(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024114650
(43)【公開日】2024-08-23
(54)【発明の名称】筒型防振装置
(51)【国際特許分類】
F16F 1/38 20060101AFI20240816BHJP
F16F 15/08 20060101ALI20240816BHJP
【FI】
F16F1/38 S
F16F1/38 F
F16F15/08 K
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024017677
(22)【出願日】2024-02-08
(31)【優先権主張番号】P 2023018937
(32)【優先日】2023-02-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000219602
【氏名又は名称】住友理工株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001966
【氏名又は名称】弁理士法人笠井中根国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100103252
【弁理士】
【氏名又は名称】笠井 美孝
(74)【代理人】
【識別番号】100147717
【弁理士】
【氏名又は名称】中根 美枝
(72)【発明者】
【氏名】安田 恭宣
【テーマコード(参考)】
3J048
3J059
【Fターム(参考)】
3J048AA01
3J048BA04
3J048DA06
3J048EA01
3J048EA17
3J048EA18
3J059AD04
3J059AE01
3J059BA42
3J059BA54
3J059BC06
3J059CA14
3J059CB16
3J059EA03
3J059EA06
3J059EA08
3J059EA14
3J059GA02
3J059GA09
(57)【要約】
【課題】カラー部材に圧入固定される樹脂アウタ部材において、抜け抗力を十分に確保しつつ、安定した品質を実現することができる、新規な構造の筒型防振装置を提供する。
【解決手段】インナ軸部材12及び樹脂アウタ部材14と、それらインナ軸部材12及び樹脂アウタ部材14を連結する本体ゴム弾性体16とを有し、カラー部材56の内周面に圧入されてカラー部材56に取り付けられる筒型防振装置10において、樹脂アウタ部材14には、外周面における部分的な凸部24と内周面における部分的な凹部26とが対応する位置に設けられることで、カラー部材56に対する係合凸部22が外周面に突出して形成されている。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
インナ軸部材及び樹脂アウタ部材と、それらインナ軸部材及び樹脂アウタ部材を連結する本体ゴム弾性体とを有し、カラー部材の内周面に圧入されて該カラー部材に取り付けられる筒型防振装置において、
前記樹脂アウタ部材には、外周面における部分的な凸部と内周面における部分的な凹部とが対応する位置に設けられることで、前記カラー部材に対する係合凸部が外周面に突出して形成されている筒型防振装置。
【請求項2】
前記係合凸部は、前記樹脂アウタ部材の全周に亘って連続して形成されている請求項1に記載の筒型防振装置。
【請求項3】
前記係合凸部は、前記樹脂アウタ部材の軸方向の中央よりも該樹脂アウタ部材の前記カラー部材への圧入先端側に形成されている請求項1又は2に記載の筒型防振装置。
【請求項4】
前記係合凸部は、前記カラー部材の軸方向端に係合される請求項1又は2に記載の筒型防振装置。
【請求項5】
前記係合凸部は、前記樹脂アウタ部材の前記カラー部材への圧入先端側の端面が圧入基端側の端面よりも軸方向に対する傾斜角度を小さくされている請求項1又は2に記載の筒型防振装置。
【請求項6】
前記樹脂アウタ部材の外周面における前記カラー部材への圧入部分には、微小凹凸による粗面部が設けられている請求項1又は2に記載の筒型防振装置。
【請求項7】
インナ軸部材及び樹脂アウタ部材と、それらインナ軸部材及び樹脂アウタ部材を連結する本体ゴム弾性体とを有し、カラー部材の内周面に圧入されて該カラー部材に取り付けられる筒型防振装置の製造方法であって、
前記本体ゴム弾性体の成形用金型への充填圧を利用して前記樹脂アウタ部材の二次成形を行うことにより該樹脂アウタ部材の外周面に突出して前記カラー部材に係合する係合凸部を形成する筒型防振装置の製造方法。
【請求項8】
