(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024114649
(43)【公開日】2024-08-23
(54)【発明の名称】音響トランスデューサユニット
(51)【国際特許分類】
H04R 9/00 20060101AFI20240816BHJP
H04R 9/06 20060101ALI20240816BHJP
H04R 1/02 20060101ALI20240816BHJP
【FI】
H04R9/00 C
H04R9/06 A
H04R1/02 101G
【審査請求】未請求
【請求項の数】27
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024017622
(22)【出願日】2024-02-08
(31)【優先権主張番号】10 2023 103 447.2
(32)【優先日】2023-02-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(31)【優先権主張番号】10 2023 111 766.1
(32)【優先日】2023-05-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(71)【出願人】
【識別番号】518063492
【氏名又は名称】ユーサウンド ゲーエムベーハー
【氏名又は名称原語表記】USOUND GMBH
【住所又は居所原語表記】Kratkystrasse 2, 8020 Graz (AT)
(74)【代理人】
【識別番号】110000383
【氏名又は名称】弁理士法人エビス国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】アンドレア ルスコーニ クレリチ ベルトラミ
(72)【発明者】
【氏名】フェルッチオ ボトーニ
(72)【発明者】
【氏名】サム ベンス ホーヴァス
(72)【発明者】
【氏名】クリスチャン ノボトニー
(72)【発明者】
【氏名】ヤコブ スポトル
【テーマコード(参考)】
5D012
【Fターム(参考)】
5D012AA02
5D012BA03
5D012BB03
5D012DA04
5D012FA01
5D012GA01
(57)【要約】 (修正有)
【課題】出力を向上させた音響トランスデューサユニットを提供する。
【解決手段】音響トランスデューサユニット(1)は、永久磁場(4,5)を有するマグネットユニット(2,3)と、音波を生成するために、ストローク軸(8,9)に沿って振れることができる振動板(10,11)、および、コイル配置(16,17)を有する音響ユニット(6,7)と、を備える。コイル配置(16,17)は、永久磁場(4,5)と動的磁場(12,13)とを介して音響ユニット(6,7)とマグネットユニット(2,3)とが接続できるよう、電気信号により動的磁場を形成する。その結果、振動板(10,11)は、ストローク軸(8,9)に沿って振れる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
音響トランスデューサユニット(1)、特にフラットパネルスピーカー、好ましくは、静磁式ラウドスピーカーであって、
永久磁場(4,5,34)を有する少なくとも1つのマグネットユニット(2,3,28)と、
前記永久磁場(4,5,34)に配置された少なくとも1つの音響ユニット(6,7,29)と、を備え、
前記音響ユニット(6,7,29)は、音波を生成するために、ストローク軸(8,9,38)に沿って振れることができる少なくとも1つの振動板(10,11,30)と、
前記振動板(10,11,30)が前記ストローク軸(8,9,38)に沿って振れることができるよう、電流が供給され得るコイル配置(16,17,31)とを有し、
前記音響トランスデューサユニット(1)は、少なくとも2つの前記マグネットユニット(2,3,28)と、少なくとも2つの前記音響ユニット(6,7,29)とを有し、前記少なくとも2つのマグネットユニット(2,3,28)と、前記少なくとも2つの音響ユニット(6,7,29)とは、交互に上下になるよう配置されることを特徴とする、音響トランスデューサユニット。
【請求項2】
前記音響ユニット(6,7,29)と前記マグネットユニット(2,3,28)とは、特に、前記ストローク軸(8,9,38)の方向に上下に配置されることを特徴とする、請求項1に記載の音響トランスデューサユニット。
【請求項3】
前記少なくとも2つのマグネットユニット(2,3,28)と、前記少なくとも2つの音響ユニット(6,7,29)、特に前記コイル配置(16,17,31)、および/または、前記振動板(10,11,30)とは、少なくともいくつかの領域で合同に配置されることを特徴とする、請求項1および2のいずれかに記載の音響トランスデューサユニット。
【請求項4】
1つの前記マグネットユニット(2,3,28)の前記永久磁場(4,5,34)には、2つの前記音響ユニット(6,7,29)が配置され、
前記1つのマグネットユニット(2,3,28)は、前記ストローク軸(8,9,38)の方向において、好ましくは前記2つの音響ユニット(6,7,29)の間に配置されることを特徴とする、請求項1~3のいずれかに記載の音響トランスデューサユニット。
【請求項5】
少なくとも3つの前記音響ユニット(6,7,29)と、少なくとも3つの前記マグネットユニット(2,3,28)とが交互に上下になるよう配置されることを特徴とする、請求項1~4のいずれかに記載の音響トランスデューサユニット。
【請求項6】
前記音響ユニット(6,7,29)の前記ストローク軸(8,9,38)の方向において、前記音響ユニット(6,7,29)の上下には、前記マグネットユニット(2,3,28)が1つずつ配置されることを特徴とする、請求項1~5のいずれかに記載の音響トランスデューサユニット。
【請求項7】
前記音響トランスデューサユニット(1)は、前部容積(14)と後部容積(15)とを有することを特徴とする、請求項1~6のいずれかに記載の音響トランスデューサユニット。
【請求項8】
前記音響ユニット(6,7,29)は、前記前部容積(14)および前記後部容積(15)内へと音波を発することができることを特徴とする、請求項1~7のいずれかに記載の音響トランスデューサユニット。
【請求項9】
前記振動板(10,11,30)は、前記前部容積(14)および前記後部容積(15)の方向に振れることができることを特徴とする、請求項1~8のいずれかに記載の音響トランスデューサユニット。
【請求項10】
前記音響トランスデューサユニット(1)は、前記前部容積(14)および前記音響トランスデューサユニット(1)から音波が出て行くことができる前部出口(18)を有する、および/または、前記音響トランスデューサユニット(1)は、前記後部容積(15)および前記音響トランスデューサユニット(1)から音波が出て行くことができる後部出口(19)を有することを特徴とする、請求項1~9のいずれかに記載の音響トランスデューサユニット。
【請求項11】
前記音響ユニット(6,7,29)は、前記前部出口(18)、および/または、前記後部出口(19)の方向に音波を発することができることを特徴とする、請求項1~10のいずれかに記載の音響トランスデューサユニット。
【請求項12】
前記音響トランスデューサユニット(1)は、前記前部容積(14)と前記後部容積(15)とを互いに分離する、特に、防音性を有する、および/または、音を通さない分離配置(25)を有することを特徴とする、請求項1~11のいずれかに記載の音響トランスデューサユニット。
【請求項13】
前記分離配置(25)は、前記音響ユニット(6,7,29)、前記マグネットユニット(2,3,28)、特に、前記マグネットユニット(2,3,28)の回路基板(27,39,42)、および/または、スペーサ部(22,23,24,32,33,43)を含むことを特徴とする、請求項1~12のいずれかに記載の音響トランスデューサユニット。
【請求項14】
前記分離配置(25)、および/または、前記音響トランスデューサユニット(1)のハウジング(20)は、前記音響ユニット(6,7,29)からの音が前記前部容積(14)、および/または、前記後部容積(15)で組み合わされることができるよう配置されることを特徴とする、請求項1~13のいずれかに記載の音響トランスデューサユニット。
