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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024011464
(43)【公開日】2024-01-25
(54)【発明の名称】宅配ボックス
(51)【国際特許分類】
   A47G 29/28 20060101AFI20240118BHJP
【FI】
A47G29/28
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022113440
(22)【出願日】2022-07-14
(71)【出願人】
【識別番号】000000413
【氏名又は名称】永大産業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】伊能 大補
【テーマコード(参考)】
3K100
【Fターム(参考)】
3K100CC02
3K100CD03
(57)【要約】
【課題】宅配ボックスに占有されるスペースを抑制しつつ収容室のスペースを確保する宅配ボックスを提供する。
【解決手段】宅配ボックス100の第1収容室131は、第1状態および第2状態となり、第2状態は、第1状態よりも第1扉181が壁300に近づいている状態である。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
壁に貫通して設置される宅配ボックスであって、
第1扉と、
対象物が収容され、かつ前記第1扉側の第1収容室と、
前記壁において、前記第1扉と反対側の第2扉と、
対象物が収容され、かつ前記第2扉側の第2収容室とを備え、
前記第1収容室と前記第2収容室とは連続しており、
前記第2収容室は、前記壁に挿入されており、
前記第1収容室は、第1状態および第2状態となり、
前記第2状態は、前記第1状態よりも前記第1扉が前記壁に近づいている状態である、宅配ボックス。
【請求項2】
前記宅配ボックスは、前記第1収容室を構成する、天板、底板、および1組の側板をさらに備え、
前記天板および前記底板と、前記1組の側板とのうち少なくとも一方は、前記第2収容室の奥行方向の中央部において屈曲する屈曲部を有し、
前記第2状態は、前記屈曲部で屈曲している状態である、請求項1に記載の宅配ボックス。
【請求項3】
前記天板、前記底板、および前記1組の側板が前記屈曲部を有する、請求項2に記載の宅配ボックス。
【請求項4】
前記1組の側板が前記屈曲部を有し、
前記天板は、前記天板の一端を回動させる回動部を、前記天板の他端に有し、
前記底板は、前記底板の一端を回動させる回動部を、前記底板の他端に有し、
前記第2状態は、前記天板の一端が回動されており、かつ前記底板の一端が回動されている状態である、請求項2に記載の宅配ボックス。
【請求項5】
前記第1収容室は前記第2収容室内にスライドして収容され、
前記第2状態は、前記第1収容室の少なくとも一部が前記第2収容室に収容されている状態である、請求項1に記載の宅配ボックス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、宅配ボックスに関する。
【背景技術】
【0002】
特開2017-127448号公報(特許文献1)には、宅配ボックスが開示されている。特許文献1記載の宅配ボックスは、宅配物を収容する収容室が、前面と該前面に対向する背面とにより形成されている。この宅配ボックスは、前面と背面とに開放扉が形成される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2017-127448号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
宅配物を受取るユーザの利便性を考慮して、上記の宅配ボックスを建物などの壁に貫通して配置することが考えられる。しかしながら、上記の宅配ボックスを建物などの壁に貫通して配置させた場合には、宅配ボックスに、建物の内部のスペースが占有されてしまう。また、該宅配ボックスによる占有スペースを低減するために収容室を壁の内部に収まるようにすると、収容室のスペースを確保できなくなる。
【0005】
本開示は上述のような問題点を解決するためになされたものであって、宅配ボックスに占有されるスペースを低減しつつ収容室のスペースを確保する宅配ボックスを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の宅配ボックスは、壁に貫通して設置される。宅配ボックスは、第1扉と、対象物が収容され、かつ、第1扉側の第1収容室と、壁において、第1扉と反対側の第2扉と、対象物が収容され、かつ、第2扉側の第2収容室とを備える。第1収容室と、第2収容室とは連続している。第2収容室は、壁に挿入されている。第1収容室は、第1状態および第2状態となる。第2状態は、第1状態よりも、第1扉が、壁に近づいている状態である。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、宅配ボックスに占有されるスペースを低減しつつ収容室のスペースを確保できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】第1実施形態の宅配ボックスを室内側から見た斜視図である。
