(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024011483
(43)【公開日】2024-01-25
(54)【発明の名称】搬送システム
(51)【国際特許分類】
B61B 3/02 20060101AFI20240118BHJP
B65G 1/00 20060101ALI20240118BHJP
【FI】
B61B3/02 B
B61B3/02 C
B65G1/00 501C
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022113479
(22)【出願日】2022-07-14
(71)【出願人】
【識別番号】000003643
【氏名又は名称】株式会社ダイフク
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】弁理士法人 HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】山田 慶太
(72)【発明者】
【氏名】藤原 遥介
(72)【発明者】
【氏名】萬井 優太
(72)【発明者】
【氏名】戸羽 浩嘉
(72)【発明者】
【氏名】角間 政志
(72)【発明者】
【氏名】豊島 直哉
(72)【発明者】
【氏名】鯰江 一也
【テーマコード(参考)】
3F022
【Fターム(参考)】
3F022HH02
3F022JJ02
3F022JJ11
3F022KK11
3F022LL12
3F022MM11
(57)【要約】
【課題】効率よく搬送可能な搬送システムを実現する。
【解決手段】搬送システム(1)は、搬送対象物(30)を保持した状態で第1軌道(10)を走行する第1搬送車(11)と、載置部(25)に搬送対象物(30)を載置した状態で第2軌道(20)を走行する第2搬送車(21)と含み、第1搬送車(11)は、移載部(15)を用いて第2搬送車(21)の載置部(25)との間で搬送対象物(30)の授受を行うことができる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1軌道と、
所要の箇所との間で搬送対象物の授受を行う移載部を有し、前記搬送対象物を保持した状態で前記第1軌道を走行する第1搬送車と、
第2軌道と、
前記搬送対象物を載置するための載置部を有し、前記載置部に前記搬送対象物を載置した状態で前記第2軌道を走行する第2搬送車と、含み、
前記第1搬送車は、前記移載部を用いて、前記第2搬送車の前記載置部との間で前記搬送対象物の授受を行うことが可能である、搬送システム。
【請求項2】
前記第1軌道は、周回経路であり、
前記第2軌道は、周回経路を含み、
前記第1搬送車と前記第2搬送車とは、互いに逆方向に進行する、請求項1に記載の搬送システム。
【請求項3】
前記第1搬送車は、前記第1軌道が天井近傍に配置された天井搬送車である、請求項1に記載の搬送システム。
【請求項4】
前記第2軌道は、前記第1軌道よりも鉛直方向で下側に配置されている、請求項3に記載の搬送システム。
【請求項5】
前記第1搬送車で搬送中の搬送対象物の搬送先である前記所要の箇所に、他の搬送対象物が載置されている場合、前記第1搬送車は、一時的に、前記第2搬送車に当該搬送対象物を移載する、請求項1に記載の搬送システム。
【請求項6】
前記第2軌道は、前記第1軌道の鉛直方向の真下の位置からずれた位置に配置されている、請求項3に記載の搬送システム。
【請求項7】
前記移載部は、前記搬送対象物を水平方向に移動可能なスライド機構を有する、請求項6に記載の搬送システム。
【請求項8】
複数の処理装置を含む搬送エリアが複数存在し、
前記第1軌道が周回する前記搬送エリアの組合せと、前記第2軌道が周回する前記搬送エリアの組合せとが異なる、請求項2に記載の搬送システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、搬送対象物を搬送車で搬送する搬送システムに関する。
【背景技術】
【0002】
