(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024114644
(43)【公開日】2024-08-23
(54)【発明の名称】温度検出構造を備えた電池モジュール
(51)【国際特許分類】
H01M 10/48 20060101AFI20240816BHJP
H01M 50/204 20210101ALI20240816BHJP
H01M 50/298 20210101ALI20240816BHJP
H01M 50/271 20210101ALI20240816BHJP
H01M 6/50 20060101ALI20240816BHJP
H01M 50/507 20210101ALI20240816BHJP
H01M 50/503 20210101ALI20240816BHJP
H02J 7/00 20060101ALI20240816BHJP
H02H 7/18 20060101ALI20240816BHJP
H01M 50/213 20210101ALN20240816BHJP
【FI】
H01M10/48 301
H01M50/204 401D
H01M50/298
H01M50/271 S
H01M6/50
H01M50/507
H01M50/503
H01M50/271 B
H02J7/00 Y
H02H7/18
H01M50/213
【審査請求】有
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024016221
(22)【出願日】2024-02-06
(31)【優先権主張番号】63/444,575
(32)【優先日】2023-02-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】521279527
【氏名又は名称】台達電子工業股▲ふん▼有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】彭彦凱
(72)【発明者】
【氏名】林牧民
【テーマコード(参考)】
5G053
5G503
5H025
5H030
5H040
5H043
【Fターム(参考)】
5G053AA16
5G053BA06
5G053CA08
5G053DA03
5G503AA01
5G503BA02
5G503BB01
5G503CB11
5G503EA08
5G503FA01
5G503FA03
5G503FA18
5H025AA07
5H025BB20
5H025CC01
5H025CC21
5H025CC23
5H025CC24
5H025MM01
5H025MM02
5H025MM06
5H030AA06
5H030AA09
5H030AS06
5H030FF22
5H040AA01
5H040AA03
5H040AA37
5H040AT01
5H040AY05
5H040AY10
5H040CC05
5H040CC12
5H040CC20
5H040CC38
5H040DD08
5H040DD26
5H040JJ03
5H040JJ06
5H040LL01
5H040LL06
5H040NN03
5H043AA04
5H043AA17
5H043CA03
5H043CA21
5H043FA04
5H043FA32
5H043FA33
5H043FA37
5H043HA04
5H043HA04F
5H043HA06
5H043HA06F
5H043HA35
5H043HA35F
5H043JA04
5H043JA04F
5H043KA08
5H043KA22
5H043KA22F
5H043KA45
5H043KA45F
5H043LA21
5H043LA21F
(57)【要約】
【課題】温度検出構造素化し、全ての電池セルに温度監視を行える温度検出構造を備えた電池モジュールを提供する。
