(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024114615
(43)【公開日】2024-08-23
(54)【発明の名称】風向調整装置及び空気調和機
(51)【国際特許分類】
F24F 13/20 20060101AFI20240816BHJP
F24F 11/30 20180101ALI20240816BHJP
F24F 11/74 20180101ALI20240816BHJP
【FI】
F24F1/0007 401C
F24F11/30
F24F11/74
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024000377
(22)【出願日】2024-01-05
(31)【優先権主張番号】202310133674.8
(32)【優先日】2023-02-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(71)【出願人】
【識別番号】000005049
【氏名又は名称】シャープ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100147304
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 知哉
(74)【代理人】
【識別番号】100148493
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 浩二
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 正一
(72)【発明者】
【氏名】ヒ キンセイ
(72)【発明者】
【氏名】シャ セン
(72)【発明者】
【氏名】グ カイ
(72)【発明者】
【氏名】山内 紘平
(72)【発明者】
【氏名】桑嶌 達彦
【テーマコード(参考)】
3L051
3L260
【Fターム(参考)】
3L051BJ10
3L260AB02
3L260BA61
3L260FA07
3L260FB12
3L260FC16
(57)【要約】
【課題】吹出口から送出される気流が阻害されることを抑制しつつ、気流の方向を調整可能な風向調整装置及び空気調和機を提供する。
【解決手段】風向調整装置は、空気調和機の吹出口に設けられ、前記吹出口から前側に送出される気流の風向きを上下に変更する横ルーバと、前記横ルーバの送風面から垂直方向に延びる一対の柱部と、前記一対の柱部を連結する連結部とを含むベースと、前記連結部に設けられ、前記風向きを左右に変更する縦ルーバと、を備え、前記一対の柱部と、前記連結部と、前記送風面とに囲まれた空間は、前記送風面の延びる方向に貫通する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
空気調和機の吹出口に設けられ、前記吹出口から前側に送出される気流の風向きを上下に変更する横ルーバと、
前記横ルーバの送風面から垂直方向に延びる一対の柱部と、前記一対の柱部を連結する連結部とを含むベースと、
前記連結部に設けられ、前記風向きを左右に変更する縦ルーバと、を備え、
前記一対の柱部と、前記連結部と、前記送風面とに囲まれた空間は、前記送風面の延びる方向に貫通する、
風向調整装置。
【請求項2】
前記縦ルーバは、前記垂直方向に延びる板状の羽根を含み、
前記羽根は、前側に向かって前記送風面に近づくように延びる凸部を有する、
請求項1に記載の風向調整装置。
【請求項3】
前記横ルーバにおける前記送風面の前縁部は、前記横ルーバの下面側に湾曲又は傾斜する、
請求項2に記載の風向調整装置。
【請求項4】
前記凸部は、前記ベースの前端部よりも前側に突出する、
請求項2に記載の風向調整装置。
【請求項5】
請求項1から4の何れかに記載の風向調整装置を備えた空気調和機。
【請求項6】
前記吹出口の後側に設けられ、前記吹出口に前記気流を供給する供給口と、
前記送風面のうちで前記供給口と対向しない領域を覆う箱状の封止部と、を備え、
前記封止部の後端は、前記気流の進入を防止する壁で閉じられる、
請求項5に記載の空気調和機。
【請求項7】