【請求項15】
前記分離配置(25)、前記ハウジング(20)、前記音響ユニット(6,7,29)、および/または、前記マグネットユニット(2,3,28)は、前記音響ユニット(6,7,29)、特に、すべての前記音響ユニット(6,7,29)から発せられた音が、最初に前記ストローク軸(8,9,38)に対し直角に向きを変えられ、続いて、音が再び前記ストローク軸(8,9,38)に沿う方向に延びるように向きを変えられるよう、配置されることを特徴とする、請求項1~14のいずれかに記載の音響トランスデューサユニット。
【請求項16】
前記分離配置(25)、前記ハウジング(20)、前記音響ユニット(6,7,29)、および/または、前記マグネットユニット(2,3,28)は、前記音響ユニット(6,7,29)、特に、すべての前記音響ユニット(6,7,29)から発せられた音が、前記マグネットユニット(2,3,28)の周囲で、特に横方向に導かれることができるよう配置されることを特徴とする、請求項1~15のいずれかに記載の音響トランスデューサユニット。
【請求項17】
1つの前記音響ユニット(6,7,29)と、前記ストローク軸(8,9,38)の方向においてその真上または真下に配置された前記マグネットユニット(2,3,28)との間の側域(48,49)は、特にスペーサ部(22,23,24,32,33,43)によって閉じられ、
前記ストローク軸(8,9,38)に対し直角な、対応する反対側の前記側域(48,49)は、開かれ、
前記音響ユニット(6,7,29)と前記マグネットユニット(2,3,28)との間の閉じた前記側域(48,49)と開いた前記側域(48,49)とは、前記ストローク軸(8,9,38)の方向において交互に位置することを特徴とする、請求項1~16のいずれかに記載の音響トランスデューサユニット。
【請求項18】
前記音響トランスデューサユニット(1)は、前記音響ユニット(6,7,29)からの音を組み合わせることができる、および/または、前記音響ユニット(6,7,29)からの音を前記音響ユニット(6,7,29)および/または前記マグネットユニット(2,3,28)を横方向に通り過ぎて、特に関連する前記前部出口(18)および前記後部出口(19)の方向に導くことができる第1の音伝導路(46)、および、第2の音伝導路(47)を有し、
前記第1の音伝導路(46)は、前記前部容積(14)と関連し、前記第2の音伝導路(47)は、前記後部容積(15)と関連することを特徴とする、請求項1~17のいずれかに記載の音響トランスデューサユニット。
【請求項19】
前記コイル配置(16,17、31)は、前記振動板(10,11、30)上および/または内にそれぞれ配置されることを特徴とする、請求項1~18のいずれかに記載の音響トランスデューサユニット。
【請求項20】
前記音響トランスデューサユニット(1)は、前記音響ユニット(6,7,29)の少なくとも1つを制御する制御装置(21)を有することを特徴とする、請求項1~19のいずれかに記載の音響トランスデューサユニット。
【請求項21】
前記制御装置(21)は、前記振動板(10,11,30)が前記前部容積(14)の方向、および、前記後部容積(15)の方向において同期して振れるよう、前記音響ユニット(6,7,29)を作動できることを特徴とする、請求項1~20のいずれかに記載の音響トランスデューサユニット。
【請求項22】
請求項1~21の少なくとも1つに記載の音響トランスデューサユニット(1)を操作する方法であって、前記少なくとも2つの音響ユニット(6,7,29)が同期して操作されることを特徴とする、方法。
【請求項23】
前記少なくとも2つの音響ユニット(6,7,29)の間には、前記マグネットユニット(2,3,28)が、特に直接配置され、前記少なくとも2つの音響ユニット(6,7,29)は、前記振動板(10、11,30)がそれぞれの前記ストローク軸(8,9,38)に沿って同じ方向に振れるよう操作されることを特徴とする、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
請求項1~21のいずれかに記載の音響トランスデューサユニット(1)用のマグネットユニット(2,3,28)であって、請求項1~21に記載された前記マグネットユニット(2,3,28)に関する少なくとも1つの特徴を有するマグネットユニット(2,3,28)。
【請求項25】
請求項1~21のいずれかに記載の音響トランスデューサユニット(1)用のマグネットユニット(2,3,28)であって、請求項1~21に記載された前記マグネットユニット(2,3,28)に関する少なくとも1つの特徴を有するマグネットユニット(2,3,28)の使用。
【請求項26】
請求項1~21のいずれかに記載された音響トランスデューサユニット(1)用の音響ユニット(6,7,29)であって、請求項1~21に記載された前記音響ユニット(6,7,29)に関する少なくとも1つの特徴を有する音響ユニット(6,7,29)。
【請求項27】
請求項1~21のいずれかに記載された音響トランスデューサユニット(1)用の音響ユニット(6,7,29)であって、請求項1~21に記載された前記音響ユニット(6,7,29)に関する少なくとも1つの特徴を有する音響ユニット(6,7,29)の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、音響トランスデューサユニット、特に、フラットパネルスピーカー、好ましくは、静磁式ラウドスピーカーに関する。音響トランスデューサユニットは、永久磁場を有する少なくとも1つのマグネットユニットと、永久磁場に配置された少なくとも1つの音響ユニットとを備え、音響ユニットは、音波を生成するために、ストローク軸に沿って振れることができる少なくとも1つも振動板と、振動板がストローク軸に沿って振れることができるよう、電流が供給され得るコイル配置とを有する。音響トランスデューサユニットは、少なくとも2つのマグネットユニット、および、少なくとも2つの音響ユニットを有する。
【背景技術】
【0002】
欧州特許出願公開第3855762号明細書は、マグネットユニットおよび音響ユニットを有する音響トランスデューサユニットを記載している。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明の目的は、出力を向上させた音響トランスデューサユニットを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
この目的は、独立項に記載された特徴を有する音響トランスデューサユニット、音響トランスデューサユニットを操作する方法、音響ユニット、および、マグネットユニット、および、それらの使用によって達成される。
【0005】
本発明は、永久磁場を有する少なくとも1つのマグネットユニットを有する音響トランスデューサユニットに関する。音響トランスデューサユニットは、フラットパネルスピーカーであり得る。さらに、音響トランスデューサユニットは、ラウドスピーカーユニットであり得る。
【0006】
さらにまた、音響トランスデューサユニットは、音波を生成するためにストローク軸に沿って振れることができる少なくとも1つの振動板と、コイル配置とを含む少なくとも1つの音響ユニットを有する。振動板がストローク軸に沿って振れることができるよう、コイル配置には電流が供給され得る。音響ユニットは、永久磁場に配置されているので、電流も永久磁場内を流れる。その結果、振動板が振れることができるよう、ローレンツ力が形成される。その結果、音波が生成され得る。
【0007】
コイル配置は、電流を生成する電気信号によって動的磁場も形成する。音響ユニットは、振動板がストローク軸に沿って振れることができるよう、2つの磁場を介してマグネットユニットに結合される。よって、マグネットユニットと音響ユニットとの間には、磁気結合が存在する。コイル配置において電気信号から電流が生成され、電流から動的磁場が生成される。動的磁場と永久磁場とが相互作用することによって、振動板が振れ、音波が生成されて発せられる。
【0008】
