(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024001149
(43)【公開日】2024-01-09
(54)【発明の名称】抗菌剤及び抗炎症剤を含む眼内投与のための医薬組成物
(51)【国際特許分類】
A61K 31/4709 20060101AFI20231226BHJP
A61K 9/08 20060101ALI20231226BHJP
A61K 47/02 20060101ALI20231226BHJP
A61K 47/10 20170101ALI20231226BHJP
A61K 47/12 20060101ALI20231226BHJP
A61K 47/18 20170101ALI20231226BHJP
A61K 47/26 20060101ALI20231226BHJP
A61K 47/34 20170101ALI20231226BHJP
A61P 27/02 20060101ALI20231226BHJP
A61P 29/00 20060101ALI20231226BHJP
A61P 31/04 20060101ALI20231226BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20231226BHJP
A61K 31/505 20060101ALI20231226BHJP
A61K 31/546 20060101ALI20231226BHJP
A61K 31/573 20060101ALI20231226BHJP
A61K 31/7036 20060101ALI20231226BHJP
A61K 38/08 20190101ALI20231226BHJP
A61K 38/12 20060101ALI20231226BHJP
【FI】
A61K31/4709
A61K9/08
A61K47/02
A61K47/10
A61K47/12
A61K47/18
A61K47/26
A61K47/34
A61P27/02
A61P29/00
A61P31/04
A61P43/00 121
A61K31/505
A61K31/546
A61K31/573
A61K31/7036
A61K38/08
A61K38/12
【審査請求】有
【請求項の数】4
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023172708
(22)【出願日】2023-10-04
(62)【分割の表示】P 2022157885の分割
【原出願日】2014-03-27
(31)【優先権主張番号】61/958,170
(32)【優先日】2013-07-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】521210944
【氏名又は名称】ノベル・ドラッグ・ソリューションズ・リミテッド・ライアビリティ・カンパニー
【氏名又は名称原語表記】NOVEL DRUG SOLUTIONS LLC
(71)【出願人】
【識別番号】521210955
【氏名又は名称】アイ・ケア・ノースウエスト・プロフェッショナル・アソシエーション
【氏名又は名称原語表記】EYE CARE NORTHWEST, PA
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【弁理士】
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100150500
【弁理士】
【氏名又は名称】森本 靖
(74)【代理人】
【識別番号】100176474
【弁理士】
【氏名又は名称】秋山 信彦
(72)【発明者】
【氏名】ジェフリー・ティ・リーグナー
(72)【発明者】
【氏名】ジョン・スコット・キャロルチク
(72)【発明者】
【氏名】バーナード・コバルスキー
(72)【発明者】
【氏名】リチャード・ディルザー
(72)【発明者】
【氏名】キャラン・ピータース
(57)【要約】 (修正有)
【課題】抗菌及び抗炎症特性を有する注射可能な眼用組成物、並びにこのような組成物の製造方法を提供する。
【解決手段】組成物は、本質的に治療的有効量の抗菌剤(例えば、モキシフロキサシン)、治療的有効量の抗炎症剤(例えば、トリアムシノロン)、少なくとも1種の薬学的に許容される賦形剤、及び薬学的に許容される担体を含む。前記組成物の製造方法、及び眼内注射のためのそれらの使用もまた提供する。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)本質的に
(a1)治療的有効量の、キノロン、フッ素化キノロン、及びそれらの薬学的に許容される塩、水和物、溶媒和物又はN-オキシドからなる群から独立して選択される抗菌剤;及び
(a2)治療的有効量の、コルチコステロイド、並びにそれらの薬学的に許容される塩、水和物、溶媒和物、エーテル、エステル、アセタール及びケタールからなる群から独立して選択される抗炎症剤からなる治療成分;
