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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024114786
(43)【公開日】2024-08-23
(54)【発明の名称】印刷装置
(51)【国際特許分類】
   B41J 2/01 20060101AFI20240816BHJP
   F26B 13/08 20060101ALI20240816BHJP
【FI】
B41J2/01 125
B41J2/01 305
F26B13/08
【審査請求】有
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024101973
(22)【出願日】2024-06-25
(62)【分割の表示】P 2020141726の分割
【原出願日】2020-08-25
(71)【出願人】
【識別番号】000207551
【氏名又は名称】株式会社SCREENホールディングス
(74)【代理人】
【識別番号】100093056
【弁理士】
【氏名又は名称】杉谷 勉
(74)【代理人】
【識別番号】100142930
【弁理士】
【氏名又は名称】戸高 弘幸
(74)【代理人】
【識別番号】100175020
【弁理士】
【氏名又は名称】杉谷 知彦
(74)【代理人】
【識別番号】100180596
【弁理士】
【氏名又は名称】栗原 要
(74)【代理人】
【識別番号】100195349
【弁理士】
【氏名又は名称】青野 信喜
(72)【発明者】
【氏名】筒井 雄基
(72)【発明者】
【氏名】種本 満
(72)【発明者】
【氏名】宇田 貴裕
(72)【発明者】
【氏名】惠良 将輝
(57)【要約】
【課題】印刷媒体が加熱ユニットの前面に接触することを防止しながら、印刷面に接触するローラに到達するまでに、印刷媒体を必要以上に加熱しないで、印刷面のインクを乾燥させる印刷装置を提供する。
【解決手段】
印刷装置1の乾燥機構21は、連続紙WPのインクが付着していない裏面に接触する搬送ローラ13A,R3,R4,R6,R7、連続紙WPの印刷面FFに接触する印刷面接触ローラ31および、連続紙WPの印刷面に対向配置されて、連続紙WPを非接触状態で加熱する加熱ユニットH1,H2,H4を備える。搬送ローラR4と搬送ローラR6との間では連続紙WPは加熱されることなく搬送される。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
搬送される長尺の印刷媒体の印刷面に対してインクを付着させる印刷部と、
前記印刷部から搬出された前記印刷媒体を加熱してインクを乾燥させる乾燥機構と、を備え、
前記乾燥機構は、
前記印刷部から搬出された前記印刷媒体のインクが付着していない裏面に接触して前記印刷媒体の搬送方向を変える少なくとも第1~第4の方向転換ローラと、
前記第4の方向転換ローラの搬送方向の下流側に配置されて、前記印刷媒体の印刷面に接触して前記印刷媒体の搬送方向を変える印刷面接触ローラと、
前記第1~第4の方向転換ローラおよび前記印刷面接触ローラにより案内される前記印刷媒体を加熱する少なくとも第1、第2の加熱ユニットと、
前記印刷部の下流側でかつ前記第1の方向転換ローラの上流側に配置され、前記裏面に接触して前記印刷媒体を案内する案内ローラと、
前記案内ローラに少なくとも案内される前記印刷媒体を加熱する第4の加熱ユニットと、を備え、
前記案内ローラは、前記印刷部から搬出された前記印刷媒体を、前記印刷媒体の印刷面が上方向を向くように案内し、
前記第1の方向転換ローラは、前記案内ローラによって案内された前記印刷媒体を鉛直下方または前記印刷媒体の印刷面が上方向を向く姿勢になる斜め下方に方向転換し、
前記第2の方向転換ローラは、前記第1の方向転換ローラによって方向転換された前記印刷媒体を、印刷面が下方向を向く姿勢になる方向に方向転換し、
前記第3の方向転換ローラは、前記第2の方向転換ローラによって方向転換された前記印刷媒体を、鉛直上方または前記印刷媒体の印刷面が上方向を向く姿勢になる斜め上方に方向転換し、
前記第4の方向転換ローラは、前記第3の方向転換ローラによって方向転換された前記印刷媒体を、印刷面が上方向を向く姿勢になる水平方向または印刷面が上方向を向く姿勢になる斜め下方に方向転換し、
前記第4の加熱ユニットは、前記案内ローラと前記第1の方向転換ローラとの間で、前記印刷媒体の印刷面に対向配置されて、前記印刷媒体を非接触状態で加熱し、
前記第1の加熱ユニットは、前記第1の方向転換ローラと前記第2の方向転換ローラとの間で、前記印刷媒体の印刷面に対向配置されて、前記印刷媒体を非接触状態で加熱し、
前記第2の方向転換ローラと前記第3の方向転換ローラとの間において、加熱ユニットが前記印刷媒体の搬送経路の下側に設けられておらず、
前記第2の方向転換ローラと前記第3の方向転換ローラとの間では前記印刷媒体は加熱されることなく搬送され、
前記第2の加熱ユニットは、前記第3の方向転換ローラと前記第4の方向転換ローラとの間で、前記印刷媒体の印刷面に対向配置されて、前記印刷媒体を非接触状態で加熱し、
前記印刷面接触ローラは、インク付着後に前記印刷媒体の印刷面に最初に接触するローラであって、インクが乾燥された前記印刷媒体を折り返すことにより前記印刷媒体を前記乾燥機構の出口に向かう方向に案内することを特徴とする印刷装置。
【請求項2】
請求項1に記載の印刷装置において、
前記案内ローラは、前記印刷部から搬出された前記印刷媒体を、前記印刷媒体の印刷面が上方向を向く姿勢になる斜め下方に方向転換し、
前記第1の方向転換ローラは、前記案内ローラによって方向転換された前記印刷媒体を方向転換することを特徴とする印刷装置。
【請求項3】
搬送される長尺の印刷媒体の印刷面に対してインクを付着させる印刷部と、
前記印刷部から搬出された前記印刷媒体を加熱してインクを乾燥させる乾燥機構と、を備え、
前記乾燥機構は、
前記印刷部から搬出された前記印刷媒体のインクが付着していない裏面に接触して前記印刷媒体の搬送方向を変える少なくとも第1~第5の方向転換ローラと、
前記第5の方向転換ローラの搬送方向の下流側に配置されて、前記印刷媒体の印刷面に接触して前記印刷媒体の搬送方向を変える印刷面接触ローラと、
前記第1~第5の方向転換ローラおよび前記印刷面接触ローラにより案内される前記印刷媒体を加熱する少なくとも第1、第2の加熱ユニットと、
前記印刷部の下流側でかつ前記第1の方向転換ローラの上流側に配置され、前記裏面に接触して前記印刷媒体を案内する案内ローラと、
前記案内ローラに少なくとも案内される前記印刷媒体を加熱する第4の加熱ユニットと、を備え、
前記案内ローラは、前記印刷部から搬出された前記印刷媒体を、前記印刷媒体の印刷面が上方向を向くように案内し、
前記第1の方向転換ローラは、前記案内ローラによって案内された前記印刷媒体を鉛直下方に方向転換し、
前記第2の方向転換ローラは、前記第1の方向転換ローラによって方向転換された前記印刷媒体を印刷面が下方向を向く姿勢になる方向に方向転換し、
前記第3の方向転換ローラは、前記第2の方向転換ローラによって方向転換された前記印刷媒体を鉛直上方に方向転換し、
前記第4の方向転換ローラは、前記第3の方向転換ローラによって方向転換された前記印刷媒体を印刷面が上方向を向く姿勢になる方向に方向転換し、
前記第5の方向転換ローラは、前記第4の方向転換ローラによって方向転換された前記印刷媒体を鉛直下方に方向転換し、
前記第4の加熱ユニットは、前記案内ローラと前記第1の方向転換ローラとの間で、前記印刷媒体の印刷面に対向配置されて、前記印刷媒体を非接触状態で加熱し、
前記第1の加熱ユニットは、前記第1の方向転換ローラと前記第2の方向転換ローラとの間で、前記印刷媒体の印刷面に対向配置されて、前記印刷媒体を非接触状態で加熱し、
