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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024114808
(43)【公開日】2024-08-23
(54)【発明の名称】乗物用シート
(51)【国際特許分類】
   B60N 2/22 20060101AFI20240816BHJP
   B60N 2/90 20180101ALI20240816BHJP
   B60N 2/64 20060101ALI20240816BHJP
   A47C 7/40 20060101ALI20240816BHJP
【FI】
B60N2/22
B60N2/90
B60N2/64
A47C7/40
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024102549
(22)【出願日】2024-06-26
(62)【分割の表示】P 2023111256の分割
【原出願日】2016-10-19
(71)【出願人】
【識別番号】000220066
【氏名又は名称】テイ・エス テック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100116034
【弁理士】
【氏名又は名称】小川 啓輔
(74)【代理人】
【識別番号】100144624
【弁理士】
【氏名又は名称】稲垣 達也
(74)【代理人】
【識別番号】100195224
【弁理士】
【氏名又は名称】松井 宏憲
(72)【発明者】
【氏名】杉山 慎二
(72)【発明者】
【氏名】三好 晃
(57)【要約】
【課題】座面の向きを乗員が置かれた状況に応じて変更することができる乗物用シートを提供する。
【解決手段】シートの少なくとも一部を動かすことで座面の向きを左右に変えることが可能なアクチュエータ30と、アクチュエータ30を制御する制御装置100とを備える。制御装置100は、乗員の乗物への乗降を検出する乗降検出手段150と、乗降検出手段150が乗員の乗物への乗降を検出した場合に、アクチュエータ30を制御して座面を乗物の乗降口側に向ける乗降サポート制御を実行する乗降サポート手段160と、運転者の覚醒状態を検出する覚醒状態検出手段130と、覚醒状態検出手段130が運転者の覚醒状態の低下を検出した場合に、アクチュエータ30を制御して座面の向きを変更する警告制御を実行する警告手段140とを有する。乗降サポート制御を実行するときの座面の向きの変更量は、警告制御を実行するときの座面の向きの変更量よりも大きい。
【選択図】図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
シートの少なくとも一部を動かすことで座面の向きを左右に変えることが可能なアクチュエータと、
前記アクチュエータを制御する制御装置と、を備え、
前記制御装置は、
乗員の乗物への乗降を検出する乗降検出手段と、
前記乗降検出手段が乗員の乗物への乗降を検出した場合に、前記アクチュエータを制御して座面を乗物の乗降口側に向ける乗降サポート制御を実行する乗降サポート手段と、
運転者の覚醒状態を検出する覚醒状態検出手段と、
前記覚醒状態検出手段が運転者の覚醒状態の低下を検出した場合に、前記アクチュエータを制御して座面の向きを変更する警告制御を実行する警告手段と、
乗物が旋回するときに前記アクチュエータを制御して座面を旋回方向に向ける走行姿勢サポート制御を実行する走行姿勢サポート手段とを有し、
前記乗降サポート制御を実行するときの座面の向きの変更量は、前記警告制御を実行するときの座面の向きの変更量よりも大きく、
前記走行姿勢サポート手段は、前記走行姿勢サポート制御を実行するときに、乗物が操舵を自動的に行う自動運転モードである場合の座面の向きの変更量を、乗物が操舵を自動的に行わない手動運転モードである場合の座面の向きの変更量よりも大きくするように構成され、
前記警告制御を実行するときの座面の向きの変更量は、乗物が前記自動運転モードである場合に前記走行姿勢サポート制御を実行するときの座面の向きの変更量よりも大きいことを特徴とする乗物用シート。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、座面の向きを左右に変えることが可能な乗物用シートに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、乗物用シートとして、座面の向きを左右に変えることが可能に構成されたものが知られている。例えば、特許文献1-3には、シートバックの左右のサイドフレームの間に配置された背板や受圧部材と呼ばれる板状の部材の向きを左または右に向けることで、シートバックの座面の向きを左または右に変えることが可能な乗物用シートが開示されている。
【0003】
また、シートバックの座面の向きを変えるための機構としては、特許文献1-3に開示された機構のほか、例えば、特許文献4に開示されたサイドサポート駆動機構などを利用することができる。具体的には、サイドサポート駆動機構を構成する左右のサイドサポート装置が独立して駆動するようにケーブル牽引機構を設けた上で、例えば、左のサイドサポート装置を駆動させることで、左の支持部材が前に回動し、これによって、シートバックの左の側部を前に押し出すことができる。そして、このようにシートバックの左の側部が前に押し出されると、シートバックは、座面が全体として右を向くことになるので、シートバックの座面の向きを変えることが可能となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2013-049356号公報
【特許文献2】特開2013-189141号公報
【特許文献3】特開2015-058794号公報
【特許文献4】特開2014-189127号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、乗物用シートの座面の向きは、乗物用シートに座る乗員が置かれた状況に応じて変更できることが望ましい。
【0006】
そこで、座面の向きを乗員が置かれた状況に応じて変更することができる乗物用シートを提供することを目的とする。
また、座面の向きを変えることが可能な乗物用シートの様々な利用法を提案することを目的とする。
また、快適性を向上させることを目的とする。
また、乗降性を向上させることを目的とする。
また、覚醒効果を高めることを目的とする。
また、座面の向きを変えるためのアクチュエータを小型化することを目的とする。
また、座面の向きの変更量を乗員の好みに合わせて設定することを目的とする。
また、現在設定されている座面の向きの変更量の情報を乗員に知らせることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
乗物用シートは、シートの少なくとも一部を動かすことで座面の向きを左右に変えることが可能なアクチュエータと、前記アクチュエータを制御する制御装置と、を備え、前記制御装置は、乗物が旋回するときに前記アクチュエータを制御して座面を旋回方向に向ける走行姿勢サポート制御を実行する走行姿勢サポート手段を有し、前記走行姿勢サポート手段は、前記走行姿勢サポート制御を実行するときに、乗物内におけるシートの位置に応じて、前記アクチュエータを制御する構成とすることができる。
【0008】
このような構成によれば、座面の向きを乗員が置かれた状況に応じて変更することができる。
【0009】
前記した乗物用シートにおいて、乗物用シートは、運転席シートと、前記運転席シート以外のシートである第2シートとを含み、前記走行姿勢サポート手段は、前記走行姿勢サポート制御を実行するときに、前記第2シートの座面の向きの変更量を、前記運転席シートの座面の向きの変更量よりも大きくする構成とすることができる。
【0010】
これによれば、第2シートに座る乗員は、自分で運転しないため、旋回方向に応じた姿勢をとれない場合があるが、第2シートの座面の向きの変更量を運転席シートの座面の向きの変更量よりも大きくすることで、乗物が旋回するときに第2シートに座る乗員を座面で良好に受け止めることができる。これにより、快適性を向上させることができる。
【0011】
前記した乗物用シートにおいて、前記第2シートは、前記運転席シートの右または左に配置された助手席シートと、前記運転席シートおよび前記助手席シートの後方に配置された後席シートとを含み、前記走行姿勢サポート手段は、前記走行姿勢サポート制御を実行するときに、前記後席シートの座面の向きの変更量を、前記助手席シートの座面の向きの変更量以上とする構成とすることができる。
【0012】
これによれば、特に、後席シートの座面の向きの変更量を助手席シートの座面の向きの変更量よりも大きくすることで、前方の視界が助手席シートよりも悪い後席シートに座る乗員を座面で良好に受け止めることができる。これにより、快適性を向上させることができる。
【0013】
前記した乗物用シートにおいて、前記走行姿勢サポート手段は、前記走行姿勢サポート制御を実行するときに、乗物が操舵を自動的に行う自動運転モードである場合の座面の向きの変更量を、乗物が操舵を自動的に行わない手動運転モードである場合の座面の向きの変更量よりも大きくする構成とすることができる。
【0014】
これによれば、自動運転モードの場合は、操舵しないため、旋回方向に応じた姿勢をとれない場合があるが、自動運転モードである場合の座面の向きの変更量を手動運転モードである場合の座面の向きの変更量よりも大きくすることで、乗物が旋回するときに乗員を座面で良好に受け止めることができる。これにより、快適性を向上させることができる。
【0015】
前記した乗物用シートにおいて、前記制御装置は、乗員の乗物への乗降を検出する乗降検出手段と、前記乗降検出手段が乗員の乗物への乗降を検出した場合に、前記アクチュエータを制御して座面を乗物の乗降口側に向ける乗降サポート手段とを有する構成とすることができる。
【0016】
これによれば、乗降サポート制御を実行するときに座面を乗物の乗降口側に向けて大きく動かすことができるので、乗物用シートに乗り降りしやすくなる。これにより、乗降性を向上させることができる。
【0017】
前記した乗物用シートにおいて、前記制御装置は、運転者の覚醒状態を検出する覚醒状態検出手段と、前記覚醒状態検出手段が運転者の覚醒状態の低下を検出した場合に、前記アクチュエータを制御して座面の向きを変更する警告制御を実行する警告手段とを有し、前記警告制御を実行するときの座面の向きの変更量は、前記警告制御を実行しないときの座面の向きの変更量よりも大きい構成とすることができる。
【0018】
これによれば、警告制御を実行するときの座面の向きの変更量を大きくできるので、覚醒効果を高めることができる。
【0019】