さらに、音響トランスデューサユニットは、少なくとも2つのマグネットユニットと、少なくとも2つの音響ユニットと含む。マグネットユニットは同一であってよく、音響ユニットも同一であってよい。特に、マグネットユニットは、それぞれが永久磁場を有している。少なくとも2つのマグネットユニットの永久磁場が一緒になって磁場全体を形成する。さらに、音響ユニットのそれぞれが、振動板と、コイル配置とを有する。電気信号、および/または、電流は、それぞれの振動板がそれぞれの永久磁場、または、磁場全体で振れることができるよう、それぞれのコイル配置に供給される。それぞれの振動板は、磁力によって、特に、永久磁場または磁場全体と、特定のコイル配置のそれぞれの動的磁場との間の相互作用によって振れることができる。さらに、永久磁場または磁場全体における電流は、それぞれの振動板が振れるよう、ローレンツ力を誘発することができる。
【0009】
また、少なくとも2つのマグネットユニットと、少なくとも2つの音響ユニットとは、交互に上下になるよう配置される。その結果、それぞれの音響ユニットが音を生成するので、音圧、および/または、音響エネルギーが上昇する。マグネットユニットと音響ユニットとを交互に配置することで、振動板を別々に作動させることができる。さらに、この交互配置により、振動板が全く同じように振れることができるように、1つのマグネットユニットは、それぞれの音響ユニットと関連付けられている。振動板は、互いに同じ音を生成するので、結果として音質が向上する。このように、マグネットユニットと音響ユニットとを上下に重ねることができる。
【0010】
音響ユニットとマグネットユニットとの間隔は、等距離であると有利である。その結果、音響ユニットに定められた磁場が作用し得る。
【0011】
振動板のストローク軸が互いに平行であると有利である。その結果、振動板は、同じ方向に向けて音波を発する。好ましくは、すべてのストローク軸が互いに平行である。
【0012】
音響ユニットとマグネットユニットとが特にストローク軸の方向に上下に配置されると有利である。
【0013】
永久磁場の方向において、音響ユニットが少なくとも2つのマグネットユニットの上下に配置されると有利である。
【0014】
少なくとも2つのマグネットユニットと、少なくとも2つの音響ユニット、特に、コイル配置、および/または、振動板とが、少なくともいくつかの領域で合同に配置されると有利である。その結果、均質な永久磁場または磁場全体が音響ユニットに作用する。永久磁場は一点に生成されるのではなく、複数の分散したマグネット部によって生成される。
【0015】
2つの音響ユニットが、マグネットユニットの永久磁場に配置されると有利である。マグネットユニットは、ストローク軸の方向において2つの音響ユニットの間に配置されてよい。その結果、2つの音響ユニットが、1つのマグネットユニットの1つの永久磁場を共有する。
【0016】
少なくとも2つのマグネットユニットと、少なくとも2つの音響ユニットとが少なくとも1つの重複部分を有すると有利である。前述の特徴により、マグネットユニット、および/または、音響ユニットが積層された積層音響トランスデューサユニットが形成される。
【0017】
さらに、少なくとも1つのマグネットユニットが複数のマグネット部を含むと有利である。複数のマグネット部により、それぞれのマグネットユニットには高品質な永久磁場が形成され得る。
【0018】
1つのマグネットユニットのマグネット部が、一列に、または、平面的に配置されると有利である。その結果、列に沿って、または、表面にわたって実質的に一定の強度を有する永久磁場が形成され得る。その結果、振動板は、平面的に、および/または、均一に振れることができる。
【0019】
マグネットユニットが回路基板を有し、マグネット部が回路基板に配置されると有益である。マグネット部は、回路基板に保持される。
【0020】
永久磁場と、動的磁場とが、少なくとも1つのマグネットユニットの領域、および、少なくとも2つの音響ユニットの領域において平行であると有利である。その結果、北極と南極とが向き合う。平行とは、磁場が逆平行であることも意味する。その結果、2つの磁場の北極が向き合い、反発力が生じる。
【0021】
電気信号によって生成される電流が、永久磁場の領域において、永久磁場に対して垂直であると有利である。その結果、ローレンツ力が最大絶対値を有する。このために、特定の永久磁場、および/または、磁場全体に対して垂直に電流が流れるように電流を導くよう、コイル配置が配置および/または設計され得る。
【0022】
音響ユニットとマグネットユニットとの間にスペーサ部が配置されると有益である。その結果、振動板を含む音響ユニットは、振動板がストローク軸に沿って、特にマグネットユニットの方向にも自由に振れることができるようにマグネットユニットから間隔を置いて配置されることができる。さらに、または、あるいは、音響ユニットおよびマグネットユニットは、スペーサ部によって互いに対して固定されてもよい。さらに、1つの音響ユニットと1つのマグネットユニットとの間にスペーサ部を1つだけ配置することにより、対応する音響ユニットとマグネットユニットとが互いに対して間隔を置いて配置される、および/または、互いに対して固定される。
【0023】
さらに、音響トランスデューサユニットが少なくとも3つのマグネットユニットを有すると有利である。その結果、音圧が上昇する。
【0024】
さらにまた、音響トランスデューサユニットが少なくとも3つの音響ユニットを有すると有利である。その結果、音波をより多く生成することができる。その結果、音圧および音響レベルも上昇し得る。
【0025】
マグネットユニットと音響ユニットとが交互に上下になるよう配置されると有利である。その結果、1つの音響ユニットが上下のマグネットユニットと関連付けられる。
【0026】
音響ユニットのストローク軸方向において、音響ユニットの上下にマグネットユニットが1つずつ配置されると有益である。音響ユニットのストローク軸方向において、2つのマグネットユニットの間に音響ユニットが1つずつ配置され得る。その結果、音響ユニットが2つの磁場に配置される。複数の音響ユニットおよびマグネットユニットに関して、このことは、マグネットユニットがまず配置され、続いて音響ユニット、その次に他のマグネットユニット、そして音響ユニット、最後に他のマグネットユニットが、ストローク軸の方向であり得る、音響ユニットとマグネットユニットとが積層される方向に配置されることを意味し得る。これは、マグネットユニットと音響ユニットとが存在する限り、同じように繰り返される。
【0027】
複数の音響ユニットと、複数のマグネットユニットとが交互に上下になるよう配置されると有利である。その結果、1つの音響ユニットが上下のマグネットユニットと関連付けられる。
【0028】
音響トランスデューサユニットが前部容積および後部容積を有すると尚良い。
【0029】
音響ユニット、および/または、マグネットユニットが、前部容積と後部容積とを互いに分離させていると有益である。
【0030】
音響ユニットが、前部容積および後部容積内へと音波を発することができると尚良い。
【0031】
振動板が、前部容積の方向および後部容積の方向に振れることができると有利である。
【0032】
音響トランスデューサユニットが、前部容積と後部容積とを互いに分離する、特に防音性を有する、および/または、音を通さない分離配置を有していると有益である。
【0033】
音響ユニット、少なくとも1つのマグネットユニット、および/または、スペーサ部が、前部容積と後部容積とを互いに分離させると有利である。音響ユニット、少なくとも1つのマグネットユニット、回路基板、および/または、スペーサ部、および/または、分離配置は、防音性を有し得る、および/または、音を通さないようにできる。したがって、音響ユニット、少なくとも1つのマグネットユニット、および/または、スペーサ部、および/または、分離配置は、音を通さないと言える。よって、音響ユニット、少なくとも1つのマグネットユニット、および/または、スペーサ部、および/または、分離配置は、音を導き得る、または、音の方向を変え得る。
【0034】
分離配置は、少なくとも1つの音響ユニット、少なくとも1つのマグネットユニット、少なくとも1つの回路基板、および/または、少なくとも1つのスペーサ部によって形成されてもよい。
【0035】
