(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024114698
(43)【公開日】2024-08-23
(54)【発明の名称】バルブブリッジの制御されていない動きに抵抗するためのバルブブリッジシステム
(51)【国際特許分類】
F01L 13/00 20060101AFI20240816BHJP
F01L 1/26 20060101ALI20240816BHJP
【FI】
F01L13/00 301V
F01L1/26 B
【審査請求】有
【請求項の数】2
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024085271
(22)【出願日】2024-05-27
(62)【分割の表示】P 2022565854の分割
【原出願日】2021-05-06
(31)【優先権主張番号】15/929,504
(32)【優先日】2020-05-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】505413266
【氏名又は名称】ジェイコブス ビークル システムズ、インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】弁理士法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ベン、スティーブン
(72)【発明者】
【氏名】ヤン、ドン
(72)【発明者】
【氏名】ロバーツ、ガブリエル エス.
(72)【発明者】
【氏名】スワンボン、ブルース
(72)【発明者】
【氏名】バルトラッキ、ジャスティン ディー.
(72)【発明者】
【氏名】マンデル、ジョン
(57)【要約】
【課題】バルブブリッジの制御されていない状態を防止、最小化、又は適応するバルブブリッジシステムを提供すること。
【解決手段】本発明によれば、バルブブリッジシステムは、内燃エンジンの少なくとも2つのエンジンバルブの間に延在するように構成されたバルブブリッジ本体を備える。バルブブリッジ本体は、第1のエンジンバルブと整列するように、かつブリッジピンを受容するように構成された貫通ボアを備える。ブリッジピンボスは、内部に形成された貫通ボアを有し、長手方向の長さを有し、上面で終端する。長手方向の長さは、バルブブリッジが少なくとも2つのエンジンバルブに対して制御されていない状態にあるときに、ブリッジピンボスの上面が補助ロッカーアームの表面に接触して、バルブブリッジの制御されていない動きに抵抗するように構成されている。
【選択図】
図24
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内燃エンジン内の少なくとも2つのエンジンバルブを作動させる際に使用するためのバルブ作動アセンブリであって、
前記少なくとも2つのエンジンバルブに動作可能に接続されたロッカーアームであって、上向き対向面又は後部対向面又はそれらの両方を備える、ロッカーアームと、
前記ロッカーアームに対して固定されたブロックを備えるストップであって、前記ブロックが、水平面又は垂直面又は両方を備え、前記ブロックは、前記水平面又は前記垂直面又は両方が、前記ロッカーアームの制御された状態中に前記ロッカーアームとの干渉を回避するように、しかし、前記ロッカーアームが前記少なくとも2つのエンジンバルブに対して制御されていない状態にあるときは、前記上方対向面と前記水平面との間の接触又は前記後部対向面と前記垂直面との間の接触又は両方を可能にして、前記ロッカーアームの過剰回転に抵抗するように構成されているように更に構成されている、ストップと、を備える、バルブ作動アセンブリ。
【請求項2】
ロッカーアームシャフトを更に備え、前記ロッカーアームが、往復運動のために前記ロッカーアームシャフトに装着され、前記ブロックが、前記ロッカーアームシャフトに固定されている、請求項1に記載のバルブ作動アセンブリ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、概して、内燃エンジンのバルブ作動システム、特に、そのようなバルブ作動システムと併せて使用されるバルブブリッジガイドを備えたバルブブリッジシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
内燃エンジンで使用するためのバルブ作動システムは、当技術分野でよく知られている。そのようなバルブ作動システムは、典型的には、バルブ作動運動源(例えば、1つ以上のカム)からエンジンバルブにバルブ作動運動を伝達する1つ以上の構成要素を備えたバルブトレインを含む。バルブトレインによく見られる構成要素は、所与のシリンダに関連付けられた2つ以上のエンジンバルブにまたがるデバイスを備える、いわゆるバルブブリッジである。多くの場合、このようなバルブブリッジは、バルブトレインの別の構成要素(例えば、ロッカーアーム)が、バルブブリッジと係合する更に2つのエンジンバルブを同時に作動させることを可能にする。理想的には、動作中、運動伝達構成要素(ロッカーアームなど)及びエンジンバルブスプリングによって加えられる力の相反は、運動伝達構成要素及びエンジンバルブと同時に、バルブブリッジが(通常のラッシュ設定を許容して)接触したままであることを確実にする。このようにして、バルブブリッジは、エンジンバルブと整列した状態を一貫して維持し、バルブ作動運動をエンジンバルブに伝達するように位置付けられる。本明細書で使用される場合、バルブブリッジのこの状態は、エンジンバルブに対するバルブブリッジの「制御された状態」と称される。
【0003】
いくつかのバルブ作動システムは、いわゆる補助バルブ作動運動、すなわち、燃料の燃焼を通じて正の動力生成モードでエンジンを動作させるために使用されるバルブ作動運動以外の、又はそれに加えて、バルブ作動運動を提供するように構成される。そのようなバルブ作動システムでは、バルブブリッジは、バルブ作動運動がバルブブリッジを介してエンジンバルブに伝送されることを可能にするデバイス又はロスト運動アセンブリを含むように、又はそのような運動がバルブブリッジを介してエンジンバルブに伝送されない場合に選択的に「失われる」ように構成され得る。
図1は、米国特許出願公開第2012/0024260号に説明されているそのようなシステムを例解しており、その教示は、この参照により本明細書に組み込まれる。この場合、バルブブリッジ710は、ロック機構の形態でロスト運動アセンブリを備える。例解される実施形態では、ロック機構は、外側プランジャ720の開口に押し通されてバルブブリッジの本体に形成された凹部770と係合し得るボール740を備える。この状態では、ボール740は、内側プランジャ760の外径のために凹部770から係合解除することが防止され、それにより、外側プランジャ720をバルブブリッジ710に対して固定された関係にロックする。その結果、ロッカーアーム200/400によって外側プランジャ720に加えられたいかなるバルブ作動運動も、バルブブリッジ710及びエンジンバルブ810/910、820/920に伝達される。しかしながら、内側プランジャ760に形成された凹部がボール740と整列するとき、ボールは、バルブブリッジ710の凹部770から係合解除することができ、それによって、外側プランジャ720のロックを解除し、バルブブリッジ710に対して往復運動することを可能にする。この状態では、外側プランジャ720に加えられたいかなるバルブ作動運動も、外側プランジャをバルブブリッジ710内で動かし、エンジンバルブに伝達されない。別のバルブブリッジベースのロック/ロック解除システムは、米国特許出願公開第2014/0326212号に開示されており、その教示は、この参照により本明細書に組み込まれる。
【0004】
しかしながら、
図1に例解されるタイプのシステムでは、ロック機構の部分的な係合の可能性が存在する。この場合、バルブ作動運動が最初にエンジンバルブに加えられ、それによってエンジンバルブがバルブシートから持ち上げられることが可能となる。しかしながら、ロック機構の部分的な係合により、バルブ作動システムにおける負荷又は振動の増加により、ロック機構は、部分的にロックされた状態からロック解除された状態に迅速に切り替わる。これが起こると、エンジンバルブを開くためのバルブ作動運動によって提供される力が突然取り除かれ、バルブスプリングのかなりの力の下で、エンジンバルブが拘束されずに閉じた位置に急速に加速することが可能となる。エンジンバルブが完全に閉じた位置に達すると(すなわち、シリンダヘッドに形成されたバルブシートに対して停止すると)、バルブブリッジに加えられた勢いにより、バルブブリッジは、ロッカーアーム又は他の何らかの物体に当たるまで、概してエンジンバルブから離れる方向に制御されていない軌道を進み続けることができる。実際、バルブブリッジがエンジンバルブのいずれかの先端から外れることは可能であり、その結果、バルブブリッジがエンジンバルブから脱落し、それによりエンジン損傷を引き起こすことになる。このタイプの動きは、バルブブリッジの「制御されていない動き」と称され、本明細書で使用されるときに、バルブブリッジのこの状態は、エンジンバルブに対するバルブブリッジの「制御されていない状態」と称される。内燃エンジンの過速度動作の結果として、バルブブリッジの制御されていない状態が発生することも知られている。