前記樹脂アウタ部材の前記二次成形によって該樹脂アウタ部材の外周面における前記カラー部材への圧入部分に微小凹凸による粗面部を形成する請求項7に記載の筒型防振装置の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車のエンジンマウントやモータマウント、サブフレームマウント、サスペンションブッシュ等に適用される筒型防振装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、自動車用のエンジンマウントやモータマウント、サブフレームマウント、サスペンションブッシュ等に適用される筒型防振装置が知られている。筒型防振装置は、例えば、特開2009-270700号公報(特許文献1)に開示されているように、インナ軸部材と樹脂アウタ部材とが本体ゴム弾性体によって弾性連結された構造を有している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、筒型防振装置は、カラー部材の内周面に対して樹脂アウタ部材が圧入されることによって、カラー部材に取り付けられる。しかし、樹脂アウタ部材は、金属製のアウタ筒金具に比して、静的荷重の作用による経時的な変形(へたり)に起因する圧入固定力の低下が問題になり易かった。
【0005】
そこで、特許文献1では、樹脂アウタ部材の外周面に粗面化処理を施すことによって、カラー部材に対する固定力(抜け抗力)を大きく確保することが提案されている。樹脂アウタ部材の外周面における粗面化処理は、樹脂アウタ部材の成形時に金型表面の凹凸によって形成することができる他、ブラスト処理等の後加工によって樹脂アウタ部材の成形後に形成することもできる。
【0006】
しかしながら、特許文献1のような樹脂アウタ部材の外周面の粗面化では、カラー部材に対する固定力を十分に確保することが難しい場合がある。また、カラー部材に対する固定力を高めるために樹脂アウタ部材の外周面に粗面よりも大きな凹凸を形成することを本発明者が検討したが、凹凸の形成による樹脂アウタ部材の厚さが部分的に異なることから、意図しない応力集中や強度低下などが発生するリスクがあると共に、樹脂アウタ部材の成形不良が発生し易くなって樹脂アウタ部材の品質の安定化に対する悪影響が懸念されることがわかった。
【0007】
本発明の解決課題は、カラー部材に圧入固定される樹脂アウタ部材において、抜け抗力を十分に確保しつつ、安定した品質を実現することができる、新規な構造の筒型防振装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
以下、本発明を把握するための好ましい態様について記載するが、以下に記載の各態様は、例示的に記載したものであって、適宜に互いに組み合わせて採用され得るだけでなく、各態様に記載の複数の構成要素についても、可能な限り独立して認識及び採用することができ、適宜に別の態様に記載の何れかの構成要素と組み合わせて採用することもできる。それによって、本発明では、以下に記載の態様に限定されることなく、種々の別態様が実現され得る。
【0009】
第一の態様は、インナ軸部材及び樹脂アウタ部材と、それらインナ軸部材及び樹脂アウタ部材を連結する本体ゴム弾性体とを有し、カラー部材の内周面に圧入されて該カラー部材に取り付けられる筒型防振装置において、前記樹脂アウタ部材には、外周面における部分的な凸部と内周面における部分的な凹部とが対応する位置に設けられることで、前記カラー部材に対する係合凸部が外周面に突出して形成されているものである。
【0010】
本態様に従う構造とされた筒型防振装置によれば、樹脂アウタ部材の外周面に突出する係合凸部がカラー部材に対して軸方向で係合されることにより、カラー部材の内周面に圧入された樹脂アウタ部材がカラー部材に対して軸方向で位置決めされて、樹脂アウタ部材のカラー部材からの抜けが防止される。これにより、例えば、加熱後の冷却による縮径や経年劣化等によって樹脂アウタ部材のカラー部材に対する圧入固定力が低下したとしても、樹脂アウタ部材がカラー部材に対して適切な位置への取付け状態に保持される。
【0011】
係合凸部は、外周面における部分的な凸部と内周面における部分的な凹部とが対応する位置に設けられて形成されていることから、樹脂アウタ部材は、外周面に突出する係合凸部の形成部分において過度に厚肉になるのが防止される。それゆえ、樹脂アウタ部材の厚さの極端な変化による成形時のヒケ等が防止されて、樹脂アウタ部材の品質の安定化が図られる。
【0012】
第二の態様は、第一の態様に記載された筒型防振装置において、前記係合凸部は、前記樹脂アウタ部材の全周に亘って連続して形成されているものである。
【0013】
本態様に従う構造とされた筒型防振装置によれば、係合凸部が周方向で部分的に形成されている場合に比して、例えば、成形後の熱収縮等による応力が周方向でより均等に作用することから、樹脂アウタ部材の歪な変形が回避され易くなる。
【0014】
また、カラー部材を係合凸部に対して全周に亘って係合させることも可能であり、カラー部材からの抜けに対する抗力をより大きく得ることができる。
【0015】
第三の態様は、第一又は第二の態様に記載された筒型防振装置において、前記係合凸部は、前記樹脂アウタ部材の軸方向の中央よりも該樹脂アウタ部材の前記カラー部材への圧入先端側に形成されているものである。
