(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024114706
(43)【公開日】2024-08-23
(54)【発明の名称】ANCA関連血管炎に対するc5aアンタゴニストの投薬及び効果
(51)【国際特許分類】
A61K 31/451 20060101AFI20240816BHJP
A61K 31/573 20060101ALI20240816BHJP
A61P 37/06 20060101ALI20240816BHJP
A61P 9/00 20060101ALI20240816BHJP
A61P 29/00 20060101ALI20240816BHJP
A61K 45/00 20060101ALI20240816BHJP
A61K 39/395 20060101ALI20240816BHJP
A61K 31/675 20060101ALI20240816BHJP
【FI】
A61K31/451
A61K31/573
A61P37/06
A61P9/00
A61P29/00
A61K45/00
A61K39/395 N
A61K31/675
【審査請求】有
【請求項の数】34
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024088364
(22)【出願日】2024-05-30
(62)【分割の表示】P 2020567973の分割
【原出願日】2019-06-06
(31)【優先権主張番号】62/682,013
(32)【優先日】2018-06-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】507416218
【氏名又は名称】ケモセントリックス,インコーポレイティド
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100117019
【弁理士】
【氏名又は名称】渡辺 陽一
(74)【代理人】
【識別番号】100141977
【弁理士】
【氏名又は名称】中島 勝
(74)【代理人】
【識別番号】100150810
【弁理士】
【氏名又は名称】武居 良太郎
(72)【発明者】
【氏名】チュン トン
(72)【発明者】
【氏名】ペトラス ベッカー
(72)【発明者】
【氏名】ジャン ヒルソン
(57)【要約】
【課題】ANCA関連血管炎に対するc5aアンタゴニストの投薬及び効果に関する。
【解決手段】本開示は、それを必要とするヒトにおけるANCA関連血管炎を治療するための方法を提供し、本方法は、治療的に有効な量のアバコパン、又はその薬学的に許容される塩をヒトに投与することを含み、それにより、血漿補体因子Bb、C3a、又はC5aのレベルが治療によりヒトにおいて有意に変化しない。
【選択図】
図7C
【特許請求の範囲】
【請求項1】
治療的に有効な量のアバコパン:
【化1】
又はその薬学的に許容される塩をヒトに投与することを含む、それを必要とするヒトにおけるANCA関連血管炎を治療する方法であって、それにより、血漿補体因子Bb、C3a、又はC5aのレベルが治療によりヒトにおいて有意に変化しない方法。
【請求項2】
アバコパン又はその薬学的に許容される塩を経口投与することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
アバコパンを投与することを含む、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
約30mgのアバコパンを投与することを含む、請求項1~3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
アバコパンを1日2回投与することを含む、請求項1~4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
少なくとも12週間、アバコパンを投与することを含む、請求項1~5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
補体因子Bbのレベルが有意に変化しない、請求項1~6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
補体因子Bbのレベルが、治療直前及び治療の少なくとも1週間又は約1ヵ月後に比較される、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
治療前後の補体因子Bbのレベルが、約0.8~1.4μg/mLである、請求項7又は8に記載の方法。
【請求項10】
治療後の補体因子Bbのレベルが、治療前のレベルの約30%、約20%、又は約10%以内である、請求項7~9のいずれか1項に記載の方法。
【請求項11】
補体因子C3aのレベルが有意に変化しない、請求項1~10のいずれか1項に記載の方法。
【請求項12】
補体因子C3aのレベルが、治療直前及び治療開始から約1~約6時間後に比較される、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
補体因子C3aのレベルが、治療直前及び治療の少なくとも1週間又は約1ヵ月後に比較される、請求項11に記載の方法。
【請求項14】
治療前後の補体因子C3aのレベルが、約25~100ng/mLである、請求項11~13のいずれか1項記載の方法。
【請求項15】
治療後の補体因子C3aのレベルが、治療前のレベルの約30%、約20%、又は約10%以内である、請求項11~14のいずれか1項に記載の方法。
【請求項16】
補体因子C5aのレベルが有意に変化しない、請求項1~15のいずれか1項に記載の方法。
【請求項17】
補体因子C5aのレベルが、治療直前及び治療の少なくとも1週間又は約1ヵ月後に比較される、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
治療前後の補体因子C5aのレベルが、約4~10ng/mLである、請求項16又17に記載の方法。
【請求項19】
治療後の補体因子C5aのレベルが、治療前のレベルの約30%、約20%、又は約10%以内である、請求項16~18のいずれか1項に記載の方法。
【請求項20】
それを必要とするヒトにおけるANCA関連血管炎が、抗MPO ANCA関連血管炎である、請求項1~19のいずれか1項に記載の方法。
【請求項21】
それを必要とするヒトにおけるANCA関連血管炎が、抗PR3 ANCA関連血管炎である、請求項1~19のいずれか1項に記載の方法。
【請求項22】
コルチコステロイドを投与することをさらに含む、請求項1~21のいずれか1項に記載の方法。
【請求項23】
コルチコステロイドがプレドニゾンである、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
CD20阻害剤を投与することをさらに含む、請求項1~23のいずれか1項に記載の方法。
【請求項25】
CD20阻害剤がリツキシマブである、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
シクロホスファミドを投与することをさらに含む、請求項1~21のいずれか1項に記載の方法。
【請求項27】
治療的に有効な量のアバコパン:
【化2】
又はその薬学的に許容される塩をヒトに投与することを含む、それを必要とするヒトにおけるC5aRを阻害する方法であって、それにより、血漿補体因子Bb、C3a、又はC5aのレベルがC5aR阻害によりヒトにおいて有意に変化しない方法。
