(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024114846
(43)【公開日】2024-08-23
(54)【発明の名称】物体検知装置および物体検知プログラム
(51)【国際特許分類】
G01S 13/931 20200101AFI20240816BHJP
G08G 1/16 20060101ALI20240816BHJP
【FI】
G01S13/931
G08G1/16 C
【審査請求】有
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024103030
(22)【出願日】2024-06-26
(62)【分割の表示】P 2021139031の分割
【原出願日】2021-08-27
(71)【出願人】
【識別番号】000004260
【氏名又は名称】株式会社デンソー
(71)【出願人】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001128
【氏名又は名称】弁理士法人ゆうあい特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 陽平
(72)【発明者】
【氏名】古賀 友一朗
(72)【発明者】
【氏名】大林 幹生
(72)【発明者】
【氏名】中川 拓也
(57)【要約】
【課題】物体の角を検知できる物体検知装置および物体検知プログラムを提供する。
【解決手段】物体検知プログラムを実行する物体検知装置40は、物体が検知されてから現時点までにおいて、車両に対する物体の反射点の相対角度の頻度が最も多い相対角度を算出し、物体が検知されてから現時点までにおける頻度が最も多い相対角度との差の絶対値が所定角度となる第1評価角度よび第1評価角度よりも小さい第2評価角度を算出し、相対角度が第1評価角度以上となるときの頻度が第1閾値以上であるときの反射点が物体の角であると判定し、相対角度が第2評価角度以下となるときの頻度が第2閾値以上であるときの反射点が物体の角であると判定する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両(10)の側方に探査波を送信して物体(80)で反射した探査波を受信することにより前記物体を検知する測距センサ(26)を備える前記車両に用いられる物体検知装置であって、
前記物体が検知されてから現時点までにおいて、前記車両に対する前記物体の反射点の相対角度(θcr)の頻度が最も多い前記相対角度を算出する頻度算出部(S206)と、
前記物体が検知されてから現時点までにおける頻度が最も多い前記相対角度との差の絶対値が所定角度Δθとなる第1評価角度(θe1)および前記第1評価角度よりも小さい第2評価角度(θe2)を算出する評価算出部(S208)と、
前記相対角度が前記第1評価角度以上となるときの頻度が第1閾値以上であるときの前記反射点が前記物体の角であると判定し、前記相対角度が前記第2評価角度以下となるときの頻度が第2閾値以上であるときの前記反射点が前記物体の角であると判定する判定部(S212、S214)と、
を備える物体検知装置。
【請求項2】
車両(10)の側方に探査波を送信して物体(80)で反射した探査波を受信することにより前記物体を検知する測距センサ(26)を備える前記車両に用いられる物体検知装置を、
前記物体が検知されてから現時点までにおいて、前記車両に対する前記物体の反射点の相対角度(θcr)の頻度が最も多い前記相対角度を算出する頻度算出部(S206)、
前記物体が検知されてから現時点までにおける頻度が最も多い前記相対角度との差の絶対値が所定角度Δθとなる第1評価角度(θe1)および前記第1評価角度よりも小さい第2評価角度(θe2)を算出する評価算出部(S208)、および、
前記相対角度が前記第1評価角度以上となるときの頻度が第1閾値以上であるときの前記反射点が前記物体の角であると判定し、前記相対角度が前記第2評価角度以下となるときの頻度が第2閾値以上であるときの前記反射点が前記物体の角であると判定する判定部(S212、S214)として、機能させる物体検知プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、物体検知装置および物体検知プログラムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、特許文献1に記載されているように、検知センサで得られた自車周辺状況に基づいて、自車周辺の物体の存在の有無を認識するとともに物体の存在の有無を認識できない領域を不特定領域として認識する車両制御装置が知られている。この車両制御装置は、不特定領域には物体が存在するものとして扱う。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
発明者等の検討によれば、特許文献1に記載された車両制御装置は、不特定領域には物体が存在するものとして扱うことで物体の存在の有無を認識するに過ぎず、車両や壁等の物体の角を検知することができない。
【0005】
本開示は、物体の角を検知できる物体検知装置および物体検知プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に記載の発明は、車両(10)の側方に探査波を送信して物体(80)で反射した探査波を受信することにより物体を検知する測距センサ(26)を備える車両に用いられる物体検知装置であって、物体が検知されてから現時点までにおいて、車両に対する物体の反射点の相対角度(θcr)の頻度が最も多い相対角度を算出する頻度算出部(S206)と、物体が検知されてから現時点までにおける頻度が最も多い相対角度との差の絶対値が所定角度Δθとなる第1評価角度(θe1)および第1評価角度よりも小さい第2評価角度(θe2)を算出する評価算出部(S208)と、相対角度が第1評価角度以上となるときの頻度が第1閾値以上であるときの反射点が物体の角であると判定し、相対角度が第2評価角度以下となるときの頻度が第2閾値以上であるときの反射点が物体の角であると判定する判定部(S212、S214)と、を備える物体検知装置である。
