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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024114817
(43)【公開日】2024-08-23
(54)【発明の名称】情報管理方法および情報管理装置
(51)【国際特許分類】
   H05K 13/00 20060101AFI20240816BHJP
【FI】
H05K13/00 Z
【審査請求】有
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024102705
(22)【出願日】2024-06-26
(62)【分割の表示】P 2023089478の分割
【原出願日】2019-02-12
(71)【出願人】
【識別番号】000237271
【氏名又は名称】株式会社FUJI
(74)【代理人】
【識別番号】110000604
【氏名又は名称】弁理士法人 共立特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】三治 満
(57)【要約】
【課題】部品供給装置の自動交換および手動交換の両方に対して適正に機能し、部品供給装置に保持された部品の種類を適正に管理できる情報管理方法を提供する。
【解決手段】情報管理方法は、部品装着機に取り付けられて部品を供給する部品供給装置の個体識別情報と、部品供給装置に装填された部品の種類とを対応付けた対応付けデータを登録する対応付け登録工程と、部品供給装置が部品装着機から取り外された後に所定条件が成立すると、対応付けデータを破棄する対応付け破棄工程と、を含み、部品供給装置が自動交換装置によって保管装置から取り外された場合、対応付けデータを維持する。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
部品装着機に取り付けられて部品を供給する部品供給装置の個体識別情報と、前記部品供給装置に装填された前記部品の種類とを対応付けた対応付けデータを登録する対応付け登録工程と、
前記部品供給装置を保管する保管装置から前記部品供給装置が取り外された後に所定条件が成立すると、前記対応付けデータを破棄する対応付け破棄工程と、を含み、
前記部品供給装置が自動交換装置によって前記保管装置から取り外された場合、前記対応付けデータを維持する、
情報管理方法。
【請求項2】
部品装着機に取り付けられて部品を供給する部品供給装置の個体識別情報と、前記部品供給装置に装填された前記部品の種類とを対応付けた対応付けデータを登録する対応付け登録部と、
前記部品供給装置を保管する保管装置から前記部品供給装置が取り外された後に所定条件が成立すると、前記対応付けデータを破棄する対応付け破棄部と、
前記部品供給装置が自動交換装置によって前記保管装置から取り外された場合、前記対応付けデータを維持する対応付け維持部と、
を備える情報管理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書は、部品装着機に取り付けられる部品供給装置に保持された部品の種類を管理する部品種類管理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
プリント配線が施された基板に対基板作業を実施して、基板製品を量産する技術が普及している。対基板作業を実施する対基板作業機の代表例として、部品の装着作業を実施する部品装着機がある。一般的に、部品装着機に取り付けられるフィーダなどの部品供給装置は、個体識別情報が付与されて管理される。さらに、部品供給装置に保持された部品の種類は、部品供給装置の個体識別情報と対応付けられて管理される。部品供給装置の個体識別情報、および保持された部品の種類の情報を管理する一技術例が特許文献1に開示されている。
【0003】
特許文献1に開示された部品装着機の部品残数管理方法は、フィーダを識別するフィーダID(個体識別情報)、供給する部品の種類を識別する部品ID、および部品残数を対応付けて記憶する。そして、部品装着機にフィーダを取り付ける際に、当該フィーダのフィーダIDと部品IDの組み合わせが記憶されていなければ、その組み合わせを記憶し、その組み合わせが記憶されているならば、部品残数の情報を利用する。これによれば、各フィーダの部品残数を容易に管理できる、とされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005-216946号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、部品装着機では、リールがそれぞれ装填された複数のフィーダが並べて取り付けられる。そして、生産する基板製品の種類を変更するときの段取り替え作業において、フィーダが一時的に取り外されて並び位置が変更される第1のケースが生じる。また、フィーダが取り外された後にリールが交換されて、保持された部品の種類が変更される第2のケースが生じる。
