成した後、N雰囲気1000℃で3時間熱処理する。焼成されたキャパシタボディーの外側にCuペーストでターミネーション工程および電極焼成を経て外部電極を形成する。
【0155】
[実験例]
製造例で、バリウムジルコニウムチタネートのチタニウム100モル部に対するジルコニウムのモル比率が下表1のようになるように薄膜形成用組成物に含まれているジルコニウム酸化物の含有量を調節して、実施例および比較例による積層型キャパシタを製造する。
【0156】
製造された積層型キャパシタに対して、薄膜のバリウムジルコニウムチタネートでチタニウム100モル部に対するジルコニウムの含有量、酸化層の存在有無、表面孔隙(pore)の存在有無、誘電体結晶粒のサイズ変化、および耐湿信頼性を測定し、その結果を表1に整理する。
【0157】
薄膜でジルコニウムの含有量は次の方法で測定する。
【0158】
積層型キャパシタをエポキシ混合液に入れて硬化した後、キャパシタボディーの長さ方向(L軸方向)および積層方向(T軸方向)側面を幅方向(W軸方向)に1/2地点まで研磨(Polishing)し、固定後真空雰囲気チャンバー内で維持してキャパシタボディーの断面サンプルを得る。
【0159】
得られたキャパシタボディーの断面サンプルに対してESRF社(European Synchrotron Radiation Facility)のID16A-NI(UPBL04)製品を利用してNano-Synchrotron X-Ray Fluorescence(Nano-SXRF)分析する。この時、Synchrotron X-ray(10keV以上)を照射して薄膜でバリウム(Ba)、チタニウム(Ti)、および酸素(O)のモル比率を3回反復測定して平均値を計算する。また、同じ断面内に位置する10個の異なる地点で測定した最小値と最大値の平均値を最終のバリウム(Ba)、チタニウム(Ti)、および酸素(O)のモル比率とする。
【0160】
表1で、酸化層が存在すると「O」、存在しないと「X」で表示する。
【0161】
図7は実施例1で製造された積層型キャパシタの断面サンプルの走査電子顕微鏡写真である。図7でaは断面観察のためのFIB(Focused Ion Beam)活用コーティング層であり、bは薄膜であり、cは酸化層であり、dはカバー層である。図7を参照すれば、実施例1で製造された積層型キャパシタは薄膜と酸化層が形成されたことを確認することができる。
【0162】
表面孔隙(pore)が存在すると「O」、存在しないと「X」で表示し、「O」である場合、N.G.と判断する。
【0163】
誘電体結晶粒のサイズ変化は、カバー部またはマージン部で誘電体結晶粒の平均サイズに比べて、薄膜の表面から500nm深さまでの誘電体結晶粒の平均サイズが70%超過である場合は「O」、70%以下である場合は「X」で表示し、「X」である場合はN.G.と判断する。
【0164】
耐湿信頼性は、ESPEC(PR-3J、8585)装備を利用して85℃、相対湿度(R.H.)85%、32V条件で、20時間以上維持される積層型キャパシタの個数が20%以上である場合は「O」、20%未満である場合は「X」で表示し、「X」である場合はN.G.と判断する。
【0165】
酸化層の存在有無、表面孔隙(pore)の存在有無、誘電体結晶粒のサイズ変化、および耐湿信頼性を測定し、その結果を表1に整理する。
【0166】
【表1】
【0167】
表1を参照すれば、ジルコニウム(Zr)の含有量が低い場合には効果が微々であり、ジルコニウム(Zr)の含有量が過度に高い場合、薄膜の急激な粒成長と共にジルコニウムの濃度が増加して、表面に気孔が形成され、表面の誘電体結晶粒のサイズ減少を伴うことが分かる。
【0168】
以上を通じて本発明の好ましい実施例について説明したが、本発明はこれに限定されるのではなく、特許請求の範囲と発明の説明および添付した図面の範囲内で多様に変形して実施することが可能であり、これも本発明の範囲に属することは当然である。
【符号の説明】
【0169】
100:積層型キャパシタ
110:キャパシタボディー
111:誘電体層
112、113:カバー部
114、115:マージン部
121:第1内部電極
122:第2内部電極
131:第1外部電極
132:第2外部電極
151a、151b、151c、151d:薄膜
152a、152b、152c、152d:酸化層
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7