(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024114653
(43)【公開日】2024-08-23
(54)【発明の名称】電気モータを監視するための安全装置、システム及び方法
(51)【国際特許分類】
H02P 29/02 20160101AFI20240816BHJP
【FI】
H02P29/02
【審査請求】未請求
【請求項の数】16
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024017846
(22)【出願日】2024-02-08
(31)【優先権主張番号】102023000002340
(32)【優先日】2023-02-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IT
(71)【出願人】
【識別番号】524053731
【氏名又は名称】ピッツァート エレットリカ ソチエタ レスポンサビリタ リミタータ
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100092624
【弁理士】
【氏名又は名称】鶴田 準一
(74)【代理人】
【識別番号】100114018
【弁理士】
【氏名又は名称】南山 知広
(74)【代理人】
【識別番号】100153729
【弁理士】
【氏名又は名称】森本 有一
(72)【発明者】
【氏名】ジュゼッペ ピッツァート
【テーマコード(参考)】
5H501
【Fターム(参考)】
5H501AA06
5H501BB08
5H501FF05
5H501HA06
5H501JJ26
5H501LL01
5H501LL22
5H501LL23
5H501LL60
5H501MM09
(57)【要約】 (修正有)
【課題】本発明は、電気モータの機能を監視するための安全装置及び関連方法に関する。
【解決手段】電源に接続された電気モータと安全装置とを備える電気モータの安全システムであって、安全装置は、電気モータの電源の電圧及び周波数を検出し、電圧及び周波数に相関する第1のワーク信号を送信するために電源に接続された第1の入力チャネルと、制御信号を送信するように構成されたスイッチング手段と、第1の入力チャネル及びスイッチング手段に接続されるとともに第1のワーク信号に従って第1の起動信号を生成するスイッチング手段を制御するように構成された第1の処理部と、を有する制御部を備える。制御信号は、第1の起動信号に応答して送信され、処理部は、第1のワーク信号と既定の周波数閾値及び既定の電圧閾値とを比較するように構成されている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電力供給ライン(100)に接続された電気モータ(101)を監視するように構成された安全装置(10)において、
前記電気モータ(101)の電力供給ライン(100)の電圧及び周波数を検出するとともに検出した前記電圧及び前記周波数に相関する少なくとも一つの第1のワーク信号(W)を前記電力供給ライン(100)送信するために前記電気モータ(101)の電力供給ライン(100)に接続されるように構成された少なくとも一つの第1の入力チャネル(16)であって、前記電圧は、エンジンの停止状態又は運転状態に相関し、前記周波数は、前記電気モータ(101)の回転速度に相関する、第1の入力チャネル(16)と、
制御信号(CF,CV)を送信するように構成されたスイッチング手段(15)と、
前記第1の入力チャネル(16)及び前記スイッチング手段(15)に接続されるとともに少なくとも一つの前記第1のワーク信号(W)に従って少なくとも一つの第1の起動信号(AV,AF)を生成する前記スイッチング手段(15)を制御するように構成された少なくとも一つの第1の処理部(17)と、を有する制御部(12)を備え、
前記制御信号(CF,CV)は、少なくとも一つの前記第1の起動信号(AV,AF)に応答して送信され、
少なくとも一つの前記第1の処理部(17)は、少なくとも一つの前記第1のワーク信号(W)と少なくとも一つの既定の周波数閾値(F)及び少なくとも一つの既定の電圧閾値(V)と比較するように構成されていることを特徴とする、安全装置(10)。
【請求項2】
前記第1の入力チャネル(16)は、少なくとも一つの前記第1の処理部(17)に接続された少なくとも一つの第1の測定部(19)と、前記電力供給ライン(100)に接続されるとともに少なくとも一つの第1の中間電圧信号(IV)及び少なくとも一つの第1の中間周波数信号(IF)を前記第1の測定部(19)に送信するように構成された第1の増幅手段(18)と、を備え、前記第1の測定部(19)は、少なくとも一つの前記第1の中間電圧信号(IV)及び少なくとも一つの前記第1の中間周波数信号(IF)を測定するとともに少なくとも一つの前記第1のワーク信号(W)を少なくとも一つの前記第1の処理部(17)に送信するように構成されていることを特徴とする、請求項1に記載の安全装置。
【請求項3】
前記第1のチャネル(16)は、前記第1の増幅手段(18)と前記第1の測定部(19)との間に介在するとともに前記第1の中間周波数信号(IF)のフィルタリング回路(22)を備える第1の周波数ライン(20)と、前記第1の増幅手段(18)と前記第1の測定部(19)との間に介在するとともに前記第1の中間電圧信号(IV)の減衰回路(26)を備える第1の電圧ライン(21)と、を備えることを特徴とする、請求項2に記載の安全装置。
【請求項4】
前記制御部(12)は、
前記電力供給ライン(100)の電圧及び周波数を検出するとともに前記電力供給ライン(100)で検出した前記電圧及び前記周波数に相関する少なくとも一つの第2のワーク信号(W’)を送信するために、前記電気モータ(101)の前記電力供給ライン(100)に接続されるように構成された少なくとも一つの第2の入力チャネル(36)と、
少なくとも一つの前記第2の入力チャネル(36)及び前記スイッチング手段(15)に接続され、少なくとも一つの前記第2のワーク信号(W’)に従って少なくとも一つの第2の起動信号(AV’,AF’)を生成する前記スイッチング手段(15)を制御するように構成された第2の処理部(37)であって、少なくとも一つの前記第2のワーク信号(W’)と前記既定の周波数閾値(F)及び前記既定の電圧閾値(V)と比較するように構成された、第2の処理部(37)と、