前記縦ルーバは、前記垂直方向に延びる板状の羽根を含み、
前記横ルーバは、前記吹出口を開放する開方向と前記吹出口を閉鎖する閉方向とに回転可能であり、
前記横ルーバが前記開方向に回転した場合、前記羽根の少なくとも一部が前記吹出口から前側に進出する、
請求項5に記載の空気調和機。
【請求項8】
制御部を備え、
前記制御部は、所定の指示を受けると、前記羽根の少なくとも一部が前記吹出口から前側に進出する位置まで、前記横ルーバを前記開方向に回転させる、
請求項7に記載の空気調和機。
【請求項9】
前記空気調和機の運転中に、前記吹出口に前記気流を供給する空調部を備え、
前記制御部は、前記所定の指示を受けたときに前記運転中である場合、前記空調部を制御して前記吹出口に供給する前記気流を弱くする、
請求項8に記載の空気調和機。
【請求項10】
前記制御部は、前記吹出口に供給する前記気流を弱くしてから所定時間経過すると、前記空調部を制御して前記吹出口に供給する前記気流の強さを元に戻す、
請求項9に記載の空気調和機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、風向調整装置及び空気調和機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、空気調和機の室内機の吹出口に、風向案内装置を設けることが公知である。例えば、特許文献1は、1枚の上下風向ルーバに複数の左右風向ルーバが設けられた風向案内装置を開示する。詳細には、板状の左右風向ルーバ調節具が、上下風向ルーバの上面に固定される。各左右風向ルーバの突起が左右風向ルーバ調節具の孔部に嵌め込まれることで、複数の左右風向ルーバが左右風向ルーバ調節具の上側で回転可能に支持される。吹出口から送出された熱交換空気は、上下風向ルーバによって上下方向に案内され、複数の左右風向ルーバによって左右方向に案内される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記の風向案内装置では、左右風向ルーバ調節具が上下風向ルーバの上面に設けられており、各左右風向ルーバと上下風向ルーバの上面との隙間が小さい。そのため、左右風向ルーバ調節具や複数の左右風向ルーバが、上下風向ルーバの上面を流れる熱交換空気と接触して、熱交換空気の流れを阻害するおそれがある。
本開示の一態様は、吹出口から送出される気流が阻害されることを抑制しつつ、気流の方向を調整可能な風向調整装置及び空気調和機の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の一態様に係る風向調整装置は、空気調和機の吹出口に設けられ、前記吹出口から前側に送出される気流の風向きを上下に変更する横ルーバと、前記横ルーバの送風面から垂直方向に延びる一対の柱部と、前記一対の柱部を連結する連結部とを含むベースと、前記連結部に設けられ、前記風向きを左右に変更する縦ルーバと、を備え、前記一対の柱部と、前記連結部と、前記送風面とに囲まれた空間は、前記送風面の延びる方向に貫通する。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図1】空気調和機を前方右側から視た斜視図である。
【
図3】風向調整装置を斜め上方から視た斜視図である。
【
図4】縦ルーバを取り除いた風向調整装置の斜視図である。
【
図6】
図2の一点鎖線で囲まれた領域の拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、本開示の実施形態について、図面を参照しつつ説明する。なお、図面については、同一又は同等の要素には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。
【0008】
空気調和機1の構造を説明する。
図1は、空気調和機1を前方右側から視た斜視図である。
図2は、空気調和機1を側面から視た縦断面図である。以下の説明では、
図1及び
図2の上側及び下側を、空気調和機1の上側及び下側とする。
図1の左側及び右側を、空気調和機1の左側及び右側とする。
図2の左側及び右側を、空気調和機1の前側及び後側とする。
【0009】