前記第2の方向転換ローラと前記第3の方向転換ローラとの間において、加熱ユニットが前記印刷媒体の搬送経路の下側に設けられておらず、
前記第2の方向転換ローラと前記第3の方向転換ローラとの間では前記印刷媒体は加熱されることなく搬送され、
前記第2の加熱ユニットは、前記第3の方向転換ローラと前記第4の方向転換ローラとの間で、前記印刷媒体の印刷面に対向配置されて、前記印刷媒体を非接触状態で加熱し、
前記印刷面接触ローラは、インク付着後に前記印刷媒体の印刷面に最初に接触するローラであって、インクが乾燥された前記印刷媒体を折り返すことにより前記印刷媒体を前記乾燥機構の出口に向かう方向に案内することを特徴とする印刷装置。
【請求項4】
搬送される長尺の印刷媒体の印刷面に対してインクを付着させる印刷部と、
前記印刷部から搬出された前記印刷媒体を加熱してインクを乾燥させる乾燥機構と、を備え、
前記乾燥機構は、
前記印刷部から搬出された前記印刷媒体のインクが付着していない裏面に接触して前記印刷媒体の搬送方向を変える少なくとも第1~第4の方向転換ローラと、
前記第4の方向転換ローラの搬送方向の下流側に配置されて、前記印刷媒体の印刷面に接触して前記印刷媒体の搬送方向を変える印刷面接触ローラと、
前記第1~第4の方向転換ローラおよび前記印刷面接触ローラにより案内される前記印刷媒体を加熱する少なくとも第1、第2の加熱ユニットと、を備え、
前記第1の方向転換ローラは、前記印刷部から搬出された前記印刷媒体を、鉛直下方または前記印刷媒体の印刷面が上方向を向く姿勢になる斜め下方に方向転換し、
前記第2の方向転換ローラは、前記第1の方向転換ローラによって方向転換された前記印刷媒体を、印刷面が下方向を向く姿勢になる方向に方向転換し、
前記第3の方向転換ローラは、前記第2の方向転換ローラによって方向転換された前記印刷媒体を、鉛直上方または前記印刷媒体の印刷面が上方向を向く姿勢になる斜め上方に方向転換し、
前記第4の方向転換ローラは、前記第3の方向転換ローラによって方向転換された前記印刷媒体を、印刷面が上方向を向く姿勢になる水平方向または印刷面が上方向を向く姿勢になる斜め下方に方向転換し、
前記第1の加熱ユニットは、前記第1の方向転換ローラと前記第2の方向転換ローラとの間で、前記印刷媒体の印刷面に対向配置されて、前記印刷媒体を非接触状態で加熱し、
前記第2の加熱ユニットは、前記第3の方向転換ローラと前記第4の方向転換ローラとの間で、前記印刷媒体の印刷面に対向配置されて、前記印刷媒体を非接触状態で加熱し、
前記印刷面接触ローラは、インク付着後に前記印刷媒体の印刷面に最初に接触するローラであって、インクが乾燥された前記印刷媒体を折り返すことにより前記印刷媒体を前記乾燥機構の出口に向かう方向に案内し、
前記印刷装置は、
前記第1の方向転換ローラと前記第2の方向転換ローラとの間で搬送される前記印刷媒体を挟んで、前記第1の加熱ユニットの反対側に配置された第1反射板と、
前記印刷面接触ローラの下流側に配置され、かつ、前記印刷媒体を前記乾燥機構の出口に案内するように構成される複数の下流案内ローラと、を更に備え、
前記複数の下流案内ローラのうちの2個の下流案内ローラは、前記第1の方向転換ローラと前記第2の方向転換ローラとの間で搬送される前記印刷媒体と前記第1反射板とを挟んで前記第1の加熱ユニットの反対側に配置されると共に、前記印刷面接触ローラから搬送された前記印刷媒体を案内するように構成されることを特徴とする印刷装置。
【請求項5】
請求項4に記載の印刷装置において、
前記第2の方向転換ローラと前記第3の方向転換ローラとの間において、加熱ユニットが前記印刷媒体の搬送経路の下側に設けられておらず、
前記第2の方向転換ローラと前記第3の方向転換ローラとの間では前記印刷媒体は加熱されることなく搬送されることを特徴とする印刷装置。
【請求項6】
請求項4または5に記載の印刷装置において、
前記第1、第2の加熱ユニットは各々、前記印刷媒体の前記印刷面に電磁波を照射するヒータを備えていることを特徴とする印刷装置。
【請求項7】
請求項6に記載の印刷装置において、
前記ヒータは、カーボンヒータであることを特徴とする印刷装置。
【請求項8】
請求項6に記載の印刷装置において、
前記第1、第2の加熱ユニットは各々、前記ヒータで温められた気体を前記印刷面に送り出す送風部を更に備えていることを特徴とする印刷装置。
【請求項9】
請求項4または5に記載の印刷装置において、
前記第1の方向転換ローラは、前記印刷部から搬出された前記印刷媒体を鉛直下方に方向転換し、
前記第3の方向転換ローラは、前記第2の方向転換ローラによって方向転換された前記印刷媒体を鉛直上方に方向転換することを特徴とする印刷装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、長尺の印刷媒体に対して印刷を行う印刷装置に関する。
【背景技術】
【0002】
印刷装置は、印刷媒体(例えば連続紙)に付着されたインクを乾燥させるために、乾燥機構を備える(例えば、特許文献1参照)。この乾燥機構は、加熱ドラム、送風手段および赤外線加熱手段の少なくとも1つを備える。
【0003】
特許文献1には、質量が大きく比熱の大きい加熱ドラム(ヒートローラ)の外周面に印刷媒体を巻き付けて印刷媒体を裏面(非印字面)から接触加熱する乾燥装置が記載されている。
【0004】
特許文献2には、印刷媒体の搬送経路に沿って設けられたエアターンバーが記載されている。エアターンバーは、エアを噴射する。これにより、エアターンバーと印刷媒体の表面(印刷面)と間に隙間を設けながら印刷媒体を搬送できる。そのため、エアターンバーは、印刷媒体の表面に接触せずに、印刷媒体の表面を内周として印刷媒体を折り返すことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2016-186342号公報
【特許文献2】特開2019-119609号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、従来の印刷装置は、次のような問題がある。すなわち、加熱ドラムは、印刷媒体(例えば連帳紙)の裏面に接触することで印刷媒体を加熱する。裏面から接触加熱すると、印刷媒体を必要以上に加熱してしまう場合がある。これにより、例えば、連帳紙の柔軟性が失われるなど印刷後の紙品質を低下させる可能性がある。また、印刷媒体を介してインクが加熱されるので、乾燥効率を低下させる原因となっている可能性がある。
【0007】
また、緊急停止などで印刷媒体が弛むと、非接触の加熱ユニットの向きによっては、印刷媒体が加熱ユニットの前面に接触する可能性がある。これにより、接触部分で印刷媒体を加熱し過ぎる可能性がある。また、インクが乾かないうちに印刷面がローラに接触すると、インクを転写させる可能性がある。そのため、印刷面に接触するローラに到達するまでに、転写させない程度に、印刷媒体に付着したインクを乾燥させたいと言う要望がある。この要望は、特許文献2に記載のエアターンバーを用いずに行いたい。
