(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024114692
(43)【公開日】2024-08-23
(54)【発明の名称】管理装置、管理装置の制御方法、管理システム、及び、商品
(51)【国際特許分類】
G06Q 20/38 20120101AFI20240816BHJP
【FI】
G06Q20/38
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024075459
(22)【出願日】2024-05-07
(62)【分割の表示】P 2023571510の分割
【原出願日】2023-02-10
(71)【出願人】
【識別番号】523185958
【氏名又は名称】株式会社HKSK
(74)【代理人】
【識別番号】110002675
【氏名又は名称】弁理士法人ドライト国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】赤木 謙太
【テーマコード(参考)】
5L020
【Fターム(参考)】
5L020AA71
(57)【要約】 (修正有)
【課題】運用コストの低減を図る管理装置、管理装置の制御方法、管理システム及び商品を提供する。
【解決手段】管理システム10において、購入者端末2は、特定の種類の商品7の1つを購入した購入者が、管理対象の商品が備える情報読取部7aに読み取り可能に予め記憶され、特定の種類の商品に対応付けられる商品毎に個々に異なる複数の管理情報を読み取る。管理装置3は、購入者端末からインターネット6を介して送信される商品7の管理情報を受信し、受信した管理情報が予め記憶した複数の管理情報の1つであるか否かを判定し、予め記憶した複数の管理情報の1つである場合には、分散型管理システム(ブロックチェーン4)に購入者が所有者となる非代替性トークンに、購入者端末から受信した管理情報と非代替性トークンとの対応付けを記録する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
分散型管理システムに記録される非代替性トークンを用いて、現実世界で流通する商品の購入者を記録する管理装置であって、
管理対象の前記商品が備える情報読取部に、前記購入者により操作される購入者端末によって読み取り可能に記録され、特定の種類の前記商品に対応付けられ、前記商品毎に個々に異なる複数の管理情報を予め記憶し、
前記特定の種類の前記商品の1つを購入した前記購入者により前記購入者端末によって、前記商品に付された情報読取部が読み取られ、前記購入者端末からインターネットを介して送信される、前記商品の管理情報を受信し、
前記購入者端末から受信した管理情報が、前記予め記憶した複数の管理情報の1つであるか否かを判定し、
前記購入者端末から受信した管理情報が、前記予め記憶した複数の管理情報の1つである場合には、前記分散型管理システムに前記購入者が所有者となる非代替性トークンを記録し、
前記購入者端末から受信した管理情報と前記非代替性トークンとの対応付けを記録する、管理装置。
【請求項2】
前記購入者端末から前記管理情報を受信した後に、前記分散型管理システムに前記購入者が所有者となる前記非代替性トークンを発行する、請求項1に記載の管理装置。
【請求項3】
予め、前記分散型管理システムに前記非代替性トークンを発行しておき、
前記購入者端末から前記管理情報を受信した後に、前記発行された非代替性トークンの所有者を購入者に変更する、請求項1に記載の管理装置。
【請求項4】
前記購入者端末からの前記特定の種類の前記商品の購入要求に応じて、前記分散型管理システムに前記購入者が所有者となる前記非代替性トークンを発行し、
前記商品の発送者に対して、前記購入要求で要求された前記特定の種類の前記商品を前記購入者に発送する指示を行い、
前記特定の種類の前記商品が発送された前記購入者により操作される前記購入者端末によって、前記商品に付された情報読取部が読み取られ、前記購入者端末からインターネットを介して送信される、前記商品の管理情報を受信し、
前記購入者端末から前記管理情報を受信した後に、前記購入者端末から受信した管理情報と前記非代替性トークンとの対応付けを記録する、請求項1に記載の管理装置。
【請求項5】
前記購入者端末から、前記分散型管理システムの記録に用いる前記購入者のユーザ識別情報を受信し、
前記ユーザ識別情報を用いて、前記購入者が、前記購入要求に応じて発行された前記非代替性トークンの所有者であるか否かを判定し、
前記購入者端末から受信した管理情報が、前記予め記憶した複数の管理情報の1つである場合、かつ、前記購入者が、前記購入要求に応じて発行した前記非代替性トークンの所有者である場合には、前記購入者端末から受信した管理情報と前記非代替性トークンとの対応付けを記録する、請求項4に記載の管理装置。
【請求項6】
前記商品の種類を前記非代替性トークンに含めて前記分散型管理システムで発行する、請求項1に記載の管理装置。
【請求項7】
前記購入者端末から受信した管理情報と前記非代替性トークンとの対応付けを、前記管理装置の記憶部、及び、前記分散型管理システムの少なくとも一方に記録する、請求項1に記載の管理装置。
【請求項8】
前記情報読取部は、NFC(Near Field Communication)タグであり、
前記管理装置は、前記購入者端末が備えるNFCリーダによって前記NFCタグが読み取られることで前記購入者端末が取得した管理情報を、前記購入者端末から受信する、請求項1に記載の管理装置。
【請求項9】
前記情報読取部は、前記商品に付された描画コードであり、
前記管理装置は、前記購入者端末が備える撮像部によって、前記商品に付された前記描画コードが撮影されることにより読み取られることで前記購入者端末が取得した管理情報を、前記購入者端末から受信する、請求項1に記載の管理装置。
【請求項10】
前記商品は、衣類、靴類、装身具類、バック類、スポーツ用品類、及び、アウトドア用品類のうちいずれかである、請求項1に記載の管理装置。
【請求項11】
分散型管理システムに記録される非代替性トークンを用いて、現実世界で流通する商品の購入者を記録する管理装置の制御方法であって、
前記管理装置は、
管理対象の前記商品が備える情報読取部に、前記購入者により操作される購入者端末によって読み取り可能に記録され、特定の種類の前記商品に対応付けられ、前記商品毎に個々に異なる複数の管理情報を予め記憶し、
前記特定の種類の前記商品の1つを購入した前記購入者により前記購入者端末によって、前記商品に付された情報読取部が読み取られ、前記購入者端末からインターネットを介して送信される、前記商品の管理情報を受信し、
前記購入者端末から受信した管理情報が、前記予め記憶した複数の管理情報の1つであるか否かを判定し、
