(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024011489
(43)【公開日】2024-01-25
(54)【発明の名称】仮想空間システム
(51)【国際特許分類】
G06F 3/0488 20220101AFI20240118BHJP
【FI】
G06F3/0488
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022113497
(22)【出願日】2022-07-14
【新規性喪失の例外の表示】新規性喪失の例外適用申請有り
(71)【出願人】
【識別番号】522284096
【氏名又は名称】newtrace株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100166372
【弁理士】
【氏名又は名称】山内 博明
(72)【発明者】
【氏名】柴原 誉幸
【テーマコード(参考)】
5E555
【Fターム(参考)】
5E555AA11
5E555AA76
5E555BA06
5E555BA14
5E555BB06
5E555BB14
5E555BC08
5E555BC09
5E555BD01
5E555BE12
5E555CA12
5E555CB16
5E555CB55
5E555CC26
5E555DA02
5E555DB32
5E555DB49
5E555DB53
5E555DC05
5E555DC19
5E555DD06
5E555FA00
(57)【要約】
【課題】臨場感をユーザに提供することができるという効果をある程度維持しつつ、ユーザの操作性を向上させた仮想空間システムを提供すること。
【解決手段】ユーザによって操作されるタッチパネルディスプレイを有するハンディタイプのクライアント装置を備える仮想空間システムであって、前記クライアント装置は、前記タッチパネルディスプレイに仮想空間にある画像の一部を表示する手段と、前記ユーザによってされるスワイプ操作を受け付ける手段と、前記スワイプ操作のスワイプ方向に従って前記画像の表示領域を遷移させる手段と、を有する仮想空間システム。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザによって操作されるタッチパネルディスプレイを有するハンディタイプのクライアント装置を備える仮想空間システムであって、
前記クライアント装置は、
前記タッチパネルディスプレイに仮想空間にある画像の一部を表示する手段と、
前記ユーザによってされるスワイプ操作を受け付ける手段と、
前記スワイプ操作のスワイプ方向に従って前記画像の表示領域を遷移させる手段と、
を有する仮想空間システム。
【請求項2】
前記表示領域の遷移は、仮想ユーザが仮想通路上を移動する態様でなされる、請求項1記載の仮想空間システム。
【請求項3】
前記仮想空間内における仮想ブースと当該仮想ブースにおける仮想ユーザ対応の担当者の連絡先とを紐付けて格納する格納手段と、
前記仮想空間内にいる仮想ユーザが前記仮想ブース内に到来したことを検知する検知手段と、
前記検知手段によって前記到来が検知された場合に前記格納手段によって格納された当該仮想ブースに対応する連絡先に通知を行う通知手段と、
を備える、請求項1記載の仮想空間システム。
【請求項4】
前記前記仮想空間は、ウェブブラウザを用いて表示される、請求項1記載の仮想空間システム。
【請求項5】
前記クライアント装置とネットワークを介して接続されるサーバ装置と、
を備える、
請求項1記載の仮想空間システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、仮想空間システムに関し、特に、ウェブブラウザを用いて表示することができる仮想空間システムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、本出願人のグループ会社(スペースラボ株式会社)らによる、アプリケーションプログラムを用いることのないコミュニケーションシステムが開示されている。このコミュニケーションシステムは、ユーザを模したアバター画像を、仮想展示場を典型例とする仮想空間内で移動させ、移動先で他のユーザを模したアバター画像を通じて、当該他のユーザとコミュニケーションを図るというものである。
