(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024114683
(43)【公開日】2024-08-23
(54)【発明の名称】熱流束装置
(51)【国際特許分類】
G01K 17/08 20060101AFI20240816BHJP
G01K 7/02 20210101ALI20240816BHJP
H10N 10/17 20230101ALI20240816BHJP
【FI】
G01K17/08
G01K7/02 Z
H10N10/17 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024019660
(22)【出願日】2024-02-13
(31)【優先権主張番号】P 2023020360
(32)【優先日】2023-02-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000004695
【氏名又は名称】株式会社SOKEN
(71)【出願人】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】清水 浩史
(72)【発明者】
【氏名】植木 貴司
【テーマコード(参考)】
2F056
【Fターム(参考)】
2F056YF00
(57)【要約】
【課題】感度を向上できる熱流束装置を提供する。
【解決手段】熱流束装置は、第1軸の方向に配列された第1部材及び第2部材と、第1電極及び第2電極、素子エリアに沿って交互に配置された互いに異種の第1導電体及び第2導電体、並びに第1導電体及び第2導電体の複数の接合とを含む熱電対デバイスとを備え、接合は、第1導電体から第2導電体に繋がる第1接合と、第2導電体から第1導電体に繋がる第2接合を包含し、第1部材は、第1軸の方向に沿って延在する第1部分及び第2部分を有し、第2部材は、第1軸の方向に沿って延在する第3部分及び第4部分を有し、第1部分、第1接合、及び第3部分は、第1軸の方向に配列され、第2部分、第2接合、及び第4部分は、第1軸の方向に配列され、第2部分の第2熱抵抗は第1部分の第1熱抵抗より大きく、第3部分の第3熱抵抗は第4部分の第4熱抵抗より大きい。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1軸の方向に配列された第1部材及び第2部材であって、前記第1部材及び前記第2部材のいずれか一方は素子エリアを有する、第1部材及び第2部材と、
第1電極及び第2電極と、前記第1電極から前記第2電極への配列軸の方向に熱電対の直列接続を前記第1部材と前記第2部材との間に形成するように、前記素子エリアに沿って交互に配置された互いに異種の第1導電体及び第2導電体と、前記第1導電体及び前記第2導電体の複数の接合とを含む熱電対デバイスと、
を備え、
前記接合は、前記配列軸の方向に前記第1導電体から前記第2導電体に繋がる第1接合と、前記配列軸の方向に前記第2導電体から前記第1導電体に繋がる第2接合とを包含し、
前記第1部材は、前記第1軸の方向に沿って延在する第1部分及び第2部分を有し、
前記第2部材は、前記第1軸の方向に沿って延在する第3部分及び第4部分を有し、
前記第1部材の前記第1部分、前記第1接合、及び前記第2部材の前記第3部分は、前記第1軸の方向に配列されており、
前記第1部材の前記第2部分、前記第2接合、及び前記第2部材の前記第4部分は、前記第1軸の方向に配列されており、
前記第1部材の前記第1部分及び前記第2部分は、それぞれ、前記第1軸の方向への熱流に対する第1熱抵抗及び第2熱抵抗を有し、
前記第2部材の前記第3部分及び前記第4部分は、それぞれ、前記第1軸の方向への熱流に対する第3熱抵抗及び第4熱抵抗を有し、
前記第2熱抵抗は前記第1熱抵抗より大きく、
前記第3熱抵抗は前記第4熱抵抗より大きい、
熱流束装置。
【請求項2】
第1軸の方向に配列された第1部材及び第2部材であって、前記第1部材及び前記第2部材のいずれか一方は素子エリアを有する、第1部材及び第2部材と、
第1電極及び第2電極と、前記第1電極から前記第2電極への配列軸の方向に熱電対の直列接続を前記第1部材と前記第2部材との間に形成するように、前記素子エリアに沿って交互に配置された互いに異種の第1導電体及び第2導電体と、前記第1導電体及び前記第2導電体の複数の接合とを含む熱電対デバイスと、
を備え、
前記接合は、前記配列軸の方向に前記第1導電体から前記第2導電体に繋がる第1接合と、前記配列軸の方向に前記第2導電体から前記第1導電体に繋がる第2接合とを包含し、
前記第1部材は、前記第1軸の方向に沿って延在する第1部分及び第2部分を有し、
前記第2部材は、前記第1軸の方向に沿って延在する第3部分及び第4部分を有し、
前記第1部材の前記第1部分、前記第1接合、及び前記第2部材の前記第3部分は、前記第1軸の方向に配列されており、
前記第1部材の前記第2部分、前記第2接合、及び前記第2部材の前記第4部分は、前記第1軸の方向に配列されており、
前記第1部材及び前記第2部材の少なくとも一方は、前記熱電対デバイスの前記第1接合を覆う第1領域と、前記第2接合を覆う第2領域と、前記第1領域と前記第2領域との間に設けられた隙間部を有し、
前記第1領域及び前記第2領域は、前記熱電対デバイスの表面から前記第1軸の方向に沿って延在し、
前記隙間部は、前記第1領域の少なくとも一部分及び前記第2領域の少なくとも一部分において、前記第1領域及び前記第2領域の一方を他方から隔置するように前記第1軸の方向に沿って延在する、
熱流束装置。
【請求項3】
前記熱電対デバイスは、N型熱電対を有する、
請求項2に記載された熱流束装置。
【請求項4】
前記第1部材及び前記第2部材の少なくとも一方は、ジルコニアを備える、
請求項2に記載された熱流束装置。
【請求項5】
前記第1部材及び前記第2部材の各々は、内側ベース部材を含み、
前記第1部材の前記内側ベース部材は、複数の第1突起と、前記第1突起を互いに離間させる第1空隙部と、を有し、
前記第1部分は、第1突起を含み、
前記第2部分は、前記第1空隙部を含み、
前記第1部材は絶縁体を備え、
前記第2部材の前記内側ベース部材には、前記素子エリアが設けられ、
前記第2部材は、前記熱電対デバイスを介して前記第1突起を支持し、
前記第1部材の前記第1空隙部は、前記第1部材の前記絶縁体を前記熱電対デバイスの前記第2接合から隔置し、
前記第1空隙部には、6W/mk以下の熱伝導率の材料が設けられる、
請求項2に記載された熱流束装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、熱流束装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、熱流束を計測するための熱流束計を開示する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
高感度な熱流束計が求められている。熱電対を用いる熱流束計では、熱電対の温接点及び冷接点の間の温度差を大きくすると、熱流束計の感度を向上できる。
【0005】
本開示は、感度を向上できる熱流束装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の第1態様に係る熱流束装置は、第1軸の方向に配列された第1部材及び第2部材であって、前記第1部材及び前記第2部材のいずれか一方は素子エリアを有する、第1部材及び第2部材と、第1電極及び第2電極と、前記第1電極から前記第2電極への配列軸の方向に熱電対の直列接続を前記第1部材と前記第2部材との間に形成するように、前記素子エリアに沿って交互に配置された互いに異種の第1導電体及び第2導電体と、前記第1導電体及び前記第2導電体の複数の接合とを含む熱電対デバイスと、を備え、前記接合は、前記配列軸の方向に前記第1導電体から前記第2導電体に繋がる第1接合と、前記配列軸の方向に前記第2導電体から前記第1導電体に繋がる第2接合とを包含し、前記第1部材は、前記第1軸の方向に沿って延在する第1部分及び第2部分を有し、前記第2部材は、前記第1軸の方向に沿って延在する第3部分及び第4部分を有し、前記第1部材の前記第1部分、前記第1接合、及び前記第2部材の前記第3部分は、前記第1軸の方向に配列されており、前記第1部材の前記第2部分、前記第2接合、及び前記第2部材の前記第4部分は、前記第1軸の方向に配列されており、前記第1部材の前記第1部分及び前記第2部分は、それぞれ、前記第1軸の方向への熱流に対する第1熱抵抗及び第2熱抵抗を有し、前記第2部材の前記第3部分及び前記第4部分は、それぞれ、前記第1軸の方向への熱流に対する第3熱抵抗及び第4熱抵抗を有し、前記第2熱抵抗は前記第1熱抵抗より大きく、前記第3熱抵抗は前記第4熱抵抗より大きい。
【0007】
本開示の第2態様に係る熱流束装置は、第1軸の方向に配列された第1部材及び第2部材であって、前記第1部材及び前記第2部材のいずれか一方は素子エリアを有する、第1部材及び第2部材と、第1電極及び第2電極と、前記第1電極から前記第2電極への配列軸の方向に熱電対の直列接続を前記第1部材と前記第2部材との間に形成するように、前記素子エリアに沿って交互に配置された互いに異種の第1導電体及び第2導電体と、前記第1導電体及び前記第2導電体の複数の接合とを含む熱電対デバイスと、を備え、前記接合は、前記配列軸の方向に前記第1導電体から前記第2導電体に繋がる第1接合と、前記配列軸の方向に前記第2導電体から前記第1導電体に繋がる第2接合とを包含し、前記第1部材は、前記第1軸の方向に沿って延在する第1部分及び第2部分を有し、前記第2部材は、前記第1軸の方向に沿って延在する第3部分及び第4部分を有し、前記第1部材の前記第1部分、前記第1接合、及び前記第2部材の前記第3部分は、前記第1軸の方向に配列されており、前記第1部材の前記第2部分、前記第2接合、及び前記第2部材の前記第4部分は、前記第1軸の方向に配列されており、前記第1部材及び前記第2部材の少なくとも一方は、前記熱電対デバイスの前記第1接合を覆う第1領域と、前記第2接合を覆う第2領域と、前記第1領域と前記第2領域との間に設けられた隙間部を有し、前記第1領域及び前記第2領域は、前記熱電対デバイスの表面から前記第1軸の方向に沿って延在し、前記隙間部は、前記第1領域の少なくとも一部分及び前記第2領域の少なくとも一部分において、前記第1領域及び前記第2領域の一方を他方から隔置するように前記第1軸の方向に沿って延在する。
【発明の効果】
【0008】