【0005】
この誤動作の可能性を考えると、(原因に関係なく)バルブブリッジの制御されていない状態を防止、最小化、又は適応するソリューションは、当技術分野への歓迎すべき追加を意味する。
【発明の概要】
【0006】
本開示は、先行技術のバルブブリッジシステムに関する上記の問題を克服するバルブブリッジシステムを説明する。第1の主要な実施形態では、バルブブリッジシステムは、内燃エンジンの少なくとも2つのエンジンバルブの間に延在するように構成されたバルブブリッジを備える。バルブブリッジガイドは、バルブブリッジに動作可能に接続され、バルブブリッジ又はエンジンバルブアセンブリ(少なくとも2つのエンジンバルブ、少なくとも2つのエンジンバルブに対応する少なくとも2つのバルブスプリング、及び少なくとも2つのエンジンバルブに対応する少なくとも2つのスプリングリテーナを備える)のうちの少なくとも1つに選択的に接触するためのバルブブリッジ制御面を備える。この実施形態では、バルブブリッジガイドは、成形可能なポリマーから出ていてもよい。バルブブリッジ制御面は、バルブブリッジが少なくとも2つのエンジンバルブに対して制御された状態にあるときにバルブブリッジ又はエンジンバルブアセンブリとの接触を回避するように構成され、更に、バルブブリッジが少なくとも2つのエンジンバルブに対して制御されていない状態にあるときにバルブブリッジ又はエンジンバルブアセンブリに接触してバルブブリッジの制御されていない動きに抵抗するように構成される。一実施形態では、バルブブリッジガイドは、少なくとも2つのバルブスプリングの間に延在するように構成され、バルブブリッジ制御面は、少なくとも2つのバルブスプリング若しくは少なくとも2つのスプリングリテーナによって画定される少なくとも1つの凸面又はバルブブリッジの一部によって画定される凸面に対応する少なくとも1つの凹面である。より具体的には、少なくとも1つの凹面の各々は、両縁と交差する線が、少なくとも2つのバルブスプリング又は少なくとも2つのスプリングリテーナのうちの対応するものの外径に対して割線を形成するように、両縁によって画成され得る。
【0007】
バルブブリッジガイド及びバルブブリッジは、一体構造を形成し得、又はバルブブリッジガイドは、バルブブリッジに動作可能に接続された1つ以上の別個の構成要素を備え得る。一実施形態では、バルブブリッジガイドは、バルブブリッジの対向する両側と係合するように構成された2つのガイド部材を備え、2つのガイド部材を一緒に動作可能に結合するための少なくとも1つのファスナを更に備え得る。バルブブリッジガイドは、バルブブリッジの少なくとも一部を受容するための開口を備え得、更に、少なくとも2つの突出部材を備え得、少なくとも2つの突出部材の各々は、バルブブリッジガイドからバルブブリッジに向かって突出し、少なくとも2つのエンジンバルブに面するバルブブリッジの少なくとも下面を越えて延在している。更に、少なくとも2つの突出部材は、バルブブリッジ制御面を画定し得る。代替的に、少なくとも2つの突出部材の各々は、バルブブリッジの対応する表面と係合するための取り付け面を備え得る。
【0008】
第2の主要な実施形態では、バルブブリッジシステムは、内燃エンジンの少なくとも2つのエンジンバルブの間に延在するように構成されたバルブブリッジを備え得、バルブブリッジは、少なくとも2つのエンジンバルブに面する下面と、下面の反対側の上面と、を備える。この主要な実施形態のシステムは、バルブブリッジに対して第1の固定位置に維持された第1の部材を有するバルブブリッジガイドを更に備え、第1の部材は、少なくとも2つのエンジンバルブが閉じた状態にあるときに、バルブブリッジの上面に面し、かつバルブブリッジの上面から所定の距離にある第1の表面を備える。所定の距離は、上側ブリッジ本体が少なくとも2つのエンジンバルブに対して制御された状態にあるときに、第1の表面とバルブブリッジの上面との間の接触を防止し、バルブブリッジが少なくとも2つのエンジンバルブに対して制御されていない状態にあるときに、第1の表面とバルブブリッジの上面との間の接触を可能にしてバルブブリッジの制御されていない動きに抵抗するように構成される。バルブブリッジが、少なくとも2つのエンジンバルブのうちの1つのエンジンバルブ先端を受容するためのレセプタクルを備える場合、所定の距離は、レセプタクルの深さよりも短くてもよい。
【0009】
第1の部材の第1の固定位置は、少なくとも2つのエンジンバルブのうちの第1のエンジンバルブと整列し得、第1のエンジンバルブは、内燃エンジンのロッカーシャフトから最も遠い。バルブブリッジシステムは、バルブブリッジに対して第2の固定位置に維持された第2の部材を更に備え得、第2の部材は、バルブブリッジの上面に面し、かつバルブブリッジの上面から所定の距離にある第2の表面を備える。この場合、第2の部材の第2の固定位置は、少なくとも2つのエンジンバルブのうちの第2のエンジンバルブと整列しており、第2のエンジンバルブは、内燃エンジンのロッカーシャフトに最も近い。第1の部材は、内燃エンジンのシリンダヘッドに取り付けられるように構成され得、一方、第2の部材は、内燃エンジンのロッカーシャフトペデスタルと一体構造を形成し得る。
【0010】
この第2の主要な実施形態の更なる代替では、バルブブリッジガイドは、バルブブリッジの一端に、かつ少なくとも2つのエンジンバルブのうちのエンジンバルブと整列して配設されたブリッジピンを更に備え得る。代替的に、この実施形態におけるバルブブリッジガイドの第1の部材は、シリンダヘッドに取り付けられるように構成されて少なくとも2つのエンジンバルブの間及びバルブブリッジの上面上を延在するアーチを備え得、アーチは、更にバルブトレイン構成要素に接触するバルブブリッジの一部と整列する、内部に形成された開口を備える。
【図面の簡単な説明】
【0011】
本開示に説明される特徴は、添付の特許請求の範囲に詳細に記載されている。これらの特徴及び付随する利点は、添付の図面と併せて以下の詳細な説明を考慮することから明らかになるであろう。ここで、単なる例として、同様の参照番号が同様の要素を表す添付の図面を参照して、1つ以上の実施形態を説明する。
【
図1】先行技術によるロック機構を有するバルブブリッジを含むバルブ作動システムの断面例解図である。
【
図2】本開示によるバルブブリッジ及びバルブブリッジガイドを備えるバルブ作動システムの第1の主要な実施形態のそれぞれ上面等角断面図及び底面等角断面図である。
【
図3】本開示によるバルブブリッジ及びバルブブリッジガイドを備えるバルブ作動システムの第1の主要な実施形態のそれぞれ上面等角断面図及び底面等角断面図である。
【
図4】第1の主要な実施形態によるバルブスプリングとバルブブリッジガイドの表面との関係を例解する概略図である。
【
図5】第1の主要な実施形態の第1の変形例によるバルブブリッジ及びバルブブリッジガイドのそれぞれ等角図及び(断面線VI-VIに沿った)断面図である。
【
図6】第1の主要な実施形態の第1の変形例によるバルブブリッジ及びバルブブリッジガイドのそれぞれ等角図及び(断面線VI-VIに沿った)断面図である。
【
図7】第1の主要な実施形態の第2の変形例によるバルブブリッジ及びバルブブリッジガイドのそれぞれ等角図及び(断面線VIII-VIIIに沿った)断面図である。
【
図8】第1の主要な実施形態の第2の変形例によるバルブブリッジ及びバルブブリッジガイドのそれぞれ等角図及び(断面線VIII-VIIIに沿った)断面図である。
【
図9】第1の主要な実施形態の第3の変形例によるバルブブリッジ及びバルブブリッジガイドのそれぞれ等角図及び(断面線X-Xに沿った)断面図である。
【
図10】第1の主要な実施形態の第3の変形例によるバルブブリッジ及びバルブブリッジガイドのそれぞれ等角図及び(断面線X-Xに沿った)断面図である。
【
図11】第1の主要な実施形態の第4の変形例によるバルブブリッジガイドの等角図である。
【
図12】第1の主要な実施形態の第5の変形例によるバルブブリッジ及びバルブブリッジガイドの等角図である。
【
図13】第1の主要な実施形態の第6の変形例によるバルブブリッジガイドの等角図である。
【
図14】第1の主要な実施形態の第7の変形例によるバルブブリッジガイドのそれぞれ等角図及び断面図である。
【
図15】第1の主要な実施形態の第7の変形例によるバルブブリッジガイドのそれぞれ等角図及び断面図である。
【
図16】第1の主要な実施形態の第8の変形例によるバルブブリッジガイドの等角図である。
【
図17】第1の主要な実施形態の第9の変形例によるバルブブリッジガイドの等角図である。
【
図18】第2の主要な実施形態によるバルブブリッジ及びバルブブリッジガイドのそれぞれ等角図、側面図、及び正面図である。
【
図19】第2の主要な実施形態によるバルブブリッジ及びバルブブリッジガイドのそれぞれ等角図、側面図、及び正面図である。
【