【0007】
また、請求項2に記載の発明は、車両(10)の側方に探査波を送信して物体(80)で反射した探査波を受信することにより物体を検知する測距センサ(26)を備える車両に用いられる物体検知装置を、物体が検知されてから現時点までにおいて、車両に対する物体の反射点の相対角度(θcr)の頻度が最も多い相対角度を算出する頻度算出部(S206)、物体が検知されてから現時点までにおける頻度が最も多い相対角度との差の絶対値が所定角度Δθとなる第1評価角度(θe1)および第1評価角度よりも小さい第2評価角度(θe2)を算出する評価算出部(S208)、および、相対角度が第1評価角度以上となるときの頻度が第1閾値以上であるときの反射点が物体の角であると判定し、相対角度が第2評価角度以下となるときの頻度が第2閾値以上であるときの反射点が物体の角であると判定する判定部(S212、S214)として、機能させる物体検知プログラムである。
【0008】
これにより、物体の角を検知することができる。
【0009】
なお、各構成要素等に付された括弧付きの参照符号は、その構成要素等と後述する実施形態に記載の具体的な構成要素等との対応関係の一例を示すものである。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】第1実施形態の物体検知装置が用いられる車両のシステムの構成図。
【
図4】車両が前方に移動したときの自車移動量と変化量との関係を示す図。
【
図5】車両が後方に移動したときの自車移動量と変化量との関係を示す図。
【
図6】車両が前方に移動したときの自車移動量と変化量との関係を示す図。
【
図7】車両が後方に移動したときの自車移動量と変化量との関係を示す図。
【
図8】車両が前方に移動したときの自車移動量と変化量との関係を示す図。
【
図10】物体検知装置の処理を示すタイムチャート。
【
図11】第2実施形態の物体検知装置の処理を示すフローチャート。
【
図12】物体検知装置の処理により作成されたヒストグラムの例を示す図。
【
図13】車両が前方に移動したときの検知角度の変化を示す図。
【
図14】車両が後方に移動したときの検知角度の変化を示す図。
【
図15】車両が前方に移動したときの検知角度の変化を示す図。
【
図16】車両が後方に移動したときの検知角度の変化を示す図。
【
図17】他の実施形態の物体検知装置の処理を示すフローチャート。
【
図18】他の実施形態の物体検知装置の処理を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、実施形態について図面を参照しつつ説明する。なお、以下の各実施形態相互において、互いに同一もしくは均等である部分には、同一符号を付し、その説明を省略する。
【0012】
(第1実施形態)
本実施形態の物体検知装置40は、車両10のシステム15に用いられる。まず、このシステム15について説明する。
【0013】
システム15は、
図1および
図2に示すように、ジャイロセンサ22、車速センサ24、側方測距センサ26、物体検知装置40および運転制御装置50を備える。
【0014】
ジャイロセンサ22は、車両10の姿勢に応じた信号を後述の物体検知装置40に出力する。車速センサ24は、車速Vcに応じた信号を後述の物体検知装置40に出力する。なお、ここでは、車速Vcは、車両10の速さの大きさである。
【0015】
側方測距センサ26は、車両10の左前、右前、左後および右後に取り付けられている。また、側方測距センサ26は、ミリ波、ソナーおよび赤外線等の探査波を車両10の側方に向かって送信する。このとき、車両10の側方に物体80が存在する場合、側方測距センサ26は、この物体80で反射された探査波を受信する。さらに、側方測距センサ26は、この受信した探査波から得られる情報に基づいて、車両10の側方における物体80の反射点の相対位置を検知する。また、側方測距センサ26は、この検知した相対位置に応じた信号を後述の物体検知装置40に出力する。なお、側方測距センサ26は、物体80で反射された探査波を受信できない場合には、物体80を検知しなかったことを示す信号を後述の物体検知装置40に出力する。
【0016】
物体検知装置40は、CPU、RAM、ROM、フラッシュメモリ等を備えるマイクロコンピュータである。RAM、ROM、フラッシュメモリは、いずれも、非遷移的実体的記憶媒体である。CPUは、ROMまたはフラッシュメモリに記憶されたプログラムを実行し、その際にRAMを作業領域として使用する。また、物体検知装置40は、この物体検知装置40のCPUによるプログラムの実行により、ジャイロセンサ22、車速センサ24、側方測距センサ26からの信号に基づいて、車両10の側方における物体80の角を検知する。なお、この角の検知については後述する。
【0017】
運転制御装置50は、CPU、RAM、ROM、フラッシュメモリ等を備えるマイクロコンピュータである。RAM、ROM、フラッシュメモリは、いずれも、非遷移的実体的記憶媒体である。CPUは、ROMまたはフラッシュメモリに記憶されたプログラムを実行し、その際にRAMを作業領域として使用する。また、運転制御装置50は、この運転制御装置50のCPUによるプログラムの実行により、物体検知装置40によって検知された角の位置情報に基づいて、車両10の走行経路を算出する。
【0018】
