IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ダイオネックス コーポレイションの特許一覧

<>
  • 特開-電解溶離液発生器 図1
  • 特開-電解溶離液発生器 図2
  • 特開-電解溶離液発生器 図3
  • 特開-電解溶離液発生器 図4
  • 特開-電解溶離液発生器 図5
  • 特開-電解溶離液発生器 図6A
  • 特開-電解溶離液発生器 図6B
  • 特開-電解溶離液発生器 図6C
  • 特開-電解溶離液発生器 図7
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024114680
(43)【公開日】2024-08-23
(54)【発明の名称】電解溶離液発生器
(51)【国際特許分類】
   G01N 30/26 20060101AFI20240816BHJP
   G01N 30/02 20060101ALI20240816BHJP
【FI】
G01N30/26 E
G01N30/02 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】16
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024019220
(22)【出願日】2024-02-13
(31)【優先権主張番号】18/167,979
(32)【優先日】2023-02-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】591025358
【氏名又は名称】ダイオネックス コーポレイション
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100130937
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100144451
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 博子
(72)【発明者】
【氏名】ヨンジン チェン
(72)【発明者】
【氏名】ヤン リウ
(57)【要約】
【課題】改良された電解溶離液発生デバイス及び方法を提供する。
【解決手段】電解溶離液発生器システムは、フロースルー溶離液発生ゾーンと、第1のイオン源を保持するように構成された第1のリザーバと、第2のイオン源を保持するように構成された第2のリザーバと、第1のリザーバと溶離液発生ゾーンとの間に配設された第1のイオン交換コネクタであって、イオン交換コネクタを通る液体の流れを実質的に防止し、当該第1のイオンと同じ電荷のイオンのみを輸送する、第1のイオン交換コネクタと、第2のリザーバと溶離液発生ゾーンとの間に配設された第2のイオン交換コネクタであって、イオン交換コネクタを通る液体の流れを実質的に防止し、当該第2のイオンと同じ電荷のイオンのみを輸送する、第2のイオン交換コネクタとを含む。第2のイオン交換コネクタは、第1のイオン交換コネクタとは反対の電荷のものである。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電解溶離液発生器システム(100)であって、前記発生器システムが、
(a)入口(110a)及び出口(110b)並びに第1の電極(120)を含む少なくとも1つのフロースルー溶離液発生ゾーン(110)と、
(b)第2の電極(150a)を含み、第1のイオン源を保持するように構成された、第1のリザーバ(140a)と、
(c)第3の電極(150b)を含み、第2のイオン源を保持するように構成された、第2のリザーバ(140b)と、
(d)前記第1のリザーバと前記溶離液発生ゾーンとの間に配設された第1のイオン交換コネクタ(180a)であって、前記第1のイオン交換コネクタは、前記第1のイオン交換コネクタを通る液体の流れを実質的に防止し、第1のイオンと同じ電荷のイオンのみを輸送する、第1のイオン交換コネクタ(180a)と、
(e)前記第2のリザーバと前記溶離液発生ゾーンとの間に配設された第2のイオン交換コネクタ(180b)であって、前記第2のイオン交換コネクタは、前記第2のイオン交換コネクタを通る液体の流れを実質的に防止し、第2のイオンと同じ電荷のイオンのみを輸送し、前記第2のイオン交換コネクタは、前記第1のイオン交換コネクタとは反対の電荷のものであり、第1のイオン交換コネクタ及び第2のイオン交換コネクタは、溶離液発生チャネルと連通して、イオンが前記イオン交換コネクタを通過して、混合し、液体クロマトグラフィのための溶離液として使用するのに適した塩含有溶液を形成することを可能にする、第2のイオン交換コネクタ(180b)と、
(f)前記第1の電極(120)及び前記第2の電極(150a)に接続されるように構成された第1の電流源と、
(g)前記第1の電極(120)及び前記第3の電極(150b)に接続されるように構成された第2の電流源と、を含む電解溶離液発生器システム(100)。
【請求項2】
前記第1の電極が接地されているか、又は、前記第2の電極及び前記第3の電極が接地されている、請求項1に記載の発生器システム。
【請求項3】
前記第1のリザーバ及び前記第2のリザーバが、単一のチャンバ/カートリッジ(160)内にある、請求項1又は2に記載の発生器システム。
【請求項4】
ポンプ及び/又は脱気装置を更に含む、請求項1~3のいずれか一項に記載の発生器システム。