【0006】
ここで、特許文献1のフィーダIDと部品IDとを対応付ける制御部は、第1のケースでは対応付けを維持し、第2のケースでは対応付けを破棄する必要がある。第1のケースおよび第2のケースを判別する簡易な方法として、取り外し状態の継続時間を用いた判別方法が用いられる。つまり、第1のケースでは取り外し状態の継続時間が短く、第2のケースでは取り外し状態の継続時間が長くなることから、二つのケースが判別される。
【0007】
近年、生産の省力化および自動化の要請に応え、フィーダを自動で交換する自動交換装置が実用化されている。しかしながら、完全な自動化の実現は難しく、ときには手動による交換も併用される。また、自動交換装置が対応する新型の部品装着機と、手動交換に依存する旧型の部品装着機とが併用されるライン構成もある。ここで、自動交換装置は、部品装着機から取り外したフィーダを管理し、リールの交換を許容しない。このため、自動交換装置を適用する範囲において、フィーダIDと部品IDの対応付けを破棄する必要が無い。
【0008】
換言すると、特許文献1等の従来技術は、フィーダの自動交換に対して適正に機能しない。つまり、自動交換装置によりフィーダが自動で取り外されても、取り外し状態の継続時間が長くなると、対応付けが破棄されてしまう。この結果、自動交換装置がフィーダ装置を部品装着機に再び取り付ける際に、オペレータが対応付けを再登録する必要があって二度手間となる。さらに、オペレータが再登録を怠ると、エラーが発生する。
【0009】
本明細書では、部品供給装置の自動交換および手動交換の両方に対して適正に機能し、部品供給装置に保持された部品の種類を適正に管理できる情報管理方法および部品種類管理装置を提供することを解決すべき課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本明細書は、部品装着機に取り付けられて部品を供給する部品供給装置の個体識別情報と、前記部品供給装置に保持された前記部品の種類とを対応付けた対応付けデータを登録する対応付け登録工程と、前記部品供給装置が前記部品装着機から取り外された後に所定条件が成立すると、前記対応付けデータを破棄する対応付け破棄工程と、を含む情報管理方法を開示する。
本明細書は、部品装着機に取り付けられて部品を供給する部品供給装置の個体識別情報と、前記部品供給装置に保持された前記部品の種類とを対応付けた対応付けデータを登録する対応付け登録部と、前記部品供給装置が前記部品装着機から取り外された後に所定条件が成立すると、前記対応付けデータを破棄する対応付け破棄部と、前記部品供給装置が自動交換装置によって取り外されたか否かを判別する取り外し判別部と、前記部品供給装置が前記自動交換装置によって取り外されたと判別された場合、前記所定条件が成立する以前に前記対応付け破棄部の機能を無効化させて前記対応付けデータを維持する対応付け維持部と、を備える部品種類管理装置を開示する。
【発明の効果】
【0011】
本明細書で開示する部品種類管理装置において、取り外し判別部は、部品供給装置が自動交換装置によって取り外されたか否かを判別し、部品供給装置が自動で取り外された場合に、対応付け維持部が機能して対応付けデータを維持する。このため、オペレータが対応付けデータを再登録する手間は不要であり、かつ、エラーの発生のおそれが無い。また、部品供給装置が手動で取り外された場合に、対応付け破棄部が機能して、所定条件が成立すると対応付けデータを破棄する。このため、部品供給装置に保持された部品の種類が変更される可能性に対し、対応付けデータを維持し続けてエラーとなるおそれが生じない。したがって、部品種類管理装置は、部品供給装置の自動交換および手動交換の両方に対して適正に機能し、部品供給装置に保持された部品の種類を適正に管理できる。開示した情報管理方法においても、上記と同様の効果が生じる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】実施形態の部品種類管理装置が組み込まれる部品装着システムの一構成例を示した斜視図である。
図2】実施形態の部品種類管理装置の構成および部品装着システムの制御の構成を示すブロック図である。