図2】第1実施形態の宅配ボックスを室外側から見た斜視図である。
図3】第1例の宅配ボックスを真横から見た図である。
図4】第1例の宅配ボックスを真上から見た図である。
図5】第2例の宅配ボックスを真横から見た図である。
図6】第2例の宅配ボックスを真上から見た図である。
図7】第3例の宅配ボックスを真横から見た図である。
図8】第3例の宅配ボックスを真上から見た図である。
図9】第2実施形態の宅配ボックスを真横から見た図である。
図10】第3実施形態の宅配ボックスを説明するための図である。
図11】支持部材の斜視図である。
図12】宅配ボックス本体の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。以下に説明する実施の形態において、特に記載がある場合を除き、同一の部品、相当部品に対しては、同一の参照番号を付し、重複する説明は繰り返さない場合がある。また、各実施の形態における構成の少なくとも一部を適宜組み合わせて用いることは当初から予定されていることである。また、本実施の形態での部材の長さ、および複数の部材のそれぞれの寸法の比については、実際と異なる場合があり得る。また、図面などで示される部材の寸法については、あくまでも一例であり、他の寸法としてもよい。
【0010】
<第1実施形態>
[宅配ボックスの斜視図]
図1は、本実施の形態の宅配ボックス100の斜視図である。図1の例では、宅配ボックス100が建物の壁300に形成された貫通穴300Aに貫通して設置されている。建物は、たとえば、家屋、ビルなどである。また、壁300は、ホテルの部屋を構成する壁としてもよい。本実施の形態では、建物は家屋であるとする。貫通穴300Aを貫通した宅配ボックス100は、固定部材(たとえば、セメントなど)により固定される。
【0011】
図1は、宅配ボックス100を室内側から見た斜視図である。図1の例では、家屋の玄関扉の横に宅配ボックス100が設置されている。宅配ボックス100は、宅配物の受取用である第1扉181と、第1取っ手部151とを有する。第1取っ手部151は、該第1扉181に設置され、該第1扉181を開閉させるためのものである。
【0012】
図1に示すように、宅配ボックス100の幅方向をX軸方向とする。宅配ボックス100(または後述の収容室)の奥行方向をY軸方向とする。宅配ボックス100の高さ方向をZ軸方向とする。宅配ボックス100を室内側から視認したときに、右方向をX1軸方向とし、左方向をX2軸方向とする。宅配ボックス100を室内側から視認したときに、奥行方向をY1軸方向とし、手前方向をY2軸方向とする。宅配ボックス100を室内側から視認したときに、上方向をZ1軸方向とし、下方向をZ2軸方向とする。
【0013】
図2は、宅配ボックス100を室外側から見た斜視図である。宅配ボックス100は、宅配物の宅配用である第2扉182と、第2取っ手部152とを有する。第2取っ手部152は、該第2扉182に設置され、該第2扉182を開閉させるためのものである。第2扉182は、壁300を挟んで第1扉181と反対側に設置されている。第1扉181および第2扉182は開閉可能である。宅配者は、第2扉182を開放し、宅配物を収容室に収容させる。そして、ユーザは、第1扉181を開放し、収容室に収容された宅配物を受取る。
【0014】
第1扉181は、第1取っ手部151により回動する開き戸であり、第2扉182は、第2取っ手部152により回動する開き戸であるとする。しかしながら、第1扉181および第2扉182は、他の種類としてもよく、たとえば、引戸または折れ戸としてもよい。
【0015】
第1扉181および第2扉182は、閉塞している状態において開放しないようにロックするロック機構を有する。このロック機構により宅配ボックス100内の宅配物の盗難を抑制できる。
【0016】
以下では、壁300において一方側の空間は「第1空間」とも称され、他方側の空間は第2空間」とも称される。本実施の形態においては、第1空間は、室内側の空間であり、第2空間は、室外側の空間である。
【0017】
[宅配ボックスの第1例]
図3および図4は、第1例の宅配ボックス100を説明するための図である。図3は、壁300に挿入された宅配ボックス100を真横(X軸方向)から見た図である。図4は、壁300に挿入された宅配ボックス100を真上(Y軸方向)から見た図である。図3(A)と、図4(A)とが対応し、図3(C)と、図4(C)とが対応する。また、図3(B)に対応する図面は、図4では示されていない。
【0018】