【0008】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであって、印刷媒体が加熱ユニットの前面に接触することを防止しながら、印刷面に接触するローラに到達するまでに、印刷媒体を必要以上に加熱しないで、印刷面のインクを乾燥させる印刷装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、このような目的を達成するために、次のような構成をとる。すなわち、本発明に係る印刷装置は、搬送される長尺の印刷媒体の印刷面に対してインクを付着させる印刷部と、前記印刷部から搬出された前記印刷媒体を加熱してインクを乾燥させる乾燥機構と、を備え、前記乾燥機構は、前記印刷部から搬出された前記印刷媒体のインクが付着していない裏面に接触して前記印刷媒体の搬送方向を変える少なくとも第1~第4の方向転換ローラと、前記第4の方向転換ローラの搬送方向の下流側に配置されて、前記印刷媒体の印刷面に接触して前記印刷媒体の搬送方向を変える印刷面接触ローラと、前記第1~第4の方向転換ローラおよび前記印刷面接触ローラにより案内される前記印刷媒体を加熱する少なくとも第1、第2の加熱ユニットと、前記印刷部の下流側でかつ前記第1の方向転換ローラの上流側に配置され、前記裏面に接触して前記印刷媒体を案内する案内ローラと、前記案内ローラに少なくとも案内される前記印刷媒体を加熱する第4の加熱ユニットと、を備え、前記案内ローラは、前記印刷部から搬出された前記印刷媒体を、前記印刷媒体の印刷面が上方向を向くように案内し、前記第1の方向転換ローラは、前記案内ローラによって案内された前記印刷媒体を鉛直下方または前記印刷媒体の印刷面が上方向を向く姿勢になる斜め下方に方向転換し、前記第2の方向転換ローラは、前記第1の方向転換ローラによって方向転換された前記印刷媒体を、印刷面が下方向を向く姿勢になる方向に方向転換し、前記第3の方向転換ローラは、前記第2の方向転換ローラによって方向転換された前記印刷媒体を、鉛直上方または前記印刷媒体の印刷面が上方向を向く姿勢になる斜め上方に方向転換し、前記第4の方向転換ローラは、前記第3の方向転換ローラによって方向転換された前記印刷媒体を、印刷面が上方向を向く姿勢になる水平方向または印刷面が上方向を向く姿勢になる斜め下方に方向転換し、前記第4の加熱ユニットは、前記案内ローラと前記第1の方向転換ローラとの間で、前記印刷媒体の印刷面に対向配置されて、前記印刷媒体を非接触状態で加熱し、前記第1の加熱ユニットは、前記第1の方向転換ローラと前記第2の方向転換ローラとの間で、前記印刷媒体の印刷面に対向配置されて、前記印刷媒体を非接触状態で加熱し、前記第2の方向転換ローラと前記第3の方向転換ローラとの間において、加熱ユニットが前記印刷媒体の搬送経路の下側に設けられておらず、前記第2の方向転換ローラと前記第3の方向転換ローラとの間では前記印刷媒体は加熱されることなく搬送され、前記第2の加熱ユニットは、前記第3の方向転換ローラと前記第4の方向転換ローラとの間で、前記印刷媒体の印刷面に対向配置されて、前記印刷媒体を非接触状態で加熱し、前記印刷面接触ローラは、インク付着後に前記印刷媒体の印刷面に最初に接触するローラであって、インクが乾燥された前記印刷媒体を折り返すことにより前記印刷媒体を前記乾燥機構の出口に向かう方向に案内することを特徴とするものである。
【0010】
本発明に係る印刷装置によれば、長尺の印刷媒体は、第1~第4の方向転換ローラによって方向転換されながら、渦を巻くように印刷面接触ローラに搬送される。印刷面接触ローラは、インク付着後に印刷面に最初に接触するローラである。案内ローラと第1の方向転換ローラとの間、第1、第2の方向転換ローラ間、および第3、第4の方向転換ローラの間には、それぞれ、印刷媒体の印刷面に対向するように加熱ユニットが配置される。このような配置により、乾燥機構をコンパクト化できる。
【0011】
また、各加熱ユニットは、印刷面に対向配置されているので、印刷面に付着したインクを直接加熱できる。そのため、印刷媒体を必要以上に加熱することなく、インクを乾燥できる。また、各加熱ユニットは、上向きに配置されない。更に、印刷面が下向きになる区間(第2、第3の方向転換ローラの間)には、加熱ユニットが配置されない。これは、配置された加熱ユニットが上向きになるためである。そのため、印刷媒体が弛んだ時に、印刷媒体が加熱ユニットの前面に接触することを防止できる。そのため、印刷媒体を加熱し過ぎることを防止できる。
【0012】
また、上述の印刷装置において、前記案内ローラは、前記印刷部から搬出された前記印刷媒体を、前記印刷媒体の印刷面が上方向を向く姿勢になる斜め下方に方向転換し、前記第1の方向転換ローラは、前記案内ローラによって方向転換された前記印刷媒体を方向転換することが好ましい。
【0013】
また、本発明に係る印刷装置は、搬送される長尺の印刷媒体の印刷面に対してインクを付着させる印刷部と、前記印刷部から搬出された前記印刷媒体を加熱してインクを乾燥させる乾燥機構と、を備え、前記乾燥機構は、前記印刷部から搬出された前記印刷媒体のインクが付着していない裏面に接触して前記印刷媒体の搬送方向を変える少なくとも第1~第5の方向転換ローラと、前記第5の方向転換ローラの搬送方向の下流側に配置されて、前記印刷媒体の印刷面に接触して前記印刷媒体の搬送方向を変える印刷面接触ローラと、前記第1~第5の方向転換ローラおよび前記印刷面接触ローラにより案内される前記印刷媒体を加熱する少なくとも第1、第2の加熱ユニットと、前記印刷部の下流側でかつ前記第1の方向転換ローラの上流側に配置され、前記裏面に接触して前記印刷媒体を案内する案内ローラと、前記案内ローラに少なくとも案内される前記印刷媒体を加熱する第4の加熱ユニットと、を備え、前記案内ローラは、前記印刷部から搬出された前記印刷媒体を、前記印刷媒体の印刷面が上方向を向くように案内し、前記第1の方向転換ローラは、前記案内ローラによって案内された前記印刷媒体を鉛直下方に方向転換し、前記第2の方向転換ローラは、前記第1の方向転換ローラによって方向転換された前記印刷媒体を印刷面が下方向を向く姿勢になる方向に方向転換し、前記第3の方向転換ローラは、前記第2の方向転換ローラによって方向転換された前記印刷媒体を鉛直上方に方向転換し、前記第4の方向転換ローラは、前記第3の方向転換ローラによって方向転換された前記印刷媒体を印刷面が上方向を向く姿勢になる方向に方向転換し、前記第5の方向転換ローラは、前記第4の方向転換ローラによって方向転換された前記印刷媒体を鉛直下方に方向転換し、前記第4の加熱ユニットは、前記案内ローラと前記第1の方向転換ローラとの間で、前記印刷媒体の印刷面に対向配置されて、前記印刷媒体を非接触状態で加熱し、前記第1の加熱ユニットは、前記第1の方向転換ローラと前記第2の方向転換ローラとの間で、前記印刷媒体の印刷面に対向配置されて、前記印刷媒体を非接触状態で加熱し、前記第2の方向転換ローラと前記第3の方向転換ローラとの間において、加熱ユニットが前記印刷媒体の搬送経路の下側に設けられておらず、前記第2の方向転換ローラと前記第3の方向転換ローラとの間では前記印刷媒体は加熱されることなく搬送され、前記第2の加熱ユニットは、前記第3の方向転換ローラと前記第4の方向転換ローラとの間で、前記印刷媒体の印刷面に対向配置されて、前記印刷媒体を非接触状態で加熱し、前記印刷面接触ローラは、インク付着後に前記印刷媒体の印刷面に最初に接触するローラであって、インクが乾燥された前記印刷媒体を折り返すことにより前記印刷媒体を前記乾燥機構の出口に向かう方向に案内することを特徴とするものである。
【0014】
