(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024114623
(43)【公開日】2024-08-23
(54)【発明の名称】アンテナ及びアンテナ装置
(51)【国際特許分類】
H01Q 5/28 20150101AFI20240816BHJP
H01Q 5/364 20150101ALI20240816BHJP
H01Q 1/38 20060101ALI20240816BHJP
【FI】
H01Q5/28
H01Q5/364
H01Q1/38
【審査請求】有
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024006792
(22)【出願日】2024-01-19
(31)【優先権主張番号】202310093286.1
(32)【優先日】2023-02-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(71)【出願人】
【識別番号】596039187
【氏名又は名称】台達電子工業股▲ふん▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】DELTA ELECTRONICS,INC.
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】弁理士法人RYUKA国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】フワン チエ-ツァオ
(72)【発明者】
【氏名】ス シアン-ロン
(72)【発明者】
【氏名】チェン イェン-ティン
【テーマコード(参考)】
5J046
【Fターム(参考)】
5J046AA03
5J046AA12
5J046AB13
(57)【要約】
【課題】アンテナ及びアンテナ装置を提供する。
【解決手段】本開示は、基板と、接地導体と、アンテナユニットとを備えるアンテナを提供する。接地導体は基板の第1表面に設けられ、接地導体ブランチを含む。アンテナユニットは、基板の第2表面に設けられ、給電体と、放射体と、短絡導体とを含む。給電体は、フィードイン信号を受信することに用いられ、給電体の一部の第1表面への投影が接地導体に重なる。放射体は、第1放射部と、第1放射部に接続される第2放射部とを含み、給電体が第1放射部と第2放射部との間に接続され、第1放射部及び第2放射部は、接地導体ブランチに平行であり、第1放射部及び第2放射部の長さは等しい。短絡導体は、第2放射部に接続され、貫通孔を介して接地導体に接続することに用いられる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1表面及び前記第1表面に対向する第2表面を含む基板と、
前記第1表面に設けられ、接地導体ブランチを含む接地導体と、
前記第2表面に設けられ、給電体と、放射体と、短絡導体と、を含むアンテナユニットと、
を備え、
前記給電体は、フィードイン信号を受信することに用いられ、その一部が前記接地導体のY軸方向に位置し、
前記放射体は、第1放射部及び前記第1放射部に接続される第2放射部を含み、前記給電体が前記第1放射部と前記第2放射部との間に接続され、前記第1放射部及び前記第2放射部は長さが等しく、ともに前記接地導体ブランチに平行であり、
前記短絡導体は、前記第2放射部に接続され、貫通孔を介して前記接地導体に接続され、
前記接地導体ブランチは前記フィードイン信号と共振して第1周波数帯域を発生させ、前記第1放射部及び前記第2放射部は前記フィードイン信号と共振して第2周波数帯域を発生させ、また前記第1放射部は前記フィードイン信号と共振して第3周波数帯域を発生させるアンテナ。
【請求項2】
前記第3周波数帯域は前記第2周波数帯域よりも大きく、前記第2周波数帯域は前記第1周波数帯域よりも大きい請求項1に記載のアンテナ。
【請求項3】
前記接地導体ブランチの長さは、前記第1周波数帯域の波長の四分の一である請求項1に記載のアンテナ。
【請求項4】
前記第1放射部の長さ及び前記第2放射部の長さの何れも前記第2周波数帯域の波長の八分の一である請求項1に記載のアンテナ。
【請求項5】
前記第1放射部が前記接地導体ブランチに対して、Z軸方向に最小距離が存在し、前記最小距離の長さは前記第3周波数帯域の波長の四分の一と前記第2周波数帯域の波長の八分の一との差分値である請求項1に記載のアンテナ。
