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特開2024-114645電気機械リレー用のコイルアセンブリ、コイルアセンブリを備える電気機械リレー、およびコイルアセンブリを製造する方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024114645
(43)【公開日】2024-08-23
(54)【発明の名称】電気機械リレー用のコイルアセンブリ、コイルアセンブリを備える電気機械リレー、およびコイルアセンブリを製造する方法
(51)【国際特許分類】
   H01F 7/06 20060101AFI20240816BHJP
   H01F 5/00 20060101ALI20240816BHJP
   H01F 41/04 20060101ALI20240816BHJP
【FI】
H01F7/06 L
H01F7/06 D
H01F7/06 Q
H01F5/00 E
H01F5/00 R
H01F41/04 B
【審査請求】有
【請求項の数】15
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024016837
(22)【出願日】2024-02-07
(31)【優先権主張番号】23156118.4
(32)【優先日】2023-02-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(71)【出願人】
【識別番号】501218751
【氏名又は名称】ティーイー コネクティビティ オーストリア ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】100100077
【弁理士】
【氏名又は名称】大場 充
(74)【代理人】
【識別番号】100136010
【弁理士】
【氏名又は名称】堀川 美夕紀
(74)【代理人】
【識別番号】100203046
【弁理士】
【氏名又は名称】山下 聖子
(74)【代理人】
【識別番号】100229736
【弁理士】
【氏名又は名称】大場 剛
(72)【発明者】
【氏名】マルクス グートマン
(72)【発明者】
【氏名】フィリップ ハラー
【テーマコード(参考)】
5E048
5E062
【Fターム(参考)】
5E048AB04
5E048CB07
5E062EE02
5E062FF01
(57)【要約】      (修正有)
【課題】電気機械リレーにおいて電磁駆動力を発生させるためのコイルアセンブリ及びその製造方法を提供する。
【解決手段】コイルアセンブリ(1)は、コア(2)と、コア(2)に巻かれた通電コイル(14)と、コア(2)と通電コイル(14)との間に位置する、通電コイル(14)をコア(2)から半径方向に離間させるための別個の離間部材(24)とを備え、離間部材(24)は、撚線材料(30)から形成された分離巻線(28)の少なくとも1つの層(26)を含む。撚線材料(30)の使用により、離間部材(24)を、従来の方法で成形された離間部材よりもはるかに薄く製造することができ、したがって、通電コイル(14)はより小さい平均内径を有することができるため、設置空間が節約され、コイル効率が向上する。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電磁駆動力を発生させるためのコイルアセンブリ(1)であって、
-コア(2)と、
-前記コア(2)に巻かれた通電コイル(14)と、
-前記コア(2)と前記通電コイル(14)との間に位置する、前記通電コイル(14)を前記コア(2)から半径方向に離間させるための別個の離間部材(24)と
を備え、
前記離間部材(24)は、撚線材料(30)から形成された分離巻線(28)の少なくとも1つの層(26)を含む、コイルアセンブリ(1)。
【請求項2】
分離巻線(28)の前記少なくとも1つの層(26)は、50マイクロメートル以下の厚さを有する、請求項1に記載のコイルアセンブリ(1)。
【請求項3】
前記撚線材料(30)は、金属ワイヤ(50)、フラットリボンケーブル、および絶縁テープのうちの少なくとも1つを含む、請求項1または2に記載のコイルアセンブリ(1)。
【請求項4】
前記撚線材料(30)は、前記コア(2)と同軸に配置された複数のリング状部品として形成され、または、前記撚線材料(30)は、前記コア(2)に螺旋状に巻かれている、請求項1から3のいずれか一項に記載のコイルアセンブリ(1)。
【請求項5】
前記分離巻線(28)と前記通電コイル(14)とは、それぞれ異なる巻線ピッチまたは同じ巻線ピッチを有する、請求項1から4のいずれか一項に記載のコイルアセンブリ(1)。
【請求項6】
前記撚線材料(30)は、前記コア(2)と前記通電コイル(14)との間で前記コア(2)を隙間なく取り囲む、請求項1から5のいずれか一項に記載のコイルアセンブリ(1)。
【請求項7】
前記コイルアセンブリ(1)は、前記コア(2)の端部(8、34)に配置された少なくとも1つの位置決め部材(38)を備え、前記端部(8、34)は、分離巻線(28)の前記少なくとも1つの層(26)から延びる、請求項1から6のいずれか一項に記載のコイルアセンブリ(1)。
【請求項8】
前記少なくとも1つの位置決め部材(38)は、少なくとも1つの固定ピンを含み、前記撚線材料(30)の少なくとも1つの端部(54)が、前記少なくとも1つの固定ピンに固定されている、請求項7に記載のコイルアセンブリ(1)。
【請求項9】