図20】第2の主要な実施形態によるバルブブリッジ及びバルブブリッジガイドのそれぞれ等角図、側面図、及び正面図である。
【
図21】第2の主要な実施形態によるバルブブリッジ及びバルブブリッジガイドのそれぞれ等角図、側面図、及び正面図である。
【
図22】第2の主要な実施形態の第1の変形例によるバルブブリッジ及びバルブブリッジガイドの上面等角図である。
【
図23】先行技術技法によるバルブブリッジの断面図である。
【
図24】第3の主要な実施形態によるバルブブリッジの断面図である。
【
図25】第4~第6の主要な実施形態によるバルブブリッジの断面図である。
【
図26】第7の主要な実施形態によるバルブブリッジのそれぞれ上面図、等角図、及び断面図である。
【
図27】第7の主要な実施形態によるバルブブリッジのそれぞれ上面図、等角図、及び断面図である。
【
図28】第7の主要な実施形態によるバルブブリッジのそれぞれ上面図、等角図、及び断面図である。
【
図29】第8の主要な実施形態によるバルブブリッジの側面図である。
【
図30】第9の主要な実施形態による、バルブブリッジ及びブリッジピンのそれぞれ等角図及び断面図である。
【
図31】第9の主要な実施形態による、バルブブリッジ及びブリッジピンのそれぞれ等角図及び断面図である。
【
図32】先行技術技法によるバルブ作動システムの側面部分断面図である。
【
図33】第10の実施形態によるバルブ作動システムの上面等角図である。
【
図34】第11の実施形態によるバルブブリッジ及びバルブブリッジガイドのそれぞれ上面等角図及び底面等角図である。
【
図35】第11の実施形態によるバルブブリッジ及びバルブブリッジガイドのそれぞれ上面等角図及び底面等角図である。
【
図36】バルブ作動システムに展開された
図34及び
図35のバルブブリッジ及びバルブブリッジガイドの上面等角図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
図2~
図36は、本開示によるバルブブリッジガイドを備えるバルブブリッジシステムの様々な実施形態を例解する。
図2~
図36に例解される実施形態及び変形例の全てでは、バルブブリッジは、
図1に例解されるタイプのもの、すなわち、
図1に例解されかつ上記に説明された一般的なタイプのロック機構を有するバルブブリッジであると想定する。
【0013】
図2は、内燃エンジン202が単一シリンダ用の一対のバルブブリッジ204、212を備える、本開示による第1の実施形態を例解している。例解される実施形態では、各バルブブリッジ204、212は、2つの対応するエンジンバルブを作動させるが、各バルブブリッジが3つ以上のエンジンバルブを作動させることは可能である。当技術分野で知られているように、各バルブブリッジ204、212(又は本明細書に例解及び説明されている他のバルブブリッジのいずれか)は、同じタイプの2つのエンジンバルブ、すなわち2つの吸気バルブ又は2つの排気バルブを作動させ得る。例解を容易にするために、第1の実施形態による第1のバルブ作動システムのみの特徴及び動作を説明するが、説明した特徴及び動作は、内燃エンジンに含まれる全てのバルブブリッジに等しく適用可能であることが理解される。
【0014】
したがって、示されるように、第1のバルブブリッジ204は、当技術分野で知られている従来の方法で(
図2には見えない)一対のエンジンバルブにまたがっている。各エンジンバルブは、その対応するエンジンバルブを閉状態(すなわち、エンジンバルブヘッドがシリンダヘッド230に形成されたバルブシートと係合している状態)に付勢するバルブスプリング208、210と、エンジンバルブのバルブステムに取り付けられているバルブスプリングリテーナ209、211と、を有する。更に示されるように、バルブブリッジシステム202は、バルブブリッジ204から、及びバルブスプリング208、210との間で下向きに(すなわち、シリンダヘッドの方向に、ロッカーアーム220から離れて)延在するバルブブリッジガイド206を更に備える。一実施形態では、バルブブリッジガイド206がバルブスプリング208、219の間に延在する距離は、ロック機構を囲むバルブブリッジ204のその部分(例えば、
図1を参照すると、外側プランジャ720及び外側プランジャスプリング746を収容するバルブブリッジのその部分の深さ)によって最小限に規定される。
図2に例解される実施形態では、バルブブリッジ及びバルブブリッジガイドは、一体構造、すなわち、分割されていない全体の部分を形成し、それにより、ロック機構は、バルブブリッジ204及びバルブブリッジガイド206に形成された開口(
図3に最良に示される)内に収容される。以下により詳細に説明するように、バルブブリッジガイド206は、バルブブリッジ204の制御されていない運動を防止、最小化、又は少なくとも適応するために、バルブスプリング208、210又はバルブスプリングリテーナ209、211のうちの一方又は両方と相互作用するように構成された少なくとも1つのバルブブリッジ制御面を備える。
【0015】
図3は、(
図2に示されるように)断面線III-IIIに沿って取られたバルブスプリングガイド206及び第1のバルブスプリング208の断面図を例解している。ロック機構を収容するための開口310がバルブスプリングガイド206に形成され、
図3は、対応するバルブスプリング208内に配設されたバルブステム320を更に例解している。より具体的には、
図3は、バルブブリッジ制御面402が、対応するバルブスプリング306(
図3では1つのみ示されている)に適合するように、すなわち、バルブブリッジ制御面402がバルブスプリング208、210の凸状の外面に対して凹面となるように、バルブブリッジガイド206によって画定される2つのバルブブリッジ制御面402を例解している。適合しているが、バルブブリッジ制御面402は、バルブブリッジの制御された状態の間、バルブブリッジ制御面402(したがって、バルブブリッジガイド206)がそれらの対応するバルブスプリング208、210との接触を回避することができるように構成されている。バルブブリッジ制御面402は、バルブブリッジ204、バルブブリッジガイド206、及びバルブスプリング208、210の通常の動き及び振動がバルブブリッジ制御面402とバルブスプリング208、210との間の接触を生じさせるには不十分であるように、バルブスプリング208、210に(製造公差内で)可能な限り近くなるように構成され得る。例えば、当技術分野で知られているように、バルブスプリング208、210などの圧縮スプリングが変形する(すなわち、圧縮される)と、スプリングの外径はわずかに増加する。したがって、バルブブリッジ制御面402は、バルブスプリング208、210に可能な限り接近したままでありながら、スプリング直径の予想される最大の変化を考慮するように構成され得る。
【0016】
場合によっては、バルブブリッジガイド206がバルブスプリング208、210に接触することが望ましくない場合があり、そうでなければ、バルブスプリング208、210の早期劣化につながる可能性がある。したがって、代わりに、スプリングリテーナ209、211に接触するようにバルブブリッジ制御面402を構成することが望ましい場合がある。この構成を実現するために、スプリングリテーナ209、211の寸法を、バルブスプリング28、210の外径よりも大きい外径を有するようにする必要があり得る。この場合、バルブブリッジ制御面402は、代わりに、バルブブリッジ制御面402が対応するスプリングリテーナ209、211に適合するように、すなわち、バルブブリッジ制御面402がスプリングリテーナ209、211の凸状の外面に対して凹面となるように、バルブブリッジガイド206によって画定される。この場合も、そのような凹面は、バルブブリッジの制御された状態の間に、バルブブリッジ制御面402がそれらの対応するスプリングリテーナ209、211との接触を回避することができるように構成されており、更に、バルブブリッジ204、バルブブリッジガイド206、及びバルブスプリング208、210の通常の動き及び振動がバルブブリッジ制御面402とスプリングリテーナ209、211との間の接触を生じさせるのに不十分であるように、バルブスプリング208、210に(製造公差内で)可能な限り近くなるように構成されている。
【0017】
本開示で例解及び説明される様々な図は、少なくとも2つの凹状のバルブブリッジ制御面402を示しているが、これは必ずしも要件ではない。例えば、単一のそのようなバルブブリッジ制御面402は、バルブブリッジ204の他の方法では制御されていない動きの追加の制御を提供する別の特徴と併せて使用される場合に採用され得る。例えば、バルブブリッジ204がブリッジピンを備える場合(例えば、
図21の要素2102を参照)、単一のバルブブリッジ制御面402とブリッジピンとの組み合わせで十分であり得る。
【0018】
好ましい実施形態によるバルブブリッジ制御面402の構成は、
図4に関連して更に説明され、
図4は、バルブブリッジガイド206及びバルブスプリング208を拡大された形で概略的に例解している。(代替的に、上で説明されるように、
