(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024114859
(43)【公開日】2024-08-23
(54)【発明の名称】保護回路
(51)【国際特許分類】
H02H 7/18 20060101AFI20240816BHJP
H02J 7/00 20060101ALI20240816BHJP
【FI】
H02H7/18
H02J7/00 S
【審査請求】有
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024103368
(22)【出願日】2024-06-26
(62)【分割の表示】P 2021090220の分割
【原出願日】2021-05-28
(31)【優先権主張番号】P 2020094274
(32)【優先日】2020-05-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000108410
【氏名又は名称】デクセリアルズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100165179
【弁理士】
【氏名又は名称】田▲崎▼ 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100215935
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 茂輝
(74)【代理人】
【識別番号】100142424
【弁理士】
【氏名又は名称】細川 文広
(74)【代理人】
【識別番号】100114937
【弁理士】
【氏名又は名称】松本 裕幸
(72)【発明者】
【氏名】米田 吉弘
(57)【要約】
【課題】高い安全性を実現することができる保護回路を提供する。
【解決手段】保護回路1Dは、保護素子10A、複数の二次電池セル20、外部正極端子30a、外部負極端子30b、補助電源40、第1の制御デバイス50、スイッチ60を備える。保護素子10Aは、両端が第1の端子11と第2の端子12に接続された第1の可溶導体15と、第3の端子13と第4の端子14の間の第1の通電経路P1
Bに設置された発熱体16とを有する。第1の端子11と第2の端子12が接続された第2の通電経路P2
Bと、第3の端子13から補助電源40及びスイッチ60を介して第4の端子14に繋がる第3の通電経路P3
Bとが接続されている。第1の制御デバイス50からの信号によりスイッチ60が通電する様に切替えられ、保護素子10Aの発熱体16が発熱し第1の可溶導体15が溶断されて複数の二次電池セル20と外部負極端子30b間を遮断する。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の端子と、第2の端子と、両端が前記第1の端子と前記第2の端子に接続された第1の可溶導体と、第3の端子と、第4の端子と、前記第3の端子と前記第4の端子の間の第1の通電経路に設置された発熱体とを有する保護素子と、
直列に接続された複数の二次電池セルと、
外部正極端子及び外部負極端子と、
補助電源と、
前記複数の二次電池セルの電圧を監視し異常を検知して信号を出力する制御デバイスと、
前記制御デバイスの信号を受けて通電を切り替えるスイッチとを備え、
前記制御デバイスは前記複数の二次電池セルと接続され、
前記保護素子の前記第1の端子及び前記第2の端子は、前記複数の二次電池セルの正極端と前記外部正極端子との間もしくは前記複数の二次電池セルの負極端と前記外部負極端子との間の第2の通電経路に設置され、
前記保護素子の前記第3の端子及び前記第4の端子は、前記補助電源及び前記スイッチと直列に且つループ状に接続され、
前記保護素子の前記第1の端子と前記第2の端子が接続された前記第2の通電経路と、前記第3の端子から前記補助電源及び前記スイッチを介して前記第4の端子に繋がる第3の通電経路とが接続され、
前記制御デバイスからの前記信号により前記スイッチが通電する様に切り替えられ、前記保護素子の前記発熱体が発熱し前記第1の可溶導体が溶断されて前記複数の二次電池セルと前記外部正極端子間もしくは前記複数の二次電池セルと前記外部負極端子間を遮断する保護回路。
【請求項2】
前記保護素子の前記発熱体と前記第3の端子の間もしくは前記保護素子の前記発熱体と前記第4の端子の間に、第2の可溶導体を有する、請求項1に記載の保護回路。
【請求項3】
前記保護素子の前記発熱体と前記第3の端子の間に第2の可溶導体を有し、前記発熱体と前記第4の端子の間に第3の可溶導体を有する、請求項1に記載の保護回路。
【請求項4】
第1の端子と、第2の端子と、両端が前記第1の端子と前記第2の端子に接続された第1の可溶導体と、第3の端子と、前記第3の端子と前記第1の端子もしくは前記第2の端子との間の第1の通電経路に設置された発熱体とを有する保護素子と、
直列に接続された複数の二次電池セルと、
外部正極端子及び外部負極端子と、
補助電源と、
前記複数の二次電池セルの電圧を監視し異常を検知して信号を出力する制御デバイスと、
前記制御デバイスの信号を受けて通電を切り替えるスイッチとを備え、
前記制御デバイスは前記複数の二次電池セルと接続され、
前記保護素子の前記第1の端子と前記第2の端子は、前記複数の二次電池セルの正極端と前記外部正極端子との間もしくは前記複数の二次電池セルの負極端と前記外部負極端子との間の第2の通電経路に設置され、
前記保護素子の前記第3の端子は、前記補助電源と前記スイッチとを経由し、前記保護素子の前記第1の端子と前記第2の端子が接続された前記第2の通電経路に接続され、 前記制御デバイスからの前記信号により前記スイッチが通電する様に切り替えられ、前記保護素子の前記発熱体が発熱し前記第1の可溶導体が溶断されて前記複数の二次電池セルと前記外部正極端子間もしくは前記複数の二次電池セルと前記外部負極端子間を遮断する保護回路。
【請求項5】
前記保護素子の前記発熱体と前記第3の端子の間に第2の可溶導体を有する、請求項4に記載の保護回路。
【請求項6】