【請求項28】
アバコパン又はその薬学的に許容される塩を経口投与することを含む、請求項27に記載の方法。
【請求項29】
アバコパンを投与することを含む、請求項27又は28に記載の方法。
【請求項30】
約30mgのアバコパンを投与することを含む、請求項27~29のいずれか1項に記載の方法。
【請求項31】
アバコパンを1日2回投与することを含む、請求項27~30のいずれか1項に記載の方法。
【請求項32】
少なくとも12週間、アバコパンを投与することを含む、請求項27~31のいずれか1項に記載の方法。
【請求項33】
投与後の補体因子のレベルが、投与前のレベルの約30%、約20%、又は約10%以内である、請求項27~32のいずれか1項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2018年6月7日出願の米国仮出願第62/682,013号の35U.S.C.§119条(e)に基づく利益を主張する出願である。その全体は参照により本明細書に援用される。
【0002】
連邦政府が支援する研究開発の下で行われた発明の権利に関する陳述
該当なし
【0003】
コンパクトディスクで提出された「配列表」、表、又はコンピュータプログラムリストの付録への参照
該当なし
【背景技術】
【0004】
抗好中球細胞質抗体(ANCA)は、好中球及び単球の細胞質成分と反応するIgG型の自己抗体のグループである。プライミングされた好中球とANCAとの相互作用は、代替補体経路を活性化する因子を放出し、ANCA関連血管炎(AAV)の再燃時に壊死性炎症を持続すると考えられる増幅ループを開始する。
【0005】
補体経路の様々な成分を標的とする多くの薬物候補が開発中である。しかしながら、開発中の薬物の多くは望ましくない副作用を有する。例えば、補体成分C5に結合し、C5a及びC5bの形成を阻害する抗体であるエクリズマブは、膜侵襲複合体の下流形成を遮断する。このことは、感染症と闘う個人の能力に悪影響を及ぼし、FDAはエクリズマブのブラックボックス警告を要求するようになった。
【0006】
したがって、AAVの作用を効果的に改善するが、補体経路を有意に変化させない薬物を開発することが当該技術分野において必要とされている。
【発明の概要】
【0007】
簡単な要約
本開示は、特に、それを必要とするヒトにおいてANCA関連血管炎(AAV)を治療する方法に関するものであり、この方法は、以下に示す構造:
【0008】
【0009】
を有する、治療的に有効な量のアバコパン又はその薬学的に許容される塩をヒトに投与することを含み、それにおり、血漿補体因子Bb、C3a、C5aの濃度は、治療によりヒトにおいて有意に変化しない。
【0010】
本発明の他の目的、特徴、及び利点は、以下の詳細な説明及び図面から当業者に明らかとなる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】
図1は、c5a及びc5aRがANCA関連血管炎を引き起こすことを示すANCA関連血管炎の病因を記述するモデルの概略図を提供する。
【
図2】
図2は、アバコパンが遠位補体経路を標的とすることを示す模式図である。
【
図3A】
図3A-Eは、アバコパンによる治療を受けた患者における疾患活動性の急速な低下及び健康関連QOLの顕著な改善を実証したCLEAR試験から得られた結果を示している。(A)バーミンガム血管炎活動性スコアをプロットし、(B)尿中アルブミン対クレアチン比にプロットし、(C)EuroQOL-5D-5L視覚アナログスケールをプロットし、(D)Short Form-36の身体機能の結果をプロットし、(E)Short Form-36の役割感情的結果をプロットする。高用量プレドニゾンを投与された患者を菱形でプロットし、低用量プレドニゾンとともにアバコパンを投与された患者を四角でプロットし、プレドニゾンなしでアバコパンを投与された患者を三角でプロットした。
【
図3B-C】
図3A-Eは、アバコパンによる治療を受けた患者における疾患活動性の急速な低下及び健康関連QOLの顕著な改善を実証したCLEAR試験から得られた結果を示している。(A)バーミンガム血管炎活動性スコアをプロットし、(B)尿中アルブミン対クレアチン比にプロットし、(C)EuroQOL-5D-5L視覚アナログスケールをプロットし、(D)Short Form-36の身体機能の結果をプロットし、(E)Short Form-36の役割感情的結果をプロットする。高用量プレドニゾンを投与された患者を菱形でプロットし、低用量プレドニゾンとともにアバコパンを投与された患者を四角でプロットし、プレドニゾンなしでアバコパンを投与された患者を三角でプロットした。
【
図3D-E】
図3A-Eは、アバコパンによる治療を受けた患者における疾患活動性の急速な低下及び健康関連QOLの顕著な改善を実証したCLEAR試験から得られた結果を示している。(A)バーミンガム血管炎活動性スコアをプロットし、(B)尿中アルブミン対クレアチン比にプロットし、(C)EuroQOL-5D-5L視覚アナログスケールをプロットし、(D)Short Form-36の身体機能の結果をプロットし、(E)Short Form-36の役割感情的結果をプロットする。高用量プレドニゾンを投与された患者を菱形でプロットし、低用量プレドニゾンとともにアバコパンを投与された患者を四角でプロットし、プレドニゾンなしでアバコパンを投与された患者を三角でプロットした。
【
図4A-B】
図4A-Eは、健常対照患者(HC)、全AAV患者(AAV-all)、抗MPO AV患者(AAV-MPO)、及び抗PRA3 AV患者(AAV-PR3)におけるBb(A)、C3a(B)、C5a(C)、sC5b-9(D)及びプロパージン(E)のベースラインをプロットする。抗MPO及び抗PR3陽性患者におけるベースラインの補体レベル間に差はなかった。
【
図4C-D】
図4A-Eは、健常対照患者(HC)、全AAV患者(AAV-all)、抗MPO AV患者(AAV-MPO)、及び抗PRA3 AV患者(AAV-PR3)におけるBb(A)、C3a(B)、C5a(C)、sC5b-9(D)及びプロパージン(E)のベースラインをプロットする。抗MPO及び抗PR3陽性患者におけるベースラインの補体レベル間に差はなかった。
【
図4E】
図4A-Eは、健常対照患者(HC)、全AAV患者(AAV-all)、抗MPO AV患者(AAV-MPO)、及び抗PRA3 AV患者(AAV-PR3)におけるBb(A)、C3a(B)、C5a(C)、sC5b-9(D)及びプロパージン(E)のベースラインをプロットする。抗MPO及び抗PR3陽性患者におけるベースラインの補体レベル間に差はなかった。
【
図5A-B】
図5A-Cは、高用量プレドニゾン(A)、低用量プレドニゾンを伴うアバコパン(B)、及びプレドニゾンを伴わないアバコパン(C)を投与された患者における補体因子Bbのレベルをプロットする。グラフのカラムには、健康な対照患者(HC)、及び1日目の前処置(D1-Pre)、治療6時間後(D1-6h)、8日目(D8)、29日目(D29)、85日目(D85)のAAV患者のデータポイントが表示される。これらのプロットは、プレドニゾン全量投与群では8日目と29日目にBbレベルが低下し、プレドニゾンを漸減すると85日目に再び上昇したことを示している。アバコパンを投与した2群では、投与期間中にBb値に変化は認められなかった。群内の投与前と比較して