前記購入者端末から受信した管理情報が、前記予め記憶した複数の管理情報の1つである場合には、前記分散型管理システムに前記購入者が所有者となる非代替性トークンを記録し、
前記購入者端末から受信した管理情報と前記非代替性トークンとの対応付けを記録する、管理装置の制御方法。
【請求項12】
分散型管理システムに記録される非代替性トークンを用いて、現実世界で流通する商品の購入者を記録する管理装置と、特定の種類の前記商品の1つの前記購入者により操作される購入者端末と、を有する管理システムであって、
前記管理装置は、管理対象の前記商品が備える情報読取部に、前記購入者により操作される前記購入者端末によって読み取り可能に記録され、前記特定の種類の前記商品に対応付けられ、前記商品毎に個々に異なる複数の管理情報を予め記憶しており、
前記購入者端末は、
前記商品に付された情報読取部を読み取り、前記購入者端末からインターネットを介して前記管理装置に送信し、
前記管理装置は、
前記購入者端末から受信した管理情報が、前記予め記憶した複数の管理情報の1つであるか否かを判定し、
前記購入者端末から受信した管理情報が、前記予め記憶した複数の管理情報の1つである場合には、前記分散型管理システムに前記購入者が所有者となる非代替性トークンを記録し、
前記購入者端末から受信した管理情報と前記非代替性トークンとの対応付けを記録する、管理システム。
【請求項13】
分散型管理システムに記録される非代替性トークンを用いて管理装置によって購入者が管理される商品であって、
特定の種類の前記商品に対応付けられ、前記商品毎に個々に異なる複数の管理情報が、前記購入者により操作される購入者端末によって読み取り可能な情報読取部を備え、
前記情報読取部は、
前記購入者により前記購入者端末によって読み取られることにより、前記情報読取部に記録された管理情報を前記購入者端末により取得させ、前記購入者端末から前記管理情報をインターネットを介して管理装置に送信させ、
前記管理情報を受信した前記管理装置において、
前記購入者端末から受信した管理情報が、前記管理装置に予め記憶した複数の管理情報の1つであるか否かを判定させ、
前記購入者端末から受信した管理情報が、前記予め記憶した複数の管理情報の1つである場合には、前記分散型管理システムに前記購入者が所有者となる非代替性トークンを記録させ、
前記購入者端末から受信した管理情報と前記非代替性トークンとの対応付けを記録させる、商品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、管理装置、管理装置の制御方法、管理システム、及び、商品に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、偽造や改ざんが難しい分散型管理システムの一例であるブロックチェーン技術において、暗号資産(仮想通貨)等に用いられる代替性トークン(FT:Fungible Token)に加えて、一意かつ代替不可能な非代替性トークン(NFT:Non-Fungible Token)が注目されている。例えば、デジタルアートに関する情報をNFTに記憶することで、NFTを用いてデジタルアートの流通過程における正当な所有者の確認が可能となり、不正規な複製の流通を防止することができる(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
NFTは、デジタルアートに限らず、現実世界で流通する商品について応用することが検討されている。具体的には、NFTを現実世界で流通する商品と対応付けることで、現実世界の商品の流通を管理し、正当な所有者の証明をすることができる。現実世界の商品は製造者が販売した後にコレクターの間で売買を介して流通される場合があるが、このような商品の流通を、NFTを用いて管理することが可能となる。
【0005】
商品とNFTとを対応付けるためには、予め、商品の製造時に商品毎に管理情報を記録し読み取り可能な情報読取部を付しておき、これらの管理情報と対応するNFTを発行しておくことが考えられる。しかしながら、予めNFTを発行する方法では、販売されなかった商品についてもNFTを発行する必要があるため、不要なNFTの発行によるコストが生じてしまい、全体の運用コストが増加するおそれがある。そのため、運用コストの低減を図ることが望まれている。
【0006】
本願はこのような課題を鑑みてなされたものであり、運用コストの低減を図ることができる管理装置、管理装置の制御方法、管理システム、及び、商品を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様の管理装置は、分散型管理システムに記録される非代替性トークンを用いて、現実世界で流通する商品の購入者を記録する。管理装置は、管理対象の商品が備える情報読取部に、購入者により操作される購入者端末によって読み取り可能に記録され、特定の種類の商品に対応付けられ、商品毎に個々に異なる複数の管理情報を予め記憶し、特定の種類の商品の1つを購入した購入者により購入者端末によって、商品に付された情報読取部が読み取られ、購入者端末からインターネットを介して送信される、商品の管理情報を受信し、購入者端末から受信した管理情報が、予め記憶した複数の管理情報の1つであるか否かを判定し、購入者端末から受信した管理情報が、予め記憶した複数の管理情報の1つである場合には、分散型管理システムに購入者が所有者となる非代替性トークンを記録し、購入者端末から受信した管理情報と非代替性トークンとの対応付けを記録する。
【0008】
本発明の一態様の管理装置の制御方法は、分散型管理システムに記録される非代替性トークンを用いて、現実世界で流通する商品の購入者を記録する。管理装置は、管理対象の商品が備える情報読取部に、前記購入者により操作される購入者端末によって読み取り可能に記録され、特定の種類の商品に対応付けられ、商品毎に個々に異なる複数の管理情報を予め記憶し、特定の種類の商品の1つを購入した購入者により購入者端末によって、商品に付された情報読取部が読み取られ、購入者端末からインターネットを介して送信される、商品の管理情報を受信し、購入者端末から受信した管理情報が、予め記憶した複数の管理情報の1つであるか否かを判定し、購入者端末から受信した管理情報が、予め記憶した複数の管理情報の1つである場合には、分散型管理システムに購入者が所有者となる非代替性トークンを記録し、購入者端末から受信した管理情報と非代替性トークンとの対応付けを記録する。
【0009】