前記保護素子の前記発熱体と前記第3の端子の間に第2の可溶導体を有し、前記発熱体と前記第1の端子もしくは前記第2の端子との間に第3の可溶導体を有する、請求項4に記載の保護回路。
【請求項7】
前記保護素子の前記第1の端子と前記第2の端子が接続された前記第2の通電経路の極と前記補助電源の前記第3の端子に繋がる側の極と反対の極とが同極で接続されている、請求項1~6のいずれか1項に記載の保護回路。
【請求項8】
前記第1の可溶導体は、低融点金属層と高融点金属層とを含む積層体である、請求項1~7のいずれか1項に記載の保護回路。
【請求項9】
前記低融点金属層は、SnもしくはSnを主成分とする合金で構成され、前記高融点金属層は、Ag若しくはCu、又はAg若しくはCuを主成分とする合金で構成される、請求項8に記載の保護回路。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、保護回路に関し、例えば、二次電池の充放電回路に設けられる保護回路に関する。
【背景技術】
【0002】
リチウムイオン電池は、ノートパソコン等のモバイル機器の電源として広く用いられている。リチウムイオン電池などの二次電池の保護回路には、表面実装型ヒーター付きヒューズ(Self Control Protector、以下SCPともいう)が搭載され、過電圧の異常時には二次電池自体からヒーターに給電されて発熱し、ヒューズエレメントを溶断する。
【0003】
例えば、従来の保護回路として、
図13(a)及び
図13(b)に示すように、通電経路上に接続されたヒューズエレメント111,111と、ヒューズエレメント111,111に接続され、ヒューズエレメント111,111を加熱により溶断可能なヒーター112と、を有するSCP110と、上記通電経路に接続されたバッテリ120のバッテリセル121,121,・・・の異常を検出するIC130と、IC130の検出結果に基づいて、SCP110のヒーター112への通電を行うように動作するFET140と、バッテリ120全体の異常を検出するIC150と、IC150の検出結果に基づいて、SCP110のヒーター112への通電を行うように動作するFET160,160とを備える保護回路100がある。この保護回路100では、各バッテリセルの異常が検出された場合、FET140がオンとなり、バッテリ120からSCP110のヒーター112に給電されて発熱し、ヒューズエレメント111が溶断される。
【0004】
また、従来の他の保護回路として、データサーバーとインターネット回線との間に可溶導体(ヒューズエレメント)を配置し、上記可溶導体とは独立して設けられた発熱体と、発熱体専用の外部電源とを備えた保護回路が提案されている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、
図13(a)のような従来の保護回路を動力用途としての大容量二次電池の充放電回路に搭載した場合、桁違いの高電圧、大電流によってヒーターが破壊されてしまうという問題がある。昨今、二次電池としてのリチウムイオン電池は、モバイル機器用途からEVや蓄電池などの用途に発展しており、大容量化が進んでいる。また、リチウムイオン電池の大容量化に伴い、電圧は数百ボルトの高電圧仕様、電流も数百アンペアの大電流仕様となっており、これらのニーズに対応できる安全性の高い保護回路が求められている。
【0007】
特許文献1の保護回路では、データサーバーなどの外部回路の種類によらず、発熱体に対して可溶導体を溶断させるのに十分な発熱量を得る電力を供給でき、外部回路として微弱な電流を流すデジタル信号回路に適用できるとされている。すなわち、特許文献1では保護回路を信号回路に適用してハッキングなどに因る情報の流出を防止する構成が開示されている程度であり、保護回路を動力用途としての二次電池の充放電回路に適用することの開示、示唆は無い。また、回路電圧が数十ボルトの低電圧仕様であれば上記保護回路を適用できるとも考えられるが、数百ボルト、数百アンペアといった大電圧、大電流仕様の場合、発熱体の耐電圧や可溶導体遮断後の絶縁性の確保が困難であるため、大容量二次電池の充放電回路に上記保護回路を適用することは困難である。
【0008】
本発明の目的は、二次電池の充放電回路を確実に遮断して、高い安全性を実現することができる保護回路を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、本発明は以下の手段を提供する。
【0010】
[1]第1の端子と、第2の端子と、両端が前記第1の端子と前記第2の端子に接続された第1の可溶導体と、第3の端子と、第4の端子と、前記第3の端子と前記第4の端子の間の第1の通電経路に設置された発熱体とを有する保護素子と、
直列に接続された複数の二次電池セルと、
外部正極端子及び外部負極端子と、
前記複数の二次電池セルと電気的に独立して設けられた補助電源と、
前記複数の二次電池セルの電圧を監視し異常を検知して信号を出力する制御デバイスと、
前記制御デバイスの信号を受けて通電を切り替えるスイッチとを備え、
前記制御デバイスは前記複数の二次電池セルと接続され、
前記保護素子の前記第1の端子及び前記第2の端子は、前記複数の二次電池セルの正極端と前記外部正極端子との間もしくは前記複数の二次電池セルの負極端と上記外部負極端子との間の第2の通電経路に設置され、
前記保護素子の前記第3の端子及び前記第4の端子は、前記補助電源及び前記スイッチと直列に且つループ状に接続され、
前記制御デバイスからの前記信号により前記スイッチが通電する様に切り替えられ、前記保護素子の前記発熱体が発熱し前記第1の可溶導体が溶断されて前記複数の二次電池セルと前記外部正極端子間もしくは前記複数の二次電池セルと前記外部負極端子間を遮断する保護回路。
【0011】
[2]前記保護素子の前記発熱体と前記第3の端子の間もしくは前記保護素子の前記発熱体と前記第4の端子の間に、第2の可溶導体を有する、上記[1]に記載の保護回路。
【0012】
[3]前記保護素子の前記発熱体と前記第3の端子の間に第2の可溶導体を有し、前記発熱体と前記第4の端子の間に第3の可溶導体を有する、上記[1]に記載の保護回路。
【0013】
