(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024114717
(43)【公開日】2024-08-23
(54)【発明の名称】隙間閉塞方法、隙間閉塞構造体、及び隙間閉塞構造体の製造方法
(51)【国際特許分類】
G09F 9/33 20060101AFI20240816BHJP
G09F 9/00 20060101ALI20240816BHJP
G09F 9/40 20060101ALI20240816BHJP
G09F 9/30 20060101ALI20240816BHJP
C09J 9/00 20060101ALI20240816BHJP
C09K 3/10 20060101ALI20240816BHJP
H01L 33/00 20100101ALI20240816BHJP
【FI】
G09F9/33
G09F9/00 338
G09F9/40 301
G09F9/30 349C
C09J9/00
C09K3/10 R
H01L33/00 L
【審査請求】有
【請求項の数】29
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024093647
(22)【出願日】2024-06-10
(62)【分割の表示】P 2019179323の分割
【原出願日】2019-09-30
(71)【出願人】
【識別番号】000003964
【氏名又は名称】日東電工株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002000
【氏名又は名称】弁理士法人栄光事務所
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼嶋 淳
(72)【発明者】
【氏名】水原 銀次
(57)【要約】
【課題】隙間を備える構造体における、隙間のエッジ部に起因する悪影響を適切に抑制することができる、隙間閉塞方法を提供する。
【解決手段】隙間を備える構造体の隙間に沿って糸状粘着体を挿入することにより隙間を閉塞する隙間閉塞方法であって、隙間の内面の少なくとも一部、および隙間のエッジ部に糸状粘着体が接触するように隙間に糸状粘着体を挿入する、隙間閉塞方法。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
隙間を備える構造体の前記隙間に沿って糸状粘着体を挿入することにより前記隙間を閉塞する隙間閉塞方法であって、
前記隙間の内面の少なくとも一部、および前記隙間のエッジ部に前記糸状粘着体が接触するように前記隙間に前記糸状粘着体を挿入する、隙間閉塞方法。
【請求項2】
前記構造体の前記隙間を備える表面は前記隙間により完全に分離されており、前記隙間を備える表面の少なくとも一部にも、前記糸状粘着体が接触するように前記隙間に前記糸状粘着体を挿入する、請求項1に記載の隙間閉塞方法。
【請求項3】
前記構造体の前記隙間を備える表面は前記隙間により完全に分離されておらず、前記隙間を備える表面の少なくとも一部にも、前記糸状粘着体が接触するように前記隙間に前記糸状粘着体を挿入する、請求項1に記載の隙間閉塞方法。
【請求項4】
前記糸状粘着体を変形させながら前記隙間に挿入する、請求項1~3のいずれか1項に記載の隙間閉塞方法。
【請求項5】
前記糸状粘着体の前記隙間に挿入される前の状態における直径は、前記隙間の幅の0.6~4倍である請求項1~4のいずれか1項に記載の隙間閉塞方法。
【請求項6】
前記糸状粘着体の、25℃における長さ5cmあたり500g荷重で太さ方向に圧縮された際の変形率が5~90%である、請求項1~5のいずれか1項に記載の隙間閉塞方法。
【請求項7】
前記糸状粘着体の25℃における10%ひずみ時の引っ張り応力が0.02~10Nである、請求項1~6のいずれか1項に記載の隙間閉塞方法。
【請求項8】
前記糸状粘着体の25℃における20%伸長回復率が20%以上である、請求項1~7のいずれか1項に記載の隙間閉塞方法。
【請求項9】
前記構造体は、基板と、前記基板上に配置された複数のLEDチップとを備えるLEDモジュールが複数並べて配置されたLEDモジュール組立体であり、前記隙間は、前記LEDモジュール組立体における、隣り合うLEDモジュールの基板どうしの間の隙間である、請求項1~8のいずれか1項に記載の隙間閉塞方法。
【請求項10】
前記糸状粘着体は黒色である、請求項9に記載の隙間閉塞方法。
【請求項11】
隙間を備える構造体と、前記隙間に沿って挿入されて前記隙間を閉塞する糸状粘着体とを備える隙間閉塞構造体であって、
前記糸状粘着体は、前記隙間の内面の少なくとも一部、および前記隙間のエッジ部に接触している、隙間閉塞構造体。
【請求項12】
前記構造体の前記隙間を備える表面は前記隙間により完全に分離されており、前記隙間を備える表面の少なくとも一部にも、前記糸状粘着体が接触している、請求項11に記載の隙間閉塞構造体。
【請求項13】
前記構造体の前記隙間を備える表面は前記隙間により完全に分離されておらず、前記隙間を備える表面の少なくとも一部にも、前記糸状粘着体が接触している、請求項11に記載の隙間閉塞構造体。
【請求項14】
前記糸状粘着体の前記隙間に挿入される前の状態における直径は、前記隙間の幅の0.6~4倍である請求項11~13のいずれか1項に記載の隙間閉塞構造体。
【請求項15】
前記糸状粘着体の、25℃における長さ5cmあたり500g荷重で太さ方向に圧縮された際の変形率が5~90%である、請求項11~14のいずれか1項に記載の隙間閉塞構造体。
【請求項16】
前記糸状粘着体の25℃における10%ひずみ時の引っ張り応力が0.02~10Nである、請求項11~15のいずれか1項に記載の隙間閉塞構造体。
【請求項17】
前記糸状粘着体の25℃における20%伸長回復率が20%以上である、請求項11~16のいずれか1項に記載の隙間閉塞構造体。