【請求項5】
前記溶離液発生ゾーンの前記出口と流体連通している電解pH調整装置を更に含み、前記pH調整装置が、pH調整装置流れチャネルと、前記pH調整装置流れチャネルに隣接していて、液体の流れを実質的に防止し、1つの電荷のみのイオンを輸送するpH調整装置バリヤと、前記pH調整装置バリヤの両側に配設された第1の離間された電極及び第2の離間された電極と、を含む、請求項1~4のいずれか一項に記載の発生器システム。
【請求項6】
(h)前記第1のイオン交換コネクタ(180a)と流体連通している第1のイオン電解質の供給源、
(i)前記第2のイオン交換コネクタ(180b)と流体連通している第2のイオン電解質の供給源であって、前記第2のイオンは、前記第1のイオンとは反対の電荷のものである、第2のイオン電解質の供給源、及び/又は
(j)前記溶離液発生ゾーンの前記入口と流体連通している脱イオン水の供給源、を更に含む、請求項1~5のいずれか一項に記載の発生器システム。
【請求項7】
前記第1のイオン電解質の供給源がアニオン電解質水溶液であり、前記第2のイオン電解質の供給源がカチオン電解質水溶液である、請求項6に記載の発生器システム。
【請求項8】
前記第1のイオン電解質の供給源がカチオン電解質水溶液であり、前記第2のイオン電解質の供給源がアニオン電解質水溶液である、請求項6に記載の発生器システム。
【請求項9】
前記アニオン電解質水溶液がメタンスルホネート電解質であり、前記カチオン電解質水溶液がカリウム電解質である、請求項7又は8に記載の発生器システム。
【請求項10】
前記第1の電極、前記第2の電極、又は前記第3の電極のうちの少なくとも1つが、白金を含む、請求項1~9のいずれか一項に記載の発生器システム。
【請求項11】
電解溶離液発生器システムを使用して、液体クロマトグラフィのための塩溶液を発生させる方法であって、
前記電解溶離液発生器システムが、
入口(110a)及び出口(110b)並びに第1の電極(120)を含む少なくとも1つのフロースルー溶離液発生ゾーン(110)と、
第2の電極(150a)と第1のイオン電解質の供給源とを含む第1のリザーバ(140a)と、
第3の電極(150b)と第2のイオン電解質の供給源とを含む第2のリザーバ(140b)と、
前記第1のイオン源と前記溶離液発生ゾーンとの間に配設された第1のイオン交換コネクタ(180a)であって、前記第1のイオン交換コネクタは、前記第1のイオン交換コネクタを通る液体の流れを実質的に防止し、第1のイオンと同じ電荷のイオンのみを輸送する、第1のイオン交換コネクタ(180a)と、
前記第2のイオン源と前記溶離液発生ゾーンとの間に配設された第2のイオン交換コネクタ(180b)であって、前記第2のイオン交換コネクタは、前記第2のイオン交換コネクタを通る液体の流れを実質的に防止し、第2のイオンと同じ電荷のイオンのみを輸送し、前記第2のイオン交換コネクタは、前記第1のイオン交換コネクタとは反対の電荷のものであり、第1のイオン交換コネクタ及び第2のイオン交換コネクタは、溶離液発生チャネルと流体連通して、イオンが前記イオン交換コネクタを通過して、混合し、液体クロマトグラフィのための溶離液として使用するのに適した塩含有溶液を形成することを可能にする、第2のイオン交換コネクタ(180b)と、
前記第1の電極(120)及び前記第2の電極(150a)に接続されるように構成された第1の電流源と、
前記第1の電極(120)及び前記第3の電極(150b)に接続されるように構成された第2の電流源と、を含み、前記方法が、
(a)脱イオン水の供給源を、前記少なくとも1つのフロースルー溶離液発生ゾーンに流すステップと、
(b)前記第1の電極と前記第2の電極との間に第1の電流を通して、イオンを前記第1のイオン交換コネクタを通過させるステップであって、前記第1の電流が、前記少なくとも1つのフロースルー溶離液発生ゾーンの中へ輸送される又はそこから輸送されるイオンの量を制御する、ステップと、
(c)前記第1の電極と前記第3の電極との間に第2の電流を通して、イオンを前記第2のイオン交換コネクタを通過させるステップであって、前記第2の電流が、前記少なくとも1つのフロースルー溶離液発生ゾーンの中へ輸送される又はそこから輸送されるイオンの量を制御し、それによって、液体クロマトグラフィのための溶離液として使用するのに適した塩含有溶液を、前記溶離液発生ゾーンで形成する、ステップと、を含む、方法。
【請求項12】
前記第1のイオン電解質の供給源がアニオン電解質水溶液であり、前記第2のイオン電解質の供給源がカチオン電解質水溶液である、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記アニオン電解質水溶液がメタンスルホネート電解質であり、前記カチオン電解質水溶液がカリウム電解質である、請求項11又は12に記載の方法。
【請求項14】
前記第1の電極、前記第2の電極、又は前記第3の電極のうちの少なくとも1つが、白金を含む、請求項11~13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
第1の電流と前記第2の電流との差が、発生するH+又はOH-の量を決定する、請求項11~14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