【請求項6】
金属平面及びケース縁部を含むケースと、
前記金属平面に対して垂直に設けられ、前記ケース縁部に近接する第1アンテナと、
を備え、
前記第1アンテナは、
第1表面及び前記第1表面に対向する第2表面を含む基板と、
前記第1表面に設けられ、接地導体ブランチを含み、また前記ケースに近接する接地縁部を有し、前記接地縁部と前記ケースとの間に間隔がある接地導体と、
前記第2表面に設けられ、給電体と、放射体と、短絡導体と、を含むアンテナユニットと、
を含み、
前記給電体は、フィードイン信号を受信することに用いられ、その一部が前記接地導体のY軸方向に位置し、
前記放射体は、第1放射部及び前記第1放射部に接続される第2放射部を含み、前記給電体が前記第1放射部と前記第2放射部との間に接続され、前記第1放射部及び前記第2放射部は長さが等しく、ともに前記接地導体ブランチに平行であり、
前記短絡導体は、前記第2放射部に接続され、貫通孔を介して前記接地導体に接続され、
また、前記アンテナユニットと前記金属平面との間隔が既定距離に等しい場合、前記接地導体ブランチは前記フィードイン信号と共振して第1周波数帯域を発生させ、前記第1放射部及び前記第2放射部は前記フィードイン信号と共振して第2周波数帯域を発生させ、前記第1放射部は前記フィードイン信号と共振して第3周波数帯域を発生させ、前記第1周波数帯域、前記第2周波数帯域及び前記第3周波数帯域のそれぞれは第1放射線場被覆率、第2放射線場被覆率及び第3放射線場被覆率を有し、
前記アンテナユニットと前記金属平面との間隔が前記既定距離よりも小さい場合、前記第1周波数帯域が、前記第1放射線場被覆率よりも大きい第4放射線場被覆率を有し、
前記アンテナユニットと前記金属平面との間隔が前記既定距離よりも大きい場合、前記第3周波数帯域が、前記第3放射線場被覆率よりも大きい第5放射線場被覆率を有するアンテナ装置。
【請求項7】
前記第3周波数帯域は前記第2周波数帯域よりも大きく、前記第2周波数帯域は前記第1周波数帯域よりも大きい請求項6に記載のアンテナ装置。
【請求項8】
前記第1アンテナと同じ構造を有する第2アンテナを更に備え、前記第1アンテナの前記基板と前記第2アンテナの基板とは、互いに平行であり又は互いに垂直である請求項6に記載のアンテナ装置。
【請求項9】
前記第1アンテナと前記第2アンテナとのアイソレーションは23dBよりも大きい請求項8に記載のアンテナ装置。
【請求項10】
前記第1アンテナ及び前記第2アンテナの放射線場図は半球状に近似し、前記第1アンテナ及び前記第2アンテナの放射線場図被覆率は80%よりも大きい請求項8に記載のアンテナ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、アンテナ及びアンテナ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に、sub-7GHzの周波数帯域で第5世代ニューラジオ(5G new radio;5G NR)規格の高いニーズを満たすために、アンテナを更に設計する必要がある。それにより高動作帯域幅とアンテナ間の高アイソレーション(isolation)を処理し、高データ伝送レート(data rate)及び多入力多出力システム(multi-input multi-output,MIMO)の高スループット(throughput)を実現する。第5世代ニューラジオ規格よりも前のシステムでは、アンテナの動作周波数帯域が比較的小さい。このような帯域幅要件を満たすためには、一般的なアンテナの設計で十分である。例えば、代表的な逆Fアンテナタイプは、このような要件を満たすのに十分である。しかしながら、第5世代ニューラジオのマルチ帯域を実現するためには、通常、追加の部品(例えば、三次元金属プレート構造)を設計する必要がある。これは、外形寸法及びコストを大幅に増加させる。
【発明の概要】
【0003】
本開示は、第1表面及び第1表面に対向する第2表面を含む基板と、第1表面に設けられ、接地導体ブランチを含む接地導体と、第2表面に設けられ、給電体と、放射体と、短絡導体とを含むアンテナユニットと、を備え、給電体は、フィードイン信号を受信することに用いられ、その一部の第1表面への投影が接地導体に重なり、放射体は、第1放射部及び第1放射部に接続される第2放射部を含み、給電体が第1放射部と第2放射部との間に接続され、第1放射部及び第2放射部は長さが等しく、ともに接地導体ブランチに平行であり、短絡導体は、第2放射部に接続され、貫通孔を介して接地導体に接続され、接地導体ブランチは、フィードイン信号と共振して第1周波数帯域を発生させ、第1放射部及び第2放射部はフィードイン信号と共振して第2周波数帯域を発生させ、また第1放射部はフィードイン信号と共振して第3周波数帯域を発生させるアンテナを提供する。