図4に例解されるバルブスプリング208は、説明を容易にするために本明細書にはバルブスプリング208のみが説明されているが、スプリングリテーナと見なすことができる。)示されるように、バルブブリッジガイド206は、バルブスプリング208の外径408に近接して凹状のバルブブリッジ制御面402を備える。実際には、バルブブリッジ制御面402と外径408との間のクリアランスは、バルブスプリング208、210(又はスプリングリテーナ209、211)及びバルブブリッジ204の製造公差に部分的に基づいている。更に、このクリアランスは、エンジンバルブの先端を受容するためにバルブブリッジ204に形成されたレセプタクル内のエンジンバルブの先端のクリアランスに基づいている。例えば、バルブブリッジ204が±0.25mm動くことが可能とされる場合、バルブスプリング208とバルブブリッジ制御面402との間のクリアランスは、部品の許容誤差に許容される0.25mmの遊びを加えたものよりも大きくなければならない。更に、バルブブリッジ204の底部の面取りは、バルブブリッジ204がバルブスプリング又はスプリングリテーナへの完全なクリアランスにわたって制御されていない動きを経験した場合でも、バルブブリッジ204がそれ自体をエンジンバルブの先端上に再配置できるように十分に大きくなければならない。
【0019】
図4に更に示されるように、(スプリング208の外径408に対して)凹状のバルブブリッジ制御面402の円周方向の長さは、両縁404、406によって画成される。この好ましい実施形態では、両縁404、406は、バルブブリッジガイド206がバルブブリッジ204の制御された状態の間に位置付けられるとき、示されるように両縁404、406と交差する線410が少なくともバルブスプリング208の外径408に対して割線を形成するような程度に離間されている。このように構成されると、線410によって示されるいずれかの方向へのバルブブリッジガイド206の動き(例えば、バルブブリッジ204の制御されていない状態の間に起こり得るなど)は、十分に大きい場合、凹状のバルブブリッジ制御面402とスプリング外径408とを接触させ、それにより、バルブブリッジガイド206がバルブスプリング208から離れて、他方のバルブスプリング210に向かう方向に概して偏向することが理解されよう。より一般的には、ロック機構の中心線の軸の周りのバルブブリッジ204のいかなる回転運動も、両方の水平面での横方向の動きと同様に拘束される。これを念頭に置き、
図2及び
図3への参照に戻ると、バルブブリッジ204の制御されていない状態の間の凹状のバルブブリッジ制御面402のこの動作は、バルブブリッジガイド206自体をバルブスプリング208、210と再整列させる傾向があり、それにより、バルブブリッジ204及びバルブブリッジガイド206の制御されていない動きを効果的に減衰又は更には排除する。
【0020】
ここで
図5及び
図6を参照すると、バルブブリッジガイド502の第1の変形例は、示されるように、その側面に形成されたバルブブリッジ制御面402を有する、バルブブリッジ204とは分離した単一体を備える。バルブブリッジ204はまた、当技術分野で知られかつ上で説明されるように、エンジンバルブのバルブステムの先端を受容するためのレセプタクル614を有するものとして例解されている。この実施形態(並びに
図7~
図13に例解される更なる実施形態)では、バルブブリッジガイド502は、バルブブリッジ204と同じ材料(例えば、鋼)から製造し得るが、好ましい実施形態では、バルブブリッジガイド502は、傷付又は損傷を回避するために、バルブブリッジスプリング208、201(又はスプリングリテーナ209、211)よりも柔らかいにもかかわらず、より軽量で強力な材料で形成されている。例えば、当技術分野で知られているような好適な成形可能なポリマーが、この目的のために使用され得る。バルブブリッジガイドを製造するためのなお更なるタイプの材料は、当業者には明らかであろう。
【0021】
とにかく、更に示されるように、バルブブリッジガイド502には、バルブブリッジ204の部分604をぴったりと受容するように構成された、内部に形成された開口又はボア602を有する。示されるように、バルブブリッジガイド502によって受容されるバルブブリッジ204の部分604は、好ましくは、ロック機構606の少なくとも一部を収容する。更に示されるように、この実施形態では、バルブブリッジガイド502とバルブブリッジ204の部分604との両方が、ファスナ受容特徴部504、608を備える。この実施形態では、バルブブリッジガイドのファスナ受容特徴部504は、バルブブリッジガイド502に形成された開口602と交差するボアを備える。したがって、ボアが開口602と交差する場所に、ファスナ受容特徴部504は、本質的に、開口602の側壁に形成された半円形断面を有するチャネルを備える。補完的な方法で、バルブブリッジ204の部分604のファスナ受容特徴部608もまた、部分604の外側壁面に半円形チャネルとして形成されている。整列されると、これらのそれぞれのファスナ受容特徴部504、608は、バルブブリッジガイド502がバルブブリッジ204の部分604に動作可能に接続されるように、ファスナ610、612を受容し得る。例えば、例解される実施形態では、ファスナ612は、示されるように、分割合わせピンを備え得るが、当業者であれば、他のタイプのファスナ、例えば、ねじが等しく採用され得ることを認識するであろう。このようにして、バルブブリッジガイド502は、それらが一斉に動くように、バルブブリッジ204に比較的堅固に取り付けられる。上で説明されるファスナの実施形態の代替として、バルブブリッジガイド502(又は
図7~
図13に例解されるバルブブリッジガイドの他の実施形態)は、代わりに、好適に強力かつ耐久性のあるエポキシ又は同様の接着剤を使用してバルブブリッジ204に固定的に取り付けられ得る。更に、そのような技法の組み合わせもまた、設計の選択肢として採用され得る。
【0022】
ここで
図7及び
図8を参照すると、バルブブリッジガイド702の第2の変形例は、示されるように、その側面に形成されたバルブブリッジ制御面402を有する、バルブブリッジ204とは分離した単一体を備えるという点で、
図5及び
図6のバルブブリッジガイド502と実質的に類似している。しかしながら、この実施形態では、バルブブリッジガイド702は、開口602の側壁面から内側に延在し、かつバルブブリッジ204の部分604の外側側壁面に形成されたノッチ804と係合するように構成された1つ以上の歯802を備える。例えば、ノッチ804は、バルブブリッジ204の部分604の側壁に形成された環状溝又はチャネルを備え得る。歯802がノッチ804に係合すると、バルブブリッジガイド702は、バルブブリッジガイド702及びバルブブリッジ204が一斉に動くように、この場合も、比較的堅固な方法でバルブブリッジに動作可能に接続される。なお、この実施形態では、1つ以上の歯802とノッチ804との配置を等しく逆にすることができ、すなわち、歯802は、バルブブリッジ204の部分604の外側側壁面上に形成され得、ノッチ804は、開口602の内側側壁面に形成され得ることに留意されたい。
【0023】
図7に更に示されるように、バルブブリッジガイド702は、バルブブリッジガイド702からバルブブリッジ204に向かって突出する少なくとも2つの突出部材704、706を備え得る。
図8に示されるように、バルブブリッジ204は下面806を有し、一実施形態では、突出部材704、706は、少なくともバルブブリッジ204の下面806を越えて延在している。この実施形態では、少なくとも2つの突出部材704、706は、バルブブリッジガイド702をバルブブリッジ204上に配向することを助け、それにより、バルブブリッジガイド702に対するバルブブリッジ204の回転を防止する。このようにして、少なくとも2つの突出部材704、706は、バルブブリッジ制御面402をバルブスプリング208、210又はスプリングリテーナ209、211と整列させることを更に助ける。
【0024】
ここで
図9及び
図10を参照すると、バルブブリッジガイド902の第3の変形例が例解されており、示されるように、バルブブリッジガイド902は、この場合も、その側面に形成されたバルブブリッジ制御面402を有する、バルブブリッジ204とは分離した単一体として形成される。しかしながら、この実施形態では、バルブブリッジガイド902は、その中に配設された片持ち式ラッチ又はキャッチ906を有する側面開口904を有する。示されるように、キャッチ906は、バルブブリッジ204の部分604の外側側壁面に形成された対応するノッチ1002と係合するように構成されている。例えば、この場合も、ノッチ1002は、バルブブリッジ204の部分604の側壁に形成された環状溝又はチャネルを備え得る。キャッチ906がノッチ804に係合すると、バルブブリッジガイド702は、バルブブリッジガイド902及びバルブブリッジ204が一斉に動くように、この場合も、比較的堅固な方法でバルブブリッジに動作可能に接続される。示されるように、バルブブリッジガイド902は、バルブブリッジ204の部分604に形成された対応する二次ノッチ1004と係合するように構成された二次ラッチ面908を更に備え得る。複数のラッチペア906、1002/908、1004を提供することにより、バルブブリッジ204に対するバルブブリッジガイド902の安定性が改善され得る。