【特許文献1】特開2022-65363号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
特許文献1の開示事項によれば、アバター画像を比較的自由に仮想空間内で移動させることが可能であるので、あたかも、現実空間にいるかのような臨場感をユーザに提供することができるという効果がある。この種のコミュニケーションシステムは、仮想展示場のみならず、仮想モール、仮想美術館などにも適用できる。
【0004】
しかし、アバター画像の移動のための操作を、スマートフォンのようにタッチパネルディスプレイを有するハンディタイプの情報処理装置を通じて行う場合、アバター画像を比較的自由に仮想空間内で移動させることが可能であることが寧ろ操作性の面においては好ましくない場合もある。
【0005】
そこで、本発明は、臨場感をユーザに提供することができるという効果をある程度維持しつつ、ユーザの操作性を向上させた仮想空間システムを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明は、
ユーザによって操作されるタッチパネルディスプレイを有するハンディタイプのクライアント装置を備える仮想空間システムであって、
前記クライアント装置は、
前記タッチパネルディスプレイに仮想空間にある画像の一部を表示する手段と、
前記ユーザによってされるスワイプ操作を受け付ける手段と、
前記スワイプ操作のスワイプ方向に従って前記画像の表示領域を遷移させる手段と、
を有する。
【0007】
前記表示領域の遷移は、仮想ユーザが仮想通路上を移動する態様でなされるとよい。
【0008】
なお、前記仮想空間内における仮想ブースと当該仮想ブースにおける仮想ユーザ対応の担当者の連絡先とを紐付けて格納する格納手段と、
前記仮想空間内にいる仮想ユーザが前記仮想ブース内に到来したことを検知する検知手段と、
前記検知手段によって前記到来が検知された場合に前記格納手段によって格納された当該仮想ブースに対応する連絡先に通知を行う通知手段と、
を備えることもできる。
【0009】
また、前記仮想空間は、ウェブブラウザを用いて表示されるようにしてもよい。
【0010】
前記クライアント装置とネットワークを介して接続されるサーバ装置と、
を備えることもできる。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して説明する。
【0012】
図1は、本発明の実施形態の仮想空間システムを適用したコミュニケーションシステムの模式的な構成を示すブロック図である。
図1には、以下説明する、サーバ装置100と、第1~第nクライアント装置200A~200N(これらを区別しないものを「クライアント装置200」と称する。)と、ネットワーク300と、を示している。
【0013】
サーバ装置100は、ウェブサービスを提供する機能を備えており、クライアント装置200からのイニシャル処理の要求に応じて、仮想空間に表示する仮想美術館などの背景画像や絵画作品画像などの品物画像といったコンテンツ画像・通知の着信表示画像を送信するとともに、クライアント装置200からのランニング処理の要求に応じて、仮想空間にコンテンツ画像・映像信号・通知の着信表示画像を表示するための制御信号、音声信号を出力するための制御信号を送信し、クライアント装置200を操作する一のユーザと他のユーザ又は仮想ユーザ対応の担当者との間で、仮想空間におけるコミュニケーションを図れるようにしている。
【0014】
クライアント装置200は、当該担当者及びユーザが操作するものである。各クライアント装置200は、ウェブブラウザがインストールされており、例えばサーバ装置100から送信される制御信号に基づいて映像信号及び音声信号を生成して、ウェブブラウザによってディスプレイ510(
図3)に表示及びスピーカ520(
図3)から出力するようにしている。クライアント装置200としては、パーソナルコンピュータ、タブレット端末、スマートフォン、PDA(Personal Digital Assistant)など、通信機能、表示機能、音声入出力機能を有している情報処理装置を用いることができる。本実施形態では、以下、主として、クライアント装置200としてスマートフォンを利用する場合を例に説明する。