【0004】
本開示は、金属平面及びケース縁部を含むケースと、金属平面に対して垂直に設けられ、ケース縁部に近接する第1アンテナと、を備え、第1アンテナは、第1表面及び第1表面に対向する第2表面を含む基板と、第1表面に設けられ、接地導体ブランチを含む接地導体と、第2表面に設けられ、給電体と、放射体と、短絡導体とを含むアンテナユニットと、を含み、給電体は、フィードイン信号を受信することに用いられ、その一部の第1表面への投影が接地導体に重なり、放射体は、第1放射部及び第1放射部に接続される第2放射部を含み、給電体が第1放射部と第2放射部との間に接続され、第1放射部及び第2放射部は長さが等しく、ともに接地導体ブランチに平行であり、短絡導体は、第2放射部に接続され、貫通孔を介して接地導体に接続され、また、アンテナユニットと金属平面との間隔が既定距離に等しい場合、接地導体ブランチはフィードイン信号と共振して第1周波数帯域を発生させ、第1放射部及び第2放射部はフィードイン信号と共振して第2周波数帯域を発生させ、第1放射部はフィードイン信号と共振して第3周波数帯域を発生させ、第1周波数帯域、第2周波数帯域及び第3周波数帯域のそれぞれは第1放射線場被覆率、第2放射線場被覆率及び第3放射線場被覆率を有し、アンテナユニットと金属平面との間隔が既定距離よりも小さい場合、第1周波数帯域が、前記第1放射線場被覆率よりも大きい第4放射線場被覆率を有し、アンテナユニットと金属平面との間隔が既定距離よりも大きい場合、第3周波数帯域が、前記第3放射線場被覆率よりも大きい第5放射線場被覆率を有するアンテナ装置を更に提供する。
【図面の簡単な説明】
【0005】
【
図1】本開示の幾つかの実施例によるアンテナの上面斜視透視図である。
【
図2】本開示の幾つかの実施例によるアンテナの側面図である。
【
図3】本開示の幾つかの実施例によるアンテナの上面図である。
【
図4】本開示の幾つかの実施例によるアンテナの下面図である。
【
図5】本開示の幾つかの実施例によるアンテナの上面透視図である。
【
図6】本開示の幾つかの実施例によるアンテナの反射損失の動作周波数帯域(反射係数と周波数)の概略図である。
【
図7】本開示の幾つかの実施例によるアンテナ装置の概略図である。
【
図8】本開示の幾つかの実施例によるアンテナ装置が発生する放射線場の概略図である。
【
図9】本開示の幾つかの実施例による間隔の概略図である。
【
図10】本開示の幾つかの実施例による2つのアンテナのケースにおける位置の概略図である。
【
図11】本開示の別の実施例による2つのアンテナのケースにおける位置の概略図である。
【
図12】本開示の別の実施例による2つのアンテナのケースにおける位置の概略図である。
【
図13】本開示の幾つかの実施例による4つのアンテナのケースにおける位置の概略図である。
【
図14】本開示の幾つかの実施例による8つのアンテナのケースにおける位置の概略図である。
【
図15】本開示の幾つかの実施例による4つのアンテナ間の距離の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0006】
図1を参照されたい。
図1は、本開示の幾つかの実施例によるアンテナ100の上面斜視透視図であり、
図2は、本開示の幾つかの実施例によるアンテナ100の側面図である。
図1に示すように、アンテナ100は、アンテナユニット110、基板120、及び接地導体130を含む。アンテナユニット110及び接地導体130はいずれも基板120に設けられる。幾つかの実施例において、アンテナユニット110及び接地導体130は、銅箔等の金属材質で製造されてよい。幾つかの実施例において、基板120の材質は、PCBを製造するためのテフロン(登録商標)(PTFE)やエポキシ樹脂(FR4)等の一般的な材質であってよい。
【0007】
また、