(b)適宜、眼内注射に適している、少なくとも1種の薬学的に許容される賦形剤;及び
(c)適宜、眼内注射に適している、薬学的に許容される担体
を含む、眼内注射用医薬組成物。
【請求項2】
前記抗菌剤がフッ素化キノロンである、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項3】
前記フッ素化キノロンが、モキシフロキサシン及びガチフロキサシンからなる群から選択される、請求項2に記載の医薬組成物。
【請求項4】
前記フッ素化キノロンがモキシフロキサシンである、請求項2に記載の医薬組成物。
【請求項5】
前記抗菌剤が、化学構造(A):
【化1】
で示されるフッ素化キノロンである、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項6】
前記コルチコステロイドが、トリアムシノロン、トリアムシノロンアセトニド、トリアムシノロンジアセテート、トリアムシノロンベネトニド、トリアムシノロンフレトニド、トリアムシノロンヘキサセトニド、ベタメタゾンアセテート、デキサメタゾン、フルオロメトロン、フルオシノロンアセトニド、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項7】
前記コルチコステロイドがトリアムシノロンである、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項8】
前記コルチコステロイドが、化学構造(B):
【化2】
で示される、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項9】
(a)前記抗菌剤がモキシフロキサシンであり、
(b)前記コルチコステロイドがトリアムシノロン又はその誘導体である、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項10】
前記賦形剤が、非イオン性ポリオキシエチレン-ポリオキシプロピレンブロックコポリマーからなる群から選択される、可溶化及び懸濁化用の剤である、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項11】
前記賦形剤がPoloxamer 407(登録商標)である、請求項10に記載の医薬組成物。
【請求項12】
(a)約1.0mg/mL濃度のモキシフロキサシン;
(b)約15.0mg/mL濃度のトリアムシノロンアセトニド;及び
(c)約1.0質量%濃度のPoloxamer 407(登録商標)
を含む、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項13】
治療的有効量の、バンコマイシン、テイコプラニン、テラバンシン、デカプラニン、ラモプラニン、ゲンタマイシン、トブラマイシン、アミカシン、セフロキシム、ポリミキシンB硫酸塩、トリメトプリム、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される抗生物質を更に含む、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項14】
前記抗生物質がバンコマイシンである、請求項13に記載の医薬組成物。
【請求項15】
請求項1の成分(a)、(b)及び(c)を混合し、それによって医薬組成物の治療法を得ることを含む、眼内注射用医薬組成物の製造方法。
【請求項16】
前記抗菌剤がフッ素化キノロンである、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記フッ素化キノロンがモキシフロキサシンである、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記コルチコステロイドがトリアムシノロンである、請求項15に記載の方法。
【請求項19】
(a)前記抗菌剤がモキシフロキサシンであり、
(b)前記コルチコステロイドがトリアムシノロン又はその誘導体である、請求項14に記載の方法。
【請求項20】
前記賦形剤が、非イオン性ポリ(オキシエチレン-コ-オキシプロピレン)からなる群から選択される、可溶化及び懸濁化用の剤である、請求項14に記載の方法。
【請求項21】
前記賦形剤がPoloxamer 407(登録商標)である、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
治療的有効量のバンコマイシンを更に含む、請求項20に記載の方法。
【請求項23】
前記抗菌剤、前記抗炎症剤、前記賦形剤及び前記担体を、ワンバッチ製剤方法で混合する、請求項15に記載の方法。
【請求項24】
対象に請求項1記載の組成物を送達することを含む、眼の疾患、病態又は病理を、該処置を必要とするほ乳動物対象において処置する方法であって、前記送達方法が、それによって前記眼の疾患、病態又は病理を処置するための、硝子体内注射、眼内前房内注射、病巣内注射、関節内注射、結膜下注射、テノン嚢下注射、点眼による送達、スプレーによる送達及び小管内送達からなる群から選択される、前記方法。