本実施形態の空気調和機1は、冷凍サイクル運転を行う空気調和システムの室内機である。
図1及び
図2に示すように、空気調和機1は、左右方向に延びる箱状のケーシング2を有する。ケーシング2の上面には、吸込口3が形成される。ケーシング2の前面下部には、吹出口4が形成される。ケーシング2の内部には、吸込口3から吹出口4に至る空気流通路が形成される。この空気流通路には、熱交換器5、6が配置される。熱交換器5、6に囲まれた吹出口4側の空間に、空調部7が配置される。空調部7は、例えばクロスフローファンからなる室内ファンである。
【0010】
ケーシング2の内部には、制御部9を含む各種の電気部品が設けられる。制御部9は、空気調和機1の運転制御を司り、例えばCPU等のプロセッサである。制御部9は、MCU(Micro Control Unit)又はMPU(Micro Processor Unit)でもよいし、FPGA(Field Programmable Gate Array)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、その他の演算機能を有する回路でもよい。
【0011】
制御部9は、例えば図示外のリモコン等から所定の指示を受けると、空気調和機1の運転を開始する。空調部7は、空気調和機1の運転中に、吹出口4に気流を供給する。詳細には、空調部7の回転駆動によって、外部の空気が吸込口3からケーシング2内に取り込まれる。この空気が熱交換器5、6において熱交換された後、空調部7から前側下方に延びる供給路8を通って吹出口4から前側に送出される。吹出口4には、吹出口4から送出される気流の向きを調整するための風向調整装置10が設けられる。
【0012】
風向調整装置10の構造を説明する。
図3は、風向調整装置10を斜め上方から視た斜視図である。
図4は、縦ルーバ40を取り除いた風向調整装置10の斜視図である。
図5Aは、
図3のA-A線矢視方向断面図である。
図5Bは、
図3のB-B線矢視方向断面図である。
【0013】
以下の説明では、
図3の上側、下側、左下側、右上側、右下側、及び左上側を、風向調整装置10の上側、下側、左側、右側、前側、及び後側とする。風向調整装置10の左右方向は、空気調和機1の左右方向と略一致する。一方、風向調整装置10の上下前後方向は、横ルーバ20の回転に応じて、空気調和機1の上下前後方向に対して変化する。
図3及び
図4の例では、風向調整装置10の上下前後方向が空気調和機1の上下前後方向と一致するように、横ルーバ20が略水平に延びた状態にある。
【0014】
図3及び
図4に示すように、風向調整装置10は、横ルーバ20、ベース30、縦ルーバ40、連結アーム50等を含む。横ルーバ20は、空気調和機1の吹出口4に設けられ、吹出口4から送出される気流の風向きを上下に変更する。本例では、横ルーバ20は、左右方向に長い矩形板状の羽根である。供給路8の下流側端部には、吹出口4と連通する供給口8A(
図6参照)が設けられる。供給口8Aは、吹出口4の後側に設けられ、吹出口4に気流を供給する。横ルーバ20は、正面視で供給口8Aを跨いで左右両側に延びる。
【0015】
横ルーバ20は、左右方向に延びる複数の支持軸11によって、吹出口4内で回転可能に支持される。制御部9は、横ルーバ20を回転させる図示外の回転駆動機構を制御することで、横ルーバ20の向きを調整する。運転中に空調部7から吹出口4に流れる気流は、横ルーバ20の後側から供給されて、横ルーバ20の前側に送出される。このとき気流は、横ルーバ20の向きに沿って室内に送出される。
【0016】
ベース30は、横ルーバ20の送風面21から垂直方向に延びる一対の柱部31と、一対の柱部31を連結する連結部32とを含む。本例では、横ルーバ20は、横ルーバ20の上側を向く送風面21と、送風面21とは反対側を向く下面22とを有する。横ルーバ20には、送風面21の左右方向中心を挟んだ両側に、二つのベース30が設けられる。
【0017】
本例では、横ルーバ20における送風面21の前縁部は、横ルーバ20の下面22側に湾曲する。これに代えて、送風面21の前縁部は、下面22側に傾斜してもよい。送風面21は、その前端部が湾曲しない平面でもよい。
【0018】
図4及び