【解決手段】温度検出構造を備えた電池モジュールは、複数の電池セルと、ハウジングと温度感知線とを含み、ハウジングはベースと上カバーとを備え、ベースと上カバーが組み合わされてその間に切り欠き部が形成され、複数の電池セルはベース及び上カバーによって固定され、切り欠き部には複数の電池セルの一部の外縁面が露出し、温度感知線は、一対のワイヤと一対のワイヤを分離する絶縁層とを備え、各電池セルの切り欠き部に露出した外縁面に接触し、複数の電池セルのうち少なくとも1つの電池セルの温度が所定の温度まで上昇して温度感知線に伝達されると、絶縁層が所定の温度で溶融することで、ワイヤが互いに導通し、警告信号が発生される。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の電池セルと、ハウジングと、温度感知線とを含み、
前記ハウジングはベースと上カバーとを備え、前記ベースと前記上カバーが組み合わされてその間に切り欠き部が形成され、前記複数の電池セルは、前記ベース及び前記上カバーによって固定され、前記切り欠き部には前記複数の電池セルの一部の外縁面が露出し、
前記温度感知線は、一対のワイヤと前記一対のワイヤを分離する絶縁層とを備え、前記切り欠き部に露出した各前記電池セルの外縁面に接触し、
前記複数の電池セルのうち少なくとも1つの電池セルの温度が所定の温度まで上昇して前記温度感知線に伝達されると、前記絶縁層が前記所定の温度で溶融することで、前記ワイヤが互いに導通し、警告信号が発生される、温度検出構造を備えた電池モジュール。
【請求項2】
制御基板と前記制御基板に電気的に接続された警報器とを備える制御群をさらに含み、
前記一対のワイヤの一端は前記制御基板に接続され、前記警報器によって前記警告信号が発生される、請求項1に記載の温度検出構造を備えた電池モジュール。
【請求項3】
前記複数の電池セルに電気的に接続された複数のバスバーをさらに含み、
前記複数の電池セルはマトリクス状に配置され、前記複数のバスバーは複数の第1電極片と複数の第2電極片とを備え、前記複数の第1電極片及び前記複数の第2電極片はそれぞれ前記複数の電池セルの対向する両側に配置される、請求項1に記載の温度検出構造を備えた電池モジュール。
【請求項4】
前記ハウジングは、前記温度感知線を固定する複数の固定構造を備え、前記複数の固定構造は、前記ベースに設けられた下部固定構造と、前記上カバーに設けられた上部固定構造とを備え、前記下部固定構造は、前記ベースから前記切り欠き部まで延び、前記上部固定構造は、前記上カバーから前記切り欠き部まで延びる、請求項1に記載の温度検出構造を備えた電池モジュール。
【請求項5】
前記下部固定構造は、前記ベースから延びる下アーム部と、前記下アーム部上に位置する下係止ブロックとを備え、前記下係止ブロックには、前記温度感知線を係止する下係止溝が設けられ、前記上部固定構造は、前記上カバーから延びる上アーム部と、前記上アーム部上に位置する上係止ブロックとを備え、前記上係止ブロックには、前記温度感知線を係止する上係止溝が設けられる、請求項4に記載の温度検出構造を備えた電池モジュール。
【請求項6】
前記下部固定構造及び前記上部固定構造は、前記ベース及び前記上カバーにおいて互いに対向して設けられ、前記温度感知線を係止する、請求項4に記載の温度検出構造を備えた電池モジュール。
【請求項7】
前記下部固定構造及び前記上部固定構造は、前記ベース及び前記上カバーに互い違いに設けられ、間隔をおいて前記温度感知線を係止する、請求項4に記載の温度検出構造を備えた電池モジュール。
【請求項8】
前記上カバーは、カバー板と、一対の上側板と、上位置決め板とを備え、前記カバー板にはスロットが設けられ、前記一対の上側板は、前記上カバーの対向する両側に位置し、前記上位置決め板は、前記カバー板と前記一対の上側板との間に囲まれ、前記複数の電池セルの外形に対応して配置され、
前記ベースは、底板、一対の下側板と、下位置決め板とを備え、前記底板にはスロットが設けられ、前記一対の下側板は、前記底板の対向する両側に位置し、前記下位置決め板は、前記底板と前記一対の下側板との間に囲まれ、前記複数の電池セルの外形に対応して配置される、請求項1に記載の温度検出構造を備えた電池モジュール。
【請求項9】
前記下位置決め板には、各前記電池セルの位置に対応して複数の下部円弧片が形成され、各前記下部円弧片の上縁に下スリットが設けられ、前記上位置決め板には、各前記電池セルの位置に対応して複数の上部円弧片が形成され、各前記上部円弧片の上縁に上スリットが設けられ、前記ベース及び前記上カバーが組み合わされて各前記下スリット及び各前記上スリットによって前記切り欠き部が構成される、請求項8に記載の温度検出構造を備えた電池モジュール。