前記少なくとも1つの位置決め部材(38)は、前記コア(2)と分離巻線(28)の前記少なくとも1つの層(26)との間の角部(56)に達する、請求項7または8に記載のコイルアセンブリ(1)。
【請求項10】
前記離間部材(24)は成形部品を含まない、請求項1から9のいずれか一項に記載のコイルアセンブリ(1)。
【請求項11】
前記撚線材料(30)の端部(54)は、互いに接合されている、請求項1から10のいずれか一項に記載のコイルアセンブリ(1)。
【請求項12】
電気機械リレーであって、
請求項1から11のいずれか一項に記載のコイルアセンブリ(1)と、
2つの導電性コイル端子ピンと
を備え、
前記通電コイル(14)の端部が、それぞれ異なるコイル端子ピンに固定されている、電気機械リレー。
【請求項13】
前記撚線材料(30)の端部(54)が、コイル端子ピンに固定されていないか、または、前記撚線材料(30)の端部(54)が、両方とも同じコイル端子ピンに固定されている、請求項12に記載の電気機械リレー。
【請求項14】
請求項1から13のいずれか一項に記載のコイルアセンブリ(1)を製造する方法であって、
-長手方向軸(6)に沿って延びるコア(2)を設けるステップと、
-離間部材(24)の分離巻線(28)の少なくとも1つの層(26)を形成するために、前記コア(2)の部分(62)で撚線材料(30)を前記長手方向軸(6)に巻くステップと、
-前記離間部材(24)によって前記コア(2)から離間した通電コイル(14)を形成するために、前記離間部材(24)の部分(36)でエナメル金属ワイヤ(20)を前記長手方向軸(6)に螺旋状に巻くステップと
を含む、方法。
【請求項15】
分離巻線(28)の前記少なくとも1つの層(26)は、前記コア(2)の中心(64)近くで巻きを開始することによって形成される、請求項14に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気機械リレーまたは他のタイプのスイッチングデバイス、例えばコンタクタにおいて電磁駆動力を発生させるためのコイルアセンブリに関する。さらに、本発明は、コイルアセンブリを備える電気機械リレーに関する。さらに、本発明は、コイルアセンブリを製造する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
電気機械リレーおよび他のスイッチングデバイスは、コイルアセンブリによって発生する電磁駆動力に依拠することが多い。コイルアセンブリは、一般に、コアに巻かれた通電コイルを備え、離間部材がコアとコイルとの間に位置する。通常、前記離間部材は、射出成形によって形成された絶縁チューブまたはケージである。射出成形チューブまたはケージを使用すると、寸法が比較的大きくなる。これにより、離間部材は、その動作中に空間効率およびエネルギー効率に悪影響を及ぼす。
【0003】
したがって、小型でエネルギー効率に悪影響を及ぼさないコイルアセンブリを提供することが望ましい。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、電気機械リレーの性能を向上させるための手段、一般に、電気機械リレーのコイルアセンブリを特に空間およびエネルギー消費に関して改良するための手段を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この目的は、電磁駆動力を発生させるためのコイルアセンブリであって、コアと、コアに巻かれた通電コイルと、コアと通電コイルとの間に位置する、通電コイルをコアから半径方向に離間させるための別個の離間部材とを備え、離間部材は、撚線材料から形成された分離巻線の少なくとも1つの層を含む、コイルアセンブリを提供することによって実現される。
【0006】
上記の解決策によって実現される技術的効果および利点は、以下の通りである。本発明のコイルアセンブリにおいて、通電コイルは、機械的および/または電気的分離の手段としての離間部材によってコアから離間されている。すなわち、離間部材は、絶縁機能を果たすことができるが、その目的は、さらに詳細に後述するように、例えばコイルアセンブリの製造中に果たされる、単なる機械的機能に限定されていてもよい。撚線材料の使用により、分離巻線の少なくとも1つの層の形態の離間部材を、製造可能性、耐火性などによって規定されたある一定の最小材料厚さ要件に従うことの多い、従来の方法で成形された離間部材よりもはるかに薄く製造することができる。
【0007】
本発明のコイルアセンブリは、その薄い離間部材を用いて、より小さい寸法を考慮して、設置空間を節約するだけでなく、コイル効率も向上させる。これは、通電コイルをコアにより近接して巻くことができるため、通電コイルの平均内径がより小さくなるからである。
【0008】
したがって、本発明のコイルアセンブリは、上記の課題を解決する。
【0009】
上記の解決策を、以下の任意選択の機構のうちの1つまたは複数を追加することによって、さらに改良することができる。以下の任意選択の機構のそれぞれは、それ自体有利であり、他の任意選択の機構と独立して組み合わせることができる。
【0010】
1つの可能な実施形態によれば、コアは、長手方向軸に沿って延びる実質的に長形の要素であってよい。例えば、コアは、少なくとも部分的に、長手方向軸に対して垂直な円形、長円形、または楕円形断面を持つ円筒形状を有することができる。分離巻線の少なくとも1つの層を、前記円筒形状に配置することができる。本実施形態において、撚線材料に損傷を与える可能性のある尖鋭な縁部がコアに存在しないことが有利である。
