(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024114630
(43)【公開日】2024-08-23
(54)【発明の名称】3D印刷のための機械学習特徴供給速度
(51)【国際特許分類】
B29C 64/386 20170101AFI20240816BHJP
B33Y 50/00 20150101ALI20240816BHJP
B29C 64/106 20170101ALI20240816BHJP
B33Y 10/00 20150101ALI20240816BHJP
B33Y 30/00 20150101ALI20240816BHJP
【FI】
B29C64/386
B33Y50/00
B29C64/106
B33Y10/00
B33Y30/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】20
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024011012
(22)【出願日】2024-01-29
(31)【優先権主張番号】18/168,126
(32)【優先日】2023-02-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】596170170
【氏名又は名称】ゼロックス コーポレイション
【氏名又は名称原語表記】XEROX CORPORATION
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100067013
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 文昭
(74)【代理人】
【識別番号】100120525
【弁理士】
【氏名又は名称】近藤 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100139712
【弁理士】
【氏名又は名称】那須 威夫
(74)【代理人】
【識別番号】100141553
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 信彦
(72)【発明者】
【氏名】スチュアート エイ.シュヴァイド
(72)【発明者】
【氏名】プリヤンカデヴィ グジラプ
(72)【発明者】
【氏名】ベンジャミン ポールソン
(72)【発明者】
【氏名】コリン アレクサンダー ラッド
(72)【発明者】
【氏名】ディネシュ クリシュナ クマール ジャヤバル
(72)【発明者】
【氏名】デイビッド エイ.マンテル
【テーマコード(参考)】
4F213
【Fターム(参考)】
4F213AM23
4F213AR07
4F213AR08
4F213AR12
4F213WA25
4F213WA97
4F213WB01
4F213WL02
4F213WL32
4F213WL85
4F213WL96
(57)【要約】 (修正有)
【課題】部品を三次元印刷するための供給速度を提供するためのシステム及び方法を提供する。
【解決手段】ツールパスセグメントに対する公称供給速度とツールパスセグメントの空間ツールパスデータとを指定する、コンピュータ可読ツールパス命令を取得することと、訓練空間ツールパスデータと、訓練閉ループ利得データと、訓練供給速度データとを含む訓練データを使用して訓練されている、訓練された機械学習システムに空間ツールパスデータを含む入力を提供することと、ツールパスセグメントに対する公称供給速度とは異なるツールパスセグメントに対する修正された供給速度であって、修正された供給速度が、訓練された機械学習システムから出力される、修正された供給速度を取得することと、修正されたコンピュータ可読ツールパス命令を提供することと、を含み、修正された機械学習ツールパス命令は、修正された供給速度を含む。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
部品を三次元印刷するための供給速度を提供する方法であって、前記方法が、
前記部品に対するコンピュータ可読ツールパス命令であって、前記ツールパス命令が、ツールパスセグメントに対する公称供給速度と前記ツールパスセグメントの空間ツールパスデータとを指定する、コンピュータ可読ツールパス命令を取得することと、
訓練された機械学習システムであって、前記訓練された機械学習システムが、訓練空間ツールパスデータと、訓練閉ループ利得データと、訓練供給速度データとを含む訓練データを使用して訓練されている、訓練された機械学習システムに前記空間ツールパスデータを含む入力を提供することと、
前記ツールパスセグメントに対する前記公称供給速度とは異なる前記ツールパスセグメントに対する修正された供給速度であって、前記修正された供給速度が、前記訓練された機械学習システムから出力される、修正された供給速度を取得することと、
修正されたコンピュータ可読ツールパス命令を提供することと、を含み、修正された機械学習ツールパス命令が、前記修正された供給速度を含む、方法。
【請求項2】
前記修正されたコンピュータ可読ツールパス命令を使用して前記部品を印刷することを更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記入力が、所定の閉ループ利得値を更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記訓練データが、前記部品に固有のデータを含み、前記方法が、前記訓練データを使用して、前記訓練された機械学習システムを訓練することを更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記ツールパス命令が、前記ツールパスセグメントを含む前記部品の異方性領域を指定する、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記異方性領域が、オーバーハング、外周、又は薄い特徴のうちの少なくとも1つを含む、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記ツールパスセグメントに対する前記空間ツールパスデータが、前記部品のエッジからの距離、前記部品のコーナーからの距離、又は前記ツールパスセグメントの丸め半径のうちの少なくとも1つを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記訓練データが、訓練オーバーハング角度データを更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記訓練供給速度データが、誘導された供給速度の変動を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記誘導された供給速度の変動が、特徴のエッジに沿った周期的な誘導された供給速度の変動を含む、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