本発明の一態様の管理システムは、分散型管理システムに記録される非代替性トークンを用いて、現実世界で流通する商品の購入者を記録する管理装置と、特定の種類の商品の1つの購入者により操作される購入者端末と、を有する。管理装置は、管理対象の商品が備える情報読取部に、購入者により操作される購入者端末によって読み取り可能に記録され、特定の種類の商品に対応付けられ、商品毎に個々に異なる複数の管理情報を予め記憶している。購入者端末は、商品に付された情報読取部を読み取り、購入者端末からインターネットを介して管理装置に送信する。管理装置は、購入者端末から受信した管理情報が、予め記憶した複数の管理情報の1つであるか否かを判定し、購入者端末から受信した管理情報が、予め記憶した複数の管理情報の1つである場合には、分散型管理システムに購入者が所有者となる非代替性トークンを記録し、購入者端末から受信した管理情報と非代替性トークンとの対応付けを記録する。
【0010】
本発明の一態様の商品は、分散型管理システムに記録される非代替性トークンを用いて管理装置によって購入者が管理される。商品は、特定の種類の商品に対応付けられ、商品毎に個々に異なる複数の管理情報が、購入者により操作される購入者端末によって読み取り可能な情報読取部を備える。情報読取部は、購入者により購入者端末によって読み取られることにより、情報読取部に記録された管理情報を購入者端末により取得させ、購入者端末から管理情報をインターネットを介して管理装置に送信させ、管理情報を受信した管理装置において、購入者端末から受信した管理情報が、管理装置に予め記憶した複数の管理情報の1つであるか否かを判定させ、購入者端末から受信した管理情報が、予め記憶した複数の管理情報の1つである場合には、分散型管理システムに購入者が所有者となる非代替性トークンを記録させ、購入者端末から受信した管理情報と非代替性トークンとの対応付けを記録させる。
【発明の効果】
【0011】
本発明の一態様の管理装置、管理装置の制御方法、管理システム、及び、商品によれば、管理装置は、予め特定の種類の商品に対応付けられ、商品毎に個々に異なる複数の管理情報を記録しており、管理対象の商品が備える情報読取部に読み取り可能に管理情報が記録されている。購入者端末は、前記商品に付された情報読取部から管理情報を読み取り、管理装置に送信する。管理装置は、購入者端末から、商品に付されている管理情報を受信すると、購入者端末から受信した管理情報が、予め記憶した複数の管理情報の1つであるか否かを判定し、購入者端末から受信した管理情報が、予め記憶した複数の管理情報の1つである場合には、購入者が所有者となる非代替性トークンを分散型管理システムに記録する。さらに、管理装置は、受信した管理情報と、購入者が所有者となる非代替性トークンとの対応付けを記録する。
【0012】
このような管理装置、管理装置の制御方法、管理システム、及び、商品によれば、購入者端末から受信した管理情報が、予め記憶した複数の管理情報の1つである場合には、購入者端末の操作者が商品の正規の所有者であることが判断できる。そこで、正規の所有者である場合に、購入者が所有者となる非代替性トークンを分散型管理システムに記録し、購入者端末から受信した管理情報と非代替性トークンとの対応付けを記録する。その結果、非代替性トークンの所有者を参照することで、管理情報が情報読取部に記録された商品の正規の所有者が参照可能となるため、商品の流通の管理を行うことができる。
【0013】
このような商品の管理に加えて、管理装置は、購入者端末から管理情報を受信した後に、購入者が所有者となるNFTをブロックチェーンに記録するため、販売されなかった商品と対応付けられるNFTの発行が不要になり、管理装置の運用コストの低減を図ることができる。さらに、工場は、購入された商品について、在庫の1つを購入者に発送すればよく、特定の管理情報と対応付けられた商品を購入者に発送する必要がないため、工場における商品の発送時の管理情報の取り扱いが不要になり、工場の運用コストの低減を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】各実施形態に共通の管理システムの概略構成図である。
【
図2A】ウォレットサーバへの購入者の事前登録の処理を示すフローチャートである。
【
図2B】購入者端末が購入者の所有するNFTを参照する処理を示すフローチャートである。
【
図2C】管理装置が工場に対して商品の製造を指示する処理のフローチャートである。
【
図3】第1実施形態における、商品と対応付けられた管理情報とNFTとの対応付けの処理を示すフローチャートである。
【
図4】第2実施形態における、商品と対応付けられた管理情報とNFTとの対応付けの処理を示すフローチャートである。
【
図5】第3実施形態における、商品と対応付けられた管理情報とNFTとの対応付けの処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下図面について本発明の一実施の形態を詳述する。以下の説明において、同一の構成要素には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。
【0016】
(第1実施形態)
図1は、管理システムの概略構成図である。なお、この管理システムの構成は、他の実施形態と共通している。
【0017】
管理システム10は、工場1と、購入者端末2と、管理装置3と、ブロックチェーン4と、ウォレットサーバ5とを備えており、これらの構成がインターネット6を介して相互に接続されている。
【0018】
工場1は、管理装置3からの製造指示に応じて商品7を製造する。その後、工場1は、管理装置3からの商品発送指示に応じて、購入者に対して製造した商品7を発送する。そのため、工場1は、発送者の一例となる。さらに、商品7は、現実世界で流通するものであり、管理装置3による購入者及び流通時の所有者の管理対象となる。なお、商品7の購入者は、購入者端末2を操作可能であって、購入者端末2の所有者であってもよい。工場1において製造される商品7は、衣服を含む任意の製品である。商品7は、例えば、衣類(上衣、下衣等)、靴類(革靴、スニーカー、サンダル、ブーツ等)、装身具類(ブローチ、ネックレス、イヤリング、腕時計、スカーフ、手袋、ベルト、ネクタイ等)、バック類(セカンドバッグ、バッグインバッグ、ポシェット、ボディーバッグ等)、スポーツ用品類(スポーツの用に供される機械器具、用具、服装、靴その他のスポーツ関連用品)、及び、アウトドア用品類(バーベキュー用品、その他の調理器具、テント、寝袋、シェラカップ等)等であり、上衣としては、例えば、Tシャツ、トレーナ、パーカ等である。また、これら商品7としては、特に、デジタルアートや、アニメのキャラクタ等、所定のデザインが施された、資産価値がある商品であることが好ましい。
【0019】