【0011】
別の可能な実施形態によれば、コアはT字形状を示すことができる。言い換えると、コアは、長手方向軸に沿って相互に反対に位置する直線端部とT字形端部とを含むことができる。直線端部とT字形端部との間に、直方体部分が延びることができる。このようなコアは、成形された離間部材を備えるコイルアセンブリにおいて既にしばしば使用されているため、市販されている。
【0012】
しかし、本発明では成形された離間部材が省かれているため、成形された離間部材をコア上に滑らせることを可能にする直線端部をコアが有する差し迫った必要性はない。したがって、本発明は、T字形コアに限定されるのではなく、H字形コアと組み合わせて使用することもできる。すなわち、コアは、長手方向軸に沿って相互に反対に位置する2つのT字形端部を含み、それらの間に直方体部分が延びていてもよい。本実施形態において、さらに詳細に後述するように、分離巻線の少なくとも1つの層から構成された離間部材を、直方体部分に撚線材料を巻くことによって得ることができる。
【0013】
さらに、コアを、1超、好ましくは10超、より好ましくは100超、および最も好ましくは1000超の比透磁率を有する鉄または任意の他の強磁性材料から形成することができる。特に、コアは鉄心であってよい。これは、電磁駆動力を増幅させる。
【0014】
別の可能な実施形態によれば、分離巻線の少なくとも1つの層は、10~150マイクロメートルの厚さを有する。厚さは、長手方向軸に対して垂直な半径方向において測定されることが好ましい。成形された離間部材を備える従来のコイルアセンブリと比較して、本実施形態は、そのコンパクトな構造の点で有利である。
【0015】
離間部材の必要な厚さおよび機能に応じて、分離巻線の少なくとも2つの層を設けてもよい。すなわち、離間部材が通電コイルとコアとの間の電気絶縁の役割を果たすものである場合、コイルアセンブリの動作電圧における電気破壊を防ぐのに必要な絶縁耐力を実現するために、分離巻線の2つ以上の層が必要であり得る。しかしながら、離間部材の唯一の目的が、通電コイルとコアとの間の単なる機械的分離である場合、分離巻線の1つの層で十分であり得る。後者の場合について、さらに後述する。
【0016】
通電コイル自体は、離間部材の部分で長手方向軸に螺旋状に巻かれた通電コイル巻線の少なくとも1つの層を含むことができる。これらの通電コイル巻線は、エナメル金属ワイヤ、特にエナメル銅ワイヤを含むことができる。さらに後述するように、通電コイル巻線のエナメル金属ワイヤに固有の電気絶縁ラッカにより、離間部材自体は、必ずしも絶縁特性を提供する必要はなく、機械的原理のみに従って動作することができる。コイルアセンブリが発生可能であるべき所望の電磁駆動力に応じて、通電コイルは、5超、好ましくは10超、より好ましくは20超、最も好ましくは50超の通電コイル巻線の層を含むことができる。
【0017】
層の最大数は、それぞれの適用によって決まるが、100層を超えるべきではない。そうでないと、本発明のコイルアセンブリの効率向上効果が目立たなくなるか、または無視できるほど小さくなるからである。
【0018】
別の可能な実施形態によれば、撚線材料は、尖鋭な角部を形成することなく、コアに、特にコアの直方体部分に巻かれるように、柔軟であってよい。すなわち、撚線材料は、コアに巻かれたときに丸みのある曲がり部のみを形成する。したがって、撚線材料は、通電コイルとコアとの間の上記の単なる機械的分離を行うのに特に適している。つまり、撚線材料は、コアの尖鋭な縁部、特にその直方体部分の尖鋭な縁部を覆うように機能することができる。そうでないと、通電コイルをコアに巻いたときに、このような縁部は、通電コイル巻線のラッカに損傷を与えることになる。
【0019】
上記の単なる機械的分離が主な機能である場合、分離巻線に使用される撚線材料は、金属ワイヤ、特にエナメル銅ワイヤを含むことができるが、撚線材料は、通電コイル巻線に相互接続されていない。例えば、金属ワイヤは、10~100マイクロメートルの直径を有するコイルワイヤであってよい。本実施形態は、同じまたはより大きい直径を有するコイルワイヤを使用可能な通電コイルに使用するものと同じ原材料または少なくとも同じ種類の原材料を使用することができるため、有利である。
【0020】
あるいはまたは加えて、撚線材料は、フラットリボンケーブルおよび/または絶縁テープを含むことができる。さらに、撚線材料は、円形断面を有するプラスチックワイヤを含むことができる。撚線材料は、編組または撚線であってよい。したがって、本発明のコイルアセンブリは、価格、性能、および可用性などの態様に基づいて自由に選択可能な、原材料の幅広い選択肢を提供する。
【0021】
前述したように、分離巻線の少なくとも1つの層を、コアの直方体部分に撚線材料を巻くことによって得ることができる。特に、撚線材料を、コアの直方体部分に螺旋状に巻くことができる。本実施形態にとって有利なのは、分離巻線の少なくとも1つの層を、(後で)同様に螺旋状に巻かれる通電コイルと同じ巻線機で形成することができることである。特に、1つの取付けステップと1つの取外しステップとを、このようにして省くことができる。
【0022】
あるいは、撚線材料を、コアと同軸に配置された複数のリング状部品として形成することができる。リング状部品は、周方向に閉じており、T字形コアを使用するときに、上記の直線端部からコア上に滑らせることができる。そうでない場合、リング状部品は、横方向に開いており、コアにスナップ留めするか、またはコアの周りで曲げることができる。本実施形態の製造のために、特に通電コイルが予め巻かれたコイルとして供給される場合、巻線機は不要である。