【請求項10】
前記温度感知線は保護スリーブをさらに備え、前記一対のワイヤは、前記保護スリーブ内に挿通され、前記一対のワイヤはそれぞれ前記絶縁層で被覆されており、前記絶縁層を介して前記保護スリーブに接触している、請求項1に記載の温度検出構造を備えた電池モジュール。
【請求項11】
前記絶縁層は感熱性ポリマーで構成され、前記ワイヤは銅線である、請求項1に記載の温度検出構造を備えた電池モジュール。
【請求項12】
複数の締結部材をさらに含み、前記ベースと前記上カバーは、前記複数の締結部材を介して結合される、請求項1に記載の温度検出構造を備えた電池モジュール。
【請求項13】
前記ベースには複数の締結孔が間隔をおいて設けられ、前記上カバーには前記複数の締結孔に対応する複数の穿孔が設けられ、前記複数の締結部材は、それぞれ前記複数の穿孔を貫通して前記複数の締結孔に結合される、請求項12に記載の温度検出構造を備えた電池モジュール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は電池装置、特に温度検出構造を備えた電池モジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
電池システムは、複数の電池セルからなる電池モジュールで構成され、電気的に接続されて必要な電力を供給する。一般的に、電池モジュールの多くは、電池システムにおける電池モジュールが過度の温度によって損傷するのを防ぐため、電池モジュールを監視し保護する温度検出装置を備えている。
【0003】
さらに、電池モジュール内の電池セルの数が多く、電池セル毎に温度を監視することが難しいため、電池セル毎に温度を監視するには、温度センサの数を増やすとともに、信号線の数を増やす必要がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
これに鑑み、本出願人は、上記の従来技術を改良し、上記問題点を解決するために最善を尽くすことを目指していた。
【0005】
本発明の目的は、温度検出構造を簡素化し、全ての電池セルの温度を監視可能な温度検出構造を備えた電池モジュールを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の目的を達成するために、本発明に係る温度検出構造を備えた電池モジュールは、複数の電池セルと、ハウジングと、温度感知線とを含み、前記ハウジングはベースと上カバーとを備え、前記ベースと前記上カバーが組み合わされてその間に切り欠き部が形成され、前記複数の電池セルは前記ベース及び前記上カバーによって固定され、前記切り欠き部には前記複数の電池セルの一部の外縁面が露出し、前記温度感知線は、一対のワイヤと前記一対のワイヤを分離する絶縁層とを備え、各前記電池セルの前記切り欠き部に露出した外縁面に接触し、前記複数の電池セルのうち少なくとも1つの電池セルの温度が所定の温度まで上昇して前記温度感知線に伝達されると、前記絶縁層が前記所定の温度で溶融することで、前記ワイヤが互いに導通し、警告信号が発生される。
【0007】
本発明の一実施形態において、前記電池モジュールは、制御基板と前記制御基板に電気的に接続された警報器とを備える制御群をさらに含み、前記温度感知線の前記ワイヤの一端は前記制御基板に接続され、前記警報器によって前記警告信号が発生される。
【0008】
本発明の一実施形態において、前記電池モジュールは、前記複数の電池セルに電気的に接続された複数のバスバーをさらに含み、前記複数の電池セルはマトリクス状に配置され、前記複数のバスバーは複数の第1電極片と複数の第2電極片とを備え、前記複数の第1電極片及び前記複数の第2電極片はそれぞれ前記複数の電池セルの対向する両側に配置される。
【0009】
本発明の一実施形態において、前記ハウジングは、前記温度感知線を固定する複数の固定構造を備え、前記複数の固定構造は、前記ベースに設けられた下部固定構造と、前記上カバーに設けられた上部固定構造とを備え、前記下部固定構造は、前記ベースから前記切り欠き部まで延び、前記上部固定構造は、前記上カバーから前記切り欠き部まで延びる。
【0010】