これらの商品7は情報読取部7aを備え、情報読取部7aには、管理装置3から予め指示された商品7毎に個々に異なる管理情報が記録されている。このようにすることで、商品7と管理情報との対応付けが行われる。管理情報は、任意の態様で商品7の情報読取部7aに記録されていればよく、例えば、NFC(Near Field Communication)タグや、印刷された描画コード(例えば、バーコードやQRコード(登録商標))として付されている。情報読取部7aがNFCタグである場合には、NFCリーダで読み取り可能であり、情報読取部7aが描画コードである場合には、カメラ等の撮像部での撮影により読み取り可能である。
【0020】
購入者端末2は、商品7の購入者により操作される情報通信端末であり、例えば、スマートフォンやパーソナルコンピュータ(パソコン)である。購入者端末2は、商品7と対応付けられた管理情報を読み取り可能に構成されている。例えば、購入者端末2は、NFTタグを読み取るNFTリーダや、印刷された描画コードを読み取る撮像部を備える。
【0021】
管理装置3は、パソコンやサーバ等の情報通信機器である。管理装置3は、商品7と対応付けられる管理情報の管理、商品7と対応付けられるNFTのブロックチェーン4での発行、及び、商品7の管理情報とNFTとの対応付け等を行う。商品7の管理情報とNFTとの対応付けが行われることで、NFTを用いて商品7の流通を管理することができる。
【0022】
ブロックチェーン4は、複数の情報通信機器(ノード)により構成されており、暗号技術を用いた複数のノードの分散処理によって、取引情報を記録したブロックが連続してチェーン状に連結されることで、トークンと称される情報単位の所有者の取引履歴を管理することができる。ブロックチェーン4は、スマートコントラクトと称される機能を備え、スマートコントラクトにより任意のプログラム処理をブロックチェーン4で実行可能である。このスマートコントラクトによって、ブロックチェーン4において非代替性トークン(NFT:Non-Fungible Token)に関する機能が実現される。なお、ブロックチェーン4は、分散型管理システムの一例であって、複数の機器により構築される非中央集権的な管理システムに代替され得る。
【0023】
NFTは、例えば、NFTの発行処理を行ったプログラムの所在を示すコントラクトアドレスと、トークン毎に異なるトークンIDを有しており、これらの情報を用いてブロックチェーン4で個々に識別可能となる。また、NFTには、所有者を示す所有者IDが記録されており、取引処理によって所有者IDの変更がブロックチェーン4で記録される。また、一般に、NFTの所有者として記録されることは、NFTの所有と称されている。
【0024】
NFTの所有者IDには、ユーザを識別可能なユーザ識別情報が記録される。ユーザ識別情報は、例えば、取引に用いられる公開鍵やウォレットアドレス等の態様があり得るが、以下では、ウォレットアドレスを用いてブロックチェーン4でユーザが識別されるものとして説明する。
【0025】
ウォレットサーバ5は、予め、購入者による入力や登録等により取得した購入者のウォレットアドレスを記憶している。ウォレットサーバ5は、ブロックチェーン4を参照し、購入者のウォレットアドレスが所有者として記録されたNFTの情報を取得してウォレットに記憶する。そして、購入者端末2は、ウォレットサーバ5にアクセスすることで、購入者が所有するNFTの一覧が参照可能となる。
【0026】
次に、
図2A~2C、
図3を用いて、管理システム10で行われる処理について説明する。なお、
図2A~2Cは、他の実施形態においても実行される処理であり、
図3は、第1実施形態の管理システム10の処理である。
【0027】
図2Aは、ウォレットサーバ5への購入者の事前登録の処理を示すフローチャートである。この処理により、購入者端末2からの要求に応じて、ウォレットサーバ5においてウォレットが開設されるものとする。購入者と対応付けられて開設されたウォレットには、購入者が所有するNFTが記録され、購入者端末2から参照可能となる。
【0028】
ステップS201において、購入者端末2は、購入者からのウォレット開設要求を受け付ける。購入者は、ウォレット開設要求を行う際に、例えば、ウォレットサーバ5にログインするためのユーザIDやパスワードとともに、購入者の住所や氏名等を入力してもよい。購入者端末2は、入力された情報を用いてウォレットサーバ5に購入者のウォレットの開設を要求する。
【0029】
ステップS202において、ウォレットサーバ5は、ステップS201のウォレット開設要求に応じて、購入者のNFTを管理可能なウォレットを開設する。例えば、ウォレットサーバ5は、ウォレット毎にウォレットアドレスを生成する。生成されたウォレットアドレスはブロックチェーン4でのトークンの発行や取引に用いられる。そして、ウォレットサーバ5により作成されたウォレットには、ブロックチェーン4で記録されたNFTのうち、当該ウォレットアドレスを所有者IDとするNFTが記録される。
【0030】
ステップS203において、ウォレットサーバ5は、生成したウォレットアドレスを購入者端末2に通知する。これにより、購入者端末2は、購入者と対応付けられたウォレットアドレスを取得し、ウォレットサーバ5に対して当該ウォレットアドレスを用いてアクセスすることで、購入者が所有するNFTの一覧の参照が可能となる。なお、ウォレットアドレスはブロックチェーン4での処理に利用される公開鍵と一致するまたは対応付けられる場合が多く、購入者は、ウォレットサーバ5を介し、公開鍵と対応する秘密鍵を用いて、自身の所有するNFTの取引を行うこともできる。
【0031】
なお、ウォレットサーバ5への購入者の登録は、
図2Aに示した例に限らずに種々の態様がありえる。例えば、購入者端末2は、ステップS201のウォレット開設要求の際に、予め購入者が取得したウォレットアドレスをウォレットサーバ5に送信し、ウォレットサーバ5は受信したウォレットアドレスを用いてウォレットを作成してもよい。ウォレットサーバ5は種々の態様で実装し得るが、ウォレットサーバ5は、購入者端末2の所有者と、その所有者をブロックチェーン4で識別可能なユーザ識別情報(本実施形態にでは、ウォレットアドレス)とを対応付けて記録しておき、購入者が所有するNFTの一覧をウォレットに記録して、購入者端末2に提供できればよい。
【0032】
図2Bは、購入者端末2が購入者の所有するNFTを参照する処理を示すフローチャートである。購入者端末2は、ウォレットサーバ5を介して購入者の所有するNFTの一覧を取得する。なお、購入者端末2は、ウォレットサーバ5にログインした状態であれば、ウォレットアドレスの入力等をすることなく、ウォレットサーバ5にアクセスできる。
【0033】