図5Aに示すように、左側のベース30では、一対の柱部31は左右に並んで、送風面21と垂直をなすように上方へ延びる。各柱部31は、横ルーバ20の前後方向に長い板状である。一対の柱部31のうち、左側の柱部31は横ルーバ20の左端よりも右側にあり、右側の柱部31は横ルーバ20の左右方向中央よりも左側にある。
【0019】
連結部32は、一対の柱部31の上端に架け渡された、左右方向に延びる板状である。連結部32は、送風面21から上側に離隔した高さで、送風面21に沿って延びる。 連結部32では、連結部32を上下に貫通する複数(
図3の例では5つ)の支持孔33が、左右に等間隔で並ぶ。一対の柱部31と、連結部32と、送風面21とに囲まれた空間30Aは、送風面21の延びる方向に貫通する。本例では、空間30Aは送風面21に沿って、ベース30を前後に貫通する。
【0020】
左側のベース30に配置される複数の縦ルーバ40に対応して、一つの連結アーム50が設けられる。連結アーム50は、左右方向に延び且つ上下の厚みが小さい板状である。連結アーム50では、連結アーム50を上下に貫通する複数(
図3の例では5つ)の支持孔51(
図5A参照)が、左右に等間隔で並ぶ。
【0021】
右側のベース30は、左側のベース30と同様の構造である。本例では、右側のベース30が有する一対の柱部31のうち、右側の柱部31は横ルーバ20の右端よりも左側にあり、左側の柱部31は横ルーバ20の左右方向中央よりも右側にある。左側及び右側のベース30は何れも、供給口8Aに近い送風面21の後側部分に設けられる。
【0022】
縦ルーバ40は、連結部32に設けられ、風向きを左右に変更する。本例では、二つのベース30の連結部32の各々に、複数(
図3の例では5つ)の縦ルーバ40が設けられる。各ベース30では、複数の縦ルーバ40が等間隔で左右に並ぶ。
【0023】
図3及び
図5Aに示すように、縦ルーバ40は、垂直方向に延びる板状の羽根41を含む。本例では、羽根41は横ルーバ20の送風面21の上側で垂直に延び、且つ羽根41の両面が左右両側を向く。羽根41の周面は、前辺部411、後辺部412、上辺部413、及び下辺部414を含み、側面視で縦ルーバ40の輪郭を形成する。
【0024】
羽根41は、前側に向かって送風面21に近づくように延びる凸部411Aを有する。本例では、前辺部411は、羽根41の周面のうちで、風向調整装置10の前側を向く部分である。前辺部411では、風向調整装置10の前側に向かって突出する複数(
図3の例では3つ)の凸部411Aが上下に並ぶ。各凸部411Aは、側面視で、風向調整装置10の前側下方に向かって先細りしながら延びる形状である。そのため、各凸部411Aは全体として、その突出端が羽根41の下側にある送風面21に向かって延びる。
【0025】
後辺部412、上辺部413、及び下辺部414は、羽根41の周面のうちで、風向調整装置10の後側、上側、及び下側を夫々向く部分である。後辺部412は、側面視で風向調整装置10の前側に凹む円弧状である。上辺部413は、側面視で風向調整装置10の上側に膨らむ円弧状である。下辺部414は、全体として送風面21と略平行に延びる。下辺部414の前側部分には、側面視で上側に凹む段差414Aが形成される。
【0026】
本例では、円弧状の上辺部413では、前端が後端よりも下側にある。先述したように、前辺部411の各凸部411Aが前側下方に向かって先細りした形状である。そのため、羽根41は全体として、側面視で、前側下方にある送風面21に向かって先細りした形状をなす。
【0027】
縦ルーバ40は、羽根41から下方に突出する二つの突起42、43を有する。後側の突起42は、下辺部414の後側部分から下方に突出する円柱状である。この突起42は、対応するベース30の支持孔33に上方から挿入され、この支持孔33によって回転可能に支持される。支持孔33に挿入された突起42の下端は、ベース30の空間30A内に配置され、且つ送風面21から上側に離隔している。各縦ルーバ40は、支持孔33で支持された突起42を中心として、ベース30上で左右両側に回転可能となる。
【0028】