【0015】
ネットワーク300は、インターネットを必須としたネットワーク全般の総称である。ネットワーク300には、インターネットの下流で構築されるローカルエリアネットワーク(LAN)などのネットワークを含むこともできるし、携帯電話回線を含むこともできる。
【0016】
図2は、
図1に示すサーバ装置100の模式的な構成を示すブロック図である。
図2には、以下説明する、映像信号制御手段110と、音声信号制御手段120と、送信量制御手段130と、コンテンツ格納手段140と、算出手段150と、データベース160と、格納手段170と、検知手段180と、通知手段190と、を示している。
【0017】
映像信号制御手段110は、後述する
図4~
図6に示す画像を表示するために必要な制御信号を生成するものである。具体的には、映像信号制御手段110は、例えば、仮想空間にある仮想美術館などの背景画像に、絵画作品画像などの品物画像、
図6に例示するポップアップ画像などを、スプライト処理などによって重畳するための制御信号を生成する。
【0018】
音声信号制御手段120は、例えば、第1クライアント装置200Aに付帯するマイクロフォン430(
図3)によって集音されたユーザの発声に基づく音声信号を受信して、第2~第nクライアント装置200B~200Nのうち所定のクライアント装置200に対して対応する音声信号を出力するための制御信号を送信するものである。
【0019】
送信量制御手段130は、典型的には、ネットワーク300全体の通信トラフィックが所定の閾値を超えないように、例えば、音声信号を間引くなどの制御を行うものである。送信量制御手段130は、当該通信トラフィックに基づく制御信号生成する。
【0020】
コンテンツ格納手段140は、コンテンツ画像、通知の着信表示画像、及び、各ユーザのアバター画像など、ディスプレイ510(
図3)に表示されるコンテンツを、図示しない格納媒体に格納するものである。
【0021】
算出手段150は、サーバ装置100にネットワーク300を介して接続されるクライアント装置200毎に、仮想空間における各仮想ユーザの位置情報(座標情報)などを算出するものである。
【0022】
データベース160は、算出手段150によって算出された仮想空間における各仮想ユーザの位置情報が格納されるものである。また、データベース160には、仮想空間の製作者などによって、各仮想ブースの位置情報(座標情報)も格納される。それらの位置情報は、映像信号制御手段110、音声信号制御手段120、及び、送信量制御手段130において制御信号を生成する際に用いられる。
【0023】
なお、ここでいう仮想ブースとは、例えば、仮想モールの場合には仮想店舗、仮想美術館の場合には仮想美術品の仮想展示空間、仮想動物園の場合には仮想動物のいる仮想ゲージ、仮想オフィスの場合には仮想ユーザの仮想デスクなどが載置されている仮想デスク空間などとすることができる。
【0024】
格納手段170は、仮想空間内における仮想ブースと当該仮想ブースにおける仮想ユーザ対応の担当者の連絡先とを紐付けて、図示しない格納媒体に格納するものである。ここでいう連絡先には、本実施形態のコミュニケーションシステムを利用するために、当該担当者に割り当てられた固有のIDを用いることが好適である。
【0025】
この他の連絡先として、当該担当者に固有に割り当てられているソーシャルネットワークサービス(SNS)のアカウント、当該担当者のIP電話などの電話番号、当該担当者のメールアドレスなどを用いることもできる。また、一の仮想ブースに対して仮想ユーザ対応の担当者が複数人いる場合に、前記仮想ブースと複数の前記連絡先とを紐付けて格納すればよい。
【0026】
検知手段180は、算出手段150によって算出された各仮想ユーザの位置情報及び各仮想ブースの位置情報に基づいて、仮想空間内にいる仮想ユーザが仮想ブース内に到来したことを検知するものである。
【0027】
通知手段190は、検知手段180によって前記到来が検知された場合に、格納手段170によって格納された当該仮想ブースに対応する連絡先に通知を行うものである。なお、当該連絡先が複数ある場合には、そのうちオンライン状態の例えば全ての連絡先に通知を行えばよい。
【0028】