図3】実施形態の部品種類管理装置の動作を説明する動作フローの図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
1.部品装着システム9の構成例
まず、実施形態の部品種類管理装置5(図2参照)が組み込まれる部品装着システム9の一構成例について説明する。部品装着システム9は、部品を基板に装着して基板製品を生産する。図1に示されるように、部品装着システム9の前後左右を便宜的に定める。部品装着システム9は、複数の対基板作業機が左右方向に列設されて構成される。すなわち、半田印刷機91、印刷検査機92、第1部品装着機93、第2部品装着機94、第3部品装着機95、図略の基板外観検査機、および図略のリフロー機が、左側から右側へと列設される。
【0014】
それぞれの対基板作業機は、基板に対する所定の作業、すなわち対基板作業を実施する。具体的に、半田印刷機91は、ペースト状の半田を定められたパターン形状で基板に印刷する。印刷検査機92は、基板の半田印刷状態を撮像して検査する。第1部品装着機93、第2部品装着機94、および第3部品装着機95は、部品供給部9Aから部品を採取して、基板の半田の上に装着する。基板外観検査機は、基板に装着された部品を撮像して外観状態を検査する。リフロー機は、半田を加熱および冷却することによって部品の半田付けを確かなものとする。対基板作業は、上記した作業内容に限定されず、付随する諸作業等も含む。例えば、基板の搬入出作業や位置決め作業、基板や部品を撮像してそれらの位置や姿勢を検出する確認作業も、対基板作業に含まれる。
【0015】
第1部品装着機93、第2部品装着機94、および第3部品装着機95は、互いに同一構造である。部品装着機(93、94、95)は、部品供給部9A、予備フィーダ保管部9B、図1には見えない基板搬送装置、および部品移載装置を有する。
【0016】
部品供給部9Aは、機台99の前側の概ね中間高さに配置される。部品供給部9Aは、前後方向に延びかつ所定ピッチで互いに平行に形成された複数のスロットを有する。部品供給部9Aの各スロットには、それぞれフィーダ8が挿入されて取り付けられる。つまり、複数のフィーダ8は、図1の左右方向に並んで配列される。フィーダ8は、部品供給装置の一例である。
【0017】
予備フィーダ保管部9Bは、機台99の前側の部品供給部9Aの下側に配置される。予備フィーダ保管部9Bも、前後方向に延びかつ所定ピッチで互いに平行に形成された複数のスロットを有する。予備フィーダ保管部9Bのスロットには、段取り作業が済んだ予備のフィーダ8や、使い終わったフィーダ8が配列されて一時的に保管される。基板搬送装置は、基板の搬入、位置決め、および搬出を行う。部品移載装置は、吸着ノズルなどの部品装着具を用いて部品供給部9Aから部品を採取し、基板に装着する。
【0018】
フィーダ8は、部品供給部9Aおよび予備フィーダ保管部9Bに着脱可能に取り付けられる。フィーダ8は、第1部品装着機93、第2部品装着機94、および第3部品装着機95で互換使用される。フィーダ8は、さらに、図示されない他の部品装着システムでも使用される。図1の左右方向は、複数のフィーダ8が配列される配列方向となり、図1の前後方向は、フィーダ8の着脱方向となる。
【0019】
フィーダ8は、個体識別情報が付与されて管理される。個体識別情報は、バーコードを印刷したラベルなどによって表示される。さらに、フィーダ8の図略の制御部は、個体識別情報を保持しており、通信を用いて個体識別情報を送信する機能を有する。フィーダ8は、キャリアテープが巻回されたリールが取り換え可能に装填される。キャリアテープは、長さ方向に並んで設けられたキャビティ部にそれぞれ部品を収納して保持している。リールに保持されている部品の種類の情報は、バーコードを印刷したラベルがリールに貼付されて表示される。なお、個体識別情報や部品の種類の情報は、上記以外の表示箇所および表示方法によって付与されてもよい。
【0020】
部品装着システム9には、フィーダ保管装置96、ライン管理装置97、および自動交換装置1が設けられている。フィーダ保管装置96は、半田印刷機91の左側に隣接しつつ、部品装着機(93、94、95)の部品供給部9Aと同じ高さに配置される。フィーダ保管装置96は、部品供給部9Aと同様に、前後方向に延びかつ所定ピッチで互いに平行に形成された複数のスロットを有する。フィーダ保管装置96のスロットには、段取り作業が済んだフィーダ8や、使い終わったフィーダ8が取り付けられて保管される。ライン管理装置97は、フィーダ保管装置96の左側に隣接して配置される。
【0021】