【0025】
ここで
図11を参照すると、バルブブリッジガイド1102の第4の変形例が示されている。この変形例では、バルブブリッジガイド1102は、スプリングリテーナ209、211とバルブブリッジ204との間に配設されている単一体である。ノッチ1104、1106は、バルブブリッジガイド1102がエンジンバルブの先端に対して位置することを可能にするために提供される。更に、バルブブリッジ204の一部分(例えば、
図1に示されるようなロック機構を収容する部分)がバルブガイド1102を通って延在することを可能にする中央開口1107が提供され得る。
図7及び
図8の実施形態と同様に、バルブブリッジガイド1102は、チャネル1116を画定する側壁1108、1110の形態の少なくとも2つの突出部材を備え、チャネル1116は、バルブブリッジ204を受容するように構成されている。この実施形態では、バルブブリッジ204の上方に立ち上がる側壁1108、1110の内面1112、1114は、バルブブリッジ204の制御されていない状態の間に生じ得るバルブブリッジ204の横方向の動き又は回転を防止するバルブブリッジ制御面として機能する。更に、
図11には示されていないが、上で説明されるように、バルブブリッジ204の傾斜を防止するために、追加のバルブブリッジ制御面402が、バルブブリッジガイド1102の下部1118に任意選択的に提供され得る。バルブブリッジガイド1102が(上で説明される技法のいずれかを使用して)バルブブリッジ204に固定的に取り付けられている限り、バルブブリッジ204の過度の持ち上げ(例えば、エンジンバルブの先端からの外れ)は、バルブブリッジガイド1102内で同様の持ち上げを生じさせることになり、これは再び制御されていない動きに抵抗し、バルブブリッジ204が再びエンジンバルブの先端に落ち着くことを可能にする。
【0026】
ここで
図12を参照すると、バルブブリッジガイド1202の第5の変形例は、示されるように、その側面に形成されたバルブブリッジ制御面402を有する、バルブブリッジ204とは分離した単一体を備えるという点で、
図5及び
図6のバルブブリッジガイド502と実質的に類似している。更に示されるように、及び
図7及び
図8に例解される第2の変形例と同様に、バルブブリッジガイド1202のこの実施形態は、バルブブリッジガイド1202の本体から上向きに延在する複数の突出部材1204~1212を更に備え、これは上記と同様の目的を果たす。更に、示されるように、突出部材1204~1212の各々は、突出部材1204~1212の末端に配設された内向きに延在するフィンガ1214、1216の形態の取り付け面1214、1216(
図12には2つのみが示される)を備える。このように画定された取り付け面は、バルブブリッジ204の対応する表面1220、この場合、バルブブリッジ204の上面と係合するように構成されている。このようにして、バルブブリッジガイド1202は、バルブブリッジ204上に保持される。代替的に、
図9及び
図10の実施形態と同様に、フィンガ1214、1216は、代わりに、バルブブリッジ204の側面に形成されたノッチ又は同様の特徴部と係合し得る。
【0027】
図13は、バルブブリッジガイド1302が、バルブブリッジの両側と係合するように構成された2つのガイド部材1304、1306から形成される、第1の実施形態の第6の変形例を例解している。他の実施形態と同様に、ガイド部材1304、1306の各々は、上で説明したようにバルブブリッジ制御面402を画定する。更に、ガイド部材1304、1306の各々は、バルブブリッジ204(図示せず)の部分604を受容するように構成された第1の開口1308(1つのみ示されている)を画定している。更に示されるように、ガイド部材1304、1306の各々はまた、バルブブリッジ204のアームのうちの1つ(すなわち、バルブブリッジの中心からエンジンバルブのうちの1つに延在するバルブブリッジのその部分)を受容するように構成されたチャネル又は第2の開口1310も含む。更に、ガイド部材1304、1306の各々は、ガイド部材1304、1306が互いに固定的に接続され得るように、相補的な第1のラッチ1312及び第1のラッチノッチ1314及び第2のラッチ1316及び第2のラッチノッチ1318の形態のファスナを含む。代替的に、上記の取り付け機構(合わせピン、エポキシなど)のうちのいずれも、この目的のための「ファスナ」として使用され得る。接続されると、ガイド部材1304、1306は、第2の開口1310がバルブブリッジ204のアームを包含するという事実により、バルブブリッジ204に対して所定の位置に維持されるバルブブリッジガイド1302をまとめて画定する。
【0028】
図14及び
図15は、バルブブリッジガイド1402が、水平面1404及びそこから下向きに延在する連続側壁1406を有する打ち抜き板金構造として形成される、第1の主要な実施形態の第7の変形例を例解している。この変形例では、
図11に例解される実施形態と同様に、バルブブリッジガイド1402は、スプリングリテーナ209、211(
図15)の上及びバルブブリッジ204(図示せず)の下に載置されるように設計されている。
図15では、側壁1406は、スプリングリテーナ209、211、並びにバルブスプリング208、210の初期部分を越えて延在するように示されている。一実施形態では、側壁1406の範囲は、バルブブリッジ204に垂直変位が加えられたとしても、バルブブリッジガイド1402がスプリングリテーナ209、211から完全に外れて持ち上がることができないようなものである。バルブブリッジ204の一部分の通過を可能にする中央開口1406に加えて、バルブブリッジガイド1402はまた、
図7、
図8、
図11、及び
図12に例解されるものと同様の複数の突出部材1408~1416(例解される例では、4つ示されている)を備える。示されるように、突出部材1408~1416は、水平面1404の上向きに曲がった部分として形成され、その結果、エンジンバルブ1502の先端の通過を可能にする開口1426、1428となる。この場合、突出部材1408~1416は、バルブブリッジ204の制御されていない動きに抵抗するために、バルブブリッジ制御面1422、1424をここでも画定する。
【0029】
図16は、バルブブリッジガイド1602が、バルブブリッジ204(図示せず)の両側に係合するように構成された2つのガイド部材1603(1つだけが示されている)を備える、第1の主要な実施形態の第8の変形例の等角図を例解している。各ガイド部材1603は、
図14及び
図15の実施形態と同様に、水平面1604及びそこから下向きに延在する連続側壁1606を有する打ち抜き板金構造として形成されているが、単一のスプリングリテーナ209のみの上に載置されるように構成されている。この場合も、各ガイド部材1603は、上向きに延在する複数の突出部材1608、1610と、エンジンバルブの先端の通過のための中央開口1612とを備え、突出部材1608、1610の各々は、バルブブリッジ204の制御されていない動きに抵抗するためのバルブブリッジ制御面1614を画定する。
【0030】
図16の実施形態と同様に、
図17に例解される実施形態は、別個のスプリングリテーナ209、211の上に載置されるように構成された一対のガイド部材1703を備えたバルブブリッジガイド1702を備える。この場合、成形可能なポリマーから形成され、各ガイド部材1703は、
図14及び
図15の実施形態と同様に、水平面1704及びそこから下向きに延在する連続側壁1706を備えるが、
図16の実施形態のように単一のスプリングリテーナ209のみの上に載置されるように構成されている。この場合も、各ガイド部材1603は、上向きに延在する複数の突出部材1708、1710と、エンジンバルブの先端の通過のための中央開口1712とを備え、突出部材1708、1710の各々は、バルブブリッジ204の制御されていない動きに抵抗するためのバルブブリッジ制御面1614を画定する。しかしながら、この場合、各ガイド部材1703にはまた、上で説明されるように、横方向の凹状のバルブブリッジ制御面402も提供されている。しかしながら、この場合、横方向の凹状のバルブブリッジ制御面402は、バルブスプリング208、210の外面に適合するように構成されていないが、
図1に関連して上で説明及び例解されるように、バルブスプリング208、210の間に下向きに延在してロック機構を収容するバルブブリッジ204のその部分に適合するように構成されている。
【0031】
ここで
図18~