また、本発明に係る印刷装置は、搬送される長尺の印刷媒体の印刷面に対してインクを付着させる印刷部と、前記印刷部から搬出された前記印刷媒体を加熱してインクを乾燥させる乾燥機構と、を備え、前記乾燥機構は、前記印刷部から搬出された前記印刷媒体のインクが付着していない裏面に接触して前記印刷媒体の搬送方向を変える少なくとも第1~第4の方向転換ローラと、前記第4の方向転換ローラの搬送方向の下流側に配置されて、前記印刷媒体の印刷面に接触して前記印刷媒体の搬送方向を変える印刷面接触ローラと、前記第1~第4の方向転換ローラおよび前記印刷面接触ローラにより案内される前記印刷媒体を加熱する少なくとも第1、第2の加熱ユニットと、を備え、前記第1の方向転換ローラは、前記印刷部から搬出された前記印刷媒体を、鉛直下方または前記印刷媒体の印刷面が上方向を向く姿勢になる斜め下方に方向転換し、前記第2の方向転換ローラは、前記第1の方向転換ローラによって方向転換された前記印刷媒体を、印刷面が下方向を向く姿勢になる方向に方向転換し、前記第3の方向転換ローラは、前記第2の方向転換ローラによって方向転換された前記印刷媒体を、鉛直上方または前記印刷媒体の印刷面が上方向を向く姿勢になる斜め上方に方向転換し、前記第4の方向転換ローラは、前記第3の方向転換ローラによって方向転換された前記印刷媒体を、印刷面が上方向を向く姿勢になる水平方向または印刷面が上方向を向く姿勢になる斜め下方に方向転換し、前記第1の加熱ユニットは、前記第1の方向転換ローラと前記第2の方向転換ローラとの間で、前記印刷媒体の印刷面に対向配置されて、前記印刷媒体を非接触状態で加熱し、前記第2の加熱ユニットは、前記第3の方向転換ローラと前記第4の方向転換ローラとの間で、前記印刷媒体の印刷面に対向配置されて、前記印刷媒体を非接触状態で加熱し、前記印刷面接触ローラは、インク付着後に前記印刷媒体の印刷面に最初に接触するローラであって、インクが乾燥された前記印刷媒体を折り返すことにより前記印刷媒体を前記乾燥機構の出口に向かう方向に案内し、前記印刷装置は、前記第1の方向転換ローラと前記第2の方向転換ローラとの間で搬送される前記印刷媒体を挟んで、前記第1の加熱ユニットの反対側に配置された第1反射板と、前記印刷面接触ローラの下流側に配置され、かつ、前記印刷媒体を前記乾燥機構の出口に案内するように構成される複数の下流案内ローラと、を更に備え、前記複数の下流案内ローラのうちの2個の下流案内ローラは、前記第1の方向転換ローラと前記第2の方向転換ローラとの間で搬送される前記印刷媒体と前記第1反射板とを挟んで前記第1の加熱ユニットの反対側に配置されると共に、前記印刷面接触ローラから搬送された前記印刷媒体を案内するように構成されることを特徴とするものである。
【0015】
本発明に係る印刷装置によれば、第1反射板は、第1の方向転換ローラと第2の方向転換ローラとの間で搬送される印刷媒体を挟んで、第1の加熱ユニットの反対側に配置されている。また、複数の下流案内ローラのうちの2個の下流案内ローラは、第1の方向転換ローラと第2の方向転換ローラとの間で搬送される印刷媒体と第1反射板とを挟んで第1の加熱ユニットの反対側に配置されると共に、印刷面接触ローラから搬送された印刷媒体を案内するように構成される。第1反射板が配置されるので、第1の加熱ユニットから熱が加わり過ぎることを防止できる。
【0016】
また、上述の印刷装置において、前記第2の方向転換ローラと前記第3の方向転換ローラとの間において、加熱ユニットが前記印刷媒体の搬送経路の下側に設けられておらず、前記第2の方向転換ローラと前記第3の方向転換ローラとの間では前記印刷媒体は加熱されることなく搬送されることが好ましい。
【0017】
また、上述の印刷装置において、前記第1、第2の加熱ユニットは各々、前記印刷媒体の前記印刷面に電磁波を照射するヒータを備えていることが好ましい。ヒータから印刷面に電磁波を照射することで、印刷面を直接加熱することができる。
【0018】
また、上述の印刷装置において、前記ヒータは、カーボンヒータであることが好ましい。カーボンヒータを用いることで、インクの加熱に最適な波長の赤外線を照射することができる。
【0019】
また、上述の印刷装置において、前記第1、第2の加熱ユニットは各々、前記ヒータで温められた気体を前記印刷面に送り出す送風部を更に備えていることが好ましい。電磁波の照射と温風によって印刷面のインクを乾燥させることができる。
【0020】
また、上述の印刷装置において、前記第1の方向転換ローラは、前記印刷部から搬出された前記印刷媒体を鉛直下方に方向転換し、前記第3の方向転換ローラは、前記第2の方向転換ローラによって方向転換された前記印刷媒体を鉛直上方に方向転換することが好ましい。これにより、第1、第2の加熱ユニットは共に、垂直姿勢で配置される。そのため、第1、第2の加熱ユニットが配置される水平な長さ方向で乾燥機構をコンパクト化できる。
【発明の効果】
【0021】
本発明に係る印刷装置によれば、印刷媒体が加熱ユニットの前面に接触することを防止しながら、印刷面に接触するローラに到達するまでに、印刷媒体を必要以上に加熱しないで、印刷面のインクを乾燥できる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】実施例1に係る印刷装置の概略構成図である。
図2】実施例1に係る乾燥機構を示す図である。
図3】(a)は、連続紙の幅方向に沿った加熱ユニットの縦断面図であり、(b)は、連続紙の搬送方向に沿った加熱ユニットの縦断面図である。
図4】(a)は、メンテナンス空間を説明するための平面図であり、(b)は、(a)の側面図である。
図5】実施例2に係る乾燥機構を示す図である。
図6】実施例3に係る乾燥機構を示す図である。
図7】実施例4に係る乾燥機構を示す図である。
【実施例0023】
以下、図面を参照して本発明の実施例1を説明する。図1は、実施例1に係る印刷装置1の概略構成図である。図2は、実施例1に係る乾燥機構21を示す図である。
【0024】
<印刷装置1の構成>
図1を参照する。本実施例の印刷装置1はインクジェット式の印刷装置である。印刷装置1は、給紙部3、印刷装置本体5および排紙部7を備えている。
【0025】
給紙部3は、連続紙(連帳紙)WPのロールを水平軸周りに回転可能に保持する。給紙部3は、連続紙WPのロールから印刷装置本体5に連続紙WPを供給する。印刷装置本体5は、長尺の連続紙WPに対して印刷を行う。そして、排紙部7は、印刷装置本体5で印刷された連続紙WPを水平軸周りに巻き取る。排紙部7は、連続紙WPを巻き取るための電動モータを備える。連続紙WPの供給側を上流とし、連続紙WPの排紙側を下流とすると、給紙部3は、印刷装置本体5の上流に配置される。なお、連続紙WPは本発明の印刷媒体に相当する。
【0026】
印刷装置本体5は、2つの駆動ローラ9,11、複数の搬送ローラ13およびニップローラ15を備えている。駆動ローラ9は、印刷装置本体5の入口側に配置される。駆動ローラ11は、印刷装置本体5の出口側に配置される。2つの駆動ローラ9,11は各々、回転可能に支持され、電動モータで駆動される。駆動ローラ9は、給紙部3からの連続紙WPを取り込む。駆動ローラ11は、排紙部7に連続紙WPを送り出す。2つの駆動ローラ9,11は各々、連続紙WPに搬送のための動力を与える。複数の搬送ローラ13は、回転可能に支持され、連続紙WPを案内する。複数の搬送ローラ13は、駆動ローラ11のように、電動モータを備えず、連続紙WPの搬送のための動力を与えない。
【0027】
また、印刷装置本体5は、上流側から順番に、印刷部19、乾燥機構21、冷却部23および検査部25を備えている。
【0028】
印刷部19は、搬送される連続紙WPの印刷面FFに対してインク(インク滴)を付着させる。印刷部19は、例えば4つのインクジェットヘッド19A~19Dを備えている。4つのインクジェットヘッド19A~19Dは、例えば、ピエゾ素子方式、サーマル(バブル)方式でインク滴を吐出する。最上流のインクジェットヘッド19Aは、ブラック(K)のインク滴を吐出する。次のインクジェットヘッド19Bは、シアン(C)のインク滴を吐出する。次のインクジェットヘッド19Cは、マゼンタ(M)のインク滴を吐出する。次のインクジェットヘッド19Dは、イエロー(Y)のインク滴を吐出する。
【0029】
なお、この例では、印刷部19は、4つのインクジェットヘッド19A~19Dを備えているが、これに限定されない。例えば、印刷部19は、1つ、2つまたは6つのインクジェットヘッドを備えてもよい。
【0030】