前記第1の電極が接地されているか、又は、前記第2の電極及び前記第3の電極が接地されている、請求項11~15のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電解溶離液発生器システム及びクロマトグラフィ、特に、イオンクロマトグラフィにおけるそれらの使用に関する。
【背景技術】
【0002】
イオンクロマトグラフィ(ion chromatography、IC)は、様々な試料マトリックス中のアニオン性及びカチオン性分析物を測定するために広く使用されている分析技術である。
【0003】
例えば、複合糖質に関する研究は、生物療法(例えば、抗体)及び食品科学(例えば、プレバイオティクス)の両方の分野において非常に重要である。
【0004】
分析のために最も一般的に使用される分析方法としては、オリゴ糖を蛍光団で標識した後の蛍光検出(fluorescence detection、FLD)を用いるか、又は質量分析(mass spectrometry、MS)検出を用いる、親水性相互作用液体クロマトグラフィ(hydrophilic interaction liquid chromatography、HILIC)、オリゴ糖を蛍光団で標識した後のFLDを用いるか、又はMS検出を用いるキャピラリー電気泳動(capillary electrophoresis、CE)、及びパルス電流測定検出(pulsed amperometric detection、HPAEPAD)を用いる天然オリゴ糖の高性能アニオン交換クロマトグラフィが挙げられる。これらの技術の中で、HPAE-PAD技術は、誘導体化を必要とせずに、オリゴ糖の優れた分解能及び高い感度を提供する。HPAEは、水酸化物系溶離液を使用して高pH条件下で、強アニオン交換固定相を使用して、オリゴ糖の高度に選択的な分離を達成する。しかしながら、水酸化物溶液は、大気中の二酸化炭素(CO2)の優れた捕捉物であり、その結果、溶離液がカーボネートで汚染される。カーボネート汚染を最小限に抑えるために、電解溶離液発生技術は、イオンクロマトグラフィ(IC)に関する要求に応じて超高純度の水酸化物溶離液を発生させるために広く使用されてきた。
【0005】
したがって、液体クロマトグラフィのための、特に、イオンクロマトグラフィのための溶離液として使用するための高純度の酸又は塩基の便利な供給源が一般に必要とされている。
【0006】
米国特許第5,045,204号に記載されている1つの技術では、不純な酸又は塩基は、生成物チャネルから供給源チャネルを分離する選択透過性イオン交換膜に沿って供給源チャネルを通って流れる間に、溶離液発生器において精製される。膜は、カチオン又はアニオンの選択的通過を可能にする。供給源チャネルと生成物チャネルとの間に電位が印加され、その結果、酸又は塩基のアニオン又はカチオンが供給源チャネルから生成物チャネルに通り、その中で、それぞれ電解的に発生した水酸化物イオン又はヒドロニウムイオンを有する塩基又は酸が発生する。このシステムは、開始源又はリザーバとして酸又は塩基の水性流を必要とする。
【0007】
米国特許第6,225,129号は、クロマトグラフィ使用のための酸又は塩基を発生させる方法及び装置を記載している。塩基を発生させるために、本方法は、カチオン源リザーバ中にカチオン源を提供するステップと、カチオン輸送ブリッジを提供しながら、液体の流れを実質的に防止するバリヤ(例えば、荷電膜)によってカチオン源リザーバから分離された塩基発生チャンバを通して水性液体流を流すステップと、塩基発生チャンバ中のアノードカチオン源リザーバとカソードとの間に電位を印加して、その中で水酸化物イオンを電解的に発生させ、カチオン源リザーバ中のカチオンをエレクトロマイグレーションさせ、障壁を横断させてカソードに向かって輸送させて、輸送されたカチオンと結合させてカチオン水酸化物を形成するステップと、水性液体流中のカチオン水酸化物を第1の塩基発生チャンバからの流出液として除去するステップと、を含む。好適なカチオン源としては、塩溶液、カチオン水酸化物溶液又はカチオン交換樹脂が挙げられる。
【0008】
米国特許第9,624,588号には、濃度勾配溶離液流を発生させるシステム及び方法が記載されている。濃度勾配溶離液流は、少なくとも2つの異なる発生させるもの(generant)を含むことができる。液体は、溶離液発生デバイスにポンプで送ることができる。第1の制御信号を第1の溶離液発生器に印加して、第1の発生させるものを発生させることができる。第2の制御信号を第2の溶離液発生器に印加して、第2の発生させるものを発生させることができる。第1の制御信号及び/又は第2の制御信号のいずれかを、時間の関数として変化させて、濃度勾配溶離液流を発生させることができる。
【0009】
電解的に発生された溶離液によって、手動で調製された溶離液に関連するいくつかの問題、例えば、オペレータのエラー及び汚染物質の導入が回避される。例えば、カーボネートは試薬からの不純物として、又は空気からの二酸化炭素の吸着によって導入され得るため、カーボネートを含まないNaOH溶離液の調製は困難である。
【0010】
しかしながら、溶離液を電解的に発生させるために使用されるシステムは、複数の構成要素が必要となり複雑になる場合がある。また、溶離液カートリッジ間に遅延が存在する可能性があり、最適以下の勾配プロファイル及び不十分な分離をもたらす。ガス発生はまた、システム問題を引き起こす場合がある。
【0011】