【0016】
本態様に従う構造とされた筒型防振装置によれば、係合凸部の形成部分における樹脂アウタ部材の変形剛性が軸方向中央よりも小さくなることから、樹脂アウタ部材がカラー部材に圧入される際に、カラー部材が係合凸部を乗り越え易くなって作業性が向上する。また、カラー部材が係合凸部を乗り越える際に、樹脂アウタ部材に作用する応力が緩和されて、樹脂アウタ部材の損傷が生じ難い。
【0017】
第四の態様は、第一~第三の何れか1つの態様に記載された筒型防振装置において、前記係合凸部は、前記カラー部材の軸方向端に係合されるものである。
【0018】
本態様に従う構造とされた筒型防振装置によれば、窓部等の係止用構造をもたない簡単な筒状のカラー部材に対して、樹脂アウタ部材の抜け抗力を係合凸部の係合によって確保することができる。また、樹脂アウタ部材のカラー部材に対する圧入面を確保しながら、係合凸部をカラー部材の軸方向端に係合させることによる抜止めを実現することができる。また、係合凸部をカラー部材の軸方向端へ係合させることで、例えば周方向の全周に亘って連続した係合構造など、カラー部材に対する係合長を長く設定することも容易となる。
【0019】
第五の態様は、第一~第四の何れか1つの態様に記載された筒型防振装置において、前記係合凸部は、前記樹脂アウタ部材の前記カラー部材への圧入先端側の端面が圧入基端側の端面よりも軸方向に対する傾斜角度を小さくされているものである。
【0020】
本態様に従う構造とされた筒型防振装置によれば、係合凸部の圧入先端側の端面が軸方向に対する傾斜角度を小さくされていることから、樹脂アウタ部材のカラー部材に対する圧入に際して、カラー部材が係合凸部の圧入先端側の端面に沿って係合凸部を乗り越え易く、圧入作業が容易になる。また、樹脂アウタ部材がカラー部材に取り付けられた状態では、軸方向に対する傾斜角度が大きくされた係合凸部の圧入基端側の端面によって、樹脂アウタ部材のカラー部材からの圧入基端側への抜けが効果的に防止される。
【0021】
第六の態様は、第一~第五の何れか1つの態様に記載された筒型防振装置において、前記樹脂アウタ部材の外周面における前記カラー部材への圧入部分には、微小凹凸による粗面部が設けられているものである。
【0022】
本態様に従う構造とされた筒型防振装置によれば、樹脂アウタ部材のカラー部材に対する抜け抗力を、粗面部によってより大きく得ることができる。
【0023】
第七の態様は、インナ軸部材及び樹脂アウタ部材と、それらインナ軸部材及び樹脂アウタ部材を連結する本体ゴム弾性体とを有し、カラー部材の内周面に圧入されて該カラー部材に取り付けられる筒型防振装置の製造方法であって、前記本体ゴム弾性体の成形用金型への充填圧を利用して前記樹脂アウタ部材の二次成形を行うことにより該樹脂アウタ部材の外周面に突出して前記カラー部材に係合する係合凸部を形成するものである。
【0024】
本態様に従う筒型防振装置の製造方法によれば、樹脂アウタ部材の一次成形時には、係合凸部を形成する必要がなく、係合凸部による厚さの極端な差が生じ難いことから、樹脂アウタ部材の成形時のヒケ等が防止されて、樹脂アウタ部材の品質の安定化が図られる。
【0025】
本体ゴム弾性体の成形用金型への充填圧を利用した樹脂アウタ部材の二次成形によって係合凸部を形成することにより、係合凸部の形成工程を特別に設けることなく、本体ゴム弾性体の成形工程において係合凸部を形成することができる。従って、樹脂アウタ部材に係合凸部が形成された筒型防振装置を、少ない工程数で安定して製造することができる。
【0026】
第八の態様は、第七の態様に記載された筒型防振装置の製造方法において、前記樹脂アウタ部材の前記二次成形によって該樹脂アウタ部材の外周面における前記カラー部材への圧入部分に微小凹凸による粗面部を形成するものである。
【0027】
本態様に従う筒型防振装置の製造方法によれば、粗面部の形成工程を特別に要することなく、本体ゴム弾性体の成形時に樹脂アウタ部材を二次成形することで、粗面部を係合凸部とともに形成することができる。また、粗面部を型成形することによって、粗面部を構成する微小凹凸の形状精度の向上や分布の均一化も期待できる。
【発明の効果】
【0028】
本発明によれば、カラー部材に圧入固定される樹脂アウタ部材において、抜け抗力を十分に確保しつつ、安定した品質を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【
図1】本発明の第一の実施形態としての筒型防振装置の斜視図
【
図6】
図1に示す筒型防振装置を構成する樹脂アウタ部材の斜視図
【
図8A】
図1の筒型防振装置を構成する本体ゴム弾性体の成形工程を示す図であって、インナ軸部材と樹脂アウタ部材を本体ゴム弾性体の成形用金型にセットした状態を示す縦断面図
【
図8B】
図8Aに示す本体ゴム弾性体の成形工程を示す図であって、成形用金型のキャビティにゴム材料が充填された状態を示す縦断面図