自動交換装置1は、フィーダ8を自動で交換する。詳細には、自動交換装置1は、部品装着機(93、94、95)の部品供給部9Aと、予備フィーダ保管部9Bとの間でフィーダ8を交換する。また、自動交換装置1は、部品装着機(93、94、95)とフィーダ保管装置96との間を移動し、フィーダ8を搬送して交換する。
【0022】
図1に示されるように、自動交換装置1は、配列方向移動部2、配列方向駆動装置20、および交換部3などで構成される。配列方向移動部2は、部品装着機(93、94、95)に対して配列方向に移動可能に設けられる。配列方向移動部2は、後側が開いた縦長の箱形状の部材である。配列方向駆動装置20は、配列方向移動部2を配列方向に移動させる。配列方向駆動装置20は、移動しない側に設けられる軌道部、移動する側に設けられて軌道部に移動可能に係合する係合部、および移動用の動力を発生する駆動源などで構成される。
【0023】
軌道部に相当する中段レール21および下段レール22は、複数の対基板作業機の機台99の前面、およびフィーダ保管装置96の前面にそれぞれ設けられる。中段レール21および下段レール22は、配列方向に延在する。中段レール21の高さ位置は、部品供給部9Aと予備フィーダ保管部9Bの中間に統一されている。下段レール22の高さ位置は、予備フィーダ保管部9Bの下側に統一されている。これにより、複数の中段レール21および複数の下段レール22は、フィーダ保管装置96から第3部品装着機95まで延在して互いに平行する2条の軌道部を形成する。
【0024】
係合部に相当する中段走行部23および下段走行部24は、配列方向移動部2の後側の左右にそれぞれ配置される。中段走行部23は、中段レール21に走行可能に係合し、下段走行部24は、下段レール22に走行可能に係合する。中段走行部23は、さらに、走行用の動力を発生する駆動源を含む。これにより、配列方向移動部2は、中段レール21および下段レール22に装架され、配列方向に走行して移動する。
【0025】
さらに、配列方向移動部2は、中段走行部23と下段走行部24の間の高さ位置であって、フィーダ8の交換を阻害しない高さ位置に非接触受電部25を備える。非接触受電部25は、複数の対基板作業機の対応する高さに設けられた非接触送電部から非接触で電力を受電する。これにより、配列方向駆動装置20や交換部3などへの電源供給が行われる。非接触受電部25と非接触送電部の結合方式は、電磁結合方式や静電結合方式などが適宜採用される。
【0026】
配列方向移動部2は、昇降駆動部26および交換部3を箱形状の内部に有する。昇降駆動部26は、部品供給部9Aの高さから予備フィーダ保管部9Bの高さまで、交換部3を昇降駆動する。昇降駆動部26として、ボールねじ送り機構を例示でき、これに限定されない。交換部3は、図略のフィーダ把持部を後側に備え、フィーダ8の取り付け、取り外し、および交換を自動で行う。
【0027】
2.部品装着システム9の制御の構成
次に、部品装着システム9の制御の構成について説明する。図2に示されるように、ライン管理装置97は、メモリ57、有線通信機能、および無線通信機能を有するコンピュータ装置を用いて構成される。ライン管理装置97は、複数の対基板作業機の図略の制御部と有線通信を用いて接続される。また、ライン管理装置97は、自動交換装置1の図略の制御部と無線通信を用いて接続される。
【0028】
また、ライン管理装置97は、オペレータによって操作されるバーコードリーダ58を有する。バーコードリーダ58は、フィーダ8に表示されたバーコードを読み取り、フィーダ8の個体識別情報を取得する。また、バーコードリーダ58は、リールに表示されたバーコードを読み取り、部品の種類の情報を取得する。バーコードリーダ58によって取得された情報は、メモリ57に記憶される。なお、フィーダ8の個体識別情報および部品の種類の情報の表示方法がバーコードと相違する場合には、表示方法に対応してバーコードリーダ58以外の装置が用いられる。
【0029】
ライン管理装置97は、基板製品の種類ごとに異なる対基板作業の作業内容を記述したジョブデータを管理する。ライン管理装置97は、生産計画に基づいて、複数の対基板作業機にそれぞれのジョブデータを送出する。これにより、対基板作業機のそれぞれは、ジョブデータにしたがって対基板作業を実施する。さらに、ライン管理装置97は、複数の対基板作業機の動作状況を監視する。
【0030】
また、ライン管理装置97は、部品装着機(93、94、95)の装着作業が進行してフィーダ8で部品切れが発生したときに、自動交換装置1に交換指令を発する。自動交換装置1は、交換指令にしたがって、まず部品切れになったフィーダ8を部品供給部9Aから取り外す。これにより、部品供給部9Aには、空きスロットが生じる。自動交換装置1は、次に、部品切れになった同じ種類の部品を保持している別のフィーダ8を予備フィーダ保管部9Bまたはフィーダ保管装置96から移送して、部品供給部9Aの空きスロットに取り付ける。
