(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024011462
(43)【公開日】2024-01-25
(54)【発明の名称】制御システム、制御装置および通信方法
(51)【国際特許分類】
H04L 12/46 20060101AFI20240118BHJP
【FI】
H04L12/46 200S
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022113438
(22)【出願日】2022-07-14
(71)【出願人】
【識別番号】000002945
【氏名又は名称】オムロン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】植田 貴雅
【テーマコード(参考)】
5K033
【Fターム(参考)】
5K033DA03
5K033DB19
5K033EA05
(57)【要約】
【課題】転送されるデータを用いた処理をより確実に実行できる仕組みを提供する。
【解決手段】制御システムは、第1制御装置および第2制御装置と、第1伝送路を介して第1制御装置と接続されるとともに、第2伝送路を介して第1制御装置と接続された中継装置とを含む。中継装置は、第1制御装置から送信されたデータを第2制御装置へ転送する処理と、第2制御装置から送信されたデータを第1制御装置へ転送する処理とを実行可能に構成されている。第1制御装置は、第2制御装置へ送信するデータ、および、第2制御装置から受信するデータのうち少なくとも一方のデータ転送に係る正当性を示す第1付加情報を生成する処理を実行可能に構成されている。第2制御装置は、第1制御装置へ送信するデータ、および、第1制御装置から受信するデータのうち少なくとも一方のデータ転送に係る正当性を示す第2付加情報を生成する処理を実行可能に構成されている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
制御システムであって、
第1制御装置および第2制御装置と、
第1伝送路を介して前記第1制御装置と接続されるとともに、第2伝送路を介して前記第1制御装置と接続された中継装置とを備え、
前記中継装置は、前記第1制御装置から送信されたデータを前記第2制御装置へ転送する処理と、前記第2制御装置から送信されたデータを前記第1制御装置へ転送する処理とを実行可能に構成されており、
前記第1制御装置は、前記第2制御装置へ送信するデータ、および、前記第2制御装置から受信するデータのうち少なくとも一方のデータ転送に係る正当性を示す第1付加情報を生成する処理を実行可能に構成されており、
前記第2制御装置は、前記第1制御装置へ送信するデータ、および、前記第1制御装置から受信するデータのうち少なくとも一方のデータ転送に係る正当性を示す第2付加情報を生成する処理を実行可能に構成されている、制御システム。
【請求項2】
前記第1制御装置で実行される第1ユーザプログラムから前記第1付加情報を利用可能であり、
前記第2制御装置で実行される第2ユーザプログラムから前記第2付加情報を利用可能である、請求項1に記載の制御システム。
【請求項3】
前記第1ユーザプログラムにおいて予め定められた変数を指定することで、前記第1付加情報を利用可能であり、
前記第2ユーザプログラムにおいて予め定められた変数を指定することで、前記第2付加情報を利用可能である、請求項2に記載の制御システム。
【請求項4】
前記第1制御装置は、前記第1伝送路を介してデータを送受信する処理に異常を検出すると、前記中継装置に異常検出を通知する、請求項1~3のいずれか1項に記載の制御システム。
【請求項5】
前記第2制御装置は、前記第2伝送路を介してデータを送受信する処理に異常を検出すると、前記中継装置に異常検出を通知する、請求項1~3のいずれか1項に記載の制御システム。
【請求項6】
前記中継装置は、
前記第1伝送路を介してデータを送受信する処理に異常を検出すると、前記第2制御装置に異常検出を通知し、
前記第2伝送路を介してデータを送受信する処理に異常を検出すると、前記第1制御装置に異常検出を通知する、請求項1~3のいずれか1項に記載の制御システム。
【請求項7】
前記中継装置は、
前記第1制御装置から異常検出の通知を受信すると、当該通知を前記第2制御装置へ転送し、
前記第2制御装置から異常検出の通知を受信すると、当該通知を前記第1制御装置へ転送する、請求項1~3のいずれか1項に記載の制御システム。
【請求項8】
前記第1制御装置は、他の装置から異常検出の通知を受信すると、前記第1付加情報を正当ではない状態を示す値に更新する、請求項1~3のいずれか1項に記載の制御システム。
【請求項9】
前記第2制御装置は、他の装置から異常検出の通知を受信すると、前記第2付加情報を正当ではない状態を示す値に更新する、請求項1~3のいずれか1項に記載の制御システム。
【請求項10】
中継装置を介して他の制御装置と接続された制御装置であって、
前記中継装置は、前記制御装置から送信されたデータを前記他の制御装置へ転送する処理と、前記他の制御装置から送信されたデータを前記制御装置へ転送する処理とを実行可能に構成されており、
前記制御装置は、前記他の制御装置へ送信するデータ、および、前記他の制御装置から受信するデータのうち少なくとも一方のデータ転送に係る正当性を示す付加情報を生成する処理を実行可能に構成されている、制御装置。
【請求項11】
第1制御装置および第2制御装置と、第1伝送路を介して前記第1制御装置と接続されるとともに、第2伝送路を介して前記第1制御装置と接続された中継装置とを備えた制御システムにおける通信方法であって、
前記中継装置が前記第1制御装置から送信されたデータを前記第2制御装置へ転送するステップと、
前記中継装置が前記第2制御装置から送信されたデータを前記第1制御装置へ転送するステップと、
前記第1制御装置が、前記第2制御装置へ送信するデータ、および、前記第2制御装置から受信するデータのうち少なくとも一方のデータ転送に係る正当性を示す第1付加情報を生成するステップと、
前記第2制御装置が、前記第1制御装置へ送信するデータ、および、前記第1制御装置から受信するデータのうち少なくとも一方のデータ転送に係る正当性を示す第2付加情報を生成するステップとを備える、通信方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、制御システム、制御装置および通信方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年の情報通信技術の飛躍的な発展に伴って、産業用装置においてもより多くのデータを処理する必要性が高まっている。より具体的には、IoT(Internet of Things)やIndustry 4.0などに代表される、通信技術を用いた技術革新が進みつつある。これによって、システム内でやり取りされるデータは増大傾向にある。
【0003】