乾燥機構21は、印刷部19から搬出(搬送)された連続紙WPを加熱してインクを乾燥させる。乾燥機構21の詳細な構成は、後述する。冷却部23は、乾燥機構21で加熱された連続紙WPを冷却する。冷却部23は、例えば、冷却水を通すための流路を内蔵した水冷式ローラを備えている。検査部25は、例えばCCDセンサまたはCISセンサ(コンタクトイメージセンサ)を備えている。検査部25は、連続紙WPに印刷された画像を検査する。
【0031】
印刷装置1は、制御部27と、図示しない記憶部(例えばメモリ)とを備えている。制御部27は、中央演算処理装置(CPU)を備えている。制御部27は、印刷装置1の各構成(例えば印刷部19および乾燥機構21)を制御する。記憶部には、印刷装置1の動作に必要なプログラムが記憶されている。
【0032】
(1)乾燥機構21の構成
次に、本発明の特徴部分である乾燥機構21について説明する。図2を参照する。
【0033】
(1-1)複数のローラの構成
乾燥機構21は、8つの搬送ローラR1~R8、印刷面接触ローラ31、および7つの搬送ローラ33を備えている。なお、搬送ローラおよび印刷面接触ローラは適宜、「ローラ」と呼ぶ。連続紙WPにおいて、印刷面FFは、印刷部19によりインクが付着された面である。裏面BFは、印刷面FFの反対側の面であり、インクが付着していない面である。
【0034】
これらのローラR1~R8,31,33は、上述の搬送ローラ13と同様に構成されている。具体的には、ローラR1~R8,31,33は各々、回転可能に支持され、連続紙WPを案内する。搬送ローラR1~R8,31,33は、駆動ローラ11のように、電動モータを備えず、連続紙WPの搬送のための動力を与えない。
【0035】
8つの搬送ローラR1~R8は、印刷部19から搬出された連続紙WPの裏面BFに接触して連続紙WPの搬送方向を変える。印刷面接触ローラ31は、8つの搬送ローラR1~R8の下流側に配置されて、連続紙WPの印刷面FFに接触して連続紙WPの搬送方向を変える。連続紙WPは、8つの搬送ローラR1~R8および印刷面接触ローラ33によって渦を巻くように搬送される。以下の説明から明らかになるように、搬送ローラR3は本発明の第1の方向転換ローラに、搬送ローラR4は本発明の第2の方向転換ローラに、搬送ローラR6は本発明の第3の方向転換ローラに、搬送ローラR7は本発明の第4の方向転換ローラに、印刷面接触ローラ31は本発明の印刷面接触ローラに、それぞれ相当する。
【0036】
まず、印刷部19から搬出された連続紙WPは、ローラ13A、ローラR1、ローラR2、ローラR3の順番で搬送される。これらの搬送ローラ13A,R1~R3は、印刷部19の下流に配置され、また、平面視で印刷部19の前方に配置される。
【0037】
搬送ローラ13Aは、印刷部19(すなわちインクジェットヘッド19D)の下流側でかつ、搬送ローラR3の上流側に配置される。搬送ローラ13Aは、インクジェットヘッド19Dの近くに配置される。搬送ローラ13Aは、連続紙WPの裏面BFに接触する。3つの搬送ローラ13A,R1,R2は各々、連続紙WPの印刷面FFが上方向を向く姿勢になる斜め下方に連続紙WPを案内する。連続紙WPの傾斜角(絶対値)は、搬送ローラR3に向かうほど大きくなる。搬送ローラ13A,R1,R2は本発明の案内ローラに相当する。搬送ローラR3は、第1の方向転換ローラに相当する。搬送ローラR3は、3つの搬送ローラ13A,R1,R2によって方向転換された連続紙WPを鉛直下方に方向転換する。
【0038】
連続紙WPが搬送ローラR3に搬送された後、連続紙WPは、ローラR4、ローラR5、ローラR6、ローラR7、ローラR8の順番で搬送される。
【0039】
搬送ローラR4は、第2の方向転換ローラに相当する。搬送ローラR4は、搬送ローラR3によって方向転換された連続紙WPを、連続紙WPの印刷面FFが下方向を向く姿勢になる斜め下方に方向転換する。搬送ローラR5は、搬送ローラR4よりも低い位置に配置される。搬送ローラR5は、連続紙WPの印刷面FFが下方向を向く姿勢になる斜め上方に連続紙WPを方向転換する。搬送ローラR6は、搬送ローラR5よりも高い位置に配置される。また、搬送ローラR6は、搬送ローラR4と略同じ高さ位置に配置される。
【0040】
搬送ローラR6は、第3の方向転換ローラに相当する。搬送ローラR6は、2つの搬送ローラR4,R5によって方向転換された連続紙WPを鉛直上方に方向転換する。搬送ローラR7は、搬送ローラR6よりも高い位置に配置される。搬送ローラR7は、搬送ローラR3と略同じ高さ位置に配置される。また、搬送ローラR7は、搬送ローラ13Aと搬送ローラR3との間で搬送される連続紙WPと搬送ローラR6との間に配置される。なお、図2に示すように、4つの搬送ローラR3,R4,R6,R7は、連続紙WPの搬送方向TDと直交する幅方向に見たときに、略長方形となるように配置される。
【0041】
搬送ローラR7は、第4の方向転換ローラに相当する。搬送ローラR7は、搬送ローラR6によって方向転換された連続紙WPを、印刷面FFが上方向を向く姿勢になる斜め下方に方向転換する。搬送ローラR8は、搬送ローラR7よりも低い位置に配置される。搬送ローラR8および印刷面接触ローラ31は、図2に示すように、4つの搬送ローラR3,R4,R6,R7の間に配置される。言い換えると、搬送ローラR8および印刷面接触ローラ31は、2つの搬送ローラR3,R7の間で搬送される連続紙WPによって囲まれる位置に配置される。また、略長方形の対角線に連続紙WPを搬送するため、搬送ローラR8および印刷面接触ローラ31は、搬送ローラR4の近くに配置される。なお、搬送ローラR8と印刷面接触ローラ31との間の搬送方向の傾斜角(絶対値)は、2つの搬送ローラR7,R8の間の搬送方向の傾斜角(絶対値)よりも大きい。
【0042】
印刷面接触ローラ31は、本発明の印刷面接触ローラに相当する。印刷面接触ローラ31は、インク付着後に連続紙WPの印刷面FFに最初に接触するローラである。印刷面接触ローラ31は、インクが乾燥された連続紙WPを折り返すことにより連続紙WPを乾燥機構21の出口に向かう方向に案内する。乾燥機構21の出口への案内は、具体的には、印刷面接触ローラ31だけでなく7つの搬送ローラ33でも行われる。7つの搬送ローラ33は、本発明の下流案内ローラに相当する。7つの搬送ローラ33は、印刷面接触ローラ31の下流側に配置される。7つの搬送ローラ33は、2つの搬送ローラ13A,R3の間で搬送される連続紙WPと、搬送ローラR7と印刷面接触ローラ31との間で搬送される連続紙WPとの隙間CL1を通しながら、印刷面接触ローラ31で折り返された連続紙WPを乾燥機構21の出口に案内する。なお、ローラ13A,R1~R8,31,33の個数は、適宜設定される。
【0043】
(1-2)4つの加熱ユニットH1~H4の構成
また、乾燥機構21は、4つの加熱ユニットH1~H4を備えている。4つの加熱ユニットH1~H4は、搬送ローラ13A,R1~R8および印刷面接触ローラ31によって案内される連続紙WPを加熱する。第4加熱ユニットH4、第1加熱ユニットH1、第2加熱ユニットH2、第3加熱ユニットH3は、この順番で、連続紙WPの搬送経路に沿って配置される。4つの加熱ユニットH1~H4は、連続紙WPを非接触状態で加熱する。以下の説明から明らかになるように、加熱ユニットH1は本発明の第1の加熱ユニットに、加熱ユニットH2は本発明の第2の加熱ユニットに、加熱ユニットH3は本発明の第3の加熱ユニットに、加熱ユニットH4は本発明の第4の加熱ユニットに、それぞれ相当する。
【0044】
第4加熱ユニットH4は、2つの搬送ローラ13A,R3の間(具体的には、2つの搬送ローラR1,R2の間)で、連続紙WPの印刷面FFに対向配置される。すなわち、第4加熱ユニットH4は、2つの搬送ローラ13A,R3の間で搬送される連続紙WPの印刷面FF側に配置される。第1加熱ユニットH1は、2つの搬送ローラR3,R4の間で、連続紙WPの印刷面FFに対向配置される。第2加熱ユニットH2は、2つの搬送ローラR6,R7の間で、連続紙WPの印刷面FFに対向配置される。第3加熱ユニットH3は、搬送ローラR7と印刷面接触ローラ31との間(具体的には、2つの搬送ローラR7,R8の間)で、連続紙WPの印刷面FFに対向配置される。つまり、本実施例の4つの加熱ユニットH1~H4は各々、連続紙WPの裏面BFに対向するように配置されない。