図21を参照すると、本開示による第2の主要な実施形態が例解されており、内燃エンジン202は、単一シリンダ用の一対のバルブブリッジ204、212を備える。例解される実施形態では、各バルブブリッジ204、212は、2つの対応するエンジンバルブを作動させるが、ここでも、各バルブブリッジが3つ以上のエンジンバルブを作動させることが可能である。例解される実施形態では、第1のバルブブリッジ204は、当技術分野で知られている従来の方法で一対のエンジンバルブにまたがっている。各エンジンバルブは、それに対応するエンジンバルブを閉状態に付勢するバルブスプリング208、210と、エンジンバルブのバルブステムに取り付けられたバルブスプリングリテーナ209、211とを有する。
図19に最良に示されるように、バルブブリッジ204は、エンジンバルブに面する下面1902と、下面1902の反対側の上面1904とを備える。
【0032】
この第2の主要な実施形態に更に示されるように、バルブブリッジシステムは、バルブブリッジ204の上面に面する第1の表面1906を有する第1の部材1802の形態のバルブブリッジガイドを更に備える。好適なファスナ1806(シリンダヘッド又は同様の固定構造にねじ込まれたボルトなど)を使用して、第1の部材1802は、バルブブリッジ204に対して第1の固定位置に維持される。特に、第1の固定位置は、少なくとも2つのバルブブリッジが閉状態に維持されるとき、バルブブリッジ204の上面から所定の距離1908だけ離れて第1の部材を維持する。更に、示されるように、第1の部材1802の第1の固定位置は、少なくとも2つのエンジンバルブのうちの第1のエンジンバルブと整列し、第1のエンジンバルブは、内燃エンジン202のロッカーシャフト1808から最も遠い。示されるように、第1の部材1802は、説明されるように、2つ以上のバルブブリッジ204、212について、第1のエンジンバルブと整列するように構成され得る。更に、第1の部材1802はまた、この問題において、内燃エンジンの複数のシリンダのバルブブリッジを横切って延在することができ、又はシリンダの構成が単一の第1の部材1802の使用を妨げる場合は、複数のそのような第1の部材1802を備え得る。
【0033】
この実施形態では、第1の部材1802とバルブブリッジ204の上面1904との間の所定の距離1908は好ましくは、バルブブリッジ204が少なくとも2つのエンジンバルブに対して制御された状態にあるときに、第1の部材1802の第1の表面1906とバルブブリッジ204の上面1904との間の接触を防止するのに十分であり、バルブブリッジ204が少なくとも2つのエンジンバルブに対して制御されていない状態にあるときに、バルブブリッジ204の制御されていない動きに抵抗するために、第1の表面1906と上面1904との間の接触を可能にするのに十分である。本明細書で使用されるとき、バルブブリッジ204の制御されていない動きは、開示されたバルブブリッジガイドのいずれかが、制御された状態で動作するときに、その通常の動きの範囲外のバルブブリッジの動きに対抗する程度まで抵抗される。したがって、
図2~
図12に例解される第1の実施形態の複数の変形例は、エンジンバルブに対してバルブブリッジ204の傾斜又は回転をもたらし得る動きに対抗するが、第1の部材1802は、エンジンバルブに対するバルブブリッジ204の過度の垂直変位に対抗し、特に、バルブブリッジ204がエンジンバルブから完全に係合解除することを防止する。エンジンバルブの閉位置に対して所定の距離1908を画定することにより、バルブブリッジ204と第1の部材1802との間の接触は、バルブブリッジ204の制御された動作の間に回避される。しかしながら、それにもかかわらず所定の距離1908を十分に小さくなるように更に画定することによって、バルブブリッジ204の制御されていない動きに対する所望の抵抗が提供され得る。一実施形態では、所定の距離1908は、エンジンバルブのバルブ先端2006と係合するためにバルブブリッジ204、212によって提供されるレセプタクル2004の深さ2002に基づき得る(
図20)。特に、所定の距離1908は、レセプタクル2004の深さ2002よりも短くなるように選択され得る。このようにして、バルブブリッジ204、212は、制御されていない状態で動作する場合、バルブブリッジ204、212がレセプタクル2004の深さ2002を超える距離を移動することができる前に、第1の部材1802と接触し、そうでなければバルブ先端2006からバルブブリッジ204、212が係合解除してしまう可能性がある。更に、エンジンブレーキのいくつかの形態では、単一の搭載エンジンバルブ(すなわち、ロッカーシャフトに最も近い)のみを作動させることが知られており、これにより、バルブブリッジのその部分を外部のエンジンバルブ(すなわち、ロッカーシャフトから最も遠い)と係合させて、わずかに上向きに、例えば、約1~2mm上昇させることができる。したがって、所定の距離1908は、バルブブリッジ204との望ましくない接触を回避するために、この可能性に対応するように選択されるべきである。更に、エンジンバルブシートの通常の摩耗は、時間の経過と共にエンジンバルブの先端の上昇を引き起こす可能性があり、所定の距離1908もこの可能性を考慮する必要がある。
【0034】
この第2の実施形態では、バルブブリッジガイドは、バルブブリッジ204に対して第2の固定位置に維持されかつバルブブリッジ204の上面1904に面する第2の表面1910を有する第2の部材1804を更に備え得る。第1の部材1802と同様に、第2の表面1910は、上で説明される同じ理由で、上面1904から所定の距離1908だけ離れて維持される。一実施形態では、第2の部材1804の第2の固定位置は、少なくとも2つのエンジンバルブのうちの第2のエンジンバルブと整列しており、第2のエンジンバルブは、ロッカーシャフト1808に最も近い。更に、
図18及び
図19に最良に示されるように、第2の部材1804は、ロッカーペデスタル1810との一体構造として形成され得る。このようにして、第1及び第2の部材1802、1808は、異なるエンジンバルブと別々に、かつ上面1904から同じ所定の距離1908に整列し得、それにより、制御されていない動きに対して均一な抵抗を提供するバルブブリッジガイドとして機能する。
【0035】
当技術分野で知られているように、いくつかのバルブ作動システムは、バルブブリッジ212の存在にもかかわらず、単一のエンジンバルブに補助運動を提供する補助運動源及びバルブトレインを含む。これは、当技術分野で知られているように、補助バルブ作動運動を単一のエンジンバルブに適用し、主バルブ作動運動をバルブブリッジ212を介して単一のエンジンバルブにも適用することを可能にするブリッジピン2102の使用によって達成される。この場合、バルブブリッジ212を通過するブリッジピン712の存在は、バルブブリッジガイドを画定する第2の部材として効果的に機能する。すなわち、バルブブリッジ212が制御されていない状態で動作する場合、ブリッジピン712(補助ロッカーアーム2104と単一のエンジンバルブとの両方に動作可能に接続される)の存在は、バルブブリッジ212をブリッジピン712に対するスライド運動のみに拘束するように動作する。この場合、補助ロッカーアーム2104(又は他の補助バルブトレイン構成要素)の存在は、ブリッジピン2102から外れるバルブブリッジ212の移動を防止するように動作する。この場合も、第1の部材1802が(に示されるように)提供される場合、第1及び第2の部材の共同動作は、バルブブリッジ212の制御されていない動き、特に上向きの動きに抵抗する。
【0036】
図22は、バルブブリッジガイドが、三辺「ストラップ」として形成された第1の部材2202を備える、第2の実施形態の第1の変形例を例解している。
図18~
図21の実施形態と同様に、
図22に例解される変形例は、バルブブリッジの上面1904に接触する位置に第1の部材2202を配置することによって、制御されていない動きに抵抗するように動作する。この実施形態では、第1の部材2202は、バルブブリッジ214の上から、細長い側面2204の各々がシリンダヘッド230に装着されているエンジンバルブスプリング208、210の基部まで延在する2つの実質的に垂直な細長い側面2204(1つが
図22に示される)を有する板金又は同様の材料を備え得る。バルブブリッジ214の最も高い通常の静止点(すなわち、エンジンバルブが完全に閉じているとき)及びバルブブリッジ214の上面1904の上方で、第1の部材2202の第3の実質的に水平な側面2206は、第1及び第2の細長い側面2204と接続する。
図18~
図21の実施形態と同様に、第3の側面2206は、好ましくは、上面1904から所定の距離1908(
図22には示されていない)だけ離れて固定位置に維持される。更に示されるように、第3の側面2206は、示されるように、バルブブリッジ214の一部分(例えば、
図1を参照すると、外側プランジャ720/キャップ730)がロッカーアーム2212に接触することを可能にする開口2210を含む。したがって、この変形例では、バルブブリッジ204の変位は、第1の部材2202の第3の側面2206及びその中に形成された開口2206によって拘束される。
【0037】