図3(A)に示すように、宅配ボックス100は、第1収容室131と第2収容室132とを有する。図3の例では、壁300のうちの室内側の壁面300Xで、第1収容室131と第2収容室とが区切られている。
【0019】
第1収容室131は、第1扉181側および室内側に形成される。また、第2収容室132は、第2扉182側および室外側に形成される。また、第1収容室131と、第2収容室132とは連続しており、第1収容室131と、第2収容室132とにより、宅配ボックス100の収容室が構成される。該収容室(第1収容室131と、第2収容室132)には、宅配物(対象物)が収容される。第1扉181が開放されると、収容室(第1収容室131と、第2収容室132)が、室内側の空間(第1空間)と連通する。また、第2扉182が開放されると、収容室(第1収容室131と、第2収容室132)が、室外側の空間(第2空間)と連通する。
【0020】
第2収容室132の少なくとも一部は、壁300に挿入される。換言すれば、第2収容室132の少なくとも一部は、壁300の内部に存在する。また、壁300の内部に存在する収容室が第2収容室132と称されてもよい。また、第1収容室131は、第1状態または第2状態となる。第2状態は、第1状態よりも第1扉181が壁300に近づいている状態である。図3(A)および図4(A)は、第1収容室131が第1状態である例が示されている。図3(C)および図4(C)は、第1収容室131が第2状態である例が示されている。
【0021】
第1収容室131および第2収容室132は、略直方体形状を有する。第1収容室131は、天板102、底板103、および1組の側板104、105により構成される。1組の側板は、側板104と、側板105とにより構成される。第1状態は、天板102および底板103がZ軸方向において対向している状態である。また、第1状態は、X軸方向において、側板104および側板105が対向している状態である。
【0022】
天板102のY軸方向の中央部に屈曲部102Bが形成される。屈曲部102Bは、X軸方向に沿って形成されている。屈曲部102Bは、たとえば、天板102のX軸方向に亘って配列された複数のヒンジなどにより構成される。
【0023】
また、天板102のY軸方向の一端に、回動軸102Aが形成され、他端に回動軸102Cが形成される。天板102の屈曲部102Bを境界として分けられた板部材を第1板部材102Mおよび第2板部材102Nと称する。第1板部材102Mは、回動軸102Aで回動する。また、第2板部材102Nは、回動軸102Cで回動する。
【0024】
底板103のY軸方向の中央部に屈曲部103Bが形成される。屈曲部103Bは、X軸方向に沿って形成されている。屈曲部103Bは、たとえば、底板103のX軸方向に亘って配列された複数のヒンジなどにより構成される。
【0025】
また、底板103のY軸方向の一端に、回動軸103Aが形成され、他端に回動軸103Cが形成される。底板103の屈曲部103Bを境界として分けられた板部材を第1板部材103Mおよび第2板部材103Nと称する。第1板部材103Mは、回動軸103Aで回動する。また、第2板部材103Nは、回動軸103Cで回動する。
【0026】
側板104のY軸方向の中央部に屈曲部104Bが形成される。屈曲部104Bは、Z軸方向に沿って形成されている。屈曲部104Bは、たとえば、側板104のZ軸方向に亘って配列された複数のヒンジなどにより構成される。また、側板104のY軸方向の一端に、回動軸104Aが形成され、他端に回動軸104Cが形成される。側板104の屈曲部104Bを境界として分けられた板部材を第1板部材104Mおよび第2板部材104Nと称する。第1板部材104Mは、回動軸104Aで回動する。また、第2板部材104Nは、回動軸104Cで回動する。
【0027】
側板105のY軸方向の中央部に屈曲部105Bが形成される。屈曲部105Bは、Z軸方向に沿って形成されている。屈曲部105Bは、たとえば、側板105のZ軸方向に亘って配列された複数のヒンジなどにより構成される。また、側板105のY軸方向の一端に、回動軸105Aが形成され、他端に回動軸105Cが形成される。側板105の屈曲部105Bを境界として分けられた板部材を第1板部材105Mおよび第2板部材105Nと称する。第1板部材105Mは、回動軸105Aで回動する。また、第2板部材105Nは、回動軸105Cで回動する。
【0028】
図3(A)および図4(A)の状態(第1状態)において、宅配ボックス100のうちの室内側の部材(たとえば、第1扉181)に対して、Y1軸方向(壁300側に向かう方向)の力が加えられたとする。この場合には、このY1軸方向の力が、天板102、底板103、側板104、側板105に対して加わる。
【0029】
Y1軸方向の力により、図3(B)に示すように、第1状態における第1収容室131の空間に屈曲部102Bが入り込むように、第1板部材102Mおよび第2板部材102Nは回動し、かつ屈曲部102Bは屈曲する。また、図3(B)に示すように、第1状態における第1収容室131の空間に屈曲部103Bが入り込むように、第1板部材103Mおよび第2板部材103Nは回動し、かつ屈曲部103Bは屈曲する。