このようなデータ処理量の増大に対する解決手段の一つとして、国際公開第2013/137023号(特許文献1)は、複数の通信ラインを含む構成において、装置間のデータ更新をより適切に行うことができる構成を開示する。
【0004】
複数のネットワークを用いて複数のコントローラを接続してネットワーク分散制御システムを構成する場合には、ネットワーク間のデータ転送を担当するゲートウェイである中継ユニットが用いられる。このようなゲートウェイを介して制御装置間のデータ交換を実現する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ある制御装置で他の制御装置から受信したデータを用いた処理を実行する場合や、ある制御装置から他の制御装置へデータを送信する処理を実行する場合においては、対象のデータが適切に転送されたことを確認することが好ましい。本発明は、転送されるデータを用いた処理をより確実に実行できる仕組みを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一例に従う制御システムは、第1制御装置および第2制御装置と、第1伝送路を介して第1制御装置と接続されるとともに、第2伝送路を介して第1制御装置と接続された中継装置とを含む。中継装置は、第1制御装置から送信されたデータを第2制御装置へ転送する処理と、第2制御装置から送信されたデータを第1制御装置へ転送する処理とを実行可能に構成されている。第1制御装置は、第2制御装置へ送信するデータ、および、第2制御装置から受信するデータのうち少なくとも一方のデータ転送に係る正当性を示す第1付加情報を生成する処理を実行可能に構成されている。第2制御装置は、第1制御装置へ送信するデータ、および、第1制御装置から受信するデータのうち少なくとも一方のデータ転送に係る正当性を示す第2付加情報を生成する処理を実行可能に構成されている。
【0008】
この構成によれば、第1制御装置および第2制御装置の各々は、データ転送に係る正当性を示す付加情報を生成するので、第1制御装置および第2制御装置の各々において、転送されるデータを用いた処理をより確実に実行できる仕組みを提供する。例えば、転送されるデータの正当性が確認できない場合には、当該データを用いた処理を実行しない(スキップする)ようなプログラムを容易に記述できる。
【0009】
第1制御装置で実行される第1ユーザプログラムから第1付加情報を利用可能であってもよい。第2制御装置で実行される第2ユーザプログラムから第2付加情報を利用可能であってもよい。この構成によれば、データの正当性を確認した上で、制御演算を実現するためのユーザプログラムを実行できる。
【0010】
第1ユーザプログラムにおいて予め定められた変数を指定することで、第1付加情報を利用可能であってもよい。第2ユーザプログラムにおいて予め定められた変数を指定することで、第2付加情報を利用可能であってもよい。この構成によれば、ユーザプログラムにおいて、変数を指定することで、データの正当性を確認する処理を実現できる。
【0011】
第1制御装置は、第1伝送路を介してデータを送受信する処理に異常を検出すると、中継装置に異常検出を通知するようにしてもよい。この構成によれば、第1制御装置が検出した異常を中継装置を介して他の装置へ通知できる。
【0012】
第2制御装置は、第2伝送路を介してデータを送受信する処理に異常を検出すると、中継装置に異常検出を通知するようにしてもよい。この構成によれば、第2制御装置が検出した異常を中継装置を介して他の装置へ通知できる。
【0013】
中継装置は、第1伝送路を介してデータを送受信する処理に異常を検出すると、第2制御装置に異常検出を通知し、第2伝送路を介してデータを送受信する処理に異常を検出すると、第1制御装置に異常検出を通知するようにしてもよい。この構成によれば、一方の伝送路に関して中継装置が検出した異常を他方の伝送路に接続された制御装置へ通知できる。
【0014】
中継装置は、第1制御装置から異常検出の通知を受信すると、当該通知を第2制御装置へ転送し、第2制御装置から異常検出の通知を受信すると、当該通知を第1制御装置へ転送するようにしてもよい。この構成によれば、中継装置が一方の伝送路に接続された制御装置が検出した異常を他方の伝送路に接続された制御装置へ通知できる。
【0015】
第1制御装置は、他の装置から異常検出の通知を受信すると、第1付加情報を正当ではない状態を示す値に更新するようにしてもよい。この構成によれば、自装置が検出した異常だけではなく、他の装置から受信した異常検知の通知を第1付加情報に反映できる。
【0016】
第2制御装置は、他の装置から異常検出の通知を受信すると、第2付加情報を正当ではない状態を示す値に更新するようにしてもよい。この構成によれば、自装置が検出した異常だけではなく、他の装置から受信した異常検知の通知を第2付加情報に反映できる。
【0017】
本発明の別の一例に従えば、中継装置を介して他の制御装置と接続された制御装置が提供される。中継装置は、制御装置から送信されたデータを他の制御装置へ転送する処理と、他の制御装置から送信されたデータを制御装置へ転送する処理とを実行可能に構成されている。制御装置は、他の制御装置へ送信するデータ、および、他の制御装置から受信するデータのうち少なくとも一方のデータ転送に係る正当性を示す付加情報を生成する処理を実行可能に構成されている。
【0018】
本発明のさらに別の一例に従えば、第1制御装置および第2制御装置と、第1伝送路を介して第1制御装置と接続されるとともに、第2伝送路を介して第1制御装置と接続された中継装置とを備えた制御システムにおける通信方法が提供される。通信方法は、中継装置が第1制御装置から送信されたデータを第2制御装置へ転送するステップと、中継装置が第2制御装置から送信されたデータを第1制御装置へ転送するステップと、第1制御装置が、第2制御装置へ送信するデータ、および、第2制御装置から受信するデータのうち少なくとも一方のデータ転送に係る正当性を示す第1付加情報を生成するステップと、第2制御装置が、第1制御装置へ送信するデータ、および、第1制御装置から受信するデータのうち少なくとも一方のデータ転送に係る正当性を示す第2付加情報を生成するステップとを含む。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、データ転送に係る正当性を確認および監視できるので、制御装置は、転送されるデータを用いた処理をより確実に実行できる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】本実施の形態に従う制御システムの全体構成例を示す模式図である。
【
図2】本実施の形態に従う第1装置の第1演算ユニットのハードウェア構成例を示すブロック図である。
【
図3】本実施の形態に従う第2装置の第2演算ユニットのハードウェア構成例を示すブロック図である。
【
図4】本実施の形態に従う第2装置の中継ユニットのハードウェア構成例を示すブロック図である。
【
図5】本実施の形態に従う制御システムにおけるデータ転送の概要を示す模式図である。
【