【請求項25】
前記硝子体内注射が、経毛様体注射及び非経毛様体注射からなる群から選択される、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
前記ほ乳動物対象が、ヒト、ネコ、イヌ、他の愛玩動物、野生動物及び家畜からなる群から選択される、請求項24に記載の方法。
【請求項27】
眼の疾患、病態又は病理を、該処置を必要とするほ乳動物対象において処置する方法であって、それによって前記眼の疾患、病態又は病理を処置するための、請求項9に記載の組成物を前記対象に硝子体内経毛様体注射することを含む、前記方法。
【請求項28】
眼の疾患、病態又は病理を、該処置を必要とするほ乳動物対象において処置する方法であって、
(a)治療的有効量のモキシフロキサシン;
(b)治療的有効量のトリアムシノロンアセトニド;及び
(c)一定量のPoloxamer 407(登録商標)
を含む組成物を、前記対象に眼内注射することを含む、前記方法。
【請求項29】
眼の疾患、病態又は病理を、該処置を必要とするほ乳動物対象において処置する方法であって、それによって前記眼の疾患、病態又は病理を処置するための、請求項12に記載の組成物を前記対象に硝子体内経毛様体注射することを含む、前記方法。
【請求項30】
前記注射が、硝子体内注射及び経毛様体注射である、請求項31に記載の方法。
【請求項31】
前記注射が術中注射である、請求項31に記載の方法。
【請求項32】
請求項1に記載の医薬組成物と、容器に同封された該組成物の使用のための説明書とを含有する密封容器を含む医薬キット。
【請求項33】
眼の疾患、病態又は病理を、該処置を必要とするほ乳動物対象において処置する方法であって、それによって眼の疾患、病態又は病理を処置するための、
(a)請求項1に記載の抗菌剤を前記対象に硝子体内経毛様体注射すること;及び
(b)請求項1に記載の抗炎症剤を前記対象に硝子体内毛様体注射すること
を含む、前記方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、概して眼科の領域、特に抗菌及び抗炎症特性を有する注射可能な眼用組成物、並びにこのような組成物の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
眼の処置及び手術、例えば、白内障の手術において、感染症、炎症及び組織浮腫等の否定的な術後合併症を排除又は軽減するために、患者によって術前及び術後点眼が頻繁に使用される。全ての眼科手術患者の8%が、悲惨になる可能性のある眼内炎等の感染症、並びに炎症性ぶどう膜炎、隔膜浮腫、及び嚢胞様黄斑浮腫等の種々の否定的な視力を脅かす術後副作用を患っている可能性がある。通常、白内障手術の前及び後に開始して在宅使用するために、局所術後薬物が処方され、介護者又は家族の補助を必要としない限り、通常は自己投与される。
【0003】
これらの眼用点眼薬(ophthalmic medication drop)は、抗炎症剤及び抗菌剤を含み、非常に有効であるが、処置計画には厳重な遵守が必要であり、これは多くの患者(まぶたに触れること、及び操作に対する物理的制限及び嫌悪のある患者)には困難であり、しばしば高価であり(手術あたり200ドルを十分に超える)、患者の不満足を引き起こしている。関連する術後のトラブルと費用を節約するために、このような手術後の薬物の使用の必要性を回避可能にする代替手順を有することが望ましい。
【0004】
このような1つの他の方法は、非外傷性経毛様小体経路による術中硝子体内注射を含み、これは、現在行われている在宅点眼療法と同じくらい良好か、又はそれよりも良好な患者の転帰を達成することができ、服薬遵守及び薬物投与の正確さの問題を排除することができる。本特許出願は、このようなポジティブな患者の転帰を達成し得る、術中眼内注射に適した医薬組成物、該組成物の製造及び投与方法を開示する。
【発明の概要】
【0005】
本発明の一実施形態によれば、眼内注射用医薬組成物が提供され、該組成物は、基本的に治療的有効量の抗菌剤及び治療的有効量の抗炎症剤からなる治療成分、並びに眼内注射に適している、少なくとも1種の薬学的に許容される賦形剤、及び/又は薬学的に許容される担体を含む。
【0006】
本発明の別の一実施形態によれば、本明細書に記載される抗菌剤は、キノロン(フッ素化キノロンを含む)、例えば、モキシフロキサシン、及びそれらの薬学的に許容される塩、水和物、溶媒和物又はN-オキシドからなる群から選択する化合物であってもよい。
【0007】
本発明のまたさらに別の一実施形態によれば、本明細書に記載される抗炎症剤は、コルチコステロイド、例えばトリアムシノロン、並びにその薬学的に許容される塩、水和物、溶媒和物、エーテル、エステル、アセタール及びケタールであってもよい。
【0008】