【請求項18】
前記構造体は、基板と、前記基板上に配置された複数のLEDチップとを備えるLEDモジュールが複数並べて配置されたLEDモジュール組立体であり、前記隙間は、前記LEDモジュール組立体における、隣り合うLEDモジュールの基板どうしの間の隙間である、請求項11~17のいずれか1項に記載の隙間閉塞構造体。
【請求項19】
前記糸状粘着体は黒色である、請求項18に記載の隙間閉塞構造体。
【請求項20】
隙間を備える構造体の前記隙間に沿って糸状粘着体を挿入することにより前記隙間を閉塞する、隙間閉塞構造体の製造方法であって、
前記隙間の内面の少なくとも一部、および前記隙間のエッジ部に前記糸状粘着体が接触するように前記隙間に前記糸状粘着体を挿入する、隙間閉塞構造体の製造方法。
【請求項21】
前記構造体の前記隙間を備える表面は前記隙間により完全に分離されており、前記隙間を備える表面の少なくとも一部にも、前記糸状粘着体が接触するように前記隙間に前記糸状粘着体を挿入する、請求項20に記載の隙間閉塞構造体の製造方法。
【請求項22】
前記構造体の前記隙間を備える表面は前記隙間により完全に分離されておらず、前記隙間を備える表面の少なくとも一部にも、前記糸状粘着体が接触するように前記隙間に前記糸状粘着体を挿入する、請求項20に記載の隙間閉塞構造体の製造方法。
【請求項23】
前記糸状粘着体を変形させながら前記隙間に挿入する、請求項20~22のいずれか1項に記載の隙間閉塞構造体の製造方法。
【請求項24】
前記糸状粘着体の前記隙間に挿入される前の状態における直径は、前記隙間の幅の0.6~4倍である請求項20~23のいずれか1項に記載の隙間閉塞構造体の製造方法。
【請求項25】
前記糸状粘着体の、25℃における長さ5cmあたり500g荷重で太さ方向に圧縮された際の変形率が5~90%である、請求項20~24のいずれか1項に記載の隙間閉塞構造体の製造方法。
【請求項26】
前記糸状粘着体の25℃における10%ひずみ時の引っ張り応力が0.02~10Nである、請求項20~25のいずれか1項に記載の隙間閉塞構造体の製造方法。
【請求項27】
前記糸状粘着体の25℃における20%伸長回復率が20%以上である、請求項20~26のいずれか1項に記載の隙間閉塞構造体の製造方法。
【請求項28】
前記構造体は、基板と、前記基板上に配置された複数のLEDチップとを備えるLEDモジュールが複数並べて配置されたLEDモジュール組立体であり、前記隙間は、前記LEDモジュール組立体における、隣り合うLEDモジュールの基板どうしの間の隙間である、請求項20~27のいずれか1項に記載の隙間閉塞構造体の製造方法。
【請求項29】
前記糸状粘着体は黒色である、請求項28に記載の隙間閉塞構造体の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、隙間閉塞方法、隙間閉塞構造体、及び隙間閉塞構造体の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
隙間を備える構造体において、隙間のエッジ部が悪影響を及ぼす場合がある。
LEDディスプレイに適用されるLEDモジュール組立体を例にとって説明する。LEDモジュール組立体は、基板と、基板上に形成された複数のLEDチップとを備えるLEDモジュールが複数並べて配置された組立体である。LEDモジュール組立体においては、隣り合うLEDモジュールの基板どうしの間に数十~数百μm程度の隙間が生じるが、この隙間のエッジ部(基板の端面とLEDチップ載置面とがなす角部)において光が乱反射するのでLEDの消灯時において隙間が目立ってしまい、美観を損なうという問題が生じる。
【0003】
引用文献1においては上記の問題を回避するために、隣り合うLEDモジュールの基板を継ぎ合わせ、さらに当該継ぎ合わせ部上にブラックカラー材料を含む液状又はゲル状の樹脂材料を塗布して光吸収層を形成している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、引用文献1のようにLEDモジュールの基板間の隙間に液状又はゲル状の樹脂材料を塗布すると液だれが生じる恐れがあり、製造工程における工数の増加を招く恐れがある。
【0006】
液状又はゲル状の樹脂材料を用いずにエッジ部における光の乱反射を防ぐ方法としては、基板の間の隙間を粘着テープにより覆う方法が挙げられる。
図1に、基板1の間の隙間2が、粘着テープ3によって覆われたLEDモジュール組立体における、隙間2の周辺を拡大した断面図を示す。当該方法には以下のような問題点がある。
LEDモジュールにおいては通常基板の端部付近までLEDチップが載置されており、このLEDチップを避けつつ基板間の隙間を覆うためには粘着テープの幅を極めて細くするする必要がある。しかしながら、幅細のテープはよじれやすいため取り扱い性が悪く、したがってこのようなテープを用いる方法は、多大な工数の増加を招く。また、基板端部付近のLEDチップが載置されていないわずかな部分にしか粘着テープを貼付できないため、接着面積、ひいては接着強度の確保が困難であり、粘着テープがはがれてしまいやすい。
【0007】
本発明は、このような事情のもとで考え出されたものであって、隙間を備える構造体における、隙間のエッジ部に起因する悪影響を適切に抑制することができる、隙間閉塞方法を提供することを目的とする。
また、本発明は、隙間のエッジ部に起因する悪影響が適切に抑制された隙間閉塞構造体、およびその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決する本発明の隙間閉塞方法は、隙間を備える構造体の隙間に沿って糸状粘着体を挿入することにより隙間を閉塞する隙間閉塞方法であって、隙間の内面の少なくとも一部、および隙間のエッジ部に糸状粘着体が接触するように隙間に糸状粘着体を挿入する。