図6】本実施の形態に従う制御システムにおける正当性を示す付加情報を提供するための処理例を示す図である。
【
図7】本実施の形態に従う制御システムにおける正当性を示す付加情報を提供するための別の処理例を示す図である。
【
図8】本実施の形態に従う制御システムにおける正当性を示す付加情報を提供するためのさらに別の処理例を示す図である。
【
図9】本実施の形態に従う制御システムにおける正当性を示す付加情報を提供するためのさらに別の処理例を示す図である。
【
図10】本実施の形態に従う第1演算ユニットによる正当性を示す付加情報を提供するための処理手順例を示すフローチャートである。
【
図11】本実施の形態に従う第2演算ユニットによる正当性を示す付加情報を提供するための処理手順例を示すフローチャートである。
【
図12】本実施の形態に従う中継ユニットによる正当性を示す付加情報を提供するための処理手順例を示すフローチャートである。
【
図13】本実施の形態に従う制御システムにおける正当性を示す付加情報を利用する場合の処理例を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本発明の実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、図中の同一または相当部分については、同一符号を付してその説明は繰り返さない。
【0022】
<A.全体構成例>
次に、本実施の形態に従う制御システム1の全体構成例について説明する。
【0023】
図1は、本実施の形態に従う制御システム1の全体構成例を示す模式図である。
図1を参照して、制御システム1は、第1装置10と、1または複数の第2装置20とを含む。第1装置および第2装置は、PLC(プログラマブルロジックコントローラ)などの一種のコンピュータであってもよい。
【0024】
第1装置10と、1または複数の第2装置20とは、フィールドネットワーク4を介して接続されている。フィールドネットワーク4は、サイクリック通信およびメッセージ通信をサポートしている。フィールドネットワーク4としては、例えば、EtherCAT(登録商標)、EtherNet/IP(登録商標)、PROFINET(登録商標)、PROFIBUS(登録商標)、DeviceNet(登録商標)、FL-net、CompoNet(登録商標)などを用いてもよい。
【0025】
第1装置10は、制御演算を実行する第1演算ユニット100(第1制御装置の一例)を含む。第1演算ユニット100は、フィールドネットワーク4によるデータ通信が可能になっている。第1装置10は、電源ユニット、I/Oユニット、特殊ユニットなどをさらに有してもよい。
【0026】
第2装置20は、制御演算を実行する第2演算ユニット200(第2制御装置の一例)と、フィールドネットワーク4に接続するためのインターフェイスを有する中継ユニット250(中継装置の一例)とを含む。第2装置20は、電源ユニット、I/Oユニット、特殊ユニットなどをさらに有してもよい。
【0027】
第2演算ユニット200と中継ユニット250とは、内部バス6(
図3および
図4参照)を介して接続されている。なお、第2装置20がI/Oユニットおよび/または特殊ユニットを含む場合には、当該ユニットも内部バス6を介して接続される。
【0028】
中継ユニット250は、第1演算ユニット100と第2演算ユニット200との間で互いにデータを転送するためのゲートウェイである。より具体的には、中継ユニット250は、第1演算ユニット100から送信されるデータを第2演算ユニット200が参照できるように転送するとともに、第2演算ユニット200が出力するデータを第1演算ユニット100が参照できるように転送する。
【0029】
制御システム1は、第1装置10および/または第2装置20で実行されるプログラムや設定などを作成および変更するためのサポート装置300を含んでいてもよい。サポート装置300は、第2装置20の第2演算ユニット200に接続されてもよいし、第1装置10の第1演算ユニット100に接続されてもよい。
【0030】
<B.ハードウェア構成例>
次に、本実施の形態に従う制御システム1の主要な装置のハードウェア構成例について説明する。
【0031】
(b1:第1演算ユニット100)
図2は、本実施の形態に従う第1装置10の第1演算ユニット100のハードウェア構成例を示すブロック図である。
図2を参照して、第1演算ユニット100は、CPU(Central Processing Unit)やMPU(Micro-Processing Unit)などのプロセッサ102と、チップセット104と、メモリ106と、ストレージ108と、上位ネットワークインターフェイス110と、USB(Universal Serial Bus)インターフェイス112と、メモリカードインターフェイス114と、フィールドネットワークインターフェイス120とを含む。
【0032】
プロセッサ102は、ストレージ108に格納された各種プログラムを読み出して、メモリ106に展開して実行することで、第1演算ユニット100で必要な処理を実現する。チップセット104は、プロセッサ102と各コンポーネントとの間のデータ通信などを制御する。
【0033】
ストレージ108には、典型的には、システムプログラム131と、制御演算に必要なコンピュータ読み取り可能なコードを含むユーザプログラム132とが格納される。
【0034】
ストレージ108に格納されたプログラムが実行されることで、コンピュータである第1演算ユニット100に本明細書に記載された処理を実行させるとともに、コンピュータである第1演算ユニット100において本明細書に記載された機能構成を実現させる。
【0035】
上位ネットワークインターフェイス110は、上位ネットワークを介した他の装置との間のデータ通信を制御する。USBインターフェイス112は、USB接続を介してサポート装置との間のデータ通信を制御する。
【0036】
メモリカードインターフェイス114は、メモリカード116を着脱可能に構成されており、メモリカード116に対してデータを書き込み、メモリカード116から各種データ(ユーザプログラムやトレースデータなど)を読み出すことが可能になっている。
【0037】
フィールドネットワークインターフェイス120は、フィールドネットワーク4を介した第2装置20との間のデータ通信を制御する。
【0038】
(b2:第2演算ユニット200)
図3は、本実施の形態に従う第2装置20の第2演算ユニット200のハードウェア構成例を示すブロック図である。
図3を参照して、第2演算ユニット200は、CPUやMPUなどのプロセッサ202と、チップセット204と、メモリ206と、ストレージ208と、上位ネットワークインターフェイス210と、USBインターフェイス212と、メモリカードインターフェイス214と、内部バスインターフェイス220とを含む。
【0039】
プロセッサ202は、ストレージ208に格納された各種プログラムを読み出して、メモリ206に展開して実行することで、第2演算ユニット200で必要な処理を実現する。チップセット204は、プロセッサ202と各コンポーネントとの間のデータ通信などを制御する。