[4]第1の端子と、第2の端子と、両端が前記第1の端子と前記第2の端子に接続された第1の可溶導体と、第3の端子と、第4の端子と、前記第3の端子と前記第4の端子の間の第1の通電経路に設置された発熱体とを有する保護素子と、
直列に接続された複数の二次電池セルと、
外部正極端子及び外部負極端子と、
補助電源と、
前記複数の二次電池セルの電圧を監視し異常を検知して信号を出力する制御デバイスと、
前記制御デバイスの信号を受けて通電を切り替えるスイッチとを備え、
前記制御デバイスは前記複数の二次電池セルと接続され、
前記保護素子の前記第1の端子及び前記第2の端子は、前記複数の二次電池セルの正極端と前記外部正極端子との間もしくは前記複数の二次電池セルの負極端と前記外部負極端子との間の第2の通電経路に設置され、
前記保護素子の前記第3の端子及び前記第4の端子は、前記補助電源及び前記スイッチと直列に且つループ状に接続され、
前記保護素子の前記第1の端子と前記第2の端子が接続された前記第2の通電経路と、前記第3の端子から前記補助電源及び前記スイッチを介して前記第4の端子に繋がる第3の通電経路とが接続され、
前記制御デバイスからの前記信号により前記スイッチが通電する様に切り替えられ、前記保護素子の前記発熱体が発熱し前記第1の可溶導体が溶断されて前記複数の二次電池セルと前記外部正極端子間もしくは前記複数の二次電池セルと前記外部負極端子間を遮断する保護回路。
【0014】
[5]前記保護素子の前記発熱体と前記第3の端子の間もしくは前記保護素子の前記発熱体と前記第4の端子の間に、第2の可溶導体を有する、上記[4]に記載の保護回路。
【0015】
[6]前記保護素子の前記発熱体と前記第3の端子の間に第2の可溶導体を有し、前記発熱体と前記第4の端子の間に第3の可溶導体を有する、上記[4]に記載の保護回路。
【0016】
[7]第1の端子と、第2の端子と、両端が前記第1の端子と前記第2の端子に接続された第1の可溶導体と、第3の端子と、前記第3の端子と前記第1の端子もしくは前記第2の端子との間の第1の通電経路に設置された発熱体とを有する保護素子と、
直列に接続された複数の二次電池セルと、
外部正極端子及び外部負極端子と、
補助電源と、
前記複数の二次電池セルの電圧を監視し異常を検知して信号を出力する制御デバイスと、
前記制御デバイスの信号を受けて通電を切り替えるスイッチとを備え、
前記制御デバイスは前記複数の二次電池セルと接続され、
前記保護素子の前記第1の端子と前記第2の端子は、前記複数の二次電池セルの正極端と前記外部正極端子との間もしくは前記複数の二次電池セルの負極端と前記外部負極端子との間の第2の通電経路に設置され、
前記保護素子の前記第3の端子は、前記補助電源と前記スイッチとを経由し、前記保護素子の前記第1の端子と前記第2の端子が接続された前記第2の通電経路に接続され、 前記制御デバイスからの前記信号により前記スイッチが通電する様に切り替えられ、前記保護素子の前記発熱体が発熱し前記第1の可溶導体が溶断されて前記複数の二次電池セルと前記外部正極端子間もしくは前記複数の二次電池セルと前記外部負極端子間を遮断する保護回路。
【0017】
[8]前記保護素子の前記発熱体と前記第3の端子の間に第2の可溶導体を有する、上記[7]に記載の保護回路。
【0018】
[9]前記保護素子の前記発熱体と前記第3の端子の間に第2の可溶導体を有し、前記発熱体と前記第1の端子もしくは前記第2の端子との間に第3の可溶導体を有する、上記[7]に記載の保護回路。
【0019】
[10]前記保護素子の前記第1の端子と前記第2の端子が接続された前記第2の通電経路の極と前記補助電源の前記第3の端子に繋がる側の極と反対の極とが同極で接続されている、上記[4]~[9]のいずれかに記載の保護回路。
【0020】
[11]前記第1の可溶導体は、低融点金属層と高融点金属層とを含む積層体である、上記[4]~[10]のいずれかに記載の保護回路。
【0021】
[12]前記低融点金属層は、SnもしくはSnを主成分とする合金で構成され、前記高融点金属層は、Ag若しくはCu、又はAg若しくはCuを主成分とする合金で構成される、上記[11]に記載の保護回路。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、二次電池の充放電回路を確実に遮断して、高い安全性を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】
図1(a)は、本発明の第1実施形態に係る保護回路の構成の一例を概略的に示す回路図であり、
図1(b)は、保護素子の構成の一例を概略的に示す図である。
【
図2】
図2(a)及び
図2(b)は、
図1(b)の保護素子の構造例を示す断面図である。
【
図3】
図3(a)及び
図3(b)は、
図1(a)の保護回路及び
図1(b)の保護素子の変形例を示す図である。
【
図4】
図4(a)及び
図4(b)は、
図1(a)の保護回路及び
図1(b)の保護素子の他の変形例を示す図である。
【
図5】
図5(a)は、本発明の第2実施形態に係る保護回路の構成の一例を概略的に示す回路図であり、
図5(b)は、保護素子の構成の一例を概略的に示す図である。
【
図6】
図6(a)及び
図6(b)は、
図5(a)の保護回路及び
図5(b)の保護素子の変形例を示す図である。
【
図7】
図7(a)及び
図7(b)は、
図5(a)の保護回路及び
図5(b)の保護素子の他の変形例を示す図である。
【
図8】
図8(a)は、本発明の第3実施形態に係る保護回路の構成の一例を概略的に示す回路図であり、
図8(b)は、保護素子の構成の一例を概略的に示す図である。
【
図9】
図9(a)及び
図9(b)は、
図8(a)の保護回路及び
図8(b)の保護素子の変形例を示す図である。
【
図11】
図11は、本発明の第4実施形態に係る保護回路の構成の一例を概略的に示す回路図である。
【
図13】
図13(a)及び
図13(b)は、従来の保護回路及び従来の保護素子の構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。以下の説明で用いる図面は、特徴をわかりやすくするために便宜上特徴となる部分を拡大して示している場合があり、各構成要素の寸法比率などは実際とは異なっていることがある。以下の説明において例示される材料、寸法等は一例であって、本発明はそれらに限定されるものではなく、本発明の効果を奏する範囲で適宜変更して実施することが可能である。