音響トランスデューサユニットが、前部容積および音響トランスデューサユニットから音波が出て行ける前部出口を有すると尚良い。したがって、前部出口は、前部容積と関連付けられる。
【0036】
音響トランスデューサユニットが、後部容積および音響トランスデューサユニットから音波が出て行ける後部出口を有すると有益である。したがって、後部出口は、後部容積と関連付けられる。
【0037】
音響ユニットからの音が、前部容積および/または後部容積において組み合わされることができるよう、分離配置、および/または、音響トランスデューサユニットのハウジングが配置されると有利である。その結果、少なくとも2つの音響ユニットからの音が組み合わされて一緒に前部出口、および/または、後部出口へと導かれることができる。少なくとも2つの音響ユニットからの音を組み合わせて一緒に前部出口、および/または、後部出口へと導くことができるよう、分離配置、および/または、ハウジングは配置される。
【0038】
音響ユニットから発せられた音が、最初にストローク軸に対して直角になるよう向きを変えられ、続いて、もう一度ストローク軸に沿う方向に延びるように向きを変えられるよう、分離配置、ハウジング、音響ユニット、および/または、マグネットユニットが配置されると有利である。すべての音響ユニットからの音は、以上のように方向を変えられることができる。しかしながら、一番上のまたは一番下の音響ユニットにこれを当てはめる必要はないことに留意されたい。なぜなら、それらの上または下にマグネットユニットを配置する必要はないからである。一番上または一番下の音響ユニットに関しては、音は、遮るものなく、対応する出口に到達し得る。ここで述べた音伝導は、以下に説明する音伝導路によって成し得てよい。
【0039】
さらに、または、あるいは、音響ユニット、および/または、マグネットユニットの側域または横の領域、すなわち、ストローク軸に対して直角である横方向における側域または横の領域が開いていると有利である。反対側の側域または横の領域は、閉じていてよい。その結果、音は、この開いた側域または横の領域から出ることができる。閉じた側域または横の領域は、音が出ることを防ぐ。その結果、音は、音響ユニット、および/または、マグネットユニットの周囲を横方向に導かれ得る。
【0040】
音響トランスデューサユニットが、音響ユニットからの音を組み合わせることができる、および/または、音響ユニットからの音を、音響ユニットおよび/またはマグネットユニットを横方向に通り過ぎて導くことができる第1および第2の音伝導路を有すると有利である。音伝導路は、関連する出口へと音を導いてもよい。また、第1の音伝導路は、前部容積と関連付けられ、第2の音伝導路は、後部容積と関連付けられる。音伝導路は、まず、特に、音が音響ユニットおよび/またはマグネットユニットを横方向に通り過ぎるまで、音をストローク軸に対して直角に導き、その後、ストローク軸に沿って、特に、対応する出口まで導く。
【0041】
音伝導路が音響ユニットおよび/またはマグネットユニットの横に隣接して配置されるとさらに有利である。この場合、および、さらに、または、あるいは、前述および/または後述の記載では、横方向とは、ストローク軸に対して直角である方向を意味する。第1の音伝導路は、前部容積と関連付けられ、第2の音伝導路は、後部容積と関連付けられてよい。音伝導路は、分離配置、特に、音響ユニット、マグネットユニット、および/または、スペーサ部、および、ハウジングによって境界を定められている。
【0042】
音伝導路は、音響ユニット、特に、すべての音響ユニットからの音を束ねてそれぞれの出口へと導くことができる。したがって、音伝導路は、音波を導く、方向転換させる、束ねる、および/または、組み合わせることができる。
【0043】
音伝導路は、音響ユニットおよび/またはマグネットユニットの領域では、ストローク軸に対して直角である。音響ユニットおよび/またはマグネットユニットの横に隣接する領域では、音伝導路は、ストローク軸に沿う方向を向いている。したがって、音伝導路は、急な屈曲および/または湾曲を有する。第1の音伝導路は、前部出口へと通じ、第2の音伝導路は、後部出口へと通じる。
【0044】
分離配置、ハウジング、音響ユニット、および/または、マグネットユニットが、音響ユニット、特に、すべての音響ユニットから発せられた音がマグネットユニットの周囲で、特に横方向に導かれることができるよう配置されると有利である。その結果、1つの音響ユニットによって生成された音は、他の音響ユニットおよび/またはマグネットユニットを通り過ぎて導かれることができる。音は、他の音響ユニット、および/または、マグネットからほとんど影響を受けずに出口へと導かれることができる。
【0045】
1つの音響ユニットと、ストローク軸の方向においてその真上または真下に配置されたマグネットユニットとの間の横の領域が、特にスペーサ部によって閉じられていると有利である。開いた領域と反対側の横の領域、すなわち、ストローク軸に対して直角な領域は、有利には開いている。その結果、1つの音響ユニットによって生成された音は、一方の側の方向へと正確に向きを変えられる。この一方の側は、ストローク軸に対して直角に、特に音響ユニット、および/または、マグネットユニットに隣接して配置される。
【0046】
さらに、音響ユニットとマグネットユニットとの間の開いた横方向の領域と、閉じた横方向の領域とが、ストローク軸の方向において交互に位置すると有利である。このことは、1つの音響ユニットとその隣のマグネットユニットとの間の、例えば、左の横方向の領域は開いており、右の横方向の領域は閉じていることを意味する。閉じた横方向の領域および開いた横方向の領域は、上または下に置かれた音響ユニットと対応するマグネットユニットとの間で入れ替わる。その結果、前部容積、および/または、後部容積は、蛇行する。
【0047】
音響ユニット、特に、すべての音響ユニットから発せられる音波が、1つの共通の前部容積、および/または、1つの共通の後部容積において発せられる、および/または、組み合わされると有利である。したがって、すべての音響ユニットは、共通の前部容積、および/または、共通の後部容積を有する。よって、すべての音響ユニットの前部容積、および/または、後部容積は、互いに接続される。さらに、すべての音響ユニットの前部容積、および/または、後部容積は、接続されて、好ましくは、ストローク軸の方向において音響ユニットから距離を置いた前部出口、および/または、後部出口に共に通じている。音波が最初に横方向に、すなわち、ストローク軸に対して直角である方向に導かれ、その後再びストローク軸の方向に導かれるように、前部容積、および/または、後部容積が音響ユニットの周囲に配されてよい。
【0048】
さらに、または、あるいは、音響ユニット、特に、すべての音響ユニットが、特に単一の共通する前部容積、および、特に単一の共通する後部容積を有すると有利である。
【0049】
さらに、前部出口、および/または、後部出口が、ストローク軸の方向において音響ユニットから間隔を置いて配置されると有利である。音波は、主にストローク軸の方向に発せられるので、発せられた音波は、この配置では前部出口、および/または、後部出口に到達する。これは、前部出口、および/または、後部出口への最短経路でもあり、その結果、音波の干渉、および/または、回折を防ぐ。
【0050】
さらに、または、あるいは、ストローク軸、特にすべてのストローク軸は、前部出口、および/または、後部出口の方向を、向くおよび/または指すことができる。
【0051】
本発明の有利な強化された一実施形態によれば、音響ユニットが、前部出口、および/または、後部出口の方向に音波を発することができると有利である。その結果、音波が最短距離で前部出口、および/または、後部出口に到達することにより、音波の干渉、および/または、回折を防ぐ。
【0052】
コイル配置が振動板上および/または内に配置されると有利である。その結果、音響ユニットは特に平面になる。
【0053】
コイル配置が、少なくとも1つのコイル層によって形成されると有利である。コイル層、および、音響ユニットは、平面である。
【0054】
コイル配置が、複数のコイル層を含むと有利である。その結果、音響ユニットの厚みを必要以上に増大させることなく動的磁場を高めることができる。その結果、コイル配置を介してより高い電流を伝えることができるので、振動板を振らせるより強力なローレンツ力が形成され得る。