本発明の別の一実施形態によれば、本明細書に記載される医薬組成物は、非イオン性ポリオキシエチレン-ポリオキシプロピレンブロックコポリマー、例えばPoloxamer 407(登録商標)等の可溶化及び懸濁化用の剤を更に含む。
【0009】
本発明の他の実施形態によれば、本明細書に記載される医薬組成物は、白内障、網膜疾患及び緑内障等の眼内手術と関連する種々の眼の疾患、病態又は病理の処置過程の一部として、ほ乳動物対象に硝子体内経毛様体注射することができる。
【発明を実施するための形態】
【0010】
A.用語及び定義
特に定義がなされなければ、本明細書中に記載された分析化学、有機合成及び無機化学の実験工程及び技術ならびに関連して用いられる用語は、当該技術分野で既知のものである。標準化学記号は、その記号を表す正式名と互換的に使用される。したがって、例えば、用語「水素」と「H]は同一の意味を有すると理解される。化学合成、化学分析、組成物の製剤化、及びそれらの試験のために標準的技術を使用することができる。前記技術及び方法は、一般的に当該技術分野で周知の従来法により実施することができる。
【0011】
以上の一般的記載及び以下の詳細な説明は、どちらも例示的及び説明的であるだけであり、特許請求の範囲に記載した本発明を限定しないと理解すべきである。本明細書で用いられる場合、単数形は、特に別段の記述がなければ、複数形の使用を含む。本明細書中で使用されるセクション見出しは、組織立てる目的のみのものであり、記載対象を限定すると解釈されるべきでない。
【0012】
本明細書中で用いられる場合、「又は」は、特に明記しない限り、「及び/又は」を意味する。更に、用語「含んでいる」ならびに、他形式の「含む」及び「含まれた」のような用語の使用は、限定を設けないものである。
【0013】
本明細書で用いられる場合、「約」は、「約」と言及される数が、記載された数±その記載された数の1~10%を含むことを意味する。例えば、「約」100度は、文脈により、95~105度、又はわずか99~101度を意味し得る。本明細書に、「1~20」等の数値範囲が記載されている場合は、必ず、与えられた範囲の各整数を表す。すなわち、1のみ、2のみ、3のみ等、20までのみを含むことを意味する。
【0014】
「医薬組成物」という用語は、化学的若しくは生物学的化合物又は物質、又はこのような化合物若しくは物質の2種以上の混合物若しくは組み合わせとして定義され、疾患又は病理の医療診断、治癒、処置又は予防における使用が意図される。
【0015】
「眼内注射」という用語は、患者の眼球に入れることにより投与される注射を意味する。
【0016】
「経毛様体」という用語は、目の毛様体とレンズとを接続する一連の繊維がある毛様体小帯を介して投与される注射を意味する。
【0017】
「硝子体内」という用語は、患者の眼を通して直接眼の内腔に投与する注射を意味する。
【0018】
「術中」という用語は、手術の最中又は進行中に、起こる又は実施されるアクションとして定義される。
【0019】
本明細書で区別なく用いられる、「抗菌」及び「抗生物質」という用語は、あらゆるメカニズム又は経路を介して細菌を破壊する及び/又はその増殖を阻害する物質又は化合物を意味する。
【0020】
「抗炎症」という用語は、あらゆるメカニズム又は経路を介して炎症を弱め、又は抑制する物質又は化合物を意味する。
【0021】
本願の目的のための「キノロン」という用語は、ベンゾピリジンの誘導体である抗菌化合物の属を意味し、いくつかの実施形態では、下記構造(「フルオロキノロン」)のような、フッ素原子を含む。
【化1】
【0022】
「コルチコステロイド」という用語は、コルチコステロンの誘導体であるステロイドの亜属に属する化合物として定義され、以下の化学構造を有する。
【化2】
【0023】
「塩」という用語は、酸及び塩基の中和反応生成物であるイオン性化合物を意味する。
【0024】
本明細書では、「溶媒和物」及び「水和物」という用語は、水(「水和物」について)等の「溶媒和物」については溶媒と物理的又は化学的に結合する化合物又は物質を示すために使用される。
【0025】
「エーテル」という用語は、構造R-O-R1(式中、2つの有機断片R及びR1は酸素を介して結合している)を含む化合物を意味する。
【0026】
「エステル」という用語は、2つの有機断片R及びR1が結合しているエステル基R-O-C(O)-R1を含む化合物を意味する。
【0027】
「アセタール」及び「ケタール」という用語は、官能基R-C(R1)(OR2)2(式中、アセタールについては、R及びR2は有機断片であり、R1は水素原子であり、そして1つのR2が水素原子であるが、他方は水素原子でない「ヘミアセタール」を含むか、あるいはケタールについては、R、R1及びR2が水素原子でなく、それぞれが有機断片である)を含む化合物を意味する。
【0028】
「担体」という用語は、送達の効率及び医薬組成物の有効性を向上させるために、ビヒクルとして働く物質を意味する。
【0029】
「賦形剤」という用語は、医薬組成物の薬理学的に活性な成分と組み合わせて製剤化される薬理学的に不活性な物質を意味し、増量剤、充填剤、希釈剤、及び薬剤の吸収若しくは溶解を促進するため又は他の薬物動態学的考察のために使用される製品が挙げられる。