図2に示すように、本実施例では、基板120は、第1表面S1、及び第1表面S1に対向する第2表面S2を有する。接地導体130は、第1表面S1に設けられる。アンテナユニット110は、第2表面S2に設けられる。アンテナユニット110は、貫通孔VIAによって基板120を介して接地導体130に接続される。
【0008】
図3を併せて参照されたい。
図3は、本開示の幾つかの実施例によるアンテナ100の上面図である。
図3に示すように、アンテナ100をy方向に平面視すると、第2表面S2上のアンテナユニット110は、放射体RB、給電体FIB、及び短絡導体SCPを含む。放射体RBは、第1放射部RP1及び第1放射部RP1に接続される第2放射部RP2を含み、給電体FIBが、第1放射部RP1と第2放射部RP2との間に接続され、第1放射部RP1と第2放射部RP2の長さは等しい。給電体FIBはフィードイン信号(即ち、フィードイン信号は受信した無線信号である)を受信することに用いられる。短絡導体SCPは、第2放射部RP2に接続される。幾つかの実施例において、給電体FIBは、フィードイン信号を受信することに利用可能なフィードインポイントFPを含んでよい。幾つかの実施例において、短絡導体SCPは貫通孔VIAを含み、且つ貫通孔VIAによって基板120を介して接地導体130に接続されてよい。言い換えれば、アンテナユニット110は、逆Fアンテナの構造である。
【0009】
幾つかの実施例において、基板120は、第1基板縁部SED1、第2基板縁部SED2、第3基板縁部SED3、及び第4基板縁部SED4を含んでよい。第1基板縁部SED1は、第2基板縁部SED2及び第3基板縁部SED3に垂直であってよく、第1基板縁部SED1は、第4基板縁部SED4に平行であってよい。
【0010】
幾つかの実施例において、放射体RBと第1基板縁部SED1との間の距離は、放射体RBと第4基板縁部SED4との間の距離よりも遥かに小さい。言い換えれば、放射体RBは、第1基板縁部SED1に近接してよい。幾つかの実施例において、短絡導体SCPと第2基板縁部SED2との間の距離は、短絡導体SCPと第3基板縁部SED3との間の距離よりも遥かに小さい。言い換えれば、短絡導体SCPは、第2基板縁部SED2に近接してよい。
【0011】
幾つかの実施例において、放射体RBの設置方向は、第1基板縁部SED1及び第4基板縁部SED4に平行であってよく、且つ第2基板縁部SED2及び第3基板縁部SED3に垂直であってよい。幾つかの実施例において、短絡導体SCPの設置方向は、第2基板縁部SED2及び第3基板縁部SED3に平行であってよく、且つ第1基板縁部SED1及び第4基板縁部SED4に垂直であってよい。
【0012】
幾つかの実施例において、給電体FIBは、第1フィードイン部FIP1及び第2フィードイン部FIP2を含んでよく、第1フィードイン部FIP1は、第2フィードイン部FIP2に接続され、第2フィードイン部FIP2は、第1放射部RP1と第2放射部RP2との間に接続され、第1フィードイン部FIP1と第2フィードイン部FIP2とは互いに垂直である。幾つかの実施例において、第1フィードイン部FIP1はフィードインポイントFPを含んでよく、且つフィードインポイントFPを介してフィードイン信号を受信する。幾つかの実施例において、第1フィードイン部FIP1の設置方向は、第1基板縁部SED1及び第4基板縁部SED4に平行であってよく、且つ第2基板縁部SED2及び第3基板縁部SED3に垂直であってよい。幾つかの実施例において、第2フィードイン部FIP2の設置方向は、第2基板縁部SED2及び第3基板縁部SED3に平行であってよく、且つ第1基板縁部SED1及び第4基板縁部SED4に垂直であってよい。
【0013】
図4を併せて参照されたい。
図4は、本開示の幾つかの実施例によるアンテナ100の下面図である。
図4に示すように、アンテナ100を-y方向に底面から視たと、第1表面S1上の接地導体130は、接地導体ブランチGBPを含む(即ち、接地導体ブランチGBPは、接地導体130のストリップ状部分の一部である)。幾つかの実施例において、接地導体130はスロット孔SLを含んでよい。幾つかの実施例において、接地導体ブランチGBPの末端と第2基板縁部SED2との間の距離は、接地導体ブランチGBPの末端と第3基板縁部SED3との間の距離よりも遥かに大きい。言い換えれば、接地導体ブランチGBPは、第3基板縁部SED3に近接してよい。幾つかの実施例において、接地導体ブランチGBPの設置方向は、第1基板縁部SED1及び第4基板縁部SED4に平行であってよく、且つ第2基板縁部SED2及び第3基板縁部SED3に垂直であってよい。