部品を三次元印刷するための供給速度を提供するためのシステムであって、前記システムが、電子プロセッサと、非一時的コンピュータ可読命令を記憶する永続性メモリと、を備え、前記非一時的コンピュータ可読命令が、前記電子プロセッサによって実行されるときに、アクションを実行するように前記電子プロセッサを構成し、前記アクションが、
前記部品に対するコンピュータ可読ツールパス命令であって、前記ツールパス命令が、ツールパスセグメントに対する公称供給速度と前記ツールパスセグメントの空間ツールパスデータとを指定する、コンピュータ可読ツールパス命令を取得することと、
訓練された機械学習システムであって、前記訓練された機械学習システムが、訓練空間ツールパスデータと、訓練閉ループ利得データと、訓練供給速度データとを含む訓練データを使用して訓練されている、訓練された機械学習システムに前記空間ツールパスデータを含む入力を提供することと、
前記ツールパスセグメントに対する前記公称供給速度とは異なる前記ツールパスセグメントに対する修正された供給速度であって、前記修正された供給速度が、前記訓練された機械学習システムから出力される、修正された供給速度を取得することと、
修正されたコンピュータ可読ツールパス命令を提供することと、を含み、修正された機械学習ツールパス命令が、前記修正された供給速度を含む、システム。
【請求項12】
前記アクションが、前記修正されたコンピュータ可読ツールパス命令を使用して前記部品を印刷することを更に含む、請求項11に記載のシステム。
【請求項13】
前記入力が、所定の閉ループ利得値を更に含む、請求項11に記載のシステム。
【請求項14】
前記訓練データが、前記部品に固有のデータを含み、前記アクションが、前記訓練データを使用して、前記訓練された機械学習システムを訓練することを更に含む、請求項11に記載のシステム。
【請求項15】
前記ツールパス命令が、前記ツールパスセグメントを含む前記部品の異方性領域を指定する、請求項11に記載のシステム。
【請求項16】
前記異方性領域が、オーバーハング、外周、又は薄い特徴のうちの少なくとも1つを含む、請求項15に記載のシステム。
【請求項17】
前記ツールパスセグメントに対する前記空間ツールパスデータが、前記部品のエッジからの距離、前記部品のコーナーからの距離、又は前記ツールパスセグメントの丸め半径のうちの少なくとも1つを含む、請求項11に記載のシステム。
【請求項18】
前記訓練データが、訓練オーバーハング角度データを更に含む、請求項11に記載のシステム。
【請求項19】
前記訓練供給速度データが、誘導された供給速度の変動を含む、請求項11に記載のシステム。
【請求項20】
前記誘導された供給速度の変動が、特徴のエッジに沿った周期的な誘導された供給速度の変動を含む、請求項19に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、概して、三次元(three-dimensional、3D)印刷に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、物体の3D印刷は、各層が、例えば地球の水平面を表すXY平面に平行であるように配向されたデカルト座標系に従って層状に進行することができ、追加の層が、例えば重力に対して上下を表すZ軸方向に物体を拡張するように追加される。各層に対する印刷材料の堆積は、ツールパス、すなわち、堆積ノズルの定義された経路に従って提供され得る。ツールパスは、GCodeファイルなどのコンピュータ可読ツールパス命令によって指定され得る。追加の層を追加して、Z軸方向に物体を造形することができる。
【0003】
更に、3D印刷は、機械加工、鋳造、又は射出成形などの従来の方法を使用して別様に作製することができなかった複雑な3D設計を製造するために使用されてもよい。この能力は、前述の層状印刷プロセスによって可能になる。この手法では、窪んだ幾何学的形状、中空特徴、空間制約又は到達可能性のために従来のツールでは機械加工することができない微細特徴などの複雑な特徴が複数の層に分割され、物体全体がこのようにして完成するまで、かなり単純な2D層が重ねて印刷される。この単純な手法にもかかわらず、各3D印刷プロセスは、その動作原理又は構成のために、対処するべきそれ自体の課題を有する。そのような共通の課題の1つは、オーバーハングの形態で現れる。オーバーハングは、下にある支持構造によって支持されていない3D印刷部品の特徴である。層ごとの印刷手法は、部品内の傾斜の1つ以上の下側を生成することができ、各後続の層は、先行する層をわずかに超えて突出しなければならない。初期印刷材料は、固化前に依然として流動可能な液体状態にあるので、重力及び他の要因、例えば、オーバーハングの角度及び傾斜は、垂下り若しくは弛み、カール、又は所望の形状の印刷の完全な禁止をもたらす可能性がある。
【0004】
層内の大きな均質エリアの場合、指定された層厚を生成するための印刷材料の供給速度、すなわち印刷ノズルを通って流れる印刷材料の速度(例えば、押出速度、流量、滴下速度など)は、容易に計算することができる。しかしながら、これは一般に、外周、薄い特徴、及びオーバーハングを含み得る異方性領域の特徴には当てはまらない。これは、そのようなエッジタイプ領域における3Dプリンタシステムの応答が、流れ、温度、及び他の変数の関数であるためである。適切な供給速度を計算する最も直接的な方法は、いくつかの異なる供給速度で特徴タイプを印刷し、部品品質を測定する測定基準又は視覚的評価を有することである。これは、複数の部品タイプに対して面倒で時間がかかる可能性がある。
【発明の概要】
【0005】
