(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024114629
(43)【公開日】2024-08-23
(54)【発明の名称】ミシン
(51)【国際特許分類】
D05B 19/12 20060101AFI20240816BHJP
D05B 3/02 20060101ALI20240816BHJP
【FI】
D05B19/12
D05B3/02 L
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024010802
(22)【出願日】2024-01-29
(31)【優先権主張番号】18/167,356
(32)【優先日】2023-02-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】515226722
【氏名又は名称】インティヴァ プロダクツ, エルエルシー
【氏名又は名称原語表記】Inteva Products, LLC
【住所又は居所原語表記】1401 Crooks Road Troy Michigan 48084 UNITED STATES OF AMERICA
(74)【代理人】
【識別番号】100107456
【弁理士】
【氏名又は名称】池田 成人
(74)【代理人】
【識別番号】100162352
【弁理士】
【氏名又は名称】酒巻 順一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100123995
【弁理士】
【氏名又は名称】野田 雅一
(72)【発明者】
【氏名】ウェンデル, ダレン
(72)【発明者】
【氏名】コックス, ジョセフ
(72)【発明者】
【氏名】ハブハブ, ラメズ
(72)【発明者】
【氏名】ウェンゼル, エドワード
(72)【発明者】
【氏名】ホールステット, ニコラス
(72)【発明者】
【氏名】ロイ, マイケル
【テーマコード(参考)】
3B150
【Fターム(参考)】
3B150CE01
3B150CE23
3B150CE27
3B150GA26
3B150JA01
3B150JA11
3B150JA13
3B150NC01
3B150NC11
3B150NC18
(57)【要約】 (修正有)
【課題】縫製ヘッドが完全に回転可能なミシンを提供する。
【解決手段】背部111と、背部111から延びる第1の細長い部材112および第2の細長い部材113とを含む支持構造体110と、上部ヘッドアセンブリおよび下部ヘッドアセンブリとを含む。上部ヘッドアセンブリは、第1の細長い部材にあり、上部ヘッドアセンブリの縫製動作を駆動する第1のモータと第2のモータとを含む。下部ヘッドアセンブリは、第2の細長い部材にあり、下部ヘッドアセンブリの縫製動作を駆動する第1のモータと第2のモータとを含む。上部ヘッドアセンブリおよび下部ヘッドアセンブリの第1のモータ、ならびに上部ヘッドアセンブリおよび下部ヘッドアセンブリの第2のモータは、上部ヘッドアセンブリと下部ヘッドアセンブリとの間における機械的な駆動接続なしで同期される。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
背部と、前記背部から延びる第1の細長い部材および第2の細長い部材とを備える構造体と、
前記第1の細長い部材にある上部ヘッドアセンブリであり、前記上部ヘッドアセンブリの縫製動作を駆動する第1のモータと第2のモータとを備える上部ヘッドアセンブリと、
前記第2の細長い部材にある下部ヘッドアセンブリであり、前記下部ヘッドアセンブリの縫製動作を駆動する第1のモータと第2のモータとを備える下部ヘッドアセンブリと
を具備する、ミシンであって、
前記上部ヘッドアセンブリおよび前記下部ヘッドアセンブリの前記第1のモータ、ならびに前記上部ヘッドアセンブリおよび前記下部ヘッドアセンブリの前記第2のモータが、前記上部ヘッドアセンブリと前記下部ヘッドアセンブリとの間における機械的な駆動接続なしで同期される、
ミシン。
【請求項2】
前記上部ヘッドアセンブリが、
前記上部ヘッドアセンブリの前記第1のモータによって上方および下方に駆動可能な針棒と、
前記上部ヘッドアセンブリの回転速度および位置を制御する、前記上部ヘッドアセンブリの前記第2のモータによって駆動可能なインデクサユニットと
を備える、請求項1に記載のミシン。
【請求項3】
前記上部ヘッドアセンブリが、前記針棒を上方および下方に加速するカムをさらに備える、請求項2に記載のミシン。
【請求項4】
前記下部ヘッドアセンブリが、
前記下部ヘッドアセンブリの前記第1のモータによって長円経路に駆動可能なルーパアームと、
前記下部ヘッドアセンブリの回転速度および位置を制御する、前記下部ヘッドアセンブリの前記第2のモータによって駆動可能なインデクサユニットと
を備える、請求項1に記載のミシン。
【請求項5】
前記下部ヘッドアセンブリが、前記ルーパアームの回転運動を制御する第1のカムと、前記ルーパアームの横方向移動を制御する第2のカムとをさらに備える、請求項4に記載のミシン。
【請求項6】
前記上部ヘッドアセンブリの前記第1のモータが、
回転ルーパ運動を制御する回転電動アクチュエータと、
横方向ルーパ運動を制御する電動リニアアクチュエータと
を備える、請求項1に記載のミシン。
【請求項7】
リアルタイム縫製経路修正のためのビジョンシステムまたは走査部をさらに備える、請求項1に記載のミシン。
【請求項8】
前記上部ヘッドアセンブリが、電気エネルギーおよび空気エネルギーを前記上部ヘッドアセンブリを通して伝達する、電気-空気スリップリングをさらに備える、請求項1に記載のミシン。
【請求項9】
前記上部ヘッドアセンブリが、電気エネルギーおよび空気エネルギーを前記上部ヘッドアセンブリを通して伝達する、空気のみのスリップリングに連結されたクロックスプリングをさらに備える、請求項1に記載のミシン。
【請求項10】
前記下部ヘッドアセンブリが、電気エネルギーを前記下部ヘッドアセンブリを通して伝達する電気スリップリングをさらに備える、請求項1に記載のミシン。
【請求項11】
前記上部ヘッドアセンブリおよび前記下部ヘッドアセンブリが、モジュール式のものであり、他の機能ユニットと交換可能である、請求項1に記載のミシン。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[関連出願の相互参照]