以上のように、物体検知装置40を備える車両10のシステム15は、構成されている。この物体検知装置40は、車両10の側方における物体80の角を検知する。次に、この物体検知装置40による検知について、
図3のフローチャートおよび
図4-
図9を参照して説明する。この検知プログラムは、例えば、車両10が自動発進するとき、実行される。また、以下では、物体検知装置40のステップS100の処理が開始されてからステップS100の処理に戻るまでの一連の動作の期間を、物体検知装置40の制御周期τとする。また、車両10の外部の空間に固定されている座標系を絶対座標系Σとする。さらに、絶対座標系ΣにおけるX軸、Y軸、Z軸は、互いに直交する。また、この絶対座標系Σは、右手系で表されている。さらに、車両10内の所定の位置を原点とする座標系を車両座標系Σcとする。例えば、車両10内の所定の位置は、車両10の重心である。また、車両10の前方を車両座標系ΣcにおけるXc軸の正方向とする。さらに、車両10の左方を車両座標系ΣcにおけるYc軸の正方向とする。また、車両10の上方を車両座標系ΣcにおけるZc軸の正方向とする。したがって、ここでは、車両座標系Σcは、右手系で表されている。さらに、ここでは、状態をわかりやすくするため、車両座標系ΣcにおけるXc軸の正方向は、絶対座標系ΣにおけるX軸の正方向と一致する。また、車両座標系ΣcにおけるYc軸の正方向は、絶対座標系ΣにおけるY軸の正方向と一致する。さらに、車両座標系ΣcにおけるZc軸の正方向は、絶対座標系ΣにおけるZ軸の正方向と一致する。
【0019】
ステップS100において、物体検知装置40は、各種情報を取得する。具体的には、物体検知装置40は、車両10の姿勢をジャイロセンサ22から取得する。さらに、物体検知装置40は、車速Vcを車速センサ24から取得する。また、物体検知装置40は、物体80を検知しているか否かを側方測距センサ26から取得する。さらに、物体検知装置40は、車両10の側方における物体80の反射点の相対位置、すなわち、車両座標系Σcにおける物体80の反射点の位置を側方測距センサ26から取得する。なお、側方測距センサ26により車両10の側方に物体80が検知されない場合には、物体検知装置40は、物体80が検知されなかったことを示す信号を側方測距センサ26から取得する。
【0020】
続いて、ステップS102において、物体検知装置40は、ステップS100にて取得した側方測距センサ26からの信号に基づいて、物体80が検知されているか否かを判定する。物体80が検知されているとき、物体検知装置40の処理は、ステップS104に移行する。また、物体80が検知されていないとき、物体検知装置40の処理は、ステップS100に戻る。
【0021】
続いて、ステップS104において、物体検知装置40は、以下関係式(1)に示すように、ステップS100にて取得した車速Vcと、制御周期τとを乗算する。これにより、物体検知装置40は、自車移動量ΔLcを算出する。
【0022】
【0023】
続いて、ステップS106において、物体検知装置40は、ステップS100にて取得した車両10の姿勢およびステップS104にて算出した自車移動量ΔLcとを用いることにより、絶対座標系Σにおける車両10の位置を算出する。また、物体検知装置40は、この算出した絶対座標系Σにおける車両10の位置座標に、ステップS100にて取得した車両座標系Σcにおける物体80の反射点の位置座標を加算する。これによって、物体検知装置40は、絶対座標系Σにおける物体80の反射点の位置座標を算出する。さらに、物体検知装置40は、この算出した今回制御周期における物体80の反射点の座標と前回制御周期における物体80の反射点の座標とを以下関係式(2)に代入する。これにより、物体検知装置40は、絶対座標系Σにおける物体80の反射点の変化量ΔLrを算出する。なお、以下関係式(2)において、ΔLr(n)は、今回制御周期における変化量ΔLrである。xr(n)は、今回制御周期における物体80の反射点のX座標である。xr(n-1)は、前回制御周期における物体80の反射点のX座標である。nは、2以上の自然数である。
【0024】
【0025】
続いて、ステップS108において、物体検知装置40は、以下関係式(3)に示すように、ステップS106にて算出した変化量ΔLrをステップS104にて算出した自車移動量ΔLcで除算する。これにより、物体検知装置40は、変化率Rrを算出する。
【0026】
【0027】
ここで、物体80がX軸およびXc軸の正方向を向いているとする。さらに、車両10が前方および後方のどちらかに移動することにより側方測距センサ26からの探査波が車両10の移動前後にて物体80の角でない部位、例えば、物体80の側面で反射したとする。このとき、
図4および
図5に示すように、側方測距センサ26が車両10とともに移動することから、側方測距センサ26からの探査波による物体80の反射点も車両10とともに移動する。また、車両10の移動前後における反射点を結ぶ線がX軸およびXc軸と平行な直線になる。このため、このとき、変化量ΔLrは、自車移動量ΔLcと等しくなることから、変化率Rrは、1になる。なお、図において、車両10の移動前の反射点がPr_bで示されている。また、車両10の移動後の反射点がPr_aで示されている。
【0028】
また、物体80がX軸およびXc軸の正方向を向いているとする。さらに、車両10が前方および後方のどちらかに移動することにより側方測距センサ26からの探査波が車両10の移動前にて物体80の側面で反射し、側方測距センサ26からの探査波が車両10の移動前にて物体80の角で反射したとする。このとき、
図6および