様々な実施形態によれば、部品を三次元印刷するための供給速度を提供する方法が提示される。方法は、部品に対するコンピュータ可読ツールパス命令であって、ツールパス命令が、ツールパスセグメントに対する公称供給速度とツールパスセグメントの空間ツールパスデータとを指定する、コンピュータ可読ツールパス命令を取得することと、訓練された機械学習システムであって、訓練された機械学習システムが、訓練空間ツールパスデータと、訓練閉ループ利得データと、訓練供給速度データとを含む訓練データを使用して訓練されている、訓練された機械学習システムに空間ツールパスデータを含む入力を提供することと、ツールパスセグメントに対する公称供給速度とは異なるツールパスセグメントに対する修正された供給速度であって、修正された供給速度が、訓練された機械学習システムから出力される、修正された供給速度を取得することと、修正されたコンピュータ可読ツールパス命令を提供することと、を含み、修正された機械学習ツールパス命令は、修正された供給速度を含む。
【0006】
上記実施形態の様々な任意選択の特徴は、以下を含む。方法は、修正されたコンピュータ可読ツールパス命令を使用して部品を印刷することを更に含んでもよい。入力が、所定の閉ループ利得値を更に含んでもよい。訓練データが、部品に固有のデータを含んでもよく、方法は、訓練データを使用して、訓練された機械学習システムを訓練することを更に含んでもよい。ツールパス命令が、ツールパスセグメントを含む部品の異方性領域を指定してもよい。異方性領域が、オーバーハング、外周、又は薄い特徴のうちの少なくとも1つを含んでもよい。ツールパスセグメントに対する空間ツールパスデータが、部品のエッジからの距離、部品のコーナーからの距離、又はツールパスセグメントの丸め半径のうちの少なくとも1つを含んでもよい。訓練データが、訓練オーバーハング角度データを更に含んでもよい。訓練供給速度データが、誘導された供給速度の変動を含んでもよい。誘導された供給速度の変動が、特徴のエッジに沿った周期的な誘導された供給速度の変動を含んでもよい。
【0007】
様々な実施形態によれば、部品を三次元印刷するための供給速度を提供するためのシステムが提示される。システムは、電子プロセッサと、非一時的コンピュータ可読命令を記憶する永続メモリと、を含み、非一時的コンピュータ可読命令は、電子プロセッサによって実行されるときに、アクションを実行するように電子プロセッサを構成し、アクションは、部品に対するコンピュータ可読ツールパス命令であって、ツールパス命令が、ツールパスセグメントに対する公称供給速度とツールパスセグメントの空間ツールパスデータとを指定する、コンピュータ可読ツールパス命令を取得することと、訓練された機械学習システムであって、訓練された機械学習システムが、訓練空間ツールパスデータと、訓練閉ループ利得データと、訓練供給速度データとを含む訓練データを使用して訓練されている、訓練された機械学習システムに空間ツールパスデータを含む入力を提供することと、ツールパスセグメントに対する公称供給速度とは異なるツールパスセグメントに対する修正された供給速度であって、修正された供給速度が、訓練された機械学習システムから出力される、修正された供給速度を取得することと、修正されたコンピュータ可読ツールパス命令を提供することと、を含み、修正された機械学習ツールパス命令は、修正された供給速度を含む。
【0008】
上記実施形態の様々な任意選択の特徴は、以下を含む。アクションは、修正されたコンピュータ可読ツールパス命令を使用して部品を印刷することを更に含んでもよい。入力が、所定の閉ループ利得値を更に含んでもよい。訓練データが、部品に固有のデータを含んでもよく、アクションは、訓練データを使用して、訓練された機械学習システムを訓練することを更に含んでもよい。ツールパス命令が、ツールパスセグメントを含む部品の異方性領域を指定してもよい。異方性領域が、オーバーハング、外周、又は薄い特徴のうちの少なくとも1つを含んでもよい。ツールパスセグメントに対する空間ツールパスデータが、部品のエッジからの距離、部品のコーナーからの距離、又はツールパスセグメントの丸め半径のうちの少なくとも1つを含んでもよい。訓練データが、訓練オーバーハング角度データを更に含んでもよい。訓練供給速度データが、誘導された供給速度の変動を含んでもよい。誘導された供給速度の変動が、特徴のエッジに沿った周期的な誘導された供給速度の変動を含んでもよい。
【0009】
上述の要素及び明細書内の要素の組み合わせ(複数の従属的な組み合わせを含む)は、本発明者らによって企図されており、別段の指示がある場合又は矛盾する場合を除いて、行われてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0010】
添付の図面に関連して考慮すると、実施例の以下の詳細な説明を参照してよりよく理解されるようになるので、実施例の様々な特徴をより十分に理解することができる。
【0011】
【
図1】様々な実施形態による、3Dプリンタの概略側断面図を示す。
【
図2】様々な実施形態による、部品オーバーハング特徴を示す。
【
図3】様々な実施形態による、誘導された供給速度の変動マップを示す。
【
図4】様々な実施形態による、50°オーバーハングに対するエッジ及びコーナー距離の両方の関数としての閉ループ利得を示すチャートである。
【
図5A】3つの異なるオーバーハング角度に対するエッジ距離の関数として閉ループ利得を示すチャートである。
【
図5B】3つの異なるオーバーハング角度に対するエッジ距離の関数として閉ループ利得を示すチャートである。
【
図6】部品を三次元印刷するための供給速度を提供するための機械学習システムを訓練する方法のためのフローチャートである。
【
図7】部品を三次元印刷するための供給速度を提供する方法のためのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
ここで、添付の図面に示される例示的な実装形態を詳細に参照する。便宜上、同一又は同様の部品を指すために、図面全体を通して同じ参照番号が使用される。以下の説明では、その一部を形成し、本発明を実施し得る特定の例示的な実施例を例示として示す添付の図面を参照する。これらの実施例は、当業者が本発明を実施することを可能にするために十分に詳細に記載されており、他の実施例が利用されてもよく、本発明の範囲から逸脱することなく変更が行われてもよいことが理解されるべきである。したがって、以下の説明は、単なる例示に過ぎない。
【0013】
3D印刷では、層の大きな均一なセクションに使用される公称供給速度設定とは異なる供給速度設定を必要とする特別な特徴タイプがある。これらの特徴のほとんどは、薄い特徴、オーバーハング、外周などのうちの少なくとも1つの寸法において急速に局所的に変動する。例えば、薄い特徴は、Z軸の方向において公称層厚さよりも薄くてもよい。これらの特徴タイプの適切な供給速度を判定することは困難である。なぜなら、これらの供給速度は、特徴タイプに基づいて著しく変動する可能性があるためである。現在、特徴は様々な供給速度で複数回(例えば、20回)印刷され、印刷品質を最適化する供給速度が、測定基準又は視覚的評価のいずれかを使用して選択される。