【0040】
ストレージ208には、典型的には、システムプログラム231と、制御演算に必要なコンピュータ読み取り可能なコードを含むユーザプログラム232とが格納される。
【0041】
ストレージ208に格納されたプログラムが実行されることで、コンピュータである第2演算ユニット200に本明細書に記載された処理を実行させるとともに、コンピュータである第2演算ユニット200において本明細書に記載された機能構成を実現させる。
【0042】
上位ネットワークインターフェイス210は、上位ネットワークを介した他の装置との間のデータ通信を制御する。USBインターフェイス212は、USB接続を介してサポート装置との間のデータ通信を制御する。
【0043】
メモリカードインターフェイス214は、メモリカード216を着脱可能に構成されており、メモリカード216に対してデータを書き込み、メモリカード216から各種データ(ユーザプログラムやトレースデータなど)を読み出すことが可能になっている。
【0044】
内部バスインターフェイス220は、内部バス6を介した1または複数のユニット(中継ユニット250を含む)との間のデータ通信を制御する。
【0045】
内部バス6は、フィールドネットワーク4と同様に、サイクリック通信およびメッセージ通信をサポートしている。内部バス6としては、メーカ専用の通信方式を採用してもよいし、例えば、EtherCAT(登録商標)、EtherNet/IP(登録商標)、PROFINET(登録商標)、PROFIBUS(登録商標)、DeviceNet(登録商標)、FL-net、CompoNet(登録商標)などを用いてもよい。
【0046】
(b3:中継ユニット250)
図4は、本実施の形態に従う第2装置20の中継ユニット250のハードウェア構成例を示すブロック図である。
図4を参照して、中継ユニット250は、処理回路260と、フィールドネットワークインターフェイス270と、内部バスインターフェイス280とを含む。
【0047】
処理回路260は、後述するような中継ユニット250の処理および機能を実現する。より具体的には、処理回路260は、プロセッサ262と、メモリ264と、ストレージ266とを含む。プロセッサ262は、ストレージ266に格納されたシステムプログラム(ファームウェア)を読み出して、メモリ264に展開して実行することで、中継ユニット250で必要な処理を実現する。
【0048】
フィールドネットワークインターフェイス270は、フィールドネットワーク4を介した第1演算ユニット100との間のデータ通信を制御する。
【0049】
内部バスインターフェイス280は、内部バス6を介した1または複数のユニット(第2演算ユニット200を含む)との間のデータ通信を制御する。
【0050】
(b4:その他の構成)
図2~
図4には、プロセッサがプログラムを実行することで必要な機能が提供される構成例を示したが、これらの提供される機能の一部または全部を、専用のハードウェア回路(例えば、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)またはFPGA(Field-Programmable Gate Array)など)を用いて実装してもよい。
【0051】
本明細書において、「プロセッサ」は、ストアードプログラム方式で処理を実行する狭義のプロセッサに限られず、ASICやFPGAなどのハードワイヤード回路を含み得る。そのため、「プロセッサ」との用語は、コンピュータ読み取り可能なコードおよび/またはハードワイヤード回路によって予め処理が定義されている、処理回路(processing circuitry)と読み替えることもできる。
【0052】
演算ユニットの主要部は、汎用的なアーキテクチャに従うハードウェア(例えば、汎用パソコンをベースとした産業用パソコン)を用いて実現してもよい。この場合には、仮想化技術を用いて、用途の異なる複数のOS(Operating System)を並列的に実行させるとともに、各OS上で必要なアプリケーションを実行させるようにしてもよい。
【0053】
(b5:サポート装置300)
本実施の形態に従うサポート装置300は、一例として、汎用的なアーキテクチャに従う汎用コンピュータなどで構成される。汎用コンピュータのハードウェア構成例は公知であるので、詳細な説明は行わない。
【0054】
<C.データ転送>
次に、本実施の形態に従う制御システム1のデータ転送に係る処理について説明する。
【0055】
図5は、本実施の形態に従う制御システム1におけるデータ転送の概要を示す模式図である。
図5には、第1演算ユニット100と第2演算ユニット200との間のデータの送信例を示す。
【0056】
図5を参照して、第1演算ユニット100と第2演算ユニット200との間には、ゲートウェイとして、中継ユニット250が配置されている。中継ユニット250は、第1伝送路の一例であるフィールドネットワーク4を介して第1演算ユニット100と接続されるとともに、第2伝送路の一例である内部バス6を介して第2演算ユニット200と接続されている。
【0057】
第1演算ユニット100の出力データが中継ユニット250を介して第2演算ユニット200へ送信される場合と、第2演算ユニット200の出力データが中継ユニット250を介して第1演算ユニット100へ送信される場合とが想定される。
【0058】
第1演算ユニット100から送信されたデータ(出力データ)は、中継ユニット250へ送信される。中継ユニット250は、第1演算ユニット100の出力データとして受信したデータを、第2演算ユニット200の入力データとして、第2演算ユニット200へ送信する。
【0059】
一方、第2演算ユニット200から送信されたデータ(出力データ)は、中継ユニット250へ送信される。中継ユニット250は、第2演算ユニット200の出力データとして受信したデータを、第1演算ユニット100の入力データとして、第1演算ユニット100へ送信する。
【0060】
このように、中継ユニット250は、第1演算ユニット100と第2演算ユニット200との間でデータを転送する。すなわち、中継ユニット250は、第1演算ユニット100から送信されたデータを第2演算ユニット200へ転送する処理と、第2演算ユニット200から送信されたデータを第1演算ユニット100へ転送する処理とを実行する。
【0061】
本実施の形態に従う制御システム1は、データ転送に係る正当性を確認および監視できる仕組みを有している。本明細書において、「データ転送に係る正当性」は、対象のデータが適切に転送されたこと、および/または、送受信する予定のデータが適切に転送され得る状態であることを示す情報を意味する。
【0062】
より具体的には、第1演算ユニット100は、第2演算ユニット200へ送信するデータ、および、第2演算ユニット200から受信するデータのうち少なくとも一方のデータ転送に係る正当性を示す付加情報を生成する処理を実行する。これによって、第1演算ユニット100で実行されるユーザプログラム132から、第1演算ユニット100から第2演算ユニット200へ送信する出力データの正当性を示す付加情報、および、第1演算ユニット100が第2演算ユニット200から受信する入力データの正当性を示す付加情報を利用できる。