【0031】
さらに、ライン管理装置97は、生産する基板製品の種類を変更するときに、自動交換装置1に段取り替え指令を発する。自動交換装置1は、段取り替え指令にしたがって、部品装着機(93、94、95)のフィーダ8の自動交換作業を実施する。多くの段取り替え指令では、複数の部品装着機(93、94、95)の複数のフィーダ8が自動交換される。
【0032】
なお、ライン管理装置97は、交換指令や段取り替え指令に先立ち、生産計画に基づいて必要となる部品の種類を指定し、部品装着機(93、94、95)の機外においてリールをフィーダ8に装填する段取り作業を要請する。オペレータは、要請に応じて予め段取り作業を行い、段取り作業の済んだフィーダ8を予備フィーダ保管部9Bまたはフィーダ保管装置96にセットしておく。これにより、部品切れが発生したときの部品装着機(93、94、95)の作業中断時間が短縮される。
【0033】
部品装着機(93、94、95)の制御部は、部品供給部9Aや予備フィーダ保管部9Bに取り付けられているフィーダ8の制御部と通信して、フィーダ8の個体識別情報を取得する。また、部品装着機(93、94、95)の制御部は、フィーダ8との通信の可否に基づいて、フィーダ8が取り付けられたことおよび取り外されて管理から外れたこと(着脱情報)を認識する。取得されたフィーダ8の個体識別情報、および認識された着脱情報は、ライン管理装置97に送信されて共有される。
【0034】
また、自動交換装置1の制御部は、交換部3およびフィーダ保管装置96が保持しているフィーダ8の制御部と通信して、フィーダ8の個体識別情報を取得する。また、自動交換装置1の制御部は、フィーダ8との通信の可否に基づいて、フィーダ8が保持されたことおよび取り外されて管理から外れたこと(着脱情報)を認識する。取得されたフィーダ8の個体識別情報、および認識された着脱情報は、ライン管理装置97に送信されて共有される。
【0035】
部品装着機(93、94、95)の制御部は、取り付けられているフィーダ8を管理する。フィーダ8が部品装着機(93、94、95)に取り付けられた状態で、リールの交換作業は不可能である。また、自動交換装置1の制御部は、交換部3またはフィーダ保管装置96に保持されたフィーダ8を管理する。フィーダ8が交換部3またはフィーダ保管装置96に保持された状態で、リールの交換作業は不可能である。したがって、オペレータは、リールの交換作業を行う場合に、部品装着機(93、94、95)またはフィーダ保管装置96から手動でフィーダ8を取り外す必要がある。
【0036】
3.実施形態の部品種類管理装置5の構成
次に、実施形態の部品種類管理装置5の構成について説明する。図2に示されるように、部品種類管理装置5は、ライン管理装置97のソフトウェアによって実現される。部品種類管理装置5は、対応付け登録部51、対応付け破棄部52、取り外し判別部53、および対応付け維持部54で構成される。
【0037】
対応付け登録部51は、フィーダ8の個体識別情報と、フィーダ8に保持された部品の種類の情報とを対応付けた対応付けデータ55をメモリ57に登録する。フィーダ8の個体と部品の種類の対応付けは、バーコードリーダ58の操作によって行われる。つまり、オペレータがバーコードリーダ58を操作して、フィーダ8の個体識別情報およびリールに表示された部品の種類の情報を読み取らせることにより、対応付けデータ55が作成される。この後、オペレータは、当該のリールを当該のフィーダ8に装填する。
【0038】
対応付け破棄部52は、フィーダ8が部品装着機(93、94、95)から取り外された後に所定条件が成立すると、対応付けデータ55を破棄する。同様に、対応付け破棄部52は、フィーダ8がフィーダ保管装置96から取り外された後に所定条件が成立すると、対応付けデータ55を破棄する。所定条件は、フィーダ8に保持された部品の種類(リール)が変更される可能性の有無を判定するものである。本実施形態において、所定条件は、所定時間T0(図3参照)の経過と定められている。
【0039】
つまり、フィーダ8が部品装着機(93、94、95)やフィーダ保管装置96から取り外された後の経過時間TX(図3参照)が所定時間T0未満の間は、リール交換作業の完了が難しく、部品の種類が変更される可能性は無い。また、経過時間TXが所定時間T0以上になると、リール交換作業の可能性が生じて、部品の種類が変更される可能性が有る。所定時間T0は、実用的には数十秒程度に定められる。なお、所定条件は、所定時間T0の経過以外の条件であってもよい。例えば、フィーダ8が部品装着システム9から所定距離を超えて離れたときに、所定条件が成立したと判定されてもよい。