本発明の一実施形態において、前記下部固定構造は、前記ベースから延びる下アーム部と、前記下アーム部上に位置する下係止ブロックとを備え、前記下係止ブロックには、前記温度感知線を係止する下係止溝が設けられ、前記上部固定構造は、前記上カバーから延びる上アーム部と、前記上アーム部上に位置する上係止ブロックとを備え、前記上係止ブロックには、前記温度感知線を係止する上係止溝が設けられる。
【0011】
本発明の一実施形態において、前記下部固定構造及び前記上部固定構造は、前記ベース及び前記上カバーの対応する位置に設けられ、前記温度感知線の上下側を係止する。
【0012】
本発明の一実施形態において、前記下部固定構造及び前記上部固定構造は、前記ベース及び前記上カバーに互い違いに設けられ、間隔をおいて前記温度感知線の上下側を係止する
【0013】
本発明の一実施形態において、前記上カバーは、カバー板と、一対の上側板と、上位置決め板とを備え、前記カバー板にはスロットが設けられ、前記一対の上側板は、前記上カバーの対向する側に位置し、前記上位置決め板は、前記カバー板と前記一対の上側板との間に囲まれ、前記複数の電池セルの外形に対応して配置され、前記ベースは、底板、一対の下側板と、下位置決め板とを備え、前記底板にはスロットが設けられ、前記一対の下側板は、前記底板の対向する側に位置し、前記下位置決め板は、前記底板と前記一対の下側板との間に囲まれ、前記複数の電池セルの外形に対応して配置される。
【0014】
本発明の一実施形態において、前記下位置決め板には、各前記電池セルの位置に対応して複数の下部円弧片が形成され、各前記下部円弧片の上縁に下スリットが設けられ、前記上位置決め板には、各前記電池セルの位置に対応して複数の上部円弧片が形成され、各前記上部円弧片の上縁に上スリットが設けられ、前記ベース及び前記上カバーが組み合わされて各前記下スリット及び各前記上スリットによって前記切り欠き部が構成される。
【0015】
本発明の一実施形態において、前記温度感知線は保護スリーブをさらに備え、前記一対のワイヤは、前記保護スリーブ内に挿通され、一端が前記保護スリーブから突出し、前記一対のワイヤはそれぞれ前記絶縁層で被覆されており、前記絶縁層を介して前記保護スリーブに接触している。
【0016】
本発明の一実施形態において、前記絶縁層は感熱性ポリマーで構成され、前記ワイヤは銅線である。
【0017】
本発明の一実施形態において、前記電池モジュールは、複数の締結部材をさらに含み、前記ベースと前記上カバーは、前記複数の締結部材を介して結合される。
【0018】
本発明の一実施形態において、前記ベースには間隔をおいて複数の締結孔が設けられ、前記上カバーには前記複数の締結孔に対応する複数の穿孔が設けられ、前記複数の締結部材は、前記複数の穿孔を貫通して前記複数の締結孔に結合される。
【発明の効果】
【0019】
従来技術に比べて、本発明に係る電池モジュールは、電池セルがベース及び上カバーによって固定され、ベース及び上カバーが組み合わされて切り欠き部が形成され、電池セルの一部分の外縁面が切り欠き部に露出している。また、温度感知線は、切り欠き部に配置され、各電池セルに接触している。このようにして、電池セルの温度が所定の温度に上昇して温度感知線に伝達されると、絶縁層が所定の温度で溶融することで、一対のワイヤが互いに導通して制御基板に導通信号が発生し、さらに警告信号が発生される。これにより、使用者は電池モジュールが高温状態にあることを知ることができ、電池セルを保護するために対応する保護措置を取ることができる。さらに、本発明は一本の温度感知線だけで全ての電池セルを監視し、いずれかの電池セルの温度が所定の温度を超えると、制御基板に導通信号を発生する。さらに、温度感知線に複数の信号線を設ける必要がないため、電池の温度検出装置の配置コストとスペースを低減する効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】本発明に係る温度検出構造を備えた電池モジュールの外観を示す概略斜視図である。
【
図3】本発明に係る温度検出構造を備えた電池モジュールの部分拡大図である。
【
図4】本発明に係る温度検出構造を備えた電池モジュールの部分拡大図である。
【
図5】本発明に係る温度検出構造を備えた電池モジュールの部分拡大図である。
【
図6】本発明に係る温度検出構造を備えた電池モジュールの概略分解斜視図である。