図7に示すように、側方測距センサ26が車両10とともに移動することから、側方測距センサ26からの探査波による物体80の反射点も車両10とともに移動する。また、車両10の移動前後における反射点を結ぶ線がX軸およびXc軸と平行な直線からX軸およびXc軸と交差する直線に変化する。このため、このとき、反射点のX座標の位置変化が小さくなることから、変化量ΔLrは、自車移動量ΔLcよりも小さくなる。したがって、このとき、変化率Rrは、1よりも小さくなる。よって、変化率Rrが変化率閾値Rr_th以下であるとき、このときの物体80の反射点が物体80の角であると判定することにより、物体80の角を検知することができる。
【0029】
さらに、ここで、物体80の前方に延びる軸がX軸およびXc軸方向に交差しているとする。また、車両10が前方および後方のどちらかに移動することにより側方測距センサ26からの探査波が車両10の移動前後にて物体80の側面で反射したとする。このとき、
図8に示すように、物体80の前方に延びる軸と車両座標系ΣcにおけるXc軸とのなす角度である物体角度θoが大きくなることに伴い、変化量ΔLrが小さくなる。このため、物体80の向きにより、変化率閾値Rr_thを変更する必要がある。
【0030】
したがって、ステップS108に続くステップS110において、物体検知装置40は、ステップS100にて取得した車両座標系Σcにおける物体80の反射点の位置座標に基づいて、物体角度θoを算出する。
【0031】
具体的には、物体検知装置40は、車両座標系Σcにおける物体80の反射点のX座標およびY座標と、最小二乗法とを用いて、物体80の反射点群の近似線を算出する。また、物体検知装置40は、この算出した近似線とXc軸とのなす角度を算出することにより、物体角度θoを算出する。なお、物体検知装置40は、最小二乗法を用いて物体角度θoを算出することに限定されない。例えば、物体検知装置40は、今回制御周期および前回制御周期における物体80の反射点のXc座標およびYc座標から2点間の直線を算出し、この算出した直線とXc軸とのなす角度を算出することにより、物体角度θoを算出してもよい。
【0032】
また、物体検知装置40は、この算出した物体角度θoと、テーブルとを用いて、変化率閾値Rr_thを算出する。なお、上記したように、物体角度θoが大きくなることに伴い、変化量ΔLrが小さくなる。このため、このテーブルでは、
図9に示すように、物体角度θoが大きくなることに伴い、変化率閾値Rr_thが小さくなっている。
【0033】
続いて、ステップS112において、物体検知装置40は、ステップS108にて算出した変化率RrがステップS110にて算出した変化率閾値Rr_th以下であるか否かを判定する。これにより、物体検知装置40は、物体80の反射点が物体80の角であるか否かを判定することで、物体80の角を検知する。そして、変化率Rrが変化率閾値Rr_th以下であるとき、物体検知装置40の処理は、ステップS114に移行する。また、変化率Rrが変化率閾値Rr_thよりも大きいとき、物体検知装置40の処理は、ステップS116に移行する。
【0034】
ステップS112に続くステップS114において、変化率Rrが変化率閾値Rr_th以下であることから、物体検知装置40は、その反射点が物体80の角であると判定する。また、物体検知装置40は、絶対座標系Σにおける物体80の角の位置を運転制御装置50に出力する。さらに、運転制御装置50は、この角の位置情報に基づいて経路を算出することにより、車両10と物体80との衝突を回避可能な最短経路を算出する。また、運転制御装置50は、この算出した経路に沿って車両10を自動で移動させる。その後、物体検知装置40の処理は、ステップS100に戻る。
【0035】
ステップS112に続くステップS116において、変化率Rrが変化率閾値Rr_thよりも大きいことから、物体検知装置40は、その反射点が物体80の角でないと判定する。このとき、物体80の角の位置が不明であるため、運転制御装置50は、例えば、車両10が前進後退する経路を算出する。また、運転制御装置50は、この算出した経路に沿って車両10を自動で移動させる。その後、物体検知装置40の処理は、ステップS100に戻る。
【0036】
以上のように、物体検知装置40は、車両10の側方における物体80の角を検知する。次に、一事例における物体検知装置40の処理について、
図10のタイムチャートを参照して説明する。なお、この事例では、物体80は、例えば、車両10とは異なる別車両である。また、この別車両は、停車している。さらに、初期状態では、車両10の前方と別車両の前方とが絶対座標系ΣにおけるX軸の正方向に一致している。また、車両10が自動発進しているため、物体検知装置40のプログラムが起動されている。
【0037】
初期時刻t0において、車両10は、所定の車速Vcで前方に移動する。このとき、車両10の側方に別車両が検知されるため、物体検知装置40は、ステップS104にて、自車移動量ΔLcを算出する。また、物体検知装置40は、ステップS106にて、別車両の側面の反射点の変化量ΔLrを算出する。さらに、物体検知装置40は、ステップS108にて、これらの算出した自車移動量ΔLcと変化量ΔLrとを用いて、変化率Rrを算出する。このとき、側方測距センサ26が車両10とともに移動することから、側方測距センサ26からの探査波による物体80の反射点も車両10とともに移動する。また、車両10の移動前後における反射点を結ぶ線がX軸およびXc軸と平行な直線になる。このため、このとき、変化量ΔLrは、自車移動量ΔLcと等しくなることから、変化率Rrは、1になる。さらに、車両10の前方と別車両の前方とが絶対座標系ΣにおけるX軸の正方向に一致しているため、物体角度θoは、0度である。このため、物体検知装置40は、ステップS110にて、テーブルを用いて、物体角度θoが0度であるときの変化率閾値Rr_thを算出する。しかし、変化率Rrが変化率閾値Rr_thよりも大きいため、物体検知装置40は、ステップS116にて、その反射点が物体80の角でないと判定する。このとき、物体80の角の位置が不明であるため、運転制御装置50は、車両10が前進する経路を算出する。また、運転制御装置50は、この算出した経路に沿って車両10を自動で移動させる。