前記した乗物用シートにおいて、前記制御装置は、運転者の覚醒状態を検出する覚醒状態検出手段と、前記覚醒状態検出手段が運転者の覚醒状態の低下を検出した場合に、前記アクチュエータを制御して座面の向きを変更する警告制御を実行する警告手段とを有し、前記走行姿勢サポート手段は、前記走行姿勢サポート制御を実行するときに、乗物が操舵を自動的に行う自動運転モードである場合の座面の向きの変更量を、乗物が操舵を自動的に行わない手動運転モードである場合の座面の向きの変更量よりも大きくするように構成され、前記警告制御を実行するときの座面の向きの変更量は、乗物が前記自動運転モードである場合に前記走行姿勢サポート制御を実行するときの座面の向きの変更量よりも大きい構成とすることができる。
【0020】
これによれば、警告制御を実行するときの座面の向きの変更量を大きくできるので、覚醒効果を高めることができる。
【0021】
前記した乗物用シートにおいて、前記制御装置は、乗員の乗物への乗降を検出する乗降検出手段と、前記乗降検出手段が乗員の乗物への乗降を検出した場合に、前記アクチュエータを制御して座面を乗物の乗降口側に向ける乗降サポート制御を実行する乗降サポート手段と、運転者の覚醒状態を検出する覚醒状態検出手段と、前記覚醒状態検出手段が運転者の覚醒状態の低下を検出した場合に、前記アクチュエータを制御して座面の向きを変更する警告制御を実行する警告手段とを有し、前記乗降サポート制御を実行するときの座面の向きの変更量は、前記警告制御を実行するときの座面の向きの変更量よりも大きい構成とすることができる。
【0022】
これによれば、乗降サポート制御を実行するときに座面を乗物の乗降口側に向けて大きく動かすことができるので、乗物用シートに乗り降りしやすくなる。これにより、乗降性を向上させることができる。
【0023】
前記した乗物用シートにおいて、前記制御装置は、乗物の進行方向の情報を取得する進行方向情報取得手段と、前記進行方向情報取得手段が取得した進行方向の情報に基づいて乗物が旋回する前に前記アクチュエータを制御して座面の向きを変更することで乗員に旋回を知らせる旋回報知手段とを有する構成とすることができる。
【0024】
これによれば、乗物が旋回する前に乗員に乗物の旋回を知らせることができるので、交差点などでの曲がり忘れを抑制したり、旋回方向に応じた姿勢を予めとったりすることができる。これにより、快適性を向上させることができる。
【0025】
前記した乗物用シートにおいて、シート中央部と、シート中央部の左右両側に設けられ、通常位置で前記シート中央部よりも乗員側に張り出した左右のシート側部とを有し、前記アクチュエータは、前記シート側部の少なくとも一部を、前記通常位置から、乗員に近づく方向または乗員から離れる方向に動かすことで座面の向きを変えるように構成されている構成とすることができる。
【0026】
これによれば、シート全体を動かして座面の向きを変える構成と比較して、座面の向きを変えるためのアクチュエータを小型化することができる。
【0027】
前記した乗物用シートにおいて、乗員の第1部位を支持する第1支持部と、乗員の前記第1部位とは異なる第2部位を支持する第2支持部とを有し、前記アクチュエータは、前記第1支持部の座面の向きを左右に変える第1アクチュエータと、前記第2支持部の座面の向きを左右に変える第2アクチュエータとを含み、前記走行姿勢サポート手段は、前記走行姿勢サポート制御を実行するときに、前記第2支持部の座面の向きの変更量を、前記第1支持部の座面の向きの変更量よりも小さくする構成とすることができる。
【0028】
これによれば、乗物が旋回するときに乗員の異なる部位をそれぞれ適切な向きとした各支持部の座面で良好に受け止めることができる。これにより、快適性を向上させることができる。
【0029】
前記した乗物用シートにおいて、前記制御装置は、乗員の操作によって入力された情報に基づいて座面の向きの変更量を設定する設定手段を有し、前記走行姿勢サポート手段は、前記設定手段が座面の向きの変更量を設定した場合は、前記設定手段によって設定された座面の向きの変更量に応じて前記アクチュエータを制御する構成とすることができる。
【0030】
これによれば、座面の向きの変更量を乗員の好みに合わせて設定することができる。
【0031】
前記した乗物用シートにおいて、前記設定手段は、座面の向きの変更量を、0を含む任意の変更量に設定可能である構成とすることができる。
【0032】
これによれば、座面の向きを変えない(走行姿勢サポート制御を実行しない)という選択肢を含めて座面の向きの変更量を乗員の好みに合わせて設定することができる。
【0033】
前記した乗物用シートにおいて、前記制御装置は、現在設定されている座面の向きの変更量の情報を表示装置に表示させる表示手段を有する構成とすることができる。
【0034】
これによれば、現在設定されている座面の向きの変更量の情報を乗員に知らせることができる。
【発明の効果】
【0035】
座面の向きを乗員が置かれた状況に応じて変更することができる。
【0036】
また、第2シートの座面の向きの変更量を運転席シートの座面の向きの変更量よりも大きくすることで、快適性を向上させることができる。
【0037】
また、後席シートの座面の向きの変更量を助手席シートの座面の向きの変更量よりも大きくすることで、快適性を向上させることができる。
【0038】
また、自動運転モードである場合の座面の向きの変更量を手動運転モードである場合の座面の向きの変更量よりも大きくすることで、快適性を向上させることができる。
【0039】
また、乗降サポート制御を実行するときに座面を乗物の乗降口側に向けて大きく動かすことで、乗降性を向上させることができる。
【0040】
また、警告制御を実行するときの座面の向きの変更量を大きくすることで、覚醒効果を高めることができる。
【0041】
また、制御装置が旋回報知手段を有することで、快適性を向上させることができる。
【0042】
また、シート側部の少なくとも一部を動かして座面の向きを変えることで、座面の向きを変えるためのアクチュエータを小型化することができる。
【0043】
また、走行姿勢サポート制御を実行するときに第2支持部の座面の向きの変更量を第1支持部の座面の向きの変更量よりも小さくすることで、快適性を向上させることができる。
【0044】
また、設定手段によって設定された座面の向きの変更量に応じてアクチュエータを制御することで、座面の向きの変更量を乗員の好みに合わせて設定することができる。
【0045】
また、座面の向きの変更量を0を含む任意の変更量に設定可能とすることで、座面の向きを変えないという選択肢を含めて座面の向きの変更量を乗員の好みに合わせて設定することができる。
【0046】
また、制御装置が表示手段を有することで、現在設定されている座面の向きの変更量の情報を乗員に知らせることができる。
【図面の簡単な説明】
【0047】
図1】発明の一実施形態に係る乗物用シートが搭載された乗物を示す図である。
図2】乗物用シートとしての車両用シートの斜視図であり、運転席シート、助手席シートを示す図(a)と、後席シートを示す図(b)である。
図3】座面の向きを変える構成の一例を示す斜視図である。
図4】車両用シートを上から見た図であり、側部フレームが通常位置にある状態を示す図(a)と、右の側部フレームが前に回動した状態を示す図(b)である。
図5】ドアが開かれて右の側部フレームが後に回動した状態を示す図である。
図6】一実施形態に係る制御装置のブロック図である。
図7】一実施形態に係る走行姿勢サポート制御と警告制御の設定値の一例を示す表である。
図8】走行姿勢サポート制御時の動作を説明する図である。
図9】走行姿勢サポート制御時の動作を説明する図である。
図10】警告制御時の動作を説明する図(a)~(d)である。
図11】車両用シートの側面図であり、シートバックを後に傾けた図(a)と、シートクッションの前部を上に上げた図(b)と、シートバックを後に倒した図(c)である。
図12】他の実施形態に係る乗物用シートが搭載された乗物を示す図である。
図13】他の実施形態に係る走行姿勢サポート制御の設定値の一例を示す図である。
図14】チャイルドシートを取り付けた状態の車両用シートを上から見た図(a)と、走行姿勢サポート制御時の動作を説明する図(b)である。
図15】中央席シートを後ろに向けた状態の乗物を示す図である。
図16】他の実施形態に係る制御装置のブロック図である。
図17】他の実施形態に係る車両用シートの斜視図(a)と、座面の向きを変える構成の一例を示す図(b)である。
図18】他の実施形態に係る走行姿勢サポート制御と乗員の覚醒状態が低下したときの制御の設定値の一例を示す表(a),(b)である。
図19】別の実施形態に係る走行姿勢サポート制御の設定値の一例を示す表である。
【発明を実施するための形態】
【0048】
以下、添付の図面を参照しながら、発明の一実施形態について説明する。なお、本明細書において、前後、左右、上下は、乗物用シートが搭載された乗物の前後、左右、上下を基準とする。
図1に示すように、本実施形態の乗物用シートは、乗物の一例としての車両C(自動車)に搭載される車両用シートSとして構成されている。
【0049】
車両用シートSは、運転者が座る運転席シートS1と、運転席シートS1以外のシートである第2シートS2とを含んでいる。本実施形態において、第2シートS2は、運転席シートS1の左に配置された助手席シートS21と、運転席シートS1の後方に配置された後席シートS22と、助手席シートS21の後方に配置された後席シートS23とを含んでいる。後席シートS22,S23はつながっており、一体のシートとして構成されている。なお、助手席シートは、運転席シートの右に配置されていてもよい。また、後席シートS22,S23は、つながっていない独立したシートとして構成されていてもよい。
【0050】
車両Cは、運転者によって操作されるステアリングホイールSWと、インストルメントパネルに設けられた操作パネルOPとを備えている。また、車両Cの左右方向を基準として、各シートS1,S21,S22,S23の左右外側(本実施形態では、シートS1,S22の右側、シートS21,S23の左側)には、それぞれ、車体に対して開閉可能なドアDRが設けられている。各シートS1,S21,S22,S23に座る乗員(運転者を含む)は、左右外側のドアDRを開くことで、車両Cの乗降口から車両Cに乗り降りできるようになっている。
【0051】
また、車両Cは、自動運転システムASを備えており、自動運転システムASが操舵を自動的に行う自動運転モードと、自動運転システムASが操舵を自動的に行わず、運転者による操舵が必須の手動運転モードとを実行可能に構成されている。自動運転モードと手動運転モードの切替は、例えば、運転者が操作パネルOPを操作することで行うことができる。なお、自動運転モードは、自動運転システムASが操舵を自動的に行い、加速および制動を自動的に行わないモードであってもよいし、自動運転システムASが操舵に加え、加速および制動の少なくとも一方を自動的に行うモードであってもよい。