を更に備えることを特徴とする、請求項1~3のいずれか一項に記載の安全装置。
【請求項5】
前記スイッチング手段(15)は、直列に配置されるとともに電圧制御信号(CV)を送信するように構成された二つの電圧スイッチング素子(51、52)と、直列に配置されるとともに周波数制御信号(CF)を送信するように構成された二つの周波数スイッチング素子(53,54)と、を備えることを特徴とする、請求項4に記載の安全装置。
【請求項6】
第1の電圧スイッチング素子(51)は、前記第1の処理部(17)に接続され、第2の電圧スイッチング素子(52)は、前記第2の処理部(37)に接続され、第1の周波数スイッチング素子(53)は、前記第1の処理部(17)に接続され、第2の周波数スイッチング素子(54)は、前記第2の処理部(37)に接続されていることを特徴とする、請求項5に記載の安全装置。
【請求項7】
少なくとも一つの前記第2の入力チャネル(36)は、前記第2の処理部(37)に接続された少なくとも一つの第2の測定部(39)と、前記電力供給ライン(100)に接続されるとともに少なくとも一つの第2の中間電圧信号(IV’)及び少なくとも一つの第2の中間電圧信号周波数(IF’)を前記第2の測定部(39)に送信するように構成された第2の増幅手段(38)と、を備え、前記第2の測定部(39)は、少なくとも一つの前記第2の中間電圧信号(IV’)及び少なくとも一つの前記第2の中間周波数信号(IF’)を測定するとともに少なくとも一つの前記第2のワーク信号(W’)を前記第2の処理部(37)に送信するように構成されていることを特徴とする、請求項4~6の少なくとも一項に記載の安全装置。
【請求項8】
前記第2のチャネル(36)は、前記第2の増幅手段(38)と前記第2の制御部測定部(39)との間に介在するとともに前記第2の中間周波数信号(IF’)のフィルタリング回路(42)を備える第2の周波数ライン(40)と、前記第2の増幅手段(38)と前記第2の測定部(39)との間に介在するとともに前記第2の中間電圧信号(IV’)の減衰回路(46)を備える第2の電圧ライン(41)と、を更に備えることを特徴とする、請求項7に記載の安全装置。
【請求項9】
前記第1の処理部(17)及び前記第2の処理部(37)は、互いに冗長的に接続されていることを特徴とする請求項4~8の少なくとも一項に記載の安全装置。
【請求項10】
前記システムは、前記第1の処理部(17)と前記第2の処理部(37)のうちの少なくとも一方及び回転センサ(61)に接続されたセンサ入力部(60)も備え、前記センサ入力部(60)は、前記電気モータ(101)の速度に相関する信号(ω)を前記第1の処理部(17)と前記第2の処理部(37)のうちの少なくとも一方に送信するように構成されていることを特徴とする、請求項4~9のいずれか一項に記載の安全装置。
【請求項11】
少なくとも一つの前記第1の入力チャネル(16)は、前記第2の測定部(39)に接続され、少なくとも一つの前記第2の入力チャネル(36)は、前記第1の測定部(19)に接続されていることを特徴とする、請求項4~9のいずれか一項に記載の安全システム。
【請求項12】
前記入力チャネル(16,36)と前記処理部(17,37)との間に介在した絶縁バリアを備えることを特徴とする、請求項1~11のいずれか一項に記載の安全装置。
【請求項13】
前記制御部(12)は、単一のケース(11)に収納されていることを特徴とする、請求項1~12のいずれか一項に記載の安全装置。
【請求項14】
電力供給ライン(100)に接続された電気モータ(101)と、請求項1~13の一つ以上に記載の安全装置(10)を備える、電気モータ(101)の安全システムにおいて、前記スイッチング手段(15)に接続されたコントローラ(105)とを更に備え、前記コントローラ(105)は、
前記制御信号(CF,CV)を受信し、
異常時に前記電気モータ(101)への給電を遮断するように前記制御信号(CF,CV)に従って前記電気モータ(101)を制御するように構成されている、安全システム。
【請求項15】
請求項1に記載の安全装置によって電気モータ(101)を監視するための安全方法において、
少なくとも一つの前記第1の入力チャネル(16)が、前記電気モータ(101)の前記電力供給ライン(100)に存在する電圧信号及び周波数信号を検出する検出段階(S1)と、
少なくとも一つの前記第1の入力チャネル(16)が、前記電力供給ライン(100)で検出した前記信号を処理するとともに少なくとも一つの前記第1のワーク信号(W)を少なくとも一つの前記第1の処理部(17)に送信する準備段階(S2)と、
少なくとも一つの前記第1の処理部(17)が、少なくとも一つの前記第1のワーク信号(W)に従って前記スイッチング手段(15)に起動信号(AF、AV)を送信するとともに少なくとも一つの前記第1のワーク信号(W)の電圧及び周波数情報と少なくとも一つの既定の周波数閾値(F)及び少なくとも一つの既定の電圧閾値(V)とを比較する処理段階(S3)と、
を少なくとも備えることを特徴とする、安全方法。。
【請求項16】
請求項7及び13に記載の安全装置によって電気モータ(101)を監視するための安全方法において、前記準備段階(S2)は、周波数情報及び電圧情報を取得するための前記中間周波数信号(IF,IF’)及び前記中間電圧信号(IV,IV’)の測定サブ段階(S2. 4)を備え、前記測定サブ段階(S2. 4)の間に、前記電気モータ(101)の回転方向に関する情報を測定するために、前記第1の測定部(19)が前記第2の信号中間周波数(IF’)を処理するとともに前記第2の測定部(39)が前記第1の中間周波数信号(IF)を処理し、前記第1の測定部(19)及び前記第2の測定部(39)が、回転方向に関するそれぞれの情報を含む前記ワーク信号(W,W’)をそれぞれの処理部(17,37)に送信するように構成されていることを特徴とする、安全方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気モータの機能を監視するための安全装置及び関連方法に関する。
【0002】
本発明による装置及び方法は、例えば、産業機械又はシステムが安全な状態にあるか否かを判断するために電気モータの速度を監視する必要がある産業機械又はシステムで使用される。
【背景技術】
【0003】