[0001]本願は、参照により本明細書にその内容全体が組み入れられる2018年11月21日出願の米国仮特許出願第62/770,422号に対する優先権を主張する、2019年11月20日出願の米国特許出願第16/689,901号の継続出願である。
【背景技術】
【0002】
[0002]以下の説明は、ミシンに関し、より具体的には、縫製ヘッドが完全に回転可能なミシンに関する。
【0003】
[0003]現在、事前に成形された自動車部品への装飾的ライブステッチ(livestitch)の適用は、手動ステッチ方法または自動ステッチ方法によって達成することができる。手動ステッチは、通常、比較的直線的なステッチ経路を有するより小さな部品に利用される。部品サイズ、重量、およびステッチ経路の複雑さが増すにつれて、オペレータが据置型ミシンの下で、事前に成形された部品を手動で連結することがより困難になるので、自動化がより実用的になる。6軸ロボットを使用する自動化セルは、エンドエフェクタとしてミシンとともに一般的に利用されている。ミシンは、ロボットの動作範囲内で部品の必要な領域にアクセスするように設計されている。
【0004】
[0004]事前に成形された自動車部品にライブステッチを適用する動向が人気を増し続けるにつれて、必要とされるステッチの配置およびステッチの種類も進化している。所望のステッチ経路が長さを増し、および/または成形された部品表面のより大きな部分を覆うので、部品の外側の周りの縫製ヘッドを追加で移動することが必要とされる。部品の外側の周りで縫製ヘッドを移動することは、部品を固定するときに問題を生じ得るが、移動することがロボットの動作範囲を超えることもあり得る。さらに、自動車製造業者は、従来の縫製システムでは容易に提供されない独自のステッチの種類、ステッチパターン、およびステッチ糸サイズを好むことが多い。
【発明の概要】
【0005】
[0005]本発明の一態様によれば、ステッチを物品に縫製するためのミシンが提供される。ミシンは、支持構造体と、第1のヘッドと、第2のヘッドとを含む。第1のヘッドは支持構造体に連結され、第1のヘッドは、第2の作動アセンブリに含まれ、支持構造体に対して360°回転可能な連結部と、連結部とともに回転可能であり、第1の作動アセンブリによって連結部に対して並進移動可能な第1のステッチ要素とを含む。第2のヘッドは支持構造体に連結され、第2のヘッドは、第2の作動アセンブリに含まれ、支持構造体に対して360°回転可能な連結部と、第1の作動アセンブリによって連結部とともに回転可能な第2のステッチ要素とを含む。
【0006】
[0006]追加または代替の実施形態によれば、支持構造体は、背部(spine)と、背部から延びる第1の細長い部材および第2の細長い部材とを含み、第1の細長い部材が、第1のステッチ要素に連結される遠位端部を有し、第2の細長い部材が、第2のステッチ要素に連結される遠位端部を有する。
【0007】
[0007]追加または代替の実施形態によれば、第1のステッチ要素は針を含み、第2のステッチ要素はルーパを含む。
【0008】
[0008]追加または代替の実施形態によれば、第1のヘッドは、連結部に対する第1のステッチ要素の並進移動、および第2のステッチ要素の回転を駆動する第1の作動アセンブリと、第1のヘッドおよび第2のヘッドの回転を駆動する第2の作動アセンブリとを含む。
【0009】
[0009]追加または代替の実施形態によれば、作動アセンブリは、モータと、支持構造体を通って延びる機械的リンク機構と、機械的リンク機構を第1のステッチヘッドおよび第2のステッチヘッドに連結する第1の連結ユニットおよび第2の連結ユニットとを含む。
【0010】
[0010]追加または代替の実施形態によれば、追加の駆動アセンブリが支持構造体の回転を駆動する。
【0011】
[0011]追加または代替の実施形態によれば、ロボット制御部は、第1のステッチヘッドおよび第2のステッチヘッドのそれぞれの並進移動、および駆動アセンブリの動作を制御するように構成されている。
【0012】
[0012]追加または代替の実施形態によれば、ロボット制御部は、縫製されるべき経路の長さに沿って位置する物品上の特徴の位置を走査する走査部からの縫製前のフィードバックを受信すると、事前定義されたステッチ経路座標を調整する。
【0013】
[0013]本発明の別の態様によれば、ステッチを物品に縫製するためのミシンが提供される。ミシンは、物品に対して移動可能な第1のヘッドおよび第2のヘッドと、第1のヘッドおよび第2のヘッドとを含む。第1のヘッドは、第1のヘッドおよび第2のヘッドを通って延びる軸線を中心にして回転可能な連結部と、連結部とともに回転し、軸線を横切る第1の方向および第2の方向で連結部に対して並進移動する第1の作動要素と、連結部とともに回転し、第1の作動要素とともに第1の方向および第2の方向並進移動し、第3の方向で第1の作動要素に対して回転する第2の作動要素と、連結部とともに回転し、第1の作動要素とともに第1の方向および第2の方向で並進移動し、第2の作動要素とともに第3の方向で回転し、第3の方向にある軸線に沿って第2の作動要素に対して並進移動する第3の作動要素とを含む。第2のヘッドは、第3の方向にある軸線を中心にして回転可能な連結部と、連結部とともに回転し、第1の方向および第2の方向で連結部に対して並進移動する第1の作動要素と、連結部とともに回転し、第1の作動要素とともに第1の方向および第2の方向で並進移動し、第1の作動要素とともに第3の方向で回転し、第3の方向にある軸線に沿って第1の作動要素に対して並進移動する第2の作動要素とを含む。
【0014】
[0014]追加または代替の実施形態によれば、第1のヘッドは、第1のステッチ要素および第2のステッチ要素を含む。
【0015】
[0015]追加または代替の実施形態によれば、第1のステッチ要素はルーパまたはスプレッダを含み、第2のステッチ要素はパンチまたは目打ちを含む。
【0016】
[0016]追加または代替の実施形態によれば、第1のヘッドは、第1のヘッドの連結部に対する第1のステッチ要素の並進移動を、第1の方向および第2の方向で駆動する第1の作動要素と、第1の作動要素に対する第1のステッチ要素の回転を駆動する第2の作動要素と、第1のステッチ要素に対する第2のステッチ要素の並進移動を第3の方向で駆動する第3の作動要素とを含む。