【0045】
また、2つの搬送ローラR4,R6の間では、連続紙WPは、加熱ユニットによって加熱されることなく搬送される。この理由を説明する。2つの搬送ローラR4,R6の間では、印刷面FFが下向きになる。そのため、加熱ユニットの前面(加熱側の面)を印刷面FFに向けると、加熱ユニットの前面が上向きになる。これにより、連続紙WPが弛んだ時に、連続紙WPが加熱ユニットの前面に接触して過熱されてしまう。このような連続紙WPの過熱を避けるために、2つの搬送ローラR4,R6の間では、連続紙WPは、加熱ユニットによって加熱されることなく搬送される。
【0046】
また、例えば、第4加熱ユニットH4は、2つの搬送ローラ13A,R3の間で搬送される連続紙WPの印刷面FFを赤外線(電磁波)で加熱する。ここで、第4加熱ユニットH4による赤外線照射領域(加熱領域)に例えば2つの搬送ローラR1,R2が入らないように構成される。2つの搬送ローラR1,R2が加熱し過ぎることを防止する。他の加熱ユニットH1~H3も同様である。
【0047】
図3(a)は、連続紙WPの幅方向WDに沿った加熱ユニットH1の縦断面図である。図3(b)は、連続紙WPの搬送方向TDに沿った加熱ユニットH1の縦断面図である。幅方向WDは、搬送方向TDと直交する。4つの加熱ユニットH1~H4は互いに同じ構成を有する。そのため、これらを代表して、第1加熱ユニットH1の詳細な構成について説明する。
【0048】
第1加熱ユニットH1は、連続紙WPに赤外線を照射する複数本のカーボンヒータ35を備える。複数本のカーボンヒータ35は幅方向WDに沿って平らに並べられる。各カーボンヒータ35は、棒状に形成されており、搬送方向TDに沿って長手に配置される。そのため、複数本のカーボンヒータ35は、連続紙WPと平行にするために、2次元平面状に配置されている。なお、第1加熱ユニットH1は、複数本ではなく、1本のカーボンヒータ35を備えてもよい。この場合、1本のカーボンヒータ35は、曲げることで、2次元平面状に配置される。
【0049】
カーボンヒータ35から印刷面FFに赤外線を照射することで、印刷面FF(インクおよび連続紙WP)を直接加熱することができる。カーボンヒータ35を用いることで、インクの加熱(乾燥)に最適な波長の赤外線を照射することができる。すなわち、カーボンヒータ35は、水に対して吸収性がよい波長の赤外線を照射できる。
【0050】
複数本のカーボンヒータ35は、筐体37に収容される。筐体37は、直方体状に形成される。筐体37の前面37Aは、開口している。なお、前面37Aには、連続紙WPとカーボンヒータ35の接触を避けるための格子柵(図示しない)が設けられてもよい。
【0051】
また、第1加熱ユニットH1は、送風ファン39と案内板41を備える。送風ファン39は、筐体37の側面に設けられ、電動モータにより駆動される。送風ファン39は、筐体37内に気体を送り込む。これにより、カーボンヒータ35で温められた、カーボンヒータ35の周囲の気体を印刷面FFに送り出すことができる。また、案内板41は、筐体37の内部に設けられ、筐体37の前面37Aから風が均等に流れるように構成されている。つまり、第1加熱ユニットH1は、カーボンヒータ35の輻射熱で印刷面FFを加熱し、更に、印刷面FFに温風を吹き付けるように構成されている。なお、送風ファン39は、本発明の送風部に相当する。
【0052】
また、第1加熱ユニットH1は、2つの排気部43を備える。2つの排気部43は、カーボンヒータ35等を収容する筐体37を挟み込むように、筐体37の上流側および下流側の側面に設けられる。2つの排気部43の各開口は、印刷面FFに向いている。これにより、筐体37の上流側および下流側で、送風ファン39によって前面37Aから吹き付けられた温風を排気することができる。
【0053】
また、図2図3(a)、図3(b)に示すように、印刷装置1は、4つの反射板RF1~RF4を備える。第4反射板RF4は、2つの搬送ローラ13A,R3の間で搬送される連続紙WPを挟んで、第4加熱ユニットH4の反対側に配置される。同様に、第1反射板RF1は、2つの搬送ローラR3,R4の間で搬送される連続紙WPを挟んで、第1加熱ユニットH1の反対側に配置される。第2反射板RF2は、2つの搬送ローラR6,R7の間で搬送される連続紙WPを挟んで、第2加熱ユニットH2の反対側に配置される。第3反射板RF3は、搬送ローラR7と印刷面接触ローラ31との間で搬送される連続紙WPを挟んで、第3加熱ユニットH3の反対側に配置される。
【0054】
4つの反射板RF1~RF4は各々、光沢のある金属で形成される。4つの反射板RF1~RF4は各々、カーボンヒータ35から照射されて連続紙WPを透過した赤外線を反射する。反射された赤外線を連続紙WPに再照射できる。これにより、カーボンヒータ35から照射された赤外線を有効利用できる。
【0055】
また、図2において、3つの加熱ユニットH1,H2,H4の前面37Aは各々、第3加熱ユニットH3に向くように配置される。ここで、少なくとも3つの反射板RF1,RF2,RF4が配置されるので、第3加熱ユニットH3に外部から熱が加わり過ぎることを防止できる。
【0056】
なお、乾燥機構21は、排気集約部(図示しない)を備えている。排気集約部は、ローラ13A,R1~R8,31,33および4つの加熱ユニットH1~H4の上方に配置される。排気集約部は、4つの加熱ユニットH1~H4の各々の排気部43に接続される。排気集約部は、排気部43の各々によって吸引された気体を集め、集めた気体を工場の排気ダクトに送る。
【0057】
(1-3)メンテナンス空間MS1,MS2の構成
図2を参照する。乾燥機構21は、メンテナンスのための2つのメンテナンス空間MS1,MS2を備えている。第1メンテナンス空間MS1は、搬送ローラR4から印刷面接触ローラ31までの間で搬送される連続紙WPで囲まれるように設けられる。また、第1メンテナンス空間MS1の側面は、搬送ローラR4から印刷面接触ローラ31までの間で搬送される連続紙WPに沿うような形状(例えば四角形)に形成される。
【0058】
また、第2メンテナンス空間MS2は、搬送ローラ33Aから搬送ローラ33Cまでの間で搬送される連続紙WPと第3加熱ユニットH3とで囲まれるように設けられる。第2メンテナンス空間MS2の側面は、略L字状に形成される。なお、2つのメンテナンス空間MS1,MS2は、何も配置されない空間である。
【0059】
ここで、メンテナンスの一例として、紙通し作業を説明する。図1を参照する。紙通し作業は、印刷作業を行う前に、給紙部3から送られた連続紙WPを印刷装置本体5の内部に通す作業である。この作業は、乾燥機構21に対しても行われる。給紙部3から送られた連続紙WPの一端は、搬送バー51に取り付けられる(図4(a)、図4(b)参照)。搬送バー51を連続紙WPの搬送経路に沿って送るために、2つのガイドレール(図示しない)が設けられる。2つのガイドレールは、幅方向WDで連続紙WPを挟み込むように配置され、搬送バー51の両端を案内する。
【0060】
図2を参照する。作業者は、搬送ローラ13Aから搬送バー51を送る。搬送ローラ13Aから搬送ローラR5までの区間において、搬送経路は下向きに傾斜する。搬送バー51が自重で傾斜を下るので、搬送バー51は、搬送ローラR5まで比較的円滑に送られる。
【0061】