【0063】
同様に、第2演算ユニット200は、第1演算ユニット100へ送信するデータ、および、第1演算ユニット100から受信するデータのうち少なくとも一方のデータ転送に係る正当性を示す付加情報を生成する処理を実行する。これによって、第2演算ユニット200で実行されるユーザプログラム232から、第2演算ユニット200から第1演算ユニット100へ送信する出力データの正当性を示す付加情報、および、第2演算ユニット200が第1演算ユニット100から受信する入力データの正当性を示す付加情報を利用できる。
【0064】
本明細書において、「データ転送に係る正当性を示す付加情報」は、例えば、対象のデータが適切に転送されたか否か(および/または、送受信する予定のデータが適切に転送され得る状態であるか否か)に応じて、値を異ならせる情報であってもよい。転送経路において何らかの異常が発生すると、正当性を示す付加情報は、対応するデータが正当ではない状態を示す値に設定される。なお、以下では、「正当性を示す付加情報」を単に「付加情報」と略称することもある。
【0065】
付加情報は、例えば、第1演算ユニット100および第2演算ユニット200の各々が管理するデバイス変数やシステム変数に割り付けられてもよい。すなわち、対象のデバイス変数やシステム変数が示す値に基づいて、対応するデータが正当であるか否かを監視できるようにしてもよい。なお、デバイス変数やシステム変数は、データオブジェクトのメンバ変数であってもよい。
【0066】
<D.正当性を示す付加情報の提供>
次に、第1演算ユニット100および第2演算ユニット200において、正当性を示す付加情報を提供するための処理について説明する。以下、正当性を示す付加情報を提供するための処理例について説明する。
【0067】
以下の説明においては、正当性を示す付加情報として、第1演算ユニット100が管理する入力データ用付加情報401および出力データ用付加情報402と、第2演算ユニット200が管理する入力データ用付加情報411および出力データ用付加情報412とを例示する。なお、入力データ用付加情報401と出力データ用付加情報402とを区別することなく、共通の付加情報としてもよい。同様に、入力データ用付加情報411と出力データ用付加情報412とを区別することなく、共通の付加情報としてもよい。
【0068】
図6は、本実施の形態に従う制御システム1における正当性を示す付加情報を提供するための処理例を示す図である。
図6には、第2演算ユニット200が内部バス6を介してデータを送受信する処理に何らかの異常を検出した場合の処理例を示す。例えば、第2演算ユニット200の内部バスインターフェイス220(
図3)によるデータの送受信に何らかの異常が発生した場合が挙げられる。
【0069】
図6を参照して、まず、第2演算ユニット200が内部バス6を介してデータを送受信する処理に何らかの異常を検出する((1)異常検出)。すると、第2演算ユニット200は、入力データ用付加情報411および出力データ用付加情報412をそれぞれ正当ではない状態を示す値に更新する((2),(3)更新)。
【0070】
この場合において、中継ユニット250は、第2演算ユニット200からの異常検出の通知を受信すると、または、自ユニット単体で内部バス6を介してデータを送受信する処理に何らかの異常を検出すると((4)異常検出)、第1演算ユニット100に異常検出を通知する((5)通知)。
【0071】
第1演算ユニット100は、中継ユニット250からの異常検出の通知を受信すると、入力データ用付加情報401および出力データ用付加情報402をそれぞれ正当ではない状態を示す値に更新する((6),(7)更新)。
【0072】
以上のように、第2演算ユニット200が内部バス6を介してデータを送受信する処理に何らかの異常を検出すると、第1演算ユニット100と第2演算ユニット200との間のデータ送受信ができないと判断されるので、正当ではない状態を示すように、付加情報が更新される。
【0073】
図7は、本実施の形態に従う制御システム1における正当性を示す付加情報を提供するための別の処理例を示す図である。
図7には、中継ユニット250が内部バス6を介してデータを送受信する処理に何らかの異常を検出した場合の処理例を示す。例えば、中継ユニット250の内部バスインターフェイス280(
図4)によるデータの送受信に何らかの異常が発生した場合が挙げられる。
【0074】
図7を参照して、まず、中継ユニット250は、内部バス6を介してデータを送受信する処理に何らかの異常を検出する((1)異常検出)。
【0075】
すると、中継ユニット250は、第2演算ユニット200に異常検出を通知する((2)通知)。第2演算ユニット200は、中継ユニット250からの異常検出の通知を受信すると、入力データ用付加情報411および出力データ用付加情報412をそれぞれ正当ではない状態を示す値に更新する((3),(4)更新)。
【0076】
また、中継ユニット250は、第1演算ユニット100に異常検出を通知する((5)通知)。第1演算ユニット100は、中継ユニット250からの異常検出の通知を受信すると、入力データ用付加情報411および出力データ用付加情報412をそれぞれ正当ではない状態を示す値に更新する((6),(7)更新)。
【0077】
以上のように、中継ユニット250が内部バス6を介してデータを送受信する処理に何らかの異常を検出すると、第1演算ユニット100と第2演算ユニット200との間のデータ送受信ができないと判断されるので、正当ではない状態を示すように、付加情報が更新される。
【0078】
図8は、本実施の形態に従う制御システム1における正当性を示す付加情報を提供するためのさらに別の処理例を示す図である。
図8には、中継ユニット250がフィールドネットワーク4を介してデータを送受信する処理に何らかの異常を検出した場合の処理例を示す。例えば、中継ユニット250のフィールドネットワークインターフェイス270(
図4)によるデータの送受信に何らかの異常が発生した場合が挙げられる。
【0079】
図8を参照して、まず、中継ユニット250は、フィールドネットワーク4を介してデータを送受信する処理に何らかの異常を検出する((1)異常検出)。
【0080】
すると、中継ユニット250は、第1演算ユニット100に異常検出を通知する((2)通知)。第1演算ユニット100は、中継ユニット250からの異常検出の通知を受信すると、入力データ用付加情報401および出力データ用付加情報402をそれぞれ正当ではない状態を示す値に更新する((3),(4)更新)。
【0081】
また、中継ユニット250は、第2演算ユニット200に異常検出を通知する((5)通知)。第1演算ユニット100は、中継ユニット250からの異常検出の通知を受信すると、入力データ用付加情報411および出力データ用付加情報412をそれぞれ正当ではない状態を示す値に更新する((6),(7)更新)。