【0038】
初期時刻t0から時刻t1までの期間において、車両10は、初期時刻t0と同じ車速Vcで前方に移動する。車速Vcが初期時刻t0と同じであるため、自車移動量ΔLcは、初期時刻t0と同じになる。また、側方測距センサ26が車両10とともに移動することから、側方測距センサ26からの探査波による物体80の反射点も車両10とともに移動する。さらに、車両10の移動前後における反射点を結ぶ線がX軸およびXc軸と平行な直線になる。このため、このとき、変化量ΔLrは、自車移動量ΔLcと等しくなることから、変化率Rrは、1になる。また、車両10の前方と別車両の前方とが絶対座標系ΣにおけるX軸の正方向に一致しているため、物体角度θoは、0度である。このため、物体検知装置40は、ステップS110にて、テーブルを用いて、物体角度θoが0度であるときの変化率閾値Rr_thを算出する。しかし、変化率Rrが変化率閾値Rr_thよりも大きいため、物体検知装置40は、ステップS116にて、その反射点が物体80の角でないと判定する。このとき、物体80の角の位置が不明であるため、運転制御装置50は、車両10が前進する経路を算出する。また、運転制御装置50は、この算出した経路に沿って車両10を自動で移動させる。
【0039】
時刻t1において、車両10は、初期時刻t0と同じ車速Vcで前方に移動する。車速Vcが初期時刻t0と同じであるため、自車移動量ΔLcは、初期時刻t0と同じになる。また、車両10とともに側方測距センサ26が前方に移動するところ、反射点が物体80の角に近づいていることから、車両10の移動前後における反射点を結ぶ線がX軸およびXc軸と平行な直線からX軸およびXc軸と交差する直線に変化する。これにより、反射点のX座標の位置変化が小さくなる。このため、変化量ΔLrが小さくなることから、変化率Rrは、小さくなる。しかし、変化率Rrが変化率閾値Rr_thよりも大きいため、物体検知装置40は、ステップS116にて、その反射点が物体80の角でないと判定する。このとき、物体80の角の位置が不明であるため、運転制御装置50は、車両10が前進する経路を算出する。また、運転制御装置50は、この算出した経路に沿って車両10を自動で移動させる。
【0040】
時刻t1から時刻t2までの期間において、車両10は、初期時刻t0と同じ車速Vcで前方に移動する。車速Vcが初期時刻t0と同じであるため、自車移動量ΔLcは、初期時刻t0と同じになる。また、車両10とともに側方測距センサ26が前方に移動するところ、反射点が物体80の角に近づいていることから、車両10の移動前後における反射点を結ぶ線がX軸およびXc軸と平行な直線からX軸およびXc軸と交差する直線に変化する。これにより、反射点のX座標の位置変化が小さくなる。このため、変化量ΔLrが小さくなることから、変化率Rrは、小さくなる。しかし、変化率Rrが変化率閾値Rr_thよりも大きいため、物体検知装置40は、ステップS116にて、その反射点が物体80の角でないと判定する。このとき、物体80の角の位置が不明であるため、運転制御装置50は、車両10が前進する経路を算出する。また、運転制御装置50は、この算出した経路に沿って車両10を自動で移動させる。
【0041】
時刻t2において、車両10は、初期時刻t0と同じ車速Vcで前方に移動する。車速Vcが初期時刻t0と同じであるため、自車移動量ΔLcは、初期時刻t0と同じになる。また、車両10とともに側方測距センサ26が前方に移動するところ、反射点が物体80の角に近づいていることから、車両10の移動前後における反射点を結ぶ線がX軸およびXc軸と平行な直線からX軸およびXc軸と交差する直線に変化する。これにより、反射点のX座標の位置変化が小さくなる。このため、変化量ΔLrが小さくなることから、変化率Rrは、小さくなる。このとき、変化率Rrが変化率閾値Rr_th以下となるため、物体検知装置40は、ステップS114にて、その反射点が物体80の角であると判定する。また、物体検知装置40は、絶対座標系Σにおける物体80の角の位置を運転制御装置50に出力する。さらに、運転制御装置50は、この角の位置情報に基づいて経路を算出することにより、車両10と物体80との衝突を回避可能な最短経路を算出する。また、運転制御装置50は、この算出した経路に沿って車両10を自動で移動させる。その後、車両10が移動することにより、物体80が検知されなくなる。このとき、物体検知装置40は、ステップS100の処理を繰り返す。
【0042】
以上のように、物体検知装置40は、車両10の側方における物体80の角を検知する。次に、物体検知装置40が車両10の側方における物体80の角を検知できることについて説明する。
【0043】
物体検知装置40は、ステップS104にて、車速Vcおよび制御周期τに基づいて、自車移動量ΔLcを算出する。また、物体検知装置40は、ステップS106にて、側方測距センサ26から送信された探査波が反射した物体80の反射点の位置座標に基づいて、変化量ΔLrを算出する。さらに物体検知装置40は、ステップS112およびステップS114にて、変化量ΔLrが自車移動量ΔLcよりも小さいとき、その反射点が物体80の角であると判定する。これにより、車両10の側方における物体80の角を検知することができる。なお、物体検知装置40は、移動算出部、変化算出部、位置変化算出部および判定部に対応する。車速Vcは、車両10の速さに対応する。制御周期τは、時間に対応する。自車移動量ΔLcは、車両10の移動量に関する値に対応する。変化量ΔLrは、車両10が移動したときの車両10の移動方向における反射点の位置変化に関する値に対応する。
【0044】