【0052】
図2(a),(b)に示すように、各シートS1,S21,S22,S23は、それぞれ、シートクッションSCと、シートバックSBと、ヘッドレストHRとを備えている。また、各シートS1,S21,S22,S23のシートバックSBは、乗員の背中と対面するシート中央部11と、シート中央部11の左右両側に設けられ、通常位置(図4(a)の位置)でシート中央部11よりも乗員側、具体的には、前側に張り出した左右のシート側部12,13とを有している。
シートクッションSCには、図示しないシートクッションフレームが内蔵されている。シートクッションSCは、当該シートクッションフレームに、ウレタンフォームなどからなるパッド材と、布地や皮革などからなる表皮材を被せることで構成されている。
【0053】
また、図3に示すように、シートバックSBには、シートバックフレームFBが内蔵されている。シートバックフレームFBは、シート中央部11の骨格を構成する中央部フレーム21と、左右のシート側部12,13の骨格を構成する側部フレーム22,23とを有している。左右の側部フレーム22,23は、それぞれ、後端部が中央部フレーム21に回動可能に連結されていることで、前端部が前後に揺動可能となるように設けられている。シートバックSBは、シートバックフレームFBにパッド材と表皮材を被せることで構成されている。
【0054】
シートバックSBの内側には、シートバックSBの前側の面である座面の向きを左右に変えるためのアクチュエータ30が配置されている。アクチュエータ30は、左右の側部フレーム22,23に対応して、シートバックSB内の左右に1つずつ配置されている。アクチュエータ30は、シートバックSBの一部、具体的には、シート側部12,13の一部である側部フレーム22,23を回動させて動かすことで、シートバックSBの座面の向きを左右に変えることが可能な構成となっている。詳しくは、アクチュエータ30は、側部フレーム22,23を、通常位置(図4(a)参照)から、乗員に近づく方向である前、または、乗員から離れる方向である後に回動させて動かすことで、シートバックSBの座面の向きを左右に変えることができるように構成されている。
【0055】
このようなアクチュエータ30は、一例として、モータ31と、ギヤボックス32とを有している。モータ31は、例えば、ステッピングモータであり、軸の回転方向を正逆切換可能に構成されている。また、ギヤボックス32は、モータ31の回転駆動力を減速して側部フレーム22,23に伝達するための図示しない複数のギヤを収容する部材である。アクチュエータ30は、図示しないブラケットにより中央部フレーム21の左右の部分に固定されている。
【0056】
図4(a)に示すように、シート側部12,13は、作動していない状態で、シート中央部11よりも前側に所定量張り出した通常位置に位置している。そして、図4(b)に示すように、車両Cが左旋回するときには、後述する制御装置100による制御によって、右のアクチュエータ30のモータ31が正転し、側部フレーム22が通常位置から前の位置である前方位置に回動する。これにより、シート側部12が通常位置から前に押し出されてシート側部12の前側の面が左に向けられることで、シートバックSBの座面が全体として左に向けられるようになっている。シート側部12を通常位置に戻すときには、右のアクチュエータ30のモータ31を逆転させ、側部フレーム22を図4(b)に示す前方位置から図4(a)に示す通常位置に回動させる。
【0057】
また、図示は省略するが、車両Cが右旋回するときには、制御装置100による制御によって、左のアクチュエータ30のモータ31が正転し、側部フレーム23が通常位置から前方位置に回動する。これにより、シート側部13が通常位置から前に押し出されてシート側部13の前側の面が右に向けられることで、シートバックSBの座面が全体として右に向けられるようになっている。シート側部13を通常位置に戻すときには、左のアクチュエータ30のモータ31を逆転させ、側部フレーム23を前方位置から通常位置に回動させる。
【0058】
このように、アクチュエータ30は、側部フレーム22,23を回動させてシート側部12,13を通常位置から前に押し出すことで、シートバックSBの座面の向きを左右に変えることができるように構成されている。
【0059】
図4(b)に示すように、側部フレーム22,23は、通常位置(0)と、最も前に回動した位置である第5前方位置(5)との間を回動可能であり、アクチュエータ30(モータ31)の駆動時間を適宜制御することによって、通常位置から、通常位置と第5前方位置との間の任意の位置まで前に回動させることができるようになっている。さらに、本実施形態では、通常位置と第5前方位置との間に、通常位置よりも前に回動した位置である第1前方位置(1)と、第1前方位置よりも前に回動した位置である第2前方位置(2)と、第2前方位置よりも前に回動した位置である第3前方位置(3)と、第3前方位置よりも前に回動した位置である第4前方位置(4)が設定されている。
【0060】
また、図5に示すように、ドアDRが開かれたときには、制御装置100による制御によって、ドアDR(乗降口DE)側のアクチュエータ30のモータ31が逆転し、乗降口DE側の側部フレーム22が通常位置(二点鎖線参照)から後の位置である後方位置に回動する。これにより、乗降口DE側のシート側部12の前側の面がシート中央部11の前側の面に対して略フラットな状態となることで、シートバックSBの座面が全体として乗降口DE側に向けられるようになっている。乗降口DE側のシート側部12を通常位置に戻すときには、乗降口DE側のアクチュエータ30のモータ31を正転させ、乗降口DE側の側部フレーム22を後方位置から通常位置に回動させる。
【0061】
図6に示すように、車両用シートSは、各車輪Wの車輪速度を検出する車輪速センサ91と、ステアリングホイールSWの操舵角を検出する操舵角センサ92と、運転者の覚醒状態を検出するための呼吸センサ93と、各ドアDRの開閉を検出する開閉検出センサ94と、アクチュエータ30を制御する制御装置100とをさらに備えている。
【0062】
呼吸センサ93は、円形の検出面を有する抵抗感圧式のセンサであり、運転席シートS1のシートクッションSCのパッド材と表皮材の間に設けられている(図2(a)参照)。呼吸センサ93は、上面から加えられる圧力の大きさに応じて下方に変形することで、接触抵抗が大きくなると、電極間の電気抵抗値が小さくなるように構成されている。呼吸センサ93は、この電気抵抗値に係る電気信号を制御装置100に出力する。
【0063】
制御装置100は、各シートS1,S21,S22,S23に設けられた左右のアクチュエータ30を個別に制御可能に構成されている。制御装置100は、横加速度取得手段110と、走行姿勢サポート手段120と、覚醒状態検出手段130と、警告手段140と、乗降検出手段150と、乗降サポート手段160と、設定手段170と、表示手段180と、記憶装置190とを有している。制御装置100は、図示しないCPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)などを備え、記憶装置190に予め記憶されているプログラムなどを読み出して実行することで、これらの各手段を実現している。
【0064】
横加速度取得手段110は、車両Cにかかる横加速度を取得する手段である。本実施形態において、横加速度取得手段110は、車輪速センサ91から取得した車輪速度と、操舵角センサ92から取得した操舵角とに基づいて横加速度GCを計算により算出する。具体的には、横加速度GCは、車輪速度から公知の方法により車体速度Vを決定し、車両固有の定数であるスタビリティファクタA、車両CのホイールベースL、操舵角φ、旋回半径Rを用いて、以下の式により計算することができる。
R=(1+AV)/(L/φ)
GC=V/R
ここで、本実施形態において、横加速度GCは、右を正、左を負とする。
【0065】
走行姿勢サポート手段120は、車両Cが旋回するときにアクチュエータ30を制御してシートバックSBの座面を旋回方向に向ける走行姿勢サポート制御を実行する手段である。具体的には、走行姿勢サポート手段120は、横加速度取得手段110が取得した横加速度GCに基づいてアクチュエータ30を駆動させて側部フレーム22,23を回動させることで、シートバックSBの座面の向きを変更する。
【0066】
詳しくは、走行姿勢サポート手段120は、横加速度GCの大きさ(絶対値)が第1加速度閾値GCth1以上となった場合、走行姿勢サポート制御を開始し、図7に示すように、例えば、運転席シートS1については、アクチュエータ30を正転させて側部フレーム22,23を通常位置から第1前方位置(1)まで回動させ、シート側部12,13を前に押し出してシートバックSBの座面を旋回方向に向ける。また、走行姿勢サポート手段120は、横加速度GCの大きさが、第1加速度閾値GCth1よりも大きい第2加速度閾値GCth2以上となった場合、運転席シートS1については、アクチュエータ30をさらに正転させて側部フレーム22,23を第2前方位置(2)に回動させ、シート側部12,13をさらに前に押し出してシートバックSBの座面をさらに旋回方向に向ける。
【0067】
このように、走行姿勢サポート手段120は、シートバックSBの座面の向きの変更量、本実施形態においては、側部フレーム22,23の回動量を、横加速度GCの大きさが大きいときには、小さいときよりも大きくするように構成されている。なお、横加速度GCの大きさは、旋回が急であったり、車体速度が高速であったりする場合に大きくなり、また、旋回が緩やかであったり、車体速度が低速であったりする場合に小さくなる。
【0068】
また、走行姿勢サポート手段120は、走行姿勢サポート制御の実行中に、横加速度GCの大きさが第2リセット閾値Rth2よりも小さくなった場合、アクチュエータ30を逆転させて側部フレーム22,23を、横加速度GCの大きさが第2加速度閾値GCth2以上となる前の位置まで後に回動させ、シートバックSBの座面の向きを少し戻す。第2リセット閾値Rth2は、第2加速度閾値GCth2よりも小さく、かつ、第1加速度閾値GCth1よりも大きい値に設定されている。また、走行姿勢サポート手段120は、横加速度GCの大きさが第1リセット閾値Rth1よりも小さくなった場合、アクチュエータ30をさらに逆転させて側部フレーム22,23を通常位置まで後に回動させ、シートバックSBの座面の向きを元に戻して走行姿勢サポート制御を終了する。第1リセット閾値Rth1は、第1加速度閾値GCth1よりも小さい値に設定されている。