【0025】
図1(a)は、本発明の第1実施形態に係る保護回路の構成の一例を概略的に示す回路図である。
図1(a)に示すように、保護回路1Aは、保護素子10A、複数の二次電池セル20,20,・・・、外部正極端子30a及び外部負極端子30b、補助電源40、第1の制御デバイス50(制御デバイス)及びスイッチ60を備える。複数の二次電池セル20,20,・・・は直列に接続されており、複数の二次電池セル20,20,・・・の正極端20aが後述の外部正極端子に接続され、負極端20bが後述の外部不負極端子に接続されている。複数の二次電池セル20,20,・・・は、二次電池であり、例えばリチウムイオン二次電池などが挙げられる。複数の二次電池セル20,20,・・・の全電圧は、蓄電池用途の場合は少なくとも100V以上であり、EV用途となると例えば350V以上800V以下である。保護回路1Aは、外部正極端子30a及び外部負極端子30bを有しており、これら外部正極端子30a及び外部負極端子30bを介して外部の充電装置に接続されている。
【0026】
保護素子10Aは、
図1(b)に示すように、第1の端子11と、第2の端子12と、両端が第1の端子11と第2の端子12に接続された第1の可溶導体15と、第3の端子13と、第4の端子14と、第3の端子13と第4の端子14の間の第1の通電経路P1
Aに設置された発熱体16とを有する。本実施形態では、保護素子10Aの第1の端子11及び第2の端子12は、複数の二次電池セル20,20,・・・の負極端20bと外部負極端子30bとの間の第2の通電経路P2
Aに設置されている。また、保護素子10Aの第3の端子13及び第4の端子14は、補助電源40及びスイッチ60と直列に且つループ状に接続されている。
【0027】
第1の可溶導体15は、例えば、不図示の筐体内に収容されたヒューズエレメントで構成されている。ヒューズエレメントは、例えば薄片状あるいは棒状である。第1の可溶導体15の一端15aは第1の端子11に、他端15bは第2の端子12にそれぞれ接続されている。
【0028】
第1の可溶導体15は、低融点金属層と、該低融点金属よりも融点の高い高融点金属で構成された高融点金属層とを含む積層体であるのが好ましい。また、第1の可溶導体15は、内層としての低融点金属層と、上記内層としての低融点金属層を被覆する外層としての高融点金属層とで構成される被覆構造を有するのがより好ましい。例えば、第1の可溶導体15は、内層と、これを挟む外層とが厚み方向に積層された3層構造の積層体であって、内層と外層とが軟化温度の異なる材料からなるものであってもよい。このような第1の可溶導体15では、積層体の内層と外層のうち、軟化温度の低い材料の層において固相と液相の混在状態が先に始まり、軟化温度の高い材料の層が軟化温度に達する前に切断され得る。
【0029】
上記低融点金属層は、例えばSnもしくはSnを主成分とする合金で構成される。Snの融点は232℃であるため、Snを主成分とする金属は低融点であり、低温で柔らかくなる。例えば、Sn/Ag3%/Cu0.5%合金の固相線は217℃である。また、上記低融点金属層を構成する材料として、従来からヒューズ材料として使用されている種々の低融点金属を用いることができる。低融点金属としては、SnSb合金、BiSnPb合金、BiPbSn合金、BiPb合金、BiSn合金、SnPb合金、SnAg合金、SnAgCu合金、PbIn合金、ZnAl合金、InSn合金、PbAgSn合金等を挙げることができる。
【0030】
上記高融点金属層を構成する材料は、例えばAg若しくはCu、又はAg若しくはCuを主成分とする合金で構成される。Agの融点は962℃、銅の融点は1085℃であるため、Ag若しくはCuを主成分とする金属からなる層は、低融点金属からなる層が柔らかくなる温度では剛性が維持される。
【0031】
発熱体16は、板状部材であり、例えば絶縁基板と、該絶縁基板上に形成された発熱部とを有する。発熱体16は、例えば第1の可溶導体15と当接して配置されるか或いは第1の可溶導体15の直上に配置される。この場合、発熱体16は、第1の可溶導体15を加熱して軟化させる機能と、後述する押圧手段の押圧力を第1の可溶導体15に付与して当該第1の可溶導体15を切断する機能とを有するのが好ましい。
【0032】
上記絶縁基板としては、公知の絶縁性を有する基板を用いることができ、例えば、アルミナ、ガラスセラミックス、ムライト、ジルコニアなどからなるものが挙げられる。
【0033】
上記発熱部は、通電されることにより発熱する導電性材料からなる抵抗体であることが好ましい。発熱部の材料としては、例えば、ニクロム、W、Mo、Ruなどの金属を含む材料が挙げられる。この発熱部は、例えば、酸化ルテニウムやカーボンブラック等の導電材料と、水ガラス等の無機系バインダや熱硬化性樹脂等の有機系バインダとからなる抵抗ペーストを塗布し、必要に応じて焼成することによって形成される。また、発熱部としては、酸化ルテニウムやカーボンブラック等の薄膜を、印刷、メッキ、蒸着、スパッタの工程を経て形成してもよく、これらフィルムの貼付や積層等によって形成してもよい。
【0034】
図2(a)及び
図2(b)は、
図1(b)の保護素子10Aの構造例を示す断面図である。
図2(a)及び
図2(b)の保護素子10Aの構造は例示であり、本発明の保護素子の構造はこれに限定されない。
図2(a)に示すように、保護素子10Aは、一端2a及び他端2bの間に切断部2cを有するヒューズエレメント(第1の可溶導体)2と、発熱体3a及び凸状部材3bを有する可動部材3と、凹状部材4と、押圧手段5と、ケース6とを備えている。
【0035】