【0030】
また、このY1軸方向の力が、側板104に加わると、第1状態における第1収容室131の空間の外側に屈曲部104Bが移動するように、第1板部材104Mおよび第2板部材104Nは回動し、かつ屈曲部104Bは屈曲する。また、このY1軸方向の力が、側板105に加わると、第1状態における第1収容室131の空間の外側に屈曲部105Bが移動するように、第1板部材105Mおよび第2板部材105Nは回動し、かつ屈曲部105Bは屈曲する。
【0031】
そして、Y1軸方向の力が継続して加えられることにより、図3(C)および図4(B)に示すように、第1収容室131の状態は、第2状態となる。第2状態は、第1状態(図3(A)、および図4(A))よりも第1扉181が壁300に近づいている状態である。なお、第1扉181が壁300に近づいている状態とは、たとえば、閉じている第1扉181が、壁300に近づいている状態をいう。
【0032】
また、宅配ボックス100は、第1扉181の壁300に対する接近を抑止する抑止部を有する。たとえば、屈曲部102B、103B、104B、105Bの屈曲度合いが上限値となり、屈曲部102B、103B、104B、105Bが屈曲しないことが抑止部となる。なお、抑止部として別の部材が設けられるようにしてもよい。このような抑止部が機能することにより、宅配ボックス100のうちの室内側の部材に対して、Y1軸方向の力が継続して加えられたとしても、図3(C)の状態で留まらせることができる。
【0033】
また、第1収容室131が第2状態である場合において、宅配ボックス100のうちの室内側の部材(たとえば、屈曲している天板102または底板103)に対して、Y2軸方向(壁300から離れる方向)の力が加えられたとする。この場合には、第1収容室131は、第2状態から第1状態に変化する。
【0034】
また、第1状態において、宅配ボックス100のうちの室内側の部材(第1扉181)に対してY1方向の第1所定値以上の力が加えられることにより、第1収容室131が第2状態となるような変化部材(たとえば、バネなどの付勢部材)を有していてもよい。宅配ボックス100は、このような変化部材を有することにより、第2状態において、宅配ボックス100のうちの室内側の部材(屈曲している天板102または底板103)に対して、Y2方向の第2所定値以上の力が加えられることにより、第1収容室131が第1状態となる。また、たとえば、宅配者による記憶媒体(たとえば、宅配者のカード)から宅配ボックス100への信号により、宅配ボックス100は第1状態から第2状態へ変化するようにしてもよい。
【0035】
以上、第1収容室131は、第1状態および第2状態のいずれかとなる(図3および図4参照)。たとえば、宅配ボックス100内に宅配物が存在しない場合には、ユーザは、第1収容室131の状態を第2状態にする。
【0036】
また、宅配者が宅配物を宅配ボックス100に収容する場合において、第1収容室131が第2状態となっている場合には、第1収容室131を第1状態とする。たとえば、宅配者は、宅配者の手などにより、屈曲している天板102または底板103に対して、Y2方向への力を加える。この力により、第2状態となっている第1収容室131は、第1状態となる。第1状態は、屈曲部102B、103B、104B、105Bの屈曲が解除されている状態である。換言すれば、第1状態は、天板102、底板103、側板104、側板105が屈曲せずに平坦となっている状態である。したがって、第1収容室131の容積を大きくでき、宅配物の収容スペースを確保できる。
【0037】
また、ユーザは該宅配物を取出すと、該ユーザは、第1状態となっている第1収容室131を第2状態とする。これにより、第1状態となっている第1収容室131よりも第1収容室131による室内側の空間(第1空間)の占有スペースを小さくできる。よって、宅配ボックス100は、宅配ボックス100に占有されるスペースを低減しつつ収容室のスペースを確保できる。
【0038】
また、第1収容室131は、天板102、底板103、側板104、および側板105により構成され、天板102の屈曲部102B、底板103の屈曲部103B、側板104の屈曲部104B、および側板105の屈曲部105Bが屈曲することにより、第1収容室131は、第2状態となる。したがって、第1収容室131の形状を通常の収容室の形状である略直方体としながらも、第1収容室131を第1状態および第2状態とすることができる。
【0039】
また、図3(C)に示すように、第2状態は、第1状態における第1収容室131の空間に、屈曲部102Bおよび屈曲部103Bが位置する状態である。したがって、第2状態が屈曲部102B、および屈曲部103Bが、第1収容室131と反対側(外側)に位置する状態である宅配ボックスと比較して、第2状態であるときの宅配ボックスの占有スペースを小さくできる。
【0040】