【0023】
別の可能な実施形態によれば、分離巻線と通電コイルとは、同じ巻線ピッチを有することができる。本実施形態の利点は、製造中、分離巻線が完成し、次に通電コイルを巻くときに、ピッチ変更が不要になることである。あるいは、分離巻線と通電コイルとは、それぞれ異なる巻線ピッチを有していてもよい。これにより、巻線ピッチが同じ場合のように、通電コイルのコイルワイヤが隣接する分離巻線間に入り込む可能性が低くなるため、コアと通電コイルとの間のより確実な分離が生じる。
【0024】
別の可能な実施形態によれば、撚線材料は、コアと通電コイルとの間でコアを隙間なく取り囲む。本実施形態は、分離巻線と通電コイルとの巻線ピッチが同じである場合、特に有利である。隙間がないことにより、通電コイルのコイルワイヤが隣接する分離巻線間に入り込むことを防ぐ。あるいは、隙間が通電コイルワイヤの直径よりも十分に小さければ、個々の分離巻線間に隙間が存在してもよい。
【0025】
別の可能な実施形態によれば、コイルアセンブリは、コアの端部に配置された少なくとも1つの位置決め部材を備えることができ、前記端部は、分離巻線の少なくとも1つの層から延びる。少なくとも1つの位置決め部材は、例えば、絶縁材料から形成されたスプールカラーであってよい。スプールカラーはカラー部分を有することができ、このカラー部分は、略円板状で、長手方向軸の周りで周方向に延びる。さらに、カラー部分は、長手方向軸に平行な軸方向を向くように配された前面を含むことができる。通電コイルと離間部材とは、それぞれカラー部分の前面に軸方向において当接することができる。コイルアセンブリは、長手方向軸に対してコアの両端部にそれぞれ配置された2つのそのような位置決め部材を備えることが好ましい。
位置決め部材を設けると、通電コイルと離間部材とが軸方向においてコアで滑ること、またはさらにはコアから滑り落ちることを防ぐため、有利である。
【0026】
任意選択で、少なくとも1つの位置決め部材は、少なくとも1つの固定ピンを含む。少なくとも1つの固定ピンを、少なくとも1つの位置決め部材のピン状部分によって一体に形成することができる。さらに、撚線材料の少なくとも1つの端部が、少なくとも1つの固定ピンに固定されている。撚線材料端部の前記固定を、結束、巻き、接着などによって実現することができる。したがって、コアに巻かれた撚線材料の巻戻しを、少なくとも片側で防ぐことができる。
【0027】
撚線材料の巻戻しを両側で防ぐために、撚線材料の両端部を同じ固定ピンに共通して固定することができる。これは、偶数の分離巻線層が設けられる場合に特に有利であり、これは、撚線材料の両端部が、その後、互いに比較的近接するからである。あるいは、少なくとも1つの位置決め部材は、2つの固定ピンを含むこともでき、撚線材料の両端部は、異なる固定ピンに固定される。
【0028】
撚線材料の両端部を1つまたは複数の固定ピンに固定する代わりに、撚線材料の両端部を、例えば互いに結束することによって、互いに接合することができる。これにより、少なくとも1つの位置決め部材の構造を簡略化することができる。
【0029】
奇数の分離巻線層を含み、2つの位置決め部材が設けられる実施形態において、2つの位置決め部材のそれぞれが、撚線材料の1つの端部ごとに少なくとも1つの固定ピンを含むことができる。その後、撚線材料の両端部を、最も近い固定ピンにそれぞれ固定することができる。
【0030】
別の可能な実施形態によれば、少なくとも1つの位置決め部材は、コアと分離巻線の少なくとも1つの層との間の角部に達することができる。前記角部を少なくとも1つの位置決め部材が占めることによって、通電コイルの巻線が分離巻線から滑り落ちて前記角部に入り込むことを防ぐ。
【0031】
少なくとも1つの位置決め部材と離間部材とが、別個の部品であることが好ましい。特に、離間部材は成形部品を含まない。すなわち、任意の技術的基準(例えば、いわゆるULイエローカード)に従う最小材料厚さについてのある一定の要件を満たさなければならない、潜在的に可燃性の射出成形樹脂またはプラスチックは、コアと通電コイルとの間に配置されていない。
【0032】
最初の目的は、上記の実施形態のうちのいずれか1つによるコイルアセンブリと、2つの導電性コイル端子ピンとを備える電気機械リレーであって、通電コイルの端部が、それぞれ異なるコイル端子ピンに固定されている、電気機械リレーによっても達成される。
【0033】
電気機械リレーは、高い電気効率、コンパクトな配置、安価な製造コスト、および短い製造時間をもたらすコイルアセンブリの利点から利益を得る。したがって、本発明の電気機械リレーは、最初の目的を達成する。
【0034】
撚線材料の端部および分離巻線全体は、導電性材料(例えば銅)を含む場合でもポテンシャルフリー(potential-free)であることが好ましい。すなわち、撚線材料の端部は、コイル端子ピンに全く固定されていない。これにより、対応する固定ステップを省略することができるため、製造プロセスが容易になる。
【0035】
あるいは、撚線材料の両端部は、両方とも同じコイル端子ピンに固定されている。したがって、いずれにしても通電コイルのために設けなければならない既存のピンによって、撚線材料の巻戻しを防ぐことができる。
【0036】