本開示によれば、感度を向上できる熱流束装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1の(a)部は、実施形態に係る熱流束装置を概略的に示す図面であり、
図1の(b)部及び(c)部の各々は、実施形態に係る熱流束装置を例示的な構造に示す図面である。
【
図2】
図2(a)及び
図2(b)は、実施形態に係る熱流束装置の熱電対デバイスを概略的に示す図面である。
【
図3】
図3は、実施形態に係る熱流束装置の例示的な構造を概略的に示す図面である。
【
図4】
図4は、実施形態に係る熱流束装置の例示的な構造を概略的に示す図面である。
【
図5】
図5は、実施形態に係る熱流束装置の例示的な構造を示す図面である。
【
図6】
図6は、実施形態に係る熱流束装置の例示的な構造を示す図面である。
【
図7】
図7は、実施形態に係る熱流束装置の例示的な構造を示す図面である。
【
図8】
図8は、実施形態に係る熱流束装置の例示的な構造を示す図面である。
【
図9】
図9は、実施形態に係る熱流束装置を作製する方法を概略的に示す図面である。
【
図10】
図10は、実施形態に係る熱流束装置を概略的に示す図面である。
【
図11】
図11は、実施形態に係る熱流束装置における第1接合及び第2接合と第1突起及び第2突起との位置合わせを示す図面である。
【
図12】
図12は、例示的な熱流束装置を概略的に示す図面である。
【
図13】
図13(a)及び
図13(b)は、実施形態に係る熱流束装置の第1突起及び第2突起の延在方向と、熱電対デバイスの配置との関係を示す図面である。
【
図14】
図14は、実施形態に係る熱流束装置の第1突起及び第2突起の延在方向と、熱電対デバイスの配置との関係を示す図面である。
【
図15】
図15は、実施形態に係る熱流束装置を概略的に示す図面である。
【
図16】
図16は、実施形態に係る熱流束装置における第1接合及び第2接合、第1突起及び第2突起、並びに第1隙間部及び第2隙間部の位置関係を示す図面である。
【
図17】
図17は、実施形態に係る熱流束装置の縦断面を概略的に示す図面である。
【
図18】
図18(a)及び
図18(b)は、実施形態に係る熱流束装置の熱電対デバイスにおける接合の配置及び隙間部の配置を概略的に示す図面である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照して本発明を実施するための各実施の形態について説明する。
【0011】
図1の(a)部は、本実施形態に係る熱流束装置を概略的に示す図面であり、
図1の(b)部及び(c)部の各々は、本実施形態に係る熱流束装置を例示的な構造に示す図面である。
図2は、本実施形態に係る熱流束装置の熱電対デバイスを概略的に示す図面である。
【0012】
図1の(a)部及び
図2を参照すると、熱流束装置11、12は、第1部材13、第2部材15、及び熱電対デバイス17を含む。第1部材13及び第2部材15は、第1軸Ax1の方向に配列される。
【0013】
熱電対デバイス17は、第1電極21及び第2電極23、互いに異種の複数の第1導電体25及び複数の第2導電体27、並びに第1導電体25と第2導電体27との間の複数の接合29を含む。
【0014】
第1導電体25及び第2導電体27は、第1電極21から第2電極23への配列軸AxRの方向に熱電対(第1導電体25及び第2導電体27の接合)の直列接続を第1部材13と第2部材15との間に形成するように、素子エリア19に沿って交互に配置されて、複数の接合29(
図2参照)を形成する。
【0015】
接合29は、配列軸AxRの方向に第1導電体25から第2導電体27に繋がる第1接合29bと、配列軸AxRの方向に第2導電体27から第1導電体25に繋がる第2接合29cとを包含する。素子エリア19は、第1部材13及び第2部材15のいずれか一方に設けられる。
【0016】
第1部材13は、第1部分13b及び第2部分13cを有し、第1部分13b及び第2部分13cは、第1軸Ax1の方向に沿って延在して第1部材13を貫通する。第2部材15は、第3部分15b及び第4部分15cを有し、第3部分15b及び第4部分15cは、第1軸Ax1の方向に沿って延在して第2部材15を貫通する。
【0017】
第1部材13の第1部分13b、第1接合29b、及び第2部材15の第3部分15bは、第1軸Ax1の方向に配列されている。第1部材13の第2部分13c、第2接合2
9c、及び第2部材15の第4部分15cは、第1軸Ax1の方向に配列されている。
【0018】
第1部材13の第1部分13b及び第2部分13cは、それぞれ、第1軸Ax1の方向の熱流に関する第1熱抵抗(R1)及び第2熱抵抗(R2)を有する。第2部材15の第3部分15b及び第4部分15cは、それぞれ、第1軸Ax1の方向への熱流に関する第3熱抵抗(R3)及び第4熱抵抗(R4)を有する。熱流方向(本実施例は、第1軸Ax1の方向)の部材厚d及び熱伝導率λを有する部材の熱抵抗は、d/λで表される。
【0019】
熱流束装置11、12では、第1部材13及び第2部材15は、第2熱抵抗(R2)が第1熱抵抗(R1)より大きくなる(R2>R1)と共に第3熱抵抗(R3)が第4熱抵抗(R4)より大きくなる(R3>R4)ように構成される。
【0020】
熱流束装置11、12によれば、第1軸Ax1の方向へ流れる熱流は、第1部材13の第1部分13b及び第2部材15の第3部分15b、並びに第1部材13の第2部分13c及び第2部材15の第4部分15cを通過する。第2熱抵抗(R2)は第1熱抵抗(R1)より大きく、第3熱抵抗(R3)は第4熱抵抗(R4)より大きい。この熱抵抗の大小関係によれば、第1部材13における第1部分13bと第2部分13cとの間及び第2部材15における第3部分15bと第4部分15cとの間にそれぞれの熱抵抗差を設けることができる。また、上記の大小関係によれば、第1熱抵抗(R1)と第3熱抵抗(R3)との和と、第2熱抵抗(R2)と第4熱抵抗(R4)との和との差が大きくなることを回避できる。これによって、熱電対の温接点と冷接点との温度差を大きくできる。
【0021】
第1熱抵抗(R1)、第2熱抵抗(R2)、第3熱抵抗(R3)及び第4熱抵抗(R4)の大小関係は、第1部材13及び第2部材15の厚さ、形状及び/若しくは材料、並びに/又は第1部材13及び第2部材15の少なくとも一方における熱伝導率の分布といった様々な構造的変更及び/若しくは材料的変更によって提供されることができる。
【0022】
熱流束装置11、12は、第1面31(入熱面及び出熱面に一方)及び第2面33(入熱面及び出熱面に他方)を有する。
図1の(a)部では、第1面31及び第2面33の各々は、平坦な面として描かれているが、平坦面に限定されることなく、様々な形状を有することができる。
【0023】
図1の(b)部は、実施形態に係る熱流束装置の例示的な形態を概略的に示す図面である。
【0024】
熱流束装置11は、以下の第1形態及び第2形態の少なくとも一方を備えることができる。第1部材13及び第2部材15には、熱流入及び熱流出の一方を可能にするように構成された第1面31及び熱流入及び熱流出の他方を可能にするように構成された第2面33が提供される。第2面33は、第1面31の反対側に位置する。
【0025】
第1形態
第1部材13において、第1部分13bは、第1軸Ax1の方向に第1面31から第1接合29bまで延在し、また第2部分13cは、第1軸Ax1の方向に第1面31から第2接合29cまで延在する。
【0026】
第1部分13b及び第2部分13cは、それぞれ、第1軸Ax1の方向に規定される第1厚さd1及び第2厚さd2を有し、第1厚さd1及び第2厚さd2は互いに異なる(本実施例では、d1<d2)。
【0027】
第1部材13の第1部分13bの第1厚さd1及び第1部材13の第2部分13cの第
2厚さd2は、互いに異なる。この厚さの違いは、第1熱抵抗R1及び第2熱抵抗R2の違いを提供できる。第2部材15は、第2部材15の構造及び材料の少なくともいずれか一方において、第4熱抵抗(R4)を第3熱抵抗(R3)より大きくするように構成されることができる。
【0028】
熱流束装置11によれば、第1部材13の第1部分13bの第1厚さd1及び第2部分13cの第2厚さd2が互いに異なるので、これら第1部分13b及び第2部分13cには、互いに異なる熱抵抗が提供される。
【0029】
第2形態
第2部材15において、第3部分15bは、第1軸Ax1の方向に第2面33から第1接合29bまで延在し、また第4部分15cは、第1軸Ax1の方向に第2面33から第2接合29cまで延在する。
【0030】
第3部分15b及び第4部分15cは、それぞれ、第1軸Ax1の方向に規定される第3厚さd3及び第4厚さd4を有し、第3厚さd3及び第4厚さd4は互いに異なる(本実施例では、d4<d3)。
【0031】
第2部材15の第3部分15bの第3厚さd3及び第3部材15の第4部分15cの第4厚さd4は、互いに異なる。この厚さの違いは、第3熱抵抗R3及び第4熱抵抗R4の違いを提供できる。第1部材13は、第1部材13の構造及び材料の少なくともいずれか一方において、第2熱抵抗(R2)を第1熱抵抗(R1)より大きくするように構成されることができる。
【0032】
熱流束装置11によれば、第2部材15の第3部分15bの第3厚さd3及び第4部分15cの第4厚さd4が互いに異なるので、これら第3部分15b及び第4部分15cには、互いに異なる熱抵抗が提供される。
【0033】
図3は、実施形態に係る熱流束装置の例示的な構造を概略的に示す図面である。
【0034】
熱流束装置11bでは、第1部材13は、第1面31において、第1部分13bと該第1部分13bの両隣の第2部分13cとのそれぞれの境界に第1段差14b及び第2段差14cを有する。
【0035】
第1段差14b及び第2段差14cの各々は、第1面31において、第1接合29bと該第1接合29bの隣の第2接合29cとの間に位置する。
【0036】
具体的には、第1部材13は、1又は複数の第1突出部材14(リッジ部材)及び第1内側ベース部材16を含むことができる。隣合う第1突出部材14の間には、第1段差14b及び第2段差14cによって規定され窪部14d(リセス部)が形成される。第1突出部材14は、第1内側ベース部材16のベース主面16pにおいてベース主面16pから突出するように搭載される。
【0037】
熱流束装置11bによれば、第1部分13b及び第2部分13cにおける厚さの違いは、第1部分13bと第2部分13cとの境界における第1段差14b及び第2段差14cによって規定される。このような段差構造は、第1段差14b及び第2段差14cを第1接合29b及び第2接合29cから離すことができる。