装置の電気モータの速度を監視する必要がある産業応用が知られている。
【0004】
第1の例は、電気モータが設置されている危険な領域へのユーザのアクセスを許可する又は許可しないために、電気モータが動作していないか否か、すなわち、速度がゼロに等しいか否かを判断するために、電気モータの速度を監視することである。
【0005】
このケースは、例えば、帯のこ、丸のこ等の自動機械又は半自動機械の典型的な例であり、電気モータは、高い慣性を有するとともにエンジン停止後も一定時間動き続ける可能性のある負荷を移動させるために使用される。
【0006】
第2の例は、電気モータが実際に動作していないことを外部装置又はオペレータに知らせるために又は緊急事態を知らせるために、電気モータが動作していないか否か、すなわち、回転数がゼロに等しいか否かを判断するために電気モータの速度を監視することである。
【0007】
このケースは、例えば、ホイスト、クレーン等の自動機械又は半自動機械に典型的であり、電気モータは、電気モータに電力が供給されなくなっても電気モータを動作させるのに十分な重量を有する吊り荷を持ち上げるために使用される。
【0008】
第3の例は、電気モータが正常に動作しているか否かを判断するとともに電気モータの速度が所定の範囲内にない場合に緊急事態を知らせるようにするために、電気モータの速度が所定の範囲内にあるか否かを判断するために電気モータの速度を監視することである。このケースは、例えば、機械の内部に保守技術者の存在を必要とする保守モードの機械又は電気モータによって動かされる部品とオペレータとの間に相互作用が想定される半自動機械のように電気モータの速度が機械の動作状態に依存する自動機械又は半自動機械に典型的である。
【0009】
電気モータが回転していないか否か、すなわち、回転数がゼロであるか否かを判断するために、米国特許第6,049,284号明細書に記載されているように、電気モータに電力が供給されていないときの電気モータの相の電圧を測定するとともに測定された電圧と基準電圧とを比較する安全装置を使用することが知られている。
【0010】
測定された電圧が基準電圧より低いとき、モータは、停止しているとみなされ、安全装置は、機械が安全な状態にあることを知らせる。
【0011】
代わりに、電気モータの回転数が所定の範囲内にあるか否かを判断するために、電気モータのシャフトに光学式又は磁気式のセンサを接続するとともに電気モータの回転数をコード化した信号を送信する装置を使用することが知られている。
【0012】
代替的に、電気モータの速度が設定範囲内にあるか否かを確認するために、電気モータの回転周波数を確認するためにモータの電源から測定された電圧をサンプリングする装置を使用することも知られている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
この技術分野の装置の第1の不都合は、機械のエンジンが給電されていないときにエンジンが動作していないか否か及び機械のエンジンが給電されているときにその速度が安全か否かを監視する必要がある場合、少なくとも二つの独立した別個の装置が必要になることである。
【0014】
これは、機械内部に安全装置を設置するための広いスペース及びヒューマンエラーの危険性が高い複雑な配線作業を必要とするために不都合である。
【0015】
さらに、二つの独立した別個の装置を使用することによって、装置をチェックするとともに故障の有無を確認することを非常に複雑にし、装置が設置された機械の安全性を低下させる。
【0016】
先行技術の別の不都合は、二つの独立した別個の装置の一方が故障した場合に前記装置が一貫性のない情報を提供することにより装置が設置された機械の安全レベルを低下させる可能性があることである。
【0017】
米国特許公開第2015/346739号明細書に記載されている装置のような最新技術の装置のもう一つの限界は、これらの装置が電気モータに電力が供給されていないときにその動作及び回転速度を確認するために電気モータの相の電圧検出を提供しないことである。
【課題を解決するための手段】
【0018】
これらの装置は、電気モータの電源の交流電流の周波数の関数として回転周波数(速度)のみを測定し、この測定された周波数を、対応する比例した電圧値に変換し、電圧値は、故障状況又は異常状況の検出のための比較に使用される。
【0019】
更に詳しくは、モータが給電されていない場合、これらの装置は、モータの電源の周波数をもはや検出しなくなり、ゼロに等しい周波数値を測定し、その結果、周波数変換から取得される全ての電圧値もゼロに等しくなる。
【0020】
したがって、これらの装置は、電気モータが給電されているときにのみ電気モータの回転速度を測定するために使用することができ、モータが動作していない又は減速しているためにモータが給電されていないときにこれらのパラメータを測定しない。
【0021】
したがって、これらの装置は、例えば、電気モータが給電されていないために動作していない状態又は減速している状態を監視することはできない。したがって、本発明の目的は、小型で設置が容易であるとともに電気モータの回転数が安全であるか否かの監視と当該電気モータが給電されていないときに当該電気モータが実際に回転していないか否かの確認の両方を可能にする安全装置を実現することである。
【0022】
本発明の他の目的は、少なくとも一つの電気モータを備える機械又はシステムの安全レベルを高めることができる安全装置及び方法を実現することである。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】
図1は、本発明の実施形態による安全装置の概略図である。
【
図2】
図2は、本発明の実施形態による安全装置の概略図である。
【
図3】
図3は、本発明の実施形態による安全装置の概略図である。
【
図4】
図4は、本発明の実施形態による安全装置の概略図である。
【
図5】
図5は、本発明の実施形態による安全装置の概略図である。
【
図6】
図6は、本発明の実施形態による安全装置の概略図である。
【
図7】
図7は、本発明の実施形態による安全装置の概略図である。
【
図8】
図8は、本発明の実施形態による安全装置の概略図である。
【
図9】
図9は、本発明の一実施形態によるシステムの概略図である。
【
図10】