凸部411Aは、ベース30の前端部よりも前側に突出する。本例では、上述した構造により、縦ルーバ40の後端側がベース30によって下方から支持される。複数の凸部411Aの全てが、ベース30よりも前方に配置されて、ベース30の前端部よりも前側に突出する。これに代えて、複数の凸部411Aの少なくとも一つが、ベース30の前端部よりも前側に突出してもよい。
【0029】
前側の突起43は、下辺部414の前側部分から下方に突出する円柱状である。この突起43が対応する連結アーム50の支持孔51に上方から挿入され、この支持孔51によって回転可能に支持される。支持孔51に挿入された突起43の下端は、ベース30の連結部32の前側に配置され、且つ送風面21から上側に離隔している。左側のベース30に配置される複数の縦ルーバ40は、何れも一つの連結アーム50によって連結される。同様に、右側のベース30に配置される複数の縦ルーバ40も、何れも一つの連結アーム50によって連結される。
【0030】
図3及び
図4に示すように、風向調整装置10は、横ルーバ20の送風面21の一部を覆う箱状の封止部60を有する。封止部60の後端は、気流の進入を防止する壁63で閉じられる。本例では、送風面21のうちで左側のベース30よりも左側にある部分は、送風面21の左縁部である。送風面21のうちで右側のベース30よりも右側にある部分は、送風面21の右縁部である。送風面21の左縁部及び右縁部に、夫々封止部60が設けられる。
【0031】
図4及び
図5Bに示すように、左側の封止部60は、ベース30と同様に、一対の柱部61と連結部62とを有する。一対の柱部61は左右に並んで、送風面21と垂直をなすように上方へ延びる。連結部62は、一対の柱部61の上端に架け渡された板状である。但し、本例の封止部60は、ベース30よりも前後方向に長い。
【0032】
左側の封止部60は、ベース30と異なり、封止部60の後端を覆う壁63を有する。一対の柱部61と、連結部62と、壁63と、横ルーバ20の送風面21とは全体として有底筒状を形成し、これらに囲まれた空間60Aは風向調整装置10の前側のみに開口する。この封止部60では、空間60Aの後側が壁63で閉じられているため、風向調整装置10の後側から供給される気流が空間60Aに進入しにくい。
【0033】
右側の封止部60は、左側の封止部60と同様の構造である。左側及び右側の封止部60は何れも、供給口8Aに近い送風面21の後側部分に設けられる。後述するように右側の封止部60は、送風面21のうちで供給口8Aと対向しない領域を覆う。
【0034】
本例では、右側のベース30における左側の柱部31に、中央の支持軸11が設けられる。左側の封止部60における左側の柱部61に、左側の支持軸11が設けられる。右側の封止部60における右側の柱部61に、右側の支持軸11が設けられる。これらの支持軸11は、吹出口4を形成するケーシング2の壁部によって回転可能に支持される。これらの支持軸11は、吹出口4の上端縁4Aと下端縁4Bとの間に配置され、左右に延びる横ルーバ20の回転中心軸を形成する(
図1、
図2参照)。
【0035】
風向調整装置10の動作態様を説明する。
図6は、
図2の一点鎖線で囲まれた領域の拡大図である。
図7Aは、空気調和機1の吹出口左端の拡大図である。
図7Bは、空気調和機1の吹出口右端の拡大図である。先述したように制御部9は、図示外の回転駆動機構を制御することで、例えば運転中に横ルーバ20を回転させる。このとき横ルーバ20は、吹出口4を開放する開方向と吹出口4を閉鎖する閉方向とに回転可能である。
【0036】
図1に示すように、横ルーバ20が閉位置にある場合、横ルーバ20の前端部が吹出口4の上端縁4Aと近接し、且つ横ルーバ20の後端部が吹出口4の下端縁4Bと接近する。閉位置にある横ルーバ20は、吹出口4を閉鎖する。横ルーバ20を閉位置から開位置に変位させる場合、制御部9は横ルーバ20を右側面視で反時計回りに回転させる(
図2参照)。これにより、横ルーバ20は吹出口4を開放する開方向に回転する。
【0037】
図2及び