【0014】
様々な実施形態は、いくつかの3D印刷プロセスの閉ループを使用して、所与の特徴タイプとともに使用するための適切な供給速度を判定する。いくつかの実施形態によれば、3D印刷の特別な特徴タイプのための適切な供給速度を判定するために、機械学習が閉ループシステムコンテキスト内で用いられる。いくつかの実施形態によれば、閉ループZ軸高さ補正システムの応答が捕捉された状態で、特徴のエッジに沿って複数の誘導された供給速度を使用して所与の特徴が印刷される。いくつかの実施形態によれば、特徴のエッジ及び/又はコーナーまでの距離は、閉ループ応答とともに、使用される開ループ供給速度を予測するニューラルネットワークを訓練するために使用される。いくつかの実施形態によれば、ニューラルネットワークが訓練されると、適切な供給速度が、開ループ応答を修正しない閉ループシステムに対応する供給速度として選択される。
【0015】
したがって、いくつかの実施形態は、特徴の複数のインスタンスを印刷する必要なく、かつ目視検査又は外部ネットワークを適用する必要なく、3D印刷における特別な特徴のための適切な供給速度を自動的に判定する。
【0016】
これら及び他の特徴及び利点は、図を参照して本明細書に示され説明される。
【0017】
図1は、様々な実施形態による、3Dプリンタ100の概略側断面図を示す。3Dプリンタ100は、磁気流体力学(magnetohydrodynamic、MHD)プリンタ、圧電駆動プリンタなどであってもよく、又はそれらを含んでもよい。3Dプリンタ100は、エジェクタ(ポンプとも称される)110を含んでもよい。本明細書で使用される場合、エジェクタ110は、造形材料120をエジェクタ110のノズル114から吐出させるように選択的に作動させることができる構造体を指す。
【0018】
エジェクタ110は、1つ以上のリザーバ112を画定してもよい。1つのエジェクタリザーバ112が、
図1に示されている。別の実施形態では、エジェクタ110は、少なくとも第1の(例えば、上部)リザーバ及び第2の(例えば、下部)リザーバを含む2つ以上のリザーバを含んでもよい。この実施形態では、上部リザーバを画定するエジェクタ110の部分は、セラミック材料であるか、又はそれを含んでもよく、下部リザーバを画定するエジェクタ110の部分は、グラファイト材料であるか、又はそれを含んでもよい。
【0019】
エジェクタリザーバ112は、ノズル114から吐出される造形材料120を受け入れる及び/又は貯蔵するように構成されている。造形材料120は、金属、ポリマー、セラミックなどであってもよく、又はそれらを含んでもよい。一実施形態では、造形材料120は、約50%を超える金属、60%を超える金属、70%を超える金属、80%を超える金属、90%を超える金属、又は約100%の金属(例えば、体積及び/又は質量による)であってもよい。例えば、造形材料120は、アルミニウムワイヤのスプール(例えば、6061アルミニウム)であってもよく、又はそれを含んでもよい。別の実施形態では、造形材料120は、銅又は他の金属であってもよく、又はそれを含んでもよい。
【0020】
3Dプリンタ100はまた、1つ以上の加熱要素130を含み得る。加熱要素130は、エジェクタリザーバ112内の造形材料120を溶融し、それによってエジェクタリザーバ112内で造形材料120を固体状態から液体(例えば、溶融)状態に変換するように構成されてもよい。
【0021】
3Dプリンタ100はまた、電源132及び1つ以上の金属コイル134を含み得る。金属コイル134は、エジェクタ110及び/又は加熱要素130の周囲に少なくとも部分的に巻き付けられている。電源132は、コイル134に結合され、それに電力を提供するように構成され得る。一実施形態では、電源132は、ステップ関数の直流(direct current、DC)電圧プロファイル(例えば、電圧パルス又はジェットパルス)をコイル134に提供するように構成されてもよく、これは、増加する磁場を作り出し得る。増加する磁場は、エジェクタ110内に起電力を生じさせ得て、これは、ひいては液体造形材料120内に誘導電流を生じさせる。液体造形材料120内の磁場及び誘導電流は、ローレンツ力として知られる半径方向内向きの力を液体造形材料120に作り出し得る。ローレンツ力は、エジェクタ110のノズル114の入口に圧力を作り出する。圧力は、ノズル114を通って液体造形材料120を噴射させ、及び/又はノズルから1つ以上の滴122の形態で吐出させる。
【0022】
3Dプリンタ100は、ノズル114の下方に位置付けられた造形プレート(基材とも称される)140を含んでもよい。滴122は、ノズル114を通して吐出され、その後、造形プレート140上に着地してもよく、そこで冷却及び固化して、第1の(例えば、底部)層を形成してもよい。追加の滴122が噴射されて、最終的に所望の3D部品124を生成する重なり合う層を形成し得る。
【0023】
3Dプリンタ100はまた、滴122がノズル114を通して吐出されている間、又は滴122がノズル114を通して吐出されている間の一時停止中に造形プレート140を移動させて、3D部品が所望の形状及び大きさを有するように構成された1つ以上の基材制御モータを含んでもよい。基材制御モータは、基材を一次元(例えば、X軸に沿って)、二次元(例えば、X軸及びY軸に沿って)、又は三次元(例えば、X軸、Y軸、及びZ軸に沿って)で移動するように構成されてもよい。いくつかの実施形態によれば、ノズル114もまた、あるいはその代わりに、一次元、二次元、又は三次元で移動するように構成されてもよい。換言すれば、造形プレート140は、静止ノズル114の下で移動されてもよく、又はノズル114は、静止している造形プレート140の上方で移動されてもよい。いくつかの実施形態では、例えば4つ又は5つの軸位置制御があるように、ノズル114と造形プレート140との間に、1つ又は2つの軸を中心とした相対回転があってもよい。いくつかの実施形態では、ノズル114及び造形プレート140の両方が移動してもよい。例えば、造形プレート140は、X及びY方向に移動し得、一方、ノズル114は、Z方向において上方及び/又は下方に移動し得る。
【0024】