天井に設けられた軌道に沿って搬送車を走行させて搬送対象物を搬送するシステムが知られている。例えば、特許文献1には、下段軌道を一方向に走行する第1搬送車と、上段軌道を一方向に走行する第2搬送車とを備える搬送車システムが記載されている。特許文献1に記載の搬送車システムでは、第1授受部および第2授受部を介して、第1搬送車と第2搬送車との間で搬送対象物の受け渡しが可能となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述した従来技術は、第1授受部または第2授受部を介して第1搬送車と第2搬送車との間で搬送対象物の受け渡しを行っており、搬送の効率化という点において改善の余地がある。
【0005】
本発明の一態様は、上記の課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、効率よく搬送可能な搬送システムを実現することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を解決するために、本発明の一態様に係る搬送システムは、第1軌道と、所要の箇所との間で搬送対象物の授受を行う移載部を有し、前記搬送対象物を保持した状態で前記第1軌道を走行する第1搬送車と、第2軌道と、前記搬送対象物を載置するための載置部を有し、前記載置部に前記搬送対象物を載置した状態で前記第2軌道を走行する第2搬送車と、含み、前記第1搬送車は、前記移載部を用いて、前記第2搬送車の前記載置部との間で前記搬送対象物の授受を行うことが可能である。
【発明の効果】
【0007】
本発明の一態様によれば、効率よく搬送対象物を所望の位置へ搬送することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本発明の実施形態1に係る搬送システムにおける軌道のレイアウトを示す図である。
【
図3】
図2において、搬送対象物を第1搬送車から第2搬送車21に移載する状態を示す図である。
【
図4】
図2において、搬送対象物を第2搬送車に移載した状態を示す図である。
【
図5】
図2において、搬送対象物を装置ポートに移載する状態を示す図である。
【
図6】本発明の実施形態2に係る搬送システムにおける軌道のレイアウトを示す図である。
【
図8】
図7において、搬送対象物を第1搬送車から第2搬送車に移載する状態を示す図である。
【
図9】搬送システムの効果を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
〔実施形態1〕
〔全体概要〕
以下、本発明の一実施形態について、詳細に説明する。まず、
図1を参照して、搬送システム1の全体概要について説明する。
図1は、搬送システム1における搬送車の軌道のレイアウトを示す図である。
図1では、搬送システム1を鉛直方向の上側から見た状態を示している。なお、
図1では、レイアウトの把握が容易となるよう、第1軌道10と第2軌道20との鉛直方向の位置がずれているように記載しているが、本実施形態では、第1軌道10の鉛直方向の真下に第2軌道20が配置されている。
【0010】
搬送システム1は、同一または同一に近い処理を行う複数の処理装置50が配置された搬送エリア(本実施形態ではベイと呼ぶ)間において、搬送対象物30を、軌道(第1軌道10、第2軌道20)に沿って走行可能な搬送車(第1搬送車11、第2搬送車21)を用いて搬送するものである。
【0011】
図1に示す例では、上記搬送エリアとして、第1ベイ101から第5ベイ105までの5つのベイが示されている。第1軌道10および第2軌道20は、第1ベイ101から第5ベイ105までの間で搬送対象物30を搬送可能なように配置されている。第1軌道10に沿って第1搬送車11が走行し、第2軌道20に沿って第2搬送車21が走行することにより、搬送対象物30が搬送される。
【0012】
第1ベイ101から第5ベイ105までの各ベイには、それぞれ複数の処理装置50が含まれる。また、処理装置50にはそれぞれ装置ポート51が1または複数設けられており、処理装置50で処理される搬送対象物30が当該処理装置50の装置ポート51に載置される。
【0013】