図6に示すように、横ルーバ20が開位置にある場合、横ルーバ20の前端部が吹出口4の上端縁4Aから下方に離隔し、且つ横ルーバ20の後端部が吹出口4の下端縁4Bから上方に離隔する。開位置にある横ルーバ20は、吹出口4を開放する。横ルーバ20が開方向に回転した場合、羽根41の少なくとも一部が吹出口4から前側に進出する。本例では、横ルーバ20が閉位置から開位置に変位すると、各羽根41に設けられた複数の凸部411Aが、吹出口4から前側に進出する。
【0038】
空気調和機1の前にいるユーザは、吹出口4から進出した凸部411Aを指で摘まむことが容易である。ユーザは凸部411Aを指で摘まんで、縦ルーバ40の左右方向の向きを手動調整できる。このとき、ユーザが一つの縦ルーバ40の向きを調整すれば、この縦ルーバ40と同じ連結アーム50に連結された他の縦ルーバ40の向きも連動して調整される。
【0039】
先述したように、凸部411Aはベース30の前端部よりも前側に突出している。そのため、ユーザが前側から凸部411Aをつまむときに、ベース30がユーザの指に干渉しにくい。従ってユーザは、縦ルーバ40の向きを手動調整する作業を効率的に実行できる。
【0040】
図6に示すように、制御部9は横ルーバ20を開位置に変位させた状態で、空気調和機1の運転を実行する。空調部7から送出される気流は、前側下方に延びる供給路8内を通り、供給口8Aから吹出口4内に進む。開位置の横ルーバ20では、その前端側が吹出口4の外側に出ており、且つその後端側が吹出口4の内側に入っている。この横ルーバ20によって、吹出口4が上下に二分割される。
【0041】
気流F1は、吹出口4のうちで横ルーバ20の上側を進み、ベース30上に配置された複数の縦ルーバ40に沿って送出される。詳細には、気流F1は、各羽根41の後辺部412から前辺部411に向かって、各羽根41の両側面に沿って流れる。これにより、気流F1の向きが左右に調整される。
【0042】
先述したように羽根41は、全体として側面視で送風面21に向かって先細りした形状をなす。気流F1は、側面視で各羽根41の上辺部413と下辺部414との間を進むに連れて、横ルーバ20の送風面21側に案内される。更に気流F1は、各羽根41の前辺部411を通過するとき、複数の凸部411Aに沿って流れる。このとき気流F1は、各凸部411Aの先細り形状に従って流速が高まると共に、送風面21側に送出される。このように、ベース30上を流れる気流F1を送風面21側に誘導することで、送風面21において気流F1の向きを上下に調整できる。
【0043】
気流F2は、吹出口4のうちで横ルーバ20の上側を進み、ベース30内に形成された空間30Aを通って送出される。詳細には、気流F2は、複数の縦ルーバ40の下側にある空間30Aにおいて、送風面21に沿って横ルーバ20の前端側に進む。これにより、気流F2の向きが上下に調整される。
【0044】
このように本実施形態では、複数の縦ルーバ40がベース30上に設けられると共に、このベース30に気流が通過可能な空間30Aが設けられる。気流F2は、複数の縦ルーバ40と干渉することが防止され、空間30A内において送風面21に沿ってスムーズに流れる。従って、吹出口4から送出される気流の流れが、横ルーバ20上の部材によって阻害されることを抑制できる。
【0045】
本例では、連結アーム50が空間30A内に進入しないように、側面視で連結アーム50の略全体が各縦ルーバ40の段差414A内に配置される。これにより気流F2は、連結アーム50と干渉することも防止され、空間30A内において送風面21に沿ってスムーズに流れる。
【0046】
更に、空間30Aを通過した気流F2は、複数の縦ルーバ40から送風面21側に送出された気流F1と合流する。気流F1と気流F2とが合流した気流F3は、更に送風面21に沿って横ルーバ20の前端側に進む。これにより、気流F1と気流F2とを含む気流F3の向きが、上下に調整される。
【0047】
先述のように、横ルーバ20の送風面21の前縁部は、横ルーバ20の下面22側に湾曲する。従って気流F3は、送風面21の前縁部を通過するときに、送風面21の前縁部から直進的に放出される気流と、送風面21の前縁部の湾曲形状に沿って下向きに案内される気流とに拡散される。このように拡散された気流F3が、吹出口4から送出される。
【0048】