【0038】
第2部材15は、第2面33において、第3部分15bと該第3部分15bの両隣の第4部分15cとのそれぞれの境界に第3段差18b及び第4段差18cを有する。
【0039】
第3段差18b及び第4段差18cの各々は、第2面33において、第1接合29bと該第1接合29bの隣の第2接合29cとの間に位置する。
【0040】
具体的には、第2部材15は、1又は複数の第2突出部材18(リッジ部材)及び第2内側ベース部材20を含むことができる。隣合う第2突出部材18の間には、第3段差18b及び第4段差18cによって規定される窪部18d(リセス部)が形成される。第2突出部材18は、第2内側ベース部材20のベース主面20pにおいてベース主面20pから突出するように搭載される。
【0041】
熱流束装置11bによれば、第3部分15b及び第4部分15cにおける厚さの違いは、第3部分15bと第4部分15cとの境界における第3段差18b及び第4段差18cによって規定される。このような段差構造は、第3段差18b及び第4段差18cを第1接合29b及び第2接合29cから離すことができる。
【0042】
第1部材13及び第2部材15は、絶縁体を備えることができる。絶縁体は、例えばシリコン酸化物(具体的には、SiO2)、アルミニウム窒化物(例えば、窒化アルミニウム)、アルミニウム酸化物(例えば、アルミナ)を包含することができる。
【0043】
図4は、実施形態に係る熱流束装置の例示的な構造を概略的に示す図面である。
図4を参照すると、第1突出部材14、第1段差14b、第2段差14c、第1接合29b及び第2接合29cが、縦基準面において示される。縦基準面は、第1軸Ax1の方向に延在すると共に第1接合29bと隣の第2接合29cとに交差するように規定される。
【0044】
熱流束装置11bでは、第1段差14b及び第2段差14cの各々は、第1面31において、第1接合29bと該第1接合29bの隣の第2接合29cとの間に位置する。具体的には、第1部分13bは、隣合う第1段差14bと第2段差14cとの間隔によって規定される幅W13bを有し、第2部分13c(及び第1突出部材14)は、隣合う第1段差14bと第2段差14cとの間隔によって規定される幅W14を有する。
【0045】
第2部分13cの幅W14及び第1部分13bの第1厚さd1の少なくとも一方は、上記の縦基準面において、以下のように構成される。それは、第1部分13bの第1段差14b及び第2段差14cの各々に位置する段差面の底点(BPb1、BPc1)と第2接合29cとを結ぶ線分(L14b、L14c)が、第1部分13bのベース主面16pに沿って延在する横基準線REF1に対して45度より小さい角度ANG1を成す、ことである。
【0046】
熱流束装置11bによれば、45度より小さい角度ANG1は、第1部分13bの熱流束の広がりが、第2接合29cの温度に影響することを低減できる。
【0047】
また、熱流束装置11bでは、第3段差18b及び第4段差18cの各々は、第2面33において、第1接合29bと該第1接合29bの隣の第2接合29cとの間に位置する。具体的には、第3部分15b(及び第2突出部材18)は、隣合う第3段差18bと第4段差18cとの間隔によって規定される幅W18を有し、第4部分15cは、隣合う第3段差18bと第4段差18cとの間隔によって規定される幅W15cを有する。
【0048】
第3部分15bの幅W18及び第4部分15cの第4厚さd4の少なくとも一方は、上記の縦基準面において、以下のように構成される。それは、第3部分15bの第3段差18bと第4段差18cとの各々に位置する段差面の底点(BPb2、BPc2)と第2接合29cとを結ぶ線分(L18b、L18c)が、第4部分15cのベース主面20pに沿って延在する横基準線REF2に対して45度より小さい角度ANG2を成す、ことである。
【0049】
熱流束装置11bによれば、45度より小さい角度ANG2は、第4部分13cの熱流束の広がりが、第1接合29bの温度に影響することを低減できる。
【0050】
図5、
図6、
図7及び
図8は、実施形態に係る熱流束装置の例示的な構造を示す図面である。
【0051】
図5、
図6、
図7及び
図8を参照すると、熱流束装置11(11c、11d、11e、11f)の第1部材13及び第2部材15の少なくとも一方は、外側ベース部材35を含むことができる。第1部材13の第1内側ベース部材16は、第1熱伝導率の材料を備え、第2部材15の第2内側ベース部材20は、第2熱伝導率の材料を備える。熱流束装置11(11c、11d、11e)は、第1部材13の第1内側ベース部材16及び第1突出部材14に接触を成す外側ベース部材35(例えば、第1外側ベース部材35c)、並びに第2部材15の第2内側ベース部材20及び第2突出部材18に接触を成す外側ベース部材35(例えば、第2外側ベース部材35b)の少なくとも一方をさらに含むことができる。外側ベース部材35は、第3熱伝導率の材料を備えることができる。第3熱伝導率の値は、第1熱伝導率の値及び第2熱伝導率の値と異なる。
【0052】
図5を参照すると、熱流束装置11cでは、第1部材13、第2内側ベース部材20、及び第2外側ベース部材35bが、第1軸Ax1の方向に配列されることができる。具体的には、第2部材15が、第2内側ベース部材20及び第2突出部材18に接触を成す第2外側ベース部材35bをさらに含むことができる。第2内側ベース部材20は、第2外側ベース部材35bと熱電対デバイス17との間に設けられる。
【0053】
図6を参照すると、熱流束装置11dでは、第1外側ベース部材35c、第1内側ベース部材16、及び第2部材15が、第1軸Ax1の方向に配列されることができる。具体的には、第1部材13が、第1内側ベース部材16に接触を成す第1外側ベース部材35cをさらに含むことができる。第1内側ベース部材16は、第1外側ベース部材35cと熱電対デバイス17との間に設けられる。
【0054】
図7を参照すると、熱流束装置11eでは、第1外側ベース部材35c、第1内側ベース部材16、第2内側ベース部材20、及び第2外側ベース部材35bが、第1軸Ax1の方向に配列されることができる。具体的には、第1部材13及び第2部材15には、それぞれ、さらに第1外側ベース部材35c及び第2外側ベース部材35bが設けられることができる。
【0055】
図8を参照すると、熱流束装置11fでは、第1内側ベース部材16、第2内側ベース部材20、第2外側ベース部材35b、及び第3外側ベース部材37が、第1軸Ax1の方向に配列されることができる。第2外側ベース部材35bは、第2内側ベース部材20と第3外側ベース部材37との間に設けられる。
【0056】
熱流束装置11(11c、11d、11e、11f)によれば、第1部材13及び第2部材15の少なくともいずれか一方に設けられた外側ベース部材35(35b、35c)は、第1部材13及び第2部材15の少なくともいずれか一方に熱抵抗の所望の分布を形成することを容易にする。
【0057】
熱流束装置11(11c、11d、11e、11f)では、例えば、外側ベース部材3
5の第3熱伝導率の値を第1熱伝導率の値及び第2熱伝導率の値より大きくすることができる。第1部材13では、第1内側ベース部材16及び第1突出部材14は、絶縁物を備えることができる。第1外側ベース部材35cは、第1部材13の絶縁物の熱伝導率より大きい熱伝導率を有することができる。第1内側ベース部材16及び第1突出部材14は、例えばシリコン酸化物及びエポキシ樹脂といった絶縁体を備える。第1外側ベース部材35cは、例えばアルミニウム及び銅といった金属体を備える。第2部材15では、第2内側ベース部材20及び第2突出部材18は、絶縁物を備えることができる。第2外側ベース部材35bは、上記の絶縁物の熱伝導率より大きい熱伝導率を有することができる。第2内側ベース部材20及び第2突出部材18は、例えばシリコン酸化物及びエポキシ樹脂といった絶縁体を備える。第1突出部材14及び第1内側ベース部材16の接着には、例えばガラスペーストを用いることができ、第2突出部材18及び第2内側ベース部材20の接着には、例えばガラスペーストを用いることができる。第2外側ベース部材35bは、例えばアルミニウム及び銅といった金属体を備えることができる。しかしながら、外側ベース部材35は、金属と異なる高熱伝導材料を含むことができる。熱電対デバイスは17、例えば銅コンスタンタン熱電対を含むことができる。
【0058】
熱流束装置11(11c、11d、11e、11f)では、第1部材13は、複数の種類の絶縁物を含むことができ、例えば第1内側ベース部材16及び第1突出部材14は、互いに異なる絶縁物を含むことができる。また、第2部材15は、複数の種類の絶縁物を含むことができ、例えば第2内側ベース部材20及び第2突出部材18は、互いに異なる絶縁物を含むことができる。
【0059】
例示的な熱抵抗値を以下に示す。
第1熱抵抗(R1)、3.7×10-6m2K/W。
第2熱抵抗(R2)、7.3×10-6m2K/W。
第3熱抵抗(R3)、7.9×10-6m2K/W。
第4熱抵抗(R4)、4.3×10-6m2K/W。
【0060】
熱流束装置11(11b、11c、11d、11e、11f)によれば、第1部材13の段差構造及び第2部材15の段差構造は、第1熱抵抗(R1)と第3熱抵抗(R3)の和が第2熱抵抗(R2)と第4熱抵抗(R4)の和に略等しくすることを容易にする。具体的には、上記の例示的な値では、
R1+R3=3.7×10-6+7.9×10-6=11.6×10-6m2K/W。
R2+R4=7.3×10-6+4.3×10-6=11.6×10-6m2K/W。
である。
【0061】
熱電対デバイス17内の熱電対は温接点及び冷接点を有し、温接点の温度に対応した電位差が、該温接点に接続された互いに異なる金属線の他端の間に生成される。
【0062】
熱が第1部材13から第2部材15への方向に流れるとき、熱電対デバイス17内の熱電対の温接点が、第1部分13bと第3部分15bとの間に配置され、熱電対デバイス17内の熱電対の冷接点が、第2部分13cと第4部分15cとの間に配置される。
【0063】
電位差は以下のように見積もられる。
入熱量Q:2×10000W/m2。
この熱は、第1部分13b及び第3部分15bと、第2部分13c及び第4部分15cとに等しく流れる。冷接点の温度差△Tc及び温接点の温度差△Thを見積もる。
温度差△Th=Q×R1=3.7×10-6×10000=0.037K
温度差△Tc=Q×R2=7.3×10-6×10000=0.073K