[宅配ボックスの第2例]
次に、第2例の宅配ボックス1002を説明する。図5は、壁300に挿入された宅配ボックス1002を真横(X軸方向)から見た図である。図6は、壁300に挿入された宅配ボックス1002を真上(Y軸方向)から見た図である。図5(B)と、図6(A)とが対応しており、図5(C)と、図6(B)とが対応している。図5(A)に対応する図は、図3(A)と略同一であることから図6では記載されていない。
【0041】
宅配ボックス1002と、宅配ボックス100と相違する点は、天板102と底板103とが異なる。図5(A)に示すように、天板102のY軸方向の両端である一端102Eおよび他端102Dが示されている。また、固定端としての他端102Dには回動部1021が形成される。回動部1021は、一端102Eを自由端として回動させる。なお、図5(A)の例では、室内側から見て、天板102のY軸方向手前側に一端102Eが規定され、天板102のY軸方向奥側に他端102Dが規定される。
【0042】
また、図5(A)に示すように、底板103のY軸方向の両端である一端103Eおよび他端103Dが示されている。また、固定端としての他端103Dには回動部1031が形成される。回動部1031は、一端103Eを自由端として回動させる。なお、図5(A)の例では、室内側から見て、底板103のY軸方向奥側に一端103Eが規定され、底板103のY軸方向手前側に他端103Dが規定される。
【0043】
図5(A)の状態(第1状態)において、宅配ボックス1001のうちの室内側の部材(たとえば、第1扉181)に対して、Y1軸方向(壁300側に向かう方向)の力が加えられたとする。この場合には、このY1軸方向の力が、天板102、底板103、側板104、側板105に対して加わる。
【0044】
そして、Y1軸方向の力が継続して加えられることにより、図5(C)および図6(B)に示すように、第1収容室131の状態は、第2状態となる。第2状態は、天板102の一端102Eが回動されており、かつ底板103の一端103Eが回動されている状態である。換言すれば、第2状態は、天板102および底板103は、Z軸方向に延伸している状態となる。さらに、換言すれば、第2状態は、天板102の垂線および底板103の垂線は、「Y軸方向」または「Y軸方向の略同一の方向」に延伸している状態である。
【0045】
また、第1収容室131が第2状態である場合において、宅配ボックス1001のうちの室内側の部材(たとえば、回動している天板102)に対して、Y2軸方向(壁300から離れる方向)の力が加えられたとする。この場合には、第1収容室131は、第2状態から第1状態に変化する。
【0046】
この第2例の宅配ボックス1001によれば、天板102の一端102Eおよび底板103の一端102Eが回動することにより、第1収容室131は、第2状態となる。したがって、第1収容室131の形状を通常の収容室の形状である略直方体としながらも、第1収容室131を第1状態および第2状態とすることができる。
【0047】
また、第2状態は、天板102の一端102E、および底板103の一端103Eのうちの少なくとも一方が、第1収容室131側に位置する状態である。本例では、第2状態は、天板102の一端102E、および底板103の一端103Eが、第1収容室131側に位置する状態である。図5(C)の状態においては、第1状態における第1収容室131の空間に、一端102Eおよび一端103Eが位置する状態である。したがって、第2状態が天板102の一端102E、および底板103の一端103Eが、第1収容室131と反対側に位置する状態である宅配ボックスと比較して、第2状態であるときの宅配ボックスの占有スペースを小さくできる。
【0048】
[宅配ボックスの第3例]
図7および図8は、第3例の宅配ボックス1003を説明するための図である。図7は、壁300に挿入された宅配ボックス1003を真横(X軸方向)から見た図である。図8は、壁300に挿入された宅配ボックス1003を真上(Y軸方向)から見た図である。
【0049】
7(A)および図8(A)は、宅配ボックス1003の第1収容室131が第1状態である場合を示す。また、図7(B)および図8(B)は、宅配ボックス1003の第1収容室131が第2状態である場合を示す。
【0050】
宅配ボックス1003においては、第1収容室131は第2収容室132内にスライドして収容可能とされる。そして、第2状態は、第1収容室131の少なくとも一部が第2収容室132に収容されている状態である。
【0051】
第3例では、第2収容室132を構成する天板172、底板173、側板174、および側板175が用いられる。天板102の外面と、天板172の内面とが接する。底板103の外面と、底板173の内面とが接する。側板104の外面と、側板174の内面とが接する。側板105の外面と、側板175の内面とが接する。つまり、天板172、底板173、側板174、および側板175は、それぞれ、天板102、底板103、側板104、および側板105の外側に配置される。また、第1収容室131の第2収容室132内に対するスライドを安定させるためのスライド機構が形成されてもよい。