本発明の目的は、上述の問題のうちの少なくともいくつかを回避する改良された電解溶離液発生デバイス及び方法を提供することにある。
【発明の概要】
【0012】
本発明によれば、電解溶離液発生器システム(100)が提供され、その発生器システムは:
(a)入口(110a)及び出口(110b)並びに第1の電極(120)を含む少なくとも1つのフロースルー溶離液発生ゾーン(110)と、
(b)第2の電極(150a)を含み、第1のイオン源を保持するように構成された、第1のリザーバ(140a)と、
(c)第3の電極(150b)を含み、第2のイオン源を保持するように構成された、第2のリザーバ(140b)と、
(d)第1のリザーバと少なくとも1つの溶離液発生ゾーンとの間に配設された第1のイオン(アニオン)交換コネクタ(180a)であって、そのコネクタは、イオン(アニオン)交換コネクタを通る液体の流れを実質的に防止し、当該第1のイオンと同じ電荷のイオンのみを輸送する、第1のイオン(アニオン)交換コネクタ(180a)と、
(e)第2のリザーバと少なくとも1つの溶離液発生ゾーンとの間に配設された第2のイオン(カチオン)交換コネクタ(180b)であって、そのコネクタは、イオン(カチオン)交換コネクタを通る液体の流れを実質的に防止し、当該第2のイオンと同じ電荷のイオンのみを輸送し、第2のイオン交換コネクタは、第1のイオン交換コネクタとは反対の電荷のものであり、それによって、第1のイオン交換コネクタ及び第2のイオン交換コネクタは、溶離液発生チャネルと(イオン)連通して、イオンがイオン交換コネクタを通過して、混合し、液体クロマトグラフィのための溶離液として使用するのに好適な塩含有溶液を形成することを可能にする、第2のイオン(カチオン)交換コネクタ(180b)と、
(f)当該第1の電極(120)及び第2の電極(150a)に接続されるように構成された第1の電流源と、
(g)当該第1の電極(120)及び第3の電極(150b)に接続されるように構成された第2の電流源と、を含む。
【0013】
これは、以下、本発明の「システム」、「発生器システム」又は「発生器」と呼ぶ。
【0014】
本発明の発生器では、第1のイオン交換コネクタ及び第2のイオン交換コネクタは、第1のリザーバ及び第2のリザーバを、第1の電極と電気的に連通している単一のフロースルー溶離液発生ゾーンに、又は全てが第1の電極と電気的に連通しており、かつ互いに流体連通している1つ以上の、例えば、2つのフロースルー溶離液発生ゾーンに、接続し得る。
【0015】
本明細書で使用されるとき、リザーバ又はフロースルー溶離液発生ゾーンが電極を含むと言われる場合、これは、リザーバ及び/又はフロースルー溶離液発生ゾーンが当該電極と電気的に連通している状況を包含することが意図されている。
【0016】
発生器は、発生された溶離液を、そのような溶離液を使用するクロマトグラフィシステム又は他の分析システムに供給するために使用することができる。
【0017】
本発明はまた、入口(110a)及び出口(110b)並びに第1の電極(120)を含む少なくとも1つのフロースルー溶離液発生ゾーン(110)と、第2の電極(150a)と第1のイオン電解質の供給源とを含む第1のリザーバ(140a)と、第3の電極(150b)と第2のイオン電解質の供給源とを含む第2のリザーバ(140b)と、第1のイオン源と溶離液発生ゾーンとの間に配設された第1のイオン(アニオン)交換コネクタ(180a)であって、そのコネクタは、イオン(アニオン)交換コネクタを通る液体の流れを実質的に防止し、当該第1のイオンと同じ電荷のイオンのみを輸送する、第1のイオン(アニオン)交換コネクタ(180a)と、第2のイオン源と溶離液発生ゾーンとの間に配設された第2のイオン(カチオン)交換コネクタ(180b)であって、そのコネクタは、イオン(カチオン)交換コネクタを通る液体の流れを実質的に防止し、当該第2のイオンと同じ電荷のイオンのみを輸送し、第2のイオン交換コネクタは、第1のイオン交換コネクタとは反対の電荷のものであり、それによって、第1のイオン交換コネクタ及び第2のイオン交換コネクタは、溶離液発生チャネルと(イオン)連通して、イオンがイオン交換コネクタを通過して、混合し、液体クロマトグラフィのための溶離液として使用するのに好適な塩含有溶液を形成することを可能にする、第2のイオン(カチオン)交換コネクタ(180b)と、当該第1の電極(120)及び第2の電極(150a)に接続されるように構成された第1の電流源と、当該第1の電極(120)及び第3の電極(150b)に接続されるように構成された第2の電流源と、を含む電解溶離液発生器を使用して液体クロマトグラフィのための塩溶液を発生させる方法も提供し、その方法は:
(a)脱イオン水の供給源を、少なくとも1つのフロースルー溶離液発生ゾーンに流すステップと、
(b)第1の電極と第2の電極との間に第1の電流を通して、イオンを第1のイオン交換コネクタを通過させるステップであって、第1の電流は、少なくとも1つのフロースルー溶離液発生ゾーンの中へ輸送される又はそこから輸送されるイオンの量を制御する、ステップと、
(c)第1の電極と第3の電極との間に第2の電流を通して、イオンを第2のイオン交換コネクタを通過させるステップであって、第2の電流は、少なくとも1つのフロースルー溶離液発生ゾーンの中へ輸送される又はそこから輸送されるイオンの量を制御し、それによって、液体クロマトグラフィのための溶離液として使用するのに好適な塩含有溶液が、溶離液発生ゾーンで形成される、ステップと、を含む。