この通知の態様は不問であるが、例えば、当該担当者が操作するクライアント装置200のスピーカ520(
図3)から当該担当者が応答するまで、連続的に着信音を出力することができる。また、これとともに又はこれに代えて、当該クライアント装置200のディスプレイ510(
図3)には、連続的に通知の着信表示をすることもできる。
【0029】
なお、複数の連絡先に通知を行っている場合には、いずれかの連絡先からの応答があった場合に、残りの連絡先に応答済みであることを示す更なる通知をしてもよい。この更なる通知は、例えば、ディスプレイ510に表示することによって行えばよい。また、更なる通知には、それまで連続的に行っていた着信音の出力及び/又は着信表示を終了することも含むものとする。
【0030】
なお、サーバ装置100に備える幾つかの手段の一部又は全部の機能は、クライアント装置200に備えてもよい。逆も然りであって、クライアント装置200に備える幾つかの手段の一部又は全部の機能は、サーバ装置100に備えてもよい。ただし、通知手段190については、その機能からしてサーバ装置100に備えることが必須である。
【0031】
図3は、
図1に示すクライアント装置200の模式的な構成を示すブロック図である。
図3には、以下説明する、映像信号処理手段210と、音声信号処理手段220と、受付手段230と、送信手段240と、を示している。また、
図3には、クライアント装置200に付帯する入力装置400及び出力装置500も示している。
【0032】
なお、クライアント装置200としてスマートフォンを利用する場合や、その他にもPDAといったハンディタイプの情報処理装置の場合には、通常、タッチパネルディスプレイを有している。それらについては、タッチパネルディスプレイが入力装置400と出力装置500との一部を兼用していることはいうまでもない。
【0033】
映像信号処理手段210は、送信手段240によってネットワーク300を介して送信されるユーザのアクションに対応する信号に応じてサーバ装置100からネットワーク300を介して送信される制御信号を受信し、当該制御信号に基づいて映像信号を生成して、ディスプレイ510に出力するものである。また、映像信号処理手段210は、サーバ装置100の通知手段190からの制御信号に従って、通知の着信表示画像の映像信号もディスプレイ510に出力するものである。
【0034】
音声信号処理手段220は、他のクライアント装置200からネットワーク300を介して送信される他のユーザの音声信号に基づいてサーバ装置100からネットワーク300を通じて送信される制御信号を受信し、当該制御信号に基づいて音声信号を生成して、スピーカ520に出力するものである。また、音声信号処理手段220は、サーバ装置100の通知手段190からの制御信号に従って、通知の着信音に係る音響信号もスピーカ520に出力するものである。
【0035】
受付手段230は、そのクライアント装置200のユーザが入力装置400を通じて行ったアクションを受け付けるものである。具体的には、例えば、当該ユーザがタッチパネルディスプレイに対してタップ操作及び/又はスワイプ操作をした場合、キーボード410のカーソルキーを押下した場合、マウス420の操作(ポインタ移動、クリック操作など)をした場合、マイクロフォン430で集音される発声をした場合、それらのアクションを受け付ける。
【0036】
送信手段240は、受付手段230によって受け付けられたユーザのアクションに対応する信号を、ネットワーク300を介してサーバ装置100に送信するものである。例えば、そのアクションがマイクロフォン430で集音される発声である場合には、当該発声に基づく音声信号がサーバ装置100に送信される。音声信号に関する説明については更に後述する。
【0037】
なお、ユーザ毎に当該ID又はログイン用IDともに、パスワードの割り当ても行い、それらによって認証されたユーザのみが、本実施形態のコミュニケーションシステムによるサービスの提供を受けられるようにしてもよい。
【0038】
本実施形態では、キーボード410、マウス420、マイクロフォン430といった入力装置400と、ディスプレイ510、スピーカ520といった出力装置500とを用いて、クライアント装置200の各ユーザが相互に仮想空間内でコミュニケーションを図れるようにしている。