【
図9】
図1の筒型防振装置がカラー部材に取り付けられた状態を示す斜視図
【
図10】
図9に示す筒型防振装置のカラー部材への取付け状態の縦断面図
【
図11】本発明の第二の実施形態としての筒型防振装置の斜視図
【
図12】
図11の筒型防振装置の製造工程を示す図であって、樹脂アウタ部材を本体ゴム弾性体の成形用金型にセットした状態の要部を示す縦断面図
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しつつ説明する。
【0031】
図1~
図5には、例えば自動車のエンジンマウントやモータマウント、サブフレームマウント、サスペンションブッシュ等に好適に適用される、本発明の第一の実施形態としての筒型防振装置10が示されている。筒型防振装置10は、
図3~
図5に示すように、インナ軸部材12と樹脂アウタ部材14とが本体ゴム弾性体16によって連結された構造を有している。以下の説明において、原則として、上下方向とは
図2中の上下方向を、前後方向とは中心軸方向である
図2中の左右方向を、左右方向とは
図3中の左右方向を、それぞれ言う。
【0032】
インナ軸部材12は、例えば金属や繊維補強された合成樹脂等で形成された高剛性の部材であって、厚肉小径の略円筒形状とされている。本実施形態では、略一定の断面形状で前後方向にストレートに延びているが、例えば、軸方向の両端部分に比して大径のバルジ部が軸方向の中央部分に設けられる等、横断面の形状や大きさが軸方向で変化していてもよい。
【0033】
樹脂アウタ部材14は、ポリアミド等の熱可塑性合成樹脂によって形成されており、インナ軸部材12よりも薄肉大径の略円筒形状とされている。樹脂アウタ部材14は、
図6,
図7にも示すように、前後方向に延びる円筒状部18と、円筒状部18の前端部から外周側へ突出する外フランジ状部20とが一体形成されている。
【0034】
樹脂アウタ部材14の円筒状部18には、外周面に突出する係合凸部22が形成されている。係合凸部22は、略一定の縦断面形状で全周に亘って連続して設けられている。係合凸部22は、円筒状部18の外周面における部分的な凸部24と、内周面における部分的な凹部26とが、相互に対応する位置に設けられることで形成されている。これにより、円筒状部18は、係合凸部22の形成部分において厚さ寸法が略一定とされており、極端な厚肉化が回避されている。係合凸部22は、円筒状部18の前後端から離れた軸方向の中間部分に設けられており、好適には、円筒状部18の軸方向中央に対して、外フランジ状部20と反対側(後述するカラー部材56への圧入先端側)に軸方向で偏倚して設けられている。
【0035】
係合凸部22の外周面は、
図4に拡大して示すように、軸方向に対して傾斜する前端面28と後端面30とを備えており、前端面28の軸方向に対する傾斜角度αよりも後端面30の軸方向に対する傾斜角度βが小さくされている。本実施形態において、係合凸部22の前端面28は、
図4に示す縦断面において略円弧状とされて、軸方向に対する傾斜角度が変化しており、傾斜角度αが傾斜角度の平均値とされている。
【0036】
係合凸部22の前端面28の傾斜角度αは、好適には45度≦α≦90度の範囲内に設定される。係合凸部22の前端面28は、係合凸部22の突出基端である内周端における傾斜角度(最大の傾斜角度)が、略90度とされている。また、係合凸部22の後端面30の傾斜角度βは、好適には5度≦β≦30度の範囲内に設定される。係合凸部22の後端面30は、中間部分が略一定の傾斜角度とされている。
【0037】
本実施形態の係合凸部22の外周面は、前端面28と後端面30との間に軸方向に延びる筒状面32を備えており、かかる筒状面32が係合凸部22の突出頂点とされている。係合凸部22の外周面に筒状面32が設定されていることにより、係合凸部22の内周面における凹部26を設定し易くなるが、筒状面32は必須ではない。なお、筒状面32の軸方向両端は、円弧状の湾曲面をもって前端面28と後端面30にそれぞれ滑らかにつながっている。
【0038】
係合凸部22の外周への突出高さ寸法hは、樹脂アウタ部材14における円筒状部18の厚さ寸法tの2倍以下とされていることが望ましく、より好適には1.5倍以下とされ、更に好適には1倍以下とされ、或いは、軸方向の投影において係合凸部22の内周側の凹部26が円筒状部18の外周面に至らない深さとなるように設定される。一方、係合凸部22の突出高さ寸法hは、後述するカラー部材56との係合に要求される係合力の大きさを満足し得る最小高さ以上であればよい。尤も、カラー部材56の係合部分の角部の面取り等を考慮すると、係合凸部22の突出高さ寸法hは1mm以上に設定されることが望ましい。以上のように係合凸部22の突出高さ寸法hを設定することにより、係合凸部22の肉厚寸法を過度に大きくすることなく十分に確保することができる。また、後述する本体ゴム弾性体16の充填圧を利用した係合凸部22の成形に際して、係合凸部22の形状の安定化が図られる。