ヒューズエレメント2の一端2aは第1の端子6aに、他端2bは第2の端子6bに、はんだ付け等でそれぞれ接続されている。発熱体3aの一端は不図示の第3の端子に、多端は不図示の第4の端子に、それぞれ接続されている。凸状部材3bは、押圧手段5の押圧力をヒューズエレメント2の切断部2cに負荷する機能を有しており、凸状部材3bの凸部3cが発熱体3aに圧接している。凹状部材4は、可動部材3に対向して配置されており、可動部材3と協働してヒューズエレメント2の切断部2aを挟み込んでいる。凹状部材4の凹部4aは、発熱体3aの凸部3cを収容可能に形成されている。押圧手段5は、可動部材3と凹状部材4とが切断部2cを挟み込むと共に、切断部2aの切断時にこれらの相対的な距離を縮めるように、可動部材3に力を加えるものである。押圧手段5としては、例えばバネが用いられ、Z方向への復元力を保持した状態で凸状部材3bとケース6との間に収容される。
【0036】
この保護素子10Aでは、可動部材3の発熱体3aが発熱すると、ヒューズエレメント2の軟化温度以上の温度においてヒューズエレメント2が軟化し、これに伴って押圧手段5の押圧力により凸状部材3bの凸部3cが凹状部材4の凹部4a内に入り込む。その結果、切断部2cが一端2a(又は他端2b)と切り離され、ヒューズエレメント2が切断される(
図2(b))。
【0037】
補助電源40は、複数の二次電池セル20,20,・・・と電気的に独立して設けられている。この補助電源40は、通電時に第1の可溶導体15を溶断可能な電力を供給することができる構成であれば特に制限されないが、例えば公知の一次電池や二次電池などで構成される。二次電池としては、例えば鉛蓄電池、リチウムイオン電池などが挙げられる。補助電源の電圧は、例えば10V以上56V以下である。
【0038】
第1の制御デバイス50は、複数の二次電池セル20,20,・・・と接続されており、複数の二次電池セル20,20,・・・の一又は複数の電圧を監視し、異常を検知して信号を出力する。第1の制御デバイス50は、例えばICであり、保護素子10Aの第2の通電経路P2Aに接続された複数の二次電池セル20,20,・・・の各々の電圧を検出し、該電圧に基づいて複数の二次電池セル20,20,・・・に過充電などの異常が生じたか否かを判別する。複数の二次電池セル20,20,・・・で異常が生じた場合、第1の制御デバイス50は、保護素子10Aを作動させることにより通電経路を遮断する。
【0039】
スイッチ60は、第1の制御デバイス50の信号を受けて通電を切り替える。スイッチ60は、特に制限されないが、例えば電界効果トランジスタ(以下、FETともいう)である。FETとしては、特に制限は無いが、例えば接合型FETやMOS型FETを用いることができる。本実施形態では、FETのゲートが第1の制御デバイス50に接続され、ドレインが発熱体16に接続されている。スイッチ60は、第1の制御デバイス50から出力される制御信号によってオン又はオフ動作する。
【0040】
本実施形態では、保護回路1Aは、第2の制御デバイス80及びスイッチ90,90を更に備えている。第2の制御デバイス80は、例えばICであり、複数の二次電池セル20,20,・・・の全体の電圧を監視し、異常を検知して信号を出力する。スイッチ90,90は、第2の制御デバイス80の信号を受けて通電を切り替える。スイッチ90,90は、特に制限されないが、例えばFETである。保護回路1Aは、第2の制御デバイス80及びスイッチ90,90を備えているのが好ましいが、これらを備えていなくてもよい。
【0041】
上記のように構成される保護回路1Aにおいて、複数の二次電池セル20,20,・・・の充電時には、充電装置から外部回路を介して複数の二次電池セル20,20,・・・に電力が供給される。また、複数の二次電池セル20,20,・・・の放電時には、複数の二次電池セル20,20,・・・から外部回路に電力が供給される。外部回路には、例えば不図示のモーターやコンバータなどの負荷が接続される。
【0042】
この保護回路1Aでは、第1の制御デバイス50からの信号によりスイッチ60が通電する様に切り替えられ、保護素子10の発熱体16が発熱し第1の可溶導体15が溶断されて複数の二次電池セル20,20,・・・と外部負極端子30b間を遮断する。具体的には、第1の制御デバイス50は、複数の二次電池セル20,20,・・・の各々の電圧を検出し、複数の二次電池セル20,20,・・・のいずれか又は複数の電圧が過放電又は過充電状態を示す所定値から外れると判断したときに、スイッチ60へ制御信号を出力する。そして第1の通電経路P1A上のスイッチ60がオン動作することにより、補助電源40から発熱体16に電力が供給されて発熱体16が発熱する。この発熱体16の熱により、第2の通電経路P2A上の第1の可溶導体15が溶断され、これにより保護回路1Aの通電経路が遮断される。
【0043】
上述したように、本実施形態によれば、第1の可溶導体15を経由する複数の二次電池セル20,20,・・・が接続された第2の通電経路P2Aと、発熱体16と補助電源40を接続する第1の通電経路P1Aとを独立させた構成とすることにより、第1の通電経路P1Aにおいて発熱体16の仕様を適切に選定することができる。したがって第2の通電経路P2Aで大電圧、大電流が生じる場合であっても、第1の通電経路P1Aで発熱体16に印加される電圧を下げることで耐電圧を十分に確保することができ、その結果、複数の二次電池セル20,20,・・・の充放電回路を確実に遮断して、高い安全性を実現することが可能となる。特に、電気自動車などの車両の使用時に不慮の事故や天災地変等が発生した場合であっても、複数の二次電池セル20,20,・・・の充放電回路に因る感電を防止することが可能となる。
【0044】
また、保護素子10Aの第1の端子11及び第2の端子12は、複数の二次電池セル20,20,・・・の負極端20bと外部負極端子30bとの間の第2の通電経路P2Aに設置されており、保護素子10Aの第3の端子13及び第4の端子14は、補助電源40及びスイッチ60と直列に且つループ状に接続されているので、補助電源40の電圧のみを発熱体16に確実に印加することができる。このため、数百ボルト(例えば、350V以上)の大容量リチウムイオン電池が搭載された電気自動車などの動力用の充放電回路において、安全性の高い保護回路を構築することができる。
【0045】
図3(a)は、
図1(a)の保護回路1Aの変形例を示す回路図である。