図23は、先行技術のシステムの欠点を例解するバルブブリッジの断面図である。特に、
図23は、2つのエンジンバルブステム2304、2306にまたがるバルブブリッジ本体2302を有するバルブブリッジを例解している。示されるように、第1のエンジンバルブ2306は、第1のエンジンバルブ2306のステムを受容するブリッジピン2308を介して補助ロッカーアーム2312によって作動される。次に、ブリッジピン2308は、バルブブリッジ本体2302内に形成され、かつ第1のエンジンバルブ2306と整列された貫通ボア2310内に受容され、それによって、ブリッジピン2308が補助ロッカーアーム2312と接触することが可能になる。更に、バルブブリッジ本体2302は、第2のエンジンバルブ2304と整列するように、かつ第2のエンジンバルブ2304のステムを受容するように構成されたレセプタクル2314を含む。
図23では、バルブブリッジ2302は、第2のエンジンバルブ2304との接触を失うレセプタクル2314によって描写されるように、制御されていない状態にある。これは、制御されていない状態の間に、バルブブリッジ2302の上向きの移動を抑制するために提供された表面がないという事実から生じる。
【0038】
図24は、
図23に描写されるものと実質的に同様のバルブブリッジが示されている、第3の主要な実施形態によるバルブブリッジを例解している。しかしながら、この場合、バルブブリッジはまた、内部に形成された貫通ボア2404を有し、かつ
図23に例解される実施形態と比較してより大きい長手方向の長さ(又は高さ)を有するブリッジピンボス2402を含む。結果として、ブリッジピンボス2402の上面2406は、補助ロッカーアーム2312の下面2408(例えば、描写される実施形態では、アクチュエータの下面)により近接している。したがって、バルブブリッジが、バルブブリッジ本体2302の上向きの動きをもたらす制御されていない状態にあるとき、バルブブリッジ本体2302がバルブステムから完全に係合解除する可能性を有する前に、ブリッジピンボス2402の上面2406が補助ロッカーアーム2312の下面2408と接触する。これは、
図24に例解されており、上面2406と下面2408との間の接触は、第2のエンジンバルブ2304のステムからのレセプタクル2410の完全な係合解除を防止する。
【0039】
また、主ロッカーアーム2412と整列されたバルブブリッジ本体2302のその部分の同様の上面も、ブリッジピンボス2402の上面2406と同様の方法で構成され得ることも理解される。この場合、主ロッカーアーム2412と整列されたバルブブリッジ本体2302の高さは、バルブブリッジ本体2302の制御されていない動き中に、バルブブリッジ本体2302の上面2411が主ロッカーアーム2412(例えば、描写される実施形態では、旋回フットの下面)に接触する可能性が高くなるように、同様に増加させることができる。しかしながら、この場合、上面2411の高さは、折り畳み機構2412が、主ロッカーアーム2412によって提供されるいかなるバルブ作動運動も完全に吸収する能力を妨げないように選択されなければならない。言い換えれば、上面2411は、バルブブリッジ本体2302の制御された状態(又は制御された動き)中に主ロッカーアーム2412と接触するポイントまで、及び折り畳み機構2414が主バルブイベントを吸収しているとき、増加されるべきではない。
【0040】
ここで
図25を参照すると、第4~第6の主要な実施形態によるバルブブリッジが例解されている。特に、
図25は、
図23に例解されるバルブブリッジと同様の構成のバルブブリッジを再び例解している。第4の主要な実施形態は、貫通ボア2502の内径とブリッジピン2504の外径との間のクリアランスの特徴に関する。特に、貫通ボアとブリッジピンとの間のクリアランスを厳密に制御及び最小化することによって、制御されていない動きの発生は、バルブブリッジ本体2302及びブリッジピン2504の「ピンチ」(又は妨害)をもたらすであろう。これは、貫通ボア2502とブリッジピン2504との間の接触点2505によって
図25に例解されている。次に、このピンチは、バルブブリッジ本体2302のいかなる更なる移動も減衰させ、それによって、バルブブリッジ本体2302をエンジンバルブと整列させ続ける傾向がある。
【0041】
図25は、第5の主要な実施形態を、(典型的なスプリングリテーナ2510の半径に対して、すなわち、バルブスプリング(図示せず)の半径に匹敵して)増加した半径のスプリングリテーナ2506を描写する範囲で更に例解している。この実施形態では、増加した半径スプリングリテーナ2506は、制御されていない動き(特に、バルブブリッジ本体2302の回転)中に、エンジンバルブステムの間に延在するバルブブリッジ本体2302のその部分2508が、増加した半径スプリングリテーナ2506とより迅速に接触2511することを可能にし、それによって、バルブブリッジ本体2302の更なる回転に抵抗する。
【0042】
更に、
図25は、延在バルブステムの特徴を示すという点で、第6の主要な実施形態を更に例解している。例解される実施形態では、延在バルブステムの特徴は、第2の貫通ボア2518に存在するブリッジピン2512の形態を採る。示されるように、ブリッジピン2512は、エンジンバルブステム2514上で上下に自由に移動する。この場合、バルブブリッジ本体2302が制御されていない状態にあるときに、ブリッジピン2512は、バルブブリッジ本体2302と共に上向きに自由に移動する。ブリッジピン2512及びバルブブリッジ本体2302の制御されていない動きにかかわらず、ブリッジピン2512がエンジンバルブステム2514に着座したままである限り、ブリッジピン2512は、エンジンバルブステム2514、2516とのバルブブリッジ本体2302の整列を維持する。示されるように、エンジンバルブステム2516上の制御された動きの同じ原理を、補助ロッカーアームと整列されたブリッジピン2504に等しく適用することができる。この実施形態では、エンジンバルブステム2514、2516のいずれか又は両方が、スプリングリテーナ2506、2512を上回る延在した長さ、例えば、2~3mmのより典型的な長さと比較して最大10mmの延在した長さを有することが望ましい場合がある。
【0043】
図26~
図28は、第7の主要な実施形態によるバルブブリッジを例解している。典型的なバルブブリッジによれば、例解されたバルブブリッジは、少なくとも2つのエンジンバルブ2604、2606にまたがるバルブブリッジ本体2602を含む。この実施形態では、スロット2608は、エンジンバルブ2604、2606のステムに接触するように構成されたバルブブリッジ本体2602のそれらの部分に形成される。特に、
図28に最良に示されるように、スロット2608は、レセプタクル2802とエンジンバルブステム2604の長手方向軸2806(
図28には1つのみ示される)との横断方向に交差する横方向延在スロットを備え得る。エンジンバルブステム2604が、対応するレセプタクル2802と整列してそれに挿入されるとき、エンジンバルブステム2604に形成された環状チャネル2804は、スロット2608と整列する。Cクリップ2702は、スロット2608に挿入され、Cクリップ2702がエンジンバルブステム2604上に保持されるように環状チャネル2804に係合する。エンジンバルブステム2604上に保持されると、スロット2608とのCクリップ2702の更なる係合により、Cクリップ2702は、例えば、バルブブリッジ本体2602の制御されていない動き中に、レセプタクル2802からのエンジンバルブステム2604の係合解除に抵抗することが可能になる。スロット2608は、
図26~
図28には、バルブブリッジ本体2602から離れて横方向に延在するように例解されているが、これは要件ではない。例えば、スロット2608は、代わりに、
図28の平面から垂直に、すなわち、バルブブリッジ本体の長手方向軸に垂直に、かつエンジンバルブステム2604、2606の長手方向軸2806に垂直に延在することができる。
【0044】
図29は、第8の主要な実施形態によるバルブブリッジの側面図である。この実施形態では、バルブブリッジ本体2902は、バルブ本体2902の下面2908から下向きに延在し、かつ少なくとも2つのエンジンバルブステム(図示せず)の間に位置付けられた突出部2904を備える。更に示されるように、突出部2904は、フック又はラッチ特徴部2906が、少なくとも1つのスプリングリテーナ2910の外周を越えて延在するように、少なくとも1つのスプリングリテーナ2910に向かって及びその下方に突出部2904から離れて延在する少なくとも1つのフック特徴部2906(1つのみ示される)を更に備える。バルブブリッジ本体2902が制御されていない状態にあるときに、フック特徴部2906は、バルブスプリングリテーナ2910の下面2912に接触し、バルブブリッジ本体がエンジンバルブステムから完全に係合解除されるポイントまで、バルブブリッジ本体2902がエンジンバルブステムから分離することを防止する。