また、第1実施形態では、以下に記載する効果も奏する。
【0045】
[1-1]物体検知装置40は、ステップS108にて、変化量ΔLrを自車移動量ΔLcで除算した値である変化率Rrを算出する。また、物体検知装置40は、変化率Rrが変化率閾値Rr_th以下であるとき、その反射点が物体80の角であると判定する。これにより、車両10の側方における物体80の角が検知されやすくなる。なお、物体検知装置40は、変化率算出部に対応する。変化率Rrは、車両10の移動前後における物体80の反射点の位置変化に関する値を車両10の移動量に関する値で除算した値に対応する。
【0046】
[1-2]物体検知装置40は、ステップS110にて、物体角度θoが大きくなることに伴い、変化率閾値Rr_thを小さくする。これにより、物体角度θoが大きくなることにより変化量ΔLrが小さくなることで変化率Rrが小さくなっても、変化率閾値Rr_thが小さくなる。このため、物体80の角が誤検知されることを抑制することができる。なお、物体検知装置40は、閾値変更部に対応する。
【0047】
(第2実施形態)
第2実施形態では、物体検知装置40の処理が異なる。これ以外は、第1実施形態と同様である。この物体検知装置40の処理について、
図11のフローチャートおよび
図12-16を参照して説明する。この検知プログラムは、例えば、車両10が自動発進するとき、実行される。また、以下では、物体検知装置40のステップS200の処理が開始されてからステップS200の処理に戻るまでの一連の動作の期間を、物体検知装置40の制御周期τとする。さらに、車両座標系ΣcにおけるXc軸と、側方測距センサ26および物体80の反射点を結ぶ直線とでなす角度を、検知角度θcrとする。
【0048】
ステップS200において、物体検知装置40は、各種情報を取得する。具体的には、物体検知装置40は、車両10の姿勢をジャイロセンサ22から取得する。さらに、物体検知装置40は、車速Vcを車速センサ24から取得する。また、物体検知装置40は、物体80を検知しているか否かを側方測距センサ26から取得する。さらに、物体検知装置40は、車両10の側方における物体80の反射点の相対位置、すなわち、車両座標系Σcにおける物体80の反射点の位置を側方測距センサ26から取得することにより、検知角度θcrを取得する。また、側方測距センサ26により車両10の側方に物体80が検知されない場合には、物体検知装置40は、物体80が検知されなかったことを示す信号を側方測距センサ26から取得する。
【0049】
続いて、ステップS202において、物体検知装置40は、側方測距センサ26からの信号に基づいて物体80が検知されているか否かを判定する。そして、物体80が検知されているとき、物体検知装置40の処理は、ステップS204に移行する。また、物体80が検知されていないとき、物体検知装置40の処理は、ステップS218に移行する。
【0050】
ステップS202に続くステップS204において、物体検知装置40は、
図12に示すように、物体80が検知されてから現時点までに取得した検知角度θcrのヒストグラムを作成または更新する。
【0051】
続いて、ステップS206において、物体検知装置40は、ステップS204にて作成したヒストグラムから、頻度が最も多い検知角度θcrを算出する。
【0052】
ここで、物体80がX軸およびXc軸の正方向を向いているとする。さらに、車両10が前方および後方のどちらかに移動することにより側方測距センサ26からの探査波が車両10の移動前後にて物体80の角でない部位、例えば、物体80の側面で反射したとする。このとき、
図13および
図14に示すように、側方測距センサ26が車両10とともに移動することから、側方測距センサ26からの探査波による物体80の反射点も車両10とともに移動する。また、車両10の移動前後における反射点を結ぶ線がX軸およびXc軸と平行な直線になる。このため、このとき、車両10の移動前後の検知角度θcrに変化がない。したがって、頻度が最も多い検知角度θcrは、例えば、90~95度である。
【0053】
また、物体80がX軸およびXc軸の正方向を向いているとする。さらに、車両10が前方および後方のどちらかに移動することにより側方測距センサ26からの探査波が車両10の移動前にて物体80の側面で反射し、側方測距センサ26からの探査波が車両10の移動前にて物体80の角で反射したとする。このとき、
図15および
図16に示すように、側方測距センサ26が車両10とともに移動することから、側方測距センサ26からの探査波による物体80の反射点も車両10とともに移動する。また、車両10の移動前後における反射点を結ぶ線がX軸およびXc軸と平行な直線からX軸およびXc軸と交差する直線に変化する。このため、このとき、物体80の反射点が角でない場合と比較して、検知角度θcrの変化が大きくなる。したがって、頻度が最も多い検知角度θcrから所定角度Δθずれた角度の頻度が閾値以上であるとき、その反射点が物体80の角であると判定することにより、物体80の角を検知することができる。
【0054】
よって、ステップS206に続くステップS208において、物体検知装置40は、
図12に示すように、ステップS206にて算出した頻度が最も多い検知角度θcrに所定角度Δθを加算した角度を算出する。これにより、物体検知装置40は、第1評価角度θe1を算出する。また、物体検知装置40は、ステップS206にて算出した頻度が最も多い検知角度θcrから所定角度Δθを減算した角度を算出する。これによって、物体検知装置40は、第2評価角度θe2を算出する。なお、上記所定角度Δθは、実験やシミュレーション等により設定される角度であって、例えば、30度である。
【0055】