3Dプリンタ100は、閉ループZ軸高さ補正システム150を含んでもよく、これは、堆積の高さを監視し、それに応じて供給速度を補正する。様々な実施形態によれば、閉ループZ軸高さ補正システム150は、ノズル114、滴122、3D部品124、又はこれらの組み合わせの供給(例えば、ビデオ及び/又は画像)を捕捉するように構成されたカメラ又は(例えば、レーザ)スキャナを含んでもよい。様々な実施形態によれば、カメラは、滴が堆積されるときに部品の画像を捕捉し、これを分析して、所与の層における堆積高さが仕様内にあるかどうかを判定してもよい。別の例では、カメラは、落下中の滴122の供給を捕捉するように構成されてもよい。より詳細には、供給は、滴122がノズル122から吐出された後、かつ造形プレート140上に着地する前の滴122を示し得る。滴122のサイズ、形状、質量、及び/又は方向は、供給に基づいて判定されてもよい。
【0025】
閉ループZ軸高さ補正システム150は、部品が印刷されているときに、監視された堆積高さに基づいて供給速度を補正することができるが、そのような補正は、印刷された部品に誤差を残す。複数のそのような誤差が発生し、蓄積する可能性があり、結果として生じる部品は、仕様から外れ、使用不能になる可能性がある。
【0026】
3Dプリンタ100はまた、コンピューティングシステム160を含んでもよい。本明細書で説明されるように、コンピューティングシステム160は、例えば、
図6及び
図7を参照して本明細書で説明される方法の少なくとも一部分を実行してもよい。
【0027】
図2は、様々な実施形態による部品オーバーハング特徴200を示す。印刷されると、オーバーハング特徴100の各後続層は、前の層を越えてわずかに突出する。そのような突出は、例えば、内部堆積のために典型的に使用される公称供給速度が特徴のエッジのために使用される場合、温度の変動とともに、印刷誤差を生成する可能性がある。更に、閉ループZ軸高さ補正システムは供給速度を補正することができるが、それでも各補正は望ましくないアーティファクトを残すことがある。このようなアーティファクトは不都合なことに発生し、望ましくない部分をもたらすことがある。
【0028】
いくつかの実施形態によれば、機械学習システムを訓練してオーバーハングなどの特徴に対する適切な供給速度を判定するために、複数の供給速度が、単一の印刷インスタンスにおける各特徴において試験される。例えば、供給速度は、(例えば、供給速度が公称供給速度に従って設定され、閉ループZ高さ補正システムによって印刷中にリアルタイムで調整されるのではなく)位置の関数として、オーバーハング特徴200の層のエッジに沿ってなど、特徴のエッジに沿って変動してもよい。オーバーハング特徴200の各正方形層が印刷される際、例えば、
図3を参照して示され説明されるように、全ての点における供給速度変動が引き起こされ得る。本明細書で詳細に説明される様々な実施形態によれば、供給速度変動及び閉ループシステムの応答の両方を記録し、機械学習システムを訓練するために使用することができる。
【0029】
図3は、様々な実施形態による誘導された供給速度の変動マップ300を示す。例えば、誘導された供給速度の変動マップ300の所与の(X,Y)場所における値が1.1である場合、その場所に対する誘導された供給速度は公称供給速度の1.1倍であり、より多くの材料が局所エリアで使用される。別の場所での誘導された供給速度が0.9である場合、その場所に対する誘導された供給速度は公称供給速度の0.9倍であり、その場所周辺の平均と比較してより少ない材料が堆積される。したがって、誘導された供給速度は、誘導された供給速度の変動マップ300に従って場所によって変動し、全てのエッジに沿って、利得マップの誘導された摂動/変動に起因する単純なオーバーハングに使用される複数の供給速度があることになる。複数の供給速度は、例えば、周期的なパターンに従って誘導されてもよい。誘導された供給速度の変動マップ300に示されるように、エッジに沿った誘導された供給速度の変動は正弦波であり、例えば0.8~1.2まで変動する。
【0030】
誘導された供給速度の変動マップ300は、オーバーハング特徴100などの試験部品を印刷するために使用され、誘導された速度変動マップ300の値及び閉ループZ軸高さ補正システムの応答が記録され、機械学習システムを訓練するために使用される。より詳細には、変動する供給速度を使用して試験部品が印刷される際に、閉ループ利得の値が記録される。概して、閉ループ利得は、供給速度を調整するための閉ループZ軸高さ補正システムによって出力される。したがって、閉ループ利得値は、印刷プロセス中に供給速度を調整するための乗数として使用されてもよい。誘導された供給速度が低いエリアでは、閉ループ応答は、大きな利得(例えば、より多くの材料を指令するために1.0より大きい)を有することによって補償すべきである。同様に、誘導された供給速度が高いエリアでは、閉ループ応答は、小さい利得(例えば、より少ない材料を指令するために1.0未満)を選択することによって補償すべきである。誘導された供給速度が正しい場合、閉ループ応答は供給速度を修正する必要がなく、供給速度利得は、1.0である。いくつかの実施形態によれば、機械学習システムは、そのような供給速度利得をもたらす供給速度を出力するように訓練される。
【0031】
図4は、様々な実施形態による、50°オーバーハングに対するエッジ及びコーナー距離の両方の関数として閉ループ利得を示すチャート400である。より具体的には、チャート400は、閉ループZ軸方向高さ補正システムによって出力される閉ループ利得値を、50°のオーバーハングに対するエッジまでの距離及びコーナーまでの距離の両方の関数として示す。閉ループ利得値は、例えば、供給速度乗数値として使用されてもよい。チャート400の単位はミリメートルである。チャート400が示すように、供給速度量は、場所がコーナーに近くない限り、エッジから所与の距離で比較的一定である。以下のグラフは、境界402の内側でのみ測定される。チャート400の左下の三角形の境界402は、エッジまでの距離が90°に対するコーナーまでの距離よりも決して大きくないので、データを有していない。チャート400の右側の三日月形状の境界402は、印刷された部分が12mm幅しかなかったので、データを有していない。
【0032】
いくつかの実施形態は、機械学習システムを訓練して、様々なオーバーハング角度のいずれかを有するオーバーハングを印刷するための適切な供給速度を判定する。いくつかの実施形態によれば、機械学習システムは、
図5A及び
図5Bを参照してここで示され説明されるようなオーバーハング角度データとともに、