本発明の隙間閉塞方法の一態様においては、構造体の隙間を備える表面は隙間により完全に分離されており、隙間を備える表面の少なくとも一部にも、糸状粘着体が接触するように隙間に糸状粘着体を挿入してもよい。
本発明の隙間閉塞方法の一態様においては、構造体の隙間を備える表面は隙間により完全に分離されておらず、隙間を備える表面の少なくとも一部にも、糸状粘着体が接触するように隙間に糸状粘着体を挿入してもよい。
本発明の隙間閉塞方法の一態様においては、糸状粘着体を変形させながら隙間に挿入してもよい。
本発明の隙間閉塞方法の一態様においては、糸状粘着体の隙間に挿入される前の状態における直径は、隙間の幅の0.6~4倍であってもよい。
本発明の隙間閉塞方法の一態様においては、糸状粘着体の、25℃における長さ5cmあたり500g荷重で太さ方向に圧縮された際の変形率が5~90%であってもよい。
本発明の隙間閉塞方法の一態様においては、糸状粘着体の25℃における10%ひずみ時の引っ張り応力が0.02~10Nであってもよい。
本発明の隙間閉塞方法の一態様においては、糸状粘着体の25℃における20%伸長回復率が20%以上であってもよい。
本発明の隙間閉塞方法の一態様においては、構造体は、基板と、基板上に配置された複数のLEDチップとを備えるLEDモジュールが複数並べて配置されたLEDモジュール組立体であり、隙間は、LEDモジュール組立体における、隣り合うLEDモジュールの基板どうしの間の隙間であってもよい。
本発明の隙間閉塞方法の一態様においては、糸状粘着体は黒色であってもよい。
【0009】
また、上記課題を解決する本発明の隙間閉塞構造体は、隙間を備える構造体と、隙間に沿って挿入されて隙間を閉塞する糸状粘着体とを備える隙間閉塞構造体であって、糸状粘着体は、隙間の内面の少なくとも一部、および隙間のエッジ部に接触している。
本発明の隙間閉塞構造体の一態様においては、構造体の隙間を備える表面は隙間により完全に分離されており、隙間を備える表面の少なくとも一部にも、糸状粘着体が接触していてもよい。
本発明の隙間閉塞構造体の一態様においては、構造体の隙間を備える表面は隙間により完全に分離されておらず、隙間を備える表面の少なくとも一部にも、糸状粘着体が接触していてもよい。
本発明の隙間閉塞構造体の一態様においては、糸状粘着体の隙間に挿入される前の状態における直径は、隙間の幅の0.6~4倍であってもよい。
本発明の隙間閉塞構造体の一態様においては、糸状粘着体の、25℃における長さ5cmあたり500g荷重で太さ方向に圧縮された際の変形率が5~90%であってもよい。
本発明の隙間閉塞構造体の一態様においては、糸状粘着体の25℃における10%ひずみ時の引っ張り応力が0.02~10Nであってもよい。
本発明の隙間閉塞構造体の一態様においては、糸状粘着体の25℃における20%伸長回復率が20%以上であってもよい。
本発明の隙間閉塞構造体の一態様においては、構造体は、基板と、基板上に配置された複数のLEDチップとを備えるLEDモジュールが複数並べて配置されたLEDモジュール組立体であり、隙間は、LEDモジュール組立体における、隣り合うLEDモジュールの基板どうしの間の隙間であってもよい。
本発明の隙間閉塞構造体の一態様においては、糸状粘着体は黒色であってもよい。
【0010】
また、上記課題を解決する本発明の隙間閉塞構造体の製造方法は、隙間を備える構造体の隙間に沿って糸状粘着体を挿入することにより隙間を閉塞する、隙間閉塞構造体の製造方法であって、隙間の内面の少なくとも一部、および隙間のエッジ部に糸状粘着体が接触するように隙間に糸状粘着体を挿入する。
本発明の隙間閉塞構造体の製造方法の一態様においては、構造体の隙間を備える表面は隙間により完全に分離されており、隙間を備える表面の少なくとも一部にも、糸状粘着体が接触するように隙間に糸状粘着体を挿入してもよい。
本発明の隙間閉塞構造体の製造方法の一態様においては、構造体の隙間を備える表面は隙間により完全に分離されておらず、隙間を備える表面の少なくとも一部にも、糸状粘着体が接触するように隙間に糸状粘着体を挿入してもよい。
本発明の隙間閉塞構造体の製造方法の一態様においては、糸状粘着体を変形させながら隙間に挿入してもよい。
本発明の隙間閉塞構造体の製造方法の一態様においては、糸状粘着体の隙間に挿入される前の状態における直径は、隙間の幅の0.6~4倍であってもよい。
本発明の隙間閉塞構造体の製造方法の一態様においては、糸状粘着体の、25℃における長さ5cmあたり500g荷重で太さ方向に圧縮された際の変形率が5~90%であってもよい。
本発明の隙間閉塞構造体の製造方法の一態様においては、糸状粘着体の25℃における10%ひずみ時の引っ張り応力が0.02~10Nであってもよい。
本発明の隙間閉塞構造体の製造方法の一態様においては、糸状粘着体の25℃における20%伸長回復率が20%以上であってもよい。
本発明の隙間閉塞構造体の製造方法の一態様においては、構造体は、基板と、基板上に配置された複数のLEDチップとを備えるLEDモジュールが複数並べて配置されたLEDモジュール組立体であり、隙間は、LEDモジュール組立体における、隣り合うLEDモジュールの基板どうしの間の隙間であってもよい。
本発明の隙間閉塞構造体の製造方法の一態様においては、糸状粘着体は黒色であってもよい。
【発明の効果】
【0011】
本発明の隙間閉塞方法によれば、隙間を備える構造体における、隙間のエッジ部に起因する悪影響を適切に抑制することができる。
また、本発明の隙間閉塞構造体は、隙間のエッジ部に起因する悪影響が適切に抑制されている。
また、本発明の隙間閉塞構造体の製造方法によれば、隙間のエッジ部に起因する悪影響が適切に抑制された隙間閉塞構造体が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】
図1は、基板の間の隙間が、粘着テープによって覆われたLEDモジュール組立体における、隙間の周辺を拡大した断面図である。