作業者は、幅方向WD(例えば図4(a)の矢印AC1)に沿って、第1メンテナンス空間MS1に作業者の手を進入させる。その後、作業者は、搬送バー51を保持しながら、搬送ローラR5から搬送ローラR7を通過した辺りまで、搬送バー51を移動させる。ここで、2つの搬送ローラR6,R7の間で搬送バー51を搬送させるために用いられる第2反射板RF2の扉53について説明する。図4(a)、図4(b)を参照する。
【0062】
第2反射板RF2は、扉53、開口部55および反射板本体57を備える。開口部55は、反射板本体57に設けられる。扉53は、反射板本体57に回動可能に取り付けられ、開口部55を開閉する。作業者は、扉53を開く。その後、作業者は、その手を開口部55に更に進入させながら、2つの搬送ローラR6,R7の間で、搬送バー51を移動させる。なお、図4(a)において、作業者の手が矢印AC2から進入する場合など、扉53は、作業者の手が開口部55に進入しやすい方向に開くように構成されてもよい。また、扉53は、スライド式で構成されたり、取り外し可能であったりしてもよい。
【0063】
搬送バー51が搬送ローラR7を通過した後、搬送ローラR7から印刷面接触ローラ31までの区間は、下向きに傾斜する。そのため、そのため、搬送バー51は、搬送ローラR5まで比較的円滑に送られる。その後、作業者は、第1メンテナンス空間MS1と同様に、第2メンテナンス空間MS2に幅方向WDに沿ってその手を進入させる。その後、作業者は、搬送バー51を保持しながら、印刷面接触ローラ31から搬送ローラ33Cまでの間で搬送バー51を移動させる。その後、作業者は、更に、搬送バー51を移動させる。これにより、乾燥機構21に連続紙WPが通される。
【0064】
(2)印刷装置1の動作
次に、図1図2を参照しつつ印刷装置1の動作を説明する。給紙部3は、印刷装置本端5に連続紙WPを供給する。連続紙WPは、印刷部19によりインク(インク滴)が吐出されて、乾燥機構21に搬送される。ここで、連続紙WPのインクが付着される面が印刷面FFである。印刷面FFの反対側の面が裏面BFである。
【0065】
図2を参照する。連続紙WPは、8つの搬送ローラR1~R8を経由しながら、搬送ローラ13Aから印刷面接触ローラ31まで渦巻き状に搬送される。搬送ローラ13Aから搬送ローラR3までの区間において、連続紙WPは、印刷面FFが上向きの斜め下方(すなわち前方向と下方向を組み合わせた斜め方向)に搬送される。この区間において、第4加熱ユニットH4は、連続紙WPを非接触状態で加熱する。
【0066】
その後、連続紙WPは、2つの搬送ローラR3,R4の区間において、鉛直下方に搬送される。この区間において、第1加熱ユニットH1は、連続紙WPを非接触状態で加熱する。その後、2つの搬送ローラR4,R6の区間において、連続紙WPは、印刷面FFが下向きで搬送される。また、この区間において、連続紙WPは、例えば第1加熱ユニットH1と同様の加熱ユニットによって加熱することなく搬送される。
【0067】
その後、2つの搬送ローラR6,R7の区間において、連続紙WPは、鉛直上方に搬送される。この区間において、第2加熱ユニットH2は、連続紙WPを非接触状態で加熱する。その後、搬送ローラR7から印刷面接触ローラ31までの区間において、連続紙WPは、印刷面FFが上向きの斜め下方に搬送される。この区間において、第3加熱ユニットH3は、連続紙WPを非接触状態で加熱する。これにより、連続紙WPは、4つの加熱ユニットH1~H4によって加熱される。これにより、印刷面FFのインクは乾燥する。
【0068】
その後、印刷面接触ローラ31は、印刷部19によってインク付着後に連続紙WPの印刷面FFに最初に接触する。印刷面のインクは、転写しない程度に乾燥している。そのため、印刷面接触ローラ31が印刷面に接触しても、インクの転写は防止される。印刷面接触ローラ31は、印刷面FFに接触しながら、連続紙WPを折り返す。7つの搬送ローラ33は、搬送ローラ13Aから搬送ローラR3までの間で搬送される連続紙WPと、搬送ローラR7と印刷面接触ローラ31との間で搬送される連続紙WPとの隙間CL1を通しながら、印刷面接触ローラ31で折り返された連続紙WPを乾燥機構21の出口および冷却部23に案内する。すなわち、7つの搬送ローラ33は、渦巻きの内側に案内された連続紙WPを渦巻きの外側に案内しながら、連続紙WPを乾燥機構21の出口に案内する。
【0069】
冷却部23は、乾燥機構21で加熱された連続紙WPを冷却する。乾燥機構21によって連続紙WPが必要以上に加熱されないので、冷却部23の負荷を軽減できる。その後、冷却部23で冷却された連続紙WPは、検査部25に搬送される。検査部25は、印刷部分(文字および図形)を検査する。検査部25で検査された連続紙WPは、排紙部7によって巻き取られる。
【0070】
本実施例によれば、連続紙WPは、搬送ローラ13A,R1~R8によって方向転換されながら、渦を巻くように印刷面接触ローラ31に搬送される。印刷面接触ローラ31は、インク付着後に印刷面FFに最初に接触するローラである。2つの搬送ローラ13A,R3の間、2つの搬送ローラR3,R4の間、2つの搬送ローラR6,R7の間、および搬送ローラR7と印刷面接触ローラ31との間には、それぞれ、連続紙WPの印刷面FFに対向するように加熱ユニットH1~H4が配置される。このような配置により、乾燥機構21、すなわち印刷装置1をコンパクト化できる。
【0071】
また、各加熱ユニットH1~H4は、印刷面FFに対向配置されているので、印刷面FFに付着したインクを直接加熱できる。そのため、連続紙WPを必要以上に加熱することなく、インクを乾燥できる。また、各加熱ユニットH1~H4は、上向きに配置されない。更に、印刷面FFが下向きになる区間(2つの搬送ローラR4,R6の間)には、加熱ユニットが配置されない。これは、配置された加熱ユニットが上向きになるためである。そのため、連続紙WPが弛んだ時に、連続紙WPが各加熱ユニットH1~H4の前面37A(正面)に接触することを防止できる。そのため、連続紙WPを加熱し過ぎることを防止できる。
【0072】
また、搬送ローラR7は、搬送ローラR6によって方向転換された連続紙WPを、印刷面FFが上方向を向く姿勢になる斜め下方に方向転換する。第3加熱ユニットH3は、搬送ローラR7によって方向転換された連続紙WPに沿って傾斜姿勢で配置される。この結果、搬送ローラR3と搬送ローラR4との間で搬送される連続紙WPと、搬送ローラR6と搬送ローラR7との間で搬送される連続紙WPとの間の直方体状の空間を効率よく利用して第3加熱ユニットを配置できる。そのため、乾燥機構21をコンパクト化できる。
【0073】
搬送ローラR3は、印刷部19から搬出された連続紙WPを鉛直下方に方向転換し、搬送ローラR6は、搬送ローラR4,R5によって方向転換された連続紙WPを鉛直上方に方向転換する。これにより、2つの加熱ユニットH1,H2は共に、垂直姿勢で配置される。そのため、2つの加熱ユニットH1,H2が配置される水平な長さ方向(前後方向)で乾燥機構21をコンパクト化できる。
【0074】
また、乾燥機構21は、従来装置の加熱ドラムを備えていない。加熱ドラムは、起動させてから実際に動作させるまでの準備期間を比較的長く必要とする。また、加熱ドラムは、連続紙WPの搬送状態に影響を与え易い。そのため、本実施例の乾燥機構21は、準備期間を比較的短くできると共に、連続紙WPの搬送状態への影響を抑制できる。
【実施例0075】
次に、図面を参照して本発明の実施例2を説明する。なお、実施例1と重複する説明は省略する。図5は、実施例2に係る印刷装置を示す図である。
【0076】
実施例1では、搬送ローラR7は、印刷面FFが上方向に向く姿勢になる斜め下方に、連続紙WPを方向転換した(図2参照)。この点、実施例2では、搬送ローラR7は、印刷面FFが上方向を向く姿勢になる水平方向に、連続紙WPを方向転換してもよい。すなわち、第3加熱ユニットH3は、水平姿勢で配置される。