図4を参照して示され説明されるような訓練データとして、誘導された供給速度及び閉ループ利得を使用して訓練される。
【0033】
図5A及び
図5Bは、3つの異なるオーバーハング角度に対するエッジ距離の関数としての閉ループ利得を示すチャート502、504、506を示す。特に、チャート502、504、506は、閉ループZ軸高さ補正システムによって生成された閉ループ利得供給速度乗数を、3つの異なるオーバーハング角度に対するエッジまでの距離(ただし、コーナーから少なくとも2mm離れている)だけの関数として示す。チャート502は、40°のオーバーハング角度についてのものであり、チャート504は、45°のオーバーハング角度についてのものであり、チャート506は、50°のオーバーハング角度についてのものである。チャート502、504、506に表される測定値の範囲は、他のノイズ及びフィッティング誤差とともに、滴サイズ、温度、及びエッジまでの距離の局所的変動に起因するが、一実施形態では、機械学習システムは、示されるような散布図ではなく、各オーバーハング角度についての代表的な曲線を予測するために、そのようなデータを使用して訓練されてもよい。そのような曲線は、
図5A及び
図5Bによって表されるような三次元表面の二次元スライス又は投影と見なされてもよい。例えば、チャート502に示されるデータに従って訓練した後、40°のオーバーハング角度に対して、訓練された機械学習システムは、エッジに対する公称供給速度に、0のエッジまでの距離における訓練データの平均である約75%を掛けてもよい。
【0034】
様々なオーバーハング角度についての訓練データで訓練されると、訓練された機械学習システムは、訓練データに存在しない角度を有するオーバーハング特徴についての供給速度乗数を予測してもよい。例えば、角度40°、45°、及び50°にそれぞれ対応するチャート502、504、及び506のデータを使用して訓練される場合、訓練された機械学習システムは、非限定的な例として、42°、46.5°、48°などの角度を有するオーバーハング特徴に対する閉ループZ軸方向高さ補正利得値を予測してもよい。
【0035】
様々な実施形態によれば、機械学習システムは、特徴に関する空間ツールパスデータに従って様々な特徴の供給速度を出力することができるように、訓練データを使用して訓練される。
図6は、様々な実施形態による機械学習システムを訓練する方法を例示する。
【0036】
図6は、部品を三次元印刷するための供給速度を提供するための機械学習システムを訓練する方法600のフローチャートである。いくつかの実施形態によれば、非限定的な例として、機械学習システムは、コンピュータ実装ニューラルネットワークを含んでもよい。他の実施形態は、非限定的な例として、ガウス回帰器、又は連続関数を学習することができる任意の他のネットワーク若しくは機械学習システムを利用してもよい。ニューラルネットワークの実施形態では、ニューラルネットワークは、入力層と、2つの隠れノードと、線形出力層と、を含んでもよい。ニューラルネットワークは、空間ツールパスデータ及び閉ループ利得データなどの入力データを受け入れ、供給速度データなどの出力データを提供するように構成されてもよい。概して、ニューラルネットワークは、訓練入力データ(例えば、訓練空間ツールパスデータ、訓練閉ループ利得データ)と訓練出力データ(例えば、訓練供給速度データ)とを含む訓練データで訓練されてもよい。訓練されると、ニューラルネットワークは、空間ツールパスデータ及び1の閉ループ利得値を含む入力を受け入れ、対応する供給速度を出力してもよく、空間ツールパスデータを有する特徴が出力供給速度で印刷される場合、閉ループZ軸高さ補正システムは1の利得を出力し、供給速度は、Z軸高さを調整するために変更されない。
【0037】
602で、方法600は、訓練データを取得する。訓練データは、様々な実施形態によれば、非限定的な例として、
図3、
図4、及び/又は
図5を参照して本明細書で示され説明されるような技法を使用して直接的に、及び/又は電子ストレージからの取り出しによって間接的に取得されてもよい。
【0038】
訓練データは、部品のエッジからの距離、部品のコーナーまでの距離、及び/又はコーナーの丸め半径のいずれか又は任意の組み合わせなどの訓練空間ツールパスデータを含んでもよい。訓練データは、訓練閉ループ利得データを含んでもよい。訓練データは、訓練供給速度データを含んでもよい。閉ループ補正は、いくつかの閉ループZ軸高さ補正システムに従って100μmグリッド上で計算されるため、(例えば、
図3、
図4、及び
図5を参照して示され説明されるような)各印刷層に対して、訓練データに対して生成される数百の点(例えば、対応するツールパス空間データ、閉ループ利得データ、及び供給速度データのセット)があってもよいことに留意する。
【0039】
いくつかの実施形態では、訓練供給速度データ、訓練閉ループ利得データ、及び訓練空間ツールパスデータで十分であってもよい。他の実施形態では、前述のいずれか又は組み合わせが、1つ以上の追加の特定の特徴タイプのデータとともに含められてもよい。例えば、オーバーハング特徴に対して、
図4を参照して示され説明されたような訓練オーバーハング角度データが含まれてもよい。すなわち、様々な角度のオーバーハングが印刷されてもよく、取得されたデータを使用して、訓練においてオーバーハング角度の追加入力を使用することによってオーバーハングのクラスを訓練する。角度に対する供給速度応答が比較的滑らか/連続的である限り、訓練されたネットワークは、訓練において直接使用されない角度を予測してもよい。これは、従来技術の直接印刷評価技法と比較して大きな利点である。
【0040】
いくつかの実施形態によれば、訓練供給速度データ、訓練閉ループ利得データ、訓練空間ツールパスデータ、及び/又は訓練オーバーハング角度データのいずれか又は組み合わせが、訓練滴サイズデータ(例えば、ドロップオンデマンド三次元印刷のための)とともに含まれてもよい。概して、追加の機能強化として、測定された滴サイズが訓練データに含められてもよい。これにより、滴サイズが変動する場合であっても、データ訓練をより正確にすることができ、これはラン間で行われることが多い。(ニューラルネットワークを訓練するために滴サイズを使用する代替として、