【0069】
各閾値は、走行試験やシミュレーションなどにより予め設定されている。また、GCth1,GCth2,Rth1,Rth2は、正の値として設定されている。本実施形態では、右旋回時のように左向きに発生する横加速度GCを負として扱っているので、右旋回時には、例えば、GC≦-GCth1の場合に、横加速度GCの大きさが第1加速度閾値GCth1以上になったと判定し、GC>-Rth1の場合に、横加速度GCの大きさが第1リセット閾値Rth1よりも小さくなったと判定している。
【0070】
走行姿勢サポート手段120は、走行姿勢サポート制御を実行するときに、車両C内におけるシートS1,S21,S22,S23の配置位置に応じて、各シートS1,S21,S22,S23のアクチュエータ30を個別に制御するように構成されている。具体的には、走行姿勢サポート手段120は、走行姿勢サポート制御を実行するときに、第2シートS2の側部フレーム22,23の回動量を、運転席シートS1の側部フレーム22,23の回動量よりも大きくする。さらに、走行姿勢サポート手段120は、走行姿勢サポート制御を実行するときに、後席シートS22,S23の側部フレーム22,23の回動量を、助手席シートS21の側部フレーム22,23の回動量よりも大きくする。
【0071】
詳しくは、図7に示すように、走行姿勢サポート手段120は、助手席シートS21については、横加速度GCの大きさが第1加速度閾値GCth1以上となった場合、側部フレーム22,23の回動量を、運転席シートS1の回動量(1)に0.5を加算して大きくし、通常位置から、第1前方位置と第2前方位置の中間の位置(1.5)まで回動させる。また、走行姿勢サポート手段120は、横加速度GCの大きさが第2加速度閾値GCth2以上となった場合、側部フレーム22,23の回動量を、運転席シートS1の回動量(2)に0.5を加算して大きくし、第2前方位置と第3前方位置の中間の位置(2.5)まで回動させる。
【0072】
また、走行姿勢サポート手段120は、後席シートS22,S23については、横加速度GCの大きさが第1加速度閾値GCth1以上となった場合、側部フレーム22,23の回動量を、運転席シートS1の回動量(1)に1を加算して助手席シートS21の回動量(1.5)よりも大きくし、通常位置から第2前方位置(2)まで回動させる。また、走行姿勢サポート手段120は、横加速度GCの大きさが第2加速度閾値GCth2以上となった場合、側部フレーム22,23の回動量を、運転席シートS1の回動量(2)に1を加算して助手席シートS21の回動量(2.5)よりも大きくし、第3前方位置(3)まで回動させる。
【0073】
ここで、以下では、通常位置(0)と第1前方位置(1)の中間の位置を第1中間位置(0.5)といい、第1前方位置(1)と第2前方位置(2)の中間の位置を第2中間位置(1.5)という。また、第2前方位置(2)と第3前方位置(3)の中間の位置を第3中間位置(2.5)といい、第3前方位置(3)と第4前方位置(4)の中間の位置を第4中間位置(3.5)という。また、第4前方位置(4)と第5前方位置(5)の中間の位置を第5中間位置(4.5)という。
【0074】
また、走行姿勢サポート手段120は、走行姿勢サポート制御を実行するときに、自動運転モードである場合の側部フレーム22,23の回動量を、手動運転モードである場合の側部フレーム22,23の回動量よりも大きくするように構成されている。
【0075】
詳しくは、図7に示すように、走行姿勢サポート手段120は、自動運転モード時に、運転席シートS1については、横加速度GCの大きさが第1加速度閾値GCth1以上となった場合、側部フレーム22,23の回動量を、手動運転モード時の回動量(1)に1を加算して大きくし、通常位置から第2前方位置(2)まで回動させる。また、走行姿勢サポート手段120は、横加速度GCの大きさが第2加速度閾値GCth2以上となった場合、側部フレーム22,23の回動量を、手動運転モード時の回動量(2)に1を加算して大きくし、第3前方位置(3)まで回動させる。
【0076】
また、走行姿勢サポート手段120は、自動運転モード時に、助手席シートS21については、横加速度GCの大きさが第1加速度閾値GCth1以上となった場合、側部フレーム22,23の回動量を、運転席シートS1の自動運転モード時の回動量(2)に0.5を加算して大きくし、通常位置から第3中間位置(2.5)まで回動させる。また、走行姿勢サポート手段120は、横加速度GCの大きさが第2加速度閾値GCth2以上となった場合、側部フレーム22,23の回動量を、運転席シートS1の自動運転モード時の回動量(3)に0.5を加算して大きくし、第4中間位置(3.5)まで回動させる。
【0077】
また、走行姿勢サポート手段120は、自動運転モード時に、後席シートS22,S23については、横加速度GCの大きさが第1加速度閾値GCth1以上となった場合、側部フレーム22,23の回動量を、運転席シートS1の自動運転モード時の回動量(2)に1を加算して大きくし、通常位置から第3前方位置(3)まで回動させる。また、走行姿勢サポート手段120は、横加速度GCの大きさが第2加速度閾値GCth2以上となった場合、側部フレーム22,23の回動量を、運転席シートS1の自動運転モード時の回動量(3)に1を加算して大きくし、第4前方位置(4)まで回動させる。
【0078】
なお、走行姿勢サポート手段120は、走行姿勢サポート制御を実行するときに、自動運転モードである場合には、手動運転モードである場合よりも遅い速度でアクチュエータ30を作動させるように構成されていてもよい。これによれば、シート側部12,13の急な作動を避けることができるので、乗員に不快感などを与えるのを抑制することができる。
【0079】
覚醒状態検出手段130は、呼吸センサ93の信号を取得して、この呼吸センサ93の信号に基づいて運転者の覚醒状態を検出する手段である。例えば、覚醒状態検出手段130は、特開2015-80521号公報に記載されているように、呼吸センサ93の波形から運転者の覚醒状態を判定することができる。覚醒状態検出手段130は、覚醒状態を示す値が所定の覚醒状態閾値を満たすことにより運転者の覚醒状態が所定の基準よりも低下していると判定した場合には、そのことを示す信号を警告手段140に出力する。
【0080】
警告手段140は、覚醒状態検出手段130が運転者の覚醒状態の低下を検出した場合に、運転席シートS1のアクチュエータ30を制御してシートバックSBの座面の向きを変更する警告制御を実行する手段である。具体的には、警告手段140は、覚醒状態検出手段130により運転者の覚醒状態の低下を検出した場合、警告制御を開始し、運転席シートS1の左右のアクチュエータ30を交互に正転および逆転させて側部フレーム22,23を交互に前後に回動させ、シートバックSBの座面の向きを左右交互に変更する。
【0081】
詳しくは、警告手段140は、まず、右のアクチュエータ30を正転させて側部フレーム22を通常位置から第5前方位置(5)まで前に回動させ、シート側部12を前に押し出してシートバックSBの座面を左に向け、次に、右のアクチュエータ30を逆転させて側部フレーム22を第5前方位置(5)から通常位置まで後に回動させ、シートバックSBの座面の向きを戻す。次に、警告手段140は、左のアクチュエータ30を正転させて側部フレーム23を通常位置から第5前方位置(5)まで前に回動させ、シート側部13を前に押し出してシートバックSBの座面を右に向け、次に、左のアクチュエータ30を逆転させて側部フレーム23を第5前方位置(5)から通常位置まで後に回動させ、シートバックSBの座面の向きを戻す。警告手段140は、警告制御において、この一連の動作を繰り返す。これにより、警告手段140は、運転者の上体を左右に揺り動かして運転者を覚醒させようとする。
【0082】
本実施形態において、警告制御を実行するときの側部フレーム22,23の回動量は、警告制御を実行しないときの側部フレーム22,23の回動量よりも大きくなるように設定されている。具体的には、警告制御を実行するときの側部フレーム22,23の回動量は、車両Cが走行姿勢サポート制御を実行するときの側部フレーム22,23の回動量よりも大きくなっている。さらに言えば、図7に示すように、警告制御を実行するときの側部フレーム22,23の回動量(5)は、車両Cが自動運転モードである場合に走行姿勢サポート制御を実行するときの側部フレーム22,23の回動量(最大で3)よりも大きくなっている。
【0083】
なお、警告手段140は、警告制御を実行するときに、走行姿勢サポート手段120による走行姿勢サポート制御を実行する場合よりも速い速度でアクチュエータ30を作動させるように構成されていてもよい。例えば、走行姿勢サポート手段120がアクチュエータ30の能力の80%の速度でアクチュエータ30を作動させるとすれば、警告手段140は、100%の速度でアクチュエータ30を作動させるように構成することができる。
【0084】
乗降検出手段150は、乗員の車両Cへの乗降を検出する手段である。本実施形態において、乗降検出手段150は、ドアDRの開閉を検出する開閉検出センサ94の信号を取得して、この開閉検出センサ94の信号に基づいてドアDRが開いたことを検出した場合に、乗員の車両Cへの乗降があると判定する。乗降検出手段150は、乗員の車両Cへの乗降があると判定した場合には、そのことを示す信号を乗降サポート手段160に出力する。
【0085】
乗降サポート手段160は、乗降検出手段150が乗員の車両Cへの乗降を検出した場合に、シートS1,S21,S22,S23の乗降口側のアクチュエータ30を制御してシートバックSBの座面を車両Cの乗降口側に向ける乗降サポート制御を実行する手段である。
【0086】
具体的には、乗降サポート手段160は、乗降検出手段150によりドアDRが開いたことを検出した場合、図5に示すように、開いたドアDRに対応する車両用シートSの乗降口DE側のアクチュエータ30を逆転させて側部フレーム22,23を通常位置から後方位置まで回動させ、シートバックSBの座面を乗降口DE側に向ける。また、乗降サポート手段160は、乗降検出手段150によりドアDRが閉じたことを検出した場合、閉じたドアDRに対応する車両用シートSの乗降口DE側のアクチュエータ30を正転させて側部フレーム22,23を後方位置から通常位置まで回動させ、シートバックSBの座面の向きを元に戻す。
【0087】
本実施形態において、乗降サポート制御を実行するときの側部フレーム22,23の通常位置から後方位置までの回動量は、警告制御を実行するときの側部フレーム22,23の通常位置から第5前方位置までの回動量よりも大きくなるように設定されている。このため、乗降サポート制御を実行するときのシートバックSBの座面の向きの変更量は、警告制御を実行するときのシートバックSBの座面の向きの変更量よりも大きくなっている。