【0082】
以上のように、中継ユニット250がフィールドネットワーク4を介してデータを送受信する処理に何らかの異常を検出すると、第1演算ユニット100と第2演算ユニット200との間のデータ送受信ができないと判断されるので、正当ではない状態を示すように、付加情報が更新される。
【0083】
図9は、本実施の形態に従う制御システム1における正当性を示す付加情報を提供するためのさらに別の処理例を示す図である。
図9には、第1演算ユニット100がフィールドネットワーク4を介してデータを送受信する処理に何らかの異常を検出した場合の処理例を示す。例えば、第1演算ユニット100のフィールドネットワークインターフェイス120(
図2)によるデータの送受信に何らかの異常が発生した場合が挙げられる。
【0084】
図9を参照して、まず、第1演算ユニット100がフィールドネットワーク4を介してデータを送受信する処理に何らかの異常を検出する((1)異常検出)。すると、第1演算ユニット100は、入力データ用付加情報401および出力データ用付加情報402をそれぞれ正当ではない状態を示す値に更新する((2),(3)更新)。
【0085】
また、第1演算ユニット100は、中継ユニット250に異常検出を通知する((4)通知)。さらに、中継ユニット250は、第2演算ユニット200に異常検出を通知する((5)通知)。
【0086】
第2演算ユニット200は、中継ユニット250からの異常検出の通知を受信すると、入力データ用付加情報411および出力データ用付加情報412をそれぞれ正当ではない状態を示す値に更新する((6),(7)更新)。
【0087】
以上のように、第1演算ユニット100がフィールドネットワーク4を介してデータを送受信する処理に何らかの異常を検出すると、第1演算ユニット100と第2演算ユニット200との間のデータ送受信ができないと判断されるので、正当ではない状態を示すように、付加情報が更新される。
【0088】
なお、第1演算ユニット100、第2演算ユニット200および中継ユニット250の一部または全部は、検出した異常の内容や種類を示す情報を任意の方法で記録するようにしてもよい。この場合には、サポート装置300などを介して、格納された情報が読み出されてもよい。
【0089】
<E.処理手順例>
次に、正当性を示す付加情報を提供するための処理手順例について説明する。
【0090】
図10は、本実施の形態に従う第1演算ユニット100による正当性を示す付加情報を提供するための処理手順例を示すフローチャートである。
図10に示す各ステップは、第1演算ユニット100のプロセッサ102がシステムプログラム131を実行することで実現されてもよい。
【0091】
図10を参照して、第1演算ユニット100は、フィールドネットワーク4を介してデータを送受信する処理に何らかの異常が発生したか否かを判断する(ステップS100)。
【0092】
フィールドネットワーク4を介してデータを送受信する処理に何らかの異常が発生していれば(ステップS100においてYES)、第1演算ユニット100は、中継ユニット250に異常検出を通知する(ステップS102)。続いて、第1演算ユニット100は、入力データ用付加情報401および出力データ用付加情報402をそれぞれ正当ではない状態を示す値に更新する(ステップS104)。そして、ステップS100以下の処理が繰り返される。
【0093】
このように、第1演算ユニット100は、フィールドネットワーク4を介してデータを送受信する処理に異常を検出すると、中継ユニット250に異常検出を通知する。
【0094】
一方、フィールドネットワーク4を介してデータを送受信する処理に何らの異常も発生していなければ(ステップS100においてNO)、第1演算ユニット100は、中継ユニット250から異常検出の通知を受信したか否かを判断する(ステップS106)。中継ユニット250から異常検出の通知を受信していなければ(ステップS106においてNO)、ステップS100以下の処理が繰り返される。
【0095】
中継ユニット250から異常検出の通知を受信していれば(ステップS106においてYES)、ステップS104以下の処理が実行される。すなわち、第1演算ユニット100は、他の装置から異常検出の通知を受信すると、入力データ用付加情報401および出力データ用付加情報402をそれぞれ正当ではない状態を示す値に更新する。
【0096】
なお、検出された異常が復帰した場合、および/または、中継ユニット250から異常復帰の通知を受信すると、入力データ用付加情報401および出力データ用付加情報402をそれぞれ正当である値を示すように更新してもよい。
【0097】
図11は、本実施の形態に従う第2演算ユニット200による正当性を示す付加情報を提供するための処理手順例を示すフローチャートである。
図11に示す各ステップは、第2演算ユニット200のプロセッサ202がシステムプログラム231を実行することで実現されてもよい。
【0098】
図11を参照して、第2演算ユニット200は、内部バス6を介してデータを送受信する処理に何らかの異常が発生したか否かを判断する(ステップS200)。
【0099】
内部バス6を介してデータを送受信する処理に何らかの異常が発生していれば(ステップS200においてYES)、第2演算ユニット200は、中継ユニット250に異常検出を通知する(ステップS202)。続いて、第2演算ユニット200は、入力データ用付加情報411および出力データ用付加情報412をそれぞれ正当ではない状態を示す値に更新する(ステップS204)。そして、ステップS200以下の処理が繰り返される。
【0100】
このように、第2演算ユニット200は、内部バス6を介してデータを送受信する処理に異常を検出すると、中継ユニット250に異常検出を通知する。
【0101】
一方、内部バス6を介してデータを送受信する処理に何らの異常も発生していなければ(ステップS200においてNO)、第2演算ユニット200は、中継ユニット250から異常検出の通知を受信したか否かを判断する(ステップS206)。中継ユニット250から異常検出の通知を受信していなければ(ステップS206においてNO)、ステップS200以下の処理が繰り返される。
【0102】
中継ユニット250から異常検出の通知を受信していれば(ステップS206においてYES)、ステップS204以下の処理が実行される。すなわち、第2演算ユニット200は、他の装置から異常検出の通知を受信すると、入力データ用付加情報411および出力データ用付加情報412をそれぞれ正当ではない状態を示す値に更新する。
【0103】
なお、検出された異常が復帰した場合、および/または、中継ユニット250から異常復帰の通知を受信すると、入力データ用付加情報411および出力データ用付加情報412をそれぞれ正当である値を示すように更新してもよい。
【0104】
図12は、本実施の形態に従う中継ユニット250による正当性を示す付加情報を提供するための処理手順例を示すフローチャートである。