最初の目的は、コイルアセンブリを製造する方法であって、長手方向軸に沿って延びるコアを設けるステップと、離間部材の分離巻線の少なくとも1つの層を形成するためにコアの部分で撚線材料を長手方向軸に巻くステップと、離間部材によってコアから離間した通電コイルを形成するために離間部材の部分でエナメル金属ワイヤを長手方向軸に螺旋状に巻くステップとを含む方法によってさらに達成される。撚線材料は螺旋状に巻かれることが好ましい。撚線材料は、銅ワイヤ、フラットリボンケーブル、または絶縁テープなどのエナメル金属ワイヤであってよい。
【0037】
本発明の方法は、前述した利点を示す本発明のコイルアセンブリの製造を可能にするため、最初の目的を達成する。
【0038】
方法の1つの可能な実施形態によれば、分離巻線の少なくとも1つの層は、コアの中心またはその近くで撚線材料の巻きを開始することによって形成される。加えて、コアの中心またはその近くで撚線材料の巻きを停止することもできる。すなわち、正確にコアの中央で、または少なくともいずれのコアの端部よりもコアの中央に近接した位置で、巻きを開始および/または終了することができる。
【0039】
前記位置から、撚線材料は、コアの一端部に向かってコアに螺旋状に巻かれて、分離巻線の第1の層の第1の半部を形成する。ある最外位置(例えば、一方の位置決め部材が配置されている)に到達した後、撚線材料は、今度は、分離巻線の第1の層の第1の半部の上の開始位置に向かって巻かれる。これにより、分離巻線の第2の層の第1の半部が形成される。開始位置を通過すると、分離巻線の第1の層の第2の半部を完成させるために、撚線材料は再び、反対の最外位置に向かってコアに直接巻かれる。所望の数の分離巻線層が半部ずつ得られるまで、このプロセスを繰り返すことができる。
それにより、本発明の方法は、撚線材料の開始端部および/または終了端部が、上層の分離巻線によって、かつ/もしくは、後で通電コイルによって自己保持するように保持されるため、緩い端部の少ないコイルアセンブリをもたらし、有利である。
【0040】
以下で、図面を参照しながら、本発明の例示的な実施形態について説明する。図示し記載する実施形態は、説明のためのものに過ぎない。実施形態に示す機構の組合せを、前記説明に従って変更することができる。例えば、実施形態には示さないが前述した機構に関連する技術的効果が特定の適用に有利であれば、その機構を追加することができる。逆に、実施形態の一部として示される機構に関連する技術的効果が特定の適用に不要であれば、前述したようにその機構を省略することができる。
【0041】
図中、機能および/または構造に関して互いに対応する要素は、同じ参照番号で示されている。
【図面の簡単な説明】
【0042】
図1】本開示の可能な実施形態によるコイルアセンブリの概略上面図である。
図2図1の線A-Aに沿ったコイルアセンブリの概略側断面図である。
図3図2の円IIIの詳細の概略図である。
図4図3に示す実施形態の別の詳細の概略斜視図である。
図5】本開示の別の可能な実施形態によるコイルアセンブリの概略上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0043】
最初に、図1図5に示す例示的な実施形態を参照しながら、本発明によるコイルアセンブリ1の可能な実施形態の構造について説明する。さらに以下で、図2は、本発明によるコイルアセンブリ1を製造する方法を説明するために使用される。
【0044】
図1は、本開示の1つの可能な実施形態によるコイルアセンブリ1の上面図である。コイルアセンブリ1は、電磁駆動力を必要とする電気機械リレーまたは別の種類のスイッチングデバイス(図示せず)で使用されるように機能する。見て取れるように、コイルアセンブリ1はコア2を備える。コア2は、長手方向軸6に沿って延び、かつH字形状を有する実質的に長形の要素4であってよい。すなわち、コア2は、長手方向軸6に沿って相互に反対に位置する2つのT字形端部8を含むことができる。T字形端部8の間に、直方体部分10が延びることができる(図2参照)。
【0045】
図5に示す別の実施形態によれば、コア2は、代わりにT字形状を有することができる。言い換えると、コア2は、2つのT字形端部8の代わりに、長手方向軸6に沿って相互に反対に位置する1つのみのT字形端部8と直線端部34とを含むことができる。本実施形態は、通電コイルが予め巻かれたコイルとして供給される場合に、通電コイルを全体として直線端部34からコア2上に滑らせることができるため、有利である。
【0046】
さらに、コア2を、1超、好ましくは10超、より好ましくは100超、および最も好ましくは1000超の比透磁率を有する鉄または任意の他の強磁性材料から形成することができる。任意選択の層の最大数は、100を超えるべきではない。特に、コア2は鉄心12であってよい。これは、コイルアセンブリによって発生する電磁駆動力を増幅させる。
【0047】
さらに、図1に示すように、コイルアセンブリ1は、コア2に巻かれた通電コイル14を備える。通電コイル14は、通電コイル巻線18の少なくとも1つの層16を含むことができる。これらの通電コイル巻線18は、エナメル金属ワイヤ20、特にエナメル銅ワイヤ22を含むことができる。エナメル金属ワイヤ20の電気絶縁ラッカにより、通電コイル巻線18は、本質的に互いにかつコア2から絶縁されている。コイルアセンブリ1が発生可能であるべき所望の電磁駆動力に応じて、通電コイル14は、10超、より好ましくは50超、より好ましくは100超、最も好ましくは200超の通電コイル巻線18の層16を含むことができる。
【0048】