【0030】
「治療的有効量」という用語は、研究者、医師又は他の臨床家により探求されている組織、器官、動物若しくはヒトの生物学的又は医学的応答を引き起こすであろう、化合物又は医薬組成物の量として定義される。
【0031】
「薬学的に許容される」という用語は、希釈剤又は賦形剤であろうとなかろうと、製剤の他の成分と適合性があり、その受容者に対して有害でない担体として定義される。
【0032】
「組成物の投与」又は「組成物を投与する」という用語は、本願に記載の化合物又は医薬組成物を、処置を必要とする対象に与える行為として定義される。
【0033】
B.本発明の実施形態
本発明の実施形態によれば、炎症及び/又は感染症を予防及び/又は処置することを意図する医薬組成物が提供される。該組成物は、治療的有効量の抗菌剤(すなわち、抗生物質)及び治療的有効量の抗炎症剤(例えば、コルチコステロイド)を含むか、本質的にそれらからなるかあるいはそれらからなる活性成分を含む。いくつかの実施形態では、医薬組成物は眼内注射のために使用することができる。他の実施形態では、医薬組成物は、関節内又は病巣内の使用のために使用することができる。組成物は、1種又は数種の薬学的に許容される賦形剤、及び1種又は数種の薬学的に許容される担体を更に含む。
【0034】
医薬組成物中の抗菌剤の濃度は、約0.01mg/mL~約50.0mg/mL、例えば約0.5mg/mL~約10mg/mL、例えば約1.0mg/mLであってもよい。医薬組成物中の抗炎症剤の濃度は、約0.1mg/mL~約100.0mg/mL、例えば約5.0mg/mL~約50.0mg/mL、例えば約15.0mg/mLであってもよい。
【0035】
更なる実施形態によれば、組成物の活性成分中で使用される抗菌剤は、フルオロキノロンを含むキノロンおよびそれらの適切な誘導体、例えば薬学的に許容される塩、水和物又は溶媒和物からなる群から選択することができる。一実施形態では、使用することのできるフルオロキノロンは、モキシフロキサシン(化学的に、l-シクロプロピル-7-[(1S,6S)-2,8-ジアザビシクロ-[4.3.0]ノナ-8-イル]-6-フルオロ-8-メトキシ-4-オキソ-キノリン-3-カルボン酸)であり、これは、例えばBayer Healthcare Corp.(ウェイン、ニュージャージー州)からの商品名Avelox(登録商標)、及び他の供給業者(例えばAlcon Corp.及びBristol-Myers Squibb Co.)からの他の商品名で入手でき、以下の化学構造を有する。
【化3】
【0036】
モキシフロキサシンの代わりに、又はそれと組み合わせて使用することのできる、他の代替可能なフルオロキノロン抗生物質の非限定的例はガチフロキサシンである。いくつかの実施形態では、適宜、1種又は数種のグリコペプチド抗生物質、又はそれらの一部若しくは全ての組み合わせを、モキシフロキサシンと組み合わせて、抗菌剤の一部として使用してもよい。許容されるさらなるグリコペプチド抗生物質の一例は、約1mg/mL~約100.0mg/mL、例えば約5.0mg/mL~約50.0mg/mL、例えば約10.0mg/mLの濃度で医薬組成物に導入することのできるバンコマイシンである。バンコマイシンは、Eli Lilly & Co.(インディアナポリス、インディアナ州)から商品名Vancocin(登録商標)で入手可能である。使用することのできる他の許容されるさらなるグリコペプチド抗生物質としては、テイコプラニン、テラバンシン、デカプラニン、ラモプラニン、ゲンタマイシン、トブラマイシン、アミカシン、セフロキシム、ポリミキシンB硫酸塩、及びトリメトプリムが挙げられる。
【0037】
更なる実施形態によれば、組成物の活性成分において使用される抗炎症剤は、コルチコステロイド、例えばコルチコステロンの誘導体、並びにそれらの薬学的に許容される塩、水和物、溶媒和物、エーテル、エステル、アセタール及びケタールからなる群から選択することができる。例えば、コルチコステロン分子中の任意の水素及び/又はヒドロキシル基の化学的に妥当な置換の結果として得られた生成物を使用することができる。一実施形態では、そのように利用することのできるコルチコステロイドは、トリアムシノロン(化学的に、(11β,16α)-9-フルオロ-11,16,17,21-テトラヒドロキシプレグナ-1,4-ジエン-3,20-ジオン)であり、以下の化学構造を有する。
【化4】
【0038】
他の実施形態では、そのように利用することのできるコルチコステロイドは、トリアムシノロンアセトニド(化学的に、(4aS,4bR,5S,6aS,6bS,9aR,10aS,10bS)-4b-フルオロ-6b-グリコロイル-5-ヒドロキシ-4a,6a,8,8-テトラメチル-4a,4b,5,6,6a,6b,9a,10,10a,10b,11,12-ドデカヒドロ-2H-ナフト[2’,1’:4,5]インデノ[1,2-d][1,3]ジオキソール-2-オン)であり、これは、トリアムシノロンのケタール誘導体であり、例えばBristol-Myers Squibb Co.(プリンストン、ニュージャージー州)からの商品名Kenalog(登録商標)、及び他の供給業者から他の商品名で入手でき、以下の化学構造を有する。