【0017】
[0017]追加または代替の実施形態によれば、制御部は、連結部の回転ならびに第1のヘッドおよび第2のヘッドの各々のステッチ要素の並進移動および回転を制御および調整するように構成されている。
【0018】
[0018]追加または代替の実施形態によれば、制御部は、物品上の特徴の位置を走査するための走査部を含み、事前定義されたステッチ命令、および特徴の位置に従って、実際の針位置と許容可能な針位置との間の偏差を補正するように構成されている。
【0019】
[0019]追加または代替の実施形態によれば、第1のヘッドの第1のステッチ要素はルーパまたはスプレッダを含み、第1のヘッドの第2のステッチ要素はパンチまたは目打ちを含む。
【0020】
[0020]追加または代替の実施形態によれば、第2のヘッドの第1のステッチ要素は針を含む。
【0021】
[0021]追加または代替の実施形態によれば、第1のヘッドおよび第2のヘッドは、独立して関節運動可能な第1のロボットアームおよび独立して関節運動可能な第2のロボットアームに連結される。
【0022】
[0022]追加または代替の実施形態によれば、第1のヘッドおよび第2のヘッドは、支持構造体に連結される。
【0023】
[0023]追加または代替の実施形態によれば、支持構造体は、背部と、背部から延びる第1の細長い部材および第2の細長い部材とを含み、第1の細長い部材が、第1のヘッドに連結される遠位端部を有し、第2の細長い部材が、第2のヘッドに連結される遠位端部を有する。
【0024】
[0024]これらの利点および特徴と、他の利点および特徴とは、図面と併せて以下の説明からより明らかになるであろう。
【0025】
[0025]本開示と見なされる主題は、本明細書の終わりに特許請求の範囲において特に指摘され、明確に特許請求される。本開示の、前述の特徴および利点と、他の特徴および利点とは、添付の図面と併せて以下の詳細な説明から明らかになる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【
図1】[0026]実施形態による、機械的に駆動されるミシンの側面図である。
【
図2】[0027]実施形態による、電気的および機械的に駆動されるミシンの側面図である。
【
図3】[0028]実施形態による、電気的に駆動されるミシンの側面図である。
【
図4】[0029]実施形態による、支持構造体を有する
図3のミシンの側面図である。
【
図5】[0030]実施形態による、縫製ヘッド構成の側面図である。
【
図6】[0031]実施形態による、針棒動作の斜視図である。
【
図7】[0032]実施形態による、針棒の連結部の斜視図である。
【
図8】[0033]実施形態による、上部空気スリップリング(pneumatic slip ring)アセンブリの斜視図である。
【
図9】[0034]実施形態による、下部ヘッドアセンブリの一構成の斜視図である。
【
図9a】[0035]実施形態による、下部ヘッドアセンブリの動作の斜視図である。
【
図10】[0036]実施形態による、上部ヘッドアセンブリの一変更形態の斜視図である。
【
図11】[0037]実施形態による、下部ヘッドアセンブリの一変更形態の斜視図である。
【
図12】[0038]実施形態による、下部ヘッドアセンブリの一変更形態の斜視図である。
【
図13】[0039]実施形態による、下部ヘッドアセンブリの一変更形態の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
[0040]これらの利点および特徴と、他の利点および特徴とは、図面と併せて以下の説明からより明らかになるであろう。
【0028】
[0041]以下で説明するように、ミシンには、現在の縫製需要を満たす性能が提供されている。ミシンは、自動縫合の用途での使用を意図していて、独立しているが同期された上部ヘッド回転および下部ヘッド回転を組み込んでいて、機械本体を常に縫製経路に垂直な位置に配置する必要をなくす。その結果、閉ループステッチ経路を縫製する性能が向上し、同様に、より小さい半径を有する曲線を部品の遠隔領域にステッチする性能も向上する。ミシンは、機械的、電気機械的、または完全に電気的に駆動することができる、+360度/-360度の回転および移動がそれぞれが可能な縫製ヘッドを含む。ミシンは、縫製ヘッドのサイズが、部品の周りで最大限の操作性を可能にするようにコンパクトになるように設計される。機械の機能的性能は、わずかな機械の再構成のみで以下のステッチ技術を実行できるように向上され、このステッチ技術は、軟質材料を通じた、1本針2本糸チェーンステッチまたは2本針2本糸チェーンステッチと、軟質材料を通じた、1本針1本糸チェーンステッチまたは2本針1本糸のチェーンステッチと、硬質基材を通じた、1本針1本糸チェーンステッチまたは2本針1本糸チェーンステッチと、軟質材料を通じた1本針多本糸刺繍ステッチとである。ミシンはまた、縫製ヘッドが、さらなる用途の柔軟性のために別個のロボットに取り付けられた上部ヘッドおよび下部ヘッドと連結解除され得るように設計され得る。
【0029】
[0042]
図1を参照すると、ミシン101が設けられ、様々な種類のステッチを物品102に縫製してもよい。ミシン101は、物品102に対して移動可能である支持構造体110であって、物品102を通って延びる軸線A1を中心にして回転可能な支持構造体110を含む。支持構造体110は、前方向および後方向(すなわち、軸線A3に関して軸線方向に規定された第1の方向)、左方向および右方向(すなわち、軸線A1に関して軸線方向に規定された第2の方向)、および上方向および下方向(すなわち、軸線A2に関して軸線方向に規定された第3の方向)に移動可能である。
【0030】
[0043]実施形態によれば、支持構造体110は、背部111と、背部111の第1の端部から延びる第1の細長い部材112と、背部111の第2の端部から、第1の細長い部材112と実質的に平行に延びる第2の細長い部材113とを含んでもよい。第1の細長い部材112は、背部111から遠い端部に遠位端部114を有し、第2の細長い部材113は、背部111から遠い端部に遠位端部115を有する。
【0031】