【0014】
図5を併せて参照されたい。
図5は、本開示の幾つかの実施例によるアンテナ100の上面透視図である。
図5に示すように、給電体FIBの第1表面S1への投影は、接地導体130に重なる(即ち、給電体FIBの一部が接地導体130のY軸方向に位置する)。幾つかの実施例において、給電体FIBの第1フィードイン部FIP1の第1表面S1への投影は接地導体130に重なってよく、給電体FIBの第2フィードイン部FIP2の一部の第1表面S1への投影は接地導体130に重なってよい。幾つかの実施例において、短絡導体SCPの一部の第1表面S1への投影は、接地導体130に重なってよい。
【0015】
本実施例において、第1放射部RP1及び第2放射部RP2は、接地導体ブランチGBPに平行である。幾つかの実施例において、第1放射部RP1及び第2放射部RP2の第1表面S1への投影は接地導体130に重ならなくてもよく、第2フィードイン部FIP2の他の一部の第1表面S1への投影は接地導体130に重ならなくてもよく、短絡導体SCPの他の一部の第1表面S1への投影は接地導体130に重ならなくてもよい。幾つかの実施例において、第1フィードイン部FIP1の一部の第1表面S1への投影は、接地導体130のスロット孔SLに重なってよく、第1フィードイン部FIP1の一部の幅は、第1フィードイン部FIP1の他の部分の幅よりも小さくてよい。このような設置により、アンテナのインピーダンスがフィードインポイントの50オームに近くなるように、マッチング回路と見なすことができる。
【0016】
本実施例において、接地導体ブランチGBPはフィードイン信号と共振して第1周波数帯域を発生させ、第1放射部RP1及び第2放射部RP2はフィードイン信号と共振して第2周波数帯域を発生させ、第1放射部RP1はフィードイン信号と共振して第3周波数帯域を発生させる。幾つかの実施例において、第3周波数帯域は第2周波数帯域よりも大きく、第2周波数帯域は第1周波数帯域よりも大きい。言い換えれば、接地導体ブランチGBPの共振により、アンテナ100が低周波帯域で動作し、第1放射部RP1及び第2放射部RP2の共振により、アンテナ100が中周波帯域で動作し、第1放射部RP1の共振により、アンテナ100が高周波帯域で動作することができる(例えば、低周波帯域(即ち、第1周波帯域)の中心周波数は3.3GHzであってよく、中周波帯域(即ち、第2周波帯域)の中心周波数は4.2GHzであってよく、高周波帯域(即ち、第3周波帯域)の中心周波数は5GHzであってよい)。言い換えれば、このような構造は共振によって超広帯域(例えば、3.2GHz~5.5GHz)を発生させる。
【0017】
幾つかの実施例において、接地導体ブランチGBPの長さPは、第1周波数帯域の波長の四分の一であってよい。幾つかの実施例において、第1放射部RP1の長さM及び第2放射部の長さMはいずれも第2周波数帯域の波長の八分の一である。幾つかの実施例において、第1放射部RP1の第1表面S1への投影と接地導体ブランチGBPとの間に最小距離Nが存在し(即ち、第1放射部RP1が接地導体ブランチGBPに対して、Z軸方向に最小距離Nが存在する)、最小距離Nの長さは、第3周波数帯域の波長の四分の一と第2周波数帯域の波長の八分の一との差分値である。言い換えれば、アンテナの動作周波数帯域のニーズに応じて、アンテナ100が所望の周波数帯域で動作できるように、接地導体ブランチGBPの長さP、第1放射部RP1の長さM、第2放射部の長さM、及び最小距離Nを調整してよい。
【0018】
幾つかの実施形態において、存在する距離が最小距離Nよりも低いと、アンテナが所望の周波数帯域で動作するというニーズを達成できないことを説明すべきである。
【0019】
図6を併せて参照されたい。
図6は、本開示の幾つかの実施例によるアンテナ100の反射損失の動作周波数帯域(反射係数(s-parameter)と周波数)の概略図である。
図6に示すように、-10dBをベースラインBLとして、上記アンテナ100の構成により、アンテナ100が共振によって発生する動作周波数帯域は、3.1~5.5GHzである。言い換えれば、アンテナ100は共振により、第5世代無線通信技術のアンテナの動作周波数帯域の要件を満たすように、超広帯域を発生させることができる。