【
図7】本発明に係る温度検出構造を備えた電池モジュールを示す分解斜視図の部分拡大図である。
【
図8】本発明に係る温度検出構造を備えた電池モジュールを示す分解斜視図の部分拡大図である。
【
図9】本発明に係るハウジングを示す概略分解斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本発明の詳細な説明及び技術内容について、図面を参照しながら以下に説明するが、図面は参照及び説明のためのものであり、本発明を限定するものではない。
【0022】
図1は、本発明に係る温度検出構造を備えた電池モジュールの外観を示す概略斜視図である。
図1を参照すると、本発明に係る温度検出構造を備えた電池モジュール1は、複数の電池セル10と、ハウジング20と、温度感知線30とを含む。ハウジング20は、電池セル10を載置するために用いられる。ハウジング20は、ベース21と、上カバー22とを含む。ベース21と上カバー22が組み合わされた後にベース21と上カバー22との間に切り欠き部200が形成される。温度感知線30は切り欠き部200に配置され、電池セル10の一部の外縁面が切り欠き部200に露出している。切り欠き部200の位置において、温度感知線30は、電池セル10の外縁面に接触している。
【0023】
電池モジュール1は制御群40をさらに含む。制御群40は、制御基板41と、制御基板41に電気的に接続された警報器42とを含む。制御群40は、例えば電池管理システム(Battery Management system、BMS)などの制御システムとして構成されてもよい。温度感知線30の一端は、制御基板41に接続されている。制御基板41は、警報器42に警告信号を発生させることができる。
【0024】
図2は、本発明に係る温度感知線の断面図である。
図2を併せて参照すると、温度感知線30は、一対のワイヤ31と、一対のワイヤ31を分離する絶縁層32と、保護スリーブ33とを含む。ワイヤ31は、銅線であってもよい。絶縁層32は、ある温度領域に加熱されると溶融する感熱性ポリマーで構成されており、保護スリーブ33は、絶縁材料で構成されている。保護スリーブ33には、一対のワイヤ31が挿通されている。本実施形態において、一対のワイヤ31はそれぞれ絶縁層32で被覆されており、絶縁層32を介して保護スリーブ33に接触している。また、一対のワイヤ31は、2つの絶縁層32によって互いに接触していない。
【0025】
これにより、温度感知線30の温度が正常範囲にあるとき、すなわち、一対のワイヤ31が絶縁層32によって互いに接触していないときは、一対のワイヤ31は導通しない。制御基板41は、一対のワイヤ31が互いに導通していない場合には、警報器42に警報を発生させないように設計されている。一方、温度感知線30の温度が所定の温度まで上昇すると、絶縁層32は、この所定の温度(例えば、88℃を超える温度)で溶融する。絶縁層32が溶融することにより、一対のワイヤ31は互いに導通状態となる。このとき、一対のワイヤ31は互いに導通して導通信号が発生し、この導通信号が制御基板41に伝達されると、警報器42に警告信号を発生させる。このため、使用者はこの警告信号により、電池モジュール1が高温状態にあることを知ることができ、対応する保護措置を講じることができる。
【0026】
なお、本発明に係る温度感知線30は、全ての電池セル10を取り囲んで接触しているので、いずれかの電池セル10の温度が所定の温度を超えると、一対のワイヤ31が導通し、警報器42が作動する。
【0027】
なお、本発明に係る温度感知線30は、絶縁層32の材料を選択することによって所定の温度を設定することができ、この所定の温度は、電池セル10の臨界温度よりも低い。したがって、いずれかの電池セル10の温度が臨界温度に達する前に、絶縁層32が溶融して一対のワイヤ31が導通信号を発生することになる。このようにして、温度感知線30は、いずれかの電池セル10が臨界温度に達する前に、制御基板41に、発生された導通信号によって警報器42に警告信号を発生させ、高温によるこれらの電池セル10の破損を回避するために適切な措置を講じるように使用者に知らせることができる。
【0028】
図3は、