第1軌道10は、天井に沿って配置されており、第2軌道20は、第1軌道10よりも鉛直方向で下側に配置されている。よって、第1軌道10に沿って走行する第1搬送車11は、天井搬送車である。また、第1軌道10および第2軌道20は、周回経路と、この周回経路から分岐して各ベイ(第1ベイ101~第5ベイ105)内の処理装置50を回って、上記周回経路に戻る経路とを含む。周回経路であることにより、複数の第1搬送車11、および第2搬送車21を配置することができる。
【0014】
また、第1搬送車11は、第1軌道10に沿って一方向に走行するものであり、第2搬送車21は、第2軌道20に沿って一方向に走行する。そして、第1搬送車11と第2搬送車21とは走行方向が逆方向となっている。すなわち、例えば、
図1に示す例で説明すれば、第1搬送車11が装置ポート51X、装置ポート51Yの順で走行する場合、第2搬送車21は、装置ポート51Y、装置ポート51Xの順で走行する。
【0015】
第1搬送車11と第2搬送車21とが逆方向に走行することにより、第2搬送車21は、搬送対象物30を第1搬送車11が搬送した方向と逆方向に搬送することが可能となり、搬送対象物30の搬送効率を高めることができる。
【0016】
また、第1搬送車11は、搬送対象物30を把持部152(後述する)で把持した状態で、搬送対象物30を搬送する。第2搬送車21は、載置部25を備え、搬送対象物30を載置部25に載置して、搬送対象物30を搬送する。
【0017】
また、搬送システム1にはコントローラ80が含まれる。コントローラ80は、搬送システム1全体における各種制御処理を実行する部分であり、例えば、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)等からなる電子制御ユニットである。本実施形態では、コントローラ80は、第1搬送車11の走行制御、第2搬送車21の走行制御、第1搬送車11から第2搬送車21への搬送対象物30の移載、第1搬送車11から装置ポート51への搬送対象物30の移載、装置ポート51から第1搬送車11への搬送対象物30の移載等の制御を行う。
【0018】
例えば、コントローラ80は、搬送対象物30の引き当てがあったときに、適切な第1搬送車11を制御して、適切な位置に走行させる。
【0019】
また、コントローラ80は、第1搬送車11によって搬送されている搬送対象物30を載置する装置ポート51を通過させてしまった場合、装置ポート51を通過した先で、当該搬送対象物30を第1搬送車11から第2搬送車21に移載させる。そして、当該搬送対象物30を受け取った第2搬送車21を、第1搬送車11とは逆方向に走行させ、所望の装置ポート51を通過させた後、搬送対象物30を別の第1搬送車11に移載させる。そして、当該搬送対象物30を受け取った第1搬送車11を、第2搬送車21とは逆方向に走行させ、搬送対象物30を所望の装置ポート51に移載させる。
【0020】
また、コントローラ80は、第1搬送車11で搬送中の搬送対象物30の搬送先である装置ポート51に、他の搬送対象物30が載置されている場合、一時的に、第1搬送車11から第2搬送車21に当該搬送対象物30を移載させてもよい。これにより、第2搬送車21に装置ポート51のバッファの役割を果たさせることができる。
【0021】
〔第1搬送車11、第2搬送車21〕
図2は、
図1のA-A線から見た正面図である。
図2に示すように、第1搬送車11は、移載部15含む。移載部15には、昇降部151および把持部152が含まれる。移載部15は、搬送対象物30を把持部152で把持し、昇降部151で昇降させることにより、搬送対象物30を第2搬送車21または装置ポート51に移載することができる。すなわち、第1搬送車11は、搬送対象物30を直接、第2搬送車21に移載することもできるし、装置ポート51に移載することもできる。すなわち、第1搬送車11は、所要の箇所(例えば、装置ポート51)との間で搬送対象物30の授受を行う移載部15を備える。また、第1搬送車11は、移載部15を用いて、第2搬送車21の載置部25との間で搬送対象物30の授受を行うことが可能である。
【0022】
第1搬送車11と第2搬送車21との間で搬送対象物30の授受を行うときは、第1搬送車11および第2搬送車21は停止している。
【0023】