【0039】
図4~
図6は、
図1に示す第1クライアント装置200Aのディスプレイ510に表示される画像例を示す図である。
図4~
図6には、本実施形態のシミュレーションシステムを仮想美術館に適用した場合の画面例を示している。なお、
図4~
図5には表示していないが、各ユーザのアバター画像を、仮想美術館の背景画像及び絵画作品画像600A~600Cに重畳表示してもよい。
【0040】
図4(a)には、3枚の絵画作品画像600A~600Cと、第1クライアント装置200Aに付帯するマイクロフォンのオン/オフ状態を切り替える切替表示領域600Dとが、仮想美術館の背景画像に重畳表示された画像例を示している。
【0041】
これらの絵画作品画像600A~600Cは、有体物として実在する絵画作品の画像、ディジタルデータとして実在する絵画作品の画像のいずれも含むことができる。また、非代替性トークン(Non-Fungible Token:NFT)が紐付けられた絵画作品の画像であってもよい。
【0042】
なお、
図4(a)の画像例は、仮想空間内にいる仮想ユーザが仮想ブース内に到来する前の状態を意図している。したがって、この場合には、検知手段180によって前記到来が検知されず、通知手段190が絵画作品画像600Bに係る仮想ユーザ対応の担当者(例えば、解説員)に対する通知を行わない。
【0043】
図4(b)には、
図4(a)の画像例が表示されている状態で、ユーザが第1クライアント装置200Aのタッチパネルディスプレイに触れた指などを下側に向けて移動させるスワイプ操作をした場合、或いは、画面中心点よりも上側をタップした場合に遷移する画像例を示している。一方、
図4(b)の画像例が表示されている状態で、ユーザが第1クライアント装置200Aのタッチパネルディスプレイに触れた指などを上側に向けて移動させるスワイプ操作をした場合、或いは、画面中心点よりも下側をタップした場合には、
図4(a)の画像例に遷移する。
【0044】
なお、
図4(a)の表示状態から
図4(b)の表示状態への遷移は、ユーザが例えばマウス420の左ボタンを押下した状態でポインタ移動を下側に移動させる操作をした場合や、ユーザがキーボード410のカーソルキー「↑」を押下等した場合に実行されるようにしている。
【0045】
さらに、
図4(b)の画像例では、絵画作品画像600A~600C及び切替表示領域600Dに加えて、以下の情報が記載されたウェブページを表示するためのリンク表示領域600Eが、仮想美術館の背景画像及び絵画作品画像600A~600Cに重畳表示されている。リンク表示領域600Eには、そのウェブページに割り当てられているURLが紐付けられている。
【0046】
当該ウェブページには、例えば、絵画作品画像600Bに係る絵画作品の作家名及び作品名などから構成されるトークン名、当該NFTに付与されている固有のトークンID、当該絵画作品の所有者名などが記載されている。なお、リンク表示領域600Eは、
図4(a)の画像例においても、仮想美術館の背景画像に重畳表示されていてもよい。
【0047】
なお、
図4(b)の画像例は、仮想空間内にいる仮想ユーザが仮想ブース内に到来した後の状態を意図している。したがって、この場合には、検知手段180によって前記到来が検知され、通知手段190が絵画作品画像600Bに係る仮想ユーザ対応の担当者に対する通知を行う。
【0048】
図4(c)には、
図4(b)の画面例が表示されている状態で、ユーザが切替表示領域600Dを指などでタップ又はマウス420のポインタを切替表示領域600Dに併せてクリックした場合に遷移する画面例を示している。なお、
図4(c)の画面例が表示されている状態で、再度、ユーザが切替表示領域600Dをタップ等した場合には、
図4(b)の画面例に遷移する。
【0049】
図4(b)の画面例と
図4(c)の画面例とでは、切替表示領域600Dに示されているマイクロフォン430のオン/オフ状態の表記が相違するが、その状態が目視しやすいように、切替表示領域600Dを相互に異色の表示とすることもできる。
【0050】
図5(a)には、