図1において本発明に係る温度検出構造を備えた電池モジュール1の丸印部分の拡大図である。
図3に示すように、ハウジング20は、温度感知線30を固定する複数の固定構造23を含む。固定構造23は、ベース21に設けられた複数の下部固定構造24と、上カバー22に設けられた複数の上部固定構造25とを含む。下部固定構造24は、ベース21から切り欠き部200まで延びており、上部固定構造25は、上カバー22から切り欠き部200まで延びている。下部固定構造24及び上部固定構造25は、温度感知線30を切り欠き部200に位置決めする。本実施形態において、下部固定構造24及び上部固定構造25は、ベース21及び上カバー22において互いに対向して設けられている。
【0029】
図3を参照すると、下部固定構造24は、ベース21から上方に延びる下アーム部241と、下アーム部241の末端に位置する下係止ブロック242とを含む。下係止ブロック242には、温度感知線30を係止するための下係止溝240が設けられている。上部固定構造25は、上カバー22から延びる上アーム部251と、上アーム部251末端に位置する上係止ブロック252とを含む。上係止ブロック252には、温度感知線30を係止するための上係止溝250が設けられている。下部固定構造24及び上部固定構造25は、それぞれベース21及び上カバー22から対向して延び、温度感知線30の下側及び上側を係止する。
【0030】
図4は、本発明に係る温度検出構造を有する電池モジュールの部分拡大図であり、別の実施形態を示している。
図4は、
図3とは異なり、下部固定構造24及び上部固定構造25は互い違いに設けられ、温度感知線30の下側及び上側をそれぞれ係止していることを示している。
図5は、下部固定構造24及び上部固定構造25が、温度感知線30を挟むようにベース21の側縁及び上カバー22の側縁の対応する位置に設けられていることを示している。これにより、温度感知線30は、ベース21及び上カバー22上の異なる位置にある固定構造23によって切り欠き部200上に配置される。
【0031】
図6は、本発明に係る温度検出構造を備えた電池モジュールの概略分解斜視図である。
図6に示すように、電池モジュール1は、電池セル10に電気的に接続された複数のバスバー12をさらに含む。電池セル10は、26650、4680、18650などの仕様の円筒型電池であってもよいが、これらに限定されない。電池セル10は、マトリクス状に配置され、ベース21と上カバー22とによって挟み込まれて固定されている。
【0032】
バスバー12は、複数の第1電極片121と複数の第2電極片122とを含む。円筒型電池の電気的接続を例に挙げると、第1電極片121及び第2電極片122はそれぞれ電池セル10の対向する両側に配置される。第1電極片121は、上カバー22によって位置決めされ、電池セル10上方の電極に電気的に接続されている。第2電極片122は、ベース21によって位置決めされ、電池セル10下方の電極に電気的に接続されている。
【0033】
図6を参照すると、上カバー22は、カバー板221と、一対の上側板222と、上位置決め板223とを含む。カバー板221には、複数のスロット2210が設けられている。一対の上側板222は、上カバー22の対向する両側に位置している。上位置決め板223は、カバー板221と一対の上側板222との間に位置し、電池セル10の外形に対応して設けられている。第1電極片121は、電池セル10上方の電極と接触して電気的に接続され、スロット2210内に嵌め込む。ベース21は、底板211と、一対の下側板212と、下位置決め板213とを含む。底板211には、複数のスロット2110が設けられている。一対の下側板212は、底板211の対向する両側に位置している。下位置決め板213は、底板211と一対の下側板212との間に位置し、電池セル10の外形に対応して設けられている。第2電極片122は電池セル10下方の電極と接触して電気的に接続され、第2電極片122はスロット2110内に嵌め込む。
【0034】