【0018】
以下、この方法を、本発明の方法と称する。
【0019】
本発明の方法の一態様では、第1のリザーバ及び第2のリザーバは、単一のチャンバ/カートリッジ(160)内にあってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】従来技術の溶離液発生器のブロック図である。
図2】本発明の発生器システムの実施形態のブロック図である。
図3】pH調整装置を利用する本発明の発生器システムの更なる実施形態のブロック図である。
図4】実施例1におけるデュアルEGCカートリッジ構成(従来技術)を使用している実験セットアップの概略図である。
図5】実施例1における共通接地電極(3電極EGC設計をシミュレートしている)セットアップを有するデュアルEGCカートリッジを使用している実験セットアップの概略図である。
図6A図6Aは、古い構成及び新しい構成によって得られた、アルファ-(2,6)-NAN-ラクトース(ピーク1)及びアルファ-(2,3)-NAN-ラクトース(ピーク2)のクロマトグラムである。
図6B図6Bは、古い構成及び新しい構成に関してFluke 289マルチメータによって測定されたEGC 400 MSA電流である。
図6C図6Cは、古い構成及び新しい構成に関してFluke 289マルチメータによって測定されたEGC 400 KOH電流である。
図7】実施例2における共通接地電極(3電極EGC設計をシミュレートしている)セットアップを有するデュアルEGCカートリッジを使用している実験セットアップの概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本発明は、クロマトグラフィの溶離液として使用するための塩又は酸又は塩基の高純度溶液を発生させるための発生器及び方法に関する。
【0022】
本発明の発生器システム及び方法は、図を参照することによってより詳細に定義される。必ずしも縮尺通りではない図は、選択された実施形態を描写するものであり、本発明の範囲を限定することを意図するものではない。詳細な説明は、限定するものではなく、一例として、本発明の原理を例示する。本明細書は、当業者が、本発明、並びに説明される本発明のいくつかの実施形態、改作例、変形例、代替物、及び使用法を作製し、使用することを明確に可能にする。本明細書で使用される場合、任意の数値又は範囲に関する「約(about)」又は「およそ(approximately)」という用語は、一部の又は一群の構成要素が、記載されたその意図する目的のために機能することを可能にする好適な寸法公差を示す。
【0023】
図1は、従来技術の溶離液発生器のブロック図を示している。従来技術の発生器は、イオン電解質の供給源を収容するリザーバ(A)及び(B)を含む。示したように、リザーバAはカソード(1)を含み、リザーバBはアノード(2)を含む。この例では、リザーバAと溶離液発生ゾーン(5)との間にアニオン交換コネクタ(3)が配設されている。リザーバBと溶離液発生ゾーン(6)との間にカチオン交換コネクタ(4)が配設されている。アノード(7)はゾーン(5)と電気的に連通しており、カソード(8)はゾーン(6)と電気的に連通している。ポンプ(9)は、ゾーンを通る水性流体の流れを維持するためにゾーン(5)の前に配置される。
【0024】
図2を参照すると、本発明の発生器システムの一実施形態のブロック図が示されている。以下、KMSA/KOH溶離液の発生に関して説明する。しかしながら、使用されるイオン電解質の供給源に応じて、他の溶離液が生成され得ることが理解されよう。
【0025】
上で定義され、図2に示したように、本発明の発生器は、3つの電極構成を利用する単一のカートリッジ(160)内に第1のリザーバ(140a)及び第2のリザーバ(140b)を含み得る。各リザーバは、典型的には、リザーバの上部に設置されたガスベントを有してもよい。
【0026】
リザーバは、イオン電解質の供給源を保持するように構成される。すなわち、使用中、リザーバは、以下により詳細に考察するように、イオン電解質の供給源を収容する。
【0027】
リザーバは、低圧電解質貯蔵部として機能し、両方とも、少なくとも1つのフロースルー溶離液発生ゾーン(110)と別個に間接的に接触しており、溶離液発生ゾーンは、典型的には高圧下にある。
【0028】
少なくとも1つのフロースルー溶離液発生ゾーンは、入口(110a)及び出口(110b)を含む。2つ以上のフロースルー溶離液発生ゾーン、例えば、2つの発生ゾーンが存在する場合、各ゾーンは、それ自体の入口及び出口を有し得る。
【0029】
少なくとも1つのフロースルー発生部は、第1の電極を含む/第1の電極と電気的に連通している。2つ以上のフロースルー発生ゾーン、例えば、2つの発生ゾーンが存在する場合、各ゾーンは、第1の電極に接続されており、その結果、3つの電極が本発明の発生器中に存在する。
【0030】
リザーバは、各リザーバとフロースルー溶離液発生ゾーン(110)との間に配置されたイオン交換コネクタ(180a、180b)の存在により、少なくとも1つのフロースルー溶離液発生ゾーンと間接的に接触している。
【0031】
第1のイオン交換コネクタ(180a)は、第1のリザーバと少なくとも1つのフロースルー溶離液発生ゾーンとの間に配設されている。これは、取り付けられた第1のリザーバ中に存在する電解質に応じて、カチオン又はアニオン交換コネクタであってもよい。