第2搬送車21は、載置部25を備える。第2搬送車21は、第1搬送車11のように移載部15等が設けられていない。よって、第2搬送車21は、第1搬送車11よりも軽量化することが可能であり、第1搬送車11よりも搬送速度を早めることができる。
【0024】
図3および
図4は、
図2に示す例において、搬送対象物30を第2搬送車21に移載する状態を示した図である。第1搬送車11の真下に第2搬送車21を配置した状態で、
図3に示すように、第1搬送車11の把持部152に把持された搬送対象物30は、昇降部151により、鉛直方向の下方に降下させられ、第2搬送車21の載置部25に載置される。その後、
図4に示すように、把持部152は第1搬送車11に戻り、搬送対象物30のみが第2搬送車21に載置された状態となる。この状態で、第2搬送車21は、搬送対象物30を搬送する。
【0025】
図5は、搬送対象物30を装置ポート51に載置する状態を示した図である。搬送対象物30を装置ポート51に載置する場合、第1搬送車11の把持部152に把持された搬送対象物30は、昇降部151により、鉛直方向の下方に降下させられ、装置ポート51に載置される。なお、上述したように、移載部15は第1搬送車11のみに設けられており、第2搬送車21には設けられていない。よって、第2搬送車21に載置された搬送対象物30を、直接、装置ポート51に移載することはできない。
【0026】
以上のように、搬送システム1は、第1軌道10と、所要の箇所との間で搬送対象物30の授受を行う移載部15を有し、搬送対象物30を保持した状態で第1軌道10を走行する第1搬送車11と、第2軌道20と、搬送対象物30を載置するための載置部25を有し、載置部25に搬送対象物30を載置した状態で第2軌道20を走行する第2搬送車21と含み、第1搬送車11は、移載部15を用いて、第2搬送車21の載置部25との間で搬送対象物30の授受を行うことが可能である。
【0027】
これにより、直接、第1搬送車11と第2搬送車21との間で搬送対象物30の受け渡しを行うことが可能となり、搬送対象物30の搬送の効率を高めることができる。
【0028】
〔実施形態2〕
本発明の他の実施形態について、以下に説明する。なお、説明の便宜上、上記実施形態にて説明した部材と同じ機能を有する部材については、同じ符号を付記し、その説明を繰り返さない。
【0029】
〔全体概要〕
まず、
図6を参照して、本実施形態に係る搬送システム1’の全体概要について説明する。
図6は、搬送システム1’における搬送車の軌道のレイアウトを示す図である。
図6は、搬送システム1’を鉛直方向の上側から見た図である。搬送システム1’の第1軌道10は、上述した実施形態に1における軌道と同様である。搬送システム1’では、搬送システム1の第2軌道20に代えて、第2軌道20Aおよび第2軌道20Bが配置されている。第2軌道20Aは、第1ベイ101と第4ベイ104とを結ぶ周回経路となっている。また、第2軌道20Bは、第2ベイ102と第3ベイ103と結ぶ周回経路となっている。
【0030】
また、第2軌道20Aおよび第2軌道20Bは、第1軌道10の鉛直方向の真下ではなく、鉛直方向の真下からずれた位置に配置されている。
【0031】
すなわち、本実施形態では、複数の処理装置50を含むベイ(第1ベイ101、第2ベイ102、第3ベイ103、第4ベイ104、第5ベイ105)が複数存在し、第1軌道10が周回するベイの組合せ(第1ベイ101、第2ベイ102、第3ベイ103、第4ベイ104、第5ベイ105)と、第2軌道20Aおよび第2軌道20Bが周回するベイの組合せ(第2軌道20Aは第1ベイ101および第4ベイ104、第2軌道20Bは第2ベイ102および第3ベイ103)とが異なる。
【0032】
例えば、第1ベイ101と第4ベイ104との間の搬送が多い場合、第2軌道20Aを第1ベイと第4ベイの間だけを周回する経路とすることにより、第1軌道10を走行する場合と比較して効率よく搬送を行うことができる。また、第1軌道10を走行する第1搬送車11の渋滞を緩和することができる。
【0033】
同様に、第2ベイ102と第3ベイ103との間の搬送が多い場合、第2軌道20Bを第2ベイ102と第3ベイ103との間だけを周回する経路とすることにより、第1軌道10を走行する場合と比較して効率よく搬送を行うことができる。また、第1軌道10を走行する第1搬送車11の渋滞を緩和することができる。