図10は、本発明の実施形態による安全方法のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0024】
本発明による安全装置10は、少なくとも一つの電気モータ101が存在する機械又はシステムに関連し、機械又はシステムの安全性に関する少なくとも一つの制御信号CF,CVを外部ユーザに送信するように構成されている。
【0025】
例えば、装置10を、機械又はシステムの内部へのアクセスを許可又は拒否するために、制御信号CF,CVを機械又はシステムのガード又はドア、カバー等の電気安全スイッチに送信するために電気安全スイッチに関連させることができる。
【0026】
代替的に又は追加的に、装置10を、例えば、非常ブレーキ、インジケータ等のような安全部品の動作を制御信号CF,CVによって制御するために、安全部品に関連させることができる。
【0027】
第1の実施形態では、装置10は、電源ラインの周波数及び電圧を検出するとともにそれぞれの閾値と比較することによって、停止しているモータの状態及び電気モータ101の回転速度を制御することを可能にする。
【0028】
代替的に、装置10は、電気モータ101の動作に関連する少なくとも二つの検出した物理量を互いに比較することを可能にする。前記少なくとも二つの物理量は、電気モータの駆動軸の回転速度、電気モータの電源ラインで測定された電圧及び電気モータの電源ラインで測定された周波数から選択される。この場合、電気モータ101のスリップ又はブロッキングのような故障状況又は異常状況を検出するために比較が行われる。
【0029】
添付の
図1~7を参照すると、装置10は、電気モータ101の電力供給網100に接続された入力部13及び制御信号CF,CVが送信されるスイッチング手段15を備える安全部14を有する制御部12を含む少なくとも一つのケース11に設けられる。
【0030】
入力部13は、電源100の電圧を検出するとともに検出した電圧に関連する少なくとも一つのワーク信号Wを安全部14に送信するように構成されている。
【0031】
さらに、安全部14は、以下に詳述するように、ワーク信号Wを処理するとともにワーク信号Wに応じて少なくとも一つの制御信号Cを送信するように構成されている。
【0032】
図1に模式的に示す第1の実施形態では、入力部13は、第1の入力チャネル16を備え、安全部14は、第1の入力チャネル16に接続された第1の処理部17を備える。
【0033】
第1の入力チャネル16は、電源100自体の電圧を瞬時に検出するとともに当該検出電圧に相関する第1のワーク信号Wを第1の処理部17に送信するために電気モータ101の電源100に接続されるように構成されている。
【0034】
例えば、第1の入力チャネル16は、前記電源ライン100の交流電流を検出するために電気モータ101の前記電源ライン100に接続されるように構成されている。
【0035】
例えば、電気モータ101の電源100が三相タイプである場合、第1の入力チャネル16を、使用時に電源100の二つの相L1,L2に接続することができる。
【0036】
好適には、第1の入力チャネル16は、第1の増幅手段18と、第1の測定部19と、を備える。
【0037】
第1の増幅手段18は、検出した電圧より低い電圧値を有する少なくとも一つの第1の中間電圧信号IVを第1の測定部19に送信するために、検出した電圧をスケーリングするために電源100に接続されるように構成されている。
【0038】
本明細書及び添付の特許請求の範囲において、「増幅」という用語は、信号が1未満の値で増幅される場合、したがって、信号が減衰する場合も含まれることに留意されたい。
【0039】
本明細書で提供される例では、第1の中間信号Iは、電気モータ101の電源100の二つの相L1,L2の間で測定された電圧の経時的傾向に相関する矩形波である。
【0040】
例として、第1の増幅手段18は、それ自体既知の差動増幅器を備え、詳細な説明を省略する。
【0041】
さらに、増幅手段18は、第1の周波数ライン20及び第1の電圧ライン21によって第1の測定部19に接続されている。
【0042】
第1の周波数ライン20は、有利には、ノイズによってフィルタリングされるとともに第1の測定部19によって許容可能な最大値を有する第1の中間周波数信号IFを第1の測定部19に供給するように構成された第1のフィルタリング回路22を備える。前記第1のフィルタリング回路22は、それ自体既知のタイプの直列に配置された1次フィルタ23、ヒステリシスを有するコンパレータ24及び分圧器25を備え、詳細な説明を省略する。
【0043】
電圧ライン21は、測定部19によって許容される最大値を有する第1の中間電圧信号IVを第1の測定部19に供給するように構成された減衰回路26を備える。特に、減衰回路26は、それ自体既知であり、詳細な説明を省略する分圧電圧27を備える。
【0044】
第1の測定部19は、第1の中間周波数信号IF及び第1の中間電圧信号IVをサンプリングするように構成されている。さらに、第1の測定部19は、電気モータ101の周波数情報を取得するために第1の中間周波数信号IFの測定を行うように構成されている。この場合、この測定は、第1の中間周波数信号IFの周期の測定、したがって、その周波数の測定を提供する。
【0045】
本明細書及び添付の特許請求の範囲において、「周波数」という用語が電気モータ101の回転速度に相関する量を意味することに留意すべきである。
【0046】
さらに、第1の測定部19は、電源100に印加される電圧に相関する電圧情報を取得するために第1の中間電圧信号IVの測定を行うように構成されている。この場合、第1の測定部19は、第1の中間電圧信号IVの電圧を瞬時に測定し、その測定値は、前記電圧情報に対応する。
【0047】
第1の測定部19は、好適には、前記周波数情報及び前記電圧情報を含む前記第1のワーク信号Wをデジタル形式で第1の処理部17に送信するように構成されている。
【0048】
第1の処理部17は、所定の周波数閾値F及び所定の電圧閾値Vが記憶された記憶部(図示せず)を備えることができる。さらに、第1の処理部17は、前記第1のワーク信号Wに含まれる周波数情報及び電圧情報と周波数閾値F及び電圧閾値Vとを比較するように構成されている。代替的に、ユニットメモリ(図示せず)は、第1の処理部17の外部に存在することができるとともに第1の処理部17と通信を行うことができる。
【0049】