【0032】
第2のイオン交換コネクタ(180b)は、第2のリザーバと少なくとも1つのフロースルー溶離液発生ゾーンとの間に配設されている。これは、取り付けられた第2のリザーバ中に存在する電解質に応じて、アニオン交換コネクタ又はカチオン交換コネクタであってもよい。
【0033】
本明細書で使用される場合、「カチオン」及び「アニオン」という用語は、水の電気分解中に生成された水素イオン及び水酸化物イオンは除外される。
【0034】
リザーバ及びイオン交換コネクタは、典型的には、溶離液発生ゾーンの同じ側に位置する。
【0035】
イオン交換コネクタ(180a、180b)は、典型的には、米国特許第6,225,129号に記載されているような荷電選択透過性膜の形態であり得る。膜の好適な形態は、Membrane International(Glenrock,N.J.)によって供給される。(CMI-7000カチオン交換膜と呼ぶれている)。
【0036】
イオン交換コネクタ(180a、180b)は、少なくとも1つのフロースルー溶離液発生ゾーン中の圧力に耐えるのに十分な厚さであるべきである。例えば、少なくとも1つのフロースルー溶離液発生ゾーンが、クロマトグラフィシステムとオンラインである場合、そのような圧力は、1,000~5,000psi程度であり得る。
【0037】
膜をイオン交換コネクタ(複数可)として使用する場合、膜は、円筒形の外部の短いカラム内において円形の断面を有するように好適に構成される。膜の典型的な寸法は、直径約4~6mm、長さ1~3mmである。バリヤは、円筒形カラム内でカチオン膜の複数のディスクを一緒に積み重ねることによって製造することができる。
【0038】
あるいは、イオン交換コネクタ(複数可)は、適切な厚さの単一のイオン交換膜から、又はイオン交換コネクタ(複数可)上の反対電荷のイオンは通過させるが液体は通過させない適切なイオン交換材料のブロック若しくはロッドから、調製することができる。
【0039】
第1のイオン交換コネクタはアニオン交換コネクタであってもよく、第2のイオン交換コネクタはカチオン交換コネクタであってもよく、又はその逆であってもよい。
【0040】
イオン交換コネクタは、典型的には、イオンに関する交換を含み、特定の電荷のイオンを通過させることができる。例えば、イオン交換コネクタがカチオン交換コネクタである場合、コネクタはカチオンを通過させることができるが、アニオンは通過させることができず、イオン交換コネクタがアニオン交換コネクタである場合にはその逆となる。
【0041】
上述したように、両方のイオン交換コネクタは、バルク液体流を遮断し、すなわち、それらは、起こり得るわずかな漏れを除いて液体の流れを遮断する。膜を使用するイオン交換コネクタは、好ましいが、上記の機能を達成する他のコネクタを使用することもできよう。
【0042】
イオン交換コネクタ(複数可)の1つの機能は、アニオン又はカチオンを少なくとも1つのフロースルー溶離液発生ゾーンに供給する非常に大きなリザーバ(複数可)(例えば、1~2リットル)の使用を可能にすることである。大容量リザーバは、アニオン及び/又はカチオンの長期供給を可能にする。例として、典型的なKOH発生チャンバは、100.mu.L未満程度、より典型的には100.mu.L~1,000.mu.Lの容積を有し得る。円筒形状に好適な寸法は、内径4~7mmID、長さ10~50mmである。これは、クロマトグラフィシステムにおけるオンラインでの使用を容易にする。対照的に、本発明の発生器で使用されるリザーバは、何倍も大きくてもよい。例えば、リザーバ(複数可)(140a及び/又は140b)と少なくとも1つのフロースルー溶離液発生ゾーンとの間の比は、少なくとも5:1~10:1若しくは20:1又はそれ以上であり得る。
【0043】
イオン交換コネクタ(複数可)の別の機能は、比較的低圧の供給リザーバ(複数可)(140a及び/又は140b)を、少なくとも1つのフロースルー溶離液発生ゾーンから隔離する高圧物理的バリヤを提供することであり、フロースルー溶離液発生ゾーンは、高圧クロマトグラフィシステムとオンラインであるときに実質的に高圧である。
【0044】
例えば、非常に低圧のクロマトグラフィシステムであっても、少なくとも約50psiまで加圧される。リザーバの大気圧(14.7psi)を仮定すると、少なくとも1つのフロースルー溶離液発生ゾーン内で維持される圧力は、リザーバ内で維持される圧力の少なくとも約3倍である。この隔離は、その圧力比が少なくとも約2:1である場合に特に有用であり、その比がはるかに高い、例えば少なくとも約5:1~少なくとも約10:1~100:1又はそれ以上である場合に更に有用である。
【0045】
低圧下で操作されるので、大きなアニオン及び/又はカチオン供給カラムを準備し、圧力の制約を要求することなく安全に操作することができる。第1のリザーバ及び第2のリザーバは、それぞれ、第2の電極及び第3の電極を含む。ザーバ及び溶離液発生ゾーン中に存在する電極は、典型的には、電気分解を行うための白金ワイヤなどの貴金属からなる電極である。本発明の発生器で使用される場合、電極は、同じ形態の同じ貴金属、すなわち、白金ワイヤを含んでもよいか、又は各電極は、フラットベッド電極などの異なる形態の異なる貴金属を含んでもよい。
【0046】
本発明の発生装置において、第1の電極は接地され得る。あるいは、第2及び/又は第3の電極は接地され得る。
【0047】