【0052】
そして、図7(A)および図8(A)の状態(第1状態)において、宅配ボックス100のうちの室内側の部材(たとえば、第1扉181)に対して、Y1軸方向(壁300側に向かう方向)の力が加えられたとする。この場合には、天板102、底板103、側板104、および側板105が、第2収容室132内にスライドして挿入される。この挿入により、第1収容室131は、第2収容室132にスライドして挿入される。
【0053】
また、天板172、底板173、側板174、および側板175の内面には、係止部材140が配置されている。係止部材140は、これらの板の内面の第2扉182側に配置されている。
【0054】
天板102、底板103、側板104、および側板105が、第2収容室132内にスライドして挿入された場合において、天板102の一端102F、底板103の一端103F、側板104の一端104F、および側板105の一端105Fが、係止部材140に当接する。これにより、天板102、底板103、側板104、および側板105のスライドが係止される。第3例の宅配ボックス1003の構成であっても、第1収容室131の状態を第1状態および第2状態とすることができる。
【0055】
また、本開示では、第1収容室131の第1状態および第2状態に変化する機構は、「収縮機構」とも称される。
【0056】
[第1実施形態の変形例]
(1) 第1例の宅配ボックス100の第2状態においては、屈曲部102B、103B、104B、105Bの少なくとも1つが、第1状態における第1収容室131の空間に位置するようにしてもよい。また、屈曲部102B、103B、104B、105Bの全てが、第1状態における第1収容室131の空間とは反対側の空間に位置するようにしてもよい。
【0057】
(2) 第2例の宅配ボックス1002において、天板102および底板103が回動し、側板104および側板105が屈曲する構成が説明された。しかしながら、天板102、底板103、側板104、および側板105の全てが回動する構成が採用されてもよい。
【0058】
<第2実施形態>
上述の特開2017-127448号公報での宅配ボックスにおいては、宅配者による宅配物の収容の負担、およびユーザによる宅配物の取出の負担については鑑みられていなかった。第2実施形態においては、これらの負担を軽減する宅配ボックスが説明される。
【0059】
図9は、第2実施形態の宅配ボックス1004を説明するための図である。図9は、壁300に挿入された宅配ボックス1004を真横(X軸方向)から見た図である。図9では、壁300の一部が透過されて示されている。
【0060】
図9の例では、Z軸方向に複数の宅配ボックス本体が積層されて構成される。図9の例では、複数の宅配ボックス本体として、第1宅配ボックス本体100A、第2宅配ボックス本体100B、および第3宅配ボックス本体100Cが示されている。第1宅配ボックス本体100Aが最上に配置される。第2宅配ボックス本体100Bが第1宅配ボックス本体100Aの下に配置される。第3宅配ボックス本体100Cが第2宅配ボックス本体100Bの下に配置される。つまり、第3宅配ボックス本体100Cは、最下に配置される。なお、宅配ボックス本体は、単に、「宅配ボックス」とも称される。また、図9の例では、宅配ボックスが収縮機構を有さない例が示されている。
【0061】
第1宅配ボックス本体100A、第2宅配ボックス本体100B、および第3宅配ボックス本体100Cは、第1扉181と、第2扉182とを有する。第2扉182は、壁300において、第1扉181と反対側に位置する。第1宅配ボックス本体100A、第2宅配ボックス本体100B、および第3宅配ボックス本体100Cは、宅配物が収容される収容室135を有する。収容室135は、第1扉181と第2扉182との間に形成される。
【0062】
また、第3宅配ボックス本体100Cは、収容室135を構成する底板103を有する。さらに、第3宅配ボックス本体100Cは、底板103に配置された少なくとも1つのローラ400を有する。図9の例では、ローラの数は3つであるが、他の数としてもよい。3つのローラは、たとえば、Y軸方向に沿って配置される。また、ローラ400の回転方向は、第2扉182から第1扉181への方向(つまり、Y軸方向)である。
【0063】
(第1項) このように、第3宅配ボックス本体100Cは、壁に貫通して設置される。また、第3宅配ボックス本体100Cは、第1扉181と、前記壁300において、前記第1扉181と反対側の第2扉182と、対象物が収容され、かつ前記第1扉と前記第2扉との間に形成される収容室135と、前記収容室を構成する底板103と、前記底板に配置された少なくとも1つのローラ400とを備え、前記少なくとも1つのローラの回転方向は、前記第2扉から前記第1扉への方向である。