図2を参照して本明細書に示され説明されるような利得マップは、公称滴サイズに対する実際の滴サイズの比によってそれをスケーリングすることによって修正され得る。これは、利得マップを単位長さ当たりの滴カウントから単位長さ当たりの滴質量可変滴サイズに変換し、二次元関数に対する単一乗数である。追加の訓練データ(又は利得マップの代替更新)として滴サイズを使用することは、実際の供給速度と、実施化におけるニューラルネットワークの予測出力との相関を改善した。
【0041】
(例えば、オーバーハング角度及び/又は滴サイズなど、特徴タイプのクラスのためのパラメータを使用して)入力の数を拡張するときに、追加のパラメータとともに生じる変動を処理することができるように、ニューラルネットワーク中の隠れノードの数を増加させることも有益であってもよい。訓練に使用される点の数がニューラルネットワークトポロジの接続の数よりもはるかに大きい場合、オーバフィッティングは生じないはずである。オーバーハング角度データを訓練する場合、隠れノードの数は、非限定的な例として、3であってもよい。
【0042】
604で、方法600は、602で取得された訓練データを使用して機械学習システムを訓練する。訓練は、例えば、ニューラルネットワークを訓練するための反復プロセスを含んでもよい。
【0043】
訓練されると、機械学習システムは、その一部又は一部分に対応する空間ツールパスデータなどの入力データ、並びに1などの利得値を受け入れ、対応する供給速度を出力してもよい。部品(又はその一部分)が出力供給速度で印刷されるときに、Z軸高さは、それが訓練された訓練データのために調整される必要がない。例えば、層の、例えば、エッジから離れた内部では、内部に対して選択された公称非摂動供給速度が概して正確であるため、閉ループ利得値は、概して、誘導された供給速度の変動の逆数であり、したがって、利得は、誘導された変動を単に「元に戻す」必要がある。
【0044】
実施化によれば、100,000を超える点を使用する訓練結果は、三次元プリンタの実際の瞬間供給速度と訓練された機械学習システムによって提供される推定値との間の相関が、オーバーハングに対して約80%であったことを示す。すなわち、実施化のニューラルネットワークは、供給速度の変動の約80%を予測することができた。部分にわたって訓練しない場合(例えば、単一のオーバーハング角度に対して)、相関は更に良好であってもよい。これにより、固有の特徴に必要な供給速度を判定する効率的な方法が可能になる。
【0045】
図7は、部品を三次元印刷するための供給速度を提供する方法700のフローチャートである。方法700は、
図6を参照して示され説明された方法600の実装に続いて実装されてもよく、方法600に従って訓練されたコンピュータ実装ニューラルネットワークを利用してもよい。
【0046】
702で、方法700は、部品に対するコンピュータ可読ツールパス命令を取得することを含む。コンピュータ可読命令は、非限定的な例として、GCodeファイルに含められてもよい。ツールパス命令は、ツールパスをたどり、ツールパスの一部又は全部に沿って材料を押し出すか又は他の方法で堆積させて、部品を製造するための1つ以上の層を製造するようにツールに指示してもよい。ツールパス命令は、ツールパスセグメント(例えば、より長いツールパスの局所部分)の公称供給速度、及びツールパスセグメントの空間ツールパスデータを指定してもよい。
【0047】
704で、方法700は、空間ツールパスデータを含む入力を訓練された機械学習システムに提供することを含む。訓練された機械学習システムは、例えば、
図6を参照して本明細書に示され説明されるように生成されてもよい。訓練された機械学習システムは、例えば、
図5A及び
図5Bを参照して本明細書に説明されるように、訓練空間ツールパスデータ、訓練閉ループ利得データ、及び訓練供給速度データなどの訓練データを使用して訓練されてもよい。
【0048】
706で、方法700は、704の入力に応答して、訓練された機械学習システムから出力されたツールパスセグメントに対する修正された供給速度を取得することを含む。修正された供給速度は、ツールパスセグメントの公称供給速度と同じであっても異なっていてもよい。
【0049】
708で、方法700は、修正されたコンピュータ可読ツールパス命令を提供することを含む。修正されたコンピュータ可読ツールパス命令は、ツールパスセグメントに対する修正された供給速度を含んでもよく、例えば、ツールパスセグメントの全部又は一部に対する公称供給速度を置き換える。修正されたコンピュータ可読ツールパス命令は、非限定的な例として、GCodeの形態であってもよい。命令は、例えば、永続性電子メモリに記憶するために、又はネットワークを介して、三次元プリンタに提供されてもよい。
【0050】
710で、方法700は、修正されたコンピュータ可読ツールパス命令を使用して部品を印刷することを含む。部品は、様々な三次元プリンタのいずれかを使用して、様々な材料のいずれかで印刷されてもよい。
【0051】
多くの変形及び代替的な実施形態が、本開示の範囲内に入る。例えば、いくつかの実施形態は、本明細書に開示される技法を使用して、より少ない誤差で印刷された層の上に層を印刷するように機械学習システムを訓練してもよい。例えば、初期層は、初期層を印刷することによって取得される訓練データを使用して印刷するように訓練された機械学習システムによって提供される閉ループZ軸高さ補正利得値を使用して印刷されてもよく、後続層は、そのような第1の層の上に層を印刷することによって取得される訓練データを使用して印刷するように訓練された機械学習システムによって提供される閉ループZ軸高さ補正利得値を使用して印刷されてもよい。そのような実施形態は、本明細書に開示される技法を使用して印刷された初期層が、本明細書に開示される技法を使用せずに印刷された初期層よりも正確であるという事実を説明してもよい。したがって、そのようなより正確な初期層の上に印刷するように訓練された、訓練された機械学習システムを使用して、後続層が印刷されてもよい。したがって、いくつかの実施形態は、以前の反復に従って訓練された機械学習システムを使用して印刷された以前の層の上に印刷するように更に反復的に訓練されてもよい。
【0052】
いくつかの実施形態は、リアルタイム閉ループZ軸高さ補正とともに使用され得ることに留意する。しかしながら、そのような実施形態は、閉ループZ軸高さ補正が本明細書に開示される機械学習実施形態なしで使用された場合よりも少ない閉ループZ軸高さ補正を利用することが予想される。
【0053】