[0044]ミシン101は、第1の細長い部材112の遠位端部114で支持構造体110に連結される第1のステッチヘッド120と、第2の細長い部材113の遠位端部115で支持構造体110に連結される第2のステッチヘッド130とをさらに含む。第1のステッチヘッド120は、第1のステッチ要素1200を含み得、または第1のステッチ要素1200が設けられ得る。第1のステッチ要素1200は針を含み得る。第2のステッチヘッド130は、第2のステッチ要素1300を含み得、または第2のステッチ要素1300が設けられ得る。第2のステッチ要素1300は、ルーパを含み得る。
【0032】
[0045]ミシン101はまた、第1の作動アセンブリ140と、第2の作動アセンブリ150と、いくつかの場合では、第3の作動アセンブリ160とを含む。
【0033】
[0046]第1の作動アセンブリ140は、支持構造体110内に少なくとも部分的に配置され、第1のステッチヘッド120の縫製要素1200、および第2のステッチヘッド130の縫製要素1300を作動させるように構成されている。縫製要素1200の作動は、軸線A2に沿って軸線方向に行われ、一方、縫製要素1300の作動は、軸線A1に平行な軸線を中心にして回転するように行われる。第1の作動アセンブリ140は、モータ141と、支持構造体110を通って延びる機械的リンク機構142と、機械的リンク機構142を第1のステッチヘッド120に連結する第1の連結ユニット143と、機械的リンク機構142を第2のステッチヘッド130に連結する第2の連結ユニット144とを含む。第2の作動アセンブリ150は、支持構造体110内に少なくとも部分的に配置され、第1のステッチヘッド120および第2のステッチヘッド130の各々の、軸線A2を中心にしたそれぞれの回転を駆動するように構成されている。第2の作動アセンブリ150は、モータ151と、支持構造体110を通って延びる機械的リンク機構152と、機械的リンク機構152を第1のステッチヘッド120に連結する第1の連結ユニット153と、機械的リンク機構152を第2のステッチヘッド130に連結する第2の連結ユニット154とを含む。
【0034】
[0047]利用可能な場合、第3の作動アセンブリ160は、第2の軸線A1を中心とした支持構造体110の回転を駆動するように構成されていて、その結果、第1のステッチヘッド120が物品102の上方または下方で動作することができ、第2のステッチヘッド130が物品102の下方または上方で動作することができる。
【0035】
さらなる実施形態によれば、ミシン101は、縫製前にステッチ経路に沿って位置する物品102上の特徴の相対位置を検出し、ロボット制御部にフィードバックを提供するように構成された走査部170をさらに含んでもよく、ロボット制御部が、縫製前に事前定義されたステッチ経路の座標を調整し、その結果、事前定義されたステッチ制約に準拠して部品を縫製する。
【0036】
[0048]
図2を参照すると、ステッチを物品202に縫製するためのミシン201が設けられている。ミシン201は、物品202に対して移動可能な支持構造体210を含む。支持構造体210は、前方向および後方向(すなわち、軸線A3に関して直線的に規定された第1の方向)、左方向および右方向(すなわち、軸線A1に関して直線的に規定された第2の方向)、および上方向および下方向(すなわち、軸線A2に沿って直線的に規定された第3の方向)に移動可能である。支持構造体210はまた、軸線A1および物品202を中心にして回転可能である。
【0037】
[0049]実施形態によれば、支持構造体210は、背部211と、背部211の第1の端部から延びる第1の細長い部材212と、背部211の第2の端部から第1の細長い部材212と実質的に平行に延びる第2の細長い部材213とを含んでもよい。第1の細長い部材212は、背部211から遠い端部に遠位端部214を有し、第2の細長い部材213は、背部211から遠い端部に遠位端部215を有する。
【0038】
[0050]ミシン201は、第1のステッチヘッド220と、第2のステッチヘッド230と、駆動アセンブリ240とをさらに含む。第1のステッチヘッド220は、第1の細長い部材212の遠位端部214で支持構造体210に連結されている。第2のステッチヘッド230は、第2の細長い部材213の遠位端部215で支持構造体210に連結されている。第1のステッチヘッド220は、任意選択の第2のステッチ要素2201を有する第1のステッチ要素2200を含み得、または任意選択の第2のステッチ要素2201を有する第1のステッチ要素2200が設けられ得る。第1のステッチ要素2200は、ルーパまたはスプレッダを含み得る。第2のステッチ要素2201は、パンチまたは目打ちからなり得る。第2のステッチヘッド230は、第3のステッチ要素2300を含み得、または第3のステッチ要素2300が設けられ得る。第3のステッチ要素2300は、針を含み得る。
【0039】
[0051]第1のステッチヘッド220は、連結部221と、軸線A2を中心にして連結部221とともに回転可能であり、第1の方向および第2の方向に連結部221に対して並進移動可能である第1の作動要素222と、第2の作動要素223と、任意選択の第3の作動要素224とを含む。第2の作動要素223は、第1の作動要素222とともに軸線A1およびA3に沿って第2の方向および第1の方向に並進移動可能であり、軸線A2を中心にして第1の作動要素222に対して回転可能であり、連結部221とともに軸線A2を中心にして回転可能である。任意選択の第3の作動要素224は、第2のステッチ要素2201を、軸線A2に沿って第3の方向に第2の作動要素223に対して並進移動させ、第1の作動要素222とともに並進移動可能であり、第2の作動要素223とともに軸線A2を中心にして回転可能であり、連結部221とともに軸線A2を中心にして回転可能である。
【0040】
[0052]第2のステッチ体230は、連結部231と、軸線A2を中心にして連結部231とともに回転可能であり、軸線A3および軸線A1に沿って第1の方向および第2の方向に連結部231に対して並進移動可能である第1の作動要素232と、第2の作動要素233とを含む。第2の作動要素233は、第1の作動要素232とともに軸線A1およびA3に沿って第2の方向および第1の方向に並進移動可能であり、軸線A2に沿って第3の方向に第1の作動要素232に対して並進移動可能であり、連結部231と軸線A2を中心にして回転可能である。
【0041】