【0039】
係合凸部22と外フランジ状部20との軸方向間に位置する円筒状部18の外周面は、後述するカラー部材56が外嵌固定される嵌着面34とされている。嵌着面34は、略円筒形状とされており、円筒状部18の軸方向寸法の半分より大きな軸方向寸法とされている。
【0040】
樹脂アウタ部材14は、
図1~
図5に示すように、インナ軸部材12に対して外周に離れた状態で外挿されており、それらインナ軸部材12と樹脂アウタ部材14とが本体ゴム弾性体16によって弾性連結されている。本体ゴム弾性体16は、厚肉の略円筒形状とされており、内周面がインナ軸部材12に加硫接着されていると共に、外周面が樹脂アウタ部材14に加硫接着されている。本実施形態の本体ゴム弾性体16は、インナ軸部材12及び樹脂アウタ部材14の軸方向端までは達しておらず、インナ軸部材12と樹脂アウタ部材14の各軸方向端面がゴムで覆われずに露出している。例えば、本体ゴム弾性体16を樹脂アウタ部材14の外フランジ状部20の前面まで覆うように設けて、外フランジ状部20の前面に軸方向ストッパ用の緩衝ゴムを本体ゴム弾性体16と一体形成することもできる。
【0041】
本体ゴム弾性体16には、軸方向に貫通する一対のすぐり孔36,36が形成されている。すぐり孔36は、インナ軸部材12の上下両側に位置しており、本体ゴム弾性体16を前後方向に貫通している。本体ゴム弾性体16は、
図3に示すように、すぐり孔36,36が形成されていることによって、それらすぐり孔36,36の上下間を左右方向に延びる一対のゴム腕38,38が形成されている。
【0042】
すぐり孔36には、外周側から内周側(インナ軸部材12側)に向けてストッパゴム40が突出している。ストッパゴム40は、本体ゴム弾性体16と一体形成されており、本体ゴム弾性体16の軸方向中間部分において上下方向で内側へ向けて突出している。ストッパゴム40は、すぐり孔36の内周側の壁内面に対して、上下方向で所定のストッパクリアランスだけ離れて対向配置されている。
【0043】
本体ゴム弾性体16は、樹脂アウタ部材14の係合凸部22における内周面の凹部26内に入り込んでおり、凹部26を充填して、凹部26の内面にも固着されている。要するに、樹脂アウタ部材14の係合凸部22は、軸方向において本体ゴム弾性体16が形成される位置に設けられている。
【0044】
ところで、樹脂アウタ部材14の係合凸部22は、
図8A,
図8Bに示す本体ゴム弾性体16の加硫成形工程において、本体ゴム弾性体16の充填圧を利用した二次成形によって形成される。
【0045】
すなわち、樹脂アウタ部材14は、
図8Aに示すように、樹脂材料によって形成された一次成形段階では、係合凸部22が形成されていない。以下の説明では、係合凸部22のない樹脂アウタ部材は、係合凸部22がある樹脂アウタ部材14と区別するために符号14´を付す。
【0046】
樹脂アウタ部材14´は、インナ軸部材12とともに本体ゴム弾性体16の成形用金型42にセットされる。成形用金型42は、軸方向両側の上金型44及び下金型46と、樹脂アウタ部材14の外周面をそれぞれ略半周に亘って支持する外周金型48a,48bとを含んでおり、それら上下金型44,46及び外周金型48a,48bによって囲まれたキャビティ50内にインナ軸部材12と樹脂アウタ部材14´とがセットされている。上金型44には、ゴム材料をキャビティ50に注入するためのゲート52が形成されている。本実施形態では、左右両側に一対のゲート52,52が形成されているが、ゲート52の数や配置、大きさ等は適宜に変更可能である。
【0047】
外周金型48a,48bの内周面には、全周に亘って連続する凹溝54が形成されている。凹溝54は、係合凸部22の外周面と対応する溝内面形状を有しており、本実施形態では全周に亘って略一定の断面形状で連続している。外周金型48a,48bは、凹溝54の形成部分において、樹脂アウタ部材14の外周面から外周へ離れており、外周金型48a,48bと樹脂アウタ部材14の径方向間に凹溝54による空隙が形成されている。
【0048】
そして、
図8Bに示すように、成形用金型42のキャビティ50に対して、ゲート52,52を通じて注入されたゴム材料が充填される。キャビティ50に充填されたゴム材料は、冷却されて固化することにより、キャビティ50の形状に対応する本体ゴム弾性体16が、インナ軸部材12と樹脂アウタ部材14の径方向間に形成される。
【0049】
キャビティ50に充填されるゴム材料の充填圧は、樹脂アウタ部材14の内周面に対して、樹脂アウタ部材14を外周側へ押圧する方向へ作用する。樹脂アウタ部材14の外周面は、凹溝54,54を外れた部分では外周金型48a,48bに当接状態で重ね合わされて支持されていることから、ゴム材料の充填圧による樹脂アウタ部材14の外周への変形が防止されている。一方、外周金型48a,48bにおける凹溝54,54の形成部分では、樹脂アウタ部材14が外周金型48a,48bから外周へ離隔しており、樹脂アウタ部材14の外周面が外周金型48a,48bによって支持されていないことから、ゴム材料の充填圧による樹脂アウタ部材14の外周への変形が生じる。その結果、