いくつかの実施形態は、事前訓練された機械学習システムを提供してもよく、事前訓練された機械学習システムは、特定の三次元プリンタ又は三次元プリンタのクラスから取得された訓練データを使用して、第1の特徴又は特徴のセットについて事前訓練されている。いくつかの実施形態は、同じ三次元プリンタ若しくは三次元プリンタのクラスから、又は異なる三次元プリンタ若しくは三次元プリンタのクラスから取得された訓練データを使用して、追加の特徴又は特徴のセットについて追加的に訓練されてもよい。
【0054】
特定の実施例は、コンピュータプログラム又はプログラムのセットを使用して実施することができる。コンピュータプログラムは、アクティブ及び非アクティブの両方の様々な形態で存在することができる。例えば、コンピュータプログラムは、ソースコード、オブジェクトコード、実行可能コード又は他のフォーマットのプログラム命令からなるソフトウェアプログラム、ファームウェアプログラム、又はハードウェア記述言語(hardware description language、HDL)ファイルとして存在することができる。上記のいずれも、一時的又は非一時的コンピュータ可読媒体上で具現化することができ、この媒体は、圧縮又は非圧縮形態の記憶デバイス及び信号を含む。例示的なコンピュータ可読記憶デバイスは、従来のコンピュータシステムRAM(random access memory、ランダムアクセスメモリ)、ROM(read-only memory、読み出し専用メモリ)、EPROM(erasable,programmable ROM、消去可能プログラマブルROM)、EEPROM(electrically erasable,programmable ROM、電気的消去可能プログラマブルROM)、及び磁気、光ディスク又はテープを含む。
【0055】
本開示の態様は、本開示の実施形態による方法、装置(システム)、及びコンピュータプログラム製品のフローチャート図(例えば、
図6及び
図7)及び/又はブロック図を参照して本明細書に記載される。フローチャート図及び/又はブロック図の各ブロック、並びにフローチャート図及び/又はブロック図におけるブロックの組み合わせは、プロセッサによって実行されるコンピュータ可読プログラム命令を使用して実装され得ることが理解されるであろう。
【0056】
これらのコンピュータ可読プログラム命令は、コンピュータのプロセッサ又は他のプログラム可能なデータ処理装置を介して実行される命令が、フローチャート及び/又はブロック図のブロックで指定された機能/行為を実施するための手段を作り出すように、マシンを製造するための汎用コンピュータ、特殊目的コンピュータ、又は他のプログラム可能なデータ処理装置のプロセッサに提供されてもよい。これらのコンピュータ可読プログラム命令はまた、コンピュータ、プログラム可能なデータ処理装置、及び/又は他のデバイスを特定の方法で機能させるように指示することができるコンピュータ可読記憶媒体に記憶されていてもよく、その中に記憶された命令を有するコンピュータ可読記憶媒体は、フローチャート及び/又はブロック図のブロックで指定された機能/行為の側面を実施する命令を含む製造物品を構成する。
【0057】
実施形態では、コンピュータ可読プログラム命令は、アセンブラ命令、命令セットアーキテクチャ(instruction-set-architecture、ISA)命令、マシン命令、マシン依存命令、マイクロコード、ファームウェア命令、状態設定データ、集積回路のための構成データ又は、Smalltalk、C++などのオブジェクト指向プログラミング言語、及び「C」プログラミング言語又は類似のプログラミング言語などの手続き型プログラミング言語を含む1つ以上のプログラミング言語の任意の組み合わせで書かれたソースコード又はオブジェクトコードのいずれかであってもよい。コンピュータ可読プログラム命令は、スタンドアロンのソフトウェアパッケージとしてユーザのコンピュータ上で全体的に、ユーザのコンピュータ上で部分的に、ユーザのコンピュータ上で部分的に、リモートコンピュータ上で部分的に、又は、リモートコンピュータ又はサーバ上で全体的に実行されてもよい。
【0058】
本明細書で使用される場合、「A又はB」及び「A及び/又はB」という用語は、A、B、又は{A及びB}を包含することが意図される。更に、「A、B、又はC」並びに「A、B、及び/又はC」という用語は、単一の項目、項目の対、又は全ての項目、すなわち、A、B、C、{A及びB}、{A及びC}、{B及びC}、並びに{A、B及びC}の全てを包含することが意図される。本明細書で使用される場合、「又は」という用語は、「及び/又は」を意味する。
【0059】
本明細書で使用される場合、「X、Y、及びZのうちの少なくとも1つ」、「X、Y、又はZのうちの少なくとも1つ」、「X、Y、及びZのうちの少なくとも1つ以上」、「X、Y、又はZのうちの少なくとも1つ以上」、「X、Y、及び/又はZのうちの少なくとも1つ以上」、あるいは「X、Y、及び/又はZのうちの少なくとも1つ」などの言葉は、単一の項目(例えば、Xのみ、Yのみ、又はZのみ)並びに複数項目(例えば、{X及びY}、{X及びZ}、{Y及びZ}、あるいは{X、Y、及びZ})の両方を含むことが意図される。「のうちの少なくとも1つ」という句及び類似の句は、各可能な項目が存在してもよいが、各可能な項目が存在しなければならないという要件を伝えることを意図しない。
【0060】
本明細書で提示され、特許請求の範囲に記載される技法は、本技術分野を明らかに改善する実際的性質の材料オブジェクト及び具体例に参照され、適用され、したがって、抽象的、無形、又は純粋に理論的ではない。更に、本明細書の最後に添付される任意の請求項が、「[機能]を[実施する]ための手段」又は「[機能]を[実施する]ためのステップ」として示される1つ以上の要素を含む場合、そのような要素は、米国特許法第112条(f)の下で解釈されるべきであることが意図される。しかしながら、任意の他の方法で示される要素を含む任意の請求項に対して、そのような要素は米国特許法第112条(f)の下で解釈されるべきではないことが意図される。
【0061】
本発明は、その例示的な実施例を参照して記載されているが、当業者であれば、真の趣旨及び範囲から逸脱することなく、記載した実施例に様々な修正を加えることができるであろう。本明細書で使用される用語及び説明は、例示のみを目的として記載され、限定を意味するものではない。特に、本方法を例によって説明してきたが、本方法のステップは、図示されたものとは異なる順序で、又は同時に実施することができる。当業者であれば、以下の特許請求の範囲及びその均等物に定義される趣旨及び範囲内で、これら及び他の変形が可能であることを認識するであろう。
【外国語明細書】