電気モータ100の回転速度が機械又はシステムにとって安全と考えられる範囲内にあるか否かを判断するために、周波数情報と周波数閾値Fとの比較を行う。
【0050】
例えば、周波数閾値Fを、電気モータ101の周波数の最大値又は電気モータ101の周波数の最小値とすることができる。代替的に、周波数閾値を、電気モータ101の周波数の最大値と最小値との間の範囲によって定義することができる。
【0051】
電圧情報と電圧閾値Vとの比較は、電気モータ101が動作していないか否か、すなわち、回転速度がゼロであるか否かを判断することを行う。
【0052】
例えば、電圧閾値Vは、電圧情報の最大値である。
【0053】
有利なことに、本発明によれば、電気モータ101が給電されていないとき及び/又は電気モータ101が減速段階にあるときでも電気モータ101の回転速度を検出することができる。
【0054】
また、有利なことに、本発明によれば、モータ電源で直接検出した電圧及び周波数をそれぞれの閾値で比較することができる。電源の周波数は、モータの回転速度を検出するためにモータが給電されているときに評価され、それに対し、電源の電圧は、モータが動作していないか否か又はモータが回転及び/又は減速しているか否かを評価するためにモータが給電されていないときに評価される。
【0055】
更に有利なことに、本発明は、電気モータ101が給電されて動作しているときと電気モータ101が給電されていないために減速又は停止しているときの両方で電気モータ101の速度を検出することができるように、モータ電源の交流電流の電圧と周波数の両方をそれぞれの閾値と比較することができる。
【0056】
更に詳しくは、電気モータ101が給電されているときに、速度の評価のために、交流電流の周波数を、それぞれの周波数閾値と比較し、それに対し、電気モータ101が動作していないか否か又は電気モータ101が減速しているか否かを評価するために、電気モータ101が給電されていないときにモータ電源相で検出した残留電圧を、それぞれの電圧閾値と比較する。
【0057】
第1の処理部17は、周波数情報と周波数閾値Fとの比較から電気モータ101の周波数が安全と考えられる範囲内にあることが判明した場合に第1の周波数起動信号AFをスイッチング手段15に送信するように構成更にされている。例えば、周波数情報が最大周波数閾値Fより小さい場合又は周波数情報が最小周波数閾値Fより大きい場合又は周波数情報が安全と考えられる範囲内にある場合であっても、第1の周波数起動信号AFを送信することができる。
【0058】
さらに、第1の処理部17は、電圧情報と電圧閾値Vとの比較から電気モータ101の回転数がゼロであることが判明した場合に第1の電圧起動信号AVをスイッチング手段15に送信するように構成されている。例えば、電圧情報が電圧閾値Vより小さい場合に、第1の電圧起動信号AVを送信することができる。
【0059】
図1の非限定的な実施例では、スイッチング手段15は、第1の処理部17に接続されるとともに第1の周波数起動信号AFに応答して開状態から閉状態に切り替わるように構成された通常開タイプの周波数スイッチング素子29を備える。さらに、スイッチング手段15は、第1の処理部17に接続されるとともに第1の電圧起動信号AVに応答して開状態から閉状態に切り替わるように構成された通常開タイプの電圧スイッチング素子30を備える。
【0060】
周波数スイッチング素子29の開状態から閉状態への切替は、周波数制御信号CFに対応し、電圧スイッチング素子29の開状態から閉状態への移行は、電圧制御信号CVに対応する。
【0061】
いくつかの実施形態では、第1の処理部17は、前記第1のワーク信号Wに含まれる電圧情報及び周波数情報の整合性制御を行うように構成されている。例えば、整合性制御は、電圧情報が電圧閾値V未満であるときに周波数情報も、例えば、1Hzに対応する下限周波数未満であることを確認することを含む。
【0062】
有利なことに、この構成により、第1の処理部17の上流における故障の存在を推測することができ、したがって、本発明の装置10によって提供される安全性のレベルを高めることができる。
【0063】
周波数閾値F及び電圧閾値Vが電気モータ101の存在する機械又はシステムの作業サイクルの時間又は段階に応じて、例えば、電気モータ101に提供される加速又は制動の段階中にも可変であることに留意すべきである。
【0064】
図4に示す可能な変形実施形態では、第1の増幅手段18を、好適には、第1のワーク信号Wをアナログ形式で第1の処理部17に送信するために第1の処理部17に直接接続することができる。この場合、第1の処理部17を、周波数情報を取得するためにFFT(高速フーリエ変換)アルゴリズムを実行するように構成することができる。さらに、第1の処理部17を、電圧情報を取得するためにワーク信号Wの電圧を測定するように構成することができる。
【0065】
又は、
図5に示す可能な変形実施形態では、第1の増幅手段18を、単一の中間信号Iを第1の測定部19に送信するために第1の測定部19に直接接続することができる。この場合、第1の測定部19を、周波数情報を取得するためにFFT(高速フーリエ変換)アルゴリズムを実行するように構成することができる。さらに、第1の処理部17を、電圧情報を取得するために中間信号Iの電圧を測定するように構成することができる。
【0066】
図2に概略的に示す本発明の別の実施形態では、入力部13は、第2の入力チャネル36も備え、安全部14は、第2の入力チャネル36に接続された第2の処理部37も備える。
【0067】
第2の入力チャネル36は、電源100自体に印加される電圧を瞬時に検出するとともに検出した前記電圧に相関する第2のワーク信号W’を第2の処理部37に送信するために、電気モータ101の電源100に接続されるように構成されている。
【0068】
例えば、第2の入力チャネル36は、電気モータ101の前記供給ライン100に接続され、前記供給ライン100上の交流電流を検出するように構成されている。
【0069】
例えば、電気モータ101の電源100が三相タイプである場合、第2の入力チャネル36を、使用時に電源100の二つの相L1,L3に接続することができる。好適には、使用時に第2の入力チャネル36が接続される二つの相L1,L3の少なくとも一方は、使用時に第1の入力チャネル16が接続される二つの相L1,L2と異なる。
【0070】