*P<0.05;
**P<0.01。
【
図5C】
図5A-Cは、高用量プレドニゾン(A)、低用量プレドニゾンを伴うアバコパン(B)、及びプレドニゾンを伴わないアバコパン(C)を投与された患者における補体因子Bbのレベルをプロットする。グラフのカラムには、健康な対照患者(HC)、及び1日目の前処置(D1-前)、治療6時間後(D1-6h)、8日目(D8)、29日目(D29)、85日目(D85)のAAV患者のデータポイントが表示される。これらのプロットは、プレドニゾン全量投与群では8日目と29日目にBbレベルが低下し、プレドニゾンを漸減すると85日目に再び上昇したことを示している。アバコパンを投与した2群では、投与期間中にBb値に変化は認められなかった。群内の投与前と比較して
*P<0.05;
**P<0.01。
【
図6A-B】
図6A-Cは、高用量プレドニゾン(A)、低用量プレドニゾンを伴うアバコパン(B)、及びプレドニゾンを伴わないアバコパン(C)を投与された患者における補体因子C3aのレベルをプロットする。グラフのカラムには、健康な対照患者(HC)、及び1日目の前処置(D1-Pre)、治療6時間後(D1-6h)、8日目(D8)、29日目(D29)、85日目(D85)のAAV患者のデータポイントが表示される。これらのプロットはプレドニゾン全量投与群ではC3aレベルが6時間後に早くも低下し、8日目と29日目にさらに低下し、85日目に再び上昇し、プレドニゾンを漸減した85日目に再び上昇したことを示している。プレドニゾンを伴わないアバコパン投与群では、C3aレベルに変化は認められなかった。群内の投与前と比較して
*P<0.05、
**P<0.01。
【
図6C】
図6A-Cは、高用量プレドニゾン(A)、低用量プレドニゾンを伴うアバコパン(B)、及びプレドニゾンを伴わないアバコパン(C)を投与された患者における補体因子C3aのレベルをプロットする。グラフのカラムには、健康な対照患者(HC)、及び1日目の前処置(D1-Pre)、治療6時間後(D1-6h)、8日目(D8)、29日目(D29)、85日目(D85)のAAV患者のデータポイントが表示される。これらのプロットはプレドニゾン全量投与群ではC3aレベルが6時間後に早くも低下し、8日目と29日目にさらに低下し、85日目に再び上昇し、プレドニゾンを漸減した85日目に再び上昇したことを示している。プレドニゾンを伴わないアバコパン投与群では、C3aレベルに変化は認められなかった。群内の投与前と比較して
*P<0.05、
**P<0.01。
【
図7A-B】
図7A-Cは、高用量プレドニゾン(A)、低用量プレドニゾンを伴うアバコパン(B)、及びプレドニゾンを伴わないアバコパン(C)を投与された患者における補体因子C5aのレベルをプロットする。グラフのカラムには、健康な対照患者(HC)及び1日目の前処置(D1-Pre)、6時間後(D1-6h)、8日目(D8)、29日目(D29)、85日目(D85)のAAV患者のデータポイントが表示される。高用量プレドニゾン群では、8日目と29日目にC5aが低下し、プレドニゾンを漸減すると85日目に再び上昇した。アバコパンを低用量又はプレドニゾンなしで投与した2群では、C5a濃度に変化は認められなかった。群内の投与前と比較して
*P<0.05。
【
図7C】
図7A-Cは、高用量プレドニゾン(A)、低用量プレドニゾンを伴うアバコパン(B)、及びプレドニゾンを伴わないアバコパン(C)を投与された患者における補体因子C5aのレベルをプロットする。グラフのカラムには、健康な対照患者(HC)及び1日目の前処置(D1-Pre)、6時間後(D1-6h)、8日目(D8)、29日目(D29)、85日目(D85)のAAV患者のデータポイントが表示される。高用量プレドニゾン群では、8日目と29日目にC5aが低下し、プレドニゾンを漸減すると85日目に再び上昇した。アバコパンを低用量又はプレドニゾンなしで投与した2群では、C5a濃度に変化は認められなかった。群内の投与前と比較して
*P<0.05。
【
図8A-B】
図8A-Cは、高用量プレドニゾン(A)、低用量プレドニゾンを伴うアバコパン(B)、及びプレドニゾンを伴わないアバコパン(C)を受けた患者におけるsC5b-9のレベルをプロットする。グラフのカラムには、健康な対照患者(HC)及び1日目の前処置(D1-Pre)、6時間後(D1-6h)、8日目(D8)、29日目(D29)、85日目(D85)のAAV患者のデータポイントが表示される。いずれの治療群においても、循環sCD5-9濃度に統計学的に有意な変化は認められなかった。
【
図8C】
図8A-Cは、高用量プレドニゾン(A)、低用量プレドニゾンを伴うアバコパン(B)、及びプレドニゾンを伴わないアバコパン(C)を受けた患者におけるsC5b-9のレベルをプロットする。グラフのカラムには、健康な対照患者(HC)及び1日目の前処置(D1-Pre)、6時間後(D1-6h)、8日目(D8)、29日目(D29)、85日目(D85)のAAV患者のデータポイントが表示される。いずれの治療群においても、循環sCD5-9濃度に統計学的に有意な変化は認められなかった。
【
図9A-B】
図9A-Cは、高用量プレドニゾン(A)、低用量プレドニゾンを伴うアバコパン(B)、及びプレドニゾンを伴わないアバコパン(C)を投与された患者におけるプロパージンのレベルをプロットする。グラフのカラムには、健康な対照患者(HC)及び1日目の前処置(D1-Pre)、6時間後(D1-6h)、8日目(D8)、29日目(D29)、85日目(D85)のAAV患者のデータポイントが表示される。いずれの治療群においても、循環プロパージン濃度に統計学的に有意な変化は認められなかった。
【
図9C】
図9A-Cは、高用量プレドニゾン(A)、低用量プレドニゾンを伴うアバコパン(B)、及びプレドニゾンを伴わないアバコパン(C)を投与された患者におけるプロパージンのレベルをプロットする。グラフのカラムには、健康な対照患者(HC)及び1日目の前処置(D1-Pre)、6時間後(D1-6h)、8日目(D8)、29日目(D29)、85日目(D85)のAAV患者のデータポイントが表示される。いずれの治療群においても、循環プロパージン濃度に統計学的に有意な変化は認められなかった。
【発明を実施するための形態】
【0012】
I.一般
本開示は、アバコパンが、治療を受けている個人において血漿補体因子のレベルに影響を与えることなく、AAVを急速に改善するという驚くべき予期せぬ知見を示す。したがって、アバコパンを投与された個体は、Bb、C3a又はC5aのような血漿補体因子のレベルに有意な変化を経験せず、有利には、膜侵襲複合体の集合又は上流補体活性は影響を受けない。
【0013】
II.定義
特に断らない限り、本明細書中で使用される全ての技術用語及び科学用語は、本発明が属する当業者によって一般的に理解されるものと同じ意味を有する。さらに、本明細書に記載される方法又は材料と類似又は同等の任意の方法又は材料を、本発明の実施において使用することができる。本発明の目的のために、以下の用語が定義される。
【0014】
値の範囲が提供される場合、文脈が別段の明確な指示をしない限り、各介在値は、下限の単位の10分の1まで、その範囲の上限と下限と、その記載された範囲内の他の記載又は介在値との間に含まれることが理解される。これらのより小さい範囲の上限及び下限は、独立して、より小さい範囲に含まれてもよく、また、記載された範囲内の任意の具体的に除外された制限に従うことを条件として、本発明内に包含される。記載された範囲が、制限の一方又は両方を含む場合、含まれた制限のいずれか又は両方を除いた範囲も、本発明に含まれる。別段の定義がない限り、本明細書で使用される全ての技術用語及び科学用語は、本発明が属する技術分野の当業者によって一般的に理解されるものと同じ意味を有する。