続いて、ステップS210において、物体検知装置40は、検知角度θcrが第1評価角度θe1以上であるときの頻度を算出する。また、物体検知装置40は、検知角度θcrが第2評価角度θe2以下であるときの頻度を算出する。
【0056】
続いて、ステップS212において、物体検知装置40は、検知角度θcrが第1評価角度θe1以上であるときの頻度が第1閾値以上であるか否かを判定する。また、物体検知装置40は、検知角度θcrが第2評価角度θe2以下であるときの頻度が第2閾値以上であるか否かを判定する。これにより、物体検知装置40は、物体80の反射点が物体80の角であるか否かを判定することで、物体80の角を検知する。なお、第1閾値および第2閾値は、実験やシミュレーション等により設定される。
【0057】
そして、検知角度θcrが第1評価角度θe1以上であるときの頻度が第1閾値以上であるとき、物体検知装置40の処理は、ステップS214に移行する。また、検知角度θcrが第2評価角度θe2以下であるときの頻度が第2閾値以上であるとき、物体検知装置40の処理は、ステップS214に移行する。さらに、検知角度θcrが第1評価角度θe1以上であるときの頻度が第1閾値未満、かつ、検知角度θcrが第2評価角度θe2以下であるときの頻度が第2閾値未満であるとき、物体検知装置40の処理は、ステップS216に移行する。
【0058】
ステップS212に続くステップS214において、検知角度θcrが第1評価角度θe1以上であるときの頻度が第1閾値以上であることから検知角度θcrの変化が大きい。または、検知角度θcrが第2評価角度θe2以下であるときの頻度が第2閾値以上であることから検知角度θcrの変化が大きい。このため、物体検知装置40は、その反射点が物体80の角であると判定する。また、物体検知装置40は、ステップS100にて取得した車速Vcと、制御周期τとを乗算する。これにより、物体検知装置40は、自車移動量ΔLcを算出する。さらに、物体検知装置40は、この算出した自車移動量ΔLcとステップS100にて取得した車両10の姿勢および車両座標系Σcにおける物体80の反射点の位置とを用いて、絶対座標系Σにおける車両10の位置を算出する。また、物体検知装置40は、この算出した絶対座標系Σにおける車両10の位置座標に、ステップS100にて取得した車両座標系Σcにおける物体80の反射点の位置座標を加算する。これにより、物体検知装置40は、絶対座標系Σにおける物体80の反射点に対応する物体80の角の位置座標を算出する。また、物体検知装置40は、この算出した絶対座標系Σにおける物体80の角の位置を運転制御装置50に出力する。さらに、運転制御装置50は、この角の位置情報に基づいて経路を算出することにより、車両10と物体80との衝突を回避可能な最短経路を算出する。また、運転制御装置50は、この算出した経路に沿って車両10を自動で移動させる。その後、物体検知装置40の処理は、ステップS200に戻る。
【0059】
ステップS212に続くステップS216において、検知角度θcrが第1評価角度θe1以上であるときの頻度が第1閾値未満、かつ、検知角度θcrが第2評価角度θe2以下であるときの頻度が第2閾値未満であることから、検知角度θcrの変化が小さい。このため、物体検知装置40は、その反射点が物体80の角でないと判定する。このとき、物体80の角の位置が不明であるため、運転制御装置50は、例えば、車両10が前進後退する経路を算出する。また、運転制御装置50は、この算出した経路に沿って車両10を自動で移動させる。その後、物体検知装置40の処理は、ステップS200に戻る。
【0060】
ステップS202に続くステップS218において、物体80が検知されていないため、物体検知装置40は、ステップS204にて作成または更新したヒストグラムをリセットする。これにより、物体検知装置40は、次回、物体80が検知されたとき、物体80の角を検知することができる。その後、物体検知装置40の処理は、ステップS200に戻る。
【0061】
以上のように、物体検知装置40は、車両10の側方における物体80の角を検知する。次に、第2実施形態においても、物体検知装置40が車両10の側方における物体80の角を検知できることについて説明する。
【0062】
物体検知装置40は、物体80が検知されてから現時点までにおいて、検知角度θcrの頻度が最も多い検知角度θcrを、ステップS206にて算出する。また、物体検知装置40は、物体80が検知されてから現時点までにおける頻度が最も多い検知角度θcrとの差の絶対値が所定角度Δθとなる第1評価角度θe1および第2評価角度θe2を算出する。さらに、物体検知装置40は、ステップS212およびステップS214にて、検知角度θcrが第1評価角度θe1以上となるときの頻度が第1閾値以上であるとき、その反射点が物体80の角であると判定する。また、物体検知装置40は、ステップS212およびステップS214にて、検知角度θcrが第2評価角度θe2以下となるときの頻度が第2閾値以上であるとき、その反射点が物体80の角であるとを判定する。これにより、車両10の側方における物体80の角を検知することができる。なお、物体検知装置40は、頻度算出部、評価算出部および判定部に対応する。検知角度θcrは、車両10に対する物体80の反射点の相対角度に対応する。
【0063】
(他の実施形態)
本開示は、上記実施形態に限定されるものではなく、上記実施形態に対して、適宜変更が可能である。また、上記各実施形態において、実施形態を構成する要素は、特に必須であると明示した場合および原理的に明らかに必須であると考えられる場合等を除き、必ずしも必須のものではないことは言うまでもない。
【0064】