気流F4は、吹出口4のうちで横ルーバ20の下側を進み、下面22に沿って横ルーバ20の前端側に進む。これにより、気流F4の向きが上下に調整される。横ルーバ20の下面22の前縁部も、送風面21の前縁部に合わせて下向きに湾曲している。従って気流F4は、下面22の前縁部を通過するときに、下面22の前縁部の湾曲形状に沿って下向きに案内される。このように下向きに案内された気流F4が、吹出口4から送出される。
【0049】
以上により、気流F3及び気流F4を含む気流全体が、横ルーバ20の延伸方向から下側に広がるように放射される。そのため、ユーザが空調性能を実感しやすい室内の下部に向けて、吹出口4から熱交換空気の気流を効率的に送風できる。
【0050】
図7Aに示すように、空気調和機1の吹出口4の左端側には、左側の封止部60が配置される。本例では、吹出口4の後側にある供給口8Aが、正面視で吹出口4の左端まで延びる。横ルーバ20が開位置にある場合、左側の封止部60では壁63が供給口8A側を向き、且つ空間60Aの開口が供給口8Aとは反対側を向く。従って、供給口8Aから左側の封止部60に向かう気流は、壁63によって前方への移動が規制される。この気流は、壁63を右側に迂回して、左側の封止部60と左側のベース30との間を通って送風面21上を流れる。つまり左側の封止部60は、送風面21上で流れる気流全体の左右幅を減少させる。これにより、送風面21上で流れる気流全体の流速を向上できる。
【0051】
図7Bに示すように、空気調和機1の吹出口4の右端側には、右側の封止部60が配置される。本例では、吹出口4の後側にある供給口8Aが、正面視で吹出口4の右端よりも左側まで延びる。供給口8Aの右側には、吹出口4の右端側の後方を塞ぐ壁8Bが設けられる。横ルーバ20が開位置にある場合、右側の封止部60では壁63が壁8B側を向き、且つ空間60Aの開口が壁8Bとは反対側を向く。
【0052】
例えば横ルーバ20が開口幅の大きい開位置にある場合、空調部7から送出される気流は、横ルーバ20の送風面21よりも下面22に沿って流れやすい。また、空調部7から送出される気流は、壁8Bの前側に供給されにくい。本例では、横ルーバ20の右縁部の送風面21は、壁8Bの前側にあるため、開位置の横ルーバ20のうちで最も気流が流れにくい。例えば、冷房運転中の横ルーバ20の右縁部では、下面22のみに冷気流が流れると共に、冷気流が流れない送風面21側に周囲の湿った空気が流入して、下面22との温度差が大きい送風面21に結露を生じるおそれがある。
【0053】
本実施形態では、横ルーバ20の右縁部において、送風面21を覆うように右側の封止部60が設けられる。気流が供給口8Aから右側の封止部60に向かった場合でも、空間60Aが供給口8Aとは反対側に開口するため、気流は空間60Aに流入し難い。空間60Aに滞留する空気層が、送風面21と下面22との間に配置された断熱層として機能する。例えば横ルーバ20の右縁部において、下面22のみに冷気流が流れた場合でも、断熱層の空間60Aによって送風面21の結露発生を抑制できる。
【0054】
本例では、横ルーバ20を支持するための支持軸11が、ベース30や封止部60に設けられる。支持軸11に加えられる横ルーバ20の荷重や回転負荷が、ベース30や封止部60に分散される。そのため、例えば支持軸11を横ルーバ20に直接設けられる場合よりも、支持軸11が破損し難い。
【0055】
空気調和機1で実行される各種処理のうち、ユーザが縦ルーバ40の向きを手動で調整するための風向調整処理を説明する。
図8は、風向調整処理のフローチャートである。この風向調整処理において、制御部9は、所定の指示を受けると、縦ルーバ40の羽根41の少なくとも一部が吹出口4から前側に進出する位置まで、横ルーバ20を開方向に回転させる。
【0056】
S801において制御部9は、風向調整処理の開始指示ありかを判断する。本例では、横ルーバ20の回転位置を調整するための風向調整ボタンが、リモコンに設けられている。横ルーバ20の前端部と吹出口4の上端縁4Aとの上下方向長さを、横ルーバ20の開口幅という。制御部9は、風向調整ボタンが押される毎に、横ルーバ20の開口幅が段階的に大きくなるように、横ルーバ20を所定角度ずつ開方向に回転させる。これにより横ルーバ20は、開口幅が異なる複数の開位置の何れかに切り替えられる。制御部9は、横ルーバ20が最大の開口幅の開位置にあるときに風向調整ボタンが押されると、横ルーバ20を閉方向に回転させて閉位置に変位させる。