【0015】
本明細書で使用される用語「ある(a)」、「ある(an)」、又は「その(the)」は、1つのメンバーを含む態様を含むだけでなく、1を超えるメンバーを含む態様も含む。例えば、単数形の「ある(a)」、「ある(an)」、及び「その(the)」は、文脈が明確に他のことを指示しない限り、複数の指示対象を含む。したがって、例えば、「ある細胞」への言及は、複数のそのような細胞を含み、「その薬剤」への言及は、当業者に公知の1つ以上の薬剤への言及を含む。
【0016】
本明細書中で使用される場合、用語「治療する」又は「治療」は、予防的(すなわち、症状の重症度及び/又は持続期間を低減するために、症状の発現前)又は治療的(すなわち、症状の発現後)であり得る、疾患修飾的治療及び対症的治療の両方を包含する。
【0017】
用語「薬学的に許容される塩」は、本明細書に記載される化合物に見られる特定の置換基に依存して、比較的毒性のない酸又は塩基で調製される活性化合物の塩を含むことを意味する。本開示の化合物が比較的酸性の官能基を含む場合、そのような化合物の中性形態を、そのまま又は適切な不活性溶媒中で、十分な量の所望の塩基と接触させることによって、塩基付加塩を得ることができる。薬学的に許容される無機塩基から誘導される塩の例としては、アルミニウム、アンモニウム、カルシウム、銅、第二鉄、第一鉄、リチウム、マグネシウム、マンガン、マンガンの、カリウム、ナトリウム、亜鉛などが挙げられる。薬学的に許容される有機塩基から誘導される塩は、第一級、第二級および第三級アミンの塩、例えば、置換アミン、環状アミン、天然に存在するアミンなど、例えば、アルギニン、ベタイン、カフェイン、コリン、N,N’-ジベンジルエチレンジアミン、ジエチルアミン、2-ジエチルアミノエタノール、2-ジメチルアミノエタノール、エタノールアミン、エチレンジアミン、N-エチルモルホリン、N-エチルピペリジン、グルカミン、グルコサミン、ヒスチジン、ヒドラバミン、イソプロピルアミン、リジン、メチルグルカミン、モルホリン、ピペラジン、ピペラジン、ポリアミンレジン、プロカイン、プリン、テオブロミン、トリエチルアミン、トリメチルアミン、トリプロピルアミン、トロメタミンなどが含まれる。本開示の化合物が比較的塩基性の官能基を含む場合、酸付加塩は、そのような化合物の中性形態を、そのまま又は適切な不活性溶媒中で、十分な量の所望の酸と接触させることによって得ることができる。薬学的に許容される酸付加塩の例には、塩酸、臭化水素酸、硝酸、炭酸、一水素炭素、リン酸、一水素リン酸、二水素リン酸、硫酸、一水素硫酸、ヨウ化水素酸、又はリン酸などの無機酸、ならびに酢酸、プロピオン酸、イソブチル酸、マロン酸、安息香酸、コハク酸、スベリン酸、フマル酸、マンデル酸、フタル酸、ベンゼンスルホン酸、p-トリルスルホン酸、クエン酸、酒石酸、メタンスルホン酸などの比較的無毒性の有機酸由来の塩が含まれる。アルギン酸などのアミノ酸の塩、及びグルクロン酸若しくはガラクトン酸などの有機酸の塩も含まれる(例えば、Berge,S.M.,et al,“Pharmaceutical Salts”,Journal of Pharmaceutical Science,1977,66,1-19参照)。本開示のある種の特定の化合物は、塩基性及び酸性の官能基の両方を含み、それにより、化合物を塩基又は酸付加塩のいずれかに変換することができる。
【0018】
化合物の中性形態は、塩を塩基又は酸と接触させ、従来の方法で親化合物を単離することによって再生することができる。化合物の親形態は、極性溶媒への溶解度のような特定の物理的性質において種々の塩形態とは異なるが、そうでなければ、塩は本開示の目的のために化合物の親形態と等価である。
【0019】
以下の実施形態に記載される化合物は、WO2010/075257、WO2011/163640及びWO2016/053890に記載される方法に従って得ることができる。
【0020】
III.実施形態の詳細な説明
治療方法
本明細書に提供されるいくつかの態様では、それを必要とするヒトにおいてANCA関連血管炎を治療する方法であって、治療的に有効な量のアバコパン:
【0021】
【0022】
又はその薬学的に許容される塩をヒトに投与することを含む方法が提供され、それにより、血漿補体因子Bb、C3a、又はC5aのレベルは、治療によりヒトにおいて有意に変化しない。
【0023】
アバコパンは、種々の異なる投与経路を用いて投与することができる。いくつかの実施形態において、本方法は、アバコパン又はその薬学的に許容される塩を経口投与することを含む。いくつかの実施形態において、本方法は、アバコパン又はその薬学的に許容される塩を静脈内投与することを含む。
【0024】
アバコパンを受けている患者には、治療上の利益をもたらす投与量が投与される。いくつかの実施形態において、治療的利益を提供する投与量は、限定されるものではないが、約10mg、15mg、20mg、25mg、30mg、35mg、40mg、45mg、50mg、55mg、60mg、65mg、又は70mgの投与量を含む。いくつかの実施形態において、本方法は、約30mgのアバコパンを投与することを含む。
【0025】
投与の頻度は、治療を受けている患者に投与されるアバコパンの投与量、及び治療される疾患の病期を含む種々の因子に依存する。いくつかの実施形態において、本方法は、アバコパンを1日2回投与することを含む。いくつかの実施形態において、本方法は、アバコパンを1日1回投与することを含む。いくつかの実施形態において、アバコパンの1日の総投与量は、約40mg、50mg、60mg又は70mgである。いくつかの実施形態において、アバコパンの1日の総投与量は、約60mgである。
【0026】
治療期間は、投与される1日量、治療される疾患の病期、及び患者の反応を含む多くの因子に依存する。いくつかの実施形態において、本方法は、アバコパンを少なくとも4週間、8週間、12週間、16週間、20週間、24週間、28週間、32週間、36週間、若しくは40週間、またはそれ以上投与することを含む。いくつかの実施形態において、本方法は、少なくとも12週間、アバコパンを投与することを含む。いくつかの実施形態において、本方法は、アバコパンを慢性的に投与することを含む。
【0027】
いくつかの実施形態において、補体因子Bbのレベルは、有意に変化しない。いくつかの実施形態において、補体因子Bbのレベルは、治療直前及び治療の少なくとも1週間又は約1ヵ月後に比較される。いくつかの実施形態において、治療後の補体因子Bbのレベルは、治療前のレベルの約30%、約20%、又は約10%以内である。
【0028】