【0064】
E型及びT型の熱電対は、S型の熱電対に比べて小さい温度差から大きな電位差を生成できる。S型の熱電対は、摂氏600度程度の高温環境に使用されることができる。
【0065】
図8に示されるように、熱流束装置11(11f)では、第2部材15は、第3外側ベース部材37(追加外側ベース部材)を更に含むことができる。第2部材15の第2外側ベース部材35bは、第2内側ベース部材20と第3外側ベース部材37との間に設けられる。
【0066】
例えば、第1熱抵抗(R1)、第2熱抵抗(R2)、第3熱抵抗(R3)及び第4熱抵抗(R4)の各々は、1又は複数の部材からの熱抵抗の和として提供されることができる。
【0067】
第2部材15の第3熱抵抗(R3)は、第2部材15の第2内側ベース部材20及び第2突出部材18、第2外側ベース部材35b、並びに第3外側ベース部材37の熱抵抗の和として提供される。また、第2部材15の第4熱抵抗(R4)は、第2部材15の第2内側ベース部材20及び第2外側ベース部材35b、並びに第3外側ベース部材37の熱抵抗の和として提供される。
【0068】
この熱流束装置11(11f)によれば、第2部材15は、第2内側ベース部材20及び第2外側ベース部材35bに加えて、第3外側ベース部材37を備えることができる。第3部分15bの第3熱抵抗(R3)は、第2内側ベース部材20、第2突出部材18、第2外側ベース部材35c、及び第3外側ベース部材37の構造及び材料の少なくともいずれか一方によって提供されることができ、第4部分15cの第4熱抵抗(R4)は、第2内側ベース部材20、第2外側ベース部材35c、及び第3外側ベース部材37の構造及び材料の少なくともいずれか一方によって提供されることができる。
【0069】
図9は、実施形態に係る熱流束装置を作製する方法を概略的に示す図面である。
【0070】
熱流束装置11の作製では、以下の貼り合わせが行われる。第1突出部材14は、第1内側ベース部材16にガラスペースト39aによって固定される。第1内側ベース部材16は、第2内側ベース部材20にガラスペースト39bによって固定される。第2内側ベース部材20は、第2突出部材18及び第2外側ベース部材35bにガラスペースト39cによって固定される。第2外側ベース部材35bを第2突出部材18に固定すること先立って、第2突出部材18は、第2内側ベース部材20にガラスペースト39cによって固定されていてもよい。
【0071】
例示的な寸法。
D14:5マイクロメートル。
D16:5マイクロメートル。
D18:5マイクロメートル。
D20:5マイクロメートル。
DX:5ミリメートル。
DY:5ミリメートル。
DZ:150マイクロメートル。
【0072】
再び
図1を参照する。
図1の(c)部は、実施形態に係る熱流束装置の例示的な形態を概略的に示す図面である。
図10は、実施形態に係る熱流束装置を概略的に示す図面である。
【0073】
図1の(c)部及び
図10を参照すると、熱流束装置12は、第1部材13、第2部材
15、及び熱電対デバイス17を含む。第1部材13及び第2部材15は、第1軸Ax1の方向に配列される。
【0074】
第1部材13の第1部分13b、第1接合29b、及び第2部材15の第3部分15bは、第1軸Ax1の方向に配列されている。第1部材13の第2部分13c、第2接合29c、及び第2部材15の第4部分15cは、第1軸Ax1の方向に配列されている。
【0075】
第1部材13の第1部分13b及び第2部分13cは、それぞれ、第1軸Ax1の方向の熱流に関する第1熱抵抗(R1)及び第2熱抵抗(R2)を有する。第2部材15の第3部分15b及び第4部分15cは、それぞれ、第1軸Ax1の方向への熱流に関する第3熱抵抗(R3)及び第4熱抵抗(R4)を有する。
【0076】
熱流束装置12では、第1部材13及び第2部材15は、第2熱抵抗(R2)が第1熱抵抗(R1)より大きくなる(R2>R1)と共に第3熱抵抗(R3)が第4熱抵抗(R4)より大きくなる(R3>R4)ように構成される。
【0077】
熱流束装置12によれば、第1軸Ax1の方向へ流れる熱流は、第1部材13の第1部分13b及び第2部材15の第3部分15b、並びに第1部材13の第2部分13c及び第2部材15の第4部分15cを通過する。第2熱抵抗(R2)は第1熱抵抗(R1)より大きく、第3熱抵抗(R3)は第4熱抵抗(R4)より大きい。この熱抵抗の大小関係によれば、第1部材13における第1部分13bと第2部分13cとの間及び第2部材15における第3部分15bと第4部分15cとの間にそれぞれの熱抵抗差を設けることができる。また、上記の大小関係によれば、第1熱抵抗(R1)と第3熱抵抗(R3)との和と、第2熱抵抗(R2)と第4熱抵抗(R4)との和との差が大きくなることを回避できる。これによって、熱電対の温接点と冷接点との温度差を大きくできる。
【0078】
第1熱抵抗(R1)、第2熱抵抗(R2)、第3熱抵抗(R3)及び第4熱抵抗(R4)の大小関係は、第1部材13及び第2部材15の厚さ、形状及び/若しくは材料、並びに/又は第1部材13及び第2部材15の少なくとも一方における熱伝導率の分布といった様々な構造的変更及び/若しくは材料的変更によって提供されることができる。
【0079】
熱流束装置12は、第1面31(入熱面及び出熱面に一方)及び第2面33(入熱面及び出熱面に他方)を有する。
図1の(c)部では、第1面31及び第2面33の各々は、平坦な面として描かれているが、平坦面に限定されることなく、様々な形状を有することができる。
【0080】
図1の(c)部を参照すると、熱流束装置12は、以下の第3形態及び第4形態の少なくとも一方を備えることができる。第1部材13及び第2部材15には、それぞれ、熱流入及び熱流出の一方を可能にするように構成された第1面31及び熱流入及び熱流出の他方を可能にするように構成された第2面33が提供される。第2面33は、第1面31の反対側に位置する。
【0081】
第3形態
第1部材13において、第1部分13bは、第1軸Ax1の方向に第1面31から第1接合29bまで延在し、また第2部分13cは、第1空隙部GP1を含む一方で第1軸Ax1の方向に第1面31から第2接合29cまで延在する。第1空隙部GP1は、熱流束装置12が置かれる場所を占める気体及び/又は液体といった媒体で満たされる。第2接合29cは、媒体に露出されることができる。なお、第2接合29cを保護するために、第2接合29cの上に絶縁膜が設けられることができる。
【0082】
第1部分13b及び第2部分13cは、それぞれ、第1軸Ax1の方向に規定される第5厚さd5及び第6厚さd6(d61+d62、但し、d62がゼロであることができる)を有し、第5厚さd5及び第6厚さd6は互いに異なる(本実施例では、d6<d5)。
【0083】
第1部材13の第1部分13bの第5厚さd5及び第1部材13の第2部分13cの第6厚さd6は、互いに異なる。一方、第2部材15は、第2部材15の構造及び材料の少なくともいずれか一方において、第4熱抵抗(R4)を第3熱抵抗(R3)より大きくするように構成されることができる。
【0084】
熱流束装置12によれば、第1部材13の第1部分13bの第5厚さd5及び第2部分13cの第6厚さd6が互いに異なるので、これら第1部分13b及び第2部分13cには、互いに異なる熱抵抗が提供される。
【0085】
第4形態
第2部材15において、第3部分15bは、第2空隙部GP2を含む一方で第1軸Ax1の方向に第2面33から第1接合29bまで延在し、また第4部分15cは、第1軸Ax1の方向に第2面33から第2接合29cまで延在する。
【0086】
第3部分15b及び第4部分15cは、それぞれ、第1軸Ax1の方向に規定される第7厚さd7(d7=d71+d72、但し、d71及びd72は非ゼロである)及び第8厚さd8を有し、第7厚さd7及び第8厚さd8は互いに異なる(本実施例では、d7<d8)。
【0087】
第2部材15の第3部分15bの第7厚さd7及び第3部材15の第4部分15cの第8厚さd8は、互いに異なる。一方、第1部材13は、第1部材13の構造及び材料の少なくともいずれか一方において、第2熱抵抗(R2)を第1熱抵抗(R1)より大きくするように構成されることができる。
【0088】
熱流束装置12によれば、第2部材15の第3部分15bの第7厚さd7及び第4部分15cの第8厚さd8が互いに異なるので、これら第3部分15b及び第4部分15cには、互いに異なる熱抵抗が提供される。
【0089】
図10は、実施形態に係る熱流束装置を概略的に示す図面である。熱流束装置12a(12)では、第1部材13は絶縁体を備える。第1部材13は、第1内側ベース部材46を含むことができる。第1部材13は、複数の第1突起43、及び第1突起43を互いに離間させる第1空隙部GP1を有し、更にベース板41を(d62が非ゼロである構造で)有することができる。本実施例では、ベース板41、複数の第1突起43、及び第1空隙部GP1が、第1内側ベース部材46に設けられる。第1部分13bには、ベース板41の該当部分及び第1突起43が設けられ、第2部分13cには第1空隙部GP1が設けられる。第2部材15の第2内側ベース部材50には、素子エリア19が設けられる。第1空隙部GP1は、高熱抵抗として作用する。
【0090】
第1部材13の第1空隙部GP1は、第1部分13bの第1熱抵抗(R1)及び第2部分13cの第2熱抵抗(R2)が互いに異なるように、第1部材13の絶縁体を熱電対デバイス17の第2接合29c(及びベース板41)から遠ざける。第2空隙部GP2は、高熱抵抗として作用する。
【0091】
第2部材15は、熱電対デバイス17を介して第1部材13、具体的には第1突起43を支持する。第2部材15は、少なくとも第2内側ベース部材50の構造及び材料の少な
くともいずれか一方において、第3熱抵抗(R3)を第4熱抵抗(R4)より大きくするように構成される。
【0092】
熱流束装置12aによれば、第1部材13の第1部分13b及び第2部分13cには、それぞれ、第1空隙部GP1及び第1突起43が提供される。この構造の第1部材13は、第2熱抵抗(R2)を第1熱抵抗(R1)より大きくすることを容易にする。
【0093】
また、熱流束装置12aでは、第2部材15は絶縁体を備える。第2部材15は第2内側ベース部材50を備える。第2部材15は、ベース板45と、複数の第2突起47と、第2突起47を互いに離間させる第2空隙部GP2と、を有する。本実施例では、ベース板45、複数の第2突起47、及び第2空隙部GP2が、第2内側ベース部材50に設けられる。第4部分15cには、ベース板45の該当部分及び第2突起47が設けられ、第3部分15bには第2空隙部GP2が設けられる。第2内側ベース部材50の素子エリア19には、熱電対デバイス17が設けられる。