図4(a)の画面例が表示されている状態で、ユーザが第1クライアント装置200Aのタッチパネルディスプレイに触れた指などを左側に向けて移動させるスワイプ操作をした場合、或いは、画面中心点よりも右側をタップした場合に遷移する画面例を示している。また、
図5(a)の画面例が表示されている状態で、ユーザが第1クライアント装置200Aのタッチパネルディスプレイに触れた指などを右側に向けて移動させるスワイプ操作をした場合、或いは、画面中心点よりも左側をタップした場合には、
図4(a)の画面例に遷移する。
【0051】
なお、
図4(a)の画面例が表示されている状態で、ユーザが第1クライアント装置200Aのタッチパネルディスプレイに触れた指などを右側に向けて移動させるスワイプ操作をした場合、或いは、画面中心点よりも左側をタップした場合には、仮想ユーザは絵画作品画像600Aの正面位置に移動した画面例に遷移する。
【0052】
本実施形態では、仮想美術館の仮想通路において仮想ユーザを移動させるための操作を、ユーザが第1クライアント装置200Aのタッチパネルディスプレイに触れた指などを左右方向に向けて移動させるスワイプ操作をするだけで(上下方向に向けて移動させるスワイプ操作が除外されるという意味ではない点に留意されたい。)実現できるようにして、ユーザの操作性を高めていることも特徴的である。
【0053】
仮想美術館には、例えば相互に直交する仮想壁が存在し、その付近で仮想通路もほぼ直角に設計されている場合もあるが、左右方向に向けたスワイプ操作をすれば、その直角部分も仮想通路に沿って移動するような画像処理をしている。
【0054】
このような画像処理をすると、第1クライアント装置200Aがスマートフォンのように、タッチパネルディスプレイを有しているハンディタイプの情報処理装置である場合、片手でスマートフォンを把持し、その手の親指による操作だけで仮想美術館で必要な全ての処理が実行できる。
【0055】
図5(b)には、
図5(a)の画面例が表示されている状態で、ユーザが第1クライアント装置200Aのタッチパネルディスプレイに触れた指などを下側に向けて移動させるスワイプ操作等をした場合に遷移する画面例を示している。また、
図5(b)の画面例が表示されている状態で、ユーザが第1クライアント装置200Aのタッチパネルディスプレイに触れた指などを上側に向けて移動させるスワイプ操作等をした場合には、
図5(a)の画面例に遷移する。
【0056】
図5(c)には、
図5(b)の画面例が表示されている状態で、ユーザが切替表示領域600Dを指などでタップ等した場合に遷移する画面例を示している。また、
図5(c)の画面例が表示されている状態で、再度、ユーザが切替表示領域600Dをタップ等した場合には、
図5(b)の画面例に遷移するようにしている。
【0057】
ここで、本実施形態のコミュニケーションシステムにおいても、特許文献1のものと同様に、
図4(a)の画像例よりも
図4(b)の画像例における絵画作品画像600A~600Cを大きく表示するといった制御をしている。
【0058】
図5(a)に示す画面例と
図5(b)に示す画面例とについても同様の制御をしており、その結果、仮想美術館内に絵画作品画像600Cが大きく表示されるが、その一方で、絵画作品画像600Aについては完全に、絵画作品画像600Bについては一部が、表示領域内に表示されなくなる。
【0059】
このような表示制御は、以下のような処理によって行う。まず、ユーザが第1クライアント装置200Aのタッチパネルディスプレイに対してスワイプ操作をするというアクションを行うと、第1クライアント装置200Aでは、受付手段230がそのアクションを受け付ける。つぎに、第1クライアント装置200Aでは、送信手段240が、受付手段230によって受け付けられたアクションに対応する信号を、ネットワーク300を介してサーバ装置100に送信する。
【0060】
サーバ装置100では、第1クライアント装置200Aから送信される上記信号を受信すると、算出手段150が、タッチパネルディスプレイ上での指などの移動距離又は移動速度と移動方向に基づいて、仮想空間内にいる仮想ユーザの移動前の位置情報(座標情報)又は原点(相互に直交するXYZ軸座標で、X,Y,Z=(0,0,0))を基準とした移動後の位置情報(座標情報)を算出して、データベース160に格納する。
【0061】
ところで、例えば