【0055】
コイル配置の複数のコイル層が接触部によって互いに導電的に接続されると有利である。その結果、コイル層は、コネクタ部によって作動され得る。
【0056】
コイル配置の複数のコイル層が上下に配置されると有利である。その結果、生成された動的磁場を増幅することができる。その結果、コイル配置を介してより高い電流を伝えることができるので、振動板を振らせるより強力なローレンツ力が形成され得る。
【0057】
コイル配置の複数のコイル層の間に絶縁層が配置されると有利である。その結果、コイル層が互いに電気的に絶縁される。
【0058】
接触部が、絶縁層を介して延びていると有利である。
【0059】
少なくとも1つのコイル層が蛇行していると有利である。その結果、ローレンツ力の絶対値が最大となるよう、電流が永久磁場に対して垂直に伝えられることができる。コイル配置の領域におけるコイル層に対して永久磁場が垂直に延びるよう、少なくとも1つのコイル層が配置され得る。
【0060】
後部容積、および/または、前部容積が蛇行していると有益である。
【0061】
さらに、音響トランスデューサユニットが少なくとも音響ユニットを制御する制御装置を有すると有利である。
【0062】
制御装置が音響ユニットのコイル配置のための電気信号を生成することができ、その結果生じた特定の音響ユニットの動的磁場が互いに同一または反対の向きになるよう設計されると尚良い。
【0063】
さらに、または、あるいは、制御装置は、音響ユニットのコイル配置のための電気信号を生成することによって、コイル配置においてその電気信号から電流を生成することができ、その結果生じたローレンツ力が互いに同一方向または反対方向に向くよう設計されることができる。ローレンツ力が同じ向きを有する場合、振動板は、同じ方向に振れる。
【0064】
さらに、制御装置がそれぞれのコイル配置のための電気信号を生成することによって、そのコイル配置のタイプの動的磁場を生成することができ、その結果、振動板が互いに同じく振れるよう設計されると有利である。さらに、または、あるいは、制御装置は、特定のコイル配置のための電気信号を生成することによって、コイル配置において電気信号から電流が生成でき、その結果生じたローレンツ力により、振動板の振れが互いに同じである、および/または、同じ向きであるよう設計されることができる。その結果、振動板は、前部容積の方向、および、後部容積の方向において、同期して、および/または、同時に振れる。その結果、振動板によって生成された音波は、前部容積または後部容積内へと同時におよび/または同期して発せられる。振動板の振れは、特に、同相である。従って、音波は互いに増幅し合う。
【0065】
マグネットユニットに直接隣接する2つの音響ユニットのそれぞれのコイル配置のための電気信号が互いに逆になるかまたは同一であるよう制御装置が設計されると有益である。
【0066】
振動板が、前部容積の方向、および、後部容積の方向において同期しておよび/または同時に振れるよう、制御装置が音響ユニットを作動できると有利である。その結果、音波は、同期して、および/または、同時に、および/または、同相で前部容積および後部容積内へと発せられる。
【0067】
本発明は、さらに、音響トランスデューサユニットを操作する方法に関する。音響トランスデューサユニットは、前述のおよび/または後述の少なくとも1つの特徴を有する。
【0068】
さらに、少なくとも2つの音響ユニットは、同期して操作される。少なくとも2つのマグネットユニットと、少なくとも2つの音響ユニットとが存在するので、音響トランスデューサユニットの音質および出力は、音響ユニットの同期によって、特に、制御装置により作動されている間の同期によって向上し得る。それぞれの振動板の振れに関しては、重なり合う永久磁場を有する2つのマグネットユニットが存在することを考慮に入れるべきである。それぞれのマグネットユニットに対する振動板およびコイル配置の距離を考慮に入れると有利である。例えば、2つのマグネットユニットに対する距離は、第2のコイル配置より第1のコイル配置のほうが全体として大きいので、2つのマグネットユニットの永久磁場は、第2のコイル配置の領域より第1のコイル配置の領域において弱い可能性がある。さらに、上下に配置されるマグネットユニットと音響ユニットに関しては、一方の音響ユニットがそのすぐ隣にマグネットユニットを1つだけ有し、他方の音響ユニットは、2つのマグネットユニットの間に配置される。
【0069】
2つの音響ユニットの間にはマグネットユニットが特に直接配置され、音響ユニットが互いに反対方向に、または、全く同じように操作されると有利である。
【0070】
マグネットユニットが特に直接2つの音響ユニットの間に配置され、その2つの音響ユニットを操作するための電気信号、および、結果として生じた電流が互いに逆になるかまたは同一であると有益である。
【0071】
振動板が互いに同じ方向に、または、反対方向に振れるよう、電気信号および結果として生じた電流が、特に制御装置によって生成されると有利である。音響ユニットが複数ある場合、2つの連続した音響ユニットの振動板は、同時に反対側に振れることができる。
【0072】
本発明は、音響トランスデューサユニット用のマグネットユニットにも関する。音響トランスデューサユニットは、上述および/または後述の少なくとも1つの特徴を有する。マグネットユニットは、上述および/または後述の少なくとも1つの特徴を有する。
【0073】
本発明は、音響トランスデューサユニット用のマグネットユニットの使用にも関する。音響トランスデューサユニット、および、マグネットユニットは、上述および/または後述の少なくとも1つの特徴を有する。
【0074】
本発明は、音響トランスデューサユニット用の音響ユニットにも関する。音響トランスデューサユニット、および、音響ユニットは、上述および/または後述の少なくとも1つの特徴を有する。
【0075】
本発明は、音響ユニットの使用にも関する。音響トランスデューサユニット、および、音響ユニットは、上述および/または後述の少なくとも1つの特徴を有する。
【0076】
本発明の更なる利点は、以下の実施形態に記載され、それらは以下の図面に示されている。
【図面の簡単な説明】
【0077】
【
図1】2つのマグネットユニットおよび2つの音響ユニットを有する音響トランスデューサユニットの概略を示す断面図。
【
図2】複数のマグネットユニットおよび複数の音響ユニットを有する音響トランスデューサユニットの概略を示す断面図。
【
図3】音響ユニットおよびそのコイル配置を示す上面図。
【
図5】上下に配置された音響ユニットとマグネットユニットとを有する音響トランスデューサユニットの概略を示す断面図。
【発明を実施するための形態】
【0078】
図1は、2つのマグネットユニット2,3と、2つの音響ユニット6,7とを有する音響トランスデューサユニット1の概略を示す断面図である。音響トランスデューサユニット1は、フラットパネルスピーカーであり得る。また、音響トランスデューサユニット1は、静磁式ラウドスピーカーであり得る。
【0079】
音響トランスデューサユニット1は、少なくとも2つのマグネットユニット2,3を有し、マグネットユニット2は、永久磁場4を有し、マグネットユニット3は、永久磁場5を有している。永久磁場4,5は、例えば、永久磁石によって形成され得る。永久磁場4,5は、時間的にほぼ一定の磁場である。図に示された2つの永久磁場4,5は、重なり合って磁場全体(図示せず)を形成している。
【0080】
音響トランスデューサユニット1は、少なくとも2つの音響ユニット6,7を有する。音響ユニット6,7は、少なくとも1つの振動板10,11をそれぞれ有する。振動板10,11のそれぞれは、音波を生成するために、ストローク軸8,9に沿って振れることができる。図に示すように、少なくとも1つの振動板10,11は、音響ユニット6,7にそれぞれ関連付けられている。音響ユニット6,7は、コイル配置16,17をそれぞれ有している。コイル配置16,17は、電気信号によって、動的磁場12,13をそれぞれ形成することができ、音響ユニット6,7は、振動板10,11がストローク軸8,9に沿ってそれぞれ振れることができるよう、2種の磁場4,5,12,13を介して、マグネットユニット2,3にそれぞれ連結されている。