[0053]駆動アセンブリ240は、第1のステッチヘッドおよび第2のステッチヘッド220および230の、軸線A2を中心とした回転を駆動するために支持構造体210内に少なくとも部分的に配置される。作動アセンブリ240は、モータ241と、支持構造体210を通って延びる機械的リンク機構242と、機械的リンク機構242を第1のステッチヘッド220に連結する第1の連結ユニット243と、機械的リンク機構242を第2のステッチヘッド230に連結する第2の連結ユニット244とを含む。
【0042】
[0054]縫製中に軸線A1を中心とした支持構造体210の回転を駆動するために、追加の駆動アセンブリ270が設けられている。追加の作動アセンブリ270はまた、第2の軸線A2を中心とした支持構造体210の回転を駆動するために利用され、その結果、第1のステッチヘッド220が物品202の上方または下方で動作することができ、第2のステッチヘッド230が物品202の下方または上方で動作することができる。
【0043】
[0055]さらなる実施形態によれば、ミシン201は、縫製前にステッチ経路に沿って位置する物品202上の特徴の相対位置を検出し、ロボット制御部にフィードバックを提供するように構成された走査部280をさらに含んでもよく、ロボット制御部が、縫製前に事前定義されたステッチ経路の座標を調整し、その結果、事前定義されたステッチ制約に準拠して部品を縫製する。
【0044】
[0056]
図3を参照すると、ステッチを物品302に縫製するためのミシン301が設けられている。ミシン301は、物品302に対して移動可能な第1のヘッド310と、物品302に対して移動可能な第2のヘッド320とを含む。
【0045】
[0057]第1のヘッド310は、物品302と、第1のヘッドおよび第2のヘッド310および320とを通って延びる軸線A2を中心にして回転可能な第1の作動要素311と、第2の作動要素312と、第3の作動要素314と、第4の作動要素315と、ルーパまたはスプレッダを含む第1のステッチ要素313とを含む。第2の作動要素312は、第1の作動要素311とともに回転し、軸線A3方向および軸線A1方向に沿って第1の方向および第2の方向に第1の作動要素311に対して並進移動可能である。第1のステッチ要素313に直接連結されている第3の作動要素314は、第1の作動要素311とともに回転し、第2の作動要素312とともに並進移動可能であり、第2の作動要素312に対して回転する。第4の作動要素315は、任意選択の第2のステッチ要素3130を軸線A2に沿って第3の方向に並進移動させ、第1の作動要素311とともに回転し、第2の作動要素312とともに並進移動し、第3の作動要素314とともに回転する。
【0046】
[0058]第2のヘッド320は、軸線A2を中心にして回転可能な第1の作動要素321と、第2の作動要素322と、第3の作動要素323とを含む。第2の作動要素322は、第1の作動要素321とともに回転し、軸線A3および軸線A1に沿って第1の方向および第2の方向に第1の作動要素321に対して並進移動可能である。第3の作動要素323は、第3のステッチ要素3230を含み、第1の作動要素321とともに回転し、第2の作動要素322とともに軸線A3およびA1に沿って第1の方向および第2の方向に並進移動し、軸線A2に沿って第3の方向に第2の作動要素322に対して並進移動可能である。
【0047】
[0059]さらなる実施形態によれば、ミシン301は、縫製前にステッチ経路に沿って位置する物品302上の特徴の相対位置を検出し、ロボット制御部にフィードバックを提供するように構成された走査部330をさらに含んでもよく、ロボット制御部が、縫製前に事前定義されたステッチ経路の座標を調整し、その結果、事前定義されたステッチ制約に準拠して部品を縫製する。
【0048】
[0060]
図3に示すように、ミシン301は、工具交換部340および350を介して、第1のヘッドおよび第2のヘッド310および320がそれぞれ連結される、第1の独立して関節運動可能なロボットアームおよび第2の独立して関節運動可能なロボットアーム360および370に接続されてもよい。ロボットアーム360および370は、第1のヘッドおよび第2のヘッド310および320が物品302に対して様々な位置および姿勢で動作し、物品302の上方または下方に配置されることを可能にすることができる。
【0049】
[0061]
図4を参照すると、第1のヘッドおよび第2のヘッド310および320は支持構造体360に連結され得る。支持構造体360は、背部361と、背部361の第1の端部から延びる第1の細長い部材362と、背部361の第2の端部から第1の細長い部材362と実質的に平行に延びる第2の細長い部材363とを含んでもよい。第1の細長い部材362は遠位端部364を有し、遠位端部には第1のヘッド310が背部361から遠位端部に連結されていて、第2の細長い部材363は遠位端部365を有し、遠位端部には第2のヘッド320が背部361から遠位端部に連結されている。
【0050】
[0062]縫合のためにミシン301を最適な位置に配置するために必要とされるように、軸線A1を中心とする支持構造体360の回転を駆動するための追加の駆動アセンブリ370が設けられる。ロボット制御部は、軸線A1を中心とした支持構造体360の回転を駆動するように構成することができ、その結果、第1のヘッド310が、物品302の上方または下方で動作することができ、第2のヘッド320が、物品302の下方または上方で動作することができる。
【0051】
[0063]電気駆動回転ヘッドの概要
[0064]上部ヘッドアセンブリと下部ヘッドアセンブリとの間には、機械駆動連結部は存在しない。2つのサーボ駆動モータは、上部ヘッドアセンブリの駆動に利用される。(第1の細長い部材502に配置される)第1のモータは、針棒を軸線A2に沿って上方および下方に駆動することに使用される。針(第1のステッチ要素4000)は、針棒の端部に取り付けられる。(上部ヘッド400に配置される)第2のモータは、上部ヘッドアセンブリの回転速度および位置を制御するインデクサユニットを駆動することに使用される。2つのサーボ駆動モータは、下部ヘッドアセンブリの駆動に利用される。(下部ヘッド450に配置される)第1のモータは、部品600表面の下の長円経路にルーパアームを駆動することに使用される。ルーパ(第2のステッチ要素4500)は、ルーパアームに取り付けられる。(下部遠位端部505に配置される)第2のモータは、下部ヘッドアセンブリの回転速度および位置を制御するインデクサユニットを駆動することに使用される。上部ヘッドおよび下部ヘッドの回転速度および位置を駆動するモータは同期される。上部ヘッドの針棒の速度および下部ヘッドのルーパの速度を駆動するモータは同期される。