図3に最も良く見られるように、コイルアセンブリ1は、コア2と通電コイル14との間に位置する、通電コイル14をコア2から半径方向に離間するための、機械的および/または電気的分離の手段としての別個の離間部材24をさらに備える。すなわち、離間部材24は、絶縁機能を果たすことができるが、その目的は、さらに詳細に後述するように、例えばコイルアセンブリの製造中に果たされる、単なる機械的機能に限定されていてもよい。
【0049】
離間部材24は、撚線材料30から形成された分離巻線28の少なくとも1つの層26を含む。撚線材料30の使用により、分離巻線28の少なくとも1つの層26の形態の離間部材24を、製造可能性、耐火性などによって規定されたある一定の最小材料厚さ要件に従うことの多い、従来の方法で成形された離間部材(図示せず)よりもはるかに薄く製造することができる。
【0050】
本発明のコイルアセンブリ1は、その薄い離間部材24を用いて、設置空間を節約し、コイル効率を向上させる。これは、通電コイル14をコア2により近接して巻くことができるため、通電コイル14の平均内径32がより小さくなるからである(図4参照)。さらに、分離巻線28の少なくとも1つの層26の形態の離間部材24を製造するために、コストのかかる、長時間にわたる成形プロセスを実行する必要がないので、製造コストが削減され、生産性が向上する。
【0051】
分離巻線28の少なくとも1つの層26を、コア2の直方体部分10に撚線材料30を巻くことによって得ることができる。特に、撚線材料30を、コア2の直方体部分10に螺旋状に巻くことができる。あるいは、撚線材料30を、コア2と同軸に配置された複数のリング状部品(図示せず)として形成することができる。リング状部品は、周方向に閉じており、T字形コア2を使用するときに、上記の直線端部34からコア上に滑らせることができる。そうでない場合、リング状部品は、横方向に開いており、コア2にスナップ留めするか、またはコア2の周りで曲げることができる。
【0052】
したがって、通電コイル巻線18のエナメル金属ワイヤ20は、離間部材24の部分36で長手方向軸6に螺旋状に巻かれている。したがって、分離巻線28と通電コイル巻線18とは、同じ巻線ピッチを有することができる。それにより、製造中、分離巻線28が完成し、次に通電コイル巻線18を巻くときに、ピッチ変更が不要になる。あるいは、分離巻線28と通電コイル巻線18とは、それぞれ異なる巻線ピッチを有していてもよい。これにより、巻線ピッチが同じ場合のように、通電コイル巻線18のコイルワイヤが隣接する分離巻線28間に入り込む可能性が低くなるため、コア2と通電コイル14との間のより確実な分離が生じる。
【0053】
巻線ピッチが同じ場合であってもコア2と通電コイル14との間の確実な分離を保証するために、撚線材料30は、コア2と通電コイル14との間でコア2を隙間なく取り囲むことができる。あるいは、隙間(図示せず)が通電コイルのコイルワイヤの直径よりも十分に小さければ、個々の分離巻線28間に隙間が存在してもよい。
【0054】
図2に見られるように、コイルアセンブリ1は、コア2の端部8、34に配置された少なくとも1つの位置決め部材38を備えることができ、前記端部8、34は、分離巻線28の少なくとも1つの層26から延びる。少なくとも1つの位置決め部材38は、例えば、絶縁材料から形成されたスプールカラー40であってよい。スプールカラー40はカラー部分42を有することができ、このカラー部分42は、略円板状で、長手方向軸6の周りで周方向44に延びる。さらに、カラー部分42は、長手方向軸6に平行な軸方向84を向くように配された前面46を含むことができる。通電コイル14と離間部材24とは、それぞれカラー部分42の前面46に軸方向84において当接することができる。
【0055】
上記の隙間なしを維持するために、コイルアセンブリ1は、長手方向軸6に対してコア2の両端部8、34にそれぞれ配置された2つのそのような位置決め部材38を備えることが好ましい。したがって、通電コイル14と離間部材24とが軸方向84においてコア2で滑ること、またはさらにはコア2から滑り落ちることを防ぐことができる。
【0056】
図3に示すように、離間部材24の必要な厚さ48および機能に応じて、分離巻線28の少なくとも2つの層26を設けてもよい。すなわち、離間部材24が通電コイル14とコア2との間の電気絶縁の役割を果たすものである場合、コイルアセンブリの動作電圧における電気破壊を防ぐのに必要な絶縁耐力を実現するために、分離巻線の2つ以上の層が必要であり得る。しかしながら、離間部材24の唯一の目的が、通電コイル14とコア2との間の単なる機械的分離である場合、分離巻線28の単一の層26で十分であり得る。
【0057】
通電コイル14とコア2との間の単なる機械的分離を確立するために、撚線材料30は、尖鋭な角部を形成することなく、コア2に、特にコア2の直方体部分10に巻かれるように、柔軟であることが好ましい。すなわち、撚線材料30は、コア2に巻かれたときに丸みのある曲がり部のみを形成すべきである。したがって、撚線材料30は、コア2の尖鋭な縁部、特にその直方体部分10の尖鋭な縁部を覆うように機能することができる。そうでないと、通電コイル14をコア2に巻いたときに、このような縁部は、通電コイル巻線18のラッカに損傷を与えることになる。
【0058】
図示の実施形態において、分離巻線28に使用される撚線材料30は、通電コイル巻線18と同様に、金属ワイヤ50、特にエナメル銅ワイヤ52を含むが、撚線材料30は、通電コイル巻線18に相互接続されていない。すなわち、通電コイル巻線18と分離巻線28とは異なる部品である。例えば、撚線材料は、21~90マイクロメートルの直径を有するコイルワイヤであってよく、一方、通電コイルは、同じまたはより大きい直径を有する別個のコイルワイヤを含むことができる。これは、通電コイル巻線18と分離巻線28とに同じ原材料または少なくとも同じ種類の原材料を使用することができるため有利である。