【0057】
このように、ユーザはリモコンの風向調整ボタンを操作することで、横ルーバ20を開位置と閉位置とに切り替えたり、複数の開位置の何れかに切り替えたりできる。S801において制御部9は、風向調整ボタンが所定時間に亘って長押しされた場合、風向調整処理の開始指示ありと判断する。これに代えて制御部9は、ユーザが他の操作を行った場合に、風向調整処理の開始指示ありと判断してもよい。例えば制御部9は、電源ボタンが長押しされたり、風向調整処理の開始/終了を指示する専用ボタンが押された場合等に、風向調整処理の開始指示ありと判断してもよい。
【0058】
制御部9は、所定の指示を受けたときに空気調和機1が運転中である場合、空調部7を制御して吹出口4に供給する気流を弱くする。即ち、S801において風向調整処理の開始指示ありがある場合、S803において制御部9は、空気調和機1が運転中であるかを判断する。本例では、例えば冷房や暖房のために空調部7が駆動されている場合、制御部9は空気調和機1が運転中であると判断する。この場合、S805において制御部9は、空調部7を制御して、気流の風速を所定値までダウンさせる。所定値は、例えば空気調和機1で設定可能な複数の風速のうちで最小の風速である。
【0059】
S805の実行後、又はS803において空気調和機1が運転中でない場合、S807において制御部9は、横ルーバ20を開方向に回転させて、風向調整位置まで開いて停止させる。例えば風向調整位置は、先述した複数の開位置のうち、最大の開口幅の開位置である。横ルーバ20が風向調整位置に変位すると、先述したように各縦ルーバ40の羽根41の少なくとも一部が吹出口4から前側に進出する。ユーザは羽根41を摘まんで、各縦ルーバ40の向きを任意に調整する。S805で気流の風速ダウンが実行されると、吹出口4から送出される気流が相対的に弱くなるため、ユーザによる各縦ルーバ40の調整作業が気流によって妨げられることを抑制できる。
【0060】
S809において制御部9は、風向調整処理の終了指示ありかを判断する。例えば制御部9は、風向調整ボタンが再度長押しされた場合、風向調整処理の終了指示ありと判断する。これに代えて制御部9は、ユーザが他の操作を行った場合に、風向調整処理の終了指示ありと判断してもよい。例えば制御部9は、電源ボタンが再度長押しされたり、風向調整処理の開始/終了を指示する専用ボタンが再度押されたりした場合に、風向調整処理の終了指示ありと判断してもよい。
【0061】
S809において風向調整処理の終了指示がある場合、S811において制御部9は、空気調和機1を元の運転状態に戻す。例えば制御部9は、横ルーバ20を閉方向に回転させて、S807の実行前の回転位置に戻す。制御部9は、空調部7を制御して、気流の風速をS805の実行前の風速に戻す。S809において風向調整処理の終了指示がない場合、制御部9は処理をS809に戻し、終了指示を待ち受ける。S811の実行後、又はS801において開始指示がない場合、制御部9は処理をS801に戻し、開始指示を待ち受ける。
【0062】
上述した風向調整処理は、各種変形が可能である。例えば制御部9は、吹出口4に供給する気流を弱くしてから所定時間経過すると、空調部7を制御して吹出口4に供給する気流の強さを元に戻してもよい。具体的には、制御部9はS805を実行した場合、その実行時から例えば1分経過すると、S811と同様に気流の風速を元に戻す。また、制御部9は、横ルーバ20を風向調整位置に変位させてから所定時間経過すると、横ルーバ20を元の回転位置に戻してもよい。具体的には、制御部9はS807の実行時から例えば1分経過すると、S811と同様に気流の風速を元に戻す。
【0063】
本開示は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態に夫々開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。更に、各実施形態に夫々開示された技術的手段を組み合わせることにより、新しい技術的特徴を形成することができる。