【0064】
このような構成により、宅配者は、宅配物を収容室135に押し込む力を、ローラ400の回転により軽減できる。また、ユーザは、収容室135から宅配物を引き出す力をローラ400の回転により軽減できる。したがって、宅配者による宅配物の収容の負担、およびユーザによる宅配物の取出の負担を軽減できる。
【0065】
(第2項) 第1項の第3宅配ボックス本体100Cにおいて、前記少なくとも1つのローラは、前記第2扉側に配置される第1ローラ401を有し、前記第3宅配ボックス本体100Cは、第1ローラと第2扉182側に隣接して配置され、第1テーパ面451Aを有する第1ガイド部材451をさらに有する。前記第1テーパ面451Aは、第1ローラ401の上部401Aに向かって延伸している面である。
【0066】
このような構成により、宅配者は第1ローラ401の手前側に宅配物を載置して、第1テーパ面451Aにおいて宅配物を押し上げることで、宅配物を収容室135に収容させることができる。したがって、宅配者の負担を軽減できる。
【0067】
(第3項) 第1項または第2項の第3宅配ボックス本体100Cにおいて、前記少なくとも1つのローラは、前記第1扉側に配置される第2ローラ402を有し、前記第3宅配ボックス本体100Cは、前記第2ローラと第1扉181側に隣接して配置され、第2テーパ面452Aを有する第2ガイド部材452をさらに有する。前記第2テーパ面452Aは、前記第2ローラ402の上部402Aから下降している面である。
【0068】
このような構成により、ユーザは収容室135内の宅配物を第2テーパ面452Aで滑らせてユーザ側に移動させることができる。したがって、ユーザの負担を軽減できる。
【0069】
(第4項) 第1項~第3項のいずれか1項の第3宅配ボックス本体100Cは、壁に貫通して設置される他の宅配ボックス(第1宅配ボックス本体100A、100B)と隣接して設置され、第3宅配ボックス本体100Cの収容室の高さLCは、前記他の宅配ボックスの収容室の高さLA、LBよりも長い。
【0070】
このような構成により、宅配者は、宅配物の大きさ(高さ)に応じた宅配ボックス本体に宅配物を収容できる。また、第3宅配ボックス本体100Cの高さが最も長いことから、大きな宅配物を収容でき、該大きな宅配物の収容および取出の負担を軽減できる。
【0071】
(第5項) 第1項~第4項のいずれか1項の第3宅配ボックス本体100Cは、壁300に貫通して設置される他の宅配ボックスと、収容室の高さ方向(Z軸方向)で隣接して設置され、前記第3宅配ボックス本体100Cは、他の宅配ボックスよりも下方に設置される。このような構成により、宅配者は、第3宅配ボックス本体100Cに対して大きな宅配物を収容させることを宅配者に促進でき該大きな宅配物の収容および取出の負担を軽減できる。
【0072】
<第3実施形態>
上述の特開2017-127448号公報での宅配ボックスにおいては、ユーザの好みの宅配ボックスを配置させることについては鑑みられていなかった。第3実施形態においては、ユーザの好みが反映される宅配ボックスが説明される。
【0073】
図10は、第3実施形態の宅配ボックス1005を説明するための図である。図10の宅配ボックス1005は、第1宅配ボックス本体100Aと、第2宅配ボックス本体100Bと、第3宅配ボックス本体100Cとを備える。また、これらの宅配ボックス本体は、支持部材500により支持される。
【0074】
図10(A)は、Z軸方向の上から、第1宅配ボックス本体100Aと、第2宅配ボックス本体100Bと、第3宅配ボックス本体100Cとがこの順序で配置されている。また、ユーザは、図10(A)の状態を所望しない場合には、たとえば、図10(B)、図10(C)、図10(D)の状態に変更できる。図10(B)は、Z軸方向の上から、第3宅配ボックス本体100Cと、第2宅配ボックス本体100Bと、第1宅配ボックス本体100Aとがこの順序で配置されている状態である。図10(C)は、Z軸方向の上から、3つの第1宅配ボックス本体100Aと、第2宅配ボックス本体100Bと、第1宅配ボックス本体100Aとがこの順序で配置されている状態である。また、支持部材500は、伸縮部(たとえば、スリーブ)を有し、たとえば、Z軸方向に伸縮可能とされてもよい。図10(D)は、支持部材500が、Z軸方向において縮められている状態を示す。
【0075】
図11は、支持部材500の斜視図である。支持部材500の側壁の内面500Aには、Z軸方向において、複数の凹部502が形成される。これらの凹部502は、等間隔に形成されてもよく、異なる間隔で形成されてもよい。また、これらの凹部502は、Y軸方法に延伸する溝部である。また、図11の例では、複数の凹部502のうち第1凹部5021と、第2凹部5022とが示されている。上述のように、支持部材500は、壁300の貫通穴300Aに取付けられる。また、凹部502の数N(図11の例ではN=11)は、支持される宅配ボックス本体の個数以上とされる。換言すれば、宅配ボックス本体を支持する支持部の数は、支持される宅配ボックス本体の個数以上とされる。N個の凹部(支持部)のいずれにおいても宅配ボックス本体は支持される。
