(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024114903
(43)【公開日】2024-08-23
(54)【発明の名称】コネクタ
(51)【国際特許分類】
H01R 13/11 20060101AFI20240816BHJP
H01R 31/08 20060101ALI20240816BHJP
H01R 4/58 20060101ALI20240816BHJP
【FI】
H01R13/11 302E
H01R31/08 Q
H01R4/58 C
【審査請求】有
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024104624
(22)【出願日】2024-06-28
(62)【分割の表示】P 2021138568の分割
【原出願日】2021-08-27
(71)【出願人】
【識別番号】395011665
【氏名又は名称】株式会社オートネットワーク技術研究所
(71)【出願人】
【識別番号】000183406
【氏名又は名称】住友電装株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000002130
【氏名又は名称】住友電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000497
【氏名又は名称】弁理士法人グランダム特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】野崎 新史
(72)【発明者】
【氏名】中村 英人
(72)【発明者】
【氏名】宮村 哲矢
(72)【発明者】
【氏名】齋藤 大亮
(57)【要約】
【課題】接続端子の設計の自由度を向上させることが可能なコネクタを提供する。
【解決手段】コネクタ10は、ハウジング11と、ハウジング11の内側に配置される接続端子12と、ハウジング11に装着される装着端子13と、を備える。接続端子12は、筒状の箱部28を有している。装着端子13は、箱部28の外面に接触して接続端子12に電気的に接続される接触部48を有している。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハウジングと、
前記ハウジングの内側に配置される接続端子と、
前記ハウジングに装着される装着端子と、を備え、
前記接続端子は、筒状の箱部を有し、
前記装着端子は、前記箱部の外面に接触して前記接続端子に電気的に接続される接触部と、前記ハウジングを支持する底板部と、前記底板部の幅方向両側から立ち上がって前記ハウジングを幅方向に挟み込む一側板部および他側板部と、前記接触部と前記一側板部とを繋ぐ繋ぎ部と、を有している、コネクタ。
【請求項2】
前記接触部は、前記箱部を挟み込む一対の挟持片を有している、請求項1に記載のコネクタ。
【請求項3】
前記接触部は、前記一対の挟持片を連結する連結部を有し、前記一対の挟持片が前記箱部を挟み込む方向を高さ方向とした場合に、前記連結部は、前記高さ方向に延びるように形成されている、請求項2に記載のコネクタ。
【請求項4】
前記ハウジングの内側には、前記接続端子を係止するランスが設けられ、
前記ハウジングの端面には、前記ランスを視認可能に開口する型抜き孔が設けられ、
前記一対の挟持片のうちの一方は、前記型抜き孔の内側に配置されている、請求項2または請求項3に記載のコネクタ。
【請求項5】
前記装着端子は、前記接触部から連続する平板状の保持部を有し、
前記ハウジングは、前記保持部を位置決めするスリットを有している、請求項1から請求項4のいずれか一項に記載のコネクタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、コネクタに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、バスバーを保持するハウジングと、複数の接続端子を収容する他のコネクタと、が開示されている。ハウジングは、コネクタ嵌合室を有している。バスバーは、コネクタ嵌合室に突出する分岐端子部を有している。他のコネクタは、ハウジングのコネクタ嵌合室に嵌合される。接続端子は、分岐端子部に接続される筒状の接続部(以下、「箱部」と称する)を有している。そして、箱部の内側には、分岐端子部に接触する接触片が設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の場合、箱部の内側は、分岐端子部を位置決めして挿入可能な形状であり、さらに挿入された分岐端子部と対向して接触片が位置するように設計されている。このため、箱部の内側の形状が制限され、ひいては接続端子の設計の自由度が制限されるという事情がある。
【0005】