図3(a)の保護回路1Bは、保護素子10Aに代えて保護素子10Bを有する点で
図1(a)の保護回路1Aと異なる。
図3(a)の保護回路1Bの他の構成は、
図1(a)の保護回路1Aの構成と基本的に同じであり、同一の構成要素には、同一番号を付してその説明を省略し、主に異なる部分を以下に説明する。
【0046】
保護回路1Bは、保護素子10B、複数の二次電池セル20,20,・・・、外部正極端子30a及び外部負極端子30b、補助電源40、第1の制御デバイス50及びスイッチ60を備える。保護素子10Bは、
図3(b)に示すように、保護素子10Bの発熱体16と第4の端子14の間に第2の可溶導体17を有している。第2の可溶導体17は、第1の可溶導体15と同様に発熱体16で発生する熱によって溶断される構成であってもよいし、第1の通電経路P1
Aに流れる電流によって自己発熱(ジュール熱)により溶断される構成であってもよい。また本変形例では、保護素子10Bは、保護素子10Bの発熱体16と第4の端子14の間に第2の可溶導体17を有しているが、これに限らず、保護素子10Bの発熱体16と第3の端子13の間に第2の可溶導体17を有していてもよい。このように保護素子10Bの第1の通電経路P1
Aに第2の可溶導体17を設けることにより、第2の通電経路P2
Aの遮断に加えて第1の通電経路P1
Aを遮断することができ、より安全性の高い保護回路を構築することができる。
【0047】
図4(a)は、
図1(a)の保護回路1Aの他の変形例を示す回路図である。
図4(a)の保護回路1Cは、保護素子10Aに代えて保護素子10Cを有する点で
図1の保護回路1Aと異なる。
図4(a)の保護回路1Cの他の構成は、
図1(a)の保護回路1Aの構成と基本的に同じであり、同一の構成要素には、同一番号を付してその説明を省略し、主に異なる部分を以下に説明する。
【0048】
図4(a)に示すように、保護回路1Cは、保護素子10C、複数の二次電池セル20,20,・・・、外部正極端子30a及び外部負極端子30b、補助電源40、第1の制御デバイス50及びスイッチ60を備える。保護素子10Cは、
図4(b)に示すように、保護素子10Bの発熱体16と第3の端子13の間に第2の可溶導体17を有し、発熱体16と第4の端子14の間に第3の可溶導体18を有している。第2の可溶導体17は、第1の可溶導体15と同様に発熱体16で発生する熱によって溶断される構成であってもよいし、第1の通電経路P1
Aに流れる電流によって自己発熱(ジュール熱)により溶断される構成であってもよい。第3の可溶導体18は、第1の可溶導体15と同様に発熱体16で発生する熱によって溶断される構成であってもよいし、通電経路P1
Aに流れる電流によって自己発熱(ジュール熱)により溶断される構成であってもよい。また、不図示の押圧手段の押圧力を発熱体16に付与して当該第2の可溶導体17と第3の可溶導体18を切断しても良い。このように保護素子10Cの通電経路P1
Aに第2の可溶導体17及び第3の可溶導体18を設けることにより、第2の通電経路P2
Aの遮断に加えて第1の通電経路P1
Aを確実に遮断することができ、更に安全性の高い保護回路を構築することができる。
【0049】
図5(a)は、本発明の第2実施形態に係る保護回路の構成の一例を概略的に示す回路図であり、
図5(b)は、保護素子の構成の一例を概略的に示す図である。
図5(a)の保護回路1Dの構成は、補助電源40が複数の二次電池セル20,20,・・・と電気的に接続されている点で保護回路1Aの構成と異なる。
図5(a)の保護回路1Dの他の構成は、
図1(a)の保護回路1Aの構成と基本的に同じであり、同一の構成要素には、同一番号を付してその説明を省略し、主に異なる部分を以下に説明する。
【0050】
図5(a)に示すように、保護回路1Dは、保護素子10A、複数の二次電池セル20,20,・・・、外部正極端子30a及び外部負極端子30b、補助電源40、第1の制御デバイス50及びスイッチ60を備える。保護素子10Aの発熱体16は、第3の端子13と第4の端子14の間の第1の通電経路P1
Bに設置されている。
【0051】
本実施形態では、補助電源40の正極端40aがスイッチ60に接続され、負極端40bが外部負極端子30bに接続されている。この補助電源40の負極端40bは、保護素子10Aの第1の可溶導体15を介して複数の二次電池セル20,20,・・・の負極端20bと接続されている。そして、保護素子10Aの第1の端子11と第2の端子12が接続された第2の通電経路P2Bと、第3の端子13から補助電源40及びスイッチ60を介して第4の端子14に繋がる第3の通電経路P3Bとが接続されている。
【0052】
この保護回路1Dでも、保護回路1Aと同様、第1の制御デバイス50からの信号によりスイッチ60が通電する様に切り替えられ、保護素子10Aの発熱体16が発熱し第1の可溶導体15が溶断されて複数の二次電池セル20,20,・・・と外部負極端子30b間を遮断する。
【0053】
本実施形態によれば、第2の通電経路P2Bで大電圧、大電流が生じる場合であっても、第1の通電経路P1Bで発熱体16に印加される電圧を下げることで耐電圧を十分に確保することができ、その結果、複数の二次電池セル20,20,・・・の充放電回路を確実に遮断して、高い安全性を実現することが可能となる。また、保護素子10Aの回路配置をGND側とすることにより、発熱体16と第1の可溶導体15間の電圧を補助電源40の電圧のみとすることができる。例えば、電気自動車の充放電回路に保護回路1Dを適用する場合、動力用の複数の二次電池セル20,20,・・・とは別個に車両に搭載されたバッテリー(例えば、48V)を補助電源40として利用することにより、安全性を向上しつつ汎用性の高い保護回路を構築することができ、加えて、保護回路の省スペース化や車両の重量増大の抑制を図ることができる。
【0054】
図6(a)及び
図6(b)は、
図5(a)の保護回路1D及び
図5(b)の保護素子の変形例を示す図である。
図6(a)の保護回路1Eは、保護素子10Aに代えて保護素子10Bを有する点で
図5(a)の保護回路1Dと異なる。
【0055】