ステップS211において、購入者端末2は、ウォレットサーバ5に対して購入者のウォレットに記録されている情報、すなわち、購入者が所有するNFTの一覧の取得を要求する。ウォレットサーバ5の購入者のウォレットには、購入者が所有者として記録されているNFTの一覧が記録されており、このNFTの一覧の参照が、購入者端末2から要求される。
【0034】
ステップS212において、ウォレットサーバ5、購入者のウォレットアドレスを用いて、ブロックチェーン4で記憶されているNFTの中から、購入者が所有者として記録されているNFTを参照する。
【0035】
ステップS213において、ウォレットサーバ5は、ブロックチェーン4を参照することにより得た、購入者が所有者として記録されているNFTの一覧を取得する。
【0036】
ステップS214において、ウォレットサーバ5は、ステップS213において取得した購入者のウォレット情報、すなわち、購入者が所有者として記録されているNFTの一覧を、購入者端末2に通知する。これにより、購入者端末2は、管理者が所有するNFTの情報を取得することができる。
【0037】
図2Cは、管理装置3が工場1に対して商品7の製造を指示する処理のフローチャートである。管理装置3は、
図3の処理の前に
図2Cの処理を行っておくことで、管理情報が記録された情報読取部7aを有する商品7が予め製造され在庫として準備される。
【0038】
ステップS221において、管理装置3は、商品7と対応付ける管理情報を生成する。管理情報には、商品7の種類を示す情報と、固有のID情報(IDentification情報、例えば、シリアルナンバー)が含まれる。1つの管理情報に、商品7の種類とID情報との両者が含まれていてもよいし、商品7の種類と固有のIDとがそれぞれ別の情報として記録されて、一体的に管理されてもよい。
【0039】
1つの管理情報に商品7の種類とID情報が含まれ、管理装置3が、工場1に対して、ある種類(例えば、「H1K」)の商品7を複数(例えば、100枚)製造するように指示する場合には、管理装置3は、商品7の製造数に応じて、個々に異なる管理情報(例えば、H1K001~H1K100)を生成する。
【0040】
ステップS222において、管理装置3は、商品7の製造に必要なデータ(例えば、デザインのデータ)と、商品7の製造数と、ステップS221において生成された複数の管理情報とを工場1に送信することで、工場1に商品7の製造を指示する。
【0041】
ステップS223において、工場1は、ステップS222において受領した製造に必要なデータを用いて、商品7を指示された数だけ製造する。また、製造される商品7には、ステップS222の製造指示に含まれる管理情報が記録された情報読取部7aが個々に付される。管理情報は、任意の態様で情報読取部7aに記録されており、情報読取部7aは、例えば、NFCタグや印刷された描画コードである。
【0042】
図3は、第1実施形態における商品7とNFTとの対応付けの処理を示すフローチャートである。なお、この処理の前に、予め、
図2A~
図2Cの処理が行われており、購入者端末2は購入者のウォレットアドレスを取得しており、当該ウォレットアドレスを用いてウォレットサーバ5から購入者の所有するNFTの一覧を取得可能な状態であり、さらに、工場1において管理情報が記録された情報読取部7aを備える商品7が製造されているものとする。
【0043】
ステップS301において、工場1は、例えば、管理装置3からの特定の商品7の発送指示を受け付け、この発送指示に応じて、指示された特定の種類の商品7の1つを購入者に発送する。なお、発送指示は管理装置3以外から行われてもよい。また、発送指示には、商品7の種類が含まれるが、管理情報は含まれない。なお、発送指示に含まれる商品7の種類は、管理情報に含まれる種類を示す情報(例えば、H1K)であってもよい。工場1は、発送指示に含まれる種類の商品7について、在庫の中から1つの商品7を購入者に発送する。商品7が購入者に発送された後に、購入者は、購入者端末2を用いて商品7の管理情報を読み取り可能となる。
【0044】
ステップS302において、購入者端末2は、購入者の操作に応じて、ステップS301において発送された商品7の情報読取部7aから管理情報を読み取ると、読み取った管理情報を管理装置3に送信する。例えば、情報読取部7aがNFTタグである場合には、購入者端末2はNFCリーダを備えており、NFCリーダを用いて商品7の情報読取部7aのNFCタグを読み取り、管理情報を取得する。他の例としては、管理情報が印刷された描画コードとして商品7に付されている場合には、購入者端末2はカメラ等の撮像部を用いて商品7の情報読取部7aを読み取り、管理情報を取得する。購入者端末2は、管理情報を取得すると、インターネット6を介して管理装置3にアクセスし、取得した管理情報を管理装置3に送信する。また、購入者端末2から送信される管理情報は、改ざんを防ぐために、購入者端末2により署名されていてもよい。
【0045】
ステップS303において、購入者端末2は、購入者からのユーザ情報の入力を受け付けると、受け付けたユーザ情報を管理装置3に送信する。入力されるユーザ情報には、購入者の氏名や住所等の個人の特定情報に加えて、購入者のウォレットアドレスも含まれる。なお、購入者端末2は、予めユーザ情報を入力した状態で管理装置3にログインした状態である場合には、ユーザ情報の入力は省略され得る。
【0046】
ステップS304において、管理装置3は、ステップS302において受信した管理情報を検証する。管理装置3は、
図2CのステップS221において生成した複数の管理情報を一覧として記録している。そこで、管理装置3は、ステップS221で生成した管理情報の一覧にステップS302で受信した管理情報が含まれるか否かを判断する。生成した管理情報の一覧に受信した管理情報が含まれる場合には、受信した管理情報が正しく、購入者端末2の操作者が正規の所有者であると判断し、後続の処理を行う。生成した管理情報の一覧に受信した管理情報が含まれない場合には、受信した管理情報が正しくなく、購入者端末2の操作者が正規の所有者でないと判断し、
図3の対応付けの処理を終了する。
【0047】
ステップS305において、管理装置3は、ブロックチェーン4においてNFTの発行を指示する。ブロックチェーン4には、管理装置3により生成されたスマートコントラクトが記録されており、管理装置3はスマートコントラクトを動作させることで所定の処理が可能となる。そのため、管理装置3は、ブロックチェーン4に記録されたスマートコントラクトに対して、発行するNFTのトークンIDを指定しながら、購入者のコントラクトアドレスが所有者IDとなるようなNFTの発行指示を行う。
【0048】