図8Aに示すように、樹脂アウタ部材14が凹溝54,54の内面に沿って外周へ突出するように変形して、樹脂アウタ部材14に係合凸部22が形成される。このようなゴム材料の充填圧による樹脂アウタ部材14の二次成形(部分的な拡径変形)によって形成された係合凸部22は、外周面における部分的な凸部24と内周面における部分的な凹部26とを互いに対応する位置において有する形状とされる。
【0050】
成形時の樹脂アウタ部材14´は、係合凸部22が形成されておらず、円筒状部18が略一定の断面形状とされていることから、例えば型成形によって形成する場合に、樹脂材料の充填不良等に起因する成形不良が発生し難く、安定した品質を容易に実現することができる。
【0051】
また、樹脂アウタ部材14´に係合凸部22を形成する二次成形工程を、本体ゴム弾性体16の加硫成形工程と同時に行うことができることから、樹脂アウタ部材14´の後加工による製造工程数の増加が回避される。
【0052】
係合凸部22の形状や大きさ、軸方向の位置等が相互に異なる複数種類の樹脂アウタ部材14を、共通の樹脂アウタ部材14´を用いて製造することも可能となる。これにより、樹脂アウタ部材14に外嵌装着されるカラー部材56(後述)の形状や大きさの違いに対して、樹脂アウタ部材14´の金型の設計変更を要することなく、本体ゴム弾性体16の成形用金型42(外周金型48a,48b)の変更だけで簡単に対応することができる。
【0053】
このような構造とされた筒型防振装置10は、
図9,
図10に示すように、樹脂アウタ部材14がカラー部材56の内周面に圧入固定されることによって、カラー部材56に取り付けられて、車両に装着される。
【0054】
カラー部材56は、略円筒形状とされており、軸方向に貫通する組付孔58を備えている。カラー部材56は、樹脂アウタ部材14の円筒状部18に外嵌可能な形状及び直径とされている。カラー部材56は、軸方向寸法が樹脂アウタ部材14の嵌着面34の軸方向寸法と略同じとされている。カラー部材56は、軸方向両端部の内周面が軸方向外方へ向けて外周へ傾斜するテーパ状面とされている。
【0055】
筒型防振装置10の樹脂アウタ部材14は、カラー部材56の前方の開口から後方へ向けて圧入される。カラー部材56の内周面の前端部に設けられたテーパ状面の案内作用によって、樹脂アウタ部材14のカラー部材56への圧入作業の容易化が図られている。
【0056】
樹脂アウタ部材14は、カラー部材56が樹脂アウタ部材14の係合凸部22を乗り越えて嵌着面34に外嵌される軸方向位置まで、カラー部材56に圧入される。カラー部材56の前側の開口端部内面がテーパ状面とされていることによって、カラー部材56が係合凸部22を乗り越え易くなっている。また、カラー部材56への圧入先端側の端面となる係合凸部22の後端面30は、傾斜角度βが5度~30度の範囲内に設定されて小さくされていることから、樹脂アウタ部材14のカラー部材56への圧入に際してカラー部材56が係合凸部22を乗り越え易い。
【0057】
係合凸部22は、樹脂アウタ部材14の円筒状部18の軸方向中央よりも圧入先端側(後側)に設けられており、係合凸部22の形成部分における円筒状部18の変形剛性が、円筒状部18の軸方向中央の変形剛性よりも小さくなっている。これにより、樹脂アウタ部材14のカラー部材56への圧入時に、円筒状部18の変形が許容され易くなることでカラー部材56が係合凸部22を乗り越え易くなって、圧入作業の作業性向上が図られる。また、円筒状部18が係合凸部22の形成部分でカラー部材56によって押圧されても、円筒状部18の変形によって応力を逃がすことができて、カラー部材56への圧入時に樹脂アウタ部材14の損傷が防止される。
【0058】
係合凸部22は、内周面において凹部26を備えていることによって、外周面への突出形状とされていながらも、凹部26がない場合に比して径方向の厚さ寸法が小さくされている。それゆえ、カラー部材56が係合凸部22を乗り越える際に内周側への押圧力が係合凸部22に作用すると、係合凸部22の変形が許容され易く、カラー部材56が係合凸部22を変形させながら係合凸部22を乗り越え易くなっている。
【0059】
本実施形態では、カラー部材56の前端面が樹脂アウタ部材14の外フランジ状部20に対して当接することによって、樹脂アウタ部材14のカラー部材56に対する圧入端が規定されており、樹脂アウタ部材14がカラー部材56に対して軸方向で位置決めされる。
【0060】