【0088】
設定手段170は、乗員の操作によって入力された情報に基づいてシートバックSBの座面の向きの変更量を設定する手段であり、座面の向きの変更量を、0を含む任意の変更量に設定可能である。具体的には、設定手段170は、乗員が操作パネルOPを操作することによって入力した情報に基づいて側部フレーム22,23の回動量をシートS1,S21,S22,S23ごとに設定可能に構成されている。側部フレーム22,23の回動量は、通常位置から、通常位置と第5前方位置(5)の間の任意の位置までの回動量として設定可能である。
【0089】
また、本実施形態において、設定手段170が側部フレーム22,23の回動量(シートバックSBの座面の向きの変更量)を設定した場合は、走行姿勢サポート手段120は、設定手段170によって設定された回動量に応じてアクチュエータ30を制御する。つまり、走行姿勢サポート手段120は、設定手段170が側部フレーム22,23の回動量を設定した場合は、この設定した回動量を優先してアクチュエータ30を制御する。
【0090】
例えば、設定手段170が側部フレーム22,23の回動量を0に設定した場合は、走行姿勢サポート手段120は、横加速度GCの大きさが第1加速度閾値GCth1以上となった場合でも、側部フレーム22,23を回動させず(アクチュエータ30を駆動させず)、通常位置に維持する。また、走行姿勢サポート手段120は、横加速度GCの大きさが第2加速度閾値GCth2以上となった場合でも、アクチュエータ30を駆動させず、通常位置に維持する。つまり、設定手段170が回動量を0に設定した場合、走行姿勢サポート手段120は、走行姿勢サポート制御を実行しない(OFFとする)。
【0091】
また、例えば、運転席シートS1について、設定手段170が側部フレーム22,23の回動量を第3前方位置(3)に設定した場合、走行姿勢サポート手段120は、横加速度GCの大きさが第1加速度閾値GCth1以上となった場合、側部フレーム22,23を、図7に示す通常の回動量(1)ではなく、設定手段170が設定した回動量(3)で通常位置から第3前方位置まで回動させる。また、走行姿勢サポート手段120は、横加速度GCの大きさが第2加速度閾値GCth2以上となった場合には、側部フレーム22,23を回動させず、第3前方位置に維持する。
【0092】
なお、設定手段170は、横加速度GCの大きさが第1加速度閾値GCth1以上となった場合と、横加速度GCの大きさが第2加速度閾値GCth2以上となった場合とで、座面の向きの変更量を個別に設定可能に構成されていてもよい。また、警告手段140や乗降サポート手段160は、乗員の操作によって設定手段170が警告制御や乗降サポート制御の実行を禁止した場合は、当該制御を実行しない(OFFとする)ように構成されていてもよい。
【0093】
表示手段180は、現在設定されているシートバックSBの座面の向きの変更量の情報を表示装置としての操作パネルOPの表示画面DSに表示させる手段である。具体的には、表示手段180は、設定手段170が座面の向きの変更量を設定した場合に、設定手段170が設定した変更量を操作パネルOPの表示画面DSに表示させる。なお、設定手段170が座面の向きの変更量を設定していない場合については、表示手段180は、走行姿勢サポート制御の設定値を操作パネルOPの表示画面DSに表示させてもよいし、表示させなくてもよい。また、設定値ではなく、走行姿勢サポート制御を実行する旨(ONである旨)を操作パネルOPの表示画面DSに表示させてもよい。
【0094】
記憶装置190は、センサ91~94から取得した値や、各手段が計算した値、閾値、設定値などを記憶する装置である。
【0095】
次に、以上のように構成された車両用シートSの動作について説明する。
車両Cがカーブを旋回したり、交差点で曲がったりするときなどには、車両Cに横加速度GCが発生する。そして、横加速度GCの大きさが第1加速度閾値GCth1以上となると、走行姿勢サポート手段120は、各シートS1,S21,S22,S23のシートバックSBの座面を旋回方向に向ける走行姿勢サポート制御を実行する。
【0096】
具体的には、図8に示すように、左旋回中であれば、右のアクチュエータ30を正転させて側部フレーム22を通常位置から、運転席シートS1であれば第1前方位置(1)、助手席シートS21であれば第2中間位置(1.5)、後席シートS22,S23であれば第2前方位置(2)まで回動させ、シート側部12を前に押し出してシートバックSBの座面を左に向ける。また、右旋回中であれば、左のアクチュエータ30を正転させて側部フレーム23を通常位置から、第1前方位置(1)、第2中間位置(1.5)または第2前方位置(2)まで回動させ、シート側部13を前に押し出してシートバックSBの座面を右に向ける。
【0097】
また、旋回が急であったり、車体速度が高速であったりするときなどには、横加速度GCの大きさが第2加速度閾値GCth2以上となる。そうすると、走行姿勢サポート手段120は、図9に示すように、左旋回中であれば、右のアクチュエータ30をさらに正転させて側部フレーム22を、運転席シートS1であれば第2前方位置(2)、助手席シートS21であれば第3中間位置(2.5)、後席シートS22,S23であれば第3前方位置(3)まで回動させ、シート側部12をさらに前に押し出してシートバックSBの座面をさらに左に向ける。また、右旋回中であれば、左のアクチュエータ30をさらに正転させて側部フレーム23を、第2前方位置(2)、第3中間位置(2.5)または第3前方位置(3)まで回動させ、シート側部13をさらに前に押し出してシートバックSBの座面をさらに右に向ける。
【0098】
これにより、シートバックSBの座面で乗員の上体を良好に受け止めることができる。また、運転席シートS1についてはシートバックSBの旋回方向と左右反対側の端部を前に押し出してステアリングホイールSWとシートバックSBとの距離を縮めることができるので、操舵を容易にすることができる。
【0099】
その後、旋回が緩くなったり、車体速度が低速になったりして、横加速度GCの大きさが第2リセット閾値Rth2よりも小さくなると、走行姿勢サポート手段120は、アクチュエータ30を逆転させて側部フレーム22,23を、第1前方位置(1)、第2中間位置(1.5)または第2前方位置(2)まで後に回動させ、シートバックSBの座面の向きを少し戻す(図8参照)。また、旋回が終了して、横加速度GCの大きさが第1リセット閾値Rth1よりも小さくなると、走行姿勢サポート手段120は、アクチュエータ30をさらに逆転させて側部フレーム22,23を通常位置まで後に回動させ、シートバックSBの座面の向きを元に戻す(図1参照)。
【0100】
一方、直線道路やなだらかなカーブの道路を走行しているときなどに運転者の覚醒状態が低下してくると、覚醒状態検出手段130が、呼吸センサ93から取得した信号に基づいて、覚醒状態を示す値を計算する。そして、覚醒状態を示す値が所定の覚醒状態閾値を満たすことにより運転者の覚醒状態が所定の基準よりも低下していると判定した場合、そのことを示す信号を警告手段140に出力する。警告手段140は、この信号に応じて、運転席シートS1のシートバックSBの座面の向きを変更する警告制御を実行する。
【0101】
具体的には、図10(a)~(d)に示す一連の動作を繰り返す。すなわち、図10(a)に示すように、まず、右のアクチュエータ30を正転させて側部フレーム22を通常位置から第5前方位置(5)まで前に回動させ、シート側部12を前に押し出してシートバックSBの座面を左に向ける。その後、図10(b)に示すように、右のアクチュエータ30を逆転させてシートバックSBの座面の向きを元に戻す。次に、図10(c)に示すように、左のアクチュエータ30を正転させて側部フレーム23を通常位置から第5前方位置(5)まで前に回動させ、シート側部13を前に押し出してシートバックSBの座面を右に向ける。その後、図10(d)に示すように、左のアクチュエータ30を逆転させてシートバックSBの座面の向きを元に戻す。この一連の動作を繰り返すことにより、運転者の上体を左右に大きく揺り動かすことができるので、運転者を覚醒させることができる。
【0102】
なお、走行姿勢サポート手段120が走行姿勢サポート制御を実行する場合は、運転者が旋回動作をしているときであるので、そのような場合には、運転者の覚醒状態が低下している可能性は低い。そのため、走行姿勢サポート手段120による走行姿勢サポート制御と、警告手段140による警告制御とが干渉する状況は少ない。仮に、走行姿勢サポート制御の作動条件と警告制御の作動条件とが同時に満たされた場合には、いずれかの制御、例えば、走行姿勢サポート制御を優先させるように構成するとよい。
【0103】
また、車両Cが停止して、乗降検出手段150が、ドアDRが開いたことを検出すると、乗降サポート手段160は、対応するシートS1,S21,S22,S23のシートバックSBの座面を車両Cの乗降口DE側に向ける乗降サポート制御を実行する。具体的には、例えば、運転席シートS1のドアDRが開かれた場合、乗降サポート手段160は、図5に示すように、右のアクチュエータ30を逆転させて側部フレーム22を通常位置から後方位置まで回動させ、シートバックSBの座面を乗降口DE側に向ける。その後、運転席シートS1のドアDRが閉じられた場合、乗降サポート手段160は、右のアクチュエータ30を正転させて側部フレーム22を後方位置から通常位置まで回動させ、シートバックSBの座面の向きを元に戻す。
【0104】
以上説明した本実施形態によれば、シートバックSBの座面の向きを乗員が置かれた状況、具体的には、車両C内におけるシートS1,S21,S22,S23の配置位置に応じて適切に変更することができる。これにより、車両Cが旋回するときに乗員をその置かれた状況に応じて適切にシートバックSBの座面でサポートすることができる。
【0105】
また、第2シートS2に座る乗員は、自分で運転しないため、旋回方向に応じた姿勢をとれない場合があるが、第2シートS2のシートバックSBの座面の向きの変更量を運転席シートS1よりも大きくするので、車両Cが旋回するときに第2シートS2に座る乗員をシートバックSBの座面で良好に受け止めることができる。これにより、快適性を向上させることができる。
【0106】
また、後席シートS22,S23の座面の向きの変更量を助手席シートS21の座面の向きの変更量よりも大きくするので、前方の視界が助手席シートS21よりも悪い後席シートS22,S23に座る乗員をシートバックSBの座面で良好に受け止めることができる。これにより、快適性を向上させることができる。
【0107】