【0077】
図5を参照する。実施例1と同様に、連続紙WPは、搬送ローラ13Aから搬送ローラR7までの区間で搬送される。その後、搬送ローラR7は、連続紙WPの裏面BFに接触しながら、搬送ローラR6によって方向転換された連続紙WPを、印刷面FFが上方向を向く姿勢になる水平方向に方向転換する。これにより、連続紙WPは、2つの搬送ローラR7,R8の区間で水平方向に搬送される。また、第3加熱ユニットH3、すなわち、複数のカーボンヒータ35は、水平姿勢で配置される。
【0078】
本実施例によれば、実施例1と同様の効果を有する。しかし、図5に示すように、2つの加熱ユニットH1,H2の間で第3加熱ユニットH3(複数のカーボンヒータ35)が傾斜して配置されていない。そのため、図5に示す乾燥機構21Aは、図2に示す乾燥機構21よりも高さ方向に大きくなる可能性がある。
【0079】
なお、図5において、第1加熱ユニットH1は、第2加熱ユニットH2と同じ高さに配置された。この点、図5の符号MOに示すように、第1加熱ユニットH1は、第2加熱ユニットH2よりも高い位置に配置されていてもよい。
【実施例0080】
次に、図面を参照して本発明の実施例3を説明する。なお、実施例1,2と重複する説明は省略する。図6は、実施例3に係る印刷装置を示す図である。
【0081】
実施例1,2では、搬送ローラR3は、鉛直下方に連続紙WPを方向転換し、搬送ローラR6は、鉛直上方に連続紙WPを方向転換した(図2参照)。この点、実施例3では、搬送ローラR3は、印刷面FFが上方向を向く姿勢の斜め下方に連続紙WPを方向転換し、搬送ローラR6は、印刷面FFが上方向を向く姿勢の斜め上方に連続紙WPを方向転換してもよい。
【0082】
図6を参照する。搬送ローラR3は、連続紙WPの裏面BFに接触しながら、搬送ローラR2で方向転換された連続紙WPを、印刷面FFが上方向を向く姿勢の斜め下方に方向転換する。また、搬送ローラR6は、裏面BFに接触しながら、搬送ローラR5で方向転換された連続紙WPを、印刷面FFが上方向を向く姿勢の斜め上方に方向転換する。これにより、2つの加熱ユニットH1,H2は、2つの加熱ユニットH1,H2間の隙間CL2が下側に向かうほど広くなるように配置される。
【0083】
本実施例によれば、実施例1と同様の効果を有する。また、2つの加熱ユニットH1,H2は共に、斜めに配置される。そのため、図6に示す乾燥機構21Bは、図2に示す乾燥機構21よりも高さ方向に小さくすることができる。しかし、図6に示す乾燥機構21Bは、図2に示す乾燥機構21よりも前後方向に大きくなる可能性がある。
【実施例0084】
次に、図面を参照して本発明の実施例4を説明する。なお、実施例1と重複する説明は省略する。図7は、実施例4に係る印刷装置を示す図である。
【0085】
実施例1では、搬送ローラR7は連続紙WPを方向転換し、搬送ローラR7で方向転換された連続紙WPは、下流の搬送ローラR8に搬送された(図2参照)。この点、実施例4では、2つの搬送ローラR7,R9は連続紙WPを方向転換し、2つの搬送ローラR7、R9で方向転換された連続紙WPは、下流の搬送ローラR8に搬送されてもよい。
【0086】
図7を参照する。搬送ローラR7は、裏面BFを接触しながら、搬送ローラR6で方向転換された印刷面FFが上方向に向く姿勢になる水平方向に方向転換する。なお、搬送ローラR7は、印刷面FFが上方向を向く姿勢であれば、水平方向以外の方向に方向転換してもよい。2つの搬送ローラR7,R8間には、搬送ローラR9が配置されている。すなわち、搬送ローラR9は、搬送ローラR7の下流に配置され、搬送ローラR8の上流に配置される。搬送ローラR9は、本発明の第5の方向転換ローラに相当する。搬送ローラR9は、裏面BFに接触しながら、第4の方向転換ローラに相当する搬送ローラR7で方向転換された連続紙WPを鉛直下方に方向転換する。また、第3加熱ユニットH3は、2つの搬送ローラR9,R8の間で、印刷面FFに対向配置される。また、第3加熱ユニットH3は、2つの加熱ユニットH1,H2と共に、垂直姿勢で配置される。
【0087】
本実施例によれば、実施例1と同様の効果を有する。第3加熱ユニットH3は垂直姿勢で配置される。図7に示す乾燥機構21Cは、図2に示す乾燥機構21よりも前後方向で小さくすることができる。しかし、印刷面接触ローラ31が第3加熱ユニットH3よりも低い位置に配置される。そのため、図7に示す乾燥機構21Cは、図2に示す乾燥機構21よりも高さ方向で大きくなる可能性がある。
【0088】
本発明は、上記実施形態に限られることはなく、下記のように変形実施することができる。
【0089】
(1)上述した各実施例では、乾燥機構21は、4つの加熱ユニットH1~H4を備えていた。この点、乾燥機構21は、5つ以上の加熱ユニットを備えてもよい。例えば、図7において、二点鎖線で示すように、乾燥機構21Cは、2つの搬送ローラR7,R9の区間に配置された第5加熱ユニットH5を更に備えてもよい。この場合、第5加熱ユニットH5は4つの加熱ユニットH1~H4と同様に構成されるので、乾燥機構21が前後方向に長くなる。また、3つの加熱ユニットH1~H3で印刷面接触ローラ31に到達するまでに印刷面のインクが十分に乾燥する場合には、第4加熱ユニットH4は設けなくてもよい。
【0090】
(2)上述した各実施例および変形例(1)では、各加熱ユニットH1~H4は、ヒータとして、カーボンヒータ35を備えていたが、これに限定されない。ヒータは、例えば、ハロゲンランプまたはニクロム線に通電する手段であってもよい。
【0091】
(3)上述した各実施例および各変形例では、各加熱ユニットH1~H4は、送風ファン39および排気部43を備えていた。この点、各加熱ユニットH1~H4は、必要により、送風ファン39または排気部43の少なくとも一方を備えなくてもよい。また、乾燥機構21は、4つの反射板RF1~RF4を備えていた。この点、乾燥機構21は、必要により、4つの反射板RF1~RF4を備えていなくてもよい。また、乾燥機構21は、2つのメンテナンス空間MS1,MS2を備えていた。この点、乾燥機構21は、必要により、2つのメンテナンス空間MS1,MS2の少なくとも一方を備えていなくてもよい。
【0092】
(4)上述した各実施例および各変形例では、乾燥機構21は、電動モータによって駆動される駆動ローラが設けられていなかった。この点、乾燥機構21は、駆動ローラを備えてもよい。
【0093】
(5)上述した各実施例および各変形例では、印刷装置1は、連続紙WPの片面(第1面)を印刷していたが、連続紙WPの両面(第1面および第2面)を印刷してもよい。印刷装置1が連続紙WPの第1面を印刷する場合、第1面が印刷面FFとなり、第2面が裏面BFになる。その後、印刷装置1が連続紙WPの第2面を印刷する場合、第2面が印刷面FFになり、第1面が裏面BFになる。
【0094】
(6)上述した各実施例および各変形例では、長尺の印刷媒体の一例として、連続紙(連帳紙)WPを用いて説明した。印刷媒体は、紙に限られない。例えば、樹脂フィルムであってもよい。
【0095】
(7)上述した各実施例および各変形例では、印刷部19は、インクジェット方式で連続紙WPにインクを付着させた。この点、印刷部は、例えば、オフセット印刷やグラビア印刷により連続紙WPにインクを付着させてもよい。
【符号の説明】
【0096】
1 … 印刷装置
19 … 印刷部
21,21A,21B,21C … 乾燥機構
13A,R1~R9,33 … 搬送ローラ
31 … 印刷面接触ローラ
H1~H5 … 加熱ユニット
35 … カーボンヒータ
39 … 送風ファン
RF1~RF4 … 反射板
MS1,MS2 … メンテナンス空間
WP … 連続紙
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7