ステップS306において、ブロックチェーン4は、ステップS305における管理装置3からの発行指示に応じて、トークンIDが指定された値であり、かつ、購入者のコントラクトアドレスを所有者IDとするようなNFTを発行する。なお、購入者が所有者となるようなNFTの発行に替えて、管理装置3の運営主体等の予め定めた者が所有者となるようなNFTを発行した後に、当該NFTの所有者を購入者に変更するように指示してもよい。このような処理を行っても、購入者が所有者となるようなNFTがブロックチェーン4に記録されることになる。
【0049】
このような処理により、記録されたNFTは、ウォレットサーバ5を介して購入者端末2から参照可能となる。なお、このように購入者が所有者となるようなNFTがブロックチェーン4に記録されることは、ウォレットサーバ5内の購入者のウォレットに対して当該NFTを送付すると称されることもある。
【0050】
また、ブロックチェーン4で記録されるNFTには、商品7の種類を示す情報が含まれていてもよい。NFTに含まれる商品7の種類を示す情報は、管理情報に含まれる文字列(例えば、H1K)に替えて、特定の商品名(例えば、「AAAモデル Tシャツ」)であってもよい。NFTに商品7の種類を示す情報を含める場合には、ステップS305において、管理装置3は、商品7の商品名を示す情報が含まれるようにNFTの発行を指示する。
【0051】
ステップS307において、管理装置3は、ステップS302で受信した商品7の管理情報と、ステップS305のNFT発行指示に含まれるNFTのトークンIDとの対応付けを行う。管理装置3は、このような対応付けを、管理装置3が物理的に備える、物理的に接続された、または、インターネット6等を介して論理的にアクセス可能な記録部に記録する。記録部は、管理装置3の内部や外付けのストレージや、管理装置3とインターネット6を介して接続されるクラウド上に設けられた記憶装置である。
【0052】
ステップS308において、さらに、管理装置3は、ステップS307において記録された対応付けを、ブロックチェーン4において記録するように指示する。
【0053】
ステップS309において、ブロックチェーン4は、ステップS308における記録指示に応じて、ステップS307で行われたNFTのトークンIDと商品7の管理情報との対応付けを記録する。このようにして、商品7に対応付けられた管理情報と発行されたNFTとの対応付けは、ブロックチェーン4に記録されて公開される。
【0054】
その結果、ステップS309にて記録された対応付けを参照することで、あるNFTの所有者を、当該NFTと対応する管理情報が付された商品7の所有者として認識可能となる。また、購入者が購入した商品7を第三者に譲渡する際には、譲渡した商品7と対応付けられたNFTについて、その所有者を譲渡先の第三者に変更するように、ブロックチェーン4に記録する。その結果、商品7と対応付けられた管理情報と対応付けて記録されたNFTは、譲渡先により所有されることになるので、商品7の流通をブロックチェーン4で管理することが可能となる。
【0055】
なお、ステップS308、S309の管理情報とNFTとの対応付けのブロックチェーン4での記録の処理が省略され、ステップS307でクラウド上等の記録部に記録された対応付けが、一般に公開されていてもよい。このようにすることで、対応付けのブロックチェーン4での記録に要するコストを削減することが可能となる。また、管理情報とNFTとの対応付けの記録をブロックチェーン4のみで行い、ステップS307における管理装置3の記録部への対応付けの記録を省略してもよく、このような省略により管理装置3の構成の簡略化を図ることができる。
【0056】
また、上述のように、ステップS305の管理装置3からのNFTの発行指示に商品7の管理情報が含まれてもよい。NFTの発行指示に管理情報が含まれる場合には、NFTに、そのNFTと対応付けられる商品7の管理情報が記録される。そのため、NFTの所有者を、NFTに記録された管理情報が付された商品7の所有者として認識可能となる。その結果、ステップS307~S309における商品7の管理情報とNFTのトークンIDとの対応付けに関する処理を省略することが可能となる。
【0057】
なお、管理装置3は、所定のプログラムやデータを記憶する記憶部を備え、記憶部に記憶されたプログラムを動作させることで所定の処理が実行可能となる。そのため、管理装置3内には、論理的に複数の機能ブロックが設けられると理解でき、例えば、購入者端末2からのデータを受信する受信部、購入者端末2から受信した管理情報が予め記憶した複数の管理情報の1つであるか否かを判定する判定部、購入者端末2から受信した管理情報に基づいて、ブロックチェーン4に購入者が所有者となるNFTの記録を指示する記録指示部、管理情報とNFTとの対応付けを記録する記録処理部等が論理的に設けられる。また、記憶部に記憶されたプログラムが動作することで実行されるこれら所定の処理は、管理装置3の制御方法にて実行される各処理に相当し得る。
【0058】
このように、第1実施形態によれば、管理装置3は、ステップS302において、商品7を購入した購入者端末2から、購入者端末2により読み取られ、商品7が備える情報読取部7aに記録された管理情報を受信する。その後、ステップS304において、管理装置3は、ステップS221で生成し、予め記憶した管理情報の一覧にステップS302で受信した管理情報が含まれるか否かを判定する。そして、予め記憶した管理情報の一覧にステップS302で受信した管理情報が含まれる場合には、ステップS305において、管理装置3は、ブロックチェーン4に購入者が所有者となるNFTを記録する。具体的には、管理装置3は、ブロックチェーン4において、購入者が所有者となるNFTの発行、または、すでに発行済のNFTの所有者を購入者に変更する。その後、管理装置3は、商品7の管理情報とNFTのトークンIDとの対応付けを記録する。
【0059】
ここで、商品7の製造時に、個々の商品7が備える情報読取部7aに記録される管理情報と対応付くNFTを予め複数発行しておく方法が考えられる。この方法では、商品7の販売時に、管理装置3は、工場1に対して所定の管理情報が付された商品7の購入者への発送を指示するとともに、ブロックチェーン4に対して発送を指示した管理情報と対応付けられたNFTの所有者を購入者に変更を指示する。しかしながら、この方法では、商品7が販売されずに売れ残った場合には、売れ残った商品7と対応付けられたNFTがすでに発行されているため、不要なNFTの発行コストが発生してしまう。また、商品7の発送時において、工場1は、所定の管理情報が記録された情報読取部7aを備える商品7を購入者に発送する必要があるため、工場1の配送手順が複雑になる。
【0060】