いくつかの実施形態において、治療前後の補体因子Bbのレベルは、約0.8~1.4μg/mLである。いくつかの実施形態において、治療前後の補体因子Bbのレベルは、約0.4~2μg/mLである。いくつかの実施形態において、治療前後の補体因子Bbのレベルは、約0.4~1.4μg/mLである。いくつかの実施形態において、治療前後の補体因子Bbのレベルは、約0.4~1.2μg/mLである。いくつかの実施形態において、治療前後の補体因子Bbのレベルは、約0.4~1.0μg/mLである。いくつかの実施形態において、治療前後の補体因子Bbのレベルは、約0.4~0.8μg/mLである。いくつかの実施形態において、治療前後の補体因子Bbのレベルは、約0.6~1.2μg/mLである。いくつかの実施形態において、治療前後の補体因子Bbのレベルは、約0.8~1.2μg/mLである。いくつかの実施形態において、治療前後の補体因子Bbのレベルは、約1.0~1.6μg/mLである。いくつかの実施形態において、治療前後の補体因子Bbのレベルは、約1.0~1.4μg/mLである。
【0029】
いくつかの実施形態において、補体因子C3aのレベルは、有意に変化しない。いくつかの具体例において、補体因子C3aのレベルは、治療の直前及び治療開始の約1~約6時間後に比較される。いくつかの実施形態において、補体因子C3aのレベルは、治療の直前及び少なくとも1週間又は約1ヵ月の治療の後に比較される。いくつかの実施形態において、治療後の補体因子C3aのレベルは、治療前のレベルの約30%、約20%、又は約10%以内である。
【0030】
いくつかの実施形態において、治療前後の補体因子C3aのレベルは、約25~100ng/mLである。いくつかの実施形態において、治療前後の補体因子C3aのレベルは、約10~180ng/mLである。いくつかの実施形態において、治療前後の補体因子C3aのレベルは、約15~85ng/mLである。いくつかの実施形態において、治療前後の補体因子C3aのレベルは、約25~75ng/mLである。いくつかの実施形態において、治療前後の補体因子C3aのレベルは、約30~75ng/mLである。いくつかの実施形態において、治療前後の補体因子C3aのレベルは、約50~180ng/mLである。いくつかの実施形態において、治療前後の補体因子C3aのレベルは、約60~120ng/mLである。いくつかの実施形態において、治療前後の補体因子C3aのレベルは、約50~150ng/mLである。
【0031】
いくつかの実施形態において、補体因子C5aのレベルは、有意に変化しない。いくつかの実施形態において、補体因子C5aのレベルは、治療の直前及び少なくとも1週間又は約1ヵ月の治療の後に比較される。いくつかの実施形態において、治療後の補体因子C5aのレベルは、治療前のレベルの約30%、約20%、又は約10%以内である。
【0032】
いくつかの実施形態において、治療前後の補体因子C5aのレベルは、約4~10ng/mLである。いくつかの実施形態において、治療前後の補体因子C5aのレベルは、約2~20ng/mLである。いくつかの実施形態において、治療前後の補体因子C5aのレベルは、約3~15ng/mLである。いくつかの実施形態において、治療前後の補体因子C5aのレベルは、約3~8ng/mLである。いくつかの実施形態において、治療前後の補体因子C5aのレベルは、約6~15ng/mLである。いくつかの実施形態において、治療前後の補体因子C5aのレベルは、約5.5~12.5ng/mLである。いくつかの実施形態において、治療前後の補体因子C5aのレベルは、約7~10ng/mLである。
【0033】
ANCA関連血管炎は、様々な抗原を標的とする自己抗体の形成によって引き起こされることがある。いくつかの実施形態において、ANCA関連血管炎は、抗MPO抗体によって引き起こされる。いくつかの実施形態において、ANCA関連血管炎は、抗PR3抗体によって引き起こされる。
【0034】
本明細書に提供されるいくつかの態様において、治療的に有効な量のアバコパン:
【0035】
【0036】
又はその薬学的に許容される塩をヒトに投与することを含む、それを必要とするヒトにおけるC5aRを阻害する方法であり、それにより、血漿補体因子Bb、C3a、またはC5aのレベルがC5aR阻害によりヒトにおいて有意に変化しない。
【0037】
アバコパンは、種々の異なる投与経路を用いて投与することができる。いくつかの実施形態において、本方法は、アバコパン又はその薬学的に許容される塩を経口投与することを含む。いくつかの実施形態において、本方法は、アバコパン又はその薬学的に許容される塩を静脈内投与することを含む。
【0038】
アバコパンを受けている患者には、治療上の利益をもたらす投与量が投与される。いくつかの実施形態において、治療的利益を提供する投与量は、限定されるものではないが、約10mg、15mg、20mg、25mg、30mg、35mg、40mg、45mg、50mg、55mg、60mg、65mg、又は70mgの投与量を含む。いくつかの実施形態において、本方法は、約30mgのアバコパンを投与することを含む。
【0039】
投与の頻度は、治療を受けている患者に投与されるアバコパンの投与量、及び治療される疾患の病期を含む種々の因子に依存する。いくつかの実施形態において、本方法は、アバコパンを1日2回投与することを含む。いくつかの実施形態において、本方法は、アバコパンを1日1回投与することを含む。いくつかの実施形態において、アバコパンの1日の総投与量は、約40mg、50mg、60mg又は70mgである。いくつかの実施形態において、アバコパンの1日の総投与量は、約60mgである。
【0040】
治療期間は、投与される1日量、治療される疾患の病期、及び患者の反応を含む多くの因子に依存する。いくつかの実施形態において、本方法は、少なくとも4週間、8週間、12週間、16週間、20週間、24週間、28週間、32週間、36週間、若しくは40週間、又はそれ以上アバコパンを投与することを含む。いくつかの実施形態において、本方法は、少なくとも12週間、アバコパンを投与することを含む。いくつかの実施形態において、本方法は、アバコパンを慢性的に投与することを含む。
【0041】
いくつかの実施形態において、投与後の補体因子のレベルは、投与前のレベルの約30%、約20%、又は約10%以内である。
【0042】
併用療法もまた、本開示において意図される。いくつかの実施形態において、本明細書に記載される方法は、コルチコステロイドの投与をさらに含む。いくつかの実施形態において、コルチコステロイドは、プレドニゾン、ベタメタゾン、プレドニゾロン、トリアムシノロン、メチルプレドニゾロン、デキサメタゾン、又はフルドロコルチゾンである。いくつかの実施形態において、コルチコステロイドは、プレドニゾンである。いくつかの実施形態において、本明細書に記載される方法は、CD20阻害剤の投与をさらに含む。いくつかの実施形態において、CD20阻害剤は、リツキシマブ、オファツムマブ、オクレリズマブ、トシツモマブ、オビヌツズマブ、又はイブリツモマブである。いくつかの実施形態において、CD20阻害剤は、リツキシマブである。いくつかの実施形態において、本明細書に記載される方法は、シクロホスファミドの投与をさらに含む。
【0043】
医薬組成物
アバコパンは、典型的には薬学的担体又は希釈剤を含有する組成物として投与することができる。
【0044】
本明細書において使用される用語「組成物」とは、特定の成分を特定量で含む製造物と、特定の成分を特定量で組み合わせた結果、直接的又は間接的に生じる製造物を指す。
【0045】
いくつかの実施形態において、医薬組成物は、1つ以上のさらなる治療剤をさらに含む。
【0046】