【
図2A】
図2Aは、構造体と隙間の構成例を示す概念図である。
【
図2B】
図2Bは、構造体と隙間の他の構成例を示す概念図である。
【
図2C】
図2Cは、構造体と隙間の他の構成例を示す概念図である。
【
図3】
図3は、LEDモジュール組立体の概略上面図である。
【
図4】
図4は、本発明の一実施形態に係る隙間閉塞方法により隣り合うLEDモジュールの基板間の隙間が閉塞されたLEDモジュール組立体における、隙間の周辺を拡大した断面図である。
【
図5】
図5は、本発明の一実施形態に係る隙間閉塞方法により隣り合うLEDモジュールの基板間の隙間が閉塞されたLEDモジュール組立体における、隙間の周辺を拡大した断面図である。
【
図6】
図6は、LEDモジュールの基板間の隙間が閉塞されたLEDモジュール組立体において、糸状粘着体を隙間に挿入する際に押し込みすぎた場合の隙間の周辺を拡大した断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施形態について、詳細に説明する。なお、本発明は、以下に説明する実施形態に限定されるものではない。また、以下の図面において、同じ作用を奏する部材・部位には同じ符号を付して説明することがあり、重複する説明は省略または簡略化することがある。また、図面に記載の実施形態は、本発明を明瞭に説明するために模式化されており、実際の製品のサイズや縮尺を必ずしも正確に表したものではない。
【0014】
本発明の実施形態に係る隙間閉塞方法は、隙間を備える構造体の隙間に沿って糸状粘着体を挿入することにより隙間を閉塞する隙間閉塞方法であって、隙間の内面の少なくとも一部、および隙間のエッジ部に糸状粘着体が接触するように隙間に糸状粘着体を挿入する、隙間閉塞方法である。
【0015】
本実施形態の隙間閉塞方法により隙間が閉塞される構造体、及びその隙間の構成は特に限定されない。
構造体の隙間を備える表面は、隙間により完全に分離されていてもよく、されていなくてもよい。また、構造体は、単一の部材からなっても、複数の部材からなってもよく、複数の部材からなる場合は、隙間は、複数の部材どうしの間の隙間であってもよく、いずれかの部材の表面に存在する隙間であってもよい。以下に、構造体と隙間の構成例を、概念図である
図2A~
図2Cを用いて説明する。なお、本発明の構造体及び隙間の構成は、以下に説明する構成例に限定されない。
図2Aに示す構成例においては、構造体20の隙間21を備える表面は、隙間21により完全に分離されている。また、構造体20は複数の部材(部材20A及び部材20B)からなり、隙間20は部材20Aと部材20Bとの間の隙間である。
図2Bに示す構成例においても、構造体30の隙間31を備える表面は、隙間31により完全に分離されている。しかし、本構成においては、構造体は単一の部材からなる。
図2Cに示す構成例においては、構造体40の隙間を備える表面は、隙間41により完全に分離されていない。
【0016】
本実施形態の隙間閉塞方法は例えばLEDモジュール組立体における、隣り合うLEDモジュールの基板間の隙間の閉塞方法として好適である。
図3に、LEDモジュール組立体の概略上面図を示す。また、
図4に本実施形態の隙間閉塞方法により隣り合うLEDモジュールの基板間の隙間が閉塞されたLEDモジュール組立体における、隙間の周辺を拡大した断面図を示す。
LEDモジュール組立体100は、複数のLEDモジュール10が並べて配置された組立体である。それぞれのLEDモジュール10は、基板11と、基板11上に配置された複数のLEDチップ14A、14B、14Cを備える。LEDモジュール組立体100においては、
図3に示すように隣り合うLEDモジュール10の基板11どうしの間に、隙間12が生じ、この隙間12のエッジ部15における光の乱反射により先述のような問題が生じる。本実施形態の隙間閉塞方法によれば、このエッジ部における光の乱反射を適切に抑制することができる。以下に詳細に説明する。
【0017】
本実施形態の隙間閉塞方法においては、隙間に沿って糸状粘着体を挿入することにより隙間を閉塞する。糸状粘着体とは、糸状であり、その周面が粘着性を有する粘着体である。糸状粘着体についての詳細な説明は、後述する。
本実施形態の隙間閉塞方法においては隙間の閉塞に糸状粘着体を用いるため、液状やゲル状の材料を用いる場合のように液だれが生じる恐れがない。また、細幅の扁平な粘着テープを用いる場合のように、よじれて取り扱い性が悪いという問題もない。
【0018】
本実施形態の隙間閉塞方法においては、隙間の内面の少なくとも一部に糸状粘着体が接触するように隙間に糸状粘着体を挿入する。
なお、本明細書において隙間の内面とは、隙間を形成する向かい合う面を指す。例えば
図4に示すように隣り合うLEDモジュールの基板11どうしの間に生じた隙間12においては、基板11の端面が隙間の内面16である。
本実施形態の隙間閉塞方法においては、隙間の内面の全体に糸状粘着体を接触させる必要はないが、向かい合う内面の両方において、少なくとも一部に糸状粘着体を接触させる。このようにすることにより、隙間の内面に糸状粘着体が粘着するため、接着強度が確保され、糸状粘着体が脱落しにくくなる。
【0019】
また、本実施形態の隙間閉塞方法においては、隙間のエッジ部に糸状粘着体が接触するように隙間に糸状粘着体を挿入する。ここで隙間のエッジ部とは、隙間の内面と、隙間を備える表面(隙間により離反された表面)とにより形成される角部を意味する。例えば隣り合うLEDモジュールの基板11どうしの間に生じた隙間12においては、基板の端面16と上面17との間の角部が隙間のエッジ部15である。このように隙間のエッジ部に糸状粘着体を接触させることにより、エッジ部に起因する悪影響を抑制することができる。例えば、LEDモジュール組立体においては、隙間のエッジ部における光の乱反射を抑制することができ、LED消灯時に隙間が目立ちにくくなる。