【0081】
コイル配置16,17では、電気信号によって電流も誘発される。電流は、永久磁場4,5と共に、振動板10,11が振れるようなローレンツ力を生じさせる。
【0082】
さらに、少なくとも2つのマグネットユニット2,3と、少なくとも2つの音響ユニット6,7とは、交互に上下になるよう配置される。図に示すように、第2の音響ユニット7は、第1のマグネットユニット2と第2のマグネットユニット3との間に配置される。第1の音響ユニット6は、第1のマグネットユニット2の上に配置される。その結果、第1のマグネットユニット2は、第1の音響ユニット6と第2の音響ユニット7との間に配置される。結果として、積層音響トランスデューサユニット1が形成される。音響ユニット6,7と、マグネットユニット2,3とが積層されている。
【0083】
本例示的実施形態に示されるように、音響トランスデューサユニット1は、前部容積14と、後部容積15とを有する。
【0084】
コイル配置16,17内を電流が流れるように、コイル配置16,17に電気信号を供給することができる。電流と永久磁場4,5との相互作用によって、ローレンツ力が形成され得る。このローレンツ力によって振動板10,11を振らすことができる。
【0085】
2つの振動板10,11は、ストローク軸8,9に沿って上方に、かつ、前部容積14の方向に振れることができる。しかしながら、2つのコイル配置16,17の電気信号の極が逆転すると、2つの振動板10,11は、下方に、かつ、後部容積15の方向に振れる。2つの振動板10,11が同期して、および/または、全く同じに、および/または、同位相で振れると有利である。
【0086】
本発明の有利な強化された一実施形態によれば、振動板10,11のストローク軸8,9が互いに平行であると有益である。その結果、生成された音波の放射方向が平行になる。音響ユニット6,7は、ストローク軸8,9が平行であることによって、生成された音波の放射方向が平行になるよう配置される。
【0087】
音響ユニット6,7と、マグネットユニット2,3とが、特に、ストローク軸8,9の方向において、上下に配置されると有利である。さらに、音響ユニット6,7が、永久磁場4,5の方向において、マグネットユニット2,3の上下に配置されると有利である。
【0088】
マグネットユニット2,3、および、2つの振動板10,11、および/または、コイル配置16,17、および/または、音響ユニット6,7が、少なくともいくつかの領域で合同に配置されると有利である。少なくとも2つのマグネットユニット2,3と、少なくとも2つの音響ユニット6,7とが少なくとも1つの重なり合う部分を有すると有利である。
【0089】
有利な強化された一実施形態によれば、永久磁場4,5と、動的磁場12,13とが少なくともマグネットユニット2,3の領域、および、少なくとも2つの音響ユニット6,7の領域において平行であると有益である。
【0090】
さらに、または、あるいは、電流が永久磁場4,5に対して垂直に流れることによってローレンツ力が形成されるよう、コイル配置16,17における電流の向きを定めることができる。
【0091】
音響ユニット6,7、および/または、マグネットユニット2,3は、前部容積14および後部容積15が互いに分離するように配置されると有益である。本例示的実施形態において、前部容積14および後部容積15の少なくともいくつかの領域は、第1の音響ユニット6と、第1のマグネットユニット2と、第2の音響ユニット7とによって互いに分離している。
【0092】
図に示すように、音響ユニット6,7が前部容積14、および、後部容積15内へと音波を発することができると有利である。
【0093】
振動板10,11が、前部容積14の方向、および、後部容積15の方向に振れることができると有益である。しかしながら、2つの振動板10,11は、前部容積14および後部容積15内へと音波を発することができる。
【0094】
音響トランスデューサユニット1が、前部容積14および音響トランスデューサユニット1から音波が出て行ける前部出口18を有すると有利である。
【0095】
有利な強化された一実施形態によれば、音響トランスデューサユニット1が、後部容積15および音響トランスデューサユニット1から音波が出て行ける後部出口19を有すると有益である。ここでは、前部出口18および後部出口19は、概略的に示されているにすぎない。音響トランスデューサユニット1の意図する配置では、前部出口18は、使用者の耳に面している。本例示的実施形態によれば、音響トランスデューサユニット1は、ハウジング20を有し、前部出口18、および/または、後部出口19は、このハウジング20内に配置されている。
【0096】
前部出口18、および/または、後部出口19が、ストローク軸8,9の方向において、音響ユニット6,7から間隔を置いて配置されていると有利である。その結果、音響ユニット6,7、および、振動板10,11は、音波を直接前部出口18の方向、および/または、後部出口19の方向に発することができる。
【0097】
有利な強化された一実施形態によれば、音響ユニット6,7が、前部出口18、および/または、後部出口19の方向に音波を発することができると有利である。しかしながら、発せられた音波は、前部出口18、および/または、後部出口19に最短経路で到達する。
【0098】
後部容積15、および/または、前部容積14が蛇行していると有利である。
【0099】
さらに、音響トランスデューサユニット1が、少なくとも音響ユニット6,7を制御する制御装置21を有すると有利である。制御装置21は、導線(詳しく記載しない)を介して少なくとも音響ユニット6,7に接続される。
【0100】
制御装置21が、音響ユニット6,7のコイル配置16,17のために電気信号を生成し、その結果生じた、特定の音響ユニット6,7の動的磁場12,13を互いに同一または反対の向きにできるよう設計されると尚良い。
【0101】
制御装置21が、特定のコイル配置16,17のための電気信号を生成することによって、そのコイル配置のタイプの動的磁場12,13を生成することができ、その結果、振動板10,11が互いに同一に振れるよう設計されると有利である。
【0102】
マグネットユニット2,3に直接隣接する2つの音響ユニット6,7の特定のコイル配置16,17のための電気信号が互いに逆になるかまたは同一であるよう、制御装置21が設計されると有益である。
【0103】
本発明の有利な強化された一実施形態によれば、振動板10,11がストローク軸8,9に沿って、特に、前部容積14の方向および後部容積15の方向に同期して振れるよう、制御装置21が音響ユニット6,7を作動させることができると有益である。特に、特定の振動板10,11が同位相で振れるよう、制御装置21が音響ユニット6,7を作動できると有利である。その結果、振動板10,11は、同じ音を発するので、それぞれの音響ユニット6,7の音波が足し合わされる。
【0104】
さらに、制御装置21が電気信号を生成し、その結果、コイル配置16,17内に電流が形成されることにより、振動板10,11が同期して振れるようになると有利である。その結果、建設的干渉により音波が重畳されて強くなる。
【0105】
音響トランスデューサユニット1を操作するために、少なくとも2つの音響ユニット6,7、および、振動板10,11の振れが同期するとさらに有利である。
【0106】
2つの音響ユニット6,7の間には、マグネットユニット2,3が特に直接配置され、音響ユニット6,7が互いに逆方向に操作されると有利である。
【0107】
2つの音響ユニット6,7の間には、マグネットユニット2,3が特に直接配置され、2つの音響ユニット6,7を操作するための電気信号が互いに逆になると有益である。
【0108】
さらに、図に示すように、音響ユニット6,7と、マグネットユニット2,3との間にスペーサ部22,23,24が配置されると有利である。スペーサ部22,23,24によって、音響ユニット6,7およびマグネットユニット2,3は、ストローク軸8,9の方向に互いに間隔を置いて配置される。その結果、振動板10,11は、マグネットユニット2,3に影響を与えずにストローク軸8,9に沿って振れることができる。さらに、または、あるいは、スペーサ部22,23,24は、音響ユニット6,7とマグネットユニット2,3とを接続してもよい。