本開示の化合物を投与するための医薬組成物は、簡便には、単位投与形態で提供することができ、医薬及びドラッグデリバリーの分野で周知の任意の方法によって調製することができる。全ての方法は、活性成分を、1つ以上の補助成分を構成する担体と結合させる工程を含む。一般に、医薬組成物は、活性成分を液体担体又は微細に分割された固体担体又はその両方と一様かつ密接に結合させ、次に、必要であれば、製造物を所望の製剤に成形することによって調製される。医薬組成物において、活性目的化合物は、疾患のプロセス又は状態に所望の効果をもたらすのに十分な量に含まれる。
【0047】
活性成分を含有する医薬組成物は、経口使用に適した形態、例えば、錠剤、トローチ、ロゼンジ、水性又は油性懸濁液、分散性粉末又は顆粒、エマルジョン及び自己乳化(米国特許出願第2002-0012680号に記載される)、硬質又は軟質カプセル、シロップ、エリキシル、溶液、口腔パッチ、経口ゲル、チューインガム、チューイング錠、発泡性粉末及び発泡性錠剤であってもよい。経口使用を意図する組成物は、医薬組成物の製造のための当該技術分野で公知の任意の方法に従って調製することができ、このような組成物は、薬学的に優雅で味のよい調剤を提供するために、甘味剤、香味剤、着色剤、酸化防止剤及び保存剤からなる群から選択される1種以上の薬剤を含有することができる。錠剤は、錠剤の製造に適した非毒性の薬学的に許容される賦形剤と混合した活性成分を含有する。これらの賦形剤は、例えば、セルロース、二酸化ケイ素、酸化アルミニウム、炭酸カルシウム、炭酸ナトリウム、グルコース、マンニトール、ソルビトール、ラクトース、リン酸カルシウム又はリン酸ナトリウムのような不活性希釈剤;例えばトウモロコシ澱粉又はアルギン酸のような顆粒化剤及び崩壊剤;例えばPVP、セルロース、PEG、澱粉、ゼラチン又はアラビアゴムのような結合剤;及び例えばステアリン酸マグネシウム、ステアリン又はタルクのような平滑剤であってもよい。錠剤は、コーティングされていなくてもよく、あるいは経腸的に又は他には、消化管における崩壊及び吸収を遅延させ、それによってより長い期間にわたって持続的な作用を提供する公知の技術によってコーティングされてもよい。例えば、モノステアリン酸グリセリル又はジステアリン酸グリセリルのような時間遅延材料を用いることができる。それらはまた、米国特許第4,256,108号;第4,166,452号;及び第4,265,874号に記載された技術によってコーティングして、制御放出のための浸透性治療錠剤を形成することができる。
【0048】
経口使用のための製剤はまた、活性成分が不活性固体希釈剤、例えば、炭酸カルシウム、リン酸カルシウム又はカオリン、種々の平均サイズのポリエチレングリコール(例えば、PEG400、PEG4000)、及びある種の界面活性剤、例えば、クレモフォア又はソルトールと混合される硬質ゼラチンカプセルとして、あるいは活性成分が水又は油媒体、例えば、落花生油、流動パラフィン又はオリーブ油と混合される軟質ゼラチンカプセルとして提供され得る。さらに、エマルジョンは、油のような非水混和性成分で調製され、モノ又はジグリセリド、PEGエステルなどのような界面活性剤で安定化され得る。
【0049】
混合物(水性懸濁液の製造に適した賦形剤を含む)中に活性物質を含有する水性懸濁液はまた、本方法に適している。そのような賦形剤は、懸濁剤、例えば、カルボキシメチルセルロースナトリウム、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、アルギン酸ナトリウム、ポリビニル-ピロリドン、トラガカントゴム及びアラビアゴムであり;分散剤又は湿潤剤は、天然に存在するホスファチド、例えば、レシチン、又はアルキレンオキシドと脂肪酸との縮合生成物、例えば、ポリオキシ-エチレンステアレート、又はエチレンオキシドと長鎖脂肪族アルコールとの縮合生成物、例えば、ヘプタデカエチレンオキシセタノール、又はエチレンオキシドと、脂肪酸及びヘキシトールから誘導される部分エステルとの縮合生成物、例えば、ポリオキシエチレンソルビトールモノオレイン酸、又はエチレンオキシドと、脂肪酸及び無水ヘキシトールから誘導される部分エステルとの縮合生成物、例えば、ポリエチレンソルビタンモノオレイン酸であり得る。水性懸濁液はまた、1つ以上の保存剤、例えば、エチル、又はn-プロピル、p-ヒドロキシ安息香酸塩、1つ以上の着色剤、1つ以上の香味剤、及び1つ以上の甘味剤、例えば、スクロース又はサッカリンを含み得る。
【0050】
油性懸濁液は、活性成分を植物油、例えば、落花生油、オリーブ油、ゴマ油又はココナッツ油中に、又は液体パラフィンのような鉱油中に懸濁することによって製剤化することができる。油性懸濁液は、増粘剤、例えば、蜜ろう、硬質パラフィン又はセチルアルコールを含有することができる。上述したもののような甘味剤、及び香味剤を添加して、口腔内調合物を好適に提供することができる。これらの組成物は、アスコルビン酸のような抗酸化剤の添加によって保存することができる。
【0051】
水の添加による水性懸濁液の調製に適した分散性粉末及び顆粒は、分散剤又は湿潤剤、懸濁剤及び1以上の保存剤と混合した活性成分を提供する。適切な分散剤又は湿潤剤及び懸濁剤は、既に上述したものによって例示される。追加の賦形剤、例えば、甘味料、香味料及び着色剤も存在し得る。
【0052】
本開示の医薬組成物はまた、水中油型エマルジョンの形態であってもよい。油性相は、植物油、例えば、オリーブ油又は落花生油、又は鉱油、例えば、流動パラフィン又はこれらの混合物であってもよい。適切な乳化剤は、天然に存在するゴム、例えばアラビアゴム又はトラガカントゴム、天然に存在するホスファチド、例えば大豆、レシチン、及び脂肪酸及び無水ヘキシトールから誘導されるエステル又は部分エステル、例えばソルビタンモノオレイン酸、及び前記部分エステルとエチレンオキシドとの縮合生成物、例えばポリオキシエチレンソルビタンモノオレイン酸であり得る。エマルジョンはまた、甘味剤及び香味剤を含んでもよい。
【0053】
シロップ及びエリキシルは、甘味剤、例えば、グリセロール、プロピレングリコール、ソルビトール又はスクロースとともに製剤化することができる。このような製剤はまた、粘滑剤、防腐剤、香味剤、着色剤を含んでもよい。経口溶液は、例えば、シクロデキストリン、PEG及び界面活性剤と組み合わせて調製することができる。
【0054】
医薬組成物は、無菌の注射可能な水性又は油脂性懸濁液の形態であってもよい。この懸濁液は、上述した適切な分散剤又は湿潤剤及び懸濁剤を用いて、公知の技術に従って製剤化することができる。また、無菌注射用製剤は、例えば1,3-ブタンジオール中の溶液のような、非毒性の非経口的に許容される希釈剤又は溶媒中の無菌注射用溶液又は懸濁液であってもよい。使用され得る許容可能なビヒクル及び溶媒の中には、水、リンゲル溶液及び等張塩化ナトリウム溶液がある。さらに、無菌の固定油を溶媒又は懸濁媒体として慣用的に使用する。この目的のために、合成モノグリセリド又はジグリセリドを含む任意の無刺激性の不揮発性油を使用することができる。さらに、オレイン酸のような脂肪酸は、注射剤の調製に使用される。
【0055】
化合物(アバコパン)又はその組成物はまた、薬物の直腸投与のための坐薬の形態で投与することもできる。これらの組成物は、通常の温度では固体であるが、直腸温度では液体であり、したがって、直腸内で融解して薬物を放出する適切な非刺激性賦形剤と薬物を混合することによって調製することができる。このような材料には、カカオ脂及びポリエチレングリコールが含まれる。さらに、化合物は、溶液又は軟膏によって眼への送達を介して投与することができる。さらに、本化合物の経皮送達は、イオン泳動パッチなどによって達成することができる。局所使用のためには、本開示の化合物を含有するクリーム、軟膏、ゼリー、溶液又は懸濁液などが使用される。本明細書中で使用されるように、局所適用は、口腔洗浄剤及びうがい剤の使用も含むことを意味する。