本開示に記載の算出部、判定部、変更部等およびその手法は、コンピュータプログラムにより具体化された一つ乃至は複数の機能を実行するようにプログラムされたプロセッサおよびメモリを構成することによって提供された専用コンピュータにより、実現されてもよい。あるいは、本開示に記載の算出部、判定部、変更部等およびその手法は、一つ以上の専用ハードウエア論理回路によってプロセッサを構成することによって提供された専用コンピュータにより、実現されてもよい。もしくは、本開示に記載の算出部、判定部、変更部等およびその手法は、一つ乃至は複数の機能を実行するようにプログラムされたプロセッサおよびメモリと一つ以上のハードウエア論理回路によって構成されたプロセッサとの組み合わせにより構成された一つ以上の専用コンピュータにより、実現されてもよい。また、コンピュータプログラムは、コンピュータにより実行されるインストラクションとして、コンピュータ読み取り可能な非遷移有形記録媒体に記憶されていてもよい。
【0065】
上記実施形態では、物体80は、車両10とは異なる別車両である。これに対して、物体80は、別車両であることに限定されないで、例えば、壁等であってもよい。
【0066】
上記実施形態では、車両座標系Σcにおける各軸の正方向は、絶対座標系Σにおける各軸の正方向と一致する。これに対して、車両座標系Σcにおける各軸の正方向は、絶対座標系Σにおける各軸の正方向と一致することに限定されない。車両座標系Σcにおける各軸の正方向が絶対座標系Σにおける各軸の正方向と交差する場合、例えば、物体検知装置40は、座標変換することにより、車両座標系Σcにおける各軸の正方向と絶対座標系Σにおける各軸の正方向とを一致させる。その後、物体検知装置40は、上記した一連の処理を行うことにより、上記実施形態と同様に、物体80の角を検知する。
【0067】
上記第1実施形態では、物体検知装置40は、ステップS102において、車速Vcと、制御周期τとを乗算することにより、自車移動量ΔLcを算出する。これに対して、物体検知装置40は、ステップS102において、車速Vcと、制御周期τとを乗算することにより、自車移動量ΔLcを算出することに限定されない。例えば、物体検知装置40は、ステップS102において、車速Vcと制御周期τとを乗算した値に車両10の加速度と制御周期τの2乗と2分の1とを乗算した値を加算することにより、自車移動量ΔLcを算出してもよい。
【0068】
上記第1実施形態では、ステップS108において、物体検知装置40は、変化量ΔLrを自車移動量ΔLcで除算することにより、変化率Rrを算出する。これに対して、ステップS108において、物体検知装置40は、変化量ΔLrを自車移動量ΔLcで除算することにより変化率Rrを算出することに限定されない。
【0069】
例えば、物体検知装置40は、ステップS108において、自車移動量ΔLcを変化量ΔLrで除算することにより変化率Rrを算出してもよい。この場合、反射点が物体80の角であるときの変化率Rrは、反射点が物体80の側面であるときと比較して大きくなる。また、物体角度θoが大きくなることに伴い、変化量ΔLrが小さくなるため、変化率Rrは、大きくなる。したがって、ステップS108に続くステップS110において、物体検知装置40は、物体角度θoが大きくなることに伴い、変化率閾値Rr_thを大きくさせる。これにより、物体角度θoが大きくなることによって変化量ΔLrが小さくなることで変化率Rrが大きくなっても、変化率閾値Rr_thが大きくなる。このため、物体80の角が誤検知されることを抑制することができる。また、
図17のフローチャートに示すように、ステップS110に続くステップS112において、物体検知装置40は、変化率Rrが変化率閾値Rr_th以上であるか否かを判定する。これにより、物体検知装置40は、物体80の反射点が物体80の角であるか否かを判定することで、物体80の角を検知する。このようにしても、第1実施形態と同様の効果を奏する。
【0070】
また、
図18のフローチャートに示すように、物体検知装置40は、ステップS106に続くステップS108において、自車移動量ΔLcと変化量ΔLrとの差の絶対値|ΔLc-ΔLr|を算出してもよい。この場合、上記と同様に、反射点が物体80の角であるときの絶対値|ΔLc-ΔLr|は、反射点が物体80の側面であるときと比較して大きくなる。また、物体角度θoが大きくなることに伴い、変化量ΔLrが小さくなるため、絶対値|ΔLc-ΔLr|は、大きくなる。したがって、ステップS108にて続くステップS110において、物体検知装置40は、物体角度θoが大きくなることに伴い、差分閾値ΔL_thを大きくさせる。これにより、物体角度θoが大きくなることによって変化量ΔLrが小さくなることで絶対値|ΔLc-ΔLr|が大きくなっても、変化率閾値Rr_thが大きくなる。このため、物体80の角が誤検知されることを抑制することができる。また、ステップS110に続くステップS112において、物体検知装置40は、絶対値|ΔLc-ΔLr|が差分閾値ΔL_th以上であるか否かを判定する。これにより、物体検知装置40は、物体80の反射点が物体80の角であるか否かを判定することで、物体80の角を検知する。このようにしても、第1実施形態と同様の効果を奏する。なお、物体検知装置40は、差分算出部に対応する。
【0071】
上記実施形態では、物体検知装置40は、車両10の姿勢および自車移動量ΔLcとを用いることにより、絶対座標系Σにおける車両10の位置を算出する。これに対して、物体検知装置40は、車両10の姿勢および車両座標系Σcにおける物体80の反射点の位置と自車移動量ΔLcとを用いることにより、絶対座標系Σにおける車両10の位置を算出することに限定されない。物体検知装置40は、絶対座標系Σにおける車両10の位置を図示しないGNSS受信機等から取得してもよい。
【符号の説明】
【0072】
10 車両
15 システム
22 ジャイロセンサ
24 車速センサ
26 側方測距センサ
40 物体検知装置
50 運転制御装置
80 物体