また、自動運転モード時にシートバックSBの座面の向きの変更量を手動運転モード時よりも大きくするので、シートバックSBの座面の向きを乗員が置かれた状況、具体的には、車両Cの運転モードに応じて変更することができる。また、自動運転モードの場合は、運転者は操舵しないため、旋回方向に応じた姿勢をとれない場合があるが、自動運転モード時のシートバックSBの座面の向きの変更量を手動運転モードよりも大きくすることで、車両Cが旋回するときに乗員をシートバックSBの座面で良好に受け止めることができる。これにより、快適性を向上させることができる。
【0108】
また、乗員の車両Cへの乗降を検出した場合にシートバックSBの座面を車両Cの乗降口DE側に向けるので、シートバックSBの座面の向きを乗員が置かれた状況、具体的には、車両Cに乗り降りするという状況に応じて適切な向きに変更することができる。また、乗降サポート制御を実行するときにシートバックSBの座面を車両Cの乗降口DE側に向けて大きく動かすことができるので、車両用シートSに乗り降りしやすくなる。これにより、乗降性を向上させることができる。また、開閉検出センサ94がいわゆる半ドアの状態でもドアDRが開いていることを示す信号を出力するものである場合には、半ドアの状態でもシートバックSBの座面が乗降口DE側に向けられることになるので、ドアDRが半ドアであることを乗員に知らせることができる。
【0109】
また、運転者の覚醒状態の低下を検出した場合に運転席シートS1のシートバックSBの座面の向きの変更量を大きくするので、シートバックSBの座面の向きを乗員が置かれた状況、具体的には、運転者の覚醒状態に応じて適切に変更することができる。また、警告制御を実行するときの運転席シートS1のシートバックSBの座面の向きの変更量を大きくできるので、覚醒効果を高めることができる。
【0110】
また、アクチュエータ30がシート側部12,13の一部である側部フレーム22,23を回動させて動かすことで、シートバックSBの座面の向きを変えるので、例えば、シート全体を動かしてシートバックの座面の向きを変える構成と比較して、アクチュエータ30を小型化することができる。
【0111】
また、制御装置100が設定手段170を有し、走行姿勢サポート手段120が、設定手段170が設定した側部フレーム22,23の回動量を優先してアクチュエータ30を制御するので、シートバックSBの座面の向きの変更量を乗員の好みに合わせて設定することができる。
【0112】
また、設定手段170が、シートバックSBの座面の向きの変更量を0を含む任意の変更量に設定可能であるので、シートバックSBの座面の向きを変えない(走行姿勢サポート制御を実行しない)という選択肢を含めてシートバックSBの座面の向きの変更量を乗員の好みに合わせて設定することができる。
【0113】
また、制御装置100が表示手段180を有するので、現在設定されているシートバックSBの座面の向きの変更量の情報を操作パネルOPの表示画面DSに表示して乗員に知らせることができる。
【0114】
以上に発明の一実施形態について説明したが、本発明は前記実施形態に限定されることなく適宜変形して実施することができる。
例えば、制御装置は、シートバックやシートクッションの傾斜角度に応じて側部フレームの回動量を補正するように構成されていてもよい。
【0115】
具体的には、図11(a)に示すように、車両用シートSは、シートバックSBの下部がシートクッションSCの後部にリクライニング機構RLを介して回動自在に連結され、シートバックSBがシートクッションSCに対して前後に傾動可能な構成において、制御装置は、シートバックSBの傾斜角度がバック角度閾値(第1バック角度閾値)以上となった場合、側部フレームの回動量を、通常の回動量に、例えば、1を加算して大きくするように構成されていてもよい。また、図11(b)に示すように、車両用シートSは、チルト機構TLによりシートクッションSCの前部が上下してシートクッションSCの座面の傾斜角度を変更可能な構成において、制御装置は、シートクッションSCの傾斜角度がクッション角度閾値以上となった場合、側部フレームの回動量を、通常の回動量に、例えば、1を加算して大きくするように構成されていてもよい。具体的には、運転席シートS1について、シートバックSBやシートクッションSCの傾斜角度が閾値以上である場合において、横加速度GCの大きさが第1加速度閾値GCth1以上となった場合、側部フレームの回動量を、通常の回動量(1)(図7参照)に1を加算し、通常位置から第2前方位置(2)まで回動させるようにしてもよい。
【0116】
また、図11(c)に示すように、シートバックSBがシートクッションSCに対して略フラットな状態となった場合、具体的には、シートバックSBの傾斜角度が、前述の第1バック角度閾値よりも大きい第2バック角度閾値以上となった場合、側部フレームの回動量を、通常の回動量に、例えば、2を加算して大きくするように構成されていてもよい。例えば、助手席シートS21について、シートバックSBの傾斜角度が第2バック角度閾値以上である場合において、横加速度GCの大きさが第1加速度閾値GCth1以上となった場合、側部フレームの回動量を、通常の回動量(1.5)(図7参照)に2を加算し、通常位置から第4中間位置(3.5)まで回動させるようにしてもよい。
【0117】
また、前記実施形態では、第2シートS2が、助手席シートS21と後席シートS22,S23を含む構成であったが、これに限定されない。例えば、図12に示すように、第2シートS2は、助手席シートS21と、運転席シートS1の後方に配置された中央席シートS24と、助手席シートS21の後方に配置された中央席シートS25と、中央席シートS24の後方に配置された3列目シートS26と、中央席シートS25の後方に配置された3列目シートS27とを含む構成であってもよい。
【0118】
この場合の走行姿勢サポート制御における側部フレーム22,23の回動量の設定値の一例を説明すると、図13に示すように、制御装置100(走行姿勢サポート手段)は、中央席シートS24,S25については、横加速度GCの大きさが第1加速度閾値GCth1以上となった場合、側部フレーム22,23の回動量を、運転席シートS1の回動量(1)に1.5を加算して大きくし、通常位置から第3中間位置(2.5)まで回動させる。また、横加速度GCの大きさが第2加速度閾値GCth2以上となった場合、側部フレーム22,23の回動量を、運転席シートS1の回動量(2)に1.5を加算して大きくし、第4中間位置(3.5)まで回動させる。また、自動運転モードである場合、運転席シートS1の自動運転モード時の回動量(2または3)に1.5を加算する。
【0119】
また、制御装置100は、3列目シートS26,S27については、横加速度GCの大きさが第1加速度閾値GCth1以上となった場合、側部フレーム22,23の回動量を、運転席シートS1の回動量(1)に1を加算して大きくし、通常位置から第2前方位置(2)まで回動させる。また、横加速度GCの大きさが第2加速度閾値GCth2以上となった場合、側部フレーム22,23の回動量を、運転席シートS1の回動量(2)に1.5を加算して大きくし、第4中間位置(3.5)まで回動させる。また、自動運転モードである場合、運転席シートS1の自動運転モード時の回動量(2または3)に1.5を加算する。
【0120】
なお、図12に示す形態では、3列目シートS26,S27への乗降は、中央席シートS24,S25の左右外側に設けられたドアDR(乗降口)から行われる。つまり、3列目シートS26,S27の左右両側には、乗降のためのドアは設けられていない。このような構成において、制御装置100(乗降サポート手段)は、3列目シートS26,S27については、乗降サポート制御(図5参照)を実行しない。
【0121】
また、制御装置100は、車両用シートSにチャイルドシートが取り付けられているか否かを検出する取付検出手段をさらに有し、走行姿勢サポート手段は、取付検出手段により車両用シートSにチャイルドシートが取り付けられていることを検出した場合、走行姿勢サポートを実行するときの側部フレーム22,23の回動量を大きくするように構成されていてもよい。具体的には、図14(a)に示すように、中央席シートS24にチャイルドシートS3が取り付けられている場合において、左旋回中に横加速度GCの大きさが第1加速度閾値GCth1以上となった場合、側部フレーム22の回動量を、通常の回動量(2.5)(図13参照)に、例えば、1を加算して大きくし、図14(b)に示すように、通常位置から第4中間位置(3.5)まで回動させるようにしてもよい。また、制御装置100は、取付検出手段により車両用シートSにチャイルドシートS3が取り付けられていることを検出した場合、チャイルドシートS3が取り付けられている車両用シートSのアクチュエータ30を駆動させない(座面の向きを変えない)構成としてもよい。
【0122】
また、図15に示すように、中央席シートS24,S25は、後を向くように車体に対して回転可能に設けられていてもよい。この場合、制御装置100は、中央席シートS24,S25の向きを検出する向き検出手段をさらに有し、走行姿勢サポート手段は、向き検出手段により中央席シートS24,S25が後を向いていることを検出した場合、前を向いているときとは逆に、左旋回時には側部フレーム23を回動させ、右旋回時には側部フレーム22を回動させる。また、例えば、中央席シートS24が前を向いている場合(図12参照)、乗降サポート制御時には乗降口側の側部フレーム22が回動することになるが、乗降サポート手段は、向き検出手段により中央席シートS24が後を向いていることを検出した場合、前を向いているときとは逆に、乗降口(ドアDR)側に移動した側部フレーム23を回動させる。
【0123】
また、図16に示すように、制御装置100は、進行方向情報取得手段210と、旋回報知手段220とをさらに有していてもよい。
進行方向情報取得手段210は、車両Cの進行方向の情報を取得する手段である。具体的には、進行方向情報取得手段210は、車両Cに搭載されたカーナビゲーションシステムNSから車両Cの進行方向の情報、詳しくは、車両Cの進行方向にあるカーブや交差点などの情報を取得する。
【0124】
旋回報知手段220は、進行方向情報取得手段210が取得した進行方向の情報に基づいて、車両Cが実際に旋回する前に、運転席シートS1のアクチュエータ30を制御してシートバックSBの座面の向きを変更することで乗員に旋回を知らせる旋回報知制御を実行する手段である。具体的には、旋回報知手段220は、進行方向情報取得手段210が車両Cの進行方向にあるカーブや交差点などの情報を検出した場合、旋回報知制御を実行する。
【0125】