これに対して、本実施形態の管理装置3は、予め記憶した管理情報を一覧に受信した管理情報が含まれる場合には、購入者端末2の操作者が商品7の正規の所有者であることが判定できる(ステップS304)。そして、管理装置3は、ブロックチェーン4で商品7の購入者が所有者となるNFTを記録し(ステップS306)、その後、購入者が所有するNFTのトークンIDと商品7の管理情報とを対応付けを行う(ステップS307~S309)ため、販売されなかった商品7のNFTの発行が不要になり、管理装置3の運用コストの低減を図ることができる。さらに、工場1は、購入された商品7について、在庫の1つを購入者に発送すればよく、特定の管理情報と対応付けられた商品7を購入者に発送する必要がないため、工場1における商品7の発送時の管理情報の取り扱いが不要になり、工場1の運用コストの低減を図ることができる。
【0061】
(第2実施形態)
第1実施形態では、管理装置3は、購入者端末2からの管理情報の受信(ステップS302)の後に、NFTの発行指示(ステップS305)を行った。第2実施形態においては、管理装置3は、NFTの発行指示を行い、その後、購入者端末2から管理情報を受信する例について説明する。
【0062】
図4は、第2実施形態における商品7と発行するNFTとの対応付けを行う処理を示すフローチャートである。
図4のフローチャートは、
図3に示した第1実施形態のフローチャートと比較すると、ステップS301の処理の前にステップS401、S402の処理が行われるとともに、ステップS305、S306に代えて、ステップS403、S404の処理が行われる点が異なる。
【0063】
ステップS401において、管理装置3は、発行するNFTのトークンIDを指定しながら、管理装置3の運営主体が所有者IDとなるようなNFTの発行指示をブロックチェーン4に送信する。
【0064】
ステップS402において、ブロックチェーン4は、ステップS401における管理装置3からの発行指示に応じて、トークンIDが指定された値であり、かつ、管理装置3の運営主体が所有者となるようなNFTを発行する。なお、第1実施形態においては、発行されるNFTに商品7の管理情報が含まれる場合もあるが、本実施形態においては、発行されるNFTには商品7の管理情報は含まれない。
【0065】
その後、工場1からの商品7の発送(ステップS301)、管理情報の読み取り(ステップS302)、ユーザ情報の入力(ステップS304)、及び、管理情報の検証(ステップS304)が行われる。なお、予め購入者端末2が管理装置3にログインしている場合には、ユーザ情報の入力(ステップS303)は省略される。
【0066】
そして、ステップS403においては、管理装置3は、ステップS402において発行された指定された値のトークンIDを有するNFTに対して、所有者IDが購入者のウォレットアドレスになるような変更の記録をブロックチェーン4に指示する。なお、管理装置3は、購入者端末2の事前のログインや、ステップS303におけるユーザ情報の入力において、購入者のウォレットアドレスを取得している。
【0067】
ステップS404において、ブロックチェーン4は、ステップS403における管理装置3からの変更指示に応じて、ステップS402において発行されたNFTに対して購入者のウォレットアドレスが所有者IDとなるような取引の記録を行う。これにより、ステップS402において発行されたNFTの所有者は、購入者となる。
【0068】
以降、ステップS403において購入者が所有するように変更されたNFTのトークンIDと、商品7の管理情報との対応付けが管理装置3の記録部に記録され(ステップS307)、管理装置3はその対応付けのブロックチェーン4での記録を指示し(ステップS308)、その対応付けがブロックチェーン4で記録される(ステップS309)。その結果、ブロックチェーン4において、NFTの所有者、及び、NFTと商品7の管理情報との対応付けが参照可能になるので、NFTの所有者を、そのNFTと対応する管理情報が付された商品7の所有者として認識可能となる。
【0069】
なお、ステップS401のNFTの発行指示、及び、ステップS402のNFTの発行処理は、ステップS403のNFTの所有者の変更指示の前であれば、任意のタイミングで行うことができる。NFTの発行に要するコストは変動するが、工場1から発送された商品7の購入者への到着までには時間を要するため、発行コストが比較的低い期間においてNFTの発行が可能となるので、管理装置3の運営コストの低減を図ることができる。
【0070】
このように、第2実施形態によれば、管理装置3は、商品7が発送された後に、商品7と対応付けられた管理情報を受信し、予め記憶した管理情報を一覧に受信した管理情報が含まれる場合には、購入者端末2の操作者が商品7の正規の所有者であることが判定できる。そして、管理装置3は、予め発行しておいたNFTの所有者を商品7の購入者に変更し、そのNFTと商品7の管理情報とを対応付けを行う。このようにしても、予め発行したNFTについては、商品7の購入者からの商品7と対応付けられた管理情報の管理装置3への送信後に、予め発行したNFTと購入された商品7の管理情報とが対応付けられるため、販売されなかった商品7のNFTの発行コストを低減できる。さらに、工場1は、所望の種類の商品7を購入者に発送すればよく、特定の管理情報と対応付けられた商品7を購入者に発送する必要がないため、工場1の運用コストの低減を図ることもできる。
【0071】
また、NFTの発行コストは変動することが知られており、例えば、第1実施形態のように、商品7の購入者からの管理情報の送信後にNFTを発行する場合には、NFTの発行コストが比較的高い場合がある。しかしながら、本実施形態においては、予めNFTを発行しておくため、発行コストの低い期間にNFTを発行することで、管理装置3の運営コストの低減を図ることができる。
【0072】
(第3実施形態)
第1及び第2実施形態では、商品7の購入者による購入処理の詳細について言及せずに説明した。第3実施形態では、商品7の購入処理が管理装置3を介して行われる例について説明する。
【0073】
図5は、第3実施形態における商品7と発行するNFTとの対応付けを行う処理を示すフローチャートである。
図5のフローチャートは、
図3に示した第1実施形態のフローチャートと比較すると、ステップS301の処理の前にステップS501~S505の処理が行われるとともに、ステップS305、S306に代えて、ステップS506、S507の処理が行われる点が異なる。
【0074】