空間節約を提供するために、第1のリザーバ及び第2のリザーバは、単一チャンバ/カートリッジ/ホルダ(160)内に収容され得る。これは、3電極構成の使用により、比較的簡単に達成することができる。
【0048】
第1の電流源は、当該第1の電極(120)及び第2の電極(150a)に接続されるように構成され、第2の電流源は、当該第1の電極(120)及び第3の電極(150b)に接続されるように構成される。
【0049】
使用中、本発明の発生器は、
(h)第1のイオン(アニオン)交換コネクタ(180a)と流体連通している第1のイオン電解質の供給源、
(i)第2のイオン(カチオン)交換コネクタ(180b)と流体連通している第2のイオン電解質の供給源であって、第2のイオンは、当該第1のイオンとは反対の電荷のものである、第2のイオン電解質の供給源、及び/又は
(j)溶離液発生ゾーンの入口と流体連通している脱イオン水の供給源、を更に含み得る。
【0050】
第1のイオン電解質は、第1のリザーバ中に存在してもよく、第2のイオン電解質は、第2のリザーバ中に存在してもよい。あるいは、反対の構成を使用してもよい。
【0051】
本発明の発生装置において、第1のイオン電解質はメタンスルホン酸であってもよく、第2のイオン電解質は、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化リチウム、炭酸カリウム、炭酸ナトリウムであってもよく、その逆であってもよい。
【0052】
脱イオン水は、入口(180a)及び出口(180b)を介して溶離液発生ゾーンを通してポンプで送られる。
【0053】
電流(dc電流)は、第1の電極(120)と第2の電極(150a)との間の第1の電流又は電源(図示せず)から、及び第1の電極(120)と第3の電極(150b)との間の第2の電流又は電源(図示せず)から、流れる。
【0054】
印加された電場の下で、脱イオン水の電気分解は、電極の極性及び2つの電流の相対的な大きさに応じて、溶離液発生ゾーン中の第1の電極(120)で起こる:H2O→2H++1/2O2+2e-又は2H2O+2e-→2OH-+H2
【0055】
本発明の方法を、例示の溶離液としてKMSA/KOH溶離液を使用して、説明する。
【0056】
第1のリザーバは、メタンスルホネート電解質を収容している。メタンスルホン酸アニオンは、第1の電極と第2の電極との間に発生された電流の影響下で、この場合は、アニオン交換コネクタである第1のイオン交換コネクタを通過して溶離液発生ゾーンに入る。
【0057】
第2のリザーバは、カリウム電解質を収容している。カリウムカチオンは、第1の電極と第3の電極との間に発生された電流の影響下で、この場合は、カチオン交換コネクタである第2のイオン交換コネクタを通過して溶離液発生ゾーンに入る。
【0058】
発生されたMSA及びKOHの濃度は、第1の電極と第2の電極との間、及び第1の電極と第3の電極との間の回路に印加された電流、並びに溶離液発生ゾーン(複数可)を通る流量によって決定される。
【0059】
水酸化物の発生は、分離及び検出の両方にとって重要であるため、発生されたKOHの濃度は、典型的には、生成されたMSAの濃度より高く設定してもよく、所望の濃度でKMSA及びKOH溶離液を含有する最終生成物をもたらす。
【0060】
少なくとも1つのフロースルー溶離液発生ゾーンでは、KMSA、KOH及び水素ガスが発生し、出口(180b)を介して発生ゾーンから出る。
【0061】
本発明の発生器では、ポンプ及び/又は脱気装置が含まれ得る。典型的には、ポンプは溶離液発生ゾーン入口に接続され、脱気装置は溶離液発生ゾーン出口に接続されよう。
【0062】
次いで、脱気された溶離液は、必要に応じてクロマトグラフィシステムに供給され得るか、又は後の使用のために貯蔵され得る。
【0063】
発生器システムにおいて、単一のフロースルー溶離液発生ゾーン及び/又は一体化された(単一カートリッジ)と組み合わせた3電極構成を使用すると、構成要素及び接続の数の低減(使用の容易さをもたらす)、イオン電解質源間の間隙の低減、並びにガス発生の低減を含む、いくつかの利点が提供される。
【0064】
本発明の発生器の一態様では、発生器は、溶離液発生ゾーンの出口と流体連通している電解pH調整装置などのpH調整ユニットを更に含んでもよく、当該pH調整装置は、pH調整装置流れチャネルと、当該pH調整装置流れチャネルに隣接していて、液体の流れを実質的に防止し、1つの電荷のみのイオンを輸送するpH調整装置バリヤと、当該pH調整装置バリヤの両側に配設された第1の離間された電極及び第2の離間された電極と、を含む。
【0065】
この実施形態は図3に示されており、図2の発生器システムは、pH調整装置(200)と組み合わされている。この実施形態では、pH調整装置は、アニオン交換床(210)、アノード(220)、カソード(230)及びアニオン交換コネクタ(280)を含む。示したシステムはまた、脱気装置(240)も含む。
【0066】
代替的な実施形態では、pH調整装置は、イオン電解質の更なる供給源であり得る。例えば、カリウム電解質の更なる供給源は、カリウムカチオンの更なる供給源を溶離液流に提供することができ、溶離液発生のカリウム濃度限界を拡大する。
【0067】