図25に関連して上で説明した第5の実施形態と同様に、増加した半径のスプリングリテーナ2910は、対応するバルブスプリング2914の外周を越えて延在する突出した材料のリムを提供することができる。このようにして、フック特徴部2906は、スプリングリテーナ2910により良好に係合し、それによって、バルブブリッジの係合解除に対する抵抗をより良好に確実にすることができる。
【0045】
図29に更に示されるように、突出部2904の周辺形状2914は、バルブブリッジ本体2902が、エンジンバルブのうちの1つ(補助バルブ作動運動の場合のように、
図29に描写されるように、右端)の上で下向きに動き、スプリング2914、2918に接触することなく傾斜することを可能にするように構成されている。例解される構成に基づいて、バルブブリッジの設置は、最初に左側を設置し、次いでバルブブリッジを右端のエンジンバルブステム(及び対応するブリッジピン2920)に下向きに回転させることによって容易になる。ブリッジピン2920は、別個の補助ロッカー又はその一体型アクチュエータピストン(図示せず)によって押し下げられているが、フック特徴部2906のラッチ効果によってブリッジを取り外すことはできない。
【0046】
図30及び
図31は、第9の主要な実施形態によるバルブブリッジ及びブリッジピンを例解している。この実施形態では、バルブブリッジ本体3002は、バルブ本体3002内に延在するスロット3004、3006によって画定されるそれぞれのアーム3022、3024の間に、対応するブリッジピン3008、3010を受容するように構成された開いた横方向延在スロット3004、3006を備える。
図31に最もよく示されるように、各ブリッジピン3008、3010は、内部に形成され、かつ対応するエンジンバルブステム3012を受容するように構成されたレセプタクル3102を有する。示されるように、ブリッジピン3008、3010の各々は、バレル本体3016を含むスプール状の形状と、(バレル本体3016に対して)増加した直径のエンドキャップ3018、3020と、を有する。スロット3004、3006は、アーム3022、3024が、それらのそれぞれのブリッジピン3008、3010のバレル本体3016に比較的近いクリアランスを維持するように構成されている。一方、スロット3004、3006は、アーム3022、3024がエンドキャップ3018、3020と接触するように構成されている。このようにして、ブリッジピン3008、3010の垂直の動きは、アーム3022、3024の上(及び/又は下)面と、エンドキャップ3018、3020によって画定される相補面との間の間隔3104によって拘束される。このようにして、バルブブリッジ本体3002が、制御されていない動きを受ける場合、ブリッジピン3008、3010によってバルブブリッジ本体3002に配置された拘束は、エンジンバルブステム3012、3014からの係合解除を防止する。
図24に例解される第3の主要な実施形態と同様に、バルブブリッジ本体3002の上面3026は、上面3026とエンドキャップ3010との間の間隔が、バルブブリッジ本体3002の上向きの移動をより更に制限するように構成されるように構成され得ることに留意されたい。
【0047】
図32は、先行技術技法によるバルブ作動システムを例解している。特に、
図1に示されるものと同様の折り畳み機構が、先で説明される実施形態のうちの多くにおいて描写されるようなバルブブリッジ3206ではなく、ロッカーアーム3202又はプッシュロッド3204に展開されるバルブ作動システムが知られている。当技術分野で知られているように、ロッカーアーム3202はロッカーシャフト3208に十分に係合しているが、そのようなバルブ作動システムは、過剰なラッシュがバルブトレイン内に形成される場合、バルブブリッジ3206が制御されていない状態に入る機会を提示する。例えば、プッシュロッド3204内の突然の崩壊は、ロッカーが、後方に(すなわち、プッシュロッド3204に向かって)回転することを可能にし得、これは、バルブリフトが突然に排除されたことに等しい。このようにして失われたバルブリフトが比較的高かった場合(例えば、いくつかのシステムでは14mm)、ロッカーアーム3202の突然の後方回転は、ロッカーアーム3202を、バルブカバー3210又は他のオブジェクトに当たらせ得る。エンジンバルブステムとのバルブブリッジ3206の係合を維持するために通常はロッカーアーム3202に依存するため、バルブスプリングの影響下でのバルブブリッジ3206の急速な加速と組み合わされたロッカーアーム3202の突然の後方回転は、バルブブリッジを制御されていない様態で動かし、場合によっては脱落が生じる。
【0048】
バルブブリッジ3206がそのような状況で係合解除することを防止するために、通常ならばバルブブリッジ3206が係合解除することを可能にするであろう、ロッカーアーム3202の過度の回転を防止するためのストップが提供され得る。この例は、ロッカーアーム3202の後方回転を防止するために剛性又は固定ブロック3302が展開された
図33に例解されている。例解される実施形態では、固定ブロック3302は、ロッカーシャフト3208に堅固に取り付けられ、この例では、その過剰回転を防止するために、ロッカーアーム3202の表面と係合するように構成された垂直面3304と水平面3306との両方を備える。固定ブロック3302は、垂直面3304及び水平面3306がロッカーアーム3202の通常の往復運動(すなわち、制御された状態)に干渉しないように構成されている。しかしながら、固定ブロック3302はまた、垂直面3304及び水平面3306がロッカーアーム3202の過剰回転を防止するように位置付けられるように構成されている。
【0049】
例えば、例解されるロッカーアーム3202は、この場合、ロッカーアーム3202に形成された制御バルブボスによって画定された後部対向面3308を含み得る。突然の後方回転の場合、後部対向面3308は垂直面3304に接触し、ロッカーアーム3202の過剰回転を防止する。同様に、ロッカーアームは、上向き対向面3310を更に備える。突然の後方回転の場合、後部対向面3310は水平面3306に接触し、ロッカーアーム3202の過剰回転を防止する。例解される実施形態は、垂直面3304と水平面3306との両方を含むが、これは、そのような表面のいずれかが、ロッカーアーム3202の構成に応じて過剰回転を防止するのに十分であり得ることが予想されるため、要件ではない。
【0050】
図34及び
図35は、第11の実施形態によるバルブブリッジ及びバルブブリッジガイドを例解している。この実施形態では、バルブブリッジ本体3402に取り付けられた(又はそれと一体的に形成された)バルブブリッジガイド3404が提供される。示されるように、バルブブリッジガイド3404は、補助運動源によって作動することもできるエンジンバルブ(図示せず)と係合することを意図していない、バルブブリッジ本体3402の側面に展開される。例解される実施形態では、バルブブリッジガイド3404は、ハーフシリンダ壁が下面3502から下向きに延在するように、バルブブリッジ本体3402の下面3502に取り付けられるように構成されたハーフシリンダ壁として成形される。しかしながら、バルブブリッジガイド3404は、示されるようにハーフシリンダ壁が下面3502の下に下向きに延在する限り、バルブブリッジ本体3402の何らかの他の表面(例えば、上面)に取り付けることができることが理解される。
【0051】
図36は、バルブ作動システムに展開された
図34及び
図35のバルブブリッジ及びバルブブリッジガイドを例解している。示されるように、バルブブリッジ本体3402は、2つのエンジンバルブステムにまたがり、バルブブリッジガイド3404は、バルブスプリングリテーナ3602の外側の側方部分を包含する。(好ましくは、対応するエンジンバルブステムの長手方向軸を中心とするか、又はその近くにある)ハーフシリンダ壁の半径は、バルブブリッジの通常の(すなわち、制御された)動作中に、ハーフシリンダ壁とバルブスプリングリテーナ3602又は対応するバルブスプリング3604との間に接触が生じないように構成されている。一方、ハーフシリンダ壁の半径は、バルブブリッジ本体3402の制御されていない状態の間に、ハーフシリンダ壁が、バルブスプリングリテーナ3602に接触するが、バルブスプリング3604との接触を回避するように更に構成されている。
図25及び
図29に関連して上で説明した実施形態と同様に、バルブスプリングリテーナ3602と(好ましくはバルブスプリング3604ではなく)スプリングリテーナとの間の接触をより良好に確実にするために、増加した半径のスプリングリテーナを用いることができる。
【0052】
上記のように、本開示は、バルブブリッジの制御されていない動きに抵抗する、すなわち、防止、最小化、又は適応するために使用され得るバルブブリッジガイドの様々な実施形態及び変形例を説明する。様々な特徴が特定の実施形態と併せて説明されてきたが、当業者であれば、そのような特徴の様々なものが本明細書で説明された他の実施形態に組み込まれ得ることを理解するであろう。
【外国語明細書】