好適には、第2の入力チャネル36は、第2の増幅手段38と、第2の測定部39と、を備える。
【0071】
第2の増幅手段38は、電源100に接続されるように構成されているとともに検出電圧よりも低い電圧値を有する少なくとも一つの第2の中間電圧信号I’を第2の測定部39に送信するために検出電圧をスケーリングするように構成されている。
【0072】
例えば、第2の中間電圧信号I’は、電気モータ101の電源100の二つの相L1,L3の間で測定された電圧の経時的傾向に相関する矩形波である。
【0073】
単なる例として、第2の増幅手段38は、それ自体既知の差動増幅器を備え、詳細な説明を省略する。
【0074】
図2に示す例では、第2の増幅手段38は、第2の周波数ライン40及び第2の電圧ライン41によって第2の測定部39に接続されている。
【0075】
第2の周波数ライン40は、ノイズによってフィルタリングされるとともに第2の測定部39によって許容される最大値を有する第2の中間周波数信号IF’を第2の測定部39に供給するように構成された第2の中間信号の第2のフィルタリング回路42を備える。本明細書に示す例では、第2のフィルタリング回路42は、それ自体既知である1次フィルタ43、ヒステリシスを有するコンパレータ44及び分圧器45を備え、詳細な説明を省略する。当業者は、第2のフィルタリング回路42が本実施例で説明するものとは異なるものであってもよいことを容易に理解する。
【0076】
電圧ライン41は、第2の測定部39が許容できる最大電圧値を有する第2の中間電圧信号IV’を第2の測定部39に供給するように構成された減衰回路46を備える。特に、減衰回路46は、それ自体公知の分圧器47を備え、詳細な説明を省略する。この場合も、当業者は、第2の減衰回路46がこの実施例で説明したものとは異なるものであってもよいことを容易に理解する。
【0077】
第2の測定部39は、第2の中間周波数信号IF’及び第2の中間電圧信号IV’をサンプリングするように構成されている。さらに、第2の測定部39は、前記電気モータ101の周波数情報を取得するために第2の中間周波数信号IF’を処理するように構成されている。この処理により、第2の中間周波数信号IF’の周期の測定、したがって、その周波数の測定を行うことができる。
【0078】
さらに、第2の測定部39は、電源100で測定された電圧に相関する電圧情報を取得するために第2の中間電圧信号IV’を処理するように構成されている。本明細書で提供される例では、第2の測定部39は、第2の中間電圧信号IV’の電圧を瞬時に測定し、測定された値は、前記電圧情報に対応する。
【0079】
第2の測定部39は、好適には、前記周波数情報及び前記電圧情報を含む前記第2のワーク信号W’をデジタル形式で第2の処理部37に送信するように構成されている。
【0080】
また、第2の処理部37は、前記既定の周波数閾値F及び前記電圧閾値Vが記憶される記憶部(図示せず)を備えることができる。代替的に、前記記憶部(図示せず)は、前記第2の処理部37の外部に存在することができ、前記記憶部(図示せず)を、第2の処理部37に接続することができる。
【0081】
さらに、第2の処理部37は、前記第2のワーク信号W’に含まれる周波数情報及び電圧情報と周波数閾値F及び電圧閾値Vと比較するように構成されている。
【0082】
また、この場合も、電気モータ101の回転速度が機械又はシステムにとって安全と考えられる範囲にあるか否かを判断するために、周波数情報と周波数閾値Fとの比較を行う。さらに、電気モータ101が動作していないか否か、すなわち、電気モータ101がゼロの回転速度を有するか否かを判断するために、、電圧情報と電圧閾値Vとの比較を行う。
【0083】
第2の処理部37は、周波数情報と周波数閾値Fとの比較から電気モータ101の周波数が安全と考えられる範囲内にあることが判明した場合第2の周波数起動信号AF’をスイッチング手段15に送信するように更に構成されている。例えば、周波数情報が最大周波数閾値Fより小さい場合又は周波数情報が最小周波数閾値Fより大きい場合又は周波数情報が安全と考えられる範囲内にある場合にも、第2の周波数起動信号AF’を送信することができる。
【0084】
第2の処理部37は、電圧情報と電圧閾値Vとの比較から電気モータ101の速度がゼロであることが判明した場合に第2の電圧起動信号AV’をスイッチング手段15に送信するように更に構成されている。
【0085】
図2の実施形態では、スイッチング手段15は、直列に配置された第1の電圧スイッチング素子51及び第2の電圧スイッチング素子52と、直列に配置された第1の周波数スイッチング素子53及び第2の周波数スイッチング素子54と、を備える。
【0086】
直列の電圧スイッチング素子51,52は、電圧制御信号CVを送信するように構成され、直列の周波数スイッチング素子53,54は、周波数制御信号CFを送信するように構成されている。
【0087】
この場合、第1の電圧スイッチング素子51は、第1の処理部17に接続され、処理部17は、第1の電圧起動信号AVを第1の電圧スイッチング素子51に送信するように構成されている。さらに、第2の電圧スイッチング素子52は、第2の処理部37に接続され、第2の電圧起動信号AV’を第2の電圧スイッチング素子52に送信するように構成されている。
【0088】
さらに、第1の周波数スイッチング素子53は、第1の処理部17に接続され、処理部17は、第1の周波数起動信号AFを第1の周波数スイッチング素子53に送信するように構成されている。さらに、第2の周波数スイッチング素子54は、第2の処理部37に接続され、第2の周波数起動信号AF’を第2の周波数スイッチング素子54に送信するように構成されている。
【0089】
好適には、第2の処理部37は、前記第2のワーク信号W’に含まれる電圧情報及び周波数情報の整合性比較を実行するように構成されている。例えば、整合性比較は、電圧情報が電圧閾値V未満であるときに周波数情報も、例えば、1Hzに等しい下限周波数未満であることの確認を提供する。
【0090】
有利なことに、この構成により、第2の処理部37の上流における故障の存在を推測することができ、したがって、本発明の装置10によって提供される安全性のレベルを高めることができる。
【0091】