【0094】
第2部材15の第2空隙部GP2は、第3部分15bの第4熱抵抗(R3)及び第4部分15cの第2熱抵抗(R4)が互いに異なるように、第2部材15の絶縁体の一部を熱電対デバイス17の第1接合29bから遠ざける。
【0095】
第2部材15は、熱電対デバイス17を介して第1部材13、具体的には第1突起43を支持する。第2部材15は、少なくとも第2内側ベース部材50の構造及び材料の少なくともいずれか一方において、第3熱抵抗(R3)を第4熱抵抗(R4)より大きくするように構成される。
【0096】
熱流束装置12aによれば、第2部材15の第3部分15b及び第4部分15cには、それぞれ、第2空隙部GP2及び第2突起47が提供される。この構造の第2部材15は、第3熱抵抗(R3)を第4熱抵抗(R4)より大きくすることを容易にする。
【0097】
図10に示されるように、第1部材13は、第1外側ベース部材51を更に備えることができる。第1内側ベース部材46は、熱電対デバイス17と第1外側ベース部材51との間に設けられる。具体的には、第1突起43及び第1空隙部GP1が、第2内側ベース部材50(第1内側ベース部材46のベース板41)と第1外側ベース部材51との間において第2軸Ax2の方向に交互に配列される。第2軸Ax2の方向は、第1軸Ax1の方向に交差する方向である。第1突起43及び第1空隙部GP1は、第3軸Ax3の方向に延在する。第3軸Ax3の方向は、第1軸Ax1及び第2軸Ax2の方向に交差する方向である。また、第1外側ベース部材51は、第1部材の13の第1突起43の配列を支持して、第1部材13の機械的強度を高めることができる。
【0098】
この熱流束装置12によれば、第1部材13は、第1内側ベース部材46に加えて、外第1外側ベース部材51を備えることができる。これ故に、第1部分13bの第1熱抵抗(R1)及び第2部分13cの第2熱抵抗(R2)の各々は、第1内側ベース部材46及び第1外側ベース部材51の構造及び材料の少なくともいずれか一方によって提供されることができる。
【0099】
第2部材15は、第2外側ベース部材52を更に備えることができる。第2内側ベース部材50は、熱電対デバイス17と第2外側ベース部材52との間に設けられる。具体的には、第2突起47及び第2空隙部GP2が、第2内側ベース部材50のベース板45と第2外側ベース部材52との間において第2軸Ax2の方向に交互に配列される。第2突起47及び第2空隙部GP2は、第3軸Ax3の方向に延在する。また、第2外側ベース部材52は、第2部材の15の第2突起47の配列を支持して、第2部材15の機械的強
度を高めることができる。
【0100】
この熱流束装置12aによれば、第2部材15は、第2内側ベース部材50に加えて、第2外側ベース部材52を備えることができる。これ故に、第3部分15bの第3熱抵抗(R3)及び第4部分15cの第4熱抵抗(R4)の各々は、第2内側ベース部材50及び第2外側ベース部材52の構造及び材料の少なくともいずれか一方によって提供されることができる。
【0101】
図11は、実施形態に係る熱流束装置における第1接合及び第2接合と第1突起及び第2突起との位置合わせを示す図面である。第1接合29bは、第1部材13の第1突起43と第2部材15の第2空隙部GP2との間に位置することができる。第2接合29cは、第1部材13の第1空隙部GP1と第2部材15の第2突起47との間に位置することができる。第1部材13の第1空隙部GP1は、第1接合29bを第1部材13の第1外側ベース部材51の第1ベース主面51p(
図10参照)から隔置する。第2部材15の第2空隙部GP2は、第2部材15の第2内側ベース部材50を第2部材15の第2外側ベース部材52のベース主面52p(
図10参照)から隔置する。
【0102】
熱流束装置12によれば、第1部材13には、第1突起43及び第1空隙部GP1が提供されると共に第2部材15には、第2突起47及び第2空隙部GP2が提供される。この構造の第1部材13及び第2部材15は、第1熱抵抗(R1)と第3熱抵抗(R3)の和を第2熱抵抗(R2)と第4熱抵抗(R4)の和に略等しく構成することを容易にする。
【0103】
例示的な第1部材13では、第1突起43は、シリコン酸化物、エポキシ樹脂、及びセラミックス(例えば、窒化アルミニウム)の少なくともいずれかを備えることができる。ベース板41は、シリコン酸化物、エポキシ樹脂、及びセラミックスの少なくともいずれかを備えることができる。また、第1部材13は、シリコン酸化物、エポキシ樹脂、及びセラミックス(例えば、窒化アルミニウム)の少なくともいずれかを備えることができる。
【0104】
例示的な第2部材15では、第2突起47は、シリコン酸化物、エポキシ樹脂、及びセラミックスの少なくともいずれかを備えることができる。ベース板45は、シリコン酸化物、エポキシ樹脂、及びセラミックス(例えば、窒化アルミニウム)の少なくともいずれかを備えることができる。また、第2部材15は、シリコン酸化物、エポキシ樹脂、及びセラミックス(例えば、窒化アルミニウム)の少なくともいずれかを備えることができる。素子エリア19は、酸化アルミニウム(例えばアルミナ)を備えることができる。
【0105】
第1部材13の第1内側ベース部材46は、シリコン酸化物、エポキシ樹脂、及びセラミックスの少なくともいずれかを備える。第2部材15の第2内側ベース部材50は、シリコン酸化物、エポキシ樹脂、及びセラミックス(例えば、窒化アルミニウム)の少なくともいずれかを備える。
【0106】
例示的な熱流束装置12。
ベース板41:窒化アルミニウム
第1突起43:窒化アルミニウム
第1内側ベース部材46:窒化アルミニウム
第1外側ベース部材51:窒化アルミニウム
熱電対デバイス17:S型の熱電対(正極:白金ロジウム、負極:白金)
ベース板45:窒化アルミニウム
第2突起47:窒化アルミニウム
第2内側ベース部材50:窒化アルミニウム
第2外側ベース部材52:窒化アルミニウム
熱流束装置12の厚さ:1.4ミリメートル(第1軸Ax1の方向)。
【0107】
熱流束装置12の製造方法を説明する。
図10に示されるように、第1部材13のベース板41は、第1突起43にガラスペースト49aを介して固定される。第1突起43は、第1外側ベース部材51にガラスペースト49bを介して固定される。第2部材15のベース板45は、第2突起47にガラスペースト49cを介して固定される。第2突起47は、第2外側ベース部材52にガラスペースト49dを介して固定される。第1部材13のベース板41は、第2部材15のベース板45にガラスペースト49eを介して固定される。
【0108】
図12は、例示的な熱流束装置12(d62がゼロである構造)を概略的に示す図面である。
例示的な熱抵抗値を以下に示す。
第1熱抵抗(R1)、9.0×10
-5m
2K/W。
第2熱抵抗(R2)、4.8×10
-3m
2K/W。
第3熱抵抗(R3)、5.6×10
-6+4.8×10
-3m
2K/W。
第4熱抵抗(R4)、5.6×10
-6+9.0×10
-5m
2K/W。
【0109】
第3熱抵抗(R3)の5.6×10-6m2K/Wは、ベース板45及び第2突起47の合計熱抵抗を示し、第3熱抵抗(R3)の4.8×10-3m2K/Wは、ベース板45及び第2空隙部GP2の合計熱抵抗を示す。
【0110】
熱流束装置12によれば、第1部材13の第1空隙部GP1及び第2部材15の第2空隙部GP2は、第1熱抵抗(R1)と第3熱抵抗(R3)の和が第2熱抵抗(R2)と第4熱抵抗(R4)の和に略等しくすることを容易にする。具体的には、上記の例示的な値では、
R1+R3=9.0×10-5+4.8×10-3=4.9×10-3m2K/W。
R2+R4=4.8×10-3+9.5×10-5=4.9×10-3m2K/W。
である。
【0111】
例えば、第1熱抵抗(R1)、第2熱抵抗(R2)、第3熱抵抗(R3)及び第4熱抵抗(R4)の各々は、1又は複数の部材からの熱抵抗の和として提供されることができる。
【0112】
熱電対デバイス17内の熱電対は温接点及び冷接点を有し、温接点の温度に対応した電位差が、該温接点に接続された互いに異なる金属線の他端の間に生成される。
【0113】
熱が第1部材13から第2部材15への方向に流れるとき、熱電対デバイス17内の熱電対の温接点が、第1部分13bと第3部分15bとの間に配置され、熱電対デバイス17内の熱電対の冷接点が、第2部分13cと第4部分15cとの間に配置される。
【0114】
電位差は以下のように見積もられる。
入熱量Q:2×10000W/m2。
この熱は、第1部分13b及び第3部分15bと、第2部分13c及び第4部分15cとに等しく流れる。冷接点の温度差△Tc及び温接点の温度差△Thを見積もる。
温度差△Th=Q×R1=9.0×10-5×10000=0.9K
温度差△Tc=Q×R2=4.78×10-3×10000=4.8K
【0115】
図13(a)、
図13(b)及び
図14は、実施形態に係る熱流束装置の第1突起及び第2突起の延在方向と、熱電対デバイスの配置との関係を示す図面である。
【0116】
図13(a)及び
図13(b)を参照すると、第1突起43(第1部分13b)及び第2突起47(第4部分)が、第2軸Ax2の方向に交互に配置される。具体的には、第1突起43及び第1空隙部GP1(第2部分13c)が、第2軸Ax2の方向に交互に配置される。第2突起47及び第2空隙部GP2(第3部分15c)が、第2軸Ax2の方向に交互に配置される。第1突起43及び第2突起47の各々は、第3軸Ax3の方向に延在する。第1空隙部GP1及び第2空隙部GP2の各々は、第3軸Ax3の方向に延在する。
【0117】
熱電対デバイス17は、第1部材13及び第2部材15のいずれか一方の主面において第2軸Ax2の方向に延在する1又は複数の主ライン17aと、隣り合う主ライン17aの端を接続するように第3軸Ax3の方向に延在する接続ライン17bとを含む。第1接合29b及び第2接合29cが、主ライン17a及び接続ライン17bの上に交互に配列される。第1接合29bは、第1部分13bの第1突起43と第3部分15bの第2空隙部GP2との間に位置すると共に、第2接合29cは、第2部分13cの第1空隙部GP1と第3部分15bの第2突起47との間に位置する。
【0118】
図13(a)及び
図13(b)に示されるように、主ライン17aの長さは、様々に変更可能である。