【0020】
図5に本実施形態の隙間閉塞方法により隣り合うLEDモジュールの基板間の隙間が閉塞されたLEDモジュール組立体の変形例における、隙間の周辺を拡大した断面図を示す。
図4に示す例では、本実施形態の隙間閉塞方法では、隙間12の内面16の少なくとも一部、およびエッジ部15に接触するように糸状粘着体13を挿入すればよい。したがって、
図4に示す例では糸状粘着体13は隙間を備える表面、すなわち上面17に接触しているが、
図5に示す変形例のように糸状粘着体13は隙間を備える表面には接触していなくてもよい。
しかしながら、接着面積、ひいては接着強度をより一層向上させるため、また、エッジ部に起因する悪影響をより一層抑制するためには、
図4に示す例のように隙間を備える表面の少なくとも一部に糸状粘着体が接触するように隙間に糸状粘着体を挿入することが好ましい。
【0021】
本実施形態の隙間閉塞方法において、糸状粘着体を隙間に挿入する方法は特に限定されない。例えば、糸状粘着体を隙間の上に載置して、隙間の内側に押し込むことによって挿入することができる。この際に、糸状粘着体を変形させながら隙間に挿入することが好ましい。
また、糸状粘着体を伸長させて、細くした状態で隙間に挿入すると、挿入が容易となるため好ましい。また、伸長された糸状粘着体が隙間内で元の長さ及び太さに戻ろうとすることにより糸状粘着体の周面が隙間の内面に押し付けられて強固に接着されることとなるため、接着強度の観点からも好ましい。
糸状粘着体を隙間に挿入する際に押し込みすぎると、
図6に示すように糸状粘着体がエッジ部に接触しなくなるため、隙間の幅や糸状粘着体の太さ、柔軟性等に応じて、押し込む際の押圧力や、伸長させる度合いを調整して挿入する。
【0022】
なお、上記では隣り合うLEDモジュールの基板間の隙間を閉塞する方法を中心に説明したが、本実施形態の隙間閉塞方法はこれに限定されない。本実施形態の隙間閉塞方法が適用される構造体における隙間は、LEDモジュールの基板間の隙間のように複数の部材の間の隙間でもよいし、単一の部材内の隙間であってもよい。単一の部材内の隙間の例としては、ヒビが挙げられる。例えばガラス板のヒビ(隙間)のエッジ部は鋭利であり触れたものにケガをさせる恐れがある。しかしながら、本実施形態の隙間閉塞方法によりヒビ(隙間)を閉塞することにより、エッジ部は糸状粘着体に接することとなるので、ケガの恐れを抑制することができる。
【0023】
続いて、本実施形態の隙間閉塞方法において使用する糸状粘着体について詳しく説明する。
【0024】
糸状とは、長手方向の長さが幅方向の長さに対して十分に長く、長手方向に垂直な断面の形状(以下、「断面形状」ともいう)における短軸(断面形状の重心を通る軸のうち最短のもの)の長さに対する長軸(断面形状の重心を通る軸のうち最長のもの)の長さの割合(長軸/短軸)が、例えば200以下、好ましくは100以下、より好ましくは50以下、さらに好ましくは10以下、よりさらに好ましくは5以下、特に好ましくは3以下である形状であり、また、糸のように多様な方向、角度に曲げられうる状態であることを意味する。
【0025】
本実施形態における糸状粘着体の断面形状は典型的には円形だが、これに限定されず、円形の他にも、楕円形、多角形等、種々の形状をとりうる。
本実施形態における糸状粘着体の長さは、閉塞する隙間の長さに応じて適宜調整すればよい。
【0026】
本実施形態における糸状粘着体の、隙間に挿入される前の状態における太さ(直径)も、閉塞する隙間の幅に応じて適宜調整すればよい。
糸状粘着体が隙間に挿入された後に隙間の内面の少なくとも一部、および隙間のエッジ部に糸状粘着体が接触するようにできれば、糸状粘着体の隙間に挿入される前の状態における太さ(以下単に「挿入前の太さ」ともいう)は、隙間の幅より小さくてもよい。たとえば、ローラーや指により糸状粘着体を押さえつけながら隙間に挿入する場合は、糸状粘着体は、高さ方向(隙間の深さ方向)につぶされ、幅方向(隙間の幅方向)に広がった形状に変形した状態で隙間に挿入される。この変形後の幅方向の寸法が隙間の幅より大きければ、糸状粘着体の挿入前の太さは、隙間の幅より小さくてもよい。しかしながら、糸状粘着体の挿入前の太さが細すぎると、糸状粘着体を大きく変形させないと挿入後に隙間の内面の少なくとも一部および隙間のエッジ部に接触させることが困難となる。一方、糸状粘着体の挿入前の太さが太すぎると、糸状粘着体を大きく変形させないと隙間に挿入することが困難となる。
上記観点より、本実施形態における糸状粘着体の挿入前の太さは、隙間の幅の0.6倍以上が好ましく、0.8倍以上がより好ましく、1.0倍以上がさらに好ましく、また、4倍以下が好ましく、3.5倍以下がより好ましく、3倍以下がさらに好ましい。
なお、隙間の幅が一定でない場合は、糸状粘着体の挿入前の太さは隙間の幅の最大値の0.6倍以上が好ましく、0.8倍以上がより好ましく、1.0倍以上がさらに好ましく、また、隙間の幅の最小値の4倍以下が好ましく、3.5倍以下がより好ましく、3倍以下がさらに好ましい。
【0027】
本実施形態における糸状粘着体は、芯材と、芯材の周面を被覆する粘着剤からなる粘着剤層とを備えてもよく、また、芯材を備えず粘着剤のみからなってもよい。隙間に挿入する際に糸状粘着体が切れてしまう恐れを低減するためには、糸状粘着体は芯材を備えることが好ましい。
【0028】
粘着剤のみからなる糸状粘着体は、例えば粘着剤をセパレータ上に線状に塗布し、必要に応じて加熱乾燥させることにより得ることができる。
また、芯材を備える糸状粘着体は、例えば芯材の表面に粘着剤組成物をディッピング、浸漬、塗布等により塗工し、必要に応じて加熱乾燥させることにより得ることができる。粘着剤組成物の塗布は、例えば、グラビアロールコーター、リバースロールコーター、キスロールコーター、ディップロールコーター、バーコーター、ナイフコーター、スプレーコーター等の慣用のコーターを用いて行うことができる。