【0052】
[0065]
図3に示されるように、独立しているが協働的なロボットに対する上部ヘッドアセンブリおよび下部ヘッドアセンブリの分離および取り付けが可能である。
【0053】
[0066]電子機器のタイミング調節(timing)およびチューニングは、機械構成に対する以下のさらなる変更形態により実現され得、それによって生産環境で使用されるとき、機械動作およびメンテナンスが簡素化される。下部ヘッドアセンブリの第1のモータは、回転ルーパ運動を制御する回転電動アクチュエータ、および、横方向ルーパ運動を制御する電動リニアアクチュエータによって取って代わられてもよく、それによって下部ヘッドアセンブリのすべての機械的なカムがなくなる。第1の細長い部材502に現在配置されている第1のモータは、上部ヘッドアセンブリ400に配置されるリニアアクチュエータに取って代わられてもよい。このリニアアクチュエータによって、上部遠位端部504に配置される機械的なカムの必要性がなくなることになる。
【0054】
[0067]上部ヘッドアセンブリおよび下部ヘッドアセンブリ内に全体的に含まれる電動アクチュエータの利用によって、独立しているが協働的なロボットにおける使用のために上部ヘッドおよび下部ヘッドを完全に連結解除するときのパッケージング要件を最小限にする性能が向上する。
【0055】
[0068]針棒(および針)の速度変動(加速)ならびにルーパアーム(およびルーパ)の速度変動(加速)は、縫製中のステッチの方向(軸線A3方向)における針棒の移送の必要性をなくすことに利用され、それによってヘッド構成が簡素化され、パッケージング全体が改善される。針棒およびルーパアームの加速は、機械的なカムにより達成される。針棒は、ヘッドの頂部(上部遠位端部504)にある1つのカムを使用して加速を管理する。ルーパアームは、下部ヘッドに配置される)2つのカムを使用して加速を管理する。第1のカムは、ルーパアームの(
図9における軸線B2を中心にした)回転移動を制御し、第2のカムは、ルーパアームの(軸線B2に沿った)横方向または放出(voiding)移動を制御する。
【0056】
[0069]縫合中、針棒軸線A2を中心にした両方向の制限のない範囲の同期された上部ヘッドおよび下部ヘッドの回転が可能である。
【0057】
[0070]以下の追加の機能部品/システムは、上部ヘッドに配置され上部ヘッドとともに回転し、これらの機能部品/システムは、(電気的に制御される)リアルタイム縫製経路修正のためのビジョンシステム/走査部、(針棒カムフォロアから機械的に作動される)押え、(電空的に作動される)糸切りはさみ、(電空的に作動される)糸スワイピング(swiping)アーム、および(針ホルダカムフォロアから機械的に作動される)糸ブレーキである。
【0058】
[0071]静止上部アームから回転上部ヘッドへの電気エネルギーおよび空気エネルギーの伝達は、電気-空気スリップリングにより達成される。クロックスプリングアセンブリは、電気的な信号伝達および空気的な信号伝達の両方を達成するように、空気だけのスリップリングと併せて使用されてもよい。静止下部アームから回転下部ヘッドへの電気エネルギーの伝達は、電気スリップリングにより達成される。上部ヘッドアセンブリで使用されるような電気スリップリングと空気スリップリングとの組合せは、必要に応じて下部において実施されてもよい。下部ヘッドアセンブリは、部品へのミシンのアクセスを可能にする、ならびに、ステッチ経路の始点および終点において自由な糸末尾を引き下げる(二次的な糸引き動作の必要性をなくす)ように、軸線A2に沿って動かされ得る。上部ヘッドアセンブリおよび下部ヘッドアセンブリは、モジュール式のものであり、縫製の柔軟性のためならびに修理を容易にするために他の機能ユニットと交換される。上部ヘッドアセンブリは、以下の代替のステッチ要素4000を利用するように構成されてもよく、このステッチ要素は、チェーンステッチ:針、目打ちおよびスプレッダ、本縫い:針である。下部ヘッドアセンブリは、以下の代替のステッチ要素4500を利用するように構成されてもよく、このステッチ要素は、チェーンステッチ:バタフライルーパ、振動式ルーパ、フックルーパ、スプレッダまたは針およびカストオフ(castoff)、本縫い:フックである。上部ヘッドは、縫合中、針棒のジグザグ運動を管理するように再構成されてもよい。このジグザグ運動は、部品/物品600に刺繍縫いのロゴおよびパターンを作ることに必要とされる。
図5に示される縫製ヘッド構成は、
図4に示される概念に対するさらなる詳細をもたらす。
【0059】
[0072]上部ヘッド400および下部ヘッド450は、縫製ヘッド支持構造体500に連結され得る。縫製ヘッド支持構造体500は、背部501と、背部501の第1の端部から延びる第1の細長い部材502と、背部501の第2の端部から、第1の細長い部材502と実質的に平行に延びる第2の細長い部材503とを含んでもよい。第1の細長い部材502は遠位端部504を有し、遠位端部には第1のヘッド400が背部501から遠位端部に連結されていて、第2の細長い部材503は遠位端部505を有し、遠位端部には第2のヘッド450が背部501から遠位端部に連結されている。
【0060】
[0073]背部501は、第1の細長い部材502を第2の細長い部材503に接続する役割を果たす。背部501には機械駆動機構は含まれない。制御ボックス506から遠位端部505への電気配線は、背部501の内側または外側に通され得る。
【0061】
[0074]上部ヘッドアセンブリ400は、スプレッダとともに針または目打ちからなる第1のステッチ要素4000を含む。上部ヘッドアセンブリ400は、軸線A2を中心にしたどちらの方向にも上部ヘッドアセンブリ400を非限定的な回転度数に回転させる性能をもたらすモータ駆動インデクサユニット403と一体になった回転作動プレート402によって駆動される連結部401を含む。
【0062】