【化5】
【0039】
他のコルチコステロイド、又はそれらの一部若しくは全ての組み合わせを、トリアムシノロンの全て若しくは一部、及び/又はトリアムシノロンアセトニドの全て若しくは一部に代えて使用することができる。このような許容される他のコルチコステロイドのいくつかの非限定的例としては、トリアムシノロンジアセテート、トリアムシノロンベネトニド、トリアムシノロンフレトニド、トリアムシノロンヘキサセトニド、ベタメタゾンアセテート、デキサメタゾン、フルオロメトロン、フルオシノロンアセトニドが挙げられる。
【0040】
前述したように、本願の主題である医薬組成物は、適宜、1種又は数種の薬学的に許容される賦形剤を更に含んでいてもよい。当業者は適切な賦形剤を選択することができるであろう。モキシフロキサシンが医薬製剤に使用される場合、同じ製剤中に存在し、安定な懸濁液の形態であることが必要な、他の製品(例えば、トリアムシノロンアセトニド等のコルチコステロイド)の安定な懸濁液を得ることが困難であることに言及する価値がある。任意の特定の科学的理論に拘束されないが、安定な懸濁液を得ることにおけるこのような困難さは、許容できない凝固、凝集及び凝結をもたらす多くの懸濁化剤を不活性化する、モキシフロキサシンの性質により起こると考えられる。結果として、典型的な27~29ゲージのカニューレを介した通常の送達は、しばしば困難であるか、不可能でさえある。
【0041】
したがって、モキシフロキサシンの存在下で安定であり、それ故、モキシフロキサシンが同じ製剤中に存在する場合であっても、トリアムシノロンアセトニド等のコルチコステロイドが安定な懸濁液を安全に形成することを確実にするための可溶化及び懸濁化用の剤として使用することができる、賦形剤を選択することが望まれている。眼内注射に適した、安定なモキシフロキサシン/トリアムシノロンアセトニドの医薬組成物を製造するための他の者による多くの試みは成功していない。
【0042】
いくつかの実施形態では、前記困難を克服し、それによってトリアムシノロンアセトニド等のコルチコステロイドの安定な懸濁液を得るための可溶化及び安定化用の剤として使用することのできる賦形剤は、下記一般構造を有する非イオン性ポリオキシエチレン-ポリオキシプロピレンブロックコポリマーであってもよい。
【化6】
(式中、xは少なくとも8の値を有する整数であり、xは少なくとも38の値を有する整数である)
【0043】
本願に記載の医薬組成物において、可溶化及び安定化用の剤として非イオン性ポリオキシエチレン-ポリオキシプロピレンブロックコポリマーを使用する場合、全体の組成物中の含有量は、約0.01質量%~約10.0質量%、例えば約1.0質量%~約8質量%、例えば約5.0質量%であってもよい。
【0044】
本願に記載の医薬組成物において可溶化及び安定化用の剤として使用することのできる、特定の非イオン性ポリオキシエチレン-ポリオキシプロピレンブロックコポリマーの非限定的一例は、ポリオキシプロピレン部分は約4,000ダルトンの分子量を有し、約70%のポリオキシエチレン含有量を有し、全体の分子量が約9,840ダルトン~約14,600ダルトンである、Sigma-Aldrich Corp.(セントルイス、ミズーリ州)から入手可能な、商品名Poloxamer 407(登録商標)(ポリ(エチレングリコール)-ブロック-ポリ(プロピレングリコール)-ブロック-ポリ(エチレングリコール))として知られる製品であり、以下の化学構造を有する。
【化7】
【0045】
本願に記載の医薬組成物の製造において使用することのできる、いくつかの他の賦形剤及び担体の非限定的例としては、ポリソルベート(乳化剤)、エデト酸カルシウム二ナトリウム(EDTA、キレート剤)、塩酸(pH調整剤)及び滅菌水が挙げられる。
【0046】
更なる実施形態によれば、前記医薬組成物の製造方法が提供される。医薬製剤の成分を1つの容器内で混合し、該成分を同時又は連続的に容器に添加することができる、ワンバッチ製剤法を使用することができる。
【0047】
一例の非限定的手順において、モキシフロキサシン等の抗菌剤の一定量を混合容器内に入れ、続いて一定量の滅菌水及び塩酸を加えて、わずかに酸性の混合物(例えば、約6.5のpHを有する)を得て、これを透明な溶液が得られるまで撹拌する。モキシフロキサシン/HCl系の場合、該溶液は安定であり、製剤を閉鎖系で保管でき、それ故、汚染及び無菌性の喪失を防止することが可能である。
【0048】