【0029】
使用する粘着剤の種類は特に限定されず、例えば、アクリル系粘着剤、ゴム系粘着剤、ビニルアルキルエーテル系粘着剤、シリコーン系粘着剤、ポリエステル系粘着剤、ポリアミド系粘着剤、ウレタン系粘着剤、フッ素系粘着剤、エポキシ系粘着剤などを使用することができる。中でも、接着性の点から、ゴム系粘着剤やアクリル系粘着剤が好ましく、特にアクリル系粘着剤が好ましい。なお、粘着剤は、1種のみを単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0030】
アクリル系粘着剤は、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸2-エチルヘキシル、アクリル酸イソオクチル、アクリル酸イソノニルなどの(メタ)アクリル酸アルキルエステルを主成分とし、これらに必要によりアクリロニトリル、酢酸ビニル、スチレン、メタクリル酸メチル、アクリル酸、無水マレイン酸、ビニルピロリドン、グリシジルメタクリレート、ジメチルアミノエチルメタクリレート、ヒドロキシエチルアクリレート、アクリルアミドなどの改質用単量体を加えてなる単量体の重合体を主剤としたものである。
【0031】
ゴム系粘着剤は、天然ゴム、スチレン-イソプレン-スチレンブロック共重合体、スチレン-ブタジエン-スチレンブロック共重合体、スチレン-エチレン・ブチレン-スチレンブロック共重合体、スチレンブタジエンゴム、ポリブタジエン、ポリイソプレン、ポリイソブチレン、ブチルゴム、クロロプレンゴム、シリコーンゴムなどのゴム系ポリマーを主剤としたものである。
【0032】
また、これら粘着剤にはロジン系、テルペン系、スチレン系、脂肪族石油系、芳香族石油系、キシレン系、フエノール系、クマロンインデン系、それらの水素添加物などの粘着付与樹脂や、架橋剤、粘度調整剤(増粘剤等)、レベリング剤、剥離調整剤、可塑剤、軟化剤、充填剤、着色剤(顔料、染料等)、界面活性剤、帯電防止剤、防腐剤、老化防止剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、光安定剤等の各種の添加剤を適宜配合できる。
【0033】
なお、粘着剤としては、溶剤型の粘着剤と水分散型の粘着剤のいずれのタイプも使用することができる。ここで、高速塗工が可能であり、環境にやさしく、溶剤による芯材への影響(膨潤、溶解)が少ない面からは、水分散型の粘着剤が好ましい。
【0034】
芯材を備える糸状粘着体においては粘着力の観点からは芯材に多くの粘着剤が付着していることが好ましく、具体的には粘着剤の付着量(単位長さ当たりの粘着剤層の重量)は2mg/m以上が好ましく、5mg/m以上がより好ましく、8mg/m以上がさらに好ましい。一方粘着剤の付着量が過剰であると、製造工程において芯材に粘着剤を複数回塗布する必要があったり、塗布した粘着剤の乾燥に時間がかかったりするため、製造効率が低い。したがって粘着剤の付着量は200mg/m以下が好ましく、180mg/m以下がより好ましく、160mg/m以下がさらに好ましい。
【0035】
芯材を備える糸状粘着体における芯材は、糸状の部材であればその形態や材質等は特に限定されず、要求される強度、重量、硬さ等の性質に応じて適宜調整すればよい。
芯材の断面形状は典型的には円形だが、円形の他にも、楕円形、多角形等、種々の形状をとりうる。
芯材は単一のフィラメントからなるモノフィラメントであってもよく、複数本のフィラメントからなるマルチフィラメントであってもよく、また、スパンヤーン、捲縮加工や嵩高加工等を施した一般的にテクスチャードヤーン、バルキーヤーン、ストレッチヤーンと称される加工糸、中空糸、あるいはこれらを撚り合わせる等して組み合わせた糸等であってもよい。
芯材の太さは特に限定されず、隙間の幅に応じて糸状粘着体の太さが適切になるように、粘着剤層の厚みとともに適宜調整すればよい。
【0036】
芯材の材料は、要求される強度、重量、硬さ等の性質に応じて適宜選択すればよい。
心材の材料としては例えば、レーヨン、キュプラ、アセテート、プロミックス、ナイロン、アラミド、ビニロン、ビニリデン、ポリ塩化ビニル、ポリエステル、アクリル、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、エチレン・プロピレン共重合体やエチレン・酢酸ビニル共重合体等のポリオレフィン、ポリエチレンテレフタレート(PET)等のポリエステル、塩化ビニル樹脂、酢酸ビニル樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミド樹脂、フッ素樹脂、ポリウレタン、ポリクラール、ポリ乳酸等の各種高分子材料;天然ゴムやポリウレタン等の合成ゴム等の各種ゴム;ガラス、炭素材料、金属等の無機材料;綿、ウール等の天然材料;発泡ポリウレタン、発泡ポリクロロプレンゴム等の発泡体等が使用できる。
【0037】
芯材には、必要に応じて、充填剤(無機充填剤、有機充填剤など)、老化防止剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤、滑剤、可塑剤、着色剤(顔料、染料など)等の各種添加剤が配合されていてもよい。芯材の表面には、例えば、コロナ放電処理、プラズマ処理、下塗り剤の塗布等の、公知または慣用の表面処理が施されていてもよい。
【0038】
なお、芯材を備える糸状粘着体において芯材は必ずしもその周面の全体が粘着剤層により被覆されている必要はなく、本発明の効果を奏する限りにおいて、部分的に粘着剤層を備えない部分を有してもよい。また、芯材の端面は粘着剤層によって被覆されていてもいなくともよい。例えば、粘着体が製造過程や使用時に切断されるような場合には、芯材の端面は粘着剤層によって被覆されないことがありうる。
【0039】