図6を参照すると、ベース21と上カバー22とが組み合わされた後、ベース21と上カバー22との間に切り欠き部200が形成されている。切り欠き部200は、下位置決め板213の上縁と上位置決め板223の下縁との間に形成されている。上位置決め板223には、各電池セル10の位置に対応して複数の上部円弧片2231が形成されており、各上部円弧片2231の下縁には上スリット2230が形成されている。下位置決め板213には、各電池セル10の位置に対応して複数の下部円弧片2131が形成されており、下部円弧片2131の上縁には下スリット2130が設けられている。ベース21と上カバー22とが組み合わされた後、下スリット2130と上スリット2230との間に切り欠き部200が形成されている。電池セル10の一部の外縁面は、切り欠き部200に露出している。このため、温度感知線30は、切り欠き部200に露出した各電池セル10の外縁面に接触している。また、温度感知線30におけるワイヤ31は、前述した制御基板41に接続されるものである。
【0035】
本発明の第2電極片122には、一対の出力端子123が設けられている。複数の電池セル10は、一対の出力端子123を介して電力を出力する。
【0036】
図7は、本発明に係る温度検出構造を備えた電池モジュールを示す分解斜視図の部分拡大図であり、
図6の左側の丸印部分を示している。
図7に示すように、複数の電池セル10はハウジング20内に収容されている。ハウジング20は、互いに組み合わされたベース21及び上カバー22から構成されている。バスバー12は、ハウジング20の対向する両側に配置される複数の第1電極片121と複数の第2電極片122とを含む。カバー板221には、第1電極片121が電池セル10上方の電極と接触して電気的に接続されるように複数のスロット2210が設けられており、第1電極片121はスロット2210内に嵌め込む。第2電極片122は、電池セル10下方の電極と接触して電気的に接続され、スロット2110内に嵌め込む。
【0037】
図8は、本発明に係る温度検出構造を備えた電池モジュールを示す分解斜視図の部分拡大図である。
図8に示すように、バスバー12は、複数の第1電極片121と複数の第2電極片122とを含む。第1電極片121は、上カバー22に配置され、第2電極片122はベース21に配置される。温度感知線30は、切り欠き部200に配置され、電池セル10を取り囲む。なお、温度感知線30は、切り欠き部200に露出した各電池セル10の外縁面に接触している。
【0038】
図9は、本発明に係るハウジングを示す概略分解斜視図である。本実施形態において、ハウジング20の固定構造23は、ベース21に設けられた複数の下部固定構造24と、上カバー22に設けられた複数の上部固定構造25とを含む。複数の下部固定構造24は、ベース21の外周縁に間隔をおいて配置され、複数の上部固定構造25は、上カバー22の外周縁に間隔をおいて配置されている。また、電池モジュール1は、複数の締結部材50をさらに含み、各締結部材50はネジであるが、これに限定されない。さらに、ベース21には、複数の締結孔210が間隔をおいて設けられ、上カバー22には、複数の締結孔210に対応する複数の穿孔220が設けられている。複数の締結部材50は、それぞれ複数の穿孔220を貫通して複数の締結孔210に結合される。これにより、ベース21と上カバー22とが締結部材50によって結合されてハウジング20が構成される。
【0039】
以上、本発明の好適な実施形態について詳細に説明したが、本発明の範囲を限定するものではなく、本発明の特許請求の範囲を満たす精神とその類似の変形例は、本発明の範囲に含まれるべきである。
【符号の説明】
【0040】
1 電池モジュール
10 電池セル
12 バスバー
121 第1電極片
122 第2電極片
123 出力端子
20 ハウジング
200 切り欠き部
21 ベース
210 締結孔
211 底板
2110 スロット
212 下側板
213 下位置決め板
2130 下スリット
2131 下部円弧片
22 上カバー
220 穿孔
221 カバー板
2210 スロット
222 上側板
223 上位置決め板
2230 上スリット
2231 上部円弧片
23 固定構造
24 下部固定構造
240 下係止溝
241 下アーム部
242 下係止ブロック
25 上部固定構造
250 上係止溝
251 上アーム部
252 上係止ブロック
30 温度感知線
31 ワイヤ
32 絶縁層
33 保護スリーブ
40 制御群
41 制御基板
42 警報器
50 締結部材