詳しくは、旋回報知手段220は、進行方向情報取得手段210が検出した車両Cの進行方向の情報から車両Cの旋回方向を予測する。そして、旋回報知手段220は、予測される旋回方向が左である場合には、運転席シートS1の右のアクチュエータ30を正転させて側部フレーム22を通常位置から第1中間位置(0.5)まで前に回動させ、シート側部12を前に押し出してシートバックSBの座面を左に向け、その後、運転席シートS1の右のアクチュエータ30を逆転させて側部フレーム22を第1中間位置から通常位置まで後に回動させ、シートバックSBの座面の向きを戻す。また、旋回報知手段220は、予測される旋回方向が右である場合には、運転席シートS1の左のアクチュエータ30を正転させて側部フレーム23を通常位置から第1中間位置(0.5)まで前に回動させ、シート側部13を前に押し出してシートバックSBの座面を右に向け、その後、運転席シートS1の左のアクチュエータ30を逆転させて側部フレーム23を第1中間位置から通常位置まで後に回動させ、シートバックSBの座面の向きを戻す。旋回報知手段220は、旋回報知制御において、この一連の動作を数回繰り返す。これにより、シート側部12,13によって運転者を旋回方向に向けて数回押すことができるので、運転者に旋回、具体的には、旋回をすべきということと、旋回方向を知らせることができる。
【0126】
このような構成によれば、車両Cが旋回する前に運転者に車両Cの旋回を知らせることができるので、交差点などでの曲がり忘れを抑制したり、運転者が旋回方向に応じた姿勢を予めとったりすることができる。これにより、快適性を向上させることができる。
なお、側部フレーム22,23の回動量は、運転者が不快に感じないレベルであるのが望ましいため、ここでは、小さい回動量、例えば、第1中間位置(0.5)に設定した例を説明したが、側部フレーム22,23の回動量はこれに限定されるものではない。
【0127】
また、旋回報知手段220は、カーブの入口や交差点などの旋回開始地点からの車両Cの位置に応じて、側部フレーム22,23の回動量を変更するように構成されていてもよい。例えば、旋回報知手段220は、旋回開始地点の手前である第1地点、例えば、旋回開始地点から50m手前では、側部フレーム22,23を通常位置から第1中間位置(0.5)まで回動させ、第1地点よりも旋回開始地点に近い第2地点、例えば、旋回開始地点から25m手前では、側部フレーム22,23を通常位置から第1前方位置(1)まで回動させ、第2地点よりも旋回開始地点に近い第3地点、例えば、旋回開始地点から15m手前では、側部フレーム22,23を通常位置から第2前方位置(2)まで回動させるように構成されていてもよい。このように、旋回開始地点に近づくにつれて側部フレーム22,23の回動量を大きくしてシート側部12,13の前への押し出し量を徐々に大きくすることで、旋回を効果的に知らせることができ、曲がり忘れなどをより抑制することができる。また、この場合において、旋回報知手段220は、運転者が方向指示器を操作するなどして旋回の準備を始めたことを検出した場合、第2地点や第3地点での側部フレーム22,23の回動量を小さくするように構成されていてもよいし、第2地点や第3地点でアクチュエータ30を駆動させないように構成されていてもよい。これによれば、アクチュエータ30の不要な作動を制限できるので、運転者に不快感などを与えるのを抑制することができる。
【0128】
また、旋回報知手段220は、シート側部12,13によって運転者を旋回方向に向けて数回押すことで旋回を知らせるのではなく、例えば、カーブの入口や交差点などに近づくにつれて側部フレーム22,23の回動量を徐々に大きくしていき、シート側部12,13の前への押し出し量を徐々に大きくすることで、運転者に旋回を知らせるように構成されていてもよい。この場合において、制御装置100は、車両Cが旋回を開始する前は、旋回報知制御によってシート側部12,13の前への押し出し量を徐々に大きくしていき、車両Cが旋回を開始したら、シート側部12,13を通常位置に戻すことなく、そのまま続けて走行姿勢サポート制御を実行するように構成されていてもよい。
【0129】
また、旋回報知手段220は、運転席シートS1以外の第2シートS2についても、旋回報知制御を実行するように構成してもよい。この場合において、旋回報知手段220は、第2シートS2については、旋回を開始する前は、旋回報知制御によってシート側部12,13の押し出し量を徐々に大きくしていき、旋回を開始したら、シート側部12,13を通常位置に戻すことなく、続けて走行姿勢サポート制御を実行するように構成されていることが望ましい。これによれば、第2シートS2のシート側部12,13の急な作動を避けることができるので、快適性を向上させることができる。
【0130】
また、旋回報知手段220は、予測される旋回方向が左である場合には、旋回方向と同じ左のアクチュエータ30を正転させて側部フレーム23を前に回動させ、シート側部13を前に押し出し、その後、左のアクチュエータ30を逆転させて側部フレーム23を後に回動させ、シート側部13を元に戻すという動作を数回繰り返すように構成されていてもよい。予測される旋回方向が右である場合には、右のアクチュエータ30を駆動させる。このように、旋回報知手段220は、旋回方向側のシート側部12,13によって運転者を押すように構成されていてもよい。
【0131】
また、旋回報知手段220は、乗員の操作によって設定手段170が側部フレーム22,23の回動量(シートバックSBの座面の向きの変更量)を設定した場合は、設定手段170によって設定された回動量に応じてアクチュエータ30を制御するように構成されていてもよい。また、旋回報知手段220は、乗員の操作によって設定手段170が旋回報知制御の実行を禁止した場合は、旋回報知制御をOFFとするように構成されていてもよい。
【0132】
また、図17(a)に示すように、車両用シートSは、乗員の異なる部位を支持する複数の支持部S11~S14を有し、各支持部S11~S14の座面の向きをそれぞれ個別に変更可能に構成されていてもよい。具体的には、シートバックSBは、乗員の腰部を支持する腰部支持部S11と、腰部支持部S11の上に配置されて乗員の肩部を支持する肩部支持部S13と、腰部支持部S11と肩部支持部S13の間に配置されて乗員の胸部(腰部と肩部の間の部分)を支持する胸部支持部S12とを有し、ヘッドレストHRは、乗員の頭部を支持する頭部支持部S14を有している。
【0133】
そして、各支持部S11~S14内の左右両側には、図17(b)に示すように、左右一対の支持部材42,43およびアクチュエータ30A,30Bが配置されている。
支持部材42,43は、板状の部材であり、左右内側の端部がシートバックSBやヘッドレストHRの図示しないフレームに対して回動可能に連結されていることで、左右外側の端部が前後に揺動可能となるように設けられている。また、アクチュエータ30A,30Bは、対応する支持部材42,43を前後に回動させて動かすことで、支持部S11~S14の座面を前に押し出たり、元に戻したりして、対応する支持部S11~S14の座面の向きを左右に変えることができるように構成されている。ここで、腰部は、乗員の第1部位の一例であり、腰部支持部S11は、第1支持部の一例であり、腰部支持部S11のアクチュエータ30A,30Bは、第1アクチュエータの一例である。また、肩部、胸部および頭部は、乗員の第1部位とは異なる第2部位の一例であり、胸部支持部S12、肩部支持部S13および頭部支持部S14は、第2支持部の一例であり、支持部S12~S14のアクチュエータ30A,30Bは、第2アクチュエータの一例である。
【0134】
制御装置100は、各支持部S11~S14に配置された合計で8つのアクチュエータ30A,30Bの駆動量を個別に制御可能に構成されている。これにより、車両用シートSは、各支持部S11~S14の座面の向きをそれぞれ個別に変更可能となっている。
【0135】
また、制御装置100の走行姿勢サポート手段は、走行姿勢サポート制御を実行するときに、支持部S12~S14の座面の向きの変更量を、腰部支持部S11の座面の向きの変更量よりも小さくするように構成されている。具体的には、走行姿勢サポート手段は、走行姿勢サポート制御を実行するときに、支持部S12~S14のアクチュエータ30A,30Bを、腰部支持部S11のアクチュエータ30A,30Bの駆動量に、1よりも小さい係数を掛けた駆動量で駆動させる。一例として、胸部支持部S12のアクチュエータ30A,30Bを、腰部支持部S11のアクチュエータ30A,30Bの駆動量に、係数0.9を掛けた駆動量で駆動させ、肩部支持部S13のアクチュエータ30A,30Bを、腰部支持部S11のアクチュエータ30A,30Bの駆動量に、係数0.8を掛けた駆動量で駆動させ、頭部支持部S14のアクチュエータ30A,30Bを、腰部支持部S11のアクチュエータ30A,30Bの駆動量に、係数0.5を掛けた駆動量で駆動させる。ここで、係数は、走行試験やシミュレーションなどにより予め設定することができる。
【0136】
このような構成によれば、車両Cが旋回するときに乗員の異なる部位をそれぞれ適切な向きとした各支持部S11~S14の座面で良好に受け止めることができる。これにより、快適性を向上させることができる。
【0137】
なお、走行姿勢サポート手段は、走行姿勢サポート制御を実行するときに、アクチュエータ30A,30Bの駆動量(座面の向きの変更量)が小さい場合は、支持部S11~S14のアクチュエータ30A,30Bの駆動量を互いに等しくし、アクチュエータ30A,30Bの駆動量が大きい場合は、支持部S12~S14のアクチュエータ30A,30Bの駆動量を、係数を掛けるなどして、腰部支持部S11のアクチュエータ30A,30Bの駆動量よりも小さくするように構成されていてもよい。また、走行姿勢サポート手段は、例えば、頭部支持部S14については、他の支持部S11~S13の場合よりも遅い速度でアクチュエータ30A,30Bを作動させるように構成されていてもよい。これによれば、乗員に不快感などを与えるのを抑制することができる。
【0138】