【0059】
あるいはまたは加えて、撚線材料30は、フラットリボンケーブルおよび/または絶縁テープ(図示せず)を含むことができる。したがって、コイルアセンブリ1は、価格、性能、および可用性などの態様に基づいて自由に選択可能な、原材料の幅広い選択肢を提供する。
【0060】
図示しない実施形態によれば、少なくとも1つの位置決め部材1は、少なくとも1つの固定ピン(図示せず)を含むことができる。少なくとも1つの固定ピンを、少なくとも1つの位置決め部材38のピン状部分によって一体に形成することができる。さらに、撚線材料30の巻戻しを少なくとも片側で防ぐために、撚線材料30の少なくとも1つの端部54を、少なくとも1つの固定ピンに固定することができる。撚線材料端部54の前記固定を、結束、巻き、接着などによって実現することができる。
【0061】
偶数の分離巻線層26が設けられ、撚線材料30の両端部54が互いに比較的近接している場合、撚線材料30の両端部54を同じ固定ピンに共通して固定することによって、撚線材料30の巻戻しを両側で防ぐことができる。撚線材料30に電流が流れないため、撚線材料端部54が直接接触しても短絡の危険はない。それでも、少なくとも1つの位置決め部材38は、2つの固定ピンを含むこともでき、撚線材料30の両端部54は、異なる固定ピンに固定される。撚線材料30の両端部54を1つまたは複数の固定ピンに固定する代わりに、撚線材料30の両端部54を、例えば互いに結束することによって、互いに接合することができる。
【0062】
奇数の分離巻線層26と2つの位置決め部材38とが設けられる場合、2つの位置決め部材38のそれぞれが、撚線材料30の1つの端部54ごとにそれ自体の固定ピンを含むことができる。その後、撚線材料30の両端部54を、最も近い固定ピンにそれぞれ固定することができる。
【0063】
図3に見られるように、少なくとも1つの位置決め部材38は、コア2と分離巻線28の少なくとも1つの層26との間の角部56に達することができる。前記角部56を少なくとも1つの位置決め部材38が占めることによって、通電コイル14の巻線が分離巻線28から滑り落ちて前記角部56に入り込むことを防ぐ。
【0064】
少なくとも1つの位置決め部材38と離間部材24とが別個の部品であることが好ましい。特に、離間部材は成形部品を含まない。特に、図3は、撚線材料30のみを示し、射出成形樹脂またはプラスチック部品は、コア2と通電コイル14との間に配置されていない。そのような部品は、潜在的に可燃性であり、したがって、撚線材料を使用するときに必要ではない技術的基準(例えば、いわゆるULイエローカード)に従う最小材料厚さについてのある一定の要件を満たさなければならない。
【0065】
したがって、分離巻線28の少なくとも1つの層26は、50マイクロメートル以下の厚さ58を有することができる。ここでは、厚さ58は、長手方向軸6に対して垂直な半径方向60において測定される。それに対して、成形された離間部材(図示せず)を備える従来のコイルアセンブリは、通常、少なくとも0.25~0.40ミリメートルの厚さを有する。
【0066】
本発明による電気機械リレー(図示せず)は、上記の実施形態のうちのいずれか1つによるコイルアセンブリ1と、2つの導電性コイル端子ピンとを備え、通電コイルの端部が、それぞれ異なるコイル端子ピンに固定されている。撚線材料30の端部54および分離巻線28全体は、導電性材料(例えば銅)を含む場合でもポテンシャルフリーであることが好ましい。すなわち、撚線材料30の端部54を、コイル端子ピンに全く固定する必要がない。しかし、代わりに、撚線材料30の端部54を、両方とも同じコイル端子ピンに固定してもよい。
【0067】
次に、図2および図3を参照しながら、本発明によるコイルアセンブリ1を製造する方法について説明する。
【0068】
方法は、長手方向軸6に沿って延びるコア2を設けるステップと、離間部材24の分離巻線28の少なくとも1つの層26を形成するために、コア2の部分62で撚線材料30を長手方向軸6に巻くステップと、通電コイル14を形成するために、離間部材24の部分36でエナメル金属ワイヤ20を長手方向軸6に螺旋状に巻くステップとを含む。結果として得られるコイルアセンブリ1において、通電コイル14は、離間部材24によってコア2から離間している。撚線材料30も螺旋状に巻かれることが好ましい。例えば、撚線材料30は、銅ワイヤ52、フラットリボンケーブル、または絶縁テープなどのエナメル金属ワイヤ50であってよい。
【0069】
分離巻線28の少なくとも1つの層26を、コア2の中心64またはその近くで撚線材料30の巻きを開始することによって形成することができる。加えて、コア2の中心64またはその近くで撚線材料30の巻きを停止することもできる。すなわち、正確にコア2の中央66で、または少なくともコア2の端部8、34よりもコア2の中央66に近接した位置68で、巻きを開始および/または終了することができる。
【0070】