そこで、本開示は、接続端子の設計の自由度を向上させることが可能なコネクタを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示のコネクタは、ハウジングと、前記ハウジングの内側に配置される接続端子と、前記ハウジングに装着される装着端子と、を備え、前記接続端子は、筒状の箱部を有し、前記装着端子は、前記箱部の外面に接触して前記接続端子に電気的に接続される接触部を有している。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、接続端子の設計の自由度を向上させることが可能なコネクタを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、本開示の実施形態に係るコネクタの分解斜視図である。
【
図2】
図2は、嵌合状態にあるコネクタの斜視図である。
【
図3】
図3は、装着端子の接触部が接続端子に電気的に接続された状態を示す側断面図である。
【
図7】
図7は、装着端子の分岐部側の正面図である。
【
図8】
図8は、装着端子の本体部側の正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
[本開示の実施形態の説明]
最初に本開示の実施態様を列記して説明する。
本開示のコネクタは、
(1)ハウジングと、前記ハウジングの内側に配置される接続端子と、前記ハウジングに装着される装着端子と、を備え、前記接続端子は、筒状の箱部を有し、前記装着端子は、前記箱部の外面に接触して前記接続端子に電気的に接続される接触部を有している。
上記構成によれば、装着端子の接触部が接続端子の箱部の外面に接触するため、箱部の内側の形状を、制限を受けずに自由に設計することができる。その結果、接続端子の設計の自由度を向上させることができる。例えば、接続端子としては、汎用の雌型端子を用いることができる。あるいは、接続端子を、箱部の内側に接触片を有しない簡単なものにすることができる。
【0010】
(2)前記接触部は、前記箱部を挟み込む一対の挟持片を有していると良い。
上記構成によれば、接触部が箱部の外面に接触する状態を良好に維持することができ、接続の信頼性を確保することができる。
【0011】
(3)前記接触部は、前記一対の挟持片を連結する連結部を有し、前記一対の挟持片が前記箱部を挟み込む方向を高さ方向とした場合に、前記連結部は、前記高さ方向に延びるように形成されていると良い。
上記構成によれば、箱部の高さを利用して、折り返し状の連結部を容易に形成することができる。
【0012】
(4)前記ハウジングの内側には、前記接続端子を係止するランスが設けられ、前記ハウジングの端面には、前記ランスを視認可能に開口する型抜き孔が設けられ、前記一対の挟持片のうちの一方は、前記型抜き孔の内側に配置されていると良い。
上記構成によれば、ランスの成形用金型の引き抜きに起因して形成される型抜き孔を、挟持片をハウジングの内側に配置させるための空間として利用できるので、ハウジングの構造を簡素化することができる。
また、ハウジングの端面に、挟持片を通す専用の挿通口を設ける必要がないので、ハウジングの端面の剛性を確保し易くなり、ハウジングの小型化に対応することができる。
【0013】
(5)前記装着端子は、前記接触部から連続する平板状の保持部を有し、前記ハウジングは、前記保持部を位置決めするスリットを有していると良い。
上記構成によれば、装着端子側に、ハウジングとの嵌合をガイドするフード等の筒状ガイドを設ける必要がなく、あるいは筒状ガイドを設けたとしても、簡単な構造にすることができる。
【0014】
[本開示の実施形態の詳細]
本開示の実施形態の具体例を、以下に図面を参照しつつ説明する。なお、本発明はこの例示に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【0015】
本実施形態は、車両の導電路の分岐部分に設けられるコネクタ10を例示している。コネクタ10は、ハウジング11と、ハウジング11に収容される複数の接続端子12と、ハウジング11に嵌合して装着される装着端子13と、を備えている。本実施形態の場合、装着端子13は、アース端子であって、ハウジング11の内側で各接続端子12に電気的に接続され、ハウジング11の外側で車両ボディに電気的に接続されている。なお、以下の具体的な構造説明において、前後方向については、装着端子13がハウジング11に装着される側を前側とする。上下方向は、高さ方向と同義であって、
図5を除く各図の上下方向を基準とする。左右方向は、幅方向と同義であって、
図1および
図2の左右方向を基準とする。図中の符号F、B、U、D、L、Rは、それぞれ、前側、後側、上側、下側、左側、右側を示す。これらの方向は、説明の便宜上定めたものに過ぎず、使用時の態様を限定するわけではない。
【0016】
ハウジング11は合成樹脂製であって、
図1および
図2に示すように、平面視矩形の扁平な形状をなしている。ハウジング11は、
図6に示すように、複数のキャビティ14を有している。各キャビティ14は、ハウジング11の内側において、左右一列に並んで配置されている。