【0076】
図12は、宅配ボックス本体の斜視図である。図12(A)は、第1宅配ボックス本体100Aの斜視図であり、図12(B)は、第2宅配ボックス本体100Bの斜視図であり、図12(C)は、第3宅配ボックス本体100Cの斜視図である。図12(A)~図12(C)においては、第2収容室132を形成する側板174、175に凸部601が形成されている。凸部601は、Y軸方向に延伸する。凸部601は、凹部502と係合する。なお、図12の例では、凸部601が宅配ボックス本体の底部に形成されるが他の個所に形成されてもよい。
【0077】
なお、図12(A)では、第1実施形態の第1例の伸縮機構が採用された第1宅配ボックス本体100Aが示されている。図12(B)では、第1実施形態の第3例の伸縮機構が採用された第2宅配ボックス本体100Bが示されている。図12(B)では、上述のスライド機構250が示されている。また、図12(C)では、第1実施形態の第3例の伸縮機構と、第2実施形態のローラ400とが採用されている。なお、宅配ボックス本体は、第1実施形態および第2実施形態の構成が採用されなくてもよい。また、宅配ボックス本体が設置された状態において、隙間が生じる場合には適宜該隙間を埋める部材(たとえば、セメントなど)が配置される。
【0078】
(第1項) このように、宅配ボックス1005は、対象物を収容する第1宅配ボックス本体100Aと、対象物を収容し、かつ前記第1宅配ボックス本体とは高さが異なる第2宅配ボックス本体100Bと、壁300に形成された貫通穴300Aに取付けられる支持部材500とを備え、前記支持部材は、前記第1宅配ボックス本体を着脱可能に支持する第1支持部(凸部601と、第1凹部5021)と、前記第2宅配ボックス本体を着脱可能に支持する第2支持部(凸部601と、第2凹部5022)とを有する。
【0079】
このような構成によれば、第1宅配ボックス本体100Aと、第2宅配ボックス本体100Bとをユーザなどは着脱可能に設置できる。したがって、ユーザの好みを反映される宅配ボックス1005が提供される。
【0080】
(第2項) 第1項に記載の宅配ボックスであって、前記第1支持部は、前記第1宅配ボックス本体および前記支持部材のいずれか一方に形成された凸部601と、他方に形成されかつ該凸部と係合する凹部(第1凹部5021)とにより構成される。
【0081】
このような構成によれば、比較的簡素な構成で、宅配ボックス本体は支持される。
(第3項) 第2項に記載の宅配ボックスであって、前記凸部および前記凹部は、前記第1収容室の奥行方向(Y軸方向)に延伸する。
【0082】
このような構成によれば、ユーザなどは奥行方向に宅配ボックス本体をスライドさせることで宅配ボックス本体の設置作業および取外作業が可能となり、これらの作業の負担を軽減できる。
【0083】
(第4項) 第1項~第3項のいずれか1項に記載の宅配ボックスであって、前記支持部材は、前記第1支持部および前記第2支持部を含む複数(N個)の支持部を有し、Nの値は、支持され得る宅配ボックス本体の数以上であり、該支持部のいずれも、第1宅配ボックス本体および第2宅配ボックス本体を含む複数の宅配ボックス本体を支持する(図11に示すように凸部601が係合する複数の凹部502がZ軸方向において形成されている)。
【0084】
このような構成によれば、ユーザは好みに応じて、第1宅配ボックス本体100Aおよび第2宅配ボックス本体100Bなどを選択的に設置できる。
【0085】
(第5項) 第1項~第4項のいずれか1項に記載の宅配ボックスにおいて、前記支持部材は、高さ方向に伸縮可能である(図10(D)参照)。
【0086】
このような構成によれば、ユーザは好みに応じて、宅配ボックス1005の高さを変更できる。
【0087】
また、上述の宅配ボックスにおいて、宅配物に対して殺菌する殺菌装置が配置されてもよい。たとえば、殺菌装置は、収容室(第1収容室131または第2収容室132など)に配置される。
【0088】
また、今回開示された各実施の形態は全ての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。また、実施の形態および各変形例において説明された発明は、可能な限り、単独でも、組合わせても、実施することが意図される。
【符号の説明】
【0089】
100,1001,1002,1003,1004,1005 宅配ボックス、102 天板、103 底板、104,105 側板、131 第1収容室、132 第2収容室、181 第1扉、182 第2扉、300 壁。
図1
図2
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図6
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図12