前記位置68から、撚線材料30は、コア2の一端部8に向かってコア2に螺旋状に巻かれて、分離巻線28の第1の層72の第1の半部70を形成する(図3参照)。ある最外位置74(例えば、一方の位置決め部材38が配置されている)に到達した後、撚線材料30は、今度は、分離巻線28の第1の層72の第1の半部70の上の開始位置68に向かって巻かれる。これにより、分離巻線28の第2の層78の第1の半部76が形成される。開始位置68を通過すると、分離巻線28の第1の層72の第2の半部82を完成させるために、撚線材料30は再び、反対の最外位置80に向かってコア2に直接巻かれる。
【0071】
所望の数の分離巻線層26が半部ずつ得られるまで、このプロセスを繰り返すことができる。それにより、本発明の方法は、撚線材料30の開始端部および/または終了端部が、上層の分離巻線28によって、かつ/または、後で通電コイル14によって自己保持するように保持されるため、緩い端部の少ないコイルアセンブリ1をもたらし、有利である。
【符号の説明】
【0072】
1 コイルアセンブリ
2 コア
4 要素
6 軸
8 端部
10 部分
12 鉄心
14 通電コイル
16 層
18 通電コイル巻線
20 エナメル金属ワイヤ
22 エナメル銅ワイヤ
24 離間部材
26 層
28 分離巻線
30 撚線材料
32 平均内径
34 直線端部
36 部分
38 位置決め部材
40 スプールカラー
42 カラー部分
44 周方向
46 前面
48 厚さ
50 金属ワイヤ
52 エナメル銅ワイヤ
54 端部
56 角部
58 厚さ
60 半径方向
62 部分
64 中心
66 中央
68 位置
70 第1の半部
72 第1の層
74 位置
76 第1の半部
78 第2の層
80 位置
82 第2の半部
84 軸方向
図1
図2
図3
図4
図5
【手続補正書】
【提出日】2024-03-21
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電磁駆動力を発生させるためのコイルアセンブリ(1)であって、
-コア(2)と、
-前記コア(2)に巻かれた通電コイル(14)と、
-前記コア(2)と前記通電コイル(14)との間に位置する、前記通電コイル(14)を前記コア(2)から半径方向に離間させるための別個の離間部材(24)と
を備え、
前記離間部材(24)は、撚線材料(30)から形成された分離巻線(28)の少なくとも1つの層(26)を含む、コイルアセンブリ(1)。
【請求項2】
分離巻線(28)の前記少なくとも1つの層(26)は、50マイクロメートル以下の厚さを有する、請求項1に記載のコイルアセンブリ(1)。
【請求項3】
前記撚線材料(30)は、金属ワイヤ(50)、フラットリボンケーブル、および絶縁テープのうちの少なくとも1つを含む、請求項1に記載のコイルアセンブリ(1)。
【請求項4】
前記撚線材料(30)は、前記コア(2)と同軸に配置された複数のリング状部品として形成され、または、前記撚線材料(30)は、前記コア(2)に螺旋状に巻かれている、請求項1に記載のコイルアセンブリ(1)。
【請求項5】
前記分離巻線(28)と前記通電コイル(14)とは、それぞれ異なる巻線ピッチまたは同じ巻線ピッチを有する、請求項1に記載のコイルアセンブリ(1)。
【請求項6】
前記撚線材料(30)は、前記コア(2)と前記通電コイル(14)との間で前記コア(2)を隙間なく取り囲む、請求項1に記載のコイルアセンブリ(1)。
【請求項7】
前記コイルアセンブリ(1)は、前記コア(2)の端部(8、34)に配置された少なくとも1つの位置決め部材(38)を備え、前記端部(8、34)は、分離巻線(28)の前記少なくとも1つの層(26)から延びる、請求項1に記載のコイルアセンブリ(1)。
【請求項8】
前記少なくとも1つの位置決め部材(38)は、少なくとも1つの固定ピンを含み、前記撚線材料(30)の少なくとも1つの端部(54)が、前記少なくとも1つの固定ピンに固定されている、請求項7に記載のコイルアセンブリ(1)。
【請求項9】
前記少なくとも1つの位置決め部材(38)は、前記コア(2)と分離巻線(28)の前記少なくとも1つの層(26)との間の角部(56)に達する、請求項7に記載のコイルアセンブリ(1)。
【請求項10】
前記離間部材(24)は成形部品を含まない、請求項1に記載のコイルアセンブリ(1)。
【請求項11】
前記撚線材料(30)の端部(54)は、互いに接合されている、請求項1に記載のコイルアセンブリ(1)。
【請求項12】
電気機械リレーであって、
請求項1から11のいずれか一項に記載のコイルアセンブリ(1)と、
2つの導電性コイル端子ピンと
を備え、
前記通電コイル(14)の端部が、それぞれ異なるコイル端子ピンに固定されている、電気機械リレー。
【請求項13】
前記撚線材料(30)の端部(54)が、コイル端子ピンに固定されていないか、または、前記撚線材料(30)の端部(54)が、両方とも同じコイル端子ピンに固定されている、請求項12に記載の電気機械リレー。
【請求項14】
請求項1から11のいずれか一項に記載のコイルアセンブリ(1)を製造する方法であって、
-長手方向軸(6)に沿って延びるコア(2)を設けるステップと、
-離間部材(24)の分離巻線(28)の少なくとも1つの層(26)を形成するために、前記コア(2)の部分(62)で撚線材料(30)を前記長手方向軸(6)に巻くステップと、
-前記離間部材(24)によって前記コア(2)から離間した通電コイル(14)を形成するために、前記離間部材(24)の部分(36)でエナメル金属ワイヤ(20)を前記長手方向軸(6)に螺旋状に巻くステップと
を含む、方法。
【請求項15】
分離巻線(28)の前記少なくとも1つの層(26)は、前記コア(2)の中心(64)近くで巻きを開始することによって形成される、請求項14に記載の方法。
【外国語明細書】