【0119】
図14を参照すると、第1突起43及び第2突起47が、それぞれ、第2軸Ax2及び第3軸Ax3の方向に配置される。この熱流束装置12によれば、互いに交差する方向に延在する第1突起43及び第2突起47は、熱流束装置12の機械的な強度を高めることができる。
【0120】
図10及び
図14を参照すると、具体的には、第1突起43及び第1空隙部GP1が、第2軸Ax2の方向に交互に配置される。第2突起47及び第2空隙部GP2が、第2軸Ax2の方向に交互に配置される。第1突起43及び第1空隙部GP1が、第3軸Ax3の方向に延在する。第2突起47及び第2空隙部GP2が、第2軸Ax2の方向に延在する。
【0121】
熱電対デバイス17は、第1接合29b及び第2接合29cが以下の配列を成すように、第1部材13及び第2部材15のいずれか一方の主面において主ライン17c及び接続ライン17dを有する。主ライン17cは、第2軸Ax2及び第3軸Ax3の方向に交差する方向に延在し、また接続ライン17dは、隣合う主ライン17cの端を接続するように延在する。その配列では、第1接合29bが、第1部分13bの第1突起43と第3部分15bの第2空隙部GP2との間に位置すると共に、第2接合29cが、第2部分13cの第1空隙部GP1と第3部分15bの第2突起47との間に位置する。
【0122】
図13(a)。
図13(b)及び
図14に示されるような熱電対デバイス17の第1接合29b及び第2接合29cの配置は、熱流束装置12だけでなく、熱流束装置11にも適用されることができる。
【0123】
以上説明したように、本開示によれば、感度を向上できる熱流束装置を提供できる。
【0124】
図15は、実施形態に係る熱流束装置を概略的に示す図面である。
図16は、実施形態に係る熱流束装置における第1接合及び第2接合、第1突起及び第2突起、並びに第1隙間部及び第2隙間部の位置関係を示す図面である。
【0125】
熱流束装置12b(12)では、第1部材13及び第2部材15の何れか他方、例えば第1部材13には、支持エリア22が設けられることができる。既に説明したように、第1部材13及び第2部材15の何れか一方、例えば第2部材15には、素子エリア19が設けられる。熱電対デバイス17の少なくとも一部分は、第1部材13の支持エリア22と第2部材15の素子エリア19との間において延在すると共に、第1部材13及び第2部材15によって位置決めされる。
【0126】
素子エリア19及び支持エリア22上には、熱電対デバイス17の第1接合29b及び第2接合29cが、互いに隣合うように設けられる。
【0127】
第1部材13及び第2部材15は、それぞれ、第1領域(13f、15f)及び第2領域(13g、15g)を有する。第1接合29bは、第1部材13の第1領域(13f)と第2部材15の第1領域(15f)との間に設けられる。第2接合29cは、第1部材13の第2領域(13g)と第2部材15の第2領域(15g)との間に設けられる。具体的には、第1部材13では、第1領域13fは、熱電対デバイス17の第1接合29bを覆うと共に、第2領域13gは、第2接合29cを覆う。第2部材15では、第1領域15fは、熱電対デバイス17の第1接合29bを覆うと共に、第2領域15gは、第2接合29cを覆う。
【0128】
第1部材13は、第1領域13fと第2領域13gとの間に第1熱アイソレータ領域、例えば第1隙間部24(例えば、リセス、スリット、貫通孔、溝、窪み、有底の凹部)を有することができる。第1熱アイソレータ領域は、第1部材13の第1領域13f及び第2領域13gの一方から他方への熱伝達を妨げて、第1部材13の第1領域13fと第2領域13gとの間の熱的な結合を低減する。また、第2部材15は、第1領域15fと第2領域15gとの間に第2熱アイソレータ領域、例えば第2隙間部26(例えば、リセス、スリット、貫通孔、溝、窪み、有底の凹部)を有することができる。第2熱アイソレータ領域は、第2部材15の第1領域15f及び第2領域15gの一方から他方への熱伝達を妨げて、第2部材15の第1領域15fと第2領域15gとの間の熱的な結合を低減する。
【0129】
第1領域(13f、15f)及び第2領域(13g、15g)は、熱電対デバイス17の表面から第1軸Ax1の方向に沿って延在する。第1隙間部24は、第1領域13fと第2領域13gとの間に設けられ、第2隙間部26は、第1領域15fと第2領域15gとの間に設けられる。第1隙間部24は、第1領域13fの少なくとも一部分及び第2領域13gの少なくとも一部分において、第1領域13g及び第2領域13gの一方を他方から隔置するように第1軸Ax1の方向に沿って延在する。第2隙間部26は、第1領域15fの少なくとも一部分及び第2領域15gの少なくとも一部分において、第1領域15g及び第2領域15gの一方を他方から隔置するように第1軸Ax1の方向に沿って延在する。
【0130】
例示的な第1隙間部24は、支持エリア22から深さ方向に、例えば第1軸Ax1の方向に延在することができる。このような第1隙間部24の少なくとも一部分又は全部は、第1空隙部GP1に到達して、第1空隙部GP1に連通することができる。
【0131】
また、例示的な第2隙間部26は、素子エリア19から深さ方向に、例えば第1軸Ax1の方向に延在することができる。このような第2隙間部26の少なくとも一部分又は全部は、第2空隙部GP2に到達して、第2空隙部GP2に連通することができる。
【0132】
例示的な第1隙間部24及び第2隙間部26は、互いに第1部材13及び第2部材15の接合面において、全体にわたって又は部分的に連通することができる。例示的な第1隙間部24及び第2隙間部26は、それぞれ、支持エリア22及び素子エリア19において、第3軸Ax3の方向(突起(43、47)が延在する方向)に延在することができる。
【0133】
例示的な第1隙間部24は、第1部材13の端面(例えば第2軸Ax2の方向に延在する側面)の少なくとも一方に到達することができる。このような第1隙間部24は、第1領域13fと第2領域13gとの間の熱的分離に優れる。また、例示的な第2隙間部26は、第2部材15の端面(例えば第2軸Ax2の方向に延在する側面)の少なくとも一方に到達することができる。このような第2隙間部26は、第1領域15fと第2領域15gとの間の熱的分離に優れる。
【0134】
或いは、例示的な第1隙間部24は、第1部材13の端面(例えば第2軸Ax2の方向に延在する側面)から離れた端部を有することができる。このような第1隙間部24は、第1部材13の機械的な強度を大きくすることができる。また、例示的な第2隙間部26は、第2部材15の端面(例えば第2軸Ax2の方向に延在する側面)から離れた端部を有することができる。このような第2隙間部26は、第2部材15の機械的な強度を大きくすることができる。
【0135】
第1部材13は、第1部材13の第1突起43の先端を支持するように延在する支持面13dを有することができる。例示的な第1隙間部24は、支持面13dから深さ方向、具体的には第1軸Ax1の方向に延在することができ、このような第1隙間部24の少なくとも一部分は、支持エリア22に到達して、第1空隙部GP1に連通することができる。
【0136】
第2部材15は、第2部材15の第2突起47の先端を支持するように延在する支持面15dを有することができる。例示的な第2隙間部26は、支持面15dから深さ方向、具体的には第1軸Ax1の方向に延在することができ、このような第2隙間部26の少なくとも一部分は、素子エリア19に到達して、第2空隙部GAP2に連通することができる。
【0137】
空気スリット付きの例示的な熱流束装置。
ベース板41:窒化アルミニウム。
第1突起43:窒化アルミニウム。
第1内側ベース部材46:窒化アルミニウム。
第1外側ベース部材51:窒化アルミニウム。
熱電対デバイス17:S型の熱電対(正極:白金ロジウム、負極:白金)。
ベース板45:窒化アルミニウム。
第2突起47:窒化アルミニウム。
第2内側ベース部材50:窒化アルミニウム。
第2外側ベース部材52:窒化アルミニウム。
【0138】
スリット付きの熱流束装置シミュレーションによる見積もり。
熱流の密度:40000W/m2。
温接点温度:602.4℃。
冷接点温度:610.8℃。
第1部材13の総厚:500マイクロメートル。
第1突起の厚さ:250マイクロメートル。
熱電対デバイス17の厚さ:7マイクロメートル。
第1部材13と第2部材15との接合におけるガラスペーストの厚さ:23マイクロメートル。
第2部材15の総厚:500マイクロメートル。
第2突起の厚さ:250マイクロメートル。
熱流束装置はアルミニウム部材に搭載される。
【0139】
熱流束装置11によれば、第1部材13には、第1突起43及び第1空隙部GP1が提供されると共に、第2部材15には、第2突起47及び第2空隙部GP2が提供される。この構造の第1部材13及び第2部材15は、縦方向の熱抵抗に関して、第1熱抵抗(R1)と第3熱抵抗(R3)の和を第2熱抵抗(R2)と第4熱抵抗(R4)の和に略等しく構成することを容易にする。また、この構造の第1部材13及び第2部材15は、横方向の熱抵抗に関する分離性を高めることができる。
【0140】
例示的な第1部材13では、第1突起43は、シリコン酸化物、エポキシ樹脂、セラミックス(例えば、窒化アルミニウム)、及びジルコニア(例えばZrO2)の少なくともいずれかを備えることができる。ベース板41は、シリコン酸化物、エポキシ樹脂、及びセラミックスの少なくともいずれかを備えることができる。また、第1部材13は、シリコン酸化物、エポキシ樹脂、セラミックス(例えば、窒化アルミニウム)、及びジルコニアの少なくともいずれかを備えることができる。
【0141】
例示的な第2部材15では、第2突起47は、シリコン酸化物、エポキシ樹脂、(例えば、窒化アルミニウム)、及びジルコニア(例えばZrO2)の少なくともいずれかを備えることができる。ベース板45は、シリコン酸化物、エポキシ樹脂、セラミックス(例えば、窒化アルミニウム))、及びジルコニアの少なくともいずれかを備えることができる。また、第2部材15は、シリコン酸化物、エポキシ樹脂、及びセラミックスの少なくともいずれかを備えることができる。
【0142】
第1部材13の第1内側ベース部材46は、シリコン酸化物、エポキシ樹脂、セラミックス(例えば、窒化アルミニウム)及びジルコニア(例えばZrO2)の少なくともいずれかを備える。第2部材15の第2内側ベース部材50は、シリコン酸化物、エポキシ樹脂、セラミックス(例えば、窒化アルミニウム)及びジルコニア(例えばZrO2)の少なくともいずれかを備える。