【0040】
取り外し判別部53は、フィーダ8が自動交換装置1によって取り外されたか否かを判別する。詳述すると、取り外し判別部53は、部品装着機(93、94、95)の制御部からフィーダ8が取り外された着脱情報を取得し、さらに、取り外されたフィーダ8の個体識別情報を取得する。取り外し判別部53は、次に、自動交換装置1の制御部から、交換部3がフィーダ8を保持したか否かの着脱情報、および保持したフィーダ8の個体識別情報を取得する。
【0041】
交換部3がフィーダ8を保持していない場合に、取り外し判別部53は、フィーダ8が自動交換装置1によって取り外されていない、換言すると、フィーダ8が手動で取り外された、と判別する。さらに、交換部3が保持しているフィーダ8の個体識別情報と部品装着機(93、94、95)から取り外されたフィーダ8の個体識別情報とが相違する場合に、取り外し判別部53は、手動による取り外しと判別する。さらに、取り外し判別部53は、フィーダ保管装置96から手動でフィーダ8が取り外された着脱情報を、自動交換装置1の制御部から取得する。
【0042】
対応付け維持部54は、フィーダ8が自動交換装置1によって取り外されたと判別された場合、所定条件が成立する以前に対応付け破棄部52の機能を無効化させて対応付けデータ55を維持する。例えば、対応付け維持部54は、対応付け破棄部52を停止させてもよいし、対応付け破棄部52の機能が無視されるように制御してもよい。また、対応付け維持部54は、フィーダ8が自動交換装置1に管理されている間は対応付け破棄部52の機能の無効化を継続する。さらに、対応付け維持部54は、フィーダ8が自動交換装置1の管理から外れたとき、換言すると、フィーダ保管装置96から手動でフィーダ8が取り外されたときに対応付け破棄部52の機能を復帰させる。
【0043】
4.実施形態の部品種類管理装置5の動作および作用
次に、実施形態の部品種類管理装置5の動作および作用ついて説明する。図3に示される動作フローは、部品装着システム9が基板製品の生産に着手する時期や、基板製品の種類を変更する時期に開始され、生産中に繰り返して実行される。この動作フローは、部品種類管理装置5および部品装着機(93、94、95)の制御部の共同制御によって進められ、一部はオペレータの段取り作業により進められる。
【0044】
図3のステップS1で、オペレータは、生産する基板製品に必要となる部品の種類を段取り作業する。すなわち、オペレータは、必要となるリールをフィーダ8に装填する。このとき、前述したバーコードリーダ58の操作により、フィーダ8の個体識別情報と、フィーダ8に保持された部品の種類の情報とが対応付けられて、対応付けデータ55が作成される。対応付け登録部51は、対応付けデータ55をメモリ57に登録する。必要となる部品の全種類のリールがフィーダ8に装填され、全部の対応付けデータ55が登録されると、動作フローはステップS2に進められる。
【0045】
ステップS2で、オペレータは、段取りしたフィーダ8を部品装着機(93、94、95)に取り付ける。これにより、段取り替え作業が終了する。次のステップS3で、部品装着機(93、94、95)は、装着作業を開始する。この後のステップS4以降の動作フローは、装着作業と並行して進められる。装着作業の進行に伴い、ステップS4で、フィーダ8の交換の要否が判定される。換言すると、部品切れが発生したフィーダ8、あるいは部品の供給が不要となったフィーダ8の有無が判定される。
【0046】
フィーダ8の交換が必要な場合のステップS5で、自動交換装置1によるフィーダ8の自動交換が実施される。この後、自動交換装置1は、取り外したフィーダ8を管理する。このとき、取り外し判別部53は、フィーダ8が自動交換装置1によって取り外されたと判別できる。したがって、対応付け維持部54は、直ちに対応付け破棄部52の機能を無効化させる。これにより、取り外されたフィーダ8の対応付けデータ55は維持される。
【0047】
ステップS4でフィーダ8の交換が不要である場合、およびステップS5の終了後に、動作フローはステップS6で合流する。ステップS6で、取り外し判別部53は、手動によるフィーダ8の取り外しの有無を判別する。手動による取り外しは、部品供給部9A、予備フィーダ保管部9B、およびフィーダ保管装置96の3箇所で発生する可能性がある。手動による取り外しが行われた場合のステップS7で、対応付け破棄部52は、タイマをスタートさせて、取り外し後の経過時間TXの計時を開始する。