【0017】
ハウジング11は、複数のランス15を有している。各ランス15は、
図3に示すように、各キャビティ14の下面から後方に突出し、上下に弾性変形可能とされている。ハウジング11の後面には端壁16が形成されている。端壁16には、各ランス15を成形する金型の引き抜きに起因し、複数の型抜き孔17が貫通している。各型抜き孔17は、各ランス15の後方に各ランス15と対向して配置されている。各ランス15は、
図4に示すように、各型抜き孔17を通して後方から視認可能とされている。各キャビティ14の後面は、各型抜き孔17を除いて端壁16によって閉塞されている。
【0018】
ハウジング11の上部には、幅方向に沿ったスリット18が形成されている。スリット18は、ハウジング11の後方に開放されている。
図4および
図6に示すように、スリット18の下面は、閉止壁19によって閉塞されている。閉止壁19は、スリット18と各キャビティ14との間を仕切っている。スリット18の両側面は、左右の側壁21によって閉塞されている。スリット18の上面は、
図4および
図5に示すように、左右のガイド壁22と、架設壁23と、ロック部24と、によって閉塞されている。ガイド壁22は、側壁21の上部から幅方向内側に張り出している。架設壁23は、左右のガイド壁22の前部間に架け渡されている。ロック部24は、架設壁23の左右中央部から後方に突出している。ガイド壁22、架設壁23およびロック部24のそれぞれの上面は、平面状に段差なく配置されている。そして、ロック部24の先端部には、
図3および
図4に示すように、爪状の係止突起25が下向きに突出して形成されている。
【0019】
ハウジング11の上部における閉止壁19の後方には、
図5に示すように、複数の開口部26が貫通して形成されている。各開口部26は、ハウジング11の上部において、それぞれのキャビティ14毎に平面視矩形状に開口し、各キャビティ14と連通している。ハウジング11は、両側壁21のうちの一方の側壁21Aに、前後方向に延びるリブ27を有している。
【0020】
接続端子12は導電性の金属板から形成されている。接続端子12は、
図1および
図3に示すように、箱部28と、箱部28の前方に連なるオープンバレル状のバレル部29と、を有している。バレル部29は、電線W1の端末部に圧着して接続されている。箱部28は、前面も閉塞された角筒状をなし、内側に接触片等が形成されていない中空構造とされている。箱部28の下壁には、ランス孔66が貫通して形成されている。
【0021】
装着端子13は同じく導電性の金属板から形成されている。装着端子13は、
図1に示すように、本体部31と、分岐部32と、基部33と、を有している。基部33は、前後方向および左右方向に沿った平板状をなし、後縁に、後方に屈曲する取付片34を有している。取付片34は、車両ボディに固定される。
【0022】
分岐部32と本体部31とは左右に並んで配置されている。分岐部32は、
図7に示すように、付け根部35と、下板部36と、上板部37と、横板部38と、複数の接続片39と、を有している。付け根部35は、基部33の前縁における
図1の右側から立ち上がる立板状をなしている。下板部36は、平板状をなし、付け根部35の上部から前方に突出し、かつ左右両側に張り出す部分を有している。上板部37も平板状をなし、下板部36の上方において下板部36と平行に対向している。横板部38は、上板部37と下板部36のそれぞれの右側縁に連結されている。
【0023】
複数の接続片39は、タブ状をなし、上板部37と下板部36のそれぞれの前縁から前方に突出している。各接続片39は、上板部37と下板部36のそれぞれの前縁において左右に並んで配置されている。
【0024】
分岐部32には、
図1および
図2に示すように、前方から雌ハウジング41が嵌合される。雌ハウジング41は合成樹脂製であって、平面視矩形の扁平な形状をなし、ハウジング11よりも一回り大きくされている。
【0025】
雌ハウジング41の後面には、上下一対の装着溝42が開口している。上下一対の装着溝42には、それぞれ上板部37および下板部36が後方から挿入される。また、雌ハウジング41には、前方から複数の図示しない雌端子金具が挿入される。各雌端子金具は、上下一対の装着溝42に臨み、内側に各接続片39を挿入させ、分岐部32に電気的に接続される。また、各雌端子金具はそれぞれ電線W2の端末部に電気的に接続されている。各電線W2は、
図2に示すように、雌ハウジング41の前面から前方に引き出される。
【0026】
本体部31は、
図1および
図8に示すように、根元部43と、底板部44と、一側板部45と、他側板部46と、繋ぎ部47と、接触部48と、保持部49と、を有している。
【0027】
根元部43は、基部33の前縁における
図1の左側から立ち上がる立板状をなしている。底板部44は、平面視矩形の平板状をなし、根元部43の上部から前方に突出し、かつ左右両側に張り出す部分を有している。底板部44は、根元部43を介して基部33よりも一段高く配置されている。