保護回路1Eは、保護素子10B、複数の二次電池セル20,20,・・・、外部正極端子30a及び外部負極端子30b、補助電源40、第1の制御デバイス50及びスイッチ60を備える。保護素子10Bは、
図6(b)に示すように、保護素子10Bの発熱体16と第4の端子14の間に第2の可溶導体17を有している。本変形例では、保護素子10Bは、保護素子10Bの発熱体16と第4の端子14の間に第2の可溶導体17を有しているが、これに限らず、保護素子10Bの発熱体16と第3の端子13の間に第2の可溶導体17を有していてもよい。このように保護素子10Bの第1の通電経路P1
Bに第2の可溶導体17を設けることにより、第2の通電経路P2
Bの遮断に加えて第1の通電経路P1
Bを遮断することができ、より安全性の高い保護回路を構築することができる。
【0056】
図7(a)及び
図7(b)は、
図5(a)の保護回路1D及び
図5(b)の保護素子10Aの他の変形例を示す図である。
図7(a)の保護回路1Fは、保護素子10Aに代えて保護素子10Cを有する点で
図5の保護回路1Dと異なる。
【0057】
図7(a)に示すように、保護回路1Fは、保護素子10C、複数の二次電池セル20,20,・・・、外部正極端子30a及び外部負極端子30b、補助電源40、第1の制御デバイス50及びスイッチ60を備える。保護素子10Cは、
図6(b)に示すように、保護素子10Bの発熱体16と第3の端子13の間に第2の可溶導体17を有し、発熱体16と第4の端子14の間に第3の可溶導体18を有している。このように保護素子10Cの通電経路P1
Bに第2の可溶導体17及び第3の可溶導体18を設けることにより、第2の通電経路P2
Bの遮断に加えて第1の通電経路P1
Bを確実に遮断することができ、更に安全性の高い保護回路を構築することができる。
【0058】
図8(a)は、本発明の第3実施形態に係る保護回路の構成の一例を概略的に示す回路図であり、
図8(b)は、保護素子の構成の一例を概略的に示す図である。
図8(a)の保護回路1Gの構成は、保護素子10Dの第3の端子13が保護素子10D内で第2の端子12に接続されている点で保護回路1Dの構成と異なる。
図8(a)の保護回路1Gの他の構成は、
図5(a)の保護回路1Dの構成と基本的に同じであり、同一の構成要素には、同一番号を付してその説明を省略し、主に異なる部分を以下に説明する。
【0059】
図8(a)に示すように、保護回路1Gは、保護素子10D、複数の二次電池セル20,20,・・・、外部正極端子30a及び外部負極端子30b、補助電源40、第1の制御デバイス50及びスイッチ60を備える。保護素子10Dは、第1の端子11と、第2の端子12と、両端が第1の端子11と第2の端子12に接続された第1の可溶導体15と、第3の端子13と、第3の端子13と第2の端子12との間の第1の通電経路P1
Cに設置された発熱体16とを有している。本実施形態では、発熱体16は、第3の端子13と第2の端子12との間の第1の通電経路P1
Cに設置されているが、これに限らず、第3の端子13と第1の端子11との間の第1の通電経路に設置されてもよい。
【0060】
本実施形態では、補助電源40の正極端40aがスイッチ60に接続され、負極端40bが外部負極端子30bに接続されている。この補助電源40の負極端40bは、保護素子10Dの第1の可溶導体15を介して複数の二次電池セル20,20,・・・の負極端20bと接続されている。そして、保護素子10Dの第3の端子13は、補助電源40とスイッチ60とを経由し、保護素子10Dの第1の端子11と第2の端子12が接続された第2の通電経路P2Cに接続されている。また、保護素子10Dの第1の端子11と第2の端子12が接続された第2の通電経路P2Cの極と補助電源40の第3の端子13に繋がる側の極と反対の極とが同極で接続されていてもよい。
【0061】
この保護回路1Gでも、保護回路1Dと同様、第1の制御デバイス50からの信号によりスイッチ60が通電する様に切り替えられ、保護素子10Dの発熱体16が発熱し第1の可溶導体15が溶断されて複数の二次電池セル20,20,・・・と外部負極端子30b間を遮断する。
【0062】
本実施形態によれば、第2の通電経路P2
Cで大電圧、大電流が生じる場合であっても、第1の通電経路P1
Cで発熱体16に印加される電圧を下げることで耐電圧を十分に確保することができ、その結果、複数の二次電池セル20,20,・・・の充放電回路を確実に遮断して、高い安全性を実現することが可能となる。また、
図5(a)の保護回路1Dと同様、保護素子10Dの回路配置をGND側とすることにより、発熱体16と第1の可溶導体15間の電圧を補助電源40の電圧のみとすることができるので、安全性を向上しつつ汎用性の高い保護回路を構築することができ、加えて、保護回路の省スペース化や車両の重量増大の抑制を図ることができる。更に、保護素子10Dが第4の端子14を有さない構成であるので、保護素子10Dの構成を簡略化し、ひいては保護回路1Gの構成の簡略化、軽量化を図ることができる。
【0063】
図9(a)及び
図9(b)は、
図8(a)の保護回路1G及び
図8(b)の保護素子10Dの変形例を示す図である。
図9(a)の保護回路1Hは、保護素子10Dに代えて保護素子10Eを有する点で
図8(a)の保護回路1Gと異なる。
【0064】
保護回路1Hは、保護素子10E、複数の二次電池セル20,20,・・・、外部正極端子30a及び外部負極端子30b、補助電源40、第1の制御デバイス50及びスイッチ60を備える。保護素子10Eは、
図9(b)に示すように、保護素子10Eの発熱体16と第3の端子13の間に第2の可溶導体17を有している。本変形例では、保護素子10Eは、保護素子10Bの発熱体16と第3の端子13の間に第2の可溶導体17を有しているが、これに限らず、保護素子10Eの発熱体16と第2の端子12の間に第2の可溶導体17を有していてもよい。このように保護素子10Eの第1の通電経路P1
Cに第2の可溶導体17を設けることにより、第2の通電経路P2
Cの遮断に加えて第1の通電経路P1
Cを遮断することができ、より安全性の高い保護回路を構築することができる。