図4に例を示す代替実施形態では、第2の増幅手段38を、好適には、第2のワーク信号W’をアナログ形式で第2の増幅手段38に送信するために第2の処理部37に直接接続することができる。この場合、第2の処理部37を、周波数情報を取得するためにFFT(高速フーリエ変換)アルゴリズムを実行するように構成することができる。
【0092】
又は、
図5に例を示す他の変形実施形態では、第2の増幅手段38を、単一の中間信号I’を第2の増幅手段38に送信するために第2の測定部39に直接接続することができる。この場合、第2の測定部39を、周波数情報を取得するためにFFT(高速フーリエ変換)アルゴリズムを実行するように構成することができる。
【0093】
オプションとして、
図3及び
図7に概略的に示すいくつかの実施形態では、第1の周波数ライン20を、第1の中間周波数信号IFを第1の周波数ライン20に送信するために第2の測定部39にも接続することもでき、第2の周波数ライン40を、第2の中間周波数信号IF’を第2の周波数ライン40送信するために第1の測定部19にも接続することもできる。
【0094】
これらの実施形態では、第1の測定部19は、電気モータ101の回転方向を決定するために、第1の中間周波数信号IFと第2の中間周波数信号IF’とを比較するようにも構成されている。さらに、第2の測定部39も、電気モータ101の回転方向を決定するために、第1の中間周波数信号IFと第2の中間周波数信号IF’とを比較するように構成されている。
【0095】
この場合、第1のワーク信号Wは、電気モータ101の回転方向をコード化した方向情報も含む。さらに、第2のワーク信号W’も、電気モータ101の回転方向をコード化する方向情報を含む。例えば、決定された方向が時計回りである場合に前記ワーク信号Wのビットに値0を割り当てるとともに決定された方向が反時計回りである場合に前記ワーク信号Wのビットに値1を割り当てる又はその逆を行う。
【0096】
さらに、第1の処理部17及び第2の処理部37のうちの少なくとも一方は、方向情報を(図示しない)非安全型出力に送信するようにも構成されている。例えば、非安全型出力を、ディスプレイ、光素子等の信号伝達装置に接続することができる。有利なことに、これによって、ユーザが電気モータ101の回転方向を知ることができるとともにこの検出した回転方向が予想される回転方向に対応するか否かを評価することができる。
【0097】
オプションとして、制御部12は、処理部17,37のうちの少なくとも一方に接続されたセンサ入力部60(
図6,
図7,
図8)と、前述のセンサ入力部60に接続されるとともに前記電気モータ101の駆動軸102に対応して配置されるように構成された外部回転センサ61と、を有する。
【0098】
回転センサ61は、駆動軸102の位置を経時的に確認することによって駆動軸102の回転速度を算出するとともに速度信号ωを処理部17,37のうちの少なくとも一方に送信するように構成されている。例えば、回転センサ61は、誘導センサ又はダイナモ又はエンコーダを備えることができる。
【0099】
これらの実施形態では、第1の処理部17及び第2の処理部37のうちの少なくとも一方は、前述の速度信号ωと電圧情報又は周波数情報と比較するようにも構成されている。有利なことに、これによって、機械の故障状況又は誤動作状況を知らせるために電気モータ101のスリップ状態又はブロック状態を検出することができる。
【0100】
オプションとして、制御部12は、二つの処理部17,37のうちの少なくとも一方に接続された補助入力部65(
図8)も備える。補助入力部65は、外部装置と第1の処理部17及び第2の処理部37のうちの少なくとも一方との間の情報の送信を可能にするように構成されている。例えば、補助入力部65は、外部装置から周波数閾値F及び電圧閾値Vを受信するとともにそれらを第1の処理部17及び第2の処理部37のうちの少なくとも一方に送信するように構成されているる。例として、補助入力部65は、好適には、USB-CタイプのUSBコネクタを備えることができる。代替的に又は追加的に、補助入力部65は、例えば、IO-Linkバスのような産業用フィールドバス又はポイントツーポイント通信バスを備えることができる。
【0101】
好適には、第1の処理部17及び第2の処理部37は、第1のワーク信号W及び第2のワーク信号W’間の整合性制御を実行するために互いに冗長的に接続されている。
【0102】
有利なことに、この構成により、第1の入力チャネル16及び/又は第2の入力チャネル36における故障の存在を推測することができ、したがって、本発明の装置10によって提供される安全性のレベルを高めることができる。
【0103】
好適には、入力部13及び安全部14を単一のプリント回路から取得するとともに絶縁バリア(図示せず)によって互いに分離するが、その必要がない。有利なことに、絶縁バリアは、入力部13と安全部14との間の電気的分離を規定するためにケース11の壁と協働する。これによって、入力部13の高電圧に起因する安全部14の誤動作又は故障を回避することができ、その結果、本発明の装置10の安全レベルが向上する。
【0104】
例えば、絶縁バリアは、入力チャネル16,36と処理部17,37との間に配置された一つ以上のフォトカプラ又はオプトアイソレータで構成することができる。例えば、第1のフォトカプラを、第1のワーク信号Wを送信するために第1の測定部19と第1の処理部17との間に介在させることができ、第2のフォトカプラを、第2のワーク信号W’を送信するために第2の測定部39と第2の処理部37との間に介在させることができる。
【0105】
図9は、電源ライン100に接続された電気モータ101及び安全装置10を備える安全システムのブロック図であり、少なくとも第1のチャネル16は、電気モータ101の電源の交流電流の周波数を検出して電圧値及び周波数値を取得するために電源ライン100に接続されている。
【0106】
図9のシステムは、機械又はシステムのPLCのようなコントローラ105も有し、コントローラ105は、スイッチング手段15に接続され、制御信号CF,CVを受信するとともに制御信号CF,CVに従って電気モータ101を制御するように構成されている。
【0107】
更に具体的には、好適には、コントローラ105は、(
図9には図示しない)インバータを制御し、インバータは、電気モータ101を制御し、安全装置10は、安全でない状況が発生した場合に電気モータ101への電力を遮断するためにコントローラ105と通信を行うとともにインバータの上流に配置された(図示しない)二つのコンタクタを直接制御する。