【0028】
一側板部45は、底板部44における
図1の左側から立ち上がる形状であって、上下方向および前後方向に沿った立板状をなしている。一側板部45の上縁には、
図1に示すように、上下方向の段差51が形成されている。一側板部45の上縁のうち、段差51の後側となる後部上縁は、段差51の前側となる前部上縁よりも一段低く配置されている。
【0029】
他側板部46は、底板部44における
図1の右側から立ち上がる形状であって、上下方向および前後方向に沿った立板状をなしている。他側板部46は、一側板部45よりも低い高さで形成されている。
【0030】
繋ぎ部47は、一側板部45の後部上縁から他側板部46側(
図1の右側)に屈曲されて延びる形状をなしている。繋ぎ部47は、一側板部45と接触部48との間に介在して両者を繋ぐ部分になる。
【0031】
接触部48は、
図3および
図8に示すように、上下それぞれの挟持片52、53と、各挟持片52、53を連結する連結部54と、を有している。上側の挟持片52は、
図8に示すように、繋ぎ部47から他側板部46側に連続して延び、左右方向において、他側板部46よりも一側に控えた位置に他側縁を有している。上側の挟持片52は、左右方向および前後方向に沿った平板状をなし、繋ぎ部47から前方に張り出す部分を有している。上側の挟持片52は、弾性変形不能な剛性を有している。
【0032】
下側の挟持片53は、上側の挟持片52の下方に対向して配置されている。下側の挟持片53は、左右方向に沿った帯板部55と、帯板部55の前縁から前方に突出する複数の弾性接触部56と、を有している。各弾性接触部56は、帯板部55の前縁において左右に並んで配置されている。各弾性接触部56は、帯板部55の前縁を支点として上下に弾性変形可能とされている。各弾性接触部56は、弾性変形していない自然状態にあるときに、帯板部55の前縁から前方に向けて上傾斜し、上端に位置する接点部57から先端側を下向きに屈曲させている。
【0033】
連結部54は、
図3に示すように、各挟持片52、53の後部間において全体として上下方向に延び、かつU字形に折り返された形状になっている。連結部54の幅寸法は、
図8に示すように、各挟持片52、53のそれぞれの幅寸法と同じである。連結部54の延出長(上下寸法)は、各挟持片52、53間の上下方向の離間距離と同じであり、端子金具の箱部28の上下寸法に対応している。
【0034】
保持部49は、
図3および
図8に示すように、上側の挟持片52から前方に向けて上傾斜する中継部58と、中継部58の前端から前方に向けて前後方向に沿って配置される保持本体部59と、を有している。保持部49は、左右中央部に、中継部58から保持本体部59に亘って前後方向に延びる膨出部61を有している。膨出部61は、
図8に示すように、正面視台形状に屈曲した形状とされ、上壁が平坦に配置されている。膨出部61の上壁には、
図1に示すように、平面視矩形のロック孔62が開口して形成されている。
【0035】
保持本体部59は、
図3に示すように、ハウジング11のスリット18に嵌合される。保持本体部59がスリット18に嵌合された状態で、膨出部61のロック孔62にはロック部24の係止突起25が係止可能に嵌まり込む。なお、基部33の一側(
図1の左側)から底板部44の後部に亘る部分と、基部33の他側(
図1の右側)から下板部36の後部に亘る部分と、には、複数の突条部63が左右に並んで設けられている。
【0036】
次に、本実施形態の嵌合構造および作用を説明する。
装着端子13の分岐部32には、
図2に示すように、雌ハウジング41が嵌合される。分岐部32の各接続片39は、各雌端子金具に電気的に接続される。
ハウジング11の各キャビティ14には、接続端子12が挿入される。接続端子12は、
図3に示すように、ランス孔66にランス15が嵌まり込み、ランス15に係止されてキャビティ14内に一次的に抜け止めされる。また、接続端子12は、ハウジング11に装着されたリテーナ64に係止されてキャビティ14内に二次的に抜け止めされる。接続端子12の箱部28は、閉塞面である前面がハウジング11の端壁16に当て止めされ、上面が開口部26から上方に露出する。
【0037】
装着端子13の本体部31には、
図2に示すように、ハウジング11が嵌合される。なお、本体部31の各弾性接触部56は、ハウジング11との嵌合前、上側の挟持片52および保持部49によって上方を覆われ、底板部44によって下方を覆われ、一側板部45および他側板部46によって左右両側を覆われている。つまり、各弾性接触部56は、ハウジング11との嵌合前、四方を保護されている。
【0038】
本体部31がハウジング11に嵌合される過程において、保持本体部59がハウジング11における閉止壁19、左右の側壁21およびガイド壁22によって包囲される内側に嵌合され、本体部31の嵌合動作がガイドされる。ハウジング11のロック部24は、嵌合過程で膨出部61の上壁の上面を摺動して弾性変形する。