【0065】
図10(a)及び
図10(b)は、
図8(a)の保護回路1G及び
図8(b)の保護素子10Dの他の変形例を示す図である。
図10(a)の保護回路1Jは、保護素子10Dに代えて保護素子10Fを有する点で
図8の保護回路1Gと異なる。
【0066】
図10(a)に示すように、保護回路1Jは、保護素子10F、複数の二次電池セル20,20,・・・、外部正極端子30a及び外部負極端子30b、補助電源40、第1の制御デバイス50及びスイッチ60を備える。保護素子10Fは、
図10(b)に示すように、保護素子10Fの発熱体16と第3の端子13の間に第2の可溶導体17を有し、発熱体16と第2の端子12の間に第3の可溶導体18を有している。このように保護素子10Fの通電経路P1
Cに第2の可溶導体17及び第3の可溶導体18を設けることにより、第2の通電経路P2
Cの遮断に加えて第1の通電経路P1
Cを確実に遮断することができ、更に安全性の高い保護回路を構築することができる。
【0067】
図11は、本発明の第4実施形態に係る保護回路の構成の一例を概略的に示す回路図である。
図11の保護回路1Kの構成は、保護素子10Dが、外部正極端子30aと複数の二次電池セル20,20,・・・との間に設置されている点で保護回路1Dの構成と異なる。
図11の保護回路1Kの他の構成は、
図8(a)の保護回路1Gの構成と基本的に同じであり、同一の構成要素には、同一番号を付してその説明を省略し、主に異なる部分を以下に説明する。
【0068】
図11に示すように、保護回路1Kは、保護素子10D、複数の二次電池セル20,20,・・・、外部正極端子30a及び外部負極端子30b、補助電源40、第1の制御デバイス50及びスイッチ60を備える。保護素子10Dは、第1の端子11と、第2の端子12と、両端が第1の端子11と第2の端子12に接続された第1の可溶導体15と、第3の端子13と、第3の端子13と第1の端子11との間の第1の通電経路P1
Dに設置された発熱体16とを有している。本実施形態では、発熱体16は、第3の端子13と第1の端子11との間の第1の通電経路P1
Cに設置されているが、これに限らず、第3の端子13と第2の端子12との間の第1の通電経路に設置されてもよい。
【0069】
本実施形態では、補助電源40の正極端40aが外部正極端子30aに接続され、負極端40bがスイッチ60に接続されている。また、補助電源40の正極端40aは、保護素子10Dの第1の可溶導体15を介して複数の二次電池セル20,20,・・・の正極端20aと接続されている。そして、保護素子10Dの第3の端子13は、補助電源40とスイッチ60とを経由し、保護素子10Dの第1の端子11と第2の端子12が接続された第2の通電経路P2Dに接続されている。また、保護素子10Dの第1の端子11と第2の端子12が接続された第2の通電経路P2Dの極と補助電源40の第3の端子13に繋がる側の極と反対の極とが同極で接続されていてもよい。
【0070】
この保護回路1Kでも、保護回路1Gと同様、第1の制御デバイス50からの信号によりスイッチ60が通電する様に切り替えられ、保護素子10Dの発熱体16が発熱し第1の可溶導体15が溶断されて複数の二次電池セル20,20,・・・と外部正極端子30a間を遮断する。よって、第2の通電経路P2Dで大電圧、大電流が生じる場合であっても、第1の通電経路P1Dで発熱体16に印加される電圧を下げることで耐電圧を十分に確保することができ、高い安全性を実現することが可能となる。
【0071】
図12は、
図8(a)の保護回路1Gの他の変形例を示す図である。
図12の保護回路1Lの構成は、
図8(a)の保護回路1Gの構成と基本的に同じであり、同一の構成要素には、同一番号を付してその説明を省略し、主に異なる部分を以下に説明する。
図12に示すように、第1の制御デバイス50は、車両に搭載されたECUなどの制御装置91から信号を受信し、該信号に基づいてスイッチ60に信号を出力してもよい。例えば、制御装置91は、複数の二次電池セル20,20,・・・の電圧の異常と、車両で生じた他の異常とのいずれか又は双方を検知した場合に、スイッチ60に信号を出力する。本変形例によれば、複数の二次電池セル20,20,・・・の電圧の異常だけでなく、車両で生じた各種異常を検知して、複数の二次電池セル20,20,・・・と外部負極端子30b間を遮断するので、車両内の制御装置91と連携させることでより高い安全性を実現することができる。
【0072】
以上、本発明の実施形態について詳述したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲内に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。
【産業上の利用可能性】
【0073】
本発明の保護回路は、リチウムイオン電池などの様々な二次電池の充放電回路に適用することができる。特に、電気自動車(EV)などの車両、船舶、飛行機など、二次電池を動力源とする移動体の充放電回路に好適である。
【符号の説明】
【0074】
1A 保護回路
1B 保護回路
1C 保護回路
1D 保護回路
1E 保護回路
1F 保護回路
1G 保護回路
1H 保護回路
1J 保護回路
1K 保護回路
1L 保護回路
2 ヒューズエレメント
2a 一端
2b 他端
2c 切断部
3a 発熱体
3b 凸状部材
3c 凸部
3 可動部材
4 凹状部材
4a 凹部
5 押圧手段
6 ケース
6a 第1の端子
6b 第2の端子
10 保護素子
10A 保護素子
10B 保護素子
10C 保護素子
10D 保護素子
10E 保護素子
10F 保護素子
11 第1の端子
12 第2の端子
13 第3の端子
14 第4の端子
15 第1の可溶導体
15a 一端
15b 多端
16 発熱体
17 第2の可溶導体
18 第3の可溶導体
20 二次電池セル
20a 正極端
20b 負極端
30a 外部正極端子
30b 外部負極端子
40 補助電源
40a 正極端
40b 負極端
50 第1の制御デバイス
60 スイッチ
80 第2の制御デバイス
90 スイッチ
91 制御装置