図12に示す各ステップは、中継ユニット250のプロセッサ262がシステムプログラムを実行することで実現されてもよい。
【0105】
図12を参照して、中継ユニット250は、フィールドネットワーク4を介してデータを送受信する処理に何らかの異常が発生したか否かを判断する(ステップS300)。
【0106】
フィールドネットワーク4を介してデータを送受信する処理に何らかの異常が発生していれば(ステップS300においてYES)、中継ユニット250は、第1演算ユニット100に異常検出を通知する(ステップS302)とともに、第2演算ユニット200に異常検出を通知する(ステップS304)。
【0107】
このように、中継ユニット250は、フィールドネットワーク4を介してデータを送受信する処理に異常を検出すると、第2演算ユニット200に異常検出を通知する。
【0108】
フィールドネットワーク4を介してデータを送受信する処理に何らかの異常が発生していなければ(ステップS300においてNO)、ステップS302およびS304の処理はスキップされる。
【0109】
続いて、中継ユニット250は、内部バス6を介してデータを送受信する処理に何らかの異常が発生したか否かを判断する(ステップS306)。
【0110】
内部バス6を介してデータを送受信する処理に何らかの異常が発生していれば(ステップS306においてYES)、中継ユニット250は、第1演算ユニット100に異常検出を通知する(ステップS308)とともに、第2演算ユニット200に異常検出を通知する(ステップS310)。
【0111】
このように、中継ユニット250は、内部バス6を介してデータを送受信する処理に異常を検出すると、第1演算ユニット100に異常検出を通知する。
【0112】
内部バス6を介してデータを送受信する処理に何らかの異常が発生していなければ(ステップS306においてNO)、ステップS308およびS310の処理はスキップされる。
【0113】
続いて、中継ユニット250は、第1演算ユニット100から異常検出の通知を受信したか否かを判断する(ステップS312)。第1演算ユニット100から異常検出の通知を受信していれば(ステップS312においてYES)、中継ユニット250は、第2演算ユニット200に異常検出を通知する(ステップS314)。
【0114】
このように、中継ユニット250は、第1演算ユニット100から異常検出の通知を受信すると、当該通知を第2演算ユニット200へ転送する。
【0115】
第1演算ユニット100から異常検出の通知を受信していなければ(ステップS312においてNO)、ステップS314の処理はスキップされる。
【0116】
続いて、中継ユニット250は、第2演算ユニット200から異常検出の通知を受信したか否かを判断する(ステップS316)。第2演算ユニット200から異常検出の通知を受信していれば(ステップS316においてYES)、中継ユニット250は、第1演算ユニット100に異常検出を通知する(ステップS318)。
【0117】
このように、中継ユニット250は、第2演算ユニット200から異常検出の通知を受信すると、当該通知を第1演算ユニット100へ転送する。
【0118】
第2演算ユニット200から異常検出の通知を受信していなければ(ステップS316においてNO)、ステップS318の処理はスキップされる。
【0119】
そして、ステップS300以下の処理が繰り返される。
なお、第1演算ユニット100および/または第2演算ユニット200から異常復帰の通知を受信すると、中継ユニット250は、異常復帰の通知を第2演算ユニット200および/または第1演算ユニット100に転送するようにしてもよい。
【0120】
<F.正当性を示す付加情報の利用>
次に、第1演算ユニット100で実行されるユーザプログラム132、ならびに、第2演算ユニット200で実行されるユーザプログラム232が正当性を示す付加情報を利用する場合の処理例について説明する。
【0121】
図13は、本実施の形態に従う制御システム1における正当性を示す付加情報を利用する場合の処理例を示す模式図である。
【0122】
図13を参照して、第1演算ユニット100および第2演算ユニット200において、例えば、入力データおよび出力データはそれぞれデータオブジェクトとして参照可能になっていてもよい。入力データについてのデータオブジェクト430は、1または複数の入力データ432と、対応する入力データ用付加情報401(または、入力データ用付加情報411)とを含む。同様に、出力データについてのデータオブジェクト440は、1または複数の出力データ442と、対応する出力データ用付加情報402(または、出力データ用付加情報412)とを含む。
【0123】
ユーザプログラム132,232においては、これらのデータオブジェクト430,440に含まれるメンバデータ(変数)を適宜指定することができる。
【0124】
付加情報を示す変数(あるいは、変数名)は、ユーザが任意に定義できるようにしてもよいし、システムとして予め定義されていてもよい。ユーザが任意に定義する方法としては、例えば、1または複数の変数が付加情報用に予め用意されており、ユーザが各変数に対して任意の付加情報を割り当てる(マッピングする)ようにしてもよい。ユーザの操作によって、各変数がいずれの付加情報を示すのかが決定される。このとき、付加情報用に用意された変数の変数名は、付加情報用であることを示すプリフィックスまたはサフィックスを含んでいてもよい。あるいは、任意の付加情報に対して任意の変数名を割り当てることができるようにしてもよい。
【0125】
一方、システムとして予め定義する場合には、利用できる付加情報毎にシステム変数をそれぞれ割り当てておいてもよい。この場合においても、付加情報毎に割り当てられた変数の変数名は、付加情報用であることを示すプリフィックスまたはサフィックスを含んでいてもよい。
【0126】
このように、第1演算ユニット100で実行されるユーザプログラム132において、予め定められた付加情報を示す変数を指定することで、入力データ用付加情報401および/または出力データ用付加情報402を利用できる。同様に、第2演算ユニット200で実行されるユーザプログラム232において予め定められた付加情報を示す変数を指定することで、入力データ用付加情報411および/または出力データ用付加情報412を利用できる。
【0127】
このようなデータオブジェクト430,440を実装することで、ユーザプログラムの作成を簡素化できる。
【0128】
<G.変形例>
上述の説明においては、主として、第1演算ユニット100および第2演算ユニット200が付加情報を管理する構成例について説明したが、第1演算ユニット100および第2演算ユニット200に加えて、中継ユニット250も付加情報を管理することができる。中継ユニット250が管理する付加情報は、第1演算ユニット100および/または第2演算ユニット200が管理する付加情報と実質的に同期させることができる。
【0129】