【0034】
〔第1搬送車11’、第2搬送車21〕
図7は、
図6のB-Bから見た正面図である。
図7に示すように、第1搬送車11’は、移載部15およびスライド機構16含む。移載部15には、昇降部151および把持部152が含まれる。スライド機構16は、移載部15を水平方向にスライド(移動)させる機構である。第1搬送車11’は、スライド機構16を備えることにより、搬送対象物30を、鉛直方向の真下に配置されていない第2搬送車21に移載することができる。より詳細に、
図8を参照して説明する。
【0035】
図8は、
図7に示す例において、搬送対象物30を第2搬送車21に移載する状態を示した図である。
図8に示すように、第1搬送車11’の把持部152に把持された搬送対象物30は、スライド機構16により、第2搬送車21の載置部25の真上に移動する。そして、昇降部151により、鉛直方向の下方に降下させられ、第2搬送車21の載置部25に載置される。これにより、第2搬送車21は、搬送対象物30を搬送することができる。
【0036】
〔実施形態1、2における作用効果〕
上述したように、本実施形態に係る搬送システム1、1’では、第1搬送車11、11’から第2搬送車21に搬送対象物30を移載することが可能である。また、第1搬送車11、11’と第2搬送車21とは逆方向に移動する。これにより、効率よく搬送対象物30を装置ポート51に載置することができる。
【0037】
図9を参照して説明する。
図9は、搬送システム1、1’の効果を説明するための図である。
図9は、第1搬送車11A、11B、および第2搬送車21の進行方向の横から見た図であり、第1搬送車11A、11B、第2搬送車21、および装置ポート51(51A、51B、51C)の位置関係を示す図である。
【0038】
図9の901に示すように、処理装置50の3つの装置ポート51A、51B、51Cの何れかに搬送対象物30Cを載置したい場合で、装置ポート51A、および装置ポート51Bには既に搬送対象物30が載置されている状態とする。
【0039】
この場合、第1搬送車11Aは、搬送対象物30Cを装置ポート51Cに載置する必要があるが、装置ポート51Cを通り過ぎていた場合、通常であれば、第1軌道10の周回経路を1周して、再度、装置ポート51Cまで到達する必要がある。
【0040】
しかし、本実施形態に係る搬送システム1、1’では、第1搬送車11Aと逆方向に走行する第2搬送車21が存在するので、第1搬送車11Aは、装置ポート51Cを通り過ぎた先で第2搬送車21に搬送対象物30Cを移載することができる(
図9の902)。そして、搬送対象物30Cが移載された第2搬送車21は、第1搬送車11Aと逆方向に走行し(
図9の903)、装置ポート51Cを通り過ぎた後、第1搬送車11Aとは異なる第1搬送車11Bによって、第1搬送車11Bに移載される(
図9の904)。搬送対象物30Cを受け取った第1搬送車11Bは、装置ポート51C方向に走行し(
図9の905)、装置ポート51Cまで到達したときに(
図9の906)、装置ポート51Cに搬送対象物30Cを載置する(
図9の907)。
【0041】
このように、本実施形態に係る搬送システム1、1’によれば、所望の載置箇所を通り過ぎた場合であっても、そのまま第1軌道10を周回することなく、搬送対象物30を効率よく載置箇所に載置することができる。
【0042】
また、例えば、所望の装置ポート51Cに搬送対象物30が載置されており、すぐに搬送対象物30Cの載置ができない場合、一旦、第2搬送車21に搬送対象物30Cを載置して、装置ポート51Cが空くのを待つということもできる。換言すれば、第2搬送車21は、装置ポート51のバッファの役割を果たすということできる。特に、第2軌道20A、第2軌道20Bのように、第1軌道10より周回経路が短い場合、第2搬送車21に載置された搬送対象物30は、短時間で所望の装置ポート51に戻ってくることができるので有用である。
【0043】
〔まとめ〕