【0056】
化合物(アバコパン)又はその組成物はまた、標的化可能な薬物担体としての適切なポリマーである担体と結合することができる。このようなポリマーとしては、ポリビニルピロリドン、ピラン共重合体、ポリヒドロキシプロピルメタクリルアミド-フェノール、ポリヒドロキシエチルアスパルアミド-フェノール、又はパルミトイル残基で置換されたポリエチレンオキシド-ポリリジンが挙げられる。さらに、本開示の化合物は、薬剤の制御された放出を達成するのに有用な一種の生分解性ポリマー、例えば、ポリ乳酸、ポリグリコール酸、ポリ乳酸とポリグリコール酸のコポリマー、ポリイプシロンカプロラクトン、ポリヒドロキシ酪酸、ポリオルトエステル、ポリアセタール、ポリジヒドロピラン、ポリシアノアクリレート、及びヒドロゲルの架橋又は両親媒性ブロックコポリマーに結合することができる。ポリマー及び半透性ポリマーマトリックスは、バルブ、ステント、チューブ、人工器官などのような成形品に形成することができる。本開示の1つの実施形態において、本開示の化合物は、ステント又はステント-グラフトデバイスとして形成されるポリマー又は半透性ポリマーマトリックスに結合される。
【0057】
IV.特定の実施形態
実施形態1:治療的に有効な量のアバコパン:
【0058】
【0059】
又はその薬学的に許容される塩をヒトに投与することを含む、それを必要とするヒトにおけるANCA関連血管炎を治療する方法であって、それにより、血漿補体因子Bb、C3a、又はC5aのレベルが治療によりヒトにおいて有意に変化しない方法。
【0060】
実施形態2:アバコパン又はその薬学的に許容される塩を経口投与することを含む、実施形態1の方法。
【0061】
実施形態3:アバコパンを投与することを含む、実施形態1又は2の方法。
【0062】
実施形態4:約30mgのアバコパンを投与することを含む、実施形態1~3のいずれか1つの方法。
【0063】
実施形態5:アバコパンを1日2回投与することを含む、実施形態1~4のいずれか1つの方法。
【0064】
実施形態6:少なくとも12週間、アバコパンを投与することを含む、実施形態1~5のいずれか1つの方法。
【0065】
実施形態7:補体因子Bbのレベルが有意に変化しない、実施形態1~6のいずれか1つの方法。
【0066】
実施形態8:補体因子Bbのレベルが、治療直前及び治療の少なくとも1週間又は約1ヵ月後に比較される、実施形態7の方法。
【0067】
実施形態9:補体因子C3aのレベルが有意に変化しない、実施形態1~8のいずれか1つの方法。
【0068】
実施形態10:補体因子C3aのレベルが、治療直前及び治療開始から約1~約6時間後に比較される、実施形態9の方法。
【0069】
実施形態11:補体因子C3aのレベルが、治療直前及び治療の少なくとも1週間又は約1ヵ月後に比較される、実施形態9の方法。
【0070】
実施形態12:補体因子C5aのレベルが有意に変化しない、実施形態1~11のいずれか1つに記載の方法。
【0071】
実施形態13:補体因子C5aのレベルが、治療直前及び治療の少なくとも1週間又は約1ヵ月後に比較される、実施形態12の方法。
【0072】
実施形態14:コルチコステロイドを投与することをさらに含む、実施形態1~13のいずれか1つに記載の方法。
【0073】
実施形態15:コルチコステロイドがプレドニゾンである、実施形態14の方法。
【0074】
実施形態16:治療後の補体因子のレベルが、治療前のレベルの約30%、約20%、又は約10%以内である、実施形態1~15のいずれか1つの方法。
【0075】
実施形態17:治療的に有効な量のアバコパン:
【0076】
【0077】
又はその薬学的に許容される塩をヒトに投与する工程を含む、それを必要とするヒトにおけるC5aRを阻害する方法であって、それにより、血漿補体因子Bb、C3a、又はC5aのレベルがC5aR阻害によりヒトにおいて有意に変化しない方法。
【0078】
実施形態18:アバコパン又はその薬学的に許容される塩を経口投与することを含む、実施形態17の方法。
【0079】
実施形態19:アバコパンを投与することを含む、実施形態17又は18の方法。
【0080】
実施形態20:約30mgのアバコパンを投与することを含む、実施形態17~19のいずれか1つの方法。
【0081】
実施形態21:アバコパンを1日2回投与する工程を含む、実施形態17~20のいずれか1つの方法。
【0082】
実施形態22:少なくとも12週間、アバコパンを投与することを含む、実施形態17~21のいずれか1つの方法。
【0083】
実施形態23:投与後の補体因子のレベルが、投与前のレベルの約30%、約20%、又は約10%以内である、実施形態17~22のいずれか1つの方法。
【0084】
実施形態24:ANCA関連血管炎の治療における、それを必要とするヒトにおいて使用するためのアバコパン又はその薬学的に許容される塩であって、血漿補体因子Bb、C3a、又はC5aのレベルが、治療によりヒトにおいて有意に変化しない、アバコパン又はその薬学的に許容される塩。
【0085】
実施形態25:アバコパン又は薬学的に許容される塩が経口投与される、実施形態24に記載の使用のためのアバコパン又はその薬学的に許容される塩。
【0086】
実施形態26:約30mgのアバコパンが投与される、実施形態24又は25に記載の使用のためのアバコパン又はその薬学的に許容される塩。
【0087】
実施形態27:アバコパンが1日2回投与される、実施形態24~26のいずれか1つに記載の使用のためのアバコパン又はその薬学的に許容される塩。
【0088】
実施形態28:アバコパンが少なくとも12週間投与される、実施形態24~27のいずれか1つに記載の使用のためのアバコパン又はその薬学的に許容される塩。
【0089】
実施形態29:補体因子Bbのレベルが有意に変化しない、実施形態24~28のいずれか1つに記載の使用のためのアバコパン又はその薬学的に許容される塩。
【0090】
実施形態30:補体因子Bbのレベルが、治療直前及び治療の少なくとも1週間又は約1ヵ月後に比較される、実施形態29に記載の使用のためのアバコパン又はその薬学的に許容される塩。
【0091】
実施形態31:治療前後の補体因子Bbのレベルが、約0.8~1.4μg/mLである、実施形態29又は30に記載の使用のためのアバコパン又はその薬学的に許容される塩。
【0092】
実施形態32:治療後の補体因子Bbのレベルが、治療前のレベルの約30%、約20%、又は約10%以内である、実施形態29~31のいずれか1つに記載の使用のためのアバコパン又はその薬学的に許容される塩。
【0093】
実施形態33:補体因子C3aのレベルが有意に変化しない、実施形態24~32のいずれか1つに記載の使用のためのアバコパン又はその薬学的に許容される塩。
【0094】
実施形態34:補体因子C3aのレベルが、治療直前及び治療開始から約1~約6時間後に比較される、実施形態33に記載の使用のためのアバコパン又はその薬学的に許容される塩。
【0095】
実施形態35:補体因子C3aのレベルが、治療の直前及び治療の少なくとも1週間又は約1ヵ月後に比較される、実施形態33に記載の使用のためのアバコパン又はその薬学的に許容される塩。
【0096】
実施形態36:治療前後の補体因子C3aのレベルが、約25~100ng/mLである、実施形態33~35のいずれか1つに記載の使用のためのアバコパン又はその薬学的に許容される塩。