【0020】
上記アンテナ100によれば、逆Fアンテナ100、及び接地導体ブランチGBPを有する接地導体130の共振によって、3つの共振周波数帯域を発生させることができる。これはアンテナ100の動作周波数帯域を大幅に増加させ、それにより従来の第5世代無線通信技術のアンテナの動作周波数帯域が小さいという問題を解決する。また、動作周波数帯域のニーズに応じて、接地導体ブランチGBPの長さP、第1放射部RP1の長さM、第2放射部の長さM、及び最小距離Nを調整することにより、アンテナが必要な周波数帯域で動作するという要件を簡単且つ迅速に達成することができる。
【0021】
図7を併せて参照されたい。
図7は、本開示の幾つかの実施例によるアンテナ装置200の概略図である。
図7に示すように、アンテナ装置200は、アンテナ100及びケースCSを含む。ケースCSは、金属平面MP及びケース縁部EFを含む。アンテナ100は、金属平面MPに対して垂直に設けられ、アンテナ100は、ケース縁部EFに近接する。言い換えれば、アンテナユニット110、基板120及び接地導体130の平面全体(即ち、法線方向ANLがx方向である)は、金属平面MP全体に垂直であり(即ち、法線方向MNLがz方向である)、アンテナユニット110、基板120、及び接地導体130は、ケース縁部EFに近接し、基板120は、金属平面MPに固定される。幾つかの実施例において、治具(fixture)FTを用いて基板120を金属平面MPに直接固定してよい。幾つかの実施例において、ケースCSは、任意の金属材質で実現されてよい。なお、ケースCSに設けられるアンテナ100も、上記
図1~
図5のアンテナ100と同じ構造を有するため、ここでは説明を省略する。
【0022】
図8を併せて参照されたい。
図8は、本開示の幾つかの実施例によるアンテナ装置200が発生する放射線場RPの概略図である。
図8に示すように、ケースCSの金属平面MPの法線方向はz方向であり、アンテナ100はz方向に向かって半球体に近似する放射線場RPを発生させ、+Z方向を基準として(即ち、0度とする)、放射線場RPは82.5度~-82.5度の平面角に集中する。言い換えれば、アンテナ装置200が発生する放射線場の被覆する領域は、±82.5度の間にある。このことから、アンテナ装置200は、極めて広い動作周波数帯域を備えるだけでなく、極めて良好な放射線場被覆率を維持できることが分かる。例えば、関心領域、即ち±82.5度の間の指向性(directivity)>0dBiの放射線場被覆率は80%以上に達する。
【0023】
図9を併せて参照されたい。
図9は、本開示の幾つかの実施例による間隔Zの概略図である。
図9に示すように、アンテナ100における接地導体130は、ケースCSに近接する接地縁部GEDを有し、接地縁部GEDとケースCSとの間に間隔Zが存在する。言い換えれば、接地縁部GEDとケースCSとの間の最小距離が、この間隔Zである。
【0024】
本実施例において、間隔Zが既定距離に等しい場合、接地導体ブランチGBPはフィードイン信号と共振して第1周波数帯域を発生させ、第1放射部RP1及び第2放射部RP2はフィードイン信号と共振して第2周波数帯域を発生させ、第1放射部RP1はフィードイン信号と共振して第3周波数帯域を発生させる。間隔Zが既定距離に等しい場合、3.3~5GHzの周波数帯域に対して良好な放射線場被覆率(即ち、80%よりも大きい)を有する。更に、第1周波数帯域、第2周波数帯域及び第3周波数帯域はいずれも80%よりも大きい放射線場被覆率を有する。第1周波数帯域、第2周波数帯域及び第3周波数帯域はそれぞれ第1放射線場被覆率、第2放射線場被覆率及び第3放射線場被覆率を有し、第1放射線場被覆率、第2放射線場被覆率及び第3放射線場被覆率はいずれも80%よりも大きい。間隔Zが既定距離よりも小さい場合、n78周波数帯域(第1周波数帯域)に対して最適化された放射線場被覆率(即ち、高い放射線場被覆率)を有する。更に言えば、第1周波数帯域は、前記第1放射線場被覆率よりも大きい第4放射線場被覆率を有する。間隔Zが既定距離よりも大きい場合、n79周波数帯域(第3周波数帯域)に対して最適化された放射線場被覆率(即ち、高い放射線場被覆率)を有する。更に言えば、第3周波数帯域は、前記第3放射線場被覆率よりも大きい第5放射線場被覆率を有する。
【0025】