本実施形態における糸状粘着体は、柔軟性が高く変形しやすいほうが隙間に挿入しやすいが、柔軟性が高すぎると取り扱い性が低下し、かえって隙間を閉塞しにくくなる。糸状粘着体の柔軟性の指標としては種々のものがあるが、例えば所定の荷重で圧縮された際の変形率や、10%ひずみ時の引っ張り応力などが挙げられる。
本実施形態における糸状粘着体の25℃における長さ5cmあたり500g荷重で太さ方向に圧縮された際の変形率は、隙間への挿入しやすさの観点からは、5%以上が好ましく、10%以上がより好ましく、15%以上がさらに好ましい。一方、取り扱い性の観点からは、90%以下が好ましく、85%以下がより好ましく、80%以下がさらに好ましい。
本実施形態における糸状粘着体の25℃における10%ひずみ時の引っ張り応力は、隙間への挿入しやすさの観点からは、0.02N以上が好ましく、0.05N以上がより好ましく、0.1N以上がさらに好ましい。一方、取り扱い性の観点からは、10N以下が好ましく、5N以下がより好ましく、1N以下がさらに好ましい。
糸状粘着体の太さ方向に所定の荷重で圧縮された際の変形率及び10%ひずみ時の引っ張り応力は、糸状粘着体の材質(芯材及び粘着剤の材質)や形状、太さ等を適宜調整することなどにより制御することができる。
糸状粘着体の長さ5cmあたり500g荷重で太さ方向に圧縮された際の変形率は、糸状粘着剤を長さ50mmにカットし、荷重をかけない際、及び、1mm厚みのアクリル板で挟み、その上から500gの荷重を10秒以上かけた際の断面の高さをマイクロスコープで測定し、この測定値を用いて下記式により算出できる。
(変形率[%])={(荷重をかけない際の高さ)-(荷重をかけた際の高さ)}/(荷重をかけない際の高さ)×100
糸状粘着体の10%ひずみ時の引っ張り応力は、糸状粘着体を60mmにカットして、オートグラフのチャック部に長さ10mmになるようにセットし、50mm/秒の速度で引張試験を行うことで測定できる。
【0040】
また、本実施形態における糸状粘着体は、上記のとおり、ある程度伸長された状態で隙間に挿入され、隙間内で元の長さに戻ろうとすることが好ましい。
上記の観点より、本実施形態における糸状粘着体の25℃における20%伸長回復率は、20%以上が好ましく、40%以上がより好ましく、60%以上がさらに好ましい。上限は特に限定されず、100%であってもよい。
糸状粘着体の伸長回復率は、糸状粘着体の材質や、太さ等を適宜調整することにより制御することができる。
また、糸状粘着体の20%伸長回復率は、以下の方法で測定できる。
まず、糸状粘着体を150mmにカットする。
次に、オートグラフをチャック部の間隔が100mmとなるようにセットし、カットした糸状粘着体をチャックし、糸状粘着体のチャックされた部分にマークを付ける。すなわち、糸状粘着体には100mm間隔で2つのマークが付けられる。
その後、50mm/秒の速さでチャック部間隔が120mmとなるまで糸状粘着体を延伸させ、30秒維持したのちにチャックから糸状粘着体を外し、延伸解除後の糸状粘着体のマーク間隔L2を測定する。20%伸長回復率は、このようにして測定されたL2と、延伸前の糸状粘着体のマーク間隔L0(すなわち100mm)と、延伸時の糸状粘着体のマーク間隔L1(すなわち120mm)とから、以下の式より求められる。
(20%伸長回復率[%])={(L1-L2)/(L1-L0)}×100
【0041】
本実施形態における糸状粘着体の色は、用途により適宜選択すればよい。例えば、本実施形態の隙間閉塞方法が隣り合うLEDモジュールの基板間の隙間を閉塞する方法である場合は、LED消灯時において特に目立ちにくくするために、黒色であることが好ましい。粘着剤のみからなる糸状粘着体の場合は、例えば着色料を添加するなどして粘着剤を黒色にすればよい。また、芯材を備える糸状粘着体の場合は、同様に粘着剤を黒色としてもよいし、芯材を黒色としてもよいし、両方を黒色としてもよい。
【0042】
本発明の実施形態に係る隙間閉塞構造体は、隙間を備える構造体と、前記隙間に沿って挿入されて前記隙間を閉塞する糸状粘着体とを備える隙間閉塞構造体であって、前記糸状粘着体は、前記隙間の内面の少なくとも一部、および前記隙間のエッジ部に接触している、隙間閉塞構造体である。
また、本発明の実施形態に係る隙間閉塞構造体の製造方法は、隙間を備える構造体の前記隙間に沿って糸状粘着体を挿入することにより前記隙間を閉塞する、隙間閉塞構造体の製造方法であって、前記隙間の内面の少なくとも一部、および前記隙間のエッジ部に前記糸状粘着体が接触するように前記隙間に糸状粘着体を挿入する、隙間閉塞構造体の製造方法である。
本実施形態の隙間閉塞方法、及び隙間閉塞構造体の製造方法における好適な態様は、先述の隙間閉塞方法において説明したものと同様である。
【0043】
以上、本発明の実施形態について図面を参照しながら説明したが、本発明は上記の実施形態に限定されるものでなく、本発明の技術的範囲を逸脱しない範囲で適宜変形することが可能である。
【符号の説明】
【0044】
1 基板;2 隙間;3 粘着テープ;10 LEDモジュール;11 基板;12 隙間;13 糸状粘着体;14A、14B、14C LEDチップ;15 エッジ部;16 隙間の内面(基板の端面);17 基板の上面;20、30、40 構造体;20A、20B 部材;21、31、41 隙間;100 LEDモジュール組立体
【手続補正書】
【提出日】2024-06-10
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
隙間を備える構造体の前記隙間に沿って糸状粘着体を挿入することにより前記隙間を閉塞する隙間閉塞方法であって、
前記糸状粘着体は芯材を備え、
前記隙間の内面の少なくとも一部、および前記隙間のエッジ部に前記糸状粘着体が接触するように前記隙間に前記糸状粘着体を挿入する、隙間閉塞方法。
【請求項2】