[0075]下部ヘッドアセンブリ450は、カストオフとともにルーパ、フック、スプレッダまたは針からなる第2のステッチ要素4500を含む。下部ヘッドアセンブリ450は、軸線A2を中心にしたどちらの方向にも下部ヘッドアセンブリ450を非限定的な回転度数に回転させる性能をもたらすモータ駆動インデクサユニット453によって回転される回転作動プレート452によって駆動される連結部451を含む。
【0063】
[0076]縫合プロセス中、上部ヘッドアセンブリ400および下部ヘッドアセンブリ450は、ステッチ形成のために第1のステッチ要素4000と第2のステッチ要素4500との間に必要な適切なアライメントを維持するために、軸線A2を中心にして互いに同期的に回転する。軸線A2を中心にした上部ヘッドおよび下部ヘッドの回転中、上部ヘッド400および下部ヘッド450を含む縫製ヘッド支持構造体500は、縫製される部品のデザインによって必要とされるようなx、yおよびz軸線を中心にして直線的および回転的に動かされ得る。
【0064】
[0077]
図6に示されるように、針棒404は、上部ヘッドアセンブリ400とともに回転し、軸線A2に沿って二方向に動く。縫合方向A3における針棒404の移送の必要性は、縫合中に第1のステッチ要素4000と物品600との係合時間を最小にするために必要な針棒404加速をもたらす針棒カム405の一体化によりなくなる。針棒カム405は、針棒カム405に対する針棒404の回転を可能にするが並進移動は可能にしない、針棒404にクランピングするカムカラー405aを収容する。針棒カム405は、軸線A2に沿った針棒404の移動を制御する一方、軸線A2の周りの針棒404の回転を可能にする。針棒カム405は、一連のプーリ407および408、ベルト409、上部駆動シャフト410ならびにクランクアーム/釣り合い重りアセンブリ411を通して、モータおよびギヤボックスアセンブリ406によって駆動される。
【0065】
[0078]
図7を参照すると、針棒連結部412は、回転する上部ヘッドアセンブリ400に針棒404を接続することに利用される。連結部412は、針棒404の一連のスプライン413に係合する。スプライン413は、軸線A2に沿った針棒の移動を可能にし、一方で、連結部キー(coupler key)414は、上部ヘッドアセンブリ400に対する針棒404の回転を防ぐように、上部ヘッド構造体414aに係合する。
【0066】
[0079]押え415は、ステッチ形成中、部品600を安定させることに利用される。押え415は、針棒404の各下り行程とともに、軸線A2に平行に動く。針棒404に取り付けられるカムフォロア416は、リフトブラケット419を通して押え棒418に接続されるリフトアーム417に係合する。空気シリンダ420は、リフトアーム417に対するカムフォロア416の係合解除の継続時間中、部品に対する押え415の接触を確実にするために必要とされるような下向きの力をもたらす。
【0067】
[0080]
図8を参照すると、上部電気-空気スリップリングアセンブリ421は、第1の細長い部材502の静止遠位端部504から回転上部ヘッドアセンブリ400へ電気エネルギーと空気エネルギーの両方を移送することに利用される。電気-空気エネルギーは、上部ヘッドアセンブリ400に配置される糸切り装置422、糸スワイパ(thread swiper)423および押えシリンダ420などのアクチュエータに必要とされる。電気エネルギーは、縫製ヘッド支持構造体500の位置、ならびに、部品600が位置する特徴部601に対する上部ヘッドアセンブリ400および下部ヘッドアセンブリ450の回転を修正することに使用されるビジョンシステム走査部424に電力を供給する、およびそれを制御することに必要とされる。
【0068】
[0081]
図9は、第2のステッチ要素4500がフックルーパからなる、下部ヘッドアセンブリ450の1つの構成を示す。あるいは、バタフライまたは振動式のフックルーパが使用されてもよい。ルーパは、ルーパアーム4500aに取り付けられる。ルーパアームの動きは、ルーパアームシャフト454を中心にした回転と横方向運動との両方からなる。回転運動は、軸線B1を中心にして回転する回転カム455により制御される。ルーパアーム横方向運動は、これも軸線B1を中心にして回転する放出カム(voiding cam)456により制御される。モータおよびギヤボックスアセンブリ457は、駆動ベルト460により接続される一連のプーリ458および459により、ルーパカム駆動シャフト454aの回転を駆動する。モータおよびギヤボックスアセンブリ457のための電力は、第2の細長い部材503の遠位端部505から回転する下部ヘッドアセンブリ450へと必要な電気エネルギーを伝える下部電気スリップリング461によりもたらされる。
【0069】
[0082]次に
図9aを参照すると、遠位端部505および下部ヘッドアセンブリ450は、縫合されるべき部品600への縫製ヘッド支持構造体500の妨害のない入出を可能にするように、軸線A2に沿って移動可能である。遠位端部505は、リフトレール463に取り付けられる一組の支承ブロック462によって第2の細長い部材503に取り付けられる。空気リフトシリンダ464は、作動されると、要望に応じて、下部ヘッドアセンブリ450を含む遠位端部505全体を上昇または下降させ得る。縫合中、空気リフトシリンダ464は、その完全な後退位置にある。部品600へ入るまたは部品600から出る間、空気リフトシリンダ464は、完全な伸長位置にある。
【0070】
[0083]一代替として、
図10に示されるように、上部ヘッドアセンブリ400は、針棒延長部404aを軸線A1に沿って交互またはジグザグな様式で横方向に動かすように変更される。モータおよびギヤボックスアセンブリ465は、接続ロッド467に連結されるエキセントリック466を回転させる。接続ロッド467は、第2の針棒404aおよび押え棒469を収容するロックフレーム(rock frame)468に取り付けられる。第2の針棒404aは、フレキシブルユニオン(flexible union)470によって針棒404に接続される。モータおよびギヤボックスアセンブリ465の1回転ごとに、ロックフレームは、枢動シャフト472を中心にして固定距離を回転し、それによって第2の針棒404aおよび押え棒469を軸線A1に沿って固定距離471に変位させる。タイミング調節は、物品600に対する二次針棒の位置が、連続した各針ストロークにより軸線A1に沿って最大位置から最小位置へと交互になる。この種類の構成は、物品600にジグザグの種類のステッチを施すことに使用され得るだけでなく、予め形成されたまたは成形された部品に刺繍縫いのロゴおよびデザインを施すのにも使用され得る。