【0109】
音響トランスデューサユニット1が、前部容積14と後部容積15とを互いに分離する分離配置25を有すると有利である。この場合、分離配置25は、スペーサ部22,23,24、音響ユニット6,7、マグネットユニット2,3、および、少なくとも一部ハウジング20によって形成されている。前部容積14と後部容積15とを分離することによって、それら2つの容積14,15の間で音波がやりとりされて互いに干渉するのを防ぐ。
【0110】
さらに、音響ユニット6,7、少なくとも1つのマグネットユニット2,3、および/または、スペーサ部22,23,24が、前部容積14と後部容積15とを互いに分離すると有利である。分離配置25は、これらの構成要素、および、少なくとも一部ハウジング20によって形成され得る。
【0111】
少なくとも1つのマグネットユニット2,3が複数のマグネット部26を有すると有利である。好ましくは、マグネットユニット2,3のどちらもマグネット部26を有する。明確さのため、第2のマグネットユニット3のマグネット26にのみ参照符号を付している。マグネット部26は、例えば、永久磁石の形態をとり得る。
【0112】
本発明の有利な強化された一実施形態によれば、1つのマグネットユニット2,3のマグネット部26が一列に、または、平面的に配置されると有利である。しかしながら、永久磁場4,5を線状にまたは平面的に形成してもよい。
【0113】
マグネット部26は、音響ユニット6,7の領域、特に、コイル配置16,17の領域に横方向に延びる永久磁場4,5、および/または、磁場全体を生成するよう配置され得る。この場合、横方向は、ストローク軸8,9のそれぞれに対し垂直である。したがって、永久磁場4,5、および/または、磁場全体は、マグネット部26の磁化方向に対して直角である方向に延びる。図では、特定のマグネット部26に矢印で磁化方向40を示している。明確さのため、1つのマグネット部26の磁化方向40だけに参照符号を付している。
【0114】
この場合、磁化方向40は、互いに平行である。その結果、音響ユニット6,7の領域、特に、コイル配置16,17の領域において横方向に延びる永久磁場4,5、および/または、磁場全体が形成され得る。よって、永久磁場4,5、および/または、磁場全体の向きは、音響ユニット6,7、特に、コイル配置16,17に対して垂直にはならない。したがって、永久磁場4,5、および/または、磁場全体の方向ベクトルは、音響ユニット6,7の方向、および、コイル配置16,17の方向に延び、その中に配置される。
【0115】
図から明らかなように、永久磁場4,5、および/または、磁場全体は、磁場の横成分41を有する。横成分41は、音響ユニット6,7の領域内、および、コイル配置16,17の領域内にある。その結果、ローレンツ力によって振動板10,11が振れ得る。さらに、横成分41の向きは、音響ユニット6,7、および、コイル配置16,17に沿う、および/または、ストローク軸8,9に対して直角である。
【0116】
さらに、横成分41は、一部の領域においてのみ矢印で示されている。横成分41は、好ましくは、音響ユニット6,7、および、コイル配置16,17の全体に沿って、または、音響ユニット6,7、または、コイル配置16,17の少なくとも大部分に沿って延びる。また、横成分41は、二重矢印で示されている。このことは、横成分41が一方向を向く部分が存在すること、および、横成分41がその反対方向を向く、特に隣接する部分が存在することを意味する。言わば、
図1では、横成分41が右を向く部分と左を向く部分とが存在するということである。これらの部分は、交互になり得る。
【0117】
さらに、マグネットユニット2,3が回路基板27,39を有し、この回路基板27,39にマグネット部26が配置されると有利である。図から明らかなように、1つのマグネットユニット2,3は、1つの回路基板27,39をそれぞれ有している。
【0118】
図2は、複数のマグネットユニット2,3,28と、複数の音響ユニット6,7,29とを有する音響トランスデューサユニット1の概略を示す断面図である。簡潔さのため、マグネットユニット2,3,28、および、音響ユニット6,7,29は、以降詳細に説明しない。マグネットユニット2,3,28は、互いに同一であり、音響ユニット6,7,29も互いに同一である。
図1に示す音響トランスデューサユニット1と比較すると、
図2の音響トランスデューサユニット1は、第3のマグネットユニット28、および、第3の音響ユニット29が追加されている。これに対応して、第3のマグネットユニット28は、第3の永久磁場34を有する。さらに、第3の音響ユニット29は、第3の振動板30、および、第3のコイル配置31を有する。この場合、第3のコイル配置31は、第3の動的磁場35を形成する。さらに、第3の振動板30は、第3のストローク軸38に沿って振れることができる。
【0119】
本例示的実施形態の以下の説明、および、それ以降の例示的実施形態の説明では、少なくとも1つの前述の例示的実施形態と比較して、それらの設計および/または作動態様と同一である特徴には同じ参照符号を付している。特に説明しない限り、それらの特徴の設計、および/または、作動態様は、前述したものと一致する。さらに、明確さのため、前述の図面にすでに示されて説明された特徴は、今後図示しないものとする。
【0120】
図に示す例示的実施形態によれば、3つのマグネットユニット2,3,28,および、3つの音響ユニット6,7,29は、交互に上下になるよう配置される。振動板10,11,30は、前部容積14、または、後部容積15内に、例えば、特に同期して振れることができる。
【0121】
永久磁場4,5,34、および、磁場全体と相互作用するよう、電流が3つのコイル配置16,17,31のそれぞれに流され、特定の振動板10,11,30が振れて音が生成されるよう、ローレンツ力が形成される。電流は、永久磁場4,5,34,および、磁場全体の横成分41の領域に流入する。
【0122】
図に示された3つのマグネットユニット2,3,28、および、3つの音響ユニット6,7,29によって、音圧が上昇し、それによって音響トランスデューサユニット1の出力が増大し得る。
【0123】
図3は、音響ユニット6およびコイル配置16を示す上面図である。ここでは、第1の音響ユニット6,および、第1のコイル配置16に参照符号を付している。上述のように、音響ユニット6,7,29は、互いに同一である。音響トランスデューサユニット1がより多くの音響ユニット6,7,29、および、マグネットユニット2,3,28を有していても同じことが当てはまる。
【0124】
コイル配置16が、特定の振動板10上および/または内に配置されると有利である。本例示的実施形態によれば、コイル配置16は、振動板10の上に配置される。例えば、コイル配置は、振動板10に接着剤で接着される。図から明らかなように、コイル配置16は、導電体37によって形成される。図から明らかなように、導電体37は、蛇行している。第1の動的磁場12は、図に示すコイル配置16によって形成され得る。図に示すコイル配置16には電流が流れるが、その電流も蛇行して流れている。
図3では、電流は、交互に上に向かっておよび下に向かって流れる。ここでは、電流の向きは、永久磁場4,5,34,および、磁場全体に対して垂直であり、特に、横成分41に対して垂直であり、その結果、ローレンツ力が形成される。
【0125】
本例示的実施形態によれば、図に示す第1の音響ユニット6は、フレーム36を有する。振動板10は、フレーム36に配置される、および/または、固定される。フレーム36は、振動板の搬送装置として機能し得る。
【0126】
少なくとも1つのコイル層によって特定のコイル配置が形成されると有益である。
【0127】
図4は、コイル配置16および振動板10を伴う音響ユニット6の断面図である。図から明らかなように、コイル配置16または導電体37は、振動板10に配置されている。コイル配置16は、複数のコイル層を有することができ、コイル層のそれぞれが、特に蛇行形状の導電体37を有する。コイル層は、上下に配置され得る、および/または、積層され得る。
【0128】
前述したように、電流は、永久磁場4,5,34、および、磁場全体に対して垂直に流れ、特に、横成分41に対して垂直に流れ、その結果、ローレンツ力が形成される。