【0097】
実施形態37:治療後の補体因子C3aのレベルが、治療前のレベルの約30%、約20%、又は約10%以内である、実施形態33~36のいずれか1つに記載の使用のためのアバコパン又はその薬学的に許容される塩。
【0098】
実施形態38:補体因子C5aのレベルが有意に変化しない、実施形態24~37のいずれか1つに記載の使用のためのアバコパン又はその薬学的に許容される塩。
【0099】
実施形態39:補体因子C5aのレベルが、治療直前及び治療の少なくとも1週間又は約1ヵ月後に比較される、実施形態38に記載の使用のためのアバコパン又はその薬学的に許容される塩。
【0100】
実施形態40:治療前後の補体因子C5aのレベルが、約4~10ng/mLである、実施形態38又は39に記載の使用のためのアバコパン又はその薬学的に許容される塩。
【0101】
実施形態41:治療後の補体因子C5aのレベルが、治療前のレベルの約30%、約20%、又は約10%以内である、実施形態38~40のいずれか1つに記載の使用のためのアバコパン又はその薬学的に許容される塩。
【0102】
実施形態42:それを必要とするヒトにおけるANCA関連血管炎が、抗MPO ANCA関連血管炎である、実施形態24~41のいずれか1つに記載の使用のためのアバコパン又はその薬学的に許容される塩。
【0103】
実施形態43:それを必要とするヒトにおけるANCA関連血管炎が、抗PR3 ANCA関連血管炎である、実施形態24~41のいずれか1つに記載の使用のためのアバコパン又はその薬学的に許容される塩。
【0104】
実施形態44:コルチコステロイドがさらに投与される、実施形態24~43のいずれか1つに記載の使用のためのアバコパン又はその薬学的に許容される塩。
【0105】
実施形態45:コルチコステロイドがプレドニゾンである、実施形態44に記載の使用のためのアバコパン又はその薬学的に許容される塩。
【0106】
実施形態46:CD20阻害剤がさらに投与される、実施形態24~45のいずれか1つに記載の使用のためのアバコパン又はその薬学的に許容される塩。
【0107】
実施形態47:CD20阻害剤がリツキシマブである、実施形態46に記載の使用のためのアバコパン又はその薬学的に許容される塩。
【0108】
実施形態48:シクロホスファミドがさらに投与される、実施形態24~47のいずれか1つに記載の使用のためのアバコパン又はその薬学的に許容される塩。
【0109】
実施形態49:それを必要とするヒトにおいてC5aRの阻害に使用するためのアバコパン又はその薬学的に許容される塩であって、血漿補体因子Bb、C3a、又はC5aのレベルが、C5aRの阻害によりヒトにおいて有意に変化しない、アバコパン又はその薬学的に許容される塩。
【0110】
実施形態50:アバコパン又はその薬学的に許容される塩が経口投与される、実施形態49に記載の使用のためのアバコパン又はその薬学的に許容される塩。
【0111】
実施形態51:約30mgのアバコパンが投与される、実施形態49又は50に記載の使用のためのアバコパン又はその薬学的に許容される塩。
【0112】
実施形態52:アバコパンが1日2回投与される、実施形態49~51のいずれか1つに記載の使用のためのアバコパン又はその薬学的に許容される塩。
【0113】
実施形態53:アバコパンが少なくとも12週間投与される、実施形態49~52のいずれか1つに記載の使用のためのアバコパン又はその薬学的に許容される塩。
【0114】
実施形態54:投与後の補体因子のレベルが、投与前のレベルの約30%、約20%、又は約10%以内である、実施形態49~53のいずれか1つに記載の使用のためのアバコパン又はその薬学的に許容される塩。
【実施例0115】
V.実施例
実施例:ANCA関連血管炎(AAV)における血漿補体レベルに対する選択的C5aRアンタゴニストアバコパンの効果
方法
CLEAR試験(Jayne DRWら、JASN 2017;28:2756)は、AAV患者67人における3つのレジメンを比較した:(1)全量プレドニゾン(60mg/日、漸減);(2)アバコパン30mg/1日2回+低用量プレドニゾン(20mg、漸減);(3)アバコパン30mg/1日2回+プレドニゾンなし。また、全てにシクロホスファミド又はリツキシマブのいずれかを投与した。12週間の治療期間と12週間の追跡期間を設けた。
【0116】
CLEAR試験に参加したAAV患者から、ベースライン時、治療中の6時間、8日目、29日目、85日目に血漿試料を採取した。年齢、性別、民族的背景をマッチさせた20人の健康対照から血漿試料をUNC腎臓センターで採取した。
【0117】
採取直後にEDTA全血を氷上に置き、血漿調製のために4℃で遠心分離した。血漿試料は、ELISA法により補体Bb、C5a、C5a、sC3b-9及びプロパージンを一度の解凍で分析するまで、-80℃の冷凍庫で保管した。
【0118】
対数変換データを用いて、群内比較に対応のあるt検定を用い、群間比較に対応のないt検定を用いた。P値は多重比較のために補正した。
【0119】
結果
治療前に、C3a、sC5b-9及びプロパージンのレベルは、マッチした健常対照と比較して、AAV患者で有意に上昇した(幾何平均[95%]、C3a、67.2[57.5-78.7]対23.2[16.9-31.9]ng/mL、p<0.001;C5a、7.55[6.50-8.78]対5.19[3.87-6.95]ng/mL、p<0.05;sC5b-9、241(222-262)対155(136-178)ng/mL、p<0.001;プロパージン、18.4[16.9-20.0]対13.1[11.4-15.6]μg/mL、p<0.001)(
図4)。プレドニゾンの全量投与を受けた対象では、Bb、C3a、及びC5aのレベルは、8日目と29日目に有意に低下し、85日目に再び上昇し、漸減と一致した(
図5A、
図6A、7A)。対照的に、アバコパンの投与は、循環補体レベルに影響を及ぼさなかった(
図5B-C、
図6C、
図7B-C)。いずれの投与群においても、平均血漿sC5b-9値又はプロパージン値にベースラインからの変化は認められなかった(
図8A-C及び
図9A-C)。結果の要約を表1に示す。
【0120】
【0121】
全体として、AAV患者は、治療前に健常対照者と比較した場合、補体活性化産物の循環レベルが高かった。アバコパンは、12週間の治療期間中に補体活性化産物レベルに影響を及ぼすことなく、AAVにおいて臨床的有益性を達成した。プレドニゾンは、上流の補体活性化の一過性の減少と関連した。
【0122】
結論
アバコパンは、補体系への明らかな影響なしにAAVの急速な改善と関連した。特に、C5b-9(膜侵襲複合体)の集合、及び宿主防御(例えば、細菌感染)及び組織修復に重要な補体系の上流活性は、アバコパンの投与によって変化しなかった。対照的に、グルココルチコイドは、上流の補体活性化産物の循環レベルの用量依存的減少と関連した。
【0123】
前述の発明は、理解を明確にする目的で、例示及び例示として、ある程度詳細に説明されてきたが、当業者は、特定の変更及び修正が、添付の特許請求の範囲の範囲内で実施され得ることを理解するであろう。さらに、本明細書に提供される各参照は、各参照が参照により個々に援用された場合と同じ程度に、その全体が参照により本明細書に援用される。本願と本願明細書に記載する引例との間に相反がある場合は、本願が優先するものとする。