【0071】
[0084]
図11に示されるように、針棒404aの横方向運動に対応できるように、下部ヘッドアセンブリ450は、継続的に回転するフックアセンブリからなる二次ステッチ要素4500を使用するように変更されてもよい。この例では、ロックの種類のステッチが、一次ステッチ要素4000と二次ステッチ要素4500との間の協調(interface)の結果として形成される。モータおよびギヤボックスアセンブリ473は、回転する下部ヘッドアセンブリ450に取り付けられ、フックの回転を駆動するように係合するベルトおよびヘリカルギヤ476、477によって接続される一対のプーリ474、475を利用する。
【0072】
[0085]
図12に示されるように、下部ヘッドアセンブリ450の別の代替は、軸線A2を中心にして回転し、完成部品600に種類101チェーンステッチを作り出す鉤針からなる第1のステッチ要素4000の周りに縫糸478を巻くスプレッダからなる第2のステッチ要素4500を有する。モータおよびギヤボックスアセンブリ479は、回転する下部ヘッドアセンブリ450に取り付けられ、回転運動を、ピニオン482の振動回転を駆動するラック481の直線的な前後運動に変換する、リフトエキセントリック480に直接連結される。ピニオンシャフト483は、続いて、スプレッダ駆動シャフト486に直接接続する第2のベベルギヤ485を駆動する第1のベベルギヤ484の回転を駆動する。軸A2を中心にしたスプレッダの続いての回転は、リフトエキセントリック480の調整により調整可能である。
【0073】
[0086]
図13に示されるように、下部ヘッドアセンブリ450についてのさらに別の代替は、軸線A2を中心にして回転し、物品600に種類401のチェーンステッチを作り出す針からなる第1のステッチ要素4000に係合する振動式ルーパからなる第2のステッチ要素4500を有する。モータおよびギヤボックスアセンブリ487は、回転する下部ヘッドアセンブリ450に取り付けられ、回転運動を、ピニオン490の振動回転を駆動するラック489の直線的な前後運動に変換するリフトエキセントリック488に直接連結される。ピニオンシャフト491は、続いて、ルーパ駆動シャフト494に直接接続する第2のベベルギヤ493を駆動する第1のベベルギヤ492の回転を駆動する。軸線A2を中心にした振動式ルーパの続いての回転は、リフトエキセントリック488の調整により調整可能である。
【0074】
[0087]上部ヘッド下部ヘッドアセンブリは、モジュール式のものであり、要望に応じて、代替の上部ヘッド構成および下部ヘッド構成と交換可能である。
【0075】
[0088]上部ヘッドアセンブリおよび下部ヘッドアセンブリは、共通の支持構造体から分離され、物品の縫合のための、独立しているが協働的なロボットに取り付けられ得る。
【0076】
[0089]電子機器のタイミング調節およびチューニングは、機械構成に対するさらなる変更形態により実現され得、それによって生産環境で使用されるとき、機械動作およびメンテナンスが簡素化される。下部ヘッドアセンブリ450のモータおよびギヤボックスアセンブリ457は、回転ルーパ運動を制御する回転電動アクチュエータおよび横方向ルーパ運動を制御する電動リニアアクチュエータにより取って代わられてもよく、それによって下部ヘッドアセンブリのすべての機械的なカムがなくなる。第1の細長い部材502に配置されるモータおよびギヤボックスアセンブリ406は、上部ヘッドアセンブリ400に配置されるリニアアクチュエータにより取って代わられ得る。このリニアアクチュエータによって、上部遠位端部504に配置される機械的なカム411の必要性がなくなることになる。上部ヘッドアセンブリおよび下部ヘッドアセンブリ内に全体的に含まれる電動アクチュエータの利用によって、独立しているが協働的なロボットにおける使用のために上部ヘッドおよび下部ヘッドを完全に連結解除するときのパッケージング要件を最小にする性能が向上される。
【0077】
[0090]本開示の技術的効果および利点は、自動縫合の用途に使用するための上部縫製ヘッドおよび下部縫製ヘッドを組み込んだミシンを提供し、常に縫製経路に垂直な位置に機械本体を配置する必要をなくし、刺繍縫いの場合のように、小さな半径を有する閉ループステッチ経路および曲線を縫製する性能を向上することである。加えて、本開示のミシンは、(通常は縫製ヘッドのアクセスに必要とされる)内部特徴開口部を有さない大きな外形部品上の閉ループチェーンステッチパターン、ならびに互いに縫製された複数の部品の効果を生み出すために完全に位置合わせされた開始位置および停止位置を提供する。本開示のミシンはまた、大きく対向する部品に配置される入り組んだ複雑なチェーンステッチパターン、(製品が縫製ヘッドのアクセスのために、部品の内部に最小限の開口部しか含まず、または開口部を全く含まない)このような製品の全周囲および内部部分の周りのステッチ性能、ならびに非常に目が詰まった方向変更および回転半径(例えば、5mm未満、場合によっては2mm未満の平らな部品または外形部品の表面の面上の回転半径またはステッチ回転半径)を必要とする(刺繍の)製品上の画像、ロゴ、またはテキストを作成するようにプログラムすることができるパターンを提供し、回転半径は、ステッチ長さと、短時間以内および短距離にわたって針およびフックを回転/方向転換させる性能とによって決定される。
【0078】
[0001]本開示は、限られた数の実施形態のみに関連して詳細に提供されているが、本開示はこのような開示した実施形態に限定されないことを容易に理解されるだろう。むしろ、本開示は、ここまでに説明していないが、本開示の精神および範囲に相応する任意の数の変形形態、変更形態、置換形態または等価な構成を組み込むように修正することができる。さらに、本開示の様々な実施形態を説明したが、例示的な実施形態は、説明した例示的な態様の一部のみを含んでもよいことを理解されたい。したがって、本開示は、前述の説明によって限定されると見なされるべきではなく、添付の特許請求の範囲によってのみ限定される。
【外国語明細書】