【0048】
ステップS6で手動による取り外しが行われていない場合、およびステップS7の終了後に、動作フローはステップS8で合流する。ステップS8で、対応付け破棄部52は、経過時間TXが所定時間T0に達したか否かを判定する。初回のステップS8で、経過時間TXは所定時間T0に達しておらず、動作フローの実行はステップS9に進められる。
【0049】
ステップS9で、対応付け破棄部52は、手動によるフィーダ8の取り付けの有無を判別する。手動による取り付けが行われていない場合、タイマが動作した状態で、動作フローの実行がステップS4に戻される。この後、ステップS4からステップS9までのループが繰り返して実行される。
【0050】
ループの繰り返しの中で、手動によるフィーダ8の取り付けが行われると、動作フローの実行はステップS9からステップS10に進められる。ステップS10で、対応付け破棄部52は、タイマをリセット停止させて、動作フローの実行をステップS4に戻す。これは、手動によるフィーダ8の取り外しが発生しても、所定時間T0以内の短時間で再取り付けが行われたため、対応付けデータ55が維持されたことを意味する。
【0051】
また、ループの繰り返しの中で、経過時間TXが所定時間T0に達すると、動作フローの実行はステップS8からステップS21に分岐される。ステップS21で、対応付け破棄部52は、取り外されたフィーダ8の対応付けデータ55を破棄する。次のステップS22で、対応付け破棄部52は、タイマをリセット停止させて、動作フローの実行をステップS1に戻す。これは、手動によるフィーダ8の取り外しの後に所定時間T0が経過して、部品の種類(リール)が交換された可能性があるため、対応付けデータ55が破棄されたことを意味する。
【0052】
なお、対応付けデータ55が破棄されたフィーダ8については、部品の種類(リール)が実際に交換されたか否かに関わらず、ステップS1で対応付け登録部51が対応付けデータ55を再登録した後に、ステップS2で再取り付けが行われることになる。また、手動により複数のフィーダ8が取り外される場合も有り得る。この場合には、取り外されたフィーダ8ごとに個別にタイマが設けられ、個別の経過時間TXを用いた対応付けデータ55の管理が行われる。
【0053】
実施形態の部品種類管理装置5において、取り外し判別部53は、フィーダ8が自動交換装置1によって取り外されたか否かを判別し、フィーダ8が自動で取り外された場合に、対応付け維持部54が機能して対応付けデータ55を維持する。このため、オペレータが対応付けデータ55を再登録する手間は不要であり、かつ、エラーの発生のおそれが無い。また、フィーダ8が手動で取り外された場合に、対応付け破棄部52が機能して、所定時間T0が経過すると対応付けデータ55を破棄する。このため、フィーダ8に保持された部品の種類(リール)が変更される可能性に対し、対応付けデータ55を維持し続けてエラーとなるおそれが生じない。したがって、部品種類管理装置5は、フィーダ8の自動交換および手動交換の両方に対して適正に機能し、フィーダ8に保持された部品の種類を適正に管理できる。
【0054】
5.実施形態の応用および変形
なお、部品種類管理装置5は、ライン管理装置97以外のコンピュータ装置を用いて実現されてもよい。また、実施形態で説明した予備フィーダ保管部9Bおよびフィーダ保管装置96の一方が省略されてもよい。また、部品装着システム9は、手動によるフィーダ8の交換作業のみが可能な旧型の部品装着機が併用されていてもよい。
【0055】
さらに、部品種類管理装置5および自動交換装置1は、複数の部品装着システム9に対して共通に設けられてもよい。例えば、自動交換装置1は、フィーダ保管装置96から複数の部品装着システム9に向かう軌道と、フィーダ8を載置して軌道を走行する無人搬送車とを備える構成を採用することができる。そして、部品種類管理装置5は、複数の部品装着システム9で使用される全部のフィーダ8を管理対象とすることができる。本実施形態は、その他にも様々な応用や変形が可能である。
【符号の説明】
【0056】
1:自動交換装置 2:配列方向移動部 3:交換部 5:部品種類管理装置 51:対応付け登録部 52:対応付け破棄部 53:取り外し判別部 54:対応付け維持部 55:対応付けデータ 58:バーコードリーダ 8:フィーダ 9:部品装着システム 93:第1部品装着機 94:第2部品装着機 95:第3部品装着機 96:フィーダ保管装置 97:ライン管理装置 9A:部品供給部 9B:予備フィーダ保管部 T0:所定時間 TX:経過時間
図1
図2
図3