【0108】
図10を参照すると、装置10の操作に対応する本発明の安全方法は、以下のステップを備える。
【0109】
方法は、基本的には、検出段階S1を備え、検出段階S1によれば、少なくとも第1の入力チャネル16は、電気モータ101の電源ライン100の電圧及び周波数を検出する。
【0110】
さらに、方法は、準備段階S2を備え、準備段階S2によれば、少なくとも第1の入力チャネル16は、電源ライン100で検出した電圧及び周波数を処理し、少なくとも一つの第1の処理部17に少なくとも一つの第1のワーク信号Wを送信する。
【0111】
その後、方法は、処理段階S3を提供し、処理段階S3によれば、少なくとも一つの第1の処理部17は、第1のワーク信号Wと少なくとも一つの所定の周波数閾値F及び少なくとも一つの所定の電圧閾値Vとを比較する。
【0112】
図2に模式的に示す実施形態に従って安全装置10によって手順を実行する場合、検出段階S1の間に、各入力チャネル16,36は、電気モータ101の電源ライン100の電圧及び周波数を検出する。
【0113】
さらに、この場合、準備段階S2の間に、各入力チャネル16、36は、それぞれのワーク信号W,W’をそれぞれの処理部17,37に送信するために、検出した電圧及び周波数を処理する。
【0114】
準備段階S2の間に、第1の入力チャネルは、第1の処理部17に第1のワーク信号Wを送信し、第2の入力チャネル36は、第2の処理部37に第2のワーク信号W’を送信する。
【0115】
オプションとして、準備段階S2は、増幅サブ段階S2.1を提供することができ、増幅サブ段階S2.1によれば、増幅手段18,38は、検出した電圧をスケーリングするとともに検出した値より低い値を有する少なくとも一つのそれぞれの中間電圧信号IV,IV’をそれぞれの測定部19,39に送信する。
【0116】
さらに、準備段階S2は、フィルタリングサブ段階S2.2を備えることもでき、フィルタリングサブ段階S2.2によれば、中間信号Iはそれぞれ、それぞれの測定部19,39にそれぞれの中間周波数信号IF,IF’を提供するために、それぞれのフィルタリング回路22,42によってフィルタリングされる。さらに、準備段階S2は、減衰サブ段階S2.3を備えることもでき、減衰サブ段階S2.3によれば、中間信号Iはそれぞれ、それぞれの減衰回路26,46によって減衰され、それぞれの中間電圧信号IV,IV’をそれぞれの測定部19,39に供給する。
【0117】
準備段階S2は、測定サブ段階S2.4も備え、測定サブ段階S2.4によれば、それぞれの測定部19,39は、周波数情報及び電圧情報を取得するために、それぞれの中間周波数信号IF,IF’及び中間電圧信号IV,IV’の測定を行う。さらに、測定サブフェーズS2.4の間に、それぞれの測定部19、39は、それぞれの周波数情報及びそれぞれの電圧情報を含むワーク信号W,W’をそれぞれの処理部17、37に送信する。
【0118】
オプションとして、測定サブフェーズS2.4が提供されている場合、測定サブフェーズS2.4の間に、電気モータ101の回転方向に関する情報を測定するために、第1の測定部19は、第2の中間周波数信号IF’も処理し、第2の測定部39は、第1の中間周波数信号IFも処理する。この場合、それぞれの測定部19,39は、回転方向に関するそれぞれの情報も含むワーク信号W,W’をそれぞれの処理部17,37に送信する。
【0119】
有利には、処理段階S3の間に、それぞれの処理部17,37は、それぞれのワーク信号W,W’ に従って起動信号AF,AV,AF’,AV’をスイッチング手段15に送信する。特に、処理段階S3の間に、それぞれの処理部17,37は、それぞれのワーク信号W,W’の周波数情報と少なくとも一つの既定の周波数閾値Fとを比較し、それぞれのワーク信号作業W,W’の電圧情報と少なくとも一つの既定の電圧閾値Vとを比較する。
【0120】
別の実施形態によれば、本発明の方法目的は、少なくとも第1の入力チャネル16が電気モータ101の電力供給ライン100の電圧又は周波数を検出する検出段階S1と、少なくとも第1の入力チャネル16が電力供給ライン100で検出した電圧又は周波数を処理するとともに少なくとも一つの第1の処理部17に少なくとも一つの第1のワーク信号Wを送信する準備段階S2と、少なくとも一つの第1の処理部17が少なくとも一つの第1のワーク信号Wに従ってスイッチング手段15に起動信号AF,AVを送信し、少なくとも一つの第1の処理部17が少なくとも一つの第1のワーク信号Wに従ってスイッチング手段15に起動信号AF,AVを送信し、かつ、一つの第1のワーク信号Wの電圧情報又は周波数情報と既定の電圧既定の電圧閾値V又は既定の周波数閾値Fとを比較する処理段階S3と、を提供する。この場合、本発明による方法は、少なくとも一つの第1の処理部17に接続されたセンサ入力部60によって電気モータ101の回転速度を検出するとともに電気モータ101の回転速度信号ωを少なくとも一つの第1の処理部17に送信する回転センサ61も使用する。
【0121】
明らかに、この実施形態によっても、二つの入力チャネル16,36を、それぞれの処理部17,37にそれぞれのワーク信号W,W’を送信するために設けることができ、準備段階S2は、増幅段階S2.1、フィルタリング段階S2.2、減衰段階S2.3及び測定段階S2.4を提供することができ、上述したモードと同様の動作モードを有する。
【0122】
以上の説明から、本発明の目的である電気モータを制御するための安全装置及び方法の特徴は明らかであり、それらから得られる利点も明らかである。
【0123】
このようにして着想した本発明は、数多くの変更及び変形が可能であり、その全ては、添付の特許請求の範囲の保護範囲に含まれる。
【0124】
さらに、全ての細部は、技術的に同等な他の要素に置換することができる。実際には、使用される材料並びに付随する形状及び寸法を、付随するニーズ及び技術の状況に応じて変更することができる。
【0125】
以下の特許請求の範囲に記載された構造上の特徴及び技術に参照番号が付されている場合、かかる参照番号は、特許請求の範囲の理解を高めることのみを目的として付されたものであり、その結果、特定された各要素の解釈を制限するものではない。
【外国語明細書】