カラー部材56が係合凸部22を乗り越えて嵌着面34に嵌着された筒型防振装置10のカラー部材56への装着状態では、筒型防振装置10のカラー部材56からの抜けが防止されている。即ち、カラー部材56の後端面と樹脂アウタ部材14における係合凸部22の前端面28とが係合されることによって、樹脂アウタ部材14のカラー部材56に対する前方への相対移動量が制限されて、筒型防振装置10のカラー部材56からの抜けが防止される。なお、カラー部材56の後端面は、係合凸部22に対して初めから当接していてもよいし、係合凸部22に対して隙間をもって前方に離れていてもよい。
【0061】
係合凸部22の前端面28は、軸方向に対する傾斜角度αが45度~90度の範囲内に設定されて大きくされていることから、カラー部材56が係合凸部22を後側へ乗り越えることなく係合凸部22の前端面28に係止されて、樹脂アウタ部材14ひいては筒型防振装置10のカラー部材56からの抜けがより有効に防止されている。
【0062】
本実施形態では、係合凸部22の前端面28の傾斜角度αが後端面30の傾斜角度βよりも大きくされていることから、傾斜角度の小さい後端面30によって樹脂アウタ部材14のカラー部材56に対する圧入作業の容易化を図りながら、傾斜角度の大きい前端面28によって樹脂アウタ部材14のカラー部材56からの抜けを防止することができる。
【0063】
特に、合成樹脂製の樹脂アウタ部材14は、例えば、カラー部材56に圧入された状態における加熱後の冷却によって収縮して、圧入による固定力が低下する場合がある。このような樹脂アウタ部材14の経時的な劣化による抜け抗力の低下が生じたとしても、樹脂アウタ部材14の係合凸部22とカラー部材56との係合による抜止め構造によって、樹脂アウタ部材14ひいては筒型防振装置10のカラー部材56に対する抜けや位置ずれを防止することができる。
【0064】
係合凸部22が全周に亘って連続して設けられていることにより、係合凸部22とカラー部材56との軸方向の係止による抜けに対する抗力が、全周に亘って発揮されて、樹脂アウタ部材14のカラー部材56からの抜けを周方向でバランスよく効率的に防止することができる。また、係合凸部22が周方向で略一定の断面形状とされていることから、例えば、係合凸部22の形成時に、樹脂アウタ部材14に作用する応力の偏りが低減されて、樹脂アウタ部材14の歪な変形が防止される。
【0065】
カラー部材56の軸方向端が樹脂アウタ部材14の係合凸部22に係止されることから、樹脂アウタ部材14の嵌着面34に対するカラー部材56の重ね合わせ面積を確保しながら、カラー部材56の係合凸部22への係止による抜止め作用を得ることができる。それゆえ、例えば、圧入による固定力を十分に大きく得ながら、樹脂アウタ部材14の経年劣化等による圧入固定力の低下時には、係合凸部22による抜止めを実現することができる。
【0066】
図11には、本発明の第二の実施形態としての筒型防振装置60が示されている。筒型防振装置60は、インナ軸部材12が筒状の樹脂アウタ部材62に挿通されて、それらインナ軸部材12と樹脂アウタ部材62とが本体ゴム弾性体16で連結された構造を有している。本実施形態の説明において、第一の実施形態と実質的に同一の部材及び部位については、図中に同一の符号を付すことで説明を省略する。
【0067】
樹脂アウタ部材62の外周面には、粗面部64が設けられている。粗面部64は、多数の微小凹凸によって構成されており、例えばシボ状や梨地状等とされている。粗面部64は、樹脂アウタ部材62における外フランジ状部20と係合凸部22との間に設定された嵌着面34に設けられている。従って、粗面部64は、樹脂アウタ部材62の図示しないカラー部材(56)への圧入面に設けられている。なお、粗面部64を構成する多数の微小凹凸の大きさ、形状、数、密度等は、特に限定されず、目的とする抜け抗力等に応じて適宜に選択される。
【0068】
粗面部64は、例えば、樹脂アウタ部材62の嵌着面34に対してサンドブラスト等の粗面化加工を施すことによって形成することもできるが、好適には、係合凸部22と同様に、本体ゴム弾性体16の成形圧を利用した樹脂アウタ部材62´の二次成形によって形成される。なお、樹脂アウタ部材62´は、第一の実施形態における樹脂アウタ部材14に対する樹脂アウタ部材14´と同様の一次成形品であって、係合突部22と粗面部64が形成されていない。
【0069】
すなわち、先ず、予め準備した樹脂アウタ部材62´を、本体ゴム弾性体16の成形用金型にセットする。本体ゴム弾性体16の成形用金型を構成する外周金型66には、
図12に示すように、内周面に開口する凹溝54に加えて、凹溝54よりも前方(
図12中の上方)で内周面に開口する多数の微小凹部68が形成されている。そして、外周金型66の内周面に重ね合わされた樹脂アウタ部材62´の外周面と、凹溝54及び微小凹部68の各内面との間に隙間が形成されている。なお、樹脂アウタ部材62´と樹脂アウタ部材14´とは相互に略同一であるが、本実施形態では分かり易さのために樹脂アウタ部材62´とする。
【0070】