図4(a)に示す表示状態で、ユーザがクライアント装置200のタッチパネルディスプレイに触れた指などを下側に向けて移動させるスワイプ操作をした場合には、指などの移動距離や移動速度に拘わらず、
図4(b)に示す表示状態に遷移するように制御することも一法である。
【0062】
このような遷移制御は、仮想空間内にいる仮想ユーザの静止位置の位置情報を固定的に設定すること、つまり定点移動を実行するように設定することで実現できる。例えば、
図4(a)の表示状態での仮想空間内にいる仮想ユーザの位置情報を、相互に直交するXYZ軸座標で(x,y,z)と表した場合に、
図5(a)の表示状態における仮想空間内にいる仮想ユーザの位置情報を(x+1,y,z)、
図4(b)の表示状態での仮想空間内にいる仮想ユーザの位置情報を(x,y+1,z)というように定点に設定する。
【0063】
つまり、定点移動を実行する場合、
図4(a)に示す表示状態でのスワイプ操作における指などの移動距離が短いからといって、仮想空間内にいる仮想ユーザの静止位置を例えば(x+0.3,y,z)とはしない。定点移動を実行する場合、多様な移動が予定されなくなるので、遷移制御が単純となってコミュニケーションシステムの負荷が抑えられるという利点がある。
【0064】
定点移動を実行するための設定は、絵画作品画像600Bのように二次元作品の画像が鑑賞対象である場合に好適である。このことは、現実空間において二次元の絵画作品を鑑賞する場合に、通常、その作品に正対した状態で鑑賞することが多いことからわかる。
【0065】
一方、彫刻作品画像のように三次元作品の画像が鑑賞対象である場合には、現実空間において三次元の彫刻作品を鑑賞する場合に、通常、その作品に正対した状態で鑑賞することに留まらず、その作品を色々な方向からの鑑賞することが多いので、定点移動を実行するための設定は好適でない。
【0066】
定点移動を実行するための設定をしていない場合には、例えば、
図4(a)に示す表示状態でユーザがクライアント装置200のタッチパネルディスプレイに触れた指などを左側に向けて移動させるスワイプ操作が相対的に短時間で実行された場合には、仮想ユーザの静止位置が例えば(x+0.5,y,z)となったり、相対的に長時間で実行された場合には、仮想ユーザの静止位置が例えば(x+1.5,y,z)となったりするということでる。もちろん、鑑賞対象が二次元作品の画像であろうが、三次元作品の画像であろうが、一律に仮想空間内にいる仮想ユーザの静止位置の位置情報を固定的に設定する又はしないという制御も可能である。
【0067】
なお、三次元作品の画像が鑑賞対象である場合でも定点移動を実行するための設定をしている場合には、その鑑賞対象を回転表示できるようにすることも一法である。そうすると、コミュニケーションシステムの負荷が抑えられるという利点を有しつつ、ユーザはその作品の画像を色々な方向から鑑賞することが可能となる。
【0068】
図6には、例えば
図5(b)又は
図5(c)の表示状態に遷移した後にポップアップ表示される画像例を示す図である。もちろん、当該画像例は、ポップアップ表示ではなく、それを表示するための表示領域を背景画像に重畳表示するなどして、ユーザのアクションに応じて
図6に示す画像例の表示がされるようにしてもよい。
【0069】
図6には、
図5(c)の絵画作品画像600C等の作品画像表示領域710と、仮想美術館の解説員のアバター画像表示領域720と、当該解説員等が作成済みの絵画作品画像600Cに係る作家や作品についての解説のテキスト表示領域730と、
図5(b)又は
図5(c)の表示状態としている他のユーザのアバター画像表示領域740とを示している。アバター画像表示領域720及びアバター画像表示領域740には、それぞれ、解説員に割り当てられている固有のID及び7人の他のユーザに割り当てられている固有のIDが紐付けられている。
【0070】
図6に示すポップアップ画像が表示されている場合には、マイクロフォン430がオン状態であれば、ユーザは解説員や他のユーザとオンラインでコミュニケーションをとることができる。
【0071】
例えば、ユーザが第1クライアント装置200Aを操作し、解説員が第2クライアント装置200Bを操作し、この例では7人の他のユーザがそれぞれ第3クライアント装置200C~第9クライアント装置200Iを操作する場合、第1クライアント装置200Aは、ユーザが発声すると、それをマイクロフォン430によって集音して、