次に、一定量の微粉化したトリアムシノロンアセトニド等のコルチコステロイド、一定量のPoloxamer 407(登録商標)、一定量のエデト酸カルシウム二ナトリウム、及び一定量のポリソルベート80を、既に製造したモキシフロキサシン/HCl溶液と合わせた同じ容器に加えて、一定時間、例えば6時間、均一な懸濁液が得られるまで、一緒に(例えば回転することにより)撹拌した。次いで、得られた懸濁液を単回用量バイアルに移し、蓋をして密封し、オートクレーブし、冷却するまで振盪した。最後に、無菌性及びエンドトキシンの存在についての完全試験を、当業者に公知の普通に使用される方法に従って、製剤に実施した。
【0049】
前記のように製造される医薬組成物は、眼の外科手術及び処置後に発生する可能性のある合併症を予防するために使用することができる。例えば、製剤は、任意の眼内手術(例えば白内障手術)、計画的な硝子体切除術又は緑内障手術の際に使用され、患者が手術の前後に局所点眼を使用することなく、手術後合併症(例えば眼内炎又は嚢胞様黄斑浮腫(CME)の発症)を予防するか、又は少なくとも実質的に該リスクを軽減することができる。以前の外科手術又は外傷性眼内移行からの眼内炎の兆候のある個体は、感染部を消毒し有害な炎症を抑えるためのこれらの製剤の同時注射の恩恵を受けるであろう。
【0050】
本明細書に記載の医薬製剤は、眼内硝子体内注射により送達されることができ、該注射は経毛様体であってもよく、必要であれば経毛様体でなくてもよい。経毛様体、又は直接経毛様体扁平部(経強膜)注射により行われるかにかかわらず、この製剤の眼内硝子体内注射により、眼内への複数の個々の薬物又は複数の個々の注射を緊急に配合する必要なしに、化膿した組織に直接的に、強力な広いスペクトルの抗生物質が送達される。
【0051】
通常、前記医薬組成物は、緊急の、切迫した又は計画的な眼科的外科処置を必要とするほ乳動物対象(例えば、ヒト、ネコ、イヌ、他の愛玩動物、飼育動物、野生動物及び家畜)に眼内投与されるであろう。前記医薬組成物のそのような使用により達成される効果は4週間まで続く場合がある。組成物は、眼科の分野における当業者に公知の方法及び技術を用いて、硝子体内及び経毛様体で注射される。いくつかの実施形態では、注射は術中であってもよい。
【0052】
通常、典型的な27ゲージのカニューレによる送達は、注射の直前に瞬間的なはね及び振盪を使用して製剤を再懸濁するために注意を払う1mLのTBシリンジを利用して使用することができる。この製剤に必要な薬物量(すなわち投薬量)は、眼内処置の種類、誘発される又は予想される術後炎症の程度、術後感染のリスクアセスメント、及び閉鎖された眼内空間に添加される注射のために利用可能な容積に関する解剖学的考察に基づいて変化する。
【0053】
前房内(すなわち、前眼房)注射は本発明の範囲内であるが、懸濁液が線維柱帯網をつまらせ、眼内排液を憎悪させ、その結果、術後に眼圧を上昇させるので、一部のケースでは、後眼房(硝子体内)注射の代わりにこのような注射は満足できない場合があることに言及する価値がある。これは、長時間、硝子体のタンパク質マトリクス中に製剤成分を保持することに加え、硝子体内注射を用いて回避される。硝子体内注射は数週間保持されるが、前眼房の洗い流し(anterior chamber wash out)は、数時間(溶液中の抗生物質)及び数日(懸濁液中のステロイド)にわたって起こる。
【0054】
他の実施形態では、所望又は必要であれば、製剤を、点眼液又はアイスプレーの形態で、並びに結膜下注射、眼内前房内注射、テノン嚢下注射、関節内注射、又は病巣内注射でも送達し得て、特に限定されないが、いくつかの場合では、局所的な眼の炎症及び外眼感染症を抑制する必要があるときに、さらなる薬剤を送達する必要がある。ステロイドの硝子体内送達は、歴史的に、臨床的に重大な嚢胞様黄斑浮腫(CME)の処置に使用されてきた;通常の眼内処置の際の硝子体内へのこの製剤の適用は、CMEの発生に対し、より積極的な予防をもたらす。その上、この製剤の懸濁液は、計画的及び計画的でない硝子体切除術の際に硝子体を染色し、これの他の透明な眼内組織の可視化を向上し、硝子体の転帰を向上し、不適切又は牽引性硝子体除去に起因する合併症を軽減するのに有用である。更なる実施形態では、小管内送達、すなわち涙腺小管インプラントを介した送達も想定される。
【0055】
いくつかの更なる他の実施形態では、抗菌剤及び抗炎症剤の両者を含有する前記組成物の送達に代え、必要であれば、代わりに連続的注射を使用してもよい。例えば、トリアムシノロンを最初に注射し、すぐにモキシフロキサシンを注射する、又はその逆でもよい。
【0056】
あらゆる特定の患者に対する特定の用量レベル及び投与頻度は変化する場合があり、使用される特定の化合物の活性、その化合物の代謝安定性及び作用の長さ、年齢、体重、全体的な健康、性、食事、及び処置される特定の眼の病態の重症度を含む種々の因子に依存するであろうことは、当業者には理解されるであろう。
【0057】
更なる実施形態では、医薬キットが提供される。該キットは、医薬組成物の貯蔵のために承認された密封容器を含み、該容器は、前記医薬組成物の1種を含む。組成物の使用及び組成物に関する情報についての指示はキットに含まれている。
【0058】