また、前記実施形態では、覚醒状態検出手段130が、運転席シートS1に座っている運転者の覚醒状態を検出するように構成されていたが、これに限定されない。例えば、運転席シート以外のシートである第2シートに呼吸センサを設け、覚醒状態検出手段は、第2シートに設けられた呼吸センサからの信号に基づいて第2シートに座っている乗員の覚醒状態、具体的には、第2シートに座っている乗員が眠っているか否かを検出するように構成されていてもよい。この場合、走行姿勢サポート手段は、覚醒状態検出手段が第2シートに座っている乗員が眠っていること(乗員の覚醒状態の低下)を検出した場合、走行姿勢サポート制御において、側部フレームの回動量を、眠っていない場合の回動量よりも大きくするように構成されていてもよい。例えば、図18(a)に示すように、走行姿勢サポート手段は、助手席シートS21に座っている乗員が眠っている場合、助手席シートS21の側部フレームの回動量を、眠っていない場合の回動量に、0.5を加算し、後席シートS22,S23に座っている乗員が眠っている場合、後席シートS22,S23の側部フレームの回動量を、眠っていない場合の回動量に、1.5を加算するように構成されていてもよい。また、図18(b)に示すように、走行姿勢サポート手段は、中央席シートS24,S25や3列目シートS26,S27に座っている乗員が眠っている場合、側部フレームの回動量を、眠っていない場合の回動量に、1.5を加算するように構成されていてもよい。なお、走行姿勢サポート手段は、運転席シート以外のシートである第2シートに座っている乗員が眠っている場合には、眠っていない場合よりも遅い速度でアクチュエータを作動させるように構成されていてもよい。また、走行姿勢サポート手段は、走行姿勢サポート制御を実行するときに、第2シートに座っている乗員が眠っている場合には、運転席シートのみアクチュエータを駆動させ、第2シートについてはアクチュエータを駆動させない構成としてもよい。
【0139】
また、前記実施形態では、走行姿勢サポート手段120が横加速度GCに基づいて所定以上の旋回が行われたことを判定するように構成されていたが、これに限定されない。例えば、走行姿勢サポート手段は、操舵角に基づいて所定以上の旋回が行われたことを判定するように構成されていてもよい。具体的には、操舵角の大きさが、操舵角閾値以上となった場合に、所定以上の旋回が行われたと判定し、走行姿勢サポート制御を実行するように構成されていてもよい。この場合、走行姿勢サポート制御の設定値は、操舵角の大小に応じて、旋回が急である場合に大きくなり、また、旋回が緩やかである場合に小さくなるように多段階で設定してもよい。また、操舵角の大小に加えて、車体速度を加味してもよい。例えば、図19に示すように、走行姿勢サポート制御を実行するときに、運転席シートS1について、低速走行時に旋回が緩やかな場合(操舵角小)は、第1前方位置(1)まで回動させ、低速走行時に旋回が急な場合(操舵角大)は、第2前方位置(2)まで回動させ、高速走行時に旋回が緩やかな場合(操舵角小)は、第2中間位置(1.5)まで回動させ、高速走行時に旋回が急な場合(操舵角大)は、第3前方位置(3)まで回動させる構成としてもよい。なお、一例として、操舵角小とは、操舵角が第1操舵角閾値以上の場合であり、操舵角大とは、操舵角が第1操舵角閾値よりも大きい第2操舵角閾値以上の場合である。また、低速走行時とは、車体速度Vが速度閾値Vth未満の場合であり、高速走行時とは、車体速度Vが速度閾値Vth以上の場合である。
【0140】
また、前記実施形態では、走行姿勢サポート手段120が、走行姿勢サポート制御を実行するときに、後席シートS22,S23の側部フレーム22,23の回動量を、助手席シートS21の側部フレーム22,23の回動量よりも大きくするように構成されていたが、これに限定されない。例えば、走行姿勢サポート手段は、走行姿勢サポート制御を実行するときに、後席シートの側部フレームの回動量と、助手席シートの側部フレームの回動量を等しくする(同じ回動量とする)ように構成されていてもよい。
【0141】
また、制御装置100は、乗員が操作パネルOPを操作するなどして、車両Cの運転モードを、自動運転モードおよび手動運転モードの一方から他方に切り換えたときに、アクチュエータ30を制御して、運転モードが切り替わったことを乗員に知らせるように構成されていてもよい。例えば、制御装置100は、運転モードが切り換えられた場合、まず、右のアクチュエータ30を正転・逆転させることで、シート側部12を前に押し出して戻した後、次に、左のアクチュエータ30を正転・逆転させることでシート側部13を前に押し出して戻すという動作を1回から数回程度行うように構成されていてもよい。また、この動作は、例えば、通常位置から第1中間位置(0.5)までの小さい回動量であって、走行姿勢サポート手段120による走行姿勢サポート制御を実行する場合よりも速い速度でアクチュエータ30を作動させるものであってもよい。
【0142】
また、前記実施形態では、警告手段140が警告制御のときに運転席シートS1の左右のアクチュエータ30を交互に正転および逆転させてシートバックSBの座面の向きを左右交互に変更するように構成されていたが、警告制御のときのアクチュエータの動作パターンはこれに限定されない。例えば、右のアクチュエータ30を少し正転させた後、一時停止させ、その後さらに正転させることでシート側部12を2段階で前に押し出し、その後、右のアクチュエータ30を逆転させてシート側部12を元の位置に戻し、次に、左のアクチュエータ30を少し正転させた後、一時停止させ、その後さらに正転させることでシート側部13を2段階で前に押し出し、その後、左のアクチュエータ30を逆転させてシート側部13を元の位置に戻すという動作を繰り返すパターンであってもよい。また、右のアクチュエータ30を正転・逆転、正転・逆転と2回往復動させることでシート側部12を2回前に押し出し、次に、左のアクチュエータ30を正転・逆転、正転・逆転と2回往復動させることでシート側部13を2回前に押し出すという動作を繰り返すパターンであってもよい。また、右のアクチュエータ30を正転・逆転、正転・逆転と2回往復動させることでシート側部12を2回前に押し出した後、左のアクチュエータ30を正転・逆転と1回往復動させることでシート側部13を1回前に押し出し、次に、右のアクチュエータ30を正転・逆転と1回往復動させることでシート側部12を1回前に押し出した後、左のアクチュエータ30を正転・逆転、正転・逆転と2回往復動させることでシート側部13を2回前に押し出すという動作を繰り返すパターンであってもよい。また、右のアクチュエータ30を1回、正転・逆転させることでシート側部12を1回前に押し出した後、左のアクチュエータ30を、正転・逆転、正転・逆転と2回往復動させることでシート側部13を2回前に押し出すという動作を繰り返すパターンであってもよい。
【0143】
また、前記実施形態では、覚醒状態検出手段として、呼吸センサ93からの信号に基づいて乗員の覚醒状態を検出する手段を例示したが、これに限定されない。例えば、覚醒状態検出手段は、乗員の顔を撮影した画像から覚醒状態を検出する手段や、乗員の心拍のデータから覚醒状態を検出する手段など、当業者が利用可能な適宜な手段とすることができる。
【0144】
また、前記実施形態では、乗降検出手段として、開閉検出センサ94の信号に基づいてドアDRが開いたことを検出した場合に乗員の車両Cへの乗降があると検出する手段を例示したが、これに限定されない。乗降検出手段は、乗員の乗降を予測して、乗降サポート手段を早めに作動させる手段、例えば、ドアのロックが解除された場合に乗員の車両への乗降があると検出する手段などであってもよい。
【0145】
また、図5を参考にして説明すると、車両用シートSは、乗降サポート制御を実行する場合であって、特に乗員が車両Cに乗り込む場合には、シート側部12の表面から、冷風や温風などの空調空気を左右外側、つまり、車両Cに乗り込もうとする乗員に向けて吹き出すように構成されていてもよい。具体的には、制御装置100は、乗員が車両用シートSに座っているか否かを検出する着座検出手段を有し、乗降サポート手段は、乗降検出手段によりドアDRが開いたことを検出したときに着座検出手段により乗員が車両用シートSに座っていないことを検出した場合、乗車時なので、シートバックSBの座面を乗降口DE側に向ける動作を実行するとともに、シート側部12の表面から空調空気を吹き出す動作を実行する。一方、乗降サポート手段は、乗降検出手段によりドアDRが開いたことを検出したときに着座検出手段により乗員が車両用シートSに座っていることを検出した場合、降車時なので、シートバックSBの座面を乗降口DE側に向ける動作を実行し、シート側部12の表面から空調空気を吹き出す動作は実行しない。このような構成によれば、車両Cに乗り込もうとする乗員の快適性を向上させることができる。なお、着座検出手段は、例えば、シートクッションSCなどに設けられた重量検出センサや圧力検出センサなどの出力信号に基づいて、乗員が車両用シートSに座っているか否かを検出することができる。
【0146】
また、前記実施形態では、アクチュエータ30がシート側部12,13の一部である側部フレーム22,23を動かすことでシートバックSBの座面の向きを変更可能に構成されていたが、これに限定されない。例えば、アクチュエータは、シート側部の全体を動かすことでシートバックSBの座面の向きを変更可能に構成されていてもよい。また、アクチュエータは、シートバックの全体を回動させるなどして動かすことで、シートバックの座面の向きを変更可能に構成されていてもよい。また、アクチュエータは、シートバックではなく、シートクッションの座面の向きを変更可能に構成されていてもよい。シートクッションの座面の向きは、例えば、シートクッションの少なくとも一部を動かすことで変えることができる。また、車両用シートは、シートバックの座面の向きとシートクッションの座面の向きの両方を変更可能に構成されていてもよい。また、アクチュエータは、シートの全体を回動させるなどして動かすことで、座面の向きを変更可能に構成されていてもよい。
【0147】
また、車両用シートの座面の向きを左右に変えるための機構は、前記実施形態で説明した機構に限定されない。例えば、特許文献1-3に記載されているような、左右のサイドフレームの間に配置された板状の部材の向きを左右に向けることで、座面の向きを左右に変える機構を採用してもよい。また、特許文献4に記載されているような、サイドサポート駆動機構のサイドサポート装置を採用してもよい。
【0148】
また、前記実施形態では、乗物用シートとして自動車に搭載される車両用シートSを例示したが、これに限定されず、乗物用シートは、自動車以外の乗物、例えば、鉄道車両や船舶、航空機などに搭載されるシートであってもよい。
【0149】
また、前記した実施形態および変形例で説明した各要素を、任意に組み合わせて実施してもよい。
【符号の説明】
【0150】
11 シート中央部
12,13 シート側部
22,23 側部フレーム
30,30A,30B アクチュエータ
100 制御装置
120 走行姿勢サポート手段
130 覚醒状態検出手段
140 警告手段
150 乗降検出手段
160 乗降サポート手段
170 設定手段
180 表示手段
210 進行方向情報取得手段
220 旋回報知手段
C 車両
DE 乗降口
DS 表示画面
OP 操作パネル
S 車両用シート
S1 運転席シート
S2 第2シート
S11 腰部支持部
S12 胸部支持部
S13 肩部支持部
S14 頭部支持部
S21 助手席シート
S22,S23 後席シート
図1
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