前記構造体の前記隙間を備える表面は前記隙間により完全に分離されており、前記隙間を備える表面の少なくとも一部にも、前記糸状粘着体が接触するように前記隙間に前記糸状粘着体を挿入する、請求項1に記載の隙間閉塞方法。
【請求項3】
前記構造体の前記隙間を備える表面は前記隙間により完全に分離されておらず、前記隙間を備える表面の少なくとも一部にも、前記糸状粘着体が接触するように前記隙間に前記糸状粘着体を挿入する、請求項1に記載の隙間閉塞方法。
【請求項4】
前記糸状粘着体を変形させながら前記隙間に挿入する、請求項1~3のいずれか1項に記載の隙間閉塞方法。
【請求項5】
前記糸状粘着体の前記隙間に挿入される前の状態における直径は、前記隙間の幅の0.6~4倍である請求項1~4のいずれか1項に記載の隙間閉塞方法。
【請求項6】
前記糸状粘着体の、25℃における長さ5cmあたり500g荷重で太さ方向に圧縮された際の変形率が5~90%である、請求項1~5のいずれか1項に記載の隙間閉塞方法。
【請求項7】
前記糸状粘着体の25℃における10%ひずみ時の引っ張り応力が0.02~10Nである、請求項1~6のいずれか1項に記載の隙間閉塞方法。
【請求項8】
前記糸状粘着体の25℃における20%伸長回復率が20%以上である、請求項1~7のいずれか1項に記載の隙間閉塞方法。
【請求項9】
前記構造体は、基板と、前記基板上に配置された複数のLEDチップとを備えるLEDモジュールが複数並べて配置されたLEDモジュール組立体であり、前記隙間は、前記LEDモジュール組立体における、隣り合うLEDモジュールの基板どうしの間の隙間である、請求項1~8のいずれか1項に記載の隙間閉塞方法。
【請求項10】
前記糸状粘着体は黒色である、請求項9に記載の隙間閉塞方法。
【請求項11】
隙間を備える構造体と、前記隙間に沿って挿入されて前記隙間を閉塞する糸状粘着体とを備える隙間閉塞構造体であって、
前記糸状粘着体は芯材を備え、かつ、前記隙間の内面の少なくとも一部、および前記隙間のエッジ部に接触している、隙間閉塞構造体。
【請求項12】
前記構造体の前記隙間を備える表面は前記隙間により完全に分離されており、前記隙間を備える表面の少なくとも一部にも、前記糸状粘着体が接触している、請求項11に記載の隙間閉塞構造体。
【請求項13】
前記構造体の前記隙間を備える表面は前記隙間により完全に分離されておらず、前記隙間を備える表面の少なくとも一部にも、前記糸状粘着体が接触している、請求項11に記載の隙間閉塞構造体。
【請求項14】
前記糸状粘着体の前記隙間に挿入される前の状態における直径は、前記隙間の幅の0.6~4倍である請求項11~13のいずれか1項に記載の隙間閉塞構造体。
【請求項15】
前記糸状粘着体の、25℃における長さ5cmあたり500g荷重で太さ方向に圧縮された際の変形率が5~90%である、請求項11~14のいずれか1項に記載の隙間閉塞構造体。
【請求項16】
前記糸状粘着体の25℃における10%ひずみ時の引っ張り応力が0.02~10Nである、請求項11~15のいずれか1項に記載の隙間閉塞構造体。
【請求項17】
前記糸状粘着体の25℃における20%伸長回復率が20%以上である、請求項11~16のいずれか1項に記載の隙間閉塞構造体。
【請求項18】
前記構造体は、基板と、前記基板上に配置された複数のLEDチップとを備えるLEDモジュールが複数並べて配置されたLEDモジュール組立体であり、前記隙間は、前記LEDモジュール組立体における、隣り合うLEDモジュールの基板どうしの間の隙間である、請求項11~17のいずれか1項に記載の隙間閉塞構造体。
【請求項19】
前記糸状粘着体は黒色である、請求項18に記載の隙間閉塞構造体。
【請求項20】
隙間を備える構造体の前記隙間に沿って糸状粘着体を挿入することにより前記隙間を閉塞する、隙間閉塞構造体の製造方法であって、
前記糸状粘着体は芯材を備え、
前記隙間の内面の少なくとも一部、および前記隙間のエッジ部に前記糸状粘着体が接触するように前記隙間に前記糸状粘着体を挿入する、隙間閉塞構造体の製造方法。
【請求項21】
前記構造体の前記隙間を備える表面は前記隙間により完全に分離されており、前記隙間を備える表面の少なくとも一部にも、前記糸状粘着体が接触するように前記隙間に前記糸状粘着体を挿入する、請求項20に記載の隙間閉塞構造体の製造方法。
【請求項22】
前記構造体の前記隙間を備える表面は前記隙間により完全に分離されておらず、前記隙間を備える表面の少なくとも一部にも、前記糸状粘着体が接触するように前記隙間に前記糸状粘着体を挿入する、請求項20に記載の隙間閉塞構造体の製造方法。
【請求項23】
前記糸状粘着体を変形させながら前記隙間に挿入する、請求項20~22のいずれか1項に記載の隙間閉塞構造体の製造方法。
【請求項24】
前記糸状粘着体の前記隙間に挿入される前の状態における直径は、前記隙間の幅の0.6~4倍である請求項20~23のいずれか1項に記載の隙間閉塞構造体の製造方法。
【請求項25】
前記糸状粘着体の、25℃における長さ5cmあたり500g荷重で太さ方向に圧縮された際の変形率が5~90%である、請求項20~24のいずれか1項に記載の隙間閉塞構造体の製造方法。
【請求項26】
前記糸状粘着体の25℃における10%ひずみ時の引っ張り応力が0.02~10Nである、請求項20~25のいずれか1項に記載の隙間閉塞構造体の製造方法。
【請求項27】
前記糸状粘着体の25℃における20%伸長回復率が20%以上である、請求項20~26のいずれか1項に記載の隙間閉塞構造体の製造方法。
【請求項28】
前記構造体は、基板と、前記基板上に配置された複数のLEDチップとを備えるLEDモジュールが複数並べて配置されたLEDモジュール組立体であり、前記隙間は、前記LEDモジュール組立体における、隣り合うLEDモジュールの基板どうしの間の隙間である、請求項20~27のいずれか1項に記載の隙間閉塞構造体の製造方法。
【請求項29】
前記糸状粘着体は黒色である、請求項28に記載の隙間閉塞構造体の製造方法。