【0039】
本体部31がハウジング11に正規に嵌合されると、ロック部24が弾性復帰し、
図3に示すように、係止突起25がロック孔62に嵌まり込む。これにより、装着端子13がハウジング11に嵌合状態に保持される。また、本体部31がハウジング11に正規に嵌合されると、中継部58が閉止壁19の後縁に対向し、保持本体部59がスリット18内にて架設壁23と閉止壁19との間に位置決めされた状態に配置される。ハウジング11は、底板部44に支持されるとともに、一側板部45と他側板部46との間に幅方向に挟まれる。
【0040】
さらに、
図3に示すように、本体部31がハウジング11に正規に嵌合された状態において、上側の挟持片52は、各キャビティ14の後部開口を覆い、開口部26を通して各接続端子12の箱部28の上面に接触する。また、下側の挟持片53の各弾性接触部56は、各型抜き孔17を通してキャビティ14内に臨み、各接点部57を各接続端子12の箱部28の下面に接触させる。各弾性接触部56は、箱部28に接触して弾性変形した状態になる。このようにして、装着端子13の接触部48は、各挟持片52、53間に箱部28を挟んだ状態で、箱部28の外面に接触し、接続端子12に電気的に接続される。
【0041】
以上説明したように、本実施形態によれば、装着端子13の接触部48が接続端子12の箱部28の外面に接触するため、箱部28の内側の形状を、制限を受けずに自由に設計することができる。その結果、接続端子12の設計の自由度を向上させることができる。本実施形態の場合、接続端子12は、箱部28の内側に接触片を有しない簡単な形状になっている。このため、コストを低減することができる。
【0042】
また、各挟持片52、53が箱部28を挟んだ状態で箱部28に接触するため、例えば、振動下にあっても、装着端子13と接続端子12の接続状態を維持することができ、接続の信頼性を向上させることができる。
【0043】
また、連結部54が箱部28に対する各挟持片52、53の挟み込み方向と同じ高さ方向に延びているので、箱部28の高さを利用し、連結部54の折り返し形状を無理なく容易に形成することができる。
【0044】
また、ハウジング11の端壁16においてランス15の成形に伴って形成された型抜き孔17が下側の挟持片53を通す挿通口になるので、端壁16に専用の挿通口を設けなくて済む。その結果、ハウジング11の端壁16の剛性を確保し易くなり、ハウジング11の小型化に対応することができる。
【0045】
さらに、装着端子13の保持部49がハウジング11のスリット18に位置決めして保持され、装着端子13にハウジング11との嵌合をガイドするフード等の筒状ガイドが設けられていないため、装着端子13を簡単な構造にすることができる。
【0046】
[本開示の他の実施形態]
今回開示された実施形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えるべきである。
上記実施形態の場合、接続端子は中空構造の箱部を有していた。しかし、他の実施形態として、接続端子は、箱部内に接触片等を有する汎用の雌端子金具であっても良い。
上記実施形態の場合、装着端子にはハウジングとの嵌合動作をガイドする筒状ガイドが設けられていなかった。しかし、他の実施形態として、装着端子には筒状ガイドが設けられていても良い。もっとも、保持部がスリットに位置決めしてガイド機能を発揮できれば、筒状ガイドを簡単な構造にできる。
上記実施形態の場合、装着端子の接触部は、上側の挟持片と弾性接触部との間に箱部を挟む構造であった。しかし、他の実施形態として、装着端子の接触部は、上側の挟持片を有さず、箱部に弾性接触部のみが接触する構造であっても良い。
上記実施形態の場合、装着端子の各弾性接触部は、各接続端子の箱部に個別に接触するように、各接続端子毎に設けられていた。しかし、他の実施形態として、装着端子の各弾性接触部は、複数の接続端子の箱部にまとめて接触するように、複数の接続端子に対応して設けられていても良い。
【符号の説明】
【0047】
10…コネクタ
11…ハウジング
12…接続端子
13…装着端子
14…キャビティ
15…ランス
16…端壁
17…型抜き孔
18…スリット
19…閉止壁
21…側壁
21A…一方の側壁
22…ガイド壁
23…架設壁
24…ロック部
25…係止突起
26…開口部
27…リブ
28…箱部
29…バレル部
31…本体部
32…分岐部
33…基部
34…取付片
35…付け根部
36…下板部
37…上板部
38…横板部
39…接続片
41…雌ハウジング
42…装着溝
43…根元部
44…底板部
45…一側板部
46…他側板部
47…繋ぎ部
48…接触部
49…保持部
51…段差
52…上側の挟持片
53…下側の挟持片
54…連結部
55…帯板部
56…弾性接触部
57…接点部
58…中継部
59…保持本体部
61…膨出部
62…ロック孔
63…突条部
64…リテーナ
66…ランス孔
W1,W2…電線