本発明の態様1に係る搬送システムは、第1軌道と、所要の箇所との間で搬送対象物の授受を行う移載部を有し、前記搬送対象物を保持した状態で前記第1軌道を走行する第1搬送車と、第2軌道と、前記搬送対象物を載置するための載置部を有し、前記載置部に前記搬送対象物を載置した状態で前記第2軌道を走行する第2搬送車と、含み、前記第1搬送車は、前記移載部を用いて、前記第2搬送車の前記載置部との間で前記搬送対象物の授受を行うことが可能である。
【0044】
前記の構成によれば、第1搬送車と第2搬送車との間で直接、搬送対象物の授受が可能となるので、搬送対象物の搬送を効率的に行うことができる。
【0045】
本発明の態様2に係る搬送システムは、前記態様1において、前記第1軌道は、周回経路であり、前記第2軌道は、周回経路を含み、前記第1搬送車と前記第2搬送車とは、互いに逆方向に進行するものであってもよい。
【0046】
前記の構成によれば、第1搬送車と第2搬送車とが逆方向に走行するので、第1搬送車と第2搬送車との間で搬送対象物の授受を行うことにより、搬送対象物を逆方向に搬送することができ、搬送効率を高めることができる。
【0047】
本発明の態様3に係る搬送システムは、前記態様1または2において、前記第1搬送車は、前記第1軌道が天井近傍に配置された天井搬送車であってもよい。
【0048】
前記の構成によれば、第1搬送車を天井搬送車とすることができる。
【0049】
本発明の態様4に係る搬送システムは、前記態様3において、前記第2軌道は、前記第1軌道よりも鉛直方向で下側に配置されていてもよい。
【0050】
前記の構成によれば、第1搬送車と第2搬送車との間で容易に搬送対象物の授受を行うことができる。
【0051】
本発明の態様5に係る搬送システムは、前記態様1~4のいずれかにおいて、前記第1搬送車で搬送中の搬送対象物の搬送先である前記所要の箇所に、他の搬送対象物が載置されている場合、前記第1搬送車は、一時的に、前記第2搬送車に当該搬送対象物を移載するものであってもよい。
【0052】
前記の構成によれば、第1搬送車が、搬送対象物を所要の箇所に降ろすことができないまま、待機することより搬送効率が低下することを抑制できる。よって、第1搬送車を効率的に運用しつつ、搬送対象物を所要の箇所へ搬送することができる。
【0053】
本発明の態様6に係る搬送システムは、前記態様1~5のいずれかにおいて、前記第2軌道は、前記第1軌道の鉛直方向の真下の位置からずれた位置に配置されているものであってもよい。
【0054】
前記の構成によれば、第1軌道と第2軌道とのレイアウトを自由にでき、搬送空間を効率的に利用することが可能となる。また、第2軌道が、第1軌道の真下からずれた位置にあるので、第1軌道を走行する第1搬送車から直接、所要の箇所(例えば、装置ポート)へ搬送対象物を容易に移載することができる。
【0055】
本発明の態様7に係る搬送システムは、前記態様1~6のいずれかにおいて、前記移載部は、前記搬送対象物を水平方向に移動可能なスライド機構を有するものであってもよい。
【0056】
前記の構成によれば、第1搬送車から搬送対象物を移載するときに、真下以外の場所にも移載することが可能となる。
【0057】
本発明の態様8に係る搬送システムは、前記態様1~7のいずれかにおいて、複数の処理装置を含む搬送エリアが複数存在し、前記第1軌道が周回する前記搬送エリアの組合せと、前記第2軌道が周回する前記搬送エリアの組合せとが異なるものであってもよい。
【0058】
前記の構成によれば、第1軌道と第2軌道とを利用することにより、効率的に搬送対象物を搬送することが可能となる。
【0059】
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。さらに、各実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を組み合わせることにより、新しい技術的特徴を形成することができる。
【符号の説明】
【0060】
1 搬送システム
10 第1軌道
11 第1搬送車
15 移載部
151 昇降部
152 把持部
16 スライド機構
20 第2軌道
21 第2搬送車
25 載置部
30 搬送対象物
50 処理装置
51 装置ポート
80 コントローラ
101 第1ベイ
102 第2ベイ
103 第3ベイ
104 第4ベイ
105 第5ベイ