次に、樹脂アウタ部材62´が外周金型66にセットされた状態で、樹脂アウタ部材62´の内周側に位置するキャビティ50に本体ゴム弾性体16のゴム材料を充填する。これにより、樹脂アウタ部材62´がゴム材料の充填圧で外周金型66の内周面に押し当てられる。そして、樹脂アウタ部材62´が凹溝54の内面に沿うように変形することで、係合凸部22が形成されると共に、樹脂アウタ部材62´が微小凹部68に沿うように変形することで、粗面部64が形成される。以上により、樹脂アウタ部材62´を二次成形して係合凸部22及び粗面部64を備える樹脂アウタ部材62を製造する工程を、本体ゴム弾性体16の成形工程と同時に行うことができる。
【0071】
本実施形態に従う構造とされた筒型防振装置60によれば、カラー部材(56)に嵌め入れられる樹脂アウタ部材62の嵌着面34に対して、シボ等の微小凹凸による粗面部64が形成されている。これにより、カラー部材(56)に対する樹脂アウタ部材62の摩擦抵抗が大きくなって、樹脂アウタ部材62のカラー部材(56)からの抜けがより効果的に防止される。
【0072】
また、本体ゴム弾性体16の成形時の圧力を利用して樹脂アウタ部材62´を二次成形することで、サンドブラスト等の特別な粗面化処理を要することなく、粗面部64を係合凸部22と同様に本体ゴム弾性体16の成形工程において形成することができる。それゆえ、樹脂アウタ部材62のカラー部材(56)に対する抜け抗力の向上を、少ない製造工程数で図ることができる。
【0073】
筒型防振装置60では、粗面部64を構成する微小凹凸が、外周金型66の微小凹部68に対する樹脂アウタ部材62´の押し当てによって型成形されている。これにより、粗面部64を構成する微小凹凸の形状、寸法、配置等の精度の向上が図られ得る。
【0074】
以上、本発明の実施形態について詳述してきたが、本発明はその具体的な記載によって限定されない。例えば、係合凸部は、周方向で部分的に設けられていてもよい。この場合には、樹脂アウタ部材のカラー部材からの抜けを有効に防止するために、周方向の複数箇所に係合凸部が設けられることが望ましいが、例えば周方向にC字環状に延びる1つの係合凸部だけを設けることもできる。
【0075】
係合凸部22は、前記実施形態に示すように、カラー部材56との係合方向に対して略直交して延びていることが望ましいが、それに限定されるものでなく、カラー部材56との係合方向と略直交する方向に対して傾斜して延びていてもよい。具体的には、例えば、軸方向に傾斜しながら周方向に延びる係合凸部22を採用することも可能である。
【0076】
係合凸部22は、前端面28の傾斜角度αと後端面30の傾斜角度βとが略同じとされていてもよいし、前端面28の傾斜角度αと後端面30の傾斜角度βよりも小さくされていてもよい。
【0077】
係合凸部22は、前記実施形態に示したように、本体ゴム弾性体16の成形時の充填圧を利用した樹脂アウタ部材14の二次成形によって形成されることが望ましいが、例えば樹脂アウタ部材をブロー成形によって形成する場合に、樹脂アウタ部材を形成する一次成形時に係合凸部22を形成することもできる。
【0078】
樹脂アウタ部材14の厚さ寸法は、特に円筒状部18において略一定であることが望ましいが、変化していてもよく、例えば、係合凸部22の形成部分が他の部分よりも薄肉又は厚肉となっていてもよい。樹脂アウタ部材14において、係合凸部22を含む円筒状部18の最小厚さ寸法は、最大厚さ寸法の90%以上の範囲内とされていることが望ましい。
【0079】
前記実施形態では、カラー部材56の軸方向端が樹脂アウタ部材14の係合凸部22に軸方向で係合される例を示したが、例えば、カラー部材56の軸方向の途中に径方向貫通する窓状の開放部を形成して、当該開放部の開口縁部が係合凸部22に軸方向で係止されるようにしてもよい。
【0080】
粗面部64は、樹脂アウタ部材62の外周面におけるカラー部材(56)への圧入部分である嵌着面34に形成されていればよく、それに加えて嵌着面34を外れた部分にも形成することができる。また、粗面部64は、嵌着面34の全体に形成されている必要はなく、軸方向及び周方向において部分的に設けられ得る。また、粗面部64を構成する微小凹凸は、粗面部64の全体に亘って一様である必要はなく、形状、大きさ、形成密度等が変化していてもよい。
【符号の説明】
【0081】
10 筒型防振装置(第一の実施形態)
12 インナ軸部材
14 樹脂アウタ部材
14´ 樹脂アウタ部材
16 本体ゴム弾性体
18 円筒状部
20 外フランジ状部
22 係合凸部
24 凸部
26 凹部
28 前端面
30 後端面
32 筒状面
34 嵌着面
36 すぐり孔
38 ゴム腕
40 ストッパゴム
42 成形用金型
44 上金型
46 下金型
48a,48b 外周金型
50 キャビティ
52 ゲート
54 凹溝
56 カラー部材
58 組付孔
60 筒型防振装置
62 樹脂アウタ部材
62´ 樹脂アウタ部材
64 粗面部
66 外周金型
68 微小凹部