例えば、既定距離を8.1mmに予め設定すると仮定すると、アンテナ装置200におけるアンテナ100は共振によって、3.3GHzの第1周波数帯域、4.2GHzの第2周波数帯域、及び5GHzの第3周波数帯域を発生させることができる。したがって、第5世代無線通信技術のn78(又はn77)及びn79周波数帯域の要件を満たすことができ、角度が±82.5度の間であり、各周波数帯域も良好な放射線場被覆率(約80%)を有する。
【0026】
間隔Zを5.1mmに調整すると、アンテナ装置200におけるアンテナ100は共振によって、3.3GHzの第1周波数帯域、4.2GHzの第2周波数帯域、及び5GHzの第3周波数帯域を発生させることができ、これは第5世代無線通信技術n78及びn79周波数帯域のニーズを満たすことができる。n78周波数帯域に対して、角度が±82.5度の間にあり、且つ最適化された放射線場被覆率(約89%)を有する。
【0027】
間隔Zを13.1mmに調整すると、アンテナ装置200におけるアンテナ100は共振によって、3.3GHzの第1周波数帯域、4.2GHzの第2周波数帯域、及び5GHzの第3周波数帯域を発生させることができ、これは第5世代無線通信技術n78及びn79周波数帯域のニーズを満たすことができる。n79周波数帯域に対して、角度が±82.5度の間にあり、且つ最適化された放射線場被覆率(約87%)を有する。
【0028】
なお、以上では、ケースCSに1つのアンテナ100を設けることを例としたが、実際の応用において、ケースCSに1つ以上のアンテナ100を設けてよい。以下、ケースCSに複数のアンテナ100を設ける場合を実例で説明する。
【0029】
図10を併せて参照されたい。
図10は、本開示の幾つかの実施例による2つのアンテナ100(1)~100(2)のケースにおける位置の概略図である。
図10に示すように、アンテナ装置200は、アンテナ100(1)~100(2)及びケースCSを含む。アンテナ装置200におけるアンテナ100(1)~100(2)は、金属平面MPに互いに平行に設られけてよく、アンテナ100(1)~100(2)はいずれもケース縁部EFに近接してよい。アンテナ100(1)~100(2)のそれぞれの平面の法線方向NL1~NL2の間の角度は、180度である。
【0030】
図11を併せて参照されたい。
図11は、本開示の別の実施例による2つのアンテナ100(1)~100(2)のケースにおける位置の概略図である。
図11に示すように、アンテナ装置200は、アンテナ100(1)~100(2)及びケースCSを含む。アンテナ装置200におけるアンテナ100(1)~100(2)は、金属平面MPに互いに平行に設られけてよく、アンテナ100(1)はアンテナ100(2)に近接し、アンテナ100(1)~100(2)はいずれもケース縁部EFに近接してよい。アンテナ100(1)~100(2)のそれぞれの平面の法線方向NL1~NL2の間の角度は、0度である。
【0031】
図12を併せて参照されたい。
図12は、本開示の別の実施例による2つのアンテナ100(1)~100(2)のケースにおける位置の概略図である。
図12に示すように、アンテナ装置200は、アンテナ100(1)~100(2)及びケースCSを含む。アンテナ装置200におけるアンテナ100(1)~100(2)は、金属平面MPに互いに垂直に設られけてよく、アンテナ100(1)はアンテナ100(2)に近接し、アンテナ100(1)~100(2)はいずれもケース縁部EFに近接してよい。アンテナ100(1)~100(2)のそれぞれの平面の法線方向NL1~NL2の間の角度は、90度である。
【0032】
図13を併せて参照されたい。
図13は、本開示の幾つかの実施例による4つのアンテナ100(1)~100(4)のケースにおける位置の概略図である。
図13に示すように、アンテナ装置200は、アンテナ100(1)~100(4)及びケースCSを含む。アンテナ装置200におけるアンテナ100(1)~100(2)は、金属平面MPに互いに垂直に設られけてよく、アンテナ100(1)はアンテナ100(2)に近接し、アンテナ100(1)~100(2)はいずれもケース縁部EFに近接してよい。アンテナ100(1)~100(2)のそれぞれの平面の法線方向NL1~NL2の間の角度は、90度である。
【0033】