【0129】
図5は、3つのマグネットユニット2,3,28、および、2つの音響ユニット6,7を有する音響トランスデューサユニット1を示す断面図である。対応するストローク軸8,9の方向において、2つの音響ユニット6,7の上下には、マグネットユニット2,3,28が1つずつ配置されている。その結果、振動板10,11を振らせることができるローレンツ力が増大し得る。
【0130】
ここでは、他の図にも同様に示されるように、ストローク軸8,9,38は、前部出口18、および/または、後部出口19の方向に向けられている。
【0131】
しかしながら、音は直接前部出口18、および/または、後部出口19に達することはできない。
【0132】
図6は、前部容積14における前部容積音伝導44、および、後部容積15における後部容積音伝導45を示す。前部容積音伝導44、および、後部容積音伝導45は、それぞれ大きい矢印で示されている。音響ユニット6,7によって生成された音は、まず、ストローク軸8,9に沿って発せられる。マグネットユニット2,3,28は、ストローク軸8,9の方向に沿って上下に配置されているので、音は、横方向、すなわち、ストローク軸8,9に対して直角の方向に屈折する、および/または、向きを変えられる。このために、マグネットユニット2,3,28が防音性を有する、および/または、音を通さないと有利である。音は、ハウジング20によって、今度は、前部出口18および後部出口19の方向に再び屈折するまたは向きを変えられる。図に示された音響ユニット6,7、マグネットユニット2,3,28,および/または、スペーサ部22,23,24,32,33,43の配置、および、ハウジング20の配置により、音は、2回向きを変えられる、および/または、屈折する。スペーサ部22,23,24,32,33,43は、少なくとも2つの音響ユニット6,7からの音が重畳するように配置される。さらに、または、あるいは、スペーサ部22,23,24,32,33,43は、少なくとも2つの音響ユニット6,7からの音が、前部容積14および/または後部容積15において組み合わされるように配置される。有利には、スペーサ部22,23,24,32,33,43は、防音性を有する、および/または、音を通さない。
【0133】
ここでは、2つの音響ユニット6,7、および、3つのマグネットユニット2,3,28によってのみ前部容積14における前部容積音伝導44、および、後部容積15における後部容積音伝導45を説明する。図に示されるように、音は、複数の音響ユニット6,7、および、マグネットユニット2,3,28にも導かれ得る。
【0134】
マグネットユニット2,3,28,および、音響ユニット6,7は、
図5および6のように配置されると有利である。このことは、ストローク軸8,9の方向において、それぞれの音響ユニット6,7の上下にマグネットユニット2,3,28が1つずつ配置されると有利であることを意味する。したがって、
図5および6に示す本例示的実施形態では、このことは、ストローク軸8,9の方向における順序は、マグネットユニット2,3,28、音響ユニット6,7、マグネットユニット2,3,28、音響ユニット6,7、マグネットユニット2,3,28となることを意味する。その結果、それぞれの音響ユニット6,7は、2つのマグネットユニット2,3,28と、特に直接隣接してそれらの磁場に配置される。
【0135】
図6を参照して音伝導をもう一度説明する。ここで説明する音伝導は、前述の図面にも当てはめることができる。
【0136】
さらに、第1の側域48、および、第2の側域49が示されている。側域48,49は、特に、音響ユニット6,7,29、および/または、マグネットユニット2,3,28の横にある領域とも称され得る。
【0137】
図から明らかなように、第1の音伝導路46、および、第2の音伝導路47が配置されている。第1の音伝導路46は、前部容積14と関連し、第2の音伝導路47は、後部容積15と関連する。
【0138】
音伝導路46,47によって、音波は、音響ユニット6,7,29、および/または、マグネットユニット2,3,28を横方向に通り過ぎて導かれ得る。さらに、または、あるいは、音伝導路46,47は、音響ユニット6,7,29の音を組み合わせることができる。第1の音伝導路46は、前部容積14でのみ音を組み合わせ、第2の音伝導路47は、後部容積15で音を組み合わせる。
【0139】
音伝導路46,47は、音をそれぞれの出口18,19に導くことができる。さらに、音伝導路46,47は、曲げる、角度をつける、および/または、湾曲させられる。これは、音伝導路46,47が音響ユニット6,7,29、および/または、マグネットユニット2,3,28の周囲に延びているということに起因する。この場合、音伝導路46,47は、90度に曲げられる。
【0140】
図にも示されるように、音伝導路46,47はどちらも、複数の音入力、および、1つだけの音出力を有する。さらに、図では、前部容積音伝導44、および、後部容積音伝導45が矢印で示されている。これは、第1の音伝導路46が前部容積14において第1および第2の音響ユニット6,7の音を組み合わせて束ねるということに起因する。2つの音響ユニット6,7は、音源である。束ねられた音は、前部出口18へと導かれるので、音伝導路46は、出力を1つだけ有する。第2の音伝導路47にも同じことが当てはまる。第2の音伝導路47は、束ねられた音を後部出口19へと導く点が異なる。さらに、前述の図面に示されたように、音響ユニット6,7,29が複数存在する場合も同じである。
【0141】
2つの音伝導路46,47は、前部容積音伝導44、および、後部容積音伝導45の大きい矢印によって説明されることができる。
【0142】
さらに、図には、一方の側域48,49において、1つの音響ユニット6,7,29と、その真上または真下に配置されたマグネットユニット2,3,28との間の領域が閉じていることが示されている。本例示的実施形態では、この領域は、スペーサ部22,23,24,32,33,43によって閉じられている。しかしながら、他方の側域48,49における反対側の領域は、開いている。その結果、音は、開いている側からのみ出ることができる。さらに、ストローク軸8,9,38の方向において、閉じた領域と開いた領域とは、側域48,49で交互に位置する。
【0143】
音伝導路46,47は、ハウジング20および分離配置25によって境界を定められている。特に、音伝導路46,47は、ハウジング20と、対応する音響ユニット6,7,29、および/または、マグネットユニット2,3,28、および/または、スペーサ部22,23,24,32,33,43との間に配置される、および/または、それらによって境界を定められている。
【0144】
図に示された音伝導により、音が増幅され得る。
【0145】
本発明は、図示および記載した実施形態に限定されない。異なる例示的実施形態で図示および記載されたとしても、それらの組み合わせとして請求項の範囲内での変更が可能である。
【符号の説明】
【0146】
1 音響トランスデューサユニット
2 第1のマグネットユニット
3 第2のマグネットユニット
4 第1の永久磁場
5 第2の永久磁場
6 第1の音響ユニット
7 第2の音響ユニット
8 第1のストローク軸
9 第2のストローク軸
10 第1の振動板
11 第2の振動板
12 第1の動的磁場
13 第2の動的磁場
14 前部容積
15 後部容積
16 第1のコイル配置
17 第2のコイル配置
18 前部出口
19 後部出口
20 ハウジング
21 制御装置
22 第1のスペーサ部
23 第2のスペーサ部
24 第3のスペーサ部
25 分離配置
26 マグネット部
27 第1の回路基板
28 第3のマグネットユニット
29 第3の音響ユニット
30 第3の振動板
31 第3のコイル配置
32 第4のスペーサ部
33 第5のスペーサ部
34 第3の永久磁場
35 第3の動的磁場
36 フレーム
37 導電体
38 第3のストローク軸
39 第2の回路基板
40 磁化方向
41 磁場の横成分
42 第3の回路基板
43 第6のスペーサ部
44 前部容積音伝導
45 後部容積音伝導
46 第1の音伝導路
47 第2の音伝導路
48 第1の側域
49 第2の側域
【外国語明細書】