さらに、第1演算ユニット100および第2演算ユニット200が付加情報の実体を管理するのではなく、中継ユニット250が管理するようにしてもよい。この場合には、第1演算ユニット100および/または第2演算ユニット200で実行されるユーザプログラムから付加情報が要求されると、中継ユニット250が要求された付加情報を第1演算ユニット100および/または第2演算ユニット200へ提供するようにしてもよい。
【0130】
また、サポート装置300を中継ユニット250に接続して、中継ユニット250が管理する付加情報をモニタできるようにしてもよい。
【0131】
このように、第1演算ユニット100および第2演算ユニット200だけが付加情報を管理するのではなく、中継ユニット250も付加情報を管理するようにしてもよい。
【0132】
<H.付記>
上述したような本実施の形態は、以下のような技術思想を含む。
【0133】
[構成1]
制御システム(1)であって、
第1制御装置(100)および第2制御装置(200)と、
第1伝送路(4)を介して前記第1制御装置と接続されるとともに、第2伝送路(6)を介して前記第1制御装置と接続された中継装置(250)とを備え、
前記中継装置は、前記第1制御装置から送信されたデータを前記第2制御装置へ転送する処理と、前記第2制御装置から送信されたデータを前記第1制御装置へ転送する処理とを実行可能に構成されており、
前記第1制御装置は、前記第2制御装置へ送信するデータ、および、前記第2制御装置から受信するデータのうち少なくとも一方のデータ転送に係る正当性を示す第1付加情報(401,402)を生成する処理を実行可能に構成されており、
前記第2制御装置は、前記第1制御装置へ送信するデータ、および、前記第1制御装置から受信するデータのうち少なくとも一方のデータ転送に係る正当性を示す第2付加情報(411,412)を生成する処理を実行可能に構成されている、制御システム。
【0134】
[構成2]
前記第1制御装置で実行される第1ユーザプログラム(132)から前記第1付加情報を利用可能であり、
前記第2制御装置で実行される第2ユーザプログラム(232)から前記第2付加情報を利用可能である、構成1に記載の制御システム。
【0135】
[構成3]
前記第1ユーザプログラムにおいて予め定められた変数を指定することで、前記第1付加情報を利用可能であり、
前記第2ユーザプログラムにおいて予め定められた変数を指定することで、前記第2付加情報を利用可能である、構成2に記載の制御システム。
【0136】
[構成4]
前記第1制御装置は、前記第1伝送路を介してデータを送受信する処理に異常を検出すると、前記中継装置に異常検出を通知する(S100,S102)、構成1~3のいずれか1項に記載の制御システム。
【0137】
[構成5]
前記第2制御装置は、前記第2伝送路を介してデータを送受信する処理に異常を検出すると、前記中継装置に異常検出を通知する(S200,S202)、構成1~4のいずれか1項に記載の制御システム。
【0138】
[構成6]
前記中継装置は、
前記第1伝送路を介してデータを送受信する処理に異常を検出すると、前記第2制御装置に異常検出を通知し(S300,S304)、
前記第2伝送路を介してデータを送受信する処理に異常を検出すると、前記第1制御装置に異常検出を通知する(S306,S308)、構成1~5のいずれか1項に記載の制御システム。
【0139】
[構成7]
前記中継装置は、
前記第1制御装置から異常検出の通知を受信すると、当該通知を前記第2制御装置へ転送し(S312,S314)、
前記第2制御装置から異常検出の通知を受信すると、当該通知を前記第1制御装置へ転送する(S316,S318)、構成1~6のいずれか1項に記載の制御システム。
【0140】
[構成8]
前記第1制御装置は、他の装置から異常検出の通知を受信すると、前記第1付加情報を正当ではない状態を示す値に更新する(S104)、構成1~7のいずれか1項に記載の制御システム。
【0141】
[構成9]
前記第2制御装置は、他の装置から異常検出の通知を受信すると、前記第2付加情報を正当ではない状態を示す値に更新する(S204)、構成1~8のいずれか1項に記載の制御システム。
【0142】
[構成10]
中継装置(250)を介して他の制御装置(200;100)と接続された制御装置(100;200)であって、
前記中継装置は、前記制御装置から送信されたデータを前記他の制御装置へ転送する処理と、前記他の制御装置から送信されたデータを前記制御装置へ転送する処理とを実行可能に構成されており、
前記制御装置は、前記他の制御装置へ送信するデータ、および、前記他の制御装置から受信するデータのうち少なくとも一方のデータ転送に係る正当性を示す付加情報(401,402;411,412)を生成する処理を実行可能に構成されている、制御装置。
【0143】
[構成11]
第1制御装置(100)および第2制御装置(200)と、第1伝送路(4)を介して前記第1制御装置と接続されるとともに、第2伝送路(6)を介して前記第1制御装置と接続された中継装置(250)とを備えた制御システム(1)における通信方法であって、
前記中継装置が前記第1制御装置から送信されたデータを前記第2制御装置へ転送するステップと、
前記中継装置が前記第2制御装置から送信されたデータを前記第1制御装置へ転送するステップと、
前記第1制御装置が、前記第2制御装置へ送信するデータ、および、前記第2制御装置から受信するデータのうち少なくとも一方のデータ転送に係る正当性を示す第1付加情報(401,402)を生成するステップ(S104)と、
前記第2制御装置が、前記第1制御装置へ送信するデータ、および、前記第1制御装置から受信するデータのうち少なくとも一方のデータ転送に係る正当性を示す第2付加情報(411,412)を生成するステップ(S204)とを備える、通信方法。
【0144】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した説明ではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0145】
1 制御システム、4 フィールドネットワーク、6 内部バス、10 第1装置、20 第2装置、100 第1演算ユニット、102,202,262 プロセッサ、104,204 チップセット、106,206,264 メモリ、108,208,266 ストレージ、110,210 上位ネットワークインターフェイス、112,212 インターフェイス、114,214 メモリカードインターフェイス、116,216 メモリカード、120,270 フィールドネットワークインターフェイス、131,231 システムプログラム、132,232 ユーザプログラム、200 第2演算ユニット、220,280 内部バスインターフェイス、250 中継ユニット、260 処理回路、300 サポート装置、401,411 入力データ用付加情報、402,412 出力データ用付加情報、430,440 データオブジェクト、432 入力データ、442 出力データ。