【0143】
熱流束装置11において、例示的な第1隙間部24及び第2隙間部26は、気体、例えば空気又は窒素で充填されることができる。
【0144】
例示的な第1隙間部24及び第2隙間部26の各々は、空気スリットを形成することができる。
スリット(空気スリット)付きの例示的な熱流束装置。
ベース板41:ジルコニア(例えば、熱伝導率3/W/m・K)。
第1突起43:ジルコニア。
第1内側ベース部材46:ジルコニア。
第1外側ベース部材51:ジルコニア。
熱電対デバイス17:N型の熱電対(正極:ナイクロシル、負極:ナイシル)。
ベース板45:ジルコニア。
第2突起47:ジルコニア。
第2内側ベース部材50:ジルコニア。
第2外側ベース部材52:ジルコニア。
【0145】
第1部材及び第2部材に主要部にジルコニアを備えると共にN型の熱電対(正極:ナイクロシル、負極:ナイシル)を用いる空気スリット付きの熱流束装置のシミュレーションによる見積もり。
熱流の密度:40000W/m2。
温接点温度:602.4℃。
冷接点温度:626.5℃。
第1部材13の総厚:500マイクロメートル。
第1突起の厚さ:250マイクロメートル。
熱電対デバイス17の厚さ:7マイクロメートル。
第1部材13と第2部材15との接合におけるガラスペーストの厚さ:23マイクロメートル。
第2部材15の総厚:500マイクロメートル。
第2突起の厚さ:250マイクロメートル。
熱流束装置はアルミニウム部材に搭載される。
【0146】
本実施形態に係る空気スリット付きの例示的な熱流束装置11では、低熱伝導率の熱電対(例えばN型の熱電対、例示的な正極:ナイクロシル、例示的な負極:ナイシル)を用いることができる。低熱伝導率の熱電対は、熱電対デバイス17を介した熱伝導、特に横方向への熱伝導を低減できる。
【0147】
第1部材13の突起及び/又は空隙部の幅(第2軸Ax2の方向に規定)は、空気スリットを形成するように規定されることができる。また、第2部材15の突起及び/又は空隙部の幅(第2軸Ax2の方向に規定)は、空気スリットを形成するように規定されることができる。
【0148】
また、本実施形態に係る空気スリット付きの例示的な熱流束装置11では、第1部材13及び第2部材15は、それぞれの突起及び空隙部によって構成される櫛形形状の部分を有することができる。例えば、第1空隙部GP1及び第2空隙部GP2の何れか一方又は両方は、マイクロポーラス材(0.03W/mK)、ガラス材(1.W/mK)、及びセラミック材(3W/mK以下)の少なくとも1つによって突起間を充填されることができる。このような充填は、空気スリット付きの例示的な熱流束装置11の機械的な強度を強める。
【0149】
3W/mK以下の充填材を用いる例示的な熱流束装置1では、温接点温度と冷接点温度との温度差が1.2℃以上である。
【0150】
図17は、実施形態に係る熱流束装置の縦断面を概略的に示す図面である。
【0151】
第1隙間部24は、第1空隙部GP1から第1軸Ax1の方向に延在することができ、このような第1隙間部24の少なくとも一部分は、素子エリア19又は熱電対デバイス17に到達する。例示的な第1隙間部24の少なくとも一部分は、貫通孔を含むことができ、或いは、第1突起43に沿って延在する溝を含むことができる。このような第1隙間部24は、第1部材13のベース板41における熱の横方向の伝搬を妨げることができる。
【0152】
また、第2隙間部26は、第2空隙部GP2から第1軸Ax1の方向に延在することができ、このような第2隙間部26の少なくとも一部分は、支持エリア22又は熱電対デバイス17に到達する。例示的な第2隙間部26の少なくとも一部分は、貫通孔を含むことができ、或いは、第1突起43に沿って延在する溝を含むことができる。第2隙間部26は、第2部材15のベース板45における熱の横方向の伝搬を妨げることができる。
【0153】
これ故に、第1隙間部24及び第2隙間部26は、熱流束装置11において熱伝搬の方向を案内する。
【0154】
図18(a)及び
図18(b)は、実施形態に係る熱流束装置の熱電対デバイスにおける接合の配置及び隙間部の配置を概略的に示す図面である。
【0155】
第1隙間部24及び第2隙間部26は、隣合う第1接合29bと第2接合29cの間に延在する。第1隙間部24及び第2隙間部26は、第1接合29b付近を流れる熱流束が第2接合29c付近を部分に流れ込むことを妨げる。また、第1隙間部24及び第2隙間部26は、第2接合29c付近を流れる熱流束が第1接合29b付近を部分に流れ込むことを妨げる。
【0156】
第1隙間部24及び第2隙間部26をそれぞれ第1部材13及び第2部材15に提供する構造が説明された。第1隙間部24及び第2隙間部26は、
図15から
図18に示される熱流束装置11に限定されることなく、
図1から
図14に示される熱流束装置11にも適用されることができる。
【0157】
例示的な製造方法が、以下に説明される。
【0158】
第1構造物の作製。
厚さ0.5mmのセラミック板を準備する。
このセラミック板を加工して、間隔0.25mm及び幅0.25mmの複数の溝及び突起を形成して、櫛形構造をセラミック板に形成する。
櫛形構造の溝を低熱伝導材で埋めて、複合構造物を形成する。
溝を低熱伝導材で埋めた後に、溝内の低熱伝導材及び突起の上にガラス膜を形成する。
ガラス膜(デバイス面)上に熱電対の正極を、例えばスクリーン印刷で形成する。
ガラス膜(デバイス面)上に熱電対の負極を、例えばスクリーン印刷で形成する。正極及び負極の作製により熱電対デバイスを作製して、第1中間生物を得る。
【0159】
第2構造物の作製。
厚さ0.5mmのセラミック板を準備する。
このセラミック板の幅より狭い複数のストライプ部材を準備する。ストライプ部材の幅は、続いて作製される溝の幅より僅かに狭い。
セラミック板を加工して、間隔0.25mm幅及び幅0.25mmの複数の溝及び突起を形成して、櫛形構造をセラミック板に形成する。
櫛形構造の溝を低熱伝導材で埋めて、複合構造物を形成する。
中間生産物上において、溝に交差する方向にストライプ部材を溝に位置合わせして配列すると共にストライプ部材を中間生産物に接着して、第2中間生物を得る。第2中間生物の表面(スリット面)には、スリットの配列が現れる。
【0160】
熱流束装置の主要部の作製。
第1中間生物のデバイス面に第2中間生物のスリット面を向けて、第1中間生物の熱電対デバイス及び第2中間生物を互いに貼り合わせて、熱流束装置の主要部を作製する。貼り合わせに際して、熱電対デバイスの第1接合及び第2接合のうち、隣合う第1接合及び第2接合の間にスリットが延在するように、第1中間生物及び第2中間生物が位置合わせされる。
【0161】
第1隙間部24及び第2隙間部26は、例えばダイサーによる切削加工、エッチングによる化学的プロセス、加工機械を用いる切削加工、及びこれらの組み合わせによって作製されることができる。或いは、第1隙間部24を含む部材(例えばベース板41)及び第2隙間部26を含む部材(例えばベース板45)は、第1隙間部24及び第2隙間部26を形造る型形状を有する型抜きによって作製されることができる。
【0162】
以上説明したように、本開示によれば、感度を向上できる熱流束装置11を提供できる。また、本開示によれば、第1部材13及び/又は第2部材15における横方向の熱伝搬を低減できる熱流束装置11を提供できる。
【0163】
本実施形態は、以下に示されるような様々な側面及び付記を有する。
【0164】
本開示の第1側面に係る熱流束装置は、第1軸の方向に配列された第1部材及び第2部材であって、前記第1部材及び前記第2部材のいずれか一方は素子エリアを有する、第1部材及び第2部材と、第1電極及び第2電極と、前記第1電極から前記第2電極への配列
軸の方向に熱電対の直列接続を前記第1部材と前記第2部材との間に形成するように、前記素子エリアに沿って交互に配置された互いに異種の第1導電体及び第2導電体と、前記第1導電体及び前記第2導電体の複数の接合とを含む熱電対デバイスと、を備え、前記接合は、前記配列軸の方向に前記第1導電体から前記第2導電体に繋がる第1接合と、前記配列軸の方向に前記第2導電体から前記第1導電体に繋がる第2接合とを包含し、前記第1部材は、前記第1軸の方向に沿って延在する第1部分及び第2部分を有し、前記第2部材は、前記第1軸の方向に沿って延在する第3部分及び第4部分を有し、前記第1部材の前記第1部分、前記第1接合、及び前記第2部材の前記第3部分は、前記第1軸の方向に配列されており、前記第1部材の前記第2部分、前記第2接合、及び前記第2部材の前記第4部分は、前記第1軸の方向に配列されており、前記第1部材の前記第1部分及び前記第2部分は、それぞれ、前記第1軸の方向への熱流に対する第1熱抵抗及び第2熱抵抗を有し、前記第2部材の前記第3部分及び前記第4部分は、それぞれ、前記第1軸の方向への熱流に対する第3熱抵抗及び第4熱抵抗を有し、前記第2熱抵抗は前記第1熱抵抗より大きく、前記第3熱抵抗は前記第4熱抵抗より大きい。
【0165】
本開示の第1側面に従う第2側面に係る熱流束装置では、前記第1部材は、熱流入及び熱流出の一方を可能にするように構成された第1面を有し、前記第2部材は、前記熱流入及び前記熱流出の他方を可能にするように構成された第2面を有し、前記第1部材の前記第1部分は、前記第1軸の方向に前記第1面から前記第1接合に向けて延在し、前記第1部材の前記第2部分は、前記第1軸の方向に前記第1面から前記第2接合に向けて延在し、前記第1部材の前記第1部分の第1厚さ及び前記第2部分の第2厚さは、互いに異なり、前記第1厚さ及び前記第2厚さは、前記第1軸の方向に規定される。
【0166】
本開示の第2側面に従う第3側面に係る熱流束装置では、前記第1部材及び前記第2部材の各々は、内側ベース部材を含み、前記第1部材は、前記第1面において、前記第1部分と該第1部分の両隣の前記第2部分とのそれぞれの境界に第1段差及び第2段差を有し、前記第1段差及び前記第2段差の各々は、前記第1面において、前記第1接合と該第1接合の隣の前記第2接合との間に位置する。
【0167】
本開示の第3側面に従う第4側面に係る熱流束装置では、前記第2厚さは、前記第1厚さより大きく、前記第2部分は、前記第1段差と前記第2段差との間隔によって規定される幅を有し、前記第2部分の前記幅及び前記第1部分の前記第1厚さの少なくとも一方は、前記第1軸の方向に延在すると共に前記第1接合と隣の前記第2接合とに交差する縦基準面において、前記第1段差及び前記第2段差の各々に位置する段差面の底点と前記第2接合とを結ぶ線分が、前記第1部分の主面に沿って延在する横基準線に対して45度より小さい角度を成す、ように構成される。