ステップS501において、購入者端末2は、購入者の操作に応じて、所定の商品7の購入処理を行う。一例として、管理装置3は、商品7を販売するECサイトを運営しており、購入者端末2が当該ECサイトにアクセスして、購入者の操作に応じて商品7の購入処理が行われる。購入処理により、管理装置3には、商品7の種類と、商品7の購入者を特定する情報が送信される。なお、予め購入者がユーザ情報を管理装置3に登録しており、購入者端末2が管理装置3にログインした状態である場合には、商品購入要求において購入者の情報は省略され得る。
【0075】
次に、ステップS502、S503においては、
図3に示した第1実施形態のステップS305、S306と同等の処理が行われる。
【0076】
すなわち、ステップS502において、管理装置3は、発行するNFTのトークンIDを所定値に指定しながら、購入者が所有者となるようなNFTの発行指示を行う。そして、ステップS503において、ブロックチェーン4は、ステップS502における管理装置3からの発行指示に応じて、トークンIDが指定された値であり、かつ、購入者が所有者となるようなNFTを発行する。なお、当該NFTには、購入された商品7の種類を示す情報(管理情報の一部の文字列や、商品名等)が含まれていてもよい。
【0077】
代替的に、ステップS502において、管理装置3は、発行するNFTのトークンIDを所定値に指定しながら、管理装置3の運営主体が所有者となるようなNFTを発行した後に、当該NFTの所有者を購入者に変更するように指示してもよい。このような処理でも、ステップS503において、トークンIDが指定された値であり、かつ、購入者が所有者となるようなNFTがブロックチェーン4に登録される。
【0078】
ステップS504において、購入者端末2は、管理装置3に対して、購入者に指定された発送場所に、購入された種類の商品7の発送を指示する。購入者により指定された発送場所は、ステップS501の商品購入要求に含まれていてもよいし、ステップS504において新たに入力されてもよい。
【0079】
ステップS505において、管理装置3は、ステップS504において受信した発送指示に応じて、購入された商品7の種類と、購入者により指定された発送場所を含む発送指示を工場1に送信する。
【0080】
以降、
図3のステップS301~S304と同じ処理、すなわち、工場1からの商品7の発送(ステップS301)、管理情報の読み取り(ステップS302)、ユーザ情報の入力(ステップS303)、及び、管理情報の検証(ステップS304)が行われる。なお、予め購入者端末2が管理装置3にログインしている場合には、ユーザ情報の入力(ステップS303)は省略される。
【0081】
そして、ステップS506~S508では、管理装置3は、ブロックチェーン4を参照し、ステップS501の購入処理を行った購入者が、ステップS503において発行されたNFTを所有しているか否かを判定する。
【0082】
詳細には、ステップS506において、管理装置3は、ステップS303で入力されたユーザ情報に含まれる購入者のウォレットアドレスを用いて、ブロックチェーン4において購入者が所有者となるNFTの一覧を参照する。
【0083】
ステップS507において、管理装置3は、ブロックチェーン4から購入者が所有者となるNFTの一覧を取得する。
【0084】
ステップS508において、管理装置3は、予め
図2CのステップS221で生成された複数の管理情報の一覧を参照して、ステップS302で受信した管理情報に示される商品7の種類(例えば、管理情報の上位桁が「H1K」であるもの)を特定する。そして、管理装置3は、ステップS507で取得した購入者が所有するNFTの一覧の中に、特定した種類の商品7の購入要求に応じてステップS503で発行されたNFT(例えば、管理情報の上位桁が「H1K」であるもの)が存在するか否かを判定する。
【0085】
購入者が所有するNFTの一覧の中に、特定した種類の商品7の購入要求に応じてステップS503で発行されたNFTが存在する場合には、管理装置3は、購入者端末2の操作者が商品7の所有者であると判断して後続の処理を継続する。NFTの一覧の中にステップS503で発行されたNFTが存在しない場合には、管理装置3は、購入者端末2の操作者が商品7の所有者ではないと判断して対応付けの処理を終了する。
【0086】
ステップS503において購入者が所有者となるように発行されたNFTのトークンIDと、商品7の管理情報との対応付けが管理装置3の記録部に記録され(ステップS307)、管理装置3はその対応付けのブロックチェーン4での記録を指示し(ステップS308)、その対応付けがブロックチェーン4で記録される(ステップS309)。その結果、NFTの所有者、及び、NFTと商品7の管理情報との対応付けが参照可能になるので、NFTの所有者を、そのNFTと対応する管理情報が情報読取部7aに記録された商品7の所有者として認識可能となる。
【0087】
このように、第3実施形態によれば、管理装置3は、商品7が発送された後に、商品7に付された管理情報を受信し、予め記憶した管理情報を一覧に受信した管理情報が含まれる場合には、購入者端末2の操作者が商品7の正規の所有者であることが判定できる。そして、管理装置3は、予め発行しておいたNFTの所有者を商品7の購入者に変更し、そのNFTと商品7の管理情報とを対応付けを行う。このようにしても、予め発行したNFTについては、商品7の購入者により操作される購入者端末2により読み取られた、商品7が備える情報読取部7aに記録された管理情報の管理装置3への送信後に、そのNFTと購入された商品7の管理情報とが対応付けられるため、販売されなかった商品7のNFTの発行コストを低減できる。さらに、工場1は、所望の種類の商品7を購入者に発送すればよく、特定の管理情報と対応付けた商品7を購入者に発送する必要がないため、工場1の運用コストの低減を図ることもできる。
【0088】
また、NFTの発行(ステップS503)は、購入者の所有するNFTの検証が行われる(ステップS508)までに行われればよい。通常、商品7が工場1から購入者に発送されるまでに時間を要するため、NFTの発行指示(ステップS502)を、NFTの発行コストが低い期間に行うことが可能となり、管理装置3の運営コストの低減を図ることができる。
【0089】
本発明は、本発明の広義の精神と範囲を逸脱することなく、様々な実施の形態及び変形が可能とされるものである。また、上述した実施の形態は、本発明を説明するためのものであり、本発明の範囲を限定するものではない。すなわち、本発明の範囲は、実施の形態ではなく、特許請求の範囲によって示される。そして、特許請求の範囲内及びそれと同等の発明の意義の範囲内で施される様々な変形が、本発明の範囲内とみなされる。
【符号の説明】
【0090】
1 工場
2 購入者端末
3 管理装置
4 ブロックチェーン(分散型管理システム)
5 ウォレットサーバ
6 インターネット
7 商品
7a 情報読取部
10 管理システム