pH調整装置がイオン電解質の供給源である場合、調整されたpHは、(電解質源に応じて)アノード又はカソードを含むリザーバの形態であってもよく、イオン交換コネクタは、リザーバとフロースルー溶離液発生ゾーンとの間に配設されている。イオン電解質の供給源によって、リザーバ中の電極、イオン交換コネクタ、及びフロースルー溶離液発生ゾーンと電気的に連通している電極が決定される。例えば、イオン電解質がカリウム電解質である場合、リザーバ中の電極はアノードであり、フロースルー溶離液発生ゾーンと電気的に連通している電極はカソードである。電極は、前述のように白金を含んでもよい。
【0068】
pH調整装置は脱気装置の前又は後に置かれてもよいが、pH調整装置は脱気装置の前に置かれることが好ましい場合がある。
【0069】
本発明の一態様では、本発明の発生器は、本明細書で定義される本発明の方法において使用され得る。
【0070】
以下の非限定的な実施例は、本発明の例示である。
【実施例0071】
3電極EGC構成の実現可能性を実証するために、一連のEGC-KOH構成(2対の電極)における元のEGC-MSAのクロマトグラフ性能を、3電極EGC構成をシミュレートするために、EGC-MSAのアノード及びEGC-KOHのカソードが接続され接地された新しい構成のクロマトグラフ性能と比較した。
【0072】
実験セットアップは、図4に示しており、図1の従来技術の発生器は、脱気装置(240)、注入バルブ(300)、カラム(400)及びパルス電流測定検出器(500)に接続されている。脱イオン水を、最初にEGC 400 MSAカートリッジの入口にポンプで注入し、続いてEGC 400 KOHカートリッジにポンプで注入する。EGC 400 KOHカートリッジの流出物を、EG脱気装置に供給して、H2ガスを除去する。次に、脱気された溶離液は、試料を運び、注入バルブから分離カラムを通してシステム中に導入され、パルス電流測定検出器(PAD)によって検出される。図5において、EGC 400 MSAカートリッジのアノード及びEGC-KOHのカソードは、両方とも接地され、次いで一緒に結合される。2つのKeithleyプログラマブル電源を使用して、2つのEGCカートリッジの電極それぞれに定電流を印加する。図4及び図5に示したように、2つのFluke 289真RMSマルチメータ(Fluke 289 true RMS multimeter)をそれぞれ使用して、2つの電流をモニターする。Fluke 289マルチメータの読み取り値を、Dionex Chromeleonソフトウェアの仮想チャネルを介して記録する。
【0073】
実験条件は以下の通りである。
ICシステム:Thermo Scientific Dionex ICS-6000
溶離液源:DI水
溶離液発生器:EGC 400 KOHカートリッジのシリーズのEGC 400 MSAカートリッジ
定電流源:2つのKeithley 2200-20-5プログラマブル電源
【0074】
電流の設定:
EGC 400 MSAカートリッジ:0.0006A
EGC 400 MSAカートリッジ:0.0121A
溶離液濃度:8mM KMSA/150mM KOH
溶離液流量:0.05mL/分
カラム:プロトタイプCarboPac PA210(1x250mm)
検出:PAD、炭水化物四重波形(carbohydrate quadruple waveform)、PTFE使い捨て電極
試料:アルファ-(2,6)-NAN-ラクトース、アルファ-(2,3)-NAN-ラクトース
データ収集ソフトウェア:Dionex Chromeleon 7
【0075】
図4及び図5に示した構成によって得られたアルファ-(2,6)-NAN-ラクトース及びアルファ-(2,3)-NAN-ラクトースのクロマトグラムは、同等であることが示されている(図6A)。Fluke 289マルチメータによって測定された2つの電流は、同等であることが示されている(図6BのEGC 400 MSA電流及び図6CのEGC 400 KOH電流)。その結果は、新しい構成が古い構成に匹敵する性能を提供することを示している。
【実施例0076】
3電極EGC構成をシミュレートするために、EGC-MSAのアノード及びEGC-KOHのカソードが接続され接地される新しい構成を用いて、ガスの発生が検査された。
【0077】
図7に示すように、EGC 400 KOHの出口は、制限管(600)のコイルに接続されている。管を、水中に浸漬した倒立10mLメスシリンダー(700)の下に挿入する。ガスを、水を満たしたメスシリンダーで捕集する。捕集時間は10分である。
【0078】
実験条件は以下の通りである、
ICシステム:Thermo Scientific Dionex ICS-6000
溶離液源:DI水
溶離液発生器:EGC 400 KOHカートリッジのシリーズのEGC 400 MSAカートリッジ
定電流源:2つのKeithley 2200-20-5プログラマブル電源
電流の設定:
EGC 400 MSAカートリッジ:0.008A
EGC 400 MSAカートリッジ:0.008A
溶離液濃度:100mMのKMSA
溶離液流量:0.05mL/分
【0079】
試験は、2つの電流が等しく設定された場合、実質的に気泡が発生しなかったことを示している。制限管からの溶離液のpHを試験するためにpH試験紙を使用し、色は溶離液が中性pHであることを示した。結果は、2つの電流が等しく設定される場合、ガスは生成されず、発生された溶離液は、メタンスルホン酸カリウム塩であることを示している。
図1
図2
図3
図4
図5
図6A
図6B
図6C
図7
【外国語明細書】