【0168】
本開示の第4側面に従う第5側面に係る熱流束装置では、前記第1部材の前記内側ベース部材は、第1熱伝導率の材料を備え、前記第2部材の前記内側ベース部材は、第2熱伝導率の材料を備え、前記第1部材及び前記第2部材の少なくともいずれか一方は、外側ベース部材をさらに含み、前記外側ベース部材は、第3熱伝導率の材料を備え、前記第3熱伝導率の値は、前記第1熱伝導率の値及び前記第2熱伝導率の値と異なる。
【0169】
本開示の第5側面に従う第6側面に係る熱流束装置は、前記第1部材の前記内側ベース部材は、絶縁物を備え、前記第2部材の前記内側ベース部材は、絶縁物を備え、前記絶縁物は、シリコン酸化物又はエポキシ樹脂を包含し、前記外側ベース部材は、金属を含む。
【0170】
本開示の第6側面に従う第7側面に係る熱流束装置では、前記第2部材の前記内側ベース部材には、前記素子エリアが設けられ、前記第2部材の前記内側ベース部材は、前記素子エリアの反対側に位置する主面において、前記第3部分と該第3部分の両隣の前記第4部分とのそれぞれの境界に第3段差及び第4段差を有し、前記第2部材には、前記外側ベース部材が設けられ、前記第2部材の前記内側ベース部材は、前記第2部材の前記外側ベース部材と前記熱電対デバイスとの間に設けられる。
【0171】
本開示の第7側面に従う第8側面に係る熱流束装置では、前記第2部材は、追加外側ベース部材を更に含み、前記第2部材の前記外側ベース部材は、前記内側ベース部材と前記追加外側ベース部材との間に設けられ、前記第2部材の前記第3熱抵抗は、前記第2部材の前記内側ベース部材の熱抵抗と前記追加外側ベース部材の熱抵抗とを含み、前記第2部材の前記第4熱抵抗は、前記第2部材の前記内側ベース部材の熱抵抗と前記追加外側ベース部材の熱抵抗とを含む。
【0172】
本開示の第8側面に従う第9側面に係る熱流束装置では、前記第1部材及び前記第2部材の各々は、内側ベース部材を含み、前記第1部材の前記内側ベース部材は、複数の第1突起と、前記第1突起を互いに離間させる第1空隙部と、を有し、前記第1部分は、第1突起を含み、前記第2部分は、第1空隙部を含み、前記第1部材は絶縁体を備え、前記第2部材の前記内側ベース部材には、前記素子エリアが設けられ、前記第2部材は、前記熱電対デバイスを介して前記第1突起を支持し、前記第1部材の前記第1空隙部は、前記第1部材の前記絶縁体を前記熱電対デバイスの前記第2接合から隔置する。
【0173】
本開示の第9側面に従う第10側面に係る熱流束装置では、前記第1部材の前記第1突起は、シリコン酸化物、エポキシ樹脂、及びセラミックスの少なくともいずれかを備え、前記第2部材の前記内側ベース部材は、シリコン酸化物、エポキシ樹脂、及びセラミックスの少なくともいずれかを備える。
【0174】
本開示の第10側面に従う第11側面に係る熱流束装置では、前記第2部材は、外側ベース部材を更に含み、前記第2部材の前記内側ベース部材は、前記第2部材の前記外側ベース部材と前記熱電対デバイスとの間に設けられ、前記第2部材の前記第3熱抵抗は、前記第2部材の前記内側ベース部材の熱抵抗と前記外側ベース部材の熱抵抗とを含み、前記第2部材の前記第4熱抵抗は、前記内側ベース部材の熱抵抗と前記外側ベース部材の熱抵抗とを含む。
【0175】
本開示の第11側面に従う第12側面に係る熱流束装置では、前記第2部材の前記内側ベース部材は、前記熱電対デバイスと前記第2部材の前記外側ベース部材との間に設けられ、前記第2部材の前記外側ベース部材は、ベース主面と、前記ベース主面から突出する複数の第2突起と、前記第2突起を互いに離間させる第2空隙部と、を有し、前記第2部材の前記外側ベース部材の前記第2突起は、前記第2部材の前記内側ベース部材によって支持され、前記第1接合は、前記第1部材の前記第1突起と前記第2部材の前記第2空隙部との間に位置し、前記第2接合は、前記第1部材の前記第1空隙部と前記第2部材の前記第2突起との間に位置し、前記第2部材の前記第2空隙部は、前記第2部材の前記内側ベース部材を前記第2部材の前記外側ベース部材の前記ベース主面から隔置する。
【0176】
本開示の第12側面に従う第13側面に係る熱流束装置では、前記第1部材の前記第1突起は、前記素子エリアに沿って前記第1軸の方向に交差する第2軸の方向に延在し、前記第2部材の前記第2突起は、前記第2部材の前記内側ベース部材に沿って前記第1軸の方向及び前記第2軸の方向に交差する第3軸の方向に延在する。
【0177】
本開示の第1付記に係る熱流束装置は、第1軸の方向に配列された第1部材及び第2部材であって、前記第1部材及び前記第2部材のいずれか一方は素子エリアを有する、第1部材及び第2部材と、第1電極及び第2電極と、前記第1電極から前記第2電極への配列軸の方向に熱電対の直列接続を前記第1部材と前記第2部材との間に形成するように、前記素子エリアに沿って交互に配置された互いに異種の第1導電体及び第2導電体と、前記第1導電体及び前記第2導電体の複数の接合とを含む熱電対デバイスと、を備え、前記接合は、前記配列軸の方向に前記第1導電体から前記第2導電体に繋がる第1接合と、前記配列軸の方向に前記第2導電体から前記第1導電体に繋がる第2接合とを包含し、前記第1部材は、前記第1軸の方向に沿って延在する第1部分及び第2部分を有し、前記第2部材は、前記第1軸の方向に沿って延在する第3部分及び第4部分を有し、前記第1部材の前記第1部分、前記第1接合、及び前記第2部材の前記第3部分は、前記第1軸の方向に配列されており、前記第1部材の前記第2部分、前記第2接合、及び前記第2部材の前記第4部分は、前記第1軸の方向に配列されており、前記第1部材及び前記第2部材の少なくとも一方は、前記熱電対デバイスの前記第1接合を覆う第1領域と、前記第2接合を覆う第2領域と、前記第1領域と前記第2領域との間に設けられた隙間部を有し、前記第1領域及び前記第2領域は、前記熱電対デバイスの表面から前記第1軸の方向に沿って延在し、前記隙間部は、前記第1領域の少なくとも一部分及び前記第2領域の少なくとも一部分において、前記第1領域及び前記第2領域の一方を他方から隔置するように前記第1軸の方向に沿って延在する。
【0178】
本開示の第1付記に従う第2付記に係る熱流束装置では、前記熱電対デバイスは、N型熱電対を有することができる。
【0179】
本開示の第1付記又は第2付記に従う第2付記に係る熱流束装置では、前記第1部材及び前記第2部材の少なくとも一方は、ジルコニアを備えることができる。
【0180】
本開示の第1付記、第2付記、又は第3付記に従う第4付記に係る熱流束装置では、前記第1部材の前記第1部分及び前記第2部分は、それぞれ、前記第1軸の方向への熱流に対する第1熱抵抗及び第2熱抵抗を有し、前記第2部材の前記第3部分及び前記第4部分は、それぞれ、前記第1軸の方向への熱流に対する第3熱抵抗及び第4熱抵抗を有し、
前記第2熱抵抗は前記第1熱抵抗より大きく、前記第3熱抵抗は前記第4熱抵抗より大きいことができる。
【0181】
本開示の第4付記に従う第5付記に係る熱流束装置では、前記第1部材及び前記第2部材の各々は、内側ベース部材を含み、前記第1部材の前記内側ベース部材は、複数の第1突起と、前記第1突起を互いに離間させる第1空隙部と、を有し、前記第1部分は、第1突起を含み、前記第2部分は、前記第1空隙部を含み、前記第1部材は絶縁体を備え、前記第2部材の前記内側ベース部材には、前記素子エリアが設けられ、前記第2部材は、前記熱電対デバイスを介して前記第1突起を支持し、前記第1部材の前記第1空隙部は、前記第1部材の前記絶縁体を前記熱電対デバイスの前記第2接合から隔置することができる。
【0182】
本開示の第5付記に従う第6付記に係る熱流束装置では、前記第2部材は、外側ベース部材を更に含み、前記第2部材の前記内側ベース部材は、前記第2部材の前記外側ベース部材と前記熱電対デバイスとの間に設けられることができる。
【0183】
本開示の第6付記に従う第7付記に係る熱流束装置では、前記第2部材の前記第3熱抵抗は、前記第2部材の前記内側ベース部材の熱抵抗と前記外側ベース部材の熱抵抗とを含み、前記第2部材の前記第4熱抵抗は、前記内側ベース部材の熱抵抗と前記外側ベース部材の熱抵抗とを含むことができる。
【0184】
本開示の第6付記に従う第8付記に係る熱流束装置では、前記第2部材の前記内側ベース部材は、前記熱電対デバイスと前記第2部材の前記外側ベース部材との間に設けられ、前記第2部材の前記外側ベース部材は、ベース主面と、前記ベース主面から突出する複数の第2突起と、前記第2突起を互いに離間させる第2空隙部と、を有し、前記第2部材の前記外側ベース部材の前記第2突起は、前記第2部材の前記内側ベース部材によって支持され、前記第1接合は、前記第1部材の前記第1突起と前記第2部材の前記第2空隙部との間に位置し、前記第2接合は、前記第1部材の前記第1空隙部と前記第2部材の前記第2突起との間に位置し、前記第2部材の前記第2空隙部は、前記第2部材の前記内側ベース部材を前記第2部材の前記外側ベース部材の前記ベース主面から隔置することができる。
【0185】
本開示の第5付記に従う第9付記に係る熱流束装置では、前記第1空隙部には、6W/mk以下の熱伝導率の材料が設けられることができる。
【0186】
本開示の第8付記に従う第10付記に係る熱流束装置では、前記第2空隙部の少なくとも一方には、6W/mk以下の熱伝導率の材料が設けられることができる。
【0187】
本発明は上述した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲内で種々変更して実施することが可能である。そして、それらはすべて、本発明の技術思想に含まれるものである。
【符号の説明】
【0188】
11、11b~11f、12・・・熱流束装置、13・・・第1部材、13b・・・第1部分、13c・・・第2部分、13d・・・支持面、13f・・・第1領域、13g・・・第2領域、14・・・第1突出部材、14b・・・第1段差、14c・・・第2部分、14d・・・窪部、15・・・第2部材、15b・・・第3部分、15c・・・第4部分、15d・・・支持面、15f・・・第1領域、15g・・・第2領域、19・・・素子エリア、21・・・第1電極、23・・・第2電極、24・・・第1隙間部、25・・・第1導電体、26・・・第2隙間部、27・・・第2導電体、29・・・接合、29b・・・第1接合、29c・・・第2接合、R1・・・第1熱抵抗、R2・・・第2熱抵抗、R3・・・第3熱抵抗、R4・・・第4熱抵抗。