また、アンテナ装置200におけるアンテナ100(2)~100(3)は、金属平面MPに互いに平行に設られけてよく、アンテナ100(2)はアンテナ100(3)に近接し、アンテナ100(2)~100(3)はいずれもケース縁部EFに近接してよい。アンテナ100(2)~100(3)のそれぞれの平面の法線方向NL2~NL3の間の角度は、0度である。
【0034】
また、アンテナ装置200におけるアンテナ100(3)~100(4)は、金属平面MPに互いに垂直に設られけてよく、アンテナ100(3)はアンテナ100(4)に近接し、アンテナ100(3)~100(4)はいずれもケース縁部EFに近接してよい。アンテナ100(3)~100(4)のそれぞれの平面の法線方向NL3~NL4の間の角度は、90度である。
【0035】
また、アンテナ装置200におけるアンテナ100(1)、100(4)は、金属平面MPに互いに平行に設られけてよく、アンテナ100(1)、100(4)はいずれもケース縁部EFに近接してよい。アンテナ100(1)、100(4)のそれぞれの平面の法線方向NL1~NL4の間の角度は、180度である。
【0036】
図14を併せて参照されたい。
図14は、本開示の幾つかの実施例による8つのアンテナ100(1)~100(8)のケースにおける位置の概略図である。
図14に示すように、アンテナ装置200は、アンテナ100(1)~100(8)及びケースCSを含む。アンテナ100(1)~100(4)の設置方法は、
図13のアンテナ100(1)~100(4)の設置方法と同様である。また、線分LNを基準として、アンテナ100(1)~100(4)の設置方法に基づいて、アンテナ100(8)~100(5)は鏡像的に設置される。
【0037】
以下、実例でアンテナ間の距離を説明する。
図15を併せて参照されたい。
図15は、本開示の幾つかの実施例による4つのアンテナ100(1)~100(4)間の距離A、Bの概略図である。
図15に示すように、アンテナ100(1)のフィードインポイントFP(1)とアンテナ100(2)のフィードインポイントFP(2)との間の距離Aは53.49mmであり、アンテナ100(2)のフィードインポイントFP(2)とアンテナ100(3)のフィードインポイントFP(3)との間の距離Bは133.5mmであり、アンテナ100(3)のフィードインポイントFP(3)とアンテナ100(4)のフィードインポイントFP(4)との間の距離Aは53.49mmである。
【0038】
なお、上記これらのアンテナの設置方法はいずれもアイソレーションが20dBよりも大きいという要件を満たすことができる。
【0039】
以上をまとめると、本開示のアンテナ及びアンテナ装置は共振によって第5世代無線通信技術の動作周波数帯域に適合するように大きな周波数帯域を発生させることができる。また、本開示のアンテナ及びアンテナ装置は、簡単な逆Fアンテナだけで第5世代無線通信技術の動作周波数帯域に適合することができ、複雑なアンテナを必要とせず、これはアンテナのコストを大幅に削減する。また、アンテナの放射体の長さや接地導体の接地導体ブランチの長さを調整すれば、必要な動作周波数帯域を調整することができ、これはアンテナ設計の利便性を大幅に向上させる。また、本開示のアンテナ及びアンテナ装置は、関心のある周波数帯域に対して、主要放射領域の放射線場被覆率を最適化することができる。
【0040】
本開示は、実施例に基づいて以上のように開示されたが、当該実施例は本開示を限定するものではなく、当業者であれば、本開示の精神及び範囲から逸脱することなく、様々な変更及び修正を行うことができ、よって、本開示の保護範囲は、添付の特許請求の範囲に定義されたものを基準とする。
【符号の説明】
【0041】
100、100(1)~100(8) アンテナ
200 アンテナ装置
110 アンテナユニット
120 基板
130 接地導体
S1 第1表面
S2 第2表面
VIA 貫通孔
SED1 第1基板縁部
SED2 第2基板縁部
SED3 第3基板縁部
SED4 第4基板縁部
RP1 第1放射部
RP2 第2放射部
RB 放射体
FIP1 第1フィードイン部
FIP2 第2フィードイン部
FIB 給電体
FP フィードインポイント
SCP 短絡導体
SL スロット孔
GBP 接地導体ブランチ
M、P 長さ
N 最小距離
Z 間隔
CS ケース
EF ケース縁部
MP 金属平面
FT 治具
ANL、MNL、NL1~NL4 法線方向
RP 放射線場
LN 線分
A、B 距離
BL ベースライン
GED 接地縁部