図6に係る解説員及び7人の他のユーザに対して各々割り当てられているIDを、その音声信号に対して宛先として含めてから、ネットワーク300を介してサーバ装置100に送信する。
【0072】
サーバ装置100は、第1クライアント装置200Aから送信される音声信号を受信すると、その音声信号に係る制御信号を生成して、ネットワーク300を介して第2クライアント装置200B~第9クライアント装置200Iにそれぞれ送信する。
【0073】
第2クライアント装置200B~第9クライアント装置200Iは、その制御信号を受信すると、音声信号を生成してスピーカ520に出力する。したがって、ユーザの発声に基づく音声信号は、絵画作品画像600Bなどを鑑賞している別の仮想ブースにいるユーザのクライアント装置200に送信されることはないし、その逆も然りである。
【0074】
なお、例えば、第1クライアント装置200Aを操作するユーザが、解説員と個別にオンラインで会話したい場合もあり得る。そこで、ユーザがアバター画像表示領域720をタップ等すると、解説員に割り当てられているIDのみが上記宛先に切り替わるようにしている。
【0075】
同様に、アバター画像表示領域740に表示されているアバター画像のうち、ユーザが会話をしたい一人又は二人以上の他のユーザのアバター画像の表示部分をタップ等すると、当該他のユーザに割り当てられているIDのみが宛先に切り替わるようにしている。
【0076】
なお、アバター画像表示領域740に表示される他のユーザ数が多くなれば多くなるほど、サーバ装置100に接続されるクライアント装置200の台数が増加するので、通信の負荷を軽減するために、サーバ装置100から各クライアント装置200への制御信号の送信量が少なくなるようにすればよい。そのためには、各クライアント装置200への制御信号の送信量を例えば一律に少なくすればよい。
【0077】
こうすると、サーバ装置100からクライアント装置200への制御信号の送信量が抑えられるので、これらを結ぶネットワーク300の通信トラフィックが増大することも抑えられ、一のクライアント装置200からサーバ装置100に対して音声信号が送信され、他のクライアント装置200で当該音声信号に基づく制御信号が受信されるまでのタイムラグが生じにくくなる。
【0078】
以上、本実施形態では、主として仮想美術館に適用する場合を例にコミュニケーションシステムの説明をしたが、例えばインターネット上に存在する仮想博物館、仮想動物園、仮想オフィス、仮想コンサート会場、仮想ライブ会場、仮想映画館などの仮想空間において好適に適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0079】
【
図1】本発明の実施形態の仮想空間におけるコミュニケーションシステムの模式的な構成を示すブロック図である。
【
図2】
図1に示すサーバ装置100の模式的な構成を示すブロック図である。
【
図3】
図1に示すクライアント装置200の模式的な構成を示すブロック図である。
【
図4】
図1に示す第1クライアント装置200Aのディスプレイ510に表示される画像例を示す図である。
【
図5】
図1に示す第1クライアント装置200Aのディスプレイ510に表示される画像例を示す図である。
【
図6】
図1に示す第1クライアント装置200Aのディスプレイ510に表示される画像例を示す図である。
【符号の説明】
【0080】
100 サーバ装置
110 映像信号制御手段
120 音声信号制御手段
130 送信量制御手段
140 コンテンツ格納手段
150 算出手段
160 データベース
200 クライアント装置
210 映像信号処理手段
220 音声信号処理手段
230 受付手段
240 送信手段
300 ネットワーク
400 入力装置
410 キーボード
420 マウス
430 マイクロフォン
500 出力装置
510 ディスプレイ
520 スピーカ
600A~600C 絵画作品画像
600D 切替表示領域
710 作品画像表示領域
720 アバター画像表示領域
730 テキスト表示領域
740アバター画像表示領域