以下の実施例は、本発明の利点及び特徴を更に説明するために提供されるが、本発明の範囲を限定することを意図しない。実施例は、単に例示目的のためである。後述の製剤を製造するために、USP医薬品グレードの製品を使用した。
【0059】
C.実施例
実施例1.医薬組成物の製造
医薬組成物は、後述のようにして製造した。以下の製品を、指定した量及び濃度で使用した。
(a)約15.0mg/mLの濃度で、約1.5gのトリアムシノロンアセトニド;
(b)約1.0mg/mLの濃度で、約0.1gのモキシフロキサシン塩酸塩;
(c)約1.0質量%の濃度で、約1mLのポリソルベート80;
(d)約0.2質量%の濃度で、約0.2gのエデト酸カルシウム二ナトリウム;
(e)約1.0質量%の濃度で、約1gのPoloxamer 407(登録商標);
(f)pHを約6.5に調整するための塩酸;及び
(g)約100.0mLの注射用滅菌水。
【0060】
モキシフロキサシン塩酸塩を、スピンバーを備えた、発熱物質を除去したビーカーに入れた。注射用滅菌水を、ビーカーの容量の約1/3まで加えた。回転させながら、約6.5の最終pHを有する透明な溶液が得られるまで、塩酸を加えることによりモキシフロキサシンを溶解した。
【0061】
上記溶液を、微粉化したトリアムシノロンアセトニド、Poloxamer 407(登録商標)、エデト酸カルシウム二ナトリウム及びポリソルベート80と混合し、水和した均質な懸濁液が得られるまで、約6時間回転させた。
【0062】
上記懸濁液を、発熱物質を除去した単一用量バイアル(2mLサイズ)に移し、蓋をして密封し、オートクレーブし、冷却するまでバイアルを振盪した。安全性を補償するため、外部の研究室により、完全無菌性及びエンドトキシン試験を実施した。
【0063】
前述のようにして製造した製剤を、6ヶ月の貯蔵後の安定性について試験した。この貯蔵期間後に、力価の損失は観察されず(HPLCにより測定);製剤は室温で視覚的に安定であり、穏やかに振盪して容易に再懸濁され、粒径又は凝結の増大はなかった。
【0064】
実施例2.バンコマイシンを含む医薬組成物の製造
上記実施例1に記載されたようにして医薬組成物を製造した。組成物をオートクレーブし、約60分間超音波処理し、約96mLの組成物を、約4mLのバンコマイシンと、約250mg/mLの濃度で混合した。塩酸を用いて、混合物のpHを約6.0~6.5に調整した。次いで、生成物をバイアル(バイアルあたり約1mL及び5滴)に移し、凍結させた。生成物は、少なくとも6ヶ月間、安定性及び力価を維持した。
【0065】
実施例3.医薬組成物の使用
上記実施例1に記載されたようにして製造した医薬組成物を、約1,600名の患者に投与した。それぞれに対し、硝子体内経毛様体注射を用いて導入した。注射は術中注射であった。ごく少数の患者、4,000名にわずか約1名の割合で、更なる処置を必要とする何らかの感染症を発症し、又は他の副作用に悩まされた。これは、注射を受けていなかった患者についての約8%の通常の割合を超えて実質的に改善されている。
【0066】
上記実施例を参照して本発明を記述したが、改変及び変更が本発明の趣旨及び範囲に含まれると理解されるであろう。したがって、本発明は特許請求の範囲に限って制限される。
【手続補正書】
【提出日】2023-11-01
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
眼疾患を処置するための医薬組成物であって、
(a)治療的有効量のトリアムシノロンまたはその誘導体;
(b)治療的有効量のモキシフロキサシン;及び
(c)約4,000ダルトンのポリオキシプロピレン部分の分子量および約70%のポリオキシエチレン含有量を有し、全体の分子量が約9,840ダルトン~約14,600ダルトンであり、非イオン性ポリオキシエチレン-ポリオキシプロピレンブロックコポリマーの濃度が、医薬組成物の約1質量%~約2質量%濃度である、非イオン性(ポリ(エチレングリコール)-ブロック-ポリ(プロピレングリコール)-ブロック-ポリ(エチレングリコール)ブロックコポリマー;
(d)約1%のポリソルベート80;及び
(e)薬学的に許容される担体
を含む医薬組成物。
【請求項2】
治療的有効量の、バンコマイシン、テイコプラニン、テラバンシン、デカプラニン、ラモプラニン、ゲンタマイシン、トブラマイシン、アミカシン、セフロキシム、ポリミキシンB硫酸塩、トリメトプリム、及びそれらの組み合わせからなる群から選択されるグリコペプチド抗生物質を更に含む、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項3】
前記抗生物質がバンコマイシンである、請求項2に記載の医薬組成物。
【請求項4】
前記薬学的に許容される担体が、滅菌水、ポリソルベート(乳化剤)、エデト酸カルシウム二ナトリウムの滅菌水溶液、塩酸の滅菌水溶液、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項1に記載の医薬組成物。
【外国語明細書】